JP2004262674A - 無機酸化物粉体の表面改質方法とそれによって製造された粉体、およびその用途 - Google Patents
無機酸化物粉体の表面改質方法とそれによって製造された粉体、およびその用途 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】有機重合体組成物やシリコン重合体組成物などに代表される高粘性組成物と混練する際にきわめて粘度の低い組成物を提供する粉体の表面改質方法を提供すること。
【解決手段】大径粒子よりなる粉体(「粉体A」とよぶ)と小径粒子よりなる粉体(「粉体B」とよぶ)を高温火炎中に導入し粉体A表面に粉体Bを付着・結合させた粉体、及び、無機酸化物粉体(粉体A)を可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入して得られた粉体を再度可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入して表面改質した粉体。
【選択図】 なし
【解決手段】大径粒子よりなる粉体(「粉体A」とよぶ)と小径粒子よりなる粉体(「粉体B」とよぶ)を高温火炎中に導入し粉体A表面に粉体Bを付着・結合させた粉体、及び、無機酸化物粉体(粉体A)を可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入して得られた粉体を再度可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入して表面改質した粉体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無機酸化物粒子の表面改質方法、およびそれによって得られる充填性、熱伝導性、粘度特性、流動性に優れた粉体、および用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、無機酸化物は補強性、難燃性、高熱伝導性、絶縁性などの機能を付加するフィラー、半導体封止剤のフィラー、塗料組成物、化粧料組成物、粘度調整剤、流動特性改良剤、帯電調整剤などとして用いられてきた。さらに球状の無機酸化物粉体は、充填性、流動性が特に優れ、ハンドリングが良好な為、高熱伝導性フィラー、半導体封止剤フィラーなどに好適に使用されてきた。例えば球状アルミナはその熱伝導率の高さから熱伝導性フィラーに、球状シリカはその高い純度から半導体封止剤フィラーに広く実用されている。
【0003】
球状化粒子を得る方法としては原料となる無機酸化物を高温火炎中に導入し、溶融状態とすることによって、その表面張力により球状化させる技術がある。原料には無機酸化物の他に金属が用いられることもある。この場合は金属の高温酸化と溶融球状化が並行して起きることになる。
【0004】
たとえばアルミナ粉末とシリカ粉末を同時に火炎中に溶射し、アルミナ中のソーダ分をシリカ粉末と反応させて低ソーダ球状アルミナを得る方法(特許文献1)、合金粉末を酸素含有ガス雰囲気下で燃焼させることにより球状複合酸化物を得る方法(特許文献2)、水酸化アルミニウム粉末あるいは酸化アルミニウム粉末のスラリーを火炎中に噴霧し、得られた微粉末を500℃以上の高温で捕集する方法(特許文献3)などがある。
【0005】
次に表面処理について記述する。
通常、無機粒子の表面は親水性であることが多い。無機粉体を有機高分子材料に充填する際には無機粒子表面を疎水化する必要がある。疎水化しなければフィラーと有機高分子材料との界面の接着が不十分となり、かつ充填率も低くなる。疎水化の手法としてシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによる無機粒子の表面処理がある。表面処理剤は疎水性の強いアルキル基などと、メトキシ基あるいはエトキシ基などの加水分解可能な官能基を一分子中に共に持った構造をしている。このメトキシ基やエトキシ基が加水分解し、アルコールが発生、残ったシラノール基などが無機粒子表面と結合する。結合した分子はアルキル基などに代表される疎水基を持つので、無機粒子は疎水性の強い表面となる。この技術は一般的に非常に多く用いられている。(例えば非特許文献1)
【0006】
次に複合粒子について説明する。複合化は多くの場合、大径粒子(以下、母粒子と呼ぶ)と小径粒子(以下、子粒子と呼ぶ)との結合によってなされ、母粒子は子粒子が持つ機能をより効果的に引き出す為に用いられる。粒径に大きな差がない場合は、期待される機能を持つ微粒子を子粒子、それを効果的に発現させるのに使われる粒子を母粒子と呼ぶことにする。
【0007】
母粒子と子粒子の結合の方法として、たとえば、機械的に母粒子と子粒子を結合させる高速気流衝撃法(特許文献4、特許文献5)、表面融合法(特許文献6)などがあり、具体的には株式会社奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(登録商標)やホソカワミクロン株式会社のメカノフュージョン(登録商標)などが例示される。他にも転動式ボールミル、高速回転粉砕機、媒体攪拌型ミルなどがあるが、いずれも粉砕媒体が母粒子や子粒子に与える衝撃、摩擦、せん断などのエネルギーによって母粒子や子粒子表面を活性化し、結合させる装置である。この処理の際に母粒子は粉砕され、微粒化することもある。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−199719号公報
【特許文献2】
特開昭63−185803号公報
【特許文献3】
特開2001−19425号公報
【特許文献4】
特公平3−2009号公報
【特許文献5】
特開平6−210152号公報
【特許文献6】
特許第2672671号
【非特許文献1】
日本ユニカー株式会社製 NUCシランカップリング剤カタログ
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機重合体組成物やシリコン重合体組成物などに代表される高粘性組成物に充填するのに好適なフィラーを安価に製造することを可能にする新規な粒子の表面改質方法を提供することを目的とするものである。すなわち、従来、組成物の熱伝導性、難燃性、絶縁性などを高める為に無機フィラーが用いられてきた。この機能をすこしでも高める為にフィラーの高充填性が要求され、製造上の取り扱いのしやすさから粉体の高流動性が求められてきた。充填性を高める為に球状フィラーが重用され、ここに表面処理を施すことによってマトリックスとの接着性を高めてきた。
【0010】
しかしながら従来の技術では、充填性のよい球状粉体を製造するプロセスと、表面処理プロセスは分離されており、生産性が非常に悪く、コストも高かった。これは球状化においては高温熱履歴が必要であるにもかかわらず、従来の表面処理剤は高温で分解する為、同一工程にするのが原理的に困難であるためであった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、大径粒子よりなる粉体(以下、「粉体A」とよぶ)と小径粒子よりなる粉体(以下、「粉体B」とよぶ)を同時に高温火炎中に導入し粉体Aの粒子表面に粉体B粒子を付着・結合させることにより、及び、無機酸化物粉体(以下、「粉体A」と呼ぶ)を可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入して得た粉体を再度可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入して表面改質することにより、有機重合体組成物やシリコン重合体組成物などに代表される高粘性組成物と混練する際にきわめて粘度の低い組成物になる作用効果を有する粉体を提供することができることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
これにより高粘性組成物においても、フィラー充填率の高い組成物を製造することが容易になる。
【0013】
すなわち、本発明は下記にある。
(1)レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径が0.5〜200μmの範囲内にある無機酸化物粉体(以下、粉体Aと呼ぶ)と、BET比表面積換算粒径が100nm以下である無機酸化物粉体(以下、粉体Bと呼ぶ)とを、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することにより、粉体Aの粒子表面を粉体B粒子により改質する方法。
【0014】
(2)レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径が0.5〜200μmの範囲内にある無機酸化物粉体(以下、粉体Aと呼ぶ)を、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することによって得られた粉体を、再度、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することを含む、粉体Aの粒子の表面を改質する方法。
【0015】
(3)可燃性ガスが、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブタン、LPG、水素、一酸化炭素のいずれか、あるいはその混合気体であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の表面改質方法。
(4)粉体Aおよび粉体Bを任意にキャリアーガスと共に火炎中に噴出する上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の表面改質方法。
【0016】
(5)粉体AがAl、Mg、Ca、Ti、Siの酸化物、あるいはそれらの混晶粒子である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の表面改質方法。
(6)粉体BがAl、Ti、Siの酸化物、あるいはそれらの混晶粒子である上記(1)〜(5)いずれか1項に記載の表面改質方法。
【0017】
(7)粉体Aは、下記〔1〕式
で定義される球形度が0.7以上の粒子である上記(5)〜(6)のいずれか1項に記載の表面改質方法。
【0018】
(8)粉体BのBET比表面積換算粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される粉体Aの平均粒径の1/10以下であることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれか1項に記載の表面改質方法。
(9)粉体Aと粉体Bの合計質量に対する粉体Aの割合が50%質量以上99質量%以下である上記(5)〜(8)いずれかに1項に記載の粉体の改質方法。
【0019】
(10)上記(5)〜(9)のいずれか1項に記載の表面改質方法によって得られる、レーザー回折/散乱式粒度分析法で測定される平均径が0.5μm〜250μmである粉体。
(11)上記(7)記載の(1)式で定義される球形度が0.7以上の粒子である上記(10)に記載の粉体。
【0020】
(12)表面疎水化処理剤により表面処理された上記(10)または(11)に記載の粉体。
(13)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を、組成物全質量中0.01%〜90質量%含むことを特徴とする有機重合体組成物。
【0021】
(14)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を、組成物全質量中0.01%〜90質量%含むことを特徴とするシリコン重合体組成物。
(15)有機重合体組成物の有機重合体が、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、及び天然樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂である上記(13)に記載の有機重合体組成物。
【0022】
(16)有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物が、コンパウンドである上記(13)〜(15)のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物。
(17)有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物が、マスターバッチである上記(13)〜(15)のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物。
【0023】
(18)上記(13)〜(17)のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物を成型してなることを特徴とする成型体。
(19)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とするスラリー。
(20)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とする塗工剤。
【0024】
(21)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とする塗料。
(22)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を表面に具備することを特徴とする構造体。
(23)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含む蛍光体原料。
(24)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含む化粧料。
【0025】
(25)上記(1)〜(9)の少なくともいずれか1項に記載の方法を用いた、粉体の製造方法。
【0026】
以下、発明の詳細について述べる。
本発明の粉体の表面改質方法は、粉体Aと粉体Bを高温火炎中に導入し、粉体Aの粒子表面を粉体B粒子によって修飾するものである。粉体B粒子は粉体A粒子の表面に、粉体B粒子の形状を保ったまま均一に被覆される必要はなく、粉体Bの成分が粉体A粒子表面に点在しているだけでよい。場合によっては、粉体B粒子は熱により粉体A粒子表面に接着・融合して、粉体A粒子表面上に粉体B粒子の形状を観察できなくても構わない。この場合においても、粉体Aの表面改質効果は顕著であることから、粉体Aと粉体Bとを同時に火炎中に導入することで、粉体B粒子により粉体A粒子表面が改質されていると考えられる。通常、高温の火炎中では、複数の粒子が会合・成長して、径の大きな粒子へと成長する。本発明においては粉体Aと粉体Bは同じ高温帯に導入されるが、粉体Bの方が微粒である為に、受熱面積が大きく、より溶融しやすいと考えられる。したがって、例えば可燃ガスの燃焼量を制御することにより、粉体A粒子の会合・成長を抑制し、粉体B粒子が粉体A粒子に溶融・付着する条件を見出すことができる。粉体B粒子が粉体A粒子と会合・衝突し、接着すると本発明の粉体が得られるのは明らかであるが、粉体B粒子同士の会合粒子でも、それが十分に成長する前に粉体A粒子と衝突・結合する確率が高い。これは気流中では小さな粒子が大径粒子よりはるかに動きやすい為であると考えられる。このように会合・成長した粉体B粒子が粉体A粒子と衝突・融合した粒子でも所定の粒径比を満たしていれば表面改質効果が得られる。この方法では、火炎処理を受けた粉体B粒子が粉体A粒子の表面に付着することにより粉体A粒子の表面が改質されるものであり、粉体Aと粉体Bの材質は同じであっても表面改質の効果が奏されるものである。火炎処理の条件を制御して粉体A粒子の表面における粉体B粒子の形態、結晶状態などは制御できる。また、粉体Bを粉体Aと異なる材質とすれば、粉体A粒子の表面の一部あるいは全部を粉体Bの化学組成に変えることができる。
【0027】
また、本発明の粒子の表面改質方法のもう一つの態様は、粉体Aを複数回、高温火炎中に導入し、表面改質を行うものである。1回の高温の火炎中での粒子の表面改質では、表面だけを改質しようとすると改質が不十分になり、十分に改質ようとすると粒子の内部まで熱の影響を受けたりあるいは粒子が熔融し、大きな粒子へ成長するなど、粒子の表面だけを所望の程度に改質することは困難であるのに対して、本発明に従い、粉体を複数回高温火炎中に導入して表面改質を繰返す方法では、粒子の表面だけを所望の程度まで改質することが可能にされる。高温火炎処理の回数は、火炎条件と処理しようとする粉体の融点に密接に関係している。火炎の温度と火炎滞留時間により、最適な処理回数は変わってくる。火炎の温度を低めにし、処理回数を多くした方が表面状態を制御しやすいが、製造コストは高くなる。火炎の温度が高すぎると、熱による変性を過度に受ける傾向がある。このため、処理の最適回数は火炎の熱焼状態と粉体との表面処理のバランスを勘案し、事前のテストによって決める。
【0028】
粉体AはAl、Mg、Ca、Ti、Siなどの酸化物、あるいはそれらの混晶粒子を用いることが可能である。たとえば酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、シリカなどの粒子、あるいはそれらの混晶粒子を用いることができる。レーザー回折/散乱式粒度分析計による平均粒径は0.5〜200μm、望ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜80μmであり、いかなる方法によって得られた粒子でも構わない。
【0029】
粉体A粒子の形状はいかなる形状であっても良いが、下式〔1〕
で定義される球形度が0.7以上、より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.9以上の粉体であることができる。
【0030】
粉体Bについて記述する。
粉体Bの粒径(BET比表面積換算粒径)は、レーザー回折/散乱式粒度分析計によって測定された粉体Aの平均径の1/10以下、好ましくは1/20以下のものがよい。これより大きいと表面改質後の粒子表面の凹凸が激しくなり、充填性が悪化し、例えば、樹脂と混練した時の粘度は実質的に低下しない。製法としては、たとえば比較的沸点の低い金属ハライドを気化、分解して金属酸化物を得る気相法を採用することができる。(例えば特許文献 WO01/16027)この方法によって製造される酸化物としてはアルミナやチタニア、シリカ、あるいはそれらの複合物が良く知られている。これらの気相法による粒子は一次粒子が弱い点結合で長く連なった連鎖構造体を形成している。気相法で得た粉体が本発明の原料粉体Bとして適しているのは、この連鎖構造によるところが大きい。この連鎖構造をとる粒子は、気流の抵抗を受けやすく、輸送が容易であり、粉体が気流から受けるせん断力により十分に分散した状態で火炎中に導入される。これにより、小さなレイノルズ数の火炎でも容易に分散し、粉体Aとの接触確率を高めることができる。またアルミナを例にとると、γ、δ、η、κなどの遷移アルミナ、すなわち低温相が主相を占める為、高温相であるαアルミナに比べて融点が低く、粉体Aに、より高温相の物質を選ぶことによって粉体Bのみを溶融するなどの制御も容易である。
【0031】
この粉体Aおよび粉体Bを単純混合し、火炎中に導入する。あるいは粉体をそれぞれ単独で火炎中に導入しても構わない。粉体の割合は、粉体Aと粉体Bの粒径比によって適宜変えることで好適な表面改質を行うことが可能であるが、粉体Aと粉体Bの合計量に対する粉体Aの割合が50質量%以上99質量%以下、好ましくは60質量%以上98質量%以下であるとよい。導入に際しては、窒素や空気などのキャリアーガスを用いることが可能である。粒径の異なる2成分の粉体が混合されるのであるから、導入管内レイノルズ数が3,000以上80,000以下、好ましくは5,000以上50,000以下となるようにキャリアーガス量を調整することにより、火炎中に両粉体を均一に分散させることが可能である。これより小さいと混合が不十分であり、大きいとキャリアガス量が増えるので、反応場の温度を低下させることになり好ましくない。
【0032】
粉体A粒子表面に粉体B粒子を結合させるためには高温場が用いられる。高温場発生装置はバーナーがもっとも平易な形態である。本発明では可燃性ガス・酸化性ガスとキャリアーガスとの流量比を制御することにより高温帯長や温度を調整することができる。バーナーには基本的に可燃性ガスであればすべて用いることが可能であるが、好ましくはメタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブタン、LPG、水素、一酸化炭素のいずれか、あるいはその混合気体、さらに好ましくはLPGがよい。表面改質したい物質の融点により、燃焼熱の大きな可燃性ガスおよび支燃性ガスの組み合わせを適宜選択する。燃焼帯の温度を粉体Bの融点近くに設定することが肝要である。たとえば粉体Aおよび粉体Bともに融点の高いアルミナである場合にはLPG−酸素バーナーや、水素―酸素バーナーを用いることができる。
【0033】
バーナーは粉体が火炎中に導入できればいかなる構造でも構わないが、粉体Aと粉体Bが同じノズルから同時に火炎中に導入される同軸三重管構造が混合・均一処理の観点から好ましい。すなわち最内管には原料粉体、その外側にはLPGなどの可燃性ガス、最外管には酸素や空気などの支燃性ガスを通す構造とするとよい。支燃性ガスには酸素を含むガスであればすべて用いることが可能であるが、酸素が好ましい。粉体Aと粉体Bはそれぞれ異なるノズルから火炎中に導入されてももちろんかまわない。この形態は、例えば、火炎中のノズルの導入位置を個々に調整することにより、粉体Aの熱履歴と粉体Bの熱履歴をそれぞれ個別に制御できる点で優れている。
【0034】
原料キャリアーガスのノズルからの噴き出し流速は3m/秒(以下、流速は、ノズルから噴出するガスの標準状態に換算した流量(Nm3/秒)を、噴出口の面積(m2)で除して得た流速を示す。)以上100m/秒以下、好ましくは5m/秒以上80m/秒以下が良く、配管内レイノルズ数は3,000以上、好ましくは5,000以上とするよう配管径などを決める。この条件であれば原料粉体は、通常、十分分散可能である。可燃性ガスのノズル噴き出し流速は、原料キャリアーガスの噴き出し流速の0.8倍〜4倍、好ましくは0.9倍〜2倍となるように設定する。これより小さいと高温帯が得られにくく、大きすぎると高温帯に粉体が留まりやすくなり、粒子同士の衝突・成長が起きやすくなって、凝集粒の多い粉体となる。酸化性ガスのノズル噴き出し流速は原料キャリアーガスの噴き出し流速の1倍〜11倍の範囲、好ましくは1.5倍〜6倍になるよう設定する。これにより本発明の粉体を得るのに好適な燃焼炎形状を保つことができる。
【0035】
これにより得られた製品は、サイクロンやバッグフィルターなどで捕集され、製品とされる。得られた製品は、レーザー回折/散乱式粒度分析法による平均粒径が0.5〜250μmの任意の範囲にある、表面が粉体B粒子で改質された粉体となる。
【0036】
一方、粉体Aを複数回火炎処理する場合も、上記と同様の製造装置を用いることができる。原料キャリアーガスのノズルからの噴出し流速などをはじめとした設備条件、製造条件も、粉体B粒子で粉体A粒子表面を改質する場合とまったく同じで良い。
【0037】
火炎中に導入された粉体Aは、表面だけが熱変性を受けた時点で急冷される。火炎は通常、高温帯が限られているので、特に急冷操作を行わなくてもよい。一回の高温火炎処理における表面処理効果が十分得られない場合において複数回の高温火炎処理を実施することができる。この処理回数は事前に複数回、粉体を火炎中に導入して製品を得、実用途に近い評価を行った上で最適処理回数を決める。
【0038】
本発明の粉体はさらに表面疎水化処理を行うことも可能である。この表面疎水化処理により、さらに樹脂などとの親和性が改善される。この表面疎水化処理剤はSi、Tiのアルコキシドなどに代表されるカップリング剤が使用可能である。処理方法としては表面処理剤を粉体に添加し、攪拌・加熱する乾式処理法や、表面処理剤を水系スラリーに添加する湿式法など、通常の表面疎水化処理方法が用いられる。
【0039】
本発明の表面改質された粉体は、例えば、樹脂・ゴム製品のフィラーやその改質剤、紙・塗料・印刷インキなどへの添加剤、化粧料、セラミック製品、電子部品、蛍光体原料として用いられる無機酸化物粉体等の用途に用いることができる。特に、媒体への分散性・充填性を要求される放熱フィラーなどの用途に好ましく用いることができる。
【0040】
本発明の表面改質された粉体は、例えば、有機重合体に添加して組成物として使用できる。有機重合体としては、例えば、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、天然樹脂等が挙げられる。このような有機重合体の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフイン、ナイロン6、ナイロン66、アラミドなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エポキシ樹脂、イミド系エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースおよびレーヨンその他のセルロース誘導体、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、フツ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。
【0041】
本発明の表面改質された粉体は、例えば、シリコン重合体に添加して組成物として使用できる。
本発明の表面改質された粉体を含むこれら有機重合体組成物あるいはシリコン重合体組成物は、例えば、コーティング組成物、コンパウンド(例えば、該粉体含有樹脂組成物)、及び該粉体を高濃度に含む成型体用のマスターバッチ等の形態で使用できる。有機重合体組成物またはシリコン重合体には、酸化防止剤、耐電防止剤、金属脂肪酸塩等の添加剤を添加しても良い。
【0042】
有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物中の、本発明の表面改質された粉体の濃度は、用途によって異なるが、該組成物全質量に対して0.01〜95質量%がよく、20〜90質量%が好ましい。
このような重合体組成物またはシリコン重合体組成物をフィルム、繊維、プラスチック成型体等に成型することによって、蓄熱繊維、発熱繊維、紫外線遮蔽繊維、紫外線遮蔽フィルム、放熱体、放熱シート、放熱フィルム、絶縁体、絶縁フィルム、絶縁シートなどに使用可能である。
【0043】
また、本発明の表面改質された粉体は、水や有機溶剤に分散させた後、バインダーを任意に添加して塗工剤にする事もできる。バインダー材料については、特に制限はなく、有機系バインダーであっても無機系バインダーであっても良い。
【0044】
この様なバインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、ポリアクリルアミド、アクリルアミド、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、シリコン樹脂、ビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、フツ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂等が挙げられる。さらに、無機バインダーとして、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、プロピオン酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物、アルコキシシラン、珪酸塩等の珪素化合物、或いはアルミニウムやチタンの金属アルコキシド等が挙げられる。
【0045】
また、具体的に塗工剤中のバインダーの添加量は、0.01質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%の範囲が特に好ましい。
バインダーの含有量が0.01質量%以下では、塗工後に十分な接着性を得られず、また20質量%を越えると粘度等の問題が生じ、また、経済的にも不利となる。
【0046】
こうして得られた本発明の粉体は構造体の表面に具備してもよい。このような構造体は、特に限定されるものではなく、例えば、金属、コンクリート、ガラス、陶器等の無機物から構成されるものでも良く、紙、プラスチック、木材、皮等の有機物から構成されるものでも良く、あるいは、それらを組み合わせたものであっても良い。これらの例としては、例えば、建材、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、スポーツ用品、蒲団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品、テントなどのアウトドア用品、ストッキング、靴下、手袋、マスク等が挙げられる。
【0047】
これらの、表面に具備する方法としては、特に限定するものではなく、例えば、前述の有機重合体組成物、シリコン重合体組成物や塗工剤を、構造体に直接塗布しても良いし、あるいは、表面にすでに塗膜のある構造体の上に塗布しても良い。さらに、これらの上に他の塗膜を形成しても良い。
【0048】
さらに本発明の粉体を化粧料などにも用いることも可能である。本発明の粉体を使用した化粧料は、皮膚へ塗布した際の滑らかさに優れている。この化粧料には、一般に化粧料に使用されるオイル、美白剤、保湿剤、アンチエイジング剤、エモリエント剤、エキス類、抗炎症剤、抗酸化剤、界面活性剤、キレート剤、抗菌剤、防腐剤、アミノ酸、糖類、有機酸、アルコール類、エステル類、油脂、炭化水素類、紫外線防止剤、無機粉体等の各種添加剤を添加することができる。
【0049】
具体的には、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等の溶剤、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール類、ソルビトール等の糖類、トレハロース等の二糖類、ヒアルロン酸、水溶性コラーゲンなどの保湿剤、水素添加したスクワランやオリーブオイル、ホホバオイルといった植物油、セラミド類などのエモリエント剤、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド等の安定型アスコルビン酸、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ルシノール、カミレツエキスなどの美白剤、アラントイン、グリチルリチン酸もしくはその塩類などの抗炎症剤、モノステアリン酸グリセリン、POEソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE・POPブロックポリマー、POE硬化ヒマシ油エステルなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、α−オレフィンオリゴマー等の炭化水素、アーモンドオイル、カカオオイル、マカデミアナッツオイル、アボガドオイル、ヒマシ油、ヒマワリ油、月見草油、サフラワー油、ナタネ油、馬油、牛脂、合成トリグリセライド等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、ホホバオイルなどのロウ類、ラウリル酸、アテアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、グリコール酸、酒石酸などの脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデシルアルコール、などの高級アルコール、グリセリントリエステル、ペンタエリスリトールテトラエステルなどの合成エステル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、EDTA、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウムなどのキレート剤、パラベン、ソルビン酸、イソプロピルメチルフェノール、クレゾール、安息香酸、安息香酸、エチル、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ヒノキチオール、フルフラール、ピリチオンナトリウムなどの防腐剤、殺菌剤、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、亜流酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウムなどのバッファー剤、グリシン、アラニンなどのアミノ酸類、ミリスチン酸ブチル、オレイン酸エチル、ステアリン酸エチル、などのエステル類、香料、顔料、動植物抽出物、ビタミンA、B郡、C等のビタミン類及びその誘導体、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸エチル、サリチル酸フェニル、ケイ皮酸ベンジル、オクチルメトキシシンナメート、シノキサート、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、無水珪酸、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、群青、黒酸化鉄、黄酸化鉄等の無機粉末、ナイロン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末等の樹脂粉末などを使用することができる。
【0050】
本発明でいう化粧料は、本発明に関する以外の部分は一般に製造に用いられる技術を使用し、製造することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するための代表的な製造装置の一例を図1にそれぞれ模式的に示すが、これに限定されるものではない。以下、この図に基づいて説明する。
【0052】
1は混合された粉体Aと粉体B、又は粉体Aを、火炎中に定量供給する為のフィーダーおよびホッパーである。2は原料粉体を火炎中に輸送する為のキャリアーガスであり、空気や窒素ガスなどが使用される。このキャリアーガスにより粉体Aと粉体Bの混合はより均一なものとなる。キャリアーガスは、乱流状態となることが必要であり、配管内レイノルズ数は3,000以上80,000以下、好ましくは5,000以上50,000以下になるよう流速、配管径などを設定する。
【0053】
3は燃焼炎を作り出す為の可燃性ガスであり、4は支燃性ガス(酸化性ガスともいう)である。原料粉体を含むキャリアガス、可燃性ガス、支燃性ガスは燃焼管5にそれぞれ導入され、火炎を形成する。炎の安定の為には同軸三重管が好ましく、さらに最内管には原料を含むキャリアーガス、最外管には支燃性ガス、両者にはさまれた管には可燃性ガスを流す方式が火炎の安定のために好ましい。支燃性ガスは複数に分けて燃焼管に導入しても構わない。燃焼管5は急激に温度が変化するので、水冷ジャケットを備えたステンレス管などを用いるとよい。一般に、セラミックスは急激な温度変化に耐えないので好ましくない。燃焼管5で生成した粉体はサイクロン6で捕集され、製品ホッパー7で回収される。またサイクロン6で分級できなかった粉体はバッグフィルター8で捕集され、微粉ホッパー9に回収される。微粉ホッパー9で回収された粉体は再度原料として用いることが可能である。燃焼排ガスは系外へ放出される。
【0054】
粉体Aを複数回火炎処理するためには、製品ホッパー7で回収された粉体をさらに原料ホッパー1に投入し、再度火炎中に供給する。この操作によって製品ホッパー7で回収される粉体が製品となる。この操作を繰り返すことにより、複数回の処理がなされる。
【0055】
【実施例】
本発明を実施例および比較例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1:
濃度100%のガス状四塩化チタンを1,000℃に、酸素96体積%と水蒸気4体積%の混合ガスを1,000℃にそれぞれ予熱して、同軸平行流ノズルを用いて、それぞれ流速45m/秒、50m/秒で反応管に導入した。内管には四塩化チタンガスを導入した。反応温度1,630℃における管内流速は計算値で8m/秒であった。また反応管内の高温滞留時間が0.1秒以下となるように、冷却空気を反応管に導入し、その後、ポリテトラフロロエチレン製バグフィルターを用いて製造された二酸化チタン粉末を捕集した。
【0056】
得られた二酸化チタン粉末は、BET換算粒子径260nm、レーザー回折/散乱式粒度分析計により測定した平均粒子径は0.6μmであった。この二酸化チタンを粉体Bとして使用した。
粉体Aとしてレーザー回折/散乱式粒度分析計による平均径が11μmの真球状アルミナを用いた。このアルミナはバイヤー法によって製造された平均径10μmのアルミナを原料にして火炎溶融法によって製造されたものであり、α化率は70%であった。この粉体Aの粒度分布を図2に示す。形状は図3に示す。
この粉体Aの製造条件を述べる。原料キャリアーガスのノズルからの噴き出し流速は40m/秒、配管内レイノルズ数は8,000であり、可燃性ガスにはLPGを用い、そのノズル噴き出し流速は60m/秒、酸化性ガスには酸素を用い、そのノズル噴き出し流速は80m/秒であった。なお、酸素は理論的にLPGを完全燃焼させるのに十分な量を導入した。原料キャリアーガスと共に平均径10μmのバイヤー法によって製造されたアルミナを導入し、平均径11μmの真球状アルミナを得た。
次に粉体Aと粉体Bの熱処理方法について述べる。LPGと酸素を同軸三重管の中間管と最外管とから、それぞれ60m/秒、80m/秒の流速でノズルから噴き出し、燃焼炎を形成した。
【0057】
ここに上記粉体Aと粉体Bをあらかじめ質量で9:1となるように樹脂袋内で震蕩混合した後、原料ホッパーに投入し、6kg/時間の供給速度で、キャリアーガスとしての空気と共に最内管で搬送し、ノズルから噴き出した。この時、原料粉体を含むキャリアーガスのノズル噴き出し流速は43m/秒、搬送する配管中でのレイノルズ数は12,000であった。固体を含む燃焼後のガスをサイクロンで固気分離し、粉体を回収した。こうして得られた粉体は、白色であり、(株)島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分析計SALD−2000Jを用いて粒度分析を実施したところ、平均粒径が14μmの球状粉体が得られた。アルミナのXRDピークからα化率を測定したところ、47%であった。粒度分布を図3に示す。原料の粒度分布(図2)と比較し、ほとんど変化していない事がわかる。
【0058】
この粉体を250質量部、エポキシ樹脂(旭化成(株)製エポキシ樹脂AER−250)100質量部とを自転・公転方式混練・脱泡機(株式会社シンキー製あわとり練太郎AR−250)で5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は1,500センチポアーズであった。
【0059】
実施例2:
窒素によって濃度60%に希釈されたガス状塩化アルミニウムと、酸素40体積%と水蒸気60体積%の混合ガスをそれぞれ1,000℃に加熱した。この両ガスを同軸平行流ノズルを用いて、それぞれ流速40m/秒、30m/秒で反応管に導入した。内管には塩化アルミニウムガスを導入した。また反応管内の高温滞留時間が0.1秒以下となるように、反応後冷却空気を反応管に導入し、その後、ポリテトラフロロエチレン製バグフィルターを用いて製造されたアルミナ粉末を捕集した。
得られた酸化アルミニウム粉末は、BET換算粒子径37nmであり、結晶形はδアルミナが主相であった。この酸化アルミニウムを原料粉体Bとして使用した。
【0060】
粉体Aとしてレーザー回折/散乱式粒度分析計による平均径が11μmの真球状アルミナを用いた。このアルミナはバイヤー法によって製造された平均径10μmのアルミナを原料にして火炎溶融法によって製造されたものであり、α化率は71%であった。この粉体は実施例1の粉体Aと同じである。
次に粉体Aと粉体B熱処理方法について述べる。LPGと酸素を同軸三重管の中間管と最外管とから、それぞれ60m/秒、80m/秒の流速でノズルから噴き出し、燃焼炎を形成した。
【0061】
ここに上記粉体Aと粉体Bをあらかじめ質量で8:2となるように樹脂袋内で震蕩混合しておき、原料ホッパーに投入し、4kg/時間の供給速度で、キャリアーガスとしての空気と共に最内管で搬送し、ノズルから噴き出した。この時、空気のノズル噴き出し流速は48m/秒、搬送する配管中でのレイノルズ数は14,000であった。固体を含む燃焼後のガスをサイクロンで固気分離し、粉体を回収した。こうして得られた粉体は白色であり、(株)島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分析計SALD−2000Jを用いて粒度分析を実施したところ、平均粒径が13μm、α化率42%である表面改質された球状粉体が得られた。得られた粉体の粒度分布を図5に、SEM写真を図6に示す。
この粉体250gを実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂(実施例1と同じ)100gと5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は1140センチポアーズであった。
【0062】
実施例3:
窒素によって濃度26%に希釈されたガス状塩化アルミニウムを1,000℃に、酸素35体積%と水蒸気65体積%の混合ガスを1,000℃にそれぞれ予熱して、同軸平行流ノズルを用いて、それぞれ流速61m/秒、55m/秒で反応管に導入した。内管には塩化アルミニウムガスを導入した。また反応管内の高温滞留時間が0.1秒以下となるように、反応後冷却空気を反応管に導入し、その後、ポリテトラフロロエチレン製バグフィルターを用いて製造されたアルミナ粉末を捕集した。
【0063】
得られた酸化アルミニウム粉末は、BET換算粒子径15nmであり、結晶形はγアルミナが主相であった。この酸化アルミニウムを原料粉体Bとして使用した。
粉体Aとしてレーザー粒度分析計による平均粒径22μmの丸み状アルミナ(昭和電工株式会社製 AS−20)を用いた。
【0064】
次にLPGと酸素を同軸三重管の中間管と最外管とから、それぞれ45m/秒、73m/秒の流速でノズルから噴き出し、燃焼炎を形成した。
ここに上記粉体Aと粉体Bをあらかじめ質量で9:1となるように混合しておき、原料ホッパーに投入し、4kg/時間の供給速度で、キャリアーガスとしての空気と共に最内管で搬送し、ノズルから噴き出した。この時、空気のノズル噴き出し流速は20m/秒、搬送する配管中でのレイノルズ数は6,000であった。固体を含む燃焼後のガスをサイクロンで固気分離し、粉体を回収した。こうして得られた粉体は、白色であり、(株)島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分析計SALD−2000Jを用いて粒度分析を実施したところ、平均粒径が25μm、α化率が78%である表面改質された球状粉体が得られた。
この粉体250gを実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂(実施例1と同じ)100gと5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は730センチポアーズであった。
【0065】
実施例4
粉体Aとして実施例2における粉体Aを用いた。この粉体は既に1回の熱処理を受けている。LPGと酸素を同軸三重管の中間管と最外管とからそれぞれ60m/秒、80m/秒の流速でノズルから噴き出し形成した熱焼炎に粉体Aを導入した。
原料の供給速度は4kg/時間であり、キャリアーガスとしての空気と供に最内管から火炎中に噴き出した。このとき、空気のノズル噴き出し流速は40m/秒、搬送する配管中でのレイノルズ数は18,000であった。固体を含む熱焼後のガスをサイクロンで固気分離し、粉体を回収した。
【0066】
こうして得られた粉体は白色であり、(株)島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分析計SALD−2000Jを用いて粒度分析を実施したところ、平均粒径が13μm、α化率55%である球状粉体が得られた。
この粉体250gを実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂(実施例1と同じ)100gと5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は1,250センチポアーズであった。
【0067】
比較例1:
実施例1における粉体Aと粉体Bとを実施例1と同じ割合で樹脂袋内で震蕩混合し、250g計量した。これとエポキシ樹脂(旭化成(株)製エポキシ樹脂AER−250)100gとを自転・公転方式混練・脱泡機(株式会社シンキー製あわとり練太郎AR−250)で5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は5,000センチポアーズ以上であった。またこの粉体Aのみで同様に粘度を測定したところ5,000センチポアーズ以上であった。
【0068】
比較例2:
実施例2における粉体Aと粉体Bとを実施例2と同じ割合で樹脂袋内で震蕩混合し、250g計量した。これとエポキシ樹脂(旭化成(株)製エポキシ樹脂AER−250)100gとを自転・公転方式混練・脱泡機(株式会社シンキー製あわとり練太郎AR−250)で5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は5,000センチポアーズ以上であった。
【0069】
比較例3:
実施例3における粉体Aと粉体Bとを実施例3と同じ割合で樹脂袋内で震蕩混合し、250g計量した。これとエポキシ樹脂(旭化成(株)製エポキシ樹脂AER−250)100gとを自転・公転方式混練・脱泡機(株式会社シンキー製あわとり練太郎AR−250)で5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は5,000センチポアーズ以上であった。またこの粉体Aのみで同様に粘度を測定したところ、4,200センチポアーズであった。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、高温火炎処理で粒子の表面だけを制御して所望に改質する新規な粒子表面改質方法が提供される。この新規な方法で表面改質して得られる粉体は有機重合体やシリコン重合体など、特に高粘性組成物と混練した際に、未処理の粉体よりは、その粘度を十分に低くする事ができる特徴を持つことが可能にされる。したがって粉体の充填率を上げても容易に成形できるため、高充填が要求される放熱フィラーや絶縁性フィラー、耐熱フィラーなどにきわめて有用である。このほか、流動性にも富む為、塗料、化粧料などとしても好適に使用できる。さらに、セラミックス成形体原料や、蛍光体原料などとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を実施する反応装置の一例を模式的に示す概略図である。
【図2】実施例1,2における原料粉体Aの累積粒度分布を示す。
【図3】実施例1,2における原料粉体Aの形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1における表面改質された粉体の累積粒度分布を示す。
【図5】実施例2における表面改質された粉体の累積粒度分布を示す。
【図6】実施例2における表面改質された粉体の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1…原料フィーダー・ホッパー
2…原料とそのキャリアガス
3…可燃性ガス
4…支燃性ガス
5…燃焼管
6…サイクロン
7…製品ホッパー
8…バグフィルター
9…微粉回収ホッパー
【発明の属する技術分野】
本発明は無機酸化物粒子の表面改質方法、およびそれによって得られる充填性、熱伝導性、粘度特性、流動性に優れた粉体、および用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、無機酸化物は補強性、難燃性、高熱伝導性、絶縁性などの機能を付加するフィラー、半導体封止剤のフィラー、塗料組成物、化粧料組成物、粘度調整剤、流動特性改良剤、帯電調整剤などとして用いられてきた。さらに球状の無機酸化物粉体は、充填性、流動性が特に優れ、ハンドリングが良好な為、高熱伝導性フィラー、半導体封止剤フィラーなどに好適に使用されてきた。例えば球状アルミナはその熱伝導率の高さから熱伝導性フィラーに、球状シリカはその高い純度から半導体封止剤フィラーに広く実用されている。
【0003】
球状化粒子を得る方法としては原料となる無機酸化物を高温火炎中に導入し、溶融状態とすることによって、その表面張力により球状化させる技術がある。原料には無機酸化物の他に金属が用いられることもある。この場合は金属の高温酸化と溶融球状化が並行して起きることになる。
【0004】
たとえばアルミナ粉末とシリカ粉末を同時に火炎中に溶射し、アルミナ中のソーダ分をシリカ粉末と反応させて低ソーダ球状アルミナを得る方法(特許文献1)、合金粉末を酸素含有ガス雰囲気下で燃焼させることにより球状複合酸化物を得る方法(特許文献2)、水酸化アルミニウム粉末あるいは酸化アルミニウム粉末のスラリーを火炎中に噴霧し、得られた微粉末を500℃以上の高温で捕集する方法(特許文献3)などがある。
【0005】
次に表面処理について記述する。
通常、無機粒子の表面は親水性であることが多い。無機粉体を有機高分子材料に充填する際には無機粒子表面を疎水化する必要がある。疎水化しなければフィラーと有機高分子材料との界面の接着が不十分となり、かつ充填率も低くなる。疎水化の手法としてシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによる無機粒子の表面処理がある。表面処理剤は疎水性の強いアルキル基などと、メトキシ基あるいはエトキシ基などの加水分解可能な官能基を一分子中に共に持った構造をしている。このメトキシ基やエトキシ基が加水分解し、アルコールが発生、残ったシラノール基などが無機粒子表面と結合する。結合した分子はアルキル基などに代表される疎水基を持つので、無機粒子は疎水性の強い表面となる。この技術は一般的に非常に多く用いられている。(例えば非特許文献1)
【0006】
次に複合粒子について説明する。複合化は多くの場合、大径粒子(以下、母粒子と呼ぶ)と小径粒子(以下、子粒子と呼ぶ)との結合によってなされ、母粒子は子粒子が持つ機能をより効果的に引き出す為に用いられる。粒径に大きな差がない場合は、期待される機能を持つ微粒子を子粒子、それを効果的に発現させるのに使われる粒子を母粒子と呼ぶことにする。
【0007】
母粒子と子粒子の結合の方法として、たとえば、機械的に母粒子と子粒子を結合させる高速気流衝撃法(特許文献4、特許文献5)、表面融合法(特許文献6)などがあり、具体的には株式会社奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(登録商標)やホソカワミクロン株式会社のメカノフュージョン(登録商標)などが例示される。他にも転動式ボールミル、高速回転粉砕機、媒体攪拌型ミルなどがあるが、いずれも粉砕媒体が母粒子や子粒子に与える衝撃、摩擦、せん断などのエネルギーによって母粒子や子粒子表面を活性化し、結合させる装置である。この処理の際に母粒子は粉砕され、微粒化することもある。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−199719号公報
【特許文献2】
特開昭63−185803号公報
【特許文献3】
特開2001−19425号公報
【特許文献4】
特公平3−2009号公報
【特許文献5】
特開平6−210152号公報
【特許文献6】
特許第2672671号
【非特許文献1】
日本ユニカー株式会社製 NUCシランカップリング剤カタログ
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機重合体組成物やシリコン重合体組成物などに代表される高粘性組成物に充填するのに好適なフィラーを安価に製造することを可能にする新規な粒子の表面改質方法を提供することを目的とするものである。すなわち、従来、組成物の熱伝導性、難燃性、絶縁性などを高める為に無機フィラーが用いられてきた。この機能をすこしでも高める為にフィラーの高充填性が要求され、製造上の取り扱いのしやすさから粉体の高流動性が求められてきた。充填性を高める為に球状フィラーが重用され、ここに表面処理を施すことによってマトリックスとの接着性を高めてきた。
【0010】
しかしながら従来の技術では、充填性のよい球状粉体を製造するプロセスと、表面処理プロセスは分離されており、生産性が非常に悪く、コストも高かった。これは球状化においては高温熱履歴が必要であるにもかかわらず、従来の表面処理剤は高温で分解する為、同一工程にするのが原理的に困難であるためであった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、大径粒子よりなる粉体(以下、「粉体A」とよぶ)と小径粒子よりなる粉体(以下、「粉体B」とよぶ)を同時に高温火炎中に導入し粉体Aの粒子表面に粉体B粒子を付着・結合させることにより、及び、無機酸化物粉体(以下、「粉体A」と呼ぶ)を可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入して得た粉体を再度可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入して表面改質することにより、有機重合体組成物やシリコン重合体組成物などに代表される高粘性組成物と混練する際にきわめて粘度の低い組成物になる作用効果を有する粉体を提供することができることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
これにより高粘性組成物においても、フィラー充填率の高い組成物を製造することが容易になる。
【0013】
すなわち、本発明は下記にある。
(1)レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径が0.5〜200μmの範囲内にある無機酸化物粉体(以下、粉体Aと呼ぶ)と、BET比表面積換算粒径が100nm以下である無機酸化物粉体(以下、粉体Bと呼ぶ)とを、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することにより、粉体Aの粒子表面を粉体B粒子により改質する方法。
【0014】
(2)レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径が0.5〜200μmの範囲内にある無機酸化物粉体(以下、粉体Aと呼ぶ)を、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することによって得られた粉体を、再度、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することを含む、粉体Aの粒子の表面を改質する方法。
【0015】
(3)可燃性ガスが、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブタン、LPG、水素、一酸化炭素のいずれか、あるいはその混合気体であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の表面改質方法。
(4)粉体Aおよび粉体Bを任意にキャリアーガスと共に火炎中に噴出する上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の表面改質方法。
【0016】
(5)粉体AがAl、Mg、Ca、Ti、Siの酸化物、あるいはそれらの混晶粒子である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の表面改質方法。
(6)粉体BがAl、Ti、Siの酸化物、あるいはそれらの混晶粒子である上記(1)〜(5)いずれか1項に記載の表面改質方法。
【0017】
(7)粉体Aは、下記〔1〕式
で定義される球形度が0.7以上の粒子である上記(5)〜(6)のいずれか1項に記載の表面改質方法。
【0018】
(8)粉体BのBET比表面積換算粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される粉体Aの平均粒径の1/10以下であることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれか1項に記載の表面改質方法。
(9)粉体Aと粉体Bの合計質量に対する粉体Aの割合が50%質量以上99質量%以下である上記(5)〜(8)いずれかに1項に記載の粉体の改質方法。
【0019】
(10)上記(5)〜(9)のいずれか1項に記載の表面改質方法によって得られる、レーザー回折/散乱式粒度分析法で測定される平均径が0.5μm〜250μmである粉体。
(11)上記(7)記載の(1)式で定義される球形度が0.7以上の粒子である上記(10)に記載の粉体。
【0020】
(12)表面疎水化処理剤により表面処理された上記(10)または(11)に記載の粉体。
(13)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を、組成物全質量中0.01%〜90質量%含むことを特徴とする有機重合体組成物。
【0021】
(14)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を、組成物全質量中0.01%〜90質量%含むことを特徴とするシリコン重合体組成物。
(15)有機重合体組成物の有機重合体が、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、及び天然樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂である上記(13)に記載の有機重合体組成物。
【0022】
(16)有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物が、コンパウンドである上記(13)〜(15)のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物。
(17)有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物が、マスターバッチである上記(13)〜(15)のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物。
【0023】
(18)上記(13)〜(17)のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物を成型してなることを特徴とする成型体。
(19)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とするスラリー。
(20)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とする塗工剤。
【0024】
(21)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とする塗料。
(22)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を表面に具備することを特徴とする構造体。
(23)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含む蛍光体原料。
(24)上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の粉体を含む化粧料。
【0025】
(25)上記(1)〜(9)の少なくともいずれか1項に記載の方法を用いた、粉体の製造方法。
【0026】
以下、発明の詳細について述べる。
本発明の粉体の表面改質方法は、粉体Aと粉体Bを高温火炎中に導入し、粉体Aの粒子表面を粉体B粒子によって修飾するものである。粉体B粒子は粉体A粒子の表面に、粉体B粒子の形状を保ったまま均一に被覆される必要はなく、粉体Bの成分が粉体A粒子表面に点在しているだけでよい。場合によっては、粉体B粒子は熱により粉体A粒子表面に接着・融合して、粉体A粒子表面上に粉体B粒子の形状を観察できなくても構わない。この場合においても、粉体Aの表面改質効果は顕著であることから、粉体Aと粉体Bとを同時に火炎中に導入することで、粉体B粒子により粉体A粒子表面が改質されていると考えられる。通常、高温の火炎中では、複数の粒子が会合・成長して、径の大きな粒子へと成長する。本発明においては粉体Aと粉体Bは同じ高温帯に導入されるが、粉体Bの方が微粒である為に、受熱面積が大きく、より溶融しやすいと考えられる。したがって、例えば可燃ガスの燃焼量を制御することにより、粉体A粒子の会合・成長を抑制し、粉体B粒子が粉体A粒子に溶融・付着する条件を見出すことができる。粉体B粒子が粉体A粒子と会合・衝突し、接着すると本発明の粉体が得られるのは明らかであるが、粉体B粒子同士の会合粒子でも、それが十分に成長する前に粉体A粒子と衝突・結合する確率が高い。これは気流中では小さな粒子が大径粒子よりはるかに動きやすい為であると考えられる。このように会合・成長した粉体B粒子が粉体A粒子と衝突・融合した粒子でも所定の粒径比を満たしていれば表面改質効果が得られる。この方法では、火炎処理を受けた粉体B粒子が粉体A粒子の表面に付着することにより粉体A粒子の表面が改質されるものであり、粉体Aと粉体Bの材質は同じであっても表面改質の効果が奏されるものである。火炎処理の条件を制御して粉体A粒子の表面における粉体B粒子の形態、結晶状態などは制御できる。また、粉体Bを粉体Aと異なる材質とすれば、粉体A粒子の表面の一部あるいは全部を粉体Bの化学組成に変えることができる。
【0027】
また、本発明の粒子の表面改質方法のもう一つの態様は、粉体Aを複数回、高温火炎中に導入し、表面改質を行うものである。1回の高温の火炎中での粒子の表面改質では、表面だけを改質しようとすると改質が不十分になり、十分に改質ようとすると粒子の内部まで熱の影響を受けたりあるいは粒子が熔融し、大きな粒子へ成長するなど、粒子の表面だけを所望の程度に改質することは困難であるのに対して、本発明に従い、粉体を複数回高温火炎中に導入して表面改質を繰返す方法では、粒子の表面だけを所望の程度まで改質することが可能にされる。高温火炎処理の回数は、火炎条件と処理しようとする粉体の融点に密接に関係している。火炎の温度と火炎滞留時間により、最適な処理回数は変わってくる。火炎の温度を低めにし、処理回数を多くした方が表面状態を制御しやすいが、製造コストは高くなる。火炎の温度が高すぎると、熱による変性を過度に受ける傾向がある。このため、処理の最適回数は火炎の熱焼状態と粉体との表面処理のバランスを勘案し、事前のテストによって決める。
【0028】
粉体AはAl、Mg、Ca、Ti、Siなどの酸化物、あるいはそれらの混晶粒子を用いることが可能である。たとえば酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、シリカなどの粒子、あるいはそれらの混晶粒子を用いることができる。レーザー回折/散乱式粒度分析計による平均粒径は0.5〜200μm、望ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜80μmであり、いかなる方法によって得られた粒子でも構わない。
【0029】
粉体A粒子の形状はいかなる形状であっても良いが、下式〔1〕
で定義される球形度が0.7以上、より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.9以上の粉体であることができる。
【0030】
粉体Bについて記述する。
粉体Bの粒径(BET比表面積換算粒径)は、レーザー回折/散乱式粒度分析計によって測定された粉体Aの平均径の1/10以下、好ましくは1/20以下のものがよい。これより大きいと表面改質後の粒子表面の凹凸が激しくなり、充填性が悪化し、例えば、樹脂と混練した時の粘度は実質的に低下しない。製法としては、たとえば比較的沸点の低い金属ハライドを気化、分解して金属酸化物を得る気相法を採用することができる。(例えば特許文献 WO01/16027)この方法によって製造される酸化物としてはアルミナやチタニア、シリカ、あるいはそれらの複合物が良く知られている。これらの気相法による粒子は一次粒子が弱い点結合で長く連なった連鎖構造体を形成している。気相法で得た粉体が本発明の原料粉体Bとして適しているのは、この連鎖構造によるところが大きい。この連鎖構造をとる粒子は、気流の抵抗を受けやすく、輸送が容易であり、粉体が気流から受けるせん断力により十分に分散した状態で火炎中に導入される。これにより、小さなレイノルズ数の火炎でも容易に分散し、粉体Aとの接触確率を高めることができる。またアルミナを例にとると、γ、δ、η、κなどの遷移アルミナ、すなわち低温相が主相を占める為、高温相であるαアルミナに比べて融点が低く、粉体Aに、より高温相の物質を選ぶことによって粉体Bのみを溶融するなどの制御も容易である。
【0031】
この粉体Aおよび粉体Bを単純混合し、火炎中に導入する。あるいは粉体をそれぞれ単独で火炎中に導入しても構わない。粉体の割合は、粉体Aと粉体Bの粒径比によって適宜変えることで好適な表面改質を行うことが可能であるが、粉体Aと粉体Bの合計量に対する粉体Aの割合が50質量%以上99質量%以下、好ましくは60質量%以上98質量%以下であるとよい。導入に際しては、窒素や空気などのキャリアーガスを用いることが可能である。粒径の異なる2成分の粉体が混合されるのであるから、導入管内レイノルズ数が3,000以上80,000以下、好ましくは5,000以上50,000以下となるようにキャリアーガス量を調整することにより、火炎中に両粉体を均一に分散させることが可能である。これより小さいと混合が不十分であり、大きいとキャリアガス量が増えるので、反応場の温度を低下させることになり好ましくない。
【0032】
粉体A粒子表面に粉体B粒子を結合させるためには高温場が用いられる。高温場発生装置はバーナーがもっとも平易な形態である。本発明では可燃性ガス・酸化性ガスとキャリアーガスとの流量比を制御することにより高温帯長や温度を調整することができる。バーナーには基本的に可燃性ガスであればすべて用いることが可能であるが、好ましくはメタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブタン、LPG、水素、一酸化炭素のいずれか、あるいはその混合気体、さらに好ましくはLPGがよい。表面改質したい物質の融点により、燃焼熱の大きな可燃性ガスおよび支燃性ガスの組み合わせを適宜選択する。燃焼帯の温度を粉体Bの融点近くに設定することが肝要である。たとえば粉体Aおよび粉体Bともに融点の高いアルミナである場合にはLPG−酸素バーナーや、水素―酸素バーナーを用いることができる。
【0033】
バーナーは粉体が火炎中に導入できればいかなる構造でも構わないが、粉体Aと粉体Bが同じノズルから同時に火炎中に導入される同軸三重管構造が混合・均一処理の観点から好ましい。すなわち最内管には原料粉体、その外側にはLPGなどの可燃性ガス、最外管には酸素や空気などの支燃性ガスを通す構造とするとよい。支燃性ガスには酸素を含むガスであればすべて用いることが可能であるが、酸素が好ましい。粉体Aと粉体Bはそれぞれ異なるノズルから火炎中に導入されてももちろんかまわない。この形態は、例えば、火炎中のノズルの導入位置を個々に調整することにより、粉体Aの熱履歴と粉体Bの熱履歴をそれぞれ個別に制御できる点で優れている。
【0034】
原料キャリアーガスのノズルからの噴き出し流速は3m/秒(以下、流速は、ノズルから噴出するガスの標準状態に換算した流量(Nm3/秒)を、噴出口の面積(m2)で除して得た流速を示す。)以上100m/秒以下、好ましくは5m/秒以上80m/秒以下が良く、配管内レイノルズ数は3,000以上、好ましくは5,000以上とするよう配管径などを決める。この条件であれば原料粉体は、通常、十分分散可能である。可燃性ガスのノズル噴き出し流速は、原料キャリアーガスの噴き出し流速の0.8倍〜4倍、好ましくは0.9倍〜2倍となるように設定する。これより小さいと高温帯が得られにくく、大きすぎると高温帯に粉体が留まりやすくなり、粒子同士の衝突・成長が起きやすくなって、凝集粒の多い粉体となる。酸化性ガスのノズル噴き出し流速は原料キャリアーガスの噴き出し流速の1倍〜11倍の範囲、好ましくは1.5倍〜6倍になるよう設定する。これにより本発明の粉体を得るのに好適な燃焼炎形状を保つことができる。
【0035】
これにより得られた製品は、サイクロンやバッグフィルターなどで捕集され、製品とされる。得られた製品は、レーザー回折/散乱式粒度分析法による平均粒径が0.5〜250μmの任意の範囲にある、表面が粉体B粒子で改質された粉体となる。
【0036】
一方、粉体Aを複数回火炎処理する場合も、上記と同様の製造装置を用いることができる。原料キャリアーガスのノズルからの噴出し流速などをはじめとした設備条件、製造条件も、粉体B粒子で粉体A粒子表面を改質する場合とまったく同じで良い。
【0037】
火炎中に導入された粉体Aは、表面だけが熱変性を受けた時点で急冷される。火炎は通常、高温帯が限られているので、特に急冷操作を行わなくてもよい。一回の高温火炎処理における表面処理効果が十分得られない場合において複数回の高温火炎処理を実施することができる。この処理回数は事前に複数回、粉体を火炎中に導入して製品を得、実用途に近い評価を行った上で最適処理回数を決める。
【0038】
本発明の粉体はさらに表面疎水化処理を行うことも可能である。この表面疎水化処理により、さらに樹脂などとの親和性が改善される。この表面疎水化処理剤はSi、Tiのアルコキシドなどに代表されるカップリング剤が使用可能である。処理方法としては表面処理剤を粉体に添加し、攪拌・加熱する乾式処理法や、表面処理剤を水系スラリーに添加する湿式法など、通常の表面疎水化処理方法が用いられる。
【0039】
本発明の表面改質された粉体は、例えば、樹脂・ゴム製品のフィラーやその改質剤、紙・塗料・印刷インキなどへの添加剤、化粧料、セラミック製品、電子部品、蛍光体原料として用いられる無機酸化物粉体等の用途に用いることができる。特に、媒体への分散性・充填性を要求される放熱フィラーなどの用途に好ましく用いることができる。
【0040】
本発明の表面改質された粉体は、例えば、有機重合体に添加して組成物として使用できる。有機重合体としては、例えば、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、天然樹脂等が挙げられる。このような有機重合体の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフイン、ナイロン6、ナイロン66、アラミドなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エポキシ樹脂、イミド系エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースおよびレーヨンその他のセルロース誘導体、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、フツ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。
【0041】
本発明の表面改質された粉体は、例えば、シリコン重合体に添加して組成物として使用できる。
本発明の表面改質された粉体を含むこれら有機重合体組成物あるいはシリコン重合体組成物は、例えば、コーティング組成物、コンパウンド(例えば、該粉体含有樹脂組成物)、及び該粉体を高濃度に含む成型体用のマスターバッチ等の形態で使用できる。有機重合体組成物またはシリコン重合体には、酸化防止剤、耐電防止剤、金属脂肪酸塩等の添加剤を添加しても良い。
【0042】
有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物中の、本発明の表面改質された粉体の濃度は、用途によって異なるが、該組成物全質量に対して0.01〜95質量%がよく、20〜90質量%が好ましい。
このような重合体組成物またはシリコン重合体組成物をフィルム、繊維、プラスチック成型体等に成型することによって、蓄熱繊維、発熱繊維、紫外線遮蔽繊維、紫外線遮蔽フィルム、放熱体、放熱シート、放熱フィルム、絶縁体、絶縁フィルム、絶縁シートなどに使用可能である。
【0043】
また、本発明の表面改質された粉体は、水や有機溶剤に分散させた後、バインダーを任意に添加して塗工剤にする事もできる。バインダー材料については、特に制限はなく、有機系バインダーであっても無機系バインダーであっても良い。
【0044】
この様なバインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、ポリアクリルアミド、アクリルアミド、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、シリコン樹脂、ビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、フツ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂等が挙げられる。さらに、無機バインダーとして、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、プロピオン酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物、アルコキシシラン、珪酸塩等の珪素化合物、或いはアルミニウムやチタンの金属アルコキシド等が挙げられる。
【0045】
また、具体的に塗工剤中のバインダーの添加量は、0.01質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%の範囲が特に好ましい。
バインダーの含有量が0.01質量%以下では、塗工後に十分な接着性を得られず、また20質量%を越えると粘度等の問題が生じ、また、経済的にも不利となる。
【0046】
こうして得られた本発明の粉体は構造体の表面に具備してもよい。このような構造体は、特に限定されるものではなく、例えば、金属、コンクリート、ガラス、陶器等の無機物から構成されるものでも良く、紙、プラスチック、木材、皮等の有機物から構成されるものでも良く、あるいは、それらを組み合わせたものであっても良い。これらの例としては、例えば、建材、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、スポーツ用品、蒲団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品、テントなどのアウトドア用品、ストッキング、靴下、手袋、マスク等が挙げられる。
【0047】
これらの、表面に具備する方法としては、特に限定するものではなく、例えば、前述の有機重合体組成物、シリコン重合体組成物や塗工剤を、構造体に直接塗布しても良いし、あるいは、表面にすでに塗膜のある構造体の上に塗布しても良い。さらに、これらの上に他の塗膜を形成しても良い。
【0048】
さらに本発明の粉体を化粧料などにも用いることも可能である。本発明の粉体を使用した化粧料は、皮膚へ塗布した際の滑らかさに優れている。この化粧料には、一般に化粧料に使用されるオイル、美白剤、保湿剤、アンチエイジング剤、エモリエント剤、エキス類、抗炎症剤、抗酸化剤、界面活性剤、キレート剤、抗菌剤、防腐剤、アミノ酸、糖類、有機酸、アルコール類、エステル類、油脂、炭化水素類、紫外線防止剤、無機粉体等の各種添加剤を添加することができる。
【0049】
具体的には、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等の溶剤、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール類、ソルビトール等の糖類、トレハロース等の二糖類、ヒアルロン酸、水溶性コラーゲンなどの保湿剤、水素添加したスクワランやオリーブオイル、ホホバオイルといった植物油、セラミド類などのエモリエント剤、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド等の安定型アスコルビン酸、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ルシノール、カミレツエキスなどの美白剤、アラントイン、グリチルリチン酸もしくはその塩類などの抗炎症剤、モノステアリン酸グリセリン、POEソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE・POPブロックポリマー、POE硬化ヒマシ油エステルなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、α−オレフィンオリゴマー等の炭化水素、アーモンドオイル、カカオオイル、マカデミアナッツオイル、アボガドオイル、ヒマシ油、ヒマワリ油、月見草油、サフラワー油、ナタネ油、馬油、牛脂、合成トリグリセライド等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、ホホバオイルなどのロウ類、ラウリル酸、アテアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、グリコール酸、酒石酸などの脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデシルアルコール、などの高級アルコール、グリセリントリエステル、ペンタエリスリトールテトラエステルなどの合成エステル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、EDTA、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウムなどのキレート剤、パラベン、ソルビン酸、イソプロピルメチルフェノール、クレゾール、安息香酸、安息香酸、エチル、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ヒノキチオール、フルフラール、ピリチオンナトリウムなどの防腐剤、殺菌剤、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、亜流酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウムなどのバッファー剤、グリシン、アラニンなどのアミノ酸類、ミリスチン酸ブチル、オレイン酸エチル、ステアリン酸エチル、などのエステル類、香料、顔料、動植物抽出物、ビタミンA、B郡、C等のビタミン類及びその誘導体、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸エチル、サリチル酸フェニル、ケイ皮酸ベンジル、オクチルメトキシシンナメート、シノキサート、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、無水珪酸、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、群青、黒酸化鉄、黄酸化鉄等の無機粉末、ナイロン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末等の樹脂粉末などを使用することができる。
【0050】
本発明でいう化粧料は、本発明に関する以外の部分は一般に製造に用いられる技術を使用し、製造することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するための代表的な製造装置の一例を図1にそれぞれ模式的に示すが、これに限定されるものではない。以下、この図に基づいて説明する。
【0052】
1は混合された粉体Aと粉体B、又は粉体Aを、火炎中に定量供給する為のフィーダーおよびホッパーである。2は原料粉体を火炎中に輸送する為のキャリアーガスであり、空気や窒素ガスなどが使用される。このキャリアーガスにより粉体Aと粉体Bの混合はより均一なものとなる。キャリアーガスは、乱流状態となることが必要であり、配管内レイノルズ数は3,000以上80,000以下、好ましくは5,000以上50,000以下になるよう流速、配管径などを設定する。
【0053】
3は燃焼炎を作り出す為の可燃性ガスであり、4は支燃性ガス(酸化性ガスともいう)である。原料粉体を含むキャリアガス、可燃性ガス、支燃性ガスは燃焼管5にそれぞれ導入され、火炎を形成する。炎の安定の為には同軸三重管が好ましく、さらに最内管には原料を含むキャリアーガス、最外管には支燃性ガス、両者にはさまれた管には可燃性ガスを流す方式が火炎の安定のために好ましい。支燃性ガスは複数に分けて燃焼管に導入しても構わない。燃焼管5は急激に温度が変化するので、水冷ジャケットを備えたステンレス管などを用いるとよい。一般に、セラミックスは急激な温度変化に耐えないので好ましくない。燃焼管5で生成した粉体はサイクロン6で捕集され、製品ホッパー7で回収される。またサイクロン6で分級できなかった粉体はバッグフィルター8で捕集され、微粉ホッパー9に回収される。微粉ホッパー9で回収された粉体は再度原料として用いることが可能である。燃焼排ガスは系外へ放出される。
【0054】
粉体Aを複数回火炎処理するためには、製品ホッパー7で回収された粉体をさらに原料ホッパー1に投入し、再度火炎中に供給する。この操作によって製品ホッパー7で回収される粉体が製品となる。この操作を繰り返すことにより、複数回の処理がなされる。
【0055】
【実施例】
本発明を実施例および比較例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1:
濃度100%のガス状四塩化チタンを1,000℃に、酸素96体積%と水蒸気4体積%の混合ガスを1,000℃にそれぞれ予熱して、同軸平行流ノズルを用いて、それぞれ流速45m/秒、50m/秒で反応管に導入した。内管には四塩化チタンガスを導入した。反応温度1,630℃における管内流速は計算値で8m/秒であった。また反応管内の高温滞留時間が0.1秒以下となるように、冷却空気を反応管に導入し、その後、ポリテトラフロロエチレン製バグフィルターを用いて製造された二酸化チタン粉末を捕集した。
【0056】
得られた二酸化チタン粉末は、BET換算粒子径260nm、レーザー回折/散乱式粒度分析計により測定した平均粒子径は0.6μmであった。この二酸化チタンを粉体Bとして使用した。
粉体Aとしてレーザー回折/散乱式粒度分析計による平均径が11μmの真球状アルミナを用いた。このアルミナはバイヤー法によって製造された平均径10μmのアルミナを原料にして火炎溶融法によって製造されたものであり、α化率は70%であった。この粉体Aの粒度分布を図2に示す。形状は図3に示す。
この粉体Aの製造条件を述べる。原料キャリアーガスのノズルからの噴き出し流速は40m/秒、配管内レイノルズ数は8,000であり、可燃性ガスにはLPGを用い、そのノズル噴き出し流速は60m/秒、酸化性ガスには酸素を用い、そのノズル噴き出し流速は80m/秒であった。なお、酸素は理論的にLPGを完全燃焼させるのに十分な量を導入した。原料キャリアーガスと共に平均径10μmのバイヤー法によって製造されたアルミナを導入し、平均径11μmの真球状アルミナを得た。
次に粉体Aと粉体Bの熱処理方法について述べる。LPGと酸素を同軸三重管の中間管と最外管とから、それぞれ60m/秒、80m/秒の流速でノズルから噴き出し、燃焼炎を形成した。
【0057】
ここに上記粉体Aと粉体Bをあらかじめ質量で9:1となるように樹脂袋内で震蕩混合した後、原料ホッパーに投入し、6kg/時間の供給速度で、キャリアーガスとしての空気と共に最内管で搬送し、ノズルから噴き出した。この時、原料粉体を含むキャリアーガスのノズル噴き出し流速は43m/秒、搬送する配管中でのレイノルズ数は12,000であった。固体を含む燃焼後のガスをサイクロンで固気分離し、粉体を回収した。こうして得られた粉体は、白色であり、(株)島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分析計SALD−2000Jを用いて粒度分析を実施したところ、平均粒径が14μmの球状粉体が得られた。アルミナのXRDピークからα化率を測定したところ、47%であった。粒度分布を図3に示す。原料の粒度分布(図2)と比較し、ほとんど変化していない事がわかる。
【0058】
この粉体を250質量部、エポキシ樹脂(旭化成(株)製エポキシ樹脂AER−250)100質量部とを自転・公転方式混練・脱泡機(株式会社シンキー製あわとり練太郎AR−250)で5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は1,500センチポアーズであった。
【0059】
実施例2:
窒素によって濃度60%に希釈されたガス状塩化アルミニウムと、酸素40体積%と水蒸気60体積%の混合ガスをそれぞれ1,000℃に加熱した。この両ガスを同軸平行流ノズルを用いて、それぞれ流速40m/秒、30m/秒で反応管に導入した。内管には塩化アルミニウムガスを導入した。また反応管内の高温滞留時間が0.1秒以下となるように、反応後冷却空気を反応管に導入し、その後、ポリテトラフロロエチレン製バグフィルターを用いて製造されたアルミナ粉末を捕集した。
得られた酸化アルミニウム粉末は、BET換算粒子径37nmであり、結晶形はδアルミナが主相であった。この酸化アルミニウムを原料粉体Bとして使用した。
【0060】
粉体Aとしてレーザー回折/散乱式粒度分析計による平均径が11μmの真球状アルミナを用いた。このアルミナはバイヤー法によって製造された平均径10μmのアルミナを原料にして火炎溶融法によって製造されたものであり、α化率は71%であった。この粉体は実施例1の粉体Aと同じである。
次に粉体Aと粉体B熱処理方法について述べる。LPGと酸素を同軸三重管の中間管と最外管とから、それぞれ60m/秒、80m/秒の流速でノズルから噴き出し、燃焼炎を形成した。
【0061】
ここに上記粉体Aと粉体Bをあらかじめ質量で8:2となるように樹脂袋内で震蕩混合しておき、原料ホッパーに投入し、4kg/時間の供給速度で、キャリアーガスとしての空気と共に最内管で搬送し、ノズルから噴き出した。この時、空気のノズル噴き出し流速は48m/秒、搬送する配管中でのレイノルズ数は14,000であった。固体を含む燃焼後のガスをサイクロンで固気分離し、粉体を回収した。こうして得られた粉体は白色であり、(株)島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分析計SALD−2000Jを用いて粒度分析を実施したところ、平均粒径が13μm、α化率42%である表面改質された球状粉体が得られた。得られた粉体の粒度分布を図5に、SEM写真を図6に示す。
この粉体250gを実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂(実施例1と同じ)100gと5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は1140センチポアーズであった。
【0062】
実施例3:
窒素によって濃度26%に希釈されたガス状塩化アルミニウムを1,000℃に、酸素35体積%と水蒸気65体積%の混合ガスを1,000℃にそれぞれ予熱して、同軸平行流ノズルを用いて、それぞれ流速61m/秒、55m/秒で反応管に導入した。内管には塩化アルミニウムガスを導入した。また反応管内の高温滞留時間が0.1秒以下となるように、反応後冷却空気を反応管に導入し、その後、ポリテトラフロロエチレン製バグフィルターを用いて製造されたアルミナ粉末を捕集した。
【0063】
得られた酸化アルミニウム粉末は、BET換算粒子径15nmであり、結晶形はγアルミナが主相であった。この酸化アルミニウムを原料粉体Bとして使用した。
粉体Aとしてレーザー粒度分析計による平均粒径22μmの丸み状アルミナ(昭和電工株式会社製 AS−20)を用いた。
【0064】
次にLPGと酸素を同軸三重管の中間管と最外管とから、それぞれ45m/秒、73m/秒の流速でノズルから噴き出し、燃焼炎を形成した。
ここに上記粉体Aと粉体Bをあらかじめ質量で9:1となるように混合しておき、原料ホッパーに投入し、4kg/時間の供給速度で、キャリアーガスとしての空気と共に最内管で搬送し、ノズルから噴き出した。この時、空気のノズル噴き出し流速は20m/秒、搬送する配管中でのレイノルズ数は6,000であった。固体を含む燃焼後のガスをサイクロンで固気分離し、粉体を回収した。こうして得られた粉体は、白色であり、(株)島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分析計SALD−2000Jを用いて粒度分析を実施したところ、平均粒径が25μm、α化率が78%である表面改質された球状粉体が得られた。
この粉体250gを実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂(実施例1と同じ)100gと5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は730センチポアーズであった。
【0065】
実施例4
粉体Aとして実施例2における粉体Aを用いた。この粉体は既に1回の熱処理を受けている。LPGと酸素を同軸三重管の中間管と最外管とからそれぞれ60m/秒、80m/秒の流速でノズルから噴き出し形成した熱焼炎に粉体Aを導入した。
原料の供給速度は4kg/時間であり、キャリアーガスとしての空気と供に最内管から火炎中に噴き出した。このとき、空気のノズル噴き出し流速は40m/秒、搬送する配管中でのレイノルズ数は18,000であった。固体を含む熱焼後のガスをサイクロンで固気分離し、粉体を回収した。
【0066】
こうして得られた粉体は白色であり、(株)島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分析計SALD−2000Jを用いて粒度分析を実施したところ、平均粒径が13μm、α化率55%である球状粉体が得られた。
この粉体250gを実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂(実施例1と同じ)100gと5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は1,250センチポアーズであった。
【0067】
比較例1:
実施例1における粉体Aと粉体Bとを実施例1と同じ割合で樹脂袋内で震蕩混合し、250g計量した。これとエポキシ樹脂(旭化成(株)製エポキシ樹脂AER−250)100gとを自転・公転方式混練・脱泡機(株式会社シンキー製あわとり練太郎AR−250)で5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は5,000センチポアーズ以上であった。またこの粉体Aのみで同様に粘度を測定したところ5,000センチポアーズ以上であった。
【0068】
比較例2:
実施例2における粉体Aと粉体Bとを実施例2と同じ割合で樹脂袋内で震蕩混合し、250g計量した。これとエポキシ樹脂(旭化成(株)製エポキシ樹脂AER−250)100gとを自転・公転方式混練・脱泡機(株式会社シンキー製あわとり練太郎AR−250)で5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は5,000センチポアーズ以上であった。
【0069】
比較例3:
実施例3における粉体Aと粉体Bとを実施例3と同じ割合で樹脂袋内で震蕩混合し、250g計量した。これとエポキシ樹脂(旭化成(株)製エポキシ樹脂AER−250)100gとを自転・公転方式混練・脱泡機(株式会社シンキー製あわとり練太郎AR−250)で5分間混練し、1分間脱泡を行い、25℃に調整した後、B型粘度計で粘度を測定した。粘度は5,000センチポアーズ以上であった。またこの粉体Aのみで同様に粘度を測定したところ、4,200センチポアーズであった。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、高温火炎処理で粒子の表面だけを制御して所望に改質する新規な粒子表面改質方法が提供される。この新規な方法で表面改質して得られる粉体は有機重合体やシリコン重合体など、特に高粘性組成物と混練した際に、未処理の粉体よりは、その粘度を十分に低くする事ができる特徴を持つことが可能にされる。したがって粉体の充填率を上げても容易に成形できるため、高充填が要求される放熱フィラーや絶縁性フィラー、耐熱フィラーなどにきわめて有用である。このほか、流動性にも富む為、塗料、化粧料などとしても好適に使用できる。さらに、セラミックス成形体原料や、蛍光体原料などとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を実施する反応装置の一例を模式的に示す概略図である。
【図2】実施例1,2における原料粉体Aの累積粒度分布を示す。
【図3】実施例1,2における原料粉体Aの形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1における表面改質された粉体の累積粒度分布を示す。
【図5】実施例2における表面改質された粉体の累積粒度分布を示す。
【図6】実施例2における表面改質された粉体の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1…原料フィーダー・ホッパー
2…原料とそのキャリアガス
3…可燃性ガス
4…支燃性ガス
5…燃焼管
6…サイクロン
7…製品ホッパー
8…バグフィルター
9…微粉回収ホッパー
Claims (25)
- レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径が0.5〜200μmの範囲内にある無機酸化物粉体(以下、粉体Aと呼ぶ)と、BET比表面積換算粒径が100nm以下である無機酸化物粉体(以下、粉体Bと呼ぶ)とを、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することにより、粉体Aの粒子表面を粉体B粒子により改質する方法。
- レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径が0.5〜200μmの範囲内にある無機酸化物粉体(以下、粉体Aと呼ぶ)を、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することによって得られた粉体を、再度、可燃性ガスと支燃性ガスによって形成される高温火炎中に導入することを含む、粉体A粒子の表面を改質する方法。
- 可燃性ガスが、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブタン、LPG、水素、一酸化炭素のいずれか、あるいはその混合気体であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面改質方法。
- 粉体Aおよび粉体Bを任意にキャリアーガスと共に火炎中に噴出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面改質方法。
- 粉体AがAl、Mg、Ca、Ti、Siの酸化物、あるいはそれらの混晶粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面改質方法。
- 粉体BがAl、Ti、Siの酸化物、あるいはそれらの混晶粒子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面改質方法。
- 粉体BのBET比表面積換算粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される粉体Aの平均粒径の1/10以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の表面改質方法。
- 粉体Aと粉体Bの合計質量に対する粉体Aの割合が50%質量以上99質量%以下である請求項5〜8のいずれかに1項に記載の粉体の改質方法。
- 請求項5〜9のいずれか1項に記載の表面改質方法によって得られる、レーザー回折/散乱式粒度分析法で測定される平均径が0.5μm〜250μmである粉体。
- 請求項7記載の(1)式で定義される球形度が0.7以上の粒子である請求項10に記載の粉体。
- 表面疎水化処理剤により表面処理された請求項10または11に記載の粉体。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の粉体を、組成物全質量中0.01%〜90質量%含むことを特徴とする有機重合体組成物。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の粉体を、組成物全質量中0.01%〜90質量%含むことを特徴とするシリコン重合体組成物。
- 有機重合体組成物の有機重合体が、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、及び天然樹脂〜なる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂である請求項13に記載の有機重合体組成物。
- 有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物が、コンパウンドである請求項13〜15のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物。
- 有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物が、マスターバッチである請求項13〜15のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物。
- 請求項13〜17のいずれか1項に記載の有機重合体組成物またはシリコン重合体組成物を成型してなることを特徴とする成型体。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とするスラリー。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とする塗工剤。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の粉体を含むことを特徴とする塗料。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の粉体を表面に具備することを特徴とする構造体。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の粉体を含む蛍光体原料。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の粉体を含む化粧料。
- 請求項1〜9の少なくともいずれか1項に記載の方法を用いた、粉体の製造方法。
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