JP2004267004A - 冬虫夏草の培養方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コルディセピンの含有量を向上させる。
【解決手段】冬虫夏草用培地にコルディセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間培養する第1工程と、その培養後、35℃以下の範囲内で前記第1工程の培養温度より温度を上げて培養する第2工程とを含む。第2工程において、冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行うことが好ましい。光照射が、照度600〜50000ルクスであることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】冬虫夏草用培地にコルディセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間培養する第1工程と、その培養後、35℃以下の範囲内で前記第1工程の培養温度より温度を上げて培養する第2工程とを含む。第2工程において、冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行うことが好ましい。光照射が、照度600〜50000ルクスであることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた抗腫瘍効果、抗菌効果、免疫増強効果及び滋養強壮効果を有する薬用茸の一種である冬虫夏草の培養方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冬虫夏草は、薬用茸の一種で、昆虫などを宿主とし、菌糸が増殖して宿主を死に至らしめた後、該宿主の体内で菌糸が充満すると子実体を形成するコルディセプス(cordyceps)属の茸の一種であり、冬季には宿主の体内にあり、夏季になると宿主の虫体から穿ち出る子嚢菌に属する茸である。
冬虫夏草は、自然状態では地中又は地上に菌糸又は胞子として存在する菌であり、寄生する昆虫の幼虫期、蛹期及び成虫期全般にわたって体内に侵入して発生する。
冬虫夏草は、優れた抗腫瘍効果、抗菌効果、免疫増強効果及び滋養強壮効果を有するものとして知られている。冬虫夏草の有効成分はコルディセピン(cordycepin)であり、その含有量は、子実体の乾燥体において0.02〜0.6重量%程度である。
【0003】
近年、冬虫夏草の菌糸体を人工的に培養する方法としていくつか提案されており、例えば、冬虫夏草の虫体菌糸又は座胞子をセミなどの節足動物の昆虫類の成虫、蛹、幼虫などに定着させて固体培養する方法、米胚を利用した培養液の製造方法などが知られている。しかしながら、成虫、蛹、幼虫などに定着させる固体培養や、米胚を利用した液体培養などの従来の培養方法では、培養方法が複雑であった。また、その収量は、たとえば、さなぎ固体培養による培養生成産物中のコルディセピン含有量は約0.1〜0.5重量%、米胚液体培養の場合は約0.04重量%といずれも高くなかった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−209579号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、その目的は、得られる培養生成物中のコルディセピンの含有量を向上させることができる冬虫夏草の培養方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の冬虫夏草の培養方法は、冬虫夏草用培地にコルディセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間培養する第1工程と、その培養後、35℃以下の範囲内で前記第1工程の培養温度より温度を上げて培養する第2工程とを含むことを特徴とするものである。
前記第2工程において、前記冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行うことが好ましい。
また、本発明の冬虫夏草の培養方法は、冬虫夏草用培地にコルディセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間暗所にて培養する第1工程と、その培養後、前記冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行うことを培養する第2工程とを含むことを特徴とするものである。
前記第2工程における光照射が、照度600〜50000ルクスであることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる冬虫夏草は、コルディセピンを産生する菌であり、コルディセピンを体外に排出および/または体内に含有する菌である。例えば、コルディセプス属に属するもので、コルディセプス・ミリタリス(Cordyceps militaris)等が好ましく用いられる。特にコルディセプス・ミリタリス(寄託番号FERM P−18657、寄託番号FERM P−18658)が好ましく用いられる。
【0008】
冬虫夏草用培地は、冬虫夏草を培養するものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは、(A)グルコース、スクロース、糖蜜、マルトース、米及び/又はとうもろこしから選ばれた少なくとも1種、(B)ペプトン、イースト、モルト、ミルクから選ばれた少なくとも1種、(C)アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、DNAから選ばれた少なくとも1種及び/又は(D)ビオチン、ビタミンB類を含有してなる培地等である。
【0009】
(A)成分は、冬虫夏草用培地の炭素源として含有するものであり、グルコース、スクロース、糖蜜、マルトース、米及び/又はとうもろこしのいずれか1種又は2種以上である。米、とうもろこしは、使用する培地の形態等にあわせて適宜粉砕して用いることが好ましい。例えば、液体培地の場合は、粒径200〜300μm程度とするが、これに限定されるものではない。米、とうもろこしは、安価で容易に入手できる材料であるので、低コストで培地を提供することができる。
【0010】
(A)成分の冬虫夏草用培地中の含有量は、好ましくは1〜100重量%である。液体培地の場合は、好ましくは1〜6重量%である。なお、(A)成分として、グルコース、スクロース、糖蜜、マルトースのいずれか1種を用いる場合、好ましくは1〜3重量%であるが、米および/またはとうもろこしのみを(A)成分として用いる場合には、他の(A)成分と比較して糖質の含有量が低いので、3〜5重量%であることが好ましい。(A)成分の含有量が1重量%未満では、得られる培養生成物の培地の単位重量あたりの菌体重量が減少する傾向がある。
なお、本発明において重量%とは、水100重量部に対して、成分x重量部を含有することを意味する。
【0011】
(B)成分は、冬虫夏草用培地の窒素源として含有するものであり、ペプトン、イースト、モルト、ミルクから選ばれるいずれか1種又は2種以上である。イーストまたはモルトはその抽出物を使用してもよい。ミルクとしては、粉乳、脱脂粉乳が挙げられる。
(B)成分の冬虫夏草用培地中の含有量は、好ましくは1〜7重量%であり、特に好ましくは4〜7重量%である。(B)成分の含有量が1重量%未満、また、7重量%を超えた場合は、得られる培養生成物の培地の単位重量あたりの菌体重量が減少する傾向がある。
【0012】
(C)成分は、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、DNAから選ばれるいずれか1種又は2種以上である。
アスパラギン、アスパラギン酸、グリシンは、アミノ酸の1種である。アスパラギンとしてはL体、D体どちらも使用できるが、L体が好ましい。アスパラギン酸においても、L体、D体どちらも使用できる。L−アスパラギン(和光純薬製のもの等)を用いた場合には、低コストに製造できるので工業的に好ましい。
DNAとしては、例えば、魚等から抽出したDNAが使用でき、鮭精液由来のDNA等が挙げられる。
【0013】
(C)成分の冬虫夏草用培地中の含有量は好ましくは0.1〜0.5重量%であり、特に好ましくは、0.3〜0.4重量%である。(C)成分の含有量が0.1重量%未満の場合は、得られる培養生成物の培地の単位重量あたりの菌体重量が減少する傾向があり、かつコルディセピン含有量の増加効果が少ないので好ましくない。また、(C)成分の含有量が0.5重量%を超えた場合は、菌体の成長及びコルディセピン含有量の増加効果の極限を超えるため好ましくない。
【0014】
(D)成分は、ビタミンとして冬虫夏草用培地に含有させるものであり、ビオチン、ビタミンB類のいずれか1種又は2種以上である。
ビオチンはビタミンの一種である。
ビタミンB類は、ビタミンBであれば特に限定されず、好ましくは、ビタミンB1、ビタミンB12等であり、これらは単独のものでも、又は二種以上の混合物であってもよい。
【0015】
(D)成分の含有量は、特に限定されないが、微量であることがよく、例えば冬虫夏草用培地100mlに対して2〜10μg程度である。(D)成分の含有量が2μg未満の場合は、得られる培養生成物中のコルディセピン含有量の増加効果が少ないので好ましくない。また、(D)成分の含有量が10μgを大きく超えた場合は、菌体の成長およびコルディセピン含有量の増加効果の極限を超えるので好ましくない。
【0016】
冬虫夏草用培地のpHは、2〜9であることがことが好ましく、特に好ましくは、5〜7である。pHの調製は、調製が行えるならばどのようにしてもよく、例えば、塩酸や水酸化ナトリウムを使用する調製方法が挙げられる。
【0017】
本発明の冬虫夏草用培地は、(A)〜(D)成分以外はほとんど水であるが、この水としては、特に限定されず、水道水、井戸水、蒸留水等が挙げられる。
さらに、(A)〜(D)成分、水以外にも、コルディセピンの含有量を向上させるために他の成分を含有させてもよい。
他の成分としては、例えば(B)成分以外の窒素源としてはおから、それ以外には例えばマグネシウム、カルシウム等のミネラルが挙げられる。
【0018】
本発明の第1の冬虫夏草の培養方法は、冬虫夏草用培地に冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間培養する第1工程と、その培養後、35℃以下の範囲内で前記第1工程の培養温度より温度を上げて培養する第2工程とを有するものである。
【0019】
また、本発明の第1及び第2の冬虫夏草の培養方法において冬虫夏草用培地は、固体培地でも液体培地でも適用できるが、好ましくは液体培地がよい。液体培地を使用した場合は、固体培地を用いた場合よりも効率よく菌糸を大量に得ることができ、かつ、冬虫夏草が産生したコルディセピンが菌体内のみならず培養液中に大量に存在する。したがって、菌体から複雑な工程を経て分離せずとも大量のコルディセピンを培養液から効率的に精製分離することができる。
【0020】
第1工程における培養温度は5〜28℃の範囲であり、好ましくは16〜25℃、特に好ましくは21〜25℃である。培養温度が5℃未満では得られる培養生成物中のコルディセピン含量が少なく、また、培養温度が28℃を越えると、得られる培養生成物中のコルディセピン量がそのピークを超え、減る傾向がある。
【0021】
第1工程における培養時間は20〜90日であり、好ましくは40〜90日である。培養時間が20日未満では得られる培養生成物中のコルディセピンの量が十分でない。また、培養時間が90日を越えると得られる培養生成物中のコルディセピン量がそのピークを超え、減る傾向がある。
【0022】
第2工程は、第1工程終了後、第1工程の培養温度より培養温度を上昇させ、熱ショックを与え、その温度で培養するものである。第2工程での培養温度は35℃以下であり、35℃を超えると、菌が死滅する恐れがある。第2工程の温度は、第1工程の温度等の培養条件によって、最も効果的にコルディセピン産生量を増大させる温度を選択することが好ましい。例えば、第1工程で21〜25℃で培養した場合、第2工程にて28℃〜30℃で培養すると、培養生成物中のコルディセピン量の増加効果がもっとも高く、好ましい。
【0023】
上述のように第1工程後、第2工程にて熱ショックを与えることによって、培養生成物中のコルディセピン含量を増大させる効果を得ることができる。
【0024】
本発明の第2の冬虫夏草の培養方法は、冬虫夏草用培地に冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間暗所にて培養する第1工程と、その培養後、前記冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行う第2工程とを有するものである。
すなわち、第2の冬虫夏草の培養方法は、5〜28℃下20〜90日間で培養する第1工程を暗所で行い、その後第2工程において照度100〜150000ルクスの光を培地に照射するものである。
【0025】
第1工程における培養温度及び培養時間は、前記第1の培養方法と同じであるので説明を省略する。
第2工程における光照射は、照度100〜150000ルクス、好ましくは、照度600〜50000ルクスである。光照射が照度100ルクス未満では得られる培養生成物中のコルディセピン量の増加効果が少ない。また、光照射が照度150000ルクスを越えると得られる培養生成物中のコルディセピン量がそのピークを超え、減る傾向がある。
光照射の色(光種)は、特に限定されないが、好ましくは白、緑、黄、青、赤等であることが好ましい。
【0026】
このように第1工程後、第2工程にて光照射し、ショックを与えることによって、培養生成物中のコルディセピン含量を増大させる効果を得ることができる。
【0027】
また、本発明の第1の培養方法の第2工程において、熱ショックと共に第2の培養方法と同様の光照射を行うと、培養生成物のコルディセピン量をさらに増大させることができ、好ましい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれになんら限定されるものではない。実施例及び比較例におていは、下記の菌株を種菌培養として下記前々培養及び前培養して使用した。
【0029】
(使用菌株)
菌株としては、コルディセプス・ミリタリス(寄託番号FERM P−18657)を、保存菌株用培地(スラント培地:ペプトン1g、グルコース3g、DL−アスパラギン0.1g、MgSO4 0.05g、K2HPO4 0.1g、ビオチン 2μg、寒天3g、蒸留水100ml、pH6.8)で保存したものを用いた。
【0030】
(前々培養)
平板寒天培地(ペプトン1g、グルコース3g、DL−アスパラギン0.1g、MgSO4 0.05g、K2HPO4 0.1g、ビオチン2μg、寒天3g、蒸留水100ml、pH6.8)をシャーレに20ml充填した。このシャーレ培地に、前記保存した菌株を約15mm*15mm切り出して接種し、これを21℃下2週間培養した。
【0031】
(前培養)
液体培地(ペプトン1g、グルコース3g、DL−アスパラギン0.1g、MgSO4 0.05g、K2HPO4 0.1g、ビオチン2μg、蒸留水100ml、pH6.8)100mlを500ml三角フラスコに分注し、121℃下20分間滅菌処理した。処理後、液温度が室温まで下がったとき、この液体培地に、前々培養したシャーレ培地から切り出した約1cm角のコロニ−三つを接種した。これを回転振盪機を用いて80rpmで、21℃下10日間培養し、分生子の発生を顕微鏡で確認後、本培養に使用した。
【0032】
(本培養)
冬虫夏草用培地(グルコース3g、ペプトン4g、L−アスパラギン0.1g、MgSO40.05g、ビオチン2μg、蒸留水100ml、pH6.8)100mlを121℃下20分間滅菌処理した。なお、各例毎に(1種につき)それぞれ3つ同じ実験を行った。処理後、それぞれ液温度が室温まで下がったとき、この液体培地に、前培養で得られた菌体含有培地約1mlを接種し、これを下記実施例及び比較例に示した培養方法にて本培養を行った。
なお、得られた生成物中の総コルディセピン量は下記のようにして求めた。
【0033】
(培養生成物中の総コルディセピン量の測定)
本培養後、各培養液100mlをろ紙(5B:アドバンテック東洋社製)を用いてろ過した。得られた菌体を5日間凍結乾燥した後、精密天秤で測定しその重量(以下、菌体重量とする)を測定した。
また、ろ過した培養液を凍結乾燥し、その重量(以下、培養液乾燥重量とする)を測定した。
【0034】
凍結乾燥した菌体1gを水(蒸留水)を用いて10分間超音波(サンフレックス、DG−1、50W、43KHz)処理した。この処理液をろ紙(5B:アドバンテック東洋社製)を用いてろ過してコルディセピン含有量分析用試料とした。
この試料を、高速液体クロマトグラフィ(HPLC(LC−10:株式会社島津製作所製))を用いて分析し、コルディセピンの含有量を測定した(以下、菌体コルディセピン含有量とする)。
【0035】
HPLCの条件は、カラムにInertsil ODS−2(ODS) 250L*4.6φmm(ジーエルサイエンス株式会社製)を用い、移動相は50mMリン酸カリウム:アセトニトリル(V/V=95:5)、流速1.0ml/min、カラム温度40℃、検出波長260nmで行った。
前記ろ過培養液の凍結乾燥物についても、同様にしてコルディセピン含有量を測定した(以下、培養液コルディセピン含有量とする)。
【0036】
これらの値から、次式に基づいて総コルディセピン量を求めた。
上記の測定は、各培養条件において三連で実験して得られた培養物のそれぞれについて行い、3つの値の平均値をその培地における値とした。
【0037】
〔実施例1〜3、比較例1〕
前記本培養において作成した冬虫夏草菌を接種した冬虫夏草用培地を23℃下20日間暗所にて静置培養した(第1工程)。その培養後、下記表1に示した実施例1〜3の培養温度下14日暗所にてそれぞれ静置培養し(第2工程)、それぞれ得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。また、比較のため(比較例)、第2工程における培養温度を第1工程の培養温度と同じ温度(23℃)で培養し、得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。温度毎の評価は、比較例で得られた総コルディセピン量1とし、比を求めることで行い、その結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示した結果から、本発明の第2工程の培養温度が規定範囲にある実施例1〜3の場合、いずれも得られた培養生成物中のコルディセピン量が比較例と比較して増加した。
【0040】
〔実施例4〜8〕
前記本培養において作成した冬虫夏草菌を接種した冬虫夏草用培地を23℃下20日間暗所にて静置培養した(第1工程)。その培養後、下記表2に示した実施例4〜8の照度で白色の光照射を行いながら23℃下14日それぞれ静置培養し(第2工程)、それぞれ得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。その結果を表2及び図1に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
表2及び図1に示した結果から、本発明の第2工程の光照射が規定範囲にある実施例4〜8の場合、いずれも得られた培養生成物中のコルディセピン量が従来と比べて増加した。
【0043】
〔実施例9〜12〕
前記本培養において作成した冬虫夏草菌を接種した冬虫夏草用培地を23℃下20日間暗所にて静置培養した(第1工程)。その培養後、下記表3に示した実施例9〜12の色(光種)で照度800Luxの光照射を行うと共に23℃下14日それぞれ静置培養し(第2工程)、それぞれ得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。その結果を表3及び図2に示した。
【0044】
【表3】
【0045】
表3及び図2に示した結果から、本発明の第2工程の光照射の色(光種)が白、緑、黄、青、赤の実施例6、9〜12の場合、いずれも得られた培養生成物中のコルディセピン量が従来と比べて増加した。
【0046】
〔実施例13〜15〕
前記本培養において作成した冬虫夏草菌を接種した冬虫夏草用培地を23℃下20日間暗所にて静置培養した(第1工程)。その培養後、下記表4に示した実施例13〜15の照度で白色の光照射を行うと共に室内25℃下14日それぞれ静置培養し(第2工程)、それぞれ得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。その結果を表4及び図3に示した。
【0047】
【表4】
【0048】
表4及び図3に示した結果から、本発明の第2工程の培養温度及び光照射がそれぞれ規定範囲にある実施例13〜15の場合、いずれも得られた培養生成物中のコルディセピン量が増加した。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、培養生成物中のコルディセピン量を顕著に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】照度と総コルディセピン量との関係を示すグラフである。
【図2】光の色と総コルディセピン量との関係を示すグラフである。
【図3】熱ショックを与えた後、光照射した場合の照度と総コルディセピン量との関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた抗腫瘍効果、抗菌効果、免疫増強効果及び滋養強壮効果を有する薬用茸の一種である冬虫夏草の培養方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冬虫夏草は、薬用茸の一種で、昆虫などを宿主とし、菌糸が増殖して宿主を死に至らしめた後、該宿主の体内で菌糸が充満すると子実体を形成するコルディセプス(cordyceps)属の茸の一種であり、冬季には宿主の体内にあり、夏季になると宿主の虫体から穿ち出る子嚢菌に属する茸である。
冬虫夏草は、自然状態では地中又は地上に菌糸又は胞子として存在する菌であり、寄生する昆虫の幼虫期、蛹期及び成虫期全般にわたって体内に侵入して発生する。
冬虫夏草は、優れた抗腫瘍効果、抗菌効果、免疫増強効果及び滋養強壮効果を有するものとして知られている。冬虫夏草の有効成分はコルディセピン(cordycepin)であり、その含有量は、子実体の乾燥体において0.02〜0.6重量%程度である。
【0003】
近年、冬虫夏草の菌糸体を人工的に培養する方法としていくつか提案されており、例えば、冬虫夏草の虫体菌糸又は座胞子をセミなどの節足動物の昆虫類の成虫、蛹、幼虫などに定着させて固体培養する方法、米胚を利用した培養液の製造方法などが知られている。しかしながら、成虫、蛹、幼虫などに定着させる固体培養や、米胚を利用した液体培養などの従来の培養方法では、培養方法が複雑であった。また、その収量は、たとえば、さなぎ固体培養による培養生成産物中のコルディセピン含有量は約0.1〜0.5重量%、米胚液体培養の場合は約0.04重量%といずれも高くなかった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−209579号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、その目的は、得られる培養生成物中のコルディセピンの含有量を向上させることができる冬虫夏草の培養方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の冬虫夏草の培養方法は、冬虫夏草用培地にコルディセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間培養する第1工程と、その培養後、35℃以下の範囲内で前記第1工程の培養温度より温度を上げて培養する第2工程とを含むことを特徴とするものである。
前記第2工程において、前記冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行うことが好ましい。
また、本発明の冬虫夏草の培養方法は、冬虫夏草用培地にコルディセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間暗所にて培養する第1工程と、その培養後、前記冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行うことを培養する第2工程とを含むことを特徴とするものである。
前記第2工程における光照射が、照度600〜50000ルクスであることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる冬虫夏草は、コルディセピンを産生する菌であり、コルディセピンを体外に排出および/または体内に含有する菌である。例えば、コルディセプス属に属するもので、コルディセプス・ミリタリス(Cordyceps militaris)等が好ましく用いられる。特にコルディセプス・ミリタリス(寄託番号FERM P−18657、寄託番号FERM P−18658)が好ましく用いられる。
【0008】
冬虫夏草用培地は、冬虫夏草を培養するものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは、(A)グルコース、スクロース、糖蜜、マルトース、米及び/又はとうもろこしから選ばれた少なくとも1種、(B)ペプトン、イースト、モルト、ミルクから選ばれた少なくとも1種、(C)アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、DNAから選ばれた少なくとも1種及び/又は(D)ビオチン、ビタミンB類を含有してなる培地等である。
【0009】
(A)成分は、冬虫夏草用培地の炭素源として含有するものであり、グルコース、スクロース、糖蜜、マルトース、米及び/又はとうもろこしのいずれか1種又は2種以上である。米、とうもろこしは、使用する培地の形態等にあわせて適宜粉砕して用いることが好ましい。例えば、液体培地の場合は、粒径200〜300μm程度とするが、これに限定されるものではない。米、とうもろこしは、安価で容易に入手できる材料であるので、低コストで培地を提供することができる。
【0010】
(A)成分の冬虫夏草用培地中の含有量は、好ましくは1〜100重量%である。液体培地の場合は、好ましくは1〜6重量%である。なお、(A)成分として、グルコース、スクロース、糖蜜、マルトースのいずれか1種を用いる場合、好ましくは1〜3重量%であるが、米および/またはとうもろこしのみを(A)成分として用いる場合には、他の(A)成分と比較して糖質の含有量が低いので、3〜5重量%であることが好ましい。(A)成分の含有量が1重量%未満では、得られる培養生成物の培地の単位重量あたりの菌体重量が減少する傾向がある。
なお、本発明において重量%とは、水100重量部に対して、成分x重量部を含有することを意味する。
【0011】
(B)成分は、冬虫夏草用培地の窒素源として含有するものであり、ペプトン、イースト、モルト、ミルクから選ばれるいずれか1種又は2種以上である。イーストまたはモルトはその抽出物を使用してもよい。ミルクとしては、粉乳、脱脂粉乳が挙げられる。
(B)成分の冬虫夏草用培地中の含有量は、好ましくは1〜7重量%であり、特に好ましくは4〜7重量%である。(B)成分の含有量が1重量%未満、また、7重量%を超えた場合は、得られる培養生成物の培地の単位重量あたりの菌体重量が減少する傾向がある。
【0012】
(C)成分は、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、DNAから選ばれるいずれか1種又は2種以上である。
アスパラギン、アスパラギン酸、グリシンは、アミノ酸の1種である。アスパラギンとしてはL体、D体どちらも使用できるが、L体が好ましい。アスパラギン酸においても、L体、D体どちらも使用できる。L−アスパラギン(和光純薬製のもの等)を用いた場合には、低コストに製造できるので工業的に好ましい。
DNAとしては、例えば、魚等から抽出したDNAが使用でき、鮭精液由来のDNA等が挙げられる。
【0013】
(C)成分の冬虫夏草用培地中の含有量は好ましくは0.1〜0.5重量%であり、特に好ましくは、0.3〜0.4重量%である。(C)成分の含有量が0.1重量%未満の場合は、得られる培養生成物の培地の単位重量あたりの菌体重量が減少する傾向があり、かつコルディセピン含有量の増加効果が少ないので好ましくない。また、(C)成分の含有量が0.5重量%を超えた場合は、菌体の成長及びコルディセピン含有量の増加効果の極限を超えるため好ましくない。
【0014】
(D)成分は、ビタミンとして冬虫夏草用培地に含有させるものであり、ビオチン、ビタミンB類のいずれか1種又は2種以上である。
ビオチンはビタミンの一種である。
ビタミンB類は、ビタミンBであれば特に限定されず、好ましくは、ビタミンB1、ビタミンB12等であり、これらは単独のものでも、又は二種以上の混合物であってもよい。
【0015】
(D)成分の含有量は、特に限定されないが、微量であることがよく、例えば冬虫夏草用培地100mlに対して2〜10μg程度である。(D)成分の含有量が2μg未満の場合は、得られる培養生成物中のコルディセピン含有量の増加効果が少ないので好ましくない。また、(D)成分の含有量が10μgを大きく超えた場合は、菌体の成長およびコルディセピン含有量の増加効果の極限を超えるので好ましくない。
【0016】
冬虫夏草用培地のpHは、2〜9であることがことが好ましく、特に好ましくは、5〜7である。pHの調製は、調製が行えるならばどのようにしてもよく、例えば、塩酸や水酸化ナトリウムを使用する調製方法が挙げられる。
【0017】
本発明の冬虫夏草用培地は、(A)〜(D)成分以外はほとんど水であるが、この水としては、特に限定されず、水道水、井戸水、蒸留水等が挙げられる。
さらに、(A)〜(D)成分、水以外にも、コルディセピンの含有量を向上させるために他の成分を含有させてもよい。
他の成分としては、例えば(B)成分以外の窒素源としてはおから、それ以外には例えばマグネシウム、カルシウム等のミネラルが挙げられる。
【0018】
本発明の第1の冬虫夏草の培養方法は、冬虫夏草用培地に冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間培養する第1工程と、その培養後、35℃以下の範囲内で前記第1工程の培養温度より温度を上げて培養する第2工程とを有するものである。
【0019】
また、本発明の第1及び第2の冬虫夏草の培養方法において冬虫夏草用培地は、固体培地でも液体培地でも適用できるが、好ましくは液体培地がよい。液体培地を使用した場合は、固体培地を用いた場合よりも効率よく菌糸を大量に得ることができ、かつ、冬虫夏草が産生したコルディセピンが菌体内のみならず培養液中に大量に存在する。したがって、菌体から複雑な工程を経て分離せずとも大量のコルディセピンを培養液から効率的に精製分離することができる。
【0020】
第1工程における培養温度は5〜28℃の範囲であり、好ましくは16〜25℃、特に好ましくは21〜25℃である。培養温度が5℃未満では得られる培養生成物中のコルディセピン含量が少なく、また、培養温度が28℃を越えると、得られる培養生成物中のコルディセピン量がそのピークを超え、減る傾向がある。
【0021】
第1工程における培養時間は20〜90日であり、好ましくは40〜90日である。培養時間が20日未満では得られる培養生成物中のコルディセピンの量が十分でない。また、培養時間が90日を越えると得られる培養生成物中のコルディセピン量がそのピークを超え、減る傾向がある。
【0022】
第2工程は、第1工程終了後、第1工程の培養温度より培養温度を上昇させ、熱ショックを与え、その温度で培養するものである。第2工程での培養温度は35℃以下であり、35℃を超えると、菌が死滅する恐れがある。第2工程の温度は、第1工程の温度等の培養条件によって、最も効果的にコルディセピン産生量を増大させる温度を選択することが好ましい。例えば、第1工程で21〜25℃で培養した場合、第2工程にて28℃〜30℃で培養すると、培養生成物中のコルディセピン量の増加効果がもっとも高く、好ましい。
【0023】
上述のように第1工程後、第2工程にて熱ショックを与えることによって、培養生成物中のコルディセピン含量を増大させる効果を得ることができる。
【0024】
本発明の第2の冬虫夏草の培養方法は、冬虫夏草用培地に冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間暗所にて培養する第1工程と、その培養後、前記冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行う第2工程とを有するものである。
すなわち、第2の冬虫夏草の培養方法は、5〜28℃下20〜90日間で培養する第1工程を暗所で行い、その後第2工程において照度100〜150000ルクスの光を培地に照射するものである。
【0025】
第1工程における培養温度及び培養時間は、前記第1の培養方法と同じであるので説明を省略する。
第2工程における光照射は、照度100〜150000ルクス、好ましくは、照度600〜50000ルクスである。光照射が照度100ルクス未満では得られる培養生成物中のコルディセピン量の増加効果が少ない。また、光照射が照度150000ルクスを越えると得られる培養生成物中のコルディセピン量がそのピークを超え、減る傾向がある。
光照射の色(光種)は、特に限定されないが、好ましくは白、緑、黄、青、赤等であることが好ましい。
【0026】
このように第1工程後、第2工程にて光照射し、ショックを与えることによって、培養生成物中のコルディセピン含量を増大させる効果を得ることができる。
【0027】
また、本発明の第1の培養方法の第2工程において、熱ショックと共に第2の培養方法と同様の光照射を行うと、培養生成物のコルディセピン量をさらに増大させることができ、好ましい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれになんら限定されるものではない。実施例及び比較例におていは、下記の菌株を種菌培養として下記前々培養及び前培養して使用した。
【0029】
(使用菌株)
菌株としては、コルディセプス・ミリタリス(寄託番号FERM P−18657)を、保存菌株用培地(スラント培地:ペプトン1g、グルコース3g、DL−アスパラギン0.1g、MgSO4 0.05g、K2HPO4 0.1g、ビオチン 2μg、寒天3g、蒸留水100ml、pH6.8)で保存したものを用いた。
【0030】
(前々培養)
平板寒天培地(ペプトン1g、グルコース3g、DL−アスパラギン0.1g、MgSO4 0.05g、K2HPO4 0.1g、ビオチン2μg、寒天3g、蒸留水100ml、pH6.8)をシャーレに20ml充填した。このシャーレ培地に、前記保存した菌株を約15mm*15mm切り出して接種し、これを21℃下2週間培養した。
【0031】
(前培養)
液体培地(ペプトン1g、グルコース3g、DL−アスパラギン0.1g、MgSO4 0.05g、K2HPO4 0.1g、ビオチン2μg、蒸留水100ml、pH6.8)100mlを500ml三角フラスコに分注し、121℃下20分間滅菌処理した。処理後、液温度が室温まで下がったとき、この液体培地に、前々培養したシャーレ培地から切り出した約1cm角のコロニ−三つを接種した。これを回転振盪機を用いて80rpmで、21℃下10日間培養し、分生子の発生を顕微鏡で確認後、本培養に使用した。
【0032】
(本培養)
冬虫夏草用培地(グルコース3g、ペプトン4g、L−アスパラギン0.1g、MgSO40.05g、ビオチン2μg、蒸留水100ml、pH6.8)100mlを121℃下20分間滅菌処理した。なお、各例毎に(1種につき)それぞれ3つ同じ実験を行った。処理後、それぞれ液温度が室温まで下がったとき、この液体培地に、前培養で得られた菌体含有培地約1mlを接種し、これを下記実施例及び比較例に示した培養方法にて本培養を行った。
なお、得られた生成物中の総コルディセピン量は下記のようにして求めた。
【0033】
(培養生成物中の総コルディセピン量の測定)
本培養後、各培養液100mlをろ紙(5B:アドバンテック東洋社製)を用いてろ過した。得られた菌体を5日間凍結乾燥した後、精密天秤で測定しその重量(以下、菌体重量とする)を測定した。
また、ろ過した培養液を凍結乾燥し、その重量(以下、培養液乾燥重量とする)を測定した。
【0034】
凍結乾燥した菌体1gを水(蒸留水)を用いて10分間超音波(サンフレックス、DG−1、50W、43KHz)処理した。この処理液をろ紙(5B:アドバンテック東洋社製)を用いてろ過してコルディセピン含有量分析用試料とした。
この試料を、高速液体クロマトグラフィ(HPLC(LC−10:株式会社島津製作所製))を用いて分析し、コルディセピンの含有量を測定した(以下、菌体コルディセピン含有量とする)。
【0035】
HPLCの条件は、カラムにInertsil ODS−2(ODS) 250L*4.6φmm(ジーエルサイエンス株式会社製)を用い、移動相は50mMリン酸カリウム:アセトニトリル(V/V=95:5)、流速1.0ml/min、カラム温度40℃、検出波長260nmで行った。
前記ろ過培養液の凍結乾燥物についても、同様にしてコルディセピン含有量を測定した(以下、培養液コルディセピン含有量とする)。
【0036】
これらの値から、次式に基づいて総コルディセピン量を求めた。
上記の測定は、各培養条件において三連で実験して得られた培養物のそれぞれについて行い、3つの値の平均値をその培地における値とした。
【0037】
〔実施例1〜3、比較例1〕
前記本培養において作成した冬虫夏草菌を接種した冬虫夏草用培地を23℃下20日間暗所にて静置培養した(第1工程)。その培養後、下記表1に示した実施例1〜3の培養温度下14日暗所にてそれぞれ静置培養し(第2工程)、それぞれ得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。また、比較のため(比較例)、第2工程における培養温度を第1工程の培養温度と同じ温度(23℃)で培養し、得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。温度毎の評価は、比較例で得られた総コルディセピン量1とし、比を求めることで行い、その結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示した結果から、本発明の第2工程の培養温度が規定範囲にある実施例1〜3の場合、いずれも得られた培養生成物中のコルディセピン量が比較例と比較して増加した。
【0040】
〔実施例4〜8〕
前記本培養において作成した冬虫夏草菌を接種した冬虫夏草用培地を23℃下20日間暗所にて静置培養した(第1工程)。その培養後、下記表2に示した実施例4〜8の照度で白色の光照射を行いながら23℃下14日それぞれ静置培養し(第2工程)、それぞれ得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。その結果を表2及び図1に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
表2及び図1に示した結果から、本発明の第2工程の光照射が規定範囲にある実施例4〜8の場合、いずれも得られた培養生成物中のコルディセピン量が従来と比べて増加した。
【0043】
〔実施例9〜12〕
前記本培養において作成した冬虫夏草菌を接種した冬虫夏草用培地を23℃下20日間暗所にて静置培養した(第1工程)。その培養後、下記表3に示した実施例9〜12の色(光種)で照度800Luxの光照射を行うと共に23℃下14日それぞれ静置培養し(第2工程)、それぞれ得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。その結果を表3及び図2に示した。
【0044】
【表3】
【0045】
表3及び図2に示した結果から、本発明の第2工程の光照射の色(光種)が白、緑、黄、青、赤の実施例6、9〜12の場合、いずれも得られた培養生成物中のコルディセピン量が従来と比べて増加した。
【0046】
〔実施例13〜15〕
前記本培養において作成した冬虫夏草菌を接種した冬虫夏草用培地を23℃下20日間暗所にて静置培養した(第1工程)。その培養後、下記表4に示した実施例13〜15の照度で白色の光照射を行うと共に室内25℃下14日それぞれ静置培養し(第2工程)、それぞれ得られた菌体の総コルディセピン量を求めた。その結果を表4及び図3に示した。
【0047】
【表4】
【0048】
表4及び図3に示した結果から、本発明の第2工程の培養温度及び光照射がそれぞれ規定範囲にある実施例13〜15の場合、いずれも得られた培養生成物中のコルディセピン量が増加した。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、培養生成物中のコルディセピン量を顕著に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】照度と総コルディセピン量との関係を示すグラフである。
【図2】光の色と総コルディセピン量との関係を示すグラフである。
【図3】熱ショックを与えた後、光照射した場合の照度と総コルディセピン量との関係を示すグラフである。
Claims (4)
- 冬虫夏草用培地にコルディセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間培養する第1工程と、その培養後、35℃以下の範囲内で前記第1工程の培養温度より温度を上げて培養する第2工程とを含むことを特徴とする冬虫夏草の培養方法。
- 冬虫夏草用培地にコルディセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、これを5〜28℃下20〜90日間暗所にて培養する第1工程と、その培養後、前記冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行うことを培養する第2工程とを含むことを特徴とする冬虫夏草の培養方法。
- 前記第1工程を暗所で行い、かつ前記第2工程において、前記冬虫夏草用培地に照度100〜150000ルクスの光照射を行うことを特徴とする請求項1記載の冬虫夏草の培養方法。
- 前記光照射が、照度600〜50000ルクスであることを特徴とする請求項2または請求項3記載の冬虫夏草の培養方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-03-04 JP JP2003057738A patent/JP2004267004A/ja active Pending
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