JP6409019B2 - 射出成形機用水分率調整機構、水分率調整機能付き射出成形機 - Google Patents
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Description
ここで、オンラインとは、一連の射出成形プロセスに際し、原料の水分率を低下させるプロセスが同時かつ連続して行われることを指す。具体的には、オンラインとは、ホッパーに供給された原料がシリンダに投入される間に、原料の水分率を低下させる処理が、中断されること無く連続して、同時平行に行われることを指す。
「射出成形システムの概要について」
図1〜図3に示すように、射出成形システムは、射出成形機1と、吸引装置2と、エアパージ装置3と、ベント異常検知装置4と、を有している。なお、吸引装置2、エアパージ装置3、ベント異常検知装置4は、射出成形機1の構成要素となり得る。
更に、射出成形機1は、射出成形用スクリュ5(以下、スクリュ5という)と、バレル6と、ベント機構7と、加熱装置8と、後述する水分率調整機構41と、を備えている。バレル6には、中空円筒形状の内周面10sを有するシリンダ10が構成されている。シリンダ10は、バレル6に沿って真っ直ぐに構成されている。
かかる構成によれば、スクリュ5をシリンダ10に挿通させた状態において、回転移動装置によって、スクリュ5は、直線状の軸線16を中心に回転可能となると共に、軸線16に沿って移動可能となる。
ベント機構7を通してシリンダ10内を負圧に引いた状態において、スクリュ5を回転させる。このとき、スクリュ5は、その先端をノズル14に近接させた状態で回転する。ここで、ホッパー11に原料13(例えば、ペレット)を供給すると、当該原料13は、後述する水分率調整機構41から投入口12を通って、シリンダ10内に投入される。
図1〜図2に示すように、スクリュ5において、定量移送部5a、供給部5b、圧縮部5c、計量部5dは、それぞれ、スクリュ本体33,34,35,36、及び、フライト37,38,39,40によって構成されている。フライト37,38,39,40は、スクリュ本体33,34,35,36の外周面33s,34s,35s,36sに沿って螺旋状にねじれて構成されている。なお、フライト37,38,39,40の詳細は後述する。
スクリュ本体33〜36(スクリュ5)は、その基端に、上記した回転移動装置が連結されるように構成されている。スクリュ本体33〜36(スクリュ5)は、当該基端から先端に亘って、上記した直線状の軸線16に沿って真っ直ぐに構成されている。スクリュ本体33〜36(スクリュ5)は、軸線16を中心に同心円状に構成されている。スクリュ本体33〜36(スクリュ5)の基端から先端に向かって順に、定量移送部5a、供給部5b、圧縮部5c、計量部5dが並んで構成されている。かかる構成によれば、スクリュ本体33〜36(スクリュ5)をシリンダ10に挿通させた状態において、回転移動装置によって、スクリュ本体33〜36(スクリュ5)は、軸線16を中心に回転可能となると共に、軸線16に沿って移動可能となる。
フライト37,38,39,40は、シリンダ10内に投入された原料13を、定量移送部5a、供給部5b、圧縮部5c、計量部5dの順に、連続的に搬送するように構成されている。フライト37〜40は、互いに同一方向に向かって螺旋状にねじれている。フライト37〜40のねじれ方向としては、例えば、右ねじと同様に時計回りに設定してもよいし、或いは、左ねじと同様に逆時計回りに設定してもよい。
本実施形態のスクリュ5によれば、第1仕様として、第1スクリュ本体33の差渡し寸法(直径)33dを、第2スクリュ本体34の差渡し寸法(直径)34dよりも大きく設定する。又は、第2仕様として、第1フライト37のフライト幅(厚さ)を、第2フライト38のフライト幅(厚さ)よりも大きく設定する。そして、第3仕様として、上記した第1仕様と第2仕様の双方を同時に適用する。これにより、シリンダ10内に投入された原料13を、定量移送部5aによって、定量的かつ安定的に供給部5bに移送することができる。この結果、原料供給装置を別途備えることなく、一定量の原料に対する射出成形が可能となる。
図1〜図3に示すように、ベント機構7の配置は、定量移送部5a、供給部5b、圧縮部5c、計量部5dに対向するバレル6のうち、供給部5bに対向した範囲のバレル6に設けるように設定することが好ましい。具体的には、ベント機構7を設ける位置は、射出時にスクリュ5を軸線16に沿ってバレル6の先端に移動させた状態において、供給部5bに対向した範囲のバレル6のうち、バレル6の基端に最も近接した部分に設定することが好ましい。なお、供給部5bのうち、バレル6の先端寄りの部分は、原料13の可塑化が始まっている。このため、当該部分にベント機構7を設けた場合、ベントアップ現象を生じ易い。
水分率調整機構41は、次のように構成されている。即ち、原料13がホッパー11からシリンダ10に投入される間に、言い換えれば、原料13がシリンダ11に投入される直前に、オンラインで原料13の水分率を低下させる。これにより、ベント機構7の脱気能力の不足分を補う。この結果、シリンダ10に投入される原料13の水分率を、ベント機構7の脱気能力の範囲内にする。
水分率調整機構41は、貯留ユニット43を有している。貯留ユニット43は、予め設定された分量の原料13を一時的に貯留可能に構成されている。貯留ユニット43には、ホッパー11を連結可能に構成されている。
水分率調整機構41は、加熱ユニット45を有している。加熱ユニット45は、上記した貯留ユニット43に一時的に貯留された原料13を加熱可能に構成されている。ここで、加熱ユニット45による「原料13を加熱」とは、例えば、加熱ユニット45により「可塑化させること無く、原料13を温めること」ないし「温めた原料13を保温すること」を意図している。加熱ユニット45は、外側加熱機構46と、内側加熱機構47と、を備えている。なお、外側加熱機構46は、図示しない制御部によって制御される。内側加熱機構47は、後述する制御部50によって制御される。
例えば、水分率がベント機構7の脱気能力を僅かに超えてしまった原料13、言い換えれば、吸湿が比較的小さい原料13が、貯留ユニット43(第1及び第2貯留部43a,43b)の貯留空間44に貯留された状態において、射出成形機1を作動させる。このとき、受け渡し部48cには、内側加熱機構47によって、取込部52(一端48a)から取り込まれた熱媒体(空気)51が連続的に流動する。射出成形機1から発生した熱は、伝熱管48の受け渡し部48cを介して熱媒体(空気)51に受け渡される。
貯留ユニット43に貯留可能な原料13の貯留容量は、シリンダ10の断面積と、機械的仕様値である最大ストロークとの積として表わされる射出成形機固有の最大射出容量を基に設定される。
Q2≦Q1≦3.0×Q2
なる関係を満足するように設定することが好ましい。
200cm3≦Q1≦600cm3
なる関係を満足するように設定する。
本実施形態によれば、原料13がシリンダ11に投入される直前に、オンラインで原料13の水分率を低下させる。これにより、シリンダ10に投入される原料13の水分率を、ベント機構7の脱気能力の範囲内にすることができる。この結果、脱気不良に起因した品質劣化を未然に防止することができる。この場合、水分率を低下させた原料13は、その吸湿が比較的小さくなっている。このため、当該原料13に対して、わざわざ乾燥機を用いて、通常の工程では行われない乾燥機による乾燥(即ち、オフラインによる原料の水分率の低下処理)を行う必要は無い。
43…貯留ユニット、43a…第1貯留部、43b…第2貯留部、45…加熱ユニット、
46…外側加熱機構、47…内側加熱機構、48…伝熱管、52…取込部、
54a,54b…放出部、57…排気構造体。
Claims (12)
- 原料がバレルに構成されたシリンダに投入される直前に、オンラインで前記原料の水分率を低下させる射出成形機用水分率調整機構であって、
前記バレルの外面から前記シリンダの内周面に亘って貫通して設けられた投入口に嵌め込み可能に構成され、予め設定された分量の前記原料を一時的に貯留する貯留ユニットと、
前記貯留ユニットに貯留された前記原料を加熱する加熱ユニットと、を有し、
前記貯留ユニットに貯留可能な前記原料の貯留容量Q1は、射出成形機固有の最大射出容量Q2に対して、
Q2≦Q1≦3.0×Q2
なる関係を満足する
射出成形機用水分率調整機構。 - 前記貯留ユニットは、
第1貯留部と、
前記投入口に嵌め込み可能な第2貯留部と、を備え、
前記第2貯留部の貯留容量は、前記第1貯留部の貯留容量よりも小さく設定され、
前記第1貯留部に貯留された前記原料は、重力作用を受けることで、前記第1貯留部から前記第2貯留部に向かって徐々に落下しつつ移動する請求項1に記載の射出成形機用水分率調整機構。 - 前記加熱ユニットは、
前記貯留ユニットの外側に設けられた外側加熱機構と、
前記貯留ユニットの内側に設けられた内側加熱機構と、を備え、
前記外側加熱機構は、前記貯留ユニットに貯留された前記原料を、前記貯留ユニットの外側から加熱すると共に、
前記内側加熱機構は、前記貯留ユニットに貯留された前記原料を、前記貯留ユニットの内側から加熱する請求項1に記載の射出成形機用水分率調整機構。 - 前記内側加熱機構は、
両端を有する一連の中空管構造を成し、一端から熱媒体を取込可能で、かつ、他端から前記熱媒体を放出可能な伝熱管と、
前記他端から放出する際の前記熱媒体の温度を測定可能な温度センサと、
前記温度センサの測定結果に基づいて、前記伝熱管の前記一端から取り込むべき前記熱媒体の取込状態を制御する制御部と、を有し、
前記伝熱管には、前記一端と前記他端との間の領域に亘って、外部の熱を前記熱媒体に受け渡し可能な受け渡し部が構成されていると共に、
前記伝熱管の前記他端は、前記貯留ユニットの内側に配置され、
射出成形機から発生した熱は、前記受け渡し部を介して前記熱媒体に受け渡された後、前記伝熱管の前記他端から前記貯留ユニットの内側に前記熱媒体と共に放出され、これにより、前記貯留ユニットに貯留された前記原料を加熱する請求項3に記載の射出成形機用水分率調整機構。 - 前記伝熱管の前記他端は、前記貯留ユニットの内側の貯留空間のうち、その中央部分に位置付けられ、
前記熱媒体の放出方向は、前記他端の周囲に向けて放射状に設定されている請求項4に記載の射出成形機用水分率調整機構。 - 前記貯留ユニットは、その内側から外側に貫通した排気構造体を有し、
前記貯留ユニットの内側に放出された前記熱媒体は、前記排気構造体を通って、機外に排気される請求項4に記載の射出成形機用水分率調整機構。 - 原料がバレルに構成されたシリンダに投入される直前に、オンラインで前記原料の水分率を低下させる水分率調整機能付き射出成形機であって、
前記バレルの外面から前記シリンダの内周面に亘って貫通して設けられた投入口に嵌め込み可能に構成され、予め設定された分量の前記原料を一時的に貯留する貯留ユニットと、
前記貯留ユニットに貯留された前記原料を加熱する加熱ユニットと、を備え、
前記貯留ユニットに貯留可能な前記原料の貯留容量Q1は、射出成形機固有の最大射出容量Q2に対して、
Q2≦Q1≦3.0×Q2
なる関係を満足する水分率調整機能付き射出成形機。 - 前記貯留ユニットは、
第1貯留部と、
前記投入口に嵌め込み可能な第2貯留部と、を備え、
前記第2貯留部の貯留容量は、前記第1貯留部の貯留容量よりも小さく設定され、
前記第1貯留部に貯留された前記原料は、重力作用を受けることで、前記第1貯留部から前記第2貯留部に向かって徐々に落下しつつ移動する請求項7に記載の水分率調整機能付き射出成形機。 - 前記加熱ユニットは、
前記貯留ユニットの外側に設けられた外側加熱機構と、
前記貯留ユニットの内側に設けられた内側加熱機構と、を備え、
前記外側加熱機構は、前記貯留ユニットに貯留された前記原料を、前記貯留ユニットの外側から加熱すると共に、
前記内側加熱機構は、前記貯留ユニットに貯留された前記原料を、前記貯留ユニットの内側から加熱する請求項7に記載の水分率調整機能付き射出成形機。 - 前記内側加熱機構は、
両端を有する一連の中空管構造を成し、一端から熱媒体を取込可能で、かつ、他端から前記熱媒体を放出可能な伝熱管と、
前記他端から放出する際の前記熱媒体の温度を測定可能な温度センサと、
前記温度センサの測定結果に基づいて、前記伝熱管の前記一端から取り込むべき前記熱媒体の取込状態を制御する制御部と、を有し、
前記伝熱管には、前記一端と前記他端との間の領域に亘って、外部の熱を前記熱媒体に受け渡し可能な受け渡し部が構成されていると共に、
前記伝熱管の前記他端は、前記貯留ユニットの内側に配置され、
射出成形機から発生した熱は、前記受け渡し部を介して前記熱媒体に受け渡された後、前記伝熱管の前記他端から前記貯留ユニットの内側に前記熱媒体と共に放出され、これにより、前記貯留ユニットに貯留された前記原料を加熱する請求項9に記載の水分率調整機能付き射出成形機。 - 前記伝熱管の前記他端は、前記貯留ユニットの内側の貯留空間のうち、その中央部分に位置付けられ、
前記熱媒体の放出方向は、前記他端の周囲に向けて放射状に設定されている請求項10に記載の水分率調整機能付き射出成形機。 - 前記貯留ユニットは、その内側から外側に貫通した排気構造体を有し、
前記貯留ユニットの内側に放出された前記熱媒体は、前記排気構造体を通って、機外に排気される請求項10に記載の水分率調整機能付き射出成形機。
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