JP2004268543A - バルブ機構及び記録装置 - Google Patents
バルブ機構及び記録装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004268543A JP2004268543A JP2003066073A JP2003066073A JP2004268543A JP 2004268543 A JP2004268543 A JP 2004268543A JP 2003066073 A JP2003066073 A JP 2003066073A JP 2003066073 A JP2003066073 A JP 2003066073A JP 2004268543 A JP2004268543 A JP 2004268543A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- ink cartridge
- valve
- opening
- ink supply
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
Abstract
【課題】インク漏れが無く、操作が容易で安価なバルブ機構及びそのバルブ機構を備えた記録装置を提供すること。
【解決手段】インクカートリッジ10のインク供給口13と記録装置100のインク供給路101とを接続・遮断するバルブ機構20に、インクカートリッジの挿抜動作に連動してバルブ23の開閉機構24を動作させる連動手段22を備える。これにより、インクカートリッジが例えばインクカートリッジホルダに対して抜き差しされる際にバルブに直接作用しなくてもバルブを開閉することができるので、従来のようなインク導入孔が形成された中空針に摺動自在に外嵌されたバルブを用いる必要が無く、インク漏れによる装置内の汚染を防止することができる。
【選択図】 図15
【解決手段】インクカートリッジ10のインク供給口13と記録装置100のインク供給路101とを接続・遮断するバルブ機構20に、インクカートリッジの挿抜動作に連動してバルブ23の開閉機構24を動作させる連動手段22を備える。これにより、インクカートリッジが例えばインクカートリッジホルダに対して抜き差しされる際にバルブに直接作用しなくてもバルブを開閉することができるので、従来のようなインク導入孔が形成された中空針に摺動自在に外嵌されたバルブを用いる必要が無く、インク漏れによる装置内の汚染を防止することができる。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクカートリッジの挿抜に対応して開閉するバルブ機構及びそのバルブ機構を備えた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録媒体として例えばJIS規格のA1判やJIS規格のB1判といった比較的大型のサイズの記録用紙にまで記録できる大型の記録装置の1つであるインクジェット式プリンタがある。このインクジェット式プリンタは、給紙部、記録部、排紙部がこの順で上部から配設された構成となっている。記録部の内部には、主走査方向に往復移動するキャリッジに搭載された記録ヘッドが配設されている。このような構成において、給紙部にセットされた記録用紙を記録部にて副走査方向に間欠的に設定量ずつ送りつつ、記録ヘッドを主走査方向に移動させ、記録ヘッドから記録用紙にインク滴を吐出する。そして、記録用紙に所定の情報を記録したら、その記録用紙を排紙部から排紙するようになっている。
【0003】
記録部の前面側には、記録ヘッドへの供給インクを貯留するインクカートリッジが抜き差しされるインクカートリッジホルダが配設されている。このインクカートリッジホルダは、前面側に開閉可能なカバーが装着されており、このカバーを開いてインクカートリッジを抜き差しするようになっている。しかし、インクカートリッジを抜き差しする際は、インクカートリッジホルダと記録ヘッドとを接続しているインクチューブに配設されている電磁バルブ等を作動させてインクチューブを閉じるようになっているため、手間が掛かるばかりでなく、部品コストも高いものとなっている。これに対し、インク導入孔が形成された中空針に摺動自在に外嵌され、インクカートリッジの着脱時にインク導入孔に対し開放・閉塞作用を有するバルブが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−212971号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のバルブは、弾性材料のみで形成されており、成形時にインク供給針が挿入する穴径のばらつきが出ることがある。このため、インク供給針の径に対して穴径が小さいと摩擦等でインク供給針の摺動性が悪くなり、開弁または閉弁しなくなるような事態が生じ、また、インク供給針の径に対して穴径が大きいと封止不良を起こしてインク導入孔からインクが漏れるという事態が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク漏れが無く、操作が容易で安価なバルブ機構及びそのバルブ機構を備えた記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明のバルブ機構では、インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを接続・遮断するバルブ機構であって、前記インクカートリッジの挿抜動作に連動して前記バルブの開閉機構を動作させる連動手段を備えたことを特徴としている。これにより、インクカートリッジが例えばインクカートリッジホルダに対して抜き差しされる際にバルブに直接作用しなくてもバルブを開閉することができるので、従来のようなインク導入孔が形成された中空針に摺動自在に外嵌されたバルブを用いる必要が無く、インク漏れによる装置内の汚染を防止することができる。また、インクカートリッジをインクカートリッジホルダに対して挿抜するのみで、インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを接続・遮断することができるので、操作が容易となり、また従来のような電磁バルブ等が不要になるので、部品コストを低減させることができる。
【0008】
また、前記インクカートリッジの挿抜動作に伴って前記インク供給口に対して出入するインク供給針を備えたことを特徴としている。これにより、インクカートリッジを例えばインクカートリッジホルダから一旦抜き取り、再度差し込む際にインク供給針がインクカートリッジのインク供給口に完全に入ってからバルブを動作させて記録装置のインク供給路を開くようにすることができるので、インク供給路内に空気が流れ込んでしまうことを防止することができる。
【0009】
また、前記開閉機構は、前記バルブに接続された開閉軸と、前記インク供給路を前記バルブで閉じる方向に前記開閉軸を付勢する付勢手段と、前記開閉軸と前記連動手段とを連接する連接手段とを備えたことを特徴としている。これにより、インクカートリッジを例えばインクカートリッジホルダから抜き取ると同時にバルブで記録装置のインク供給路を閉じることができるので、インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを確実に遮断することができる。
【0010】
また、前記連接手段は、梃子に形成されていることを特徴としている。これにより、インクカートリッジを例えばインクカートリッジホルダ内に軽く差し込むのみで開閉軸を動作させることができ、インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを確実に接続することができる。
【0011】
上記目的達成のため、本発明の記録装置では、上記各バルブ機構を備えたことを特徴としている。これにより、上記各作用効果を奏する記録装置を提供することができる。
【0012】
上記目的達成のため、本発明の液体噴射装置では、液体タンクの液体供給口と液体噴射装置の液体供給路とを接続・遮断するバルブ機構を備えた液体噴射装置であって、前記液体タンクの挿抜動作に連動して前記バルブの開閉機構を動作させる連動手段を備えたことを特徴としている。これにより、上記作用効果を奏する液体噴射装置を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図であり、図2は、そのインクジェット式プリンタの主要部の内部構成例を示す斜視図である。図1及び図2に示すインクジェット式プリンタ100は、例えばJIS規格のA1判やJIS規格のB1判といった比較的大型のサイズの記録用紙にまで記録できる大型のプリンタであり、給紙部110、記録部120、排紙部130、脚部140がこの順で上部から配設された構成となっている。記録部120と排紙部130は本体として一体化されており、給紙部110及び脚部140とそれぞれ分離可能に構成されている。
【0015】
給紙部110は、図1に示すように、本体120、130の上部後方に突き出るように設けられている。そして、給紙部110の内部には、図2に示すように、1本のロール状の記録用紙(以下、ロール紙という)がセット可能なロール紙ホルダ111が設けられ、給紙部110の前面には、図1及び図2に示すように、跳ね上げ式の開閉可能なロール紙カバー112がロール紙ホルダ111を覆うように取り付けられている。
【0016】
ロール紙ホルダ111は、図2に示すように、ロール紙を保持するスピンドル113及び一対のフランジ状のロール紙押さえ114と、給紙部110の両側壁内面に取り付けられて、スピンドル113の着脱及び懸架が可能な一対のスピンドル受け115を備えている。そして、スピンドル113は、中央にロール紙が填め込まれてロール紙押さえ114で挟持された状態で、両端がスピンドル受け115に載置され、回転可能に軸支持されるようになっている。ロール紙カバー112は、図1及び図2に示すように、全体が回動可能に支持されており、ユーザが下部を持って持ち上げ、あるいは押し下げることにより開閉するようになっている。
【0017】
記録部120は、図2に示すように、記録ヘッド121を搭載したキャリッジ122、記録ヘッド121と記録を実行するための図示しない制御部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)123、記録ヘッド121とインクが入ったインクカートリッジ10とをつなぐインクチューブ124、ロール紙を副走査方向に搬送する図示しない紙送りローラ、ロール紙の浮き上がりを防止する図示しない紙吸引手段等を備えている。そして、記録部120の上面及び前面には、図1及び図2に示すように、上蓋125及び前蓋126が記録ヘッド121やキャリッジ122等を覆うように取り付けられている。
【0018】
記録ヘッド121は、ブラックインクを吐出するブラックインク用記録ヘッドと、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタ等の各色のインクを吐出する複数のカラーインク用記録ヘッドとを備えている。そして、記録ヘッド121は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口が設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口からロール紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。
【0019】
キャリッジ122は、図2に示すように、主走査方向に設けられているレール127にコロを介して吊り下げられ、キャリッジベルト128に連結されており、図示しないキャリッジ駆動装置によってキャリッジベルト128が作動すると、キャリッジベルト128の動きに連行され、レール127に案内されて往復移動するようになっている。
【0020】
FFC123は、一端が制御部のコネクタに接続され、他端が記録ヘッド121のコネクタに接続されており、記録信号を制御部から記録ヘッド121に送るようになっている。インクチューブ124は、上記各色のインク用が配設されており、図示しないインク加圧供給手段を介して各一端が対応する各色のインクカートリッジ10につながれ、各他端が対応する各色の記録ヘッド121につながれている。そして、インクチューブ124は、インク加圧供給手段によって加圧された各色のインクをインクカートリッジ10から記録ヘッド121に送るようになっている。
【0021】
前蓋126は、図1及び図2に示すように、下部が回動可能に支持されており、ユーザが上部を持って押し下げ、あるいは押し上げることにより開閉するようになっている。ユーザは、前蓋126を開けることにより記録部120を大きく開放することができるので、記録ヘッド121やキャリッジ122等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0022】
排紙部130は、図1及び図2に示すように、ロール紙を副走査方向に搬送する経路の一部を成す排紙ガイド131と、ロール紙を副走査方向に搬送する図示しない排紙ローラを備えている。排紙ガイド131は、前面側に突き出た平坦な傾斜面として形成されており、上方から搬送されてくるロール紙を下方へスムーズに導くことができるようになっている。
【0023】
脚部140は、図1及び図2に示すように、移動用のコロ141を有する2本の支持柱142と、これらの支持柱142の間に掛け渡されている補強棒143を備えている。そして、支持柱142の上部に給紙部110及び本体120、130が載置されネジ止め固定されるようになっている。支持柱142に移動用のコロ141が配設されていることにより、重量のある給紙部110及び本体120、130を所望の位置へスムーズに移動させて設置することができるようになっている。なお、この脚部140の支持柱142の間には、排紙部130から排出されるロール紙を受ける排紙受け装置を設置することができるようになっている。
【0024】
さらに、本体120、130の前面側から見て左側には、図1及び図2に示すように、各色のインクカートリッジ10を収納保持するホルダ本体151とその前面を覆うカバー152を有するインクカートリッジホルダ150が配設されている。このインクカートリッジホルダ150は、ホルダ本体151に対しカバー152の下部が回動可能に支持されており、ユーザが上部を持って押し下げ、あるいは押し上げることにより開閉するようになっている。
【0025】
また、本体120、130の前面側から見て右側上部には、図1及び図2に示すように、ユーザが記録制御等を操作するための操作パネル160が配設されている。この操作パネル160は、液晶画面と各種ボタンが配設されており、ユーザが液晶画面を見て確認しながらボタン操作できるようになっている。
【0026】
このような構成において、インクジェット式プリンタ100を使用する場合は、先ず、給紙部110からロール紙ホルダ111を構成するスピンドル113を取り出し、図3に示すように、スピンドル113に挿入されている一方のロール紙押さえ114をスピンドル113の一端から引き抜く。
【0027】
そして、図4に示すように、スピンドル113の一端をロール紙Rの軸穴Cの一端から挿入して貫通させ、図5に示すように、ロール紙Rの軸穴Cの一端をスピンドル113の他端側に挿入固定されている他方のロール紙押さえ114にはめ込んで当接させる。続いて、一方のロール紙押さえ114をスピンドル113の一端から挿入して、ロール紙Rの軸穴Cの他端に填め込む。これにより、ロール紙Rはスピンドル113と共に回転可能となる。
【0028】
次に、図6に示すように、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の両端を持って給紙部110まで持ち上げる。ここで、図7に示すように、スピンドル受け115には、スピンドル113の端部を一時的に載置するための比較的浅い窪み115aと、スピンドル113の端部を回転可能に軸支するための比較的深い窪み115bが前後に並設されている。手前の窪み115aは、重量のあるロール紙Rが挿入されたスピンドル113を正規の窪み115bに一時に填め込む作業は困難性が伴うために、仮置きをするために設けられている。
【0029】
そこで、図7に示すように、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の両端部をスピンドル受け115の仮置きの窪み115aに一旦載置し、その後、図8に示すように、先ず、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の一端部を対応するスピンドル受け114の正規の窪み115bに掛け、次に、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の他端部を対応するスピンドル受け115の正規の窪み115bに掛ける。これにより、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113を給紙部110に安全かつ容易にセットすることができる。
【0030】
次に、図9に示すように、ロール紙Rの先端を下方に引き出して記録部120の搬送経路を通し、さらに図10に示すように、排紙部130の搬送経路まで通す。そして、図11に示すように、ロール紙Rを巻き取り方向に回転させてロール紙Rの先端を例えば排紙ガイド131に形成されているマーカMに位置決めする。その後、インクジェット式プリンタ100を起動して、ロール紙Rを副走査方向に給紙しつつ記録ヘッド121を主走査方向に移動させながらインク滴を吐出させ、ロール紙Rに所定の情報を記録して排紙する。
【0031】
図12は、インクカートリッジホルダ150の詳細を示す斜視図である。このインクカートリッジホルダ150は、インクジェット式プリンタ100の本体120の前面左側に取り付けられたホルダ本体151と、このホルダ本体151の前面側に取り付けられたカバー152を備えている。ホルダ本体151内は、インクカートリッジ10を収納する収納部153と、上下方向に移動可能な制御レバー154が並設されている。カバー152は、下部がホルダ本体151の下部に回転自在に支持されており、下方に旋回してホルダ本体151の前面を開放し、上方に旋回してホルダ本体151の前面を閉塞するようになっている。
【0032】
ホルダ本体151内に設けられている収納部153は、図示左側から順にブラック、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタの計7色のインクカートリッジ10B、10LY、10Y、10LC、10C、10LM、10Mが個々に引き出し、押し入れ可能なように仕切られている。
【0033】
ここで、図13は、インクカートリッジ10を後面側から見た斜視図である。このインクカートリッジ10は、例えば硬質プラスチック材料で直方体状に形成された外装ケース11内に、例えば可撓性材料で袋状に形成されて内部にインクが充填されたインクタンクが密閉されている。外装ケース11の片側面の前面側には、インクカートリッジ10を収納部153に対し引き出し、押し入れする際にユーザが手を掛ける凹状の把持部12が形成されている。
【0034】
従来のインクカートリッジホルダのホルダ本体内には、例えば6色のインクカートリッジのみが収納されており、スペースは比較的余裕があったため、インクカートリッジを収納部に対し引き出し、押し入れする際にユーザがホルダ本体内に手を入れて作業をすることができた。ところが、本実施形態では、従来と同一サイズのインクカートリッジホルダ150のホルダ本体151内に、7色のインクカートリッジ10を収納する収納部153と制御レバー154を並設する必要があるため、スペースに余裕が無くなっている。そこで、上記凹状の把持部12をインクカートリッジ10に形成することにより、インクカートリッジ10を収納部153に対し引き出し、押し入れする作業を容易に行うことができる。
【0035】
外装ケース11の後面中央部には、内部のインクタンクに接続されたゴムパッキングで覆われたインク供給口13が形成され、その上下両側には、このインクカートリッジ10を収納部153に対し押し入れるときに位置決めするための位置決め穴14が形成されている。さらに、外装ケース11の後面上部には、窪み15が形成され、その内部にはこのインクカートリッジ10のインク情報、例えば製造番号、インクの色や残量等が読み書きされるIC16が貼付されている。さらに、外装ケース11の上面中央部には、このインクカートリッジ10を収納部153に収納したときに係止するための係止突起17が形成されている。
【0036】
図14(A)は、ホルダ本体151における1色分のインクカートリッジ10の収納部153の内部構造を示す斜視図、図14(B)は、その背面構造を示す斜視図である。収納部153の後面には、インクカートリッジ10のインク供給口13とインクジェット式プリンタ100のインク供給路101(図15参照)とを接続・遮断するバルブ機構20を構成するインク供給針21、ロッド22及びバルブ23(図15参照)の開閉機構24と、インクカートリッジ10の位置決め穴14内に挿入される位置決め針28が配設されている。
【0037】
ここで、図15(A)は、上記バルブ機構20の詳細を示す断面平面図である。このバルブ機構20は、インク供給針21、ロッド22、バルブ23及びバルブ23の開閉機構24を備えており、インクカートリッジ10の着脱に対応して開閉動作するようになっている。そして、開閉機構24は、バルブ23に接続された開閉軸25、インクジェット式プリンタ100のインク供給路101をバルブ23で閉じる方向に開閉軸25を付勢する付勢手段である圧縮バネ26及び開閉軸25とロッド22とを連接する連接手段である板金27を備えており、インクカートリッジ10の着脱に連動するようになっている。
【0038】
インク供給針21は、先端側面に供給口21aが穿孔された中空状に形成されており、先端が収納部153の内側後面から突出し、後端が収納部153の後面内部に設けられたインク供給路101に接続するように配設されている。これにより、インクカートリッジ10を収納部153に対して抜き差しすることで、インク供給針21をインクカートリッジ10のインク供給口13に対して出し入れすることができる。
【0039】
ロッド22は、先端が収納部153の内側後面から突出し、後端が収納部153の外側後面から突出して軸方向に摺動自在となるように配設されている。すなわち、ロッド22は、収納部153の後面に対し垂直に貫装されている。これにより、インクカートリッジ10を収納部153に挿入することで、ロッド22に当接してロッド22を収納部153の外側後面から突き出させることができる。一方、インクカートリッジ10を収納部153から引き出すことで、後述する圧縮バネ26及び板金27等の作用によりロッド22を収納部153の内側後面から突き出させることができる。
【0040】
バルブ23は、例えば熱可塑性エラストマ等で円板状に形成されており、周縁部が収納部153の後面内部に設けられたインク供給路101を含む空間部102内で固定保持されている。これにより、インクカートリッジ10を収納部153に挿入することで、後述するロッド22及び板金27等の作用によりバルブ23を空間部102内でインク供給路101から離間する方向に撓ませることができる。一方、インクカートリッジ10を収納部153から引き出すことで、後述する圧縮バネ26等の作用によりバルブ23を空間部102内でインク供給路101に当接する方向に撓ませることができる。
【0041】
開閉機構24を構成する開閉軸25は、先端が空間部102内でバルブ23に接続され、後端が収納部153の外側後面から突出して軸方向に摺動自在となるように配設されている。そして、空間部102内の軸部には、インク供給路101をバルブ23で閉じる方向に付勢する圧縮バネ26が装着されている。板金27は、一端がロッド22の後端に接続され、中央が開閉軸25の後端に接続され、他端が収納部153の外側後面に回動自在に係止されている。すなわち、板金27は、ロッド22の後端接続部27aを力点もしくは作用点、開閉軸25の後端接続部27bを作用点もしくは力点、収納部153の外側後面回動部27cを支点とした梃子として作用する。これにより、インクカートリッジ10を収納部153に挿入することで、後述するロッド22及び板金27等の作用により開閉軸25を収納部153の外側後面から突き出させることができる。一方、インクカートリッジ10を収納部153から引き出すことで、後述する圧縮バネ26等の作用により開閉軸25を収納部153の外側後面内へ戻すことができる。
【0042】
このような構成において、図15(A)に示す状態から図15(B)に示すように、ユーザがインクカートリッジ10を収納部153内へ押し入れると、インク供給針21がインク供給口13内に挿入されるとともに、ロッド22がインクカートリッジ10の後面に当接し押されて図示矢印方向に摺動する。そして、ロッド22が収納部153の外側後面から突き出ることに伴い、板金27が外側後面回動部27cを支点に開閉軸25を図示矢印方向に引っ張って摺動させる。これにより、バルブ23が空間部102内でインク供給路101から離間する方向に撓み、バルブ23で覆われていたインク供給路101が露出するので、インクカートリッジ10のインクタンク内のインクは、図示矢印で示すように、インク供給口13からインク供給針21の供給口21aを通り、インク供給路101を介してインクチューブ124へ供給される。
【0043】
一方、図15(B)に示す状態から図15(A)に示すように、ユーザがインクカートリッジ10を収納部153から引き出すと、インク供給針21もインク供給口13から引き出されるとともに、ロッド22がインクカートリッジ10の後面の押圧から解放されるので、圧縮バネ26の復元力により開閉軸25が図示矢印方向に摺動する。これにより、バルブ23が空間部102内でインク供給路101に当接する方向に撓むので、露出していたインク供給路101は再びバルブ24で閉塞される。このとき、板金27は外側後面回動部27cを支点に開閉軸25に引っ張られるので、ロッド22を図示矢印で示す収納部153の内側後面から突き出る方向に押し戻す。
【0044】
以上のように、インクカートリッジ10が収納部153に対して抜き差しされる際にバルブ23に直接作用しなくてもバルブ23を開閉することができる。したがって、従来のようなインク導入孔が形成された中空針に摺動自在に外嵌されたバルブを用いる必要が無く、インク漏れによる装置内の汚染を防止することができる。また、インクカートリッジ10を収納部153に対して挿抜するのみで、インクカートリッジ10のインク供給口13とインクジェット式プリンタ100のインク供給路101とを接続・遮断することができるので、操作が容易となる。
【0045】
また、従来のような電磁バルブ等が不要になるので、部品コストを低減させることができる。さらに、インクカートリッジ10を収納部153から一旦抜き取り、再度差し込む際にインク供給針21がインクカートリッジ10のインク供給口13に完全に入ってからバルブ23の開閉機構20を動作させてインク供給路101を開くようにすることができる。したがって、インク供給路101内に空気が流れ込んでしまうことを防止することができ、空気抜きによる無駄なインク消費を抑制することができる。なお、上述した例では、開閉軸25に圧縮バネ26を装着して動作させるように構成したが、板金27を板バネとして機能するように構成することにより、圧縮バネ26を省略することができる。
【0046】
図14に示すように、収納部153の内側後面の上部には、インクカートリッジ10のIC16と電気的に接続されるコネクタ29が貼付されている。このコネクタ29は上記FFC123に接続されており、インクジェット式プリンタ100の制御部はインクカートリッジ10のIC16に対しインク情報を読み書きすることができる。さらに、収納部153の上面中央部には、カム159に連動してインクカートリッジ10の係止突起17に対し係止し、あるいは係止解除する係止爪153bが形成されている。
【0047】
図12に示すように、ホルダ本体151内に設けられている制御レバー154は、ホルダ本体151に縦方向に設けられたガイド溝151aに沿って上下に揺動自在に配設されている。この制御レバー154は、上下に揺動することにより、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを電気的に制御するとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れを機械的に制御するようになっている。
【0048】
すなわち、制御レバー154が最上端に位置決めされているときは、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは禁止されているとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは可能となっている。一方、制御レバー154が最下端に位置決めされているときは、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは許可されているとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは不可能となっている。
【0049】
このような機能を有する制御レバー154を設けることにより、大型のインクカートリッジを使用することができるようになる。すなわち、従来は、インクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みは、インクカートリッジホルダのカバーの開閉動作で制御されていた。ところが、大型のインクカートリッジはホルダ本体にセットしたときに前面側に突き出てしまい、カバーを閉じることができないため、インクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みを制御することができなかった。
【0050】
これに対し、本実施形態のインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは、上述したようにインクカートリッジホルダ150の制御レバー154の揺動で制御されている。このため、大型のインクカートリッジをホルダ本体151にセットしたときに前面側に突き出てカバー152を閉じることができなくても、大型のインクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みを制御することができる。
【0051】
上述したように、制御レバー154は、上下に揺動することにより、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを電気的に制御するとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れを機械的に制御するようになっている。この仕組みを図16を参照して説明する。
【0052】
図16は、ホルダ本体151における制御レバー154の機構とそれに隣接する1色分のインクカートリッジ10の収納部153を示す斜視図である。制御レバー154は、一端側は操作端154aとしてホルダ本体151の前面側に突き出るように形成され、他端側は軸154bにより収納部153の側面153aに回動自在に支持されている。さらに、制御レバー154の他端側は、端部にインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みに関与するガイド面154cが形成され、上部にインクカートリッジ10の収納部153への出し入れに関与するギア歯154dが形成され、下部に制御レバー154自身の揺動に関与する係止部154eが形成されている。
【0053】
そして、制御レバー154の操作端154aが揺動する際の最上端及び最下端を位置決めするための停止部材154fが、収納部153の側面153aの前面側で突き出るように配設されている。また、制御レバー154が揺動する際にガイド面154cに倣ってスイッチングするリミットスイッチ155が、収納部153の側面153aの後面側に配設されている。
【0054】
さらに、制御レバー154が揺動する際にギア歯154dと噛み合って回転する扇形のギア156が、収納部153の上面側に配設されている六角軸158に嵌入されている。また、操作端154aが最上端及び最下端に位置決めしたときに付勢するねじりコイルバネ157が、一端が係止部154eに係止され、他端が収納部153の側面153aに係止されている。
【0055】
上記六角軸158は、全色分の収納部153の上面側の一端から他端にわたって配設されており、各収納部153の上面に対応する位置にはカム159がそれぞれ嵌入されている。このカム159は、各収納部153の上面に形成されているインクカートリッジ10を係止するための係止爪153bを押し下げ可能に形成されている。
【0056】
このような構成の制御レバー154の機構の動作を図17及び図18を参照して説明する。図17に示すように、制御レバー154が最上端に位置決めされているときは、リミットスイッチ155はガイド面154cによりオフ状態にされており、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは禁止されている。さらに、カム159はギア歯154dによるギア156の回転により係止爪153bから離間しており、係止爪153bはインクカートリッジ10に形成されている係止突起17から離間しているので、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは可能となっている。
【0057】
一方、図18に示すように、制御レバー154が最下端に位置決めされているときは、リミットスイッチ155はガイド面154cによりオン状態にされており、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは許可されている。さらに、カム159はギア歯154dによるギア156の回転により係止爪153bを押圧しており、係止爪153bはインクカートリッジ10に形成されている係止突起17に引っ掛かっているので、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは不可能となっている。
【0058】
このように、ユーザは制御レバー154を最下端から最上端へ持ち上げないと、インクカートリッジホルダ150からインクカートリッジ10を引き抜くことができない。さらにインクジェット式プリンタ100の制御部はユーザが制御レバー154を最下端から最上端へ持ち上げている間にインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを行うことができるようになる。したがって、従来のようにインク情報の読み書き不能によるインクジェット式プリンタ100の誤動作を防止することができる。
【0059】
図19は、制御レバー154の別の動作形態を示す図である。上述した制御レバー154の動作形態は、一直線状に形成されたガイド溝151aに沿って最下端と最上端との間を移動する形態であった。ところが、この動作形態を取ると制御レバー154を最下端から最上端へ移動させると同時にインクカートリッジ10を収納部153から引き抜いた場合、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みが中断され、インクジェット式プリンタ1の誤動作につながるおそれがあった。
【0060】
そこで、図19に示すように、制御レバー154の動作形態を、最下端から最上端へ移動させる際はガイド溝151bの中間に設けられた段差151baにより一旦水平移動させ、最上端から最下端へ移動させる際は一気に移動させる形態とする。このように、制御レバー154の最下端から最上端への移動を2アクションとするガイド溝151bを形成することにより、その移動に要する時間が長くなるので、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込み時間を稼ぐことができ、インクジェット式プリンタ1の誤動作をより確実に防止することができるようになる。なお、制御レバー154の最上端から最下端への移動は1アクションであるので、インクカートリッジ10のセッティング時間を短縮させることができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、制御レバー154が最下端に位置しているときはインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを可能とし、制御レバー154を最下端から最上端へ移動させる間にIC16に対するインク情報の書き込みを行うようにしているが、以下のように設定してもよい。
【0062】
すなわち、制御レバー154が最下端に位置しているときはインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを可能とし、例えば記録ヘッド121による印刷動作開始前や記録ヘッド121のクリーニング動作開始前、印刷動作終了後やクリーニング動作終了後、インクを一定量使用した後等の所定の時にIC16に対してインク情報を書き込むようにする。そして、制御レバー154を最下端から上げたら同時にIC16に対してインク情報を書き込まないようにする。これにより、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みの確実性を高めることができるので、インクジェット式プリンタ1の誤動作をより確実に防止することができるようになる。
【0063】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は以上の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されるのは勿論である。例えば、上述した実施形態では、記録装置としてインクジェット式プリンタを例に説明したが、これに限定されるものではなく、インクカートリッジを使用する記録装置であれば、例えばファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。
【0064】
さらに、記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を液体噴射ヘッドから被噴射媒体に噴射して液体を被噴射媒体に付着させる液体噴射装置の意味として、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等を備えた装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの主要部の内部構成例を示す斜視図である。
【図3】図1のプリンタの使用手順を示す第1の図である。
【図4】図1のプリンタの使用手順を示す第2の図である。
【図5】図1のプリンタの使用手順を示す第3の図である。
【図6】図1のプリンタの使用手順を示す第4の図である。
【図7】図1のプリンタの使用手順を示す第5の図である。
【図8】図1のプリンタの使用手順を示す第6の図である。
【図9】図1のプリンタの使用手順を示す第7の図である。
【図10】図1のプリンタの使用手順を示す第8の図である。
【図11】図1のプリンタの使用手順を示す第9の図である。
【図12】図1のプリンタのインクカートリッジホルダの詳細を示す斜視図である。
【図13】図12のインクカートリッジホルダに装填されるインクカートリッジを後面側から見た斜視図である。
【図14】図12のインクカートリッジホルダのホルダ本体における1色分のインクカートリッジの収納部の内部構造及び背面構造を示す斜視図である。
【図15】図14のインクカートリッジの着脱に対応して開閉動作するバルブ機構の詳細を示す断面平面図である。
【図16】図12のインクカートリッジホルダのホルダ本体における制御レバーの機構とそれに隣接する1色分のインクカートリッジの収納部を示す斜視図である。
【図17】図16のレバー機構の動作を説明するための第1の図である。
【図18】図16のレバー機構の動作を説明するための第2の図である。
【図19】図16の制御レバーの別の動作形態を示す図である。
【符号の説明】
10 インクカートリッジ、11 外装ケース、12 把持部、13 インク供給口、14 位置決め穴、15 窪み、16 IC、17 係止突起、21 インク供給針、22 ロッド、23 バルブ、24 開閉機構、25 開閉軸、26 圧縮バネ、27 板金、28 位置決め針、29 コネクタ、100 インクジェット式プリンタ、110 給紙部、111 ロール紙ホルダ、112 ロール紙カバー、113 スピンドル、114 ロール紙押さえ、115 スピンドル受け、120 記録部、121 記録ヘッド、122 キャリッジ、123 FFC、124 インクチューブ、125 上蓋、126 前蓋、127 レール、128 キャリッジベルト、130 排紙部、131 排紙ガイド、140 脚部、141 コロ、142 支持柱、143 補強棒、150 インクカートリッジホルダ、151 ホルダ本体、151a、151b ガイド溝、152 カバー、153 収納部、153b 係止爪、154 制御レバー、155 リミットスイッチ、159 カム
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクカートリッジの挿抜に対応して開閉するバルブ機構及びそのバルブ機構を備えた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録媒体として例えばJIS規格のA1判やJIS規格のB1判といった比較的大型のサイズの記録用紙にまで記録できる大型の記録装置の1つであるインクジェット式プリンタがある。このインクジェット式プリンタは、給紙部、記録部、排紙部がこの順で上部から配設された構成となっている。記録部の内部には、主走査方向に往復移動するキャリッジに搭載された記録ヘッドが配設されている。このような構成において、給紙部にセットされた記録用紙を記録部にて副走査方向に間欠的に設定量ずつ送りつつ、記録ヘッドを主走査方向に移動させ、記録ヘッドから記録用紙にインク滴を吐出する。そして、記録用紙に所定の情報を記録したら、その記録用紙を排紙部から排紙するようになっている。
【0003】
記録部の前面側には、記録ヘッドへの供給インクを貯留するインクカートリッジが抜き差しされるインクカートリッジホルダが配設されている。このインクカートリッジホルダは、前面側に開閉可能なカバーが装着されており、このカバーを開いてインクカートリッジを抜き差しするようになっている。しかし、インクカートリッジを抜き差しする際は、インクカートリッジホルダと記録ヘッドとを接続しているインクチューブに配設されている電磁バルブ等を作動させてインクチューブを閉じるようになっているため、手間が掛かるばかりでなく、部品コストも高いものとなっている。これに対し、インク導入孔が形成された中空針に摺動自在に外嵌され、インクカートリッジの着脱時にインク導入孔に対し開放・閉塞作用を有するバルブが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−212971号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のバルブは、弾性材料のみで形成されており、成形時にインク供給針が挿入する穴径のばらつきが出ることがある。このため、インク供給針の径に対して穴径が小さいと摩擦等でインク供給針の摺動性が悪くなり、開弁または閉弁しなくなるような事態が生じ、また、インク供給針の径に対して穴径が大きいと封止不良を起こしてインク導入孔からインクが漏れるという事態が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク漏れが無く、操作が容易で安価なバルブ機構及びそのバルブ機構を備えた記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明のバルブ機構では、インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを接続・遮断するバルブ機構であって、前記インクカートリッジの挿抜動作に連動して前記バルブの開閉機構を動作させる連動手段を備えたことを特徴としている。これにより、インクカートリッジが例えばインクカートリッジホルダに対して抜き差しされる際にバルブに直接作用しなくてもバルブを開閉することができるので、従来のようなインク導入孔が形成された中空針に摺動自在に外嵌されたバルブを用いる必要が無く、インク漏れによる装置内の汚染を防止することができる。また、インクカートリッジをインクカートリッジホルダに対して挿抜するのみで、インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを接続・遮断することができるので、操作が容易となり、また従来のような電磁バルブ等が不要になるので、部品コストを低減させることができる。
【0008】
また、前記インクカートリッジの挿抜動作に伴って前記インク供給口に対して出入するインク供給針を備えたことを特徴としている。これにより、インクカートリッジを例えばインクカートリッジホルダから一旦抜き取り、再度差し込む際にインク供給針がインクカートリッジのインク供給口に完全に入ってからバルブを動作させて記録装置のインク供給路を開くようにすることができるので、インク供給路内に空気が流れ込んでしまうことを防止することができる。
【0009】
また、前記開閉機構は、前記バルブに接続された開閉軸と、前記インク供給路を前記バルブで閉じる方向に前記開閉軸を付勢する付勢手段と、前記開閉軸と前記連動手段とを連接する連接手段とを備えたことを特徴としている。これにより、インクカートリッジを例えばインクカートリッジホルダから抜き取ると同時にバルブで記録装置のインク供給路を閉じることができるので、インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを確実に遮断することができる。
【0010】
また、前記連接手段は、梃子に形成されていることを特徴としている。これにより、インクカートリッジを例えばインクカートリッジホルダ内に軽く差し込むのみで開閉軸を動作させることができ、インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを確実に接続することができる。
【0011】
上記目的達成のため、本発明の記録装置では、上記各バルブ機構を備えたことを特徴としている。これにより、上記各作用効果を奏する記録装置を提供することができる。
【0012】
上記目的達成のため、本発明の液体噴射装置では、液体タンクの液体供給口と液体噴射装置の液体供給路とを接続・遮断するバルブ機構を備えた液体噴射装置であって、前記液体タンクの挿抜動作に連動して前記バルブの開閉機構を動作させる連動手段を備えたことを特徴としている。これにより、上記作用効果を奏する液体噴射装置を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図であり、図2は、そのインクジェット式プリンタの主要部の内部構成例を示す斜視図である。図1及び図2に示すインクジェット式プリンタ100は、例えばJIS規格のA1判やJIS規格のB1判といった比較的大型のサイズの記録用紙にまで記録できる大型のプリンタであり、給紙部110、記録部120、排紙部130、脚部140がこの順で上部から配設された構成となっている。記録部120と排紙部130は本体として一体化されており、給紙部110及び脚部140とそれぞれ分離可能に構成されている。
【0015】
給紙部110は、図1に示すように、本体120、130の上部後方に突き出るように設けられている。そして、給紙部110の内部には、図2に示すように、1本のロール状の記録用紙(以下、ロール紙という)がセット可能なロール紙ホルダ111が設けられ、給紙部110の前面には、図1及び図2に示すように、跳ね上げ式の開閉可能なロール紙カバー112がロール紙ホルダ111を覆うように取り付けられている。
【0016】
ロール紙ホルダ111は、図2に示すように、ロール紙を保持するスピンドル113及び一対のフランジ状のロール紙押さえ114と、給紙部110の両側壁内面に取り付けられて、スピンドル113の着脱及び懸架が可能な一対のスピンドル受け115を備えている。そして、スピンドル113は、中央にロール紙が填め込まれてロール紙押さえ114で挟持された状態で、両端がスピンドル受け115に載置され、回転可能に軸支持されるようになっている。ロール紙カバー112は、図1及び図2に示すように、全体が回動可能に支持されており、ユーザが下部を持って持ち上げ、あるいは押し下げることにより開閉するようになっている。
【0017】
記録部120は、図2に示すように、記録ヘッド121を搭載したキャリッジ122、記録ヘッド121と記録を実行するための図示しない制御部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)123、記録ヘッド121とインクが入ったインクカートリッジ10とをつなぐインクチューブ124、ロール紙を副走査方向に搬送する図示しない紙送りローラ、ロール紙の浮き上がりを防止する図示しない紙吸引手段等を備えている。そして、記録部120の上面及び前面には、図1及び図2に示すように、上蓋125及び前蓋126が記録ヘッド121やキャリッジ122等を覆うように取り付けられている。
【0018】
記録ヘッド121は、ブラックインクを吐出するブラックインク用記録ヘッドと、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタ等の各色のインクを吐出する複数のカラーインク用記録ヘッドとを備えている。そして、記録ヘッド121は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口が設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口からロール紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。
【0019】
キャリッジ122は、図2に示すように、主走査方向に設けられているレール127にコロを介して吊り下げられ、キャリッジベルト128に連結されており、図示しないキャリッジ駆動装置によってキャリッジベルト128が作動すると、キャリッジベルト128の動きに連行され、レール127に案内されて往復移動するようになっている。
【0020】
FFC123は、一端が制御部のコネクタに接続され、他端が記録ヘッド121のコネクタに接続されており、記録信号を制御部から記録ヘッド121に送るようになっている。インクチューブ124は、上記各色のインク用が配設されており、図示しないインク加圧供給手段を介して各一端が対応する各色のインクカートリッジ10につながれ、各他端が対応する各色の記録ヘッド121につながれている。そして、インクチューブ124は、インク加圧供給手段によって加圧された各色のインクをインクカートリッジ10から記録ヘッド121に送るようになっている。
【0021】
前蓋126は、図1及び図2に示すように、下部が回動可能に支持されており、ユーザが上部を持って押し下げ、あるいは押し上げることにより開閉するようになっている。ユーザは、前蓋126を開けることにより記録部120を大きく開放することができるので、記録ヘッド121やキャリッジ122等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0022】
排紙部130は、図1及び図2に示すように、ロール紙を副走査方向に搬送する経路の一部を成す排紙ガイド131と、ロール紙を副走査方向に搬送する図示しない排紙ローラを備えている。排紙ガイド131は、前面側に突き出た平坦な傾斜面として形成されており、上方から搬送されてくるロール紙を下方へスムーズに導くことができるようになっている。
【0023】
脚部140は、図1及び図2に示すように、移動用のコロ141を有する2本の支持柱142と、これらの支持柱142の間に掛け渡されている補強棒143を備えている。そして、支持柱142の上部に給紙部110及び本体120、130が載置されネジ止め固定されるようになっている。支持柱142に移動用のコロ141が配設されていることにより、重量のある給紙部110及び本体120、130を所望の位置へスムーズに移動させて設置することができるようになっている。なお、この脚部140の支持柱142の間には、排紙部130から排出されるロール紙を受ける排紙受け装置を設置することができるようになっている。
【0024】
さらに、本体120、130の前面側から見て左側には、図1及び図2に示すように、各色のインクカートリッジ10を収納保持するホルダ本体151とその前面を覆うカバー152を有するインクカートリッジホルダ150が配設されている。このインクカートリッジホルダ150は、ホルダ本体151に対しカバー152の下部が回動可能に支持されており、ユーザが上部を持って押し下げ、あるいは押し上げることにより開閉するようになっている。
【0025】
また、本体120、130の前面側から見て右側上部には、図1及び図2に示すように、ユーザが記録制御等を操作するための操作パネル160が配設されている。この操作パネル160は、液晶画面と各種ボタンが配設されており、ユーザが液晶画面を見て確認しながらボタン操作できるようになっている。
【0026】
このような構成において、インクジェット式プリンタ100を使用する場合は、先ず、給紙部110からロール紙ホルダ111を構成するスピンドル113を取り出し、図3に示すように、スピンドル113に挿入されている一方のロール紙押さえ114をスピンドル113の一端から引き抜く。
【0027】
そして、図4に示すように、スピンドル113の一端をロール紙Rの軸穴Cの一端から挿入して貫通させ、図5に示すように、ロール紙Rの軸穴Cの一端をスピンドル113の他端側に挿入固定されている他方のロール紙押さえ114にはめ込んで当接させる。続いて、一方のロール紙押さえ114をスピンドル113の一端から挿入して、ロール紙Rの軸穴Cの他端に填め込む。これにより、ロール紙Rはスピンドル113と共に回転可能となる。
【0028】
次に、図6に示すように、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の両端を持って給紙部110まで持ち上げる。ここで、図7に示すように、スピンドル受け115には、スピンドル113の端部を一時的に載置するための比較的浅い窪み115aと、スピンドル113の端部を回転可能に軸支するための比較的深い窪み115bが前後に並設されている。手前の窪み115aは、重量のあるロール紙Rが挿入されたスピンドル113を正規の窪み115bに一時に填め込む作業は困難性が伴うために、仮置きをするために設けられている。
【0029】
そこで、図7に示すように、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の両端部をスピンドル受け115の仮置きの窪み115aに一旦載置し、その後、図8に示すように、先ず、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の一端部を対応するスピンドル受け114の正規の窪み115bに掛け、次に、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113の他端部を対応するスピンドル受け115の正規の窪み115bに掛ける。これにより、ロール紙Rが挿入されたスピンドル113を給紙部110に安全かつ容易にセットすることができる。
【0030】
次に、図9に示すように、ロール紙Rの先端を下方に引き出して記録部120の搬送経路を通し、さらに図10に示すように、排紙部130の搬送経路まで通す。そして、図11に示すように、ロール紙Rを巻き取り方向に回転させてロール紙Rの先端を例えば排紙ガイド131に形成されているマーカMに位置決めする。その後、インクジェット式プリンタ100を起動して、ロール紙Rを副走査方向に給紙しつつ記録ヘッド121を主走査方向に移動させながらインク滴を吐出させ、ロール紙Rに所定の情報を記録して排紙する。
【0031】
図12は、インクカートリッジホルダ150の詳細を示す斜視図である。このインクカートリッジホルダ150は、インクジェット式プリンタ100の本体120の前面左側に取り付けられたホルダ本体151と、このホルダ本体151の前面側に取り付けられたカバー152を備えている。ホルダ本体151内は、インクカートリッジ10を収納する収納部153と、上下方向に移動可能な制御レバー154が並設されている。カバー152は、下部がホルダ本体151の下部に回転自在に支持されており、下方に旋回してホルダ本体151の前面を開放し、上方に旋回してホルダ本体151の前面を閉塞するようになっている。
【0032】
ホルダ本体151内に設けられている収納部153は、図示左側から順にブラック、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタの計7色のインクカートリッジ10B、10LY、10Y、10LC、10C、10LM、10Mが個々に引き出し、押し入れ可能なように仕切られている。
【0033】
ここで、図13は、インクカートリッジ10を後面側から見た斜視図である。このインクカートリッジ10は、例えば硬質プラスチック材料で直方体状に形成された外装ケース11内に、例えば可撓性材料で袋状に形成されて内部にインクが充填されたインクタンクが密閉されている。外装ケース11の片側面の前面側には、インクカートリッジ10を収納部153に対し引き出し、押し入れする際にユーザが手を掛ける凹状の把持部12が形成されている。
【0034】
従来のインクカートリッジホルダのホルダ本体内には、例えば6色のインクカートリッジのみが収納されており、スペースは比較的余裕があったため、インクカートリッジを収納部に対し引き出し、押し入れする際にユーザがホルダ本体内に手を入れて作業をすることができた。ところが、本実施形態では、従来と同一サイズのインクカートリッジホルダ150のホルダ本体151内に、7色のインクカートリッジ10を収納する収納部153と制御レバー154を並設する必要があるため、スペースに余裕が無くなっている。そこで、上記凹状の把持部12をインクカートリッジ10に形成することにより、インクカートリッジ10を収納部153に対し引き出し、押し入れする作業を容易に行うことができる。
【0035】
外装ケース11の後面中央部には、内部のインクタンクに接続されたゴムパッキングで覆われたインク供給口13が形成され、その上下両側には、このインクカートリッジ10を収納部153に対し押し入れるときに位置決めするための位置決め穴14が形成されている。さらに、外装ケース11の後面上部には、窪み15が形成され、その内部にはこのインクカートリッジ10のインク情報、例えば製造番号、インクの色や残量等が読み書きされるIC16が貼付されている。さらに、外装ケース11の上面中央部には、このインクカートリッジ10を収納部153に収納したときに係止するための係止突起17が形成されている。
【0036】
図14(A)は、ホルダ本体151における1色分のインクカートリッジ10の収納部153の内部構造を示す斜視図、図14(B)は、その背面構造を示す斜視図である。収納部153の後面には、インクカートリッジ10のインク供給口13とインクジェット式プリンタ100のインク供給路101(図15参照)とを接続・遮断するバルブ機構20を構成するインク供給針21、ロッド22及びバルブ23(図15参照)の開閉機構24と、インクカートリッジ10の位置決め穴14内に挿入される位置決め針28が配設されている。
【0037】
ここで、図15(A)は、上記バルブ機構20の詳細を示す断面平面図である。このバルブ機構20は、インク供給針21、ロッド22、バルブ23及びバルブ23の開閉機構24を備えており、インクカートリッジ10の着脱に対応して開閉動作するようになっている。そして、開閉機構24は、バルブ23に接続された開閉軸25、インクジェット式プリンタ100のインク供給路101をバルブ23で閉じる方向に開閉軸25を付勢する付勢手段である圧縮バネ26及び開閉軸25とロッド22とを連接する連接手段である板金27を備えており、インクカートリッジ10の着脱に連動するようになっている。
【0038】
インク供給針21は、先端側面に供給口21aが穿孔された中空状に形成されており、先端が収納部153の内側後面から突出し、後端が収納部153の後面内部に設けられたインク供給路101に接続するように配設されている。これにより、インクカートリッジ10を収納部153に対して抜き差しすることで、インク供給針21をインクカートリッジ10のインク供給口13に対して出し入れすることができる。
【0039】
ロッド22は、先端が収納部153の内側後面から突出し、後端が収納部153の外側後面から突出して軸方向に摺動自在となるように配設されている。すなわち、ロッド22は、収納部153の後面に対し垂直に貫装されている。これにより、インクカートリッジ10を収納部153に挿入することで、ロッド22に当接してロッド22を収納部153の外側後面から突き出させることができる。一方、インクカートリッジ10を収納部153から引き出すことで、後述する圧縮バネ26及び板金27等の作用によりロッド22を収納部153の内側後面から突き出させることができる。
【0040】
バルブ23は、例えば熱可塑性エラストマ等で円板状に形成されており、周縁部が収納部153の後面内部に設けられたインク供給路101を含む空間部102内で固定保持されている。これにより、インクカートリッジ10を収納部153に挿入することで、後述するロッド22及び板金27等の作用によりバルブ23を空間部102内でインク供給路101から離間する方向に撓ませることができる。一方、インクカートリッジ10を収納部153から引き出すことで、後述する圧縮バネ26等の作用によりバルブ23を空間部102内でインク供給路101に当接する方向に撓ませることができる。
【0041】
開閉機構24を構成する開閉軸25は、先端が空間部102内でバルブ23に接続され、後端が収納部153の外側後面から突出して軸方向に摺動自在となるように配設されている。そして、空間部102内の軸部には、インク供給路101をバルブ23で閉じる方向に付勢する圧縮バネ26が装着されている。板金27は、一端がロッド22の後端に接続され、中央が開閉軸25の後端に接続され、他端が収納部153の外側後面に回動自在に係止されている。すなわち、板金27は、ロッド22の後端接続部27aを力点もしくは作用点、開閉軸25の後端接続部27bを作用点もしくは力点、収納部153の外側後面回動部27cを支点とした梃子として作用する。これにより、インクカートリッジ10を収納部153に挿入することで、後述するロッド22及び板金27等の作用により開閉軸25を収納部153の外側後面から突き出させることができる。一方、インクカートリッジ10を収納部153から引き出すことで、後述する圧縮バネ26等の作用により開閉軸25を収納部153の外側後面内へ戻すことができる。
【0042】
このような構成において、図15(A)に示す状態から図15(B)に示すように、ユーザがインクカートリッジ10を収納部153内へ押し入れると、インク供給針21がインク供給口13内に挿入されるとともに、ロッド22がインクカートリッジ10の後面に当接し押されて図示矢印方向に摺動する。そして、ロッド22が収納部153の外側後面から突き出ることに伴い、板金27が外側後面回動部27cを支点に開閉軸25を図示矢印方向に引っ張って摺動させる。これにより、バルブ23が空間部102内でインク供給路101から離間する方向に撓み、バルブ23で覆われていたインク供給路101が露出するので、インクカートリッジ10のインクタンク内のインクは、図示矢印で示すように、インク供給口13からインク供給針21の供給口21aを通り、インク供給路101を介してインクチューブ124へ供給される。
【0043】
一方、図15(B)に示す状態から図15(A)に示すように、ユーザがインクカートリッジ10を収納部153から引き出すと、インク供給針21もインク供給口13から引き出されるとともに、ロッド22がインクカートリッジ10の後面の押圧から解放されるので、圧縮バネ26の復元力により開閉軸25が図示矢印方向に摺動する。これにより、バルブ23が空間部102内でインク供給路101に当接する方向に撓むので、露出していたインク供給路101は再びバルブ24で閉塞される。このとき、板金27は外側後面回動部27cを支点に開閉軸25に引っ張られるので、ロッド22を図示矢印で示す収納部153の内側後面から突き出る方向に押し戻す。
【0044】
以上のように、インクカートリッジ10が収納部153に対して抜き差しされる際にバルブ23に直接作用しなくてもバルブ23を開閉することができる。したがって、従来のようなインク導入孔が形成された中空針に摺動自在に外嵌されたバルブを用いる必要が無く、インク漏れによる装置内の汚染を防止することができる。また、インクカートリッジ10を収納部153に対して挿抜するのみで、インクカートリッジ10のインク供給口13とインクジェット式プリンタ100のインク供給路101とを接続・遮断することができるので、操作が容易となる。
【0045】
また、従来のような電磁バルブ等が不要になるので、部品コストを低減させることができる。さらに、インクカートリッジ10を収納部153から一旦抜き取り、再度差し込む際にインク供給針21がインクカートリッジ10のインク供給口13に完全に入ってからバルブ23の開閉機構20を動作させてインク供給路101を開くようにすることができる。したがって、インク供給路101内に空気が流れ込んでしまうことを防止することができ、空気抜きによる無駄なインク消費を抑制することができる。なお、上述した例では、開閉軸25に圧縮バネ26を装着して動作させるように構成したが、板金27を板バネとして機能するように構成することにより、圧縮バネ26を省略することができる。
【0046】
図14に示すように、収納部153の内側後面の上部には、インクカートリッジ10のIC16と電気的に接続されるコネクタ29が貼付されている。このコネクタ29は上記FFC123に接続されており、インクジェット式プリンタ100の制御部はインクカートリッジ10のIC16に対しインク情報を読み書きすることができる。さらに、収納部153の上面中央部には、カム159に連動してインクカートリッジ10の係止突起17に対し係止し、あるいは係止解除する係止爪153bが形成されている。
【0047】
図12に示すように、ホルダ本体151内に設けられている制御レバー154は、ホルダ本体151に縦方向に設けられたガイド溝151aに沿って上下に揺動自在に配設されている。この制御レバー154は、上下に揺動することにより、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを電気的に制御するとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れを機械的に制御するようになっている。
【0048】
すなわち、制御レバー154が最上端に位置決めされているときは、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは禁止されているとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは可能となっている。一方、制御レバー154が最下端に位置決めされているときは、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは許可されているとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは不可能となっている。
【0049】
このような機能を有する制御レバー154を設けることにより、大型のインクカートリッジを使用することができるようになる。すなわち、従来は、インクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みは、インクカートリッジホルダのカバーの開閉動作で制御されていた。ところが、大型のインクカートリッジはホルダ本体にセットしたときに前面側に突き出てしまい、カバーを閉じることができないため、インクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みを制御することができなかった。
【0050】
これに対し、本実施形態のインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは、上述したようにインクカートリッジホルダ150の制御レバー154の揺動で制御されている。このため、大型のインクカートリッジをホルダ本体151にセットしたときに前面側に突き出てカバー152を閉じることができなくても、大型のインクカートリッジに配設されているICに対するインク情報の書き込みを制御することができる。
【0051】
上述したように、制御レバー154は、上下に揺動することにより、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを電気的に制御するとともに、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れを機械的に制御するようになっている。この仕組みを図16を参照して説明する。
【0052】
図16は、ホルダ本体151における制御レバー154の機構とそれに隣接する1色分のインクカートリッジ10の収納部153を示す斜視図である。制御レバー154は、一端側は操作端154aとしてホルダ本体151の前面側に突き出るように形成され、他端側は軸154bにより収納部153の側面153aに回動自在に支持されている。さらに、制御レバー154の他端側は、端部にインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みに関与するガイド面154cが形成され、上部にインクカートリッジ10の収納部153への出し入れに関与するギア歯154dが形成され、下部に制御レバー154自身の揺動に関与する係止部154eが形成されている。
【0053】
そして、制御レバー154の操作端154aが揺動する際の最上端及び最下端を位置決めするための停止部材154fが、収納部153の側面153aの前面側で突き出るように配設されている。また、制御レバー154が揺動する際にガイド面154cに倣ってスイッチングするリミットスイッチ155が、収納部153の側面153aの後面側に配設されている。
【0054】
さらに、制御レバー154が揺動する際にギア歯154dと噛み合って回転する扇形のギア156が、収納部153の上面側に配設されている六角軸158に嵌入されている。また、操作端154aが最上端及び最下端に位置決めしたときに付勢するねじりコイルバネ157が、一端が係止部154eに係止され、他端が収納部153の側面153aに係止されている。
【0055】
上記六角軸158は、全色分の収納部153の上面側の一端から他端にわたって配設されており、各収納部153の上面に対応する位置にはカム159がそれぞれ嵌入されている。このカム159は、各収納部153の上面に形成されているインクカートリッジ10を係止するための係止爪153bを押し下げ可能に形成されている。
【0056】
このような構成の制御レバー154の機構の動作を図17及び図18を参照して説明する。図17に示すように、制御レバー154が最上端に位置決めされているときは、リミットスイッチ155はガイド面154cによりオフ状態にされており、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは禁止されている。さらに、カム159はギア歯154dによるギア156の回転により係止爪153bから離間しており、係止爪153bはインクカートリッジ10に形成されている係止突起17から離間しているので、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは可能となっている。
【0057】
一方、図18に示すように、制御レバー154が最下端に位置決めされているときは、リミットスイッチ155はガイド面154cによりオン状態にされており、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みは許可されている。さらに、カム159はギア歯154dによるギア156の回転により係止爪153bを押圧しており、係止爪153bはインクカートリッジ10に形成されている係止突起17に引っ掛かっているので、インクカートリッジ10の収納部153への出し入れは不可能となっている。
【0058】
このように、ユーザは制御レバー154を最下端から最上端へ持ち上げないと、インクカートリッジホルダ150からインクカートリッジ10を引き抜くことができない。さらにインクジェット式プリンタ100の制御部はユーザが制御レバー154を最下端から最上端へ持ち上げている間にインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを行うことができるようになる。したがって、従来のようにインク情報の読み書き不能によるインクジェット式プリンタ100の誤動作を防止することができる。
【0059】
図19は、制御レバー154の別の動作形態を示す図である。上述した制御レバー154の動作形態は、一直線状に形成されたガイド溝151aに沿って最下端と最上端との間を移動する形態であった。ところが、この動作形態を取ると制御レバー154を最下端から最上端へ移動させると同時にインクカートリッジ10を収納部153から引き抜いた場合、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みが中断され、インクジェット式プリンタ1の誤動作につながるおそれがあった。
【0060】
そこで、図19に示すように、制御レバー154の動作形態を、最下端から最上端へ移動させる際はガイド溝151bの中間に設けられた段差151baにより一旦水平移動させ、最上端から最下端へ移動させる際は一気に移動させる形態とする。このように、制御レバー154の最下端から最上端への移動を2アクションとするガイド溝151bを形成することにより、その移動に要する時間が長くなるので、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込み時間を稼ぐことができ、インクジェット式プリンタ1の誤動作をより確実に防止することができるようになる。なお、制御レバー154の最上端から最下端への移動は1アクションであるので、インクカートリッジ10のセッティング時間を短縮させることができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、制御レバー154が最下端に位置しているときはインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを可能とし、制御レバー154を最下端から最上端へ移動させる間にIC16に対するインク情報の書き込みを行うようにしているが、以下のように設定してもよい。
【0062】
すなわち、制御レバー154が最下端に位置しているときはインクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みを可能とし、例えば記録ヘッド121による印刷動作開始前や記録ヘッド121のクリーニング動作開始前、印刷動作終了後やクリーニング動作終了後、インクを一定量使用した後等の所定の時にIC16に対してインク情報を書き込むようにする。そして、制御レバー154を最下端から上げたら同時にIC16に対してインク情報を書き込まないようにする。これにより、インクカートリッジ10に配設されているIC16に対するインク情報の書き込みの確実性を高めることができるので、インクジェット式プリンタ1の誤動作をより確実に防止することができるようになる。
【0063】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は以上の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されるのは勿論である。例えば、上述した実施形態では、記録装置としてインクジェット式プリンタを例に説明したが、これに限定されるものではなく、インクカートリッジを使用する記録装置であれば、例えばファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。
【0064】
さらに、記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を液体噴射ヘッドから被噴射媒体に噴射して液体を被噴射媒体に付着させる液体噴射装置の意味として、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等を備えた装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの主要部の内部構成例を示す斜視図である。
【図3】図1のプリンタの使用手順を示す第1の図である。
【図4】図1のプリンタの使用手順を示す第2の図である。
【図5】図1のプリンタの使用手順を示す第3の図である。
【図6】図1のプリンタの使用手順を示す第4の図である。
【図7】図1のプリンタの使用手順を示す第5の図である。
【図8】図1のプリンタの使用手順を示す第6の図である。
【図9】図1のプリンタの使用手順を示す第7の図である。
【図10】図1のプリンタの使用手順を示す第8の図である。
【図11】図1のプリンタの使用手順を示す第9の図である。
【図12】図1のプリンタのインクカートリッジホルダの詳細を示す斜視図である。
【図13】図12のインクカートリッジホルダに装填されるインクカートリッジを後面側から見た斜視図である。
【図14】図12のインクカートリッジホルダのホルダ本体における1色分のインクカートリッジの収納部の内部構造及び背面構造を示す斜視図である。
【図15】図14のインクカートリッジの着脱に対応して開閉動作するバルブ機構の詳細を示す断面平面図である。
【図16】図12のインクカートリッジホルダのホルダ本体における制御レバーの機構とそれに隣接する1色分のインクカートリッジの収納部を示す斜視図である。
【図17】図16のレバー機構の動作を説明するための第1の図である。
【図18】図16のレバー機構の動作を説明するための第2の図である。
【図19】図16の制御レバーの別の動作形態を示す図である。
【符号の説明】
10 インクカートリッジ、11 外装ケース、12 把持部、13 インク供給口、14 位置決め穴、15 窪み、16 IC、17 係止突起、21 インク供給針、22 ロッド、23 バルブ、24 開閉機構、25 開閉軸、26 圧縮バネ、27 板金、28 位置決め針、29 コネクタ、100 インクジェット式プリンタ、110 給紙部、111 ロール紙ホルダ、112 ロール紙カバー、113 スピンドル、114 ロール紙押さえ、115 スピンドル受け、120 記録部、121 記録ヘッド、122 キャリッジ、123 FFC、124 インクチューブ、125 上蓋、126 前蓋、127 レール、128 キャリッジベルト、130 排紙部、131 排紙ガイド、140 脚部、141 コロ、142 支持柱、143 補強棒、150 インクカートリッジホルダ、151 ホルダ本体、151a、151b ガイド溝、152 カバー、153 収納部、153b 係止爪、154 制御レバー、155 リミットスイッチ、159 カム
Claims (6)
- インクカートリッジのインク供給口と記録装置のインク供給路とを接続・遮断するバルブ機構であって、
前記インクカートリッジの挿抜動作に連動して前記バルブの開閉機構を動作させる連動手段を備えたことを特徴とするバルブ機構。 - 前記インクカートリッジの挿抜動作に伴って前記インク供給口に対して出入するインク供給針を備えたことを特徴とする請求項1に記載のバルブ機構。
- 前記開閉機構は、前記バルブに接続された開閉軸と、前記インク供給路を前記バルブで閉じる方向に前記開閉軸を付勢する付勢手段と、前記開閉軸と前記連動手段とを連接する連接手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のバルブ機構。
- 前記連接手段は、梃子に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のバルブ機構。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載のバルブ機構を備えたことを特徴とする記録装置。
- 液体タンクの液体供給口と液体噴射装置の液体供給路とを接続・遮断するバルブ機構を備えた液体噴射装置であって、
前記液体タンクの挿抜動作に連動して前記バルブの開閉機構を動作させる連動手段を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003066073A JP2004268543A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | バルブ機構及び記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003066073A JP2004268543A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | バルブ機構及び記録装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004268543A true JP2004268543A (ja) | 2004-09-30 |
Family
ID=33126886
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003066073A Pending JP2004268543A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | バルブ機構及び記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004268543A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008036908A (ja) * | 2006-08-03 | 2008-02-21 | Canon Inc | 液体収納容器 |
-
2003
- 2003-03-12 JP JP2003066073A patent/JP2004268543A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008036908A (ja) * | 2006-08-03 | 2008-02-21 | Canon Inc | 液体収納容器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3928705B2 (ja) | ロール状記録媒体の保持手段及び記録装置 | |
JP5287518B2 (ja) | 液体吐出装置 | |
JP2002205855A (ja) | 記録装置 | |
US7431439B2 (en) | Liquid supply device and recording apparatus incorporating the same | |
JP4239554B2 (ja) | バルブ機構及び記録装置及びプリンタ | |
JP2003266732A (ja) | 記録装置 | |
JP4016254B2 (ja) | ロール状記録媒体の支持部材及び記録装置 | |
JP2004268543A (ja) | バルブ機構及び記録装置 | |
US20140009540A1 (en) | Recording apparatus | |
JP4470318B2 (ja) | インクジェット式プリンタ | |
JP3904066B2 (ja) | 記録装置 | |
JP4172189B2 (ja) | 記録装置 | |
JP2003266733A (ja) | インクカートリッジ及び記録装置 | |
JP2003266747A (ja) | 記録装置 | |
EP1346836B1 (en) | Apparatus for cutting fixing-medium, and liquid fixing apparatus | |
JP2003266739A (ja) | 記録装置及びインク供給系の洗浄方法 | |
JP2003266731A (ja) | 記録装置 | |
JP2003266675A (ja) | 記録装置 | |
JP2003266896A (ja) | 記録装置 | |
JP2002166569A (ja) | インクジェット式プリンタ | |
JP2005081689A (ja) | ダミーカートリッジの取付装置、記録装置、液体噴射装置 | |
TW521042B (en) | Ink jet recording apparatus | |
JP2003266870A (ja) | 記録装置 | |
JP2003266830A (ja) | 記録装置 | |
JP2022123203A (ja) | 記録装置、記録装置の制御方法、液体移送装置、および液体移送装置の制御方法 |