JP2004267386A - 安全カバン - Google Patents
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Abstract
【課題】刃物を使った暴漢などから身を守るために、普通に使用するカバンを盾として利用することができることができるようにする。
【解決手段】普通に使用することができるカバンであって、少なくとも背面部材2を表地3と裏地4とで構成する。裏地4の一部にファスナーなどで開閉することができる開閉部5を設けることによって、表地3と裏地4の間に収納部分6を形成し、この収納部分6に刃物によって切断されにくい防刃体7を着脱自在に挿入する。また、背面部材2の表地3のほぼ中央部分に上下方向の型崩れを防止する補強板8を固定し、補強板8に上下方向の把手部材9を固定する。これによって咄嗟の場合に把手部材9を把持し、カバンそのものを盾として利用することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】普通に使用することができるカバンであって、少なくとも背面部材2を表地3と裏地4とで構成する。裏地4の一部にファスナーなどで開閉することができる開閉部5を設けることによって、表地3と裏地4の間に収納部分6を形成し、この収納部分6に刃物によって切断されにくい防刃体7を着脱自在に挿入する。また、背面部材2の表地3のほぼ中央部分に上下方向の型崩れを防止する補強板8を固定し、補強板8に上下方向の把手部材9を固定する。これによって咄嗟の場合に把手部材9を把持し、カバンそのものを盾として利用することができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
近年刃物を用いた通り魔的な事件が多発する傾向がある。このような事件は、どのような状況で発生するか予測することができないため、被害者は無防備の状態でなすすべがないのが現状である。また、だれもが無差別的な事件に巻き込まれる可能性がある。
このような現状に鑑み、本発明は一般の人が、常時携行するカバンを盾として利用し、被害を最小限に食い止めることができる、安全カバンを工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、防刃、防弾を目的として利用することができるカバンの思想は、特許文献1ないし特許文献3として公知である。特許文献1には、カバンの外装体の内側に防弾マット材を施すとともに、防刃素材で形成される仕切り板を組み合わせる思想が記載されている。特許文献2には、展開可能なバッグの一部に防弾具を備える思想が、特許文献3には人体の上半身をカバーすることができるような盾を二つ折りとしてカバンに偽装する発明が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、カバンそのものの内面を防弾素材で構成するものであるため、カバンとして製造する場合に縫製等の作業に困難を伴う。例えば、十分な防弾、防刃機能を備えた構造とするにはバッグそのものが重くなり、また緊急時に防護手段として扱いにくい欠点がある。特許文献2に記載された発明ではカバンを展開して盾として利用するため、使用時に収納物が散逸する可能性があるなど使用に便利なものとは言えない。さらに、特許文献3に記載された発明は、盾をカバンに偽装して携行するものであって、カバンとしての機能を備えたものではない。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記、従来技術の欠点に鑑み、本発明は、カバンとしての機能性を損なうものでないとともに、通常のカバンとして製造が容易な安全カバンを提供することを目的とするものである。また、本発明は刃物による攻撃に対しより安全であるとともに、咄嗟の非常時により迅速に対応することができる、取り扱い易いに便利な構造の安全バッグを提供せんとするものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−332632号公報(図1、図3参照)
【特許文献2】
特開平8−75397号公報(図1、図2参照)
【特許文献3】
特表2003−504587号公報(図1、図4参照)
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明はカバン本体1の少なくとも背面部材2を表地3と裏地4で構成する。背面部材2の裏地4に開閉部5を設けることによって表地3と裏地4の間に収納部分6を形成する。収納部分6には、刃物によって切断されにくい防刃体7を着脱自在に挿入しておく。また、背面部材2の表地3には、そのほぼ中央部分に、上下方向の型崩れを防止することができる補強板8を固定し、この補強板8に上下方向の把手部材9を固定する。これにより、いざというときに、迅速に把手部材9を手に持って防御体勢をとることが可能となる。
【0007】
背面部材2の表地3と裏地4の間に挿入する防刃体7は、表面に砥粒10を付着させた複数枚の防刃布11で構成し、防刃布11と防刃布11の間に砥粒10表面を覆う保護布12を介在させる。また、把手部材9と対向する側面にクッション部材13を配置し、防刃布11と保護布12及びクッション部材13を重ね合わせて袋14に収容して防刃体7を構成するのがよい。これにより、より大きな防刃効果を発揮することができるとともに、袋14に収容された状態で一つの防刃体として取り扱うことができ、取り替えや点検を容易に行なうことができる。
【0008】
上下方向の型崩れを防止する補強板8は、背面部材2の表地3内面に配置した合成樹脂板、把手部材9として柔軟性を有するベルト状としておくのが好ましい。そして、このベルト状の把手部材9を、その上下部分において、固定部材15,15で背面部材2の表地3を貫通させて補強板に固定すると、把手部材9を持った時に、しっかりと安定した状態で盾と同じ感覚で取り扱うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る安全カバンの好ましい実施形態を、添付の図面に基づいて説明する。
図1は蓋を開けた状態のカバン全体の斜視図、図2はカバンの正面図、図3はカバンの背面図である。図4は、一部を拡大表示したカバンの縦断面図、図5は、一部を切除した状態で示す防刃体の斜視図である。
【0010】
図示例のカバンは、肩掛けカバンとして利用することができる手提げカバンであって、カバン本体1は背面部材2と、正面部材16と、側面部材17とで構成している。背面部材2には、上方に延長したフラップ18を備えるとともに、側面部材(マチ)17は底と連続する部材として形成している。これら各部材は、縁テープ19を用いて縫着することによってカバンを形成する。背面部材2、正面部材16及び側面部材17は、いずれも表地3と裏地4を重ね合わせた二重構造としている。
【0011】
背面部材2の上端、換言すればフラップ18の基端部分に提げ手20を配置するとともに、提げ手20の両側に吊り下げ杆21,21を設け、該吊り下げ杆21,21に肩ベルト22を取付けることができるようにしている。フラップ18には、ベルト23,23を突出させるとともに、正面部材16には係止ベルト24,24が設けてあり、フラップから突出するベルト23と、正面部材16の係止ベルト24によってフラップ8を閉じた状態を維持することができる。そのため、例えカバンを盾として使用するような状況下においても、カバン内の収容物が周辺に飛散するようなことがないようにしている。
【0012】
図3及び図4に示すように、背面部材2の内面には、上下方向の型崩れを防止することを目的とする補強板8を配置する。補強板8の平面形状は図3に点線で示すように縦長の板状であって、ある程度の腰(型崩れが防止できる強度)を備えたもの、例えば剛性樹脂板、厚手の皮革などとする。この状態で、背面部材の中央部分に上下方向の把手部材9を配置し、該把手部材9を、その上下部分において、鋲などの固定部材を用いて固定している。すなわち、把手部材9は丈夫な皮革ベルトで製したベルト本体9aを、丈夫で手にやさしい布地9bで裏打ちすることによって適度な柔軟性と剛性を備えたものとする。また、手指を挿入して安定的に把持することができるように中間部分を浮き上がらせた状態で上下両端部分を背面部材2に固定する。
【0013】
把手部材9を背面部材2に固定するには、金属製のビスや鋲といった固定部材15を用いて、表地3と裏地4及び補強板8の三者を貫通させて固定する。このとき、補強板8は表地3の表側面に現れるものであってもよいが、表地3の内面に配置することによって外観に現れないものとすることができる。外観に表すか表さないかはデザイン上の問題であり、機能的にはいずれであっても良い。
【0014】
図4に示すように、背面部材2の裏地4上部にはファスナーによる開閉部5を形成し、表地3と裏地4の間に収納部分6を形成する。そして、この収納部6に防刃機能を備えた防刃体7を挿入しておく。表地3と裏地4の間に形成する収納部分6に防刃体7を挿入し、開閉部5を閉じておくことによって、カバンの内部は従来のカバンと何ら変らないものとして利用することができる。従来からカバンの内面に内ポケットを設けることは広く行なわれているが、従来の内ポケットは、内部空間が袋上に形成される必要がある。これに対し、本発明における収納部分6は、完全な袋上に加工されている必要がなく、単に防刃体を収容することのみを目的とするものである。
【0015】
収納部分6に収納する防刃体7は、どのようなものであっても良いが、できるだけ軽く防刃性能に優れたものであるのが好ましい。図5は、前記条件を満たす防刃体7の一例を示すもので、複数の防刃布11,11を重ね合わせることによって防刃効果の向上を図っている。すなわち、三枚の防刃布と、クッション部材13を重ね合わせて不織布で形成した袋14に収容し、全体を一つの防刃体7としてカバンの背面部材2に形成した収納部分6に収容するものである。
【0016】
防刃、防弾効果のある繊維として、アラミド繊維が知られている。本発明者も防刃布11としてアラミド繊維の織布を利用するとともに、クッション部材13としてアラミド繊維のフェルトを利用する。防刃布11は、防刃効果を向上させる一つの手段として、アラミド繊維の織布表面に比較的粒子の荒い砥粒10を付着させている。織布の表面に砥粒10を付着させ、これを重ね合わせた場合、砥粒10によって隣接する防刃布11の織布そのものを傷つけてしまい、防御効果を損なう可能性がある。このような欠点を防止するために、本発明者は防刃布11と防刃布11の間に、砥粒10表面を覆うように、保護布12を介在させることによって砥粒そのものによって防刃布を損傷してしまうという問題を解決した。
【0017】
保護布12の材質は、特に限定されるものではないが、砥粒表面を覆って隣接する防刃布を保護することができること、換言すれば多少のクッション性を備えることと、砥粒の剥落を防止することができる柔らかさを備えたものであるのが好ましい。そのため、保護布12として比較的安価である柔軟な不織布などを利用することができる。この保護布12は、砥粒から防刃布を保護することができるものであれば、特に厚手の生地である必要はない。また、袋14を構成する生地も特に限定されるものではないが、袋14の一方の面が一番はしに位置する防刃布11の砥粒表面の保護布を兼ねることを考慮して、保護布12と袋14は同じ薄手であって柔軟な不織布を利用すると良い。
【0018】
複数の防刃布11とクッション部材13及び保護布12を重ね合わせ、袋14に収容した防刃体7は、クッション部材13が外方、すなわち背面部材の表地3内面に面する状態で挿入する。これにより、カバンの把手部材を手に持って、刃物による強い攻撃を受け止めた場合に、その衝撃がクッション部材13によって効果的に緩和されることになる。
【0019】
なお、背面部材2に固定する把手部材9を図示例のように丈夫な皮革でベルト本体9aを製するとともに、布地9bで裏打ちすることによって持ち易く衝撃に耐えることができるものとすることができる。把手部材9は中間部分を浮き上がらせて背面部材に固定するものであるが、その浮き上がり寸法が手指を容易に挿入することができる寸法であり、かつ大きな隙間を生じない寸法、例えば2センチメートル程度としておく。これにより、緊急の事態に迅速に対応することができるとともに、カバンをしっかりと片手で持ち、盾として利用することができる。
【0020】
上記、本発明に係るカバンは、緊急時に迅速に対応することができるものである。すなわち、刃物を持った暴漢に襲われた場合などに、まず片手でカバンの背面部材2に装着されている把手部材9を片手に持ち、カバン全体を盾として利用する。このとき、もう片方の手は自由であるためカバン以外での防御や反撃などのために自由が利くことになる。そして、刃物による攻撃は、多重構造の防刃体7によって効果的に防御することができるとともに、襲撃の衝撃がクッション部材13によって和らげられるため、余裕をもって次の行動に移ることができる。
【0021】
なお、図示例のカバンを通常のカバンとして利用する場合は、カバンとしての内部構造が、通常のカバンと大差なく十分な収容空間を確保することができるとともに、外観上は背面部材2に把手部材9が現れるだけである。このとき、背面部材2に装着される把手部材9をベルト状とし、把持空間としての浮き上がり寸法を比較的小さなものとすることによってカバンとしての使用に支障を来たすことがないものとなる。すなわち、手指を隙間なく差し込める程度の浮き上がり寸法としておくことによって、安定した状態で把持することができるとともに、カバンとして利用する場合に把手部材が邪魔になりにくい。
【0022】
以上述べた、本発明に係る安全カバンは全体を皮革で製するほか、布製とすることができる。このとき、表地を皮革、裏地を布製などとすることができる。また、カバンそのものの形態は、例えばフラップがなく正面部材16と背面部材2の上端をファスナーで開閉するようなものであっても良い。
本発明は、基本的には防刃を目的とするものであるが、防刃機能を有する素材例えばアラミド繊維は、防弾機能をも有するものであるから、頭や上半身を防御する防弾具としても機能するものである。
【0023】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明安全カバンによれば、カバン本体そのものを特別な素材でつくるのではなく通常のカバンと同じように製造し、表地と裏地の間に形成した収納部分に防刃体を挿入するだけで能率的に製造することができる。また、背面板の中央部分に上下方向の把手部材を配置し、かつ補強板を固定したことによって盾として、極めて取り扱い易いものとすることができる特長がある。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、単体として比較的薄い防刃布を利用し、かつ複数枚を重ねあわせるとともに砥粒を付着させることによって全体として薄く、かつ防刃効果が大きなものとし、保護布を配置することによって砥粒で防刃布が摩滅することを防止することができる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、背面板に装着する把手部材を強固に固定することができるとともに、多少柔軟性のある素材で作られるカバンであっても、盾として使用する場合に型崩れせず、機能的に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る安全カバンであって、開蓋状態の斜視図、
【図2】安全カバン全体の正面図、
【図3】安全カバン全体の背面図、
【図4】本発明に係る安全カバンであって一部を拡大して表示した縦断側面図、
【図5】一部を切欠して示す防刃体の斜視図。
【符号の説明】
1…カバン本体、 2…背面部材、 3…表地、 4…裏地、 5…開閉部、 6…収納部分、 7…防刃体、 8…補強板、 9…把手部材、 9a…ベルト本体、 9b…布地、 10…砥粒、 11…防刃布、 12…保護布、 13…クッション部材、 14…袋、 15…固定部材、 16…正面部材、 17…側面部材、 18…フラップ、 19…縁テープ、 20…提げ手、 21…吊り下げ杆、 22…肩ベルト、
23…ベルト、 24…係止ベルト。
【発明の属する技術分野】
近年刃物を用いた通り魔的な事件が多発する傾向がある。このような事件は、どのような状況で発生するか予測することができないため、被害者は無防備の状態でなすすべがないのが現状である。また、だれもが無差別的な事件に巻き込まれる可能性がある。
このような現状に鑑み、本発明は一般の人が、常時携行するカバンを盾として利用し、被害を最小限に食い止めることができる、安全カバンを工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、防刃、防弾を目的として利用することができるカバンの思想は、特許文献1ないし特許文献3として公知である。特許文献1には、カバンの外装体の内側に防弾マット材を施すとともに、防刃素材で形成される仕切り板を組み合わせる思想が記載されている。特許文献2には、展開可能なバッグの一部に防弾具を備える思想が、特許文献3には人体の上半身をカバーすることができるような盾を二つ折りとしてカバンに偽装する発明が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、カバンそのものの内面を防弾素材で構成するものであるため、カバンとして製造する場合に縫製等の作業に困難を伴う。例えば、十分な防弾、防刃機能を備えた構造とするにはバッグそのものが重くなり、また緊急時に防護手段として扱いにくい欠点がある。特許文献2に記載された発明ではカバンを展開して盾として利用するため、使用時に収納物が散逸する可能性があるなど使用に便利なものとは言えない。さらに、特許文献3に記載された発明は、盾をカバンに偽装して携行するものであって、カバンとしての機能を備えたものではない。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記、従来技術の欠点に鑑み、本発明は、カバンとしての機能性を損なうものでないとともに、通常のカバンとして製造が容易な安全カバンを提供することを目的とするものである。また、本発明は刃物による攻撃に対しより安全であるとともに、咄嗟の非常時により迅速に対応することができる、取り扱い易いに便利な構造の安全バッグを提供せんとするものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−332632号公報(図1、図3参照)
【特許文献2】
特開平8−75397号公報(図1、図2参照)
【特許文献3】
特表2003−504587号公報(図1、図4参照)
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明はカバン本体1の少なくとも背面部材2を表地3と裏地4で構成する。背面部材2の裏地4に開閉部5を設けることによって表地3と裏地4の間に収納部分6を形成する。収納部分6には、刃物によって切断されにくい防刃体7を着脱自在に挿入しておく。また、背面部材2の表地3には、そのほぼ中央部分に、上下方向の型崩れを防止することができる補強板8を固定し、この補強板8に上下方向の把手部材9を固定する。これにより、いざというときに、迅速に把手部材9を手に持って防御体勢をとることが可能となる。
【0007】
背面部材2の表地3と裏地4の間に挿入する防刃体7は、表面に砥粒10を付着させた複数枚の防刃布11で構成し、防刃布11と防刃布11の間に砥粒10表面を覆う保護布12を介在させる。また、把手部材9と対向する側面にクッション部材13を配置し、防刃布11と保護布12及びクッション部材13を重ね合わせて袋14に収容して防刃体7を構成するのがよい。これにより、より大きな防刃効果を発揮することができるとともに、袋14に収容された状態で一つの防刃体として取り扱うことができ、取り替えや点検を容易に行なうことができる。
【0008】
上下方向の型崩れを防止する補強板8は、背面部材2の表地3内面に配置した合成樹脂板、把手部材9として柔軟性を有するベルト状としておくのが好ましい。そして、このベルト状の把手部材9を、その上下部分において、固定部材15,15で背面部材2の表地3を貫通させて補強板に固定すると、把手部材9を持った時に、しっかりと安定した状態で盾と同じ感覚で取り扱うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る安全カバンの好ましい実施形態を、添付の図面に基づいて説明する。
図1は蓋を開けた状態のカバン全体の斜視図、図2はカバンの正面図、図3はカバンの背面図である。図4は、一部を拡大表示したカバンの縦断面図、図5は、一部を切除した状態で示す防刃体の斜視図である。
【0010】
図示例のカバンは、肩掛けカバンとして利用することができる手提げカバンであって、カバン本体1は背面部材2と、正面部材16と、側面部材17とで構成している。背面部材2には、上方に延長したフラップ18を備えるとともに、側面部材(マチ)17は底と連続する部材として形成している。これら各部材は、縁テープ19を用いて縫着することによってカバンを形成する。背面部材2、正面部材16及び側面部材17は、いずれも表地3と裏地4を重ね合わせた二重構造としている。
【0011】
背面部材2の上端、換言すればフラップ18の基端部分に提げ手20を配置するとともに、提げ手20の両側に吊り下げ杆21,21を設け、該吊り下げ杆21,21に肩ベルト22を取付けることができるようにしている。フラップ18には、ベルト23,23を突出させるとともに、正面部材16には係止ベルト24,24が設けてあり、フラップから突出するベルト23と、正面部材16の係止ベルト24によってフラップ8を閉じた状態を維持することができる。そのため、例えカバンを盾として使用するような状況下においても、カバン内の収容物が周辺に飛散するようなことがないようにしている。
【0012】
図3及び図4に示すように、背面部材2の内面には、上下方向の型崩れを防止することを目的とする補強板8を配置する。補強板8の平面形状は図3に点線で示すように縦長の板状であって、ある程度の腰(型崩れが防止できる強度)を備えたもの、例えば剛性樹脂板、厚手の皮革などとする。この状態で、背面部材の中央部分に上下方向の把手部材9を配置し、該把手部材9を、その上下部分において、鋲などの固定部材を用いて固定している。すなわち、把手部材9は丈夫な皮革ベルトで製したベルト本体9aを、丈夫で手にやさしい布地9bで裏打ちすることによって適度な柔軟性と剛性を備えたものとする。また、手指を挿入して安定的に把持することができるように中間部分を浮き上がらせた状態で上下両端部分を背面部材2に固定する。
【0013】
把手部材9を背面部材2に固定するには、金属製のビスや鋲といった固定部材15を用いて、表地3と裏地4及び補強板8の三者を貫通させて固定する。このとき、補強板8は表地3の表側面に現れるものであってもよいが、表地3の内面に配置することによって外観に現れないものとすることができる。外観に表すか表さないかはデザイン上の問題であり、機能的にはいずれであっても良い。
【0014】
図4に示すように、背面部材2の裏地4上部にはファスナーによる開閉部5を形成し、表地3と裏地4の間に収納部分6を形成する。そして、この収納部6に防刃機能を備えた防刃体7を挿入しておく。表地3と裏地4の間に形成する収納部分6に防刃体7を挿入し、開閉部5を閉じておくことによって、カバンの内部は従来のカバンと何ら変らないものとして利用することができる。従来からカバンの内面に内ポケットを設けることは広く行なわれているが、従来の内ポケットは、内部空間が袋上に形成される必要がある。これに対し、本発明における収納部分6は、完全な袋上に加工されている必要がなく、単に防刃体を収容することのみを目的とするものである。
【0015】
収納部分6に収納する防刃体7は、どのようなものであっても良いが、できるだけ軽く防刃性能に優れたものであるのが好ましい。図5は、前記条件を満たす防刃体7の一例を示すもので、複数の防刃布11,11を重ね合わせることによって防刃効果の向上を図っている。すなわち、三枚の防刃布と、クッション部材13を重ね合わせて不織布で形成した袋14に収容し、全体を一つの防刃体7としてカバンの背面部材2に形成した収納部分6に収容するものである。
【0016】
防刃、防弾効果のある繊維として、アラミド繊維が知られている。本発明者も防刃布11としてアラミド繊維の織布を利用するとともに、クッション部材13としてアラミド繊維のフェルトを利用する。防刃布11は、防刃効果を向上させる一つの手段として、アラミド繊維の織布表面に比較的粒子の荒い砥粒10を付着させている。織布の表面に砥粒10を付着させ、これを重ね合わせた場合、砥粒10によって隣接する防刃布11の織布そのものを傷つけてしまい、防御効果を損なう可能性がある。このような欠点を防止するために、本発明者は防刃布11と防刃布11の間に、砥粒10表面を覆うように、保護布12を介在させることによって砥粒そのものによって防刃布を損傷してしまうという問題を解決した。
【0017】
保護布12の材質は、特に限定されるものではないが、砥粒表面を覆って隣接する防刃布を保護することができること、換言すれば多少のクッション性を備えることと、砥粒の剥落を防止することができる柔らかさを備えたものであるのが好ましい。そのため、保護布12として比較的安価である柔軟な不織布などを利用することができる。この保護布12は、砥粒から防刃布を保護することができるものであれば、特に厚手の生地である必要はない。また、袋14を構成する生地も特に限定されるものではないが、袋14の一方の面が一番はしに位置する防刃布11の砥粒表面の保護布を兼ねることを考慮して、保護布12と袋14は同じ薄手であって柔軟な不織布を利用すると良い。
【0018】
複数の防刃布11とクッション部材13及び保護布12を重ね合わせ、袋14に収容した防刃体7は、クッション部材13が外方、すなわち背面部材の表地3内面に面する状態で挿入する。これにより、カバンの把手部材を手に持って、刃物による強い攻撃を受け止めた場合に、その衝撃がクッション部材13によって効果的に緩和されることになる。
【0019】
なお、背面部材2に固定する把手部材9を図示例のように丈夫な皮革でベルト本体9aを製するとともに、布地9bで裏打ちすることによって持ち易く衝撃に耐えることができるものとすることができる。把手部材9は中間部分を浮き上がらせて背面部材に固定するものであるが、その浮き上がり寸法が手指を容易に挿入することができる寸法であり、かつ大きな隙間を生じない寸法、例えば2センチメートル程度としておく。これにより、緊急の事態に迅速に対応することができるとともに、カバンをしっかりと片手で持ち、盾として利用することができる。
【0020】
上記、本発明に係るカバンは、緊急時に迅速に対応することができるものである。すなわち、刃物を持った暴漢に襲われた場合などに、まず片手でカバンの背面部材2に装着されている把手部材9を片手に持ち、カバン全体を盾として利用する。このとき、もう片方の手は自由であるためカバン以外での防御や反撃などのために自由が利くことになる。そして、刃物による攻撃は、多重構造の防刃体7によって効果的に防御することができるとともに、襲撃の衝撃がクッション部材13によって和らげられるため、余裕をもって次の行動に移ることができる。
【0021】
なお、図示例のカバンを通常のカバンとして利用する場合は、カバンとしての内部構造が、通常のカバンと大差なく十分な収容空間を確保することができるとともに、外観上は背面部材2に把手部材9が現れるだけである。このとき、背面部材2に装着される把手部材9をベルト状とし、把持空間としての浮き上がり寸法を比較的小さなものとすることによってカバンとしての使用に支障を来たすことがないものとなる。すなわち、手指を隙間なく差し込める程度の浮き上がり寸法としておくことによって、安定した状態で把持することができるとともに、カバンとして利用する場合に把手部材が邪魔になりにくい。
【0022】
以上述べた、本発明に係る安全カバンは全体を皮革で製するほか、布製とすることができる。このとき、表地を皮革、裏地を布製などとすることができる。また、カバンそのものの形態は、例えばフラップがなく正面部材16と背面部材2の上端をファスナーで開閉するようなものであっても良い。
本発明は、基本的には防刃を目的とするものであるが、防刃機能を有する素材例えばアラミド繊維は、防弾機能をも有するものであるから、頭や上半身を防御する防弾具としても機能するものである。
【0023】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明安全カバンによれば、カバン本体そのものを特別な素材でつくるのではなく通常のカバンと同じように製造し、表地と裏地の間に形成した収納部分に防刃体を挿入するだけで能率的に製造することができる。また、背面板の中央部分に上下方向の把手部材を配置し、かつ補強板を固定したことによって盾として、極めて取り扱い易いものとすることができる特長がある。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、単体として比較的薄い防刃布を利用し、かつ複数枚を重ねあわせるとともに砥粒を付着させることによって全体として薄く、かつ防刃効果が大きなものとし、保護布を配置することによって砥粒で防刃布が摩滅することを防止することができる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、背面板に装着する把手部材を強固に固定することができるとともに、多少柔軟性のある素材で作られるカバンであっても、盾として使用する場合に型崩れせず、機能的に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る安全カバンであって、開蓋状態の斜視図、
【図2】安全カバン全体の正面図、
【図3】安全カバン全体の背面図、
【図4】本発明に係る安全カバンであって一部を拡大して表示した縦断側面図、
【図5】一部を切欠して示す防刃体の斜視図。
【符号の説明】
1…カバン本体、 2…背面部材、 3…表地、 4…裏地、 5…開閉部、 6…収納部分、 7…防刃体、 8…補強板、 9…把手部材、 9a…ベルト本体、 9b…布地、 10…砥粒、 11…防刃布、 12…保護布、 13…クッション部材、 14…袋、 15…固定部材、 16…正面部材、 17…側面部材、 18…フラップ、 19…縁テープ、 20…提げ手、 21…吊り下げ杆、 22…肩ベルト、
23…ベルト、 24…係止ベルト。
Claims (3)
- 少なくとも背面部材を表地と裏地とで構成し、裏地の一部に開閉部を形成することによって表地と裏地の間に収納部分を形成し、該収納部分に刃物によって切断されにくい防刃体を着脱自在に挿入するとともに、背面部材の表地のほぼ中央部分に上下方向の型崩れを防止する補強板を固定し、該補強板に上下方向の把手部材を固定したことを特徴とする安全カバン。
- 背面部材の表地と裏地の間に挿入する防刃体は、表面に砥粒を付着させた複数枚の防刃布で構成し、防刃布と防刃布の間に砥粒表面を覆う保護布を介在させるとともに把手部材側にクッション部材を配置し、防刃布と保護布及びクッション部材を重ね合わせて袋に収容することによって防刃体を構成することを特徴とする請求項1記載の安全カバン。
- 補強板は、背面部材の表地内面に配置した合成樹脂板、把手部材は柔軟性を有するベルト状とし、該ベルト状の把手部材の上下部分において、鋲などの固定部材を用い、該固定部材が背面部材の表地を貫通する状態で補強板に固定したことを特徴とする請求項1又は2記載の安全カバン。
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2003
- 2003-03-07 JP JP2003060837A patent/JP2004267386A/ja active Pending
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