JP2004256937A - ラベル用紙およびラベル - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、通常、一般に使用される汎用の紙基材を主体とし、耐水性、耐湿性を有し、グラビア印刷インキやニスの滲み込みがなく、インキの光沢や表面の耐摩耗性の低下や印刷物の残留溶剤による臭気の発生がなく、かつカールの発生がないグラビア印刷適性を有するラベル用紙およびラベルを提供することを目的とする。
【解決手段】紙を基材とするラベル用紙であって、前記ラベル用紙が、クレーコート層/耐水コート層/紙基材層/耐水コート層/クレーコート層の構成からなることを特徴とするラベル用紙およびラベルである。
【選択図】図1
【解決手段】紙を基材とするラベル用紙であって、前記ラベル用紙が、クレーコート層/耐水コート層/紙基材層/耐水コート層/クレーコート層の構成からなることを特徴とするラベル用紙およびラベルである。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベル用紙およびラベルに係わり、さらに詳細には、グラビア印刷インキやニスの滲み込みがなく、カール発生等の問題を起こすことのない紙基材を主体とするラベル用紙およびラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
紙製のラベルを、澱粉系糊剤、カゼイン系糊剤、ポリ酢酸ビニル系糊剤などの水系接着剤を用いて瓶などの対象物へ接着することは広く行われている。これら水系接着剤を、ラベル用紙の裏面へ塗布したときにカールが発生する。このカールは、接着剤に含まれる水がラベル用紙を構成するセルロース繊維を膨潤させることが原因で起こる。
【0003】
即ち、カールはラベル用紙表裏のセルロース繊維の伸びに差を生ずることが原因として起こる。多少のカールが起きても作業性にそれほど悪影響を与えないが、許容される範囲を越えてカールが起きると、自動ラベル貼り機に通らなくなるのでラベル用紙として致命的な欠点となる。
【0004】
ラベル用紙にカールが発生しないようにする対策は種々行われている。その対策の一例として、特定の繊維を使用して、特定範囲の叩解度の紙料で用紙を抄造する方法が提案されている(特許文献1参照)。具体的には、用紙中のケナフ靭皮パルプと木材パルプの重量%比が、30:70〜100:0であり、フリーネス300〜600mlC.S.Fで抄造された用紙である。
【0005】
しかしながら、ラベル用紙の紙基材としては、通常の汎用性の用紙を使用するのが一般的であって、上記の特定の用紙では、ラベル用紙としては汎用性に乏しい。
【0006】
また、ラベル用紙にカールが発生しないようにする対策の他の例として、用紙面に水の影響を受けにくいコート剤を用紙抄造後に塗工機を使用して塗工するこ方法として、ラベル基材上に、特定範囲の酸価を有する水性樹脂分散液を含有した水性インキ、オーバーコート剤を使用してカールが少なく、洗瓶時に剥離性の良いラベルの製造方法が提案されている(特許文献2参照)。そして、水性インキ、オーバーコート剤に使用する特定範囲の酸価を有する具体的な水性樹脂分散物として、カルボキシル基を有するビニルモノマーと、カルボキシル基を有しないビニルモノマーと重合割合を特定したものを使用するものである。
【0007】
さらに、近年、用紙の両面に、アクリル系疎水樹脂等からなる耐水コート層を設け、さらに耐水コート層の上に炭酸カルシュウム等をからなるクレーコート層を設けたカールの発生を防止した耐水紙が開発されており、ラベル用紙としても使用されている。
【0008】
しかしながら、上記耐水紙に印刷層を形成する場合、オフセット印刷による印刷適性を有するものであるが、グラビア印刷適性がない。即ち、グラビア印刷インキやニスが前記クレーコート層に染み込み、インキの光沢やニス等からなる保護層の耐摩耗性が低下するといった問題がある。
【0009】
さらに、上記の特許文献2で提案されているラベルの製造方法における水性インキ、オーバーコート剤に使用する特定範囲の酸価を有するカルボキシル基を有するビニルモノマーと、カルボキシル基を有しないビニルモノマーと重合割合を特定した水性樹脂分散物、また、上記耐水紙において使用されるアクリル系疎水樹脂等は、水性樹脂分散物またはアクリル系疎水樹脂中に存在する官能基であるカルボキシル基が、グラビア印刷インキの溶剤を吸着し易いという性質を有することから、残留溶剤による印刷物の臭気の問題がある。
【0010】
このようなことから、近年、特にグラビア印刷適性を有するカールの発生しない紙基材を主体とするラベル用紙の開発が望まれている。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−264391号公報
【特許文献2】
特開平5−76824号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点および技術的背景を考慮してなされたものであって、通常、一般に使用される汎用の紙基材を主体とし、耐水性、耐湿性を有し、グラビア印刷インキやニスの滲み込みがなく、インキの光沢や表面の耐摩耗性の低下や印刷物の残留溶剤による臭気の発生がなく、かつカールの発生しない、グラビア印刷適性を有するラベル用紙およびラベルを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、即ち、請求項1に係る発明は、
紙を基材とするラベル用紙であって、
前記ラベル用紙が、クレーコート層/耐水コート層/紙基材層/耐水コート層/クレーコート層の構成からなることを特徴とするラベル用紙である。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、
前記クレーコート層が、カオリン系クレーからなることを特徴とする請求項1記載のラベル用紙である。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、
前記耐水コート層が、ゴム系ラテックス分散液を塗布してなる熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1または2記載のラベル用紙である。
【0016】
また、請求項4に係る発明は、
前記紙基材層を構成する全パルプに対して、化学パルプを90重量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のラベル用紙である。
【0017】
また、請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のラベル用紙の表面もしくは表裏両面に印刷層を設け、さらに該印刷層上に保護層を設けてなることを特徴とするラベルである。
【0018】
また、請求項6に係る発明は、
前記印刷層が、グラビア印刷により設けられたことを特徴とする請求項5記載のラベルである。
【0019】
また、請求項7に係る発明は、
前記ラベルの裏面に剥離剤層が、部分的に設けられていることを特徴とする請求項5または6記載のラベルである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施態様について図面を参照して説明する。
図1は、本発明のラベル用紙の構成の一例を示す断面図である。図2は、本発明のラベル用紙を用いたラベルの構成の一例を示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、紙を基材とするラベル用紙であって、例えば、本発明のラベル用紙1は、クレーコート層4/耐水コート層3/紙基材層2/耐水コート層3/クレーコート層4の構成からなることを特徴とするラベル用紙である。
【0022】
本発明において用いられる紙基材層2を構成する紙基材としては、通常の製紙用パルプを使用することができる。例えば、針葉樹、広葉樹等の木材や、麻、木綿、藁パルプ、ケナフ等の非木材などのセルロース繊維原料とするパルプを挙げることができる。
【0023】
上記の紙基材は、化学パルプと機械パルプと化学パルプとの混合物からなる原紙を構成する全パルプに対して、化学パルプを90重量%以上含有する透気度の小さい上質紙であることが望ましい。坪量としては、50〜130g/m2のものが好適に使用される。
【0024】
本発明において用いられる耐水コート層3を構成する樹脂としては、一例として、天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス等のゴムラテックスの熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0025】
本発明において用いられるクレーコート層4を構成するクレーとしては、カオリン、焼成カオリン、デラミネートカオリン、構造化カオリン等のカオリン系クレーが好適に用いられる。これらのクレーを適宜必要に応じて組み合わせて用いることもできる。
【0026】
本発明における耐水コート層3を形成するラテックス系樹脂を主成分として調製した塗工液を、各種コーテイング法、例えば、ロールコーティング法、ブレードコーティング法、エアナイフコーティング法、ロッドバーコーティング法、グラビアコーティング法、コンマコーティング法法、ダイコーティング法などの方法を適宜使用して、紙基材上に塗布することができる。
【0027】
塗工量は、一般に乾燥重量で片面当たり3〜50g/m2程度であるが、印刷品質および印刷適性あるいは塗工における乾燥能力を考慮すると5〜20g/m2程度の範囲で調製するのが好ましい。また、湿潤塗工層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用される。
【0028】
また、本発明におけるクレーコート層4を形成するカオリン系クレーを主成分として調製した塗工液を、各種コーテイング法、例えば、ブレードコータ、ロールコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ等の各種装置を用いて耐水コート層の上に塗布することができる。
【0029】
クレーコート層4の厚さは、特に限定されないが、0.1〜20μm程度が好ましく、より好ましくは1〜10μm程度である。
【0030】
次に、本発明のラベル用紙を用いたラベルの一例として、易剥離性ラベルについて説明する。
図2に示すように、クレーコート層4/耐水コート層3/紙基材層2/耐水コート層3/クレーコート層4の構成からなる本発明のラベル用紙1の表面に、印刷層6を設け、その印刷層6の上に保護層7を形成し、一方ラベル用紙1の裏面にパターン状の撥水コート層8を部分的に設けた構成のラベル5である。
【0031】
そして、このラベル5に自動ラベル貼り機でグルー糊9等を塗布して、PETボトルや瓶などの対象物表面に貼着する。
【0032】
従来、PETボトルや瓶などのリサイクルが本格化するなかで、ラベルの易剥離性が求められているが、易剥離性が実現できているものとして感熱式ラベルの易剥離性仕様またはパターン状感熱糊層を設けることで、簡易的に剥離性を実現しているに過ぎず、一般のグルー糊で対応しているラベルでは、剥離時に紙剥けを起こす等の問題から、現在まで成功している例が少なかった。
【0033】
本発明において、ラベル用紙の両面に耐水コート層とクレーコート層を設けることで、耐水性とグラビア印刷適性を持たせ、一方裏面にパターン状に撥水コート層を設けたラベル構成とすることで、撥水コート層以外の糊部分でラベルを貼着する対象物表面に接着・装着される。
ラベル剥離時、グルー糊とパターン状に撥水コート層間で剥離し、易剥離性を容易に実現できる。また、パターン状に撥水コート層のない部分ではラベル用紙に設けてある耐水コート層によりグルー糊がラベル用紙を構成する紙基材に浸透するのを防止することができるので、紙剥け等の問題が発生することなく易剥離性が容易に実現できる。
【0034】
本発明におけるラベルに設けられる印刷層6は、通常のグラビアインキ組成物からなるインキを用いたグラビア印刷方式によって、例えば、文字、図形、記号、絵柄、その他等の任意の印刷模様を印刷して形成することができる。
【0035】
本発明におけるラベルに設けられる印刷層6の上に形成される保護層7は、印刷層6を保護する目的で設けられる透明保護層として機能するものであって、例えば、ニトロセルロース系ニス、紫外線硬化型透明ハイグロスニスなどが用いられる。
【0036】
上記の紫外線硬化型透明ハイグロスニスに、必要に応じて、ウレタンアクリレートを8〜10%の範囲で添加して被膜の柔軟性を向上させることもできる。
【0037】
また、本発明の好ましい態様によれば、保護層には、必要に応じて適宜、種々の添加剤を含むことができる。そのような添加剤の好ましい具体例として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、退色防止剤、帯電防止剤などが挙げられる。
【0038】
本発明におけるラベルに設けられる撥水コート層8は、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、アマニ油、軽油などの組成物にポリエチレン系ワックス、シリコーン系ワックスを配合した撥水性材料を調製した塗工液を塗布することにより形成できる。
【0039】
本発明におけるラベルに使用される糊9は、グルー糊の他にタック糊なども使用でき特に限定されない。
【0040】
以上詳細に説明したように、本発明のラベル用紙の両面に耐水コート層とクレーコート層を設けた構成とすることで、優れた耐水性とグラビア印刷適性を有するものである。ヨーグルト、ジュース、ミルク、アイスクリーム、バタター、マーガリン、ビール、ウイスキー、酒、ドリンク剤等のラベル用紙としての用途のみならず、一般の耐水紙として広い分野に応用展開できる。
【0041】
また、本発明のラベル用紙を用いたラベルの一例として、易剥離性ラベルを提供できる。すなわち、本発明のラベル用紙の表面に、グラビア印刷文字、図形、記号、絵柄、その他等の任意の印刷模様を印刷して印刷層を設け、一方裏面にパターン状に撥水コート層を設けたラベル構成とすることで、撥水コート層以外の糊部分でラベルを貼着する対象物表面に接着・装着される。ラベル剥離時、グルー糊とパターン状に撥水コート層間で剥離し、易剥離性を容易に実現できる。また、パターン状に撥水コート層のない部分ではラベル用紙に設けてある耐水コート層によりグルー糊がラベル用紙を構成する紙基材に浸透するのを防止することができるので、紙剥け等の問題が発生することなく易剥離性が容易に実現できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、通常、一般に使用される汎用の紙基材を主体とし、耐水性、耐湿性を有し、グラビア印刷インキやニスの滲み込みがなく、インキの光沢や表面の耐摩耗性の低下や印刷物の残留溶剤による臭気の発生がなく、かつカールの発生しない、グラビア印刷適性を有するラベル用紙およびラベルを提供することができる。
本発明のラベル用紙は、ヨーグルト、ジュース、ミルク、アイスクリーム、バタター、マーガリン、ビール、ウイスキー、酒、ドリンク剤等のラベル用紙としての用途のみならず、一般の耐水紙として広い分野に応用展開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラベル用紙の一例を示す断面図である。
【図2】本発明のラベル用紙を用いたラベルの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・ラベル用紙
2・・・紙基材層
3・・・耐水コート層
4・・・クレーコート層
5・・・ラベル
6・・・印刷層
7・・・保護層
8・・・剥離層
9・・・糊層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベル用紙およびラベルに係わり、さらに詳細には、グラビア印刷インキやニスの滲み込みがなく、カール発生等の問題を起こすことのない紙基材を主体とするラベル用紙およびラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
紙製のラベルを、澱粉系糊剤、カゼイン系糊剤、ポリ酢酸ビニル系糊剤などの水系接着剤を用いて瓶などの対象物へ接着することは広く行われている。これら水系接着剤を、ラベル用紙の裏面へ塗布したときにカールが発生する。このカールは、接着剤に含まれる水がラベル用紙を構成するセルロース繊維を膨潤させることが原因で起こる。
【0003】
即ち、カールはラベル用紙表裏のセルロース繊維の伸びに差を生ずることが原因として起こる。多少のカールが起きても作業性にそれほど悪影響を与えないが、許容される範囲を越えてカールが起きると、自動ラベル貼り機に通らなくなるのでラベル用紙として致命的な欠点となる。
【0004】
ラベル用紙にカールが発生しないようにする対策は種々行われている。その対策の一例として、特定の繊維を使用して、特定範囲の叩解度の紙料で用紙を抄造する方法が提案されている(特許文献1参照)。具体的には、用紙中のケナフ靭皮パルプと木材パルプの重量%比が、30:70〜100:0であり、フリーネス300〜600mlC.S.Fで抄造された用紙である。
【0005】
しかしながら、ラベル用紙の紙基材としては、通常の汎用性の用紙を使用するのが一般的であって、上記の特定の用紙では、ラベル用紙としては汎用性に乏しい。
【0006】
また、ラベル用紙にカールが発生しないようにする対策の他の例として、用紙面に水の影響を受けにくいコート剤を用紙抄造後に塗工機を使用して塗工するこ方法として、ラベル基材上に、特定範囲の酸価を有する水性樹脂分散液を含有した水性インキ、オーバーコート剤を使用してカールが少なく、洗瓶時に剥離性の良いラベルの製造方法が提案されている(特許文献2参照)。そして、水性インキ、オーバーコート剤に使用する特定範囲の酸価を有する具体的な水性樹脂分散物として、カルボキシル基を有するビニルモノマーと、カルボキシル基を有しないビニルモノマーと重合割合を特定したものを使用するものである。
【0007】
さらに、近年、用紙の両面に、アクリル系疎水樹脂等からなる耐水コート層を設け、さらに耐水コート層の上に炭酸カルシュウム等をからなるクレーコート層を設けたカールの発生を防止した耐水紙が開発されており、ラベル用紙としても使用されている。
【0008】
しかしながら、上記耐水紙に印刷層を形成する場合、オフセット印刷による印刷適性を有するものであるが、グラビア印刷適性がない。即ち、グラビア印刷インキやニスが前記クレーコート層に染み込み、インキの光沢やニス等からなる保護層の耐摩耗性が低下するといった問題がある。
【0009】
さらに、上記の特許文献2で提案されているラベルの製造方法における水性インキ、オーバーコート剤に使用する特定範囲の酸価を有するカルボキシル基を有するビニルモノマーと、カルボキシル基を有しないビニルモノマーと重合割合を特定した水性樹脂分散物、また、上記耐水紙において使用されるアクリル系疎水樹脂等は、水性樹脂分散物またはアクリル系疎水樹脂中に存在する官能基であるカルボキシル基が、グラビア印刷インキの溶剤を吸着し易いという性質を有することから、残留溶剤による印刷物の臭気の問題がある。
【0010】
このようなことから、近年、特にグラビア印刷適性を有するカールの発生しない紙基材を主体とするラベル用紙の開発が望まれている。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−264391号公報
【特許文献2】
特開平5−76824号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点および技術的背景を考慮してなされたものであって、通常、一般に使用される汎用の紙基材を主体とし、耐水性、耐湿性を有し、グラビア印刷インキやニスの滲み込みがなく、インキの光沢や表面の耐摩耗性の低下や印刷物の残留溶剤による臭気の発生がなく、かつカールの発生しない、グラビア印刷適性を有するラベル用紙およびラベルを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、即ち、請求項1に係る発明は、
紙を基材とするラベル用紙であって、
前記ラベル用紙が、クレーコート層/耐水コート層/紙基材層/耐水コート層/クレーコート層の構成からなることを特徴とするラベル用紙である。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、
前記クレーコート層が、カオリン系クレーからなることを特徴とする請求項1記載のラベル用紙である。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、
前記耐水コート層が、ゴム系ラテックス分散液を塗布してなる熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1または2記載のラベル用紙である。
【0016】
また、請求項4に係る発明は、
前記紙基材層を構成する全パルプに対して、化学パルプを90重量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のラベル用紙である。
【0017】
また、請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のラベル用紙の表面もしくは表裏両面に印刷層を設け、さらに該印刷層上に保護層を設けてなることを特徴とするラベルである。
【0018】
また、請求項6に係る発明は、
前記印刷層が、グラビア印刷により設けられたことを特徴とする請求項5記載のラベルである。
【0019】
また、請求項7に係る発明は、
前記ラベルの裏面に剥離剤層が、部分的に設けられていることを特徴とする請求項5または6記載のラベルである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施態様について図面を参照して説明する。
図1は、本発明のラベル用紙の構成の一例を示す断面図である。図2は、本発明のラベル用紙を用いたラベルの構成の一例を示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、紙を基材とするラベル用紙であって、例えば、本発明のラベル用紙1は、クレーコート層4/耐水コート層3/紙基材層2/耐水コート層3/クレーコート層4の構成からなることを特徴とするラベル用紙である。
【0022】
本発明において用いられる紙基材層2を構成する紙基材としては、通常の製紙用パルプを使用することができる。例えば、針葉樹、広葉樹等の木材や、麻、木綿、藁パルプ、ケナフ等の非木材などのセルロース繊維原料とするパルプを挙げることができる。
【0023】
上記の紙基材は、化学パルプと機械パルプと化学パルプとの混合物からなる原紙を構成する全パルプに対して、化学パルプを90重量%以上含有する透気度の小さい上質紙であることが望ましい。坪量としては、50〜130g/m2のものが好適に使用される。
【0024】
本発明において用いられる耐水コート層3を構成する樹脂としては、一例として、天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス等のゴムラテックスの熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0025】
本発明において用いられるクレーコート層4を構成するクレーとしては、カオリン、焼成カオリン、デラミネートカオリン、構造化カオリン等のカオリン系クレーが好適に用いられる。これらのクレーを適宜必要に応じて組み合わせて用いることもできる。
【0026】
本発明における耐水コート層3を形成するラテックス系樹脂を主成分として調製した塗工液を、各種コーテイング法、例えば、ロールコーティング法、ブレードコーティング法、エアナイフコーティング法、ロッドバーコーティング法、グラビアコーティング法、コンマコーティング法法、ダイコーティング法などの方法を適宜使用して、紙基材上に塗布することができる。
【0027】
塗工量は、一般に乾燥重量で片面当たり3〜50g/m2程度であるが、印刷品質および印刷適性あるいは塗工における乾燥能力を考慮すると5〜20g/m2程度の範囲で調製するのが好ましい。また、湿潤塗工層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用される。
【0028】
また、本発明におけるクレーコート層4を形成するカオリン系クレーを主成分として調製した塗工液を、各種コーテイング法、例えば、ブレードコータ、ロールコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ等の各種装置を用いて耐水コート層の上に塗布することができる。
【0029】
クレーコート層4の厚さは、特に限定されないが、0.1〜20μm程度が好ましく、より好ましくは1〜10μm程度である。
【0030】
次に、本発明のラベル用紙を用いたラベルの一例として、易剥離性ラベルについて説明する。
図2に示すように、クレーコート層4/耐水コート層3/紙基材層2/耐水コート層3/クレーコート層4の構成からなる本発明のラベル用紙1の表面に、印刷層6を設け、その印刷層6の上に保護層7を形成し、一方ラベル用紙1の裏面にパターン状の撥水コート層8を部分的に設けた構成のラベル5である。
【0031】
そして、このラベル5に自動ラベル貼り機でグルー糊9等を塗布して、PETボトルや瓶などの対象物表面に貼着する。
【0032】
従来、PETボトルや瓶などのリサイクルが本格化するなかで、ラベルの易剥離性が求められているが、易剥離性が実現できているものとして感熱式ラベルの易剥離性仕様またはパターン状感熱糊層を設けることで、簡易的に剥離性を実現しているに過ぎず、一般のグルー糊で対応しているラベルでは、剥離時に紙剥けを起こす等の問題から、現在まで成功している例が少なかった。
【0033】
本発明において、ラベル用紙の両面に耐水コート層とクレーコート層を設けることで、耐水性とグラビア印刷適性を持たせ、一方裏面にパターン状に撥水コート層を設けたラベル構成とすることで、撥水コート層以外の糊部分でラベルを貼着する対象物表面に接着・装着される。
ラベル剥離時、グルー糊とパターン状に撥水コート層間で剥離し、易剥離性を容易に実現できる。また、パターン状に撥水コート層のない部分ではラベル用紙に設けてある耐水コート層によりグルー糊がラベル用紙を構成する紙基材に浸透するのを防止することができるので、紙剥け等の問題が発生することなく易剥離性が容易に実現できる。
【0034】
本発明におけるラベルに設けられる印刷層6は、通常のグラビアインキ組成物からなるインキを用いたグラビア印刷方式によって、例えば、文字、図形、記号、絵柄、その他等の任意の印刷模様を印刷して形成することができる。
【0035】
本発明におけるラベルに設けられる印刷層6の上に形成される保護層7は、印刷層6を保護する目的で設けられる透明保護層として機能するものであって、例えば、ニトロセルロース系ニス、紫外線硬化型透明ハイグロスニスなどが用いられる。
【0036】
上記の紫外線硬化型透明ハイグロスニスに、必要に応じて、ウレタンアクリレートを8〜10%の範囲で添加して被膜の柔軟性を向上させることもできる。
【0037】
また、本発明の好ましい態様によれば、保護層には、必要に応じて適宜、種々の添加剤を含むことができる。そのような添加剤の好ましい具体例として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、退色防止剤、帯電防止剤などが挙げられる。
【0038】
本発明におけるラベルに設けられる撥水コート層8は、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、アマニ油、軽油などの組成物にポリエチレン系ワックス、シリコーン系ワックスを配合した撥水性材料を調製した塗工液を塗布することにより形成できる。
【0039】
本発明におけるラベルに使用される糊9は、グルー糊の他にタック糊なども使用でき特に限定されない。
【0040】
以上詳細に説明したように、本発明のラベル用紙の両面に耐水コート層とクレーコート層を設けた構成とすることで、優れた耐水性とグラビア印刷適性を有するものである。ヨーグルト、ジュース、ミルク、アイスクリーム、バタター、マーガリン、ビール、ウイスキー、酒、ドリンク剤等のラベル用紙としての用途のみならず、一般の耐水紙として広い分野に応用展開できる。
【0041】
また、本発明のラベル用紙を用いたラベルの一例として、易剥離性ラベルを提供できる。すなわち、本発明のラベル用紙の表面に、グラビア印刷文字、図形、記号、絵柄、その他等の任意の印刷模様を印刷して印刷層を設け、一方裏面にパターン状に撥水コート層を設けたラベル構成とすることで、撥水コート層以外の糊部分でラベルを貼着する対象物表面に接着・装着される。ラベル剥離時、グルー糊とパターン状に撥水コート層間で剥離し、易剥離性を容易に実現できる。また、パターン状に撥水コート層のない部分ではラベル用紙に設けてある耐水コート層によりグルー糊がラベル用紙を構成する紙基材に浸透するのを防止することができるので、紙剥け等の問題が発生することなく易剥離性が容易に実現できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、通常、一般に使用される汎用の紙基材を主体とし、耐水性、耐湿性を有し、グラビア印刷インキやニスの滲み込みがなく、インキの光沢や表面の耐摩耗性の低下や印刷物の残留溶剤による臭気の発生がなく、かつカールの発生しない、グラビア印刷適性を有するラベル用紙およびラベルを提供することができる。
本発明のラベル用紙は、ヨーグルト、ジュース、ミルク、アイスクリーム、バタター、マーガリン、ビール、ウイスキー、酒、ドリンク剤等のラベル用紙としての用途のみならず、一般の耐水紙として広い分野に応用展開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラベル用紙の一例を示す断面図である。
【図2】本発明のラベル用紙を用いたラベルの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・ラベル用紙
2・・・紙基材層
3・・・耐水コート層
4・・・クレーコート層
5・・・ラベル
6・・・印刷層
7・・・保護層
8・・・剥離層
9・・・糊層
Claims (7)
- 紙を基材とするラベル用紙であって、
前記ラベル用紙が、クレーコート層/耐水コート層/紙基材層/耐水コート層/クレーコート層の構成からなることを特徴とするラベル用紙。 - 前記クレーコート層が、カオリン系クレーからなることを特徴とする請求項1記載のラベル用紙。
- 前記耐水コート層が、ゴム系ラテックス分散液を塗布してなる熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1または2記載のラベル用紙。
- 前記紙基材層を構成する全パルプに対して、化学パルプを90重量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のラベル用紙。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のラベル用紙の表面もしくは表裏両面に印刷層を設け、さらに該印刷層上に保護層を設けてなることを特徴とするラベル。
- 前記印刷層が、グラビア印刷により設けられたことを特徴とする請求項5記載のラベル。
- 前記ラベルの裏面に剥離剤層が、部分的に設けられていることを特徴とする請求項5または6記載のラベル。
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---|---|---|---|
JP2003046954A JP2004256937A (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | ラベル用紙およびラベル |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009154906A (ja) * | 2007-12-26 | 2009-07-16 | Toppan Printing Co Ltd | 紙容器用複合シート材料と該複合シート材料を用いて成形した紙容器 |
-
2003
- 2003-02-25 JP JP2003046954A patent/JP2004256937A/ja active Pending
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