JP2004262122A - 合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置及び供給方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクリュー71aとケーシング71bとよりなる合成樹脂成形機7の加熱シリンダ71の原料投入口70に設置される樹脂原料の供給装置であって、原料投入口70には、原料投入用内筒部5と、この内筒部5を取囲み吸引装置81に接続された排気用外筒部6とが連設され、上記吸引装置81により、原料投入口70に堆積した樹脂原料を吸引輸送し、上記供給装置を構成する原料供給ラインの上流側にリサイクルする手段8を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂成形機に樹脂原料を供給する装置、更に詳細には、スクリューとケーシングから成る加熱シリンダで加熱・搬送中に発生する水蒸気やガスを速やかに排出させながら、成形機による合成樹脂成形品に銀条や空洞等を発生させない供給装置並びに供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリューとケーシングから成る加熱シリンダにより樹脂原料を搬送・加熱溶融させながら、合成樹脂成形機(押出成形機、射出成形機)に溶融樹脂を注入させて、合成樹脂成形品を生産するに際し、樹脂の溶融領域である加熱シリンダのケーシング内では、樹脂原料に付着する水分による水蒸気、或いは樹脂成分(モノマー、オリゴマー或いは溶剤)による分解ガスや揮発ガスが発生する。このような水蒸気やガスは、成形機に至るまでに十分に除去されていないと、成形機で生産される合成樹脂成形品に銀条や空洞等が発生し、製品不良の原因となる。
【0003】
特許文献1は、このような製品不良を生じさせないための合成樹脂成形機用のガスや水分等の除去装置を開示するものである。本特許文献1においては、成形機を構成する加熱シリンダの樹脂原料投入口(材料供給口)に、内筒部(材料導入管)と、これを取り囲む外筒部(筒状下部体)とを設け、内筒部から加熱シリンダに樹脂原料を投入しながら、外筒部に接続された吸引空気源により上記原料投入口を経て加熱シリンダ内を吸引排気するものである。
【0004】
特許文献2は、更に改善されたものであり、未乾燥樹脂ペレットを射出成形機のシリンダ内に供給して最初の射出を行い、最初の射出から所定時間経過後に射出された樹脂パージの品質を検査して得られた単位ショット当たりの最適な堆積量でもって射出を行って射出成形を行う方法を開示するものである。
【0005】
【特許文献1】
実公平7−2182号公報
【特許文献2】
WO99/33630号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示されたガスや水蒸気等(以下、ガスと言う)の除去装置は、加熱シリンダで樹脂原料を成形機に向け搬送させながら加熱溶融させる際に、そのケーシング内で発生するガスを、吸引空気源により逐次排出させんとするものであるが、なお以下のような解決すべき課題があった。
【0007】
即ち、連続的に供給される樹脂原料が、加熱シリンダによりその先側の成形機への注入口(ノズル)に向け搬送されるに従い、加熱シリンダのケーシング内が溶融した樹脂によって閉塞されるようになり、先側部分で発生するガスの排気が十分に行われなくなる。
【0008】
また、投入された樹脂原料が樹脂原料投入口付近に一旦堆積・滞留し、その後ケーシング内に給送されるような挙動を示す。図5はこのような現象を説明する図である。図5において、内筒部nの先端部は原料投入口hの略中央部に位置しており、内筒部nから樹脂原料pが連続的に投入されると、図のように原料投入口h付近に樹脂原料pが一時的に堆積・滞留しながら、スクリューsによりその先側に給送される。その為、ケーシングcの入口部分が滞留する樹脂原料により閉塞されるような状態が生じることがあり、外筒部gからの排気は図の矢印に示すようにスクリューのエンド部分からのリークエアが主体となり、ケーシングcの先側部分の排気効率を低下させる原因になっていた。
【0009】
このように、ケーシング内の排気が十分になされないと、溶融樹脂がガスを内包したまま成形機に注入されることになる為、銀条や空洞の発生の原因となり、製品不良がなお発生することがあった。また、特許文献2の方法の場合、常に最適な堆積量でもって射出を行うから、このような問題が生じないが、成形工程毎に樹脂パージを何度も実施する必要があり、生産効率が悪くなると言う問題点があった。
【0010】
本発明は上記のような実情に鑑みなされたものであり、加熱シリンダのケーシング内で発生するガスを速やか且つ滞ることなく排気させ、成形機による製品に上記銀条や空洞等の品質不良を生じさせない合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置及び供給方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置は、クリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に設置される樹脂原料の供給装置であって、原料投入口には、原料投入用内筒部と、この内筒部を取囲み吸引装置に接続された排気用外筒部とが連設され、上記吸引装置により、原料投入口に堆積した樹脂原料を吸引輸送し、上記供給装置を構成する原料供給ラインの上流側にリサイクルする手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、吸引装置により加熱シリンダのケーシング内で発生するガスが逐次排出されるから、銀条や空洞等の原因となる溶融樹脂内でのガスの滞留が生じない。そして、この吸引装置により、原料投入口に堆積した樹脂原料を吸引輸送し、上記供給装置を構成する供給ラインの上流側にリサイクルする手段を備えているから、原料投入口に堆積する樹脂原料は速やかに取り除かれ、従って、原料投入口付近での樹脂原料による閉塞状態が発生せず、ケーシング内で発生するガスの排出が滞ることなくなされる。しかも、ここで取り除かれる樹脂原料は、供給装置を構成する供給ラインの上流側にリサイクルされ再利用されるから、無駄がなく極めて効率的である。また、加熱シリンダ内を排気する為の吸引装置が、リサイクルの為の空気輸送用吸引空気源をも兼ねるから、樹脂原料の供給ライン全体が大型化することなくコンパクトに構成される。
【0013】
請求項2の発明は、上記内筒部上にはダンパーが設けられると共に、このダンパーと内筒部との間に内筒部内の大気開放弁が設けられ、且つ上記吸引装置における吸引ラインの途中には捕集機が設けられ、このダンパー、大気開放弁、吸引ライン及び捕集機により上記リサイクルする手段が構成されることを特徴とする。
【0014】
そして、上記のように構成されたリサイクルする手段は、請求項3の発明のように、更に上記ダンパー及び大気開放弁を開閉制御する制御手段を含み、該制御手段は、加熱シリンダへの樹脂原料の投入完了後、上記ダンパーを閉鎖すると共に大気開放弁を開放するよう制御するものであることを特徴とする。
【0015】
このように構成されたリサイクル手段においては、加熱シリンダへの樹脂原料の投入完了後、上記ダンパーが閉鎖され且つ大気開放弁が開放されると、大気開放弁から流入する空気がキャリヤガスとなって、原料投入口付近に堆積する樹脂原料が吸引され、吸引ラインを空気輸送されて捕集機に捕集される。そしてこの捕集された樹脂原料は、原料供給ラインの上流側にリサイクルされて再利用される。
【0016】
上記ダンパー上には樹脂原料の供給機の排出口が連設され(請求項4)、上記ダンパーは、少なくともこの上記供給機の作動時に開とされるものであり(請求項5)、更にこの供給機上には、原料供給ラインの末端を構成するチャージタンクが設置され、該チャージタンクの上端原料投入口にはその上流側の原料供給ラインと気密的に遮断可能な第2のダンパーを設ける(請求項6)よう構成することが望ましい。
【0017】
このように構成すれば、原料供給ラインから給送される樹脂原料は、一旦チャージタンクに貯留され、その後上記供給機によりその排出量が調整されながら、前記原料投入口に投入される。チャージタンクへの樹脂原料の投入・貯留の際は、上記第2のダンパーは開とされる(請求項7)が、原料供給機により成形機過熱シリンダの原料投入口に樹脂原料を投入しながら樹脂成形品の生産を行う際は、供給機下の上記ダンパーは開とされこの第2のダンパーは閉とされて、その上流側の原料供給ラインとの間が気密的に遮断される。従って、上記吸引装置によるケーシング内の排気の際には、リーク箇所が少なく、ケーシング内の減圧・排気が効率的になされる。
【0018】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれかの発明において、上記吸引装置が、吸引エアを脈動させる手段を備えていることを特徴とする。このような脈動手段を採用すれば、排気流の脈動作用によりケーシング内で樹脂原料の閉塞やブリッジが生じず、その先側で発生するガスも速やか且つ滞ることなく排出される。特に、この排気流は、定常排気に比べ脈動時の作用エネルギーが大きいから、ケーシング内で樹脂原料の閉塞やブリッジが生じる傾向にあっても、それが崩されて閉塞やブリッジの発生が未然に防止されるのである。
【0019】
請求項9に係る発明は、上記供給装置による合成樹脂成形機用樹脂原料を供給する方法であって、上記加熱シリンダのケーシング内を吸引装置により吸引・減圧させながら原料投入口に樹脂原料を投入し、この投入が完了後、上記吸引装置により原料投入口に堆積する樹脂原料を吸引輸送し、上記供給装置を構成する供給ラインの上流側にリサイクルすることを特徴とする。
【0020】
そして、上記原料投入口に堆積する樹脂原料の吸引輸送は、請求項10の発明のように、上記樹脂原料の投入完了後、内筒部とその上部の原料供給機の排出口との間に設けられたダンパーを閉鎖し、内筒部の大気開放弁を開放することにより行われる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明が採用される合成樹脂成形装置への樹脂原料の供給システムを示す全体構成図であり、図2は同システムにおける第1の実施形態の要部の概略的拡大縦断面図である。
【0022】
図1おいて、1は本システムの主原料である合成樹脂ペレットを貯留するメインホッパーであり、この下端には原料排出用のスクリューフィーダ(主原料供給機)1aが取付られている。11は、ロードセル11aによりメインホッパー1から排出され主原料を、後記するリサイクル原料と共に定量計量をする計量ホッパーである。尚、図では省略するが、この計量ホッパー11には適宜着色剤も投入可能とされるものである。
【0023】
12は空気輸送ラインであって、上記計量ホッパー11で計量された樹脂原料は、計量ホッパー11下端の吸引筒11bからこの空気輸送ライン12に沿って空気輸送され、吸引ホッパー2に捕集される。13はこの空気輸送用吸引ブロアであり、13aはフィルターである。図では、吸引ブロア13による吸引エアを大気に放出するようにしているが、吸引ブロア13の下流側に3方弁及び熱交換器を介して空気輸送ライン12に接続し、気流混合・予備昇温の為の気流循環系を構成することも可能である。このようにすれば吸引ホッパー2に捕集された樹脂原料は、吸引ホッパー2内で加熱エアとの接触により予備昇温される。21は、吸引ホッパー2内の樹脂原料が所定量になったか否かを検出するレベルセンサである。
【0024】
上記吸引ホッパー2の下端には、エアシリンダ31aで作動する第2のダンパー31(上部ダンパー)を介してチャージタンク3が連設され、吸引ホッパー2に捕集された樹脂原料は、このダンパー31を開とすることにより、その上端原料投入口32よりチャージタンク3内に投入される。33は、チャージタンク3内の樹脂原料が所定量になったか否かを検出するレベルセンサである。ダンパー31は、チャージタンク3とその上流側供給ラインとを気密的に遮断するよう構成される。
【0025】
上記チャージタンク3の下端には、可変速モータ41により回転駆動されるスクリューフィーダ(原料供給機)4が設置され、更にこのスクリューフィーダ4の後記する内筒部5に通じる排出口43には、エアシリンダ42aで作動するダンパー42(下部ダンパー)を介し、後記する二重筒5、6に接続されて合成樹脂成形機7の原料投入口70に連接されている。合成樹脂成形機7は、図2に示すように、スクリュー71a及びそのケーシング71bからなる加熱シリンダ71と、該スクリュー71aを前方に移動させる油圧シリンダ72と、スクリュー71aを軸回転させるモータ73と、上記ケーシング71bの廻りに添装されるヒータ74と、加熱シリンダ71の先端ノズル部71cに密着的に配置される射出若しくは押出金型75とよりなる。
【0026】
上記原料投入口70より投入された樹脂原料Pは、スクリュー71aの回転により、ケーシング71b内をノズル部71c方向に給送されながら、ヒータ74により加熱溶融される。溶融樹脂は、先端のノズル部71c付近で高密度に圧縮される。その後、油圧シリンダ72のラム72aの作動によりスクリュー71aが図1及び図2の左方に移動し、これにより溶融樹脂がノズル部71cより射出され、金型75のコア内に注入される。冷却硬化後、金型75が脱型され合成樹脂成形品が取出される。
【0027】
上記二重筒は、原料投入用内筒部5と、この内筒部5を取囲む排気用外筒部6とよりなる。内筒部5は、上記スクリューフィーダ4の排出口43にダンパー42を介して連接され、スクリューフィーダ4から排出される樹脂原料は、この内筒部5内を経て上記原料投入口70より成形機の加熱シリンダ71に投入される。この原料投入口70には、この付近に樹脂原料が堆積しているか否かを検出する検出手段(レベルセンサ)51が設けられており、このレベルセンサ51については後記する
【0028】
上記排気用外筒部6は、内筒部5を取囲むよう配置され、その下端開口部は原料投入口70と連通する。この外筒部6の途中に吸引口61が設けられている。該吸引口61には、吸引ライン80が配管接続され、この吸引ライン80の途中には捕集機83が配設され、該捕集機83の一次側は脈動発生装置82を介して排気用吸引ブロア81が配管接続されている。この捕集機83の下端排出筒84にはエアシリンダで作動する2つのダンパー84a、84bが上下に併設されている。脈動発生装置82は、連続回転するモータ(不図示)により作動する弁体からなり、この弁体の回転に伴う吸引ライン80の交互の開閉動作により、吸引ライン80中の吸引気流に強弱を付与して吸引気流を脈動させんとするものである。この脈動吸引装置81、82により、成形機の加熱シリンダ71内は600torr程度に減圧される。
【0029】
斯くして、前記上部ダンパー31を閉じ、且つ下部ダンパー42を開としてスクリューフィーダ(原料供給機)4を作動させると、チャージタンク3内の樹脂原料Pが、上記排出口43及び内筒部5より原料投入口70を経て、成形機7の加熱シリンダ71内に投入される。投入された樹脂原料Pはスクリュー71aの回転により、ケーシング71bの先側に順次給送され、この給送の間ヒータ74により加熱溶融される。
【0030】
排気用外筒部6には、吸引口61を介して吸引ブロア81が配管接続されているから、上記樹脂原料の投入及びケーシング71b内の樹脂原料の給送の際、該外筒部6内から原料投入口70を経てケーシング71b内が減圧吸引され、ケーシング71b内で発生するガスが逐次排出される。この時、上記ダンパー31は、チャージタンク3とその上流の供給ラインとを気密的に遮断するから、この部分でのリークがなく、減圧吸引が効率的になされる。
【0031】
しかも、この吸引気流には、上記脈動発生装置82により脈動が付与されているから、この脈動により定常排気に比べ大きな作用エネルギーが発現され、加熱シリンダ71のケーシング71b内で溶融樹脂の閉塞やブリッジが生じる傾向にあっても、それが崩されてその発生が未然に防止される。従って、ケーシング71b内にはガスが流通し得る空隙が常に形成され、スクリューエンドから多少のリークがあっても、ケーシング71b内の先側で樹脂の溶融と共に発生するガスが逐次効率的に排出される。
【0032】
一方、上記下部ダンパー42と内筒部5との間の筒状部側壁には、大気導入口52が開設され、この大気導入口52には電磁弁により作動する大気開放弁53が配管接続されている。この大気開放弁53、下部ダンパー42、上記吸引ライン80及び捕集機83(吸引ブロア81を含む)により堆積樹脂原料をリサイクルする手段8が構成される。
【0033】
即ち、原料供給機4による、原料投入口70から成形機7の加熱シリンダ71内への樹脂原料の投入が完了した後に、下部ダンパー42を閉じ、大気開放弁53を開とすると、大気導入口52より大量の空気が流入し、これがキャリヤガスとなって、原料投入口70付近に堆積する樹脂原料Pが筒部6の吸引口61から吸引され、吸引ライン80を空気輸送されて捕集機83に捕集される。従って、原料投入口70付近には樹脂原料が堆積していない状態で、次の原料投入・成形工程が実行されるから、成形機7のケーシング71b内は、樹脂原料の閉塞がなく、発生するガスが速やかに排出されるのである。
【0034】
次に、上記各部の作動制御について、図3の動作タイムチャート図、及び図4の制御ブロック図も参照して説明する。図3において、前段階として、吸引ホッパー2のレベルセンサ21の検出信号により、空気輸送用吸引ブロア13が作動し、後記するように計量ホッパー11で既に計量済みの所定量の樹脂原料が、吸引筒11bより空気輸送され吸引ホッパー2に捕集される。レベルセンサ21が満信号を発すれば、吸引ブロア13が停止する。これらの動作は、以下の工程とは独立的に、レベルセンサ21の検出信号に基づきなされる。またこの間、上部ダンパー31は閉とされ、チャージタンク3以下とは気密的に遮断状態とされる。
【0035】
成形工程の開始時においては、成形機7は、前工程における保圧が解除され、脱型後型締めがなされた待機状態であり、この状態では油圧シリンダ72は無負荷ではあるがラム72aは伸張した状態で、従ってスクリュー71aはケーシング71b内で前進位置に待機している。また、排気用吸引ブロア81は常時オンとされている。そして、下部ダンパー42が閉とされ、上部ダンパー31が開とされると、吸引ホッパー2内の樹脂原料は自然落下によりチャージタンク3に投入される。チャージタンク3内のレベルセンサ33が満信号を発すると、上部ダンパー31が閉じられると共に、下部ダンパー42が開とされる。下部ダンパー42は、上部ダンパー31が開とされる時には閉とされ、チャージタンク3への樹脂原料の投入の際にも、上記成形機7の加熱シリンダ71内が減圧状態を維持するようになされる。
【0036】
この状態で、成形機7への樹脂原料Pの投入及び成形工程の準備が完了する。そして、成形機7から計量開始信号sw1が発せられる(t0)と、成形機7のモータ73がオンとされ、スクリュー71aは図2のA方向に回転を開始する。若干の時間t1遅延して供給機(スクリューフィーダ)4がオンとされ、その作動が開始する。この遅延時間t1は、成形機7の上記原料投入口70付近に堆積している樹脂原料Pを、加熱シリンダ71内の先側に給送するに十分な時間として設定されるが、投入開始時に原料投入口70付近に樹脂原料が堆積しないことが実証されれば、この遅延時間t1は特に設ける必要はない。
【0037】
上記のように供給機4の作動により投入された樹脂原料Pは、加熱シリンダ71内の先側に逐次給送されるが、供給機4からの排出量によっては、原料投入口70付近に樹脂原料が堆積・滞留することもある。この堆積樹脂を原料投入口70付近に設けられた前記レベルセンサ51が検出すると有信号が発し、これにより供給機4が停止する。この供給機4の停止の間も、スクリュー71aの回転が継続しているから、堆積樹脂が加熱シリンダ71内の先側に給送される。その後、樹脂原料の堆積がなくなると、レベルセンサ51が無信号を発し、これを受けて供給機4の作動が再開する。
【0038】
成形機7から計量完了信号sw2が発せられる(t2)までこれを繰り返す。このように、レベルセンサ51の出力信号に基づき供給機4の作動制御がなされるから、原料投入口70付近での樹脂原料の堆積が抑制され、この付近での排気を阻害するような閉塞状態が生じ難くなる。従って、加熱シリンダ71の先側で発生するガスは、外筒部6から吸引口61を経て吸引ブロア81より逐次排出され、溶融樹脂内にガスが滞留することによる銀条や空洞の発生がなく、品質の良い成形品が製せられる。
【0039】
上記のように投入された樹脂原料Pは、スクリュー71aの回転に伴う給送作用により、加熱シリンダ71のケーシング71b内先側に逐次給送されながらヒータ74により加熱溶融される。ケーシング71b内先側に溶融樹脂が圧送されるに伴い、加熱シリンダ71にはその反力が加わる。この時油圧シリンダ72は無負荷状態であるから、ラム72aはこの反力により縮退する。ラム72aが縮退し、所定位置に設置された位置センサ(不図示)を動作させると、計量完了信号sw2が発信され(t2)、これに基づき成形機7のモータ73がオフとされ、程なく供給機4も停止する。
【0040】
その後、成形機7の油圧シリンダ72が作動し、ラム72aが伸張して加熱シリンダ71の先端部に滞留する1ショット分の溶融樹脂がノズル71cから射出され、金型75に注入される。所定時間保圧状態(油圧シリンダ72が作動状態)に維持され、その後油圧シリンダ72の作動を解除し、無負荷状態とした上で冷却・脱型がなされる。
【0041】
上記計量完了信号sw2の発信と同時にスクリュー71a及び供給機4も同時に作動が停止する。この時、1ショット分よりやや多め(例えば1ショット分を50gとすれば51〜53g程度)の樹脂原料が予め計量され、チャージタンク3に一次貯留されるようにしているから、上記スクリュー71a及び供給機4が停止した時には、原料投入口70には余分の樹脂原料Pが堆積・滞留する。
【0042】
そこで、下部ダンパー42を閉じ、大気開放弁53を開とすると、吸引ブロア81が常時オンとされているから、この大気開放弁53から大気導入口52を経て大量の空気が内筒内に流入する。この流入空気がキャリヤガスとなって、上記堆積する樹脂原料を吸引し、外筒部6に設けられた吸引口61より吸引ライン80を空気輸送されて捕集機83に捕集される。この時、捕集機83の排出筒84に設けられた上側のダンパー84aは閉とされ、下側のダンパー84bは開とされている。従って、捕集回収された樹脂原料は捕集機83に貯留される。尚、この堆積樹脂の回収・捕集時には。上記脈動装置は停止されていることが望ましい。
【0043】
その後、レベルセンサ51の無信号により(タイマー設定により所定時間経過後としてもよい)、堆積樹脂が全て捕集・回収されたと判断し、上記大気開放弁53を閉じると共に下部ダンパー42を開とする。引き続き、上記排出筒84に設けられた上側のダンパー84aを開とし、下側のダンパー84bを閉じて、捕集機83内の回収樹脂を、両ダンパー84a、84b間の排出筒84内に移す。その後上側のダンパー84aを閉じ、下側のダンパー84bを開いて排出筒84内の回収樹脂を計量ホッパー11に投下させる。このようなダンパー操作は、成形機7内の減圧状態を維持した状態で、堆積樹脂の回収及び排出を行うことを可能とするもので、原料供給及び成形工程の効率化を図る上で極めて有効である。
【0044】
上記回収樹脂の計量ホッパー11への投下と並行して、メインホッパー1のスクリューフィーダ(主原料供給機)1aを作動させ、計量ホッパー11に主原料を投入する。この計量ホッパー11では、回収樹脂と主原料とを合わせて上記のように1ショット分よりやや多めに設定された所定量になるまで計量され、所定量に達すると、ロードセル11aの信号により主原料供給機1aが停止し、次の工程の待機状態となる。
【0045】
尚、上部ダンパー31が開状態で樹脂原料がチャージタンク3に投入されている時に、吸引ホッパー2内の原料レベルが下がり、そのレベルセンサ21が空信号(原料要求信号)を発する場合がある。この時、上部ダンパー31を閉とすると共に、下部ダンパー42を開とした上で、空気輸送用ブロア13を作動させ、前述と同様に、吸引ホッパー2に各樹脂原料を空気輸送して捕集し、チャージタンク3のレベルセンサ33が満信号を発するまでこれを繰り返して、次の成形工程の為の準備をなすよう動作シークエンスを構成することも可能である。
【0046】
図4は上記動作を実行するための制御ブロックを示すものであり、制御手段としてのCPU9が上述のような動作シークエンスを司る。CPU9は、レベルセンサ21からの原料要求信号により空気輸送用ブロア13を作動させ、またレベルセンサ33からの原料要求信号により上部ダンパー31を開とし、これに伴い下部ダンパー42の開閉指示を行う。更に、成形機7の計量開始信号sw1を受けて供給機4を作動させ、同計量完了信号sw2を受けて供給機4を停止させるよう制御を行う。この時、原料投入口70に設けられたレベルセンサ51の原料有無信号も合わせ、供給機4の上記作動制御を行う。
【0047】
その他、大気開放弁53の開閉制御、排気用吸引ブロア81の作動制御、原料ホッパー1おけるスクリューフィーダ1aの作動制御、ロードセル11aの作動制御、ダンパー84a、84bの開閉制御などもこのCPU9により実行されることは言うまでもない。尚、成形機7の油圧シリンダ72やモータ73の作動制御は、不図示の成形機独自の制御シークエンスによりなされ、本発明の樹脂原料供給システムでは、成形機7からの上記計量開始信号sw1及び計量完了信号sw2が入力されて上記の作動制御がなされる。
【0048】
尚、本発明は、上記実施形態における樹脂原料供給システムに限定されるものではなく、本発明を逸脱しない限り他の供給システムにも適用されるものであることは言うまでもない。また、各レベルセンサ21、33、51としては、接触型センサ、抵抗型センサ、距離センサ、光電センサ、ビームセンサ等粉粒体処理システムに採用される公知のセンサが用いられる。更に、供給機4として、スクリューフィーダの例を示したが、ロータリーバルブその他のフィーダも採用可能であり、加えてこれら電動式フィーダを用いず、ダンパー42を供給機4とみなし、この開閉を制御するようにしても良い。
【0049】
【発明の効果】
上記のように、請求項1及び9の発明によれば、吸引装置により加熱シリンダのケーシング内で発生するガスが逐次排出されるから、銀条や空洞等の原因となる溶融樹脂内でのガスの滞留が生じない。そして、この吸引装置により、原料投入口に堆積した樹脂原料を吸引輸送し、上記供給装置を構成する供給ラインの上流側にリサイクルする手段を備えているから、原料投入口に堆積する樹脂原料は速やかに取り除かれ、従って、原料投入口付近での樹脂原料による閉塞状態が発生せず、加熱シリンダ内で発生するガスの排出が滞ることなくなされる。
【0050】
しかも、ここで取り除かれる樹脂原料は、供給装置を構成する供給ラインの上流側にリサイクルされるから、無駄がなく極めて効率的である。また、加熱シリンダ内を排気する為の吸引装置が、リサイクルの為の空気輸送用吸引空気源をも兼ねるから、樹脂原料の供給ライン全体が大型化することなくコンパクトに構成される。このように、本発明を合成樹脂成形機の樹脂原料の供給システムに採用すれば、銀条や空洞等のない高品質の成形品が効率的に製せられる。
【0051】
特に、請求項2、3及び9の発明を採用すれば、ダンパー及び大気開放弁の操作で、極めて簡易且つ効率的に堆積樹脂のリサイクルがなされる。また、請求項4〜7の発明のように、各供給システム部間に気密的に遮断するダンパーを設け、このダンパーを供給工程に応じて自動的に開閉制御するようにすれば、吸引排気装置による排気効率を低下させることなく、また樹脂原料供給及び樹脂成形がより効率的になされる。
【0052】
更に、請求項8に係る発明のような脈動手段を採用すれば、排気流の脈動作用により加熱シリンダ内で樹脂原料の閉塞やブリッジが生じず、その先側で発生するガスも速やか且つ滞ることなく排出される。特に、この排気流は、定常排気に比べ脈動時の作用エネルギーが大きいから、ケーシング内で樹脂原料の閉塞やブリッジが生じる傾向にあっても、それが崩されて閉塞やブリッジの発生が未然に防止されるのであり、原料投入口での樹脂原料の堆積を生じさせない効果と相俟って、ケーシング内で発生するガスを速やかに排出させ、より高品質の成形品の製造を約束させるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が採用される合成樹脂成形装置への樹脂原料の供給システムを示す全体構成図である。
【図2】同システムにおける実施形態の要部の概略的拡大縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態についての動作タイムチャート図である。
【図4】同制御ブロック図である。
【図5】従来の加熱シリンダにおける樹脂原料の挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
3 チャージタンク
31 第2のダンパー(上部ダンパー)
4 原料供給機
42 ダンパー(下部ダンパー)
43 排出口
5 原料投入用内筒部
53 大気開放弁
6 排気用外筒部
7 合成樹脂成形機
70 原料投入口
71 加熱シリンダ
71a スクリュー
71b ケーシング
74 加熱ヒータ
8 リサイクル手段
80 吸引ライン
81 吸引装置
82 脈動装置
83 捕集機
Claims (10)
- スクリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に設置される樹脂原料の供給装置であって、
原料投入口には、原料投入用内筒部と、この内筒部を取囲み吸引装置に接続された排気用外筒部とが連設され、上記吸引装置により、原料投入口に堆積した樹脂原料を吸引輸送し、上記供給装置を構成する原料供給ラインの上流側にリサイクルする手段を備えたことを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項1において、
上記内筒部上にはダンパーが設けられると共に、このダンパーと内筒部との間に内筒部内の大気開放弁が設けられ、且つ上記吸引装置における吸引ラインの途中には捕集機が設けられ、このダンパー、大気開放弁、吸引ライン及び捕集機により上記リサイクルする手段が構成されることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項2において、
上記リサイクルする手段は、更に上記ダンパー及び大気開放弁を開閉制御する制御手段を含み、該制御手段は、加熱シリンダへの樹脂原料の投入完了後、上記ダンパーを閉鎖すると共に大気開放弁を開放するよう制御するものであることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項2又は3において、
上記ダンパー上には樹脂原料の供給機の排出口が連設されていることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項4において、
上記ダンパーは、少なくとも上記供給機の作動時に開とされるものであることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項5において、
上記供給機上には、原料供給ラインの末端を構成するチャージタンクが設置され、該チャージタンクの上端原料投入口にはその上流側の原料供給ラインと気密的に遮断可能な第2のダンパーが設けられていることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項6において、
上記第2のダンパーは、チャージタンクに樹脂原料が投入される時のみ開とされるものであることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
上記吸引装置が、吸引エアを脈動させる手段を備えていることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - スクリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に樹脂原料を供給する方法であって、
上記ケーシング内を吸引装置により吸引・減圧させながら原料投入口に樹脂原料を投入し、この投入が完了後、上記吸引装置により原料投入口に堆積する樹脂原料を吸引輸送し、上記供給装置を構成する供給ラインの上流側にリサイクルすることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給方法。 - 請求項9において、
上記原料投入口に堆積する樹脂原料の吸引輸送は、上記樹脂原料の投入完了後、内筒部とその上部の原料供給機の排出口との間に設けられたダンパーを閉鎖し、内筒部の大気開放弁を開放することにより行われるものであることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給方法。
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