JP2004268257A - ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルム - Google Patents

ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2004268257A
JP2004268257A JP2003049822A JP2003049822A JP2004268257A JP 2004268257 A JP2004268257 A JP 2004268257A JP 2003049822 A JP2003049822 A JP 2003049822A JP 2003049822 A JP2003049822 A JP 2003049822A JP 2004268257 A JP2004268257 A JP 2004268257A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polybutylene terephthalate
film
terephthalate film
bubble
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003049822A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4077744B2 (ja
Inventor
Seiji Kagawa
清二 加川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2003049822A priority Critical patent/JP4077744B2/ja
Publication of JP2004268257A publication Critical patent/JP2004268257A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4077744B2 publication Critical patent/JP4077744B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

【課題】薄膜でありながら膜厚の均一性及び熱収縮率に優れたポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルムを提供する。
【解決手段】溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂内に空気を注入することにより形成したバブル3を、縦横方向に膨張させるとともに空冷することによりフィルム化する方法であって、(1) バブル3のネック部31を180℃以上〜195℃以下に除冷し、(2) バブル3を150℃以上〜180以下にさらに除冷し、もってバブル3を非晶質状態に保持しながら膨張させ、(3) バブル3のフロストライン34を90℃以上〜130℃以下に除冷し、(4) フロストライン34より上部のバブル領域33をポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜ガラス転移温度+65℃以下に保持する方法。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜でありながら膜厚の均一性及び熱収縮率に優れたポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、電気的性質等に優れるため、従来エンジニアリング用プラスチックとして注目され、自動車部品、電気・電子部品等の射出成形分野を中心にその応用が進められてきた。しかしポリブチレンテレフタレート樹脂には、(イ) 結晶化速度が速いため、例えば結晶化した後に機械方向に延伸すると、その後横方向への延伸ができない、(ロ) 溶融張力が低いため、急速な延伸ができない、(ハ) ガラス転移温度が常温に近いためフィルム皺が発生しやすいといった問題がある。このようにポリブチレンテレフタレート樹脂はフィルムへの成形が極めて困難であり、フィルムとして使用される例は少ない。一般的に樹脂フィルムを包装材料として用いるために要求されるフィルム厚みは10〜30μm程度なので、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなるフィルムを包装材料として使用するためには薄膜化することが不可欠である。
【0003】
一般的に樹脂フィルムの製造法にはTダイ法とインフレーション成形法とがあるが、Tダイ法に比較してインフレーション成形法は生産性が高く且つ経済的であり、膜厚の薄いフィルムの製造に適している。しかしインフレーション成形法で製造したポリブチレンテレフタレートフィルムには、膜厚ムラが多い、熱収縮率が大きいといった問題がある。
【0004】
これに対して、固有粘度が1.0以上のポリブチレンテレフタレート樹脂を押出樹脂温度が下式:
融点(℃)<押出樹脂温度(℃)<融点−26+53×固有粘度(℃)
を満たすようにインフレーション成形法によりフィルム化する方法が提案された(特許文献1)。
【0005】
一方Tダイ法によりポリブチレンテレフタレートフィルムを製造する場合、得られる未延伸フィルムの物性改善、薄膜化等のために、未延伸フィルムに対して一般的に二軸延伸を施す。このようなPBTの二軸延伸フィルムを製造する方法として、特許文献2には所定の温度で縦横方向に未延伸フィルムを同時二軸延伸する方法が、また特許文献3及び特許文献4には所定の温度と速度のもとで未延伸フィルムを逐次二軸延伸する方法がそれぞれ提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−33048号公報
【特許文献2】
特開昭49−80178号公報
【特許文献3】
特公昭51−40904号公報
【特許文献4】
特開昭51−146572号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし特許文献1に記載の方法は、生産性が不十分という問題があった。また特許文献2〜4の方法は、溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂を急冷することにより作製した未延伸フィルムを二軸延伸するものであり、このため加工性が悪く、熱収縮率の改善が不十分であった。そのため二次加工時に収縮し易いという問題があった。二軸延伸時のPBTの製膜性を改善するために、他の樹脂フィルムと積層押し出しをする方法、ポリエチレン、ポリプロピレン等の相溶性の良い樹脂を添加する方法等が提案されているが、包装フィルムとして最適な10〜30μm程度の膜厚まで薄膜化するのは困難であった。
【0008】
従って、本発明の目的は、薄膜でありながら膜厚の均一性及び熱収縮率に優れたポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を空冷インフレーション成形法によりフィルム化するポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、バブルを非晶質状態に保持しながら膨張させることにより、薄膜でありながら膜厚の均一性及び熱収縮率に優れたポリブチレンテレフタレートフィルムを製造できることを発見した。本発明者はまた、ポリブチレンテレフタレート樹脂を延伸法によりフィルム化するポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、ダイより押出した溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂を加熱キャスティングロール上で除冷することにより非晶質シートを形成し、これを非晶質状態に保持しながら同時二軸延伸することにより、薄膜でありながら膜厚の均一性及び熱収縮率に優れたポリブチレンテレフタレートフィルムを製造できることを発見した。本発明はかかる発明に基づき完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明の第1のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法は、環状ダイからチューブ状に押し出された溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂内に空気を注入することによりバブルを形成し、前記バブルを内圧により膨張させるとともに空冷することによりチューブ状フィルムを形成し、得られたチューブ状フィルムをシート状に折り畳みながら一対のニップロールによって引き取る空冷インフレーション成形工程を含むポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法であって、(1) 前記環状ダイの付近に設けられた第一温風空気吹出装置から温風空気を噴出させることにより、前記バブルのネック部を180℃以上〜195℃以下に除冷し、(2) 前記第一温風空気吹出装置の上部に設けられた第二温風空気吹出装置から温風空気を噴出させることにより、前記バブルを150℃以上〜180℃以下にさらに除冷し、もって前記バブルを非晶質状態に保持しながら膨張させ、(3) 前記第二温風空気吹出装置の上部に設けられた第三温風空気吹出装置から温風空気を噴出させることにより、前記バブルのフロストラインを90℃以上〜130℃以下に除冷し、(4) 前記フロストラインより上部の上部バブル領域を外部雰囲気から遮断し且つ前記第一〜第三温風空気吹出装置のそれぞれより噴出した温風空気を前記上部バブル領域の外面に沿って吹き上げさせるための隔壁により、前記上部バブル領域を包囲し、前記隔壁の内面側に加熱手段を設け、もって前記上部バブル領域を前記ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜前記ガラス転移温度+65℃以下に保持することを特徴とする。
【0011】
第1の製造方法において、ブローアップ比を2.0 〜4.5とするのが好ましい。これによりバブルを機械方向及び横方向に同時にバランス良く延伸することができる。前記上部バブル領域を円筒状の繊維で包囲するのが好ましく、これにより前記バブルの横揺れを防止することができる。前記第一及び第二温風空気吹出装置から噴出させる温風空気の温度は25〜50℃であるのが好ましい。前記第三温風空気吹出装置から噴出させる温風空気の温度は前記ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜前記ガラス転移温度+65℃以下であるのが好ましい。
【0012】
第1の製造方法において、さらに前記ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜前記ガラス転移温度+60℃以下の温度で、機械方向もしくは横方向に2倍以上に一軸冷延伸するか、又は機械方向及び横方向に2倍以上の面倍率で逐次二軸冷延伸するのが好ましい。これにより膜厚の均一性及び熱収縮率が一層向上する。係る一軸冷延伸又は逐次二軸冷延伸も行う場合、(1) 前記チューブ状フィルムの形成、及び(2) 前記一軸冷延伸又は前記逐次二軸冷延伸を連続的にインライン方式により行うのが好ましい。
【0013】
第1の製造方法において、前記一軸冷延伸をロール法で行う場合、又は前記逐次二軸冷延伸をロール法及びテンター法で行う場合には、前記一軸冷延伸又は前記逐次二軸冷延伸の前に、前記ニップロールにより引き取られたシート状の前記チューブ状フィルムを予め二分割するのが好ましい。この場合、(1) 前記チューブ状フィルムの形成、(2) 前記チューブ状フィルムの二分割、及び(3) 前記一軸冷延伸又は前記逐次二軸冷延伸を連続的にインライン方式により行うのが好ましい。
【0014】
第1の製造方法において冷延伸を施したフィルムは、いずれの方向にも易裂性が無く、且つ前記一軸冷延伸又は前記逐次二軸冷延伸により冷延伸された方向の熱収縮率は1%以下である。第1の製造方法において冷延伸を施したフィルムは、機械方向又は横方向に延在する微細な無数の線状皺を有する。係る線状皺により形成される凹凸構造の高低差は50 〜500nmであり、凹凸構造の幅は500〜20000nmである。
【0015】
本発明の第2のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を延伸法によりフィルム化するポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、溶融した前記ポリブチレンテレフタレート樹脂をダイより押出し、加熱キャスティングロール上で180℃以上〜195℃以下に除冷することにより非晶質シートを形成し、得られた非晶質シートを150℃以上〜180℃以下で非晶質状態に保持しながら同時二軸延伸し、その後急冷することを特徴とする。
【0016】
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置は、(a) ポリブチレンテレフタレート樹脂を加熱熔融するとともにこれを送出するための押出機と、(b) 前記押出機の下流先端に接続され溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂をチューブ状に押し出すための環状ダイと、(c) 前記環状ダイからチューブ状に押し出された溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂内に空気を注入しバブルを形成するための空気注入手段と、(d) 前記バブルを空冷するための空冷手段と、(e) 前記バブルを空冷することにより得られたチューブ状フィルムを引き取るための一対のニップロールとを有するインフレーション成形装置を少なくとも備えたポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置であって、前記空冷手段は、(1) 前記環状ダイの付近に設けられ、前記バブルのネック部を除冷するための第一温風空気吹出装置と、(2) 前記第一温風空気吹出装置の上部に設けられ、前記バブルが非晶質状態で膨張するように前記バブルをさらに除冷するための第二温風空気吹出装置と、(3) 前記第二温風空気吹出装置の上部に設けられ、前記バブルのフロストラインを除冷するための第三温風空気吹出装置と、(4) 前記第三温風空気吹出装置の上方で、且つ前記フロストラインより上部の上部バブル領域の周囲に設けられ、前記上部バブル領域を外部雰囲気から遮断するとともに、前記第一〜第三温風空気吹出装置のそれぞれより噴出した温風空気を前記上部バブル領域の外面に沿って吹き上げさせるための隔壁と、(5) 前記隔壁の内面側に設けられた加熱手段と、(6) 前記隔壁の内面側で且つ前記上部バブル領域の付近を包囲するように設けられ、前記バブルの横揺れを防止するための円筒状繊維とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の製造装置において、機械方向及び/又は横方向に冷延伸するための冷延伸手段をさらに有し、もって前記インフレーション成形部と前記冷延伸手段とがインライン構成であるのが好ましい。前記冷延伸手段を有する製造装置は、(1) 前記ニップロールにより引き取られたシート状の前記チューブ状フィルムの耳端位置を一定に制御するためのエッジ・ポジション制御装置と、(2) 前記耳端位置が一定に制御された前記チューブ状フィルムを二分割するための切断手段とをさらに有し、もって前記インフレーション成形部と、前記エッジ・ポジション制御装置と、前記切断手段と、前記冷延伸手段とがインライン構成であるのが好ましい。切断手段としてはカッターが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
[1] ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法
(1) 空冷インフレーション成形法
図1は、本発明の空冷インフレーション成形法によるポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法の工程を示す概略側面図である。押出機12に取り付けられた環状ダイ1から押出されたチューブ状フィルムは、空気注入管26から内部に空気が送り込まれて急激に所定の幅のフィルムに膨張し、引取り機ニップロール13に挟まれて引き取られ、巻き取りリール14により巻き取られる。チューブ状フィルムに注入するための空気を供給する空気注入手段に特に制限はなく、空気注入管26をブロワーに接続した構成の手段、空気注入管26を圧縮空気ボンベに接続した構成の手段等を挙げることができる。
【0019】
原料とするポリブチレンテレフタレート樹脂に特に制限はないが、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸とを構成成分とするホモポリマーからなるのが好ましい。但し形状記憶能、熱収縮性等の物性を損なわない範囲で、1,4−ブタンジオール以外のジオール成分、又はテレフタル酸以外のカンボン酸成分を共重合成分として含んでいてもよい。そのようなジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンメタノール等が挙げられる。ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸等が挙げられる。好ましいポリブチレンテレフタレート樹脂の具体例としては、例えば東レ(株)から商品名「トレコン」として市販されているホモポリブチレンテレフタレート樹脂を挙げることができる。
【0020】
ポリブチレンテレフタレート樹脂には一般の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の添加剤、すなわち可塑剤、酸化肪止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、染料や顔料等の着色剤、流動性の改善のための潤滑剤、結晶化促進剤(核剤)、無機充填剤等も要求性能に応じ適宜使用することが出来る。また本発明の効果を阻害しない範囲で、目的に応じ少量の他の熱可塑性樹脂を補助的に添加使用することも出来る。
【0021】
ポリブチレンテレフタレートフィルムを製造するには、まずポリブチレンテレフタレート樹脂及び所望の添加剤などの混練を、230 〜260℃の樹脂温度で行う。混練温度が260℃より高いと、樹脂の熱劣化が進行する恐れがある。このため、二軸押出機のような押出機中で混練を行う場合、発熱しないようなスクリュー構造を有するもの、又は適当な冷却装置を有するものを使用する。なお混練温度の下限が230℃未満になると、押出量が不安定となるため好ましくない。
【0022】
インフレーション用環状ダイ1から押し出す樹脂温度は210 〜250 ℃とするのが好ましく、220 〜230 ℃とするのがより好ましい。またインフレーション用環状ダイ1から押し出す樹脂圧力は100 〜120kg/cmとする。インフレーション用環状ダイ1の直径は150 〜300mmであるのが好ましい。
【0023】
環状ダイ1から押し出されたバブル3は、冷却装置により除冷却されながらMD(機械方向)のみならずTD(横方向)にも延伸される。これを本発明の一実施例である図2に概略的に示す。
【0024】
図2において、バブル冷却装置は、環状ダイ1の付近に設けられた第一温風空気吹出装置20と、第一温風空気吹出装置20の上部に設けられた第二温風空気吹出装置21と、第二温風空気吹出装置21の上方に設けられた第三温風空気吹出装置22と、第三温風空気吹出装置22の上方に設けられた隔壁23と、隔壁23の内面側に設けられた加熱手段24と、隔壁23の内側(バブル3側)に設けられた円筒状繊維25とを有する。なお図2において、15は環状ダイ1の上部に設けられた断熱材を示し、16はガイドロールを示す。
【0025】
以上の構成の装置において、各温風空気吹出装置20〜22及び隔壁23の配置は空冷インフレーション成形法により形成されるバブル3の温度コントロールにより決まるので、以下にバブル3の形状及び温度分布について説明する。
【0026】
ダイ1の環状オリフィス11より溶融したポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を押し出して、バブル3を形成するが、押し出された直後のバブル3は、溶融張力が低いために細径状となり、いわゆるネック部31を形成する。ネック部31において、バブル3は主としてMDに延伸される。次にバブル3は急激に膨張し、所定のバブル径となる。この膨張部32において、バブル3はMD及びTDに同時に延伸される。膨張部32のほぼ上方付近にフロストライン34があり、ここでポリブチレンテレフタレート樹脂(組成物)は冷却固化状態となる。フロストライン34より上方のバブル領域33に設けられた隔壁23及び加熱手段24により、バブル3はさらに除冷される。
【0027】
本発明の如く空冷インフレーション成形法によりポリブチレンテレフタレートフィルムを得るためには、バブル3の各部の温度を以下の通りコントロールする。
(a) 環状ダイ1より押し出し直後の温度は210 〜250 ℃。
(b) ネック部31では180℃以上〜195℃以下に除冷。
(c) 膨張部32では150℃以上〜180℃以下に除冷。
(d) フロストライン34では90℃以上〜130℃以下に除冷。
(e) 上部バブル領域33ではポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜ガラス転移温度+65℃以下に保持。
【0028】
上記条件(a)については、上述の通りであるが、条件(b)については、ネック部31で180℃以上〜195℃以下に除冷しないと、次の膨張部32でMD及びTDへの同時二軸延伸を十分に達成することができない。すなわちネック部31で180℃以上〜195℃以下に除冷することにより、膨張部32を150℃以上〜180℃以下に除冷/保持することができる(条件(c))。膨張部32を150℃以上〜180℃以下に保持しないと、膨張部32で適度な溶融張力を有さず、MDの延伸が主となってしまい、薄膜化できない。膨張部32を150℃未満としてしまうと、結晶化が進行するので、非晶質状態を保持できない。
【0029】
このような温度条件を満たすためには、ブローアップ比を2.0 〜4.5にするのが好ましい。特にブローアップ比は2.0 〜2.8にするのが望ましい。
【0030】
条件(d)について、フロストライン34でのバブル温度を90℃以上〜130℃以下に除冷することにより、バブル3のMD及びTDへの同時二軸延伸を十分に達成することができる。フロストライン34においてバブル温度が90℃より低いと、フィルム皺が発生する恐れがある。
【0031】
条件(e)については、フロストライン34の上方でバブル3をポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜ガラス転移温度+65℃以下に保持することにより、フィルム皺の発生を防止でき、かつ均一な薄いバブル3の形成を安定化することができる。好ましくは上部バブル領域33を90〜110℃に保持する。隔壁23及び加熱手段24を設けずに、上部バブル領域33の温度をガラス転移温度以下に保つと、不均一な延伸が起こるおそれがあり、そのためバブル3全体が不安定となる。ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度は、一般的に22 〜45℃である。本明細書において、ガラス転移温度とはJIS K7121に準じて測定したものである。
【0032】
本発明においては、図2に示すように、上部バブル領域33の外周を円筒状繊維25でさらに囲うのが好ましい。これにより上部バブル領域33の温度を一層安定化することができ、且つバブル3の横揺れを防止することができる。
【0033】
以上のようなバブル3の温度コントロールを行うために、第一温風空気吹出装置20、第二温風空気吹出装置21、第三温風空気吹出装置22、隔壁23、加熱手段24、及び円筒状繊維25の配置は以下の通りである。
(イ) 第一温風空気吹出装置20
環状ダイ1のすぐ近くに設け、ネック部31の温度が180℃以上〜195℃以下に除冷されるように、温風空気を噴出させる。係る温風空気の温度は25〜50℃であるのが好ましい。
(ロ) 第二温風空気吹出装置21
膨張部32のすぐ下部に設け、膨張部32の温度が150℃以上〜180℃以下に除冷されるように、温風空気を噴出させる。係る温風空気の温度は25〜50℃であるのが好ましい。
(ハ) 第三温風空気吹出装置22
フロストライン34のすぐ下部に設け、フロストライン34の温度が90℃以上〜130℃以下に除冷されるように、温風空気を噴出させる。係る温風空気の温度は、ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜ガラス転移温度+65℃以下であるのが好ましい。
(ニ) 隔壁23及び加熱手段24
隔壁23は第三温風空気吹出装置22の上方の位置で、上部バブル領域33を包囲し且つ第一〜第三温風空気吹出装置のそれぞれより噴出した温風空気が上部バブル領域33の外面に沿って吹き上がるように設ける。加熱手段24は隔壁23の内面側に設ける。隔壁23及び加熱手段24を設けることにより、上部バブル領域33を外部雰囲気(気温・温度等)の影響から遮断し、常にポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜ガラス転移温度+65℃以下に保持することができる。
(ホ) 円筒状繊維25
隔壁23の内側で、上部バブル領域33を包囲するように設ける。
【0034】
以上の方法において、第一〜第三温風空気吹出装置のそれぞれより噴出させるための温風空気を供給する手段に特に制限はなく、温度コントロール可能なブロワー等を挙げることができる。第一〜第三温風空気吹出装置のそれぞれより噴出させる温風空気の流量は、ネック部31、膨張部32及びフロストライン34でのバブル温度がそれぞれ上記の温度範囲となるように適宜調節する。安定した除冷効果が得られないとバブル3が不安定となるので、温風空気の温度はできるだけ変化しないようにコントロールする。
【0035】
隔壁23の材質に特に制限はないが、隔壁23で包囲された上部バブル領域33が観察できるようにアクリル樹脂であるのが好ましい。隔壁23の形状に特に制限はなく、例えば上部バブル領域33を四方から囲むことができるように、側面が四つの壁面から構成されたものが挙げられる。隔壁23の内側に設ける加熱手段24としては、例えば棒状やリボン状の電気ヒーターを挙げることができる。隔壁23の内面にアルミニウム箔を張り付け、熱放射を遮断できる構成としてもよい。
【0036】
円筒状繊維25を構成する繊維としては、シルク、綿等の天然繊維、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル等のプラスチック繊維、ステンレススチール、銅、黄銅、ニッケル等の金属繊維等を用いることができる。円筒状繊維25としてネット状のものを用いる場合、その網目が5〜20メッシュのものが好ましく、特に8〜10メッシュのものが好ましい。
【0037】
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂の空冷インフレーション成形法による製膜は以上の要件を保持することにより可能であり、他の条件はインフレーション方式の一般的な条件が適用出来る。即ちクロスヘッドダイを用いて、上方又は下方にチューブ状溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂を押出し、端をピンチロールで挟んでその中に空気を送り込んで所定のサイズに膨らませつつ連続的に巻き取り、この間ダイを回転又は反転して偏肉を防止する事も出来る。
【0038】
本発明の製造方法によれば、常にバブルの各部(押し出し直後、ネック部、膨張部、フロストライン、上部バブル領域)がそれぞれ所望の温度に維持されるので、品質が常に均一である。さらに高速製膜が可能である。
【0039】
以上説明した空冷インフレーション成形により得られたポリブチレンテレフタレートフィルム(インフレーションPBTフィルム)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60℃以下の温度で、さらに機械方向もしくは横方向に一軸冷延伸するか、又は機械方向及び横方向に逐次二軸冷延伸するのが好ましい。これによりインフレーションPBTフィルムをさらに薄膜化でき、且つフィルムの膜厚の均一性及び透明性が向上する。好ましい冷延伸温度は55〜65℃である。係る一軸冷延伸の延伸率は、機械方向又は横方向に2倍以上とするのが好ましく、2〜6倍とするのがより好ましい。一軸冷延伸を行う場合は、機械方向に行うのが好ましい。係る逐次二軸冷延伸の延伸率は、面倍率で4倍以上とするのが好ましく、4〜16倍とするのがより好ましい。
【0040】
一般的にポリブチレンテレフタレートフィルムを、ガラス転移温度+60℃超の温度で延伸すると、延伸方向に結晶が配向するので、配向方向における引張強度、弾性率、剛性等は大幅に向上する。しかし配向していない方向における強度が低下するので、ガラス転移温度+60℃超の温度で逐次二軸延伸を行うとフィルムが裂けるといった問題がある。これに対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60℃以下の温度でポリブチレンテレフタレートフィルムを冷延伸した場合、ガラス転移温度+60℃超の温度で延伸した場合に比べて延伸方向への分子鎖の配向が少ない。このためガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60℃以下の温度で、インフレーションPBTフィルムに対して逐次二軸延伸を行ってもフィルムは裂けない。しかもガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60℃以下の温度で冷延伸することにより、一軸延伸を行った場合でも易裂性を生じない。またガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60℃以下の温度で冷延伸することにより、結晶が破壊されて微小な球晶が生成するので、フィルムの透明性が向上する。
【0041】
空冷インフレーション成形により得られたポリブチレンテレフタレートフィルムはチューブ状なので、一軸冷延伸をロール法で行う場合、又は逐次二軸冷延伸をロール法及びテンター法で行う場合には、チューブ状のポリブチレンテレフタレートフィルムを2つに切断した上で冷延伸を施す。チューブ状のインフレーションPBTフィルムを2つに切断するには、重ね折りされたシートの状態で、両端折部からシート面に対して水平にカッターで裂くか、又は横方向の両端耳部をスリッターで切り落とす。
【0042】
▲1▼ 空冷インフレーション成形、▲2▼ チューブ状インフレーションPBTフィルムの切断及び▲3▼ 冷延伸からなる工程は、空冷インフレーション成形後、2つに切断した各インフレーションPBTフィルムをそれぞれ一旦別の巻きフィルムとし、各巻きフィルムを順次巻き戻しながら冷延伸を行う逐次工程であってもよいが、上記▲1▼〜▲3▼の工程を一連のライン上で連続的に行うインライン工程であるのが好ましい。
【0043】
図3(a)及び(b)は、空冷インフレーション成形により得られたポリブチレンテレフタレートフィルムを予め2つに切断し、一旦巻きフィルムとした後、機械方向及び横方向に逐次二軸冷延伸するための装置の例を示す概略側面図((a))及び概略平面図((b))である。
【0044】
巻き出されたインフレーションPBTフィルム2は、機械方向延伸部4において遅駆動ロール41と、速駆動ロール42の間の加熱ロール43で機械方向に延伸される。機械方向に延伸されたPBTフィルム2は、テンター5(横方向延伸部)に入りフィルム両端が保持されたまま加熱され、横方向に延伸され、熱処理される。横方向にも延伸されたPBTフィルム2は、冷却塔27で冷却空気が吹き付けられることにより急冷される。
【0045】
機械方向の延伸は、図4(a)に詳細に示すように、最前部の遅駆動ロール41と、最後部の速駆動ロール42の間に、回転自在である加熱ロール43を多数配置し、それらの間にインフレーションPBTフィルム2を通し、遅駆動ロール41と速駆動ロール42との周速比を適宜設定することにより達成される。加熱ロール43の温度は、インフレーションPBTフィルムの温度が、そのガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60℃以下の温度となるように設定する。
【0046】
図4(b)及び(c)は、機械方向延伸部4の別の例を示す概略側面図である。図4(b)はニップロール式の例を示し、(c)はクローバーロール式の例を示す。いずれの方式でもインフレーションPBTフィルム2を複数の予備加熱用ロール43で予備加熱し、その後それぞれ加熱した遅駆動ロール41と速駆動ロール42との間で加熱延伸し、次いで複数の冷却用ロール44で冷却する。
【0047】
テンター5では、フィルムクリップローラー51を備えたチェーン(図示せず)がレール(図示せず)に沿ってエンドレスに循環する。テンター5は、予熱部、延伸部及び熱処理部の3部よりなる。機械方向に延伸されたPBTフィルム2は、予熱部、延伸部及び熱処理部のそれぞれにおいて、温風導入孔53から導入される温風が吹き付けられることにより加熱される。図3において、52はギヤを示し、54は温風をPBTフィルム2に均一に吹き付けるためのフードを示す。予熱部、延伸部及び熱処理部において噴出させる温風の温度は、各部を通るPBTフィルム2の温度が、それぞれガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60℃以下の温度に保持されるように設定する。冷却塔27による急冷は、延伸後のPBTフィルム2がガラス転移温度以下の温度となるようにする。
【0048】
インフレーションPBTフィルム2を機械方向又は横方向に一軸冷延伸するのみの場合は、以上説明した機械方向延伸部4又は横方向延伸部5のみでインフレーションPBTフィルム2を延伸した後、急冷すればよい。
【0049】
機械方向もしくは横方向への一軸冷延伸、並びに機械方向及び横方向への逐次二軸冷延伸は、図3に示すようなロール方式やテンター方式に限られるものではなく、チューブラー法等の方法も採用することができる。チューブラー法を採用する場合は、▲1▼ 空冷インフレーション成形及び▲2▼ 冷延伸からなる工程は、一連のライン上で連続的に行うインライン工程であるのが好ましい。
【0050】
図5は、空冷インフレーション成形、チューブ状インフレーションPBTフィルムの切断及び冷延伸を一連のライン上で連続的に行うためのインライン装置の例を示す概略側面図である。引取り機ニップロール13に挟まれて引き取られたチューブ状フィルム2は、折り畳まれたシートの状態で、カッター18により両端折部からシート面に対して水平に裂かれ、上下に分割された各インフレーションPBTフィルム2’,2’にはそれぞれ機械方向延伸部4,4において冷延伸が施される。図5に示すように、カッター18の前にエッジ・ポジション制御装置(EPC:Edge position control unit)8を設けるのが好ましい。これによりカッター18で切断する際に、インフレーションPBTフィルムの耳端位置(エッジ・ポジション)を常に一定位置に制御しておくことができるので、常にチューブ状インフレーションPBTフィルム2を均一に分割することができる。図5に示すエッジ・ポジション制御装置8は、二本のガイドロール81,81と、ガイドロール81,81を連結する連結軸82と、センサー83とを有し、センサー83からの指令によりガイドロール81,81の傾斜度が変化し、インフレーションPBTフィルム2の耳端位置(エッジ・ポジション)を常に一定に制御することができる。エッジ・ポジション制御装置としては、図示のものに限らず公知の他の制御機構のものも使用可能である。
【0051】
機械方向延伸部4,4では、加熱した遅駆動ロール45,45と、冷却した速駆動ロール46,46との間で、各インフレーションPBTフィルム2’,2’が冷延伸される。遅駆動ロール45,45の温度は、インフレーションPBTフィルムの温度が、そのガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60℃以下の温度となるように設定する。速駆動ロール46,46の温度は、インフレーションPBTフィルムのガラス転移温度以下、好ましくはガラス転移温度未満の温度に設定する。延伸率は、遅駆動ロール45,45と速駆動ロール46,46との周速比を適宜設定することにより調節すればよい。機械方向延伸部4,4の後に、図3に示すテンター5(横方向延伸部)を設け、さらに横方向への冷延伸ができる構成としてもよい。
【0052】
図5に示すようにヒーター19を設け、冷延伸後のフィルムを熱処理するのが好ましい。ヒーター19に代えて、ロール加熱による熱処理でも構わない。熱処理は、ポリブチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度超〜融点−50 ℃以下で行うのが好ましい。よってヒーター19の温度は、冷延伸後の各PBTフィルム2’の温度がガラス転移温度超〜ガラス転移温度−50 ℃以下の温度に保持されるように設定する。冷延伸後の熱処理により、透明性、引張強度、熱収縮率及び膜厚の均一性が一層向上するとともに、皺の発生も抑制される。熱処理をガラス転移温度+60 ℃以上〜融点−50 ℃以下で行うことにより、フィルムに直線的易裂性を付与することができる。フィルムに直線的易裂性を付与したくない場合は、熱処理をガラス転移温度超〜ガラス転移温度+60 ℃未満で行えばよい。このように熱処理温度を変えることにより、フィルムの直線的易裂性及びそれに伴う引裂き強度を変化させることができる。
【0053】
図5に示すインライン装置を用いることにより、▲1▼ 空冷インフレーション成形、▲2▼ チューブ状インフレーションPBTフィルムの切断及び▲3▼ 冷延伸からなる一連の工程を効率化することができる。なお図5において、17はニップロールを示す。
【0054】
(2) 同時二軸延伸法
図6は、本発明の同時二軸延伸法によるポリブチレンテレフタレートフィルムの製造工程を示す概略平面図である。押出機12に取り付けられたシート用ダイ(Tダイ)60から押し出された溶融樹脂が、加熱キャスティングロール61で引き取られ、除冷却されることにより非晶質シート6が形成される。得られた非晶質シート6は、加熱キャスティングロール61に続いて設けられた同時二軸延伸装置7で延伸され、その後急冷されることにより延伸フィルムとなる。
【0055】
ポリブチレンテレフタレート樹脂及び所望の添加剤、並びにこれらの混練に関する要件は、上記(1)で述べた空冷インフレーション成形の場合と同じであるので説明を省略する。
【0056】
押出機12中で溶融混練した溶融樹脂をシート用ダイ60から押し出す。押し出しにあたっては、押出機12から直接押し出すだけでなく、別の押出機を介してもよいし、或いは一旦冷却してペレット化した後再度押出機12を介してもよい。シート用ダイ60のギャップは通常5mm以下とする。シート用ダイ60から押し出す樹脂温度は210 〜250 ℃とするのが好ましく、220 〜230 ℃とするのがより好ましい。
【0057】
このようにしてシート用ダイ60から押し出した溶融樹脂を、加熱キャスティングロール61で引き取り、180℃以上〜195℃以下に除冷却することにより非晶質シート6を形成する。180℃以上〜195℃以下に保持した非晶質シート6を形成することにより、後続の同時二軸延伸に対する加工性が向上するので、高延伸化かつ薄膜化が容易になる。加熱キャスティングロール61と接触する前に、押し出された溶融樹脂の温度が200 ℃以下に低下しないように、シート用ダイ60と加熱キャスティングロール61間の距離を20 cm以下とするのが好ましい。加熱キャスティングロール61は、非晶質シート6の温度が180℃以上〜195℃以下となるように温度調整する。加熱キャスティングロール61の温度を200 ℃超とすると、溶融張力が低くなるため非晶質シート6の形成が困難となる。
【0058】
非晶質シート6の厚みを50 〜100μmとするのが好ましい。これにより後続の延伸工程による薄膜化が容易になる。非晶質シート6の厚みを50 〜100μmとし、かつ非晶質シート6形成の際のネックイン現象(ダイから押し出され、キャストされたシートがダイの有効幅よりも狭くなる現象)を極力抑制するには、加熱キャスティングロール61の周速を5 〜15 m/分とする。加熱キャスティングロール61の外径は35 〜70 cmであるのが好ましい。
【0059】
次いで図6に示すように、得られた非晶質シート6を150℃以上〜180℃以下で非晶質状態に保持しながら同時二軸延伸する。同時二軸延伸時に非晶質シート6を150℃以上〜180℃以下に保持しないと、適度な溶融張力を有さず、薄膜化できない。非晶質シート6を150℃未満としてしまうと、結晶化が進行するので、非晶質状態を保持できない。非晶質シート6を150℃以上〜180℃以下で非晶質状態に保持するための方法に特に制限はなく、熱風を吹き付けたり、電気ヒーターを用いたりする方法を挙げることができる。熱風を吹き付ける場合は、図3に示すテンター5が備えるフード54と同様なフードを介して、熱風を非晶質シート6の両面から吹き付けるのが好ましい。電気ヒーターを設ける場合は非晶質シート6の両面側に設けるのが好ましい。
【0060】
同時二軸延伸は、同時二軸延伸装置7において、非晶質シート6を、周速が異なる遅駆動ゴムロール74と速駆動ゴムロール75との間で機械方向に延伸するとともに、レール(図示せず)に沿ってエンドレスに循環するチェーン73に設けられたフィルムクリップローラー71により横方向に延伸することにより達成される。延伸倍率は非晶質シート6の厚みによって異なるが、機械方向及び横方向に2倍以上とするのが好ましく、機械方向及び横方向に2〜4倍とするのがより好ましい。機械方向の延伸率は遅駆動ゴムロール74と速駆動ゴムロール75との周速比を適宜設定することにより調整する。横方向の延伸率は図6中のαで示される角度により調整する。なお図6において、72はギヤを示す。
【0061】
同時二軸延伸後の延伸フィルム63は、冷却塔27で吹き付けられる冷却空気により、延伸フィルム63がガラス転移温度以下の温度となるように急冷される。同時二軸延伸後の延伸フィルム63を急冷するたとめの手段としては、冷却ロールと接触させる方法をとってもよい(図示せず)。
【0062】
[2] ポリブチレンテレフタレートフィルム
(1) インフレーションフィルム
上記[1](1)で述べた空冷インフレーション成形法により製造されたポリブチレンテレフタレートフィルムは、従来のインフレーション成形フィルムと比較して、膜厚の均一性に優れ且つ熱収縮率が低い。具体的には、平均膜厚8〜30μmのフィルムの膜厚差は1〜3μmであり、熱収縮率はMD(機械方向)0.1%以下、TD(幅方向)0.15%以下である[本明細書において、膜厚差とは、ポリブチレンテレフタレートフィルムの幅方向における中心部及び両端部の厚みをそれぞれ2点ずつ計6点測定し、そのうちの最大値と最小値との差を算出した値である。この値が小さいほうが良好な結果となることを意味する。また熱収縮率とは、ポリブチレンテレフタレートフィルムを150 ℃で10分間暴露したときのMD及びTDの収縮率をそれぞれ測定した値である。]。このためムラの少ない印刷層や金属蒸着層を形成することができる。またヒートシール、印刷等の二次加工においてフィルム寸法の変化が少ない。
【0063】
上記[1](1)で述べた空冷インフレーション成形法により製造されたポリブチレンテレフタレートフィルムの熱収縮率が上述のように低いのは、バブルのネック部からフロストラインまでの領域を除冷却し、縦(MD)横(TD)方向にほぼ均一に延伸するとともに、上部バブル領域をガラス転移温度超〜ガラス転移温度+65℃以下に保持するので、生じたバブルに歪み(ストレス)が生じていないためと考えられる。
【0064】
特に空冷インフレーション成形の後に、上記[1](1)で述べた冷延伸を施した平均膜厚3〜30μmのフィルムの膜厚差は1〜2μmであり、冷延伸方向の熱収縮率は1%以下である。しかも何れの方向にも易裂性が無く、機械的強度に優れる。
【0065】
冷延伸を施したポリブチレンテレフタレートフィルムは、冷延伸方向に延在する微細な無数の線状皺を有する。すなわち冷延伸を施したポリブチレンテレフタレートフィルムの表面凹凸をAFM(原子間力顕微鏡)により測定すると、凹凸構造の高低差は通常50 〜500nmであり、凹凸構造の幅(線状皺の頂点同士の間隔)は通常500〜20000nmである。但し機械方向及び横方向に逐次二軸冷延伸を行った場合には、先に行った冷延伸による線状皺は消失し、後に行った冷延伸による線状皺のみがポリブチレンテレフタレートフィルムの表面に残る。よって逐次二軸冷延伸を行ってもポリブチレンテレフタレートフィルムが有する線状皺の方向は一方向のみである。
【0066】
冷延伸を施したポリブチレンテレフタレートフィルムは、上述のような線状皺を有することにより、光を回折/散乱させる作用を有する。例えば線状皺を有するポリブチレンテレフタレートフィルムを通して電球等の光源を見ると、線状皺の方向に対して直角方向に、光源を中心として光源とほぼ同じ幅の一本の光の筋が観察される。このため線状皺を有するポリブチレンテレフタレートフィルムと光源とを組合せることにより、装飾用のイルミネーションライト等を作製することができる。線状皺を有するポリブチレンテレフタレートフィルムを、線状皺の方向が互いに異なるように複数枚貼合わせた積層体は、光の回折/散乱効果が大きい。そのような積層体は、透明フィルム上に電磁波シールド層を積層してなる透明電磁波シールドフィルムの透明フィルム層として有用である可能性がある。さらに線状皺を有するポリブチレンテレフタレートフィルムの積層体自体が電磁波シールドフィルムとして利用できる可能性がある。特に線状皺を有するポリブチレンテレフタレートフィルムを波板状に加工したものを複数枚貼合わせ、ハニカム構造体としたものは、光の回折/散乱効果が一層大きく、透明電磁波シールド性も高いと考えられる。そのようなハニカム構造体は防音材としても有用である可能性がある。
【0067】
(2) 同時二軸延伸フィルム
上記[1](2)で述べた同時二軸延伸法により製造されたポリブチレンテレフタレートフィルムは、透明であり、従来の延伸フィルムと比較して、膜厚の均一性に優れ且つ熱収縮率が低い。具体的には、平均膜厚8〜30μmのフィルムの膜厚差は1〜2μmであり、熱収縮率はMD(機械方向)0.25%以下、TD(幅方向)0.5%以下である。
【0068】
(3) 形状記憶性
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、例えば特願2002−303500号に記載されているように、形状記憶性を有する。ポリブチレンテレフタレートフィルムに特定の形状を記憶させるには、大きく分けて2つの方法がある。第1の方法では、ポリブチレンテレフタレートフィルムを、ガラス転移温度以下の温度Tで一次形状(I)に冷間加工後、ガラス転移温度を超える温度Tで二次形状(I)に保持しながら急速に焼きなまし、次いでガラス転移温度以下の温度Tまで急冷する。得られるフィルムは見かけ上二次形状(I)となるが、T以上の温度にするとほぼ一次形状(I)を回復する。ポリブチレンテレフタレートフィルムが、上記焼きなまし及び急冷工程で二次形状(I)に固定されてもT以上の温度下で一次形状(I)を回復する理由は定かではないが、例えば温度Tの冷間加工で高分子鎖の絡み合いにひずみが保持され、このひずみの大部分は温度Tでの焼きなましを急速に行えば緩和されないので、T以上の温度下で一次形状(I)を回復するといったことが考えられる。
【0069】
第2の方法では、ポリブチレンテレフタレートフィルムを、ガラス転移温度超〜融点未満の温度Tで外力をかけて加熱変形加工後、外力をかけない状態でガラス転移温度以下の温度Tにして一次形状(II)に固定し、さらにガラス転移温度超〜温度T未満の温度Tで外力をかけて加熱変形加工することにより二次形状(II)とし、二次形状(II)を保持したままガラス転移温度以下の温度Tにして二次形状(II)に固定する。これに外力をかけない状態で温度T以上〜融点未満の温度にするとほぼ一次形状(II)に回復する。ポリブチレンテレフタレートフィルムが、上記加熱変形加工及び冷却工程で二次形状(II)に固定されても、T以上の温度下で一次形状(II)を回復する理由は定かではないが、例えば温度Tの加熱変形加工ではポリマーの結晶化が促進され、かつ結晶化部分の絡み合いを引き起こして固定点を生じており、温度Tでの加熱変形加工で温度Tでの変形の一部が緩和されて二次形状(II)となるが、大部分の分子鎖の配向は変化しないので、形状記憶は保持されるといったことが考えられる。ポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶化度は通常20 〜30%程度である。またポリブチレンテレフタレート樹脂は、ガラス転移温度前後での弾性率変化が大きいことも形状記憶性に優れる要因の一つであると考えられる。
【0070】
上記[1]で述べた空冷インフレーション成形法及び同時二軸延伸法により製造された本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、上述のように膜厚の均一性に優れ且つ熱収縮率が低い。このため本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムに対して上記第1又は第2の方法により一次形状(I)又は(II)を記憶させると、二次形状(I)又は(II)に固定されても、それぞれの一次形状(I)又は(II)をほぼ再現でき、優れた形状回復能(形状記憶性)を示す。
【0071】
[3] 形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは形状記憶性に優れることから、包装材等の用途に有用である。しかし包装材として用いるには、紙シート、他の熱可塑性樹脂フィルム及び金属箔からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むフィルム状成形体と、ポリブチレンテレフタレートフィルムとを積層化した形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体とするのが好ましい。以下形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。
【0072】
(1) 製造方法
(a) 第1の製造方法
形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の第1の製造方法は、以下の(イ)〜(ハ)の工程を含む。
(イ) ポリブチレンテレフタレートフィルムとフィルム状成形体とを接着し、得られた積層体のポリブチレンテレフタレート面を接触面として冷間加工用ロールに摺接させながらポリブチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度以下の温度Tで処理し、もって冷間加工用ロールの外形に沿って冷間加工を施すことによりカール形状を示すカール性積層体を作製する。
(ロ) 得られたカール性積層体を二つのニップロール間で平坦に保持しながら、加熱空気と接触させることにより上記ガラス転移温度を超える温度Tで急速に焼きなまし、見かけ上ほぼ平坦にする。
(ハ) 見かけ上ほぼ平坦にしたカール性積層体を上記ガラス転移温度以下の温度Tまで急冷し、ほぼ平坦な状態を固定する。
【0073】
上記(イ)〜(ハ)の加工工程により製造された形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体は、T以上の温度下で形状回復能により実質的にカール形状を回復する。
【0074】
図7は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造するための装置の一例を示す概略側面図である。ポリブチレンテレフタレートフィルム原反を巻いたリール410から巻き戻されたフィルム401は、ガイドロール420を経て、グラビアロール421,421において一方の面に接着剤(例えばホットメルト)456が塗布され、乾燥炉423で接着剤層が乾燥される。その後、圧力調整ロール424を経て、ダイ422より押出された溶融ポリエチレン455を介して、フィルム状成形体413が接着層に重なりながら冷却ロール425とゴムロール425’との間を通る(押出ラミネーション)。得られた積層体は冷間加工用ロール426に摺接しながらポリブチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度以下の温度Tで冷間加工される。これにより積層体のポリブチレンテレフタレートフィルム層にカール性が付与される。冷間加工用ロール426の温度は、摺接する積層体のポリブチレンテレフタレート層の温度がTとなるように調節する。得られたカール性積層体411は二つのニップロール間427,427’で平坦に保持されながら、ヒーター429による加熱空気により、ガラス転移温度を超える温度Tで急速に焼きなまされ、次いで冷却ロール428と接触することにより上記ガラス転移温度以下の温度Tで冷却される。冷却ロール428の温度は、摺接する積層体のポリブチレンテレフタレート層の温度がTとなるように調節する。その後カール性積層体は、そのフィルム状成形体層を内側として巻き取りリールにより室温で巻き取られることにより巻きフィルム412(形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450)とされる。
【0075】
カール性積層体を平坦に保持しながらガラス転移温度を超える温度Tで急速に焼きなます処理は、冷間加工により付与したカール性を消失しない程度に行う必要がある。このため温度Tは45℃超 〜65℃以下であるのが好ましく、この温度範囲まで急速に加熱して30 〜60秒間焼きなます。二つのニップロール間427,427’で平坦に保持するためにかける張力は5〜10kgf/m幅とする。ヒーター429,429の温度設定は、カール性積層体411のポリブチレンテレフタレートフィルム層が温度Tに加熱されるようにする。図7では、ヒーター429,429によりカール性積層体411の両面から加熱しているが、カール性積層体411のポリブチレンテレフタレートフィルム層側にのみヒーター429を設置してもよい。ヒーター429から出る加熱空気を、ノズルを用いてカール性積層体411のポリブチレンテレフタレートフィルム層に吹き付けてもよい。
【0076】
得られた形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体は、T以上の温度条件下で放置又は処理することにより、カール形状を回復する。図7に示す例では、カール性積層体411を温度Tで冷却した後、そのフィルム状成形体層を内側として巻き取っている。上記(ロ)〜(ハ)の工程でほぼ平坦に固定されたカール性積層体411をさらに巻きフィルム412とすることにより、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450の保存時にほぼ平坦な状態を保持できる。そのため巻きフィルム412(形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450)を巻き戻す時のカール性積層体411はほぼ平坦である。
【0077】
冷間加工温度Tは、ポリブチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度以下であることを必須とするが、35℃以下であるのが好ましく、15 〜25℃であるのがより好ましい。焼きなまし後のカール性積層体411を冷却する温度Tは、上記ガラス転移温度以下であることを必須とするが、15 〜25℃であるのが好ましい。
【0078】
ポリブチレンテレフタレートフィルムに積層するフィルム状成形体は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の用途に応じて、紙シート、他の熱可塑性樹脂フィルム、金属箔等の中から適宜選択することができ、これらの組合せによる積層シートであってもよい。フィルム状成形体として、▲1▼ 紙シートと、接着剤層及び押出ラミネーションされたポリエチレン層からなる接着層と、シーラントフィルムとをこの順に有するものや、▲2▼ 紙シートと、接着剤層(イ)及び押出ラミネーションされたポリエチレン層(イ)からなる接着層(イ)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム層と、接着剤層(ロ)及び押出ラミネーションされたポリエチレン層(ロ)からなる接着層(ロ)と、シーラントフィルムとをこの順に有するもの等が挙げられる。
【0079】
冷間加工用ロール426へのポリブチレンテレフタレートフィルム401の巻き掛け方については、図7に示すようにポリブチレンテレフタレートフィルム401の巻き込み方向と巻き解き方向とがなす角度θを45 〜60°の範囲となるようにするのが好ましい。これによりポリブチレンテレフタレートフィルム401に十分なカール性を付与することができる。角度θを所望の値にするには、冷間加工用ロール426と圧力調整ロール424’との位置関係を適宜調整すればよい。
【0080】
ポリブチレンテレフタレートフィルム401とフィルム状成形体413とを冷却ロール425,ゴムロール425’の間を通して接着する時、圧力調整ロール424により、ポリブチレンテレフタレートフィルム401に通常4kgf/m幅以上の張力をかけながら行う。特にポリブチレンテレフタレートフィルム401に10 〜20 kgf/m幅の張力をかけることにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム401を弾性伸縮可能な伸度に、機械方向に延伸しながらフィルム状成形体413に接着できる。これによりポリブチレンテレフタレートフィルム401は、弾性復元力を保持した伸長状態でフィルム状成形体413に接着される。弾性復元力を保持した伸長状態とは、ポリブチレンテレフタレートフィルム401の延伸を固定する力を解いた時に、ポリブチレンテレフタレートフィルム401が原型に収縮しようとする力を保持している状態のことである。このため形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450のカール性を一層向上することができる。本明細書において、カール性とは、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450を反らした状態で維持できるデッドホールド性とは異なり、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450を反らすことができる性質を意味する。弾性伸縮可能な伸度とは、一般的に延伸によりポリブチレンテレフタレートフィルムに外観上皺が生じない程度に約1〜3%伸ばした伸度である。
【0081】
冷間加工用ロール426の直径は20 〜80cmであるのが好ましい。これによりポリブチレンテレフタレートフィルム401に十分なカール性を付与することができる。通常冷間加工用ロール426の周速は30 〜100 m/分とする。
【0082】
図7に示す例では、ポリブチレンテレフタレートフィルムとフィルム状成形体とを押出ラミネーション法により接着しているが、ドライラミネーション法により接着してもよい。また図7に示す例では、ポリブチレンテレフタレートフィルム401の片面のみにフィルム状成形体413を接着しているが、ポリブチレンテレフタレートフィルム401の両面にフィルム状成形体413を接着した上で、カール性を付与することも可能である。
【0083】
図8は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造するための装置の別の例を示す概略側面図である。なお図7に示す実施例と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この例においては、ポリブチレンテレフタレートフィルム401とフィルム状成形体413とを、ドライラミネーション法により接着すること以外は図7に示す例と同じである。接着剤層が設けられたポリブチレンテレフタレートフィルム401は、圧力調整ロール424を経て、フィルム状成形体413が接着層に重なりながら一対の加熱ロール438,438間を通る。よってポリブチレンテレフタレートフィルム401とフィルム状成形体413との間の接着層は接着剤層のみである。但し接着強度は強い方が好ましいので、図7に示す押出ラミネーション法によりポリブチレンテレフタレートフィルム401とフィルム状成形体413とを接着するのが好ましい。なおフィルム状成形体413に関しても、押出ラミネーション法又はドライラミネーション法のいずれにより形成してもよいが、押出ラミネーション法により形成するのが好ましい。
【0084】
(b) 第2の製造方法
形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の第2の製造方法は、以下の(ニ)〜(ヘ)の工程を含む。
(ニ) (i) ポリブチレンテレフタレートフィルムとフィルム状成形体とを接着することにより予め積層体を作製し、そのポリブチレンテレフタレートフィルム面を接触面として加熱ロールに摺接させながらポリブチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度超〜融点未満の温度Tで加熱処理し、もって加熱ロールの外形に沿って変形加工を施すか、又は(ii) ポリブチレンテレフタレートフィルムを加熱ロールに摺接させながら温度Tで処理し、もって加熱ロールの外形に沿って変形加工を施し、次いでフィルム状成形体と接着することにより、カール形状を示すカール性積層体を作製する。
(ホ) 得られたカール性積層体を、冷却ロール又は冷却空気と接触させて上記ガラス転移温度以下の温度Tで冷却する。
(ヘ) 次いでフィルム状成形体層を内側として室温で巻き取り、上記ガラス転移温度超〜温度T未満の温度Tで加熱処理し、上記ガラス転移温度以下の温度Tで冷却し、もって巻きフィルム状の形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を作製する。
【0085】
上記(ニ)〜(ヘ)の加工工程により製造された形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体は、T以上の温度下で形状回復能により実質的にカール形状を回復する。
【0086】
ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度は22 〜45℃と室温に近く、ガラス転移温度以上への加熱、ガラス転移温度未満への冷却操作が容易である。しかも融点が約230℃と高いので、ガラス転移温度から融点までの温度範囲が広く、温度Tと温度Tの差を大きくできる。そのため上記(ニ)〜(ヘ)の操作を容易に行うことができる。以下形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の第2の製造方法を図面を参照して詳細に説明する。
【0087】
図9は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を第2の製造方法により製造するための装置の一例を示す概略側面図である。この例では予めカール性を付与したポリブチレンテレフタレートフィルムにフィルム状成形体を接着する。ポリブチレンテレフタレートフィルム401の一方の面に接着剤422が塗布され、乾燥炉423で接着剤層が乾燥されるまでの工程は、図7に示す例と同じである。図9に示すように、接着剤層が乾燥された後のポリブチレンテレフタレートフィルム401は、圧力調整ロール424を経て、接着層を有しない面を接触面として加熱可能な変形加工用ロール430に摺接しながら上記温度Tで変形加工されることによりカール性が付与される。変形加工用ロール430の温度は、摺接する積層体のポリブチレンテレフタレート層の温度がTとなるように調節する。その後、フィルム状成形体413がポリブチレンテレフタレートフィルム401の接着層に重なりながら、変形加工用ロール430と、変形加工用ロール430に当接する当接ロール430’との間を通ることにより両者が接着される。得られたカール性積層体411は冷却ロール428と接触することにより上記ガラス転移温度以下の温度Tで冷却され、次いでカール性積層体のフィルム状成形体層を内側として巻き取りリールにより室温で巻き取られることにより巻きフィルム412とされる。冷却ロール428の温度は、摺接する積層体のポリブチレンテレフタレート層の温度がTとなるように調節する。得られた巻きフィルム412は上記ガラス転移温度超〜温度T未満の温度Tで加熱処理され、次いで上記ガラス転移温度以下の温度Tで冷却されることにより形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450が得られる。巻きフィルム412とした上で、温度Tで加熱処理し、次いで温度Tで冷却することにより上記積層体のカール形状は潜在化され、見かけ上ほぼ平坦な積層体となる。巻きフィルム412を加熱・冷却処理するための手段に限定はなく、例えば槽中に巻きフィルム412を入れ、槽の周囲をヒーターで加熱したり、冷却装置で冷却したりする方法が挙げられる。係るヒーターや冷却装置の温調は、巻きフィルム412の温度が温度T又は温度Tとなるようにする。
【0088】
得られた形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体は、温度T以上〜ポリブチレンテレフタレートフィルムの融点未満の温度で加熱処理されることにより、カール形状を回復する。なお図9に示す例では二次形状としてほぼ平坦な形状とするために、カール性積層体のフィルム状成形体層を内側として巻き取っているが、これによりフィルムを効率的に平坦にすることができる。
【0089】
変形加工用ロール430における加熱温度Tは、ポリブチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度超〜融点未満の温度であることを必須とするが、75 〜100℃であるのが好ましく、90 〜100℃であるのがより好ましい。冷却ロール428における冷却温度Tは上記ガラス転移温度以下の温度であることを必須とするが、40℃以下であるのが好ましい。カール性積層体411の冷却は、冷却ロール428を用いる代わりに冷却空気を用いるものであってもよい。巻きフィルム412を加熱処理するための温度Tは、上記ガラス転移温度超〜温度T未満であることを必須とするが、45 〜65℃であるのが好ましく、45 〜50℃であるのがより好ましい。また温度Tでの加熱処理は、24時間程度行うのが好ましい。巻きフィルム412を加熱処理した後の冷却温度Tは上記ガラス転移温度以下であることを必須とするが、40℃以下であるのが好ましい。
【0090】
変形加工用ロール430へのポリブチレンテレフタレートフィルム401の巻き掛け方については、図9に示すポリブチレンテレフタレートフィルム431の巻き込み方向と巻き解き方向とがなす角度θを45 〜60°の範囲となるようにするのが好ましい。これによりポリブチレンテレフタレートフィルム401に十分なカール性を付与することができる。角度θを所望の値にするには、変形加工用ロール430と圧力調整ロール424,424との位置関係を適宜調整すればよい。
【0091】
上記(a)で第1の製造方法について説明したように、ポリブチレンテレフタレートフィルム401とフィルム状成形体413とを変形加工用ロール430と、当接ロール430’との間を通すことにより接着する時、一対の圧力調整ロール424,424により、ポリブチレンテレフタレートフィルム401に通常4kgf/m幅以上の張力をかけながら行う。第1の製造方法と同様に、ポリブチレンテレフタレートフィルム401に10 〜20 kgf/m幅の張力をかけるのが好ましい。
【0092】
変形加工用ロール430の直径は60 〜80cmであるのが好ましい。これによりポリブチレンテレフタレートフィルム401に十分なカール性を付与することができる。通常変形加工用ロール430の周速は30 〜100 m/分とする。
【0093】
図10は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を第2の製造方法により製造するための装置の別の例を示す概略側面図である。なお図7に示す実施例と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この例では、ポリブチレンテレフタレートフィルムとフィルム状成形体とを接着することにより予め積層体を作製した後、そのポリブチレンテレフタレートフィルム層にカール性を付与する。ポリブチレンテレフタレートフィルム401とフィルム状成形体413とを一対の加熱ロール438,438により接着するまでの工程は、図8に示す例と同じである。得られた積層体は変形加工用ロール430に摺接しながらポリブチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度超〜融点未満の温度Tで変形加工される。これにより積層体のポリブチレンテレフタレートフィルム層にカール性が付与される。得られたカール性積層体411は冷却ロール428と接触することにより上記ガラス転移温度以下の温度Tで冷却され、次いでカール性積層体411のフィルム状成形体層を内側として巻き取りリールにより室温で巻き取られることにより巻きフィルム412とされる。得られた巻きフィルム412は上記ガラス転移温度超〜温度T未満の温度Tで加熱処理され、次いで上記ガラス転移温度以下の温度Tで冷却されることにより形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450が得られる。
【0094】
なお図10に示す実施例において、温度T〜Tに関する要件は図9に示す実施例と同じである。積層体411の巻き込み方向と巻き解き方向とがなす角度θを45 〜60°の範囲となるようにするのが好ましい。
【0095】
なお図10に示す例では、ポリブチレンテレフタレートフィルム401の片面のみにフィルム状成形体413を接着しているが、ポリブチレンテレフタレートフィルム401の両面にフィルム状成形体413を接着した上で、形状記憶性を付与することも可能である。
【0096】
(c) 第3の製造方法
図11は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造するための装置のさらに別の例を示す概略側面図である。なお図7に示す実施例と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。まずポリブチレンテレフタレートフィルムとフィルム状成形体とを押出ラミネーション法又はドライラミネーション法により接着し、ポリブチレンテレフタレートフィルムの片面又は両面にフィルム状成形体を有する積層体を形成する(図示せず)。得られた積層体414は、圧力調整ロール424,424を経て、トレイ形状を付与するための押し型430が押し当てられながら上記温度Tで冷間加工され、押し型430の外形に沿った変形が断続的に付与される。得られた変形積層体415は一対の焼きなまし用ロール431,431間に通され、上記温度Tで急速に焼きなまされることによりほぼ平坦化され、次いで冷却装置432,432により上記温度Tまで急冷される。ほぼ平坦化された変形積層体415は、押し型430と同型の巻き取りロール433によりコート用フィルム416と積層化されながら室温で巻き取られて巻きフィルムとされる。これにより押し型430の外形に沿った変形は潜在化されて見かけ上変形のない積層体となる。ポリブチレンテレフタレートフィルム401に押し型430を押し当てながら行う温度Tでの冷間加工は、10 〜60秒行えばよい。なお図11に示す例では、トレイ状の押し型430を用いているが、適宜形状記憶させたい所望の形状の押し型を用いることができる。
【0097】
(2) 形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の層構成
図12に示すように、代表的な形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体はポリブチレンテレフタレートフィルム層551、紙シート層552及びシーラントフィルム層554を備える。以下、各層について詳述する。
【0098】
(a) ポリブチレンテレフタレートフィルム層
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムを用いることにより、付与した形状を安定的に再現できる形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体が得られる。ポリブチレンテレフタレートフィルムの厚さは6μm以上であるのが好ましく、10 〜50μmであるのがより好ましく、10 〜30μmであるのがさらに好ましい。ポリブチレンテレフタレートフィルムの厚さが6μm以上であれば、十分な形状記憶能、保香性及びガスバリア性を有するとともに、光沢性及び印刷特性も良好である。
【0099】
形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を即席食品用容器の蓋体用の包装材として用いる場合、フィルム状成形体と接着する前のポリブチレンテレフタレートフィルムに対して、[4]で後述する方法により多数の実質的に平行な線状痕を形成しておくのが好ましい。これによりポリブチレンテレフタレートフィルムに直線的易裂性を付与することができ、蓋体を部分開封することが可能となる。
【0100】
(b) 紙シート層
形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体は、デッドホールド性付与層として紙シートからなる層も有するのが好ましい。紙シート層552の紙の種類は限定されず、合成紙も含む。紙シート層552の厚さは、約60〜110 g/mとするのが好ましく、約75〜90 g/mとするのがより好ましい。紙シート552の厚さが約60 g/m未満であると、紙シート552の腰が弱すぎて、十分なデッドホールド性を付与することができない。一方、紙シート552の厚さを約110 g/m超にしても、コスト高になるだけで、さらなるデッドホールド性の向上は認められない。
【0101】
(c) シーラントフィルム層
形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を即席食品用容器の蓋体に適用する場合、容器本体の上端フランジ部に熱シールするためのシーラントフィルム層554を形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体に設ける。シーラントフィルム層554は、ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム等により形成することができる。また蓋体を容器本体から容易に剥離できるように、シーラントフィルム554はイージーピール性を有するのが好ましい。そのために、シーラントフィルム554は比較的弱い熱接着性を有するのが好ましい。また熱シール用材料として公知のホットメルトも用いることができる。
【0102】
シーラントフィルム554として、例えば紙シート552側のポリエチレンベースフィルムと、容器本体の上端フランジ部側の低分子量ポリエチレンフィルムとの積層フィルムを使用することができる。このポリエチレンベースフィルムの厚さは約10〜40μmが好ましく、約20〜30μmがより好ましい。また低分子量ポリエチレンフィルムの厚さは約5〜20μmが好ましく、約7〜15μmがより好ましい。このような積層ポリエチレンフィルムは、例えば760FD(東レ合成フイルム(株)製)として市販されている。またシーラントフィルム554としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)とポリエチレンとの混合物からなるフィルムも使用することができる。この混合物からなるフィルムにおいて、ポリエチレンとしては線状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。この混合物からなるフィルムの厚さも約10〜40μmが好ましく、約20〜30μmがより好ましい。またホットメルト層の厚さは10〜50μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。
【0103】
またシーラントフィルム層554として、特願2002−183197号に開示のものを用いてもよい。特願2002−183197号に開示のシーラントフィルムは、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとを共重合して得られ、密度(JIS K6922)が0.870 〜0.910 g/cm、MFR(JIS K6921、190℃、2.16kg荷重)が1〜100 g/10分である直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体及びポリスチレンを含む樹脂組成物からなるものである。これにより容器本体のシール面がポリエチレン又はポリスチレンのいずれであっても、蓋体を熱シールすることにより密封性と易開封性を両立できるマルチシーラント層を形成することができる。
【0104】
直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体として、具体的には、エチレンと1種類の炭素数3〜18のα−オレフィンとを共重合して得られる2元共重合体、及びエチレンと2種類の炭素数3〜18のα−オレフィンとを共重合して得られる3元共重合体が挙げられる。炭素数が3〜18のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられ、単独で用いても2種以上用いてもよい。
【0105】
直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.870 g/cm未満ではブロッキング性が悪く、シーラントフィルム形成時の伸びや破断が起きる可能性があり、フィルムのカット性にも劣る。一方、密度が0.910 g/cmを超えると容器のシール面との接着性に劣る。好ましい密度は0.875 〜0.905 g/cmである。
【0106】
また直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、MFRが1 g/10分未満では溶融粘度が高すぎるため押出加工時の延展性が不足し、100 g/10分超だと溶融粘度が低すぎるためネックインが大きく、成形性に劣る。好ましいMFRは2〜80 g/10分である。
【0107】
直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のチタン系触媒またはメタロセン触媒を用いて重合して製造することができるが、重合触媒としてメタロセン化合物を用いて高圧イオン重合、気相重合又は溶液重合により製造した共重合体を用いるのが好ましい。
【0108】
メタロセン触媒としては、例えば特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、国際公開公報WO91/04257号明細書等に記載されているメタロセン触媒もしくはメタロセン/アルモキサン触媒、又は例えば国際公開公報WO92/07123号明細書等に開示されているようなメタロセン化合物と、かかるメタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物とからなる触媒を挙げることができる。
【0109】
このような直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、商品名「カーネルKF−360」、「カーネルKF−365」、「カーネルKC−650」(いずれも日本ポリケム(株)製)等が挙げられる。
【0110】
ポリスチレンとしては、いわゆる汎用ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂及びこれらの混合物を用いることができる。汎用ポリスチレン樹脂として、通常はスチレンホモポリマーを用いる。またゴム変性ポリスチレン樹脂とは、ブタジエンゴム等のゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマーを重合して得られるものである。ポリスチレンの分子構造としては直鎖型又は分岐型のいずれを用いても良い。ポリスチレンは、ジビニルベンゼン等の多官能性ビニルモノマーと共重合するか、又は多官能開始剤、多官能連鎖移動剤等を用いて重合することにより分岐型にすることができる。
【0111】
汎用ポリスチレン樹脂又はゴム変性ポリスチレン樹脂の重合に使用されるスチレン系モノマーとしては、スチレンが一般的であるが、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のアルキル置換スチレンも使用できる。ポリスチレンの具体例としては、商品名「PSP−G930」、「HIPS−475D」、「HIPS−HT516」(いずれもエーアンドエムポリスチレン(株)製)等が挙げられる。
【0112】
シーラントフィルムがポリスチレンを含むことにより、上記マルチシーラント層を形成できるだけでなく、引裂性向上効果、ブロッキング防止効果、帯電防止効果等も発現する。
【0113】
直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とポリスチレンとの配合割合は、(直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体):(ポリスチレン)の重量比が50:50 〜90:10であるのが好ましく、75:25 〜85:15であるのがより好ましい。
【0114】
直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とポリスチレンの合計を100重量%として直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の割合が90重量%を超えると、容器本体のシール面がポリスチレン樹脂である場合に、接着強度が十分でなくなる。一方ポリスチレンの割合が50重量%を超えると、シール面がポリエチレン樹脂層である場合に、接着強度が十分でなくなる。
【0115】
直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体及びポリスチレンを含む樹脂組成物は、接着性、フィルム強度等を調整するために、密度が0.910 〜0.940 g/cm、MFRが1〜50 g/10分のエチレン系樹脂をさらに含むのが好ましい。このようなエチレン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度エチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。エチレン系樹脂の配合割合は、シーラントフィルムを構成する樹脂組成物全体を100重量%として10 〜30重量%であるのが好ましい。樹脂組成物には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、帯電防止剤、着色剤、その他各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0116】
以上述べたような直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体及びポリスチレンを含む樹脂組成物からなるシーラントフィルムは、例えば直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリスチレン及びエチレン系樹脂を溶融しておき、Tダイから押し出す等の方法により成膜することができる。このようにして得られるシーラントフィルムの厚さは約10 〜40μmが好ましく、約20 〜30μmがより好ましい。
【0117】
易開封性(易引裂性)を付与するために、シーラントフィルム554にも[4]で後述する方法により、少なくとも一方の面に多数の実質的に平行な線状痕を形成してもよい。この場合蓋体の引裂方向とシーラントフィルムの線状痕方向が一致するようにシーラントフィルム層554を設ける。
【0118】
また易開封性(易引裂性)を付与するために、シーラントフィルム554の少なくとも引裂領域に無数の微細孔を設けてもよい。微細孔はシーラントフィルム554を貫通していても貫通していなくても良い。一般に微細孔は0.5 〜100μmの平均開口径を有し、かつ引裂領域での密度は約500個/cm以上であるのが好ましい。微細孔の密度が約500個/cm未満であると、引裂性が不十分である。なお微細孔密度の上限は技術的に可能な限りいくらでも良く、特に制限されない。シーラントフィルム554に微細孔を形成するには、例えば特許第2071842号や特開2002−059487号に開示の方法を採用する。
【0119】
(d) 遮光性インク層
形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体に遮光性が必要な場合、図14に示すように、遮光性インク層553を設ける。図14に示す例では、遮光性インク層553を予めポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに印刷したインク層形成PETフィルムを作成し、これをシーラントフィルム層554の外側面に設けている。このようなPETフィルムとして、例えば「エンブレットPC」(ユニチカ(株))として市販されている、一軸配向又は配向度が異なる二軸配向のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。また遮光性インク層553を、ポリブチレンテレフタレートフィルム層551の内側面に設けたり、紙シート層552の一方の面(例えば紙シート層552の内側面)に設けたりすることができる(図示せず)。遮光性インクは、例えばカーボンブラックのような黒色又は暗色の顔料又は染料を含むインクであれば、特に限定的ではない。遮光性インク層553の厚さはインク中の黒色顔料又は染料の濃度に依存するが、一般に紫外線及び可視光線を十分に遮断し得る程度であれば良い。本明細書において「外側面」及び「内側面」とは、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を即席食品用容器等の蓋体として用いた場合における容器に対する外側の面及び内側の面であることを意味する。
【0120】
(e) 層構成例
図12〜図14は、カール性の形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体550を即席食品用容器の蓋体用の包装材として用いる場合の層構成を例示する。図12に示す積層体は、基本構成としてポリブチレンテレフタレートフィルム層551と、紙シート552と、シーラントフィルム層554とからなる層構成を示す。ポリブチレンテレフタレートフィルム層551と紙シート552との間には接着剤層556と押出ラミネーションされたポリエチレン層(I)555とからなる接着層(I)があり、紙シート552とシーラントフィルム層554との間には接着剤層556’と押出ラミネーションされたポリエチレン層(II)555’とからなる接着層(II)がある。図12に示す層構成例の場合、ポリブチレンテレフタレートフィルム551及び接着層(I)(555及び556)からなる外側層と、接着層(II) (555’及び556’)及びシーラントフィルム554からなる内側層(A)との層厚比は、外側層/内側層(A)=100/35〜100/100であるのが好ましい。これにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム551のデッドホールド性を有効に機能させることができる。
【0121】
図13は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の剛性を高め、良好な形状記憶能を付与するために紙シート層552とシーラントフィルム層554との間にポリエチレンテレフタレート層557を設けた例を示す。なお図13において555’’は押出ラミネーションされたポリエチレン層(III)を示し、556’’は接着剤層(III)を示す。図14は、良好な遮光性を付与するためにポリエチレンテレフタレート層557の内側面に遮光性インク層553を設けた例を示す。
【0122】
図15及び図16は、ゼリー、プリン等の半固体状食品を収容するための容器に使用する蓋体を構成する形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の層構成の代表例を示す。図15に示す積層体は、基本構成としてポリブチレンテレフタレートフィルム層551と、剛性フィルム層層557と、シーラントフィルム層554とからなる。ポリブチレンテレフタレートフィルム層551と剛性フィルム層557との間には接着剤層(例えばホットメルト層)556があり、紙シート552とシーラントフィルム層554との間には接着剤層(例えばホットメルト層)556’がある。図16は、良好な遮光性を付与するために剛性フィルム層557の内側面に遮光性インク層553を設けた例を示す。
【0123】
半固体状食品を収容するための容器に使用する蓋体は、即席食品用容器に用いる蓋体のように注湯後の再封性が要求されないので、デッドホールド性の強い紙シートやアルミニウム箔を有しないことが多い。但しポリブチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンフィルムの2層のみを接着することにより積層体を構成すると、ポリブチレンテレフタレートフィルムに付与されたカール性がポリエチレンフィルムに吸収され易く、形状記憶性が不十分となる恐れがある。よってポリブチレンテレフタレートフィルム層とポリエチレンフィルム層とを有する形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造する場合は、ポリブチレンテレフタレートフィルム層とポリエチレンフィルム層との間にポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、ナイロンフィルム等の剛性フィルムからなる層を設けるのが好ましい。
【0124】
[4] 線状痕形成
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムに、以下に述べる方法により、少なくとも一方の面に多数の実質的に平行な線状痕を形成することにより、フィルムの配向性に関わらず一方向への直線的易裂性を付与することができる。これにより任意の部位から線状痕に沿って直線的に裂くことができる。直線的易裂性ポリブチレンテレフタレートフィルムを用いて包装袋を製造すると、一定の幅を維持しながら先細りのない帯状に開封できる。直線的易裂性ポリブチレンテレフタレートフィルムは線状痕が貫通していないので、ガスバリア性に優れる。上記[3]で述べた形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を即席食品用容器の蓋体用の包装材として用いる場合、フィルム状成形体と接着する前のポリブチレンテレフタレートフィルムに対して、線状痕を形成しておくのが好ましい。これにより蓋体を部分開封することが可能となる。
【0125】
直線的易裂性ポリブチレンテレフタレートフィルムは、連続走行するポリブチレンテレフタレートフィルムを、多数の微細な突起を有する線状痕形成手段に摺接させ、多数の実質的に平行な線状痕を形成することにより製造される。以下、直線的易裂性ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法を図面を参照して詳細に説明する。
【0126】
(1) フィルムに進行方向の線状痕を形成する場合
図17は、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に線状痕を形成するための装置の一例を示す概略側面図である。図17は、表面に多数の微細な突起を有するロール(以下「パターン・ロール」という)602を線状痕形成手段として用い、ノズル603を圧縮空気吹き付け手段として用いた例を示す。フィルム原反を巻いたリール607から巻き戻されたポリブチレンテレフタレートフィルム601は、ニップロール671を経て、パターン・ロール602に接触する際に線状痕が形成され、得られた直線的易裂性ポリブチレンテレフタレートフィルムはニップロール672、ガイドロール673及び674を経て、巻き取りリール675に巻き取られる。
【0127】
パターン・ロール602は、図18に示すようにその回転軸がポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅方向と並行となるように定位置に固定されており、軸線方向長さがポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅より長く、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅全体がパターン・ロール602に摺接するようになっている。
【0128】
張力調整ロールとしてニップロール671及び672をパターン・ロール602の前後に設けることよりパターン・ロール602を走行するポリブチレンテレフタレートフィルム601に張力を与えられるようになっている。さらに図18に示すように、ポリブチレンテレフタレートフィルム601がパターン・ロール602に摺接する面(摺接面)に、ノズル603により所定の風圧を伴った空気を吹き付けることにより、摺接面に均一な接触力をかけることができる。これによりフィルム面に均一な線状痕を形成することができる。ノズル603を用いてパターン・ロール602にポリブチレンテレフタレートフィルム601を押し付けることにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の厚みむらによる摺接面での接触不均一性を緩和することができる。パターン・ロール602にポリブチレンテレフタレートフィルム601を押し付ける手段としてゴムロールを用いると、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の厚みむらが原因となって摺接面での接触力が不均一となり、最悪の場合にはポリブチレンテレフタレートフィルム601が破損する恐れがある。このためブロワーやノズルのような空気吹き付け手段は、パターン・ロール602にポリブチレンテレフタレートフィルム601を押し付ける手段として、ゴムロールより優れている。
【0129】
パターン・ロール602は、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行速度より遅い周速で、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向の逆方向に回転させるのが好ましい。これによりフィルム皺の発生を防止できるとともに、線状痕の形成に伴い発生する削り屑がパターン・ロール602の表面に溜まるのを防止できるので、適切な長さ及び深さの線状痕を形成する上で好ましい。ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行速度は10 〜500 m/分とするのが好ましい。パターン・ロール602の周速(ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向と逆方向に回転させる速度)は、1〜50 m/分とするのが好ましい。
【0130】
パターン・ロール602としては、例えば特開2002−059487号に記載のものを用いることができる。これは金属製ロール本体の表面に鋭い角部を有する多数のモース硬度5以上の微粒子を電着法、又は有機系又は無機系の結合剤により付着させた構造を有する。金属製ロール本体は、例えば鉄および鉄合金、または表面にニッケルめっき層、クロムめっき層を被覆したもの等から形成される。モース硬度5以上の微粒子としては、例えばタングステンカーバイト等の超硬合金粒子、炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子、サファイア粒子、立方晶窒化ホウ素(CBN)粒子、天然又は合成のダイヤモンド微粒子等を挙げることができる。特に硬度、強度等が大きい合成ダイヤモンド微粒子が望ましい。微粒子の粒径は形成する線状痕の深さあるいは幅に応じて適宜選択する。微粒子の粒径は10〜100μmで、粒径のばらつきが5%以下のものが望ましい。微粒子を付着させる程度は、形成する線状痕同士の間隔が所望の程度となるように、適宜選択する。均一な線状痕を得るために、微粒子はロール本体表面に50%以上付着させることが望ましい。パターン・ロール602の具体例としては、鉄製のロール本体表面に鋭い角部を有する多数の合成ダイヤモンド微粒子が50%以上の面積率でニッケル系の電着層を介して結合・固定されているものが挙げられる。パターン・ロール602の外径は2 〜20 cmであるのが好ましく、3 〜10 cmであるのがより好ましい。
【0131】
パターン・ロール602としては、金属製ロール本体の表面に金属製針が微小間隔で縦横に規則的に埋め込まれている針歯ロールを用いることもできる。また線状痕形成手段としては、パターン・ロール602の他に、プレート状本体の表面に、上記のようなモース硬度が5以上で、鋭い角部を有する微粒子を表面に多数有するパターン・プレートを用いてもよい。
【0132】
図19はポリブチレンテレフタレートフィルム601がパターン・ロール602と摺接し、線状痕が形成される様子を示す部分拡大横断面図である。例えばパターン・ロール602の表面上の微粒子604のうち少なくとも一つの微粒子の角部がポリブチレンテレフタレートフィルム601の下面に切り込んでいくが、上述のようにポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行速度はパターン・ロール602が逆回転する周速より速いので、切り込んだ微粒子604の角部がポリブチレンテレフタレートフィルム601の下面から離れるまで一本の長い線状痕が形成される。
【0133】
圧縮空気吹き付け手段としては、図20(a)に示すように帯状の吹き出し口631を有するノズル(図17〜図19に示すものと同様)に代えて、図20(b)に示すように複数の吹き出し口631を有するノズルを用いてもよい。また図20(c)に示すようにフード632を有するノズルを用いてパターン・ロール602を覆う形で圧縮空気を吹き付けると、吹き出し口631から吹き出す圧縮空気が摺接面に到達するまでに拡散しにくいので、摺接面におけるポリブチレンテレフタレートフィルム601とパターン・ロール602の接触力を一層均一にすることができる。このような圧縮空気吹き付け手段により吹き付ける圧縮空気流の圧力は、0.05 〜5 kgf/cmであるのが好ましい。これにより摺接面におけるポリブチレンテレフタレートフィルム601とパターン・ロール602の接触力を均一にすることができる。より好ましい圧縮空気流の圧力は0.1 〜2 kgf/cmである。また吹き出し口631から摺接面までの距離は10 〜50 cmであるのが好ましい。圧縮空気は、少なくとも摺接面をカバーする範囲に均一に当たればよい。しかし、必要以上にブロワー又はノズルの吹き出し口631を大きくすると、適切な風圧を得るために要する圧縮空気の量が多くなるため好ましくない。
【0134】
定位置に固定したパターン・ロール602へのポリブチレンテレフタレートフィルム601の巻き掛け方については、図20(c)に示すポリブチレンテレフタレートフィルム601の巻き込み方向と巻き解き方向とがなす角度θを60 〜170°の範囲となるようにするのが好ましい。これにより線状痕の長さ及び深さが調整し易くなる。角度θは90 〜150°の範囲となるようにするのがより好ましい。角度θを所望の値にするには、パターン・ロール602の高さ位置を変更する等により、パターン・ロール602とニップロール671及び672との位置関係を適宜調整すればよい。またパターン・ロール602へのポリブチレンテレフタレートフィルム601の巻き掛け方及び外径に応じて、ニップロール671及び672によりポリブチレンテレフタレートフィルム601に与える張力とノズル603により与える風圧とを適宜調整し、所望の長さ及び深さの線状痕が得られるようにする。ニップロール671及び672によりフィルムに掛ける張力(幅当りの張力)については、0.01 〜5 kgf/cm幅の範囲となるようにするのが好ましい。
【0135】
線状痕の長さ及び深さは、所望の直線的易裂性の長さを満たすように、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の走行速度、パターン・ロール602の周速、ダイヤモンド微粒子604の粒子径、パターン・ロールの外径、ノズル603の風圧、ニップロール671及び672により与える張力等を適宜設定することにより、調整する。
【0136】
(2) フィルムに斜めの線状痕を形成する場合
図21は、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して斜めの線状痕を形成するための装置の一例を示す概略側面図である。図17に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。図21は、線状痕形成手段として、図22に示すようにフィルム幅方向に移動可能に設置された多数のパターン・ロール621a及び621bを備えている。
【0137】
パターン・ロール621a及び621bはそれぞれガイドレール661a及び661bに沿って、そのロール軸線方向がポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅方向と直交するように直線的に移動することができる。このような構成の装置を用いる場合は、パターン・ロール621a及び621bの軸線方向長さ及びロールの幅は5〜10 cm程度でよい。またパターン・ロール621a同士の隙間は、少なくともパターン・ロール621aのロール幅より狭くし、パターン・ロール621aの密度を高くするのが好ましい。これはパターン・ロール621bについても同様である。図22に示すように多数のパターン・ロール621a及び621bを備えることにより、摺接面におけるポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅全体がパターン・ロールにより常に実質的に覆われた状態で線状痕を形成できるので、線状痕を密に形成することができる。
【0138】
またパターン・ロール621a及び621bはその高さ位置を変化させながら移動できる機構を備える(図示せず)。このような機構として、例えばパターン・ロール621a及び621bを支える支持軸651a及び651bが上下する機構や、ガイドレール661a及び661bが上下する機構等が挙げられる。このような機構を備えることにより、パターン・ロール621a及び621bをポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して直交する方向への直線的移動を伴って繰り返し一定方向にのみ摺接させることができ、その結果ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して一定の斜めの線状痕を形成することができる。
【0139】
例えば、パターン・ロール621a及び621bが右方向に移動する時にのみポリブチレンテレフタレートフィルム601に摺接し、パターン・ロール621a及び621bが左方向に移動する時には高さを下げてポリブチレンテレフタレートフィルム601から離れるようにし、かつパターン・ロール621a及び621bのどちらか一方が常にポリブチレンテレフタレートフィルム601に接触するようほぼ交互に摺接するように制御プログラムを設定すればよい。これにより斜め方向に一定の線状痕を形成することができる。
【0140】
斜め方向の線状痕のフィルム進行方向に対する角度は、パターン・ロール621a及び621bを摺接させる速度とポリブチレンテレフタレートフィルム601の走行速度を適宜調整することにより変更可能である。またパターン・ロール621a及び621bは、ポリブチレンテレフタレートフィルム601との摺接面においてポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行に対して抗う方向に回転させる。回転させる速度は、上記(1)で述べたパターン・ロール602の周速と同程度でよい。
【0141】
図23(a)及び(b)はポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して斜めの線状痕を形成するための線状痕形成手段の別の例を示す。図23(b)は、図23(a)において(A)方向から見た図である。この例では、図23に示すようなパターン・ロールをガイドレールに沿わせる方法に代えて、多数のパターン・ロール622を接続したパターン・エンドレスベルト608を用いている。このようなパターン・エンドレスベルト608を図23(a)及び(b)のように一定方向に回転させながらポリブチレンテレフタレートフィルム601に摺接させることにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して斜めの線状痕を形成することができる。またこのようなパターン・エンドレスベルト608を用いる場合、なるべくパターン・ロール622の数を多くし、パターン・ロール622の密度を高くするのが好ましい。
【0142】
図24(a)及び(b)はポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して斜めの線状痕を形成するための線状痕形成手段の別の例を示す。この例では、軸線方向長さがポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅より長い2つのパターン・ロール623a及び623bを前後に並行に設置している。これによりパターン・ロール623a及び623bを、常に摺接面におけるポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅全体に摺接させることができる。軸線方向長さはポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅の2倍以上であるのが好ましい。
【0143】
パターン・ロール623a及び623bはガイドレール662a及び662bに沿って、その回転軸線方向に直線的移動可能に設置されている。またパターン・ロール623a及び623bは、高さ位置を変化させながら移動できる機構を備える(図示せず)。このような機構を備えることにより、パターン・ロール623a及び623bをポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅方向への直線的移動を伴って繰り返し一定方向に摺接させることができ、その結果ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して一定の斜めの線状痕を形成することができる。斜め方向の線状痕のフィルム進行方向に対する角度は、パターン・ロール623a及び623bを摺接させる速度とポリブチレンテレフタレートフィルム601の走行速度を適宜調整することにより変更可能である。なお652a及び652bはそれぞれパターン・ロール623a及び623bの支持軸を示す。
【0144】
(3) フィルムに幅方向の線状痕を形成する場合
図25は、ポリブチレンテレフタレートフィルム601に幅方向の線状痕を形成するための線状痕形成手段の一例を示す。この例では、多数のパターン・ロール624aを接続したパターン・エンドレスベルト608a、及び多数のパターン・ロール624bを接続したパターン・エンドレスベルト608bを用いるので、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の中心線609の両側で互いに中心線609に対する所定の角度を保ちながらポリブチレンテレフタレートフィルム601に摺接させることが可能である。
【0145】
このような構成の手段を用いて、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行速度、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の中心線609に対するパターン・エンドレスベルト608a及び608bの角度、パターン・エンドレスベルト608a及び608bの回転速度等の運転条件を適宜設定した上で、パターン・エンドレスベルト608a及び608bをポリブチレンテレフタレートフィルム601に摺接させることにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅方向への線状痕を形成することができる。この場合、ノズルもガイドレール663a及び663bに沿って2つ設ける(図示せず)。
【0146】
なお図25の構成では、上記運転条件の設定を適宜変更することにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して斜めの線状痕を形成することもできる。
【0147】
図26は、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅方向に線状痕を形成するための線状痕形成手段の別の例を示す。この例では、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の中心線609に対して所定の角度を保つようにガイドレール664a及び664bを設け、多数のパターン・ロール625a及び625bを備えている。
【0148】
パターン・ロール625a及び625bはその高さ位置を変化させながら移動できる機構を備える(図示せず)。このような機構を備えることにより、パターン・ロール625a及び625bをポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して斜め方向への直線的移動を伴って繰り返し一定方向にのみ摺接させることができる。そのためパターン・ロール625a及び625bを摺接させる速度とポリブチレンテレフタレートフィルム601の走行速度を適宜調整することにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅方向に一定の線状痕を形成することができる。またパターン・ロール625a及び625bは、ポリブチレンテレフタレートフィルム601との摺接面においてポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行に対して抗う方向に回転させる。回転させる速度は、上記(1)で述べたパターン・ロール602の周速と同程度でよい。
【0149】
図27(a)及び(b)は、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅方向に線状痕を形成するための線状痕形成手段の別の例を示す。図27(b)は係る線状痕形成手段の左側面を示す(図27(a)における(C)方向から見た図である)。この例では、軸線方向長さがポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅より長い2つのパターン・ロール626a及び626bを備えている。これによりパターン・ロール626a及び626bを、常に摺接面におけるポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅全体に摺接させることができる。軸線方向長さは少なくともポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅の2倍以上であるのが好ましい。なお653a及び653bはそれぞれパターン・ロール626a及び626bの支持軸を示す。
【0150】
パターン・ロール626a及び626bはそれぞれガイドレール665a及び665bに沿って、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の中心線609に対して所定の角度を保つように平行移動可能に設置されている。パターン・ロール626a及び626bはその高さ位置を変化させながら移動できる機構を備える(図示せず)。また軸線方向長さについて、パターン・ロール626bはパターン・ロール626aより長い。これによりパターン・ロール626a及び626bは互いに逆方向への進行時にすれ違うことが可能である。
【0151】
図27(a)に示すように、パターン・ロール626a及び626bの回転軸がポリブチレンテレフタレートフィルム601の中心線609に対して所定の角度を保ち、かつ回転軸線方向と直交する方向へ回転軸が平行移動するように所定の距離だけパターン・ロール626a及び626bを繰り返し一定方向にポリブチレンテレフタレートフィルム601に摺接させる。図27(a)の例では、パターン・ロール626a及び626bを回転軸線方向と直交する方向のうち、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行に抗う方向に摺接させている。所定の距離だけポリブチレンテレフタレートフィルム601に摺接したパターン・ロール626a及び626bは、図27(b)に示すように、高さを下げてポリブチレンテレフタレートフィルム601から離れ、摺接した時と逆方向に所定の距離だけ戻り、再び高さを上げてポリブチレンテレフタレートフィルム601との摺接を開始するようにし、かつパターン・ロール626a及び626bのどちらか一方が常にポリブチレンテレフタレートフィルム601に摺接するように制御プログラムを設定すればよい。
【0152】
このような構成の手段を用いて、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行速度、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の中心線609に対する回転軸の角度、パターン・ロール626a及び626bを摺接させる速度等の運転条件を適宜設定した上で、パターン・ロール626a及び626bをポリブチレンテレフタレートフィルム601に摺接させることにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の幅方向への線状痕を形成することができる。この場合図27(b)に示すように、ノズル603a及び603bを設け、パターン・ロール626a及び626bのポリブチレンテレフタレートフィルム601との摺接面の移動に合わせて、ノズル603a及び603bをリレー式に移動させるようにする。これによりパターン・ロール626a又は626bのポリブチレンテレフタレートフィルム601との摺接面に対して、常に空気を吹き付けることができる。
【0153】
なお図27(a)及び(b)の構成では、上記運転条件の設定を適宜変更することにより、ポリブチレンテレフタレートフィルム601の進行方向に対して斜めの線状痕を形成することもできる。
【0154】
[5] セラミック又は金属の蒸着
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムには、必要に応じて金属、セラミック等を蒸着したり、樹脂をコーティングしたりすることができる。蒸着するセラミックの具体例としてシリカ、アルミナ等が挙げられる。セラミック又は金属を蒸着することにより、ポリブチレンテレフタレートフィルムのガスバリア性が向上する。金属、セラミック等の蒸着は、公知の方法により行うことができる。金属、セラミック等を直線的易裂性ポリブチレンテレフタレートフィルムに蒸着する場合、フィルムの線状痕形成面又は非形成面のどちらに蒸着してもよい。
【0155】
[6] ポーラス化
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムに、多数の微細な貫通孔及び/又は未貫通孔を均一に形成することにより、ひねり性を付与することができる。微細孔は0.5 〜100μmの平均開口径を有し、かつ密度は約500個/cm以上であるのが好ましい。微細孔の密度が約500個/cm未満であると、ひねり保持性が不十分である。
【0156】
ポリブチレンテレフタレートフィルムに微細孔を形成するには、例えば特許第2071842号や特開2002−059487号に開示の方法を採用する。特許第2071842号に開示の長尺多孔質シーラントフィルムの製造方法は、鋭い角部を有する多数のモース硬度5以上の粒子が表面に付着された第一ロール(上記[4]で直線的易裂性ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法について説明したパターン・ロール602と同じもの)と、表面が平滑な第二ロールとの間に長尺シーラントフィルムを通過させるとともに、各ロール間を通過する長尺シーラントフィルムへの押圧力を各ロールと接触するフィルム面全体に亘って均一となるように調節することにより、第一ロール表面の多数の粒子の鋭い角部で長尺シーラントフィルムに50μm以下の径を有する貫通又は未貫通の孔を500個/cm以上の密度で多数形成するものである。第二ロールとしては、例えば鉄系ロール、表面にNiメッキ、Crメッキ等を施した鉄系ロール、ステンレス系ロール、特殊鋼ロール等を用いることができる。
【0157】
ポーラスポリブチレンテレフタレートフィルムは、ポリブチレンテレフタレートフィルムの優れた特性である耐熱性、保香性、耐水性等を失うことなく実用面の特性を維持し、良好な引き裂き性、ひねり性及びひねり保持性を具備した包装材として有用である。ポーラスポリブチレンテレフタレートフィルムを包装材として用いる場合、微細孔は貫通していないのが好ましい。
【0158】
[7] 形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の用途
上記[3]で述べた製造方法により得られる形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体は各種包装材として有用であり、特に即席食品用容器の蓋体に用いる包装材として好適である。
(1) 食品用容器の蓋体
(a) 即席食品用容器の蓋体
上記[3]で述べた方法により製造されるカール形状を記憶した形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を、即席食品用容器の蓋体用の包装材として用いると、アルミニウム箔等の金属を用いなくても、蓋体に十分なデッドホールド性(蓋を剥がした状態で維持できる性質)を付与することができる。形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を、即席食品用容器の蓋体に適用する場合、その層構成としては上記[3]で述べた図12〜図14に示すものが好ましい。
【0159】
即席食品用容器を製造する際、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体が蓋材シール装置により打ち抜き加工され、得られた蓋体は直ちに容器にヒートシールされる。ヒートシールにおいて、蓋体のシール部が蓋材シール装置のシールヘッドにより通常120 〜160℃に加熱され、そのとき蓋体のシール部以外の部分にも熱が加わるため、蓋体は容器にヒートシールされる時に上記T以上(すなわち上記T以上)の温度条件下で処理される。そのため蓋体はカール形状を回復し、容器にシールされている間は平坦であるが、容器から剥離することにより形状記憶によるカール形状を示す。すなわち図28に示すように、蓋体502のタブ部503を持って蓋体502を容器本体507からマーク540まで剥離すると、開封によりできたフラップ部はカールしたままに保持され、アルミニウム層を有さなくても十分なデッドホールド性を有する。特に上述のようにポリブチレンテレフタレートフィルムの弾性復元力を保持した伸長状態で紙シートに接着してあると、カール性が一層向上する。従って、そのまま熱湯を注ぐことができる。このようなカール性を有する蓋体は、即席食品用容器の蓋体の他に、ゼリー、プリン等の半固体状食品用容器の蓋体、コーヒーミルク等のポーションパック用の蓋体等の用途に好適である。
【0160】
蓋体をアルミニウムレスとすることにより、焼却処理するときの環境への悪影響を回避できる。容器本体もアルミニウムレスとすれば蓋体を密封後に金属探知機による金属系異物の探知を行うことができる。よって即席食品等の安全性をいっそう高めることができるのみならず、検査コストを著しく低減することができる。
【0161】
上記[4]で述べた直線的易裂性ポリブチレンテレフタレートフィルム層を有する形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を即席食品用容器の蓋体に適用した場合、図29に示すように、切り口504,504をタブ部503の両側に設けることにより、蓋体502を容易に部分開封することができる。蓋体502のタブ部503を指で掴んで蓋体502の反対側に引っ張ると、切り口504,504から蓋体502は直線的に引き裂かれ、蓋体502に開口部505ができる。引裂によりできたフラップ部506は十分なデッドホールド性を有し、カールしたままに保持される。従って、そのまま熱湯を開口部505に注げば良い。
【0162】
熱湯を注いだ後、フラップ部506を元の位置に戻すと、フラップ部506の片側又は両側の外縁に紙のギザギザの破断部506a(506a,506a)があるので、それが開口部505の紙のギザギザ505a(505a,505a)の破断部と係合し、フラップ部506は持ち上がらなくなる。なおこの場合開口部505の面積が従来の全面開封式の開口部より小さいのみならず、フラップ部506が開口部505に係止した状態にあるので、容器本体507を誤って転倒させても、熱湯が漏れる量は低減される。なお図29において560は乾燥麺を示す。
【0163】
容器本体507は、例えば紙、発泡スチロール等の合成樹脂により形成することができる。紙製容器本体の場合、焼却が容易であるのみならず、焼却時に環境に悪影響を及ぼすガスが発生しないという利点がある。また発泡スチロール製容器本体の場合、保温性に優れているという利点がある。容器本体507の形状は図示のものに限定されず、内容物の種類に応じて種々変更することができる。
【0164】
蓋体には、特願2002−351576号に記載のように、タブ部に切れ目又はスリット状貫通孔を設けることができる。これによりタブ部を持ち上げると蓋体は外周縁の他端方向に容易に開封でき、開封によりできたフラップ部はデッドホールド性により実質的にカールしたままであり、フラップ部を引き剥がし位置に戻した後、切れ目又はスリット状貫通孔を開口縁部に係止することにより再封できる。切れ目又はスリット状貫通孔は蓋体のシール部内よりも内側に入り込まず且つ開口縁部に係合できる位置に形成する。以下タブ部に切れ目又はスリット状貫通孔を設ける例について詳細に説明する。
【0165】
例えば図30及び図31に示す実施例では、非金属容器本体101の開口縁部111の外縁にほぼ沿った円弧状に形成されたスリット状貫通孔104が、タブ部103に設けられている。このため図32に示すように、蓋体102をめくった後、元の位置に戻し、舌片部131の内縁部を開口縁部111に係止させれば、蓋体102は持ち上がらなくなる。なお図32において、110はタブ部103を持って蓋体102を剥離する限界を示すマークである。
【0166】
図33に詳細に示すように円弧状のスリット状貫通孔104の内縁は蓋体のシール部102a(容器本体101の上端フランジ部111に熱シールされる部分)内に位置し、外縁は開口縁部111の外縁より外側に位置している。一般的にスリット状貫通孔104は、この内縁がシール部102a内よりも内側に入り込まず、且つスリット状貫通孔104の外縁とタブ部103の外縁とで形成される舌片部131の内縁部が開口縁部111に係合できる位置に設けられていればよい。スリット状貫通孔104の内縁が蓋体102のシール部102a内かそれよりも外側に位置していなければならない理由は、開封前には蓋体102が少しの隙間もなく容器本体101に熱シールされていなければならないからである。
【0167】
連続した積層フィルムを打ち抜いて蓋体102を高速で製造する場合の公差は約1mm程度であるので、スリット状貫通孔104の内縁は蓋体102のシール部102aの中心線102a’に関して外周側であるのが好ましく、外周側からシール部102aの幅Dの30〜50%の範囲内であるのがより好ましい。
【0168】
スリット状貫通孔104のスリット幅d及び両端の間隔dは、スリット状貫通孔104とタブ部103の外縁とで形成される舌片部131の内縁部が開口縁部111に係合できるように、開口縁部111の外径、開口縁部111の厚み、タブ部103の大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。例えばお湯を注ぐカップ麺の場合、容器本体101の開口縁部111の外径を約10 cmとし、開口縁部111の厚みを3 mmすると、スリット幅dを約1〜4mmとし、両端の間隔dを約3〜6cmとするのが好ましい。以下、スリット状貫通孔104又は切れ目104が異なる蓋体102の別の実施例について後述するが、いずれの実施例においてもスリット状貫通孔104のスリット幅及び両端の間隔、並びに切れ目104の両端の間隔についての要件は、図33について述べたdやdと同じである。
【0169】
図34に示すように、蓋体102には引裂始点としてタブ部103の両側に一対の切り口105,105を設けてもよく、また図35に示すようにタブ部103の一方の側に切り口105を設けてもよい(以下特段の断りがない限り「切り口105」及び「一対の切り口105,105」をまとめて「切り口105」と称する)。これにより蓋体102を容易に開封することができる。引裂始点としての切り口105は、引裂が容易に始まるような形状であれば特に限定されず、例えばI字型ノッチとしたり、V字型ノッチにしたりすることができる。一対の切り口105,105を設ける場合、その間隔Dは、内容物の種類に応じて適宜設定することができる。例えばお湯を注ぐカップ麺の場合、容器本体101の開口縁部111の外径を約10 cmとすると、切り口105,105の間隔Dを約4〜5cmとするのが好ましい。なお喫食時に蓋体102を全面開封するために、図35に示すように蓋体102に第二のタブ部132をタブ部103と反対側の外周縁に一体的に設けても良い。
【0170】
図36は、切れ目又はスリット状貫通孔を備えた蓋体102の別の実施例を示す。この例では、スリット状貫通孔104に代えて、開口縁部111の外縁と略同一の円弧状切れ目104が設けられている。切れ目104以外では蓋体102は図30〜図33に示す実施例と同じで良いので、図30〜図33に示す蓋体102と同じ部分には同じ参照番号を付してある。円弧状切れ目104は蓋体のシール部102a内かそれよりも外側であれば、円弧状切れ目104とタブ部103の外縁とで形成される舌片部131の内縁部が開口縁部111に係合できる位置に設けることができる。好ましくは、蓋体102のシール部102aの中心線102a’に関して外周側の位置である。図36に示すような円弧状切れ目104を設ける場合、その両端には図37に示すようにエッジ切れ防止用の円形の切れ込み141,141を設けるのが好ましい。
【0171】
図38は、切れ目又はスリット状貫通孔を備えた蓋体102のさらに別の実施例を示す。この例では、スリット状貫通孔104が開口縁部111側に湾曲した円弧状に形成されている。なお図30〜図33に示す蓋体102と同じ部分には同じ参照番号を付してある。開口縁部111側に湾曲した円弧状のスリット状貫通孔104は、その内端がシール部102a内かそれよりも外側にあれば、これとタブ部103の外縁とで形成される舌片部131の内縁部が開口縁部111に係合できる位置に設ければよいが、両端部は開口縁部111の外縁かそれより外側に位置するのが好ましい。
【0172】
図39は、切れ目又はスリット状貫通孔を備えた蓋体102のさらに別の実施例を示す。なお図30〜図33に示す蓋体102と同じ部分には同じ参照番号を付してある。この例では、切れ目104が開口縁部111側に湾曲した円弧状に形成されている。開口縁部111側に湾曲した円弧状の切れ目104を設ける位置は、図38に示すスリット状貫通孔104と同様でよい。
【0173】
以上述べた切れ目104やスリット状貫通孔104を図40及び図41に示すようにミシン目状としてもよい。これらの場合、開封によりできたフラップ部を引き剥がし位置に戻し、舌片部131の内縁部を下側に押し込んでミシン目を切断することにより、舌片部131の内縁部を開口縁部111に係止することができる。
【0174】
図42は、切れ目又はスリット状貫通孔を備えた蓋体102のさらに別の実施例を示す。この例では切れ目104は実質的にコの字状に形成されている。なお図30〜図33に示す蓋体102と同じ部分には同じ参照番号を付してある。コの字状切れ目104は直線部142,142と、両直線部142,142を蓋体のシール部102a内で連結する連結部143とからなり、コの字状切れ目104の直線部142,142の先端は開口縁部111の外側に位置している。蓋体102と容器本体101とのシールを確保するために、コの字状切れ目104の連結部143が蓋体のシール部102a内に入り込んだ位置は、蓋体のシール部102aの中心線102a’に関して外周側に位置するのが好ましく、シール部102aの幅の30〜50%の範囲内であるのがより好ましい。コの字状切れ目104は2〜4個形成するのが好ましい。なお各コの字状切れ目104が「実質的にコの字」であるとは、正確にコの字である必要はなく、コの字又はUの字のように一対の直線部と連結部とからなる形状であれば良いことを意味する。
【0175】
図43及び図44は、切れ目又はスリット状貫通孔を備えた蓋体102のさらに別の実施例を示す。これらの例では切れ目104は波型状に形成されている。なお図30〜図33に示す蓋体102と同じ部分には同じ参照番号を付してある。波型状の切れ目104は、その内端がシール部102a内かそれよりも外側であれば、これとタブ部103の外縁とで形成される舌片部131の内縁部を開口縁部111に係止できる位置に設ければよいが、波型の凹凸が蓋体のシール部102a内及び開口縁部111より外側の両領域に渡るように設けるのが好ましい。波型の形状は図示のものに限定されず、適宜変更を加えることができる。なおコの字状切れ目104及び波型状切れ目104についても、上述のようにミシン目状としてもよい。
【0176】
図45及び図46は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を即席食品用容器の蓋体に適用した別の実施例を示す。これは特願2002−264398号に記載の湯切り可能な即席食品用容器の蓋体に、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を適用した例である。図45及び図46に示す実施例では、蓋体202は実質的に円形状であり、タブ部203と、タブ部203に設けられた一対の切れ目204,204により形成された茸状フラップ部203aとを有する。
【0177】
図47に詳細に示すように、切れ目204,204は、タブ部203の外縁から蓋体202のシール部212内まで略L字状に延びて茸状フラップ部203aを形成する略L字部204aと、略L字部204aの先端から蓋体202の外縁と同心円状に延びる円弧部204bとからなり、切れ目204,204の円弧部204b,204bはそれらの先端241,241が互いに離れる方向に延びている。
【0178】
一対の切れ目204,204の円弧部204b,204bはいずれも、蓋体202のシール部212(容器本体201の上端フランジ部201aに熱シールされる部分)内に位置していなければならない。というのは、(イ) 開封前は蓋体202は少しの隙間もなく容器本体201に熱シールされていなければならず、かつ(ロ)茸状フラップ部203aを持って蓋体202を剥離する時には、茸状フラップ部203a及びそれに続く帯状フラップ部206だけが剥離するように、タブ部203の舌片部203bを始めとするその他の部分は容器本体201に密着していなければならないからである。
【0179】
図48は蓋体202が開封された状態を示す。蓋体202は茸状フラップ部203a及び一対の切れ目204,204の円弧部204b,204bを有するので、容易に帯状に開封することができる。茸状フラップ部203a及びそれに続く帯状フラップ部206が剥離した後には、舌片部203b,203bは、容器本体201の上端フランジ部201aに密着したまま残留する。
【0180】
蓋体202をめくった状態で熱湯を注ぎ、図49に示すように、茸状フラップ部203aと帯状フラップ部206を元の位置に戻し、茸状フラップ部203aを舌片部203b,203bに係止させるとともに、帯状フラップ部206の外縁破断部206a,206aを開口部205の側縁破断部205a,205aに係合させれば、帯状フラップ部206は持ち上がらなくなる。
【0181】
これに対して、一対の切れ目204,204の円弧部204b,204bが蓋体202のシール部212内の位置にないと舌片部203b,203bが容器本体201に密着しないため、その位置が変わり易く、茸状フラップ部203aを舌片部203b,203bに係止させにくい。
【0182】
連続した積層フィルムを打ち抜いて蓋体202を高速で製造する場合の公差は約1mm程度であるので、一対の切れ目204,204の円弧部204b,204bはいずれも、蓋体202のシール部212の中心線212aに関して外周側であるのが好ましく、外周側からシール部212の幅Dの30〜50%の範囲内であるのがより好ましい。
【0183】
一対の切り口204,204の先端241,241の間隔dは、内容物の種類に応じて適宜設定することができる。また茸状フラップ部203aは指で摘んで蓋体202を引き裂くのに十分な大きさであれば良い。この時茸状フラップ部203aの柄状部232は、茸状フラップ部203aを持って蓋体202を剥離するのに十分な強度を有すればよいが、その最小幅dは、一対の切り口204,204の先端241,241の間隔d及び茸状フラップ部203aの傘状部231の最大幅dに応じて適宜変更するのが好ましい。例えばお湯を注ぐカップ麺の場合、容器本体201の開口縁部201aの外径を約10 cmすると、切り口204,204の先端241,241の間隔dを約4〜5cmとし、茸状フラップ部203aの傘状部231の最大幅dを約2〜3cmとし、柄状部232の最小幅dを約1〜1.5cmとするのが好ましい。茸状フラップ部203aの形状は図示のものに限定されず、その趣旨を変更しない限り種々の変更を加えることができる。
【0184】
図50及び図51は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を即席食品用容器の蓋体に適用した別の実施例を示す。これは特願2002−161680号に記載の湯切り可能な即席食品用容器の蓋体に、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を適用した例である。図50及び図51に示す実施例では、蓋体302は実質的に円形状であり、第一のタブ部3と第二のタブ部304とはほぼ直径方向に対向する位置に設けられている。第一のタブ部303は湯切り口形成用であり、第二のタブ部304は蓋体302の開封用である。
【0185】
第一のタブ部303は、その両端部付近に設けられた一対の直線状切れ目305a,305bと、両直線状切れ目305a,305bの間に等間隔に形成された複数の実質的にコの字状の切れ目306とを有する。図52に詳細に示すように、各コの字状切れ目306は、一対の直線部306a,306aと、それらの連結部306bとからなり、切れ目306のコの字は、その開口部が蓋体302の内側に向くように配向している。そのため、一対の直線状切れ目305a,305b及び各コの字状切れ目306の直線部306aの先端は、いずれも蓋体302の内側に向いている。なお各切れ目306が「実質的にコの字」であるとは、正確にコの字である必要はなく、コの字又はUの字のように一対の直線部と連結部とからなる形状であれば良いことを意味する。
【0186】
図52(a) に詳細に示すように、一対の直線状切れ目305a,305b及び各コの字状切れ目306の直線部306aの先端はいずれも、蓋体302のシール部312(容器本体301の上端フランジ部301aに熱シールされる部分)内に位置していなければならない。というのは、(イ) 開封前は蓋体302は少しの隙間もなく容器本体301に熱シールされていなければならず、かつ(ロ) 湯切り口の形成のために第一のタブ部303を持って蓋体302を剥離する時には、図中にハッチングで示した部分315だけが剥離するように、その他の部分は容器本体301に密着していなければならないからである。
【0187】
図52(b) はハッチング部分315が開封された状態を示す。ハッチング部分315が剥離した後には、コの字状切れ目306により囲まれた部分及びその延長部分からなる帯片部316は、容器本体301の上端フランジ部301aに密着したまま残留する。これに対して、一対の直線状切れ目305a,305b及び各コの字状切れ目306の直線部306aの先端が蓋体302のシール部312内の位置にないと、第一のタブ部303を持って蓋体302を剥離する時に、一対の直線状切れ目305a,305b及び各コの字状切れ目306の直線部306aのそれぞれ延長線に沿って蓋体302が引き裂かれず、帯片部316も剥離されてしまう。
【0188】
連続した積層フィルムを打ち抜いて蓋体302を高速で製造する場合の公差は約1mm程度であるので、一対の直線状切れ目305a,305b及び各コの字状切れ目306の直線部306aの先端はいずれも、蓋体302のシール部312の中心線312aに関して外周側であるのが好ましく、外周側からシール部312の幅Dの30〜50%の範囲内であるのがより好ましい。
【0189】
第一のタブ部303を持って蓋体302を剥離する時に、一対の直線状切れ目305a,305b及び各コの字状切れ目306の直線部306aのそれぞれ延長線に沿って蓋体302が直線的に引き裂かれるようにする観点から、直線状切れ目305a,305b及び各コの字状切れ目306の直線部306aの方向は、蓋体302の易引裂方向と実質的に一致している必要がある。
【0190】
コの字状切れ目306の数は、一対の直線状切れ目305a,305bの間隔、及びコの字状切れ目306の幅等により適宜決められるが、焼きそばの場合には麺の太さ等を考慮して、1〜6個が好ましく、2〜5個がより好ましい。例えば図53は、正確なコの字型の切れ目306を2個設けた蓋体302の一例を示す。
【0191】
直線状切れ目305a,305bとそれから最も近いコの字状切れ目との間隔d及びコの字状切れ目306同士の間隔dは、3〜10 mmであるのが好ましく、コの字状切れ目6の幅dは3〜10 mmであるのが好ましい。
【0192】
蓋体302には、第一のタブ部303を持って蓋体302を剥離する限界を示すマーク308を設けるのが好ましい。マーク308まで蓋体302を剥離すると、蓋体302及び複数の帯片部316により形成された複数の湯切り口318ができる。湯切り口318の長さはマーク308の位置により決まるので、容器内の即席食品(焼きそば等)が漏れずに効率よく湯切りができるように、マーク308の位置を決める。一般的に湯切り口318の長さは3〜10 mmであればよい。
【0193】
第二のタブ部304は、容器内の即席食品に熱湯を注ぐために蓋体302を開封するためのものである。第二のタブ部304の位置は限定的ではないが、図50及び図51に示す円形の蓋体302の場合、第一のタブ部303と直径方向に対向する位置に設けるのが好ましい。また図50及び図51に示すように、蓋体302の適当な位置に設けたマーク310まで蓋体302を容器本体301のフランジ部301aから全面的に剥離する方式でも良いが、図54に示すように部分的に剥離する方式にしても良い。この場合、第二のタブ部304の両端部付近に一対の切れ目304a,304aを設けておく。第二のタブ部304を持って蓋体302を容器本体301から剥離すると、蓋体302は切れ目304a,304aからそれらの延長線304b,304bに沿って引き裂かれる。延長線304b,304b上に適当なマーク310を設けておけば、そこで引き裂を止めることができる。
【0194】
またマーク310として、図55に示すようなU字型の一対の切り口310を設けても良い。これによりマーク310まで蓋体302を剥離した時に、剥離を停止すべき位置の確認が容易になるとともに、一対のマーク310を結ぶ線310’に沿って蓋体302が屈曲し易くなるので、剥離を容易に止めることができる。なおこのような一対の切り口310の型に限定はなく、例えばV字型のものでも良い(図示せず)。さらにマーク310として、切れ目を設けてもよい(図示せず)。
【0195】
図56は、湯切り口を有する蓋体302のさらに別の実施例を示す。なお図51及び図52に示す蓋体302と同じ部分には同じ参照番号を付してある。この例においては、図51及び図52に示す蓋体302と同様に、各第一のタブ部303は湯切り口形成用である。但し、この例では各第一のタブ部303を一つずつ引裂く。
【0196】
各第一のタブ部303は、その両端部付近に設けられた一対の直線状切れ目305a,305bを有する。図57(a)に詳細に示すように、一対の直線状切れ目305a,305bの先端はいずれも、蓋体302のシール部312内に位置していなければならない。これにより各第一のタブ部303を持って蓋体302を引裂いた時に、図57(b)に示すように図中にハッチングで示した部分315だけを容易に引裂くことができ、帯片部316が容器本体1の上端フランジ部301aに密着したまま残留する。
【0197】
第一のタブ部303の数は、一対の直線状切れ目305a,305bの間隔、帯片部316の幅等により適宜決められるが、焼きそばの場合には麺の太さ等を考慮して、1〜6個 が好ましく、3〜5個がより好ましい。また第一のタブ部303は指で摘んで蓋体302を引き裂くのに十分な大きさであれば良い。第一のタブ部303の型に限定はなく、例えば図56に示すような実質的にコの字状のものが挙げられる。
【0198】
図58は湯切り口を有する蓋体を備えた即席食品用容器の別の例を示す斜視図である。なお図50に示す実施例と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。この例では、蓋体302は実質的に長方形状であり、第一のタブ部303と第二のタブ部304とはほぼ対角線方向に対向する位置に設けられている。
【0199】
図59は湯切り口を有する蓋体302のさらに別の実施例を示す。なお図51及び図52に示す蓋体302と同じ部分には同じ参照番号を付してある。この例では、実質的に長方形状の蓋体302の一方の短辺のほぼ中央に第一のタブ部303が設けられており、第二のタブ部304は他方の短辺の対向する位置に設けられている。マーク308は直線状切れ目305a,305bの延長線308a,308a上に設けられており、蓋体302を延長線308a,308aに沿ってマーク308まで引き裂けばよい。
【0200】
図60は湯切り口を有する蓋体302のさらに別の実施例を示す。なお図54及び図59に示す蓋体302と同じ部分には同じ参照番号を付してある。この例では、実質的に長方形状の蓋体302の一方の長辺のほぼ中央に第一のタブ部303が設けられており、第二のタブ部304は他方の長辺の対向する位置に設けられている。
【0201】
図50〜図61に示す容器は密封性及び湯切り性が良く、低コストであり、湯を注いだ後湯切りする必要がある焼きそば用の容器として特に有用である。図50〜図60に示す容器の蓋体の第二のタブ部304に、図30〜図44に示す切れ目又はスリット状貫通孔を設けてもよい。
【0202】
蓋体は、例えば図61に示すように、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる積層シート550を打ち抜き加工することにより、一度に複数枚製作する。打ち抜き加工はロールカッター等を用いて行うことができる。蓋体502に一対の切り口を設ける場合は、一対の切り口の方向は長尺紙シートの長手方向(ポリブチレンテレフタレートフィルムが上記[4]で述べた線状痕を有する場合は、その線状痕方向)と一致するようにする(図示せず)。なお打ち抜き加工は多数枚重ねた積層シートに対して行なってもよい。
【0203】
(b) 半固体状食品用容器の蓋体
図62及び図63は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を、ゼリー、プリン等の半固体状食品を収容するための容器の蓋体に適用した例を示す斜視図である。形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を、半固体状食品用容器の蓋体に適用する場合、その層構成としては上記[3]で述べた図15及び図16に示すものが代表的である。図62に示すように、密封状態において、容器507にシールされている蓋体502は平坦である。しかし蓋体502は容器507にヒートシールされる時にカール形状を回復している(但し見かけ上は平坦である)ので、図15及び図16について述べた紙シートやアルミニウム箔を有しない形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体502は、容器507から剥離されることにより、図63に示すように形状記憶によって強くカールする。容器本体507は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂により形成することができる。容器本体507の形状は図示のものに限定されず、内容物の種類に応じて種々変更することができる。
【0204】
(c) ヒートシール方法
上記[3]に記載の方法により得られる形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体450は、その製造工程において見かけ上ほぼ平坦とされ、さらに巻きフィルム412として保管されているので、これを巻き出す時には見かけ上ほぼ平坦である。しかし形状回復温度が比較的低い場合、保管が長期にわたる場合、上記[3]で述べたフィルム状成形体に接着する際の張力の影響が強い場合、夏場の高温期に保管された場合等には、保管時に除々にカール形状が回復していたり、保管時の巻きにより形状記憶によるカール形状とは反対側に反る癖が付いていたりすることがある。特にデッドホールド性の強い紙層やアルミニウム箔層等を有さない形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の場合、上記要因により平坦性を消失しやすい。
【0205】
蓋体付き容器は、上記[3]に記載の方法により得られる形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を打ち抜き加工し、容器にヒートシールすることにより製造されるが、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を巻き出した時にほぼ平坦でないと、容器へのヒートシールができないか、できても蓋体がたわんだ不良品となってしまう。よって蓋体付き容器を製造するにあたり、巻き出した時に平坦でない形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を、ヒートシールする直前にほぼ平坦にする必要がある。
【0206】
図64は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体製蓋体を備えた容器を製造するための装置の一例を示す概略側面図である。上記[3]に記載のいずれかの方法により得られた巻きフィルム712から巻き出された形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750は、二つのニップロール731,731’間で平坦に保持されながら、ヒーター732,732による加熱空気と接触することにより、ポリブチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度を超える温度Tで急速に焼きなまされ、見かけ上ほぼ平坦とされる。ほぼ平坦となった形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750は、シールヘッド781が上下動する蓋材シール装置708により打ち抜き加工され、直ちに容器707にヒートシールされる。なお必要に応じて容器内に不活性ガスを吹込むことができる。
【0207】
但し、温度Tでの焼きなましは形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体が記憶しているカール性を消失しない程度に行う必要がある。このため温度Tは80 〜120℃であるのが好ましい。温度Tまで急速に加熱して30 〜60秒間焼きなます。二つのニップロール間731,731’で平坦に保持するためにかける張力は5〜10kgf/m幅とする。通常形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750の走行速度は30 〜100 m/分とする。ヒーター732,732の温度設定は、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750のポリブチレンテレフタレートフィルム層が温度Tに加熱されるようにする。図64では、ヒーター732,732により形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750の両面から加熱しているが、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750のポリブチレンテレフタレートフィルム層側(図64では下側)にのみヒーター732を設置してもよい。ヒーター732から出る加熱空気を、ノズルを用いて形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750のポリブチレンテレフタレートフィルム層に吹き付けてもよい。
【0208】
蓋体の打ち抜き加工と容器707へのヒートシールは間欠的に行われるため、図64に示すように、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750がガイドロール720,当接ロール715間でたわまず、一定の張力に保たれるようにするためのたわみ防止用ロール733が設けられている。たわみ防止用ロール733は、ガイドロール720,当接ロール715間の積層体シートを一定の張力に保つように上下動自在である。なお図64において、714は蓋体を打ち抜いた後の形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体750からなる巻きフィルムを示す。
【0209】
ヒートシールにおいて、蓋体のシール部がシールヘッド781により通常120 〜160℃に加熱され、そのとき蓋体のシール部以外の部分にも熱が加わるため、蓋体は容器にヒートシールされる時にカール形状を回復し、容器にシールされている間は平坦であるが、容器から剥離することにより形状記憶によるカール形状を示す。
【0210】
(2) 食品用トレイ
上記[3](1)(c)で述べた図11に示す例により得られた形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を、平坦なまま各トレイ形状単位長さ毎にカットすることにより、食品用トレイとして使用することができる。例えば図65に示すように、得られた食品用トレイ534に即席冷凍食品35等が乗せられた後、包装用フィルム536により包装され、包装商品537とされる。図65に示すように、包装商品537は食するために電子レンジ538等により加熱されるが、この時温度T以上の温度で加熱処理されることにより、食品用トレイ534は押し型430により形成されたトレイ形状を発現する。このように形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を食品用トレイ534に適用すると、包装商品537の状態ではほぼ平坦なので容積が小さく、輸送や陳列に便利であり、加熱処理されることによりトレイ形状を発現し、食し易い状態にすることができる便利さがある。
【0211】
食品用トレイ534を包装するための包装用フィルム536には、上記[4]で述べた特願2002−125045号に開示の方法により、少なくとも一方の面に多数の実質的に平行な線状痕が形成されているのが好ましい。これにより包装用フィルム535は、その配向性に関わらず一方向への直線的易裂性を有し、任意の部位から線状痕に沿って直線的に裂くことができる。よって食する際に、包装用フィルム535を容易に部分開封することができる。特願2002−125045号に開示の方法により形成される線状痕は、フィルムを貫通していないので、包装用フィルム535は線状痕形成後においてもガスバリア性に優れる。
【0212】
以上の通り、図面を参照して本発明を説明したが、本発明はそれらに限定されず本発明の趣旨を変更しない限り種々の変更を加えることができる。
【0213】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0214】
実施例1
図1に示す装置を用いて空冷インフレーション成形法によりポリブチレンテレフタレートフィルムを作製した。ポリブチレンテレフタレート樹脂(商品名「トレコン1209X01」。東レ(株)製。)を二軸押出機(スクリュー径50 mm、押出量50kg/hr)に投入し、235±5℃で溶融混練して、押出機中で溶融樹脂を調製した。続いてこの溶融樹脂を押出機の先端に設置された環状ダイ(ダイ径150mmφ)からブローアップ比2.5で管状フィルムを押出し(押出樹脂圧力:120kg/cm)、(1) 第一の温風空気吹出装置より温風空気(30℃)を噴出させることによりバブルのネック部を185℃に除冷し、(2) 第二温風空気吹出装置から温風空気(30℃)を噴出させることによりバブルの膨張部を160℃に除冷し、(3) 第三温風空気吹出装置から温風空気(50℃)を噴出させることによりフロストラインを125℃に除冷し、(4) 円筒状繊維(材質:ナイロン)で上部バブル領域を包囲するとともにその外側をアクリル樹脂製隔壁で包囲し且つ隔壁の内面側に棒状ヒーターを設けることにより上部バブル領域を100℃に保持しながら引き取って平均膜厚20μmのフィルムを得た。平均膜厚は接触厚み計により、シートの幅方向における中心部及び両端部の厚みをそれぞれ2点ずつ計6点の膜厚を測定した値の平均値である。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムの膜厚差及び熱収縮率を測定した(膜厚差及び熱収縮率の測定方法については上記[2]を参照。以下同様)。その結果、膜厚差は3μmであり、熱収縮率はMD0.1%、TD0.15%であった。
【0215】
実施例2
図6に示す装置を用いて同時二軸延伸法によりポリブチレンテレフタレートフィルムを作製した。ポリブチレンテレフタレート樹脂(商品名「トレコン1200S」。東レ(株)製。)を二軸押出機(スクリュー径50 mm、押出量50kg/hr)に投入し、235±5℃で溶融混練して、押出機中で溶融樹脂を調製した。続いてこの溶融樹脂を押出機の先端に設置されたTダイから押し出し、180℃に温調された加熱キャスティングロール(周速10m/分)で引き取りながら除冷却し、平均膜厚50μmの非晶質シートを形成した。引き続き、得られた非晶質シートを、同時二軸延伸装置(図6参照)で、180℃において機械方向に2倍、横方向に2倍に延伸した後、冷却空気で急冷し、平均膜厚13μmのポリブチレンテレフタレートフィルムを作製した。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムの膜厚差及び熱収縮率を測定したところ、膜厚差は2μmであり、熱収縮率はMD0.15%、TD0.2%であった。
【0216】
実施例3
図5に示す装置を用いて、空冷インフレーション成形、チューブ状インフレーションPBTフィルムの切断及び冷延伸をインライン上で連続的に行い、ポリブチレンテレフタレートフィルムを作製した。空冷インフレーション成形に関しては、実施例1と同様に行い、平均膜厚25μmのインフレーションフィルムを得た。続いてエッジ・ポジション制御装置により一定の耳端位置に調整し、次いで両端折部からシート面に対して水平にカッターで裂いた。引き続き、2つに分割された各インフレーションPBTフィルムを、それぞれ65℃に温調された2連の遅駆動ロール(周速18m/分、図5参照)と、これに平行に設けられそれぞれ15 ℃に温調された2連の速駆動ロール(周速36m/分、図5参照)との間でMDに2倍に冷延伸した。次いでヒーターにより80℃で熱処理し、平均膜厚12μmのポリブチレンテレフタレートフィルムを作製した。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムの膜厚差及び熱収縮率を測定したところ、膜厚差は1.5μmであり、熱収縮率はMD0.1%、TD0.15%であった。
【0217】
実施例4
平均膜厚20μmのインフレーションフィルムを調製し、MDに4倍に冷延伸した以外は、実施例3と同様にして平均膜厚6μmのポリブチレンテレフタレートフィルムを作製した。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムの膜厚差及び熱収縮率を測定したところ、膜厚差は1.5μmであり、熱収縮率はMD0.1%、TD0.1%であった。
【0218】
実施例5
平均膜厚20μmのインフレーションフィルムを調製し、MDに6倍に冷延伸した以外は、実施例3と同様にして平均膜厚3μmのポリブチレンテレフタレートフィルムを作製した。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムの膜厚差及び熱収縮率を測定したところ、膜厚差は1μmであり、熱収縮率はMD0.1%、TD0.1%であった。
【0219】
実施例6
実施例1で作製したインフレーションフィルムを、さらに65℃でTDに2倍に冷延伸し、平均膜厚10μmのフィルムを得た。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムの膜厚差及び熱収縮率を測定したところ、膜厚差は2μmであり、熱収縮率はMD0.1%、TD0.15%であった。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムについて、AFMにより表面を観察した。得られたAFM像を図示化したものを図66に示す。図66から、ポリブチレンテレフタレートフィルムには線状皺が形成されており、その凹凸構造の高低差は200〜300nmであり、及び凹凸構造の幅は3000〜20000nmであることが分かる。
【0220】
実施例7
実施例1で作製したインフレーションフィルムを、さらに65℃でMDに2倍に冷延伸し、平均膜厚10μmのフィルムを得た。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムの膜厚差及び熱収縮率を測定したところ、膜厚差は2μmであり、熱収縮率はMD0.1%、TD0.15%であった。得られたポリブチレンテレフタレートフィルムについて、AFMにより表面を観察した。得られたAFM像を図示化したものを図67に示す。図67から、ポリブチレンテレフタレートフィルムには線状皺が形成されており、その凹凸構造の高低差は90〜100nmであり、及び凹凸構造の幅は500〜2000nmであることが分かる。
【0221】
実施例8
実施例6と同様に冷延伸フィルムを2枚作製し、線状皺の方向が互いにほぼ直交するように重ねた積層体を作製し、これを通した懐中電灯の光を写真機で撮影した。結果を図68に示す。図68から、上記積層体を通して見る光は、光源とほぼ同じ幅の2本の光の筋が、光源を中心として互いにほぼ直交して見えることが分かる。
【0222】
実施例9
実施例6と同様に冷延伸フィルムを4枚作製し、線状皺の方向がほぼ45°づつ回転していくように重ねた積層体を作製し、これを通した懐中電灯の光を写真機で撮影した。結果を図69に示す。図69から、上記積層体を通して見る光は、光源とほぼ同じ幅の3本の光の筋が、光源を中心として互いにほぼ45度の角度をなして見えることが分かる。
【0223】
本発明の方法により製造した実施例1,2のポリブチレンテレフタレートフィルムは、非晶質状態で同時に二軸方向に延伸するので、膜厚の均一性に優れ、且つ熱収縮率が低いことが分かる。実施例3〜7のポリブチレンテレフタレートフィルムは、本発明の空冷インフレーション成形法により製造したインフレーションフィルムをさらに冷延伸するので、一層膜厚の均一性に優れる。実施例8,9のポリブチレンテレフタレートフィルムは、機械方向又は横方向に延在する微細な無数の線状皺を有するので、光を回折/散乱させる作用を有する。
【0224】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の空冷インフレーション成形法によるポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法は、バブルを非晶質状態に保持しながら膨張させるので、薄膜でありながら膜厚の均一性及び熱収縮率に優れたポリブチレンテレフタレートフィルムを製造できる。
【0225】
本発明の同時二軸延伸法によるポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法は、ダイより押出した溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂を加熱キャスティングロール上で除冷することにより非晶質シートを形成し、これを非晶質状態に保持しながら同時二軸延伸するので、薄膜でありながら膜厚の均一性及び熱収縮率に優れたポリブチレンテレフタレートフィルムを製造できる。
【0226】
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置は、インフレーション成形部と、エッジ・ポジション制御装置と、切断手段と、冷延伸手段とがインライン構成であるので、▲1▼ 空冷インフレーション成形、▲2▼ チューブ状インフレーションPBTフィルムの切断及び▲3▼ 冷延伸からなる一連の工程を効率化することができる。
【0227】
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、以上詳述したように、膜厚の均一性及び熱収縮率に優れるだけでなく、優れた形状記憶性も有するので、各種包装材、包装袋、即席食品用容器の蓋材等の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空冷インフレーション成形法によるポリブチレンテレフタレートフィルムを製造するための装置の一例を示す概略側面図である。
【図2】バブルを除冷却するための装置の一例を示す概略側面図である。
【図3】空冷インフレーション成形法により製造したポリブチレンテレフタレートフィルムを逐次二軸冷延伸するための装置の一例を示す概略側面図((a))及び概略平面図((b))である
【図4】空冷インフレーション成形法により製造したポリブチレンテレフタレートフィルムを機械方向に冷延伸するための装置の各種例を示す概略側面図である。
【図5】空冷インフレーション成形法により製造したポリブチレンテレフタレートフィルムをインライン方式により冷延伸するための装置の一例を示す概略側面図である。
【図6】本発明の同時二軸延伸法によるポリブチレンテレフタレートフィルムを製造するための装置の一例を示す概略平面図である。
【図7】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造するための装置の一例を示す概略側面図である。
【図8】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造するための装置の別の例を示す概略側面図である。
【図9】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造するための装置のさらに別の例を示す概略側面図である。
【図10】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造するための装置のさらに別の例を示す概略側面図である。
【図11】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体を製造するための装置のさらに別の例を示す概略側面図である。
【図12】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の第一の層構成例を示す断面図である。
【図13】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の第二の層構成例を示す断面図である。
【図14】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の第三の層構成例を示す断面図である。
【図15】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の第四の層構成例を示す断面図である。
【図16】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の第五の層構成例を示す断面図である。
【図17】ポリブチレンテレフタレートフィルムの進行方向に線状痕を形成するための装置の一例を示す概略側面図である。
【図18】図17に示す装置において、フィルムがパターン・ロールと摺接する面に圧縮空気を吹き付ける様子を示す部分拡大平面図である。
【図19】図18に示す装置において、フィルムがパターン・ロールと摺接する様子を示す部分拡大横断面図である。
【図20】(a)はノズルの一例を示す正面図及び右側面図であり、(b)はノズルの別の例を示す正面図及び右側面図であり、(c)はフードを有するノズルを用いてパターン・ロールに圧縮空気を吹き付ける様子を示すとともに、パターン・ロールへのフィルムの巻き掛け方の例を示す概略側面図である。
【図21】ポリブチレンテレフタレートフィルムの進行方向に対して斜めの線状痕を形成するための装置の一例を示す概略側面図である。
【図22】図21に示す装置において、パターン・ロールが作動する様子を示す部分拡大平面図である。
【図23】(a)はポリブチレンテレフタレートフィルムの進行方向に対して斜めの線状痕を形成するための装置の別の例を示す部分拡大平面図であり、 (b)は(a)の図において(A)方向から見た概略側面図である。
【図24】(a)はポリブチレンテレフタレートフィルムの進行方向に対して斜めの線状痕を形成するための装置の別の例を示す部分拡大平面図であり、(b)は(a)の図において(B)方向から見た概略側面図である。
【図25】ポリブチレンテレフタレートフィルムの進行方向に対して幅方向の線状痕を形成するための装置の一例を示す部分拡大平面図である。
【図26】ポリブチレンテレフタレートフィルムの進行方向に対して幅方向の線状痕を形成するための装置の別の例を示す部分拡大平面図である。
【図27】(a)はポリブチレンテレフタレートフィルムの進行方向に対して幅方向の線状痕を形成するための装置の別の例を示す部分拡大平面図であり、(b)は(a)の図において(C)方向から見た概略側面図である。
【図28】注湯のために、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体を開封した即席食品用容器を示す斜視図である。
【図29】注湯のために、形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体を部分開封した即席食品用容器を示す斜視図である。
【図30】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体を備えた即席食品用容器の一例を示す斜視図である。
【図31】図30の即席食品用容器を示す平面図である。
【図32】図30の即席食品用容器を開封後再封した様子を示す斜視図である。
【図33】図31の蓋体のタブ部付近を示す部分拡大図である。
【図34】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体の別の例を示す平面図である。
【図35】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図36】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図37】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図38】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図39】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図40】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図41】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図42】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図43】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図44】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図45】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体を備えた即席食品用容器の別の例を示す斜視図である。
【図46】図45の即席食品用容器を示す平面図である。
【図47】図45の蓋体のタブ部付近を示す部分拡大図である。
【図48】図45の即席食品用容器を開封した様子を示す斜視図である。
【図49】図45の即席食品用容器を開封後再封した様子を示す斜視図である。
【図50】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体を備えた即席食品用容器のさらに別の例を示す平面図である。
【図51】図50の即席食品用容器を示す平面図である。
【図52】図50の蓋体の第一のタブ部付近を示す部分拡大図であり、(a) は第一のタブ部付近の蓋体をめくっていない状態を示し、(b) は第一のタブ部付近の蓋体をめくった状態を示す。
【図53】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例の第一のタブ部付近を示す部分拡大図である。
【図54】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図55】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図56】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図57】図56の蓋体の第一のタブ部付近を示す部分拡大図であり、(a) は第一のタブ部付近の蓋体をめくっていない状態を示し、(b) は第一のタブ部付近の蓋体をめくった状態を示す。
【図58】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図59】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図60】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体のさらに別の例を示す平面図である。
【図61】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体から複数の蓋体を打ち抜く様子を示す平面図である。
【図62】形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体からなる蓋体を備えた半固体状食品用容器の例を示す斜視図である。
【図63】図26の半固体状食品用容器を開封した様子を示す斜視図である。
【図64】蓋体付き容器を製造するための装置の一例を示す概略側面図である。
【図65】食品用トレイに用いられた形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体が形状回復する様子を示す概略側面図である。
【図66】実施例3のポリブチレンテレフタレートフィルムのAFM像を図示化したグラフである。
【図67】実施例4のポリブチレンテレフタレートフィルムのAFM像を図示化したグラフである。
【図68】実施例5の積層化冷延伸フィルムを通して見る光の写真である。
【図69】実施例6の積層化冷延伸フィルムを通して見る光の写真である。
【符号の説明】
1・・・環状ダイ
11・・・環状オリフィス
12・・・押出機
13・・・引取り機ニップロール
14・・・巻き取りリール
15・・・断熱材
16・・・ガイドロール
17・・・ニップロール
18・・・カッター
19・・・ヒーター
2,2’・・・インフレーションPBTフィルム
20・・・第一温風空気吹出装置
21・・・第二温風空気吹出装置
22・・・第三温風空気吹出装置
23・・・隔壁
24・・・加熱手段
25・・・円筒状繊維
26・・・空気注入管
27・・・冷却塔
3・・・バブル
31・・・ネック部
32・・・膨張部
33・・・バブル領域
34・・・フロストライン
4・・・機械方向延伸部
41・・・遅駆動ロール
42・・・速駆動ロール
43・・・加熱ロール(予備加熱用ロール)
44・・・冷却用ロール
45・・・加熱遅駆動ロール
46・・・冷却速駆動ロール
5・・・テンター(横方向延伸部)
51・・・フィルムクリップローラー
52・・・ギヤ
53・・・温風導入孔
54・・・フード
6・・・非晶質シート
60・・・シート用ダイ
61・・・加熱キャスティングロール
63・・・延伸フィルム
7・・・同時二軸延伸装置
71・・・フィルムクリップローラー
72・・・ギヤ
73・・・チェーン
74・・・遅駆動ゴムロール
75・・・速駆動ゴムロール
8・・・エッジ・ポジション制御装置
81・・・ガイドロール
82・・・連結軸
83・・・センサー
101・・・非金属容器本体
111・・・開口縁部(上端フランジ部)
102・・・蓋体
102a・・・シール部
102a’・・・シール部の中心線
103・・・タブ部
131・・・舌片部
104・・・スリット状貫通孔(切れ目)
141・・・切れ込み
142・・・コの字状切れ目の直線部
143・・・コの字状切れ目の連結部
105・・・引裂始点(切り口)
105’・・・引裂始点の延長線
106・・・フラップ部
201・・・容器本体
201a・・・上端フランジ部
202・・・蓋体
212・・・シール部
212a・・・シール部の中心線
203・・・タブ部
203a・・・茸状フラップ部
231・・・茸状フラップ部の傘状部
232・・・茸状フラップ部の柄状部
203b・・・舌片部
204・・・切れ目
204a・・・切れ目の略L字部
204b・・・切れ目の円弧部
241・・・切れ目の先端
204’・・・切れ目の延長線
205・・・開口部
205a・・・紙シート層のギザギザな破断面
206・・・帯状フラップ部
206a・・・紙シート層のギザギザな破断面
230・・・乾燥麺
301・・・容器本体
301a・・・上端フランジ部
302・・・蓋体
312・・・シール部
312a・・・シール部の中心線
303・・・第一のタブ部
304・・・第二のタブ部
304a・・・切れ目
304b・・・切れ目の延長線
305a,305b・・・直線状切れ目
306・・・コの字状切れ目
306a・・・直線部
306b・・・連結部
308・・・マーク
308a・・・切れ目の延長線
310,310’・・・マーク
315・・・第一のタブ部付近で剥離する部分(ハッチング部分)
316・・・帯片部
318・・・湯切り口
401・・・ポリブチレンテレフタレートフィルム
410・・・フィルム原反
411・・・カール性積層体
412・・・巻きフィルム
413・・・フィルム状成形体
414・・・積層体
415・・・変形積層体
416・・・コート用フィルム
420・・・ガイドロール
421・・・グラビアロール
422・・・ダイ
423・・・乾燥炉
424・・・圧力調整ロール
425・・・冷却ロール
425’・・・ゴムロール
426・・・冷間加工用ロール
427,427’・・・ニップロール
428・・・冷却ロール
429・・・ヒーター
430・・・押し型
431・・・焼きなまし用ロール
432・・・冷却装置
433・・・巻き取りロール
438・・・加熱ロール
502・・・蓋体
503・・・タブ部
507・・・非金属容器本体
571・・・開口縁部(上端フランジ部)
502a・・・シール部
504・・・引裂始点(切り口)
505・・・開口部
505a,506a・・・紙シート層のギザギザな破断面
506・・・フラップ部
534・・・食品用トレイ
535・・・即席冷凍食品
536・・・包装用フィルム
537・・・包装商品
538・・・電子レンジ
540・・・マーク
550・・・形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体
551・・・ポリブチレンテレフタレートフィルム層
552・・・紙シート
553・・・遮光性インク層
554・・・シーラントフィルム層
555・・・ポリエチレン(層)(I)
555’・・・ポリエチレン(層)(II)
555’’・・・ポリエチレン(層)(III)
556・・・接着剤(層)(I)
556’・・・接着剤(層)(II)
556’’・・・接着剤(層)(III)
557・・・PET層
560・・・乾燥麺
601・・・フィルム
602,621a,621b,622,623a,623b,624a,624b,625a,625b,626a,626b,・・・パターン・ロール
603,603a,603b・・・ブロワー
631・・・吹き出し口
632・・・フード
604・・・ダイヤモンド微粒子
651a,651b,652a,652b,653a,653b・・・パターン・ロール用支持体
661a,661b,662a,662b,663a,663b,664a,664b,665a,665b・・・ガイドレール
607・・・フィルム原反
671,672・・・ニップロール
673,674・・・ガイドロール
675・・・巻き取りリール
608,608a,608b・・・パターン・エンドレスベルト
609・・・フィルムの中心線
712・・・巻きフィルム
714・・・打ち抜き後のPBTフィルム積層体からなる巻きフィルム
750・・・形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体
731,731’・・・ニップロール
732・・・ヒーター
733・・・たわみ防止用ロール
708・・・蓋材シール装置
707・・・非金属容器本体
781・・・シールヘッド
715・・・当接ロール

Claims (15)

  1. 環状ダイからチューブ状に押し出された溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂内に空気を注入することによりバブルを形成し、前記バブルを内圧により膨張させるとともに空冷することによりチューブ状フィルムを形成し、得られたチューブ状フィルムをシート状に折り畳みながら一対のニップロールによって引き取る空冷インフレーション成形工程を含むポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法であって、
    (1) 前記環状ダイの付近に設けられた第一温風空気吹出装置から温風空気を噴出させることにより、前記バブルのネック部を180℃以上〜195℃以下に除冷し、
    (2) 前記第一温風空気吹出装置の上部に設けられた第二温風空気吹出装置から温風空気を噴出させることにより、前記バブルを150℃以上〜180℃以下にさらに除冷し、もって前記バブルを非晶質状態に保持しながら膨張させ、
    (3) 前記第二温風空気吹出装置の上部に設けられた第三温風空気吹出装置から温風空気を噴出させることにより、前記バブルのフロストラインを90℃以上〜130℃以下に除冷し、
    (4) 前記フロストラインより上部の上部バブル領域を外部雰囲気から遮断し且つ前記第一〜第三温風空気吹出装置のそれぞれより噴出した温風空気を前記上部バブル領域の外面に沿って吹き上げさせるための隔壁により、前記上部バブル領域を包囲し、前記隔壁の内面側に加熱手段を設け、もって前記上部バブル領域を前記ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜前記ガラス転移温度+65℃以下に保持する
    ことを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、ブローアップ比を2.0 〜4.5とすることを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、前記上部バブル領域を円筒状の繊維で包囲することにより、前記バブルの横揺れを防止することを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、前記第一及び第二温風空気吹出装置から噴出させる温風空気の温度は25〜50℃であり、前記第三温風空気吹出装置から噴出させる温風空気の温度は前記ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜前記ガラス転移温度+65℃以下であることを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、さらに前記ポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温度超〜前記ガラス転移温度+60℃以下の温度で、機械方向もしくは横方向に2倍以上に一軸冷延伸するか、又は機械方向及び横方向に2倍以上の面倍率で逐次二軸冷延伸することを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  6. 請求項5に記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、
    (1) 前記チューブ状フィルムの形成、及び
    (2) 前記一軸冷延伸又は前記逐次二軸冷延伸
    を連続的にインライン方式により行うことを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  7. 請求項5に記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、前記一軸冷延伸又は逐次二軸冷延伸の前に、前記ニップロールにより引き取られたシート状の前記チューブ状フィルムを予め二分割することを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  8. 請求項7に記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、
    (1) 前記チューブ状フィルムの形成、
    (2) 前記チューブ状フィルムの二分割、及び
    (3) 前記一軸冷延伸又は前記逐次二軸冷延伸
    を連続的にインライン方式により行うことを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  9. ポリブチレンテレフタレート樹脂を延伸法によりフィルム化するポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、溶融した前記ポリブチレンテレフタレート樹脂をダイより押出し、加熱キャスティングロール上で180℃以上〜195℃以下に除冷することにより非晶質シートを形成し、得られた非晶質シートを150℃以上〜180℃以下で非晶質状態に保持しながら同時二軸延伸し、その後急冷することを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリブチレンテレフタレートフィルムであって、いずれの方向にも易裂性が無く、且つ前記一軸冷延伸又は前記逐次二軸冷延伸により冷延伸された方向の熱収縮率は1%以下であることを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルム。
  11. 請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたポリブチレンテレフタレートフィルムであって、機械方向又は横方向に延在する微細な無数の線状皺を有することを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルム。
  12. 請求項11に記載のポリブチレンテレフタレートフィルムにおいて、前記線状皺により形成される凹凸構造の高低差は50 〜500nmであり、前記凹凸構造の幅は500〜20000nmであることを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルム。
  13. (a) ポリブチレンテレフタレート樹脂を加熱熔融するとともにこれを送出するための押出機と、(b) 前記押出機の下流先端に接続され溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂をチューブ状に押し出すための環状ダイと、(c) 前記環状ダイからチューブ状に押し出された溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂内に空気を注入しバブルを形成するための空気注入手段と、(d) 前記バブルを空冷するための空冷手段と、(e) 前記バブルを空冷することにより得られたチューブ状フィルムを引き取るための一対のニップロールとを有するインフレーション成形装置を少なくとも備えたポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置であって、前記空冷手段は、
    (1) 前記環状ダイの付近に設けられ、前記バブルのネック部を除冷するための第一温風空気吹出装置と、
    (2) 前記第一温風空気吹出装置の上部に設けられ、前記バブルが非晶質状態で膨張するように前記バブルをさらに除冷するための第二温風空気吹出装置と、
    (3) 前記第二温風空気吹出装置の上部に設けられ、前記バブルのフロストラインを除冷するための第三温風空気吹出装置と、
    (4) 前記第三温風空気吹出装置の上方で、且つ前記フロストラインより上部の上部バブル領域の周囲に設けられ、前記上部バブル領域を外部雰囲気から遮断するとともに、前記第一〜第三温風空気吹出装置のそれぞれより噴出した温風空気を前記上部バブル領域の外面に沿って吹き上げさせるための隔壁と、
    (5) 前記隔壁の内面側に設けられた加熱手段と、
    (6) 前記隔壁の内面側で且つ前記上部バブル領域の付近を包囲するように設けられ、前記バブルの横揺れを防止するための円筒状繊維
    とを有することを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置。
  14. 請求項13に記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置において、機械方向及び/又は横方向に冷延伸するための冷延伸手段をさらに有し、もって前記インフレーション成形部と前記冷延伸手段とがインライン構成であることを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置。
  15. 請求項14に記載のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置において、前記インフレーション成形部と前記冷延伸手段との間に、
    (1) 前記ニップロールにより引き取られたシート状の前記チューブ状フィルムの耳端位置を一定に制御するためのエッジ・ポジション制御装置と、
    (2) 前記耳端位置が一定に制御された前記チューブ状フィルムを二分割するための切断手段
    とをさらに有し、もって前記インフレーション成形部と、前記エッジ・ポジション制御装置と、前記切断手段と、前記冷延伸手段とがインライン構成であることを特徴とするポリブチレンテレフタレートフィルムの製造装置。
JP2003049822A 2003-01-17 2003-02-26 ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルム Expired - Fee Related JP4077744B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003049822A JP4077744B2 (ja) 2003-01-17 2003-02-26 ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルム

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003010440 2003-01-17
JP2003049822A JP4077744B2 (ja) 2003-01-17 2003-02-26 ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004268257A true JP2004268257A (ja) 2004-09-30
JP4077744B2 JP4077744B2 (ja) 2008-04-23

Family

ID=33133587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003049822A Expired - Fee Related JP4077744B2 (ja) 2003-01-17 2003-02-26 ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4077744B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013095071A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Kohjin Holdings Co Ltd 二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを含む缶用ラミネート金属板
JP2013139523A (ja) * 2012-01-05 2013-07-18 Toray Ind Inc ポリブチレンテレフタレートフィルム
KR102352977B1 (ko) * 2020-11-30 2022-01-21 한국생산기술연구원 균등한 필름 두께를 위한 블로운 필름 제조 온도 제어 장치 및 방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013095071A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Kohjin Holdings Co Ltd 二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを含む缶用ラミネート金属板
JP2013139523A (ja) * 2012-01-05 2013-07-18 Toray Ind Inc ポリブチレンテレフタレートフィルム
KR102352977B1 (ko) * 2020-11-30 2022-01-21 한국생산기술연구원 균등한 필름 두께를 위한 블로운 필름 제조 온도 제어 장치 및 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4077744B2 (ja) 2008-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101491876B1 (ko) 백색 열수축성 폴리에스테르계 필름, 백색 열수축성 폴리에스테르계 필름의 제조방법, 라벨, 및 포장체
US5658514A (en) Method for producing thermoplastic resin sheet or film
JP4694475B2 (ja) 透明ポリプロピレン系シートの製造方法及び透明ポリプロピレン系シート
US20060051540A1 (en) Shape-memory polybutylene terephthalate film, production process and use thereof, and process for production of polybutylene terephthalate film
KR101011358B1 (ko) 폴리부틸렌 테레프탈레이트 필름의 제조 방법 및 제조장치, 및 형상 기억 폴리부틸렌 테레프탈레이트 적층 필름
US11260634B2 (en) Laminate and packaging bag comprising same
CN100413673C (zh) 聚对苯二甲酸丁二醇酯薄膜的制造方法及制造装置、以及形状记忆聚对苯二甲酸丁二醇酯层叠薄膜
JP5258254B2 (ja) 包装用フィルム
EP2116354B1 (en) Heat shrinkable polyolefin film and process for producing the same
JPH04158022A (ja) ポリプロピレン樹脂シートまたはフィルムの製造方法
JP2005297544A (ja) ポリプロピレン系積層フィルム及びそれを用いた包装体
JP4428690B2 (ja) ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及び製造装置、並びに形状記憶ポリブチレンテレフタレート積層フィルム
JP4077744B2 (ja) ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法及びその製造装置並びにそのポリブチレンテレフタレートフィルム
JP4077729B2 (ja) 形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の製造方法及び係る形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体とその用途
JP2008114606A (ja) ポリプロピレン系積層フィルム及びそれを用いた包装体
JP4077730B2 (ja) 形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体製蓋体を備えた容器の製造方法及び係る蓋体付き容器
JPH0815777B2 (ja) 積層熱収縮性フイルム
JP2006248066A (ja) 積層ポリプロピレン系フイルム
JPS59182733A (ja) 防湿成形用複合フイルム
JP5637272B2 (ja) ラベル
CN117651643A (zh) 双轴取向层叠聚丙烯薄膜
JP2004114661A (ja) 形状記憶ポリブチレンテレフタレートフィルム積層体の製造方法及び係る積層体とその用途
JP2001096687A (ja) ストレッチ包装用フィルム及びその製造方法
Mills Film formation
JP2002337269A (ja) 積層ポリエステルフィルム及びそれを用いた包装袋

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110208

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110208

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120208

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150208

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees