JP2004257011A - 構造体の補強方法及び構造 - Google Patents

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JP2004257011A JP2003045760A JP2003045760A JP2004257011A JP 2004257011 A JP2004257011 A JP 2004257011A JP 2003045760 A JP2003045760 A JP 2003045760A JP 2003045760 A JP2003045760 A JP 2003045760A JP 2004257011 A JP2004257011 A JP 2004257011A
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reinforcing rod
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rod
reinforcing rods
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Sanehiro Kube
修弘 久部
Takahisa Kato
貴久 加藤
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Abstract

【課題】施工が容易であると共に補強効果が高く、更に、補強部材が圧縮力で破損するのを防止する構造体の補強方法及び構造の提供を技術的課題とする。
【解決手段】構造体50に繊維強化樹脂によって形成された補強ロッド55A,55Bをスライド自在に取り付け、構造体50に補強ロッド55A,55Bを引張る方向の力が作用したとき、補強ロッド55A,55Bが係止されることによって引張力を負担し、構造体50に補強ロッド55A,55Bを圧縮する方向の力が作用したとき、補強ロッド55A,55Bをスライド可能にすることによって補強ロッド55A,55Bが破損するのを防止することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造体の補強方法及び構造に係り、特に、コンクリート構築物の壁部などの耐震補強に好適な構造体の補強方法及び構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばコンクリート構築物の壁部を補強繊維によって補強する補強工法(SR−CF工法)が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
このSR−CF工法は、図10に示すように、繊維方向を互いに交差する斜め2方向としたCF(カーボン繊維)製の補強シートC1,C2を、壁13の表面に定着する。補強シートC1,C2は、CF製の扇状の定着用アンカー(CFアンカー)Dを介して柱10,梁11,床12,および壁13に定着する。
【0004】
このSR−CF工法は、鉄骨部材に比べて非常に軽量なCFを使用するので、その運搬及び施工が容易になる。また、袖壁やスラブを破損することなく施工できる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−45565
【特許文献2】
特開平11−256838号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のSR−CF工法は、壁13の全面ケレン、補強シートC1,C2の壁13全面への貼り付け、CFアンカーDを取り付ける穴の穿孔、多数のCFアンカーの設置など工程が多く、施工に手間がかかるという問題があった。
【0006】
また、補強C1,C2の端部のみを定着用アンカーDで固定しているため、次に説明するように、補強シートC1,C2のポテンシャルを使い切れず、補強効果が小さいという問題があった。
【0007】
即ち、図11に示すように、壁13に貼り付けられた一方の補強シートC2(図10参照)を考えた場合、その端部側の領域Aは隅角部にある関係で、構造体に作用する横方向の力Fに対して、中央の領域Bに比べて応力負担が小さくなる。つまり、補強シートC2の一部しか有効に使っていないので、補強効率が低下するという問題があった。
【0008】
更に、補強シートC1,C2に圧縮力が作用した場合、補強シートC1,C2の剥離が進行しやすいため、更に引張力が作用した際に補強効果が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、施工が容易であると共に補強効果が高く、更に、補強部材が圧縮力で破損するのを防止できる構造体の補強方法及び構造の提供を技術的課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は構造体の補強方法及び構造であり、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明は、構造体に繊維強化樹脂によって形成された補強ロッドをスライド自在に取り付け、前記構造体に前記補強ロッドを引張る方向の力が作用したとき、前記補強ロッドを前記構造体側に係止して、前記補強ロッドがスライドするのを停止し、前記構造体に前記補強ロッドを圧縮する方向の力が作用したとき、前記補強ロッドをスライド可能にすることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、構造体に補強ロッドを引張する方向の力が作用したときには、補強ロッドが構造体側に係止して、構造体と補強ロッドとが一体化する。これによって、構造体が補強ロッドによって補強される。
【0012】
また、構造体に補強ロッドを圧縮する方向の力が作用したときには、補強ロッドが構造体に対してスライドするので、補強ロッドに圧縮力が作用するのを回避できる。これによって、圧縮に対して比較的弱い補強ロッドが破損するのを防止できる。
【0013】
ここで、前記補強ロッドをブレース状に配置できる。これにより、補強効果が向上する。
【0014】
また、本発明は、繊維強化樹脂によって形成され構造体に取り付けられた補強ロッドと、前記補強ロッドを前記構造体に対してスライド自在に支持するスライド支持部と、前記構造体に前記補強ロッドを引張る方向の力が作用した際、前記補強ロッドを係止して前記補強ロッドがスライドするのを停止する係止部材と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、構造体の補強用部材として、鉄骨などに比べて非常に軽量な繊維強化樹脂で形成された補強ロッドを使用するので、補強用部材の運搬及び施工が非常に容易になる。
【0016】
また、補強ロッドの取付作業は、補強ロッドを被補強部に取り付けるだけであり、従来のSR−CF工法のように壁部の全面に補強シートを貼り付け、その外周部を多数のアンカー部材によって柱部材に固定する場合に比べて、作業工数を低減できると共に、補強用部材の使用量を大幅に低減できる。
【0017】
ここで、前記スライド支持部には、前記構造体に設けられた被係止部材と、前記被係止部材に形成され前記補強ロッドがスライド自在に挿通する挿通孔とを備え、前記係止部材には、前記補強ロッドの端部を収容すると共に前記挿通孔より大径の筒状部材と、前記筒状部材内に充填され前記補強ロッドと前記筒状部材とを定着する定着材とを備えることができる。
【0018】
この場合は、スライド支持部及び係止部材の構成を簡略化できる。
【0019】
また、複数の前記補強ロッドと、前記複数の補強ロッドにそれぞれ取り付けられた前記係止部材と、を備えることができる。
【0020】
複数の補強ロッドをまとめて一個の被係止部材を取り付けると、補強ロッドと係止との定着長を長くする必要があるが、上記のように各補強ロッド毎に係止部材を取り付けることにより、補強ロッドと係止部材との定着長を短くできる。
【0021】
なお、以上述べた各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を貼付した図1から図9に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る構造体の補強構造5を示す。この補強構造5は、繊維強化樹脂によって形成され構造体50の被補強部50aに取り付けられた補強ロッド55A,55Bと、これらの補強ロッド55A,55Bを被補強部50aに対してスライド自在に支持するスライド支持部57A,57Bと、被補強部50aに補強ロッド55A,55Bを引張る方向の力が作用した際、補強ロッド55A,55Bを係止して、補強ロッド55A,55Bがスライドするのを停止する係止部材65(図2参照)とを備えている。
【0023】
次に、上記の各構成要素について説明する。構造体50は例えば鉄筋コンクリートもしくは鉄筋鉄骨コンクリート造であり、柱部材51,梁部材52,基礎部材53,壁部材54によって構成されている。
【0024】
本例では、柱部材51が角柱状に形成されているが、円柱状など任意の形状にできる。基礎部材53は、通常、柱部材51より大きな断面を有している。この基礎部材53の形状は任意に設定できる。
【0025】
補強ロッド55A,55Bは、壁部材54の対角線70A,70Bに沿ってブレース状に配置されている。つまり、本例では、構造体50の隅角部が被補強部50aとして設定されている。
【0026】
なお、ブレース(筋かい)とは周知のように、柱や梁などで作った4辺形の構面に入れる斜材であり、構面の変形を防ぎ、剛性を高めると共に地震力や風圧力に抵抗するものである。
【0027】
このように、補強ロッド55A、55Bをブレース状に配置することによって、柱部材51,梁部材52,基礎部材53と、補強ロッド55A,55Bとによってトラスが形成されるため、補強効果が向上する。
【0028】
なお、トラストとは、部材を三角形状にピン接合した単位を組み合わせて得られる構造体骨組みを意味する。
【0029】
これらの補強ロッド55A,55Bは、繊維強化樹脂(CFRP)、本例では上記の繊維強化樹脂複合材でロッド状に形成されている。この繊維強化樹脂複合材としては、例えばコンクリート構造体の緊張材として用いられるロッドを用いることができる。
【0030】
繊維強化樹脂複合材は、公知の方法で長尺の繊維を長手方向に引き揃えた状態で樹脂を含浸させ成形したものである。繊維としては高強度の繊維を使用するのが好ましく、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維等が挙げられる。
【0031】
特に、強度及び耐久性の面で炭素繊維が好ましく、また引張強度が400Kgf/mm以上の高強度繊維を用いることが好ましい。
【0032】
複合される樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化樹脂及びナイロン等のポリアミドポリオレフイン、ポリスチレン、ポリオキシメテレン飽和ポリエステル等の熟可塑性樹脂を挙げることができる。
【0033】
特に、エポキシ樹脂が好ましいが、これらは要求性能に応じて任意に選択すれば良い。
【0034】
複合材中に占める繊維の含有率は任意に選択し得るが、特性を有効に発揮するうえで繊維含有率が通常30〜80体積%、特に50〜70体積%のものが好ましい。
【0035】
本発明の繊維強化樹脂複合材としては、特に複合材の引張強度が230Kgf/mm以上の高強度繊維強化樹脂複合材を用いることが好ましい。
【0036】
なお、ロッド状の繊維樹脂複合材の表面には、例えば、螺旋状の凹凸部を設ける、補強繊維を捲回する等の任意の公知の表面処理を行う。これによって、後述の定着材である充填剤67(図3(a)参照)と補強ロッド55A,55Bとの接着性が向上し、ひいては補強強度を向上せしめるので好ましい。
【0037】
また、補強ロッド55A,55Bの径は、通常5〜15mm程度とするが、これ以外の径でも良い。
【0038】
更に、補強ロッド55A,55Bは、必要な補強程度に応じて1〜10本程度を使用する。本例では、補強ロッド55A,55Bをそれぞれ1本使用した場合について説明する。
【0039】
スライド支持部57A,57Bは、図2に示すように、柱部材51及び梁部材52、又は柱部材51及び基礎部材53に沿って固定された略L字状の固定部材60と、固定部材60の両端部間を連結する被係止部材61とを有している。被係止部材61は、補強ロッド55A,55Bに対して略直交している。
【0040】
固定部材60は、柱部材51,梁部材52,及び基礎部材53にアンカー62で固定されている。
【0041】
上記の被係止部材61の略中央には、補強ロッド55A,55Bの端部がスライド自在に挿通する挿通孔61aが形成されている。
【0042】
更に、補強ロッド55A,55Bの端部には、同一対角線70A,70B上に配置されたスライド支持部57A,57A間、又は51B,57B間の間隔が一定寸法まで拡大した際に、上記被係止部材61に係止して補強ロッド55A、55Bがスライドするのを停止する係止部材65が取り付けられている。
【0043】
この係止部材65は、図3(a)にも示すように、補強ロッド55A,55Bの端部を収容するFRP(繊維強化樹脂)製の筒状部材66と、この筒状部材66内に充填され補強ロッド55A,55Bと筒状部材66とを定着する定着材としての充填剤67とを有している。
【0044】
筒状部材66は、その直径Dが挿通孔61aの直径dより大径に形成されている。
【0045】
充填剤67は、例えばモルタルなどの膨張材を使用できる。この膨張材は、−般に静的破砕剤を指す。この静的破砕剤は元々は岩石の破砕に使用しているが、最近ではFRPの定着用としての使用も一般化しつつある。
【0046】
また、膨張材としては、無収縮性の充填剤、例えばセメント系グラウト剤が例示される。この膨張材は公知の方法を用いて、筒状部材66の空間上部から充填できる。或いは、チューブ等を用いて筒状部材66の下部から膨張剤を圧人充填することもできる。気泡等を設けずに充填するには、後者の方が好ましい。
【0047】
更に、筒状部材66内の大部分に膨張材を充填した後、モルタル等の他の材料で表面部分を埋めることもできる。
【0048】
また、補強ロッド55A,55Bと筒状部材66との定着方法としては、周知のウェッジ方式(くさび方式)がある。このウェッジ方式は、補強ロッド55A,55Bを摩擦力でくさびに定着するので、補強ロッド55A,55Bに静的なテンションがかかっている状態では有効であるが、衝撃力が作用する場合に不向きである。
【0049】
補強ロッド55A,55Bの端部に係止部材65を取り付けるときは、補強ロッド55の端部に係止部材65を取り付ける前に、補強ロッド55A,55Bの端部を被係止部材61の挿通孔61aに挿入する。そして、固定部材60側に突出した補強ロッド55A,55Bの端部に、上記の方法で係止部材65を定着させる。
【0050】
もしくは、補強ロッド55A,55Bの端部に係止部材65を取り付けた後に、被係止部材61に取り付けることも可能である。この場合は、図3(b)に示すように、被係止部材61に、補強ロッド55A,55Bを装着するためのスリット61bが必要となる。
【0051】
本例では、構造体50が変形してない状態で、図3に示すように、補強ロッド55A,55Bの両端部の係止部材65,65と、スライド支持部57A,57Bの被係止部材61,61との間は、ライナープレートなどを挿入し、隙間のない状態としておく。
【0052】
次に、この構造体の補強構造5の作用を説明する。図4に示すように、構造体50に図中の左側から一定以上の水平力Fがかかると、構造体50が略菱形に変形する。
【0053】
そうすると、構造体50の対角線70A,70Bのうち、一方の対角線70A上に配置された補強ロッド55Aの両端部の係止部材65,65が被係止部材61,61によって係止される。
【0054】
これによって、構造体50と補強ロッド55Aとが一体化されて、補強ロッド55Aがスライドするのが停止される。従って、構造体50の変形が抑制される。
【0055】
これに対して、図4に示すように、構造体50が菱形に変形したとき、元の長さより短くなる方の対角線70B上に配置された補強ロッド55Bを支持するスライド支持部57B,57Bの間隔は、元の長さより縮小する。
【0056】
このときには、係止部材65,65と被係止部材61,61との間隔が拡がる方向に被係止部材61,61が移動するので、補強ロッド55Bはスライド可能となる。
【0057】
これにより、補強ロッド55Bに圧縮力が作用するのを回避できる。従って、補強ロッド55Bを圧縮力に比較的弱い繊維強化複合樹脂によって成形しているが、この補強ロッド55Bが圧縮力によって破損するのを防止できる。
【0058】
このように、本発明の補強構造5は、鉄骨などに比べて非常に軽量な繊維強化複合樹脂で形成された補強ロッド55A,55Bを補強材として使用するので、補強ロッド55A,55Bの運搬及び施工が非常に容易になる。
【0059】
また、補強ロッド55A,55Bの取付作業は、補強ロッド55A,55Bの両端部をスライド支持部57A,57Bを介して構造体50に取り付けるだけであり、従来のSR−CF工法のように壁部の全面に補強シートを貼り付け、その外周部を多数のアンカー部材によって構造体に固定する場合に比べて、作業工数を低減できると共に、補強用材料を大幅に低減できる。従って、コストを大幅に低減できる。
【0060】
また、スライド支持部57A,57Bは、略L字状の固定部材60(図2参照)と、この固定部材60の両端部を連結する被係止部材61,61とで形成されているので、構成を簡略化できる。
【0061】
更に、係止部材65も、筒状部材66(図3参照)と、筒状部材66内に充填された定着材としての充填剤67とで構成されているので、構成を簡略化できる。
【0062】
なお、上述の実施形態では、構造体50が変形する前の状態で、補強ロッド55A、55Bの係止部材65と、スライド支持部57A,57Bの被係止部材61A,61Bとの間に隙間Sを設けていないが、隙間を設けてもよい。
【0063】
更に、構造体50の変形前の状態で、補強ロッド55A,55Bに引張力を与えることもできる。この場合には、構造体50の変形を極力小さく押さえることができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態の補強構造8を示す。なお、ここでは、構造体50の一方の対角線70A上に配置された補強ロッド55Aに関して図示するが、もう一方の対角線70B上に配置された補強ロッド55Bについても同様である。
【0064】
また、上記の補強構造5と同一の部分には同一の符号を付けて、その詳細な説明を省略する。
【0065】
この補強構造8は、構造体50の対角線50Aに沿ってブレース状に配置された複数の補強ロッド55A,55A・・・と、これらの複数の補強ロッド55A,55A・・・の端部にそれぞれ取り付けられた係止部材65,65・・・とを備えている。
【0066】
被係止部材61には、複数の補強ロッド55Aがそれぞれスライド自在に挿通する複数の挿通孔61a,61a・・・が形成されている。
【0067】
いま、構造体50に作用する水平の力F(図4参照)が大きく、複数の補強ロッド55Aで補強する場合に、複数の補強ロッド55Aをまとめて一個の係止部材65に定着すると、各補強ロッド55Aの定着長を長くする必要がある。
【0068】
これに対して、本例では、複数の補強ロッド55Aにそれぞれ係止部材65を取り付けるので、各補強ロッド55Aの定着長を短くできる。従って、補強ロッド55など材料の使用量を低減できる。
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態の補強構造9を示す。なお、上記と同一の部分には同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0069】
この補強構造9は、補強ロッド55A,55Bがそれぞれ略中央で二分されている。そして、各補強ロッド55A,55Bの分割部分が、リング状のスライド支持部90によって、スライド自在に支持されている。
【0070】
スライド支持部90は、図9に示すように、リング状の被係止部材91と、被係止部材91に形成され補強ロッド55A,55Bがスライド自在に挿通する挿通孔91aとを有している。挿通孔91aは、補強ロッド55A,55Bに対応して形成されている。
【0071】
補強ロッド55A,55Bの先端部には、被係止部材91の内側に配置された係止部材65が定着されている。
【0072】
なお、各補強ロッド55A,55Bの被係止部材91と反対側の端部は、構造体50に支持部材92によって回転自在に取り付けられている。
【0073】
この補強構造9においても、構造体50に補強ロッド55A,55Bを引張する方向の力が作用すると、補強ロッド55A,55Bの係止部材65が被係止部材91に係止して、補強ロッド55A,55Bがスライドするのを停止する。これによって、構造体50の変形が抑制される。
【0074】
また、構造体50に補強ロッド55A,55Bを圧縮する方向の力が作用すると、補強ロッド55A,55Bがスライド可能になるので、補強ロッド55A,55Bに圧縮力が作用するのを回避できる。従って、補強ロッド55A,55Bの破損を防止できる。
(第4実施形態)
上記第1〜第3実施形態では、補強ロッド55A,55Bをブレース状に配置した場合について説明したが、補強ロッド55A,55Bをブレース状以外の形状に配置することができる。
【0075】
例えば、柱部材51(図1参照)の曲げ補強をする場合、柱部材51の基部に補強ロッド55A,55Bを配置できる。
【0076】
従来技術では、大径の鋼製アンカーを使用していたが、この場合には、フーチング(基礎コンクリート)に大きな穴をあける必要があり、構造上好ましくない。
【0077】
そこで、上記の補強ロッド55A,55BのようなFRP(繊維強化樹脂)ロッドを使用すれば、フーチングの穴の形を小さくできる。これにより、地震時に引張側のロッドは引張力を負担し、圧縮側のロッドは上記の係止部材及び被係止部材により、圧縮破壊を回避できる。
【0078】
また、柱部材51で囲まれた場合以外では、例えば土木の壁式橋脚などへの適用が考えられる。この場合は、補強ロッド55A,55Bをブレース状に配置して、補強ロッド55A,55Bの端部を壁に定着する。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鉄骨などに比べて非常に軽量な繊維強化樹脂で形成された補強ロッドを用いて構造体の補強を行うので、補強用材料の運搬及び施工が非常に容易になる。
【0080】
また、補強ロッドの取付作業は、補強ロッドを構造体に取り付けるだけなので、従来の補強繊維シートを用いた補強方法に比べて作業工数を低減できると共に、補強用材料の使用量を大幅に低減でき、コストダウンできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の構造体の補強構造を示す図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態のスライド支持部を示す図である。
【図3】図3(a)は本発明に係る第1実施形態の係止部を示す断面図、図3(b)は図3(a)のA矢視図である。
【図4】本発明に係る第1実施形態の変形した状態を示す図である。
【図5】本発明に係る第1実施形態の補強ロッドを引張する方向の力が作用した状態を示す図である。
【図6】本発明に係る第1実施形態の補強ロッドを圧縮する方向の力が作用した状態を示す図である。
【図7】本発明に係る第2実施形態の補強ロッド及び係止部材を示す図である。
【図8】本発明に係る第3実施形態の補強構造を示す図である。
【図9】本発明に係る第3実施形態のスライド支持部及び係止部材を示す図である。
【図10】従来例に係る繊維強化樹脂シートを用いた補強構造を示す図である。
【図11】従来例に係る繊維強化樹脂シートを用いた補強構造の作用を説明する図である。
【符号の説明】
5 補強構造
8 補強構造
9 補強構造
10 柱
11 梁
12 床
13 壁
50 構造体
50A 対角線
50a 被補強部
51 柱部材
52 梁部材
53 基礎部材
54 壁部材
55A 補強ロッド
55B 補強ロッド
57A スライド支持部
57B スライド支持部
60 固定部材
61 被係止部材
61a 挿通孔
61b スリット
62 アンカー
65 係止部材
65a 内側面
66 筒状部材
67 充填剤
70A 対角線
70B 対角線
90 スライド支持部材
91 被係止部材
91a 挿通孔
92 支持部材
C1 補強シート
C2 補強シート
D アンカー

Claims (6)

  1. 構造体に繊維強化樹脂によって形成された補強ロッドをスライド自在に取り付け、
    前記構造体に前記補強ロッドを引張る方向の力が作用したとき、前記補強ロッドを前記構造体側に係止して、前記補強ロッドがスライドするのを停止し、
    前記構造体に前記補強ロッドを圧縮する方向の力が作用したとき、前記補強ロッドをスライド可能にすることを特徴とする構造体の補強方法。
  2. 前記補強ロッドをブレース状に配置したことを特徴とする請求項1に記載の構造体の補強方法。
  3. 繊維強化樹脂によって形成され構造体に取り付けられた補強ロッドと、
    前記補強ロッドを前記構造体に対してスライド自在に保持するスライド支持部と、
    前記構造体に前記補強ロッドを引張る方向の力が作用した際、前記補強ロッドを前記構造体側に係止する係止部材と、を備えたことを特徴とする構造体の補強構造。
  4. 前記スライド支持部は、前記構造体に設けられた被係止部材と、前記被係止部材に形成され前記補強ロッドがスライド自在に挿通する挿通孔とを有し、
    前記係止部材は、前記補強ロッドの端部を収容すると共に前記挿通孔より大径の筒状部材と、
    前記筒状部材内に充填され前記補強ロッドと前記筒状部材とを定着する定着材とを有することを特徴とする請求項3に記載の構造体の補強構造。
  5. 並列に配置された複数の前記補強ロッドと、前記複数の補強ロッドにそれぞれ取り付けられた前記係止部材と、を備えたことを特徴とする請求項3又は4の何れかに記載の構造体の補強構造。
  6. 前記補強ロッドがブレース状に配置されていることを特徴とする請求項3から5の何れかに記載の構造体の補強構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5974157B1 (ja) * 2015-12-02 2016-08-23 株式会社ブルーム 鉄筋コンクリート構造物の補強構造
JP2017201090A (ja) * 2016-05-02 2017-11-09 小松精練株式会社 耐震補強材
CN112064490A (zh) * 2020-08-17 2020-12-11 中铁大桥局集团有限公司 一种工型钢梁减振装置及工型钢组合梁

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