JP2004262926A - イネ種子伝染性細菌病害防除方法 - Google Patents

イネ種子伝染性細菌病害防除方法 Download PDF

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Kozo Nagayama
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Abstract

【課題】 防除困難病害であるBurkhoderia属(旧分類、Pseudomonas属)、Acidovorax属に起因する細菌病を環境汚染を引き起こすことなく防除する。
【解決手段】 炭酸水素ナトリウム、弱塩基性物質(炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、(塩基性)炭酸マグネシウム、(重)炭酸アンモニウム等の炭酸塩;リン酸一カリウム、同ナトリウム、同アンモニウム等のリン酸塩;水酸化ナトリウム、同カリウム等の水酸化物から選ばれる少なくともひとつ)の少なくともひとつを有効成分とするイネ種子伝染性細菌病防除剤。有効成分を併用すると更に有効であって、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの併用が例示される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有効成分として炭酸水素ナトリウム及び必要に応じて弱塩基性物質を併用してなる農園芸用殺菌剤、特にイネの種子に対する伝染性の微生物、とりわけ細菌を対象とするイネの種子伝染性細菌病の防除システムに関するものであり、本システムは効果が高いだけでなく、有効成分の使用量が少量でよく、安全性にもすぐれているという特徴も有するものである。
近年、イネ作栽培に機械移植が導入されたのに伴い、育苗法もほとんどが箱育苗法に変わっている。箱育苗法ではイネ籾を32℃前後の高温多湿条件下に保ち催芽、芽出しさせるため、育苗中に各種病害が発生しやすい。特に、バークフォルデリア・グルメ(Burkholderia glumae:旧分類、Pseudomonas glumae)に起因するイネもみ枯細菌病、バークフォルデリア・プランタリ(Burkholderia plantarii)に起因するイネ苗立枯細菌病、アシドボラックス・アベナエ(Acidovorax avenae)に起因するイネ褐条病等の細菌による病害は防除困難な病害であり、イネ苗の育苗にとって大きな問題となっている。
これらの細菌性病害は種子伝染により発病することが知られており、病害防除のための薬剤による種子消毒はイネ栽培において重要な作業の一つとなっているが、細菌性病害は種子の段階で防除する必要があり、生育期に防除することが困難な病害である。従って、これら病害が発生した苗は本田へ移植することができず、苗箱ごと廃棄せざるを得ず、育苗時に完全に撲滅せねばならない。イネもみ枯細菌病、イネ苗立枯細菌病及びイネ褐条病は難防除病害であり、有効な薬剤は少なく、これらの細菌に有効な薬剤として、現在のところわずかにオキソリニック酸剤や水酸化第二銅、塩基性塩化銅の混合剤などの薬剤が種子消毒剤として使用されているにすぎない。しかしながら、水酸化第二銅、塩基性塩化銅などの銅剤は重金属であり、重金属を用いない薬剤が望まれている。又、オキソリニック酸剤は、近年、オキソリニック酸に対して感受性の低下したイネ苗立枯細菌病菌及びイネ褐条病菌の存在が指摘されており、充分な防除効果が得られない事例がしばしば発生し、今後増々難防除病害化することが懸念される。更に、近年、種子消毒剤の使用済廃液の処理が環境汚染の点で問題化していることから、環境汚染の少ない防除資材の開発が望まれている。
一方、近年になって、化学合成農薬からより環境への安全性が高いと想定される天然物、食品添加物、微生物など新たな防除素材の利用も提案され、一部は実用化段階に達してきている。
炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム等が糸状菌に起因する植物病害防除剤として有効であることが記載され、水稲病害は散布処理により効果の確認がなされている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、その防除対象は糸状菌であって、細菌ではなく、ましてや、イネの種子伝染性細菌を対象とするものではない。したがって、この処理方法では、本発明が対象とする、植物病原性細菌であるイネもみ枯細菌病菌、イネ苗立枯細菌病、イネ褐条病に対しては十分な効果は得られない。
また、銅系殺菌剤等に水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、酢酸等を組み合わせた農園芸用殺菌剤組成物も知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、ここに記載された酸、アルカリ及び塩類は、銅系殺菌剤等の金属のイオン化を調節する働きが主であり、酸、アルカリ及び塩類単独による病害防除効果は試験例からも明らかな通り十分ではない。
一方、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムから選ばれる炭酸塩の1種または2種以上をイネ籾に浸漬、粉衣または培土混和することによりイネ籾枯細菌病菌に起因する苗腐敗症が防除できることが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムは使用されていないし、ましてやこれらの併用による相乗効果は記載されていない。また、イネ苗立枯細菌やイネ褐条病を含むイネ種子伝染性細菌病の防除に広範に有効である点については何も触れるところがない。
特開昭51−63932号公報 特開昭55−27164号公報 特許第2879704号公報
前記したように、イネもみ枯細菌病、イネ苗立枯細菌病及びイネ褐条病は難防除病害とされており、合成殺菌剤では充分な防除効果が得られない事例がしばしば発生している。また、合成殺菌剤による病害防除は耐性菌の出現によって防除効果が低下する可能性が高く、その場合新たなる殺菌剤の開発を必要とする。さらに、従来の種子消毒剤では使用済み廃液を処理しなければならないという問題がある。すなわち、使い残した消毒剤自体はもとより、消毒剤容器や散布機器等の洗浄後に排出される廃液は、消毒剤を含有しているため、これを土壌に捨てたり河川に捨てたりすると、消毒剤で土壌や河川が汚染されることとなり、重大な環境汚染がひき起される。したがって、これらの廃液は処理することが必須である。
本発明は、このような問題を解決し、化学合成殺菌剤による防除に代わる手段、あるいは併用する手段として新しい防除素材、しかも、難防除病害であるイネ苗立枯細菌病及びイネもみ枯細菌病等の細菌性病害の確実な防除を可能とし、且つ食品添加物と同程度の高い安全性を有する防除素材を開発する目的でなされたものであり、本発明は、省資源、省力化、省コスト、環境保全等につながるものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、特に難防除病害であるイネ細菌性病害の確実な防除を達成するために、これらの病害の防除に有効であるだけでなく、種子処理及び土壌処理においてもその有効性が維持される新規防除剤を新たに開発することとした。
そこで、本発明者らは、鋭意研究をした結果、炭酸水素ナトリウムをイネ種子に処理することにより、イネ育苗時の難防除病害とされるイネ苗立枯細菌病及びイネもみ枯細菌病等の細菌性病害を確実に防除することを見出した。そして更に検討の結果、炭酸水素ナトリウムと同様に食品添加物として多用されている炭酸ナトリウムは、これを炭酸水素ナトリウムと併用すると、更に顕著な防除効果が得られ、また、使用量が低下する等の著効が奏されることもはじめて見出し、炭酸ナトリウムが炭酸水素ナトリウムの一種の補助剤として有効であることもはじめて見出した。
本発明は、これらの有効新知見に基づき、更に研究の結果、遂に完成されたものである。
以上、本発明について詳しく説明する。
本発明に係る防除剤の有効成分として用いる炭酸水素ナトリウムは、膨張剤等食品添加物としても使用することができ、毒性がなく、安全性にもすぐれている。また、有効成分として用いる弱塩基性物質としては、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物から選ばれる少なくともひとつが用いられるが、これらも食品添加物としての使用が認められており、安全性には問題がない。
炭酸塩としては、各種炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムの少なくともひとつが使用される。
リン酸塩としては、各種リン酸塩、例えばリン酸一カリウム、同ナトリウム、同アンモニウム、リン酸二カリウム、同ナトリウム、同アンモニウム、リン酸三カリウム、同ナトリウム、同アンモニウム、リン酸二水素カリウム、同ナトリウム、同アンモニウムの少なくともひとつが使用され、水酸化物としては、各種水酸化物、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムの少なくともひとつが使用される。なお、アルカリ性が強い場合には希釈して弱塩基性とすればよい。
本発明で用いる防除剤としては、有効成分をそのまま用いても良いが、通常は、担体、界面活性剤、分散剤又は補助剤等を配合して常法により例えば、粉剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤などの形態に製剤化して使用すると更に好ましい。好適な担体としては、例えばクレー、タルク、ベントナイト、珪藻土、ホワイトカーボン、カオリン、バーミキュライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素等の固体担体が挙げられ、界面活性剤及び分散剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム、リグニン酸ナトリウム等が挙げられる。補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、アラビアゴム、澱粉、乳糖等が挙げられる。
次に、本発明の防除剤の使用方法を述べる。通常、イネを育苗する場合、発芽程度を揃えるために、イネ種籾を一定期間水中に浸すいわゆる浸種作業を行ない、更に30〜34℃、通常、32℃前後の温度に1日〜2日保って催芽を行なった後に、育苗土壌を充填した育苗箱に播種したり、苗床に直接播種したり、育苗土壌のほかの各種育苗培体(ロックウール等)に播種する。本発明に係る防除剤は、この一連の作業の内の少なくともひとつの時期(イネの育苗時)の処理、すなわち、病原菌に感染したイネ種籾に対して、浸種前、浸種期間中、浸種後又は催芽期間中に浸漬、噴霧、塗布又は粉衣処理の少なくともひとつの処理をすることにより発病苗が著しく減少し、優れた防除効果を示す。また、イネ種籾の播種前又は播種後にイネの育苗土壌(培土、覆土、ロックウール等も含む)に播種面処理、灌注又は混和処埋の少なくともひとつのしょりを行うことによっても、発病苗が著しく減少し、優れた防除効果を示す。
本発明の防除剤は、上記したように、何れの時期に処理しても高い効果が得られ、また、様々な処理法も適用することができ、非常に特徴的である。有効成分は、単用でも併用でもよいが、浸漬、噴霧、塗布、粉衣処理の場合は併用の方が更に有効である。併用の場合、有効成分は適宜2種以上を併用すればよいが、炭酸水素ナトリウムに炭酸ナトリウム等各種炭酸塩を併用するのが好適である。
また、本発明においては、例えば浸種期間や催芽期間の全期間に亘って防除剤処理をすることももちろん可能であるが、これらの期間の内の一部の期間だけ防除剤処理するだけでも有効であって、作業性、能率性、省エネルギー、省力化等の面でも本発明はすぐれている。例えば、これらの期間の開始時から一定時間(前半処理)、終了時までの一定時間(後半処理)、あるいは、これらの中間部における一定時間の間の処理が可能である。一定時間としては、12〜36時間、通常20〜30時間程度で充分である。
使用量としては、製剤の剤型、適用方法、適用場所、適用すべき病害の種類、所望の防除効果などに応じて適宜選定されるが、種子浸漬処埋の場合は、有効成分として300〜8000ppm、好ましくは500〜5000ppmの濃度で、種子粉衣処理の場合には有効成分として0.01〜2.0%、好ましくは0.05〜1.0%、更に好ましくは0.1〜0.5%(乾籾重比)の粉衣量で、またイネ育苗用培土又は覆土に混和処理する場合は育苗箱(30cm×60cm×3cm)当り有効成分として2〜200g、好ましくは3〜60g、更に好ましくは5〜30gの混和量で十分な防除効果を示す。
例えば、イネ育苗用覆土又は培土に混合処理する場合、育苗箱当り炭酸水素ナトリウム10〜20g、炭酸ナトリウム1〜5gの単用で充分に有効であり、また、両者を併用した場合は、処理量を1/3〜2/3に減らしても充分に有効であることも確認されている。
浸種前〜催芽期間の間に浸漬又はスプレーにて処理した場合、炭酸ナトリウム単用の場合には、1000〜5000ppmの使用で充分に有効であり、後記する試験例からも明らかなように、2000ppmの単用で充分に有効であることが確認されている。炭酸水素ナトリウム単用の場合は、上記の1.5〜2.5培量を使用すればよい。
そして、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを併用した場合、炭酸水素ナトリウム200倍液(5000ppm)にごく少量の(1000培液:1000ppm)の炭酸ナトリウムを併用したところ(この程度の濃度では実質的な防除作用は奏されない)、防除効果が奏されただけでなく、その防除価は炭酸水素ナトリウム単用の場合の約2倍程度となり、両者の併用による相乗効果が確認されている。したがって、これらの点を考慮して、各態様に応じて、使用量を適宜規定することができる。
併用する場合、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウム等弱塩基性物質との併用比率は、1:1〜10:1の範囲とするのがよく、4:1〜6:1程度の併用比率とするのが好適である。
すなわち、本発明の試験例によれば、ごく少量の炭酸ナトリウムを併用するだけで、炭酸水素ナトリウム単用の場合の約2倍の効果が奏されるデータが示されており、このことは、換言すれば炭酸水素ナトリウムを多量に例えば2倍量使用することなくそれと同等の効果が奏されるものということができ、有効成分の使用量を大幅に低減できることを示したものであってコスト面でも優れたものである。また、本発明によれば従来使用されている化学合成薬剤に匹敵する高い防除効果を得ることができるので、市販の薬剤にかえて安全性も高い本発明の防除剤を使用することが可能となり、化学農薬を低減ないし廃止する方向にある社会ニーズにも適合するものであって、この点においても本発明は卓越している。
また、本発明は、イネ種子伝染性細菌病防除において、炭酸ナトリウムによって炭酸水素ナトリウムの防除能を大幅に増大させることをはじめて可能にしたものであり、複数の有効成分の使用により、耐性菌の発生を抑制することも大いに期待され、この点からしても本発明はその有用性が高いものである。
また、本発明で使用する薬剤は、育苗期に発生するイネ馬鹿苗病、イネいもち病、イネごま葉枯病、イネ苗立枯病の防除剤との混用ならびに混合製剤として使用することもできる。混用あるいは混合製剤の相手薬剤としては、例えば、ベノミル、チオファネートメチル、TMTD、プロクロラズ、ペフラゾエート、トリフルミゾール、カスガマイシン、ヒドロキシイソキサゾール、メタラキシル、各種生物系農薬(例えばエコホープ)等が挙げられる。
本発明に係る防除剤は、上記したように病原菌に感染したイネ種籾やそれを含有する培体に適用することはもちろんのこと、病原菌に感染するおそれがある場合や、それを予防するために健全なイネ種籾や育苗培体に対しても自由に適用することができる。その際、本発明に係る防除剤はイネに対して障害を示さないので、予防的に適用しても何ら害作用は生じない。
本発明に係る防除剤は、イネ育苗時に発生し、防除が困難とされるイネ苗立枯細菌病、イネもみ枯細菌病及びイネ褐条病のイネ細菌性病害を確実に防除することができる。しかも、従来の化学合成農薬による防除のように耐性菌の出現によって防除効果が低下するという問題も解消される点からも、本発明はきわめて卓越している。
本発明によれば、重曹、炭酸ナトリウムを使用することにより、難防除病害であるイネもみ枯細菌病、イネ苗立枯細菌病、イネ褐条病等のイネの種子伝染性細菌病菌を有効に防除することができる。しかも、両者を併用することにより、相加効果をこえた顕著な相乗効果が奏される。
例えば、薬剤単用では、特に、希釈した場合のように防除効果が認められないような場合であっても、両者を併用することにより、きわめて高い相乗的防除効果が奏されるようになり、市販品と同等あるいはそれ以上の効果が奏される場合も得られる。更には、イネ種子の浸種前、浸種時、催芽時および播種の何れの時期に処理しても高い効果が得られること、粉衣、浸漬または培土処理、覆土処理、播種面処理等、様々な処理法が適用できることから、本発明はきわめて卓越している。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、下記実施例中の%は重量%を示す。
(粉剤)
(1)炭酸水素ナトリウム 20%、珪藻土 5%及びクレー 75%を均一に混合し、粉砕して粉剤とした。これを、粉衣または、土壌混合処理に供した。
(2)また、炭酸水素ナトリウム 20%にかえて、炭酸ナトリウム 20%を用いて、同様に粉剤を調製した。
(粉剤)
実施例1(1)において、炭酸水素ナトリウム 20%にかえて、炭酸水素ナトリウム 15%及び炭酸ナトリウム 5%を用いたほかは同様にして粉剤を調製した。
(水和剤)
炭酸水素ナトリウム 50%、カスガマイシン 2%、珪藻土 43%、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム 2%及びリグニンスルホン酸ナトリウム3%を均一に混合し、粉砕して水和剤とした。これを浸漬、粉衣または、土壌混和処理に供試した。
(水和剤)
上記実施例において、炭酸水素ナトリウム 50%にかえて、炭酸水素ナトリウム 40%及び炭酸ナトリウム 10%を用いたほかは同様にして水和剤を調製した。
(水和剤)
炭酸水素ナトリウム 50%、ペフラゾエート 20%、珪藻土 25%、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム 2%及びリグニンスルホン酸ナトリウム3%を均一に混合し、粉砕して水和剤とした。これを浸漬、粉衣または土壌混和処理に供試した。
(水和剤)
上記実施例において、炭酸水素ナトリウム 50%にかえて、炭酸水素ナトリウム 45%及び炭酸ナトリウム 5%を用いたほかは同様にして水和剤を調製した。
(粒剤)
炭酸水素ナトリウム 20%、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2%、リグニンスルホン酸ナトリウム5%、カルボキシメチルセルロース2%及びクレー71%を均一に混合し、粉砕する。この混合物に水20%を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。これを土壌混和処理に供試した。
(粒剤)
上記実施例において、炭酸水素ナトリウム 20%にかえて、炭酸水素ナトリウム 14%及び炭酸ナトリウム 6%を用いたほかは、同様にして粒剤を調製した。
以下に、本発明の効果について、試験例を挙げて具体的に説明する。なお、例えば薬剤100倍液とは、1gの薬剤に水を加えて100g(100ml)とした液であって、1%、すなわち10,000ppm濃度の液をいう。また、炭酸水素ナトリウムを重曹ということもあり、炭酸ナトリウムを炭酸Naということもある。
(試験例1)
イネ褐条病菌(Acidovorax avenae)を保菌したイネ種子(品種:キヌヒカリ、平成12年長野県産)を15℃で4日間水に浸種した後、水を薬液に換え32℃で24時間振とう処理(40〜50回/分)を行い催芽させた。催芽種子を、育苗培土(しなの培土1号)を充填した1/25育苗箱規模のプラスチックポットに、1ポット当たり7g(乾籾換算)播種した。播種後3日間、32℃の育苗庫内(暗所)に保ち、更にガラス温室内で12日間育苗した後、全苗について発病を程度別に調査し、次式により発病度および防除価を算出した。
また、薬害の有無を達観で調査し、+、−で表した。対照には、スターナ水和剤(オキソニック酸水和剤20%製剤:住友化学工業)およびテクリードCフロアブル(イプコナゾール20%、水酸化第二銅4.6%:クミアイ化学工業)の20倍、10分間浸種前浸漬処理区を設けた。各処理区、対照区および無処理区とも試験は1区、3反復で行った。
発病指数 0:健全
1:軽症苗
2:重症苗
3:枯死苗
発病度=(N+2xN+3xN)×100/(調査総苗数×3)
防除価={1−(試験区の発病度/無処理区の発病度)}×100
(処理区)
────────────────────────────────────
有効成分 希釈倍率 処理方法
────────────────────────────────────
(1) 重曹 100倍 催芽時 24時間 (風乾なし)
(2) 炭酸Na 500倍 催芽時 24時間 (風乾なし)
(3) 重曹 200倍 催芽時 24時間 (風乾なし)
炭酸Na 1000倍
(4) スターナ 20倍 浸漬前 10分間 (風乾あり)
(水和剤)
(5) テクリードC 20倍 浸漬前 10分間 (風乾なし)
(フロアブル)
(6) 無処理
────────────────────────────────────
(結果)
褐条病防除試験
(催芽時 重曹、炭酸ナトリウム)
──────────────────────────────────────
調査苗数 発病苗率(%)
───────────────
処理区 区制 (本) 枯死 重症 軽症 計 発病度 防除価 薬害
苗率 苗率 苗率
──────────────────────────────────────
(1) A 245 0.0 13.5 16.3 29.8 14.4 −
B 251 3.2 10.8 10.0 23.9 13.7 −
C 260 1.2 8.1 3.5 12.7 7.7 −
平均 252.0 1.4 10.8 9.9 22.1 11.9 32.1
──────────────────────────────────────
(2) A 248 0.0 2.0 1.2 3.2 1.7 −
B 273 0.0 5.1 2.9 8.1 4.4 −
C 256 1.2 5.5 6.6 13.3 7.0 −
平均 259.0 0.4 4.2 3.6 8.2 4.4 75.0
──────────────────────────────────────
(3) A 255 0.8 3.5 5.1 9.4 4.8 −
B 248 0.8 0.8 0.4 2.0 1.5 −
C 258 0.0 4.3 4.7 8.9 4.4 −
平均 253.7 0.5 2.9 3.4 6.8 3.6 79.7
──────────────────────────────────────
(4) A 268 0.7 9.0 11.9 21.6 10.7 −
B 258 0.8 6.6 8.5 15.9 8.0 −
C 265 4.5 0.4 0.4 5.3 4.9 −
平均 263.7 2.0 5.3 6.9 14.3 7.9 55.2
──────────────────────────────────────
(5) A 261 0.0 1.5 0.0 1.5 1.0 −
B 273 0.0 0.4 0.4 0.7 0.4 −
C 274 0.0 0.0 0.4 0.4 0.1 −
平均 269.3 0.0 0.6 0.2 0.9 0.5 97.1
──────────────────────────────────────
(6) A 261 0.0 20.3 14.9 35.2 18.5 −
B 246 2.8 23.2 10.2 36.2 21.7 −
C 261 5.0 9.2 4.2 18.4 12.5 −
平均 256.0 2.5 17.6 9.8 29.9 17.6
──────────────────────────────────────
上記結果から明らかなように、炭酸Naは500倍単用で一定の防除価を示した。一方、重曹は100倍単用では著効は認められなかったが、重曹200倍に炭酸Naを少量(1000倍希釈)併用するだけで、相当の防除価を示すことが明らかとなり、併用による相乗効果が立証された。
(試験例2)
イネもみ枯細菌病菌(Pseudomonas glumae)を保菌したイネ種子(品種;コシヒカリ、平成12年長野県産)を薬液に15℃で24時間浸漬処理し、更に水に換えて15℃で2日間浸種した後水を捨て、34℃の恒温室内に24時間保って催芽させた。催芽種子を、育苗培土(しなの培土1号)を充填した1/25育苗箱規模のプラスチックポットに、1ポット当たり7g(乾籾換算)播種した。播種後3日間、34℃の育苗庫内(暗所)に保ち、更にガラス温室内で3日間、全苗について発病を程度別に調査し、次式により発病度および防除価を算出した。
また、薬害の有無を達観で調査し、+、−で表した。対照には、スターナ水和剤(オキソリニック酸水和剤20%製剤:住友化学工業)およびテクリードCフロアブル(イプコナゾール20%、水酸化第二銅4.6%:クミアイ化学工業)の200倍、10分間浸種前浸漬処理区を設けた。各処理区、対照区および無処理区とも試験は1区、4反復で行った。
発病指数 0:健全
1:軽症苗
2:重症苗
3:枯死苗
発病度=(N+2xN+3xN)×100/(調査総苗数×3)
防除価={1−(試験区の発病度/無処理区の発病度)}×100
(処理区)
────────────────────────────────────
有効成分 希釈倍率 処理方法
────────────────────────────────────
(1) 重曹 200倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(2) 重曹 400倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(3) 炭酸Na 500倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(4) 炭酸Na 1000倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(5) 重曹 200倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
炭酸Na 500倍
────────────────────────────────────
(6) 重曹 200倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
炭酸Na 1000倍
(7) スターナ 200倍 浸種前 24時間 (風乾あり)
(水和剤)
(8) テクリードC 200倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(フロアブル)
(9) 無処理
────────────────────────────────────
(結果)
もみ枯細菌病防除試験
(浸種前 重曹、炭酸ナトリウム)
──────────────────────────────────────
調査苗数 発病苗率(%)
───────────────
処理区 区制 (本) 枯死 重症 軽症 計 発病度 防除価 薬害
苗率 苗率 苗率
──────────────────────────────────────
(1) A 267 6.4 0.0 0.0 6.4 6.4 −
B 219 36.4 2.7 16.4 57.5 45.7 −
C 258 4.3 59.3 14.3 77.9 48.6 −
D 260 4.6 16.2 4.6 25.4 16.9 −
平均 251.0 13.4 19.5 8.8 41.8 29.4 50.4
──────────────────────────────────────

(2) A 260 7.7 54.2 15.0 76.9 48.8 −
B 249 8.4 18.1 28.1 54.6 29.9 −
C 272 0.4 1.5 0.4 2.2 1.5 −
D 246 16.7 46.3 10.2 73.2 50.9 −
平均 256.8 8.3 30.0 13.4 51.7 32.8 44.7
──────────────────────────────────────
(3) A 264 0.4 1.5 0.0 1.9 1.4 −
B 262 1.1 0.8 0.0 1.9 1.7 −
C 265 2.6 14.7 4.9 22.3 14.1 −
D 267 1.1 1.5 0.7 3.4 2.4 −
平均 264.5 1.3 4.6 1.4 7.4 4.9 91.8
──────────────────────────────────────
(4) A 261 1.1 2.3 0.4 3.8 2.8 −
B 242 26.0 51.7 17.8 95.5 66.4 −
C 235 40.4 56.2 2.6 99.1 78.7 −
D 264 11.4 45.3 12.6 69.3 45.8 −
平均 248.0 19.8 38.8 8.3 66.9 48.4 18.3
──────────────────────────────────────
(5) A 272 1.5 3.7 1.1 6.3 4.3 −
B 274 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 −
C 264 1.9 22.7 6.8 31.4 19.3 −
D 265 0.4 0.4 0.0 0.8 0.6 −
平均 268.8 0.9 6.7 2.0 9.6 6.1 89.8
──────────────────────────────────────
(6) A 266 5.3 1.9 0.4 7.5 6.6 −
B 269 0.4 0.0 0.0 0.4 0.4 −
C 264 9.1 8.3 1.1 18.6 15.0 −
D 263 0.4 0.8 0.0 1.1 0.9 −
平均 255.5 3.8 2.7 0.4 6.9 5.7 90.3
──────────────────────────────────────
(7) A 273 0.7 0.4 0.0 1.1 1.0 −
B 257 0.4 0.0 0.0 0.4 0.4 −
C 253 0.4 1.2 0.4 2.0 1.3 −
D 269 0.0 1.1 0.0 1.1 0.7 −
平均 263.0 0.4 0.7 0.1 1.1 0.9 98.6
──────────────────────────────────────
(8) A 275 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 −
B 279 0.4 0.7 0.0 1.1 0.8 −
C 264 27.7 27.3 7.2 62.1 48.2 −
D 265 0.8 6.0 1.1 7.9 5.2 −
平均 270.8 7.2 8.5 2.1 17.8 13.6 77.1
──────────────────────────────────────
(9) A 253 6.7 25.3 13.0 45.1 27.9 −
B 234 13.7 42.3 18.4 74.4 48.0 −
C 238 30.7 53.4 12.2 96.2 70.3 −
D 223 72.6 27.4 0.0 100.0 90.9 −
平均 237.0 30.9 37.1 10.9 78.9 59.3
──────────────────────────────────────
上記結果から明らかなように、重曹は単用でも一定の防除価を示した。炭酸ナトリウムは、希釈度が高いと、単用した場合、格別の防除価は示さなかった。一方、重曹と炭酸ナトリウムを併用すると、各々の単用に比べて顕著な効果が認められた。
(試験例3)
イネもみ枯細菌病菌(Pseudomonas glumae)を保菌したイネ種子(品種:コシヒカリ、平成12年長野県産)を薬液に15℃で24時間浸漬処理し、更に水に換えて15℃で2日間浸種した後水を捨て、34℃の恒温室内に24時間保って催芽させた。催芽種子を、育苗培土(しなの培土1号)を充填した1/25育苗箱規模のプラスチックポットに、1ポット当たり7g(乾籾換算)播種した。播種後3日間、34℃の育苗庫内(暗所)に保ち、更にガラス温室内で14日間育苗した後、全苗について発病を程度別に調査し、次式により発病度および防除価を算出した。
また、薬害の有無を達観で調査し、+、−で表した。対照には、スターナ水和剤(オキソリニック酸水和剤20%製剤:住友化学工業)およびテクリードCフロアブル(イプコナゾール20%、水酸化第二銅4.6%:クミアイ化学工業)の200倍、24時間浸種前浸漬処理区を設けた。各処理区、対照区および無処理区とも試験は1区、3反復で行った。
発病指数 0:健全
1:軽症苗
2:重症苗
3:枯死苗
発病度=(N+2xN+3xN)×100/(調査総苗数×3)
防除価={1−(試験区の発病度/無処理区の発病度)}×100
(処理区)
────────────────────────────────────
有効成分 希釈倍率 処理方法
────────────────────────────────────
(1) 重曹 200倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(2) 重曹 600倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(3) 炭酸Na 1000倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(4) 炭酸Na 2000倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
(5) 重曹 200倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
炭酸Na 2000倍
(6) 重曹 200倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
炭酸Na 1000倍
(7) 重曹 600倍 浸種前 24時間 (風乾なし)
炭酸Na 1000倍
(8) スターナ 200倍 浸漬前 24時間 (風乾あり)
(水和剤)
(9) テクリードC 200倍 浸漬前 24時間 (風乾あり)
(フロアブル)
(10) 無処理
────────────────────────────────────
(結果)
もみ枯細菌病防除試験
(浸種前 重曹、炭酸ナトリウム)
──────────────────────────────────────
調査苗数 発病苗率(%)
───────────────
処理区 区制 (本) 枯死 重症 軽症 計 発病度 防除価 薬害
苗率 苗率 苗率
──────────────────────────────────────
(1) A 270 3.7 54.4 4.1 62.2 41.4 −
B 261 6.1 37.2 16.9 60.2 36.5 −
C 262 0.0 38.2 7.6 45.8 28.0 −
D 268 10.8 61.9 14.9 87.8 57.1 −
平均 265.3 5.2 47.9 10.4 64.0 40.7 19.1
──────────────────────────────────────
(2) A 268 3.7 9.0 7.1 19.8 12.1 −
B 254 2.8 95.7 0.0 98.4 66.5 −
C 274 0.0 10.2 1.1 11.3 7.2 −
D 241 30.3 64.7 2.1 97.1 74.1 −
平均 259.3 9.2 44.9 2.6 56.7 40.0 20.6
──────────────────────────────────────
(3) A 268 1.1 20.5 3.0 24.6 15.8 −
B 263 0.8 10.3 6.1 17.1 9.5 −
C 246 4.9 73.6 9.8 88.2 57.2 −
D 263 10.3 49.8 10.3 70.3 46.9 −
平均 260.0 4.3 38.5 7.3 50.1 32.4 35.7
──────────────────────────────────────
(4) A 261 5.4 46.4 15.7 67.4 41.5 −
B 262 0.0 7.3 0.8 8.0 5.1 −
C 265 0.0 10.6 0.8 11.3 7.3 −
D 260 22.3 68.5 3.1 93.8 69.0 −
平均 262.0 6.9 33.2 5.1 45.2 30.7 39.0
──────────────────────────────────────
(5) A 273 0.0 2.9 0.4 3.3 2.1 −
B 269 0.0 4.5 0.7 5.2 3.2 −
C 271 0.0 1.8 0.0 1.8 1.2 −
D 270 1.1 4.8 5.9 11.9 6.3 −
平均 270.8 0.3 3.5 1.8 5.5 3.2 93.6
──────────────────────────────────────
(6) A 268 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 −
B 219 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 −
C 264 0.0 1.5 0.0 1.5 1.0 −
D 266 0.4 0.8 0.4 1.5 1.0 −
平均 265.8 0.1 0.6 0.1 0.8 0.5 99.0
──────────────────────────────────────
(7) A 277 0.0 1.4 0.0 1.4 1.0 −
B 263 0.0 15.6 3.0 18.6 11.4 −
C 266 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 −
D 263 0.0 0.4 0.4 0.8 0.4 −
平均 267.3 0.0 4.4 0.9 5.2 3.2 93.7
──────────────────────────────────────
(8) A 273 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 −
B 257 0.0 0.4 0.0 0.4 0.3 −
C 269 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 −
D 259 0.0 3.1 0.0 3.1 2.1 −
平均 264.5 0.0 0.9 0.0 0.9 0.6 98.8
──────────────────────────────────────
(9) A 266 2.3 3.8 1.5 7.5 5.3 −
B 264 4.9 14.0 4.2 23.1 15.7 −
C 238 27.3 62.2 7.6 97.1 71.3 −
D 267 3.4 20.2 4.9 28.5 18.5 −
平均 258.8 9.5 25.0 4.5 39.0 27.7 45.1
──────────────────────────────────────
(10) A 231 13.4 57.6 2.2 73.2 52.5 −
B 241 0.8 53.5 6.2 60.6 38.6 −
C 259 4.2 70.3 9.3 83.8 54.2 −
D 252 10.7 63.9 8.7 83.3 56.2 −
平均 245.8 7.3 61.3 6.6 75.2 50.4
──────────────────────────────────────
上記から明らかなように、重曹単用区、炭酸ナトリウム単用区ともに防除効果は認められるもののその程度は低かった。しかしながら、重曹と炭酸ナトリウムを併用すると、単用においては効果がきわめて低いないしは効果が認められない場合であっても、相加効果をこえたきわめて顕著な相乗効果が奏されることが立証され、例えば処理区5、6、7の場合は市販品(処理区8)と同等の防除効果を示した。
また、上記した各試験例から明らかなように、重曹、炭酸ナトリウムはAcidovorax avenaeに起因するイネ褐条病、Burkholderia glumaeに起因するイネもみ枯細菌病の防除に有効であるところから、同じBurkholderia属に属するB.plamtariiに起因するイネ苗立枯細菌病の防除にも当然有効である。
(試験例4)
イネもみ枯細菌病菌(Pseudomonas glumae)を保菌したイネ種子(品種:コシヒカリ、平成12年長野県産)を水に15℃で5日間浸漬した後水を捨て、34℃の恒温室内に24時間保って催芽させた。催芽種子を、育苗培土(しなの培土1号)を充填した1/25育苗箱規模のプラスチックポットに、1ポット当たり7g(乾籾換算)播種し、下記に示す処理を行った培土を覆土した。播種後3日間、34℃の育苗庫内(暗所)に保ち、更にガラス温室内で21日間育苗した後、全苗について発病を程度別に調査し、次式により発病度および防除価を算出した。
また、薬害の有無を達観で調査し、+、−で表した。対照には、カスミン粒剤(カスガマイシン粒剤2.3%製剤:北興化学)の覆土20g混和処理区を設けた。各処理区、対照区および無処理区とも試験は1区、3反復で行った。
発病指数 0:健全
1:軽症苗
2:重症苗
3:枯死苗
発病度=(N+2xN+3xN)×100/(調査総苗数×3)
防除価={1−(試験区の発病度/無処理区の発病度)}×100
(処理区)
───────────────────────────────────
有効成分 処理量 処理方法
───────────────────────────────────
(1)重曹 15g/育苗箱 覆土混和
(2)炭酸Na 3g/育苗箱 覆土混和
(3)重曹 10g/育苗箱 覆土混和
炭酸Na 2g/育苗箱
(4)カスミン粒剤 20g/育苗箱 覆土混和
(5)無処理
───────────────────────────────────
(結果)
もみ枯細菌病防除試験
(覆土混和 重曹、炭酸ナトリウム)
──────────────────────────────────────
調査苗数 発病苗率(%)
──────────────
処理区 区制 (本) 枯死 重症 軽症 計 発病度 防除価 薬害
苗率 苗率 苗率
──────────────────────────────────────
(1) A 270 6.7 7.8 4.8 19.3 13.5 −
B 313 3.8 7.7 8.9 20.4 11.9 −
C 253 0.0 2.8 4.0 6.7 3.2 −
平均 278.7 3.5 6.1 5.9 15.5 9.5 85.1
──────────────────────────────────────
(2) A 275 1.8 4.0 8.4 14.2 7.3 −
B 262 3.8 10.7 9.5 24.0 14.1 −
C 248 4.8 14.5 14.9 34.3 19.5 −
平均 261.7 3.5 9.7 10.9 24.2 13.6 78.7
──────────────────────────────────────
(3) A 262 0.0 1.5 3.4 5.0 2.2 −
B 119 0.0 6.7 6.7 13.4 6.7 −
C 258 0.8 4.3 5.0 10.1 5.3 −
平均 213.0 0.3 4.2 5.1 9.5 4.7 92.6
──────────────────────────────────────
(4) A 250 1.2 3.2 8.0 12.4 6.0 −
B 262 1.1 6.1 8.4 15.6 8.0 −
C 224 1.8 4.0 5.4 11.2 6.3 −
平均 245.3 1.4 4.4 7.3 13.1 6.8 89.4
──────────────────────────────────────
(5) A 257 11.3 6.6 4.7 22.6 17.3 −
B 227 54.2 28.6 10.0 93.0 76.7 −
C 258 94.5 5.5 0.0 100.0 98.2 −
平均 216.3 53.8 13.6 4.9 71.8 64.0
──────────────────────────────────────
上記から明らかなように、重曹または炭酸ナトリウムを覆土に処理した場合においても明らかな防除効果が認められた。更にそれぞれの処理量を2/3に減らし混合処理した場合では、単用に比べて高い防除効果が認められた。
(試験例5)
以下に示した通り、重曹と炭酸Naを1)浸種前に粉衣処理、2)浸種開始から24時間浸漬処理、3)浸種の後半24時間処理、4)加温催芽時の24時間処理の区を設け、もみ枯細菌病抑制効果を調べた。供試種子、供試培土および試験規模は試験例4に従った。浸種は15℃で5日間、催芽は34℃の恒温室内で24時間行った。播種後3日間、34℃の育苗庫内(暗所)に保ち、更にガラス温室内で21日間育苗した後、全苗について発病を程度別に調査し、次式により発病度および防除価を算出した。
また、薬害の有無を達観で調査し、+、−で表した。対照には、スターナ水和剤(オキソリニック酸水和剤20%製剤:住友化学工業)の200倍、24時間浸種前浸漬処理区を設けた。各処理区、対照区および無処理区とも試験は1区1ポット、3往復で行った。
発病指数 0:健全
1:軽症苗
2:重症苗
3:枯死苗
発病度=(N+2xN+3xN)×100/(調査総苗数×3)
防除価={1−(試験区の発病度/無処理区の発病度)}×100
(処理区)
──────────────────────────────────
有効成分 処理量 処理方法
──────────────────────────────────
(1) 重曹 5g/籾1kg 浸種前粉衣
炭酸Na 1g/籾1kg
(2) 重曹 200倍 浸種前半24時間浸漬処理
炭酸Na 1000倍
(3) 重曹 200倍 浸種後半24時間浸漬処理
炭酸Na 1000倍
(4) 重曹 200倍 催芽時24時間浸漬処理
炭酸Na 1000倍
(5) スターナ水和剤 200倍 浸種前半24時間浸漬処理
(6) 無処理
──────────────────────────────────
(結果)
もみ枯細菌病菌防除試験
(粉衣、浸漬、重曹、炭酸ナトリウム)
──────────────────────────────────────
調査苗数 発病苗率(%)
──────────────
処理区 区制 (本) 枯死 重症 軽症 計 発病度 防除価 薬害
苗率 苗率 苗率
──────────────────────────────────────
(1) A 259 0.4 6.9 3.5 10.8 6.2 −
B 252 0.4 2.0 4.0 6.3 3.0 −
C 240 0.0 1.3 8.3 9.6 3.6 −
平均 250.3 0.3 3.4 5.3 8.9 4.3 89.7
──────────────────────────────────────
(2) A 258 0.0 0.8 12.8 13.6 4.8 −
B 266 0.4 6.4 2.6 9.4 5.5 −
C 273 0.0 9.2 1.5 10.6 6.6 −
平均 265.7 0.1 5.4 5.6 11.2 5.6 86.5
──────────────────────────────────────
(3) A 261 0.8 3.1 1.9 5.7 3.4 −
B 264 0.8 5.3 1.9 8.0 4.9 −
C 275 1.1 14.9 4.0 20.0 12.4 −
平均 266.7 0.9 7.8 2.6 11.2 6.9 83.4
──────────────────────────────────────
(4) A 268 0.7 4.9 3.7 9.3 5.2 −
B 263 0.0 8.4 4.9 13.3 7.2 −
C 250 0.4 3.6 1.6 5.6 3.3 −
平均 260.3 0.4 5.6 3.4 9.4 5.3 87.4
──────────────────────────────────────
(5) A 270 1.1 13.3 7.0 21.5 12.3 −
B 259 0.4 3.9 1.9 6.2 3.6 −
C 271 0.0 0.0 2.6 2.6 0.9 −
平均 266.7 0.5 5.7 3.9 10.1 5.6 86.5
──────────────────────────────────────
(6) A 246 8.1 58.1 5.7 72.0 48.8 −
B 248 7.3 58.1 8.9 74.2 48.9 −
C 261 3.8 25.3 19.5 48.7 27.2 −
平均 251.7 6.4 47.2 11.4 64.9 41.6
───────────────────────────────────────
上記結果から明らかなように、重曹と炭酸ナトリウム5:1の比率で混合し、1)浸種前に粉衣処理、2)浸種開始から24時間浸漬処理、3)浸種の後半24時間処理、4)加温催芽時の24時間処理した場合、何れも対照の化学薬剤に匹敵する高い防除効果が認められた。

Claims (19)

  1. 炭酸水素ナトリウムを有効成分として含有すること、を特徴とするイネ種子伝染性細菌病防除剤。
  2. 炭酸水素ナトリウムと弱塩基性物質とを有効成分として含有すること、を特徴とするイネ種子伝染性細菌病防除剤。
  3. 弱塩基性物質が炭酸塩、リン酸塩、水酸化物から選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項2に記載のイネ種子伝染性細菌病防除剤。
  4. 炭酸塩が炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムから選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項3に記載のイネ種子伝染性細菌病防除剤。
  5. 炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムとを有効成分として含有すること、を特徴とするイネ種子伝染性細菌病防除剤。
  6. イネの種子伝染性細菌病害が、イネ苗立枯細菌病、イネもみ枯細菌病及びイネ褐条病から選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項1〜5の少なくとも何れか1項に記載のイネの種子伝染性細菌病防除剤。
  7. 請求項1〜6の少なくとも何れか1項に記載のイネの種子伝染性細菌病防除剤をイネの種子に浸種前、浸種時、又は浸種後又は催芽期間中に浸漬、噴霧、塗布又は粉衣処理の少なくともひとつの処理をすることを特徴とするイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  8. 浸種の開始から12〜36時間の浸漬処理、浸種の後半12〜36時間の浸漬処理、加温催芽時の12〜36時間の浸漬処理の少なくともひとつの処理を行うこと、を特徴とする請求項7に記載のイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  9. 有効成分として炭酸水素ナトリウムと炭酸塩とを併用すること、を特徴とする請求項7又は8に記載のイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  10. 50〜5,000ppm濃度の有効成分で処理すること、を特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載のイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  11. イネ種子に対して0.1〜2.0重量%の有効成分を粉衣することを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載のイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  12. 請求項1〜6の少なくとも何れか1項に記載のイネの種子伝染性細菌病防除剤をイネの種子の播種前、播種時又は播種後にイネの育苗培体に播種面処理、灌注又は混和処理すること、を特徴とするイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  13. 育苗培体が培土、覆土又はロックウールから選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項12に記載のイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  14. イネの育苗箱あたり3〜60gの有効成分を培土又は覆土の少なくとも一方に播種面処理、灌注又は混和すること、を特徴とする請求項12又は13に記載のイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  15. 有効成分を単用するか、あるいは、炭酸水素ナトリウムと炭酸塩を併用すること、を特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載のイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  16. イネの種子の播種前、播種時又は播種後の少なくともひとつの時期に、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムをイネの育苗培体の内の覆土に播種面処理、灌注又は混和処理すること、を特徴とするイネ苗立枯細菌病、イネもみ枯細菌病、イネ褐条病から選ばれる少なくともひとつのイネの種子伝染性細菌病の病害を防除する方法。
  17. 炭酸水素ナトリウムと炭酸塩を1:1〜10:1の割合で併用すること、を特徴とする請求項8〜16の何れか1項に記載のイネの育苗時に発生する細菌性病害防除方法。
  18. 有効成分として、炭酸水素ナトリウムを使用し、あるいは炭酸水素ナトリウムと弱塩基性物質を、双方同時に又は別々に使用し、イネの種子伝染性細菌病害を防除しながらイネを育苗すること、を特徴とするイネの育苗方法。
  19. 有効成分を10〜5,000ppm、好ましくは10〜2,000ppm使用すること、を特徴とする請求項18に記載のイネの育苗方法。
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