JP2004264611A - 波長フィルタの中心波長トリミング方法、光導波路作製方法、およびグレーティング作製方法 - Google Patents

波長フィルタの中心波長トリミング方法、光導波路作製方法、およびグレーティング作製方法 Download PDF

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泰雄 國分
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Abstract

【課題】高精度で、且つ経時変化の少ない安定した中心波長トリミングを行うことのできる波長フィルタの中心波長トリミング方法、ならびに、屈折率制御をより容易に且つ高精度で行い、効率良く光導波路およびグレーティングを作製することのできる光導波路作製方法およびグレーティング作製方法を提供する。
【解決手段】Ta−SiOをリングコアに用いた波長フィルタを作製し、該波長フィルタのリングコアに対して水素ローディングを行った後、該リングコアに対する紫外線照射によりコア等価屈折率を変化させることで、中心波長をトリミングする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、波長フィルタの中心波長トリミング方法、光導波路作製方法、およびグレーティング作製方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、高精度で、且つ経時変化の少ない安定した中心波長トリミングを行うことのできる、新しい波長フィルタの中心波長トリミング方法に関し、また屈折率制御をより容易に且つ高精度で行い、効率良く光導波路およびグレーティングを作製することのできる、新しい光導波路作製方法およびグレーティング作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の高度情報化の著しい進展にともない、光通信のさらなる大容量化、高機能化を実現すべく、この出願の発明の発明者はすでに、波長アクセスネットワーク用のADD/DROP型フィルタなどとして有用な、リング共振器を用いて入力側光導波路および出力側光導波路相互のADD/DROP動作を行うリング共振器付き光導波路型波長フィルタ(「積層マイクロリング共振器型波長フィルタ」とも呼ぶことができる。ここでは「リング共振器型波長フィルタ」と略称する)を提案している(特許文献1、非特許文献1参照)。
【0003】
このリング共振器型波長フィルタは、たとえば図1に例示したように、入力側光導波路(1)および出力側光導波路(2)(ここでは両者を併せて「バスライン」と略称する場合がある)を下層クラッドに互いに交差するように埋め込み、その交差部においてリング共振器(3)(「リング導波路」とも呼ぶことができる)を積層する構造を持つ。このため、バスラインは光ファイバとの高効率結合を、リング共振器(3)は半径の微小化によるFSRの拡大を目的として、それぞれに最適設計を行うことができる。また、バスラインの結合比を膜厚制御によって高精度に制御できる。さらには、バスラインをクロスグリッド状に構成し、交差部に積層配置するリング共振器(3)も微小であるので高密度集積化が可能であり、複数のリング共振器(3)を直列、並列、あるいは縦列に接続することによって、様々にフィルタ特性を合成して、透過帯域の平坦化やFSRの拡大等を行うことができるなど、多くの特徴を持つADD/DROP波長フィルタを実現している。
【0004】
しかしながら、このように優れたリング共振器型波長フィルタにあっても、実際に作製すると、フォトマスクの作製分解能やコア膜厚の不均一性等に起因する作製誤差によって中心波長が設計値からずれることがあったのである。たとえば、リング共振器(3)の半径を50nmずつ微小に異ならせた1×8フィルタアレイ(特許文献1、非特許文献1参照)において、中心波長のチャネル間隔が5.7nmとなるように設計した場合、リング半径と中心波長の関係をプロットすると、たとえば図2に例示したように理論値に対して最大で1.6nmの中心波長誤差が生じることがある。
【0005】
そこで、この出願の発明の発明者等は、UV感光性ポリマー(ポリシラン)をクラッドに用いたトリミング方法を既に開発しており、それにより9.0nmのトリミング幅を達成している(非特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−298215号公報
【0007】
【非特許文献1】
S.T.Chu, B.E.Little, W.Pan, T.Kaneko, S.Sato, Y.Kokubun: ”An 8 channel Add/Drop filter using vertically coupled microring resonators over a cross grid,” Photon.Techn.Lett., vol.11, No.6, pp.691−693 (1999)
【0008】
【非特許文献2】
S.T.Chu, W.Pan, S.Sato, T.Kaneko, B.E.Little, Y.Kokubun: ”Wavelength trimming of a microring resonator filter by means of a UV sensitive polymer overlay,” Photon.Techn.Lett., vol.11, No.6, pp.680−690 (1999)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように優れたトリミング方法にあっても、さらに改良すべき点のあることが、この出願の発明の発明者等による更なる研究によって見出された。
【0010】
すなわち、トリミング後の中心波長に経時変化が生じてしまい、せっかくトリミングしても時間が経つにつれて中心波長が設計値からずれてくるのである。
【0011】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑み、高精度で、且つ経時変化の少ない安定した中心波長トリミングを行うことのできる、新しい波長フィルタの中心波長トリミング方法を提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、波長フィルタの中心波長をトリミングする中心波長トリミング方法であって、Ta−SiOをコアに用いた波長フィルタを作製し、該波長フィルタのコアに対して水素ローディングを行った後、該コアに対する紫外線照射によりコア等価屈折率を変化させることで、中心波長をトリミングすることを特徴とする波長フィルタの中心波長トリミング方法を提供し、第2には、Ta−SiOにおけるTaが30mol%であることを特徴とする前記波長フィルタの中心波長トリミング方法を提供する。
【0013】
またこの出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第3には、波長フィルタの中心波長をトリミングする中心波長トリミング方法であって、SiNをコアに用いた波長フィルタを作製し、該波長フィルタのコアに対する紫外線照射によりコア等価屈折率を変化させることで、中心波長をトリミングすることを特徴とする波長フィルタの中心波長トリミング方法を提供し、第4には、SiHベースSiNをコアに用いることを特徴とする前記波長フィルタの中心波長トリミング方法、第5には、4MSベースSiNをコアに用いることを特徴とする前記波長フィルタの中心波長トリミング方法、第6には、前記波長フィルタは、リング共振器型波長フィルタ、またはマッハツェンダー型波長フィルタ、またはファブリ・ペロー型波長フィルタ、またはアレイ導波路格子型波長フィルタであることを特徴とする前記波長フィルタの中心波長トリミング方法を提供する。
【0014】
またさらにこの出願の発明は、第7には、下部クラッド上にSiN層を成膜し、該SiN層上に、作製すべき光導波路コアの平面形状と同じ形状の紫外線不透過領域を持ち、それ以外の領域は紫外線透過領域となっている露光マスクを通して、紫外線を照射する、ことを特徴とする光導波路作製方法を提供する。
【0015】
またさらにこの出願の発明は、第8には、下部クラッド上にSiN層を成膜し、該SiN層上に紫外線を2光束干渉照射する、ことを特徴とするグレーティング作製方法を提供する。
【0016】
そしてこの出願の発明は、第9には、前記SiN層にSiHベースSiNを用いることを特徴とする前記光導波路作製方法または前記グレーティング作製方法、第10には、前記SiN層に4MSベースSiNを用いることを特徴とする前記光導波路作製方法または前記グレーティング作製方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
上記のとおりの特徴を有するこの出願の発明では、誘電体材料Ta−SiOをコアに用い、且つそれに対して水素ローディングを行った後、図3に例示したように紫外線を直接照射してコア等価屈折率を変化させることで中心波長をトリミングするようにしている。また、SiNをコア材料として用いるようにもしている。以下に、添付した図面に沿って実施例を示し、これらについてさらに詳しく説明する。
【0018】
なお、紫外線照射によりコア等価屈折率を変化させることができるので、このことを利用して、光導波路やグレーティングの作製をも効率良く行うことができると考えられる。そこで、上記のとおりの特徴を有するこの出願の発明は、高効率な光導波路の作製方法およびグレーティングの作製方法をも提供しており、トリミング方法についての説明の後、それらについても説明する。
【0019】
【実施例】
<1>中心波長トリミング方法
[中心波長トリミングの原理]
リング共振器型波長フィルタは、入力側光導波路(1)の入力ポートから波長多重した光波を入射させると、導波路交差部に積層配置されたリング共振器(3)で共振波長の光波のみが出力側光導波路(2)のドロップポートに出射し、それ以外の波長の光波は入力側光導波路(1)のスルーポートから出射する構造になっており(図1、図3参照)、共振波長は主にリング半径と等価屈折率で決まる。
【0020】
トリミング時の等価屈折率の変化による中心波長のシフト量Δλは、次式で表される。ここで、Rはリング半径、Nは共振次数、Δηeqは等価屈折率の変化量である。
【0021】
【数1】
Figure 2004264611
【0022】
[Ta−SiO膜の屈折率変化]
薄膜への紫外線照射によるTa−SiO(Taは30mol%としている)の屈折率変化をプリズムカプラにより測定したところ、図4に例示したように最大で5×10−4の変化が測定された。ここで用いた試料は、Si基板上に高周波スパッタ法によって形成したTa−SiO(Ta30mol%)膜で、厚さは3.0μmである。また、紫外線の光源はアルゴンイオンSHGレーザ(Coherent社製Innova300CFReD型)で、波長244nm、出力100mW、スポットサイズ0.35nm(半径)である。また。照射は合計4時間行った。
【0023】
この屈折率が低下する現象は、紫外線照射によるO剥離が原因と考えられる。しかし、図4を見てわかるように屈折率は4時間程度で元の値まで戻ってしまった。この現象は酸素欠損膜Ta(x<5)の再酸化が原因と考えられ、この材料でリングコアを作製した際にも同様に経時変化が起こると予想されるため、何らかの防止手段が必要になる。
【0024】
[Ta−SiOをコアに用いたリング共振器型波長フィルタのトリミング]
1.リング共振器型波長フィルタの作製プロセス
図5は、リング共振器型波長フィルタの作製プロセスを例示したものである。
【0025】
まずSi基板上にクラッドとなるSiO、バスラインコアとなるTa−SiO(Ta30mol%)をRFスパッタ法により成膜し、RIE(Reactive Ion Etching)用マスクとなるCrを蒸着する(▲1▼)。その後フォトリソグラフィー技術とRIEによりバスラインを形成し(▲2▼▲3▼)、その上にSiO2を成膜してリフトオフ技術により表面平坦化を行う(▲4▼)。そしてSiO2バッファ層、Ta−SiO(Ta30mol%)リングコア層を成膜する。その後Crを蒸着し(▲5▼)、フォトリソグラフィー技術とRIEによりリング共振器を形成する(▲6▼▲7▼▲8▼)。
【0026】
2.リング共振器型波長フィルタの特性評価
実際に、この作製プロセスによりTa−SiO(Ta30mol%)をリングコア材料として用いたリング共振器型波長フィルタを作製し、それへの紫外線照射による屈折率変化を利用して中心波長トリミングを行った。作製したリング共振器フィルでは、バスラインはコア厚1.0μm、コア幅2.0μm、またリング共振器はコア厚1.3μm、コア幅1.5μm、半径R=10μmである。
【0027】
図6は、このリング共振器型波長フィルタにおける、UV照射前とUV照射後における出力側光導波路(2)のドロップポートのフィルタ特性を例示したものである。この図6に例示したように、中心波長は紫外線照射5時間で0.48nm変化しており、この値は屈折率の変化量から計算した値と一致した。また、半値全幅に変化がないことから、トリミングによる損失の増加はないものと考えられる。
【0028】
[水素ローディングによる経時変化の抑止]
続いて、上述したように作製したリング共振器型波長フィルタについて、トリミング後に中心波長を長時間にわたって測定したところ、予測したようにトリミングを行ってから4〜5時間後にシフトした中心波長が元に戻ってしまう現象が観察された。
【0029】
この中心波長の経時変化を抑止する方法として、ファイバグレーティングで用いられている水素ローディングを行って屈折率変化の安定化を試みた。また、ファイバグレーティングの材料であるGeO−SiO(GeO3mol%)では、水素ローディングを行わない場合には1.2×10−3であった紫外線による屈折率変化が、水素ローディングを行うことによって5.9×10−3まで増加することが既に知られている。そこで、Ta−SiO(Ta30mol%)においても、同様の感光性増強効果も期待される。
【0030】
上記作製したリング共振器にUV照射前に水素ローディングを行い(圧力=10kgf/cm、67時間)、その後に紫外線トリミングを行ったリング共振器型波長フィルタの透過スペクトル特性の変化を測定したところ、図7に例示したようになった。
【0031】
3本のスペクトル特性はそれぞれ、トリミング前、トリミング後1時間、トリミング後500時間でのものを表している。トリミング終了1時間後には最大で0.8nmの中心波長シフトを確認し、これは水素ローディングを行わなかった場合の1.6倍の値であった。このことから、水素ローディングによる感光性増強効果を確認できた。
【0032】
時間の経過に伴う中心波長の値をプロットすると、図8に例示したようになる。図8中の点線は水素ローディングを行わなかった場合、実線は水素ローディングを行った場合の経時変化を表している。水素ローディングを行った後にトリミングを行うと、500〜1000時間後に中心波長シフト量は約0.65nm(1.3倍)で定常状態になり、水素ローディングにより経時変化が抑止できることがわかる。
【0033】
なお、Ta−SiOの組成について、上述した実施例ではTa=30mol%としているが、もちろんこれ以外の組成比であってもよい。但し、上記実施例ではTa=30mol%の場合に最も良好な結果が得られている。
【0034】
[リングコア用SiNの屈折率変化]
上述したようにTa−SiO(Ta30mol%)をリングコアに用いたリング共振器では、紫外線照射による中心波長のシフト量が0.65nm得られる。
【0035】
この出願の発明では、これよりも大きなシフト量を実現すべく、Taと同様に屈折率が約2.0と大きい超高屈折率差導波路用コア材料としてSiNに着目した。
【0036】
実際にプラズマCVD装置により成膜したSiH(モノシラン)ベースSiN膜と4MS(テトラメチルシラン)ベースSiN膜に紫外線を照射して、プリズムカプラによって屈折率変化量を測定した。いずれもSiN膜の厚さは約2.8μmであり、基板はSiである。その結果、図9に例示したように、SiHベースSiN膜では、4時間の紫外線照射で−1.3×10−2という大きな屈折率変化が観測でき、また、水素ローディングを行わなくても屈折率の経時変化が見られず、極めて有用な特性を持つことがわかった。
【0037】
これは、材料自体が多量のHを含むことにより水素ローディングを行った場合と同様に経時変化抑止効果が得られたことによるものと考えられる。
【0038】
次に、同じ条件でSiHベースSiN膜と4MSベースSiN膜に紫外線を照射した場合の屈折率変化量を、図10に比較して例示する。図10より、4MSベースSiN薄膜ではほとんど屈折率の変化が見られない。両者の屈折率がほぼ等しいことから、リングコア材料としてSiHベースSiNを用い、バスライン材料として4MSベースSiNを用いれば、等価屈折率を近づけることができ、さらにリング共振器に紫外線を照射したときのバスラインの屈折率変化を考慮する必要がなくなる。
【0039】
紫外線照射時間に対する屈折率の変化から中心波長のシフト量を算出した結果を、図11に例示する。リング半径10μm、コア幅1.5μm、コア厚1.5μmのリング共振器を仮定すると、4時間照射で最大11.5nmの中心波長シフトが得られることがわかった。
【0040】
また、中心波長は紫外線照射時間に対して線形に変化しており、照射時間による中心波長シフト量の制御が容易であることがわかる。
【0041】
ここで、実際にSiHベースSiN膜をリングコアに用いてリング共振器型波長フィルタ(リング半径R=10nm)を作製し、それに対して紫外線照射を行い、中心波長シフト量を測定した。図12はその測定結果の一例を示したものである。この図12から明らかなように、実際には上記算出した理論値−11.4nmよりも大幅に大きなシフト量である−12.4nmを得ることができた。また、トリミング後の中心波長の測定結果の一例は図13に示したとおりであり、250時間以上にわたり経時変化は観測されていない。
【0042】
したがって、中心波長のシフト効果および経時変化抑止効果ともに極めて優れたトリミング方法を実現できたことがわかる。
【0043】
なお、以上の実施例ではリング共振器型波長フィルタを中心に説明したが、この出願の発明の中心波長トリミング方法は当然、それ以外の様々な波長フィルタ、たとえばマッハツェンダー型波長フィルタ、ファブリ・ペロー型波長フィルタ、アレイ導波路格子型波長フィルタなど、に適用できることは言うまでもなく、それぞれのコアにTa−SiO(好ましくはTa30mol%)やSiN(好ましくはSiHベースや4MSベースSiN)を用いればよい。いずれの波長フィルタであっても同様に優れたトリミングを実現できるのである。
【0044】
<2>光導波路作製方法
さて、この出願の発明によればさらに、上述したとおりの紫外線照射によるコア等価屈折率の高精度且つ高安定な変化効果を利用することで、高効率な光導波路の作製をも実現することができる。
【0045】
従来では、光導波路を作製するために、何らかの方法で屈折率を変化させてコアを形成することが知られているが、その屈折率変化の制御を高精度且つ高安定で行う技術は実現されていなかった。そこで、この出願の発明は以下に詳細に説明する光導波路作製方法を提供する。
【0046】
図14は、この光導波路作製方法を説明するための図である。この図14に例示したように、まずSi等の基板(10)上にSiO等の下部クラッド(20)をRFスパッタ法等により成膜し、その上にSiN層(30)を成膜する。続いてこのSiN層(30)上に、作製したい光導波路コアの平面形状と同じ形状の紫外線不透過領域(51)を持ち、それ以外の領域は紫外線透過領域(52)となっている露光マスク(50)を通して、紫外線を照射する。これにより、SiN層(30)において、紫外線不透過領域(51)により紫外線が遮られた領域は屈折率が変化せずにコアとなり、それ以外の紫外線透過領域(52)下の領域は屈折率が変化してクラッドとなる。後はこの上に上部クラッド(40)を成膜すればよい。
【0047】
これによれば、コア材料としてSiNを用い、且つそれに対する紫外線照射を行うことで、屈折率制御をより容易に且つ高精度で行い、高効率で光導波路を作製することができるのである。もちろんSiN層(30)にSiHベースSiNまたは4MSベースSiNを用いることが好ましいのは、前述のトリミング方法と同様であり、また水素ローディングをさらに適用してもよい。
【0048】
<3>グレーティング形成方法
またさらに、この出願の発明によれば、同様にして、光グレーティングをも作製することができる。
【0049】
従来では、光グレーティングを作製するために様々な技術が提案されているが、そのいずれも屈折率変化の制御を高精度且つ高安定で行うことができず、高効率でグレーティングを作製できるものではなかった。そこで、この出願の発明は以下に詳細に説明するグレーティング作製方法を提供する。
【0050】
図15は、このグレーティング作製方法について説明するための図である。この図15に例示したように、まず、Si等の基板(100)上にSiO等の下部クラッド(200)およびSiNを用いたSiNコア(300)を成膜する。続いてこのSiNコア(300)上に、互いに干渉し合う2光束の紫外線を異なる方向から照射する。これにより、SiNコア(300)において、紫外線の2光束干渉に従って屈折率が互い違いに異なる干渉縞が現れて、グレーティング(500)が形成される。後はこの上に上部クラッド(400)を成膜すればよい。
【0051】
これによれば、コア材料としてSiNを用い、且つそれに対する紫外線の2光束干渉照射を行うことで、屈折率制御をより容易に且つ高精度で行い、高効率でグレーティング(500)を作製することができるのである。もちろんSiNコア(300)にSiHベースSiNまたは4MSベースSiNを用いることが好ましいのは、前述のトリミング方法と同様であり、また水素ローディングをさらに適用してもよい。
【0052】
この出願の発明は以上の各種実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、高精度で、且つ経時変化の少ない安定した中心波長トリミングを行うことのできる、新しいリング共振器型波長フィルタの中心波長トリミング方法が提供される。
【0054】
誘電体材料Ta−SiO(Ta30mol%)をリングコアに用い、かつそのリングコアに対して水素ローディングした後、紫外線を直接照射してコア等価屈折率を変化させることで、感光性増強効果と経時変化抑止効果に優れた、中心波長トリミングを実現することができる。
【0055】
また、SiNをリングコアに用い、そのリングコアに紫外線を直接照射することで−1.3×10−2の大きな紫外線誘起屈折率変化量が得られ、その変化量は水素ローディングを行わなくても安定しており、優れた中心波長トリミングを実現することができる。
【0056】
さらにまた、この出願の発明によれば、紫外線照射によるコア等価屈折率の高精度且つ高安定な変化効果を利用して、屈折率制御をより容易に且つ高精度で行い、効率良く光導波路およびグレーティングを作製することのできる、新しい光導波路作製方法およびグレーティング作製方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】リング共振器型波長フィルタの一実施形態を示した斜視図である。
【図2】作製誤差による中心波長誤差の一例を示した図である。
【図3】この出願の発明の中心波長トリミング方法について説明するための図である。
【図4】Ta−SiO(Ta30mol%)への紫外線照射による屈折率変化および経時変化の測定値の一例を示した図である。
【図5】リング共振器型波長フィルタの作製プロセスを説明するための図である。
【図6】UVトリミングによる中心波長シフト現象の測定値の一例を示した図である。
【図7】水素ローディング後のUVトリミングによる中心波長シフト現象の測定値の一例を示した図である。
【図8】水素ローディングによる中心波長の経時変化抑止現象の測定値の一例を示した図である。
【図9】SiHベースSiNへの紫外線照射による屈折率変化および経時変化の測定値の一例を示した図である。
【図10】SiHベースSiN膜と4MSベースSiN膜の紫外線誘起屈折率変化の一比較例を示した図である。
【図11】屈折率変化を示した中心波長シフト量の計算値の一例を示した図である。
【図12】SiHベースSiNリングコアへの紫外線照射による中心波長シフト量の測定値の一例を示した図である。
【図13】UVトリミング後の中心波長の測定値の一例を示した図である。
【図14】この出願の発明の光導波路作製方法について説明するための図である。
【図15】この出願の発明のグレーティング作製方法について説明するための図である。
【符号の説明】
1 入力側光導波路
11 入力バス
12 スルーバス
2 出力側光導波路
21 DROPバス
22 ADDバス
3 リング共振器
10 基板
20 下部クラッド
30 SiN層
40 上部クラッド
50 露光マスク
51 紫外線不透過領域
52 紫外線透過領域
100 基板
200 下部クラッド
300 SiNコア
400 上部クラッド
500 グレーティング

Claims (10)

  1. 波長フィルタの中心波長をトリミングする中心波長トリミング方法であって、Ta−SiOをコアに用いた波長フィルタを作製し、該波長フィルタのコアに対して水素ローディングを行った後、該コアに対する紫外線照射によりコア等価屈折率を変化させることで、中心波長をトリミングすることを特徴とする波長フィルタの中心波長トリミング方法。
  2. Ta−SiOにおけるTaが30mol%であることを特徴とする請求項1記載の波長フィルタの中心波長トリミング方法。
  3. 波長フィルタの中心波長をトリミングする中心波長トリミング方法であって、SiNをコアに用いた波長フィルタを作製し、該波長フィルタのコアに対する紫外線照射によりコア等価屈折率を変化させることで、中心波長をトリミングすることを特徴とする波長フィルタの中心波長トリミング方法。
  4. SiHベースSiNをコアに用いることを特徴とする請求項3記載の波長フィルタの中心波長トリミング方法。
  5. 4MSベースSiNをコアに用いることを特徴とする請求項3記載の波長フィルタの中心波長トリミング方法。
  6. 波長フィルタは、リング共振器型波長フィルタ、またはマッハツェンダー型波長フィルタ、またはファブリ・ペロー型波長フィルタ、またはアレイ導波路格子型波長フィルタであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の波長フィルタの中心波長トリミング方法。
  7. 下部クラッド上にSiN層を成膜し、該SiN層上に、作製すべき光導波路コアの平面形状と同じ形状の紫外線不透過領域を持ち、それ以外の領域は紫外線透過領域となっている露光マスクを通して、紫外線を照射する、ことを特徴とする光導波路作製方法。
  8. 下部クラッド上にSiN層を成膜し、該SiN層上に紫外線を2光束干渉照射する、ことを特徴とするグレーティング作製方法。
  9. SiN層にSiHベースSiNを用いることを特徴とする請求項7記載の光導波路作製方法または請求項8記載のグレーティング作製方法。
  10. SiN層に4MSベースSiNを用いることを特徴とする請求項7記載の光導波路作製方法または請求項8記載のグレーティング作製方法。
JP2003054986A 2003-02-28 2003-02-28 波長フィルタの中心波長トリミング方法、光導波路作製方法、およびグレーティング作製方法 Pending JP2004264611A (ja)

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