JP2004264628A - 光送信モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の光送信機はレーザ、光変調器、ドライバ回路等にモジュール化された各要素を高周波ケーブルおよびコネクタを経由して接続し構成する方法が採られていた。一方、通信系で使用する周波数も急速に高周波化されてきている。上記構成では100Gbit/s程度以上の周波数では使用可能な高周波ケーブル、コネクタ類が無く構成上の隘路となっていた。このため、100Gbit/s程度以上の周波数でも低損失で動作する光送信機の実現が課題となっていた。
【解決手段】半絶縁性基板上に半導体レーザ、光変調器、この光変調器のドライバ回路を構成する構造とした。これによりドライバ回路から終端抵抗に至るまで同一インピーダンスで揃えることが出来、余分な電力損失を無くした。また半導体レーザ系と、光変調器系とのグラウンド配線を互いに絶縁的に形成することにより、光変調器の動作点を容易に調整可能となった。
【選択図】図1
【解決手段】半絶縁性基板上に半導体レーザ、光変調器、この光変調器のドライバ回路を構成する構造とした。これによりドライバ回路から終端抵抗に至るまで同一インピーダンスで揃えることが出来、余分な電力損失を無くした。また半導体レーザ系と、光変調器系とのグラウンド配線を互いに絶縁的に形成することにより、光変調器の動作点を容易に調整可能となった。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信などで用いられる電気の変調信号を光の変調信号に変換して受信器に送り出すための光送信モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】NTT R&D Vol.48、No.1、1999年 pp.33−42
【非特許文献2】IEEE Journal of Lightwave Technology、Vol.13、 No.12、1995年 pp.2320−2326
近年のコンピュータネットワークの広がりにより、通信トラフィックは増大の一途を辿っており、通信網の大容量化は必須である。現在までに国内では一チャンネル当り10Gbit/sの光通信システムが既に商用に供されており、40Gbit/s光通信システムも各部品の開発、システム動作確認、商用ファイバを用いた伝送実験等は終了し、商用化への目処はほぼついた段階である。従って各部品に関しては、次世代システムを想定した100Gbit/s以上の動作速度に研究の中心が移りつつある。ここで、100Gbit/sのチャンネルとは、複数の入力チャンネルを多重化した後の出力チャンネルを意味している。
【0003】
40Gbit/s通信システムにおける光送信機の構成としては、例えば上記「非特許文献1」に記載されたものが挙げられる。これは、図5で示されるように、基本的には高速多重化IC(4:1多重化回路モジュール)1101、リタイミング回路モジュール1102、ドライバIC(ドライバ回路モジュール)1103、光変調器(光変調モジュール)1104、光源(半導体レーザモジュール)が個別にモジュール化されており、それらを光ファイバや高周波ケーブルで接続することで、全体として光送信機として機能するように構成されている。さて、この構成で100Gbit/s光送信機を構成する場合について考えてみる。この場合、送信機を構成する高速多重化IC1101、ドライバIC1103、光変調器1104のそれぞれが100Gbit/sで動作しても、チップからモジュール外へ電気信号を取り出すためのコネクタ、各モジュール間を電気的に接続するための高周波ケーブルで100Gbit/sの電気信号を通すものが無く、モジュール間で信号を伝送することが出来ない。特にケーブルについては表皮効果により高周波領域になるほどロスが大きくなるので、将来的にも個別モジュールのケーブル接続で、100Gbit級/の光送信機を構成することは非常に困難である。
また、超高速の光変調器として有望な電界吸収型光変調器の場合、素子自体のCR時定数による帯域制限を避けるために、電極構造を進行波型にすることが有効であることが分かっているが、この場合素子の特性インピーダンスが50Ωより低くなる。このため、素子インピーダンスを、各モジュール間を接続する高周波ケーブルやコネクタの特性インピーダンスである50Ωに整合させるためには、そのための抵抗をモジュール内部に付加する必要が生じる。しかしこの場合、異なる特性インピーダンスの差分をこの整合用のために付加する抵抗で消費させて整合を取るため、結局、光変調器駆動用電力としてこの消費分を見込む必要がある。このため、ドライバ回路としてはより大出力のものが必要となり、技術的難度が高くなる。
【0004】
これに対して、コネクタ、高周波ケーブルを使用せずに光送信機を構成する技術として、上記「非特許文献2」に記載されたものが挙げられる。図6はこの構成例の概略を示したもので、Si基板1201を実装用の基板として用い、この上にレーザダイオードアレー1206、レーザ駆動回路1208、光変調器1204、フォトディテクタアレー1205、光検出回路1209をハイブリッド実装し、レーザダイオードアレー1206と光変調器1204の間の光伝送はSi基板上に堆積したSi02層1202をコア及びクラッド材に用いて作製した石英系光導波路1203を用いて行い、レーザ駆動回路1206とレーザダイオードアレー1206の間、フォトディテクタアレー1205と光検出回路1209の間の電気信号のやり取りは、Si基板1201上に作製した電気の伝送線路1207で行う。
さて、この構成で100Gbit/sの光送信機を構成する場合について考えてみる。Siは本発明が目的とする周波数に対しては電子移動度が低く、高速電子回路を作製することが困難であるため、InP/InGaAs系やSi/SiGe系の化合物半導体などの材料を用いた超高速集積回路チップをSi基板1201または、Si基板1201上に作製した光導波路のアンダークラッド材であるSi02層1202上に実装する必要が生じる。導電性を有するSi基板1201に集積回路チップを実装した場合、Si基板1201と集積回路チップとの間に付加的な浮遊容量が生じてしまい、回路の高速動作が阻害されてしまう。また、絶縁体であるSi02層1202上に集積回路チップを実装した場合、浮遊容量の問題は解消されるが、Si02は熱伝導率が悪く、集積回路チップからの放熱上の問題がある。
【0005】
以上の問題をまとめると、従来の個別モジュールをコネクタと高周波ケーブルで接続する構成法においても、Si基板を実装用の基板として用いる方法においても、100Gbit級/の光送信機を構成することは非常に困難であり、新たな送信モジュール構成が必要となって来る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたことから本発明においては、前述の従来技術の問題点を解消し、1チャネル当り100Gbit/s以上の伝送レートを持つ光通信システムに使用可能な光送信機を実現するための光送信モジュール構成法の実現を主たる目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1においては、半導体レーザと、該半導体レーザの出力を伝える光伝送路と、該光伝送路から光を受けて該光を変調する光変調器と、該光変調器から出力される光を次段に伝えるための光ファイバと、上記光変調器を駆動するためのドライバ回路と、上記光変調器駆動用電気信号を終端させるための終端抵抗からなる光送信モジュールにおいて、多重化機能を含むドライバ回路が形成された実装用の半絶縁性基板上に、該ドライバ回路出力と上記光変調器を接続するための第1の高周波伝送線路と、上記ドライバ回路の出力を終端するための上記終端抵抗と、上記光変調器と上記終端抵抗を接続するための第2の高周波伝送線路と、上記半導体レーザに電流を供給するための電気配線と、実装後の上記光変調器の出力光の出射点を含み該出力光の進行方向に平行な直線を含む垂直な平面が上記半絶縁性基板と交わる直線に沿って形成された光ファイバ固定用のV溝を有し、上記半導体レーザと上記電気配線との電気的接続を果たす役割を担った複数個のメタルバンプを含むメタルバンプ群により、上記半導体レーザが上記光変調器と光結合されるように上記半導体基板に固定され、上記光変調器と上記第1および第2の高周波伝送線路との電気的接続を果たす役割を担った上記複数のメタルバンプを含むメタルバンプ群により、上記光変調器が上記光伝送路と光結合されるように上記半絶縁性基板に固定され、上記V溝の延伸方向の前記光変調器と光結合される位置に前記V溝で光ファイバが固定された光送信モジュールについて規定している。なお、上記半絶縁性基板とは極微量の不純物を含有させて高い絶縁性を持たせたもので、超高周波回路用基板として用いられている材料である。
【0008】
請求項2においては、上記光変調器が進行波型の電極構造を有している請求項1に記載の光送信モジュールについて規定している。
【0009】
請求項3においては、上記ドライバ回路と上記光変調器を接続するための上記第1の高周波伝送線路の特性インピーダンスと、上記光変調器と前記終端抵抗を接続するための上記第2の高周波伝送線路の特性インピーダンスと、上記終端抵抗の抵抗値を、上記光変調器の電気配線の特性インピーダンスに一致させている請求項1または請求項2記載の光送信モジュールについて規定している。
【0010】
請求項4においては、上記光変調器の第1のグラウンド側配線と、外部電源によって上記ドライバ回路を含むモジュール全体の第2のグラウンド側配線とを絶縁的に配置し、上記光変調器の第1のグラウンド側電位を調整することにより上記光変調器のバイアスを任意の値に設定可能とした回路構成の上記光変調器を上記ドライバ回路で駆動する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光送信モジュールについて規定している。
【0011】
請求項5においては、上記光変調器と上記半導体レーザとを光結合させるために、上記実装用の半絶縁性基板上に作製した前記光導波路を形成している請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光送信モジュールについて規定している。
【0012】
請求項6においては、上記光導波路に、例えばレーザビーム整形器あるいはコリメータ系等の光スポットサイズ変換手段を設けた請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光送信モジュールについて規定している。
【0013】
【作用】
本手段によれば、100Gbit/sの電気信号が流れる多重化回路−ドライバ回路間、ドライバ回路−光変調器間に、高周波ケーブルやコネクタが一切存在せず,しかも、実装用の基板上の非常に短い距離で各素子は接続されるので、良好な周波数特性が得られる。また、伝送線路の特性インピーダンスや終端抵抗の抵抗値は使用する素子の特性インピーダンスにより任意に設定することが可能なので伝送線路、光変調器の配線、終端抵抗の全てのインピーダンス値を一致させることが可能となる。これにより異なる特性インピーダンスの整合を取ることにより光変調器駆動電力の一部がこの整合用抵抗で消費されることもなく、効率的に光変調器を駆動することが可能となる。更にハイブリッド実装用の基板として用いる基板材料が、超高速集積回路作製に用いられる良好な高周波特性を持つ半絶縁性半導体であるため、付加的な容量をドライバ回路や光変調器に生じさせることも無い。このため、ハイブリッド実装後も良好な周波数特性を実現することが可能である。しかも、フリップチップ実装後にバンプメタルのリフローによる自己位置合わせ機能を利用すれば、半導体レーザ、光変調器、光ファイバの実装時に正確な位置合わせが不要となる。これにより、光実装コストを下げることが出来、モジュール生産コストを下げることが可能となる。また、構成要素の中でも最も大きな発熱体であるドライバ回路の熱は、直接チップ裏面から放熱できるので、集積回路チップからの放熱を有効に行なうことが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態を示す外観の斜視図である。1001は多重化機能を含むドライバ回路が作製されたハイブリッド実装用の半絶縁性InP基板(以下、InP基板と略記する)、1002はInP基板1001上でドライバ回路が作製されている部分、1003と1004は多重化前のデータ信号入力用線路で本実施の形態ではデータレートとして50Gbit/sである。1005は多重用のクロック信号入力用線路で本実施の形では周波数としては50GHzを想定している。上記半絶縁性基板とは、極微量の不純物を含有させて高い絶縁性を持たせたもので、超高周波回路用基板として用いられている材料である。1006は進行波型の1.55ミクロン帯用電界吸収型光変調器(以下、光変調器と略記する)、1007は発振波長1.55ミクロンの半導体レーザ、1008は終端抵抗、1009は光導波路で本実施の形態ではポリマー材料により作製する。1010は光変調器1006出力を伝送するための光ファイバ、1011は光ファイバ1011を固定するためにInP基板1001上に作製したV溝で、このV溝は実装後の上記光変調器1012の出力光の出射点を含み、この出力光の進行方向に平行な直線を含む半絶縁性基板面に対して垂直な平面がこの基板面と交わる直線に沿って形成されており、1012はドライバ回路出力を光変調器1006に伝えるための高周波伝送線路、1013は光変調器1006を実装基板上にボンディングするための複数の半田バンプ、1014は半導体レーザ1007を実装用のInP基板1001上にボンディングするための半田バンプ、1015は光変調器1006と終端抵抗1008を電気的に接続するための高周波伝送線路、1016はペルチェ素子または、ヒートシンク等の放熱機構裏面に備えたチップキャリアである。なお、本図1で、ドライバ回路1002、半導体レーザ1007に直流電源を接続するための電気配線は省略してある。
【0015】
図2および図3は本発明の実施の形態において、ドライバ回路1002と光変調器1006の電気的接続を分かりやすく説明するためにその電極配線パターンのみを記した実装用のInP基板1001の上面図である。ドライバ回路1002と図示していないが光変調器1006とを結合する高周波伝送線路1012は、絶縁体を挟んだ上下2層構造となっており、そのグラウンド側は下層メタル膜1017に接続されている。また1018は光変調器1006の信号線路を示す。また、四隅が丸い四角パターン1022は光変調器1006が半田バンプ1013によって固定される部分である。
【0016】
なお本図2では、半導体レーザ1007、光ファイバ1010、光導波路1009を固定する半田バンプ1014は記載を省略してある。またドライバ回路1002、半導体レーザ1007に直流電源を接続するための電気配線も省略してある。本図2から知れるように光変調器1006のグラウンドは、ドライバ回路と導通しておらず、フローティングの状態となっている。
【0017】
図3の1019は、ドライバ回路1002と光変調器1006の間の高周波伝送線路1012の上層メタル膜を表す。1020は上層メタル膜1019の切り欠き部で、下層メタル膜1017が露出した部分である。上層メタル膜1019の内、ドットパターンの粗な部分1021は、絶縁体を挟んでその下側に図1で述べた下層メタル膜1017が存在するため、メタル−絶縁体−メタル構造のコンデンサが形成されていることになる。また上層メタル1019は光変調器1006と直接は導通せず、終端抵抗1008を介して光変調器1006の信号線と接続されることになる。なお、図3において四隅が丸い四角パターン1022は上層メタル膜1019および上層絶縁体が穿孔されている部分で、この部分を介して光変調器1006を基板1001上の配線パターンに接続するための半田バンプ1013が貫通している。図4にこの結線状態を回路図で示す。高周波的にはドライバ回路1002と光変調器1006は共通のグランドに見えるが、直流的には絶縁されていることになる。この構造とすることにより、図3における上層メタル膜1019の切り欠き部1020を利用して、下層メタル1017の電位を外部電源を用いて上層メタル膜1019に対して調整すると、実効的に光変調器1006のバイアス点を変化させることができる。
【0018】
このような構成で、光変調器1006の配線の特性インピーダンス、終端抵抗1008の抵抗値、ドライバ回路1002の出力を光変調器1006に伝えるための高周波伝送線路1012、光変調器1006と終端抵抗1008を電気的に接続するための高周波伝送線路1015の特性インピーダンスを一致させることが出来る。
【0019】
本実施の形態の作製手順を図1乃至図3により説明する。
まず、実装用のInP基板1001上に有機金属気相成長法などで、多重化機能付きドライバ回路1002の基本素子となるトランジスタの層構造を成長させる。続いて縮小露光投影法とエッチング工程、絶縁膜堆積工程などからなる通常の半導体プロセスを用いて多重化機能付きドライバ回路1002をInP基板1001上に作製する。続いて実装用のInP基板1001上で回路部分以外の層をドライエッチングなどの方法で取り去り、高周波線路1003、1004、1005、1012、1015と終端抵抗1008とを、金属蒸着法などで形成する。光ファイバ1010固定用のV溝1011は、InP基板1001の面方位に対してエッチングレートの異なるウエットエッチング法を用いてInP基板1001上に作製する。更に、ポリマー材料からなる光導波路1009をスピンコート及びドライエッチングにより作製する。そして、金属蒸着法などで半田バンプ1013、1014を実装用のInP基板1001上に作製する。ここまでの工程は、実装用のInP基板1001に刻まれたマークを元に、縮小露光投影装置を用いて位置合わせを行い作製するので、各パーツの位置精度はサブミクロンオーダで設定できる。半導体レーザ1007及び光変調器1006を実装用のInP基板1001上にフリップチップ実装し、バンプメタルのリフローによる自己位置合わせ機能を利用し半導体レーザ1007、光変調器1006と光導波路1009の光結合を行なう。最後にV溝1011上に光ファイバ1010を固定する。なお、バンプメタルのリフローによる光変調器1006と半導体レーザ1007の位置合わせ精度は、ボンディング前のメタルバンプ位置とメタル厚さで決まるため、平面方向と垂直方向の位置精度をサブミクロンオーダにすることが可能で、半導体レーザ1007、光変調器1006、光ファイバ1010の実装に高精度の位置合わせを行わなくても、良好な光結合を実現できる。
【0020】
なお、光変調器1006と半導体レーザ1007とを結合している光導波路1009には例えば、レーザ光スポット形状整形器あるいはコリメータ光学系等のような、スポットサイズ変換機能を有しているものを用いることで、上記自己位置合わせ機能による位置合わせ誤差をさらに低減し得るが、本スポットサイズ変換機能の利用によりさらに位置合わせ誤差による結合効率の低下を抑えることが可能となるため、必要に応じてこれを使用すればよい。
【0021】
また、本実施の形態では、光変調器1006として進行波型電界吸収光変調器を用いたがこれ以外にも、半導体光位相変調器、マッハツエンダー型光変調器を用いることも可能である。また、波長も、1.55ミクロンに限ることはなく、半導体レーザ1007の発振波長にあわせて、光変調器1006、光導波路1009の波長を変えることで、別の波長帯の光送信モジュールを実現することも可能である。更に、本実施の形態では多重化後の光変調レートを100Gbit/sとしていたが、必ずしもこれに限った話ではなく、多重前のデータレートを上げることで光変調レートを上げることは可能である。
なお、ここでは実装用半導体基板の例としてInP基板を示しているが、GaAs基板など半絶縁性の化合物半導体基板であれば、本光送信モジュールが作製可能であることは言うまでもない。
【0022】
本実施の形態により、多重化機能付きのドライバ回路と光変調器がモノリシックに集積化されており100Gbit/sの電気信号を高周波ケーブルやコネクタを一切介さずに良好な周波数特性で光変調器へ伝えることができる。また、ドライバ回路から終端抵抗までがインピーダンス整合されているので、光変調器へ駆動電力を効率良く伝えることが出来、ドライバ回路に損失補充用の余分な出力を要求する必要が無くなる。また、ハイブリッド実装用の基板として用いる基板材料が、良好な高周波特性を持つ半絶縁性InP基板であるため、付加的な容量をドライバ回路は光変調器に生じさせることが無い。また、構成要素の中でも最も大きな発熱体であるドライバ回路の熱は、直接チップ裏面から放熱機能を有するチップステージに伝えることができるので、集積回路チップからの発熱を上手く逃がすことが出来る。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の光送信モジュール構成によれば、超広帯域電気信号を高周波ケーブルやコネクタを一切介さずに光変調器へ伝えることができ、また、ドライバ回路から終端抵抗までのインピーダンス整合を行なうことが可能であるため、電力損失の少ない良好な周波数特性の光送信モジュールが実現できる。また、ハイブリッド実装基板として用いる基板材料が、良好な高周波特性を持つ半絶縁性のInP基板であるため、付加的な容量をドライバ回路は光変調器に生じさせることが無い。更に、直接ドライバ回路チップ裏面から放熱でき、発熱による特性劣化を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す光送信モジュール外観の斜視図。
【図2】ドライバ回路と進行波型電界吸収光変調器間の高周波伝送線路のうち、グラウンドを形成する下層メタル膜を含む回路接続関係を示す配線配置図。
【図3】ドライバ回路と進行波型電界吸収光変調器間の高周波伝送線路のうち、グラウンドを形成する上層メタル膜を含む回路接続関係を示す配線配置図。
【図4】ドライバ回路と光変調器、終端抵抗の電気的接続状態を示す回路図。
【図5】第1の従来例を示す光送信機の構成図。
【図6】第2の従来例を示すハイブリッド光送信機外観の斜視図。
【符号の説明】
1001…半絶縁性InP基板
1002…InP基板上でドライバ回路が作製された部分
1003…多重化前のデータ信号入力用線路
1004…多重化前のデータ信号入力用線路
1005…多重用のクロック信号入力用線路
1006…光変調器
1007…半導体レーザ
1008…終端抵抗
1009…光導波路
1010…光ファイバ
1011…光ファイバを固定するためにInP基板上に作製したV溝
1012…ドライバ回路出力を光変調器に伝えるための高周波伝送線路
1013…光変調器をInP基板上にボンディングするための半田バンプ
1014…半導体レーザをInP基板上にボンディングするための半田バンプ
1015…光変調器と終端抵抗を電気的に接続するための高周波伝送線路
1016…ペルチェ素子または、ヒートシンク等の放熱機構を裏面に備えたチップキャリア
1017…InP基板上での下層メタル膜
1018…光変調器信号系配線
1019…InP基板上での上層メタル膜
1101…4:1多重化回路モジュール
1102…リタイミング回路モジュール
1103…ドライバ回路モジュール 1104…光変調モジュール
1105…半導体レーザモジュール 1201…Si基板
1202…SiO2層 1203…石英系光導波路
1204…光変調器 1205…フォトディテクタアレー
1206…レーザダイオードアレー 1207…電気伝送線路
1208…レーザ駆動回路 1209…光検出回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信などで用いられる電気の変調信号を光の変調信号に変換して受信器に送り出すための光送信モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】NTT R&D Vol.48、No.1、1999年 pp.33−42
【非特許文献2】IEEE Journal of Lightwave Technology、Vol.13、 No.12、1995年 pp.2320−2326
近年のコンピュータネットワークの広がりにより、通信トラフィックは増大の一途を辿っており、通信網の大容量化は必須である。現在までに国内では一チャンネル当り10Gbit/sの光通信システムが既に商用に供されており、40Gbit/s光通信システムも各部品の開発、システム動作確認、商用ファイバを用いた伝送実験等は終了し、商用化への目処はほぼついた段階である。従って各部品に関しては、次世代システムを想定した100Gbit/s以上の動作速度に研究の中心が移りつつある。ここで、100Gbit/sのチャンネルとは、複数の入力チャンネルを多重化した後の出力チャンネルを意味している。
【0003】
40Gbit/s通信システムにおける光送信機の構成としては、例えば上記「非特許文献1」に記載されたものが挙げられる。これは、図5で示されるように、基本的には高速多重化IC(4:1多重化回路モジュール)1101、リタイミング回路モジュール1102、ドライバIC(ドライバ回路モジュール)1103、光変調器(光変調モジュール)1104、光源(半導体レーザモジュール)が個別にモジュール化されており、それらを光ファイバや高周波ケーブルで接続することで、全体として光送信機として機能するように構成されている。さて、この構成で100Gbit/s光送信機を構成する場合について考えてみる。この場合、送信機を構成する高速多重化IC1101、ドライバIC1103、光変調器1104のそれぞれが100Gbit/sで動作しても、チップからモジュール外へ電気信号を取り出すためのコネクタ、各モジュール間を電気的に接続するための高周波ケーブルで100Gbit/sの電気信号を通すものが無く、モジュール間で信号を伝送することが出来ない。特にケーブルについては表皮効果により高周波領域になるほどロスが大きくなるので、将来的にも個別モジュールのケーブル接続で、100Gbit級/の光送信機を構成することは非常に困難である。
また、超高速の光変調器として有望な電界吸収型光変調器の場合、素子自体のCR時定数による帯域制限を避けるために、電極構造を進行波型にすることが有効であることが分かっているが、この場合素子の特性インピーダンスが50Ωより低くなる。このため、素子インピーダンスを、各モジュール間を接続する高周波ケーブルやコネクタの特性インピーダンスである50Ωに整合させるためには、そのための抵抗をモジュール内部に付加する必要が生じる。しかしこの場合、異なる特性インピーダンスの差分をこの整合用のために付加する抵抗で消費させて整合を取るため、結局、光変調器駆動用電力としてこの消費分を見込む必要がある。このため、ドライバ回路としてはより大出力のものが必要となり、技術的難度が高くなる。
【0004】
これに対して、コネクタ、高周波ケーブルを使用せずに光送信機を構成する技術として、上記「非特許文献2」に記載されたものが挙げられる。図6はこの構成例の概略を示したもので、Si基板1201を実装用の基板として用い、この上にレーザダイオードアレー1206、レーザ駆動回路1208、光変調器1204、フォトディテクタアレー1205、光検出回路1209をハイブリッド実装し、レーザダイオードアレー1206と光変調器1204の間の光伝送はSi基板上に堆積したSi02層1202をコア及びクラッド材に用いて作製した石英系光導波路1203を用いて行い、レーザ駆動回路1206とレーザダイオードアレー1206の間、フォトディテクタアレー1205と光検出回路1209の間の電気信号のやり取りは、Si基板1201上に作製した電気の伝送線路1207で行う。
さて、この構成で100Gbit/sの光送信機を構成する場合について考えてみる。Siは本発明が目的とする周波数に対しては電子移動度が低く、高速電子回路を作製することが困難であるため、InP/InGaAs系やSi/SiGe系の化合物半導体などの材料を用いた超高速集積回路チップをSi基板1201または、Si基板1201上に作製した光導波路のアンダークラッド材であるSi02層1202上に実装する必要が生じる。導電性を有するSi基板1201に集積回路チップを実装した場合、Si基板1201と集積回路チップとの間に付加的な浮遊容量が生じてしまい、回路の高速動作が阻害されてしまう。また、絶縁体であるSi02層1202上に集積回路チップを実装した場合、浮遊容量の問題は解消されるが、Si02は熱伝導率が悪く、集積回路チップからの放熱上の問題がある。
【0005】
以上の問題をまとめると、従来の個別モジュールをコネクタと高周波ケーブルで接続する構成法においても、Si基板を実装用の基板として用いる方法においても、100Gbit級/の光送信機を構成することは非常に困難であり、新たな送信モジュール構成が必要となって来る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたことから本発明においては、前述の従来技術の問題点を解消し、1チャネル当り100Gbit/s以上の伝送レートを持つ光通信システムに使用可能な光送信機を実現するための光送信モジュール構成法の実現を主たる目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1においては、半導体レーザと、該半導体レーザの出力を伝える光伝送路と、該光伝送路から光を受けて該光を変調する光変調器と、該光変調器から出力される光を次段に伝えるための光ファイバと、上記光変調器を駆動するためのドライバ回路と、上記光変調器駆動用電気信号を終端させるための終端抵抗からなる光送信モジュールにおいて、多重化機能を含むドライバ回路が形成された実装用の半絶縁性基板上に、該ドライバ回路出力と上記光変調器を接続するための第1の高周波伝送線路と、上記ドライバ回路の出力を終端するための上記終端抵抗と、上記光変調器と上記終端抵抗を接続するための第2の高周波伝送線路と、上記半導体レーザに電流を供給するための電気配線と、実装後の上記光変調器の出力光の出射点を含み該出力光の進行方向に平行な直線を含む垂直な平面が上記半絶縁性基板と交わる直線に沿って形成された光ファイバ固定用のV溝を有し、上記半導体レーザと上記電気配線との電気的接続を果たす役割を担った複数個のメタルバンプを含むメタルバンプ群により、上記半導体レーザが上記光変調器と光結合されるように上記半導体基板に固定され、上記光変調器と上記第1および第2の高周波伝送線路との電気的接続を果たす役割を担った上記複数のメタルバンプを含むメタルバンプ群により、上記光変調器が上記光伝送路と光結合されるように上記半絶縁性基板に固定され、上記V溝の延伸方向の前記光変調器と光結合される位置に前記V溝で光ファイバが固定された光送信モジュールについて規定している。なお、上記半絶縁性基板とは極微量の不純物を含有させて高い絶縁性を持たせたもので、超高周波回路用基板として用いられている材料である。
【0008】
請求項2においては、上記光変調器が進行波型の電極構造を有している請求項1に記載の光送信モジュールについて規定している。
【0009】
請求項3においては、上記ドライバ回路と上記光変調器を接続するための上記第1の高周波伝送線路の特性インピーダンスと、上記光変調器と前記終端抵抗を接続するための上記第2の高周波伝送線路の特性インピーダンスと、上記終端抵抗の抵抗値を、上記光変調器の電気配線の特性インピーダンスに一致させている請求項1または請求項2記載の光送信モジュールについて規定している。
【0010】
請求項4においては、上記光変調器の第1のグラウンド側配線と、外部電源によって上記ドライバ回路を含むモジュール全体の第2のグラウンド側配線とを絶縁的に配置し、上記光変調器の第1のグラウンド側電位を調整することにより上記光変調器のバイアスを任意の値に設定可能とした回路構成の上記光変調器を上記ドライバ回路で駆動する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光送信モジュールについて規定している。
【0011】
請求項5においては、上記光変調器と上記半導体レーザとを光結合させるために、上記実装用の半絶縁性基板上に作製した前記光導波路を形成している請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光送信モジュールについて規定している。
【0012】
請求項6においては、上記光導波路に、例えばレーザビーム整形器あるいはコリメータ系等の光スポットサイズ変換手段を設けた請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光送信モジュールについて規定している。
【0013】
【作用】
本手段によれば、100Gbit/sの電気信号が流れる多重化回路−ドライバ回路間、ドライバ回路−光変調器間に、高周波ケーブルやコネクタが一切存在せず,しかも、実装用の基板上の非常に短い距離で各素子は接続されるので、良好な周波数特性が得られる。また、伝送線路の特性インピーダンスや終端抵抗の抵抗値は使用する素子の特性インピーダンスにより任意に設定することが可能なので伝送線路、光変調器の配線、終端抵抗の全てのインピーダンス値を一致させることが可能となる。これにより異なる特性インピーダンスの整合を取ることにより光変調器駆動電力の一部がこの整合用抵抗で消費されることもなく、効率的に光変調器を駆動することが可能となる。更にハイブリッド実装用の基板として用いる基板材料が、超高速集積回路作製に用いられる良好な高周波特性を持つ半絶縁性半導体であるため、付加的な容量をドライバ回路や光変調器に生じさせることも無い。このため、ハイブリッド実装後も良好な周波数特性を実現することが可能である。しかも、フリップチップ実装後にバンプメタルのリフローによる自己位置合わせ機能を利用すれば、半導体レーザ、光変調器、光ファイバの実装時に正確な位置合わせが不要となる。これにより、光実装コストを下げることが出来、モジュール生産コストを下げることが可能となる。また、構成要素の中でも最も大きな発熱体であるドライバ回路の熱は、直接チップ裏面から放熱できるので、集積回路チップからの放熱を有効に行なうことが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態を示す外観の斜視図である。1001は多重化機能を含むドライバ回路が作製されたハイブリッド実装用の半絶縁性InP基板(以下、InP基板と略記する)、1002はInP基板1001上でドライバ回路が作製されている部分、1003と1004は多重化前のデータ信号入力用線路で本実施の形態ではデータレートとして50Gbit/sである。1005は多重用のクロック信号入力用線路で本実施の形では周波数としては50GHzを想定している。上記半絶縁性基板とは、極微量の不純物を含有させて高い絶縁性を持たせたもので、超高周波回路用基板として用いられている材料である。1006は進行波型の1.55ミクロン帯用電界吸収型光変調器(以下、光変調器と略記する)、1007は発振波長1.55ミクロンの半導体レーザ、1008は終端抵抗、1009は光導波路で本実施の形態ではポリマー材料により作製する。1010は光変調器1006出力を伝送するための光ファイバ、1011は光ファイバ1011を固定するためにInP基板1001上に作製したV溝で、このV溝は実装後の上記光変調器1012の出力光の出射点を含み、この出力光の進行方向に平行な直線を含む半絶縁性基板面に対して垂直な平面がこの基板面と交わる直線に沿って形成されており、1012はドライバ回路出力を光変調器1006に伝えるための高周波伝送線路、1013は光変調器1006を実装基板上にボンディングするための複数の半田バンプ、1014は半導体レーザ1007を実装用のInP基板1001上にボンディングするための半田バンプ、1015は光変調器1006と終端抵抗1008を電気的に接続するための高周波伝送線路、1016はペルチェ素子または、ヒートシンク等の放熱機構裏面に備えたチップキャリアである。なお、本図1で、ドライバ回路1002、半導体レーザ1007に直流電源を接続するための電気配線は省略してある。
【0015】
図2および図3は本発明の実施の形態において、ドライバ回路1002と光変調器1006の電気的接続を分かりやすく説明するためにその電極配線パターンのみを記した実装用のInP基板1001の上面図である。ドライバ回路1002と図示していないが光変調器1006とを結合する高周波伝送線路1012は、絶縁体を挟んだ上下2層構造となっており、そのグラウンド側は下層メタル膜1017に接続されている。また1018は光変調器1006の信号線路を示す。また、四隅が丸い四角パターン1022は光変調器1006が半田バンプ1013によって固定される部分である。
【0016】
なお本図2では、半導体レーザ1007、光ファイバ1010、光導波路1009を固定する半田バンプ1014は記載を省略してある。またドライバ回路1002、半導体レーザ1007に直流電源を接続するための電気配線も省略してある。本図2から知れるように光変調器1006のグラウンドは、ドライバ回路と導通しておらず、フローティングの状態となっている。
【0017】
図3の1019は、ドライバ回路1002と光変調器1006の間の高周波伝送線路1012の上層メタル膜を表す。1020は上層メタル膜1019の切り欠き部で、下層メタル膜1017が露出した部分である。上層メタル膜1019の内、ドットパターンの粗な部分1021は、絶縁体を挟んでその下側に図1で述べた下層メタル膜1017が存在するため、メタル−絶縁体−メタル構造のコンデンサが形成されていることになる。また上層メタル1019は光変調器1006と直接は導通せず、終端抵抗1008を介して光変調器1006の信号線と接続されることになる。なお、図3において四隅が丸い四角パターン1022は上層メタル膜1019および上層絶縁体が穿孔されている部分で、この部分を介して光変調器1006を基板1001上の配線パターンに接続するための半田バンプ1013が貫通している。図4にこの結線状態を回路図で示す。高周波的にはドライバ回路1002と光変調器1006は共通のグランドに見えるが、直流的には絶縁されていることになる。この構造とすることにより、図3における上層メタル膜1019の切り欠き部1020を利用して、下層メタル1017の電位を外部電源を用いて上層メタル膜1019に対して調整すると、実効的に光変調器1006のバイアス点を変化させることができる。
【0018】
このような構成で、光変調器1006の配線の特性インピーダンス、終端抵抗1008の抵抗値、ドライバ回路1002の出力を光変調器1006に伝えるための高周波伝送線路1012、光変調器1006と終端抵抗1008を電気的に接続するための高周波伝送線路1015の特性インピーダンスを一致させることが出来る。
【0019】
本実施の形態の作製手順を図1乃至図3により説明する。
まず、実装用のInP基板1001上に有機金属気相成長法などで、多重化機能付きドライバ回路1002の基本素子となるトランジスタの層構造を成長させる。続いて縮小露光投影法とエッチング工程、絶縁膜堆積工程などからなる通常の半導体プロセスを用いて多重化機能付きドライバ回路1002をInP基板1001上に作製する。続いて実装用のInP基板1001上で回路部分以外の層をドライエッチングなどの方法で取り去り、高周波線路1003、1004、1005、1012、1015と終端抵抗1008とを、金属蒸着法などで形成する。光ファイバ1010固定用のV溝1011は、InP基板1001の面方位に対してエッチングレートの異なるウエットエッチング法を用いてInP基板1001上に作製する。更に、ポリマー材料からなる光導波路1009をスピンコート及びドライエッチングにより作製する。そして、金属蒸着法などで半田バンプ1013、1014を実装用のInP基板1001上に作製する。ここまでの工程は、実装用のInP基板1001に刻まれたマークを元に、縮小露光投影装置を用いて位置合わせを行い作製するので、各パーツの位置精度はサブミクロンオーダで設定できる。半導体レーザ1007及び光変調器1006を実装用のInP基板1001上にフリップチップ実装し、バンプメタルのリフローによる自己位置合わせ機能を利用し半導体レーザ1007、光変調器1006と光導波路1009の光結合を行なう。最後にV溝1011上に光ファイバ1010を固定する。なお、バンプメタルのリフローによる光変調器1006と半導体レーザ1007の位置合わせ精度は、ボンディング前のメタルバンプ位置とメタル厚さで決まるため、平面方向と垂直方向の位置精度をサブミクロンオーダにすることが可能で、半導体レーザ1007、光変調器1006、光ファイバ1010の実装に高精度の位置合わせを行わなくても、良好な光結合を実現できる。
【0020】
なお、光変調器1006と半導体レーザ1007とを結合している光導波路1009には例えば、レーザ光スポット形状整形器あるいはコリメータ光学系等のような、スポットサイズ変換機能を有しているものを用いることで、上記自己位置合わせ機能による位置合わせ誤差をさらに低減し得るが、本スポットサイズ変換機能の利用によりさらに位置合わせ誤差による結合効率の低下を抑えることが可能となるため、必要に応じてこれを使用すればよい。
【0021】
また、本実施の形態では、光変調器1006として進行波型電界吸収光変調器を用いたがこれ以外にも、半導体光位相変調器、マッハツエンダー型光変調器を用いることも可能である。また、波長も、1.55ミクロンに限ることはなく、半導体レーザ1007の発振波長にあわせて、光変調器1006、光導波路1009の波長を変えることで、別の波長帯の光送信モジュールを実現することも可能である。更に、本実施の形態では多重化後の光変調レートを100Gbit/sとしていたが、必ずしもこれに限った話ではなく、多重前のデータレートを上げることで光変調レートを上げることは可能である。
なお、ここでは実装用半導体基板の例としてInP基板を示しているが、GaAs基板など半絶縁性の化合物半導体基板であれば、本光送信モジュールが作製可能であることは言うまでもない。
【0022】
本実施の形態により、多重化機能付きのドライバ回路と光変調器がモノリシックに集積化されており100Gbit/sの電気信号を高周波ケーブルやコネクタを一切介さずに良好な周波数特性で光変調器へ伝えることができる。また、ドライバ回路から終端抵抗までがインピーダンス整合されているので、光変調器へ駆動電力を効率良く伝えることが出来、ドライバ回路に損失補充用の余分な出力を要求する必要が無くなる。また、ハイブリッド実装用の基板として用いる基板材料が、良好な高周波特性を持つ半絶縁性InP基板であるため、付加的な容量をドライバ回路は光変調器に生じさせることが無い。また、構成要素の中でも最も大きな発熱体であるドライバ回路の熱は、直接チップ裏面から放熱機能を有するチップステージに伝えることができるので、集積回路チップからの発熱を上手く逃がすことが出来る。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の光送信モジュール構成によれば、超広帯域電気信号を高周波ケーブルやコネクタを一切介さずに光変調器へ伝えることができ、また、ドライバ回路から終端抵抗までのインピーダンス整合を行なうことが可能であるため、電力損失の少ない良好な周波数特性の光送信モジュールが実現できる。また、ハイブリッド実装基板として用いる基板材料が、良好な高周波特性を持つ半絶縁性のInP基板であるため、付加的な容量をドライバ回路は光変調器に生じさせることが無い。更に、直接ドライバ回路チップ裏面から放熱でき、発熱による特性劣化を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す光送信モジュール外観の斜視図。
【図2】ドライバ回路と進行波型電界吸収光変調器間の高周波伝送線路のうち、グラウンドを形成する下層メタル膜を含む回路接続関係を示す配線配置図。
【図3】ドライバ回路と進行波型電界吸収光変調器間の高周波伝送線路のうち、グラウンドを形成する上層メタル膜を含む回路接続関係を示す配線配置図。
【図4】ドライバ回路と光変調器、終端抵抗の電気的接続状態を示す回路図。
【図5】第1の従来例を示す光送信機の構成図。
【図6】第2の従来例を示すハイブリッド光送信機外観の斜視図。
【符号の説明】
1001…半絶縁性InP基板
1002…InP基板上でドライバ回路が作製された部分
1003…多重化前のデータ信号入力用線路
1004…多重化前のデータ信号入力用線路
1005…多重用のクロック信号入力用線路
1006…光変調器
1007…半導体レーザ
1008…終端抵抗
1009…光導波路
1010…光ファイバ
1011…光ファイバを固定するためにInP基板上に作製したV溝
1012…ドライバ回路出力を光変調器に伝えるための高周波伝送線路
1013…光変調器をInP基板上にボンディングするための半田バンプ
1014…半導体レーザをInP基板上にボンディングするための半田バンプ
1015…光変調器と終端抵抗を電気的に接続するための高周波伝送線路
1016…ペルチェ素子または、ヒートシンク等の放熱機構を裏面に備えたチップキャリア
1017…InP基板上での下層メタル膜
1018…光変調器信号系配線
1019…InP基板上での上層メタル膜
1101…4:1多重化回路モジュール
1102…リタイミング回路モジュール
1103…ドライバ回路モジュール 1104…光変調モジュール
1105…半導体レーザモジュール 1201…Si基板
1202…SiO2層 1203…石英系光導波路
1204…光変調器 1205…フォトディテクタアレー
1206…レーザダイオードアレー 1207…電気伝送線路
1208…レーザ駆動回路 1209…光検出回路
Claims (6)
- 半導体レーザと、該半導体レーザの出力を伝える光伝送路と、該光伝送路から光を受けて該光を変調する光変調器と、該光変調器から出力される光を次段に伝えるための光ファイバと、上記光変調器を駆動するためのドライバ回路と、上記光変調器駆動用電気信号を終端させるための終端抵抗からなる光送信モジュールにおいて、
多重化機能を含むドライバ回路が形成された実装用の半絶縁性基板上に、該ドライバ回路出力と上記光変調器を接続するための第1の高周波伝送線路と、
上記ドライバ回路の出力を終端するための上記終端抵抗と、
上記光変調器と上記終端抵抗を接続するための第2の高周波伝送線路と、
上記半導体レーザに電流を供給するための電気配線と、
実装後の上記光変調器の出力光の出射点を含み該出力光の進行方向に平行な直線を含む垂直な平面が上記半絶縁性基板と交わる直線に沿って形成された光ファイバ固定用のV溝を有し、
上記半導体レーザと上記電気配線との電気的接続を果たす役割を担った複数個のメタルバンプを含むメタルバンプ群により、上記半導体レーザが上記光変調器と光結合されるように上記半導体基板に固定され、
上記光変調器と上記第1および第2の高周波伝送線路との電気的接続を果たす役割を担った上記複数のメタルバンプを含むメタルバンプ群により、上記光変調器が上記光伝送路と光結合されるように上記半絶縁性基板に固定され、
上記V溝の延伸方向の前記光変調器と光結合される位置に前記V溝で光ファイバが固定されたことを特徴とする光送信モジュール。 - 上記光変調器が進行波型の電極構造を有していることを特徴とした請求項1記載の光送信モジュール。
- 上記ドライバ回路と上記光変調器を接続するための上記第1の高周波伝送線路の特性インピーダンスと、
上記光変調器と前記終端抵抗を接続するための上記第2の高周波伝送線路の特性インピーダンスと、
上記終端抵抗の抵抗値を、上記光変調器の電気配線の特性インピーダンスに一致させていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光送信モジュール。 - 上記光変調器の第1のグラウンド側配線と、外部電源によって上記ドライバ回路を含むモジュール全体の第2のグラウンド側配線とを絶縁的に配置し、上記光変調器の第1のグラウンド側電位を調整することにより上記光変調器のバイアスを任意の値に設定可能とした回路構成の上記光変調器を、上記ドライバ回路で駆動することを特徴とした請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光送信モジュール。
- 上記光変調器と上記半導体レーザとを光結合させるために、上記実装用の半絶縁性基板上に作製した前記光導波路を形成していることを特徴とした請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光送信モジュール。
- 上記光導波路に光スポットサイズ変換手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光送信モジュール。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008021292A (ja) * | 2006-06-12 | 2008-01-31 | Takashi Kurokawa | センサ装置 |
WO2023053406A1 (ja) * | 2021-09-30 | 2023-04-06 | 住友大阪セメント株式会社 | 光変調器 |
-
2003
- 2003-03-03 JP JP2003055212A patent/JP2004264628A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2008021292A (ja) * | 2006-06-12 | 2008-01-31 | Takashi Kurokawa | センサ装置 |
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