JP2004259839A - ウエット処理装置及び軸受ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】設備費及び維持経費を抑えることができ、不純物混入や発生要因をより無くすことができるウエット処理装置と軸受ユニットを実現する。
【解決手段】軸部15を有した基板用収容カセット1と、槽内の処理液Sに浸して収容カセット内の基板Wを液処理する槽本体2と、収容カセット1を軸部15を介し回転自在に保持する左右の軸受部材6と、軸受部材6に保持される収容カセット1を回転する回転手段4と、槽本体内の処理液の一部を槽外へ取り出し、該取り出した処理液を槽内へ戻す液循環経路部3とを備えたウエット処理装置において、回転手段4は、液循環経路部3に接続されて槽本体内から取り出した処理液を軸受部材に保持された収容カセット側へ噴射する液吐出部4を有し、該液吐出部4から噴射される処理液の吐出流により収容カセット1を回転する。
【選択図】 図1
【解決手段】軸部15を有した基板用収容カセット1と、槽内の処理液Sに浸して収容カセット内の基板Wを液処理する槽本体2と、収容カセット1を軸部15を介し回転自在に保持する左右の軸受部材6と、軸受部材6に保持される収容カセット1を回転する回転手段4と、槽本体内の処理液の一部を槽外へ取り出し、該取り出した処理液を槽内へ戻す液循環経路部3とを備えたウエット処理装置において、回転手段4は、液循環経路部3に接続されて槽本体内から取り出した処理液を軸受部材に保持された収容カセット側へ噴射する液吐出部4を有し、該液吐出部4から噴射される処理液の吐出流により収容カセット1を回転する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体やLCD製造工程等において、処理対象の基板を入れた収容カセットを、槽本体内の薬液やリンス液等の処理液に浸した状態で回転して収容カセット内の基板をエッチングや洗浄等の液処理する回転式のウエット処理装置及びそれに用いられる軸受ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
回転式のウエット処理装置では、基板用収容カセットを槽本体内の処理液に浸した状態で回転するため、収容カセット内の基板に対するエッチング等の液処理を均一化したり処理効率を向上できる。また、装置構造としては、槽本体内の処理液の一部を槽外へ取り出し、該取り出した処理液を濾過したり再生処理して槽内へ戻す液循環手段を設けることにより、使用している処理液の寿命を長くしたり連続稼動を維持できるようにしている。
【0003】
従来装置例としては下記文献1〜3に開示のものがある。このうち、文献1の装置は、槽本体内において、収容カセットを支持台に回転自在に保持した状態で、槽内底部に設けられたノズルから不活性ガスを収容カセット、又は、支持台に保持される収容カセットの軸部に設けられた風車に向けて噴射し、該噴射力つまり気泡圧力により回転する構造である。文献2の装置は、収容カセットを槽本体内に回転自在に保持した状態で、槽本体外に設けられて、回転駆動される磁石、及び収容カセットの端面に設けられた磁石の磁気作用により回転する構造である。文献3の装置要部は、槽本体内の収容カセットを槽外部に設けられた回転モータ及びギヤ構造体等を介して機械的に回転したり、槽外部に設けられたX−Y−Z方向の各回転モータにより収容カセットを揺動したり、槽内に設けられたノズルから収容カセットに向けて不活性ガス等を噴射させるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開昭55−68633号公報(第2頁、第1図〜第3図)
【特許文献2】
特開2000−36482号公報(第3〜第5頁、図1〜図5)
【特許文献3】
特開2000−68426号公報(第7頁〜第9頁、図1〜図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来処理装置では、収容カセットを回転する動力源として、気泡圧力を利用する場合は大量の不活性ガスが必要となり、磁気作用の場合は磁石回転駆動機構が必要となり、回転モータの場合は動力伝達機構が複雑化するため、設備費が何れも高く稼動経費も増大し、不純物が槽外から処理液中に混入し易い。また、従来構造では、収容カセットが処理液に浸されて支持台や軸受部材に対応軸部を保持した状態で回転されるため、軸保持部が回転摩擦で不純物を生じ易く、該不純物により処理精度が悪くなり歩留まり低下要因となる。
【0006】
本発明の目的は、以上のような問題を一掃して、例えば、設備費及び維持経費を抑えることができ、又、不純物混入や発生要因をより無くすことができ、それにより処理精度を向上したりウエット処理方式の適用機会を増大できるウエット処理装置及びそれに好適な軸受ユニットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため本発明は、図面の例で特定すると、両端面に軸部15を有した基板用収容カセット1と、槽内の処理液Sに前記収容カセット1を浸して該収容カセット内の基板Wを液処理する槽本体2と、前記槽本体内に設けられて前記収容カセット1を前記軸部15を介し回転自在に保持する左右の軸受部材6と、前記軸受部材6に保持される前記収容カセット1を回転する回転手段4と、前記槽本体内の処理液の一部を槽外へ取り出し、該取り出した処理液を槽内へ戻す液循環経路部3とを備えたウエット処理装置において、前記回転手段4は、前記液循環経路部3に接続されて前記槽本体内から取り出した処理液を前記軸受部材に保持された前記収容カセット側へ噴射する液吐出部を有し、該液吐出部から噴射される処理液の吐出流により前記収容カセット1を回転することを特徴としている。
【0008】
(工夫点等)以上の装置において、要部の回転手段は、既設の液循環経路部に接続された液吐出部から、槽本体内から取り出した処理液のうち、再び槽本体内へ戻す処理液(一部又は全部)を収容カセット側へ噴射して、その処理液の吐出流(吐出圧と同じ)により収容カセットを回転させるようにしたものである。従って、この回転手段では、例えば、軸受部材に保持される収容カセット側へ液を噴射可能な液吐出部を追加し、該液吐出部に対し既設の液循環経路部のうち戻り配管側を接続するだけでよいため、従来構造に比べて、極めて簡易であり、設備費を大幅に低減でき、既設の液循環経路部に設けられている液圧送用ポンプをそのまま利用して稼動経費を抑えることができる利点がある。同時に、噴射流体が槽本体内で使用している処理液であることから、不活性ガス等を噴射する従来構造に比べ当該処理液への不純物混入の虞が一切なくなる点でも優れている。ここで、本発明の収容カセットは、処理対象の基板を入れる介在物であればよく、図面に例示した形態以外でも、例えば、基板を第1の収容カセットに収容し、該第1の収容カセットを更に第2の収容カセットに入れて当該第2の収容カセット(の軸部)を軸受部材に回転自在に保持する態様、前記第2の収容カセットを更に第3の収容カセットに入れて当該第3の収容カセット(の軸部)を軸受部材に回転自在に保持する態様、つまり複数の収容カセット構造も当然に含むものである。
【0009】
以上の本発明は請求項2〜7のように展開することが可能である。すなわち、・請求項2は、前記液吐出部4が前記軸受部材6に設けられて、前記液循環経路部3と接続されていると、液吐出部を支持する専用部材を不要にでき、槽本体内を煩雑化する虞をなくし、取扱性に優れ、設置の簡素化も可能にする。
・請求項3は、前記収容カセット1が端面11に固定水車部17を有し、前記液循環経路部3が前記液吐出部4から前記固定水車部17へ向けて処理液Sを噴射する構成である。この場合は、液吐出部から噴射される液圧を固定水車部で受け易くして、収容カセットを効率よく回転できるようにする。
・請求項4は、前記軸受部材6が軸受面28に設けられて前記液循環経路部3と接続されている上吐出部28aを有し、前記液循環経路部3が前記槽本体内から取り出した処理液を前記上吐出部より前記軸受面28上の前記軸部15の周面へ噴射して、該処理液の吐出流により前記収容カセット1を浮上可能にする構成である。この場合は、収容カセットが軸受面に浮上されるため、従来構造と比べて、軸部と軸受面との間の回転摩擦、それに起因した不純物発生要因がなくなり処理精度及び歩留まりを向上でき、装置信頼性も具備できるようにする。
【0010】
・請求項5は、前記液循環経路部3が前記軸受部材6に保持される前記収容カセット1の両端面と対向する左右の横吐出部29を有し、該横吐出部から噴射される前記処理液の吐出流により前記収容カセット1の端面11と前記軸受部材6との隙間を維持可能にする構成である。これは、収容カセットを両側の横吐出部からの処理液の吐出流によりセンタリング調整するようにして、収容カセットが回転に伴って軸方向に動いて軸受部材に衝突し、該衝突に起因した不純物発生等を解消できるようにする。ここで、「収容カセットの両端面」とは横吐出部29より噴射される吐出流を受ける箇所を意味し、軸部15の端面も含まれる。軸部端面の例としては、軸受部材が略L形であり、該L形の水平片部を軸受面にし、該L形の垂直片部側に横吐出部を設けるようにする。
・請求項6は、前記横吐出部29が前記両軸受部材6に設けられて、前記液循環経路部3と接続されていると、請求項2と同様な利点を具備できるようにする。
・請求項7は、請求項1から6のウエット処理装置に用いられて、前記槽本体2内の下部に配設される設置板35と、前記設置板上の左右に取り付けられた前記軸受部材6と、前記設置板35に設けられて前記液循環経路部3と接続されている配管部36と、前記軸受部材6に設けられて前記配管部と接続される下流配管部37とを有している軸受ユニット5である。この軸受ユニットは、本発明を実施する上で、取扱性及び槽本体内への組込性、並びに収容カセット(軸部)等に応じた交換性等を良好にし、発明装置の採用を容易にして普及をし易くする利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態としてのウエット処理装置を図面を参照しながら説明する。図1はウエット処理装置を液循環経路部と共に示す槽本体の片側を断面した模式図、図2は槽本体を正面側を断面した模式図である。図3は軸受ユニットの概略外観図、図4は収容カセットの概略外観図、図5は軸受ユニットを軸受部材の箇所で断面した図、図6は軸受部材と収容カセットの端面側との関係を示す模式図である。なお、図2は処理液を省略し、図6ではねじ26b等を省略している。以下の説明では、発明装置の概要、収容カセット、槽構造、軸受ユニットの順で詳述した後、作動に言及する。
【0012】
(概要)対象のウエット処理装置は、液処理する複数枚の基板Wを収容カセット1にセットした状態で、槽本体2の処理液Sに浸漬し、収容カセット1を回転手段4により回転して、エッチング処理したり洗浄処理する回転式のものであればよい。基板Wは、例えば、半導体ウエハであり、収容カセット1に横並び、かつ、定間隔にセットされて互いに接触不能に保持される。収容カセット1は、槽本体2内の処理液Sに下降移動されて液処理され、その後、上昇移動されて次工程に供給される。処理液Sは、エッチング処理用の薬液(例えば燐酸(H3PO4)、硝酸(HNO3)と弗酸(HF)を混合した薬液等)、洗浄処理用のリンス液や純水と言うように目的に応じた液である。槽本体2には、処理液Sが液溜設備から供給され、その後は槽本体2に付設される液循環経路部3を流れる過程で濾過処理されたり再生処理される。本発明は、以上のような収容カセット1を槽本体2内の処理液Sに浸した状態で、回転自在に保持する軸受ユニット5及び回転手段4を工夫したものである。
【0013】
(収容カセット)収容カセット1は、図4に示されるように、本体10が略円筒スケルトン状であり、円筒の両端面を形成している2枚の側板11と、各側板11に設けられて端面中心外側へ突出されている円柱状軸部(回転軸と同じ)15と、両側板11を連結して基板Wを位置決め支持するため略半円上に配置された複数本(実施例では4本)のシャフト12と、フック13及びシャフト14からなる着脱部16と、各側板11の外端面に設けられた固定水車部17とを有している。各シャフト12は、基板Wの外周を嵌合する多数の溝12aを軸方向にあって定間隔に形成している。各側板11の内端面には突起11aが上下中間より少し上側に2個づつ設けられている。着脱部16は、該シャフト12同士で形成される円弧状の空間内に基板Wを出し入れする箇所である。フック13は、略逆U形をなし、両片の先端に設けられた係合爪13aを有し、係合爪13aが前記突起11aに係脱することにより本体10に対し着脱される。シャフト14は単純な棒状であり、基板Wがシャフト12同士で形成される空間内から不用意に抜け出ないよう規制する。固定水車部17は、両側板11の外端面に対し軸部15と同心円上に設けられており、軸部15よりかなり径大となった胴部外周に複数の羽根18を有している。各羽根18は全体がギヤの長い歯形状となっている。形状的には、羽根18が外部から液圧を受けたとき、その液圧を面的に受け易くする形状であればよい。なお、収容カセット1を用いた実際の液処理において、収容カセット1の移動は、一般的に自動搬送機で行われ、収容カセット1の両端に設けられている軸部15を把持することが多い。このため、両側の軸部15は、軸受部材6の軸受面28より外へ突出する長さに設定されている。
【0014】
(槽構造)槽構造は、図1及び図2に示されるように、目的の処理液Sを液溜ラインから供給して収容する槽本体2が主体となり、該槽本体2から処理液Sを排出しそれを濾過処理したり再生して再び槽本体2へ循環する液循環経路部3を備えている。槽本体2は、周囲側壁20及び底壁21で槽内を区画し、槽本体2から溢れた処理液を貯める溢流堰22を上外周に形成している。この例では、槽本体2の開口が必要に応じて蓋体23により開閉される。液循環経路部3は、溢流堰22の底部から処理液Sを取り出し、濾過部30、ポンプ31から槽本体2の底壁21上に設けられた軸受ユニット5を通じて槽本体2内へ戻される。溢流堰22の底部とポンプ31との間は配管部33aで接続され、該配管部33aの途中に濾過部30が介在されている。この濾過部30は、例えば、ベローズダンパー付きフィルター装置(特開2001−46815号)であり、処理液S中の不純物を除去する。また、ポンプ31と軸受ユニット5との間には弁装置32が介在されている。この弁装置32は、細部を省略したが、三方弁及びその分配流量を調整する制御部等からなる。
【0015】
なお、以上の槽構造は、処理対象の基板Wや処理液Sによって変形可能である。その一例を挙げると、槽構造としては、槽本体2に加熱用ヒータ等が設けられたり、槽内液温度を検出する温度コントローラ等が設けられる。液循環経路部3としては、特開平7−86260号公報の構成、特開平11−293479号公報の構成、特願2002−269405号に記載された図1及び図2の希釈・析出再生部並びに図3の構成でも差し支えない。また、液循環経路部3は、ここに新液(液にガスを含む態様でもよい)を導入したり、不足原料を導入してから槽本体2内へ戻す場合もあり、これらの態様も本発明に含まれる。
【0016】
(軸受ユニット)槽本体2内に設けられる軸受ユニット5は、図3及び図5と図6に示されるように、槽本体2の底壁21上に取り付けられる設置板35と、設置板35上の左右に取り付けられた2個の軸受部材6と、設置板35に内設されて液循環経路部3の配管部33cと接続されている配管部36と、各軸受部材6に内設されて前記対応する配管部36と接続される下流配管部37とを備えている。設置板35は、槽本体2内に余裕を持って配置される大きさの矩形板状であり、図5の断面で分かるように、配管箇所を空洞にしそこに各配管部36を配置している。この設置板35には、両側の軸受部材6に対応した取付孔及び配管部36を軸受部材6側に連通する連通孔、槽本体2の底壁21にねじ等で固定する取付孔35a等が設けられている。図3の符号34は、前記各配管部33cに対応する配管部36を接続するジョイントである。このジョイント34は、模式化しているが、例えば、設置板35の側面や底面側に付設されることもある。
【0017】
各軸受部材6は、図5のように、設置板35の左右に取り付けられる治具25と、治具25上に取り付けられる抑え部材26と、抑え部材26の中央に位置決め規制される軸受27とからなる。治具25は、上下方向の配管箇所を空洞にしそこに下流配管部37を配置し、上中央部に設けられた軸受配置用の凹状部と、軸受部材同士の対向面側に設けられた液吐出部4を有している。下流配管部37は、配管部36の一方に接続されて治具25上に設けられる軸受27の下面である前記凹状部に通じている管部37aと、配管部36の他方に接続されて治具25の略上下中間まで延び、更に前記液吐出部4に通じている管部37bとで構成されている。液吐出部4は、回転手段の主要部であり、例えば、図3のごとく略L形の上向きノズル4aを装着したり、上向きに傾斜した孔として形成される。これらは、後述する横吐出部29の孔線上から少しずれている。抑え部材26は治具25の上面にねじ26b等で固定される。中央部には、軸受用の貫通孔及び該貫通孔の下側を一回り径大にした径大孔が設けられている。上面には、軸部15の外径より大きな隙間を保っている対の規制棒26aが設けられている。各規制棒26aは、軸受27上の軸部15が水平又は左右方向へ大きく動こうとしたとき、該軸部15の動きを規制する。軸受27は、円柱体形であり、上面に形成されている凹円弧の軸受面28と、周囲に形成されて前記抑え部材26の径大孔に嵌合する鍔部27aと、下面に形成されて前記下流配管部37の管部37aから導入される処理液Sを受け入れる円錐状の空洞部27bと、空洞部27bから軸受部材同士の対向面側に略水平に貫通されている横吐出部29と、軸受面28と空洞部27bとの間に多数設けられている上下方向の貫通孔である上吐出部28aとを一体に有している。そして、以上の軸受27は、下側が前記治具25の凹状部に嵌合配置された後、抑え部材26が治具25上に固定されることにより鍔部27aを抑え部材26の径大孔に位置規制された状態で組み付けられる。そして、両側の軸受部材6は、各部材が一体化された後、治具25が設置板35に対しねじ35bにより固定されると、槽本体2に組み込まれる軸受ユニット5としての組立体となる。
【0018】
(作動)以上の軸受ユニット5を内設したウエット処理装置では次のような作動が従来と相違している。
(1)、液循環経路部3において、溢流堰22から取り出された処理液Sは再び槽本体2内へ戻されるが、この経路が変更されている。この構造では、溢流堰22の処理液Sが濾過部30等で適宜に不純物除去や再生処理される。濾過後の処理液Sは、ポンプ31から配管部33bを通って弁装置32により2方向に分岐された後、各配管部33cから軸受ユニット5の設置板35に配管されている2本の配管部36(図3と図5参照)へ設計流量及び液圧で圧送される。そして、処理液Sは、一方の配管部36から治具25の管部37a、軸受27の空洞部27bへ圧送された後、一部は上吐出部28aより上方へ噴射され、一部は横吐出部29より略水平方向へ噴射される。同時に、処理液Sは、他方の配管部36から治具25の管部37b、より液吐出部4(のノズル4a)から斜め上方へ噴射される。なお、以上の構造では、溢流堰22から取り出した処理液Sを全て上吐出部28a、横吐出部29、液吐出部4から噴射している。但し、処理稼動設計によっては、溢流堰22から取り出した処理液Sのうち、過剰液部分を従来と同様に槽本体2内へ直に戻すようにする。その場合は、設置板35に多数のパンチング孔を設け、該孔を介し分散状態で戻すことが好ましい。要は設置板35が分散用のパンチング板を兼用する構成である。
【0019】
(2)、このように、溢流堰22の処理液Sは、槽本体2外へ取り出された後、再度槽内へ戻されるが、上吐出部28a、横吐出部29、液吐出部4から噴射されて戻される。このため、この構造では、図1〜図3のように、収容カセット1が両側の軸受部材6に保持させていると、上吐出部28aから噴射される処理液Sの吐出液流又は液圧により軸部15を軸受面28上へ押し上げる力として作用する。この結果、収容カセット1は、軸受部材6の軸受面28から浮上され、非接触状態となるため、又、浮上しなくても軸受面28に対する当接力が大幅に弱くなる。この利点は、回転過程で軸受面28に対する摩擦力がなくなって軸保持部に生じ易い不純物発生の虞を解消できることである。
(3)、同時に、この構造では、液吐出部4(のノズル4a)から噴射されて固定水車部17の対応する羽根18に向かう吐出液流又は液圧により、収容カセット1が回転を開始する。この回転により、収容カセット1内の各基板Wは、液接触及び液剪断力により効率よく液処理される。この回転形態では、前記した収容カセット1の浮上状態、又は、軸受面28に対する当接力の低下状態により、液吐出部4の噴射力として弱い力で回転される。この利点は、回転動力源が既設のポンプ31で行え、機械式に比べて不純物混入の虞が全くなくなることである。なお、液処理後には、収容カセット1を交換するため、弁装置32が管部37aへの通路を閉じて液吐出部4(及び横吐出部29)からの噴射を停止する。すると、収容カセット1は自重により軸受面28に着地する。この構造では、軸受27が治具25及び抑え部材26に対し完全固定ではなく、設計負荷により水平周りに回動自在となるようにし、これにより収容カセット1が浮上後に着地する際、軸受27が必要に応じて向きを変えて対応軸部15を軸受面28で確実に受け止めるよう工夫されている。
(4)、同時に、この構造では、以上の収容カセット1の浮上及び回転過程において、両軸受部材6の各横吐出部29から噴射される処理液Sの吐出液流又は液圧により、収容カセット1が両軸受部材6の間にセンタリングされる。この利点は、例えば、収容カセット1が浮上状態において水平方向へ動くと、収容カセット1の側壁外端面(この例では固定水車部17)が対応する軸受部材6に衝突する虞、衝突に起因した不純物発生の虞を全て解消できることである。
【0020】
なお、本発明は以上の形態により何ら制約されない。発明のウエット処理装置は請求項1で特定した要件を、発明の軸受ユニットは請求項7で特定した要件を具備しておればよく、以上の形態を参考にして必要に応じ変更可能なものである。一例を挙げると、各部材の材質は対象処理液に応じて適宜設定されること、その際、耐食性及び耐久性以外に比重等も考慮して選定される。また、上吐出部28a及び横吐出部29は、液吐出部4と同様に孔にノズルを付設したり、該ノズルの角度や位置等も最適となるよう設計される。また、軸受部材6の管部37a,37bや設置板35の配管部36は、軸受部材6や設置板35に形成した通し孔自体により構成する態様、つまり専用の管を用いなくても何ら差し支えない。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のウエット処理装置は、回転駆動源として既設の液循環経路部に用いられている液移送用ポンプを利用可能であり、又、噴射流体が現に使用している処理液であるから、課題に挙げた問題を解消して設備費及び稼動経費共に大幅なコスト低減を実現できる。同時に、不純物混入の虞がないことから、又、不純物発生要因も解消し易いことから処理精度をより向上でき、ウエット処理方式を普及したり適用分野も拡大できる。本発明の軸受ユニットは、前記ウエット処理装置の採用をし易くし、該装置の普及と製造ラインにおける便利性、信頼性向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明形態の装置を槽本体を断面し一側から見た模式図である。
【図2】図1の装置を槽本体を断面し正面側から見た模式図である。
【図3】図1の装置に用いられた軸受ユニットを示す模式外観図である。
【図4】図1の収容カセットを示す模式外観図である。
【図5】図3の軸受ユニットの要部を示す模式縦断面図である。
【図6】上記軸受ユニットと収容カセットとの要部関係を示す図である。
【符号の説明】
1…収容カセット(10は本体、15は軸部)
2…槽本体(20は側壁、21は底壁、22は溢流部、23は蓋)
3…液循環経路部(30は濾過部、31はポンプ、32は弁装置)
4…液吐出部(回転手段を構成し、4aはノズル)
5…軸受ユニット(35は設置板、36は配管部、37は下流配管部)
6…軸受部材(25は治具、26は抑え部材、27は軸受、28は軸受面)
17…固定水車部(18は羽根)
28a…上吐出部
29…横吐出部
36…配管部(設置板側の配管部)
37a,37b…管部(軸受部材側の管部)
W…ウエハ(基板)
S…処理液
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体やLCD製造工程等において、処理対象の基板を入れた収容カセットを、槽本体内の薬液やリンス液等の処理液に浸した状態で回転して収容カセット内の基板をエッチングや洗浄等の液処理する回転式のウエット処理装置及びそれに用いられる軸受ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
回転式のウエット処理装置では、基板用収容カセットを槽本体内の処理液に浸した状態で回転するため、収容カセット内の基板に対するエッチング等の液処理を均一化したり処理効率を向上できる。また、装置構造としては、槽本体内の処理液の一部を槽外へ取り出し、該取り出した処理液を濾過したり再生処理して槽内へ戻す液循環手段を設けることにより、使用している処理液の寿命を長くしたり連続稼動を維持できるようにしている。
【0003】
従来装置例としては下記文献1〜3に開示のものがある。このうち、文献1の装置は、槽本体内において、収容カセットを支持台に回転自在に保持した状態で、槽内底部に設けられたノズルから不活性ガスを収容カセット、又は、支持台に保持される収容カセットの軸部に設けられた風車に向けて噴射し、該噴射力つまり気泡圧力により回転する構造である。文献2の装置は、収容カセットを槽本体内に回転自在に保持した状態で、槽本体外に設けられて、回転駆動される磁石、及び収容カセットの端面に設けられた磁石の磁気作用により回転する構造である。文献3の装置要部は、槽本体内の収容カセットを槽外部に設けられた回転モータ及びギヤ構造体等を介して機械的に回転したり、槽外部に設けられたX−Y−Z方向の各回転モータにより収容カセットを揺動したり、槽内に設けられたノズルから収容カセットに向けて不活性ガス等を噴射させるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開昭55−68633号公報(第2頁、第1図〜第3図)
【特許文献2】
特開2000−36482号公報(第3〜第5頁、図1〜図5)
【特許文献3】
特開2000−68426号公報(第7頁〜第9頁、図1〜図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来処理装置では、収容カセットを回転する動力源として、気泡圧力を利用する場合は大量の不活性ガスが必要となり、磁気作用の場合は磁石回転駆動機構が必要となり、回転モータの場合は動力伝達機構が複雑化するため、設備費が何れも高く稼動経費も増大し、不純物が槽外から処理液中に混入し易い。また、従来構造では、収容カセットが処理液に浸されて支持台や軸受部材に対応軸部を保持した状態で回転されるため、軸保持部が回転摩擦で不純物を生じ易く、該不純物により処理精度が悪くなり歩留まり低下要因となる。
【0006】
本発明の目的は、以上のような問題を一掃して、例えば、設備費及び維持経費を抑えることができ、又、不純物混入や発生要因をより無くすことができ、それにより処理精度を向上したりウエット処理方式の適用機会を増大できるウエット処理装置及びそれに好適な軸受ユニットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため本発明は、図面の例で特定すると、両端面に軸部15を有した基板用収容カセット1と、槽内の処理液Sに前記収容カセット1を浸して該収容カセット内の基板Wを液処理する槽本体2と、前記槽本体内に設けられて前記収容カセット1を前記軸部15を介し回転自在に保持する左右の軸受部材6と、前記軸受部材6に保持される前記収容カセット1を回転する回転手段4と、前記槽本体内の処理液の一部を槽外へ取り出し、該取り出した処理液を槽内へ戻す液循環経路部3とを備えたウエット処理装置において、前記回転手段4は、前記液循環経路部3に接続されて前記槽本体内から取り出した処理液を前記軸受部材に保持された前記収容カセット側へ噴射する液吐出部を有し、該液吐出部から噴射される処理液の吐出流により前記収容カセット1を回転することを特徴としている。
【0008】
(工夫点等)以上の装置において、要部の回転手段は、既設の液循環経路部に接続された液吐出部から、槽本体内から取り出した処理液のうち、再び槽本体内へ戻す処理液(一部又は全部)を収容カセット側へ噴射して、その処理液の吐出流(吐出圧と同じ)により収容カセットを回転させるようにしたものである。従って、この回転手段では、例えば、軸受部材に保持される収容カセット側へ液を噴射可能な液吐出部を追加し、該液吐出部に対し既設の液循環経路部のうち戻り配管側を接続するだけでよいため、従来構造に比べて、極めて簡易であり、設備費を大幅に低減でき、既設の液循環経路部に設けられている液圧送用ポンプをそのまま利用して稼動経費を抑えることができる利点がある。同時に、噴射流体が槽本体内で使用している処理液であることから、不活性ガス等を噴射する従来構造に比べ当該処理液への不純物混入の虞が一切なくなる点でも優れている。ここで、本発明の収容カセットは、処理対象の基板を入れる介在物であればよく、図面に例示した形態以外でも、例えば、基板を第1の収容カセットに収容し、該第1の収容カセットを更に第2の収容カセットに入れて当該第2の収容カセット(の軸部)を軸受部材に回転自在に保持する態様、前記第2の収容カセットを更に第3の収容カセットに入れて当該第3の収容カセット(の軸部)を軸受部材に回転自在に保持する態様、つまり複数の収容カセット構造も当然に含むものである。
【0009】
以上の本発明は請求項2〜7のように展開することが可能である。すなわち、・請求項2は、前記液吐出部4が前記軸受部材6に設けられて、前記液循環経路部3と接続されていると、液吐出部を支持する専用部材を不要にでき、槽本体内を煩雑化する虞をなくし、取扱性に優れ、設置の簡素化も可能にする。
・請求項3は、前記収容カセット1が端面11に固定水車部17を有し、前記液循環経路部3が前記液吐出部4から前記固定水車部17へ向けて処理液Sを噴射する構成である。この場合は、液吐出部から噴射される液圧を固定水車部で受け易くして、収容カセットを効率よく回転できるようにする。
・請求項4は、前記軸受部材6が軸受面28に設けられて前記液循環経路部3と接続されている上吐出部28aを有し、前記液循環経路部3が前記槽本体内から取り出した処理液を前記上吐出部より前記軸受面28上の前記軸部15の周面へ噴射して、該処理液の吐出流により前記収容カセット1を浮上可能にする構成である。この場合は、収容カセットが軸受面に浮上されるため、従来構造と比べて、軸部と軸受面との間の回転摩擦、それに起因した不純物発生要因がなくなり処理精度及び歩留まりを向上でき、装置信頼性も具備できるようにする。
【0010】
・請求項5は、前記液循環経路部3が前記軸受部材6に保持される前記収容カセット1の両端面と対向する左右の横吐出部29を有し、該横吐出部から噴射される前記処理液の吐出流により前記収容カセット1の端面11と前記軸受部材6との隙間を維持可能にする構成である。これは、収容カセットを両側の横吐出部からの処理液の吐出流によりセンタリング調整するようにして、収容カセットが回転に伴って軸方向に動いて軸受部材に衝突し、該衝突に起因した不純物発生等を解消できるようにする。ここで、「収容カセットの両端面」とは横吐出部29より噴射される吐出流を受ける箇所を意味し、軸部15の端面も含まれる。軸部端面の例としては、軸受部材が略L形であり、該L形の水平片部を軸受面にし、該L形の垂直片部側に横吐出部を設けるようにする。
・請求項6は、前記横吐出部29が前記両軸受部材6に設けられて、前記液循環経路部3と接続されていると、請求項2と同様な利点を具備できるようにする。
・請求項7は、請求項1から6のウエット処理装置に用いられて、前記槽本体2内の下部に配設される設置板35と、前記設置板上の左右に取り付けられた前記軸受部材6と、前記設置板35に設けられて前記液循環経路部3と接続されている配管部36と、前記軸受部材6に設けられて前記配管部と接続される下流配管部37とを有している軸受ユニット5である。この軸受ユニットは、本発明を実施する上で、取扱性及び槽本体内への組込性、並びに収容カセット(軸部)等に応じた交換性等を良好にし、発明装置の採用を容易にして普及をし易くする利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態としてのウエット処理装置を図面を参照しながら説明する。図1はウエット処理装置を液循環経路部と共に示す槽本体の片側を断面した模式図、図2は槽本体を正面側を断面した模式図である。図3は軸受ユニットの概略外観図、図4は収容カセットの概略外観図、図5は軸受ユニットを軸受部材の箇所で断面した図、図6は軸受部材と収容カセットの端面側との関係を示す模式図である。なお、図2は処理液を省略し、図6ではねじ26b等を省略している。以下の説明では、発明装置の概要、収容カセット、槽構造、軸受ユニットの順で詳述した後、作動に言及する。
【0012】
(概要)対象のウエット処理装置は、液処理する複数枚の基板Wを収容カセット1にセットした状態で、槽本体2の処理液Sに浸漬し、収容カセット1を回転手段4により回転して、エッチング処理したり洗浄処理する回転式のものであればよい。基板Wは、例えば、半導体ウエハであり、収容カセット1に横並び、かつ、定間隔にセットされて互いに接触不能に保持される。収容カセット1は、槽本体2内の処理液Sに下降移動されて液処理され、その後、上昇移動されて次工程に供給される。処理液Sは、エッチング処理用の薬液(例えば燐酸(H3PO4)、硝酸(HNO3)と弗酸(HF)を混合した薬液等)、洗浄処理用のリンス液や純水と言うように目的に応じた液である。槽本体2には、処理液Sが液溜設備から供給され、その後は槽本体2に付設される液循環経路部3を流れる過程で濾過処理されたり再生処理される。本発明は、以上のような収容カセット1を槽本体2内の処理液Sに浸した状態で、回転自在に保持する軸受ユニット5及び回転手段4を工夫したものである。
【0013】
(収容カセット)収容カセット1は、図4に示されるように、本体10が略円筒スケルトン状であり、円筒の両端面を形成している2枚の側板11と、各側板11に設けられて端面中心外側へ突出されている円柱状軸部(回転軸と同じ)15と、両側板11を連結して基板Wを位置決め支持するため略半円上に配置された複数本(実施例では4本)のシャフト12と、フック13及びシャフト14からなる着脱部16と、各側板11の外端面に設けられた固定水車部17とを有している。各シャフト12は、基板Wの外周を嵌合する多数の溝12aを軸方向にあって定間隔に形成している。各側板11の内端面には突起11aが上下中間より少し上側に2個づつ設けられている。着脱部16は、該シャフト12同士で形成される円弧状の空間内に基板Wを出し入れする箇所である。フック13は、略逆U形をなし、両片の先端に設けられた係合爪13aを有し、係合爪13aが前記突起11aに係脱することにより本体10に対し着脱される。シャフト14は単純な棒状であり、基板Wがシャフト12同士で形成される空間内から不用意に抜け出ないよう規制する。固定水車部17は、両側板11の外端面に対し軸部15と同心円上に設けられており、軸部15よりかなり径大となった胴部外周に複数の羽根18を有している。各羽根18は全体がギヤの長い歯形状となっている。形状的には、羽根18が外部から液圧を受けたとき、その液圧を面的に受け易くする形状であればよい。なお、収容カセット1を用いた実際の液処理において、収容カセット1の移動は、一般的に自動搬送機で行われ、収容カセット1の両端に設けられている軸部15を把持することが多い。このため、両側の軸部15は、軸受部材6の軸受面28より外へ突出する長さに設定されている。
【0014】
(槽構造)槽構造は、図1及び図2に示されるように、目的の処理液Sを液溜ラインから供給して収容する槽本体2が主体となり、該槽本体2から処理液Sを排出しそれを濾過処理したり再生して再び槽本体2へ循環する液循環経路部3を備えている。槽本体2は、周囲側壁20及び底壁21で槽内を区画し、槽本体2から溢れた処理液を貯める溢流堰22を上外周に形成している。この例では、槽本体2の開口が必要に応じて蓋体23により開閉される。液循環経路部3は、溢流堰22の底部から処理液Sを取り出し、濾過部30、ポンプ31から槽本体2の底壁21上に設けられた軸受ユニット5を通じて槽本体2内へ戻される。溢流堰22の底部とポンプ31との間は配管部33aで接続され、該配管部33aの途中に濾過部30が介在されている。この濾過部30は、例えば、ベローズダンパー付きフィルター装置(特開2001−46815号)であり、処理液S中の不純物を除去する。また、ポンプ31と軸受ユニット5との間には弁装置32が介在されている。この弁装置32は、細部を省略したが、三方弁及びその分配流量を調整する制御部等からなる。
【0015】
なお、以上の槽構造は、処理対象の基板Wや処理液Sによって変形可能である。その一例を挙げると、槽構造としては、槽本体2に加熱用ヒータ等が設けられたり、槽内液温度を検出する温度コントローラ等が設けられる。液循環経路部3としては、特開平7−86260号公報の構成、特開平11−293479号公報の構成、特願2002−269405号に記載された図1及び図2の希釈・析出再生部並びに図3の構成でも差し支えない。また、液循環経路部3は、ここに新液(液にガスを含む態様でもよい)を導入したり、不足原料を導入してから槽本体2内へ戻す場合もあり、これらの態様も本発明に含まれる。
【0016】
(軸受ユニット)槽本体2内に設けられる軸受ユニット5は、図3及び図5と図6に示されるように、槽本体2の底壁21上に取り付けられる設置板35と、設置板35上の左右に取り付けられた2個の軸受部材6と、設置板35に内設されて液循環経路部3の配管部33cと接続されている配管部36と、各軸受部材6に内設されて前記対応する配管部36と接続される下流配管部37とを備えている。設置板35は、槽本体2内に余裕を持って配置される大きさの矩形板状であり、図5の断面で分かるように、配管箇所を空洞にしそこに各配管部36を配置している。この設置板35には、両側の軸受部材6に対応した取付孔及び配管部36を軸受部材6側に連通する連通孔、槽本体2の底壁21にねじ等で固定する取付孔35a等が設けられている。図3の符号34は、前記各配管部33cに対応する配管部36を接続するジョイントである。このジョイント34は、模式化しているが、例えば、設置板35の側面や底面側に付設されることもある。
【0017】
各軸受部材6は、図5のように、設置板35の左右に取り付けられる治具25と、治具25上に取り付けられる抑え部材26と、抑え部材26の中央に位置決め規制される軸受27とからなる。治具25は、上下方向の配管箇所を空洞にしそこに下流配管部37を配置し、上中央部に設けられた軸受配置用の凹状部と、軸受部材同士の対向面側に設けられた液吐出部4を有している。下流配管部37は、配管部36の一方に接続されて治具25上に設けられる軸受27の下面である前記凹状部に通じている管部37aと、配管部36の他方に接続されて治具25の略上下中間まで延び、更に前記液吐出部4に通じている管部37bとで構成されている。液吐出部4は、回転手段の主要部であり、例えば、図3のごとく略L形の上向きノズル4aを装着したり、上向きに傾斜した孔として形成される。これらは、後述する横吐出部29の孔線上から少しずれている。抑え部材26は治具25の上面にねじ26b等で固定される。中央部には、軸受用の貫通孔及び該貫通孔の下側を一回り径大にした径大孔が設けられている。上面には、軸部15の外径より大きな隙間を保っている対の規制棒26aが設けられている。各規制棒26aは、軸受27上の軸部15が水平又は左右方向へ大きく動こうとしたとき、該軸部15の動きを規制する。軸受27は、円柱体形であり、上面に形成されている凹円弧の軸受面28と、周囲に形成されて前記抑え部材26の径大孔に嵌合する鍔部27aと、下面に形成されて前記下流配管部37の管部37aから導入される処理液Sを受け入れる円錐状の空洞部27bと、空洞部27bから軸受部材同士の対向面側に略水平に貫通されている横吐出部29と、軸受面28と空洞部27bとの間に多数設けられている上下方向の貫通孔である上吐出部28aとを一体に有している。そして、以上の軸受27は、下側が前記治具25の凹状部に嵌合配置された後、抑え部材26が治具25上に固定されることにより鍔部27aを抑え部材26の径大孔に位置規制された状態で組み付けられる。そして、両側の軸受部材6は、各部材が一体化された後、治具25が設置板35に対しねじ35bにより固定されると、槽本体2に組み込まれる軸受ユニット5としての組立体となる。
【0018】
(作動)以上の軸受ユニット5を内設したウエット処理装置では次のような作動が従来と相違している。
(1)、液循環経路部3において、溢流堰22から取り出された処理液Sは再び槽本体2内へ戻されるが、この経路が変更されている。この構造では、溢流堰22の処理液Sが濾過部30等で適宜に不純物除去や再生処理される。濾過後の処理液Sは、ポンプ31から配管部33bを通って弁装置32により2方向に分岐された後、各配管部33cから軸受ユニット5の設置板35に配管されている2本の配管部36(図3と図5参照)へ設計流量及び液圧で圧送される。そして、処理液Sは、一方の配管部36から治具25の管部37a、軸受27の空洞部27bへ圧送された後、一部は上吐出部28aより上方へ噴射され、一部は横吐出部29より略水平方向へ噴射される。同時に、処理液Sは、他方の配管部36から治具25の管部37b、より液吐出部4(のノズル4a)から斜め上方へ噴射される。なお、以上の構造では、溢流堰22から取り出した処理液Sを全て上吐出部28a、横吐出部29、液吐出部4から噴射している。但し、処理稼動設計によっては、溢流堰22から取り出した処理液Sのうち、過剰液部分を従来と同様に槽本体2内へ直に戻すようにする。その場合は、設置板35に多数のパンチング孔を設け、該孔を介し分散状態で戻すことが好ましい。要は設置板35が分散用のパンチング板を兼用する構成である。
【0019】
(2)、このように、溢流堰22の処理液Sは、槽本体2外へ取り出された後、再度槽内へ戻されるが、上吐出部28a、横吐出部29、液吐出部4から噴射されて戻される。このため、この構造では、図1〜図3のように、収容カセット1が両側の軸受部材6に保持させていると、上吐出部28aから噴射される処理液Sの吐出液流又は液圧により軸部15を軸受面28上へ押し上げる力として作用する。この結果、収容カセット1は、軸受部材6の軸受面28から浮上され、非接触状態となるため、又、浮上しなくても軸受面28に対する当接力が大幅に弱くなる。この利点は、回転過程で軸受面28に対する摩擦力がなくなって軸保持部に生じ易い不純物発生の虞を解消できることである。
(3)、同時に、この構造では、液吐出部4(のノズル4a)から噴射されて固定水車部17の対応する羽根18に向かう吐出液流又は液圧により、収容カセット1が回転を開始する。この回転により、収容カセット1内の各基板Wは、液接触及び液剪断力により効率よく液処理される。この回転形態では、前記した収容カセット1の浮上状態、又は、軸受面28に対する当接力の低下状態により、液吐出部4の噴射力として弱い力で回転される。この利点は、回転動力源が既設のポンプ31で行え、機械式に比べて不純物混入の虞が全くなくなることである。なお、液処理後には、収容カセット1を交換するため、弁装置32が管部37aへの通路を閉じて液吐出部4(及び横吐出部29)からの噴射を停止する。すると、収容カセット1は自重により軸受面28に着地する。この構造では、軸受27が治具25及び抑え部材26に対し完全固定ではなく、設計負荷により水平周りに回動自在となるようにし、これにより収容カセット1が浮上後に着地する際、軸受27が必要に応じて向きを変えて対応軸部15を軸受面28で確実に受け止めるよう工夫されている。
(4)、同時に、この構造では、以上の収容カセット1の浮上及び回転過程において、両軸受部材6の各横吐出部29から噴射される処理液Sの吐出液流又は液圧により、収容カセット1が両軸受部材6の間にセンタリングされる。この利点は、例えば、収容カセット1が浮上状態において水平方向へ動くと、収容カセット1の側壁外端面(この例では固定水車部17)が対応する軸受部材6に衝突する虞、衝突に起因した不純物発生の虞を全て解消できることである。
【0020】
なお、本発明は以上の形態により何ら制約されない。発明のウエット処理装置は請求項1で特定した要件を、発明の軸受ユニットは請求項7で特定した要件を具備しておればよく、以上の形態を参考にして必要に応じ変更可能なものである。一例を挙げると、各部材の材質は対象処理液に応じて適宜設定されること、その際、耐食性及び耐久性以外に比重等も考慮して選定される。また、上吐出部28a及び横吐出部29は、液吐出部4と同様に孔にノズルを付設したり、該ノズルの角度や位置等も最適となるよう設計される。また、軸受部材6の管部37a,37bや設置板35の配管部36は、軸受部材6や設置板35に形成した通し孔自体により構成する態様、つまり専用の管を用いなくても何ら差し支えない。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のウエット処理装置は、回転駆動源として既設の液循環経路部に用いられている液移送用ポンプを利用可能であり、又、噴射流体が現に使用している処理液であるから、課題に挙げた問題を解消して設備費及び稼動経費共に大幅なコスト低減を実現できる。同時に、不純物混入の虞がないことから、又、不純物発生要因も解消し易いことから処理精度をより向上でき、ウエット処理方式を普及したり適用分野も拡大できる。本発明の軸受ユニットは、前記ウエット処理装置の採用をし易くし、該装置の普及と製造ラインにおける便利性、信頼性向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明形態の装置を槽本体を断面し一側から見た模式図である。
【図2】図1の装置を槽本体を断面し正面側から見た模式図である。
【図3】図1の装置に用いられた軸受ユニットを示す模式外観図である。
【図4】図1の収容カセットを示す模式外観図である。
【図5】図3の軸受ユニットの要部を示す模式縦断面図である。
【図6】上記軸受ユニットと収容カセットとの要部関係を示す図である。
【符号の説明】
1…収容カセット(10は本体、15は軸部)
2…槽本体(20は側壁、21は底壁、22は溢流部、23は蓋)
3…液循環経路部(30は濾過部、31はポンプ、32は弁装置)
4…液吐出部(回転手段を構成し、4aはノズル)
5…軸受ユニット(35は設置板、36は配管部、37は下流配管部)
6…軸受部材(25は治具、26は抑え部材、27は軸受、28は軸受面)
17…固定水車部(18は羽根)
28a…上吐出部
29…横吐出部
36…配管部(設置板側の配管部)
37a,37b…管部(軸受部材側の管部)
W…ウエハ(基板)
S…処理液
Claims (7)
- 両端面に軸部を有した基板用収容カセットと、槽内の処理液に前記収容カセットを浸して該収容カセット内の基板を液処理する槽本体と、前記槽本体内に設けられて前記収容カセットを前記軸部を介し回転自在に保持する左右の軸受部材と、前記軸受部材に保持される前記収容カセットを回転する回転手段と、前記槽本体内の処理液の一部を槽外へ取り出し、該取り出した処理液を槽内へ戻す液循環経路部とを備えたウエット処理装置において、
前記回転手段は、前記液循環経路部に接続されて前記槽本体内から取り出した処理液を前記軸受部材に保持された前記収容カセット側へ噴射する液吐出部を有し、該液吐出部から噴射される処理液の吐出流により前記収容カセットを回転することを特徴とするウエット処理装置。 - 前記液吐出部が前記軸受部材に設けられて、前記液循環経路部と接続されている請求項1に記載のウエット処理装置。
- 前記収容カセットが端面に固定水車部を有し、前記液循環経路部が前記液吐出部から前記固定水車部へ向けて処理液を噴射する請求項1又は2に記載のウエット処理装置。
- 前記軸受部材が軸受面に設けられて前記液循環経路部と接続されている上吐出部を有し、前記液循環経路部が前記槽本体内から取り出した処理液を前記上吐出部より前記軸受面上の前記軸部の周面へ噴射して、該処理液の吐出流により前記収容カセットを浮上可能にする請求項1から3の何れかに記載のウエット処理装置。
- 前記液循環経路部が前記軸受部材に保持される前記収容カセットの両端面と対向する左右の横吐出部を有し、該横吐出部から噴射される前記処理液の吐出流により前記収容カセットの端面と前記軸受部材との隙間を維持可能にする請求項1から4の何れかに記載のウエット処理装置。
- 前記横吐出部が前記両軸受部材に設けられて、前記液循環経路部と接続されている請求項5に記載のウエット処理装置。
- 請求項1から6のウエット処理装置に用いられて、前記槽本体内の下部に配設される設置板と、前記設置板上の左右に取り付けられた前記軸受部材と、前記設置板に設けられて前記液循環経路部と接続されている配管部と、前記軸受部材に設けられて前記配管部と接続される下流配管部とを有している軸受ユニット。
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- 2003-02-25 JP JP2003047148A patent/JP2004259839A/ja active Pending
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