JP3718708B2 - リン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体およびその製造方法 - Google Patents

リン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、骨や歯の置換材、修復材、薬剤徐放性基材、骨もしくは軟骨組織等の培養容器あるいは誘導容器として利用できるリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体とその製造方法に関し、さらに詳しくは、生体との親和性や骨形成に必要な細胞侵入性、強度などの特性が優れている多孔質構造を持つリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科、脳外科、形成外科、整形外科などで、人工骨、人工歯、骨類の補填などに用いられる材料(以下「骨補填材」という)としては、毒性がなく、機械的強度が十分で、生体組織と親和性が高く結合しやすいと共に、生体内で自然に消滅し、新生骨と自然に置きかえられるものが好ましい。
【0003】
このような観点から、リン酸カルシウム化合物からなる多孔質構造の骨補填材が用いられる。
【0004】
多孔質構造を持つ骨補填材の製造方法として、原料粉末と熱分解物質を混合し、所定の形状に成形した後、加熱して熱分解物質の除去と原料粉末の焼結を行う方法が知られている(特開昭60−21763号公報、特開昭60−16879号公報)。
【0005】
しかしながら、これらの従来公知の製造方法では、気孔を形成するために添加した熱分解物質が必ずしも満遍なく接触するとは限らず、したがって、形成された気孔の大部分は独立した気孔となり易い。また、形成された隣接気孔同士が接しており、連続していたとしても、各気孔の連通する部分(以下「連通部」又は「連通部分」という)の断面積が小さくなる。このような気孔構造では、生体内に補填しても、各気孔内に満遍なく骨生成に必要な細胞(骨芽細胞等)を侵入させることが困難である。
【0006】
そこで、連通部の断面積を大きくする目的で、可燃性の球状粒子の表面をバインダーで被覆し、この粒子の集合物を成形型内に収納して加圧し、各粒子の表面部分とその周囲に隣接配置される他の粒子の表面とを接触固定した後、同粒子間に存在する隙間部分に、リン酸カルシウム系粉末を懸濁させたスラリーを充填し、これを乾燥して、固化した後、加熱して、可燃性の球状粒子およびバインダーを熱分解して除去し、しかる後、焼結する方法が知られている(特開平7−291759号公報)。
【0007】
この方法で製造される多孔質構造の骨補填材は、十分な連通部の断面積を持っている。
【0008】
しかしながら、可燃性の球状粒子を加圧により接触固定する方法において、加圧する圧力を制限し、スプリングバックによる多孔質構造の破壊については、一応考慮はされているものの、乾燥時に固定された可燃性球状粒子の寸法変化はほとんど生じないにもかかわらず、スラリーから水分が除かれ粉体の充填状態が変化する際に大きな収縮が生じるために、多孔質体を構成する骨格部分に破壊が生じ易いという問題は考慮されていない。
【0009】
さらに、固定された可燃性球状粒子が熱分解され除去されるに至る温度上昇過程において固定された可燃性球状粒子は大きな熱膨張を起こすが、原料粉末の充填体からなる多孔質体を構成する骨格部分にはあまり熱膨張が生じず、そのため、熱膨張差が大きくなり、その結果、多孔質体を構成する骨格部分に破壊が生じ易いという問題も、考慮されていない。
【0010】
さらに、可燃性球状粒子やバインダーが熱分解する際に大量のガスが発生し、外部に逃げ切れず、その圧力によって多孔質体の内部に亀裂が生じるという問題についても考慮されていない。
【0011】
それゆえ、このような従来方法では、十分な機械的強度を発現することは困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の1つの目的は、細胞や組織との初期接着をよくすることである。
【0013】
本発明は、さらに、機械的強度が十分で、生体親和性が高く、大半の気孔が満遍なく連通状態にあり、かつ大半の気孔内に骨芽細胞等が侵入しやすい多孔質構造を持つリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決手段は、請求項1〜25に記載されたリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体とその製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、金属イオン(たとえば亜鉛、マグネシウム、鉄、ニッケル、カドミウム、鉛、カルシウム、ストロンチウム、バリウムのイオン)により焼結体を表面修飾して、骨の再生成長を促す高分子(たとえばコラーゲン)を焼結体の表面に配置したリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体を提供する。
【0016】
このようなセラミック焼結体は、リン酸カルシウム系多孔質焼結体が、リン酸カルシウムからなり、結晶体、同型固溶体、置換型固溶体、侵入型固溶体のいずれかであり、非化学量論的欠陥を含み得るものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体によって製造することができる。
【0017】
金属イオン修飾によるリン酸カルシウム系生体用セラミックス焼結体の高分子コートについて説明する。
【0018】
骨代替材料などとしてリン酸カルシウムの焼結体あるいは多孔体を生体内に埋入するとき、治癒速度を早めるため細胞や組織との初期接着をよくすることが望ましい。そのため、リン酸カルシウムの表面をコラーゲンの高分子で化学修飾する。安定にコラーゲン分子をリン酸カルシウムの表面に結合させるのである。有機物と結合しやすい金属イオンを化学修飾して、その上に有機物を結合させるのである。
【0019】
コラーゲンは、現在、化粧品や食品添加物、人工臓器などに利用され注目をあびている。コラーゲンとは、人間や動物の身体の中にあるタンパク質の1種である。コラーゲンは細胞を支えたり、結びつけたり、境目を作ったりする働きがある。コラーゲンは、骨や皮膚、腱などに多く含まれている。その他にも、血管や肺、肝臓、腎臓等にもコラーゲンは、含まれている。
【0020】
コラーゲンが化粧品に使われている理由は、保湿性があることと、もともと人体にあるものであるということである。
【0021】
コラーゲンは構造の違いで19種類に型にわけられている。その中で皮膚や骨の腱の主成分のコラーゲンである1型コラーゲンの分解に注目している。1型コラーゲンの分解は摘出しにくいので、抗原抗体反応を利用して摘出するのが好ましい。たとえば、ウサギに抗原を注射して、抗体を作らせて、その抗体を取り出して摘出することができる。魚のコラーゲンの分解も利用可能である。
【0022】
本発明によるリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体それ自体の好ましい例は、球状の気孔が多孔質焼結体のほぼ全体にわたって連通している。その気孔率は、55%以上90%以下(好ましくは60〜85%)である。かつ、気孔間の連通部分の平均的な直径は、50μm以上(好ましくは100〜4000μm)である。気孔径は、150μm以上(好ましくは200〜5000μm)である。三点曲げ強さは、5MPa以上(好ましくは10MPa以上)である。
【0023】
本発明の基体であるリン酸カルシウム系多孔質焼結体の好ましい例は、上記のような構成上の特徴を持つために、機械的強度が十分で、生体組織と親和性が高く結合しやすいと共に、生体内で自然に消滅し、新生骨と自然に置きかえられる特性を持っている。
【0024】
また、薬剤徐放性基材として用いられる場合にも、薬剤を十分に保持しうる大量の気孔と、薬剤を徐々に放出するのに有効な、気孔間の連通部を有しており、かつ、十分な強度を保有している。
【0025】
ここで、気孔率を55%以上90%以下とした理由を述べる。
【0026】
気孔率が55%未満では、隣接する気孔間にできる連通部の断面積が小さくなり、あるいは、独立した気孔が過度に多く存在するようになり、骨補填材として用いられる場合、本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の内部に十分な量の骨芽細胞等を取り込むことが困難となり、薬剤徐放性基材として用いられる場合、薬剤を十分に保持しうる気孔が確保しがたくなる。
【0027】
気孔率が90%を超えると、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の強度が著しく低下する。
【0028】
また、気孔間の連通部の平均的な直径を50μm以上としたのは、50μm未満であると、骨形成に必要な細胞侵入性が得られないためである。気孔間の連通部の平均的な直径の上限は特に限定されないが、8mm程度の直径も実施可能である。
【0029】
なお、気孔間の連通部の平均的な直径は、水銀圧入法で測定する。また、連通部の直径が大きすぎて水銀圧入法が適用できない場合、多孔質焼結体の断面部を顕微鏡で観察し連通部の直径を観測して、気孔間の連通部の平均的な直径を面積平均径として算出する。
【0030】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の気孔径を150μm以上としたのは、150μm未満では、気孔間の連通部分の平均的な直径を50μm以上とすることが困難であるためである。気孔径の上限は特に限定していないが、10mm程度の気孔径も実施可能である。好ましい気孔径は、200〜5000μmである。
【0031】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の三点曲げ強さを5MPa以上としたのは、5MPa未満では、本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の所望の用途において、機械的強度が不十分なためである。三点曲げ強さの上限は特に限定されないが、100MPa程度の強度も実施可能である。
【0032】
本発明による好ましいリン酸カルシウム系焼結体においては、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分が概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体からなり、その表面部分が、微細な凹凸、もしくはリン酸カルシウム系の多孔質焼結体より成る層を有する。それにより、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の比表面積が0.1m2 /g以上になっている。
【0033】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体が骨補填材などの用途に使用される場合、骨生成を助ける薬剤を吸着させることが一般的である。その際、十分な吸着量を得るためには、比表面積を0.1m2 /g以上(とくに0.2m2 /g以上)とすることが望ましい。この観点から、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分が概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体からなり、その表面部分が、適度な微細な凹凸、もしくはリン酸カルシウム系の多孔質焼結体より成る層を有する。そのような表面部分の構造により、比表面積は増加するが、著しい強度の低下は起こらない。そのため、良好な骨補填材を得ることができる。
【0034】
さらに、骨補填材用途の場合、リン酸カルシウム多孔質焼結体の骨格部分の表面に微細な凹凸(気孔も含む)が存在すると、そこに破骨細胞や骨芽細胞などがとりついて活動しやすくなり、ひいては、生体内で自然に消滅し、新生骨と自然に置きかえられやすくなる。リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分の表面が、適度に微細な凹凸、もしくは、リン酸カルシウム系の多孔質焼結体より成る層を有すると、微細な凹凸が補填骨について効果的に機能する。比表面積の上限は特に限定されないが、100m2 /g程度の比表面積も実施可能である。
【0035】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体は、例えば、CaHPO4 、Ca3 (PO4 2 、Ca5 (PO4 3 OH、Ca4 O(PO4 2 、Ca10(PO4 6 (OH)2 、CaP4 11、Ca(PO3 2 、Ca2 2 7 、Ca(H2 PO4 2 、Ca2 2 7 、Ca(H2 PO4 2 ・H2 O等を主成分とする多孔質焼結体であり、リン酸カルシウムと称される1群の化合物からなる多孔質焼結体を含む。
【0036】
また、このリン酸カルシウム系多孔質焼結体を構成する、リン酸カルシウムと称される1群の化合物は、そのCa成分の一部が、Sr、Ba、Mg、Fe、Al、Y、La、Na、K、Ag、Pd、Zn、Pb、Cd、Hおよび、この他の希土類から選ばれる一種以上で置換されてもよい。また、(PO4 )成分の一部が、VO4 、BO3 、SO4 、CO3 、SiO4 などから選ばれる一種以上で置換されても良い。さらに、(OH)成分の一部が、F、Cl、O、CO3 、I、Brから選ばれる一種以上で置換されても良い。
【0037】
なお、これらのリン酸カルシウムと称される1群の化合物は、通常の結晶体のほかに、同型固溶体、置換型固溶体、侵入型固溶体のいずれかであっても良く、非化学量論的欠陥を含むものであっても良い。
【0038】
前述のリン酸カルシウム系多孔質焼結体は、後述のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法により提供される。
【0039】
たとえば、そのような製造方法の好適な例は、リン酸カルシウム系粉末および架橋重合により硬化し得る有機物質を溶媒に分散または溶解させたスラリーを調整する工程と、このスラリーに起泡剤を添加し攪拌および/または気体導入により所定の容積まで起泡し、泡沫状態のスラリーとする工程と、泡沫状態のスラリーに架橋剤および/または架橋開始剤を添加して混合し、型内に導入して架橋重合により硬化し成形体とする工程と、この成形体を乾燥し、焼結する工程を含むものである。なお、前述のスラリー中には、分散剤、整泡剤、増粘剤などを添加してもよい。
【0040】
架橋重合により硬化し得る有機物質は、ポリビニルアルコール、メタクリル酸メチル、メチルセルローズ等のほか、種々の架橋重合性を有する物質を用いることが可能である。特に、アミノ基を含む線状、分枝状、ブロック状形態を有するポリマーは、カチオン性に富み、原料粉末の分散にも寄与して良好なスラリーを作製することができ、かつ後述する架橋剤と併用して良好な架橋重合体を得ることができるために好ましい。
【0041】
架橋剤は選択された架橋重合性物質を架橋する物であれば任意のものを使用することができる。特に、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のような、アミノ基を持つ架橋重合性を有する有機物質を用いる場合には、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グルセロールポリグリシジルエーテル、ポリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ基を2以上持つエポキシ化合物を用いることが好ましい。
【0042】
起泡剤としては、陰イオン性、陽イオン性、両イオン性、ノニオン性の界面活性剤を用いることができる。ただし、特に架橋重合性を有する有機物質にポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、プロピレンイミン等のようにアミノ基を含む線状、分岐状、ブロック状形態のポリマーを選択した場合、陰イオン性界面活性剤を用いると、そのイオン性の違いから、イオンコンプレックスを形成し、起泡操作が困難になる場合があり、この場合には、陰イオン界面活性剤を使用することは望ましくない。
【0043】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分が概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体からなり、その表面部分が微細な凹凸もしくはリン酸カルシウム系の多孔質焼結体より成る層を有し、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の比表面積が0.1m2 /g以上であるリン酸カルシウム系多孔質焼結体は、次に説明する方法によって製造できる。
【0044】
たとえば、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の、概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体より成る骨格部分の表面を、酸によりエッチングし、骨格部分の表面に微細な凹凸を設ける。概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体の骨格部分の表面は酸によるエッチングを受けて、粒界部分が溶解し、その結果、微細な凹凸が骨格部分の表面に形成される。エッチングに用いる酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸などのほか、各種酸を用いることができる。また、エッチング液のpHは特に規定しない。酸の種類、濃度によりエッチング速度が異なるため、条件を調節する。ただし、ここで述べた方法では、過度にエッチングを行うと、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の強度が低下するため、リン酸カルシウム系多孔質焼結体を構成する結晶粒子の大きさによっても異なるが、結晶粒子径が1μmの場合、0.3m2 /g以下とすることが望ましい。
【0045】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法は、次のようなエッチング法を採用するのが好ましい。すなわち、酸によるエッチング工程が、酸流路内に流路を遮るように設置されたリン酸カルシウム系多孔質焼結体の気孔内に酸を流通させる工程から成るのが好ましい。酸中にリン酸カルシウム系多孔質焼結体を浸漬した場合、多孔質焼結体表面部分はエッチングが著しいが、多孔質焼結体内部のエッチングはあまり進行しないが、本発明のようなエッチング工程を採用すれば、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の内部まで均一にエッチングを施すことが容易である。
【0046】
なお、酸エッチングの後、イオン交換水などを流通させ十分に酸を洗い流し、さらに、乾燥後に熱処理を施して、表面に吸着残存している酸成分を除去する工程を設けることが更に望ましい。
【0047】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法の別の好ましい形態においては、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分の表面に、新たにリン酸カルシウム系粉末を含むスラリーを付着させ、乾燥し、焼結する。このようにして、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分の表面にリン酸カルシウム系焼結体の層を設ける。その新たに設けたリン酸カルシウム系焼結体の層は、リン酸カルシウム系粉末の組成によっても異なるが、その焼結温度により多孔質にも緻密質にもすることができる。多孔質の場合、内部に概略緻密な骨格部分を含んでいるために、強度の低下を引き起こすことなく、骨格部分の表面にリン酸カルシウム系の多孔質焼結体より成る層を設けることができ、本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の比表面積を増やすことができる。緻密質の場合、スラリーはエッジ形状を持つ連通部分に付着しにくいために、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の断面形状が円形に近くなる。このために、連通部分の平均的な直径を著しく小さくすることなく、機械的強度の向上をはかることができる。
【0048】
リン酸カルシウム系粉末は、例えば、CaHPO4 、Ca3 (PO4 2 、Ca5 (PO4 3 OH、Ca4 O(PO4 2 、Ca10(PO4 6 (OH)2 、CaP4 11、Ca(PO3 2 、Ca2 2 7 、Ca(H2 PO4 2 、Ca2 2 7 、Ca(H2 PO4 2 ・H2 O等を主成分とする粉末であり、リン酸カルシウムと称される1群の化合物からなる粉末も含む。
【0049】
また、このリン酸カルシウム系粉末を構成する、リン酸カルシウムと称される1群の化合物は、そのCa成分の一部が、Sr、Ba、Mg、Fe、Al、Y、La、Na、K、Ag、Pd、Zn、Pb、Cd、H、および、この他の希土類から選ばれる一種以上で置換されても良い。また、(PO4 )成分の一部が、VO4 、BO3 、SO4 、CO3 、SiO4 から選ばれる一種以上で置換されても良い。
【0050】
さらに、(OH)成分の一部が、F、Cl、O、CO3 、I、Brから選ばれる一種以上で置換されても良い。
【0051】
なお、これらのリン酸カルシウムと称される1群の化合物は、通常の結晶体のほかに、同型固溶体、置換型固溶体、侵入型固溶体のいずれであっても良く、非化学量論的欠陥を含むものであっても良い。
【0052】
なお、本発明によるリン酸カルシウム系多孔質焼結体の表面部分に、骨生成を促進する薬剤や他の効果をもつ薬剤を吸着させることも可能である。さらに、気孔の内部に骨生成を促進する薬剤や他の効果をもつ薬剤を包含させることも可能である。
【0053】
また、本発明によるリン酸カルシウム系多孔質焼結体の表面部分を、コラーゲンなどの蛋白質を含む生体親和性の高い有機物質で被覆して使用することもできる。
【0054】
更に、本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の生分解特性は、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の骨格部分を構成する結晶粒子の制御、あるいは、粒子間境界に炭酸イオンなど析出させることにより、制御することが可能である。例えば、骨新生に必要な期間、多くの場合2ヶ月間から5年間の間に徐々に分解する、生分解特性を付与することができる。
【0055】
本発明の好ましい製造方法の一形態では、先ず、リン酸カルシウム系粉末および架橋重合により硬化し得る有機物質を溶媒に分散または溶解させたスラリーを調整する。ここで、ボールミル等を用いて原料粉末を分散し、架橋重合により硬化し得る有機物質を溶媒に分散または溶解させてスラリーとする。このスラリーに起泡剤を添加し撹拌および/または気体導入により所定の容積まで起泡し、泡沫状態のスラリーとする。次いで、泡沫状態のスラリーに架橋剤および/または架橋開始剤を添加して混合し、型内に導入して架橋重合により硬化し成形体とする。起泡後、架橋重合により流動性を失うまでの間に、隣接する泡間の接触部分から泡同士の三重点(陵部)、四重点(頂点部分)に向けて原料粉末や溶媒などの排出が起こり、スラリーが流動性を失う時点と前後して、接触部分の液膜が壊れ、気孔間の連通部分が形成される。
【0056】
この成形体を乾燥し、焼結して、リン酸カルシウム系多孔質焼結体とする。その際、乾燥は、加湿下で実施することが望ましい。急激な水分の減少により成形体内部と外部の寸法差が生じ、亀裂が発生することを防止するためである。焼結は、800℃以上1300℃以下で実施することが好ましい。
【0057】
気孔間の連通が本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体全体に満遍なく起こるようにするには、気孔率を55%以上とすることが好ましい。満遍なく気孔が連通する条件は、パーコレーション現象が絡んでおり、ある気孔率から劇的に連通部分が多くなるが、気孔率55%以上では、安定してリン酸カルシウム系多孔質焼結体全体に連通が満遍なく起こるようにしやすい。
【0058】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の気孔率は、主としてスラリー中への気体の導入量、乾燥による収縮、焼結による収縮によって決まるが、乾燥収縮および焼結収縮を予め求めておけば、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の気孔率は、スラリー中への気体の導入量で制御できる。
【0059】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の気孔径は、起泡剤として添加する界面活性剤の種類や濃度、スラリーの粘弾性や、架橋重合により泡沫状のスラリーが流動性を失うまでの時間により制御できる。
【0060】
従って、本発明によるリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法によれば、生体内に補填したときに各気孔内に満遍なく骨芽細胞等を侵入させることが可能な骨補填材を容易に製造することができる。
【0061】
なお、生体への害毒がないこと、およびコラーゲンとの結合強度の大きいことを考慮すると金属イオンは亜鉛イオンが最も適する。
【0062】
さらに本発明を別の観点から説明する。
【0063】
本発明は、高分子の官能基(例えばカルボキシル基・水酸基・アミン基・スルホニル基など)と各種金属イオンとの化学結合を利用したセラミックス表面への高分子修飾技術と得られた生体活性セラミックスを提供するものである。
【0064】
結合材である金属イオンとして、亜鉛・マグネシウム・鉄・ニッケル・カドミウム・鉛・カルシウム・ストロンチウム・バリウムなどを用いる。基材となる生体セラミックスとして、アパタイトなどのリン酸カルシウム、アルミナ・ジルコニアなどの酸化物、あるいは金属表面を酸化した改質金属でもよい。用いる基材セラミックスとしては、リン酸カルシウムの焼結体・多孔質体が望ましい。表面に修飾する高分子として、側鎖に上記の官能基をもつタンパク質、多糖類などを用いる。結合材の金属イオンと基材酸化物の表面におけるモル置換比は0.01/0.99〜0.1/0.9を範囲とする。金属イオンはセラミックス基材の表面から0.1ナノメートル以上、10ミクロン以下で分布させる。高分子は単層でもよく多層でもよい。
【0065】
結合材である金属イオンを基材セラミックスの表面部分にイオン交換による修飾または高温焼成により析出させる。基材の表面から0.1ナノメートル以上、10ミクロン以下に各種金属イオンを分布させる。高分子を水などの溶媒にとかし、表面に金属イオンが分布した基材に浸漬して、高分子−金属−セラミックス基材を配位結合・共有結合などで方向と結合強度を制御して結合させる。アパタイトの場合、高分子官能基と金属イオンの結合は、Ca<<Mg=Fe<Znの順で大きくなる。
【0066】
本発明は、細胞の足場となる高分子を強固に結合した表面修飾材料を提供することにより骨治癒の効果を高めることができる。すなわち、材料の表面に各種金属イオンを分布させることで、高分子材料とセラミックス基材の問に強い配位結合・共有結合を導入することができ、セラミックス基材の上に高分子が強固に結合した材料を作製することができる。得られた材料の表面は生体組織に類似しているため細胞や組織を人工材料と早期に結合させることが可能になる。術後2〜3ヶ月以内の初期において細胞接着・組織の再生を促進する。
【0067】
本発明による焼結体は、骨誘導および骨伝導能をもつ生体骨置換型骨再建材として利用法できる。骨粗鬆症・骨欠損の補填材としても利用できる。人工骨髄培養容器としても利用できる。さらに幹細胞や肝臓組織などの培養容器や、抗癌剤などの生体融和型薬剤徐放性基材としても利用できる。
【0068】
本発明の代表的な製法を説明する。
【0069】
リン酸カルシウムを湿式合成する際に塩化亜鉛を加えることで、カルシウムの一部を金属イオンで置換したリン酸カルシウム沈殿物を作成する。亜鉛とカルシウムのモル比は0.01/99.99とする。得られた沈殿を濾過、乾燥、仮焼、造粒を行なう。1次成形した後、1200℃で焼成して亜鉛イオンを粒子表面に偏析させた焼糖体を作製する。1次成形を行う際に緻密体にすることも可能であり、多孔体にすることも可能である。亜鉛イオンは粒界拡散により焼結体試料の表面あるいは多孔体の空孔表面に偏析する。2次イオン質量分析法により表面ではリン酸カルシウムのカルシウムイオンの1%が亜鉛イオンに置き換わる。
【0070】
また、純粋なリン酸カルシウム多孔質体を作製し、亜鉛イオンを含んだ溶液中に1分から24時間浸漬した、表面のカルシウムイオンを亜鉛イオンで置換する。24時間の処理の場合、表面のカルシウムイオンの50%が亜鉛イオンに置換する。その材料を200℃で乾燥した後、200℃〜14001℃で焼成して表面 に亜鉛イオンが置換した焼結体を作製する。亜鉛イオンは内部に拡散するとともに非晶質化した表面を結晶化させることができ、亜鉛イオンが表面に強固に固着する。
【0071】
上記の方法で得られた組成傾斜型焼結体にコラーゲンを液相吸着させて、リン酸カルシウムと高分子の間に共有結合を形成する。
【0072】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0073】
まず、アパタイト・コラーゲンの自己組織化によりリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体を表面修飾することについて説明する。
【0074】
水酸アパタイトとI型コラーゲンを混合すると、アパタイト結晶(C軸)がコラーゲン繊維軸に沿って配向して整列する。このことは電子線回折から明らかにできる。
【0075】
I型コラーゲンは、官能基としてカルボキシル基(−COO)を側鎖に持っている。このカルボキシル基がアパタイトと化学結合を形成して勝手に(自己組織化的に)配向する。
【0076】
水酸アパタイトの表面Aは一般にカルシウムが多い表面である。実際、水酸アパタイト単結晶の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察すると、約1/3の周期を持ったステップテラスが観測される。結晶構造から考えて、カルシウムイオンが表面Aに存在すると考えられる。したがって、アパタイト表面Aとコラーゲンは{リン酸イオンーカルシウム(金属イオン)一カルボキシル基}のように金属イオンを介して結合する。
【0077】
カルボキシル基と金属イオンの化学結合について計算によって検討する。
【0078】
図1は、アパタイトの表面を示す。図2は図1を横から見た図である。図1において、紙面に対して垂直(見ている方向)にC軸が存在する。リン酸基は四面体を形成し、図1の「surface c」の線上(その下が表面)で黒く塗りつぶしてある。このリン酸基(PO4 )の酸素原子の内、表面に最も近い2個の酸素が紙面に対して垂直に配置している。この2個の酸素原子に対してカルシウムイオン(灰色の○)が結合する。さらに、このカルシウムイオンはカルボキシル基と、図1の下のように結合をつくる。カルシウムの周囲に酸素が4個存在する。その4個の酸素は4面体を作っている。カルシウムは4面体の中央に位置して、dsp3混成軌道を形成することによってその周囲の4個の酸素と結合する。すなわち、アパタイトとカルボキシル基は共有結合を形成し、方向性をもっている。
【0079】
結合が最も強くなる所は、カルシウムイオンの場合、カルボキシル基の炭素イオンから2.4オングストローム離れた位置にある。同様に、亜鉛・マグネシウム・鉄イオンなどに対しても計算を行なうと、結合の強さはCa《Mg=Fe<Znの順に大きくなり、亜鉛が最も強い結合を示す。亜鉛は、カルシウムと比べて約3倍の結合強度を示す。結合距離はカルシウムイオンに比べて少し短く、2.0オングストロームで最大であった。
【0080】
以上の結果から、亜鉛を水酸アパタイト表面に修飾することによって、アパタイト・コラーゲンの結合が強くなり、Ca《Mg=Fe<Znの順で表面修飾に適していると結論される。
【0081】
本発明の好適な実施例による2種類の主なセラミック焼結体の製法1及び2を説明する。そして、製法1及び2で得られた表面のイオン分布の厚さと形態について説明する。
【0082】
製法1
(1)リン酸カルシウムを湿式合成する際に目的金属イオンを含んだ塩を同時に加えることで、カルシウムの一部が金属イオンに置換したリン酸カルシウム沈殿を得る。加える金属イオンとカルシウムのモル比は0.01/99.99〜0.1/0.9の範囲とする。
【0083】
(2)得られた沈殿を濾過、乾燥、仮焼、造粒する。仮焼すると、リン酸カルシウムの構造が安定化するため、構造を不安定にする金属イオンは粒子表面に偏析する。その結果、金属イオンはリン酸カルシウムの表面に近いところで高くなり傾斜化された粒子となる。内部の含有量は少なくなる。金属イオンが偏析した表面の厚さは0.1ナノメートルから10ミクロン以下である。粒子系に依存する。
【0084】
(3)その後、粉末を成型、焼成することで、焼結体(緻密体、多孔体)を得る。金属イオンは前述の(2)と同じ原理により、粒界拡散で焼結体試料の表面あるいは空孔表面に偏析する。この時、焼結体表面の金属イオン濃度はリン酸カルシウム粒子内部の金属イオンの濃度に比較して2倍〜100万倍になる。温度と処理時間、及び金属イオンに依存して変化する。結晶面ではリン酸カルシウム中のカルシウムの1〜100%が金属イオンに置き換わった表面になる。
【0085】
製法2
(1)純粋なリン酸カルシウム焼結体の基体を作製する。
【0086】
(2)得られた焼結体を金属イオンを含んだ水溶液中に1分〜24時間浸漬し、リン酸カルシウムの焼結体表面のカルシウムイオンを目的とする金属イオンに置換する。24時間の処理により焼結体表面のカルシウムイオンの10〜50%が置換する。この時、金属イオンの種類によっては最表面の結晶が非晶質化することもある。放置して乾燥するか、必要に応じて50℃〜200℃で加熱する。
【0087】
(3)表面が金属イオンに置換した焼結体を200℃〜1400℃で焼成し、金属イオンの拡散を行うと同時に非晶質化した表面を結晶化させる。金属イオンが表面に固体化される。(2)のままで使用することも可能。
【0088】
上記製法1及び2で得られた組成傾斜型焼結体に高分子を液相吸着させる。修飾した金属イオンによって、カルシウムイオンに比べて、無機/有機界面の配位結合性が強くなり、高分子を焼結体表面に強固に修飾することが可能となる。
【0089】
コラーゲンの場合、金属イオンとしてCa《Mg=Fe<Znの順で結合が大きくなる。
【0090】
前述のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製法の他の例を説明する。これらの製法により得られた焼結体についても、金属イオン(たとえば亜鉛イオン)により表面修飾して、骨の再生成長を促す高分子(たとえばコラーゲン)を焼結体の表面に配置することが可能である。
【0091】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例1
先ず、原料粉末として水酸アパタイト粉末100g、溶媒としてイオン交換水80g、架橋重合性を有する有機物質としてポリエチレンイミン(固形分60%、数平均分子量8000〜10500)12gを用いて、それらをボールミルで5時間混合してスラリーを作製した。上記と同じ組成のスラリーを192g用意し、これに起泡剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤)を0.8g添加し、機械的な撹拌により300cm3 になるまで起泡し、泡沫状のスラリーとした。これに、架橋剤としてエポキシ化合物(ソルビトールポリグリシジルエーテル)を4g添加して、十分に撹拌し、型内に導入して、静置し、架橋重合により流動性を失いハンドリング可能な程度まで強度が発現した時点で脱型した。脱型後、加湿乾燥器および乾燥器を使用して十分に乾燥し、焼結を1200℃で行った。
【0092】
このようにして得られた水酸アパタイト多孔質焼結体は、気孔率が70%、平均気孔径が200μmであり、連通部分の平均的な直径は70μmであった。また、三点曲げ強さは、15MPaであり、骨補填材用途として十分な強度を持っていた。
【0093】
この試料の比表面積をBET1点法で測定したところ、0.06m2 /gであった。
【0094】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例2
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例1の方法で作製された水酸アパタイト多孔質焼結体を流路中に流れを遮るように設置し、この流路中に、pH3に調製された希塩酸を水酸アパタイト多孔体1cm2 あたり50cm3 /分の流量で10時間流した。この水酸アパタイト多孔質焼結体を100℃で乾燥した後、1000℃で熱処理した。
【0095】
この試料をSEMにて観察したところ、水酸アパタイト多孔質焼結体の概略緻密化した骨格部分の表面に約1μmの結晶が認められた。その結晶周囲の粒界部分がおおよそ1μm程度の深さでエッチングされていた。
【0096】
この水酸アパタイト多孔質焼結体は、気孔率が70%で、平均気孔径が200μmであり、連通部分の平均的な直径は75μmであった。また、三点曲げ強さは、12MPaであり、骨補填材用途として十分な強度を持っていた。
【0097】
この試料の比表面積をBET1点法で測定したところ、0.15m2 /gであった。
【0098】
このように、酸エッチングにより著しい強度の低下を引き起こすことなく、水酸アパタイト多孔質焼結体の概略緻密化した骨格部分の表面に微細な凹凸構造を設けて、比表面積を増加することができた。
【0099】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例3
原料粉末として水酸アパタイト粉末50g、溶媒としてイオン交換水100g、バインダとしてポリエチレンイミン(固形分60%、数平均分子量8000〜10500)1gを用いて、それらをボールミルで5時間混合して、スラリーを作製した。
【0100】
このスラリーに、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例1の方法で作製された水酸アパタイト多孔質焼結体を浸漬し、余分なスラリーを脱液した後、エアーブローにより更に脱液を実施して、乾燥した。
【0101】
この工程を3回繰り返し、水酸アパタイト多孔質焼結体の骨格部分の表面に水酸アパタイト粉末成形体が付着したものを作製した。
【0102】
これを1200℃で焼結したところ、気孔率は65%で、平均気孔径は200μmで、連通部分の平均的な直径は68μmであった。また、三点曲げ強さは、20MPaであり、骨補填材用途として十分な強度を持っていた。
【0103】
この試料の骨格部分をSEMで観察したところ、骨格部分の表面に新たに追加された概略緻密な水酸アパタイト焼結体の層が観察された。
【0104】
このような方法で、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例1の機構構造を大きく変化させることなく、より強度の高いリン酸カルシウム系多孔質焼結体を作成できた。
【0105】
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例4
原料粉末として水酸アパタイト粉末50g、溶媒としてイオン交換水100g、バインダとしてポリエチレンイミン(固形分60%、数平均分子量8000〜10500)1gを用いて、それらをボールミルで5時間混合して、スラリーを作製した。
【0106】
このスラリーに、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例1の方法で作製された水酸アパタイト多孔質焼結体を浸漬し、余分なスラリーを脱液した後、エアーブローにより更に脱液を実施して乾燥した。
【0107】
この工程を3回繰り返し、水酸アパタイト多孔質焼結体の骨格部分の表面に水酸アパタイト粉末成形体が付着したものを作製した。
【0108】
これを1000℃で焼結したところ、気孔率が68%、平均気孔径が200μm、連通部分の平均的な直径は68μmであった。また、三点曲げ強さは、15MPaであり、骨補填材用途として十分な強度を持っていた。
【0109】
この試料の骨格部分の断面をSEMで観察したところ、骨格部分の表面に新たに形成された多孔質の水酸アパタイト焼結体の層が観察された。
【0110】
この試料の比表面積をBET1点法で測定したところ、0.5m2 /gであった。
【0111】
このように水酸アパタイト多孔質焼結体の骨格部分の表面に新たに多孔質のアパタイト焼結体の層を設けることにより、強度の低下を引き起こすことなく、水酸アパタイト多孔質焼結体の比表面積を増加することができた。
【0112】
前述のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例1〜4のリン酸カルシウム系多孔質焼結体により構成された人工骨材は、十分な断面積を持つ連通部分により互いに接続された気孔が全体にわたり分布している。したがって、この人工骨材は、生体内において十分に骨芽細胞等を侵入させ、新生骨を形成することができる。
【0113】
なお、各原料やその添加量、焼結等の条件は、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造例1〜4に具体的に述べたものに限るものではない。
【0114】
気孔率の測定方法
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の気孔率は以下の方法で測定する。あらかじめ、被測定物のリン酸カルシウム系多孔質焼結体と同一組成を有する焼結体を作成し、真密度計を用いて測定し真密度(ρ* )を求める。被測定物のリン酸カルシウム系多孔質焼結体を直方体ももしくは円柱に加工し、その寸法を測定し計算により体積を求める。さらに、重量を測定し、重量を体積で除してその密度(ρ)を求める。これらの値を用いて、気孔率(P)は、次の式により算出される。
【0115】
P=1−ρ/ρ*
また、リン酸カルシウム系多孔質焼結体を樹脂中に包埋し、これを研磨して顕微鏡等で観察し、画像解析により気孔部分の面積(Ap )および気孔部分の面積を測定した部分の面積(Am )を求める。これらの値を用いて、気孔率(P)は、次式により算出される。
【0116】
P=Ap /Am
気孔径の測定方法
リン酸カルシウム系多孔質焼結体の気孔径は以下の方法で測定する。リン酸カルシウム系多孔質焼結体を樹脂中に包埋し、これを研磨して顕微鏡等で観察し、画像解析によりほぼ球状の気孔面積を求める。ここで測定する気孔数は精度上多いほど良いが、一般に300個以上の気孔について測定を行えば良い。ここで求められる気孔面積はほぼ球状の気孔の一部を通過する平面での断面であり、気孔の直径ではないために、三次元的な補正を行う。
【0117】
補正の方法として、Johnson−Saltkov法を用いる。Johnson−Saltkov法では、観測される気孔の面積から、直接気孔の直径分布が得られるが、平均的な気孔径としては、気孔体積の累積分布において総気孔体積の50%を占める気孔径を算出する。
【0118】
【発明の効果】
本発明によるリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体は、骨代替材料などとして生体内に埋められたとき、治癒速度が速くなり、細胞や組織との初期接着が極めて良好である。
【0119】
本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体により構成された人工骨材は、十分な断面積を持つ連通部分により互いに接続された気孔が全体にわたり分布している。したがって、この人工骨材は生体内において十分に骨芽細胞等を侵入させ、新生骨を形成することができる。
【0120】
また、本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体は、高い気孔率でかつ互いに連通した気孔を有し、また、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の比表面積を大きくすることが可能であり、薬剤徐放性基材として有用である。
【0121】
また、本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体は、生体骨中で見られる血管侵入のためのフォルクマン管、及び栄養成分補給に必要なハーバース管の役割を代替しうる気孔と連通孔を有しているため、生体内においては骨組織、軟骨組織等を材料内部とその周囲に誘導するための組織誘導容器として、また、生体外においては骨組織、軟骨組織等を材料内部で培養する組織培養容器として利用できる。
【0122】
さらに、生体内部で組織誘導し、あるいは、生体外部で組織培養した本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体を用いて、患部の補填などを実施することが可能である。
【0123】
本発明のリン酸カルシウム系多孔質焼結体の製造方法によれば、本発明の前述のリン酸カルシウム系多孔質焼結体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水酸アパタイトの結晶構造の、001方向からの投影図。
【図2】図1の構造を横から見た説明図。
【符号の説明】
A 水酸アパタイトの表面

Claims (2)

  1. 金属イオンにより焼結体が表面修飾されていて、骨の再生成長を促す高分子が焼結体の表面に配置されており、
    金属イオンが亜鉛、マグネシウム、鉄のイオンの一種又は二種以上であり、骨の再生成長を促す高分子がコラーゲンであり、
    焼結体の気孔率が55%以上90%以下であり、多数の球状の気孔が存在して、焼結体のほぼ全体にわたってそれらの気孔が連通しており、それらの気孔間の連通部分の平均的な直径が50μm以上であり、かつ、気孔の直径が150μm以上であり、焼結体の三点曲げ強さが5MPa以上であり、
    焼結体の骨格部分が概略緻密化したリン酸カルシウム系焼結体からなり、その骨格部分の表面部分が微細な凹凸もしくはリン酸カルシウム系の多孔質焼結体より成る層を有し、リン酸カルシウム系多孔質焼結体の比表面積が0.1m2 /g以上であり、
    リン酸カルシウム系多孔質焼結体が、CaHPO4 、Ca3 (PO4 2 、Ca5 (PO4 3 OH、Ca4 O(PO4 2 、Ca10(PO4 6 (OH)2 、CaP4 11、Ca(PO3 2 、Ca2 2 7 、Ca(H2 PO4 2 、Ca2 2 7 、Ca(H2 PO4 2 ・H2 Oからなる1群の化合物の1種以上を主成分とし、
    Caの成分の一部が、Sr、Ba、Mg、Fe、Al、Y、La、Na、K、Ag、Pd、Zn、Pb、Cd、H、および、この他の希土類から選ばれる一種以上で置換され得るものであり、(PO4 )成分の一部が、VO4 、BO3 、SO4 、CO3 、SiO4 から選ばれる一種以上で置換され得るものであり、さらに、(OH)成分の一部が、F、Cl、O、CO3 、I、Brから選ばれる一種以上で置換され得るものであり、
    リン酸カルシウム系多孔質焼結体が、リン酸カルシウムからなり、結晶体、同型固溶体、置換型固溶体、侵入型固溶体のいずれかであり、非化学量論的欠陥を含み得るものであることを特徴とするリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体。
  2. 金属イオンが亜鉛イオンであることを特徴とする請求項1に記載のリン酸カルシウム系生体用セラミック焼結体。
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