JP2004256456A - 2−ブロモエチルジアルキルホスファイト、その製造方法、およびそれを用いたリン酸エステル誘導体の製造方法 - Google Patents

2−ブロモエチルジアルキルホスファイト、その製造方法、およびそれを用いたリン酸エステル誘導体の製造方法 Download PDF

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Toshikazu Hakogi
敏和 箱木
Misako Taiji
美沙子 泰地
Shigeo Katsumura
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Abstract

【課題】スフィンゴミエリン類縁体などの化合物の製造に有用な化合物を提供する。
【解決手段】一般式(I):
(RO)P−OCHCHBr (I)
(式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされる2−ブロモエチルジアルキルホスファイト。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2−ブロモエチルジアルキルホスファイト、その製造方法、およびそれを用いたリン酸エステル誘導体の製造方法に関する。さらに詳しくは、リン脂質加水分解酵素であるスフィンゴミエリナーゼの触媒部位に作用し、基質に対して拮抗的に阻害する物質として期待されるスフィンゴミエリン類縁体の製造に有用な化合物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
スフィンゴミエリナーゼはスフィンゴミエリンのリン酸エステル部分に作用しセラミドとホスホコリンに分解される。この代謝産物であるセラミドは細胞分化やアポトーシス誘導体の情報伝達因子として機能し、プロテインキナーゼの酵素活性を阻害することも明らかになってきている。また、スフィンゴミエリンなどのスフィンゴ脂質がセカンドメッセンジャーとして増殖、分化、アポトーシスなどの細胞機能において重要な役割を担っていることが明らかになり、スフィンゴミエリナーゼの重要性が注目され、その作用機構の解明が望まれている。
【0003】
スフィンゴミエリナーゼは1次構造が解明された程度であり、その高次構造や加水分解機構など詳しいことは未だ明らかにされていない。
【0004】
これら高次構造や作用機構の解明のためスフィンゴミエリナーゼ阻害剤となる物質の開発が望まれ、それらが安価で大量に提供されることが望まれている。
【0005】
その候補化合物として、一般式(VI):
【0006】
【化2】
Figure 2004256456
【0007】
(式中、R、Rは同一または異なって、不飽和結合を有することもある炭素数1〜20の直鎖または分岐アルキル基、アリール基、もしくはアリール基で置換された炭素数1〜6のアルキル基、Yはメチレン基(CH)である)で表わされるスフィンゴミエリン類縁体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
この化合物を製造する際の重要な工程にリン酸エステル化工程がある。このリン酸エステル化は、対応するアルコール体をスルホニル化またはハロゲン化し、これに亜リン酸トリエステルを作用させることにより行なわれている。
【0009】
しかしながら、この反応では炭素−リン結合は比較的容易に生成できるが、炭素以外のヘテロ原子がリン原子と結合した化合物の生成は困難である。つまり一般式(VI)において、Yがメチレン基である化合物、すなわちリン原子と結合した原子が炭素原子である化合物は合成できるが、該炭素原子が他のヘテロ原子で置き換えられた誘導体の合成は困難である。
【0010】
したがって、より汎用性のあるへテロ原子結合リン酸エステル化反応の開発が望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−247584号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みて、スフィンゴミエリン類縁体などの化合物の製造に利用できる、より汎用性のあるヘテロ原子結合リン酸エステル化反応を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、より汎用性の高いヘテロ原子結合リン酸エステル化反応を可能にする化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明はつぎの2−ブロモエチルジアルキルホスファイト、その製造方法、およびそれを用いたリン酸エステル誘導体の製造方法に関する。
(1)一般式(I):
(RO)P−OCHCHBr (I)
(式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされる2−ブロモエチルジアルキルホスファイト。
(2)一般式(II):
RO−PCl (II)
(式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされるアルキルホスホクロリドに2−ブロモエタノールを反応させ、ついで一般式(III):
ROH (III)
(式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされるアルコールを反応させることを特徴とする、一般式(I):
(RO)P−OCHCHBr (I)
(式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされる2−ブロモエチルジアルキルホスファイトの製造方法。
(3)一般式(I):
(RO)P−OCHCHBr (I)
(式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされる2−ブロモエチルジアルキルホスファイトと、一般式(IV):
−X−H (IV)
[式中、Rは置換または非置換の脂肪族炭化水素基(ただし、1位の炭素原子は第1級または第2級炭素原子である)、XはO、NH、NR(ここで、Rはアルキル基である)またはSである]で表わされる化合物を反応させることを特徴とする、一般式(V):
【0015】
【化3】
Figure 2004256456
【0016】
[式中、Rはメチル基またはエチル基、Rは置換または非置換の脂肪族炭化水素基(ただし、1位の炭素原子は第1級または第2級炭素原子である)、XはO、NH、NR(ここで、Rはアルキル基である)またはSである]で表わされるリン酸エステル誘導体の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、より汎用性の高いヘテロ原子結合リン酸エステル化反応を可能にする化合物は一般式(I)で表わされる2−ブロモエチルジアルキルホスファイト(I)である。2−ブロモエチルジアルキルホスファイト(I)としては、2−ブロモエチルジメチルホスファイト、2−ブロモエチルジエチルホスファイトが挙げられる。
【0018】
本発明の2−ブロモエチルジアルキルホスファイト(I)は、スキーム1で表わされる方法により製造できる。
【0019】
【化4】
Figure 2004256456
【0020】
前式中、Rはメチル基またはエチル基である。
【0021】
すなわち、一般式(II)で表わされるアルキルホスホロジクロリド(II)に、2−ブロモエタノールを反応させ、ついで一般式(III)で表わされるアルコール(III)を反応させることにより製造できる。この反応は通常溶媒中で第3級アミンの存在下に行なわれる。
【0022】
前記反応において、2−ブロモエタノールはアルキルホスホロジクロリド(II)に対して0.8〜1.2倍モルの範囲内で使用するのが好ましい。
【0023】
前記反応に使用する溶媒としては、反応に影響しない溶媒、例えばエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが選ばれ、これらは単独もしくは2種以上の任意の割合の混合物として使用される。その使用量はアルキルホスホロジクロリド(II)に対して1〜100倍重量の範囲内で任意に選択される。
【0024】
前記反応の反応温度は−80〜100℃の範囲内の任意の温度から選ばれる。
【0025】
前記反応で用いる第3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1−メチルピロリジン、1−メチルピペリジン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどが使用でき、その使用量はアルキルホスホロジクロリド(II)に対して2〜5倍モルが好ましい。
【0026】
本発明で用いるアルコール(III)としては、メタノール、エタノールが使用され、その使用量はジアルキルホスホロクロリド(II)に対して0.8〜2.0倍モルの範囲内で任意に選択される。
【0027】
反応終了後は通常の方法で処理したのち、蒸留、クロマトグラフィーなどの方法により精製することができる。
【0028】
本発明において、2−ブロモエチルジメチルホスファイト(I)を用いるヘテロ原子結合リン酸エステル化反応により一般式(V)で表わされるリン酸エステル誘導体(V)を製造する方法は、スキーム2に表わされる方法により行なわれる。
【0029】
【化5】
Figure 2004256456
【0030】
前式中、Rはメチル基またはエチル基、Rは置換または非置換の脂肪族炭化水素基(ただし、1位の炭素原子は第1級または第2級炭素原子である)、XはO、NH、NR(ここで、Rはアルキル基である)またはSである。
【0031】
すなわち、2−ブロモエチルジアルキルホスファイト(I)と、一般式(IV)で表わされる化合物(IV)(アルコール化合物、アミン化合物、メルカプチド化合物)を反応させて、リン酸エステル誘導体(V)を製造する。
【0032】
より具体的には、四臭化炭素とアミンの溶液中に、2−ブロモエチルジアルキルホスファイト(I)と化合物(IV)のアミン溶液を滴下して反応を行なうことにより得られる。
【0033】
前記反応で用いるアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1−メチルピロリジン、1−メチルピペリジン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどの第3級アミンが挙げられ、とくにピリジンが好ましい。その使用量は化合物(IV)に対して1〜100倍重量の範囲内で任意に選択される。
【0034】
前記反応で用いる四臭化炭素は、化合物(IV)に対して0.8〜10倍モルの範囲内で使用するのが好ましい。
【0035】
前記反応において、2−ブロモエチルジアルキルホスファイト(I)は、化合物(IV)に対して0.8〜10倍モルの範囲内で使用するのが好ましい。
【0036】
前記反応の反応温度は、−50から100℃の範囲、好ましくは0〜25℃の範囲内で任意に選択される。
【0037】
反応終了後は通常の方法で処理され、蒸留、カラムクロマトグラフィーなど、通常の方法で精製して目的化合物であるリン酸エステル誘導体(V)を得ることができる。
【0038】
一般式(IV)および(V)におけるRは置換または非置換の脂肪族炭化水素基(ただし、1位の炭素原子は第1級または第2級炭素原子である)である。ここで、脂肪族炭化水素基とは、脂環式炭化水素基を含む概念である。
【0039】
脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルなどの炭素数1〜20の直鎖または分岐飽和炭化水素基(アルキル基)、ビニル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、1−シクロヘキセニル、1,3−ブタジエニル、4−ペンチルシクロヘキセニル、tert−ブチルシクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、エチニル、2−プロペニル、2−ブチニル、3−ブチニルなどの炭素数2〜20の直鎖または分岐不飽和炭化水素基などが挙げられる。
【0040】
脂肪族炭化水素基の置換基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、アルコキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、置換または非置換アミノ基(置換基としてはアルキル基、アシル基などが挙げられる)などを挙げることができる。脂肪族炭化水素基はこれら置換基の1種または2種以上で置換されることができる。また、これら置換基は保護基で保護されていてもよい。たとえば、アミノ基の保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンジルオキシカルボニル基、アリル基などが挙げられ、水酸基の保護基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基(TBS)、トリフェニルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメチルヘキシル基、tert−ブチルジフェニル基、tert−ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、ベンジル基、アセチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルオキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基などが挙げられる。
【0041】
一般式(IV)および(V)において、RXで表わされる基の具体例としては、ヘキサデシルオキシ基、2−アミノヘキシルオキシ基、2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノヘキシルオキシ基、ヘキシルアミノ基、2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−デセニルチオ基、2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−3−トリブチルシリルオキシ−4−デセニルチオ基などが挙げられる。
【0042】
一般式(IV)および(V)において、Xで表わされるNRにおけるRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0043】
本発明の2−ブロモエチルジアルキルホスファイト(I)を用いるリン酸エステル化反応によれば、P−O、P−N、P−Sなどのヘテロ結合を有するリン酸エステル誘導体を容易に得ることができ、精製も容易である。また一般式(V)におけるR基の部分における官能基変換が容易であり、各種のリン脂質、スフィンゴミエリン類縁体(たとえば、一般式(VI)において、YをO、NH、NR、Sに代えた化合物など)などの合成に利用できる。また、反応は温和な条件(たとえば、0℃〜常温付近の温度)下に短時間で行なうことができ、製造上有利である。さらに、この反応によれば、リン原子は3価から5価に酸化されるが、酸化剤は不用であるなどの利点がある。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによって限定されるものではない。
【0045】
実施例1
2−ブロモエチルジメチルホスファイト(1)の製造
(CHO)P−OCHCHBr
(1)
フラスコに窒素ガス雰囲気下、メチルジクロロホスファイト5.0ml(55.0mmol)、テトラヒドロフラン274.8mlを仕込み、攪拌しながら−78℃に冷却した。これにエチルジイソプロピルアミン28.72ml(165.0mmol)を添加し、次に2−ブロモエタノール3.90ml(55.0mmol)を添加して、この温度で1時間攪拌した。その後、−78℃でメタノール2.23ml(55.0mmol)を添加し、その温度で30分間攪拌した。その後、徐々に室温まで昇温した。
【0046】
反応混合物にエーテル275mlを加え、濾過助剤を通して濾過した。この濾液を減圧濃縮し、残渣を減圧蒸留(沸点65℃/7mmHg)して液状の2−ブロモエチルジメチルホスファイトを17.57g(収率63.5%)得た。NMRスペクトル、IRスペクトルはつぎのとおりである。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 4.10(td,J=6.6,7.6Hz,2H),3.55(d,J=10.7Hz,6H),3.49(t,J=6.6Hz,2H);13C−NMR(CDCl,100MHz)δ 62.0(JC−P=11.6Hz),49.3(JC−P=10.8Hz),31.2(JC−P=4.1Hz); 31P−NMR(CDCl,300MHz)δ 141.2
IR(NaCl,neat)ν 2948,2838,1456,1287,1181,1005cm−1
【0047】
実施例2
2−ブロモエチルジエチルホスファイト(2)の製造
(CHCHO)P−OCHCHBr
(2)
メチルホスホロジクロリドの代わりにエチルホスホロジクロリド8.08g(55.0mmol)、メタノールの代わりにエタノール3.20ml(55.0mmol)を使用した以外は実施例1と同じ方法で液状の2−ブロモエチルジエチルホスファイト(2)を2.77g(収率27.1%)得た。NMRスペクトル、IRスペクトルはつぎのとおりである。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 4.09(td,J=6.6,7.6Hz,2H),3.90(qd,J=7.1,8.1Hz,4H),3.49(d,J=6.6Hz,2H)1.28(t,J=7.1Hz,6H);13C−NMR(CDCl,100MHz)δ 61.6(JC−P=9.9Hz),58.5(JC−P=13.2Hz),31.2(JC−P=5.0Hz),16.8(JC−P=5.0Hz)
IR(NaCl,neat)ν 2978,2932,1389,1287,1163,1026,920,737cm−1
【0048】
実施例3
リン酸エステル誘導体(4)の製造
【0049】
【化6】
Figure 2004256456
【0050】
窒素雰囲気下、フラスコに四臭化炭素410mg(1.24mmol)、ピリジン1.5mlを仕込み、内温0℃まで冷却した。これに2−ブロモエチルジメチルホスファイト(1)536mg(2.48mmol)をピリジン1.5mlに溶解した溶液を添加した。続いてヘキサデカノール(3)150mg(0.62mmol)をピリジン1.5mlに溶解した溶液を添加し、そのままの温度で2時間攪拌した。
【0051】
反応終了後、反応混合物に酢酸エチル50mlを添加し、これを濾過助剤を通して濾過した。この濾液を減圧濃縮して、残渣に酢酸エチル50mlを添加し、水50mlで洗浄した。有機層を飽和食塩水50mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過し、濾液を減圧濃縮して残渣をカラムクロマトグラフィー(展開液 ヘキサン:酢酸エチル=33:67→50:50)で分離精製してリン酸エステル誘導体(4)を0.26g(収率93%)得た。NMRスペクトルはつぎのとおりである。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 4.31(td,J=6.34Hz,2H),4.07(td,J=7.07Hz,2H),3.79(d,J=10.98Hz,3H),3.54(dt,J=0.73,6.35Hz,2H),1.09−1.41(m,28H),1.62−1.67(m,2H),0.88(t,J=7.07Hz,3H);13C−NMR(CDCl,100MHz)δ 68.3(JC−P=5.79Hz),66.6(JC−P=5.79Hz),54.4(JC−P=6.61Hz),42.5(JC−P=7.44Hz),31.9,30.2(JC−P=6.61Hz),29.7,29.6,29.5,29.5,29.3,29.0,25.3,22.7,14.1
【0052】
実施例4
リン酸エステル誘導体(6)の製造
【0053】
【化7】
Figure 2004256456
【0054】
窒素雰囲気下、フラスコに四臭化炭素397mg(1.20mmol)、ピリジン1.5mlを仕込み、内温0℃まで冷却した。これに2−ブロモエチルジメチルホスファイト(1)519mg(2.39mmol)をピリジン1.5mlに溶解した溶液を添加した。続いてアルコール体(5)130mg(0.60mmol)をピリジン1.5mlに溶解した溶液を添加し、そのままの温度で7時間攪拌した。
【0055】
反応終了後、反応混合物に酢酸エチル50mlを添加し、これを濾過助剤を通して濾過した。この濾液を減圧濃縮して、残渣に酢酸エチル50mlを添加し、水50mlで洗浄した。有機層を飽和食塩水50mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過し、濾液を減圧濃縮して残渣をカラムクロマトグラフィー(展開液 ヘキサン:酢酸エチル=33:67→50:50)で分離精製してリン酸エステル誘導体(6)を134mg(収率54%)得た。NMRスペクトルはつぎのとおりである。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 4.60−4.81(m,1H)、4.25−4.44(m,2H)、3.97−4.15(m,2H)、3.81(d,J=11.22Hz,3/2H)、3.81(d,J=11.22Hz,2/3H)、3.52−3.59(m,2H)、1.24−1.62(m,6H)、1.44(s,9H)、0.90(t,J=7.08Hz,3H); 13C−NMR(CDCl,100MHz)δ 155.4,69.6(JC−P=5.79Hz)、66.8(JC−P=4.96Hz)、54.6、50.4(JC−P=4.96Hz)、31.0,29.5(JC−P=7.44Hz)、28.3,27.9,22.4,13,9
【0056】
実施例5
リン酸エステル誘導体(8)の製造
【0057】
【化8】
Figure 2004256456
【0058】
窒素雰囲気下、フラスコに四臭化炭素655mg(1.98mmol)、ピリジン4.9mlを仕込み、内温0℃まで冷却した。これに2−ブロモエチルジメチルホスファイト(1)858mg(3.95mmol)をピリジン4.9mlに溶解した溶液を添加した。続いてヘキシルアミン(7)0.13ml(0.99mmol)をピリジン4.9mlに溶解した溶液を添加し、そのままの温度で35分間攪拌した。
【0059】
反応終了後、反応混合物に酢酸エチル50mlを添加し、これを濾過助剤を通して濾過した。この濾液を減圧濃縮して、残渣に酢酸エチル50mlを添加し、水50mlで洗浄した。有機層を飽和食塩水50mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過し、濾液を減圧濃縮して残渣をカラムクロマトグラフィー(展開液 ヘキサン:酢酸エチル=50:50→75:25)で分離精製してリン酸エステル誘導体(8)を278mg(収率89%)得た。NMRスペクトルはつぎのとおりである。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 4.19−4.34(m,2H)、3.73(d,J=11.22Hz,3H)、3.55(t,J=6.10Hz,2H)、2.91(td,J=5.61,2H)、1.42−1.58(m,2H),1.20−1.39(m,6H)、0.89(t,J=6.83Hz,3H);13C−NMR(CDCl,100MHz)δ 65.4(JC−P=4.97Hz)、53.1(JC−P=5.79Hz)、41.4,31.6(JC−P=5.79Hz)、31.3,30.0(JC−P=7.44Hz)、26.1,22.5,13.9
【0060】
実施例6
リン酸エステル誘導体(10)の製造
【0061】
【化9】
Figure 2004256456
【0062】
窒素雰囲気下、フラスコに四臭化炭素517mg(3.12mmol)、ピリジン2mlを仕込み、内温0℃まで冷却した。これに2−ブロモエチルジメチルホスファイト(1)677mg(3.12mmol)をピリジン1.5mlに溶解した溶液を添加した。続いて光学活性なメルカプチド体(9)326mg(0.78mmol)をピリジン1.9mlに溶解した溶液を添加し、そのままの温度で3時間攪拌した。
【0063】
反応終了後、反応混合物に酢酸エチル50mlを添加し、これを濾過助剤を通して濾過した。この濾液を減圧濃縮して、残渣に酢酸エチル50mlを添加し、水50mlで洗浄した。有機層を飽和食塩水50mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過し、濾液を減圧濃縮して残渣をカラムクロマトグラフィー(展開液 ヘキサン:酢酸エチル=20:80→33:67)で分離精製してリン酸エステル誘導体(10)を483mg(収率100%)得た。NMRスペクトル、IRスペクトル、比旋光度はつぎのとおりである。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 5.68(td,J=6.8Hz,1H),5.37(dd,J=6.3Hz,15.4,1H),5.11(brd,J=8.5Hz,1/2H),5.06(brd,J=8.9Hz,1/2H),4.24−4.44(m,3H)、3.828(d、J=12.9,3/2H),3.827(d=J=12.9Hz,3/2H),3.72(m,1H)、3.56(t,J=6.3Hz,2H)、3.11(ddd,J=3.7,13.7,15.6Hz,1/2H)、3.10(ddd,J=3.7Hz,13.4,15.6Hz,1/2H),2.973(ddd,J=9.8,13.7,15.6Hz,1/2H),2.968(ddd,J=9.8,13.7,15.6Hz,1・2H),2.03(dt,J=7.1,7.1Hz、2H),1.442(s、9・2H),1.437(s、9.2H),1.22−1.40(m,6H),0.93(t,J=6.4Hz,3H),0.90(s、9H),0.05(s,3H),0.01(s、3H);13C−NMR(CDCl,100MHz)δ 155.4,133.7,79.4,74.8(1/2C),74.7(1/2C),66.3(1/2C)(JC−P=4.1Hz)、66.2(1/2C)(JC−P=5.8Hz),56.1,54.1(1/2)(JC−P=1.7Hz)、54.0(1/2C)(JC−P=1.7Hz),32.1,31.3,30.7(1/2C)(JC−P=5.8Hz)(m)、30.6(1/2C)(m),29.2(m),28.7,28.4,25.8,22.4,18.1,14.0,−4.3,−5.0;31P(CDCl,300MHz)δ 31.92,31.82
IR(NaCl,neat)ν 3324,2930,2857,1713,1522,1254,1173,1078,1044,1015,56cm−1
[α] 22.5 −11.1°(c=1.502,CHCl
【0064】
実施例7
リン酸エステル誘導体(11)の製造
【0065】
【化10】
Figure 2004256456
【0066】
2−ブロモエチルジメチルメチルホスファイト(1)の代わりに2−ブロモエチルジエチルホスファイト(2)735mg(3.95mmol)を用いた以外は実施例5と同様に反応を行い、リン酸エステル誘導体(11)を929mg(収率90%)得た。NMRスペクトルはつぎのとおりである。
1H−NMR(CDCl,400MHz)δ 4.10−4.30(m,2H)、3.90(d,J=8.0Hz,2H)、3.50(t,J=6.2Hz,2H)、2.90(td,J=5.5,2H)、1.45−1.60(m,2H),1.20−1.40(m,9H)、0.88(t,J=6.9Hz,3H);13C−NMR(CDCl,100MHz)δ 65.5(JC−P=5.1Hz)、54.0(JC−P=5.9Hz)、41.5,31.7(JC−P=5.8Hz)、31.3,30.0)、26.2,22.7,16.5,13.7
【0067】
【発明の効果】
本発明の新規化合物である2−ブロモエチルジアルキルホスファイトを用いることにより、汎用性の高いヘテロ原子結合リン酸エステル化反応を実現した。

Claims (3)

  1. 一般式(I):
    (RO)P−OCHCHBr (I)
    (式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされる2−ブロモエチルジアルキルホスファイト。
  2. 一般式(II):
    RO−PCl (II)
    (式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされるアルキルホスホクロリドに2−ブロモエタノールを反応させ、ついで一般式(III):
    ROH (III)
    (式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされるアルコールを反応させることを特徴とする、一般式(I):
    (RO)P−OCHCHBr (I)
    (式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされる2−ブロモエチルジアルキルホスファイトの製造方法。
  3. 一般式(I):
    (RO)P−OCHCHBr (I)
    (式中、Rはメチル基またはエチル基である)で表わされる2−ブロモエチルジアルキルホスファイトと、一般式(IV):
    −X−H (IV)
    [式中、Rは置換または非置換の脂肪族炭化水素基(ただし、1位の炭素原子は第1級または第2級炭素原子である)、XはO、NH、NR(ここで、Rはアルキル基である)またはSである]で表わされる化合物を反応させることを特徴とする、一般式(V):
    Figure 2004256456
    [式中、Rはメチル基またはエチル基、Rは置換または非置換の脂肪族炭化水素基(ただし、1位の炭素原子は第1級または第2級炭素原子である)、XはO、NH、NR(ここで、Rはアルキル基である)またはSである]で表わされるリン酸エステル誘導体の製造方法。
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JP6242532B1 (ja) * 2017-07-13 2017-12-06 佐々木食品工業株式会社 新規化合物、脂肪肝の予防又は治療剤、血中コレステロール低下剤及び血中コレステロール低下用食品組成物

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JP2019019063A (ja) * 2017-07-13 2019-02-07 佐々木食品工業株式会社 新規化合物、脂肪肝の予防又は治療剤、血中コレステロール低下剤及び血中コレステロール低下用食品組成物

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