JP2013130383A - 加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂材料などの被加熱物の温度変化速度を精度よく制御できる、加熱装置を提供する。
【解決手段】ヒータ5の温度を最終温度目標値SVまで変化させる過程が複数の大ステップに分割されて、各大ステップにおけるヒータ5の温度変化速度の目標値TS1STが設定される。また、各大ステップが複数の小ステップに分割されて、各小ステップにおけるヒータ5の温度変化速度の目標値TS2STが設定される。そして、温度センサ7によって樹脂材料の温度が検出され、その検出温度に基づいて、各小ステップでは、ヒータ5の温度が目標値TS2STで変化するように制御される。また、大ステップとしては、ヒータ5の温度が目標値TS1STで変化するように制御される。
【選択図】図1

Description

本発明は、被加熱物を乾燥などの目的で加熱する加熱装置に関する。
たとえば、樹脂材料(エンプラ材料など)は、吸湿性を有しており、大気中の水分を吸収する。水分を多く含んだ樹脂材料を用いて射出成形加工が行われると、射出成形機内での樹脂の加水分解による成形品の強度の低下を生じたり、成形品の表面に銀条(シルバーストリーク)が生じたりする場合がある。そのため、射出成形機への樹脂材料の供給前に、通常、樹脂材料から水分を除去するための予備乾燥が行われる。
予備乾燥のための乾燥装置として、樹脂材料を収容する乾燥ホッパの周壁にバンド状のヒータが巻装された構成のものがある。この伝導加熱型の乾燥装置(伝導伝熱乾燥機)では、たとえば、ヒータの温度目標値が設定され、その温度目標値に基づいて、ヒータが制御される。乾燥ホッパ内に収容された樹脂材料は、ヒータとの温度差によって加熱される。これにより、樹脂材料から水分が蒸発し、樹脂材料が乾燥する。
また、樹脂材料を収容する乾燥ホッパに熱風(加熱エア)が供給される構成のものがある。この熱風加熱型の乾燥装置(熱風乾燥機)では、供給ラインを流通するエアがヒータで加熱されることによって熱風となる。そして、供給ラインから乾燥ホッパに熱風が供給され、熱風が乾燥ホッパ内を通過して排気ラインに排出される。熱風が乾燥ホッパ内を通過する際に、乾燥ホッパ内の樹脂材料に含まれる水分が熱風に奪われ、樹脂材料が乾燥する。
特開2004−308928号公報
樹脂材料の乾燥効率の向上などのために、樹脂材料の温度変化速度の制御が求められることがある。たとえば、樹脂材料の表面の含水率と内部の含水率とに大差が生じないように乾燥を進行させることができれば、限界含水率を小さくすることができ、樹脂材料を効率よく乾燥させることができる。そのような乾燥の進行を実現するために、樹脂材料の温度変化速度の制御が必要となる。
伝導加熱型の乾燥装置では、樹脂材料の温度変化速度は、ヒータの温度および樹脂材料の比熱によって決まる。そのため、ヒータの温度が温度目標値に達するまでに費やされる時間を単に増減して、ヒータの温度変化勾配を調整することにより、樹脂材料の温度変化速度を制御する手法が一般的である。しかしながら、樹脂材料の物性や外部要因などにより、樹脂材料の温度変化がヒータの温度変化に必ずしも追従するとは限らない。したがって、従来の一般的な手法では、樹脂材料の温度変化速度を精度よく制御することが困難である。
また、熱風加熱型の乾燥装置では、樹脂材料の温度変化速度は、乾燥ホッパに供給される熱風の風量および樹脂材料の比熱によって決まる。そのため、熱風の風量が風量目標値に達するまでに費やされる時間を単に増減して、熱風の風量変化勾配を調整することにより、樹脂材料の温度変化速度を制御する手法が一般的である。しかしながら、樹脂材料の物性や外部要因などにより、樹脂材料の温度変化が熱風の風量変化に必ずしも追従するとは限らない。したがって、従来の一般的な手法では、樹脂材料の温度変化速度を精度よく制御することが困難である。
本発明の目的は、樹脂材料などの被加熱物の温度変化速度を精度よく制御できる、加熱装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る加熱装置は、被加熱物を収容するための加熱容器と、前記加熱容器内に収容された前記被加熱物に熱を与えるための加熱手段と、前記加熱手段の出力熱量を最終熱量目標値まで変化させる過程を複数の大ステップに分割して、各大ステップにおける前記加熱手段の出力熱量変化速度の目標値である大ステップ熱量変化速度を設定する大ステップ設定手段と、各大ステップを複数の小ステップに分割して、各小ステップにおける前記加熱手段の出力熱量変化速度の目標値である小ステップ熱量変化速度を設定する小ステップ設定手段と、各小ステップでは、前記加熱手段の出力熱量が前記小ステップ熱量変化速度で変化し、各大ステップとしては、前記加熱手段の出力熱量が前記大ステップ熱量変化速度で変化するように、前記加熱手段の出力熱量を制御する熱量制御手段とを含む。
加熱容器内に収容された被加熱物は、加熱手段からの熱を受けて昇温する。加熱手段の出力熱量を最終熱量目標値まで変化させる際には、その最終熱量目標値まで変化させる過程が複数の大ステップに分割されて、各大ステップにおいて、加熱手段の熱量変化速度の目標値である大ステップ熱量変化速度が設定される。また、各大ステップが複数の小ステップに分割されて、各小ステップにおいて、加熱手段の熱量変化速度の目標値である小ステップ熱量変化速度が設定される。
そして、各小ステップにおいて、加熱手段の出力熱量が小ステップ熱量変化速度で変化するように、加熱手段の出力熱量が制御される。また、各大ステップにおいて、加熱手段の出力熱量が大ステップ熱量変化速度で変化するように、加熱手段の出力熱量が制御される。
たとえば、被加熱物が乾燥のために加熱される場合、小ステップ熱量変化速度が相対的に大きい値に設定され、大ステップ熱量変化速度が相対的に小さい値に設定されることにより、各小ステップ単位では、被加熱物の表面を乾燥させることができ、大ステップ単位では、被加熱物の内部を乾燥させることができる。その結果、被加熱物を効率よく、かつ良好に乾燥させることができる。
加熱手段の出力熱量を最終熱量目標値まで変化させる過程が複数の大ステップに分割され、さらに各大ステップが複数の小ステップに分割されるので、各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2STは、比較的短い時間である。そのため、各小ステップで被加熱物の温度が急激に大きく変化することを抑制できる。その結果、被加熱物の温度にハンチングが生じることを抑制できる。
そして、たとえ小ステップで被加熱物の温度が大きく変化したとしても、大ステップにおいて、加熱手段の出力熱量の変化速度が大ステップ熱量変化速度に調節されることにより、その小ステップでの大きな温度変化の影響をなくすことができる。
よって、被加熱物の温度変化速度を精度よく制御することができる。
加熱手段が加熱容器内を直接的に加熱する発熱体である場合、つまり加熱装置が伝導加熱型の加熱装置である場合、発熱体の温度を変化させることにより、加熱手段の出力熱量を変化させてもよい。
この場合、発熱体の温度を最終温度目標値まで変化させる過程が複数の大ステップに分割されて、各大ステップにおける発熱体の温度変化速度の目標値である大ステップ温度変化速度TS1STが設定される。また、各大ステップが複数の小ステップに分割されて、各小ステップにおける発熱体の温度変化速度の目標値である小ステップ温度変化速度TS2STが設定される。
そして、温度検出手段によって被加熱物の温度が検出され、その検出温度に基づいて、各小ステップでは、発熱体の温度が小ステップ温度変化速度TS2STで変化するように制御されるとよい。また、大ステップとしては、発熱体の温度が大ステップ温度変化速度TS1STで変化するように制御されるとよい。これにより、小ステップにおいて、発熱体の温度変化勾配が調整され、大ステップにおいて、最終温度目標値までの被加熱物の温度変化勾配が調整される。
各小ステップでは、1つ前の小ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)と各小ステップに割り当てられる温度変化幅である小ステップ温度TV2STとの加算値が現在の小ステップにおける温度目標値TSV(n)とされる。
温度検出手段によって検出される温度が温度目標値TSV(n)以上であり、かつ、現在の小ステップの開始からの経過時間が各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2ST以上であるという小ステップ終了条件が満たされた後、現在の小ステップにおける発熱体の制御が終了されることが好ましい。
すなわち、被加熱物の温度が温度目標値TSV(n)に達していない状態では、現在の小ステップにおける発熱体の制御が終了されず、次の小ステップにおける発熱体の制御は開始されないことが好ましい。また、小ステップ時間dT2STが経過するまでは、現在の小ステップにおける発熱体の制御が終了されず、次の小ステップにおける発熱体の制御が開始されないことが好ましい。これにより、被加熱物の温度変化速度を小ステップ温度変化速度TS2STに良好に合わせることができる。
各大ステップでは、1つ前の大ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)と各大ステップに割り当てられる大ステップ温度TV1STとの加算値が現在の大ステップにおける温度目標値TSV(n)とされる。
温度検出手段によって検出される温度が温度目標値TSV(n)以上であり、かつ、現在の大ステップの開始からの経過時間が各大ステップに割り当てられる大ステップ時間T1ST以上であるという大ステップ終了条件が満たされた後、現在の大ステップにおける発熱体の制御が終了されることが好ましい。
すなわち、被加熱物の温度が温度目標値TSV(n)に達していない状態では、現在の大ステップにおける発熱体の制御が終了されず、次の大ステップにおける発熱体の制御は開始されないことが好ましい。その結果、発熱体と被加熱物との温度差が開くことを抑制でき、被加熱物の温度変化を発熱体の温度変化に良好に追従させることができる。
また、大ステップ時間T1STが経過するまでは、現在の大ステップにおける発熱体の制御が終了されず、次の大ステップにおける発熱体の制御が開始されないことが好ましい。その結果、被加熱物の温度変化速度を大ステップ温度変化速度TS1STに良好に合わせることができる。
大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間内に、温度検出手段によって検出される温度が温度目標値TSV(n)を含む所定温度範囲内に収まれば、被加熱物の温度が安定していると判定されて、その後、大ステップにおける発熱体の制御が終了されることがより好ましい。
これにより、被加熱物の温度が安定しない状態、たとえば、被加熱物の温度がハンチングを生じている状態で、次の大ステップにおける発熱体の制御が開始されることを防止できる。その結果、発熱体の制御が不安定な状態または不能になることを防止できる。
大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間の終了時点で、発熱体の制御における操作量(制御出力)が所定時間内に演算された操作量の平均値を含む所定操作量範囲内であれば、発熱体の制御が安定していると判定されて、大ステップにおける発熱体の制御が終了されることがより好ましい。
これにより、制御系に入力される外乱などが原因で発熱体の制御が安定していない状態で、次の大ステップにおける発熱体の制御が開始されることを防止できる。その結果、発熱体の制御がさらに不安定な状態または不能になることを防止できる。
大ステップ終了条件が満たされ、温度検出手段によって検出される温度が温度目標値TSV(n)と被加熱物からの放熱を考慮して当該温度目標値TSV(n)に応じて設定される補正係数Kmとの乗算値Km・TSV(n)以上であることが確認された後、大ステップにおける発熱体の制御が終了されることがより好ましい。
被加熱物からの放熱のために、被加熱物の温度は、温度目標値TSV(n)よりも低くなる。そこで、大ステップ終了条件が満たされた後、被加熱物の温度がその放熱を考慮した温度Km・TSV(n)以上であれば、被加熱物の温度変化が完了していると判断することができる。そして、被加熱物の温度変化が完了した後に、次の大ステップにおける発熱体の制御が開始されることにより、発熱体の制御が不安定な状態または不能になることを一層防止できる。
加熱装置には、温度目標値TSV(n)と被加熱物の温度変化速度TSmtとの関係を定めた検量線を記憶する記憶手段が備えられていてもよい。そして、大ステップに含まれるすべての小ステップにおける発熱体の温度制御が完了してから、大ステップ温度TV1STを検量線から求められる前記温度目標値TSV(n)に応じた温度変化速度Smtで除して得られる時間TV1ST/Smtが経過した後、大ステップにおける発熱体の温度制御が終了されることがより好ましい。
被加熱物の温度は、発熱体の温度よりも遅れて変化する。そこで、大ステップに含まれるすべての小ステップにおける発熱体の温度制御が完了してから時間TV1ST/TSmtが経過した後、大ステップにおける発熱体の制御が終了される。これにより、被加熱物の温度変化が確実に完了してから次の大ステップにおける発熱体の制御を開始することができる。その結果、発熱体の制御が不安定な状態または不能になることを一層防止できる。
加熱手段が加熱容器内に熱風を供給する熱風供給手段である場合、つまり加熱装置が熱風加熱型の加熱装置である場合、熱風の風量を変化させることにより、加熱手段の出力熱量を変化させてもよい。
この場合、熱風の風量を最終風量目標値まで変化させる過程が複数の大ステップに分割されて、各大ステップにおける熱風の風量変化速度の目標値である大ステップ風量変化速度QS1STが設定される。また、各大ステップが複数の小ステップに分割されて、各小ステップにおける熱風の風量変化速度の目標値である小ステップ風量変化速度QS2STが設定される。そして、各小ステップでは、熱風の風量が小ステップ風量変化速度QS2STで変化するように制御されるとよい。また、大ステップとしては、熱風の風量が大ステップ風量変化速度QS1STで変化するように制御されるとよい。
各小ステップでは、温度検出手段によって被加熱物の温度が検出され、その検出温度が熱風の温度の目標値である温度目標値SV以上であり、かつ、現在の小ステップの開始からの経過時間が各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2ST以上であるという小ステップ終了条件が満たされた後、現在の小ステップにおける熱風の風量制御が終了されることが好ましい。
すなわち、被加熱物の温度が温度目標値SVに達していない状態では、現在の小ステップにおける熱風の風量制御が終了されず、次の小ステップにおける熱風の風量制御は開始されないことが好ましい。また、小ステップ時間dT2STが経過するまでは、現在の小ステップにおける熱風の風量制御が終了されず、次の小ステップにおける熱風の風量制御が開始されないことが好ましい。その結果、熱風の風量の変化速度を小ステップ風量変化速度QS2STに良好に合わせることができる。
各大ステップでは、大ステップに含まれるすべての小ステップにおける熱風の風量制御が完了し、かつ、現在の大ステップの開始からの経過時間が各大ステップに割り当てられる大ステップ時間T1ST以上であるという大ステップ終了条件が満たされた後、現在の大ステップにおける熱風の風量制御が終了されることが好ましい。
すなわち、熱風の風量が風量目標値QSV(n)に達していない状態では、現在の大ステップにおける熱風の風量制御が終了されず、次の大ステップにおける熱風の風量制御は開始されないことが好ましい。また、大ステップ時間T1STが経過するまでは、現在の大ステップにおける熱風の風量制御が終了されず、次の大ステップにおける熱風の風量制御が開始されないことが好ましい。その結果、被加熱物の実際の温度変化速度を大ステップ風量変化速度QS1STに良好に合わせることができる。
大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間内に、温度検出手段によって検出される温度が熱風の温度の目標値である温度目標値SVを含む所定温度範囲内に収まれば、被加熱物の温度が安定していると判定されて、その後、大ステップにおける熱風の風量制御が終了されることがより好ましい。
これにより、被加熱物の温度が安定しない状態、たとえば、被加熱物の温度がハンチングを生じている状態で、次の大ステップにおける熱風の風量制御が開始されることを防止できる。その結果、熱風の風量制御が不安定な状態または不能になることを防止できる。
また、熱風供給手段にエアを加熱する発熱体が含まれ、この発熱体の温度が温度目標値SVとなるように制御される場合に、熱風の風量が変化すると、これに伴って、発熱体の制御における操作量(制御出力)が変動する。そこで、大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間の終了時点で、発熱体の制御における操作量が所定時間内に演算された操作量の平均値を含む所定操作量範囲内であれば、熱風の風量制御が安定していると判定されて、大ステップにおける熱風の風量制御が終了されることがより好ましい。
これにより、制御系に入力される外乱などが原因で熱風の風量制御が安定していない状態で、次の大ステップにおける熱風の風量制御が開始されることを防止できる。その結果、熱風の風量制御がさらに不安定な状態または不能になることを防止できる。
大ステップ終了条件が満たされ、温度検出手段によって検出される温度が温度目標値SV、被加熱物からの放熱を考慮して熱風の風量に応じて設定される補正係数Km1および温度目標値SVに応じて設定される補正係数Km2の乗算値Km1・Km2・SV以上であることが確認された後、大ステップにおける熱風の風量制御が終了されることがより好ましい。
被加熱物からの放熱のために、被加熱物の温度は、温度目標値SVよりも低くなる。そこで、大ステップ終了条件が満たされた後、被加熱物の温度がその放熱を考慮した温度Km1・Km2・SV以上であれば、被加熱物の温度変化が完了していると判断することができる。そして、被加熱物の温度変化が完了した後に、次の大ステップにおける熱風の風量制御が開始されることにより、熱風の風量制御が不安定な状態または不能になることを一層防止できる。
加熱装置には、風量目標値QSV(n)と被加熱物の熱量変化速度QSmtとの関係を定めた検量線を記憶する記憶手段が備えられていてもよい。そして、大ステップに含まれるすべての小ステップにおける熱風の風量制御が完了してから、大ステップ風量QV1STを検量線から求められる風量目標値QSV(n)に応じた熱量変化速度QSmtで除して得られる時間QV1ST/QSmtが経過した後、大ステップにおける熱風の風量制御が終了されることがより好ましい。
被加熱物の温度は、熱風の風量の変化よりも遅れて変化する。そこで、そこで、大ステップに含まれるすべての小ステップにおける発熱体の温度制御が完了してから時間QV1ST/QSmtが経過した後、大ステップにおける熱風の風量制御が終了される。これにより、被加熱物の温度変化が確実に完了してから次の大ステップにおける熱風の風量制御を開始することができる。その結果、熱風の風量制御が不安定な状態または不能になることを一層防止できる。
本発明によれば、加熱手段の出力熱量を最終熱量目標値まで変化させる過程が複数の大ステップに分割され、さらに各大ステップが複数の小ステップに分割される。したがって、各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2STは、比較的短い時間である。そのため、各小ステップで被加熱物の温度が急激に大きく変化することを抑制できる。また、たとえ小ステップで被加熱物の温度が大きく変化したとしても、大ステップにおいて、加熱手段の出力熱量の変化速度が大ステップ熱量変化速度に調節されることにより、その小ステップでの大きな温度変化の影響をなくすことができる。よって、被加熱物の温度変化速度を精度よく制御することができる。
さらに、小ステップには、加熱手段の出力熱量の変化勾配を決定する役割があり、小ステップにおける加熱手段および被加熱物の各温度の急減な変化を抑制できるので、加熱手段と被加熱物との温度変動差を最小限に抑える効果がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る加熱装置の図解的な断面図である。 図2は、ヒータの温度の時間変化を示すグラフである。 図3は、大ステップにおけるヒータの温度の詳細な時間変化を示すグラフである。 図4は、小ステップ制御の流れを示すフローチャートである。 図5Aは、大ステップ制御の流れを示すフローチャート(その1)である。 図5Bは、大ステップ制御の流れを示すフローチャート(その2)である。 図6は、ヒータの温度目標値と樹脂材料の温度変化速度との関係を示す検量線である。 図7は、温度目標値と補正係数との関係を示す検量線である。 図8は、本発明の他の実施形態に係る加熱装置の図解的な断面図である。 図9は、ブロワの風量の時間変化を示すグラフである。 図10は、大ステップにおけるブロワの風量の詳細な時間変化を示すグラフである。 図11は、小ステップ制御の流れを示すフローチャートである。 図12Aは、大ステップ制御の流れを示すフローチャート(その1)である。 図12Bは、大ステップ制御の流れを示すフローチャート(その2)である。 図13は、ブロワの風量目標値と樹脂材料の熱量変化速度との関係を示す検量線である。 図14は、風量目標値と補正係数との関係を示す検量線である。 図15は、温度目標値と補正係数との関係を示す検量線である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<伝導加熱型>
図1は、本発明の一実施形態に係る加熱装置の図解的な断面図である。
加熱装置1は、たとえば、成形機(図示せず)に供給される粉粒状の樹脂材料をその供給前に乾燥させるための乾燥装置として用いられる。加熱装置1は、樹脂材料を収容する加熱ホッパ2を備えている。
加熱ホッパ2の下端には、排出口3が形成されている。そして、加熱ホッパ2には、その排出口3を開閉するゲートシャッタ4が設けられている。
加熱ホッパ2の外周面には、バンド状のヒータ5が巻装されている。ヒータ5からの発熱により、加熱ホッパ2内が直接的に加熱される。
また、加熱装置1は、制御部6を備えている。制御部6は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータからなる。
さらに、加熱装置1は、加熱ホッパ2内の樹脂材料の温度を検出するための温度センサ7を備えている。温度センサ7の検出信号は、制御部6に入力されるようになっている。
制御部6は、ゲートシャッタ4の開閉を制御する。ゲートシャッタ4が閉じられた状態で、加熱ホッパ2内に樹脂材料を貯留することができる。また、制御部6は、加熱ホッパ2内に貯留された樹脂材料を乾燥させるために、温度センサ7から入力される検出信号に基づいて、ヒータ5(ヒータ5への通電)を制御する、そして、加熱ホッパ2内の樹脂材料が乾燥すると、ゲートシャッタ4が開かれて、その乾燥した樹脂材料が排出口3から排出される。排出口3から排出される樹脂材料は、たとえば、気力により、成形機に送られる。
図2は、ヒータの温度の時間変化を示すグラフである。
樹脂材料の乾燥処理時には、ヒータ5の温度目標値(目標温度)TSV(n)(℃)が予め設定された最終温度目標値SV(℃)まで上げられる。
このとき、制御部6により、ヒータ5の温度目標値TSV(n)を最終温度目標値SVまで上昇させる過程が複数の大ステップに分割されて、各大ステップにおいて、ヒータ5の温度変化速度の目標値である大ステップ温度変化速度TS1ST(℃/s)が設定される。そして、各大ステップにおいて、制御部6により、ヒータ5の温度目標値TSV(n)が大ステップ温度変化速度TS1STで変化するように設定される。言い換えれば、各大ステップでは、制御部6により、ヒータ5の温度目標値TSV(n)が一定の大ステップ時間T1ST(s)で一定の大ステップ温度TV1ST(℃)だけ上昇するように設定される。
図3は、大ステップにおけるヒータの温度の詳細な時間変化を示すグラフである。
また、制御部6により、各大ステップが複数の小ステップに分割されて、各小ステップにおいて、ヒータ5の温度変化速度の目標値である小ステップ温度変化速度TS2ST(℃/s)が設定される。そして、各小ステップにおいて、制御部6により、ヒータ5の温度目標値TSV(n)(℃)が小ステップ温度変化速度TS2STで変化するように設定される。言い換えれば、各小ステップでは、制御部6により、ヒータ5の温度目標値TSV(n)が一定の小ステップ時間dT2ST(s)で一定の小ステップ温度TV2ST(℃)だけ上昇するように設定される。
図4は、小ステップ制御の流れを示すフローチャートである。
各大ステップでは、制御部6により、図4に示される小ステップ制御が行われる。小ステップ制御では、小ステップにおけるヒータ5の温度制御がステップ数N2STだけ繰り返される。ステップ数N2STは、大ステップ温度TV1STを小ステップ温度TV2STで除した値(TV1ST/TV2ST)に設定される。
小ステップ制御では、まず、大ステップの開始に応答して、ステップ数カウンタのカウント値nが0にリセットされる(ステップS1)。ステップ数カウンタは、制御部6のRAMに設けられる。
次に、温度目標値TSV(n)が設定される(ステップS2)。このとき、初めての小ステップであり、1つ前の小ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)が存在しないので、温度目標値TSV(0)は、小ステップ温度TV2STに設定される。
つづいて、ヒータ5の温度制御が開始される。この温度制御では、ヒータ5の温度が温度目標値TSV(0)となるように、ヒータ5への通電が制御される。そして、ヒータ5の温度制御の開始とともに、ステップ時間TS2の計測(カウント)が開始される(ステップS3)。
その後、温度センサ7の検出信号に基づいて、加熱ホッパ2内の樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)に達したか否かが調べられる(ステップS4)。
樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)に達していなければ(ステップS4のNO)、温度目標値TSV(0)に基づいた温度制御が続けられ、ステップ時間TS2の計測が続けられる(ステップS3)。
樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)に達すると(ステップS4のYES)、ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達しているか否かが調べられる(ステップS5)。
ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達するまでは(ステップS5のNO)、温度目標値TSV(0)に基づいた温度制御が続けられ、ステップ時間TS2の計測が続けられる(ステップS3)。
ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達すると(ステップS5のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされる(ステップS6)。すなわち、樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)に達し、かつ、ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達するという小ステップ終了条件が満たされると(ステップS4,S5のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされる(ステップS6)。
また、ステップ時間TS2の計測が終了されて、ステップ時間TS2が0にクリアされる(ステップS7)。
つづいて、ステップ数カウンタのインクリメント後のカウント値nがステップ数N2STに達したか否かが調べられる(ステップS8)。このとき、ステップ数カウンタのカウント値nは1であるから、カウント値nがステップ数N2STに達したか否かの判断が否定される(ステップS8のNO)。
カウント値nがステップ数N2STに達したか否かの判断が否定されると、温度目標値TSV(n)が再設定される(ステップS2)。すなわち、1つ前の小ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)に小ステップ温度TV2STが加算され、その加算値が現在の小ステップにおける温度目標値TSV(n)として設定される。
次いで、ヒータ5の温度制御が開始されるとともに、ステップ時間TS2の計測が開始される(ステップS3)。
その後、加熱ホッパ2内の樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(n)に達すると(ステップS4のYES)、ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達しているか否かが調べられる(ステップS5)。
そして、ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達すると(ステップS5のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされて(ステップS6)、ステップ時間TS2が0にクリアされる(ステップS7)。
つづいて、ステップ数カウンタのインクリメント後のカウント値nがステップ数N2STに達したか否かが調べられる(ステップS8)。
こうして、ステップS2〜S8の処理が繰り返されて、ステップ数カウンタのカウント値nがステップ数N2STに達すると(ステップS8のYES)、大ステップにおける小ステップ制御が終了となる。
図5A,5Bは、大ステップ制御の流れを示すフローチャートである。
各大ステップでは、制御部6により、図5A,5Bに示される大ステップ制御が行われる。
大ステップ制御では、まず、図5Aに示されるように、ステップ数カウンタのカウント値nが0にリセットされる(ステップS11)。
次に、温度目標値TSV(n)が設定される(ステップS12)。このとき、初めての大ステップであり、1つ前の大ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)が存在しないので、温度目標値TSV(0)は、大ステップ温度TV1STに設定される。
つづいて、図4に示される小ステップ制御が開始されるとともに、ステップ時間TS1の計測(カウント)が開始される(ステップS13)。
その後、小ステップ制御が完了したか否かが調べられる(ステップS14)。小ステップ制御が完了するまで、次の処理には進まず、ステップ時間TS1の計測が続けられる(ステップS13)。
小ステップ制御が完了すると(ステップS14のYES)、温度センサ7の検出信号に基づいて、加熱ホッパ2内の樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)に達したか否かが調べられる(ステップS15)。
樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)に達していなければ(ステップS15のNO)、ステップ時間TS1の計測が続けられる(ステップS13)。
樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)に達すると(ステップS15のYES)、ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達しているか否かが調べられる(ステップS16)。
ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達するまでは(ステップS16のNO)、次の処理には進まず、ステップ時間TS1の計測が続けられる(ステップS13)。
ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達すると(ステップS16のYES)、樹脂材料の温度PVが安定しているか否かが判定される(ステップS17)。すなわち、図4に示される小ステップ制御が完了した後、樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)に達し、かつ、ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達するという大ステップ終了条件が満たされると(ステップS15,S16のYES)、樹脂材料の温度PVが安定しているか否かが判定される(ステップS17)。
樹脂材料の温度PVが安定しているか否かの判定では、大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間を安定検知時間として、その安定検知時間内に、樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(n)±安定検知幅TSTB(℃)の範囲内に収まったか否かが調べられる。
また、安定検知時間の終了時点で、制御部6によるヒータ5の制御で温度目標値TSV(n)に基づいて演算された操作量(たとえば、PID演算値)MVが安定検知時間内に演算された操作量の平均値±安定検知幅MVSTB(%)の範囲内であるか否かが調べられる。
そして、それらの両条件が成立した(肯定された)場合に、樹脂材料の温度PVが安定していると判定される。
樹脂材料の温度PVが安定していると判定された場合には(ステップS17のYES)、図5Bに示されるように、被加熱物である樹脂材料の温度変化が完了しているか否かが判定される(ステップS18)。
また、図6に示されるように、ヒータ5の温度目標値TSV(n)と樹脂材料の温度変化速度TSmtとの関係が予め求められている。図6に示される関係では、温度目標値TSV(n)が大きいほど、樹脂材料の温度変化速度TSmtは大きい値をとる。そして、樹脂材料の温度変化が完了しているか否かの判定では、小ステップ制御(大ステップに含まれるすべての小ステップにおけるヒータ5の温度制御)が完了してから、大ステップ温度TV1STを検量線から求められる温度目標値TSV(n)に応じた温度変化速度TSmtで除して得られる時間TV1ST/TSmtが経過したか否かが調べられる。
また、図7に示されるように、樹脂材料の放熱を考慮して、温度目標値TSV(n)と補正係数Kmとの関係が予め求められている。図7に示される関係では、温度目標値TSV(n)が大きいほど、補正係数Kmが小さい値をとる。そして、樹脂材料の温度変化が完了しているか否かの判定では、温度目標値TSV(0)に応じた補正係数Kmが取得されて、樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(0)と補正係数Kmとの乗算値Km・TSV(0)以上であるか否かが調べられる。
そして、それらの両条件が成立した(肯定された)場合に、樹脂材料の温度変化が完了していると判定される。
樹脂材料の温度変化が完了していれば(ステップS18のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされる(ステップS19)。
また、ステップ時間TS1の計測が終了されて、ステップ時間TS1が0にクリアされる(ステップS20)。
つづいて、ステップ数カウンタのインクリメント後のカウント値nがステップ数N1STに達したか否かが調べられる(ステップS21)。ステップ数N1STは、最終温度目標値SVから大ステップの開始時の樹脂材料の温度を減じた値を大ステップ温度TV1STで除した値に設定されている。
カウント値nがステップ数N1STに達したか否かの判断が否定されると(ステップS21のNO)、樹脂材料の温度PVが最終温度目標値SV以上であるか否かが調べられる(ステップS22)。
樹脂材料の温度PVが最終温度目標値SV以上でなければ(ステップS22のNO)、図5Aに示されるように、温度目標値TSV(n)が再設定される(ステップS12)。すなわち、1つ前の小ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)に大ステップ温度TV1STが加算され、その加算値が現在の大ステップにおける温度目標値TSV(n)として設定される。
次いで、図4に示される小ステップ制御が開始されるとともに、ステップ時間TS1の計測が開始される(ステップS13)。
その後、小ステップ制御が完了すると(ステップS14のYES)、大ステップ終了条件が満たされたか否かが調べられる(ステップS15,S16)。
そして、大ステップ終了条件が満たされていれば(ステップS15,S16のYES)、樹脂材料の温度PVが安定しているか否かが判定される(ステップS17)。
樹脂材料の温度PVが安定している場合には(ステップS17のYES)、図5Bに示されるように、被加熱物である樹脂材料の温度変化が完了しているか否かが判定される(ステップS18)。
樹脂材料の温度変化が完了していれば(ステップS18のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされる(ステップS19)。
また、ステップ時間TS1の計測が終了されて、ステップ時間TS1が0にクリアされる(ステップS20)。
つづいて、ステップ数カウンタのインクリメント後のカウント値nがステップ数N1STに達したか否かが調べられる(ステップS21)。
そして、カウント値nがステップ数N1STに達したか否かの判断が否定されると(ステップS21のNO)、樹脂材料の温度PVが最終温度目標値SV以上であるか否かが調べられる(ステップS22)。
こうして、ステップS12〜S22の処理が繰り返されて、ステップ数カウンタのカウント値nがステップ数N1STに達するか(ステップS21のYES)、または、樹脂材料の温度PVが最終温度目標値SV以上になると(ステップS22のYES)、大ステップ制御が終了となる。
以上のように、加熱ホッパ2内に収容された樹脂材料は、ヒータ5からの熱を受けて昇温する。樹脂材料を乾燥させる際には、ヒータ5の温度が最終温度目標値SVまで上げられる。具体的には、ヒータ5の温度を最終温度目標値SVまで変化させる過程が複数の大ステップに分割されて、各大ステップにおけるヒータ5の温度変化速度の目標値である大ステップ温度変化速度TS1STが設定される。また、各大ステップでヒータ5の温度を変化させる過程が複数の小ステップに分割されて、各小ステップにおけるヒータ5の温度変化速度の目標値である小ステップ温度変化速度TS2STが設定される。
そして、温度センサ7によって樹脂材料の温度が検出され、その検出温度に基づいて、各小ステップでは、ヒータ5の温度が小ステップ温度変化速度TS2STで変化するように制御される。また、大ステップとしては、ヒータ5の温度が大ステップ温度変化速度TS1STで変化するように制御される。
ヒータ5の温度を最終温度目標値SVまで変化させる過程が複数の大ステップに分割され、さらに各大ステップでヒータ5の温度を変化させる過程が複数の小ステップに分割されるので、各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2STは、比較的短い時間である。そのため、各小ステップで樹脂材料の温度が急激に大きく変化することを抑制できる。その結果、樹脂材料の温度にハンチングが生じることを抑制できる。
そして、たとえ小ステップで樹脂材料の温度が大きく変化したとしても、大ステップにおいて、ヒータ5の温度変化速度が大ステップ熱量変化速度に調節されることにより、その小ステップでの大きな温度変化の影響をなくすことができる。
よって、樹脂材料の温度変化速度を精度よく制御することができる。
たとえば、小ステップ温度変化速度TS2STが相対的に大きい値に設定され、大ステップ温度変化速度TS1STが相対的に小さい値に設定されることにより、各小ステップ単位では、樹脂材料の表面を乾燥させることができ、大ステップ単位では、樹脂材料の内部を乾燥させることができる。その結果、樹脂材料を効率よく、かつ良好に乾燥させることができる。
各小ステップでは、1つ前の小ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)と各小ステップに割り当てられる温度変化幅である小ステップ温度TV2STとの加算値が現在の小ステップにおける温度目標値TSV(n)とされる。
温度センサ7によって検出される樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(n)以上であり、かつ、現在の小ステップの開始からの経過時間(ステップ時間TS2)が小ステップ時間dT2ST以上であるという小ステップ終了条件が満たされた後、現在の小ステップにおけるヒータ5の制御が終了される。
すなわち、樹脂材料の温度PVが温度目標値TSV(n)に達していない状態では、現在の小ステップにおけるヒータ5の制御が終了されず、次の小ステップにおけるヒータ5の制御は開始されない。また、小ステップ時間dT2STが経過するまでは、現在の小ステップにおけるヒータ5の制御が終了されず、次の小ステップにおけるヒータ5の制御が開始されない。これにより、樹脂材料の温度変化速度を小ステップ温度変化速度TS2STに良好に合わせることができる。
各大ステップでは、1つ前の大ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)と各大ステップに割り当てられる大ステップ温度TV1STとの加算値が現在の大ステップにおける温度目標値TSV(n)とされる。
温度センサ7によって検出される温度PVが温度目標値TSV(n)以上であり、かつ、現在の大ステップの開始からの経過時間(ステップ時間TS1)が各大ステップに割り当てられる大ステップ時間T1ST以上であるという大ステップ終了条件が満たされた後、現在の大ステップにおけるヒータ5の制御が終了される。
すなわち、樹脂材料の温度が温度目標値TSV(n)に達していない状態では、現在の大ステップにおけるヒータ5の制御が終了されず、次の大ステップにおけるヒータ5の制御は開始されない。その結果、ヒータ5と樹脂材料との温度差が開くことを抑制でき、樹脂材料の温度変化をヒータ5の温度変化に良好に追従させることができる。
また、大ステップ時間T1STが経過するまでは、現在の大ステップにおけるヒータ5の制御が終了されず、次の大ステップにおけるヒータ5の制御が開始されない。その結果、樹脂材料の温度変化速度を大ステップ温度変化速度TS1STに良好に合わせることができる。
大ステップ終了条件が満たされた後の所定の安定検知時間内に、温度センサ7によって検出される温度が温度目標値TSV(n)±安定検知幅TSTBの温度範囲内に収まれば、樹脂材料の温度が安定していると判定されて、その後、大ステップにおけるヒータ5の制御が終了される。
これにより、樹脂材料の温度が安定しない状態、たとえば、樹脂材料の温度がハンチングを生じている状態で、次の大ステップにおけるヒータ5の制御が開始されることを防止できる。その結果、ヒータ5の制御が不安定な状態または不能になることを防止できる。
また、大ステップ終了条件が満たされた後の所定の安定検知時間の終了時点で、ヒータ5の制御における操作量MVが安定検知時間内に演算された操作量の平均値±安定検知幅MVSTBの範囲内であれば、ヒータ5の制御が安定していると判定されて、大ステップにおけるヒータ5の制御が終了される。
これにより、制御系に入力される外乱などが原因でヒータ5の制御が安定していない状態で、次の大ステップにおけるヒータ5の制御が開始されることを防止できる。その結果、ヒータ5の制御がさらに不安定な状態または不能になることを防止できる。
樹脂材料の温度PVが安定していることが確認された後、温度センサ7によって検出される温度が温度目標値TSV(n)に樹脂材料からの放熱を考慮して当該温度目標値TSV(n)に応じて設定される補正係数Kmを乗じた値Km・TSV(n)以上であることがさらに確認される。さらに、小ステップ制御(大ステップに含まれるすべての小ステップにおけるヒータ5の温度制御)が完了してから、大ステップ温度TV1STを検量線から求められる温度目標値TSV(n)に応じた温度変化速度TSmtで除して得られる時間TV1ST/TSmtが経過したことが確認される。そして、それらが確認された後、現在の大ステップにおけるヒータ5の制御が終了される。
樹脂材料からの放熱のために、樹脂材料の温度PVは、温度目標値TSV(n)よりも低くなる。そこで、大ステップ終了条件が満たされた後の樹脂材料の温度PVがその放熱を考慮して設定された値Km・TSV(n)以上であれば、樹脂材料の温度変化が完了していると判断することができる。そして、樹脂材料の温度変化が完了した後に、次の大ステップにおけるヒータ5の制御が開始されることにより、ヒータ5の制御が不安定な状態または不能になることを一層防止できる。
樹脂材料の温度は、ヒータ5の温度よりも遅れて変化する。そこで、小ステップ制御(大ステップに含まれるすべての小ステップにおけるヒータ5の温度制御)が完了してから、大ステップ温度TV1STを検量線から求められる温度目標値TSV(n)に応じた温度変化速度TSmtで除して得られる時間TV1ST/TSmtが経過した後、現在の大ステップにおけるヒータ5の制御が終了される。これにより、樹脂材料の温度変化が確実に完了してから次の大ステップにおけるヒータ5の制御を開始することができる。その結果、ヒータ5の制御が不安定な状態または不能になることを一層防止できる。
<熱風加熱型>
図8は、本発明の他の実施形態に係る加熱装置の図解的な断面図である。
加熱装置81は、たとえば、成形機(図示せず)に供給される粉粒状の樹脂材料をその供給前に乾燥させるための乾燥装置として用いられる。加熱装置81は、樹脂材料を収容する加熱ホッパ82を備えている。
加熱ホッパ82の下端には、排出口83が形成されている。そして、加熱ホッパ82には、その排出口83を開閉するゲートシャッタ84が設けられている。
また、加熱ホッパ82には、給気ライン85が接続されている。給気ライン85は、ブロワ86の送風口から延び、加熱ホッパ82の側壁を貫通して、その先端が加熱ホッパ82内の下部に配置されている。
給気ライン85の途中部には、ヒータ87が介装されている。
加熱ホッパ82の上部には、排気ライン88が接続されている。
また、加熱装置1は、制御部91を備えている。制御部91は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータからなる。
さらに、加熱装置1は、給気ライン85におけるヒータ87よりもエアの流通方向下流側の部分を流通する熱風(加熱エア)の温度を検出するための給気温度センサ92と、排気ライン88を流通するエア(排気)の温度を検出する排気温度センサ93とを備えている。給気温度センサ92および排気温度センサ93の検出信号は、制御部91に入力されるようになっている。
制御部91は、ゲートシャッタ84の開閉を制御する。ゲートシャッタ84が閉じられた状態で、加熱ホッパ82内に樹脂材料を貯留することができる。また、制御部91は、加熱ホッパ82内に貯留された樹脂材料を乾燥させるために、給気温度センサ92および排気温度センサ93から入力される検出信号に基づいて、ヒータ87(ヒータ87への通電)およびブロワ86の駆動源であるブロワモータ94を制御する、そして、加熱ホッパ82内の樹脂材料が乾燥すると、ゲートシャッタ84が開かれて、その乾燥した樹脂材料が排出口83から排出される。排出口83から排出される樹脂材料は、たとえば、気力により、成形機に送られる。
図9は、ブロワの風量の時間変化を示すグラフである。
樹脂材料の乾燥処理時には、ブロワ86の風量目標値QSV(n)(%)が予め設定された最終風量目標値QSV(%)まで上げられる。
このとき、制御部91により、ブロワ86の風量目標値QSV(n)を最終風量目標値QSVまで上昇させる過程が複数の大ステップに分割されて、各大ステップにおいて、ブロワ86の風量変化速度の目標値である大ステップ風量変化速度QS1ST(%/s)が設定される。そして、各大ステップにおいて、制御部91により、ブロワ86の風量目標値QSV(n)が大ステップ風量変化速度QS1STで変化するように設定される。言い換えれば、各大ステップでは、制御部91により、ブロワ86の風量目標値QSV(n)が一定の大ステップ時間T1ST(s)で一定の大ステップ風量QV1ST(%)だけ上昇するように設定される。
なお、風量目標値QSV(n)、最終風量目標値QSVおよび大ステップ風量QV1STは、ブロワ86の最大風量に対する割合である。
また、ヒータ87の制御において、ヒータ87の温度目標値SV(℃)は常に一定である。
図10は、大ステップにおけるブロワの風量の詳細な時間変化を示すグラフである。
また、制御部91により、各大ステップが複数の小ステップに分割されて、各小ステップにおいて、ブロワ86の風量変化速度の目標値である小ステップ風量変化速度QS2ST(℃/s)が設定される。そして、各小ステップにおいて、制御部91により、ブロワ86の風量目標値QSV2(n)(℃)が小ステップ風量変化速度QS2STで変化するように設定される。言い換えれば、各小ステップでは、制御部91により、ブロワ86の風量目標値QSV2(n)が一定の小ステップ時間dT2ST(s)で一定の小ステップ風量QV2ST(℃)だけ上昇するように設定される。
図11は、小ステップ制御の流れを示すフローチャートである。
各大ステップでは、制御部91により、図11に示される小ステップ制御が行われる。小ステップ制御では、小ステップにおけるブロワ86の風量制御がステップ数N2STだけ繰り返される。ステップ数N2STは、大ステップ風量QV1STを小ステップ風量QV2STで除した値(QV1ST/QV2ST)に設定される。
小ステップ制御では、まず、大ステップの開始に応答して、ステップ数カウンタのカウント値nが0にリセットされる(ステップS31)。ステップ数カウンタは、制御部91のRAMに設けられる。
次に、風量目標値QSV2(n)が設定される(ステップS32)。このとき、初めての小ステップであり、1つ前の小ステップで設定された風量目標値QSV2(n−1)が存在しないので、風量目標値QSV2(0)は、小ステップ風量QV2STに設定される。
つづいて、ブロワ86の風量制御が開始される。この風量制御では、ブロワ86の風量が風量目標値QSV2(0)となるように、ブロワモータ94が制御される。そして、ブロワ86の風量制御の開始とともに、ステップ時間TS2の計測(カウント)が開始される(ステップS33)。
その後、給気温度センサ92の検出信号に基づいて、加熱ホッパ2内に供給される熱風の温度PVがヒータ87の温度目標値SVに達したか否かが調べられる(ステップS34)。
熱風の温度PVがヒータ87の温度目標値SVに達していなければ(ステップS34のNO)、ステップ時間TS2の計測が続けられる(ステップS33)。
熱風の温度PVがヒータ87の温度目標値SVに達すると(ステップS34のYES)、ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達しているか否かが調べられる(ステップS35)。
ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達するまでは(ステップS35のNO)、ステップ時間TS2の計測が続けられる(ステップS33)。
ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達すると(ステップS35のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされる(ステップS36)。すなわち、熱風の温度PVがヒータ87の温度目標値SVに達し、かつ、ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達するという小ステップ終了条件が満たされると(ステップS34,S35のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされる(ステップS36)。
また、ステップ時間TS2の計測が終了されて、ステップ時間TS2が0にクリアされる(ステップS37)。
つづいて、ステップ数カウンタのインクリメント後のカウント値nがステップ数N2STに達したか否かが調べられる(ステップS38)。このとき、ステップ数カウンタのカウント値nは1であるから、カウント値nがステップ数N2STに達したか否かの判断が否定される(ステップS38のNO)。
カウント値nがステップ数N2STに達したか否かの判断が否定されると、風量目標値QSV2(n)が再設定される(ステップS32)。すなわち、1つ前の小ステップで設定された風量目標値QSV2(n−1)に小ステップ風量QV2STが加算され、その加算値が現在の小ステップにおける風量目標値QSV2(n)として設定される。
次いで、ブロワ86の風量制御が開始されるとともに、ステップ時間TS2の計測が開始される(ステップS33)。
その後、加熱ホッパ2内の熱風の温度PVがヒータ87の温度目標値SVに達すると(ステップS34のYES)、ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達しているか否かが調べられる(ステップS35)。
そして、ステップ時間TS2が小ステップ時間dT2STに達すると(ステップS35のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされて(ステップS36)、ステップ時間TS2が0にクリアされる(ステップS37)。
つづいて、ステップ数カウンタのインクリメント後のカウント値nがステップ数N2STに達したか否かが調べられる(ステップS38)。
こうして、ステップS32〜S38の処理が繰り返されて、ステップ数カウンタのカウント値nがステップ数N2STに達すると(ステップS38のYES)、大ステップにおける小ステップ制御が終了となる。
図12A,12Bは、大ステップ制御の流れを示すフローチャートである。
各大ステップでは、制御部91により、図12A,12Bに示される大ステップ制御が行われる。
大ステップ制御では、まず、図12Aに示されるように、ステップ数カウンタのカウント値nが0にリセットされる(ステップS41)。
次に、風量目標値QSV(n)が設定される(ステップS42)。このとき、初めての大ステップであり、1つ前の大ステップで設定された風量目標値QSV2(n−1)が存在しないので、風量目標値QSV(0)は、大ステップ温度TV1STに設定される。
つづいて、図11に示される小ステップ制御が開始されるとともに、ステップ時間TS1の計測(カウント)が開始される(ステップS43)。
その後、小ステップ制御が完了したか否かが調べられる(ステップS44)。小ステップ制御が完了するまで、次の処理には進まず、ステップ時間TS1の計測が続けられる(ステップS43)。
小ステップ制御が完了すると(ステップS44のYES)、ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達しているか否かが調べられる(ステップS45)。
ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達するまでは(ステップS45のNO)、次の処理には進まず、ステップ時間TS1の計測が続けられる(ステップS43)。
ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達すると(ステップS45のYES)、樹脂材料の温度が安定しているか否かが判定される(ステップS46)。すなわち、図11に示される小ステップ制御が完了し、かつ、ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達するという大ステップ終了条件が満たされると(ステップS44,S45のYES)、樹脂材料の温度が安定しているか否かが判定される(ステップS46)。
樹脂材料の温度が安定しているか否かの判定では、大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間を安定検知時間として、その安定検知時間内に、給気温度センサ92によって検出される温度PVがヒータ87の温度目標値SV±安定検知幅TSTB(℃)の範囲内に収まったか否かが調べられる。
また、安定検知時間の終了時点で、制御部91によるヒータ87の制御でヒータ87の温度目標値SVに基づいて演算された操作量(たとえば、PID演算値)MVが安定検知時間内に演算された操作量の平均値±安定検知幅MVSTB(%)の範囲内であるか否かが調べられる。
そして、それらの両条件が成立した(肯定された)場合に、樹脂材料の温度が安定していると判定される。
樹脂材料の温度が安定していると判定された場合には(ステップS46のYES)、図12Bに示されるように、被加熱物である樹脂材料の温度変化が完了しているか否かが判定される(ステップS47)。
また、図13に示されるように、ブロワ86の風量目標値QSV(n)と樹脂材料の熱量変化速度QSmtとの関係が予め求められている。図13に示される関係では、風量目標値QSV(n)が大きいほど、樹脂材料の熱量変化速度QSmtは大きい値をとる。そして、樹脂材料の温度変化が完了しているか否かの判定では、小ステップ制御(大ステップに含まれるすべての小ステップにおけるブロワ86の風量制御)が完了してから、大ステップ風量QV1STを検量線から求められる風量目標値QSV(n)に応じた熱量変化速度QSmtで除して得られる時間QV1ST/QSmtが経過したか否かが調べられる。
また、図14に示されるように、樹脂材料の放熱を考慮して、風量目標値QSV(n)と補正係数Km1との関係が予め求められている。図14に示される関係では、風量目標値QSV(n)が大きいほど、補正係数Km1が大きい値をとる。さらに、図15に示されるように、樹脂材料の放熱を考慮して、温度目標値SVと補正係数Km2との関係が予め求められている。図15に示される関係では、温度目標値SVが大きいほど、補正係数Km2が小さい値をとる。そして、樹脂材料の温度変化が完了しているか否かの判定では、風量目標値QSV(0)に応じた補正係数Km1および温度目標値SVに応じた補正係数Km2が取得されて、給気温度センサ92によって検出される温度PVが温度目標値SVと補正係数Km1,Km2との乗算値Km1・Km2・SV以上であるか否かが調べられる。
そして、それらの両条件が成立した(肯定された)場合に、樹脂材料の温度変化が完了していると判定される。
樹脂材料の温度変化が完了していれば(ステップS47のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされる(ステップS48)。
また、ステップ時間TS1の計測が終了されて、ステップ時間TS1が0にクリアされる(ステップS49)。
つづいて、ステップ数カウンタのインクリメント後のカウント値nがステップ数N1STに達したか否かが調べられる(ステップS50)。ステップ数N1STは、最終風量目標値QSVを大ステップ風量QV1STで除した値(QSV/QV1ST)に設定されている。
カウント値nがステップ数N1STに達したか否かの判断が否定されると(ステップS21のNO)、風量目標値QSV(0)が最終風量目標値QSV以上であるか否かが調べられる(ステップS51)。
風量目標値QSV(0)が最終風量目標値QSV以上でなければ(ステップS51のNO)、図12Aに示されるように、風量目標値QSV(n)が再設定される(ステップS42)。すなわち、1つ前の小ステップで設定された風量目標値QSV(n−1)に大ステップ風量QV1STが加算され、その加算値が現在の大ステップにおける風量目標値QSV(n)として設定される。
次いで、図11に示される小ステップ制御が開始されるとともに、ステップ時間TS1の計測が開始される(ステップS43)。
その後、小ステップ制御が完了すると(ステップS44のYES)、ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達したか否かが調べられる(ステップS45)。
そして、ステップ時間TS1が大ステップ時間T1STに達すると(ステップS45のYES)、樹脂材料の温度が安定しているか否かが判定される(ステップS46)。
樹脂材料の温度が安定している場合には(ステップS46のYES)、図12Bに示されるように、被加熱物である樹脂材料の温度変化が完了しているか否かが判定される(ステップS47)。
樹脂材料の温度変化が完了していれば(ステップS47のYES)、ステップ数カウンタのカウント値nがインクリメントされる(ステップS48)。
また、ステップ時間TS1の計測が終了されて、ステップ時間TS1が0にクリアされる(ステップS49)。
つづいて、ステップ数カウンタのインクリメント後のカウント値nがステップ数N1STに達したか否かが調べられる(ステップS50)。
そして、カウント値nがステップ数N1STに達したか否かの判断が否定されると(ステップS50のNO)、風量目標値QSV(n)が最終風量目標値QSV以上であるか否かが調べられる(ステップS51)。
こうして、ステップS12〜S22の処理が繰り返されて、ステップ数カウンタのカウント値nがステップ数N1STに達するか(ステップS50のYES)、または、風量目標値QSV(n)が最終風量目標値QSV以上になると(ステップS51のYES)、大ステップ制御が終了となる。
以上のように、加熱ホッパ2内に収容された樹脂材料は、加熱ホッパ2内に供給される熱風からの熱を受けて昇温する。樹脂材料を乾燥させる際には、ブロワ86の風量(熱風の風量)が最終風量目標値QSVまで上げられる。具体的には、ブロワ86の風量を最終風量目標値QSVまで変化させる過程が複数の大ステップに分割されて、各大ステップにおけるブロワ86の風量変化速度の目標値である大ステップ風量変化速度QS1STが設定される。また、各大ステップでブロワ86の風量を変化させる過程が複数の小ステップに分割されて、各小ステップにおけるブロワ86の風量変化速度の目標値である小ステップ風量変化速度QS2STが設定される。
そして、各小ステップでは、熱風の風量が小ステップ風量変化速度QS2STで変化するように制御される。また、大ステップとしては、熱風の風量が大ステップ風量変化速度QS1STで変化するように制御される。
ブロワ86の風量を最終風量目標値QSVまで変化させる過程が複数の大ステップに分割され、さらに各大ステップが複数の小ステップに分割されるので、各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2STは、比較的短い時間である。そのため、各小ステップで樹脂材料の温度が急激に大きく変化することを抑制できる。その結果、樹脂材料の温度にハンチングが生じることを抑制できる。
そして、たとえ小ステップで樹脂材料の温度が大きく変化したとしても、大ステップにおいて、ブロワ86の風量の変化速度が大ステップ風量変化速度QS1STに調節されることにより、その小ステップでの大きな温度変化の影響をなくすことができる。
よって、樹脂材料の温度変化速度を精度よく制御することができる。
たとえば、小ステップ風量変化速度QS2STが相対的に大きい値に設定され、大ステップ風量変化速度QS1STが相対的に小さい値に設定されることにより、各小ステップ単位では、樹脂材料の表面を乾燥させることができ、大ステップ単位では、樹脂材料の内部を乾燥させることができる。その結果、樹脂材料を効率よく、かつ良好に乾燥させることができる。
各小ステップでは、給気温度センサ92によって熱風の温度PVが検出され、その検出温度PVが熱風の温度の目標値である温度目標値SV以上であり、かつ、現在の小ステップの開始からの経過時間が各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2ST以上であるという小ステップ終了条件が満たされた後、現在の小ステップにおける熱風の風量制御が終了される。
すなわち、熱風の温度PVが温度目標値SVに達していない状態では、現在の小ステップにおける熱風の風量制御が終了されず、次の小ステップにおける熱風の風量制御は開始されないことが好ましい。また、小ステップ時間dT2STが経過するまでは、現在の小ステップにおける熱風の風量制御が終了されず、次の小ステップにおける熱風の風量制御が開始されないことが好ましい。その結果、熱風の風量の変化速度を小ステップ風量変化速度QS2STに良好に合わせることができる。
各大ステップでは、大ステップに含まれるすべての小ステップにおけるブロワ86の風量制御が完了し、かつ、現在の大ステップの開始からの経過時間(ステップ時間TS1)が各大ステップに割り当てられる大ステップ時間T1ST以上であるという大ステップ終了条件が満たされた後、現在の大ステップにおける熱風の風量制御が終了されることが好ましい。
すなわち、熱風の風量が風量目標値QSV(n)に達していない状態では、現在の大ステップにおける熱風の風量制御が終了されず、次の大ステップにおける熱風の風量制御は開始されない。また、大ステップ時間T1STが経過するまでは、現在の大ステップにおける熱風の風量制御が終了されず、次の大ステップにおける熱風の風量制御が開始されない。その結果、樹脂材料の実際の温度変化速度を大ステップ風量変化速度QS1STに良好に合わせることができる。
大ステップ終了条件が満たされた後の所定の安定検知時間内に、給気温度センサ92によって検出される温度が温度目標値SV±安定検知幅TSTBの温度範囲内に収まれば、樹脂材料の温度が安定していると判定されて、その後、大ステップにおける熱風の風量制御が終了される。
これにより、樹脂材料の温度が安定しない状態、たとえば、樹脂材料の温度がハンチングを生じている状態で、次の大ステップにおける熱風の風量制御が開始されることを防止できる。その結果、熱風の風量制御が不安定な状態または不能になることを防止できる。
また、ヒータの温度が温度目標値SVとなるように制御される場合に、熱風の風量が変化すると、これに伴って、ヒータ87の制御における操作量(制御出力)MVが変動する。そこで、大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間の終了時点で、ヒータ87の制御における操作量MVが所定の安定検知時間内に演算された操作量MVの平均値±安定検知幅MVSTB(%)の範囲内であれば、熱風の風量制御が安定していると判定されて、大ステップにおける熱風の風量制御が終了されることがより好ましい。
これにより、制御系に入力される外乱などが原因で熱風の風量制御が安定していない状態で、次の大ステップにおける熱風の風量制御が開始されることを防止できる。その結果、熱風の風量制御がさらに不安定な状態または不能になることを防止できる。
大ステップ終了条件が満たされ、給気温度センサ92によって検出される温度PVが温度目標値SVに樹脂材料からの放熱を考慮して熱風の風量に応じて設定される補正係数Km1および温度目標値SVに応じて設定される補正係数Km2を乗じた値以上であることが確認された後、大ステップにおける熱風の風量制御が終了される。
樹脂材料からの放熱のために、樹脂材料の温度は、温度目標値SVよりも低くなる。そこで、大ステップ終了条件が満たされた後の樹脂材料の温度がその放熱を考慮して設定された値Km1・Km2・SV以上であれば、樹脂材料の温度変化が完了していると判断することができる。そして、樹脂材料の温度変化が完了した後に、次の大ステップにおける熱風の風量制御が開始されることにより、熱風の風量制御が不安定な状態または不能になることを一層防止できる。
樹脂材料の温度は、熱風の風量の変化よりも遅れて変化する。そこで、大ステップに含まれるすべての小ステップにおける熱風の風量制御が完了してから、大ステップ風量QV1STを検量線から求められる風量目標値QSV(n)に応じた熱量変化速度QSmtで除して得られる時間QV1ST/QSmtが経過した後、大ステップにおける熱風の風量制御が終了される。これにより、樹脂材料の温度変化が確実に完了してから次の大ステップにおける熱風の風量制御を開始することができる。その結果、熱風の風量制御が不安定な状態または不能になることを一層防止できる。
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、加熱装置81では、給気温度センサ92によって検出される温度PVに基づいて、小ステップ制御および大ステップ制御が行われるとしたが、排気温度センサ93によって検出される温度に基づいて、小ステップ制御および大ステップ制御が行われてもよい。
また、加熱装置1では。ヒータ5の温度を最終温度目標値SVまで上昇させる場合を取り上げて、小ステップ制御および大ステップ制御について説明した。また、加熱装置81では、ブロワ86の風量を最終風量目標値QSVまで上昇させる場合を取り上げて、小ステップ制御および大ステップ制御について説明した。しかしながら、ヒータ5の温度を下降させる場合およびブロワ86の風量を下降させる場合にも、本発明に係る小ステップ制御および大ステップ制御を適用することが可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 加熱装置
2 加熱ホッパ(加熱容器)
5 ヒータ(加熱手段、発熱体)
6 制御部(大ステップ設定手段、小ステップ設定手段、熱量制御手段、温度安定判定手段、制御安定判定手段、記憶手段)
7 温度センサ(温度検出手段)
81 加熱装置
82 加熱ホッパ(加熱容器)
85 給気ライン(加熱手段、熱風供給手段)
86 ブロワ(加熱手段、熱風供給手段)
87 ヒータ(加熱手段、熱風供給手段)
91 制御部(大ステップ設定手段、小ステップ設定手段、熱量制御手段、温度安定判定手段、制御安定判定手段、記憶手段)
92 給気温度センサ(温度検出手段)
93 排気温度センサ(温度検出手段)
94 ブロワモータ(加熱手段、熱風供給手段)

Claims (15)

  1. 被加熱物を収容するための加熱容器と、
    前記加熱容器内に収容された前記被加熱物に熱を与えるための加熱手段と、
    前記加熱手段の出力熱量を最終熱量目標値まで変化させる過程を複数の大ステップに分割して、各大ステップにおける前記加熱手段の出力熱量変化速度の目標値である大ステップ熱量変化速度を設定する大ステップ設定手段と、
    各大ステップを複数の小ステップに分割して、各小ステップにおける前記加熱手段の出力熱量変化速度の目標値である小ステップ熱量変化速度を設定する小ステップ設定手段と、
    各小ステップでは、前記加熱手段の出力熱量が前記小ステップ熱量変化速度で変化し、各大ステップとしては、前記加熱手段の出力熱量が前記大ステップ熱量変化速度で変化するように、前記加熱手段の出力熱量を制御する熱量制御手段とを含む、加熱装置。
  2. 前記被加熱物の温度を検出するための温度検出手段をさらに含み、
    前記加熱手段は、前記加熱容器内を直接的に加熱する発熱体であり、
    前記大ステップ設定手段は、前記発熱体の温度を最終温度目標値まで変化させる過程を複数の前記大ステップに分割して、各大ステップにおける前記発熱体の温度変化速度の目標値である大ステップ温度変化速度TS1STを設定し、
    前記小ステップ設定手段は、各大ステップを複数の小ステップに分割して、各小ステップにおける前記発熱体の温度変化速度の目標値である小ステップ温度変化速度TS2STを設定し、
    前記熱量制御手段は、前記温度検出手段によって検出される温度に基づいて、各小ステップでは、前記発熱体の温度が前記小ステップ温度変化速度TS2STで変化し、各大ステップとしては、前記発熱体の温度が前記大ステップ温度変化速度TS1STで変化するように、前記発熱体の温度を制御する、請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記熱量制御手段は、1つ前の前記小ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)と各小ステップに割り当てられる温度変化幅である小ステップ温度TV2STとの加算値を現在の前記小ステップにおける温度目標値TSV(n)として、前記温度検出手段によって検出される温度が前記温度目標値TSV(n)以上であり、かつ、現在の前記小ステップの開始からの経過時間が各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2ST以上であるという小ステップ終了条件が満たされた後、現在の前記小ステップにおける前記発熱体の温度制御を終了する、請求項2に記載の加熱装置。
  4. 前記熱量制御手段は、1つ前の前記大ステップで設定された温度目標値TSV(n−1)と各大ステップに割り当てられる大ステップ温度TV1STとの加算値を現在の前記大ステップにおける温度目標値TSV(n)として、前記温度検出手段によって検出される温度が前記温度目標値TSV(n)以上であり、かつ、現在の前記大ステップの開始からの経過時間が各大ステップに割り当てられる大ステップ時間T1ST以上であるという大ステップ終了条件が満たされた後、現在の前記大ステップにおける前記発熱体の温度制御を終了する、請求項2または3に記載の加熱装置。
  5. 前記大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間内に、前記温度検出手段によって検出される温度が前記温度目標値TSV(n)を含む所定温度範囲内に収まれば、前記被加熱物の温度が安定していると判定する温度安定判定手段をさらに含み、
    前記熱量制御手段は、前記温度安定判定手段によって前記被加熱物の温度が安定していると判定された後、前記大ステップにおける前記発熱体の温度制御を終了する、請求項4に記載の加熱装置。
  6. 前記大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間の終了時点で、前記発熱体の温度制御における操作量が前記所定時間内に演算された前記操作量の平均値を含む所定操作量範囲内であれば、前記発熱体の温度制御が安定していると判定する制御安定判定手段をさらに含み、
    前記熱量制御手段は、前記制御安定判定手段によって前記発熱体の温度制御が安定していると判定された後、前記大ステップにおける前記発熱体の温度制御を終了する、請求項4または5に記載の加熱装置。
  7. 前記熱量制御手段は、前記大ステップ終了条件が満たされ、前記温度検出手段によって検出される温度が前記温度目標値TSV(n)と前記被加熱物からの放熱を考慮して当該温度目標値TSV(n)に応じて設定される補正係数Kmとの乗算値以上であることを確認した後、前記大ステップにおける前記発熱体の温度制御を終了する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の加熱装置。
  8. 前記温度目標値TSV(n)と前記被加熱物の温度変化速度Smtとの関係を定めた検量線を記憶する記憶手段と、
    前記熱量制御手段は、前記大ステップに含まれるすべての前記小ステップにおける前記発熱体の温度制御が完了してから、前記大ステップ温度TV1STを前記検量線から求められる前記温度目標値TSV(n)に応じた温度変化速度Smtで除して得られる時間TV1ST/Smtが経過した後、前記大ステップにおける前記発熱体の温度制御を終了する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の加熱装置。
  9. 前記加熱手段は、前記加熱容器に熱風を供給する熱風供給手段であり、
    前記大ステップ設定手段は、前記熱風の風量を最終風量目標値まで変化させる過程を複数の前記大ステップに分割して、各大ステップにおける前記熱風の風量変化速度の目標値である大ステップ風量変化速度QS1STを設定し、
    前記小ステップ設定手段は、各大ステップを複数の小ステップに分割して、各小ステップにおける前記熱風の風量変化速度の目標値である小ステップ風量変化速度QS2STを設定し、
    前記熱量制御手段は、各小ステップでは、前記熱風の風量が前記小ステップ風量変化速度QS2STで変化し、各大ステップとしては、前記熱風の風量が前記大ステップ風量変化速度QS1STで変化するように、前記熱風の風量を制御する、請求項1に記載の加熱装置。
  10. 前記加熱容器に供給される前記熱風の温度を検出するための温度検出手段をさらに含み、
    前記熱量制御手段は、前記温度検出手段によって検出される温度が前記熱風の温度の目標値である温度目標値SV以上であり、かつ、現在の前記小ステップの開始からの経過時間が各小ステップに割り当てられる小ステップ時間dT2ST以上であるという小ステップ終了条件が満たされた後、現在の前記小ステップにおける前記熱風の風量制御を終了する、請求項9に記載の加熱装置。
  11. 前記熱量制御手段は、大ステップに含まれるすべての小ステップにおける前記熱風の風量制御が完了し、かつ、現在の前記大ステップの開始からの経過時間が各大ステップに割り当てられる大ステップ時間T1ST以上であるという大ステップ終了条件が満たされた後、現在の前記大ステップにおける前記熱風の風量制御を終了する、請求項9または10に記載の加熱装置。
  12. 前記大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間内に、前記温度検出手段によって検出される温度が前記熱風の温度の目標値である温度目標値SVを含む所定温度範囲内に収まれば、前記被加熱物の温度が安定していると判定する温度安定判定手段をさらに含み、
    前記熱量制御手段は、前記温度安定判定手段によって前記被加熱物の温度が安定していると判定された後、前記大ステップにおける前記熱風の風量制御を終了する、請求項11に記載の加熱装置。
  13. 前記熱風供給手段には、エアを加熱する発熱体が含まれ、
    前記大ステップ終了条件が満たされた後の所定時間の終了時点で、前記発熱体の温度制御における操作量が前記所定時間内に演算された前記操作量の平均値を含む所定操作量範囲内であれば、前記熱風の風量制御が安定していると判定する制御安定判定手段をさらに含み、
    前記熱量制御手段は、前記制御安定判定手段によって前記熱風の風量制御が安定していると判定された後、前記大ステップにおける前記熱風の風量制御を終了する、請求項11または12に記載の加熱装置。
  14. 前記熱量制御手段は、前記大ステップ終了条件が満たされ、前記温度検出手段によって検出される温度が前記温度目標値SV、前記被加熱物からの放熱を考慮して前記熱風の風量に応じて設定される補正係数Km1および前記温度目標値SVに応じて設定される補正係数Km2の乗算値以上であることを確認した後、前記大ステップにおける前記熱風の風量制御を終了する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の加熱装置。
  15. 前記風量目標値QSV(n)と前記被加熱物の熱量変化速度QSmtとの関係を定めた検量線を記憶する記憶手段と、
    前記熱量制御手段は、前記大ステップに含まれるすべての前記小ステップにおける前記熱風の風量制御が完了してから、前記大ステップ風量QV1STを前記検量線から求められる前記風量目標値QSV(n)に応じた温度変化速度Smtで除して得られる時間QV1ST/QSmtが経過した後、前記大ステップにおける前記熱風の風量制御を終了する、請求項11〜14のいずれか一項に記載の加熱装置。
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JP2017205907A (ja) * 2016-05-17 2017-11-24 東芝機械株式会社 射出成形機用水分率調整機構、水分率調整機能付き射出成形機

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