JP2004269333A - リン酸カルシウム系材料を含む炭素繊維強化複合材料成形体、その製造方法およびこれを用いた人工骨 - Google Patents

リン酸カルシウム系材料を含む炭素繊維強化複合材料成形体、その製造方法およびこれを用いた人工骨 Download PDF

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亮 車田
Junzo Tanaka
順三 田中
Yasushi Suetsugu
寧 末次
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Abstract

【課題】本発明は、骨の疾患を治療するための人工骨に適した成形体であって、生体適合性が高く、機械的強度に優れた複合材料成形体を提供するものである。
【解決手段】本発明の複合材料成形体は、リン酸カルシウム系材料および炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料を少なくとも含むか、あるいはこれにさらに有機天然高分子あるいは有機合成高分子材料を添加したものである。
このような複合材料成形体は、リン酸カルシウム系材料と炭素繊維材料等を混合・成形するか、あるいは、これらの材料の混合物を成形し焼成することによって製造することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨の疾患を治療するための人工骨などに用いられる炭素繊維強化複合材料成形体、その製造方法および人工骨に関する。
【0002】
【従来の技術】
骨の疾患を治療するために、チタンや、アルミナなどのセラミックス材料を用いた人工骨が検討され、実用化されている。
これらの材料を用いた人工骨は、初期強度が高く、かつ人体の生活作用に対して不活性であるため安全であり、有用な材料と考えられている。しかしながら、この材料は、生体作用に対して不活性であるため、生体内において、生体適合性を有せず、そのために長期間使用しても、この人工骨と自家骨との結合が生じないため、緩みや腐食の問題が発生して長期使用に支障をきたしている。
【0003】
従来、実用化されている人工骨のこの問題を解決するための方法として、バイオセラミックスであるヒドロキシアパタイトを人工骨材料として採用することが試みられている(非特許文献1参照)。
このヒドロキシアパタイトは、生体活性な物質で、骨と直接化学的に反応する物質であるため、生体適合性が高く、骨に近い特性を有しているため人工骨として有用であると考えられる。しかしながら、このヒドロキシアパタイトの成形体は、脆く、機械的強度が十分ではないため、生体内に移植した場合、耐久性に問題があった。
【0004】
【非特許文献1】
Journal of the European Ceramic Society 20(2000) 1397−1402
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、骨の疾患を治療するための人工骨における従来技術の上記課題を解決するためになされたものであり、生体適合性が高く、機械的強度に優れた材料およびその製造方法さらに人工骨を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、リン酸カルシウム系材料および炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料を少なくとも含むことを特徴とする炭素繊維強化複合材料成形体である。
この第1の本発明の炭素繊維強化複合材料成形体において、気孔率が20〜80%の範囲にあり、かつ曲げ強度とヤング率の比の値が、0.7〜3.0×10−3の範囲にあることが望ましい。
【0007】
第2の本発明は、リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料および有機高分子材料を少なくとも含むことを特徴とする炭素繊維強化複合材料成形体である。
この第2の本発明において、前記有機高分子材料が、アガロース、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0008】
第3の本発明は、リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料、およびバインダーを混合し、成形した後、加熱焼成することを特徴とする炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法である。
【0009】
第4の本発明は、リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料、および有機高分子材料を混合し、加熱・加圧成形することを特徴とする炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法である。
【0010】
第5の本発明は、リン酸カルシウム系材料および炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料を少なくとも含むことを特徴とする人工骨である。
【0011】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
複合材料成形体
本実施の形態の発明の複合材料成形体は、リン酸カルシウム系材料と、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料とを少なくとも含む材料を所要の形状に成形し焼成したものである。
このような複合材料成形体は、リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料、およびバインダーを混合し、成形した材料を焼成して製造されるものであり、その詳細については後述する。
【0012】
この複合材料成形体においては、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料が占める割合は、0.5〜90wt%の範囲が好ましい。この割合が、前記範囲を下回った場合には、強度改善の効果が十分ではなく、耐久性に劣る結果となる。一方、炭素繊維の割合が前記範囲を上回った場合には、複合材料の成形が困難となる。
【0013】
この複合材料成形体は、気孔率が20〜80%の範囲であり、かつ曲げ強度とヤング率の比の値が、0.7〜3.0×10−3の範囲にあるものが好ましい。気孔率が、上記の範囲を下回った場合、この炭素繊維強化複合材料成形体を、人工骨に応用する際に、生体内で骨組織を再生する細胞の進入が困難となるため、この人工骨の生体物質との代替に時間を要する。一方、気孔率が上記範囲を上回った場合、複合体自体の破壊強度が低下して、耐久性に問題がある。
また、曲げ強度とヤング率の比が、上記範囲を下回った場合、変形量が少なく柔軟性に劣るような問題があり、一方、この比が上記範囲を上回った場合、変形量が大きく柔らかすぎるような問題がありそれぞれ好ましくない。
【0014】
(リン酸カルシウム系材料)
本実施の形態において用いられるリン酸カルシウム系材料としては、生体との適合性に優れた材料であれば使用可能であるが、特にヒドロキシアパタイト系材料が適している。具体的に本実施の形態において用いられるヒドロキシアパタイトとしては、CaHPO、Ca(PO、Ca(POOH、CaO(PO、Ca10(PO)(OH)、CaP11、Ca(PO、Ca、Ca(HPO、Ca、Ca(HPO・HOなどがあげられる。
これらの物質は、水酸化カルシウムとリン酸とを湿式で反応させることによって合成することができる。
このリン酸カルシウム系材料は、コラーゲン、ゼラチン、ペプチド、アミノ酸、またはアミノ酸塩の一種またはこれらの混合物が添加されるかもしくはこれらによって表面が被覆されたものであることが、生体物質との親和性を改善するために好ましい。その添加量は、リン酸カルシウム系材料に対して5〜40wt%の範囲が適切である。
【0015】
(炭素繊維材料および炭素繊維強化炭素複合材料)
本実施の形態において用いられる炭素繊維材料は、その太さが、5〜100μmの範囲にある炭素繊維の長繊維または短繊維であることが好ましい。炭素繊維の太さが、上記範囲を下回った場合、その取り扱いが困難で、複合材料中に均一に分散させることが困難となり、均一な成形体を形成することができない。一方、炭素繊維の太さが、上記範囲を上回った場合、成形が困難になるなどの問題が発生して好ましくない。
このような炭素繊維は、ポリアクリロニトリル繊維などの合成繊維を非酸化性雰囲気中で熱処理して製造したものが好ましい。
【0016】
本発明において用いられる炭素繊維材料としては、チョップドファイバー、紐、ニ次元織物、三次元織物、不織布およびフィラメントワインディング成形体などの形態で用いることができる。
【0017】
チョップドファイバーとは、炭素繊維を短繊維に切断したものであり、取り扱いが容易でリン酸カルシウム系材料への混合の際の作業性に優れている。このチョップドファイバーの繊維長としては、0.05〜10mmの範囲が好ましい。チョップドファイバーの繊維長がこの範囲を下回った場合、繊維強化の効果が十分ではなく、成形体の強度が低下する。一方、チョップドファイバーの繊維長が上記範囲を上回った場合、ヒドロキシアパタイトへの混合が困難となり、均一な複合体を形成することが困難となる。
【0018】
炭素繊維材料の紐は、複数本の炭素長繊維を撚糸し、太さ0.05〜10mmの紐状としたものが好ましい。この紐の太さが、上記範囲を下回った場合、強度改善の効果が期待できず、一方、紐の太さが上記範囲を上回った場合、成形が困難になる。
【0019】
二次元織物としては、炭素長繊維を撚糸した糸を用いて織った織布であり、その繊維密度が、0.5〜1.8g/cmの範囲にあるものが好ましい。繊維密度が上記範囲を下回った場合、織布の強度が十分ではなく、成形体の強度改善の効果が期待できない。一方、繊維密度が上記範囲を上回った場合、織布の空隙率が低下し、均一な複合体の成形が困難となる。
【0020】
三次元織物とは、立体的に繊維を配列させた形状のものであり、二次元織物を積層し縫い合わせるような方法によって製造することができる。この三次元織物としては、0.5〜1.8g/cmの範囲にあり、層間せん断強度が高く立体的に高い強度を有する特性のものが好ましい。密度が上記範囲を下回った場合、強度が十分ではなく、成形体の強度改善の効果が期待できない。一方、密度が上記範囲を上回った場合、織布の空隙率が低下し、均一な複合体の成形が困難となる。
【0021】
不織布は、炭素繊維をすでに公知の方法によってフェルト状に形成したものであり、その繊維密度は0.5〜1.8g/cmの範囲にあることが好ましい。繊維密度が上記範囲を下回った場合、成形体の強度改善の効果は期待できない。一方、繊維密度が上記範囲を上回った場合、リン酸カルシウムと均一に混合することが困難となり、均一な成形体を得ることができない。
【0022】
フィラメントワインディング成形体は、強化繊維を型に所定の角度で巻き付け積層して成形したものである。その成形体の密度は、0.5〜1.8g/cmの範囲にあるものが好ましい。密度が上記範囲を下回った場合、強度が十分ではなく、成形体の強度改善の効果が期待できない。一方、密度が上記範囲を上回った場合、織布の空隙率が低下し、均一な複合体の成形が困難となる。
【0023】
本実施の形態においては、前記炭素繊維を炭素材料と混合して炭素繊維強化炭素複合材料として用いることもできる。このような材料は、炭素粉末中に炭素繊維を充填し加熱加圧して成形したもので、具体的には、たとえば炭素材料学会編「新・炭素材料入門」などの文献に示されるような方法で製造することができる。この炭素繊維強化炭素複合材料を用いることにより、炭素繊維材料を用いた場合と比較して、さらに機械的強度の優れた複合材料成形体を得ることができる。
【0024】
製造方法
以下本実施の形態の複合材料成形体の製造法について説明する。
この複合材料成形体は、原料の配合、成形、および焼成の各工程を実施することによって製造することができる。
第1の工程は、複合材料成形体の原料を準備しこれを配合する工程である。この複合材料成形体の原料としては、リン酸カルシウム系材料粉末、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料の粉末あるいは塊状体、およびこれらを成形可能にするためのバインダー粉末を用いる。これらの原料は、乾式で配合してもよいし、湿式で配合してもよい。湿式による混合方法としては、これらの原料を水中に分散して混合してもよいし、また、リン酸カルシウム系材料とバインダーの水分散液に炭素繊維材料あるいは炭素繊維強化炭素複合材料を浸漬し、この炭素繊維材料等と対峙して電極を浸漬し、通電して電気泳動によって炭素繊維材料等の表面にリン酸カルシウム系材料を被覆混合してもよい。この方法によれば、炭素繊維材料等と他の材料との密着性が向上し、高強度の成形体が得られる。
【0025】
また、リン酸カルシウム系材料として、その前駆体を原料とし、焼成過程でリン酸カルシウムに変性してもよい。また、これらの原料成分を混合する前に、炭素繊維材料表面にリン酸カルシウム系材料を析出させておき、その後この炭素繊維材料とリン酸カルシウム系材料粉末およびバインダーを混合してもよい。この混合工程の前に炭素繊維材料表面にリン酸カルシウム系材料を析出させておくことにより、炭素繊維材料とリン酸カルシウム系材料との密着性が改善され、強度の高い複合材料成形体が得られる。
【0026】
この配合工程において用いられるバインダーとしては、後の加熱工程で揮散もしくは消失するような物質が適している。具体的には、ポリビニルアルコール、CMCのような有機バインダーが好ましい。
これらの各成分の配合比率において、バインダー成分は、加熱過程で消滅する程度の量、すなわち高々10wt%程度を用いることが好ましく、他の成分はそれぞれ最終的な複合材料成形体における組成比に対応する量を用いる。
【0027】
この第1の工程においては、使用する炭素繊維材料の表面を酸化させておくことが好ましい。これは、以下の工程で、炭素繊維材料表面にリン酸カルシウム系材料を析出させるが、その際に炭素繊維材料の表面が酸化されていると、その析出が促進されるためである。この炭素繊維材料の表面酸化は、具体的には、炭素繊維材料を硝酸のような無機酸に浸漬して行うことができる。この酸化条件は、硝酸を用いる場合には、たとえば温度100℃〜120℃、濃度90〜100%の硝酸水溶液に、炭素繊維を10〜50時間浸漬することによって行うことが好ましい。これらの条件が上記範囲に満たない場合には、炭素繊維の表面が十分酸化されず、リン酸カルシウム系材料の表面析出が不十分となって強度の高い複合材料を得ることができない。一方、上記範囲を超える条件で酸化した場合には、炭素繊維材料自体が酸化により減量してしまい、繊維の強度が低下してしまう。
【0028】
ついで、酸化処理した炭素繊維表面にリン酸カルシウム系材料核を生成する。この工程は、前記酸化処理炭素繊維を擬似体液中に浸漬して、リン酸カルシウム系材料を析出させることによって行われる。
この工程で用いられる擬似体液とは、人の血漿成分に類似した組成を有する水溶液であり、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、塩素イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどのイオンを含有するものである。
このリン酸カルシウム材料核を析出形成する工程は、温度35〜40℃の擬似体液中に、炭素繊維材料を、10〜500時間浸漬することによって行われる。この際の条件が上記範囲に満たない場合には、十分量のリン酸カルシウム系材料が炭素繊維表面に生成せず、強度の高い複合材料を得ることができない。一方、上記範囲を超える条件で処理を行っても、複合材料として特性の改善効果が期待できず、不利である。
【0029】
第2の工程は、上記工程によって得られた複合材料原料混合物を成形する工程である。この工程においては、この複合材料成形体の用途に応じた形状に原料を成形するが、前記工程において湿式で混合した場合には、スリップキャスト法などのような湿式の成形手段を採用することが好ましく、乾式で混合した場合には、原料を混合した粉末を金型内に充填し加熱加圧して成形することができる。
【0030】
第3の工程は、前記工程で得られた成形体を加熱焼成する工程である。この工程において、原料中に配合されているバインダーは揮散もしくは消散する。この加熱焼成工程は、一般にセラミックスの焼成に用いる炉を用いて行ってもよいが、SPS法と呼ばれているパルス通電加圧焼結法を用いた熱処理法によって、行うこともできる。
このSPS法による焼成工程においては、加熱条件は、焼結温度900〜1200℃、圧力10〜50MPa、保持時間10〜40分間の条件で真空下で加熱焼成することによって行うことが好ましい。この加熱焼成工程における条件が前記範囲を下回る場合には、成形体の機械的強度が十分発揮されず、耐久性の劣る成形体となる。一方、加熱条件が、上記範囲を上回っても、成形体の強度向上の効果は望めず、エネルギーの損失が大きく実用的ではない。
【0031】
[第2の実施の形態]
複合材料成形体
本実施の形態の複合材料成形体は、リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料あるいは炭素繊維強化炭素複合材料、および有機高分子材料を少なくとも含む材料を所要の形状に成形したものである。
このような複合材料成形体は、リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料、および有機高分子材料を混合し、成形して製造されるものであり、その詳細については後述する。
【0032】
この複合材料成形体において、炭素繊維材料あるいは炭素繊維強化炭素複合材料の割合は、0.5〜90wt%の範囲が好ましく、また有機高分子材料の割合は、リン酸カルシウム系材料に対して5〜40wt%の範囲が好ましい。炭素繊維材料あるいは炭素繊維強化炭素複合材料の割合が、上記範囲を下回った場合には、強度改善の効果が十分ではなく、耐久性に劣る結果となる。一方、炭素繊維あるいは炭素繊維強化炭素複合材料の割合が上記範囲を上回った場合、複合材料の成形が困難となる。また、有機高分子材料の割合が上記範囲を下回った場合には、有機高分子の添加効果が認められなくなる点で好ましくなく、一方、この割合が上記範囲を上回った場合には、複合材料の強度が低下する点で好ましくない。
【0033】
(リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料あるいは炭素繊維強化炭素複合材料)
本実施の形態において用いられるリン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料あるいは炭素繊維強化炭素複合材料としては、前述の第1の実施の形態において用いることができるものと異なるところはない。
【0034】
(有機高分子材料)
本実施の形態において用いられる有機高分子材料としては、生体との親和性に優れ、毒性のない有機高分子材料を用いることができるが、特にアガロース、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリビニルアルコールなどの物質が好ましい。
【0035】
製造方法
以下本実施の形態の複合材料の製造法について説明する。
本実施の形態の複合材料成形体は、原料の準備および混合工程と、成形工程の各工程によって製造することができる。
【0036】
第1の工程は、原料の準備および混合工程である。この工程においては、原料となるリン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料あるいは炭素繊維強化炭素複合材料、および有機高分子材料を、湿式もしくは乾式で混合する工程である。この工程においては、前記第1の実施の形態における混合工程と同様に、あらかじめ炭素繊維表面を酸化処理し、あるいは、炭素繊維材料の表面にリン酸カルシウム系材料を析出させておくことが好ましい。また、配合方法も上記第1の実施の形態において採用した方法を適用することができる。
【0037】
ついで、上記第1の工程によって得られた原料混合物を成形する。この工程においては、原料混合物をHPと呼ばれる加熱加圧することによって行うことができる。
このHP処理の条件は、圧力10〜50MPa、温度900〜1200℃で10〜40分間、非酸化性雰囲気下、もしくは真空下で加熱加圧することによって行われる。
前記HP処理の条件が上記範囲を下回った場合、十分な強度を有する成形体を得ることができない。一方、この条件が上記範囲を上回っても、成形体の強度改善の効果は期待できず、エネルギーの損失が大きく、実用的ではない。
【0038】
[第3の実施の形態]
人工骨
上記第1および第2の実施の形態で説明した炭素繊維強化複合材料成形体は、人工骨材料として適している。特に、気孔率が20〜50%の複合材料成形体は、緻密質で、高強度の骨の欠陥を補填するための材料として適している。
一方、気孔率が50〜80%の比較的多孔質材料は、軽荷重のかかる骨を補填するための材料として適している。
これらの材料の成形体は、角柱状、円柱状、ブロック状など任意の形状に成形して使用される。また、この人工骨と、人骨とをボルト−ナットなどによって接合するために、貫通孔を形成してもよい。さらに、これらの材料において、細胞の進入を促進するために、促進剤を含浸しておくこともできる。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
ヒドロキシアパタイトは、水酸化カルシウムとリン酸による溶液反応を利用して湿式合成法により製造した。すなわち、攪拌しながら水酸化カルシウム懸濁液にリン酸水溶液を滴下し、得られた沈殿物を800℃で3時間仮焼しヒドロキシアパタイトを合成した。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリルを出発原料とする直径7μm、繊維長5mmのチョップドファイバーを用意した。
この炭素繊維を硝酸により処理した。すなわち、濃度98%、温度120℃に加熱した硝酸に炭素繊維を15時間浸漬し、表面を酸化した後、0.15Mの過剰の酢酸カルシウム溶液に浸漬して、24時間放置した。
【0040】
酸化処理した炭素繊維表面に、人の血漿に類似する成分からなる擬似体液を用い、前記炭素繊維材料を37℃で168時間浸漬することによって、その表面にヒドロキシアパタイトを析出させた。この擬似体液は、アパタイト過飽和水溶液であり、これによって材料表面にアパタイトの核成形に有効な官能基を形成させるものである。
上記工程によって得られたヒドロキシアパタイト析出炭素繊維材料1wt%と、前記工程で得られたヒドロキシアパタイト99wt%とを、バインダーなしで、乾式で混合した。
【0041】
こうしてヒドロキシアパタイトを表面に生成させた炭素繊維と、ヒドロキシアパタイト粉末とを混合し、φ30mmのボタン状の緻密質体である成形体を、パルス通電焼成法を採用して温度1100℃、圧力10MPaで加圧焼成した。
その結果、次の機械的特性を有する複合材料成形体が得られた。すなわち、圧縮強度400MPa、曲げ強度52MPa、ヤング率47GPaで、高強度を示した。
【0042】
(実施例2)
直径7μm、繊維長25mmのピッチ系炭素繊維を原料として製造された炭素繊維の紐を、濃度98%、温度37℃の硝酸に15時間浸漬し、炭素繊維表面を酸化した。ついで、この炭素繊維を擬似体液中に168時間浸漬し、炭素繊維表面にヒドロキシアパタイトの核を生成させた。ついで、この炭素繊維の紐を、ヒドロキシアパタイト粉末の中央に配列させ、φ30mmのボタン状の緻密質体である成形体を、パルス通電焼成法を採用して温度1100℃、圧力30MPaで加圧焼成した。
その結果次の機械的特性を有する成形体が得られた。すなわち、圧縮強度714MPa、曲げ強度72MPa、ヤング率65GPaであり、特に、曲げ強度は、母材のヒドロキシアパタイトの約2倍の高強度を示した。
【0043】
【発明の効果】
前記本発明の複合材料成形体によれば、生体適合性が高く、かつ耐久性および機械的強度の高い人工骨に適した成形体を得ることができる。
また、前記複合材料成形体の製造方法によれば、機械的特性に優れた成形体を簡便な方法によって製造することができる。
さらに、前記人工骨によれば、生体適合性および耐久性が高い人工骨を提供することができる。

Claims (18)

  1. リン酸カルシウム系材料および炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料を少なくとも含むことを特徴とする炭素繊維強化複合材料成形体。
  2. 気孔率が20〜80%の範囲にあり、かつ曲げ強度とヤング率の比の値が、0.7〜3.0×10−3の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  3. リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料および有機高分子材料を少なくとも含むことを特徴とする炭素繊維強化複合材料成形体。
  4. 前記有機高分子材料が、アガロース、ゼラチン、コラーゲン、キトサン、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項3記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  5. 前記リン酸カルシウム系材料が、CaHPO、Ca(PO、Ca(POOH、CaO(PO、Ca10(PO)(OH)、CaP11、Ca(PO、Ca、Ca(HPO、Ca、Ca(HPO・HOからなる群から選ばれた少なくとも一つの成分を主成分とするものであることを特徴とする請求項1または請求項3記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  6. 前記リン酸カルシウム系材料が、コラーゲン、ゼラチン、ペプチド、アミノ酸、またはアミノ酸塩の一種またはこれらの混合物を含むものであることを特徴とする請求項1または請求項3記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  7. 前記炭素繊維が、チョップドファイバー、紐、ニ次元織物、三次元織物、不織布およびフィラメントワインディング成形体であることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  8. 前記炭素繊維の太さが、5〜100μmの範囲にあることを特徴とする請求項7記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  9. 前記チョップドファイバーの含有率が、前記炭素繊維強化複合材料成形体に対して0.5〜2.5wt%の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  10. 前記炭素繊維の全含有量が、前記炭素繊維強化複合材料成形体に対して0.5〜90wt%の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  11. 前記炭素繊維の表面が、酸化されたものであることを特徴とする請求項7記載の炭素繊維強化複合材料成形体。
  12. リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料、およびバインダーを混合し、成形した後、加熱焼成することを特徴とする炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法。
  13. リン酸カルシウム系材料、炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料、および有機高分子材料を混合し、加熱・加圧成形することを特徴とする炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法。
  14. 前記炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法において、少なくとも前記リン酸カルシウム系材料を含む水分散液中で、電気泳動により炭素繊維表面にリン酸カルシウムを被覆させた炭素繊維材料を用いることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法。
  15. 前記炭素繊維材料表面を酸化処理した後、少なくともリン酸カルシウム系材料と混合することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法。
  16. 前記酸化処理が、無機酸処理であることを特徴とする請求項15記載の炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法。
  17. 前記炭素繊維材料を擬似体液で処理し炭素繊維材料表面にリン酸カルシウム系材料を被覆した後、この炭素繊維材料と少なくともリン酸カルシウム系材料とを混合することを特徴とする請求項12または請求項13記載の炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法。
  18. リン酸カルシウム系材料および炭素繊維材料または炭素繊維強化炭素複合材料を少なくとも含むことを特徴とする人工骨。
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