JP2004264118A - 薄膜のその場解析方法および装置 - Google Patents

薄膜のその場解析方法および装置 Download PDF

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【課題】反応性環境下で生成するナノオーダーの薄膜を非破壊、リアルタイム、高精度で膜厚および化学構造をその場解析する方法および装置を提供する。
【解決手段】パルスレーザ源とレーザ検出器とを内蔵したプローブを、レーザパルスと同期して振動させ、該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光を該薄膜の表面に照射し且つ該薄膜からの反射レーザ光を検出することにより、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なう。また、近接場走査プローブ顕微鏡を用い、パルスレーザ源とレーザ検出器とに接続したプローブを、レーザパルスと同期して振動させ、該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光を該薄膜の表面に照射し且つ該薄膜からの反射レーザ光を検出することにより、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なう。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応性環境下にいて生成する薄膜をその場解析する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電池や金属材料等、各種材料表面における反応皮膜厚さや化学構造を非破壊かつ反応中にリアルタイムで解析するその場(in situ)解析は、種々の装置や材料を開発する上で極めて重要である。典型例として、電池電極表面に形成する皮膜は、電池性能に直接反映するため、成長中の皮膜の厚さと化学構造を解析するツールが望まれている。
【0003】
従来、このような要請に対応する方法としては、1)皮膜断面部のSEM、TEM観察による断面側長、2)皮膜の電気特性(キャパシタンス等)の測定、3)赤外線反射法等による光干渉計など、が挙げられる。
【0004】
しかし、上記従来の方法1)〜3)には下記の問題があった。
【0005】
1)破壊分析である。リアルタイムでの観察ができない。化学構造を解析できない。
【0006】
2)測定精度が悪い。化学構造を解析できない。
【0007】
3)ナノオーダー(nmレベル)の薄膜が解析できない。
【0008】
また、特許文献1(特開平2−24502号公報)には、試料表面に形成した透明薄膜に紫外光を照射し、薄膜の膜厚(10nm以下)を測定する方法が提示されている。しかしこの方法では、反応性環境下での測定については何ら考慮が払われていないうえ、化学構造の解析を行なうことができない、という問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平2−24502号公報(2頁右上欄8〜14行、3頁右下欄12〜16行)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の限界を超えて、非破壊かつリアルタイムで、ナノオーダーの薄膜に対し、精度良く、膜厚および化学構造を解析できるその場解析方法および装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1発明による方法は、反応性環境下において生成する薄膜をその場解析する方法であって、
パルスレーザ源とレーザ検出器とを内蔵したプローブを、レーザパルスと同期して振動させ、該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光を該薄膜の表面に照射し且つ該薄膜からの反射レーザ光を検出することにより、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なうことを特徴とする。
【0012】
また、第2発明による方法は、近接場走査プローブ顕微鏡を用い、反応性環境下において生成する薄膜をその場解析する方法であって、
パルスレーザ源とレーザ検出器とに接続したプローブを、レーザパルスと同期して振動させ、該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光を該薄膜の表面に照射し且つ該薄膜からの反射レーザ光を検出することにより、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なうことを特徴とする。
【0013】
第2発明の方法において、前記反応性環境としての電解液中において通電により試料表面に生成する薄膜をその場解析することができる。
【0014】
第1、第2発明において、前記光干渉による薄膜の膜厚測定には紫外光、可視光、赤外光のいずれかを用い、前記吸光分光分析による薄膜の化学構造解析には紫外光または赤外光を用いることができる。
【0015】
第1発明の方法を行なうための装置は、反応性環境下において生成する薄膜をその場解析する装置であって、
パルスレーザ源とレーザ検出器とを内蔵したプローブと、
該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光が該薄膜の表面に照射され且つ該薄膜からの反射レーザ光が検出されるように、該プローブをレーザパルスと同期して振動させる加振器と、
を備え、上記検出した反射レーザ光により、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なうことを特徴とする。
【0016】
第2発明の方法を行なうための装置は、近接場走査プローブ顕微鏡を含み、反応性環境下において生成する薄膜をその場解析する装置であって、
パルスレーザ源とレーザ検出器とに接続したプローブと、
該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光が該薄膜の表面に照射され且つ該薄膜からの反射レーザ光が検出されるように、該プローブをレーザパルスと同期して振動させる加振器と、
を備え、上記検出した反射レーザ光により、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なうことを特徴とする。
【0017】
第2発明の方法を行なうための装置においては、前記反応性環境としての電解液中において試料表面に通電する手段を更に備えることができる。
【0018】
第1、第2発明の方法を行なうための装置においては、前記パルスレーザ源およびレーザ検出器が対象とするレーザ光は、紫外光、可視光、赤外光のうち少なくともいずれか1種とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、表面に薄膜が生成した試料を溶液や雰囲気ガス等の反応性環境下に保持したままの状態で膜厚測定と化学構造解析とを引き続き行なうことができるので、非破壊でリアルタイムにその場解析することができる。
【0020】
更に、本発明の最も重要な特徴として、膜厚測定のための光干渉および化学構造分析のための吸光分光分析をパルスレーザを用いて行い、かつレーザパルスと同期させてプローブを振動させてプローブが薄膜に最近接した時にのみ薄膜にレーザ光を照射し且つ反射レーザ光を検出するようにしたので、溶液や雰囲気ガス等の反応性環境の影響を実質的に受けずに解析できる。
【0021】
そのため、本発明は、腐食分野において溶液やガス雰囲気中での腐食により生成する薄膜のその場解析や、触媒分野においてガスフロー下での触媒被毒状況のリアルタイム解析、あるいは塗装や表面処理分野において水や酸性水溶液フロー浸水時の表面劣化のリアルタイム解析、等に特に適している。
【0022】
以上は、第1、第2発明に共通の特徴であるが、更に第2発明には下記の特徴がある。
【0023】
すなわち、第1発明はパルスレーザ源とレーザ検出器とをプローブに内蔵させるため、プローブサイズが大きくなり(例えば数cmオーダー)、解析対象となる部品細部に入れ込むことが困難である。
【0024】
これに対して第2発明は、近接場走査プローブ顕微鏡(以下「近接場SPM」と略称)の探触子(プローブ)にパルスレーザ源とレーザ検出器とを接続するので、プローブ自体は小さいため、解析対象を実際の使用環境を模した反応性環境内に収めて解析することができる。更に、近接場SPMの機能により薄膜表面形態を画像化すると共に、上記のように薄膜の膜厚および化学構造の解析することができる。これにより、例えば薄膜の生成、成長過程を表面形態画像と膜厚分布画像とにより同時にリアルタイムで観察できる。
【0025】
本発明において、薄膜の膜厚測定および化学構造解析は以下のように行なう。
【0026】
<光干渉による膜厚測定>
膜厚測定用のレーザ光は、膜厚に応じて紫外光、可視光、赤外光のいずれかを用いる。特に膜厚の小さいナノオーダーの薄膜の場合には、紫外光(波長400nm以下)を用いる。
【0027】
膜厚測定のためには、薄膜に照射するレーザ光の波長を一定の範囲内で変動させることで、波数(波長の逆数)に対する反射光強度のスペクトル(分光スペクトル)を採る。この分光スペクトルは、図1に模式的に示したように複数の干渉ピークPから成り、これに基づいて公知の下記式により薄膜の膜厚Dを算出する。
【0028】
〔膜厚Dの算出式〕
D=10Δm/{2(n−sinθ)1/2(ν−ν)}
D:膜厚(μm)
n:屈折率
θ:光入射角
ν:最左端ピーク波数(cm−1
ν:最右端ピーク波数(cm−1
Δm:ν〜ν間の谷数(周波数)
図2に示すように、反射光は、薄膜表面で直接反射された光(表面反射光)と、薄膜表面から薄膜内に入り薄膜裏面(薄膜と下地との界面)で反射され再び薄膜内を通って薄膜表面から出現した光(裏面反射光)とが重なり合って構成されており、両方の反射光の光路差が波長の整数倍となる場合に反射光強度が極大となり、反射スペクトル中の対応する波数νの位置に干渉ピークが出現する。
【0029】
上記式において屈折率nは、既知のデータベースの値を用いることができる。屈折率nが、化学構造により無視できない影響を受ける場合には、本発明において吸光分光分析により求める化学構造に対応するn値を用いることができる。
【0030】
<吸光分光分析による化学構造解析>
吸光分光分析には、紫外光および/または赤外光を用いることができる。紫外光を用いれば薄膜構成物質の化学結合に関与している電子に関する情報が得られ、赤外光を用いれば化学結合している原子に関する情報が得られる。
【0031】
【実施例】
〔実施例1〕
図3に、第1発明による解析装置を用いて反応性環境中の薄膜を解析する際の配置例を模式的に示す。
【0032】
図示したプローブ10は、パルスレーザ源12とレーザ検出器14とを内蔵している。パルスレーザ源12には光ファイバ12Aが接続されており、レーザ検出器14には検出信号用コード14Aが接続されている。
【0033】
前述のように、レーザ光の種類は、光干渉による膜厚測定用には紫外光、可視光、赤外光のいずれかを用い、吸光分光分析による化学構造解析には紫外光、赤外光のいずれかを用いる。
【0034】
典型例として、パルスレーザとして紫外光すなわち紫外線パルスレーザを用いる場合は、励起光としてF、ArF、KrF、XeCl、XeF、Nレーザ等を用いる。パルス周波数としては300Hz程度が一般的である。これを光ファイバー経由でプローブ内のパルスレーザ源12に導き発光させる。
【0035】
発光されたレーザ光L0は、プローブ10の先端に設けた光学窓16を通ってプローブ10から外部へ出現し、試料Sの表面皮膜Fに照射される。表面皮膜Fからの反射光L1は再び光学窓16を通ってプローブ10の内部に入り、レーザ検出器14によって検出される。光学窓はLiFやCaF、サファイア等のような耐環境性の高い透明材料で作製されていることが望ましい。プローブ10と試料Sは溶液やガス雰囲気等の反応性環境Rに取り囲まれている。
【0036】
プローブ10は、圧電アクチュエータ等の加振器(図示せず)により、パルスレーザ発信器12から発振されるレーザのパルスと同期して振動できるようになっている。振動の向きは試料Sの表面皮膜Fに対してほぼ垂直な方向(矢印V)である。
【0037】
図4に、レーザパルスと、これに同期したプローブの振動との関係を模式的に示す。図は横軸が経過時間、縦軸がプローブ振動変位である。
【0038】
図中、上部に示した水平な断続線がレーザパルスの照射期間を表しており、波形の曲線がプローブ先端の振動変位を表している。プローブ先端が最下端すなわち表面皮膜Fに最近接したときにのみ、パルスレーザが表面皮膜Fに照射されるように同期している。
【0039】
このように、プローブ10が測定対象である皮膜Fに最近接したときにのみ光照射して膜厚測定および化学構造解析を行なうようにしたので、溶液やガス雰囲気等の反応性環境中においてその影響を受けずに皮膜成長速度や化学構造変化をリアルタイムでその場解析することができる。
【0040】
本実施例で説明したプローブ10は、パルスレーザ源12および検出器14を内蔵しているため、数cmオーダー以上のサイズが必要となる。
〔実施例2〕
図5に、第2発明により近接場SPMを適用した解析装置を用いて反応性環境中の薄膜を解析する際の配置例を模式的に示す。
【0041】
図示したプローブ20は、近接場SPMの探針として作製されており、先端には口径100nm程度の光照射用開口を備えている。プローブ20の内部を貫通する光路20Aは、先端がプローブ20の光照射用開口を構成し、後端は光ファイバー22A、24Aによりそれぞれ外部のパルスレーザ発信器22およびレーザ検出器24に接続されている。
【0042】
このようにサイズの小さいSPM用プローブを用いたことにより、解析対象を実際の模擬環境内に収めて解析を行なうことができる。
【0043】
用いるレーザ光の種類は解析対象および解析内容に応じて実施例1と同様に選択できる。
【0044】
パルスレーザ発信器22からのレーザ光は、光ファイバ22Aに導かれてプローブ20の後端に達し、プローブ20内を貫通する光路20Aを通ってプローブ20の先端から試料Sの表面皮膜Fに照射される。表面皮膜Fからの反射光はプローブ20の先端から光路20Aを通って後端から光ファイバー24Aを介してレーザ検出器24で検出される。試料Sは近接場SPMの試料変位機構28により3次元方向に変位できる。プローブ20と試料Sは溶液やガス雰囲気等の反応性環境Rに取り囲まれている。図示の例では、反応性環境Rは電解液であり、試料Sを一方の電極とし上方の電極Eを対極として、電気制御ユニット30により電流を流した際に試料Sの表面に生成する表面皮膜Fの成長をリアルタイムでその場解析できるようになっている。これは特に、電池の充放電過程において電極表面での皮膜成長過程等の有力な解析手段となる。
【0045】
プローブ20は、近接場SPMのカンチレバー26に連結されており、パルスレーザ発信器22から発振されるレーザのパルスと同期して振動できるようになっている。振動の向きは試料Sの表面皮膜Fに対してほぼ垂直な方向(矢印V)である。
【0046】
実施例1と同様に、図4に示したようにプローブ20をレーザパルスと同期振動させることにより、プローブ10が測定対象である皮膜Fに最近接したときにのみ光照射して膜厚測定および化学構造解析を行なう。これにより、溶液やガス雰囲気等の反応性環境中においてその影響を受けずに皮膜成長速度や化学構造変化をリアルタイムでその場解析することができる。
【0047】
更に本実施例の装置は、SPMの機能により表面皮膜Fの凹凸形状を画像化すると同時に、画像内の必要位置において皮膜Fの膜厚測定および化学構造解析を行うことができる。これにより、例えば表面凹凸形状画像と膜厚分布画像を同時にかつリアルタイムに表示することができる。
【0048】
図6に、プローブと薄膜表面の凹凸との関係を示す。この例では、プローブ20は耐環境性の高い光透過材を用いた構造芯材20Aの表面に遮光および強化のために金属コート20Cを被覆して作製してあり、光透過材の構造芯材20Aがそのままプローブ20の光路20Aを構成する。プローブは後端がSPMのカンチレバー26に接続されている。プローブ20の先端は例えば原子間力一定制御により薄膜Fの表面凹凸に応じて変位し、この変位がカンチレバーを介して薄膜表面の凹凸形状信号となり画像処理されて表面凹凸形状画像が生成される。
【0049】
このようにして生成した表面凹凸形状画像に、例えば図7に示すように、充放電時の電池電極上の表面皮膜の膜厚分布画像を同時生成させることができる。図示した2列3段の画像は、左列が表面凹凸形状画像、右列が皮膜膜厚分布画像であり、最上段が皮膜形成初期であり、以下中段、最下段の順で皮膜成長が進行している。
【0050】
この例では、皮膜がほとんど生成していない初期(最上段)は、左列の表面凹凸形状画像に示されているように画像視野の右上から左下に掛けて斜めに伸びた暗部は電池電極表面(試料S)の凹部であり、同じ視野の左上および右下の明部は試料Sの凸部である。この時点では、右列の膜厚分布画像に示されているように、視野内で膜厚は全体にほぼゼロである。
【0051】
次に、ある時間経過後を示す中段の画像では、左列の表面凹凸形状画像で試料Sの凹部に対応する箇所の明度が上昇し、同時に右列の膜厚分布画像で試料Sの凹部対応箇所が最も明るくなっていて、試料Sの凹部上で優先的に皮膜成長が進行していることが分かる。
【0052】
そして、更に時間経過した時点を示す最下段の画像では、左列の表面凹凸形状画像で試料Sの凹部に対応する箇所が最も明るくなっており、同時に右列の膜厚分布画像でも試料Sの凹部対応箇所が最も明るくなっていて、膜厚が全体として増加し且つ試料Sの凹部上で優先的に皮膜成長が進行していることが分かる。
【0053】
上記の例では、充放電時の電池電極表面に生成する皮膜の解析に第2発明を適用した。ただし、適用対象はこれに限定する必要はない。他の適用例を図8および図9を参照して説明する。
【0054】
図8に示した適用例では、触媒分野においてガスフロー下での触媒被毒状況をリアルタイムで解析する。すなわち、近接場SPM内に収容した試料室80に外部のボンベ82、84からガスフローを導入し、試料室内で触媒86の表面皮膜成長を第2発明によりリアルタイムでその場解析することができる。その際、図7の例と同様に解析結果を画像化できる。
【0055】
図9に示した適用例では、塗装や表面処理分野において水や酸性またはアルカリ性水溶液のフロー下における表面劣化解析を行なう。すなわち、近接場SPM内に収容した試料室90に外部の送水器92および酸(またはアルカリ)容器94からそれぞれ水および酸(またはアルカリ)を導入し、塗装や表面処理を施した試料96の表面皮膜成長を試料室内で第2発明によりリアルタイムでその場解析することができる。その際、図7の例と同様に解析結果を画像化できる。
【0056】
以上説明したように第2発明においては、第1発明による効果に加えて、近接場走査プローブと組み合わせたことにより解析対象領域の表面凹凸形状と共に表面皮膜膜厚分布を同時に画像化する解析手法が可能になるという効果が更に得られる。また、解析対象領域の個々のポイントについて化学構造解析を行い、この解析データに基づき解析対象領域全体について特定の化学構造の有無等を画像化し、上記両画像と併せて解析することも可能である。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、非破壊かつリアルタイムで、ナノオーダーの薄膜に対し、精度良く、膜厚および化学構造を解析できるその場解析方法および装置が提供される。更に、近接場走査プローブ顕微鏡に適用することにより、解析対象領域の表面凹凸形状、膜厚分布、化学構造情報を画像化する解析手法も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、干渉スペクトルを示すグラフである。
【図2】図2は、薄膜による光干渉発生の原理を示す模式図である。
【図3】図3は、第1発明による薄膜のその場解析装置を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明によるパルスレーザとプローブ振動との同期関係を示すグラフである。
【図5】図5は、第2発明により近接場SPMを用いる薄膜のその場解析装置を示す断面図である。
【図6】図6は、第2発明による近接場SPMのプローブを模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、第2発明により充放電時の電池電極表面に生成する皮膜の画像化の例を示す模式図である。
【図8】図8は、第2発明により触媒分野においてガスフロー下での触媒被毒状況を解析するための装置構成例を示す配置図である。
【図9】図9は、第2発明により塗装や表面処理分野において水および酸(またはアルカリ)のフロー下で試料表面の劣化を解析するための装置構成例を示す配置図である。
【符号の説明】
10…プローブ
12…パルスレーザ源
12A…光ファイバー
14…レーザ検出器
14A…検出信号用コード
16…光学窓
20…プローブ(近接場SPMの探針)
20A…光路
22…パルスレーザ発信器
22A…光ファイバー
24…レーザ検出器
24A…光ファイバー
26…カンチレバー
28…試料変位機構
30…電気制御ユニット

Claims (8)

  1. 反応性環境下において生成する薄膜をその場解析する方法であって、
    パルスレーザ源とレーザ検出器とを内蔵したプローブを、レーザパルスと同期して振動させ、該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光を該薄膜の表面に照射し且つ該薄膜からの反射レーザ光を検出することにより、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なうことを特徴とする薄膜のその場解析方法。
  2. 近接場走査プローブ顕微鏡を用い、反応性環境下において生成する薄膜をその場解析する方法であって、
    パルスレーザ源とレーザ検出器とに接続したプローブを、レーザパルスと同期して振動させ、該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光を該薄膜の表面に照射し且つ該薄膜からの反射レーザ光を検出することにより、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なうことを特徴とする薄膜のその場解析方法。
  3. 前記反応性環境としての電解液中において通電により試料表面に生成する薄膜をその場解析することを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 前記光干渉による薄膜の膜厚測定には紫外光、可視光、赤外光のいずれかを用い、前記吸光分光分析による薄膜の化学構造解析には紫外光または赤外光を用いることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 反応性環境下において生成する薄膜をその場解析する装置であって、
    パルスレーザ源とレーザ検出器とを内蔵したプローブと、
    該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光が該薄膜の表面に照射され且つ該薄膜からの反射レーザ光が検出されるように、該プローブをレーザパルスと同期して振動させる加振器と、
    を備え、上記検出した反射レーザ光により、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なうことを特徴とする薄膜のその場解析装置。
  6. 近接場走査プローブ顕微鏡を含み、反応性環境下において生成する薄膜をその場解析する装置であって、
    パルスレーザ源とレーザ検出器とに接続したプローブと、
    該プローブが該薄膜の表面に最近接した時にのみレーザ光が該薄膜の表面に照射され且つ該薄膜からの反射レーザ光が検出されるように、該プローブをレーザパルスと同期して振動させる加振器と、
    を備え、上記検出した反射レーザ光により、光干渉による薄膜の膜厚測定と吸光分光分析による薄膜の化学構造解析とを行なうことを特徴とする薄膜のその場解析装置。
  7. 前記反応性環境としての電解液中において試料表面に通電する手段を備えたことを特徴とする請求項6記載の装置。
  8. 前記パルスレーザ源およびレーザ検出器が対象とするレーザ光は、紫外光、可視光、赤外光のうち少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項記載の装置。
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