JP2004264497A - 音声復号装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部4と、復号処理部4が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラ5と、アップサンプリングされた音声信号を構成する音声信号サンプル系列に対して音声信号サンプルの挿入又は間引きを実行するサンプル挿抜処理部11と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じてサンプル挿抜処理部11が実行すべき処理として音声信号サンプルの挿入又は間引きのいずれかを選択するクロックスリップ制御処理部10とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は音声信号が圧縮伝送された音声符号化データを復号する音声復号装置に係り、特にインターネットプロトコル(IP)を用いて音声通信を行う音声復号装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、データ通信の爆発的な需要増加に伴い、IP(Internet Protocol)ネットワークの構築が急ピッチで進められている。そこで、通信コスト低減、メンテナンスの簡略化を目的として、データ伝送網に音声通信を取り込み、ネットワークの統合を図るべく、音声通信をIPベースで実現するIP音声通信(VoIP;Voice over IP)に対する要求が高まってきている。
【0003】
典型的なVoIPにおける音声復号装置は、パケット分解部、揺らぎ吸収バッファ、復号処理部、音声信号蓄積バッファ、割り込み信号発生部、D/A変換部、及び、受話器から構成される。各構成について簡単に説明すると、パケット分解部は、入力した音声信号に関するIPパケットを分解して音声符号化データを抽出する。パケット廃棄監視部は、上記パケットのシリアル番号を監視して通信網上でのパケット廃棄の有無を検出する。
【0004】
揺らぎ吸収バッファでは、パケットの伝送遅延揺らぎ(パケットの到着間隔の揺らぎ;ジッタ)を吸収するために上記音声符号化データを一時的に蓄積する。復号処理部は、上記音声符号化データとして圧縮符号化されたデータ系列を音声信号に復号する。音声信号蓄積バッファでは、上記復号処理部で復号された音声信号を一時的に蓄積する。割り込み信号発生部は、音声信号蓄積バッファの蓄積量に応じて割り込み信号を発生する。D/A変換部は、復号処理部で復号されたディジタル音声信号をアナログ信号に変換する。最後に、D/A変換部が変換したアナログ音声信号を受話器にて再生する。
【0005】
次に動作について説明する。
先ず、パケット分解部は、送信側から音声信号に関するIPパケットを受信すると、当該パケットから圧縮音声符号化データを抽出する。このあと、これら圧縮符号化データは、IP伝送特有の音声劣化要因である伝送遅延揺らぎを吸収するために揺らぎ吸収バッファに一時的に蓄積される。この揺らぎ吸収バッファでは、いわゆるFIFO(First−In First−Out)型の記憶方式によって圧縮符号化データを時系列で蓄積しており、復号処理部によって読み出された圧縮符号化データから順次廃棄される。これによって、伝送遅延揺らぎを吸収するための待ち合わせ、即ち後続パケットとの到着間隔のばらつきが調整される。
【0006】
先行して音声信号蓄積バッファに蓄積されていたディジタル音声信号のD/A変換部への出力が進み、その蓄積量が所定の閾値まで減少すると、割り込み信号発生部が割り込み信号を発生して復号処理部に出力する。復号処理部では、当該割り込み信号を受けると、揺らぎ吸収バッファが蓄積している圧縮符号化データを読み出して音声信号に復号する。
【0007】
例えば、VoIPで用いられる16kbit/s以下の低ビットレートの音声符号化方式では、通常、フレーム処理を行っている関係上、1回の圧縮符号化データを復号することにより、複数の音声信号サンプルが一度に生成される。これらの音声信号サンプルを音声信号蓄積バッファに蓄積した後、音声信号蓄積バッファからD/A変換部への出力は、音声信号サンプル毎になされる。この後、D/A変換部によってディジタル信号からアナログ信号に変換された音声信号は、受話器にて音声に再生される。
【0008】
また、上述した揺らぎ吸収バッファのバッファサイズは、IP通信網で想定される遅延揺らぎの幅と音声品質との兼合いで固定的に決定される。このバッファサイズを越える伝送遅延が発生すると、パケット廃棄監視部が伝送路上でIPパケットが廃棄されたものと判断し、復号処理部を制御して廃棄パケットの補償処理を実行させる。
【0009】
VoIPにおいて音声信号を格納するIPパケットは、例えばイーサネット(登録商標)は勿論、10BASE−Tなどのツイストペアケーブルを使ったネットワーク、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、ATM(Asynchronous Transfer Mode)、ISDN(Integrated Services Digital Network)などのほとんどの物理伝送媒体上で利用することできる。ここで、ISDNやATM網ベースのVoIP通信では、IPパケットを送受する際の動作クロック同期が保証されている。このため、揺らぎ吸収バッファに蓄積されている圧縮符号化データの数は、遅延揺らぎによる変動はあるものの、蓄積量の長時間平均をとるとほぼ一定の値を示す。
【0010】
一方、VoIPがイーサネット(登録商標)などのような通信網に適用された場合や、IPパケットが異なる仕様の通信回線を経由して伝送される場合、音声信号に関するIPパケットの送受信側でクロック同期をとることができない。このような通信システムでは、通常、送信端末と受信端末とが各々ローカルにクロック発生源を具備して、そのクロック信号をベースにD/A変換部に供給するサンプリングクロックを生成している。この場合、クロック発生源の製品仕様のばらつきや端末の動作環境(温度や湿度など)によって送受信側で動作が異なるため、クロック同期をとることがほぼ不可能である。この送受同期不整合のために、受信側において揺らぎ吸収バッファがオーバフローやアンダフローを起こす恐れがある。
【0011】
つまり、送受信側でクロック同期がとれていない場合、揺らぎ吸収バッファにおける圧縮符号化データの蓄積量は、長時間平均をとると増加傾向(図20(a)参照)又は減少傾向(図20(b)参照)を示して一定値を維持しない。このため、揺らぎ吸収バッファがいずれは破綻することが考えられる。
【0012】
例えば、送信側に比べて受信側のクロック周波数が低いと、音声信号蓄積バッファからD/A変換部へのディジタル音声信号の出力タイミングが、送信側から受信側へのIPパケットの送信タイミングよりも遅れる。このため、図20(a)に示すように、揺らぎ吸収バッファに蓄えられる圧縮符号化データ量は増加傾向を示す。
【0013】
この場合、揺らぎ吸収バッファのバッファサイズは有限であるから、時間が経過するに従って揺らぎ吸収バッファの残量に余裕がなくなり、わずかな遅延揺らぎでもオーバフローを起こすようになる。オーバフローを起こした揺らぎ吸収バッファでは、任意に圧縮符号化データが廃棄されるため、復号処理部がパケット消失時に準じた処理にて廃棄データの補間処理を実行することとなる。
【0014】
一方、送信側に比べて受信側のクロック周波数が高い場合、送信側から受信側へのIPパケットの送信タイミングが、音声信号蓄積バッファからD/A変換部へのディジタル音声信号の出力タイミングよりも遅れる。このため、図20(b)に示すように、揺らぎ吸収バッファに蓄えられる圧縮符号化データ量は減少傾向を示す。
【0015】
この場合、揺らぎ吸収バッファに蓄積されている圧縮符号化データ量は減少し、僅かな遅延揺らぎでもアンダフローを起こすようになる。この時も、パケット消失時に準じた処理にて未着データを一旦補償し、その後受信するであろう圧縮符号化データを破棄することで対処する必要がある。
【0016】
上述した不具合を解消する技術として、音声の不連続伝送制御(Discontinuous Transmission;DTX)がある。これは、通常の音声会話におけるトークスパートの時間幅が揺らぎ吸収バッファの破綻を招くほど長時間継続しないことを前提として無音区間を拡張・圧縮する(図21参照)ことで、揺らぎ吸収バッファのオーバフローやアンダフローを回避するものである。
【0017】
簡単に説明すると、送信側に比べて受信側のクロック周波数が高い場合、図21(a)に示すように、無音区間を拡張することで、送信側から受信側へのIPパケットの送信タイミングに対して音声信号蓄積バッファからD/A変換部へのディジタル音声信号の出力タイミングを遅らせて揺らぎ吸収バッファの破綻を回避する。図示の例では、図21(b)に示す送信音声波形のうちの無音区間を図21(a)のように拡張することで揺らぎを吸収している。
【0018】
また、送信側に比べて受信側のクロック周波数が低い場合、図21(c)に示すように、無音区間を圧縮することで、送信側から受信側へのIPパケットの送信タイミングに対して音声信号蓄積バッファからD/A変換部へのディジタル音声信号の出力タイミングを速めて揺らぎ吸収バッファの破綻を回避する。図示の例では、図21(b)に示す送信音声波形のうちの無音区間を図21(c)のように圧縮することで揺らぎを吸収している。
【0019】
なお、当該DTXでは、無音区間に対して擬似背景雑音を生成して音声信号を補充する処理を実行する。このため、無音区間の圧伸処理がなされても異音の発生など音声品質への影響はきわめて少ない。
【0020】
しかしながら、通信形態によっては長時間無音区間が発生せず、DTX機能が効かない場合もあり得る。例えば、背景音楽(Back Ground Music;BGM)のある通話、雑音レベルの高い環境下での移動体通信や、長時間の楽音演奏などが具体例として考えられる。このようなケースでは、一般に無音区間の出現する頻度が少ないため、たとえDTX機能を用いたとしても、無音区間が出現する前に、揺らぎ吸収バッファが破綻してしまう場合がある。
【0021】
このような不具合を解消する技術として、DTX機能によらず非同期クロックを補償するためにサンプル挿入又は間引き処理を実行する音声伝送装置がある(例えば、特許文献1の図4及び図5参照)。簡単に説明すると、この装置は、揺らぎ吸収バッファや復号処理部などの音声復号装置としての標準的な構成に加え、揺らぎ吸収バッファの蓄積量を監視するバッファ蓄積量監視部やサンプル挿入又は間引き処理を実行する間引き補間部を備えている。
【0022】
その動作を簡単に説明する。
先ず、バッファ蓄積量監視部は、揺らぎ吸収バッファの蓄積量が予め設定された閾値に達したことを検出すると、当該検出結果を間引き補間部に通知する。間引き補間部では、この通知をもとに揺らぎ吸収バッファから読み出した音声データに対し、上記閾値を超えないよう音声データの間引きを実行する。このあと、バッファの蓄積量が上記閾値に達すると、バッファ蓄積量監視部によって再び間引き補間部に通知される。間引き補間部では、この通知をもとに揺らぎ吸収バッファから読み出した音声データに対し、上記閾値を下回らないよう音声データの補間を実行する。音声データを受信する間、これら間引きや補間の動作が繰り返し行われる。
【0023】
このように構成することにより、VoIPを非同期転送を行う通信網に適用して、送信側端末と受信側端末とでクロックの速度が僅かにずれているような場合であっても、揺らぎ吸収バッファのあふれなどによって生じる音声品質の劣化を回避することができる。
【0024】
【特許文献1】
特開2001―45067公報
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、音声信号サンプルに対する音声信号サンプルの挿入処理又は間引き処理(以下、サンプル挿抜処理と称する)において、処理を実行するタイミングによって音声出力信号の波形に非線形ギャップが発生する可能性があるという課題があった。
【0026】
図22を用いて具体的に説明する。図中の中段に記載した波形は、復号処理部が、揺らぎ吸収バッファから圧縮符号化データを一定のサンプリング周波数で読み出して復号した音声信号(送信信号)によるもので、図中の太線部分が当該信号波形を構成する音声信号サンプルである。受信側のクロック周波数が送信側より低い場合、送信側から受信側への送信タイミングに対して音声信号蓄積バッファからD/A変換部へのディジタル音声信号の出力タイミングを速めるために、音声信号サンプルの間引き処理が行われる。
【0027】
ここで、間引くべき音声信号サンプルの前後の時点にある音声信号サンプルの値が互いに大きく違うとき、当該間引き処理によって上記音声信号サンプル間に非線形ギャップが生じる(図中、上段の波形)。これにより、ディジタル信号からアナログ信号に変換した際に、音声波形の概形が大きく崩れてしまい、当初の音声信号波形に無い特徴的な区間が発現することになる。
【0028】
また、受信側のクロック周波数が送信側より高い場合、送信側から受信側への送信タイミングに対して音声信号蓄積バッファからD/A変換部へのディジタル音声信号の出力タイミングを遅くするために音声信号サンプルの補間処理が行われる。ここで、音声信号サンプルの補間は、例えば挿入すべき時点の直前にある音声信号サンプルと同一値のサンプルを挿入する(前値補間処理)ものとする。この場合、当該補間処理によって当初の波形にないサンプルが連続する区間が音声信号波形に生じる(図中、下段の波形)ため、ディジタル信号からアナログ信号に変換した際に、音声波形の概形が大きく崩れてしまい、当初の音声信号波形に無い特徴的な区間が発現することになる。
【0029】
このような非線形ギャップなどは、復元した音声中におけるクリック音などの雑音を発生する要因となる。また、サンプル挿抜処理を実行する頻度によって、当該非線形ギャップに起因するクリック音が発生する頻度が高まるため聴感上耳障りともなる。
【0030】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、送受信側でクロック同期がとれない場合であっても、音声品質の劣化、特にサンプル挿抜処理によるクリック音の発生を極力抑えることができ、且つ長時間の連続音声の伝送を簡便に実現することができる音声復号装置を得ることを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る音声復号装置は、受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部と、復号処理部が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラと、アップサンプリングされた音声信号を構成する音声信号サンプル系列に対して、音声信号サンプルの挿入又は間引きを実行する挿抜処理部と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じて挿抜処理部が実行すべき処理として音声信号サンプルの挿入又は間引きのいずれかを選択する制御処理部とを備えるものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による音声復号装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態1による音声復号装置は、パケット分解部1、パケット廃棄監視部2、揺らぎ吸収バッファ3、復号処理部4、アップサンプラ5、低域通過フィルタ(LPF)6、音声信号蓄積バッファ7、D/A変換部8、受話器9、クロックスリップ制御処理部(制御処理部)10、サンプル挿抜処理部(挿抜処理部)11及びクロック源12から構成される。パケット分解部1は、インターネットAなどの通信網の伝送路から受信したIPパケットを分解し、音声符号化データを抽出して揺らぎ吸収バッファ3に入力する。この間、パケット廃棄監視部2は、パケットのシリアル番号を監視することで上記通信網上におけるパケット廃棄の有無を検出し、未着パケットがあれば廃棄情報を復号処理部4に通知する。復号処理部4は、所定のアルゴリズムに基づき高能率に圧縮符号化された符号化データ系列を、揺らぎ吸収バッファ3から入力して音声信号に復号する。
【0033】
アップサンプラ5は、復号処理部4が復号した音声信号について当初のサンプリング周波数より高い周波数で再サンプリングする、いわゆるアップサンプリングを実行する。図示の例では、8kHzのサンプリング周波数でサンプリングされた音声信号を48kHzでサンプリングされた音声信号に変換する。低域通過フィルタ6は、アップサンプラ5がアップサンプリングした信号の高域周波数成分を除去して音声信号蓄積バッファ7に出力する。音声信号蓄積バッファ7では、低域通過フィルタ6から出力されるディジタル音声信号(以下、信号Aと称する)を一時的に蓄積する。D/A変換部8は、音声信号蓄積バッファ7から出力されたディジタル音声信号(以下、信号Bと称する)をアナログ信号に変換して受話器9に出力する。受話器9では、アナログ音声信号から音声信号として送信されてきた音声を再生し出力する。
【0034】
クロックスリップ制御処理部10は、図に示すように、通算受信パケットカウンタ13、挿抜周期計算部14及びクロックカウンタ15から構成される。この挿抜周期計算部14は、通算受信パケットカウンタ13がカウントした受信パケット数、及びクロックカウンタ15がカウントしたクロック源12のカウント数に基づいて、復号処理部4に復号処理制御命令を出力し、又は、サンプル挿抜処理部11に対して音声サンプルの補間処理又は間引き処理命令を出力する。なお、復号処理部4、アップサンプラ5、低域通過フィルタ6、D/A変換部8、クロックスリップ制御処理部10及びサンプル挿抜処理部11は、同一のクロック源12により生成されるタイミング信号に同期して動作するものとする。
【0035】
次に動作について説明する。
先ず、パケット分解部1は、インターネットAなどの通信網を介して送信側から伝送されてきたIPパケットを受信して、当該IPパケット中から圧縮音声符号化データを抽出する。ここで、従来の音声復号装置と同様に、伝送遅延揺らぎの吸収、つまり、後続のパケットの到着時間のばらつきを調節するために、パケット分解部1が抽出した圧縮符号化データ系列を揺らぎ吸収バッファ3に一時的に格納する。揺らぎ吸収バッファ3では、蓄積した順で出力を行う、いわゆるFIFO型の構造を有しており、復号処理部4が読み出した圧縮符号化データから順次廃棄される。これによって、伝送遅延揺らぎを吸収するための待ち合わせ、即ち後続パケットとの到着間隔のばらつきが調整される。復号処理部4は、クロック源12により生成されたタイミング信号にて起動し、揺らぎ吸収バッファ3から所定の圧縮の符号化データを読出して音声信号を復号する。
【0036】
この復号処理は、VoIPでよく用いられる、例えば16kbit/s以下の低ビットレートの音声符号化方式を用いてフレーム処理を行っており、複数の音声信号サンプルが一度に復号される。具体例として、音声符号化アルゴリズムにITU−T勧告G.729準拠CS−ACELP方式(伝送速度=8kbit/s)を用いた場合、復号処理部4は10msec毎に起動して揺らぎ吸収バッファ3より10バイト(=80ビット)の圧縮符号化データを読み出し、80サンプル分の音声信号を復号してアップサンプラ5に出力する。
【0037】
アップサンプラ5では、入力した音声信号(電話帯域信号である、サンプリング周波数が8kHzのPCM(Pulse Code Modulation)信号)をアップサンプリングする。本実施の形態では、レート変換倍率が6倍に設定されていたものとし、アップサンプラ5によってサンプリング周波数が48kHzの信号に変換される。具体的な動作を説明すると、アップサンプラ5は、サンプリング周波数が8kHzの音声信号波形を構成する各音声信号サンプル間に零値のサンプルを5つずつ挿入して音声信号波形の時間間隔を1/6、即ちサンプリング周波数48kHzの信号に変換にする。アップサンプリングされた音声信号波形のスペクトルには、高周波帯域に余計な信号(折り返し歪み)が生じているので、低域通過フィルタ6で除去する。
【0038】
このあと、低域通過フィルタ6からの出力信号である信号Aは、音声信号蓄積バッファ7に入力されて所定の時間蓄積される。音声信号蓄積バッファ7にて所定時間蓄積された音声信号サンプルは、D/A変換部8に音声信号サンプルごとに信号Bとして出力される。ここで、信号Bのサンプリング周波数は、信号Aと同じ48kHzである。D/A変換部8では、音声信号蓄積バッファ7から入力した音声信号Bをディジタルからアナログに変換して受話器9に出力する。受話器9では、アナログ音声信号から音声信号として送信されてきた音声を再生し出力する。
【0039】
上述した処理において、クロックスリップ制御処理部10は、クロック源12が発生するクロック信号に基づいて、復号処理部4による圧縮符号化データの復号処理、及び、音声信号蓄積バッファ7内の音声信号に対するサンプル挿抜処理部11のサンプル挿抜処理を制御する。
【0040】
図2は図1中のクロックスリップ制御処理部の動作を示すフローチャートであり、この図に沿って詳細に説明する。
先ず、通算受信パケットカウンタ13では、復号処理部4の起動時からパケット分解部1が受信したパケット数(通算受信パケット数)をカウントし、当該カウント値を挿抜周期計算部14に逐次出力する(ステップST1)。ここで、上記通算受信パケット数には、パケット廃棄監視部2が伝送路上で消失したと推定したパケットの数も加算される。また、クロックカウンタ15は、クロック源12からのクロック信号に基づいて復号処理部4の起動時からの通算時間を計算して挿抜周期計算部14に出力する。
【0041】
挿抜周期計算部14は、通算受信パケットカウンタ13から通算受信パケット数を受信すると、予め設定されていた、パケットのペイロードサイズ、復号処理部4で用いられる符号化速度、及びサンプリング周波数を用いて通算受信サンプル数を計算する(ステップST2)。例えば、音声符号化アルゴリズムに、ITU−T勧告G.729準拠CS−ACELP方式(伝送速度=8k(bit/s)、サンプリング周波数8k(Hz))を用いており、上記通算受信パケット数をP、パケットのペイロードサイズを10バイト(=80ビット)とすると、挿抜周期計算部14は、下記式(1)に沿って通算受信サンプル数Aを算出する。
【0042】
次に、挿抜周期計算部14は、クロックカウンタ15から受信した、復号処理部4の起動時からの通算時間T(sec)を用いて、下記式(2)に沿って音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力された通算出力サンプル数Bを算出する(ステップST3)。
【0043】
続いて、挿抜周期計算部14は、通算受信サンプル数A及び通算出力サンプル数Bを用いて、下記式(3)に沿って当該装置内で不足又は過剰な状態となっているサンプル数Cを算出する(ステップST4)。
C=A−B ・・・(3)
【0044】
ここで、例えば本実施の形態1による音声復号装置のクロック周波数、つまり受信側のクロック周波数が送信側より低い場合、送信側から受信側への送信タイミングに対して、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8へのディジタル音声信号の出力タイミングが追いつかず、当該装置内で音声信号サンプルが過剰な状態になる。従って、上述したCの値は、正となる。一方、受信側のクロック周波数が送信側より高い場合、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8へのディジタル音声信号の出力タイミングに対して、送信側から受信側への送信タイミングが追いつかず、当該装置内で音声信号サンプルが不足した状態になる。従って、上述したCの値は、負となる。
【0045】
このあと、挿抜周期計算部14は、不足/過剰サンプル数Cを用いて、下記式(4)に沿ってサンプル挿抜処理を実行する挿抜周期Tieを算出する(ステップST5)。このとき、周期Tieが正の値であると、|Tie|(sec)の周期でサンプル間引き処理を実行すべき旨を通知する間引き処理命令を生成し、負の値であると、|Tie|(sec)の周期でサンプル補間処理を実行すべき旨を通知する補間処理命令を生成する。
Tie=C/T/n ・・・(4)
但し、Tは復号処理部4の起動時からの通算時間(sec)であり、nはアップサンプラ5のサンプリングレート変換比である(n;整数)。
【0046】
挿抜周期計算部14は、上述のようにして挿抜周期Tieとクロックカウンタ15からの通算時間とに基づいて生成した間引き処理命令又は補間処理命令をサンプル挿抜処理部11に出力する(ステップST6)。続いて、挿抜周期計算部14は、サンプル挿抜処理部11への間引き処理命令又は補間処理命令の出力回数に基づいて復号処理制御命令を生成し復号処理部4に出力する(ステップST7)。この復号処理制御命令に従って復号処理部4が圧縮符号化データの復号処理を実行することで揺らぎ吸収バッファ3内の圧縮符号化データの蓄積量が一定に保たれる。
【0047】
ここで、サンプル挿抜処理部11は、補間処理命令を入力すると、音声信号蓄積バッファ7に蓄積されている最新の音声信号サンプルを繰り返し補間する処理を実行し、間引き処理命令を入力すると、音声信号蓄積バッファ7に蓄積されている最新の音声信号サンプルを削除(間引く)する処理を実行する。このとき、アップサンプラ5におけるサンプリングレート変換比をn(n;整数)とすると、オリジナルの復号音声信号(復号処理部4からの出力信号)に対して1/nサンプル間隔分の補間又は間引き処理を行ったのと同じ効果が得られる。以下に詳細に説明する。
【0048】
先ず、図3を用いてサンプル挿抜処理部11によるサンプル挿抜処理を説明する。図において、中段の信号波形が低域通過フィルタ6からの信号Aの波形を示し、上段の信号波形が受信側のクロック周波数が送信側より低い場合における音声信号蓄積バッファ7からの出力信号Bに相当し、下段の信号波形が受信側のクロック周波数が送信側より高い場合における上記信号Bに相当する。また、各波形中に太線で示した部分は、アップサンプラ5によるアップサンプリング前の音声信号サンプルを示している。さらに、各波形中で破線で示した部分は、アップサンプリングによって挿入された零値のサンプル位置を示している。
【0049】
図示の例では、アップサンプラ5のサンプリングレート変換比が6の場合を示しており、8kHzのサンプリング周波数のPCM信号が、6倍の48kHzのサンプリング周波数に変換されている。つまり、サンプリング周波数8kHzの音声信号波形を構成する各音声信号サンプル(太線部分に対応する)間に零値のサンプル(破線部分に対応する)が5つずつ挿入されて時間間隔が1/6となっている。
【0050】
上述したように、挿抜周期計算部14は、挿抜周期Tieが正値であると間引き処理命令を生成し、負値であると補間処理命令を生成してサンプル挿抜処理部11に出力する。ここで、挿抜周期Tieは、上記式(4)よりサンプリングレート変換比の逆数1/nに比例する。これより、サンプル挿抜処理部11は、1/nサンプル間隔ごとに挿抜周期計算部14から間引き処理命令又は補間処理命令を入力する。
【0051】
従って、サンプル挿抜処理部11は、受信側のクロック周波数が送信側より低い場合、挿抜周期Tieが正値となって挿抜周期計算部14から間引き処理命令を受信し、当初の音声信号サンプル間隔に対して1/nサンプル間隔分の間引き処理が実行される。図中の上段に示す波形では、アップサンプリング前からの音声信号サンプル間隔に対して1/6サンプル間隔分の間引処理が実行されて、零値のサンプル(破線部分)が4つになっている。
【0052】
一方、受信側のクロック周波数が送信側より高い場合、サンプル挿抜処理部11は、挿抜周期Tieが負値となって挿抜周期計算部14から補間処理命令を受信しており、当初の音声信号サンプル間隔に対して1/nサンプル間隔分(図示の例では、1/6サンプル間隔分)の補間処理が実行される。図中の下段に示す波形では、アップサンプリング前からの音声信号サンプルに対して前値補間処理が実行されて当該音声信号サンプル間の零値のサンプル数が6つになっている。
【0053】
このように、本実施の形態1による音声復号装置では、アップサンプリングした信号に対して、アップサンプリング前の音声信号サンプル間隔の1/nサンプル間隔分のサンプル挿抜処理を実行する。このため、図3に示すように、図22に示した従来の処理内容と比較して本実施の形態1による音声復号装置から出力される音声信号波形の非線形ギャップ幅が大幅に小さくなっている。
【0054】
次に復号処理制御命令を受けた復号処理部4の処理を説明する。
音声符号化アルゴリズムとして、ITU−T勧告G.729準拠CS−ACELP方式(フレーム長=10msec=80サンプル)を用いた場合を例に挙げる。受信側のクロック周波数が送信側より低い場合、挿抜周期計算部14は、サンプル間引き回数80×n回ごとに復号処理制御命令を復号処理部4に出力する。例えば、復号処理制御命令が2フレームの圧縮符号化データの復号処理を実行する旨の命令であるとする。
【0055】
このとき、復号処理部4は、1回の起動で一度に2フレーム(20バイト)分の圧縮符号化データを揺らぎ吸収バッファ3から読み出し、2フレーム(=160サンプル)分の音声信号を復号してアップサンプラ5に出力する。これにより、受信側のクロック周波数が送信側より低い場合であっても、揺らぎ吸収バッファ3内の圧縮符号化データの残量を一定に保つことができる。
【0056】
また、受信側のクロック周波数が送信側より高い場合、挿抜周期計算部14は、サンプル挿入回数80×n回ごとに復号処理制御命令(復号処理のスキップ命令)を復号処理部4に出力する。このとき、復号処理部4が起動しても処理自体をスキップする、即ち揺らぎ吸収バッファ3からの読み出しが0バイトとなる。従来では受信側のクロック周波数が送信側より高い場合、揺らぎ吸収バッファ3の残量が枯渇傾向となっていたが、上述のように復号処理を制御することで、揺らぎ吸収バッファ3内の圧縮符号化データの残量を一定に保つことができる。
【0057】
以上のように、この実施の形態1によれば、受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部4と、復号処理部4が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラ5と、アップサンプリングされた信号を構成する音声信号サンプル系列に対して音声信号サンプルの挿入又は間引きを実行するサンプル挿抜処理部11と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じてサンプル挿抜処理部11が実行すべき処理として音声信号サンプルの挿入又は間引きのいずれかを選択するクロックスリップ制御処理部10とを備え、クロックスリップ制御処理部10が、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、送信側との間で伝送同期がとれておらず、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、サンプル挿抜処理部が実行すべき処理として音声信号サンプルの間引き処理を選択し、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、サンプル挿抜処理部が実行すべき処理として音声信号サンプルの挿入処理を選択するので、送受信側で動作クロックの同期がとれていない場合であっても、音声信号波形の概形を大きく崩さずに音声信号を復号することができる。これにより、揺らぎ吸収バッファ3の破綻による異音などの耳障りな雑音の発生を抑圧することができる。
【0058】
また、アップサンプリングされた信号に対してサンプル挿抜処理を実行することから、当該処理によって音声信号波形に生じる非線形ギャップを小さくすることができ、これに起因するクリック音を緩和することができる。これにより、従来と比較してより高品質な音声を再生することができる。
【0059】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2による音声復号装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態による音声復号装置は、上記実施の形態1と基本的な構成は同一であるが、サンプル挿抜処理部11の代わりに、アップサンプラ5のサンプリングレート変換比を制御するサンプリングレート制御部(倍率変更部)16を設けた点で異なる。サンプリングレート制御部16は、クロックスリップ制御処理部10からの音声サンプルの補間処理命令又は間引き処理命令を受け、アップサンプラ5に対してサンプリングレート変換比を制御する。なお、図1と同一若しくはこれに相当する構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0060】
次に動作について説明する。
先ず、パケット分解部1は、インターネットAなどの通信網を介して送信側から伝送されてきたIPパケットを受信して、当該IPパケット中から圧縮音声符号化データを抽出する。ここで、従来の音声復号装置と同様に、伝送遅延揺らぎの吸収、つまり、後続のパケットの到着時間のばらつきを調節するために、パケット分解部1が抽出した圧縮符号化データ系列を揺らぎ吸収バッファ3に一時的に格納する。復号処理部4は、クロック源12により生成されたタイミング信号にて起動し、揺らぎ吸収バッファ3から所定の圧縮の符号化データを読出して音声信号を復号する。ここまでの処理は、上記実施の形態1と同様である。
【0061】
ここで、クロックスリップ制御処理部10は、復号処理部4の起動時から受信した通算のパケット数及び起動時からの通算時間を求め、これらを用いて上記実施の形態1と同様に上記式(4)により1/nサンプル間隔ごとに補間処理命令又は間引き処理命令を生成しサンプリングレート制御部16に出力する。サンプリングレート制御部16では、クロックスリップ制御処理部10から受信した補間処理命令又は間引き処理命令に基づいてサンプリングレート変換比を算出しアップサンプラ5に通知・設定する。以下、当該一連の動作を図5及び図6を用いて詳細に説明する。
【0062】
受信側のクロック周波数が送信側より高い場合(図5を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して送信側から受信する音声符号化データの数が不足となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従って、クロックスリップ制御処理部10は、音声信号サンプルの補間処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0063】
ここで、補間処理命令の出力がない場合、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比をn倍(図4の例ではn=6)としてアップサンプラ5に通知・設定する。アップサンプラ5では、復号処理部4から入力した音声信号(以下、音声信号Cと称する)を、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比nでアップサンプリング処理を実行して処理後の信号(以下、音声信号Dと称する)を低域通過フィルタ6に出力する。
【0064】
一方、クロックスリップ制御処理部10から補間処理命令を受けると、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を例えば(n+1)倍(図4の例では、7倍)としてアップサンプラ5に通知・設定する。アップサンプラ5では、復号処理部4から入力した音声信号Cを、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比(n+1)でアップサンプリング処理を実行して処理後の音声信号Dを低域通過フィルタ6に出力する。
【0065】
この操作によって、図5に示すように、音声信号Dの波形中のn(=6)倍で零補間された区間では音声信号サンプル間に零値のサンプルが5つ挿入され、n+1(=7)倍で零補間された区間では音声信号サンプル間に零値のサンプルが6つ挿入される。このあと、低域通過フィルタ6では、当該音声信号Dに対して音声信号Cが常にn倍でアップサンプリング処理されたものとしてフィルタリング処理を実行する。
【0066】
これにより、低域通過フィルタ6からの出力信号(以下、音声信号Eと称する)は、図5に示すように、(n+1)倍で補間された区間について時間伸長された波形を得ることができる。従って、1回の補間処理命令によって音声信号Cに対して1/nサンプル間隔分のサンプル挿入処理を実行したのと同じ効果が得られる。
【0067】
また、受信側のクロック周波数が送信側より低い場合(図6を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して送信側から受信する音声符号化データの数が過剰となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従って、クロックスリップ制御処理部10は、サンプル間引き処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0068】
ここで、間引き処理命令の出力がない場合、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比をn倍(図4の例ではn=6)としてアップサンプラ5に通知・設定する。アップサンプラ5では、復号処理部4から入力した音声信号Cを、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比nでアップサンプリング処理を実行して処理後の音声信号を音声信号Dとして低域通過フィルタ6に出力する。
【0069】
一方、クロックスリップ制御処理部10から間引き処理命令を受けると、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を(n−1)倍(図4の例では、5倍)としてアップサンプラ5に通知・設定する。アップサンプラ5では、復号処理部4から入力した音声信号Cを、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比(n−1)でアップサンプリング処理を実行して処理後の音声信号Dを低域通過フィルタ6に出力する。
【0070】
この操作によって、図6に示すように、音声信号Dの波形中のn(=6)倍で零補間された区間では音声信号サンプル間に零値のサンプルが5つ挿入され、n−1(=5)倍で零補間された区間では音声信号サンプル間に零値のサンプルが4つ挿入される。このあと、低域通過フィルタ6では、当該音声信号Dに対して音声信号Cが常にn倍でアップサンプリング処理されたものとしてフィルタリング処理を実行する。
【0071】
このため、低域通過フィルタ6からの出力信号である音声信号Eは、図6に示すように、(n−1)倍で補間された区間について時間軸圧縮された波形を得ることができる。これにより、1回の間引き処理命令により音声信号Cに対して1/nサンプル間隔分のサンプル間引き処理を実行したのと同じ効果が得られる。
【0072】
上述のようにして得られた音声信号Eは、音声信号蓄積バッファ7に入力され、所定の時間蓄積される。音声信号蓄積バッファ7にて所定時間が経過した音声信号サンプルは、D/A変換部8に音声信号サンプルごとに出力される。D/A変換部8では、入力したディジタル音声信号をアナログ信号に変換した後、受話器9に出力する。受話器9は、入力したアナログ音声信号にて音声を再生する。なお、クロックスリップ制御処理部10内の挿抜周期計算部14が、上記実施の形態1と同様にして、復号処理部4に復号処理制御命令を出力することにより、揺らぎ吸収バッファ3における圧縮符号化データの残量を一定に保つことができる。
【0073】
以上のように、この実施の形態2によれば、受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部4と、復号処理部4が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラ5と、アップサンプラ5のサンプリングレート変換倍率を変更するサンプリングレート制御部16と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じてサンプリングレート制御部16にサンプリングレート変換倍率を変更させるクロックスリップ制御処理部10とを備え、クロックスリップ制御処理部10が、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、送信側との間で伝送同期がとれておらず、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、サンプリングレート制御部16にアップサンプラの変換倍率を上昇させ、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、サンプリングレート制御部16にアップサンプラの変換倍率を下降させるので、送受信側で動作クロックの同期がとれていない場合であっても、音声信号波形の概形を大きく崩さずに音声信号を復号することができる。これにより、揺らぎ吸収バッファ3の破綻による異音などの耳障りな雑音の発生を抑圧することができる。
【0074】
また、サンプル挿抜処理と同様な効果が得られるようにサンプリングレート変換比を変更しながらアップサンプリングすることから、当該処理によって音声信号波形に生じる非線形ギャップを小さくすることができ、これに起因するクリック音を緩和することができる。これにより、従来と比較してより高品質な音声を再生することができる。
【0075】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3による音声復号装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態による音声復号装置は、上記実施の形態2と基本的な構成は同一であるが、低域通過フィルタ6と音声信号蓄積バッファ7との間にダウンサンプラ17を設けた点で異なる。ダウンサンプラ17は、アップサンプラ5がアップサンプリングした信号をより低い周波数で再サンプリングする。本実施の形態の場合、復号された音声信号の帯域を維持するために、アップサンプラ5のサンプリングレート変換比をnとすると、ダウンサンプラ17のサンプリングレート変換比mは、1/nと等しいか、若しくはより大きい値に設定する。以下では、例えばダウンサンプラ17のサンプリングレート変換比を1/nとした場合について説明している。なお、図1及び図4と同一若しくはこれに相当する構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0076】
次に動作について説明する。
先ず、パケット分解部1は、インターネットAなどの通信網を介して送信側から伝送されてきたIPパケットを受信して、当該IPパケット中から圧縮音声符号化データを抽出する。ここで、従来の音声復号装置と同様に、伝送遅延揺らぎの吸収、つまり、後続のパケットの到着時間のばらつきを調節するために、パケット分解部1が抽出した圧縮符号化データ系列を揺らぎ吸収バッファ3に一時的に格納する。復号処理部4は、クロック源12により生成されたタイミング信号にて起動し、揺らぎ吸収バッファ3から所定の圧縮の符号化データを読出して音声信号を復号する。
【0077】
ここで、クロックスリップ制御処理部10は、復号処理部4の起動時から受信した通算のパケット数及び起動時からの通算時間を求め、これらを用いて上記実施の形態1と同様に上記式(4)により1/nサンプル間隔ごとに補間処理命令又は間引き処理命令を生成してサンプリングレート制御部16に出力する。サンプリングレート制御部16では、クロックスリップ制御処理部10から受信した補間処理命令又は間引き処理命令に基づいてサンプリングレート変換比を算出しアップサンプラ5に通知・設定する。以下、当該一連の動作を図8及び図9を用いて詳細に説明する。
【0078】
受信側のクロック周波数が送信側より高い場合(図8を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して送信側から受信する音声符号化データの数が不足となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従って、クロックスリップ制御処理部10は、音声信号サンプルの補間処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0079】
ここで、補間処理命令の出力がない場合、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比をn倍(図7の例ではn=6)としてアップサンプラ5に通知・設定する。アップサンプラ5では、復号処理部4から入力した音声信号Cを、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比nでアップサンプリング処理を実行し、音声信号Dとして低域通過フィルタ6に出力する。
【0080】
一方、クロックスリップ制御処理部10から補間処理命令を受けると、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を例えば(n+1)倍(図7の例では、7倍)としてアップサンプラ5に通知・設定する。アップサンプラ5では、復号処理部4から入力した音声信号Cに対して、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比(n+1)でアップサンプリング処理を実行し、音声信号Dとして低域通過フィルタ6に出力する。
【0081】
この操作によって、図8に示すように、音声信号Dの波形中のn(=6)倍で零補間された区間では音声信号サンプル間に零値のサンプルが5つ挿入され、n+1(=7)倍で零補間された区間では音声信号サンプル間に零値のサンプルが6つ挿入される。このあと、低域通過フィルタ6では、当該音声信号Dに対して音声信号Cが常にn倍でアップサンプリング処理されたものとしてフィルタリング処理を実行する。
【0082】
これにより、低域通過フィルタ6からの出力信号である音声信号Eは、図8に示すように、(n+1)倍で補間された区間について時間伸長された波形を得ることができる。従って、1回の補間処理命令によって音声信号Cに対して1/nサンプル間隔分のサンプル挿入処理を実行したのと同じ効果が得られる。
【0083】
低域通過フィルタ6から出力された音声信号Eは、ダウンサンプラ17に入力される。ダウンサンプラ17では、音声信号Eに対してサンプリングレート変換比1/n(図7の例では、1/6倍)でダウンサンプリングを実行する。例えば、図8に示すように、サンプリング周波数が48kHzの音声信号Eの波形を構成する各音声信号サンプル間に挿入されていた零値のサンプルを5つずつ間引きして音声信号波形の時間間隔を6倍、即ちサンプリング周波数8kHzの音声信号Fに変換にされる。
【0084】
また、受信側のクロック周波数が送信側より低い場合(図9を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して送信側から受信する音声符号化データの数が過剰となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従って、クロックスリップ制御処理部10は、サンプル間引き処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0085】
間引き処理命令の出力がない場合、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比をn倍(図7の例ではn=6)としてアップサンプラ5に通知・設定する。アップサンプラ5では、復号処理部4から入力した音声信号Cに対して、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比nでアップサンプリング処理を実行し、音声信号Dとして低域通過フィルタ6に出力する。
【0086】
一方、クロックスリップ制御処理部10から間引き処理命令を受けると、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を(n−1)倍(図7の例では、5倍)としてアップサンプラ5に通知・設定する。アップサンプラ5では、復号処理部4から入力した音声信号Cに対して、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比(n−1)でアップサンプリング処理を実行し、音声信号Dとして低域通過フィルタ6に出力する。
【0087】
この操作によって、図9に示すように、音声信号Dの波形中のn(=6)倍で零補間された区間では音声信号サンプル間に零値のサンプルが5つ挿入され、n−1(=5)倍で零補間された区間では音声信号サンプル間に零値のサンプルが4つ挿入される。このあと、低域通過フィルタ6では、当該音声信号Dに対して音声信号Cが常にn倍でアップサンプリング処理されたものとしてフィルタリング処理を実行する。
【0088】
このため、低域通過フィルタ6からの出力信号である音声信号Eは、図9に示すように、(n−1)倍で補間された区間について時間軸圧縮された波形を得ることができる。これにより、1回の間引き処理命令で音声信号Cに対して1/nサンプル間隔分のサンプル間引き処理を実行したのと同じ効果が得られる。
【0089】
低域通過フィルタ6から出力された音声信号Eは、ダウンサンプラ17に入力される。ダウンサンプラ17では、音声信号Eに対してサンプリングレート変換比1/n(図7の例では、1/6倍)でダウンサンプリングを実行する。例えば、図9に示すように、サンプリング周波数が48kHzの音声信号Eの波形を構成する各音声信号サンプル間に挿入されていた零値のサンプルを5つずつ間引きして音声信号波形の時間間隔を6倍、即ちサンプリング周波数8kHzの音声信号Fに変換にされる。
【0090】
上述のようにして得られた音声信号Fは、音声信号蓄積バッファ7に入力され、所定の時間蓄積される。音声信号蓄積バッファ7にて所定時間が経過した音声信号サンプルは、D/A変換部8に音声信号サンプルごとに出力される。D/A変換部8では、入力したディジタル音声信号をアナログ信号に変換した後、受話器9に出力する。受話器9は、入力したアナログ音声信号にて音声を再生する。なお、クロックスリップ制御処理部10内の挿抜周期計算部14が、上記実施の形態1と同様にして、復号処理部4に復号処理制御命令を出力することにより、揺らぎ吸収バッファ3における圧縮符号化データの残量を一定に保つことができる。
【0091】
以上のように、この実施の形態3によれば、受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部4と、復号処理部4が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラ5と、アップサンプラ5のサンプリングレート変換倍率を変更するサンプリングレート制御部16と、アップサンプラ5がアップサンプリングした信号をダウンサンプリングするダウンサンプラ17と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じてサンプリングレート制御部16にサンプリングレート変換倍率を変更させるクロックスリップ制御処理部10とを備え、クロックスリップ制御処理部10が、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、送信側との間で伝送同期がとれておらず、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、サンプリングレート制御部16にアップサンプラの変換倍率を上昇させ、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、サンプリングレート制御部16にアップサンプラの変換倍率を下降させるので、送受信側で動作クロックの同期がとれていない場合であっても、音声信号波形の概形を大きく崩さずに音声信号を復号することができる。これにより、揺らぎ吸収バッファ3の破綻による異音などの耳障りな雑音の発生を抑圧することができる。
【0092】
また、サンプル挿抜処理と同様な効果が得られるようにサンプリングレート変換比を変更しながらアップサンプリングすることから、当該処理によって音声信号波形に生じる非線形ギャップを小さくすることができ、これに起因するクリック音を緩和することができる。これにより、従来と比較してより高品質な音声を再生することができる。
【0093】
さらに、ダウンサンプラ17を設けたことで、D/A変換部8が内蔵するD/Aコンバータとしてサンプリングレートが低速のものを使用することができることから、本発明を適用するために必要なコストを低減させることができる。
【0094】
実施の形態4.
図10はこの発明の実施の形態4による音声復号装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態による音声復号装置は、上記実施の形態3と基本的な構成は同一であるが、サンプリングレート制御部16がダウンサンプラ17に対してサンプリングレート変換比の制御信号を通知・設定し、この制御信号に従ってダウンサンプラ17がダウンサンプリングレートを変更する点で異なる。この他、図3と同一若しくはこれに相当する構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0095】
次に動作について詳細に説明する。
先ず、パケット分解部1は、インターネットAなどの通信網を介して送信側から伝送されてきたIPパケットを受信して、当該IPパケット中から圧縮音声符号化データを抽出する。ここで、従来の音声復号装置と同様に、伝送遅延揺らぎの吸収、つまり、後続のパケットの到着時間のばらつきを調節するために、パケット分解部1が抽出した圧縮符号化データ系列を揺らぎ吸収バッファ3に一時的に格納する。復号処理部4は、クロック源12により生成されたタイミング信号にて起動し、揺らぎ吸収バッファ3から所定の圧縮の符号化データを読出して音声信号を復号する。
【0096】
復号処理部4が復号した音声信号Gは、アップサンプラ5に入力されて、n(n;整数)倍でアップサンプリング処理が施されて音声信号Hが得られる。この音声信号Hに対して、低域通過フィルタ6にてフィルタリング処理を行うことで、アップサンプリングによる折返し雑音成分が除去されて音声信号Iが得られる。図示の例では、アップサンプラ5のサンプリングレート変換比n=6とし、8kHzのサンプリング周波数のPCM信号である音声信号Gが、アップサンプラ5及び低域通過フィルタ6によって処理されてサンプリング周波数48kHzの音声信号Iとなっている。
【0097】
クロックスリップ制御処理部10は、復号処理部4の起動時から受信した通算のパケット数及び起動時からの通算時間を求め、これらを用いて上記実施の形態1と同様に上記式(4)により1/nサンプル間隔ごとに補間処理命令又は間引き処理命令を生成してサンプリングレート制御部16に出力する。サンプリングレート制御部16では、クロックスリップ制御処理部10から受信した補間処理命令又は間引き処理命令に基づいてサンプリングレート変換比を算出し、ダウンサンプラ17に通知・設定する。以下、当該一連の動作を図11及び図12を用いて詳細に説明する。
【0098】
受信側のクロック周波数が送信側より高い場合(図11を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して送信側から受信する音声符号化データの数が不足となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従い、クロックスリップ制御処理部10は、音声信号サンプルの補間処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0099】
ここで、補間処理命令の出力がない場合、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を1/n倍(図10の例ではn=1/6)としてダウンサンプラ17に通知・設定する。ダウンサンプラ17では、低域通過フィルタ6から入力した音声信号Iに対して、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比1/nでダウンサンプリング(1/n倍間引き)処理(図11中の音声信号Jの波形参照)を実行し、音声信号Jとして音声信号蓄積バッファ7に出力する。
【0100】
一方、クロックスリップ制御処理部10から補間処理命令を受けると、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を1/(n−1)倍(図10の例では、1/5倍)としてダウンサンプラ17に通知・設定する。ダウンサンプラ17では、低域通過フィルタ6から入力した音声信号Iに対して、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比1/(n−1)でダウンサンプリング(1/(n−1)倍間引き)処理(図11中の音声信号Iの波形参照)を実行し、音声信号Jとして音声信号蓄積バッファ7に出力する。
【0101】
このように低域通過フィルタ6からの出力である音声信号Iに対する間引き率を変え、その出力を一定のサンプリングレート(図10の例では、8k(bit/s))の信号として取り扱うことで、図11に示す音声信号Jの波形を得ることができる。従って、1回の補間処理命令によって音声信号Gに対して1/nサンプル間隔分のサンプル挿入処理を実行したのと同じ効果が得られる。
【0102】
また、受信側のクロック周波数が送信側より低い場合(図12を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して、送信側から受信する音声符号化データの数が過剰となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従い、クロックスリップ制御処理部10は、サンプル間引き処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0103】
間引き処理命令の出力がない場合、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を1/n倍(図10の例では、n=6)としてダウンサンプラ17に通知・設定する。ダウンサンプラ17では、低域通過フィルタ6から入力した音声信号Iに対して、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比1/nでダウンサンプリング(1/n倍間引き)処理(図12中の音声信号Jの波形参照)を実行し、音声信号Jとして音声信号蓄積バッファ7に出力する。
【0104】
一方、クロックスリップ制御処理部10から間引き処理命令を受けると、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を1/(n+1)倍(図10の例では、1/7倍)としてダウンサンプラ17に通知・設定する。ダウンサンプラ17では、低域通過フィルタ6から入力した音声信号Iに対して、サンプリングレート制御部16から設定されたサンプリングレート変換比1/(n+1)でダウンサンプリング(1/(n+1)倍間引き)処理(図12中の音声信号Jの波形参照)を実行し、音声信号Jとして音声信号蓄積バッファ7に出力する。 このように低域通過フィルタ6からの出力である音声信号Iに対する間引き率を変え、その出力を一定のサンプリングレート(図10の例では、8k(bit/s))の信号として取り扱うことで、図12に示す音声信号Jの波形を得ることができる。従って、1回の間引き処理命令によって音声信号Gに対して1/nサンプル間隔分のサンプル間引き処理を実行したのと同じ効果が得られる。
【0105】
上述のようにして得られた音声信号Jは、音声信号蓄積バッファ7に入力され、所定の時間蓄積される。音声信号蓄積バッファ7にて所定時間が経過した音声信号サンプルは、D/A変換部8に音声信号サンプルごとに出力される。D/A変換部8では、入力したディジタル音声信号をアナログ信号に変換した後、受話器9に出力する。受話器9は、入力したアナログ音声信号にて音声を再生する。なお、クロックスリップ制御処理部10内の挿抜周期計算部14が、上記実施の形態1と同様にして、復号処理部4に復号処理制御命令を出力することにより、揺らぎ吸収バッファ3における圧縮符号化データの残量を一定に保つことができる。
【0106】
以上のように、この実施の形態4によれば、受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部4と、復号処理部4が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラ5と、アップサンプラ5がアップサンプリングした信号をダウンサンプリングするダウンサンプラ17と、ダウンサンプラ17のサンプリングレート変換倍率を変更するサンプリングレート制御部16と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じてサンプリングレート制御部16にサンプリングレート変換倍率を変更させるクロックスリップ制御処理部10とを備え、クロックスリップ制御処理部10が、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、送信側との間で伝送同期がとれておらず、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、サンプリングレート制御部16にダウンサンプラ17の変換倍率を下降させ、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、サンプリングレート制御部16にダウンサンプラ17の変換倍率を上昇させるので、送受信側で動作クロックの同期がとれていない場合であっても、音声信号波形の概形を大きく崩さずに音声信号を復号することができる。これにより、揺らぎ吸収バッファ3の破綻による異音などの耳障りな雑音の発生を抑圧することができる。
【0107】
また、サンプル挿抜処理と同様な効果が得られるようにサンプリングレート変換比を変更しながらダウンサンプリングすることから、当該処理によって音声信号波形に生じる非線形ギャップを小さくすることができ、これに起因するクリック音を緩和することができる。これにより、従来と比較してより高品質な音声を再生することができる。
【0108】
さらに、ダウンサンプラ17を設けたことで、D/A変換部8が内蔵するD/Aコンバータとしてサンプリングレートが低速のものを使用することができることから、本発明を適用するために必要なコストを低減させることもできる。
【0109】
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5による音声復号装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態による音声復号装置は、上記実施の形態3と基本的な構成は同一であるが、サンプリングレート制御部16の制御信号によって適宜切り替えられる切替スイッチ18,19、及び、低域通過フィルタ6における伝送遅延を補償するための遅延バッファ20を設けた点で異なる。また、以降の説明において、ダウンサンプラ17のサンプリングレート変換比は、1/n(n;整数)に固定されているものとする。この他、図3と同一若しくはこれに相当する構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0110】
次に動作について詳細に説明する。
先ず、パケット分解部1は、インターネットAなどの通信網を介して送信側から伝送されてきたIPパケットを受信して、当該IPパケット中から圧縮音声符号化データを抽出する。ここで、従来の音声復号装置と同様に、伝送遅延揺らぎの吸収、つまり、後続のパケットの到着時間のばらつきを調節するために、パケット分解部1が抽出した圧縮符号化データ系列を揺らぎ吸収バッファ3に一時的に格納する。復号処理部4は、クロック源12により生成されたタイミング信号にて起動し、揺らぎ吸収バッファ3から所定の圧縮の符号化データを読出して音声信号を復号する。以下、復号処理部4から出力された復号音声信号を、音声信号Kと称する。
【0111】
クロックスリップ制御処理部10では、復号処理部4の起動時から受信した通算のパケット数及び起動時からの通算時間を求めて、これにより補間処理命令又は間引き処理命令を生成しサンプリングレート制御部16に出力する。当該動作を詳細に説明すると、先ず、クロックスリップ制御処理部10内の通算受信パケットカウンタ13が、復号処理部4の起動時からパケット分解部1が受信したパケット数(通算受信パケット数)をカウントし、当該カウント値を挿抜周期計算部14に逐次出力する。
【0112】
ここで、上記通算受信パケット数は、パケット廃棄監視部2が伝送路上で消失したと推定したパケットの数も加算される。また、クロックカウンタ15は、クロック源12からのクロック信号に基づいて、復号処理部4の起動時からの通算時間を計算して挿抜周期計算部14に出力する。
【0113】
挿抜周期計算部14では、通算受信パケットカウンタ13から通算受信パケット数を受信すると、予め設定されていた、パケットのペイロードサイズ、復号処理部4で用いられる符号化速度、及びサンプリング周波数を用いて通算受信サンプル数を計算する。
【0114】
ここで、上記実施の形態1と同様に、例えば音声符号化アルゴリズムにITU−T勧告G.729準拠CS−ACELP方式(伝送速度=8k(bit/s)、サンプリング周波数8k(Hz))を用い、上記通算受信パケット数をP、パケットのペイロードサイズを10バイト(=80ビット)とすると、挿抜周期計算部14は、上記実施の形態1にて示した式(1)に沿って通算受信サンプル数Aを算出する。
【0115】
次に、挿抜周期計算部14は、クロックカウンタ15から受信した、復号処理部4の起動時からの通算時間T(sec)を用いて、上記実施の形態1にて示した式(2)に沿って音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力された通算出力サンプル数Bを算出する。
【0116】
続いて、挿抜周期計算部14は、通算受信サンプル数A及び通算出力サンプル数Bを用いて、上記実施の形態1にて示した式(3)に沿って当該装置内で不足又は過剰な状態となっているサンプル数Cを算出する。
C=A−B
【0117】
ここで、例えば本実施の形態5による音声復号装置のクロック周波数、つまり受信側のクロック周波数が送信側より低い場合、送信側から受信側への送信タイミングに対して、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8へのディジタル音声信号の出力タイミングが追いつかず、当該装置内で音声信号サンプルが過剰な状態になる。従って、上述したCの値は、正となる。一方、受信側のクロック周波数が送信側より高い場合、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8へのディジタル音声信号の出力タイミングに対して、送信側から受信側への送信タイミングが追いつかず、当該装置内で音声信号サンプルが不足した状態になる。従って、上述したCの値は、負となる。
【0118】
このあと、挿抜周期計算部14は、不足/過剰サンプル数Cを用いて、下記式(5)に沿ってサンプル挿抜処理を実行する挿抜周期Tieを算出する。このとき、周期Tieが正の値であると、|Tie|(sec)の周期でサンプル間引き処理を実行すべき旨を通知する間引き処理命令を生成し、負の値であると、|Tie|(sec)の周期でサンプル補間処理を実行すべき旨を通知する補間処理命令を生成する。
Tie=C/T ・・・(5)
但し、Tは復号処理部4の起動時からの通算時間(sec)である。
【0119】
挿抜周期計算部14は、上述のようにして挿抜周期Tieとクロックカウンタ15からの通算時間とに基づいて生成した間引き処理命令又は補間処理命令をサンプル挿抜処理部11に出力する。続いて、挿抜周期計算部14は、サンプル挿抜処理部11への間引き処理命令又は補間処理命令の出力回数に基づいて復号処理制御命令を生成し復号処理部4に出力する。この復号処理制御命令に従って復号処理部4が圧縮符号化データの復号処理を実行することで揺らぎ吸収バッファ3内の圧縮符号化データの蓄積量が一定に保たれる。
【0120】
サンプリングレート制御部16では、クロックスリップ制御処理部10から受信した補間処理命令又は間引き処理命令に基づいてサンプリングレート変換比を算出し、アップサンプラ5に通知・設定すると共に、スイッチ18,19の動作を制御する。以下、アップサンプラ5、スイッチ18,19及びサンプリングレート制御部16の振る舞いの一例を図14及び図15を用いて詳細に説明する。
【0121】
受信側のクロック周波数が送信側より高い場合(図14を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して、送信側から受信する音声符号化データの数が不足となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従って、クロックスリップ制御処理部10は、音声信号サンプルの補間処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0122】
ここで、補間処理命令の出力がない場合(図14中の区間A及び区間Cに相当する区間)、サンプリングレート制御部16は、スイッチ18,19を制御して、スイッチ18をa側に、スイッチ19をc側に設定する。このとき、音声信号Kは、アップサンプラ5、低域通過フィルタ6及びダウンサンプラ17を介することによる信号の伝送遅延を補償するために遅延バッファ20にて遅延を掛けられるだけで音声信号蓄積バッファ7に出力される。
【0123】
一方、クロックスリップ制御処理部10から補間処理命令を受けると(図14中の区間Bに相当する区間)、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を(n+1)倍(図13の例では、7倍)としてアップサンプラ5に通知・設定すると共に、スイッチ18,19を制御して、スイッチ18をb側に、スイッチ19をd側に設定する。ここで、区間Bに相当する時間は、必ずn個のサンプルの倍数に相当する時間である必要がある。
【0124】
8kHzのサンプリング周波数の音声信号を伝送する場合において、図14の例ではn=6であるから、区間Bは、(サンプリングレート変換比n=6)/(サンプリング周波数8kHz)=0.75msecの倍数である必要がある。即ち、音声信号Kの連続するn個のサンプルをアップサンプラ5に入力する。このとき、音声信号Kは、アップサンプラ5によって(n+1)倍でアップサンプリング処理され、音声信号Lとして低域通過フィルタ6に出力される。低域通過フィルタ6では、音声信号Lの折返し歪み成分を除去し、音声信号Mとしてダウンサンプラ17に出力する。
【0125】
ダウンサンプラ17では、音声信号Mに対して1/n倍の間引き処理を行い、音声信号Nとして切り替えスイッチ19を介して音声信号蓄積バッファ7に蓄積させる。図示の例では、音声信号Mにおける区間Bについて、アップサンプラ5による(n+1)(=7)倍でのアップサンプリングによって各音声信号サンプル間に6つずつ挿入されていた零値のサンプルから、ダウンサンプラ17が5つずつ零値のサンプルを間引きする。これにより、図14に示すような音声信号Nが得られ、音声信号蓄積バッファ7に出力・蓄積される。以上の処理によって、音声信号Kの連続するn個のサンプル(図示の例では、7個のサンプル)の入力に対して、(n+1)個のサンプル(図示の例では、音声信号Nにおいて8個のサンプルになっている)が得られる。
【0126】
続いて、音声信号蓄積バッファ7では、所定時間が経過した音声信号Nを、例えば音声信号Kと同一の一定なサンプリングレートの信号としてサンプルごとにD/A変換部8へ出力する。このため、音声信号蓄積バッファ7からの出力信号である音声信号Pは、図14に示すように区間Bに関して時間伸長される。このように、1回の補間処理命令によって、非線形ギャップを生じることなく、音声信号Kに対して1サンプル間隔分のサンプル挿入処理を実行したのと同じ効果が得られることがわかる。
【0127】
また、受信側のクロック周波数が送信側より低い場合(図15を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して、送信側から受信する音声符号化データの数が過剰となる。
このため、上記実施の形態1で説明した動作に従って、クロックスリップ制御処理部10は、サンプル間引き処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0128】
間引き処理命令の出力がない場合(図15中の区間D又は区間Fに相当する区間)、サンプリングレート制御部16は、スイッチ18,19を制御して、スイッチ18をa側に、スイッチ19をc側に設定する。このとき、音声信号Kは、アップサンプラ5、低域通過フィルタ6及びダウンサンプラ17を介することによる信号の伝送遅延を補償するために遅延バッファ20にて遅延を掛けられるだけで音声信号蓄積バッファ7に出力される。
【0129】
一方、クロックスリップ制御処理部10から間引き処理命令を受けると(図15中の区間Eに相当する区間)、サンプリングレート制御部16は、サンプリングレート変換比を(n−1)倍(図13の例では、5倍)としてアップサンプラ5に通知・設定すると共に、スイッチ18,19を制御して、スイッチ18をb側に、スイッチ19をd側に設定する。ここで、区間Eに相当する時間は、必ずn個のサンプルの倍数に相当する時間である必要がある。
【0130】
8kHzのサンプリング周波数の音声信号を伝送する場合において、図15の例ではn=6であるから、区間Eは、(サンプリングレート変換比n=6)/(サンプリング周波数8kHz)=0.75msecの倍数である必要がある。即ち、音声信号Kの連続するn個のサンプルをアップサンプラ5に入力する。このとき、音声信号Kは、アップサンプラ5によって(n−1)倍でアップサンプリング処理され、音声信号Lとして低域通過フィルタ6に出力される。低域通過フィルタ6では、音声信号Lの折返し歪み成分を除去し、音声信号Mとしてダウンサンプラ17に出力する。
【0131】
ダウンサンプラ17では、音声信号Mに対して1/n倍の間引き処理を行い、音声信号Nとして切り替えスイッチ19を介して音声信号蓄積バッファ7に蓄積させる。図示の例では、音声信号Mにおける区間Eについて、アップサンプラ5による(n−1)(=5)倍でのアップサンプリングによって各音声信号サンプル間に4つずつ挿入されていた零値のサンプルから、ダウンサンプラ17が5つずつ零値のサンプルを間引きする。これにより、図15に示すような音声信号Nが得られ、音声信号蓄積バッファ7に出力・蓄積される。以上の処理によって、音声信号Kの連続するn個のサンプル(図示の例では、7個のサンプル)の入力に対して、(n−1)個のサンプル(図示の例では、音声信号Nにおいて6個のサンプルになっている)が得られる。
【0132】
続いて、音声信号蓄積バッファ7では、所定時間が経過した音声信号Nを、例えば音声信号Kと同一の一定なサンプリングレートの信号としてサンプルごとにD/A変換部8へ出力する。このため、音声信号蓄積バッファ7からの出力信号である音声信号Pは、図15に示すように区間Eに関して時間軸圧縮される。このように、1回の間引き処理命令によって音声信号Kに対して1サンプル間隔分のサンプル間引き処理を実行したのと同じ効果が得られることがわかる。
【0133】
上述のようにして得られた音声信号Pは、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に音声信号サンプルごとに出力される。D/A変換部8では、入力したディジタル音声信号をアナログ信号に変換した後、受話器9に出力する。受話器9は、入力したアナログ音声信号にて音声を再生する。
【0134】
次に復号処理制御命令を受けた復号処理部4の処理を説明する。
音声符号化アルゴリズムとして、ITU−T勧告G.729準拠CS−ACELP方式(フレーム長=10msec=80サンプル)を用いた場合を例に挙げる。受信側のクロック周波数が送信側より低い場合、挿抜周期計算部14は、サンプル間引き回数80回ごとに復号処理制御命令(2フレーム実行)を復号処理部4に出力する。
【0135】
このとき、復号処理部4は、1回の起動で一度に2フレーム(20バイト)分の圧縮符号化データを揺らぎ吸収バッファ3から読み出し、2フレーム(=160サンプル)分の音声信号を復号してアップサンプラ5に出力する。これにより、受信側のクロック周波数が送信側より低い場合であっても、揺らぎ吸収バッファ3内の圧縮符号化データの残量を一定に保つことができる。
【0136】
また、受信側のクロック周波数が送信側より高い場合、挿抜周期計算部14は、サンプル挿入回数80回ごとに復号処理制御命令(復号処理のスキップ命令)を復号処理部4に出力する。このとき、復号処理部4が起動しても処理自体をスキップする、即ち揺らぎ吸収バッファ3からの読み出しが0バイトとなる。従来では受信側のクロック周波数が送信側より高い場合、揺らぎ吸収バッファ3の残量が枯渇傾向となっていたが、上述のように復号処理を制御することで、揺らぎ吸収バッファ3内の圧縮符号化データの残量を一定に保つことができる。
【0137】
以上のように、この実施の形態5によれば、受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部4と、復号処理部4が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラ5と、アップサンプラ5のサンプリングレート変換倍率を変更するサンプリングレート制御部16と、アップサンプラ5がアップサンプリングした信号をダウンサンプリングするダウンサンプラ17と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じてサンプリングレート制御部16にサンプリングレート変換倍率を変更させるクロックスリップ制御処理部10とを備え、クロックスリップ制御処理部10が、処理対象の音声信号を一定時間の区間に区切り、アップサンプラ5及びダウンサンプラ17は、上記区間における音声信号サンプルに対してのみ、それぞれアップサンプリング及びダウンサンプリングを実行するので、送受信側で動作クロックの同期がとれていない場合であっても、音声信号波形の概形を大きく崩さずに音声信号を復号することができる。これにより、揺らぎ吸収バッファ3の破綻による異音などの耳障りな雑音の発生を抑圧することができる。
【0138】
また、サンプル挿抜処理と同様な効果が得られるようにサンプリングレート変換比を変更しながらアップサンプリングすることから、当該処理によって音声信号波形に生じる非線形ギャップを小さくすることができ、これに起因するクリック音を緩和することができる。これにより、従来と比較してより高品質な音声を再生することができる。
【0139】
さらに、音声信号波形の所定の区間に対してのみ、上記サンプル挿抜処理と同様な効果が得られる処理を実行することから、アップサンプラ5及びダウンサンプラ17を常に起動させる必要がないため、プロセッサの処理負荷を低減することができる。
【0140】
実施の形態6.
図16はこの発明の実施の形態6による音声復号装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の音声復号装置は、上記実施の形態5の構成において、アップサンプラ5、低域通過フィルタ6及びダウンサンプラ17をオーバラップ加算処理部21に置換したものである。オーバラップ加算処理部(加算処理部)21は、アップサンプリングされた信号に対するサンプル挿抜処理と同様な効果が得られるオーバラップ加算処理を実行する。この他、図13と同一又はこれに相当する構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0141】
次に動作について詳細に説明する。
先ず、パケット分解部1は、インターネットAなどの通信網を介して送信側から伝送されてきたIPパケットを受信して、当該IPパケット中から圧縮音声符号化データを抽出する。ここで、従来の音声復号装置と同様に、伝送遅延揺らぎの吸収、つまり、後続のパケットの到着時間のばらつきを調節するために、パケット分解部1が抽出した圧縮符号化データ系列を揺らぎ吸収バッファ3に一時的に格納する。復号処理部4は、クロック源12により生成されたタイミング信号にて起動し、揺らぎ吸収バッファ3から所定の圧縮の符号化データを読出して音声信号を復号する。
【0142】
クロックスリップ制御処理部10は、復号処理部4の起動時から受信した通算のパケット数及び起動時からの通算時間を求め、これらを用いて上記実施の形態1と同様に上記式(4)により1/nサンプルごとに補間処理命令又は間引き処理命令を生成しサンプリングレート制御部16に出力する。サンプリングレート制御部16では、クロックスリップ制御処理部10から受信した補間処理命令又は間引き処理命令に基づいて、オーバラップ加算処理制御指令を生成しオーバラップ加算処理部21に通知・設定すると共に、スイッチ18,19の動作を制御する。以下、サンプリングレート制御部16、スイッチ18,19及びオーバラップ加算処理部21による振る舞いの一例を図17を用いて詳しく説明する。
【0143】
受信側のクロック周波数が送信側より高い場合(図17(a)を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して送信側から受信する音声符号化データの数が不足となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従って、クロックスリップ制御処理部10は、音声信号サンプルの補間処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0144】
ここで、補間処理命令の出力がない場合(図17(a)中の音声信号波形におけるオーバラップ加算区間以外の区間)、サンプリングレート制御部16は、スイッチ18,19を制御して、スイッチ18をa側に、スイッチ19をc側に設定する。このとき、音声信号Qは、オーバラップ加算処理部21を介することによる信号の伝送遅延を補償するために遅延バッファ20にて遅延を掛けられるだけで音声信号蓄積バッファ7に出力される。
【0145】
一方、クロックスリップ制御処理部10から補間処理命令を受けると(図17中の音声信号波形におけるオーバラップ加算区間に相当する区間)、サンプリングレート制御部16は、補間処理に応じたオーバラップ加算処理を実行させるための制御命令を生成してオーバラップ加算処理部21に通知・設定すると共に、スイッチ18,19を制御して、スイッチ18をb側に、スイッチ19をd側に設定する。ここで、オーバラップ加算区間に相当する時間は、任意に設定することができる。例えば、M個(M;整数)のサンプル分の区間をオーバラップ加算区間として設定することとする。
【0146】
オーバラップ加算処理部21では、サンプリングレート制御部16から補間処理に応じた上記制御命令を受けると、処理対象として設定したオーバラップ加算区間の音声信号Q(図17(a)中の実線で表した波形Scを構成する信号)に対して1サンプル分だけ遅延した信号Q’(図17(a)中の破線で表した波形Saを構成する信号)を用意し、信号Qと信号Q’とを重み付け加算する(図17(a)参照)。
【0147】
ここで、オーバラップ加算区間におけるM個の信号をQ(0),Q(1),・・・,Q(M−1)とし、これより1サンプル分だけ遅延した信号をQ’(0),Q’(1),・・・,Q’(M−1)とすると、例えば、下記式(6)に従ってオーバラップ加算信号R(図17(a)中の太線で表した波形Sbを構成する信号)を得ることができる。
R(k)=((M−k)/M)Q(k)+(k/M)Q’(k)
k=0,1,2,・・・,M−1
R(M)=Q’(M)=Q(M−1) ・・・(6)
【0148】
このようにして、オーバラップ加算処理部21は、オーバラップ加算区間におけるM個の信号系列Q(0),Q(1),・・・,Q(M−1)について、当初の波形の概形が維持された(M+1)個の信号系列R(0),R(1),・・・,R(M)を生成し、音声信号Rとして蓄積バッファ7に出力して蓄積させる。
【0149】
音声信号蓄積バッファ7では、所定時間が経過した音声信号Rを、例えば音声信号Qと同一の一定なサンプリングレートの信号としてサンプルごとにD/A変換部8へ出力する。これにより、音声信号蓄積バッファ7からの出力信号である音声信号Sは、当初の音声信号Qにおける音声信号サンプル間隔で出力される。従って、1回の補間処理命令によって、非線形ギャップを生じることなく、音声信号Qに対して1サンプル間隔分のサンプル挿入処理を実行したのと同じ効果が得られる。
【0150】
また、受信側のクロック周波数が送信側より低い場合(図17(b)を参照)、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に出力される音声信号サンプル数に対して、送信側から受信する音声符号化データの数が過剰となる。このため、上記実施の形態1で説明した動作に従って、クロックスリップ制御処理部10は、サンプル間引き処理命令をサンプリングレート制御部16に対して間欠的に出力する。
【0151】
間引き処理命令の出力がない場合(図17(b)中の音声信号波形におけるオーバラップ加算区間以外の区間)、サンプリングレート制御部16は、スイッチ18,19を制御して、スイッチ18をa側に、スイッチ19をc側に設定する。このとき、音声信号Qは、オーバラップ加算処理部21を介することによる信号の伝送遅延を補償するために遅延バッファ20にて遅延を掛けられるだけで音声信号蓄積バッファ7に出力される。
【0152】
一方、クロックスリップ制御処理部10から間引き処理命令を受けると(図17(b)中の音声信号波形におけるオーバラップ加算区間に相当する区間)、サンプリングレート制御部16は、間引き処理に応じたオーバラップ加算処理を実行させるための制御命令を生成してオーバラップ加算処理部21に通知・設定すると共に、スイッチ18,19を制御して、スイッチ18をb側に、スイッチ19をd側に設定する。ここで、オーバラップ加算区間に相当する時間は、任意に設定することができる。上記と同様に、M個のサンプル分の区間をオーバラップ加算区間として設定することとする。
【0153】
オーバラップ加算処理部21では、サンプリングレート制御部16から間引き処理に応じた上記制御命令を受けると、処理対象として設定したオーバラップ加算区間の音声信号Q(図17(b)中の実線で表した波形Scを構成する信号)に対して1サンプル分だけ進んだ信号Q”(図17(a)中の破線で表した波形Saを構成する信号)を用意し、信号Qと信号Q”とを重み付け加算する(図17(b)参照)。
【0154】
ここで、オーバラップ加算区間におけるM個の信号をQ(0),Q(1),・・・,Q(M−1)とし、これより1サンプル分だけ進んだ信号をQ”(0),Q”(1),・・・,Q”(M−1)とすると、例えば、下記式(7)に従ってオーバラップ加算信号R(図17(b)中の太線で表した波形Sbを構成する信号)を得ることができる。
R(k)=((M−k)/M)Q(k)+(k/M)Q”(k)
k=1,2,・・・,M−1
R(M)=Q”(M)=Q(M+1) ・・・(7)
【0155】
このようにして、オーバラップ加算処理部21は、オーバラップ加算区間における(M+1)個の信号系列Q(0),Q(1),・・・,Q(M+1)について、当初の波形の概形が維持されたM個の信号系列R(0),R(1),・・・,R(M)を生成し、音声信号Rとして蓄積バッファ7に出力して蓄積させる。
【0156】
音声信号蓄積バッファ7では、所定時間が経過した音声信号Rを、例えば音声信号Qと同一の一定なサンプリングレートの信号としてサンプルごとにD/A変換部8へ出力する。これにより、音声信号蓄積バッファ7からの出力信号である音声信号Sは、当初の音声信号Qにおける音声信号サンプル間隔で出力される。従って、1回の間引き処理命令によって、非線形ギャップを生じることなく、音声信号Qに対して1サンプル間隔分のサンプル間引き処理を実行したのと同じ効果が得られる。
【0157】
上述のようにして得られた音声信号Sは、音声信号蓄積バッファ7からD/A変換部8に音声信号サンプルごとに出力される。D/A変換部8では、入力したディジタル音声信号をアナログ信号に変換した後、受話器9に出力する。受話器9は、入力したアナログ音声信号にて音声を再生する。なお、クロックスリップ制御処理部10内の挿抜周期計算部14が、上記実施の形態5と同様にして復号処理部4に復号処理制御命令を出力することにより、揺らぎ吸収バッファ3における圧縮符号化データの残量を一定に保つことができる。
【0158】
本実施の形態による音声復号装置は、上記実施の形態5の特殊形ということもできる。例えば、上記実施の形態5におけるアップサンプラ5のサンプリングレート変換比nがオーバラップ加算処理部21によって設定されたオーバラップ加算区間におけるサンプル数Mと等しく(n=M)、低域通過フィルタ6のインパルス応答が図19に示す三角波の窓関数により表現される特性を持っているものとする。ここで、図19中、Tsは音声信号K(Q)のサンプリング周期を示す。この様子を図18を用いて示す。低域通過フィルタ6のインパルス応答が、図19に示す三角波の特性を持っていることから、図13の低域通過フィルタ6の出力である音声信号Mの補間信号(図18の点線で示した信号)q(k+m/(M+1))は、ちょうど(M+1)サンプル線形補間を実施したのと同じ結果が得られるため、下記式で与えられる。
q(k+m/(M+1))
={mq(k)+(M−m+1)q(k+1)}/(M+1)
k=0,1,2,・・・,M−1、m=0,1,2,・・・,M
この後、上記実施の形態5によれば、1/M倍ダウンサンプリングを行う。ダウンサンプラ17の出力である音声信号Nの各サンプルr(k)(太線で示した信号)は、下記式で表される。
これは、上記実施の形態5によって得られた音声信号Pと図17(a)に示す音声信号Sとが全く同一の波形となることを示している。勿論、低域通過フィルタ6のインパルス応答は、図19に示される三角窓状のもの以外も扱え、窓長がサンプリング周期の2倍という条件を満たせば、あらゆる窓関数のものを本実施形態に適用することができる。
【0159】
以上のように、この実施の形態6によれば、受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部4と、復号処理部4が復号した音声信号を一定時間ごとの区間に区切り、時間的に異なる区間における音声信号波形のオーバラップ加算処理を実行して音声信号サンプルが挿入又は間引きされた音声信号を生成するオーバラップ加算処理部21と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じてオーバラップ加算処理部21に音声信号サンプルの挿入処理又は間引き処理を実行させるクロックスリップ制御処理部10とを備え、クロックスリップ制御処理部10が、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、送信側との間で伝送同期がとれておらず、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、オーバラップ加算処理部21に音声信号サンプルの間引き処理を実行させ、送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、オーバラップ加算処理部21に音声信号サンプルの挿入処理を実行させるので、送受信側で動作クロックの同期がとれていない場合であっても、音声信号波形の概形を大きく崩さずに音声信号を復号することができる。これにより、揺らぎ吸収バッファ3の破綻による異音などの耳障りな雑音の発生を抑圧することができる。
【0160】
また、アップサンプリングされた信号に対するサンプル挿抜処理と同様な効果が得られるオーバラップ加算処理を実行することから、当該処理によって音声信号波形に生じる非線形ギャップを小さくすることができ、これに起因するクリック音を緩和することができる。これにより、従来と比較してより高品質な音声を再生することができる。
【0161】
さらに、アップサンプラ5、低域通過フィルタ6、及びダウンサンプラ17の代わりに、オーバラップ加算処理という簡便な処理でサンプル挿抜処理に相当する処理を実現するため、プロセッサの処理負荷を低減させることができる。
【0162】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部と、復号処理部が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラと、アップサンプリングされた音声信号を構成する音声信号サンプル系列に対して、音声信号サンプルの挿入又は間引きを実行する挿抜処理部と、音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じて挿抜処理部が実行すべき処理として音声信号サンプルの挿入又は間引きのいずれかを選択する制御処理部とを備えたので、送受信側で動作クロックの同期がとれていない場合であっても、音声信号波形の概形を大きく崩さずに音声信号を復号することができるという効果がある。これにより、受信した音声符号化データを一時蓄積するバッファの破綻による異音などの耳障りな雑音の発生を抑圧することができるという効果がある。また、アップサンプリングされた信号に対してサンプル挿抜処理を実行することから、当該処理によって音声信号波形に生じる非線形ギャップを小さくすることができ、これに起因するクリック音を緩和することができるという効果がある。これにより、従来と比較してより高品質な音声を再生することも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による音声復号装置の構成を示すブロック図である。
【図2】クロックスリップ制御処理部の動作を示すフローチャートである。
【図3】サンプル挿抜処理を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態2による音声復号装置の構成を示すブロック図である。
【図5】受信側のクロック周波数が送信側より高い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図6】受信側のクロック周波数が送信側より低い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態3による音声復号装置の構成を示すブロック図である。
【図8】受信側のクロック周波数が送信側より高い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図9】受信側のクロック周波数が送信側より低い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態4による音声復号装置の構成を示すブロック図である。
【図11】受信側のクロック周波数が送信側より高い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図12】受信側のクロック周波数が送信側より低い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図13】この発明の実施の形態5による音声復号装置の構成を示すブロック図である。
【図14】受信側のクロック周波数が送信側より高い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図15】受信側のクロック周波数が送信側より低い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図16】この発明の実施の形態6による音声復号装置の構成を示すブロック図である。
【図17】実施の形態6の音声復号装置によるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図18】受信側のクロック周波数が送信側より高い場合におけるサンプル挿抜処理を説明する図である。
【図19】低域通過フィルタのインパルス応答の特性を示すグラフである。
【図20】蓄積バッファにおけるデータ蓄積量の経時変化を説明する図である。
【図21】無音区間の拡張又は圧縮処理を説明する図である。
【図22】従来のサンプル挿抜処理を説明する図である。
【符号の説明】
1 パケット分解部、2 パケット廃棄監視部、3 揺らぎ吸収バッファ、4復号処理部、5 アップサンプラ、6 低域通過フィルタ(LPF)、7 音声信号蓄積バッファ、8 D/A変換部、9 受話器、10 クロックスリップ制御処理部(制御処理部)、11 サンプル挿抜処理部(挿抜処理部)、12 クロック源、13 通算受信パケットカウンタ、14 挿抜周期計算部、15 クロックカウンタ、16 サンプリングレート制御部(倍率変更部)、17 ダウンサンプラ、18,19 切り替えスイッチ、20 遅延バッファ、21 オーバラップ加算処理部(加算処理部)。
Claims (10)
- 受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部と、上記復号処理部が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラと、上記アップサンプリングされた音声信号を構成する音声信号サンプル系列に対して音声信号サンプルの挿入又は間引きを実行する挿抜処理部と、上記音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じて上記挿抜処理部が実行すべき処理として音声信号サンプルの挿入又は間引きのいずれかを選択する制御処理部とを備えた音声復号装置。
- 制御処理部は、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、上記送信側との間で伝送同期がとれておらず、上記送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、挿抜処理部が実行すべき処理として音声信号サンプルの間引き処理を選択し、上記送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、上記挿抜処理部が実行すべき処理として音声信号サンプルの挿入処理を選択することを特徴とする請求項1記載の音声復号装置。
- 受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部と、上記復号処理部が復号した音声信号をアップサンプリングするアップサンプラと、上記アップサンプラのサンプリングレート変換倍率を変更する倍率変更部と、上記音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じて上記倍率変更部にサンプリングレート変換倍率を変更させる制御処理部とを備えた音声復号装置。
- 制御処理部は、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、上記送信側との間で伝送同期がとれておらず、上記送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、倍率変更部にアップサンプラの変換倍率を上昇させ、上記送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、上記倍率変更部にアップサンプラの変換倍率を下降させることを特徴とする請求項3記載の音声復号装置。
- アップサンプラがアップサンプリングした信号をダウンサンプリングするダウンサンプラを備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の音声復号装置。
- 倍率変更部は、アップサンプラの代わりに、ダウンサンプラのサンプリングレート変換倍率を変更することを特徴とする請求項5記載の音声復号装置。
- 制御処理部は、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、上記送信側との間で伝送同期がとれておらず、上記送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、倍率変更部にダウンサンプラの変換倍率を下降させ、上記送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、上記倍率変更部にダウンサンプラの変換倍率を上昇させることを特徴とする請求項6記載の音声復号装置。
- 制御処理部は、処理対象の音声信号を一定時間の区間に区切り、アップサンプラ及びダウンサンプラは、上記区間における音声信号サンプルに対してのみ、それぞれアップサンプリング及びダウンサンプリングを実行することを特徴とする請求項5から請求項7のうちのいずれか1項記載の音声復号装置。
- 受信した音声符号化データを音声信号に復号する復号処理部と、上記復号処理部が復号した音声信号を時間推移の異なる一定時間ごとの区間に区切り、異なる時間推移の区間における音声信号サンプル系列間でのオーバラップ加算処理を実行して音声信号サンプルが挿入又は間引きされた音声信号サンプル系列を生成する加算処理部と、上記音声符号化データの送信側との同期状態を検出し、当該検出結果に応じて上記加算処理部に音声信号サンプルの挿入処理又は間引き処理を実行させる制御処理部とを備えた音声復号装置。
- 制御処理部は、音声符号化データの送信側との同期状態の検出結果から、上記送信側との間で伝送同期がとれておらず、上記送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より高いと判断したとき、加算処理部に音声信号サンプルの間引き処理を実行させ、上記送信側のデータ送信クロック周波数が受信側のデータ処理クロック周波数より低いと判断したとき、上記加算処理部に音声信号サンプルの挿入処理を実行させることを特徴とする請求項9記載の音声復号装置。
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