JP2004266038A - 表面処理装置および表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラズマを利用して真空容器1に配置される基板Wの表面を処理する表面処理装置70において、前記真空容器1内に対向配置された一対の電極2、4と、前記一対の電極2、4にそれぞれ電力を供給するケーブル34a、34bと、前記一対の電極2、4にそれぞれ設置され、前記ケーブル34a、34bからの電力を供給される給電点10a、10bとを有し、前記一対の電極2、4に供給された前記電力の電圧の位相差が180°である構成にする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電用ガスのグロー放電プラズマを利用して基板の表面に所定の処理を施す表面処理装置及び表面処理方法に関する。本発明は、特に、周波数30MHz〜300MHzの高周波電力により生じさせた放電用ガスのグロー放電によって、プラズマを生成する反応性プラズマによる表面処理装置及び表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応プラズマを用いて基板の表面に各種処理を施し、各種電子デバイスを製作することは、LSI(大規模集積回路)、LCD(液晶ディスプレイ)、アモルファスSi系太陽電池、薄膜多結晶Si系太陽電池、複写機用感光体及び各種情報記録デバイスなどの分野にて既に実用化されている。
【0003】
上記表面処理の技術分野は、薄膜形成、エッチング、表面改質など多岐に亘るが、いずれも反応性プラズマの化学的および物理的作用を活用したものである。上記反応性プラズマの生成に係る装置及び方法として、グロー放電発生にラダー型(はしご型)構造の非接地電極を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の従来の技術を、図15〜図19を参照して説明する。図15は、従来の技術に係る表面処理装置の概念図、図16は、従来の技術に係る放電電極への給電方法に用いた装置の回路を示すブロック構成図、図17は、従来の技術に係る電極への給電端子の取り付け部分を示す図、図18は、電圧波の説明図、図19は、電圧の合成波の説明図である。
【0005】
図15および図16に示すように、表面処理装置70は、基板Wを取り囲む真空容器1と、この真空容器1内で基板Wに対面配置されるラダー型構造の非接地電極2と、この非接地電極2に給電する給電回路28aとを備えている。
【0006】
真空容器1には、該真空容器1内の反応ガス等のガスを排気する排気管30を介して真空ポンプ31が接続されている。そして、アースシールド32が配置されている。前記アースシールド32は不必要な部分での放電を抑制し、かつ、前記排気管30と組み合わせて使用されることにより、反応ガス導入管33a、33bより導入される反応ガスおよびその他生成物等を、排気管30を介して排出する機能を有している。
【0007】
真空ポンプ31を稼動すると、内圧1×10−3〜1×10−6Torr程度まで真空排気されるようになっている。反応ガス導入管33a、33bより製膜プロセスガスとしてシランやジシランがガス供給管に供給されると、多数の吹き出し孔から非接地電極2と基板Wとの間に製膜プロセスガスが供給されるようになっている。
【0008】
基板Wは接地電極4により保持され、内蔵ヒータ(図示せず)により所定温度域に加熱されるようになっている。なお、基板Wには厚さ1mm×幅460mm×長さ460mmサイズの透明ガラス板が用いられる。
【0009】
放電電極としての非接地電極2は、丸棒電極部材を等ピッチ間隔に格子状に組立て配列してなるものであり、4つの給電点10a〜10dで給電回路28aの給電線(中心導体)28bに接続されている。給電点10a〜10dのうち2つは非接地電極2の一方端側に配置された丸棒電極部材のほぼ三等分点にそれぞれ設けられ、残りの2つは非接地電極2の他方端側に配置された丸棒電極部材のほぼ三等分点にそれぞれ設けられている。なお、非接地電極2は例えば520mm×520mmサイズであり、丸棒電極部材は例えば直径6mmである。
【0010】
給電回路28aには、高周波発振器22、分配器29、フェーズシフタ(位相シフタ)25、1対の電力増幅器23a、23bおよび1対の整合器6a、6bが設けられている。高周波発振器22は分配器29を介して1対の電力増幅器23a、23bに接続され、各電力増幅器23a、23bは整合器6a、6bにそれぞれ接続され、さらに各整合器6a、6bは各給電点10a〜10dにそれぞれ接続されている。
【0011】
分配器29の出力回路は2つに分岐し、一方の分岐回路にはコンピュータ27で駆動制御されるフェーズシフタ25が設けられている。各分岐回路は、さらに2つにそれぞれ分岐し、給電点10a〜10dを介して非接地電極2にそれぞれ接続されている。
【0012】
非接地電極2の給電点10aには、図17に示すように、前記アースシールド32を貫通して設置されている真空用同軸ケーブル34の芯線(内部導体)37が、外部導体の姿を整える機能を持つカップリング35および放電防止用絶縁環36を用いて接続されている。なお、該真空用同軸ケーブル34の外部導体はアースシールド32(真空容器と電気的に接続されている)に取り付けリング38を用いて接続されている。
【0013】
高周波発振器22には定格周波数が60MHzの水晶発振器、フェーズシフタ25には全固体素子のアナログ電圧制御型位相器が用いられる。高周波発振器22からは超高周波(VHF)が発振され、これが分配器29によって分配され、電力増幅器23a、23bおよび整合器6a、6b、給電点10a、10b、10c、10dを介して非接地電極2に給電されるようになっている。フェーズシフタ25は、コンピュータ27から送られる所定の処理データ信号に基づいて一方側の分配VHFを最高100kHzで高速位相変調するようになっている。
【0014】
製膜条件としては、基板サイズを46cm×46cm、基板温度を200℃、真空容器の内圧を150mTorr、シランガス供給量を50sccm、水素ガス供給量を1500sccmとされている。図15および図16において、フェーズシフタ25をコンピュータ27で高速かつ高精度に制御し、このフェーズシフタ25の高速位相変調により非接地電極2の一方端側に供給する高周波電力の位相を他方端側の高周波電力の位相からシフトさせながら、基板W上に、例えば、微結晶Siを製膜させる。この場合、非接地電極2近傍の電界は、供給される高周波電力により正弦状に変化する。その様子を図18に電圧の波として示している。
【0015】
図18において、非接地電極2の長さ方向の位置をx、右方向へ伝播する電力波をw1(x,t)、左方向へ伝播する電力波をw2(x,t)と置くと、次のように表現される。
w1(x,t)=V0sin(ωt+2πx/λ)・・・(1)
w2(x,t)=V0sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}・・・(2)
但し、ωは電圧の角周波数、λは電圧の波長、tは時間、L0は非接地電極2の電圧伝播方向の長さ、Δθは位相差である。
【0016】
したがって、電圧の合成波w(x,t)は、次式のようになる。
【0017】
合成波w(x,t)を概念的に図19に示す。Δθ=0の場合、生成されるプラズマの強さは非接地電極2の中央部(x=L0/2)が強く、両端では,弱くなることを示している。プラズマの強い部分は、Δθ>0の場合、非接地電極2の右端部であり、Δθ<0の場合、左端部であることを示している。すなわち、前記フェーズシフタ25を用いて、前記式(3)のΔθを−180°〜+180°の間で時間的に三角波状に変化させてやることにより、時間平均的に均一な強さのプラズマが生成される。結果的には、一様な膜厚分布の微結晶Si膜が得られる。
【0018】
【特許文献1】
特開2001−257098号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の表面処理技術、即ち表面処理装置と表面処理方法は、LCD、LSI、電子複写機及び太陽電池等の産業分野のいずれにおいても、生産性向上に伴う製品コストの低減及び大面積壁掛TVなど性能(仕様)の改善等大面積化及び高速処理化のニーズが年々強まっている。
【0020】
最近では、上記ニーズに対応する為、産業界のみならず、学会でも特にプラズマCVD(化学蒸着)技術及びプラズマエッチング技術ともに、VHF帯の電源を用いた高密度プラズマCVDの高速製膜技術及び高速プラズマエッチング技術の研究が盛んになっている。
【0021】
しかしながら、従来技術では、以下に述べるような課題が依然として存在している。図15および図16において、一対の電極、すなわち非接地電極2と平板上の接地電極4との間に発生する電界により、放電ガス、例えば、SiH4はプラズマ化されて、Si、SiH、SiH2、SiH3、H、H2等に分解され、基板W上に例えば、a−Si膜が形成される。
【0022】
しかしながら、サイズが1m×1mを越える大面積基板を対象にしたVHFプラズマ生成では、非接地電極2への給電点10a〜10dが図20に示されているように多数必要になる。
【0023】
ここで、高周波の電波特有の現象である表皮効果が30MHz〜300MHzになると、より一層顕著になる。すなわち、表皮効果は高周波数の電流が導体の表面近傍のみを流れる現象で、その電流の流れる表面深さδは、f:周波数、μ:透磁率、σ:導電率として、式4にて表される。
δ=(3.14×f・μ・σ)−0.5・・・(4)
【0024】
例えば、導体が銅の場合、その表面深さは13.56MHzで約19μm、50MHz〜60MHzで約10μm、150MHzで約5.8μmである。したがって、VHF帯(30MHz〜300MHz)でのプラズマを用いた表面処理技術では、図21に模式的に示した高周波電流のように、電極の表面を電流が流れるので、高周波発振器22から電極への電力供給はインピーダンスが増大し、その伝播路での電力損失が著しく大きくなることが推測されるが、非接地電極2を用いる場合は、プラズマ生成空間のごく近傍に、給電点10a〜10dがあるために、高周波電力の伝播に関するインピーダンス増大は大きくないと考えられる。
【0025】
しかしながら、図22に示すように、電力供給点、すなわち真空用同軸ケーブル34の芯線37と非接地電極2の給電点10a近傍では、前記真空用同軸ケーブル34の外部導体およびアースシールド32と前記真空用同軸ケーブル34の芯線間で強い電界が発生し、強い局部放電が生成される。その様子を図23に示す。その原因は、同軸ケーブルの本質的特性である不平衡型伝送路の問題に起因していると考えられる。
【0026】
さらに、非接地電極2を用いた位相変調法では、最高100kHzでプラズマ発生電圧波を図19に示すように時間的に変化させるので、電源周波数は100kHzと見なされる。この場合、Influence of Power−Source Frequency on the Properties of GD a−Si:H, Akihisa Matsuda, Takao Kaga, Hideo Tanaka and Kazunobu Tanaka, Japanese Journal of Applied Physics, Vol.23, No.8, August, 1984, pp.L567−L569に記載されているように、電源周波数が1MHz以下であるので、そのプラズマが製作されるa−Si系膜は、水素含有率が著しく多く、かつ、膜内の残留応力(圧縮応力)が極めて大きくなる特性を有する。
【0027】
したがって、高性能太陽電池製造への応用には、膜質上の問題がある。さらに、電極に非接地電極2を用いても、大面積基板を対象にした場合、上記の現象の発生により、VHFプラズマを利用した表面処理装置への応用では依然として問題がある。
【0028】
以上詳述したように、従来技術では、量産性向上や低コスト化に必要なサイズ1m×1mを越える大面積基板に関するプラズマ発生電源のVHF級高周波数化により製膜速度の向上は依然として困難で、不可能視されている。なお、応用物理学会においても研究が活発化しているが、1m×1m級大面積基板を対象にしたVHFプラズマ利用の表面処理方法およびその装置の成功例は発表されていない。
【0029】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、非接地電極と接地電極にそれぞれ電圧の位相差が180度異なる電力を供給する電力供給系を用いた構成にすることにより、1m×1mを越える大面積基板に対しても、基板に対する均一な表面処理が可能となる表面処理装置および表面処理方法を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明に係る表面処理装置は、プラズマを利用して真空容器に配置される基板の表面を処理する表面処理装置において、前記真空容器内に対向配置された一対の電極と、前記一対の電極にそれぞれ電力を供給するケーブルと、前記一対の電極にそれぞれ設置され、前記ケーブルからの電力を供給される給電点とを有し、 前記一対の電極に供給された前記電力の電圧の位相差が180°であることを特徴とする。
【0031】
また、この発明に係る表面処理装置は、前記一対の電極に配置された給電点が同数であることを特徴とする。
【0032】
また、この発明に係る表面処理装置は、前記一対の電極の一方の電極に電力を供給するケーブルと、他方の電極に電力を供給するケーブルとをそれぞれの給電点近傍で、それぞれのケーブルの外側導体同士を他の導体にて連結することを特徴とする。
【0033】
また、この発明に係る表面処理装置は、前記一対の電極が非接地電極と接地電極とからなることを特徴とする。
【0034】
また、この発明に係る表面処理装置は、前記非接地電極がラダー型電極であることを特徴とする。
【0035】
また、この発明に係る表面処理装置は、前記非接地電極が格子状電極であることを特徴とする。
【0036】
また、この発明に係る表面処理装置は、前記非接地電極が複数からなることを特徴とする。
【0037】
また、この発明に係る表面処理装置は、前記接地電極が1つ以上の穴があいた板であることを特徴とする。
【0038】
また、この発明に係る表面処理方法は、真空容器に配置される一対の電極を有し、一対の電極の間に基板を配置し、プラズマを用いて、その基板の表面を処理する表面処理方法において、前記真空容器内を排気する工程と、前記真空容器内に放電用ガスを供給する工程と、一対の電極の双方に電力を供給する工程と、を有し、前記一対の電極に供給された前記電力の電圧の位相差が180°であることを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係る表面処理装置および表面処理方法について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、表面処理装置および表面処理方法の一例として、太陽電池を製作する際に必要なa−Si薄膜を製作する装置および方法が記載されているが、本願の発明の対象が、下記の例の装置および方法に限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
まず、図1〜図3を参照して実施例1の表面処理装置(プラズマCVD装置)70について説明する。ここで、図1は、本発明の実施例1に係る表面処理装置70の全体図、図2は、前記表面処理装置70の一構成を示す放電用電極に高周波電力を供給するための電力供給系を示す説明図、および図3は、前記電力供給系の一構成である給電ケーブルと上記電極とを結線する位置である給電点を示す断面図である。
【0041】
真空容器1内には、グロー放電プラズマを発生するための一対の電極、すなわちラダー型構造の非接地電極2と平板型構造の接地電極4とが配置されている。ここで、前記接地電極4は、基板ヒータ(図示せず)を内蔵し、被処理物としての基板Wを支持すると共に、基板Wの温度を制御する機能を有している。
【0042】
前記非接触電極2は、図1および図3に示すように、棒状部材からなるはしご型構造を有する。外形寸法は長さ1200mm、幅156mm、部材の直径6mmである。なお、棒状部材の直径および外形寸法は上記した値に限らない。
【0043】
前記非接地電極2の外側には、図1および図2に示すようにアースシールド32が配置されている。アースシールド32は、不必要な部分での放電を抑制し、かつ、反応ガス導入管33a、33bより導入されるSiH4等反応ガスを反応ガス吐出孔26と組み合わせて使用されることにより、前記一対の電極、すなわち非接地電極2と接地電極4との間に均一に吐出する機能を有している。また、前記アースシールド32は、排気管30および真空ポンプ31と組み合わせて使用することにより、上記反応ガス導入管33a、33bより導入された反応ガスを排出する機能を有している。
【0044】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニタされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、反応ガスの導入量が100〜500sccm程度で供給される場合、圧力を0.01〜10Torr(1.33〜1330Pa)程度に調整できる。反応ガスの供給が無い場合、真空容器1内の真空到達圧力は2〜3×10−7Torr(2.66〜3.99×10− 5Pa)程度である。
【0045】
非接地電極2および接地電極4間への電力の供給は、図1〜図3に示すように、第1および第2の給電点10a、10bに後述の給電線、電流導入端子、整合器および高周波電源等により構成の電力供給系が用いられる。
【0046】
図1および図2において、2出力位相可変発信器52は、周波数30〜300MHzで、位相の異なる正弦波電圧を2つの端子より出力する。前記2出力位相可変発信器52の電力を、それぞれ第1および第2の電力増幅器23a、23bで、500〜1000W級に増幅する。
【0047】
第1および第2の同軸ケーブル53a、53bは、前記2出力位相可変発信器52の出力をそれぞれ送信する。なお、第1および第2の同軸ケーブル53a、53bの外部導体は接地されている。第1および第2の整合器6a、6bは、インピーダンスの整合を行う。すなわち、後述の第5および第6の同軸ケーブルを介して前記一対の電極2、4に供給する高周波電力の伝送損失を最小限にする調整機能を有している。
【0048】
第3および第4の同軸ケーブル54a、54bは、前記電力増幅器23a、23bの出力を前記第1および第2の整合器6a、6bに送電する。なお、第3および第4の同軸ケーブル54a、54bの外部導体は接地されている。第5および第6の同軸ケーブル8a、8bは、前記第1および第2の整合器6a、6bの出力を後述の電流導入端子55a、55bを介して、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bに送電する。なお、第5および第6の同軸ケーブル8a、8bの外部導体は接地されている。
【0049】
第1および第2の電流導入端子55a、55bは、大気側にある第5および第6の同軸ケーブル8a、8bと真空容器1内にある第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bとを接続する機能を有する。前記第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの芯線37a、37bは、前記非接地電極2および前記接地電極4に、それぞれ第1および第2の給電点10a、10bで接続される。
【0050】
そして、図3に示すように、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体は、第1および第2の給電点10a、10bの近くで導体50により接続され、同電位になっている。なお、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体は接地されている。
【0051】
オシロスコープ51は、前記第1および第2の電力増幅器23a、23bの出力の電圧の位相差をモニターする。なお、このオシロスコープ51で前記電圧の位相差をモニターしながら、前記2出力位相可変発信器52の出力間の位相を調整することにより、前記電圧の位相差を180°に設定する。
【0052】
次に、上記構成の表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する方法を説明する。図1〜図3において、予め基板Wを接地電極4上に設置し、真空ポンプ31を稼動させ、反応ガス導入管33a、33bからSiH4ガスを、例えば200sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、非接地電極2と接地電極4との間に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力を供給する。
【0053】
すなわち、2出力位相可変発信器52の信号を第1および第2の電力増幅器23a、23bで増幅し、かつ、該電力増幅器23a、23bの出力電圧の位相差を180°とし、出力として、例えば500Wを、第1および第2の整合器6a、6b、第5および第6の同軸ケーブル8a、8b、第1および第2の電流導入端子55a、55b、および第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの芯線37a、37bを介して、給電点10a、10bに供給すると、非接地電極2と接地電極4との間にSiH4プラズマが発生する。
【0054】
ここで、給電点10a、10bに供給される電圧が位相差180°であるので、前記一対の電極2、4間に発生する電界は、両電極内のみに生成されるので、結果として、前記給電点10a、10b近傍には、局部放電などの異常放電は発生しない。
【0055】
また、前記第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体はお互いに導体50で接続されているので、両者間での異常放電は抑制されている。なお、基板Wの温度は、80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0056】
SiH4プラズマを発生させると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板W表面に吸着されることにより、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siが堆積する。なお、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siは、製膜条件の中のSiH4、H2の流量比、圧力およびプラズマ発生用電力の適正化をすることで製膜できることは公知の技術であるので、ここではSiH4ガスを用いたa−Si製膜を例にとり説明する。当然ながら、微結晶Siおよび薄膜多結晶Siを製膜することも可能である。
【0057】
上記の手順に従って製膜した結果の一例を以下に説明する。製膜条件は、次のとおりとした結果、サイズ1200mm×150mm(厚み3mm)のガラス基板に、製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Si膜を製膜できた。
【0058】
(製膜条件)
・反応ガス:モノシランガス(SiH4)
・流量:200sccm
・圧力:0.5Torr(66.5Pa)
・電源周波数:60MHz
・一対の電極2、4間に供給される電力の電圧の位相差:180°
・電力:500W
・基板Wの温度:180℃
【0059】
なお、本実施例では、非接地電極2のサイズが1200mm×156mmであるので、基板Wのサイズは1200mm×150mmとした。当然ながら、前記一対の電極2、4の幅方向を増大すれば、基板Wのサイズもそれに応じて増大できる。
【0060】
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布としては±10%以内であれば、性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzを用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布が可能になった。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタ(TFT)駆動液晶ディスプレイおよびa−Si感光体等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係る工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0061】
(実施例2)
本発明に係る実施例2について、図4および5を参照しながら説明する。まず、実施例2に係る表面処理装置70について説明する。但し、図1〜図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0062】
図4は、本発明の実施例2に係る表面処理装置70の全体図、図5は、前記表面処理装置70の一構成である放電用電極に高周波電力を供給するための電力供給系の一構成である給電ケーブルと上記電極とを結線する位置である給電点を示す断面図である。
【0063】
図4において、第7および第8の同軸ケーブル56a、56bは、第1および第2の整合器6a、6bの出力を、それぞれ第1および第2の電力分配器57a、57bに送電する。第1および第2の電力分配器57a、57bは、第7および第8の同軸ケーブル56a、56bで入力された電力を偶数個に、例えば2つに分配する。分配された前記電力は、後述の第5および第9の同軸ケーブル8a、8c並びに後述の第6および第10の同軸ケーブル8b、8dで後述の第1〜第4の真空用同軸ケーブル34a、34c、34b、34dに送電される。
【0064】
第5および第9の同軸ケーブル8a、8cは、前記第1の電力分配器57aの出力を第1および第3の真空用同軸ケーブル34a、34cに送電する。第6および第10の同軸ケーブル8b、8dは、前記第2の電力分配器57bの出力を第2および第4の真空用同軸ケーブル34b、34dに送電する。
【0065】
第3および第4の電流導入端子55c、55dは、大気側にある第9および第10の同軸ケーブル8c、8dと真空容器1内にある第3および第4の真空用同軸ケーブル34c、34dとを接続する機能を有する。
第1の導体50aは、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体を、第2の導体50bは、第3および第4の真空用同軸ケーブル34c、34dの外部導体を、接続し、電気的に導通としている。
【0066】
第1および第3の給電点10a、10cは、前記非接地電極2と前記第1および第3の真空用同軸ケーブル34a、34cの芯線37a、37cとを接続する位置を示す。第2および第4の給電点10b、10dは、前記非接地電極2と前記第2および第4の真空用同軸ケーブル34b、34dの芯線37b、37dとを接続する位置を示す。
【0067】
次に、図4および図5に示した表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用a−Si膜を製造する方法について説明する。図4および図5において、予め基板Wを接地電極4上に設置し、真空ポンプ31を稼動させ、反応ガス導入管33a、33bからSiH4ガスを、例えば200sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、非接地電極2と接地電極4との間に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力を合計500W供給する。
【0068】
すなわち、2出力位相可変発信器52の信号を第1および第2の電力増幅器23a、23bで増幅し、かつ、該電力増幅器23a、23bの出力電圧をオシロスコープ51でモニターし、前記出力電圧の位相差が180°となるように、前記2出力位相可変発信器52を調整する。前記第1および第2の電力増幅器23a、23bの出力は、それぞれ、例えば250Wとし、第3および第4の同軸ケーブル54a、54b、第1および第2の整合器6a、6b、第7および第8の同軸ケーブル56a、56bを介して、第1および第2の電力分配器57a、57bに入力される。
【0069】
第1の電力分配器57aの出力の一方は、第5の同軸ケーブル8a、第1の電流導入端子55aおよび第1の真空用同軸ケーブル34aの芯線37aを介して、給電点10aで非接地電極2に、前記第1の電力分配器57aの出力の他方は、第9の同軸ケーブル8c、第3の電流導入端子55cおよび第3の真空用同軸ケーブル34cの芯線37cを介して、給電点10cで非接地電極2に接続される。
【0070】
第2の電力分配器57bの出力の一方は、第6の同軸ケーブル8b、第2の電流導入端子55bおよび第2の真空用同軸ケーブル34bの芯線37bを介して、給電点10bで接地電極4に、前記第2の電力分配器57bの出力の他方は、第10の同軸ケーブル8d、第4の電流導入端子55dおよび第4の真空用同軸ケーブル34dの芯線37dを介して、給電点10dで接地電極4に接続される。
【0071】
なお、前記第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体は、給電点10a、10b近傍で導体50aにより接続され、電気的に導通状態になっている。また、前記第3および第4の真空用同軸ケーブル34c、34dの外部導体は、給電点10c、10d近傍で導体50bにより接続され、電気的に導通状態になっている。
【0072】
前記した方法で電圧の位相差180°、周波数、例えば60MHz、電力、例えば250Wの高周波電力が、それぞれ非接地電極2の給電点10aと接地電極4の給電点10bに、および非接地電極2の給電点10cと接地電極4の給電点10dに供給されると、非接地電極2と接地電極4との間にSiH4プラズマが発生する。
【0073】
ここで、給電点10aと10b、および給電点10cと10dとに供給される電圧が位相差180°であるので、前記一対の電極2、4間に発生する電界は、両電極内のみに生成されるので、結果として、前記給電点10a〜10d近傍には、局部放電などの異常放電は発生しない。
【0074】
さらに、給電点の個数が、実施例1に比べ、2倍に増加したので、非接地電極2の幅方向の電界分布が改善され、前記一対の電極2、4間に生成されるプラズマの強さ分布も均一化される。なお、基板Wの温度は、80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0075】
SiH4プラズマを発生させると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板W表面に吸着されることにより、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siが堆積する。なお、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siは、製膜条件の中のSiH4、H2の流量比、圧力およびプラズマ発生用電力の適正化をすることで製膜できることは公知の技術であるので、ここではSiH4ガスを用いたa−Si製膜を例にとり説明する。当然ながら、微結晶Siおよび薄膜多結晶Siを製膜することも可能である。
【0076】
上記の手順に従って製膜した結果の一例を以下に説明する。製膜条件は、次のとおりとした結果、サイズ1200mm×150mm(厚み3mm)のガラス基板に、製膜速度1.1nm/s、膜厚分布±8%のa−Si膜を製膜できた。
【0077】
(製膜条件)
・反応ガス:モノシランガス(SiH4)
・流量:200sccm
・圧力:0.5Torr(66.5Pa)
・電源周波数:60MHz
・一対の電極2、4間に供給される電力の電圧の位相差:180°
・電力:合計500W
・基板Wの温度:180℃
【0078】
なお、本実施例では、非接地電極2のサイズが1200mm×156mmであるので、基板Wのサイズは1200mm×150mmとした。当然ながら、前記一対の電極2、4の幅方向を増大すれば、基板Wのサイズもそれに応じて増大できる。
【0079】
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布としては±10%以内であれば、性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzを用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布が可能になった。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタ(TFT)駆動液晶ディスプレイおよびa−Si感光体等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係る工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0080】
(実施例3)
本発明に係る実施例3について、図6を参照しながら説明する。まず、実施例3に係る表面処理装置70について説明する。但し、図1〜図5と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0081】
図6は、本発明の実施例3に係る表面処理装置70の全体図である。図6において、高周波電源7は、周波数範囲:30MHz〜300MHz、出力範囲:最大2kWを発生する。整合器6は、インピーダンスの整合を行う。すなわち、前記高周波電源7の出力を、後述の第11および第12の同軸ケーブル59、60、電力分配器57、第13および第14の同軸ケーブル61a、61bなどを介して、一対の電極2、4に伝送損失を最小限にする調整機能を有する。
【0082】
前記第11の同軸ケーブル59は、前記高周波電源7の出力を前記整合器6に送電する。前記第12の同軸ケーブル60は、前記整合器6の出力を前記電力分配器57に送電する。前記第13および第14の同軸ケーブル61a、61bは、前記電力分配器57の出力を後述の第1および第2のフェーズシフタ58a、58bに送電する。前記電力分配器57は、第12の同軸ケーブル60を介して送電された前記高周波電源7の出力を偶数個に、例えば2つに分割する。
【0083】
前記第1のフェーズシフタ58aは、第13の同軸ケーブル61aで送電された電力電圧の位相を90°進める機能がある。第2のフェーズシフタ58bは、第14の同軸ケーブル61bで送電された電力電圧の位相を90°遅らせる機能がある。
【0084】
第5および第6の同軸ケーブル8a、8bは、前記第1および第2のフェーズシフタ58a、58bの出力を、第1および第2の電流導入端子55a、55bおよび第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bを介して、一対の電極2、4に送電する。
【0085】
次に、図6に示した表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用a−Si膜を製造する方法について説明する。図6において、予め基板Wを接地電極4上に設置し、真空ポンプ31を稼動させ、反応ガス導入管33a、33bからSiH4ガスを、例えば200sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、非接地電極2と接地電極4との間に高周波電力を、例えば周波数70MHzの電力を500W供給する。
【0086】
すなわち、高周波電源7の出力を、第11の同軸ケーブル59、整合器6、第12の同軸ケーブル60および電力分配器57で2分割する。2分割された前記高周波電源7の出力の一方を第13の同軸ケーブル61a、第1のフェーズシフタ58a、第5の同軸ケーブル8a、第1の電流導入端子55a、第1の真空用同軸ケーブル34aの芯線37aを介して、給電点10aで非接地電極2に接続する。
【0087】
また、2分割された前記高周波電源7の出力の他方を第14の同軸ケーブル61b、第2のフェーズシフタ58b、第6の同軸ケーブル8b、第2の電流導入端子55b、第2の真空用同軸ケーブル34bの芯線37bを介して、給電点10bで接地電極4に接続する。なお、前記第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体は、給電点10a、10bの近傍で導体50により接続され、電気的に導通状態になっている。
【0088】
前記した方法で電圧の位相差180°、周波数、例えば70MHz、電力、例えば500Wの高周波電力が、非接地電極2の給電点10aと接地電極4の給電点10bとに供給されると、非接地電極2と接地電極4との間にSiH4プラズマが発生する。ここで、給電点10aと10bに供給される電圧が位相差180°であるので、前記一対の電極2、4間に発生する電界は、両電極内のみに生成されるので、結果として、前記給電点10a、10b近傍には、局部放電などの異常放電は発生しない。
【0089】
また、前記第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体はお互いに導体50で接続されているので、両者間での異常放電は抑制されている。なお、基板Wの温度は、80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0090】
SiH4プラズマを発生させると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板W表面に吸着されることにより、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siが堆積する。なお、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siは、製膜条件の中のSiH4、H2の流量比、圧力およびプラズマ発生用電力の適正化をすることで製膜できることは公知の技術であるので、ここではSiH4ガスを用いたa−Si製膜を例にとり説明する。当然ながら、微結晶Siおよび薄膜多結晶Siを製膜することも可能である。
【0091】
上記の手順に従って製膜した結果の一例を以下に説明する。製膜条件は、次のとおりとした結果、サイズ1200mm×150mm(厚み3mm)のガラス基板に、製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Si膜を製膜できた。
【0092】
(製膜条件)
・反応ガス:モノシランガス(SiH4)
・流量:200sccm
・圧力:0.5Torr(66.5Pa)
・電源周波数:70MHz
・一対の電極2、4間に供給される電力の電圧の位相差:180°
・電力:500W
・基板Wの温度:180℃
【0093】
なお、本実施例では、非接地電極2のサイズが1200mm×156mmであるので、基板Wのサイズは1200mm×150mmとした。当然ながら、前記一対の電極2、4の幅方向を増大すれば、基板Wのサイズもそれに応じて増大できる。
【0094】
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布としては±10%以内であれば、性能上問題はない。上記実施例によれば、70MHzを用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布が可能になった。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタ(TFT)駆動液晶ディスプレイおよびa−Si感光体等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係る工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0095】
(実施例4)
本発明に係る実施例4について、図7を参照しながら説明する。まず、実施例4に係る表面処理装置70について説明する。但し、図1〜図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0096】
図7は、本発明の実施例4に係る表面処理装置70の全体図である。図7において、高周波電源7は、周波数範囲:30MHz〜300MHz、出力範囲:最大2kWを発生する。整合器6は、インピーダンスの整合を行う。すなわち、前記高周波電源7の出力を、後述の第11および第12の同軸ケーブル59、60、電力分配器57、第15〜第18の同軸ケーブル62a〜62dなどを介して、一対の電極2、4に伝送損失を最小限にする調整機能を有する。
【0097】
前記電力分配器57は、第12の同軸ケーブル60を介して送電された前記高周波電源7の出力を偶数個に、例えば4つに等分配し等分配された電力を4つの端子より出力する第15、第16、第17、および第18の同軸ケーブル62a〜62dは、前記電力分配器57の出力を後述の第1〜第4のフェーズシフタ58a〜58dに送電する。
【0098】
前記第1および第3のフェーズシフタ58a、58cは、第15および第17の同軸ケーブル62a、62cで送電された電力の電圧の位相を90°進める機能がある。第2および第4のフェーズシフタ58b、58dは、第16および第18の同軸ケーブル62b、62dで送電された電力電圧の位相を90°遅らせる機能がある。
【0099】
第5、第6、第9および第10の同軸ケーブル8a、8b、8c、8dは、前記第1、第2、第3、および第4のフェーズシフタ58a、58b、58c、58dの出力を、第1、第2、第3、および第4の電流導入端子55a、55b、55c、55dおよび第1、第2、第3および第4の真空用同軸ケーブル34a、34b、34c、34dを介して、一対の電極2、4に送電する。
【0100】
次に、図7に示した表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用a−Si膜を製造する方法について説明する。図7において、予め基板Wを接地電極4上に設置し、真空ポンプ31を稼動させ、反応ガス導入管33a、33bからSiH4ガスを、例えば200sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、非接地電極2と接地電極4との間に高周波電力を、例えば周波数70MHzの電力を500W供給する。
【0101】
すなわち、高周波電源7の出力を、第11の同軸ケーブル59、整合器6、第12の同軸ケーブル60を介して、電力分配器57に送電する。該電力分配器57は、入力された電力を4等分して、第15〜第18の同軸ケーブル62a〜62dを介して、それぞれ第1〜第4のフェーズシフタ58a〜58dに送電する。
【0102】
第1および第3のフェーズシフタ58a、58cは、入力された電力の電圧の位相を90°進めて、それぞれ第5および第9の同軸ケーブル8a、8c、第1および第3の電流導入端子55a、55c、第1および第3の真空用同軸ケーブル34a、34cの芯線37a、37cを介して、給電点10a、10cで非接地電極2に接続する。
【0103】
第2および第4のフェーズシフタ58b、58dは、入力された電力の電圧の位相を90°遅らせて、それぞれ第6および第10の同軸ケーブル8b、8d、第2および第4の電流導入端子55b、55d、第2および第4の真空用同軸ケーブル34b、34dの芯線37b、37dを介して、給電点10b、10dで接地電極4に接続する。
【0104】
なお、前記第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体は、給電点10a、10bの近傍で第1の導体50aにより接続され、電気的に導通状態になっている。また、前記第3および第4の真空用同軸ケーブル34c、34dの外部導体は、給電点10c、10dの近傍で第2の導体50bにより接続され、電気的に導通状態になっている。
【0105】
前記した方法で電圧の位相差180°、周波数、例えば70MHz、電力、例えば250Wの高周波電力が、それぞれ給電点10aと10b、および10cと10dに供給されると、非接地電極2と接地電極4との間にSiH4プラズマが発生する。ここで、給電点10aと10b、および給電点10cと10dに供給される電圧が位相差180°であるので、前記一対の電極2、4間に発生する電界は、両電極内のみに生成されるので、結果として、前記給電点10a〜10d近傍には、局部放電などの異常放電は発生しない。
【0106】
さらに、給電点の個数が実施例3に比べ、2倍に増加したので、非接地電極2の幅方向の電界分布が改善され、一対の電極2,4間に生成されるプラズマの強さ分布も均一化される。なお、基板Wの温度は、80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0107】
SiH4プラズマを発生させると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板W表面に吸着されることにより、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siが堆積する。なお、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siは、製膜条件の中のSiH4、H2の流量比、圧力およびプラズマ発生用電力の適正化をすることで製膜できることは公知の技術であるので、ここではSiH4ガスを用いたa−Si製膜を例にとり説明する。当然ながら、微結晶Siおよび薄膜多結晶Siを製膜することも可能である。
【0108】
上記の手順に従って製膜した結果の一例を以下に説明する。製膜条件は、次のとおりとした結果、サイズ1200mm×150mm(厚み3mm)のガラス基板に、製膜速度1.1nm/s、膜厚分布±8%のa−Si膜を製膜できた。
【0109】
(製膜条件)
・反応ガス:モノシランガス(SiH4)
・流量:200sccm
・圧力:0.5Torr(66.5Pa)
・電源周波数:70MHz
・一対の電極2、4間に供給される電力の電圧の位相差:180°
・電力:合計500W
・基板Wの温度:180℃
【0110】
なお、本実施例では、非接地電極2のサイズが1200mm×156mmであるので、基板Wのサイズは1200mm×150mmとした。当然ながら、前記一対の電極2、4の幅方向を増大すれば、基板Wのサイズもそれに応じて増大できる。
【0111】
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布としては±10%以内であれば、性能上問題はない。上記実施例によれば、70MHzを用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布が可能になった。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタ(TFT)駆動液晶ディスプレイおよびa−Si感光体等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係る工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0112】
(実施例5)
本発明に係る実施例5について、図8〜10を参照しながら説明する。まず、実施例5に係る表面処理装置70について説明する。但し、図1〜図7と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0113】
図8は、本発明の実施例5に係る表面処理装置70の全体図、図9は、前記表面処理装置70を構成する電極の説明図、および図10は、前記表面処理装置を構成する一対の電極への電力供給部の説明図である。
【0114】
真空容器1内には、グロー放電プラズマを発生するための一対の電極、すなわち非接地電極である格子形状の電極(以下、障子枠型電極と呼ぶ)102と平板型構造の接地電極4とが配置されている。前記障子枠型電極102は、棒状の線材で構成され、図9および図10に示すように、複数個の障子の枠の横桟113a、113bおよび3本の障子の枠の縦桟114a、114b、114cより構成されている。
【0115】
前記障子枠型電極102の中央部には、後述の同軸ケーブルの芯線37aとの接続に用いられる給電点10aが接続されている。寸法は任意であるが、本実施例では、外形10mm、外寸法1206mm×1000mmである。なお、前記障子の枠の横桟113a、113bおよび縦桟114a、114b、114cおよび第1の給電点10aは、直流的に導通となっている。
【0116】
前記接地電極4の中央部には、図10に示すように後述の同軸ケーブルの芯線37bとの接続に用いられる小穴109a、109bが設けられている。なお、前記接地電極4と後述の同軸ケーブルの芯線37bは前記小穴109a、109bを用いて接続され、第2の給電点10bが形成される。また、前記接地電極4は、基板ヒータ(図示せず)を内蔵しており、被処理物としての基板Wを支持するとともに基板Wの温度を制御する機能を有している。
【0117】
前記障子枠型電極102の外側には、図8に示すようにアースシールド32が配置されている。前記アースシールド32には、不要な部分での放電を抑制し、かつ反応ガス導入管33a、33bより導入される反応ガスを反応ガス吐出孔26と組み合わせて使用されることにより、前記一対の電極102、4の間に均一に吐出する機能を有している。
【0118】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例では、反応ガスの導入量500〜1500sccm程度が供給の場合、圧力を0.01〜3Torr(1.33〜399Pa)程度に調整できる。反応ガス供給が無い場合、真空容器1内の真空到達圧力は、2〜3×10−7Torr(2.66〜3.99×10−5Pa)程度である。
【0119】
障子枠型電極102および接地電極4の間への電力供給は、図8および図10に示すように、第1の給電点10aおよび第2の給電点10bに後述の同軸ケーブル、電流導入端子、フェーズシフタ、電力分配器、整合器および高周波電源等により構成の電力供給系が用いられる。
【0120】
高周波電源7は、周波数30MHz〜120MHzの任意の周波数を発生する。なお、周波数30MHz〜80MHzと80MHz〜120MHzとに分けて2台で構成する場合もある。第11および第12の同軸ケーブル59,60はVHF帯(30MHz〜300MHz)の電力を伝送する。整合器6は、後述の電力分配器57、第1および第2のフェーズシフタ58a、58bなどを介して、前記一対の電極102、4の間に前記高周波電源7の出力を損失を最小限に抑えて送電する調整機能を有している。
【0121】
電力分配器57は、前記第12の同軸ケーブル60を介して送電された前記高周波電源7の出力を2つに分割し、前記第13および第14の同軸ケーブル61a、61bを介して、後述の第1および第2のフェーズシフタ58a、58bに送電する。第1のフェーズシフタ58aは、前記第13の同軸ケーブル61aで送電された電力の電圧の位相を90°進める機能がある。第2のフェーズシフタ58bは、前記第14の同軸ケーブル61bで送電された電力の電圧の位相を90°遅らせる機能がある。
【0122】
第1および第2の電流導入端子55a、55bは、大気側にある第5および第6の同軸ケーブル8a、8bと真空側にある第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bとを接続し、電気的に導通状態としている。第1の給電点10aは、前記障子枠型電極102と前記第1の真空用同軸ケーブル34aの芯線37aとを接続する。第2の給電点10bは、前記接地電極4と前記第2の真空用同軸ケーブル34bの芯線37bとを接続する。なお、第2の給電点10bは、図8に示すように、前記芯線37bが小穴109a、109bを介して、接地電極4に固着される。
【0123】
導体50は、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体を第1および第2の給電点10a、10bに近い位置にて電気的に導通としている。なお、導体50の材料にはアルミニウムを用いている。
【0124】
次に、上記構成の表面処理装置70を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する場合について、方法を説明する。図8〜10において、予め基板Wを接地電極4上に設置し、真空ポンプ31を稼動させて、反応ガス導入管33a、33bからSiH4ガスを、例えば300sccm、圧力0.3Torr(39.9Pa)で供給しつつ、障子枠型電極102と接地電極4との間に超高周波電力、例えば60MHzの電力を供給する。すなわち、高周波電源7の出力を第11の同軸ケーブル59、整合器6、第12の同軸ケーブル60を介して電力分配器57に送電する。
【0125】
前記電力分配器57は、第12の同軸ケーブル60等を介して入力された前記高周波電源7の出力を2つに分割する。その一方は、第13の同軸ケーブル61aを介して第1のフェーズシフタ58aへ送電される。その他方は、第14の同軸ケーブル61bを介して第2のフェーズシフタ58bへ送電される。
【0126】
第1および第2のフェーズシフタ58a、58bは、それぞれ第13および第14の同軸ケーブル61a、61bより入力された電力の電圧の位相を90°進遅させる。すなわち、前記第1のフェーズシフタ58aは、入力された電力の電圧の位相を90°進め、前記第2のフェーズシフタ58bは、入力された電力の電圧の位相を90°遅らせる。したがって、前記第1および第2のフェーズシフタ58a、58bの出力の電圧の位相差は、180°となる。
【0127】
そして、その出力は、第5および第6の同軸ケーブル8a、8bにより、第1および第2の電流導入端子55a、55bを介して、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bへ送電される。なお、前記第11、第12、第13、第14、第5および第6の同軸ケーブル59、60、61a、61b、8a、8b、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体は、それぞれ接地されている。
【0128】
前記第1の真空用同軸ケーブル34aの芯線37aは、非接地電極すなわち図9および図10に示した障子枠型電極102の中央部に固着されている第1の給電点10aに接続される。前記第2の真空用同軸ケーブル34bの芯線37bは、接地電極4の小穴109a、109bを介して、接地電極4にある第2の給電点10bにて固着される。
【0129】
なお、図8に示すように第1の真空用同軸ケーブル34aの外部導体と第2の真空用同軸ケーブル34bの外部導体とは、それぞれ第1および第2の給電点10a、10bに近い部分にて、導体50により接続し、同電位あるいは同電位に近い状態にしている。
【0130】
前記した構造の表面処理装置70および電気配線において、電圧の位相差180°、周波数、例えば60MHz、電力、例えば1kWの高周波電力が障子枠型電極102の第1の給電点10aと接地電極4の第2の給電点10bとに供給されると、前記一対の電極102、4間にSiH4プラズマが生成される。
【0131】
ここで、第1および第2の給電点10a、10bに供給される電圧の位相差が180°であるので、前記一対の102、4間に発生する電界は、前記一対の電極102、4間のみに発生されるので、結果として前記第1および第2の給電点10a、10b近傍には局部放電などの異常放電は発生しない。また、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体は互いに導体50で接続されているので、両者間での異常放電は抑制されている。なお、基板Wの温度は80℃〜350℃の範囲で、例えば200℃に保持する。
【0132】
SiH4プラズマを発生させると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板W表面に吸着されることにより、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siが堆積する。なお、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siは、製膜条件の中のSiH4、H2の流量比、圧力およびプラズマ発生用電力の適正化をすることで製膜できることは公知の技術であるので、ここではSiH4ガスを用いたa−Si製膜を例にとり説明する。当然ながら、微結晶Siおよび薄膜多結晶Siを製膜することも可能である。
【0133】
上記の手順に従って製膜した結果の一例を以下に説明する。製膜条件は、次のとおりとした結果、サイズ1000mm×800mm(厚み4mm)のガラス基板に、製膜速度1.0nm/s、膜厚分布±14%のa−Si膜を製膜できた。但し、サイズ1000mm×800mmからガラス基板の外周部を除いた面積800mm×600mmでは膜厚分布±10%であった。
【0134】
(製膜条件)
・反応ガス:モノシランガス(SiH4)
・流量:300sccm
・圧力:0.3Torr(39.9Pa)
・電源周波数:60MHz
・一対の電極102、4間に供給される電力の電圧の位相差:180°
・電力:1kW
・基板Wの温度:200℃
【0135】
なお、本実施例では、障子枠型電極102のサイズが1206mm×1000mmであった。電源周波数60MHzの波長(真空中で5m)と圧力0.3Torr(39.9Pa)のSiH4プラズマ中での波長短縮率(経験的に80%と推定)を考慮すると、前記障子枠型電極102で生成されるプラズマの強さの一様な部分は、短縮した波長(4m)の1/4〜1/6と見積もれば、上記ガラス基板の外周部を除いた面積800mm×600mmでの製膜分布±10%は妥当な値と考えられる。
【0136】
(実施例6)
本発明に係る実施例6の表面処理装置は、上記実施例5に係る表面処理装置と略同一の構成であるが、図8に示される接地電極4に代えて、図11に示す接地電極4aを用いる点が異なる。本発明に係る実施例6について、図8、11を参照しながら、実施例6に係る表面処理装置70について説明する。但し、図1〜図10と同部材は同符番を付して説明を省略する。図11は、本発明の実施例6の表面処理装置を構成する一対の電極への電力供給部の説明図である。
【0137】
接地電極4aは、後述の多数の小穴111を有している。小穴111は、直径2〜5mmであり、接地電極4aの裏面110aから表面110bへ超高周波電力の送電に用いられる。第3の給電点10cは、第2の真空用同軸ケーブル34bの芯線37bを前記接地電極4aに固着している。
【0138】
接地電極4aを用い、実施例5と同様の手順にて製膜した結果の一例を以下に説明する。製膜条件は、次のとおりとした結果、サイズ1000mm×800mm(厚み4mm)のガラス基板に、製膜速度1.0nm/s、膜厚分布±12%のa−Si膜を製膜できた。但し、サイズ1000mm×800mmからガラス基板の外周部を除いた面積800mm×600mmでは膜厚分布±9%であった。
【0139】
(製膜条件)
・反応ガス:モノシランガス(SiH4)
・流量:300sccm
・圧力:0.3Torr(39.9Pa)
・電源周波数:60MHz
・一対の電極102、4a間に供給される電力の電圧の位相差:180°
・電力:1kW
・基板Wの温度:200℃
【0140】
本実施例では、実施例5と異なり、多数の小穴111付きの接地電極4aを用いたことおよび接地電極への給電に第3の給電点10cを用い、かつ第3の給電点10cから供給された電力の伝播路として前記多数の小穴111が用いられたことにより、実施例5に比べ、若干膜厚分布が改善されていると考えられる。障子枠型電極102のサイズが1206mm×1000mmであった。電源周波数60MHzの波長(真空中で5m)と圧力0.3Torr(39.9Pa)のSiH4プラズマ中での波長短縮率(経験的に80%と推定)を考慮すると、前記障子枠型電極102で生成されるプラズマの強さの一様な部分は、短縮した波長(4m)の1/4〜1/6と見積もれば、上記ガラス基板の外周部を除いた面積800mm×600mmでの製膜分布±10%は妥当な値と考えられる。
【0141】
(実施例7)
本発明に係る実施例7について、図12、13を参照しながら、実施例6に係る表面処理装置70について説明する。但し、図1〜図11と同部材は同符番を付して説明を省略する。図12は、本発明の実施例7に係る表面処理装置70の全体図、図13は、前記表面処理装置を構成する一対の電極への電力供給部の説明図である。
【0142】
真空容器1内には、グロー放電プラズマを発生するための一対の電極、すなわち図13に示す障子枠型電極102と平板型構造の接地電極4とが配置されている。前記障子枠型電極102は、棒状の線材で構成され、図13に示すように、複数個の障子の枠の横桟118a、118bおよび5本の障子の枠の縦桟119a、119b、119c、119d、119eより構成されている。
【0143】
前記障子枠型電極102の中央部2箇所には、後述の第1の真空用同軸ケーブル34aの芯線37aとの接続に用いられる第1の給電点10aが接続されている。また、後述の第3の真空用同軸ケーブル34cの芯線37cとの接続に用いられる第4の給電点10dが接続されている。寸法は任意であるが、本実施例では、外形10mm、外寸法816mm×1400mmである。なお、前記障子の枠の横桟118a、118bおよび縦桟119a、119b、119c、119d、119eおよび第1および第4の給電点10a、10dは、直流的に導通となっている。
【0144】
前記接地電極4の中央部には、図13に示すように後述の第2および第4の真空用同軸ケーブル34b、34dの芯線37b、37dとの接続に用いられる小穴109a、109b、109c、109dが設けられている。なお、前記接地電極4と後述の第2および第4の真空用同軸ケーブル34b、34dの芯線37b、37dは前記小穴109a、109b、109c、109dを用いて接続され、第2および第5の給電点10b、10eが形成される。また、前記接地電極4は、基板ヒータ(図示せず)を内蔵しており、被処理物としての基板Wを支持するとともに基板Wの温度を制御する機能を有している。
【0145】
前記障子枠型電極102の外側には、図12に示すようにアースシールド32が配置されている。前記アースシールド32には、不要な部分での放電を抑制し、かつ反応ガス導入管33a、33bより導入される反応ガスを反応ガス吐出孔26と組み合わせて使用されることにより、前記一対の電極102、4の間に均一に吐出する機能を有している。前記反応ガス吐出孔26より導入された反応ガスは、一対の電極102、4間でプラズマ化された後、排気管30および真空ポンプ31により、真空容器1の外へ排出される。
【0146】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例では、反応ガスの導入量500〜1500sccm程度が供給の場合、圧力を0.01〜3Torr(1.33〜399Pa)程度に調整できる。反応ガス供給が無い場合、真空容器1内の真空到達圧力は、2〜3×10−7Torr(2.66〜3.99×10−5Pa)程度である。
【0147】
障子枠型電極102および接地電極4の間への電力供給は、図12および図13に示すように、第1および第2の給電点10a、10b、並びに第4および第5の給電点10d、10eに後述第1、第2および第3、第4の真空用同軸ケーブル34a、34b、34c、34d、第1、第2、第3および第4の電流導入端子55a、55b、55c、55d、第1、第2、第3および第4のフェーズシフタ58a、58b、58c、58d、第1および第2の電力分配器57a、57b、第1および第2の整合器6a、6bおよび第1および第2の高周波電源7a、7b等により構成の電力供給系が用いられる。
【0148】
第1および第2の高周波電源7a、7bは、互いに独立に作動し、周波数30MHz〜120MHzの任意の周波数を発生する。第11、第12、第19および第20の同軸ケーブル59、60、63、64はVHF帯(30MHz〜300MHz)の電力を伝送する。第1および第2の整合器6a、6bは、それぞれインピーダンスの整合調整の機能がある。
【0149】
第1および第2の電力分配器57a、57bは、前記第11および第19の同軸ケーブル59、63、前記第1および第2の整合器6a、6b、第12および第20の同軸ケーブル60、64を介して送電された前記第1および第2の高周波電源7a、7bの出力を2つに分割する。
【0150】
第1の電力分配器57aで2つに分割された電力は、後述の第13および第14の同軸ケーブル61a、61bを介して、後述の第1および第2のフェーズシフタ58a、58bに送電する。第2の電力分配器57bで2つに分割された電力は、後述の第21および第22の同軸ケーブル61c、61dを介して、後述の第3および第4のフェーズシフタ58c、58dに送電する。
【0151】
第13、第14、第21および第22の同軸ケーブル61a、61b、61c、61dは、それぞれVHF帯の電力を送電する。第1および第3のフェーズシフタ58a、58cは、それぞれ前記第13および第21の同軸ケーブル61a、61cで送電された電力の電圧の位相を90°進める機能がある。第2および第4のフェーズシフタ58b、58dは、それぞれ前記第14および第22の同軸ケーブル61b、61dで送電された電力の電圧の位相を90°遅らせる機能がある。
【0152】
第5、第6、第9および第10の同軸ケーブル8a、8b、8c、8dは、それぞれVHF帯の電力を送電する。第1、第2、第3および第4の電流導入端子55a、55b、55c、55dは、大気側にある第5、第6、第9および第10の同軸ケーブル8a、8b、8c、8dと真空側にある第1、第2、第3および第4の真空用同軸ケーブル34a、34b、34c、34dとを接続し、電気的に導通状態としている。
【0153】
第1および第4の給電点10a、10dは、前記障子枠型電極102と前記第1および第3の真空用同軸ケーブル34a、34cの芯線37a、37cとを接続する。第2および第5の給電点10b、10eは、前記接地電極4と前記第2および第4の真空用同軸ケーブル34b、34dの芯線37b、37dとを接続する。なお、第2および第5の給電点10b、10eは、図13に示すように、前記芯線37b、37dが小穴109a、109bおよび109c、109dを介して、接地電極4に固着される。
【0154】
第1および第2の導体50a、50b(図示せず)は、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bと、第3および第4の真空用同軸ケーブル34c、34dとの外部導体を接続し、電気的に導通としている。
【0155】
次に、上記構成の表面処理装置70を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する場合について、方法を説明する。図12、13において、予め基板Wを接地電極4上に設置し、真空ポンプ31を稼動させて、反応ガス導入管33a、33bからSiH4ガスを、例えば300sccm、圧力0.3Torr(39.9Pa)で供給しつつ、障子枠型電極102と接地電極4との間に超高周波電力、例えば60MHzの電力を供給する。すなわち、第1および第2の高周波電源7a、7bの出力をそれぞれ第11および第19の同軸ケーブル59、63、第1および第2の整合器6a、6b、第12および第20の同軸ケーブル60、64を介して第1および第2の電力分配器57a、57bに送電する。
【0156】
前記第1の電力分配器57aは、第12の同軸ケーブル60等を介して入力された前記高周波電源7aの出力を2つに分割する。その一方は、第13の同軸ケーブル61aを介して第1のフェーズシフタ58aへ送電される。その他方は、第14の同軸ケーブル61bを介して第2のフェーズシフタ58bへ送電される。
【0157】
第1および第2のフェーズシフタ58a、58bは、それぞれ第13および第14の同軸ケーブル61a、61bより入力された電力の電圧の位相を90°進遅させる。すなわち、前記第1のフェーズシフタ58aは、入力された電力の電圧の位相を90°進め、前記第2のフェーズシフタ58bは、入力された電力の電圧の位相を90°遅らせる。したがって、前記第1および第2のフェーズシフタ58a、58bの出力の電圧の位相差は、180°となる。
【0158】
そして、その出力は、第5および第6の同軸ケーブル8a、8bにより、第1および第2の電流導入端子55a、55bを介して、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bへ送電される。なお、前記第11、第12、第13、第14、第5および第6の同軸ケーブル59、60、61a、61b、8a、8b、第1および第2の真空用同軸ケーブル34a、34bの外部導体は、それぞれ接地されている。
【0159】
前記第1の真空用同軸ケーブル34aの芯線37aは、障子枠型電極102の中央部に固着されている第1の給電点10aに接続される。前記第2の真空用同軸ケーブル34bの芯線37bは、接地電極4の小穴109a、109bを介して、接地電極4にある第2の給電点10bにて固着される。
【0160】
他方前記第2の電力分配器57bは、第20同軸ケーブル64等を介して入力された前記高周波電源7bの出力を2つに分割する。その一方は、第21の同軸ケーブル61cを介して第3のフェーズシフタ58cへ送電される。その他方は、第22の同軸ケーブル61dを介して第4のフェーズシフタ58dへ送電される。
【0161】
第3および第4のフェーズシフタ58c、58dは、それぞれ第21および第22の同軸ケーブル61c、61dより入力された電力の電圧の位相を90°進遅させる。すなわち、前記第1のフェーズシフタ58aは、入力された電力の電圧の位相を90°進め、前記第4のフェーズシフタ58dは、入力された電力の電圧の位相を90°遅らせる。したがって、前記第3および第4のフェーズシフタ58c、58dの出力の電圧の位相差は、180°となる。
【0162】
そして、その出力は、第9および第10の同軸ケーブル8c、8dにより、第3および第4の電流導入端子55c、55dを介して、第3および第4の真空用同軸ケーブル34c、34dへ送電される。なお、前記第19、第20、第21、第22、第9、第10の同軸ケーブル63、64、61c、61d、8c、8d、第3および第4の真空用同軸ケーブル34c、34dの外部導体は、それぞれ接地されている。
【0163】
前記第3の真空用同軸ケーブル34cの芯線37cは、障子枠型電極102の中央部に固着されている第4の給電点10dに接続される。前記第4の真空用同軸ケーブル34dの芯線37dは、接地電極4の小穴109c、109dを介して、接地電極4にある第5の給電点10eにて固着される。
【0164】
前記した構造の表面処理装置70および電気配線において、電圧の位相差180°、周波数、例えば60MHz、電力、例えば1kWの高周波電力が障子枠型電極102の第1および第4の給電点10a、10dと接地電極4の第2および第5の給電点10b、10eとに供給されると、前記一対の電極102、4間にSiH4プラズマが生成される。
【0165】
ここで、第1と第2および第4と第5の給電点10aと10b、10dと10eに供給される電圧の位相差が180°であるので、前記一対の102、4間に発生する電界は、前記一対の電極102、4間のみに発生されるので、結果として前記第1と第2および第4と第5の給電点10aと10b、10dと10e近傍には局部放電などの異常放電は発生しない。また、第1と第2および第3と第4の真空用同軸ケーブル34aと34b、34cと34dの外部導体はそれぞれ互いに第1および第2の導体50a、50bで接続されているので、両者間での異常放電は抑制されている。なお、基板Wの温度は80℃〜350℃の範囲で、例えば200℃に保持する。
【0166】
SiH4プラズマを発生させると、そのプラズマ中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板W表面に吸着されることにより、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siが堆積する。なお、a−Si膜、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Siは、製膜条件の中のSiH4、H2の流量比、圧力およびプラズマ発生用電力の適正化をすることで製膜できることは公知の技術であるので、ここではSiH4ガスを用いたa−Si製膜を例にとり説明する。当然ながら、微結晶Siおよび薄膜多結晶Siを製膜することも可能である。
【0167】
上記の手順に従って製膜した結果の一例を以下に説明する。製膜条件は、次のとおりとした結果、サイズ800mm×1200mm(厚み4mm)のガラス基板に、製膜速度1.0nm/s、膜厚分布±10%のa−Si膜を製膜できた。なお、本実施例では、障子枠型電極102のサイズは、線径10mm、外寸法920mm×1400mmであった。
【0168】
(製膜条件)
・反応ガス:モノシランガス(SiH4)
・流量:500sccm
・圧力:0.3Torr(39.9Pa)
・電源周波数:60MHz
・一対の電極102、4間に供給される電力の電圧の位相差:180°
・電力:1.8kW
・基板Wの温度:200℃
【0169】
(実施例8)
実施例5および7の応用として、複数個の障子枠型電極、1個の平板型接地電極および複数個の高周波電源等を組み合わせた構成の表面処理装置の例が考えられる。図14は、本発明の実施例8に係る複数個の障子枠型電極、1個の平板型接地電極および複数個の高周波電源等を組み合わせた構成の表面処理装置における一対の電極の構造例を示す。
【0170】
同一平面にそろえて設置された第1〜第4の障子枠型電極102a〜102dは、それぞれ第1〜第4の給電点121a〜121dで図示しない4個の互いに独立の高周波電源の出力の一部分である電圧の位相が90°進んだ出力を送電する同軸ケーブルの芯線が接続される。
【0171】
接地電極4は、第1〜第4の障子枠型電極102a〜102dと対向して設置される。前記接地電極4には、前記第1〜第4の給電点121a〜121dに対向する位置にそれぞれ給電点(図示せず)が設置される。そして、該給電点には、前記4個の高周波電源の出力の他方の一部分である電圧位相が90°送れた出力を送電する同軸ケーブルの芯線が接続される。
【0172】
前記第1〜第4の障子枠型電極の寸法は、例えば線径10mmで、使用電源周波数、使用プラズマ生成時の圧力および使用するガス種に対応させて選定することが望ましい。例えば、使用ガス種:SiH4、圧力:0.3Torr(39.9Pa)の場合、前記第1〜第4の障子枠型電極102a〜102dの外形寸法は電源周波数:60MHzの場合(波長の短縮率を80%と推定)、約800mm×約800mm以下、80MHzの場合、約600mm×約600mm以下、100MHzの場合、約480mm×約480mm以下である。なお、プラズマの圧力を考慮する必要があるが、前記第1〜第4の障子枠型電極の外形寸法はその一辺の長さとして、プラズマ中の短縮化した波長の1/4〜1/6が目安とする。
【0173】
ここでは、本実施例の主要な部分のみの説明にとどめるが、複数個の障子枠型電極と、複数個の互いに独立関係にある長高周波電源と、前記複数個の障子枠型電極に対応した1つの平板型電極とを組み合わせることにより、大面積基板に対応可能な表面処理装置を提供できることは明らかである。
【0174】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る表面処理装置では、一対の電極に供給される電力の電圧位相差を180°とすることにより、一対の電極間に乱れの無い電界を発生させることが可能となった。したがって、生成されるプラズマの強さが均一化されるようになった。
【0175】
また、一対の電極に配置された給電点が同数であるので、さらに、一対の電極間に乱れの無い電界を発生させることが可能となった。したがって、生成されるプラズマの強さが均一化されるようになった。
【0176】
また、一対の電極の一方の電極に電力を供給するケーブルと、他方の電極に電力を供給するケーブルとをそれぞれの給電点近傍で、それぞれのケーブルの外側導体同士を他の導体にて連結させたので、給電点付近での異常放電が抑制され、より一層一対の電極間に乱れの無い電界を発生させることが可能となり、一対の電極間に生成されるプラズマの強さがより一層均一化される。
【0177】
また、一対の電極が非接地電極と接地電極とからなる構成としたので、電極間に乱れの無い電界を発生させることが可能となった。
【0178】
また、非接地電極をラダー構造としたので、給電点付近での異常放電が抑制され、より一層非接地電極と接地電極間に乱れの無い電界を発生させることが可能となり、非接地電極と接地電極間に生成されるプラズマの強さがより一層均一化される。さらに、非接地電極を格子状構造としても良い。
【0179】
また、非接地電極を複数とすることにより、給電点付近での異常放電が抑制され、より一層非接地電極と接地電極間に乱れの無い電界を発生させることが可能となり、非接地電極と接地電極間に生成されるプラズマの強さがより一層均一化されるので、大面積基板に対応可能な表面処理装置を提供できる。
【0180】
また、接地電極が1つ以上の穴があいた板構造としたので、給電点付近での異常放電が抑制され、より一層非接地電極と接地電極間に乱れの無い電界を発生させることが可能となり、非接地電極と接地電極間に生成されるプラズマの強さがより一層均一化される。
【0181】
また、この発明に係る表面処理装置によれば、VHS帯(30MHz〜300MHz)の周波数を使用するプラズマ現象のメリットを得て、かつ、超大面積基板に対する均一な表面処理を行うことができる。
【0182】
したがって、従来困難視されていたVHF帯(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が可能となり超大面積基板に対する均一な表面処理、すなわち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上とが可能となった。この効果は、特に、太陽電池、LCD業界での生産性向上に関する貢献度は著しく大きいものである。
【0183】
また、この発明に係る表面処理装置によれば、LCD、複写機用感光体、太陽電池、LSI等薄膜半導体の応用製品の生産性向上および品質・性能向上が図れるという効果が生じるので、前記応用製品の生産コストを著しく低減できる。
【0184】
また、この発明に係る表面処理装置によれば、製品のサイズが大きいほど製品価値が増大する、いわゆる大面積画面化が図れ、LCD、複写機用感光体および太陽電池等の応用製品製造に提供できるので、新製品の創出という効果が生じる。それゆえ、斯界での工業的価値は極めて大きい。
【0185】
この発明に係る表面処理方法によれば、一対の電極間に乱れの無い電界を発生させることが可能となり、一対の電極間に生成されるプラズマの強さが均一化される表面処理方法を提供できる。
【0186】
また、VHS帯(30MHz〜300MHz)の周波数を使用するプラズマ現象のメリットを得て、かつ、超大面積基板に対する均一な表面処理を行うことができる。したがって、従来困難視されていたVHF帯(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が可能となり超大面積基板に対する均一な表面処理、すなわち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上とが可能となった。この効果は、特に、太陽電池、LCD業界での生産性向上に関する貢献度は著しく大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る表面処理装置の全体図。
【図2】前記表面処理装置の一構成を示す放電用電極に高周波電力を供給するための電力供給系を示す説明図。
【図3】前記電力供給系の一構成である給電ケーブルと上記電極とを結線する位置である給電点を示す断面図。
【図4】本発明の実施例2に係る表面処理装置の全体図。
【図5】前記表面処理装置の一構成である放電用電極に高周波電力を供給するための電力供給系の一構成である給電ケーブルと上記電極とを結線する位置である給電点を示す断面図。
【図6】本発明の実施例3に係る表面処理装置の全体図。
【図7】本発明の実施例4に係る表面処理装置の全体図。
【図8】本発明の実施例5に係る表面処理装置の全体図。
【図9】前記表面処理装置を構成する電極の説明図。
【図10】前記表面処理装置を構成する一対の電極への電力供給部の説明図高周波電力供給用電気配線の一構成を示す断面図。
【図11】本発明の実施例6の表面処理装置を構成する一対の電極への電力供給部の説明図。
【図12】本発明の実施例7に係る表面処理装置の全体図。
【図13】前記表面処理装置を構成する一対の電極への電力供給部の説明図。
【図14】本発明の実施例8に係る複数個の障子枠型電極、1個の平板型接地電極および複数個の高周波電源等を組み合わせた構成の表面処理装置における一対の電極の構造例。
【図15】従来の技術に係る表面処理装置の概念図。
【図16】従来の技術に係る放電電極への給電方法に用いた装置の回路を示すブロック構成図。
【図17】従来の技術に係る電極への給電端子の取り付け部分を示す図。
【図18】電圧波の説明図。
【図19】電圧の合成波の説明図。
【図20】ラダー型構造の非接地電極の給電点の一例。
【図21】電極の表面を電流が流れる模式図。
【図22】局部放電箇所の一例。
【図23】局部放電箇所の一例。
【符号の説明】
1…真空容器
2…非接地電極
4、4a…接地電極
6、6a、6b…整合器
7、7a、7b…高周波電源
8a〜8d、53a、53b、54a、54b、56a、56b、59,60,61a〜d、62a〜d、63,64…同軸ケーブル
10a〜10e、121a〜121d…給電点
22…高周波発振器
23a、23b…電力増幅器
25…フェーズシフタ
26…反応ガス吐出孔
30…排気管
31…真空ポンプ
33a、33b…反応ガス導入管
34、34a〜34d…真空用同軸ケーブル
37、37a〜37d…芯線
50、50a、50b…導体
51…オシロスコープ
52…出力位相可変発信器
55a〜55d…電流導入端子
57、57a、57b…電力分配器
58a〜d…フェーズシフタ
70…表面処理装置
102、102a〜102d…障子枠型電極
W…基板
Claims (9)
- プラズマを利用して真空容器に配置される基板の表面を処理する表面処理装置において、
前記真空容器内に対向配置された一対の電極と、
前記一対の電極にそれぞれ電力を供給するケーブルと、
前記一対の電極にそれぞれ設置され、前記ケーブルからの電力を供給される給電点とを有し、
前記一対の電極に供給された前記電力の電圧の位相差が180°であることを特徴とする表面処理装置。 - 前記一対の電極に配置された給電点が同数であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。
- 前記一対の電極の一方の電極に電力を供給するケーブルと、他方の電極に電力を供給するケーブルとをそれぞれの給電点近傍で、それぞれのケーブルの外側導体同士を他の導体にて連結することを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理装置。
- 前記一対の電極が非接地電極と接地電極とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の表面処理装置。
- 前記非接地電極がラダー型電極であることを特徴とする請求項4のいずれか一つに記載の表面処理装置。
- 前記非接地電極が格子状電極であることを特徴とする請求項4に記載の表面処理装置。
- 前記非接地電極が複数からなることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の表面処理装置。
- 前記接地電極が1つ以上の穴があいた板であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載の表面処理装置。
- 真空容器に配置される一対の電極を有し、一対の電極の間に基板を配置し、プラズマを用いて、その基板の表面を処理する表面処理方法において、
前記真空容器内を排気する工程と、
前記真空容器内に放電用ガスを供給する工程と、
一対の電極の双方に電力を供給する工程と、
を有し、前記一対の電極に供給された前記電力の電圧の位相差が180°であることを特徴とする表面処理方法。
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