JP2004259414A - 光ピックアップ装置及び光ピックアップ装置用の対物レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば高密度DVDと従来のDVD、CDの全てに対して適切に情報の記録及び/再生を行える光ピックアップ装置及び対物レンズを提供する。
【解決手段】第1半導体レーザ101から出射された光束は、対物レンズ(113,114)に入射する際には平行光束となっているので、温度変化や半導体レーザに特有のモードホッピング現象(光源波長のふらつき)が生じても、それに起因した収差劣化を補正しやすいという利点がある。一方、第2半導体レーザ201から出射された光束は、対物レンズ(113,114)に入射する際には発散光束となっているので、球面収差補正をしやすいという利点がある。
【選択図】 図1
【解決手段】第1半導体レーザ101から出射された光束は、対物レンズ(113,114)に入射する際には平行光束となっているので、温度変化や半導体レーザに特有のモードホッピング現象(光源波長のふらつき)が生じても、それに起因した収差劣化を補正しやすいという利点がある。一方、第2半導体レーザ201から出射された光束は、対物レンズ(113,114)に入射する際には発散光束となっているので、球面収差補正をしやすいという利点がある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置及びそれに用いられる光学素子に関し、特に、光源波長の異なる3つの光源から出射される光束を用いて、3つの異なる光情報記録媒体に対して、それぞれ情報の記録及び/又は再生が可能な光ピックアップ装置及びそれに用いられる対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、波長400nm程度の青紫色半導体レーザを用いて、情報の記録/再生を行える高密度光ディスクシステムの研究・開発が急速に進んでいる。一例として、NA0.85、光源波長405nmの仕様で情報記録/再生を行う光ディスク(以下、本明細書ではかかる光ディスクを「高密度DVD」と呼ぶ)では、DVD(NA0.6、光源波長650nm、記憶容量4、7GB)と同じ大きさである直径12cmの光ディスクに対して、1面あたり20〜30GBの情報の記録が可能である。
【0003】
ところで、このような高密度DVDに対して適切に情報を記録/再生できるというだけでは、光ピックアップ装置の製品としての価値は十分なものとはいえない。現在において、多種多様な情報を記録したDVDやCDが販売されている現実をふまえると、高密度DVDに対して適切に情報を記録/再生できるだけでは足らず、例えばユーザーが所有している従来のDVD或いはCDに対しても同様に適切に情報を記録/再生できるようにすることが、互換タイプの光ピックアップ装置として製品の価値を高めることに通じるのである。このような背景から、互換タイプの光ピックアップ装置に用いる集光光学系は、高密度DVD、従来タイプのDVD、CDいずれに対しても、適切に情報を記録/再生することが望まれている。このような互換タイプの光ピックアップ装置の例としては、例えば以下の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】
特開2001−43559号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、CD、DVD、及び高密度DVDに対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、一般的には異なる波長の光源を使用する必要がある。しかるに、高密度DVDに対して情報の記録及び/又は再生を行う際に用いる短波長の光源は、光学素子の温度変化に起因する屈折率変化や光源波長のふらつきなどに対して許容値が厳しいという問題がある。ところが、高密度DVDに対して好適な特性の集光光学系を設計すると、CD及びDVDに対して十分な光学特性を持たせることが困難となるという問題がある。
【0005】
更に、例えば高密度DVDのあるタイプにおいては、2層の情報記録面を有するものがあるが、このようなタイプの高密度DVDのいずれの情報記録面に対しても情報の記録及び/又は再生を適切に行うために、集光光学系をどのように設計すべきかといった問題もある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みて成されたものであり、例えば高密度DVDと従来のDVD、CDの全てに対して適切に情報の記録及び/再生を行える光ピックアップ装置及び対物レンズを提供することを目的とする。
【0007】
更に、本発明は、複数の層状に情報記録面を形成した光情報記録媒体の各情報記録面に対して、それぞれ適切に情報の記録及び/再生を行える光ピックアップ装置及び対物レンズを提供することを別の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
前記第1光源から出射された光束は、平行光束の状態で前記対物レンズに入射し、前記第2光源から出射された光束は、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とする。本発明によれば、前記第1光源から出射された光束は、前記対物レンズに入射する際には平行光束となっているので、対物レンズのトラッキングに伴う収差発生がなく、温度変化や半導体レーザの波長変化が生じても、それに起因した収差劣化を補正しやすいという利点がある。一方、前記第2光源から出射された光束は、前記対物レンズに入射する際には発散光束となっているので、球面収差補正をしやすいという利点がある。
【0009】
請求項2に記載の光ピックアップ装置は、請求項1に記載の発明において、前記第1光源から出射された光束は通過しないが前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、負の屈折力を有する光学素子を配置したことを特徴とするので、前記第2光源から出射された光束を所定の有限倍率の発散光束とすることができる。
【0010】
請求項3に記載の光ピックアップ装置は、請求項2に記載の発明において、前記負の屈折力を有する光学素子は、前記第3光源から出射された光束が通過する光路内に配置されており、前記第3光源から出射された光束は、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とするので、前記第3光源から出射された光束も、前記対物レンズに入射する際には発散光束となるので、球面収差補正をしやすくなる。
【0011】
請求項4に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記第2光源から出射された光束を透過し、前記第3光源から出射された光束を反射するダイクロイックミラーを有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記第1光源から出射された光束及び/又は前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、ビームシェイパーが配置されていることを特徴とするので、前記第2光源から出射された光束の断面形状を補正できる。
【0013】
請求項6に記載の光ピックアップ装置は、請求項5に記載の発明において、前記ビームシェイパーはビーム整形プリズムであることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記第2光源から出射された光束は、コリメータを通過して平行光束とされた後、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とする。例えばビームシェイパーは一般的には平行光束のときに、補正機能をより発揮できるので、前記第2光源から出射された光束を前記コリメータで平行光束とした後に、ビームシェイパーで形状を補正し、その後前記負の屈折率を有する光学素子で発散光束とされると望ましい。
【0015】
請求項8に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至7に記載の発明において、前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とするので、例えば前記負の屈折率を有する光学素子の一例である凹レンズの代わりに、又はそれ加えて用いることも可能となる。
【0016】
請求項9に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
更に、前記第1光源から出射された光束が通過する光路内に、複数の光学素子の少なくとも一つが光軸方向に可動のビームエキスパンダーを有していることを特徴とする。本発明によれば、例えば前記第1光情報記録媒体が複数の層状になった情報記録面を有している場合に、前記複数の光学素子の少なくとも一つを光軸方向に移動させることで、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記対物レンズの焦点位置を変更できる。又、前記複数の光学素子の少なくとも一つを光軸方向に移動させることで、温度変化や半導体レーザの波長変化が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。
【0017】
請求項10に記載の光ピックアップ装置は、請求項9に記載の発明において、前記対物レンズと前記ビームエキスパンダー以外の光学素子は光軸方向に不動に取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の光ピックアップ装置は、請求項9又は10に記載の発明において、前記対物レンズの温度を直接的もしくは間接的に測定する温度センサを有し、前記温度センサからの出力に応じて、前記ビームエキスパンダーの前記少なくとも一つの光学素子を光軸方向に移動させることを特徴とするので、前記対物レンズの温度変化に起因した屈折率変化による球面収差劣化を効果的に補正できる。
【0019】
請求項12に記載の光ピックアップ装置は、請求項9乃至11のいずれかに記載の発明において、前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
前記第1光源から出射された光束が通過する光路内に、前記第1光源から出射された光束に関して球面収差補正を行う球面収差補正素子を設けたことを特徴とする。本発明によれば、例えば前記第1光情報記録媒体が複数の層状になった情報記録面を有している場合に、前記球面収差補正素子により、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記収差量を変更できる。又、前記第1光源からの光束を使用する際に温度変化や半導体レーザの波長変化が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。
【0021】
請求項14に記載の光ピックアップ装置は、請求項13に記載の発明において、前記球面収差補正素子は、ビームエキスパンダーであることを特徴とする。
【0022】
請求項15に記載の光ピックアップ装置は、請求項13又は14に記載の発明において、前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、前記球面収差補正素子が配置されていることを特徴とするので、例えば前記第2光情報記録媒体が複数の層状になった情報記録面を有している場合に、前記球面収差補正素子により、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記収差量を変更できる。又、前記第2光源からの光束を使用する際に、温度変化や半導体レーザの波長変化が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。
【0023】
請求項16に記載の光ピックアップ装置は、請求項13乃至15のいずれかに記載の発明において、前記第3光源から出射された光束が通過する光路内に、前記球面収差補正素子が配置されていることを特徴とするので、例えば前記第3光情報記録媒体が複数の層状になった情報記録面を有している場合に、前記球面収差補正素子により、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記収差量を変更できる。又、前記第3光源からの光束を使用する際に、温度変化や半導体レーザに波長変化が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。
【0024】
請求項17に記載の光ピックアップ装置は、請求項13乃至16のいずれかに記載の発明において、前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とする。
【0025】
請求項18に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至17のいずれかに記載の発明において、前記第1光源から出射された光束が通過する光路と、前記第2光源から出射された光束が通過する光路と、前記第3光源から出射された光束が通過する光路のうちの2つは、前記対物レンズの光軸と交差する同一平面に配置されており、残りの光路は、前記2つの光路が配置された前記平面と前記対物レンズの光軸とが交差する点に対して、所定の距離をおいて配置されていることを特徴とするので、前記第1光源から出射された光束の光路と、前記第2光源から出射された光束の光路と、前記第3光源から出射された光束の光路のうちの2つは、前記対物レンズの光軸と交差する同一平面に配置されているので、かかる2つの光路を通過する光束を出射する2つの光源を、同じ面上に配置することができ、それによりコンパクトな構成を得ることができる。又、前記残りの光路は、前記2つの光路が配置された前記平面と前記対物レンズの光軸とが交差する点に対して、所定の距離をおいて配置されているので、前記残りの光路を通過する光束を出射する光源から、前記交差する点までの光学系はそれ専用のものを用いることができるので、より光学特性に優れる。
【0026】
請求項19に記載の対物レンズは、請求項1乃至18のいずれかに記載の光ピックアップ装置に用いられることを特徴とする。
【0027】
本明細書中において、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズと共に、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズを指すものとする。従って、本明細書中において、光学素子の光情報記録媒体側(像側)の開口数NAとは、光学素子の最も光情報記録媒体側に位置する面の開口数NAを指すものである。また、本明細書中では必要開口数NAは、それぞれの光情報記録媒体の規格で規定されている開口数、あるいはそれぞれの光情報記録媒体に対して、使用する光源の波長に応じ、情報の記録または再生をするために必要なスポット径を得ることができる回折限界性能の対物レンズの開口数を示すものとする。
【0028】
前記対物レンズの前記内側領域と、前記中間領域と、前記外側領域の区別に関しては、前記中間領域と前記外側領域に回折構造、NPS(Non Periodic Surface)構造等を設けて、前記中間領域を通過した波長λ3の光束についてはフレア化し、前記外側領域を通過した波長λ2の光束及び波長λ3の光束についてはフレア化することの他、前記対物レンズ又はその他の光学素子に波長選択性のあるダイクロイックコート等を被覆することで、前記中間領域及び外側領域における波長λ3の光束の透過を阻止し、前記外側領域における波長λ2の光束の透過を阻止することがある。ここで「フレア化する」とは、前記第1、第2又は第3光情報記録媒体に対する情報の記録又は再生時に、それぞれの波面収差が0.07λ1rms、0.07λ2rms又は0.07λ3rms以上になることをいう。又、回折構造を用いる場合、前記第1、第2及び第3光情報記録媒体に対する情報の記録又は再生時に、少なくとも1つの光情報記録媒体に対して異なる次数の回折光を用いることも含む。
【0029】
本明細書中において、第1光情報記録媒体とは、例えば、高密度DVD系の光ディスクをいい、第2光情報記録媒体とは、再生専用に用いるDVD−ROM,DVD−Videoの他、再生/記録を兼ねるDVD−RAM,DVD−R,DVD−RW等の各種DVD系の光ディスクを含むものである。又、第3光情報記録媒体とは、CD−R,CD−RW等のCD系の光ディスクをいう。尚、第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とは、t1=t2であってもよく、t1<t2であってもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。図1は、高密度DVD(第1の光ディスクともいう)、従来のDVD(第2の光ディスクともいう)及びCD(第3の光ディスクともいう)の全てに対して情報の記録/再生を行える、本発明の実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。図2は、図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図であり、図3は、図1の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【0031】
図1,2において、第1光源としての第1半導体レーザ101(波長λ1=380nm〜450nm)から出射された光束は、コリメータ(第1コリメータ)102で平行光束とされた後、回折素子103を通過してトラッキングエラー検出用サブビームを発生させ、プリズム(ビーム整形プリズム)からなるビームシェイパー(104,105)でビーム形状を補正され、偏光ビームスプリッタ106を通過して、光学素子107,108とを有するビームエキスパンダーに入射する。少なくとも一方(好ましくは光学素子107)が光軸方向に可動のビームエキスパンダー(107,108)は、平行光束の光束径を変更(ここでは拡大)する機能を有する。尚、ここにビームエキスパンダーを設けたのは、球面収差補正機能を持たせるほか、例えば高密度DVDが情報記録面を2層に有しているタイプの場合、光学素子107を光軸方向に移動させることで、情報記録面の選択を行えるようにするためでもある。同様なビームエキスパンダーは、後述する第2半導体レーザ201,第3半導体レーザ301からの光束が通過する光路内に配置してもよい。
【0032】
図1において、ビームエキスパンダー(107,108)を透過した光束は、立ち上げミラー(反射素子)109で反射され、波長λ1の光束は透過するが波長λ2,3の光束は反射させるプレート型のダイクロイックミラー(第2の波長選択性素子)110を通過し、1/4波長板111を通過し、平行光束の状態で2つの光学素子113,114からなる対物レンズにおける内側領域と中間領域と外側領域の全てを通過して、第1の光ディスク115の保護層(厚さt1=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
【0033】
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ(114,113)、1/4波長板111、ダイクロイックミラー110を透過して、立ち上げミラー109で反射され、ビームエキスパンダー(108,107)を透過して、偏光ビームスプリッタ106で反射され、センサレンズ116を透過し、シリンドリカルレンズ117で非点収差が与えられ、光検出器118の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第1の光ディスク115に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0034】
また、光検出器118上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータ120が第1半導体レーザ101からの光束を第1の光ディスク115の情報記録面上に結像するように対物レンズ(113,114)を一体で移動させるようになっている。
【0035】
尚、本実施の形態では、前記第1半導体レーザ101から出射された光束の一部は、偏光ビームスプリッタ106から反射し、集光レンズ121で集光され、パワーセンサ122に入射して、ここでレーザパワーをモニタできるようになっている。
【0036】
一方、図1,3において、第2光源としての第2半導体レーザ201(波長λ2=600nm〜700nm)から出射された光束は、コリメータ(第2コリメータ)202で平行光束とされた後、回折素子203を通過してトラッキングエラー検出用サブビームを発生させ、プリズム(ビーム整形プリズム)からなるビームシェイパー(204,205)でビーム形状を補正され、偏光ビームスプリッタ206を通過して、ダイクロイックミラー(第1の波長選択性素子)208に入射する。
【0037】
図1において、ダイクロイックミラー208を透過した光束は、凹レンズ109を通過し発散光束とされた後、ダイクロイックミラー110で反射され、1/4波長板111を通過し、2つの光学素子113,114からなる対物レンズにおける内側領域と中間領域とを通過した光束(それ以外はフレア化する)が、第2の光ディスク115’の保護層(厚さt2=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
【0038】
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ(114,113)、1/4波長板111、ダイクロイックミラー110で反射して、凹レンズ209及びダイクロイックミラー208を透過して、偏光ビームスプリッタ206で反射され、センサレンズ216を透過し、シリンドリカルレンズ217で非点収差が与えられ、光検出器218の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第2の光ディスク115’に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0039】
また、光検出器218上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータ120が第2半導体レーザ201からの光束を第2の光ディスク115’の情報記録面上に結像するように対物レンズ(113,114)を一体で移動させるようになっている。
【0040】
尚、本実施の形態では、前記第2半導体レーザ201から出射された光束の一部は、偏光ビームスプリッタ206から反射し、集光レンズ221で集光され、パワーセンサ222に入射して、ここでレーザパワーをモニタできるようになっている。
【0041】
更に、図3において、第3光源として、ホログラム素子及び受光素子を一体パッケージとした第3半導体レーザ301(波長λ3=770nm〜830nm)から出射された光束は、凸レンズ302を通過した後、ダイクロイックミラー208で反射される。
【0042】
図1において、ダイクロイックミラー208を透過した光束は、凹レンズ109を通過し、所定の有限倍率を有する発散光束となり、ダイクロイックミラー110で反射され、1/4波長板111を通過し、2つの光学素子113,114からなる対物レンズにおける内側領域のみを通過した光束(それ以外はフレア化する)が、第3の光ディスク115”の保護層(厚さt3=1.2mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。尚、凸レンズ302と凹レンズ109とでカップリング素子を構成する。
【0043】
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ(114,113)、1/4波長板111、ダイクロイックミラー110で反射して、凹レンズ209を透過し、ダイクロイックミラー208で反射され、凸レンズ302を透過して、元の第3半導体レーザ301へと戻る。この第3半導体レーザ301は、ホログラム素子及び受光素子(不図示)が一体パッケージとして組み込まれており、戻ってきた光束はホログラムで回折され、受光素子へ入射し、その出力信号を用いて第3の光ディスクの情報の読み取り信号が得られる。
【0044】
また、受光素子上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータ120が第3半導体レーザ301からの光束を第3の光ディスク115”の情報記録面上に結像するように対物レンズ(113,114)を一体で移動させるようになっている。
【0045】
本実施の形態の光ピックアップ装置においては、図3に示すように、第2半導体レーザ201から出射される光束の軸線(光路)と、第3半導体レーザ301から出射される光束の軸線(光路)は、対物レンズ(113,114)の光軸と交差する同一平面に配置されている。更に、図1に示すように、第1半導体レーザ101から出射される光束の軸線(光路)は、第2半導体レーザ201及び第3半導体レーザ301にかかる光軸が配置された平面と、対物レンズ(113,114)の光軸とが交差する点Pに対して、所定の距離Δをおいて配置されている。
【0046】
本実施の形態によれば、第1半導体レーザ101から出射された光束は、対物レンズ(113,114)に入射する際には平行光束となっているので、温度変化や半導体レーザに特有のモードホッピング現象(光源波長のふらつき)が生じても、それに起因した収差劣化を補正しやすいという利点がある。一方、第2半導体レーザ201から出射された光束は、対物レンズ(113,114)に入射する際には発散光束となっているので、球面収差補正をしやすいという利点がある。
【0047】
又、本実施の形態によれば、第1の光ディスク115が複数の層状になった情報記録面を有しているタイプの場合にも、球面収差補正素子であるビームシェイパーの光学素子107及び/又は108を光軸方向に移動させることで、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記収差量を変更できる。又、第1半導体レーザ101からの光束を使用する際に温度変化や半導体レーザに特有のモードホッピング現象(光源波長のふらつき)が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。かかる場合、対物レンズ(113,114)に近接して温度センサ(不図示)を設け、それからの出力に応じてビームエキスパンダーの光学素子107及び/又は108をアクチュエータ(不図示)で光軸方向に移動させることで、より適切な球面収差補正を行える。
【0048】
尚、第2の光ディスク115’及び/又は第3の光ディスク115”が複数の層状になった情報記録面を有しているタイプの場合には、第2半導体レーザ201及び/又は第3半導体レーザ301から出射される光束が通過する光路内に、同様なビームエキスパンダー(或いは球面収差補正素子)を配置すればよい。
【0049】
更に、本実施の形態によれば、第2半導体レーザ201及び第3半導体レーザ301を同一基板(不図示)に設置することができ、且つ第2半導体レーザ201及び第3半導体レーザ301が取り付けられた基板とは別な基板に、第1半導体レーザ101を取り付けることができ、それによりいわゆる2層構造をとることができ、3つの異なる光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行うことができるにも関わらず、構成のコンパクト化を図ることができる。尚、第2半導体レーザ201及び第3半導体レーザ301が取り付けられた基板の面に対し、反対側の面に第1半導体レーザ101を取り付けてよいことはいうまでもない。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、凹レンズ209の代わりに同様な機能を有する回折素子を配置してもよい。第2半導体レーザ201から出射される光束の形状が許容範囲であれば、必ずしもビームシェイパー(204,205)を設ける必要はない。更に、第1半導体レーザ101等が設けられた基板と、第2半導体レーザ201等が設けられた基板とをユニット化し、各部品がそれぞれの基板に組み付けられた後に、基板同士を接合してもよく、それにより組立性が良好となる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば高密度DVDと従来のDVD、CDの全てに対して適切に情報の記録及び/再生を行える光ピックアップ装置及び対物レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。
【図2】図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】図1の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【符号の説明】
101 第1半導体レーザ
107,108 ビームエキスパンダー
109 立ち上げミラー
110 ダイクロイックミラー
113,114 対物レンズ
115,115’、115” 光ディスク
201 第2半導体レーザ
308 ダイクロイックミラー
301 第3半導体レーザ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置及びそれに用いられる光学素子に関し、特に、光源波長の異なる3つの光源から出射される光束を用いて、3つの異なる光情報記録媒体に対して、それぞれ情報の記録及び/又は再生が可能な光ピックアップ装置及びそれに用いられる対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、波長400nm程度の青紫色半導体レーザを用いて、情報の記録/再生を行える高密度光ディスクシステムの研究・開発が急速に進んでいる。一例として、NA0.85、光源波長405nmの仕様で情報記録/再生を行う光ディスク(以下、本明細書ではかかる光ディスクを「高密度DVD」と呼ぶ)では、DVD(NA0.6、光源波長650nm、記憶容量4、7GB)と同じ大きさである直径12cmの光ディスクに対して、1面あたり20〜30GBの情報の記録が可能である。
【0003】
ところで、このような高密度DVDに対して適切に情報を記録/再生できるというだけでは、光ピックアップ装置の製品としての価値は十分なものとはいえない。現在において、多種多様な情報を記録したDVDやCDが販売されている現実をふまえると、高密度DVDに対して適切に情報を記録/再生できるだけでは足らず、例えばユーザーが所有している従来のDVD或いはCDに対しても同様に適切に情報を記録/再生できるようにすることが、互換タイプの光ピックアップ装置として製品の価値を高めることに通じるのである。このような背景から、互換タイプの光ピックアップ装置に用いる集光光学系は、高密度DVD、従来タイプのDVD、CDいずれに対しても、適切に情報を記録/再生することが望まれている。このような互換タイプの光ピックアップ装置の例としては、例えば以下の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】
特開2001−43559号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、CD、DVD、及び高密度DVDに対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、一般的には異なる波長の光源を使用する必要がある。しかるに、高密度DVDに対して情報の記録及び/又は再生を行う際に用いる短波長の光源は、光学素子の温度変化に起因する屈折率変化や光源波長のふらつきなどに対して許容値が厳しいという問題がある。ところが、高密度DVDに対して好適な特性の集光光学系を設計すると、CD及びDVDに対して十分な光学特性を持たせることが困難となるという問題がある。
【0005】
更に、例えば高密度DVDのあるタイプにおいては、2層の情報記録面を有するものがあるが、このようなタイプの高密度DVDのいずれの情報記録面に対しても情報の記録及び/又は再生を適切に行うために、集光光学系をどのように設計すべきかといった問題もある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みて成されたものであり、例えば高密度DVDと従来のDVD、CDの全てに対して適切に情報の記録及び/再生を行える光ピックアップ装置及び対物レンズを提供することを目的とする。
【0007】
更に、本発明は、複数の層状に情報記録面を形成した光情報記録媒体の各情報記録面に対して、それぞれ適切に情報の記録及び/再生を行える光ピックアップ装置及び対物レンズを提供することを別の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
前記第1光源から出射された光束は、平行光束の状態で前記対物レンズに入射し、前記第2光源から出射された光束は、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とする。本発明によれば、前記第1光源から出射された光束は、前記対物レンズに入射する際には平行光束となっているので、対物レンズのトラッキングに伴う収差発生がなく、温度変化や半導体レーザの波長変化が生じても、それに起因した収差劣化を補正しやすいという利点がある。一方、前記第2光源から出射された光束は、前記対物レンズに入射する際には発散光束となっているので、球面収差補正をしやすいという利点がある。
【0009】
請求項2に記載の光ピックアップ装置は、請求項1に記載の発明において、前記第1光源から出射された光束は通過しないが前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、負の屈折力を有する光学素子を配置したことを特徴とするので、前記第2光源から出射された光束を所定の有限倍率の発散光束とすることができる。
【0010】
請求項3に記載の光ピックアップ装置は、請求項2に記載の発明において、前記負の屈折力を有する光学素子は、前記第3光源から出射された光束が通過する光路内に配置されており、前記第3光源から出射された光束は、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とするので、前記第3光源から出射された光束も、前記対物レンズに入射する際には発散光束となるので、球面収差補正をしやすくなる。
【0011】
請求項4に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記第2光源から出射された光束を透過し、前記第3光源から出射された光束を反射するダイクロイックミラーを有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記第1光源から出射された光束及び/又は前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、ビームシェイパーが配置されていることを特徴とするので、前記第2光源から出射された光束の断面形状を補正できる。
【0013】
請求項6に記載の光ピックアップ装置は、請求項5に記載の発明において、前記ビームシェイパーはビーム整形プリズムであることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記第2光源から出射された光束は、コリメータを通過して平行光束とされた後、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とする。例えばビームシェイパーは一般的には平行光束のときに、補正機能をより発揮できるので、前記第2光源から出射された光束を前記コリメータで平行光束とした後に、ビームシェイパーで形状を補正し、その後前記負の屈折率を有する光学素子で発散光束とされると望ましい。
【0015】
請求項8に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至7に記載の発明において、前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とするので、例えば前記負の屈折率を有する光学素子の一例である凹レンズの代わりに、又はそれ加えて用いることも可能となる。
【0016】
請求項9に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
更に、前記第1光源から出射された光束が通過する光路内に、複数の光学素子の少なくとも一つが光軸方向に可動のビームエキスパンダーを有していることを特徴とする。本発明によれば、例えば前記第1光情報記録媒体が複数の層状になった情報記録面を有している場合に、前記複数の光学素子の少なくとも一つを光軸方向に移動させることで、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記対物レンズの焦点位置を変更できる。又、前記複数の光学素子の少なくとも一つを光軸方向に移動させることで、温度変化や半導体レーザの波長変化が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。
【0017】
請求項10に記載の光ピックアップ装置は、請求項9に記載の発明において、前記対物レンズと前記ビームエキスパンダー以外の光学素子は光軸方向に不動に取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の光ピックアップ装置は、請求項9又は10に記載の発明において、前記対物レンズの温度を直接的もしくは間接的に測定する温度センサを有し、前記温度センサからの出力に応じて、前記ビームエキスパンダーの前記少なくとも一つの光学素子を光軸方向に移動させることを特徴とするので、前記対物レンズの温度変化に起因した屈折率変化による球面収差劣化を効果的に補正できる。
【0019】
請求項12に記載の光ピックアップ装置は、請求項9乃至11のいずれかに記載の発明において、前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
前記第1光源から出射された光束が通過する光路内に、前記第1光源から出射された光束に関して球面収差補正を行う球面収差補正素子を設けたことを特徴とする。本発明によれば、例えば前記第1光情報記録媒体が複数の層状になった情報記録面を有している場合に、前記球面収差補正素子により、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記収差量を変更できる。又、前記第1光源からの光束を使用する際に温度変化や半導体レーザの波長変化が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。
【0021】
請求項14に記載の光ピックアップ装置は、請求項13に記載の発明において、前記球面収差補正素子は、ビームエキスパンダーであることを特徴とする。
【0022】
請求項15に記載の光ピックアップ装置は、請求項13又は14に記載の発明において、前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、前記球面収差補正素子が配置されていることを特徴とするので、例えば前記第2光情報記録媒体が複数の層状になった情報記録面を有している場合に、前記球面収差補正素子により、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記収差量を変更できる。又、前記第2光源からの光束を使用する際に、温度変化や半導体レーザの波長変化が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。
【0023】
請求項16に記載の光ピックアップ装置は、請求項13乃至15のいずれかに記載の発明において、前記第3光源から出射された光束が通過する光路内に、前記球面収差補正素子が配置されていることを特徴とするので、例えば前記第3光情報記録媒体が複数の層状になった情報記録面を有している場合に、前記球面収差補正素子により、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記収差量を変更できる。又、前記第3光源からの光束を使用する際に、温度変化や半導体レーザに波長変化が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。
【0024】
請求項17に記載の光ピックアップ装置は、請求項13乃至16のいずれかに記載の発明において、前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とする。
【0025】
請求項18に記載の光ピックアップ装置は、請求項1乃至17のいずれかに記載の発明において、前記第1光源から出射された光束が通過する光路と、前記第2光源から出射された光束が通過する光路と、前記第3光源から出射された光束が通過する光路のうちの2つは、前記対物レンズの光軸と交差する同一平面に配置されており、残りの光路は、前記2つの光路が配置された前記平面と前記対物レンズの光軸とが交差する点に対して、所定の距離をおいて配置されていることを特徴とするので、前記第1光源から出射された光束の光路と、前記第2光源から出射された光束の光路と、前記第3光源から出射された光束の光路のうちの2つは、前記対物レンズの光軸と交差する同一平面に配置されているので、かかる2つの光路を通過する光束を出射する2つの光源を、同じ面上に配置することができ、それによりコンパクトな構成を得ることができる。又、前記残りの光路は、前記2つの光路が配置された前記平面と前記対物レンズの光軸とが交差する点に対して、所定の距離をおいて配置されているので、前記残りの光路を通過する光束を出射する光源から、前記交差する点までの光学系はそれ専用のものを用いることができるので、より光学特性に優れる。
【0026】
請求項19に記載の対物レンズは、請求項1乃至18のいずれかに記載の光ピックアップ装置に用いられることを特徴とする。
【0027】
本明細書中において、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズと共に、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズを指すものとする。従って、本明細書中において、光学素子の光情報記録媒体側(像側)の開口数NAとは、光学素子の最も光情報記録媒体側に位置する面の開口数NAを指すものである。また、本明細書中では必要開口数NAは、それぞれの光情報記録媒体の規格で規定されている開口数、あるいはそれぞれの光情報記録媒体に対して、使用する光源の波長に応じ、情報の記録または再生をするために必要なスポット径を得ることができる回折限界性能の対物レンズの開口数を示すものとする。
【0028】
前記対物レンズの前記内側領域と、前記中間領域と、前記外側領域の区別に関しては、前記中間領域と前記外側領域に回折構造、NPS(Non Periodic Surface)構造等を設けて、前記中間領域を通過した波長λ3の光束についてはフレア化し、前記外側領域を通過した波長λ2の光束及び波長λ3の光束についてはフレア化することの他、前記対物レンズ又はその他の光学素子に波長選択性のあるダイクロイックコート等を被覆することで、前記中間領域及び外側領域における波長λ3の光束の透過を阻止し、前記外側領域における波長λ2の光束の透過を阻止することがある。ここで「フレア化する」とは、前記第1、第2又は第3光情報記録媒体に対する情報の記録又は再生時に、それぞれの波面収差が0.07λ1rms、0.07λ2rms又は0.07λ3rms以上になることをいう。又、回折構造を用いる場合、前記第1、第2及び第3光情報記録媒体に対する情報の記録又は再生時に、少なくとも1つの光情報記録媒体に対して異なる次数の回折光を用いることも含む。
【0029】
本明細書中において、第1光情報記録媒体とは、例えば、高密度DVD系の光ディスクをいい、第2光情報記録媒体とは、再生専用に用いるDVD−ROM,DVD−Videoの他、再生/記録を兼ねるDVD−RAM,DVD−R,DVD−RW等の各種DVD系の光ディスクを含むものである。又、第3光情報記録媒体とは、CD−R,CD−RW等のCD系の光ディスクをいう。尚、第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とは、t1=t2であってもよく、t1<t2であってもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。図1は、高密度DVD(第1の光ディスクともいう)、従来のDVD(第2の光ディスクともいう)及びCD(第3の光ディスクともいう)の全てに対して情報の記録/再生を行える、本発明の実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。図2は、図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図であり、図3は、図1の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【0031】
図1,2において、第1光源としての第1半導体レーザ101(波長λ1=380nm〜450nm)から出射された光束は、コリメータ(第1コリメータ)102で平行光束とされた後、回折素子103を通過してトラッキングエラー検出用サブビームを発生させ、プリズム(ビーム整形プリズム)からなるビームシェイパー(104,105)でビーム形状を補正され、偏光ビームスプリッタ106を通過して、光学素子107,108とを有するビームエキスパンダーに入射する。少なくとも一方(好ましくは光学素子107)が光軸方向に可動のビームエキスパンダー(107,108)は、平行光束の光束径を変更(ここでは拡大)する機能を有する。尚、ここにビームエキスパンダーを設けたのは、球面収差補正機能を持たせるほか、例えば高密度DVDが情報記録面を2層に有しているタイプの場合、光学素子107を光軸方向に移動させることで、情報記録面の選択を行えるようにするためでもある。同様なビームエキスパンダーは、後述する第2半導体レーザ201,第3半導体レーザ301からの光束が通過する光路内に配置してもよい。
【0032】
図1において、ビームエキスパンダー(107,108)を透過した光束は、立ち上げミラー(反射素子)109で反射され、波長λ1の光束は透過するが波長λ2,3の光束は反射させるプレート型のダイクロイックミラー(第2の波長選択性素子)110を通過し、1/4波長板111を通過し、平行光束の状態で2つの光学素子113,114からなる対物レンズにおける内側領域と中間領域と外側領域の全てを通過して、第1の光ディスク115の保護層(厚さt1=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
【0033】
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ(114,113)、1/4波長板111、ダイクロイックミラー110を透過して、立ち上げミラー109で反射され、ビームエキスパンダー(108,107)を透過して、偏光ビームスプリッタ106で反射され、センサレンズ116を透過し、シリンドリカルレンズ117で非点収差が与えられ、光検出器118の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第1の光ディスク115に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0034】
また、光検出器118上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータ120が第1半導体レーザ101からの光束を第1の光ディスク115の情報記録面上に結像するように対物レンズ(113,114)を一体で移動させるようになっている。
【0035】
尚、本実施の形態では、前記第1半導体レーザ101から出射された光束の一部は、偏光ビームスプリッタ106から反射し、集光レンズ121で集光され、パワーセンサ122に入射して、ここでレーザパワーをモニタできるようになっている。
【0036】
一方、図1,3において、第2光源としての第2半導体レーザ201(波長λ2=600nm〜700nm)から出射された光束は、コリメータ(第2コリメータ)202で平行光束とされた後、回折素子203を通過してトラッキングエラー検出用サブビームを発生させ、プリズム(ビーム整形プリズム)からなるビームシェイパー(204,205)でビーム形状を補正され、偏光ビームスプリッタ206を通過して、ダイクロイックミラー(第1の波長選択性素子)208に入射する。
【0037】
図1において、ダイクロイックミラー208を透過した光束は、凹レンズ109を通過し発散光束とされた後、ダイクロイックミラー110で反射され、1/4波長板111を通過し、2つの光学素子113,114からなる対物レンズにおける内側領域と中間領域とを通過した光束(それ以外はフレア化する)が、第2の光ディスク115’の保護層(厚さt2=0.1〜0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
【0038】
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ(114,113)、1/4波長板111、ダイクロイックミラー110で反射して、凹レンズ209及びダイクロイックミラー208を透過して、偏光ビームスプリッタ206で反射され、センサレンズ216を透過し、シリンドリカルレンズ217で非点収差が与えられ、光検出器218の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、第2の光ディスク115’に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0039】
また、光検出器218上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータ120が第2半導体レーザ201からの光束を第2の光ディスク115’の情報記録面上に結像するように対物レンズ(113,114)を一体で移動させるようになっている。
【0040】
尚、本実施の形態では、前記第2半導体レーザ201から出射された光束の一部は、偏光ビームスプリッタ206から反射し、集光レンズ221で集光され、パワーセンサ222に入射して、ここでレーザパワーをモニタできるようになっている。
【0041】
更に、図3において、第3光源として、ホログラム素子及び受光素子を一体パッケージとした第3半導体レーザ301(波長λ3=770nm〜830nm)から出射された光束は、凸レンズ302を通過した後、ダイクロイックミラー208で反射される。
【0042】
図1において、ダイクロイックミラー208を透過した光束は、凹レンズ109を通過し、所定の有限倍率を有する発散光束となり、ダイクロイックミラー110で反射され、1/4波長板111を通過し、2つの光学素子113,114からなる対物レンズにおける内側領域のみを通過した光束(それ以外はフレア化する)が、第3の光ディスク115”の保護層(厚さt3=1.2mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。尚、凸レンズ302と凹レンズ109とでカップリング素子を構成する。
【0043】
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ(114,113)、1/4波長板111、ダイクロイックミラー110で反射して、凹レンズ209を透過し、ダイクロイックミラー208で反射され、凸レンズ302を透過して、元の第3半導体レーザ301へと戻る。この第3半導体レーザ301は、ホログラム素子及び受光素子(不図示)が一体パッケージとして組み込まれており、戻ってきた光束はホログラムで回折され、受光素子へ入射し、その出力信号を用いて第3の光ディスクの情報の読み取り信号が得られる。
【0044】
また、受光素子上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータ120が第3半導体レーザ301からの光束を第3の光ディスク115”の情報記録面上に結像するように対物レンズ(113,114)を一体で移動させるようになっている。
【0045】
本実施の形態の光ピックアップ装置においては、図3に示すように、第2半導体レーザ201から出射される光束の軸線(光路)と、第3半導体レーザ301から出射される光束の軸線(光路)は、対物レンズ(113,114)の光軸と交差する同一平面に配置されている。更に、図1に示すように、第1半導体レーザ101から出射される光束の軸線(光路)は、第2半導体レーザ201及び第3半導体レーザ301にかかる光軸が配置された平面と、対物レンズ(113,114)の光軸とが交差する点Pに対して、所定の距離Δをおいて配置されている。
【0046】
本実施の形態によれば、第1半導体レーザ101から出射された光束は、対物レンズ(113,114)に入射する際には平行光束となっているので、温度変化や半導体レーザに特有のモードホッピング現象(光源波長のふらつき)が生じても、それに起因した収差劣化を補正しやすいという利点がある。一方、第2半導体レーザ201から出射された光束は、対物レンズ(113,114)に入射する際には発散光束となっているので、球面収差補正をしやすいという利点がある。
【0047】
又、本実施の形態によれば、第1の光ディスク115が複数の層状になった情報記録面を有しているタイプの場合にも、球面収差補正素子であるビームシェイパーの光学素子107及び/又は108を光軸方向に移動させることで、それらのいずれかに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行えるように前記収差量を変更できる。又、第1半導体レーザ101からの光束を使用する際に温度変化や半導体レーザに特有のモードホッピング現象(光源波長のふらつき)が生じても適切に球面収差補正を行うこともできる。かかる場合、対物レンズ(113,114)に近接して温度センサ(不図示)を設け、それからの出力に応じてビームエキスパンダーの光学素子107及び/又は108をアクチュエータ(不図示)で光軸方向に移動させることで、より適切な球面収差補正を行える。
【0048】
尚、第2の光ディスク115’及び/又は第3の光ディスク115”が複数の層状になった情報記録面を有しているタイプの場合には、第2半導体レーザ201及び/又は第3半導体レーザ301から出射される光束が通過する光路内に、同様なビームエキスパンダー(或いは球面収差補正素子)を配置すればよい。
【0049】
更に、本実施の形態によれば、第2半導体レーザ201及び第3半導体レーザ301を同一基板(不図示)に設置することができ、且つ第2半導体レーザ201及び第3半導体レーザ301が取り付けられた基板とは別な基板に、第1半導体レーザ101を取り付けることができ、それによりいわゆる2層構造をとることができ、3つの異なる光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行うことができるにも関わらず、構成のコンパクト化を図ることができる。尚、第2半導体レーザ201及び第3半導体レーザ301が取り付けられた基板の面に対し、反対側の面に第1半導体レーザ101を取り付けてよいことはいうまでもない。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、凹レンズ209の代わりに同様な機能を有する回折素子を配置してもよい。第2半導体レーザ201から出射される光束の形状が許容範囲であれば、必ずしもビームシェイパー(204,205)を設ける必要はない。更に、第1半導体レーザ101等が設けられた基板と、第2半導体レーザ201等が設けられた基板とをユニット化し、各部品がそれぞれの基板に組み付けられた後に、基板同士を接合してもよく、それにより組立性が良好となる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば高密度DVDと従来のDVD、CDの全てに対して適切に情報の記録及び/再生を行える光ピックアップ装置及び対物レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。
【図2】図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】図1の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【符号の説明】
101 第1半導体レーザ
107,108 ビームエキスパンダー
109 立ち上げミラー
110 ダイクロイックミラー
113,114 対物レンズ
115,115’、115” 光ディスク
201 第2半導体レーザ
308 ダイクロイックミラー
301 第3半導体レーザ
Claims (19)
- 波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
前記第1光源から出射された光束は、平行光束の状態で前記対物レンズに入射し、
前記第2光源から出射された光束は、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記第1光源から出射された光束は通過しないが前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、負の屈折力を有する光学素子を配置したことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
- 前記負の屈折力を有する光学素子は、前記第3光源から出射された光束が通過する光路内に配置されており、前記第3光源から出射された光束は、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第2光源から出射された光束を透過し、前記第3光源から出射された光束を反射するダイクロイックミラーを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1光源から出射された光束及び/又は前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、ビームシェイパーが配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記ビームシェイパーはビーム整形プリズムであることを特徴とする請求項5に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第2光源から出射された光束は、コリメータを通過して平行光束とされた後、発散光束の状態で前記対物レンズに入射することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
更に、前記第1光源から出射された光束が通過する光路内に、複数の光学素子の少なくとも一つが光軸方向に可動のビームエキスパンダーを有していることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記対物レンズと前記ビームエキスパンダー以外の光学素子は光軸方向に不動に取り付けられていることを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
- 前記対物レンズの温度を測定する温度センサを有し、前記温度センサからの出力に応じて、前記ビームエキスパンダーの前記少なくとも一つの光学素子を光軸方向に移動させることを特徴とする請求項9又は10に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 波長λ1の第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源と、対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、厚さt1の保護層を介して第1光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、又、前記第2光源からの光束を、厚さt2の保護層を介して第2光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっており、更に前記第3光源からの光束を、厚さt3(t1<t3且つt2<t3)の保護層を介して第3光情報記録媒体の情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能となっている光ピックアップ装置であって、
前記対物レンズは、前記第1光情報記録媒体、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源、前記第2光源、及び前記第3光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした内側領域と、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体に対してそれぞれ記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源及び前記第2光源からそれぞれ照射された光束が共通して通過して各情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした中間領域と、前記第1光情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に、前記第1光源から照射された光束が通過して該情報記録面に集光スポットを形成するようになっている光軸を中心とした外側領域とを有し、
前記第1光源から出射された光束が通過する光路内に、前記第1光源から出射された光束に関して球面収差補正を行う球面収差補正素子を設けたことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記球面収差補正素子は、ビームエキスパンダーであることを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第2光源から出射された光束が通過する光路内に、前記球面収差補正素子が配置されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第3光源から出射された光束が通過する光路内に、前記球面収差補正素子が配置されていることを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第2の光束が通過する光路内に回折素子が配置されていることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1光源から出射された光束が通過する光路と、前記第2光源から出射された光束が通過する光路と、前記第3光源から出射された光束が通過する光路のうちの2つは、前記対物レンズの光軸と交差する同一平面に配置されており、
残りの光路は、前記2つの光路が配置された前記平面と前記対物レンズの光軸とが交差する点に対して、所定の距離をおいて配置されていることを特徴とする請求項1乃至17の光ピックアップ装置。 - 請求項1乃至18のいずれかに記載の光ピックアップ装置に用いられることを特徴とする対物レンズ。
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JP2003052252A JP2004259414A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 光ピックアップ装置及び光ピックアップ装置用の対物レンズ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005166209A (ja) * | 2003-12-05 | 2005-06-23 | Sanyo Electric Co Ltd | 光ピックアップ装置 |
JP2007280549A (ja) * | 2006-04-10 | 2007-10-25 | Sony Corp | 光ピックアップ及び光ディスク装置 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003052252A patent/JP2004259414A/ja active Pending
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JP2007280549A (ja) * | 2006-04-10 | 2007-10-25 | Sony Corp | 光ピックアップ及び光ディスク装置 |
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