JP2004263019A - 難燃性ゴム発泡体及びシール材 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストパフォーマンスに優れ、かつ難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム組成物を発泡・架橋することにより得られる難燃性ゴム発泡体及びシール材。
【解決手段】下記のエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体と、非ハロゲン系難燃剤とを含有し、かつ押出加工性(ASTM−D−2230−90、採点基準B)が6A〜10Aであるゴム組成物を、発泡・架橋することにより得られる難燃性ゴム発泡体。
(イ)エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、40/60〜95/5で、非共役ポリエンが、0〜25重量%で、
70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜5.0dl/gで、
GPC測定によるQ値(重量平均分子量/数平均分子量)が、4〜20で、
分子量分布曲線から得られるピーク特性数I及びA(1)が、I≧2及び1.5≦A(1)≦3.0である
【選択図】 なし
【解決手段】下記のエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体と、非ハロゲン系難燃剤とを含有し、かつ押出加工性(ASTM−D−2230−90、採点基準B)が6A〜10Aであるゴム組成物を、発泡・架橋することにより得られる難燃性ゴム発泡体。
(イ)エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、40/60〜95/5で、非共役ポリエンが、0〜25重量%で、
70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜5.0dl/gで、
GPC測定によるQ値(重量平均分子量/数平均分子量)が、4〜20で、
分子量分布曲線から得られるピーク特性数I及びA(1)が、I≧2及び1.5≦A(1)≦3.0である
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シール材等に用いられるゴム発泡体、特に、建築材料用、鉄道車両用または自動車用のシール材に用いられる、難燃性を有するゴム発泡体、に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる自己消火性を有するポリマーには、ポリ塩化ビニル系(PVC)系、クロロプレン系(CR)、シリコーン系(Q)組成物があり、これらは自動車用材料、鉄道車両用材料、建築用材料、工業部品用材料等に利用されている(たとえば特許文献1参照。)。該組成物の一般的な特徴を表1に簡単にまとめた。表中の記号において、◎は特に優れること、○は優れること、△はやや劣ること、×は劣ること、を意味する。
【0003】
ポリ塩化ビニル系(PVC)系組成物は、自己消化性の他に、耐熱性と接着性に優れ、特にコストパフォーマンスに優れるが、耐熱性及び耐寒性に劣るとされている。
【0004】
クロロプレン系(CR)組成物は、自己消化性の他に、接着性に優れるが、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性、パネル汚染性、コストパフォーマンスはやや劣るとされている。
【0005】
シリコーン系(Q)組成物は、自己消化性の他に、特に、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性、パネル汚染性に優れるが、接着性とコストパフォーマンスは劣るとされている。
【0006】
また、エチレン−プロピレン−ジエン系(EPDM)組成物の特徴も同表に示した。該組成物は、自己消化性には劣るが、耐熱性、耐寒性、パネル汚染性、接着性、コストパフォーマンスに優れ、特に耐候性と電気絶縁性に優れるとされている。尚、接着性はプライマーを使用することでさらに改善されるとされている。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−304891号公報(第2頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
自己消火性はないが、コストパフォーマンスに優れ、シーリング用エラストマーとして性能バランスに優れたエチレン−プロピレン−ジエン系(EPDM)組成物(表1)に難燃性を付加し、かつ該組成物を押出加工し、発泡・架橋してゴム発泡体が得られれば、大変有用な難燃性シール材として利用できると予想される。
【0009】
しかしながら、EPDMをベースとして難燃性ゴム組成物を得る場合、難燃性を有する配合資材の多量配合を行わなければならない為、これによるゴム発泡体の物性低下や、ゴム組成物の押出加工性の低下が著しく、先の建築用や車両用の材料として利用できないばかりか、製造も困難な状況である。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その課題は、コストパフォーマンスに優れ、かつ難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム組成物を発泡・架橋することにより得られる難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供、にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、下記の(イ)又は(ロ)であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体と、非ハロゲン系難燃剤とを含有し、かつ押出加工性(ASTM−D−2230−90、採点基準B)が6A〜10Aであるゴム組成物を、発泡・架橋することにより得られる難燃性ゴム発泡体であることを特徴とする。
(イ)エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、40/60〜95/5で、非共役ポリエンが、0〜25重量%で、
70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜5.0dl/gで、
GPC測定によるQ値(重量平均分子量/数平均分子量)が、4〜20で、
分子量分布曲線から得られるピーク特性数I及びA(1)が、I≧2及び1.5≦A(1)≦3.0である
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体。
(ロ)エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、83/17〜97/3で、α−オレフィン及び非共役ポリエンの合計が、6〜19モル%で、
下記式から得られるAが、A≧0.1で、
A=(42P+120D)/(42P+120D+28E)
P:共重合体ゴム中のα−オレフィンの含有量(モル%)
D:非共役ポリエン含有量(モル%)
E:エチレン含有量(モル%)
70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜4.0dl/gで、DSC測定による融解ピーク温度が70℃以下で融解熱量が10cal/g以下であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の難燃性ゴム発泡体において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(イ)とエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(ロ)とを含有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の難燃性ゴム発泡体において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(イ)/エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(ロ)比(重量比)が、5/95〜95/5であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の難燃性ゴム発泡体において、前記非ハロゲン系難燃剤は、リン系難燃剤、金属酸化物、水和金属酸化物であることを特徴とする難燃性ゴム発泡体。
請求項5記載の発明は、難燃性ゴム発泡体からなるシール材であって、該難燃性ゴム発泡体は、請求項1〜4記載のゴム発泡体であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられ、なかでもプロピレン及び1−ブテンが好ましい。
【0013】
非共役ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のような鎖状非共役ジエン、
シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等のような環状非共役ジエン、
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン等のようなトリエン、さらに、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘニセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、13−エチル−9−メチル−1,9,12−ペンタデカトリエン、5,9,13−トリメチル−1,4,8,12−テトラデカジエン、8,14,16−トリメチル−1,7,14−ヘキサデカトリエン、4−エチリデン−12−メチル−1,11−ペンタデカジエン等が挙げられ、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよいが、特に、5−エチリデン−2−ノルボルネン及びまたはジシクロペンタジエンが好ましい。
【0014】
前記共重合体(イ)、(ロ)において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体は、公知の製造方法、例えば特開昭62−138509号公報及び特公平7−14982号公報に開示された製造方法に準じた方法によって得られる。
【0015】
すなわち、3〜5価のバナジウム触媒、一般式,RmAlX3−m(0<m≦3,RはC1〜C10のアルキル基,Xはハロゲン)で示される有機アルミニウム化合物、ハロゲン化有機酸のエステルからなる触媒を、特定の比率で使用することことにより、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体を得ることができる。そして、当該共重合体を得るための共重合は、炭化水素溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン若しくは灯油のような脂肪族炭化水素、シクロヘキサンのような脂環炭化水素、ベンゼン、トルエン若しくはキシレンのような芳香族炭化水素の、単独若しくは混合溶媒のもとで行われる。このときの重合温度は広い範囲で設定できるが、通常は−50〜100℃で実施される。重合は大気圧下若しくは加圧下、例えば0.1〜5MPaの圧力下で実施される。また、生成する共重合体の分子量を任意にコントロールするために、分子量調節剤が用いられる。分子量調節剤としては、ジエチルアエン、アクリルクロライド、ピリミジン−N−オキサイド、水素等がある。
【0016】
共重合体(イ)において、GPCとはゲル透過クロマトグラフィー(Gel Pearmeation Chromatography)を意味し、Q値は重量平均分子量(MW)と平均分子量(MN)の比であり、Q=MW/MNで表される。Q値の大小は、分子量分布の広い狭いこと、を表す。
【0017】
GPC測定によるQ値は4〜20であると、なお好ましく、さらに、分子量分布曲線から得られるピーク特性数I、A(i)、A(M)は、A(i)<A(M)の範囲で、I≧2、1.5≦A(1)≦3.0であることがなお好ましい。
【0018】
ここで、ピーク特性数A(M)、I、A(i)は、平均分布曲線から得られ、次のように定義される(特開昭62−138509号公報)。
【0019】
いま分子量の分布定数曲線の主ピークを示す連鎖長の対数をA(M)とする。さらに、分子量分布曲線において、横軸がポリスチレン換算の連鎖長の対数(log(連鎖長))、縦軸が各分子鎖長を有する共重合体の相対濃度(H)であるとすると、この微分はdH/d(log(連鎖長))で定義される。こうして得られた微分値を縦軸に、連鎖長の対数を横軸としてプロットすると、分子量分布曲線の微分曲線が得られる。dH/d(log(連鎖長))をDHで表し、DH>0であるピークを示す連鎖長の対数をA(i)とする。すなわち、連鎖長の対数の小さい方から順に、ピークP1,P2,・・・,Piに対する連鎖長の対数がそれぞれA(1),A(2),・・・,A(i)となる。但し、PiはA(i)<A(M)の範囲にあるものとする。こうして得られたiの最大値をIとしている。
【0020】
一方、共重合体(ロ)において、DSC測定値は、ポリマー中の微結晶の存在を示す指標である(特公平7−14982)。また、融解ピーク温度及び融解熱量は、DSCの融解曲線の吸熱ピークから求められる(同公報)。
【0021】
共重合体(イ),(ロ)は、発泡・架橋(加硫)することができる。発泡剤としては、たとえば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、N,N’−ジメチルN,N’−ジニトロン−テレフタルアミド、N,N’−ジニトロン−ペンタメチレン−テトラミン、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム−アゾジカルボキシレート、ベンゼン−スルホニル−ヒドラジド、トルエン−スルホニル−ヒドラジド、トルエン−スルホニル−ヒドラジド誘導体、P−トルエン−スルホニル−セミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル−ヒドラジド)、ジフエニルスルホン−3,3’−ジスルホニル−ヒドラジド、カルシウムアジド,4,4’−ジフエニル−ジスルホニルアジド−バラ−トルエン−マルホニルアジド、P−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾーン、ヒドラゾジカルボンアミドなどがあげられ、その一種を単独で使用してもよく、又は二種以上を併用してもよい。なお、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロン−ペンタメチレン−テトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル−ヒドラジド)、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウム−アゾジカルボキシレートが好ましい。発泡剤は例えば前記共重合体100重量部に対して0.5〜20重量部の割合で用いられる。また、必要に応じて発泡助剤が添加される。発泡助剤としては、尿素化合物及び亜鉛華、三塩基性硫酸鉛等の無機塩及び、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の金属石けん及び、サリチル酸などをあげることができる。加硫剤としては、硫黄やパーオキサイド等が挙げられる。硫黄加硫の場合、硫黄は例えば前記共重合体100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いられる。また、必要に応じて加硫促進剤及び加硫促進助剤が添加される。加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チラウム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系等のものが適宜組み合わせて用いられる。加硫促進助剤としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸が組み合わせて用いられる。一方、パーオキサイド加硫の場合、パーオキサイドとしては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクメニル、過安息香酸tert−ブチル、2,2−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が用いられる。この場合、加硫助剤として、硫黄若しくはメタフェニレンビスマレイド等の多官能モノマーや、p−キノンジオキシム等のオキシム化合物が用いられる。
【0022】
また、共重合体(イ),(ロ)は、単独若しくは他のゴム素材、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等ともブレンドして使用できる。
【0023】
非ハロゲン系難燃剤において、先ずリン系難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤等が有効であり、例えば、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェート、クレジルビス(ジ2,6−キシレニル)フォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、ジメチルメチルフォスフェート等が挙げられる。非ハロゲン難燃剤の配合量は、その難燃性効果と、物性、加工性への悪影響を勘案して前記共重合体100重量部に対して1〜100重量部が望ましい。
【0024】
また、金属酸化物としては、三酸化アンチモン等が挙げられ、水和金属酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。金属酸化物や水和金属酸化物配合量は前記共重合体100重量部に対して5〜200重量部が望ましい
【0025】
本発明に係るゴム発泡体においては、本発明の効果を損ねない範囲において、カーボンブラック、シリカ等の補強剤、タルク(ケイ酸マグネシウム)、クレー(ケイ酸アルミニウム)等の無機フィラー、着色剤、滑剤、老化防止剤が適宜配合される。特に黒色以外のゴム発泡体を得るには、着色剤が用いられる。
【0026】
着色剤としては、無機顔料と有機顔料を挙げることができ、無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、せっこう、べんがら、カドミウム赤、鉛丹、ビリジアン、群青等が挙げられ、有機顔料としては、アゾ顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0027】
また、ゴム発泡体のさらなる補強性を図るため、シランカップリング剤を配合させることも可能である。シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン系のものや、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のテトラスルフィド系のものが適宜用いられる。
【0028】
以上の本発明に係るゴム発泡体の、発泡・架橋前のゴム組成物は、押出加工性の指標であるASTM D 2230−90の採点基準Bが6A〜10Aで、かつ発泡・架橋(加硫)後のゴム発泡体の難燃性指数UL−94Vが94V−2以上の難燃レベルを発現することができる。
【0029】
よって、本発明に係るゴム発泡体によれば、コストパフォーマンスに優れると共に、難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供が可能となる。さらに、本発明は、非ハロゲン系難燃剤を用いているので、環境が汚染されるというような懸念がない。
【0030】
また、前記共重合体(イ)を配合させたことで、高い難燃性に加え、極めて良好な押出加工性を示し、さらに引っ張り強度の物性に優れる難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供が可能となる。また、前記共重合体(ロ)を配合させたことで、高い難燃性に加え、難燃性資材を配合することにより、起こりうる物性の低下に対し、弾性的性質に富み、かつ加硫ゴム強度が十分高く、高度の性能要求に応える難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供をすることができる。本発明に係るゴム発泡体は、建築材料用、鉄道車両用または自動車用のシール材として利用できる。
【0031】
本発明に係るゴム発泡体は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体と、非ハロゲン系難燃剤と、を含有する。
【0032】
前記共重合体としては、エチレン/α−オレフィン比(モル比)が40/60〜95/5で、非共役ポリエンが、0〜25重量%で、70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜5.0dl/gで、GPC測定によるQ値(重量平均分子量/数平均分子量)が、4〜20で、分子量分布曲線から得られるピーク特性数I及びA(1)が、I≧2及び1.5≦A(1)≦3.0であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(イ)と、
エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、83/17〜97/3で、α−オレフィン及び非共役ポリエンの合計が、6〜19モル%で、下記式から得られるAが、A≧0.1で、70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜4.0dl/gで、DSC測定による融解ピーク温度が70℃以下で融解熱量が10cal/g以下であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(ロ)がある。
A=(42P+120D)/(42P+120D+28E)
P:共重合体ゴム中のα−オレフィンの含有量(モル%)
D:非共役ポリエン含有量(モル%)
E:エチレン含有量(モル%)
【0033】
共重合体(イ)(ロ)において、α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が用いられる。非共役ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン等の鎖状非共役ジエン、ジシクロペンタジエンや5−エチリデン−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン等のトリエンが挙げられ、その一種を単独で使用され、また二種以上併用される場合がある。
【0034】
非ハロゲン系難燃剤には、リン系難燃剤、金属酸化物、水和金属酸化物がある。リン系難燃剤としては、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート等が用いられる。金属酸化物としては、三酸化アンチモン等が用いられる。水和金属酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が用いられる。
【0035】
本発明に係るゴム発泡体において、前記共重合体と前記難燃剤の配合比は、例えば、該共重合体100重量部に対して該難燃剤を5〜200重量部としている。
【0036】
共重合体(イ)(ロ)は、単独で配合させるほか、組み合わせて、非ハロゲン系難燃剤と共に配合できる。共重合体(イ)(ロ)が併用される場合、例えば、共重合体(イ)/共重合体(ロ)比(重量比)が5/95〜95/5となるように配合される。
【0037】
尚、共重合体(イ)(ロ)は、一定温度の大気圧下若しくは加圧下の有機溶媒のもとで、触媒とエチレンとα−オレフィンと非共役ポリエンとを反応させて得られる。例えば、重合温度50〜55℃のもと、攪拌器を備えたオートクレーブに、ヘキサン溶媒と、触媒と、エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとを、得られる共重合体におけるエチレン含有量及び非共役ポリエン含量が所定量となるように、定量的に供給する。このとき、さらに分子量調節剤としての水素が供給される場合がある。反応液は連続的に抜き出し、重合停止剤を添加した後、スチームストリピングにより共重合体を析出させ乾燥する。前記触媒としては、3〜5価のバナジウム触媒、一般式,RmAlX3−m(0<m≦3,RはC1〜C10のアルキル基,Xはハロゲン)で示される有機アルミニウム化合物、ハロゲン化有機酸のエステルからなるものが用いられる。エチレン含有量及び非共役ポリエン含量は、赤外線吸収スペクトル分析にて確認される。
【0038】
本発明に係るゴム発泡体の発泡・架橋(加硫)前のゴム組成物は、前記共重合体と前記難燃剤の配合に加え、必要に応じて、硫黄、加硫剤、加硫促進剤を配合し、さらにカーボンブラック、シリカ等の補強剤、タルク、クレー等の無機フィラー、酸化チタン等の着色剤、その他の難燃剤、滑剤、老化防止剤等を添加し、オープンロール、バンバリーミキサー等によって混練するとよい。このようにして得られたゴム組成物は、発泡・架橋(加硫)により、難燃性ゴム発泡体となり、該発泡体は例えばシール材、特に、建築材料用、鉄道車両用及び自動車用のシール材として利用される。
【0039】
【実施例】
本発明の実施例及び比較例について説明する。
実施例1
表2に示したように、ポリマー(イ)成分が70重量部でポリマー(ロ)成分が30重量部である共重合体100重量部に対して、トリクレジルフォスフェートを5重量部、水酸化アルミニウムを150重量部、酸化亜鉛を5重量部、ステアリン酸を1重量部、シランカップリング剤を2重量部、カーボンブラック(MAF級)を5重量部、パラフィンオイルを10重量部、加硫促進剤(M、BZ、TRA、22、バルノックR(大内新興化学社製)の混合物)を5.4重量部、硫黄を1.0重量部、発泡剤(アゾジカルボンアミド)を4重量部、発泡助剤(尿素化合物)を4重量部配合し、バンバリー及びロールで混練することにより、未加硫ゴム組成物を得た。次に45mm押出機にチューブ状ダイス(内径10mm、肉厚1.2mm)を装着し、ダイス温度80℃、シリンダー温度60℃の条件で未加硫ゴム組成物を押出し、チューブ状に成型した。この成型物を220℃の熱空気加硫槽に導入し、10分間加熱してチューブ状のゴム発泡体を得た。
【0040】
尚、ポリマー(イ)は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体で、エチレン/α−オレフィン比(モル比)が78/22、非共役ポリエン重量%が7.0、極限粘度が1.28dl/g、GPCのQ値が7.6、ピーク特性数Iが2、A(1)が2.3となっている。
また、ポリマー(ロ)は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体で、エチレン/α−オレフィン比(モル比)が86/14、エチレン/プロピレン/非共役ポリエン比(モル比)が82.8/13.8/3.4、プロピレン及び非共役ポリエンの合計(モル%)が17.2、Aが0.3、極限粘度は1.65dl/g、DSC融解ピーク温度が40℃、DSC融解熱量が1.6cal/gとなっている。
さらに、ポリマー(イ)(ロ)は、α−オレフィンにプロピレンを、非共役ポリエンに5−エチリデン−2−ノルボルネンを採用している。
【0041】
本実施例に係る未加硫ゴム組成物及びゴム発泡体の物性評価を行い、その結果を表3に示した。
未加硫ゴム組成物の押出加工性の評価はASTM D 2230−90に準拠して行った。評価基準は、ASTMガーベダイを用いるASTM D 2230の採点法Bに基づく。
採点法B:成形物において、30°エッジの鋭さと連続性を最高10点、最低1点、表面肌の平滑性を最高A、最低Eとし、数字とアルファベットを組み合わせて採点、表示する。
難燃性の評価はJIS K 7201とUL−94Vに準拠して行った。
尚、UL−94Vの評価基準は以下に基づく。
94V−0:接炎後消炎時間が10秒以下。10回接炎後の消炎時間の合計が50秒以下。ドリップ性なし。試料は完全に燃えてはならない、炎を取り去ってから、残塵が30秒以内に消えること。
94V−1:炎を取り去ってからの消炎時間30秒以下。10回接炎後の消炎時間の合計が250秒以下。残塵時間60秒以下、その他は94V−0と同じ。
94V−2:ドリップによって外科用脱脂綿が燃焼、その他は94V−1と同じ。
【0042】
実施例2
実施例2に係るゴム発泡体のゴム組成物は、共重合体が前記ポリマー(イ)のみからなること以外は、実施例1に係るゴム発泡体のゴム組成物と同じ配合組成であり、混練方法及び発泡・加硫方法も実施例1と同様である。ここで得られた未加硫ゴム組成物及びゴム発泡体の物性評価を行い、その結果を表3に示した。尚、物性評価は実施例1の物性評価法と同じ方法による。
【0043】
実施例3
実施例3に係るゴム発泡体のゴム組成物は、共重合体が前記ポリマー(ロ)のみからなること以外は、実施例1に係るゴム発泡体のゴム組成物と同じ配合組成であり、混練方法及び発泡・加硫方法も実施例1と同様である。ここで得られた未加硫ゴム組成物及びゴム発泡体の物性評価を行い、その結果を表3に示した。尚、物性評価は実施例1の物性評価法と同じ方法による。
【0044】
比較例1
比較例1に係るゴム発泡体のゴム組成物は、共重合体がポリマー(ハ)のみからなること以外は、実施例1に係るゴム発泡体のゴム組成物と同じ配合組成であり、混練方法及び発泡・加硫方法も実施例1と同様である。ここで得られた未加硫ゴム組成物及びゴム発泡体の物性評価を行い、その結果を表3に示した。尚、物性評価は実施例1の物性評価法と同じ方法による。
尚、ポリマー(ハ)は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体で、エチレン/α−オレフィン比(モル比)が74/26、非共役ポリエン重量%が7.9、極限粘度が1.38dl/g、ムーニー粘度(ML1+4100℃)=34、GPCのQ値が11.8、ピーク特性数Iが1、A(1)が3.1となっている。実施例1と同様に、α−オレフィンにプロピレンを、非共役ポリエンに5−エチリデン−2−ノルボルネンを採用している。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
表2、表3の結果から明らかなように、本発明の要件を満たす実施例に係るゴム発泡体によれば、酸素指数及びUL−94Vの高い値(94V−2以上)、すなわち高い難燃性を与えると共に、優れた押出加工性を発現し(ASTM D 2230−90の押出評価基準Bで6A〜9A)、表面肌が良好であるのに対し、比較例1に係るゴム発泡体においては、加硫物性や難燃性について実施例とほぼ同等の効果が得られるが、押出加工性については劣ったものとなりゴム発泡体の表面肌が悪化することが確認できる。また、実施例2の結果からは、該実施例に係るゴム発泡体は、高い難燃性に加え、そのゴム組成物は極めて良好な押出加工性を示すことが確認できる。さらに、実施例3の結果からは、該実施例に係るゴム発泡体は、高い難燃性に加え、難燃性資材を配合することにより、起こりうる物性の低下に対し、弾性的性質に富み、かつ加硫ゴム強度が十分高くなることが確認できる。
【0049】
よって、本発明に係るゴム発泡体によれば、コストパフォーマンスに優れると共に、難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム発泡体の提供が可能となることが示された。
尚、本発明において記載された実施例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形及び修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属することは明らかである。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
本発明に係るゴム発泡体によれば、コストパフォーマンスに優れると共に、難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供が可能となる。特に、本発明は、非ハロゲン系難燃剤を用いているので、環境が汚染されるというような懸念がない。
また、前記共重合体(イ)を配合させたことで、高い難燃性に加え、極めて良好な押出加工性を示し、さらに引っ張り強度の物性に優れる難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供が可能となる。
さらに、前記共重合体(ロ)を配合させたことで、高い難燃性に加え、難燃性資材を配合することにより、起こりうる物性の低下に対し、弾性的性質に富み、かつ加硫ゴム強度が十分高く、高度の性能要求に応える難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供をすることができる。
本発明に係るゴム発泡体は、特に建築材料用、鉄道車両用または自動車用のシール材に有効利用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シール材等に用いられるゴム発泡体、特に、建築材料用、鉄道車両用または自動車用のシール材に用いられる、難燃性を有するゴム発泡体、に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる自己消火性を有するポリマーには、ポリ塩化ビニル系(PVC)系、クロロプレン系(CR)、シリコーン系(Q)組成物があり、これらは自動車用材料、鉄道車両用材料、建築用材料、工業部品用材料等に利用されている(たとえば特許文献1参照。)。該組成物の一般的な特徴を表1に簡単にまとめた。表中の記号において、◎は特に優れること、○は優れること、△はやや劣ること、×は劣ること、を意味する。
【0003】
ポリ塩化ビニル系(PVC)系組成物は、自己消化性の他に、耐熱性と接着性に優れ、特にコストパフォーマンスに優れるが、耐熱性及び耐寒性に劣るとされている。
【0004】
クロロプレン系(CR)組成物は、自己消化性の他に、接着性に優れるが、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性、パネル汚染性、コストパフォーマンスはやや劣るとされている。
【0005】
シリコーン系(Q)組成物は、自己消化性の他に、特に、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性、パネル汚染性に優れるが、接着性とコストパフォーマンスは劣るとされている。
【0006】
また、エチレン−プロピレン−ジエン系(EPDM)組成物の特徴も同表に示した。該組成物は、自己消化性には劣るが、耐熱性、耐寒性、パネル汚染性、接着性、コストパフォーマンスに優れ、特に耐候性と電気絶縁性に優れるとされている。尚、接着性はプライマーを使用することでさらに改善されるとされている。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−304891号公報(第2頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
自己消火性はないが、コストパフォーマンスに優れ、シーリング用エラストマーとして性能バランスに優れたエチレン−プロピレン−ジエン系(EPDM)組成物(表1)に難燃性を付加し、かつ該組成物を押出加工し、発泡・架橋してゴム発泡体が得られれば、大変有用な難燃性シール材として利用できると予想される。
【0009】
しかしながら、EPDMをベースとして難燃性ゴム組成物を得る場合、難燃性を有する配合資材の多量配合を行わなければならない為、これによるゴム発泡体の物性低下や、ゴム組成物の押出加工性の低下が著しく、先の建築用や車両用の材料として利用できないばかりか、製造も困難な状況である。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その課題は、コストパフォーマンスに優れ、かつ難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム組成物を発泡・架橋することにより得られる難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供、にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、下記の(イ)又は(ロ)であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体と、非ハロゲン系難燃剤とを含有し、かつ押出加工性(ASTM−D−2230−90、採点基準B)が6A〜10Aであるゴム組成物を、発泡・架橋することにより得られる難燃性ゴム発泡体であることを特徴とする。
(イ)エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、40/60〜95/5で、非共役ポリエンが、0〜25重量%で、
70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜5.0dl/gで、
GPC測定によるQ値(重量平均分子量/数平均分子量)が、4〜20で、
分子量分布曲線から得られるピーク特性数I及びA(1)が、I≧2及び1.5≦A(1)≦3.0である
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体。
(ロ)エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、83/17〜97/3で、α−オレフィン及び非共役ポリエンの合計が、6〜19モル%で、
下記式から得られるAが、A≧0.1で、
A=(42P+120D)/(42P+120D+28E)
P:共重合体ゴム中のα−オレフィンの含有量(モル%)
D:非共役ポリエン含有量(モル%)
E:エチレン含有量(モル%)
70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜4.0dl/gで、DSC測定による融解ピーク温度が70℃以下で融解熱量が10cal/g以下であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の難燃性ゴム発泡体において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(イ)とエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(ロ)とを含有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の難燃性ゴム発泡体において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(イ)/エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(ロ)比(重量比)が、5/95〜95/5であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の難燃性ゴム発泡体において、前記非ハロゲン系難燃剤は、リン系難燃剤、金属酸化物、水和金属酸化物であることを特徴とする難燃性ゴム発泡体。
請求項5記載の発明は、難燃性ゴム発泡体からなるシール材であって、該難燃性ゴム発泡体は、請求項1〜4記載のゴム発泡体であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられ、なかでもプロピレン及び1−ブテンが好ましい。
【0013】
非共役ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のような鎖状非共役ジエン、
シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等のような環状非共役ジエン、
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン等のようなトリエン、さらに、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘニセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、13−エチル−9−メチル−1,9,12−ペンタデカトリエン、5,9,13−トリメチル−1,4,8,12−テトラデカジエン、8,14,16−トリメチル−1,7,14−ヘキサデカトリエン、4−エチリデン−12−メチル−1,11−ペンタデカジエン等が挙げられ、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよいが、特に、5−エチリデン−2−ノルボルネン及びまたはジシクロペンタジエンが好ましい。
【0014】
前記共重合体(イ)、(ロ)において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体は、公知の製造方法、例えば特開昭62−138509号公報及び特公平7−14982号公報に開示された製造方法に準じた方法によって得られる。
【0015】
すなわち、3〜5価のバナジウム触媒、一般式,RmAlX3−m(0<m≦3,RはC1〜C10のアルキル基,Xはハロゲン)で示される有機アルミニウム化合物、ハロゲン化有機酸のエステルからなる触媒を、特定の比率で使用することことにより、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体を得ることができる。そして、当該共重合体を得るための共重合は、炭化水素溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン若しくは灯油のような脂肪族炭化水素、シクロヘキサンのような脂環炭化水素、ベンゼン、トルエン若しくはキシレンのような芳香族炭化水素の、単独若しくは混合溶媒のもとで行われる。このときの重合温度は広い範囲で設定できるが、通常は−50〜100℃で実施される。重合は大気圧下若しくは加圧下、例えば0.1〜5MPaの圧力下で実施される。また、生成する共重合体の分子量を任意にコントロールするために、分子量調節剤が用いられる。分子量調節剤としては、ジエチルアエン、アクリルクロライド、ピリミジン−N−オキサイド、水素等がある。
【0016】
共重合体(イ)において、GPCとはゲル透過クロマトグラフィー(Gel Pearmeation Chromatography)を意味し、Q値は重量平均分子量(MW)と平均分子量(MN)の比であり、Q=MW/MNで表される。Q値の大小は、分子量分布の広い狭いこと、を表す。
【0017】
GPC測定によるQ値は4〜20であると、なお好ましく、さらに、分子量分布曲線から得られるピーク特性数I、A(i)、A(M)は、A(i)<A(M)の範囲で、I≧2、1.5≦A(1)≦3.0であることがなお好ましい。
【0018】
ここで、ピーク特性数A(M)、I、A(i)は、平均分布曲線から得られ、次のように定義される(特開昭62−138509号公報)。
【0019】
いま分子量の分布定数曲線の主ピークを示す連鎖長の対数をA(M)とする。さらに、分子量分布曲線において、横軸がポリスチレン換算の連鎖長の対数(log(連鎖長))、縦軸が各分子鎖長を有する共重合体の相対濃度(H)であるとすると、この微分はdH/d(log(連鎖長))で定義される。こうして得られた微分値を縦軸に、連鎖長の対数を横軸としてプロットすると、分子量分布曲線の微分曲線が得られる。dH/d(log(連鎖長))をDHで表し、DH>0であるピークを示す連鎖長の対数をA(i)とする。すなわち、連鎖長の対数の小さい方から順に、ピークP1,P2,・・・,Piに対する連鎖長の対数がそれぞれA(1),A(2),・・・,A(i)となる。但し、PiはA(i)<A(M)の範囲にあるものとする。こうして得られたiの最大値をIとしている。
【0020】
一方、共重合体(ロ)において、DSC測定値は、ポリマー中の微結晶の存在を示す指標である(特公平7−14982)。また、融解ピーク温度及び融解熱量は、DSCの融解曲線の吸熱ピークから求められる(同公報)。
【0021】
共重合体(イ),(ロ)は、発泡・架橋(加硫)することができる。発泡剤としては、たとえば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、N,N’−ジメチルN,N’−ジニトロン−テレフタルアミド、N,N’−ジニトロン−ペンタメチレン−テトラミン、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム−アゾジカルボキシレート、ベンゼン−スルホニル−ヒドラジド、トルエン−スルホニル−ヒドラジド、トルエン−スルホニル−ヒドラジド誘導体、P−トルエン−スルホニル−セミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル−ヒドラジド)、ジフエニルスルホン−3,3’−ジスルホニル−ヒドラジド、カルシウムアジド,4,4’−ジフエニル−ジスルホニルアジド−バラ−トルエン−マルホニルアジド、P−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾーン、ヒドラゾジカルボンアミドなどがあげられ、その一種を単独で使用してもよく、又は二種以上を併用してもよい。なお、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロン−ペンタメチレン−テトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル−ヒドラジド)、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウム−アゾジカルボキシレートが好ましい。発泡剤は例えば前記共重合体100重量部に対して0.5〜20重量部の割合で用いられる。また、必要に応じて発泡助剤が添加される。発泡助剤としては、尿素化合物及び亜鉛華、三塩基性硫酸鉛等の無機塩及び、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の金属石けん及び、サリチル酸などをあげることができる。加硫剤としては、硫黄やパーオキサイド等が挙げられる。硫黄加硫の場合、硫黄は例えば前記共重合体100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いられる。また、必要に応じて加硫促進剤及び加硫促進助剤が添加される。加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チラウム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系等のものが適宜組み合わせて用いられる。加硫促進助剤としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸が組み合わせて用いられる。一方、パーオキサイド加硫の場合、パーオキサイドとしては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクメニル、過安息香酸tert−ブチル、2,2−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が用いられる。この場合、加硫助剤として、硫黄若しくはメタフェニレンビスマレイド等の多官能モノマーや、p−キノンジオキシム等のオキシム化合物が用いられる。
【0022】
また、共重合体(イ),(ロ)は、単独若しくは他のゴム素材、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等ともブレンドして使用できる。
【0023】
非ハロゲン系難燃剤において、先ずリン系難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤等が有効であり、例えば、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェート、クレジルビス(ジ2,6−キシレニル)フォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、ジメチルメチルフォスフェート等が挙げられる。非ハロゲン難燃剤の配合量は、その難燃性効果と、物性、加工性への悪影響を勘案して前記共重合体100重量部に対して1〜100重量部が望ましい。
【0024】
また、金属酸化物としては、三酸化アンチモン等が挙げられ、水和金属酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。金属酸化物や水和金属酸化物配合量は前記共重合体100重量部に対して5〜200重量部が望ましい
【0025】
本発明に係るゴム発泡体においては、本発明の効果を損ねない範囲において、カーボンブラック、シリカ等の補強剤、タルク(ケイ酸マグネシウム)、クレー(ケイ酸アルミニウム)等の無機フィラー、着色剤、滑剤、老化防止剤が適宜配合される。特に黒色以外のゴム発泡体を得るには、着色剤が用いられる。
【0026】
着色剤としては、無機顔料と有機顔料を挙げることができ、無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、せっこう、べんがら、カドミウム赤、鉛丹、ビリジアン、群青等が挙げられ、有機顔料としては、アゾ顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0027】
また、ゴム発泡体のさらなる補強性を図るため、シランカップリング剤を配合させることも可能である。シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン系のものや、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のテトラスルフィド系のものが適宜用いられる。
【0028】
以上の本発明に係るゴム発泡体の、発泡・架橋前のゴム組成物は、押出加工性の指標であるASTM D 2230−90の採点基準Bが6A〜10Aで、かつ発泡・架橋(加硫)後のゴム発泡体の難燃性指数UL−94Vが94V−2以上の難燃レベルを発現することができる。
【0029】
よって、本発明に係るゴム発泡体によれば、コストパフォーマンスに優れると共に、難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供が可能となる。さらに、本発明は、非ハロゲン系難燃剤を用いているので、環境が汚染されるというような懸念がない。
【0030】
また、前記共重合体(イ)を配合させたことで、高い難燃性に加え、極めて良好な押出加工性を示し、さらに引っ張り強度の物性に優れる難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供が可能となる。また、前記共重合体(ロ)を配合させたことで、高い難燃性に加え、難燃性資材を配合することにより、起こりうる物性の低下に対し、弾性的性質に富み、かつ加硫ゴム強度が十分高く、高度の性能要求に応える難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供をすることができる。本発明に係るゴム発泡体は、建築材料用、鉄道車両用または自動車用のシール材として利用できる。
【0031】
本発明に係るゴム発泡体は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体と、非ハロゲン系難燃剤と、を含有する。
【0032】
前記共重合体としては、エチレン/α−オレフィン比(モル比)が40/60〜95/5で、非共役ポリエンが、0〜25重量%で、70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜5.0dl/gで、GPC測定によるQ値(重量平均分子量/数平均分子量)が、4〜20で、分子量分布曲線から得られるピーク特性数I及びA(1)が、I≧2及び1.5≦A(1)≦3.0であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(イ)と、
エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、83/17〜97/3で、α−オレフィン及び非共役ポリエンの合計が、6〜19モル%で、下記式から得られるAが、A≧0.1で、70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜4.0dl/gで、DSC測定による融解ピーク温度が70℃以下で融解熱量が10cal/g以下であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(ロ)がある。
A=(42P+120D)/(42P+120D+28E)
P:共重合体ゴム中のα−オレフィンの含有量(モル%)
D:非共役ポリエン含有量(モル%)
E:エチレン含有量(モル%)
【0033】
共重合体(イ)(ロ)において、α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が用いられる。非共役ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン等の鎖状非共役ジエン、ジシクロペンタジエンや5−エチリデン−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン等のトリエンが挙げられ、その一種を単独で使用され、また二種以上併用される場合がある。
【0034】
非ハロゲン系難燃剤には、リン系難燃剤、金属酸化物、水和金属酸化物がある。リン系難燃剤としては、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート等が用いられる。金属酸化物としては、三酸化アンチモン等が用いられる。水和金属酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が用いられる。
【0035】
本発明に係るゴム発泡体において、前記共重合体と前記難燃剤の配合比は、例えば、該共重合体100重量部に対して該難燃剤を5〜200重量部としている。
【0036】
共重合体(イ)(ロ)は、単独で配合させるほか、組み合わせて、非ハロゲン系難燃剤と共に配合できる。共重合体(イ)(ロ)が併用される場合、例えば、共重合体(イ)/共重合体(ロ)比(重量比)が5/95〜95/5となるように配合される。
【0037】
尚、共重合体(イ)(ロ)は、一定温度の大気圧下若しくは加圧下の有機溶媒のもとで、触媒とエチレンとα−オレフィンと非共役ポリエンとを反応させて得られる。例えば、重合温度50〜55℃のもと、攪拌器を備えたオートクレーブに、ヘキサン溶媒と、触媒と、エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとを、得られる共重合体におけるエチレン含有量及び非共役ポリエン含量が所定量となるように、定量的に供給する。このとき、さらに分子量調節剤としての水素が供給される場合がある。反応液は連続的に抜き出し、重合停止剤を添加した後、スチームストリピングにより共重合体を析出させ乾燥する。前記触媒としては、3〜5価のバナジウム触媒、一般式,RmAlX3−m(0<m≦3,RはC1〜C10のアルキル基,Xはハロゲン)で示される有機アルミニウム化合物、ハロゲン化有機酸のエステルからなるものが用いられる。エチレン含有量及び非共役ポリエン含量は、赤外線吸収スペクトル分析にて確認される。
【0038】
本発明に係るゴム発泡体の発泡・架橋(加硫)前のゴム組成物は、前記共重合体と前記難燃剤の配合に加え、必要に応じて、硫黄、加硫剤、加硫促進剤を配合し、さらにカーボンブラック、シリカ等の補強剤、タルク、クレー等の無機フィラー、酸化チタン等の着色剤、その他の難燃剤、滑剤、老化防止剤等を添加し、オープンロール、バンバリーミキサー等によって混練するとよい。このようにして得られたゴム組成物は、発泡・架橋(加硫)により、難燃性ゴム発泡体となり、該発泡体は例えばシール材、特に、建築材料用、鉄道車両用及び自動車用のシール材として利用される。
【0039】
【実施例】
本発明の実施例及び比較例について説明する。
実施例1
表2に示したように、ポリマー(イ)成分が70重量部でポリマー(ロ)成分が30重量部である共重合体100重量部に対して、トリクレジルフォスフェートを5重量部、水酸化アルミニウムを150重量部、酸化亜鉛を5重量部、ステアリン酸を1重量部、シランカップリング剤を2重量部、カーボンブラック(MAF級)を5重量部、パラフィンオイルを10重量部、加硫促進剤(M、BZ、TRA、22、バルノックR(大内新興化学社製)の混合物)を5.4重量部、硫黄を1.0重量部、発泡剤(アゾジカルボンアミド)を4重量部、発泡助剤(尿素化合物)を4重量部配合し、バンバリー及びロールで混練することにより、未加硫ゴム組成物を得た。次に45mm押出機にチューブ状ダイス(内径10mm、肉厚1.2mm)を装着し、ダイス温度80℃、シリンダー温度60℃の条件で未加硫ゴム組成物を押出し、チューブ状に成型した。この成型物を220℃の熱空気加硫槽に導入し、10分間加熱してチューブ状のゴム発泡体を得た。
【0040】
尚、ポリマー(イ)は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体で、エチレン/α−オレフィン比(モル比)が78/22、非共役ポリエン重量%が7.0、極限粘度が1.28dl/g、GPCのQ値が7.6、ピーク特性数Iが2、A(1)が2.3となっている。
また、ポリマー(ロ)は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体で、エチレン/α−オレフィン比(モル比)が86/14、エチレン/プロピレン/非共役ポリエン比(モル比)が82.8/13.8/3.4、プロピレン及び非共役ポリエンの合計(モル%)が17.2、Aが0.3、極限粘度は1.65dl/g、DSC融解ピーク温度が40℃、DSC融解熱量が1.6cal/gとなっている。
さらに、ポリマー(イ)(ロ)は、α−オレフィンにプロピレンを、非共役ポリエンに5−エチリデン−2−ノルボルネンを採用している。
【0041】
本実施例に係る未加硫ゴム組成物及びゴム発泡体の物性評価を行い、その結果を表3に示した。
未加硫ゴム組成物の押出加工性の評価はASTM D 2230−90に準拠して行った。評価基準は、ASTMガーベダイを用いるASTM D 2230の採点法Bに基づく。
採点法B:成形物において、30°エッジの鋭さと連続性を最高10点、最低1点、表面肌の平滑性を最高A、最低Eとし、数字とアルファベットを組み合わせて採点、表示する。
難燃性の評価はJIS K 7201とUL−94Vに準拠して行った。
尚、UL−94Vの評価基準は以下に基づく。
94V−0:接炎後消炎時間が10秒以下。10回接炎後の消炎時間の合計が50秒以下。ドリップ性なし。試料は完全に燃えてはならない、炎を取り去ってから、残塵が30秒以内に消えること。
94V−1:炎を取り去ってからの消炎時間30秒以下。10回接炎後の消炎時間の合計が250秒以下。残塵時間60秒以下、その他は94V−0と同じ。
94V−2:ドリップによって外科用脱脂綿が燃焼、その他は94V−1と同じ。
【0042】
実施例2
実施例2に係るゴム発泡体のゴム組成物は、共重合体が前記ポリマー(イ)のみからなること以外は、実施例1に係るゴム発泡体のゴム組成物と同じ配合組成であり、混練方法及び発泡・加硫方法も実施例1と同様である。ここで得られた未加硫ゴム組成物及びゴム発泡体の物性評価を行い、その結果を表3に示した。尚、物性評価は実施例1の物性評価法と同じ方法による。
【0043】
実施例3
実施例3に係るゴム発泡体のゴム組成物は、共重合体が前記ポリマー(ロ)のみからなること以外は、実施例1に係るゴム発泡体のゴム組成物と同じ配合組成であり、混練方法及び発泡・加硫方法も実施例1と同様である。ここで得られた未加硫ゴム組成物及びゴム発泡体の物性評価を行い、その結果を表3に示した。尚、物性評価は実施例1の物性評価法と同じ方法による。
【0044】
比較例1
比較例1に係るゴム発泡体のゴム組成物は、共重合体がポリマー(ハ)のみからなること以外は、実施例1に係るゴム発泡体のゴム組成物と同じ配合組成であり、混練方法及び発泡・加硫方法も実施例1と同様である。ここで得られた未加硫ゴム組成物及びゴム発泡体の物性評価を行い、その結果を表3に示した。尚、物性評価は実施例1の物性評価法と同じ方法による。
尚、ポリマー(ハ)は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体で、エチレン/α−オレフィン比(モル比)が74/26、非共役ポリエン重量%が7.9、極限粘度が1.38dl/g、ムーニー粘度(ML1+4100℃)=34、GPCのQ値が11.8、ピーク特性数Iが1、A(1)が3.1となっている。実施例1と同様に、α−オレフィンにプロピレンを、非共役ポリエンに5−エチリデン−2−ノルボルネンを採用している。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
表2、表3の結果から明らかなように、本発明の要件を満たす実施例に係るゴム発泡体によれば、酸素指数及びUL−94Vの高い値(94V−2以上)、すなわち高い難燃性を与えると共に、優れた押出加工性を発現し(ASTM D 2230−90の押出評価基準Bで6A〜9A)、表面肌が良好であるのに対し、比較例1に係るゴム発泡体においては、加硫物性や難燃性について実施例とほぼ同等の効果が得られるが、押出加工性については劣ったものとなりゴム発泡体の表面肌が悪化することが確認できる。また、実施例2の結果からは、該実施例に係るゴム発泡体は、高い難燃性に加え、そのゴム組成物は極めて良好な押出加工性を示すことが確認できる。さらに、実施例3の結果からは、該実施例に係るゴム発泡体は、高い難燃性に加え、難燃性資材を配合することにより、起こりうる物性の低下に対し、弾性的性質に富み、かつ加硫ゴム強度が十分高くなることが確認できる。
【0049】
よって、本発明に係るゴム発泡体によれば、コストパフォーマンスに優れると共に、難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム発泡体の提供が可能となることが示された。
尚、本発明において記載された実施例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形及び修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属することは明らかである。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
本発明に係るゴム発泡体によれば、コストパフォーマンスに優れると共に、難燃性と物性、加工性にも優れた、難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供が可能となる。特に、本発明は、非ハロゲン系難燃剤を用いているので、環境が汚染されるというような懸念がない。
また、前記共重合体(イ)を配合させたことで、高い難燃性に加え、極めて良好な押出加工性を示し、さらに引っ張り強度の物性に優れる難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供が可能となる。
さらに、前記共重合体(ロ)を配合させたことで、高い難燃性に加え、難燃性資材を配合することにより、起こりうる物性の低下に対し、弾性的性質に富み、かつ加硫ゴム強度が十分高く、高度の性能要求に応える難燃性ゴム発泡体及びシール材の提供をすることができる。
本発明に係るゴム発泡体は、特に建築材料用、鉄道車両用または自動車用のシール材に有効利用できる。
Claims (5)
- 下記の(イ)又は(ロ)であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体と、非ハロゲン系難燃剤とを含有し、かつ押出加工性(ASTM−D−2230−90、採点基準B)が6A〜10Aであるゴム組成物を、発泡・架橋することにより得られる難燃性ゴム発泡体。
(イ)エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、40/60〜95/5で、非共役ポリエンが、0〜25重量%で、
70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜5.0dl/gで、
GPC測定によるQ値(重量平均分子量/数平均分子量)が、4〜20で、
分子量分布曲線から得られるピーク特性数I及びA(1)が、I≧2及び1.5≦A(1)≦3.0である
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体。
(ロ)エチレン/α−オレフィン比(モル比)が、83/17〜97/3で、α−オレフィン及び非共役ポリエンの合計が、6〜19モル%で、
下記式から得られるAが、A≧0.1で、
A=(42P+120D)/(42P+120D+28E)
P:共重合体ゴム中のα−オレフィンの含有量(モル%)
D:非共役ポリエン含有量(モル%)
E:エチレン含有量(モル%)
70℃キシレン中で測定した極限粘度が、0.8〜4.0dl/gで、
DSC測定による融解ピーク温度が70℃以下で融解熱量が10cal/g以下である
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体。 - 請求項1記載の難燃性ゴム発泡体において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(イ)とエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(ロ)とを含有することを特徴とする難燃性ゴム発泡体。
- 請求項2記載の難燃性ゴム発泡体において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(イ)/エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体(ロ)比(重量比)が、5/95〜95/5であること
を特徴とする難燃性ゴム発泡体。 - 請求項1〜3のうちの一の請求項に記載の難燃性ゴム発泡体において、前記非ハロゲン系難燃剤は、リン系難燃剤、金属酸化物、水和金属酸化物であることを特徴とする難燃性ゴム発泡体。
- 請求項1〜4のうちの一の請求項に記載の難燃性ゴム発泡体を用いたシール材。
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