JP2004260414A - イメージセンサモジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学的性能に優れたレンズを有するイメージセンサモジュールを提供する。
【解決手段】光電変換機能を有するイメージセンサチップ5上に被写体の像を結像させるためのレンズ1A〜1Cを備えたイメージセンサモジュールXであって、レンズ1A〜1Cのレンズ面11〜16には、透光性を有する被膜7が形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】光電変換機能を有するイメージセンサチップ5上に被写体の像を結像させるためのレンズ1A〜1Cを備えたイメージセンサモジュールXであって、レンズ1A〜1Cのレンズ面11〜16には、透光性を有する被膜7が形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、デジタルカメラやカメラ付きの携帯電話機などに組み込んで使用されるイメージセンサモジュールおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のイメージセンサモジュールの一例としては、特許文献1に記載されているものがあり、これを本願の図5に示す。図示されたイメージセンサモジュール100は、レンズ110を備えている。このレンズ110は、凹状レンズ面111と凸状レンズ面112とを有する凹凸レンズであり、被写体から進行してきた光を基板120上に搭載されているイメージセンサチップ130上に集束させる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−320150号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のイメージセンサモジュール100においては、レンズ110は、製造コストを安価にするなどのために、たとえば透光性を有する合成樹脂を樹脂成形用金型に流し込むことによって成形される。しかしながら、レンズ110の直径は一般的に数mm程度であり、このレンズ110のサイズは微小であるため、凹状レンズ面111や凸状レンズ面112に対応する上記樹脂成形金型の部分を滑らかな面に仕上げることは難しい。このため、凹状レンズ面111や凸状レンズ面112が粗くなり、レンズ110の光学的性能が低いものとなる場合があった。これでは、被写体の撮像画像の質も悪くなる。
【0005】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、光学的性能に優れたレンズを有するイメージセンサモジュールおよびその製造方法を提供することをその課題としている。
【0006】
【発明の開示】
上記の課題を解決するために、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本願発明の第1の側面よって提供されるイメージセンサモジュールは、光電変換機能を有するイメージセンサチップ上に被写体の像を結像させるためのレンズを備えたイメージセンサモジュールであって、上記レンズのレンズ面には、透光性を有する被膜が形成されていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、上記レンズ面に代えて、上記被膜の表面を光の屈折面として役立たせるとともに、この被膜の表面については上記レンズ面よりも滑らかな面に仕上げることができる。したがって、上記従来技術よりも上記レンズの光学的性能を高めることができ、上記イメージセンサチップ上に被写体の像を適正に結像させることが可能となる。
【0009】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記被膜は、アクリル系透明樹脂とエポキシ系透明樹脂とを混合した混合樹脂製である。
【0010】
このような構成によれば、たとえば上記アクリル系透明樹脂単独で上記被膜を形成した場合よりも、耐熱性、耐候性、および撥水性などを向上させることができる。
【0011】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記被膜の膜厚は、0.2μm〜2.0μmである。
【0012】
このような構成によれば、上記被膜の膜厚が薄いため、上記レンズ面がたとえば凸状や凹状の曲面であっても、その曲率に大きな狂いが生じることを防止することができる。
【0013】
本願発明の第2の側面によって提供されるイメージセンサモジュールの製造方法は、被写体からの光を屈折させるレンズのレンズ面に、透光性を有する被膜を形成する被膜形成工程を有していることを特徴としている。
【0014】
このような製造方法によれば、本願発明の第1の側面によって提供されるイメージセンサモジュールを適切に製造することができ、本願発明の第1の側面によって提供されるイメージセンサモジュールについて述べたことと同様な効果を得ることが可能となる。
【0015】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記被膜形成工程は、スピンコート法により行なう。
【0016】
このような構成によれば、上記レンズ面に対して略均一な膜厚の被膜を容易に形成することができ、作業効率を高めることが可能となる。
【0017】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記被膜を形成する樹脂の粘度は、10mP〜70mP(25℃)である。
【0018】
このような構成によれば、スピンコート法によって上記被膜を上記レンズ面に形成するときに、上記被膜の表面を斑のない滑らかな面に仕上げるのにより好ましいことが、本願発明者らの実験により確認された。
【0019】
本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0021】
図1は、本願発明に係るイメージセンサモジュールの一実施形態を示している。本実施形態のイメージセンサモジュールXは、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cと、レンズホルダ2と、ハウジング3と、光学的フィルタ4と、イメージセンサチップ5と、基板6と、を備えている。
【0022】
第1ないし第3のレンズ1A〜1Cは、それぞれ略同一の径を有する略円板状であり、たとえば透光性を有する合成樹脂により成形されたものである。その具体的な材質としては、透明度や機械強度にすぐれたPMMA(ポリメタクリル酸メチル(メタクリル樹脂))やPC(ポリカーボネート)が好適に採用される。これら第1ないし第3のレンズ1A〜1Cは、被写体から進行してきた光を集束させて、イメージセンサチップ5上に上記被写体の像を結像させる。
【0023】
第1のレンズ1Aは、たとえば両凸レンズとして構成されており、その上面中央部および下面中央部にそれぞれ凸状のレンズ面11,12を有している。第2のレンズ1Bは、たとえば凹凸レンズとして構成されており、その上面中央部および下面中央部にそれぞれ凹状のレンズ面13および凸状のレンズ面14を有している。第3のレンズ1Cは、たとえば凸凹レンズとして構成されており、その上面中央部および下面中央部にそれぞれ凹状のレンズ面15および凸状のレンズ面16を有している。
【0024】
第1ないし第3のレンズ1A〜1Cのレンズ面11〜16の略全域には、略均一な膜厚を有する被膜7が形成されている。被膜7は、アクリル系透明樹脂とエポキシ系透明樹脂とを含有する混合樹脂による膜であり、耐熱性や光学特性に優れている。上記混合樹脂としては、たとえば日本合成ゴム株式会社のアートン(商標)を用いることができる。この被膜7の膜厚は薄く、たとえば0.2μm〜2.0μmとされている。被膜7の表面は、レンズ面11〜16よりも滑らかに仕上げられている。また、被膜7の屈折率は、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cの屈折率と同一または略同一とされており、光がレンズ面11〜16で屈折しないようになっている。なお、図4においてたとえば第1のレンズ1Aについて示されているように、被膜7は、レンズ面11,12上だけでなく、第1のレンズ1Aのレンズ面11,12以外の表面上にも形成されていてもよい。もちろん、第2および第3のレンズ1B,1Cについても同様である。
【0025】
第1ないし第3のレンズ1A〜1Cは、それらの側面が略面一となるように積層されている。より具体的には、第1のレンズ1Aは、レンズ面12が第2のレンズ1Bのレンズ面13に接触しないようにして第2のレンズ1B上に積層されている。第2のレンズ1Bは、レンズ面14が第3のレンズ1Cのレンズ面15に接触しないように、略ドーナツ状の遮光部材8を介して第3のレンズ1C上に積層されている。遮光部材8は、被写体の結像に不必要な余分な光が第3のレンズ1Cに入射するのを抑制するのに役立つとともに、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cの焦点がイメージセンサチップ5上に合うように高さ調整するのにも役立っている。本実施形態のように複数のレンズを用いるとともに、凸レンズと凹レンズとを組み合わせれば、収差を少なくすることができ、色消しも可能となる。
【0026】
レンズホルダ2およびハウジング3は、ともに合成樹脂製であり、略円筒状に形成されている。レンズホルダ2内には、光学軸Lが合わされるようにして第1ないし第3のレンズ1A〜1Cが収容されている。ハウジング3の内周部とレンズホルダ2の外周部とにはねじが形成されており、これらの螺合により、ハウジング3へのレンズホルダ2の組み付けがなされている。
【0027】
ハウジング3は、その内周部に形成された第1の段部31によって第1ないし第3のレンズ1A〜1Cを支持している。より具体的には、第3のレンズ1Cの下面には、レンズホルダ2の下面21よりも下方に突出する凸部17が形成されており、この凸部17が第1の段部31に接触している。レンズホルダ2をハウジング3にねじ込んでいけば、レンズホルダ2の上部壁22と第1の段部31との間に第1ないし第3のレンズ1A〜1Cを挟み込むことができるようになっており、これにより第1ないし第3のレンズ1A〜1Cは高さ方向の位置決め固定が図られている。なお、上部壁22には、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cの露光用の開口23が形成されている。
【0028】
ハウジング3の内周部にはさらに、第1の段部31の下方において、光学的フィルタ4を支持するための第2の段部32が形成されている。この光学的フィルタ4は、たとえば第1ないし第3のレンズ1A〜1Cを透過してきた光に含まれる赤外線をカットするものであり、鮮明な撮像画像を得るのに役立つ。
【0029】
基板6は、たとえば矩形平板状の絶縁基板である。この基板6の上面には、イメージセンサチップ5が搭載されている。ハウジング3は、このイメージセンサチップ5の周囲を取り囲むようにして基板6上に取り付けられている。イメージセンサチップ5は、CCD型あるいはMOS型の固体撮像素子であり、図2に示されているように光を受光する受光部51と、複数の電極52と、内部に造り込まれた光電変換部(図示略)とを有している。イメージセンサモジュールXは、受光部51で受けた光を上記光電変換部においてその受光量に対応した電荷に変換し、かつこの電荷を各電極52から出力するように構成されている。各電極52は、ワイヤWを介して基板6の表面に形成された複数の導体パッド61と接続している。基板6の裏面には、配線パターン(図示略)を介して各導体パッド61と電気的に導通した複数の端子62が設けられている。これら複数の端子62を利用することによって、イメージセンサモジュールXを所望の位置に面実装することが可能となる。
【0030】
次に、イメージセンサモジュールXの製造方法の一例について説明する。
【0031】
まず、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cを樹脂成形する。この樹脂成形は、上記従来技術と同様に、樹脂成形金型を用いて行なえばよい。次に、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cのレンズ面11〜16上に、スピンコート法により被膜7を形成する。第1のレンズ1Aのレンズ面11に被膜7を形成する場合には、このレンズ面11を上向きとし、たとえば両面テープを利用して第1のレンズ1Aを回転台に固定する。この回転台をたとえば3000回/分で回転させて、レンズ面11の上方から流動性を有する混合樹脂材料をレンズ面11に落下させると、この混合樹脂材料はレンズ面11上に略均一な厚みに広がる。その後、上記混合樹脂材料を硬化させることによって、レンズ面11に略均一な厚みの被膜7を形成することができる。本願発明の発明者らの実験により、上記混合樹脂材料の粘度が10mP〜70mP(25℃)であれば、被膜7の表面を斑のない滑らかな面に仕上げるのにより好ましいことが確認されている。たとえばレンズ面11以外の部分にマスキングを施しておき、スピンコート終了後にそのマスクを除去すれば、レンズ面11のみに対する部分的な被膜形成を適切に行なうことができる。他のレンズ面12〜16についても、同様な方法により、被膜7を形成することができる。
【0032】
一方、上記した作業とは別に、ハウジング3の第2の段部32に光学的フィルタ4を取り付けて、かつこのハウジング3を基板6に取り付けておく。これらの取付けは、たとえば接着剤を用いた接着により行なう。イメージセンサチップ5については、ハウジング3を基板6に取り付ける前に、基板6上に実装しておく。
【0033】
次に、レンズホルダ2の内部に第1ないし第3のレンズ1A〜1Cおよび遮光部材8を収容し、このレンズホルダ2をハウジング3に組み付ける。上記した一連の作業工程により、イメージセンサモジュールXの組み立てを完了することができる。
【0034】
上記した構成のイメージセンサモジュールXにおいては、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cのレンズ面11〜16が被膜7によって覆われている。このため、レンズ面11〜16に代わり、被膜7の表面が光の屈折面となる。被膜7の表面は滑らかに仕上げられているため、被写体からの光を被膜7の表面で適正に屈折させることができる。このことは、図3において例示しているように、レンズ面11,12が粗い場合に効果的となる。レンズ面13〜16についても同様であり、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cの光学的性能を向上させることが可能となる。被膜7は略均一な膜厚で薄く形成されているため、レンズ面11〜16の曲率を大きく狂わせることもない。また、被膜7は、耐熱性などに優れているため、容易に変形したりすることもない。
【0035】
本願発明は、上述した実施形態の内容に限定されるものではない。本願発明に係るイメージセンサモジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。同様に、本願発明に係るイメージセンサモジュールの製造方法における各作業工程の具体的な構成も、種々に変更自在である。
【0036】
たとえば、被膜の材料である混合樹脂には、アクリル系透明樹脂およびエポキシ系透明樹脂以外の他の物質が含まれていてもよい。レンズ面の略全域に被膜を形成することに限定されず、光を受光部に集束させるのに必要なレンズ面の主要部分のみに被膜を形成してもよい。レンズ面の形状も凸状や凹状であることに限定されず、たとえば平面状であってもよく、レンズをたとえば平凸レンズや平凹レンズとして構成してもよい。遮光部材は必ずしも設けなくてもよく、第3のレンズ上に第2のレンズを直接積層してもよい。レンズホルダに収容されるレンズの個数は3個に限定されず、1個や2個であってもよく、または4個以上であってもよい。レンズホルダとハウジングとの組み付け構造も上記形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るイメージセンサモジュールの一例を示す断面図である。
【図2】図1に示すイメージセンサチップの斜視図である。
【図3】図1に示す被膜の作用説明図である。
【図4】本願発明に係るイメージセンサモジュールの他の例を示す要部断面図である。
【図5】従来のイメージセンサモジュールの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1A〜1C レンズ
5 イメージセンサチップ
6 基板
7 被膜
X イメージセンサモジュール
【発明の属する技術分野】
本願発明は、デジタルカメラやカメラ付きの携帯電話機などに組み込んで使用されるイメージセンサモジュールおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のイメージセンサモジュールの一例としては、特許文献1に記載されているものがあり、これを本願の図5に示す。図示されたイメージセンサモジュール100は、レンズ110を備えている。このレンズ110は、凹状レンズ面111と凸状レンズ面112とを有する凹凸レンズであり、被写体から進行してきた光を基板120上に搭載されているイメージセンサチップ130上に集束させる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−320150号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のイメージセンサモジュール100においては、レンズ110は、製造コストを安価にするなどのために、たとえば透光性を有する合成樹脂を樹脂成形用金型に流し込むことによって成形される。しかしながら、レンズ110の直径は一般的に数mm程度であり、このレンズ110のサイズは微小であるため、凹状レンズ面111や凸状レンズ面112に対応する上記樹脂成形金型の部分を滑らかな面に仕上げることは難しい。このため、凹状レンズ面111や凸状レンズ面112が粗くなり、レンズ110の光学的性能が低いものとなる場合があった。これでは、被写体の撮像画像の質も悪くなる。
【0005】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、光学的性能に優れたレンズを有するイメージセンサモジュールおよびその製造方法を提供することをその課題としている。
【0006】
【発明の開示】
上記の課題を解決するために、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本願発明の第1の側面よって提供されるイメージセンサモジュールは、光電変換機能を有するイメージセンサチップ上に被写体の像を結像させるためのレンズを備えたイメージセンサモジュールであって、上記レンズのレンズ面には、透光性を有する被膜が形成されていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、上記レンズ面に代えて、上記被膜の表面を光の屈折面として役立たせるとともに、この被膜の表面については上記レンズ面よりも滑らかな面に仕上げることができる。したがって、上記従来技術よりも上記レンズの光学的性能を高めることができ、上記イメージセンサチップ上に被写体の像を適正に結像させることが可能となる。
【0009】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記被膜は、アクリル系透明樹脂とエポキシ系透明樹脂とを混合した混合樹脂製である。
【0010】
このような構成によれば、たとえば上記アクリル系透明樹脂単独で上記被膜を形成した場合よりも、耐熱性、耐候性、および撥水性などを向上させることができる。
【0011】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記被膜の膜厚は、0.2μm〜2.0μmである。
【0012】
このような構成によれば、上記被膜の膜厚が薄いため、上記レンズ面がたとえば凸状や凹状の曲面であっても、その曲率に大きな狂いが生じることを防止することができる。
【0013】
本願発明の第2の側面によって提供されるイメージセンサモジュールの製造方法は、被写体からの光を屈折させるレンズのレンズ面に、透光性を有する被膜を形成する被膜形成工程を有していることを特徴としている。
【0014】
このような製造方法によれば、本願発明の第1の側面によって提供されるイメージセンサモジュールを適切に製造することができ、本願発明の第1の側面によって提供されるイメージセンサモジュールについて述べたことと同様な効果を得ることが可能となる。
【0015】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記被膜形成工程は、スピンコート法により行なう。
【0016】
このような構成によれば、上記レンズ面に対して略均一な膜厚の被膜を容易に形成することができ、作業効率を高めることが可能となる。
【0017】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記被膜を形成する樹脂の粘度は、10mP〜70mP(25℃)である。
【0018】
このような構成によれば、スピンコート法によって上記被膜を上記レンズ面に形成するときに、上記被膜の表面を斑のない滑らかな面に仕上げるのにより好ましいことが、本願発明者らの実験により確認された。
【0019】
本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0021】
図1は、本願発明に係るイメージセンサモジュールの一実施形態を示している。本実施形態のイメージセンサモジュールXは、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cと、レンズホルダ2と、ハウジング3と、光学的フィルタ4と、イメージセンサチップ5と、基板6と、を備えている。
【0022】
第1ないし第3のレンズ1A〜1Cは、それぞれ略同一の径を有する略円板状であり、たとえば透光性を有する合成樹脂により成形されたものである。その具体的な材質としては、透明度や機械強度にすぐれたPMMA(ポリメタクリル酸メチル(メタクリル樹脂))やPC(ポリカーボネート)が好適に採用される。これら第1ないし第3のレンズ1A〜1Cは、被写体から進行してきた光を集束させて、イメージセンサチップ5上に上記被写体の像を結像させる。
【0023】
第1のレンズ1Aは、たとえば両凸レンズとして構成されており、その上面中央部および下面中央部にそれぞれ凸状のレンズ面11,12を有している。第2のレンズ1Bは、たとえば凹凸レンズとして構成されており、その上面中央部および下面中央部にそれぞれ凹状のレンズ面13および凸状のレンズ面14を有している。第3のレンズ1Cは、たとえば凸凹レンズとして構成されており、その上面中央部および下面中央部にそれぞれ凹状のレンズ面15および凸状のレンズ面16を有している。
【0024】
第1ないし第3のレンズ1A〜1Cのレンズ面11〜16の略全域には、略均一な膜厚を有する被膜7が形成されている。被膜7は、アクリル系透明樹脂とエポキシ系透明樹脂とを含有する混合樹脂による膜であり、耐熱性や光学特性に優れている。上記混合樹脂としては、たとえば日本合成ゴム株式会社のアートン(商標)を用いることができる。この被膜7の膜厚は薄く、たとえば0.2μm〜2.0μmとされている。被膜7の表面は、レンズ面11〜16よりも滑らかに仕上げられている。また、被膜7の屈折率は、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cの屈折率と同一または略同一とされており、光がレンズ面11〜16で屈折しないようになっている。なお、図4においてたとえば第1のレンズ1Aについて示されているように、被膜7は、レンズ面11,12上だけでなく、第1のレンズ1Aのレンズ面11,12以外の表面上にも形成されていてもよい。もちろん、第2および第3のレンズ1B,1Cについても同様である。
【0025】
第1ないし第3のレンズ1A〜1Cは、それらの側面が略面一となるように積層されている。より具体的には、第1のレンズ1Aは、レンズ面12が第2のレンズ1Bのレンズ面13に接触しないようにして第2のレンズ1B上に積層されている。第2のレンズ1Bは、レンズ面14が第3のレンズ1Cのレンズ面15に接触しないように、略ドーナツ状の遮光部材8を介して第3のレンズ1C上に積層されている。遮光部材8は、被写体の結像に不必要な余分な光が第3のレンズ1Cに入射するのを抑制するのに役立つとともに、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cの焦点がイメージセンサチップ5上に合うように高さ調整するのにも役立っている。本実施形態のように複数のレンズを用いるとともに、凸レンズと凹レンズとを組み合わせれば、収差を少なくすることができ、色消しも可能となる。
【0026】
レンズホルダ2およびハウジング3は、ともに合成樹脂製であり、略円筒状に形成されている。レンズホルダ2内には、光学軸Lが合わされるようにして第1ないし第3のレンズ1A〜1Cが収容されている。ハウジング3の内周部とレンズホルダ2の外周部とにはねじが形成されており、これらの螺合により、ハウジング3へのレンズホルダ2の組み付けがなされている。
【0027】
ハウジング3は、その内周部に形成された第1の段部31によって第1ないし第3のレンズ1A〜1Cを支持している。より具体的には、第3のレンズ1Cの下面には、レンズホルダ2の下面21よりも下方に突出する凸部17が形成されており、この凸部17が第1の段部31に接触している。レンズホルダ2をハウジング3にねじ込んでいけば、レンズホルダ2の上部壁22と第1の段部31との間に第1ないし第3のレンズ1A〜1Cを挟み込むことができるようになっており、これにより第1ないし第3のレンズ1A〜1Cは高さ方向の位置決め固定が図られている。なお、上部壁22には、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cの露光用の開口23が形成されている。
【0028】
ハウジング3の内周部にはさらに、第1の段部31の下方において、光学的フィルタ4を支持するための第2の段部32が形成されている。この光学的フィルタ4は、たとえば第1ないし第3のレンズ1A〜1Cを透過してきた光に含まれる赤外線をカットするものであり、鮮明な撮像画像を得るのに役立つ。
【0029】
基板6は、たとえば矩形平板状の絶縁基板である。この基板6の上面には、イメージセンサチップ5が搭載されている。ハウジング3は、このイメージセンサチップ5の周囲を取り囲むようにして基板6上に取り付けられている。イメージセンサチップ5は、CCD型あるいはMOS型の固体撮像素子であり、図2に示されているように光を受光する受光部51と、複数の電極52と、内部に造り込まれた光電変換部(図示略)とを有している。イメージセンサモジュールXは、受光部51で受けた光を上記光電変換部においてその受光量に対応した電荷に変換し、かつこの電荷を各電極52から出力するように構成されている。各電極52は、ワイヤWを介して基板6の表面に形成された複数の導体パッド61と接続している。基板6の裏面には、配線パターン(図示略)を介して各導体パッド61と電気的に導通した複数の端子62が設けられている。これら複数の端子62を利用することによって、イメージセンサモジュールXを所望の位置に面実装することが可能となる。
【0030】
次に、イメージセンサモジュールXの製造方法の一例について説明する。
【0031】
まず、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cを樹脂成形する。この樹脂成形は、上記従来技術と同様に、樹脂成形金型を用いて行なえばよい。次に、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cのレンズ面11〜16上に、スピンコート法により被膜7を形成する。第1のレンズ1Aのレンズ面11に被膜7を形成する場合には、このレンズ面11を上向きとし、たとえば両面テープを利用して第1のレンズ1Aを回転台に固定する。この回転台をたとえば3000回/分で回転させて、レンズ面11の上方から流動性を有する混合樹脂材料をレンズ面11に落下させると、この混合樹脂材料はレンズ面11上に略均一な厚みに広がる。その後、上記混合樹脂材料を硬化させることによって、レンズ面11に略均一な厚みの被膜7を形成することができる。本願発明の発明者らの実験により、上記混合樹脂材料の粘度が10mP〜70mP(25℃)であれば、被膜7の表面を斑のない滑らかな面に仕上げるのにより好ましいことが確認されている。たとえばレンズ面11以外の部分にマスキングを施しておき、スピンコート終了後にそのマスクを除去すれば、レンズ面11のみに対する部分的な被膜形成を適切に行なうことができる。他のレンズ面12〜16についても、同様な方法により、被膜7を形成することができる。
【0032】
一方、上記した作業とは別に、ハウジング3の第2の段部32に光学的フィルタ4を取り付けて、かつこのハウジング3を基板6に取り付けておく。これらの取付けは、たとえば接着剤を用いた接着により行なう。イメージセンサチップ5については、ハウジング3を基板6に取り付ける前に、基板6上に実装しておく。
【0033】
次に、レンズホルダ2の内部に第1ないし第3のレンズ1A〜1Cおよび遮光部材8を収容し、このレンズホルダ2をハウジング3に組み付ける。上記した一連の作業工程により、イメージセンサモジュールXの組み立てを完了することができる。
【0034】
上記した構成のイメージセンサモジュールXにおいては、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cのレンズ面11〜16が被膜7によって覆われている。このため、レンズ面11〜16に代わり、被膜7の表面が光の屈折面となる。被膜7の表面は滑らかに仕上げられているため、被写体からの光を被膜7の表面で適正に屈折させることができる。このことは、図3において例示しているように、レンズ面11,12が粗い場合に効果的となる。レンズ面13〜16についても同様であり、第1ないし第3のレンズ1A〜1Cの光学的性能を向上させることが可能となる。被膜7は略均一な膜厚で薄く形成されているため、レンズ面11〜16の曲率を大きく狂わせることもない。また、被膜7は、耐熱性などに優れているため、容易に変形したりすることもない。
【0035】
本願発明は、上述した実施形態の内容に限定されるものではない。本願発明に係るイメージセンサモジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。同様に、本願発明に係るイメージセンサモジュールの製造方法における各作業工程の具体的な構成も、種々に変更自在である。
【0036】
たとえば、被膜の材料である混合樹脂には、アクリル系透明樹脂およびエポキシ系透明樹脂以外の他の物質が含まれていてもよい。レンズ面の略全域に被膜を形成することに限定されず、光を受光部に集束させるのに必要なレンズ面の主要部分のみに被膜を形成してもよい。レンズ面の形状も凸状や凹状であることに限定されず、たとえば平面状であってもよく、レンズをたとえば平凸レンズや平凹レンズとして構成してもよい。遮光部材は必ずしも設けなくてもよく、第3のレンズ上に第2のレンズを直接積層してもよい。レンズホルダに収容されるレンズの個数は3個に限定されず、1個や2個であってもよく、または4個以上であってもよい。レンズホルダとハウジングとの組み付け構造も上記形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るイメージセンサモジュールの一例を示す断面図である。
【図2】図1に示すイメージセンサチップの斜視図である。
【図3】図1に示す被膜の作用説明図である。
【図4】本願発明に係るイメージセンサモジュールの他の例を示す要部断面図である。
【図5】従来のイメージセンサモジュールの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1A〜1C レンズ
5 イメージセンサチップ
6 基板
7 被膜
X イメージセンサモジュール
Claims (6)
- 光電変換機能を有するイメージセンサチップ上に被写体の像を結像させるためのレンズを備えたイメージセンサモジュールであって、
上記レンズのレンズ面には、透光性を有する被膜が形成されていることを特徴とする、イメージセンサモジュール。 - 上記被膜は、アクリル系透明樹脂とエポキシ系透明樹脂とを混合した混合樹脂製である、請求項1に記載のイメージセンサモジュール。
- 上記被膜の膜厚は、0.2μm〜2.0μmである、請求項1または2に記載のイメージセンサモジュール。
- 被写体からの光を屈折させるレンズのレンズ面に、透光性を有する被膜を形成する被膜形成工程を有していることを特徴とする、イメージセンサモジュールの製造方法。
- 上記被膜形成工程は、スピンコート法により行なう、請求項4に記載のイメージセンサモジュールの製造方法。
- 上記被膜を形成する樹脂の粘度は、10mP〜70mP(25℃)である、請求項5に記載のイメージセンサモジュールの製造方法。
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JP2007134850A (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-31 | Alps Electric Co Ltd | カメラモジュール |
KR100766953B1 (ko) | 2006-06-14 | 2007-10-18 | 서울전자통신(주) | 카메라모듈 |
-
2003
- 2003-02-25 JP JP2003047411A patent/JP2004260414A/ja active Pending
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