JP2004256079A - 電動自転車 - Google Patents
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Abstract
【課題】内輪の回転トルクを正確に検出しながら、衝撃でトルクセンサが損傷するのを確実に阻止する。
【解決手段】電動自転車は、ペダルクランクで軸を中心に回転される内輪25と、この内輪25に対して相対的に軸を中心に回転できるように連結している外輪24との間に、弾性圧縮体28を介してトルクセンサ13を配設し、内輪25に回転トルクが弾性圧縮体28を介して伝達するように構成すると共に、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体28が設定位置まで弾性変形すると、外輪24と内輪25とが直接に当接して、内輪25の回転トルクを外輪24に直接に伝達するようにしている。
【選択図】 図3
【解決手段】電動自転車は、ペダルクランクで軸を中心に回転される内輪25と、この内輪25に対して相対的に軸を中心に回転できるように連結している外輪24との間に、弾性圧縮体28を介してトルクセンサ13を配設し、内輪25に回転トルクが弾性圧縮体28を介して伝達するように構成すると共に、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体28が設定位置まで弾性変形すると、外輪24と内輪25とが直接に当接して、内輪25の回転トルクを外輪24に直接に伝達するようにしている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪をモーターで駆動する電動自転車に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動自転車は、ペダルが車輪を駆動するトルクをトルクセンサで検出し、このトルクセンサに対応する回転トルクでモーターが車輪を駆動する。モーターは電動自転車が所定の速度以下の状態では、ペダルが車輪を駆動する駆動トルクと等しい回転トルクで車輪を駆動する。モーターが車輪を駆動する回転トルクは、電池からモーターに供給する電力で制御される。モーターへの供給電流は、電池とモーターとの間に接続しているスイッチング素子をオンオフに接続して行われる。スイッチング素子は、制御回路でオンオフに制御される。制御回路は、ペダルの回転トルクを検出してスイッチング素子をオンオフに制御する。
【0003】
トルクセンサは、ペダルの回転トルクを正確に検出することが大切である。それは、トルクセンサに検出誤差があると、モーターが適正なトルクで車輪を回転できなくなって、快適に走行できなくなるからである。電動自転車で走行するとき、ユーザーがペダルを踏む力は大幅に変化する。ペダルの踏み力で電動自転車を走行させる速度と加速度を調整するからである。したがって、トルクセンサは、大幅に変動する回転トルクを正確に検出する必要がある。このことを実現するトルクセンサとして、磁歪素子を使用することが特許文献1に記載される。磁歪素子は、回転トルクが作用して押圧力が変化すると透磁率が変化する。磁歪素子の透磁率の変化は周囲に巻いているコイルで検出できる。透磁率が変化するコイルのインダクタンスが変化するからである。このトルクセンサは、ペダルの回転トルクを広い範囲で正確に検出できる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−277225号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ただ、ペダルの回転トルクを検出するトルクセンサは、焼結体からなる磁歪素子が採用されるので、衝撃を受けると損傷されやすい欠点がある。この欠点は、トルクセンサの最大検出力を大きくして、たとえば磁歪素子の面積を大きくして少なくできる。ただ、最大検出力を大きくすると、弱い回転トルクを正確に検出するのが難しくなる。この状態になると、ペダルを軽く踏んで電動自転車をゆっくりと走行せるときに、モーターが車輪を回転させる力が設定された回転トルクからずれることがある。したがって、モーターが充分に車輪を回転できなくなって電動自転車のペダルを重く感じたり、あるいはモーターが車輪を強く回転して危険な状態となることがある。このことから、トルクセンサは、磁歪素子の面積を大きくして、すなわち最大検出力を大きくして損傷を防止することが難しい。また、体積を大きくするのにも限界があり、ペダルにかかる衝撃を全て磁歪素子で受ける構造である限り、最大検出力を大きくして損傷を防止することが難しい。
【0006】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、弱い回転トルクを正確に検出しながら、衝撃でトルクセンサが損傷するのを確実に阻止できる電動自転車を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動自転車は、ペダル11の踏力が車輪3を駆動するトルクを検出するトルクセンサ13を備えており、このトルクセンサ13で検出するトルクでもってモーター9が車輪3を駆動するトルクを制御する。トルクセンサ13は、ペダルクランク11で軸を中心に回転される内輪25と、この内輪25に対して相対的に軸を中心に回転できるように連結している外輪24との間に、内輪25に回転トルクが作用すると弾性変形する弾性圧縮体28を介して配設している。内輪25の回転トルクは、弾性圧縮体28とトルクセンサ13を介して外輪24に伝達している。さらに、電動自転車は、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体28が設定位置まで弾性変形すると、外輪24と内輪25とが直接に当接して、内輪25の回転トルクを直接に外輪24に伝達するストッパ40を設けている。
【0008】
本発明の電動自転車は、弾性圧縮体28をトルクセンサ13に積層しているゴム状弾性体とすることができる。
【0009】
本発明の電動自転車は、内輪25が円板形状を備えると共に、該形状より外周側に突出して弾性圧縮体28とトルクセンサ13を内蔵する収納部29を設けて、この収納部29を嵌入する凹部27を外輪24に設けることができる。内輪25に設けている収納部29は、回転する方向に対して後側を底板34で閉塞して、ペダル11による内輪25の回転トルクで、底板34を介して弾性圧縮体28とトルクセンサ13を押圧して外輪24を回転させることができる。
【0010】
さらに、本発明の電動自転車は、収納部29の回転する方向に対する先端部に貫通孔35Aを設けて、この貫通孔35Aに出入りできるようにロッド36を配設すると共に、このロッド36で収納部29に配置している弾性圧縮体28とトルクセンサ13を押圧することができる。ロッド36は、収納部29の内側に位置して、回転する方向に対して後端に鍔36Aを設けると共に、この鍔36Aと収納部29の先端に位置する先端蓋35との間にスプリング32を配設して、スプリング32でロッド36を収納部29に弾性的に引き込むことができる。
【0011】
さらに、本発明の電動自転車は、内輪25に設定トルクが作用すると、収納部29の先端部分が外輪24の凹部27の内面に衝突してストッパ40となるようにすることができる。さらに、本発明の電動自転車は、トルクセンサ13が磁歪素子13Aを備えることができる。
【0012】
さらに、本発明の請求項9の電動自転車は、ペダル11の踏力によって軸を中心に回転する内輪25と、前記軸を中心に回転する外輪24と、該外輪24の回転が伝達されて回転する車輪3とを備える。内輪25の回転トルクは、弾性圧縮体28とトルクセンサ13を介して外輪24に伝達している。さらに、電動自転車は、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体28が設定位置まで弾性変形すると、外輪24と内輪25とが直接に当接して、内輪25の回転トルクを直接に外輪24に伝達するストッパ40を設けている。
【0013】
さらに、本発明の請求項10の電動自転車は、ペダルの踏力によって軸を中心に回転する一方の回転体と、前記軸を中心に回転する他方の回転体と、該他方の回転体の回転が伝達されて回転する車輪とを備える。一方の回転体の回転トルクは、弾性圧縮体とトルクセンサを介して他方の回転体に伝達している。さらに、電動自転車は、一方の回転体の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体が設定位置まで弾性変形すると、他方の回転体と一方の回転体とが直接に当接して、一方の回転体の回転トルクを直接に他方の回転体に伝達するストッパを設けている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電動自転車を例示するものであって、本発明は電動自転車を以下のものに特定しない。
【0015】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0016】
図1に示す電動自転車は、フレーム1と、このフレーム1の下端に装着しているペダルクランク2と、このペダルクランク2で回転される第1スプロケット4と、この第1スプロケット4にかけられたチェーン6を介してペダルクランク2で回転される後輪3Bと、フロントフォーク7の下端に装着している前輪3Aと、この前輪3Aのフロントハブ8に内蔵されて前輪3Aを駆動するモーター9と、このモーター9に電力を供給する電池10とを備える。そして、フレーム1の下端においては、後述する制御回路15を内蔵するコントロールボックス12が設置される。
【0017】
この電動自転車は、ペダル11を踏むと、ペダルクランク2が第1スプロケット4を回転し、第1スプロケット4がチェーン6と第2スプロケット5を介して後輪3Bを回転する。ペダルクランク2で後輪3Bを駆動するとき、人力による回転トルクを第1スプロケット4に内蔵しているトルクセンサ13で検出して、フロントハブ8に内蔵されるモーター9に電池10から電力が供給され、補助的にモーター9が前輪3Aを駆動する。電動自転車は、設定速度よりも遅い領域において、モーター9が前輪3Aを駆動する回転トルクと、ペダルクランク2が後輪3Bを駆動する回転トルクとが同じになるようにモーター9への供給電力を制御する。自転車が設定速度になると、モーター9は車輪3を駆動しなくなる。図1の電動自転車は、モーター9で前輪3Aを駆動しているが、本発明の電動自転車はモーターで後輪を駆動することもできる。モーターで後輪を駆動する電動自転車は、後輪のハブにモーターを内蔵し、あるいはモーターで第1スプロケットを駆動する。
【0018】
図2は、図1の電動自転車に搭載されて、電池10がモーター9に電力を供給する回路のブロック図である。このブロック図に示す電動自転車は、ペダル11の踏力が車輪3を駆動する回転トルクを検出するトルクセンサ13と、車輪3の回転を検出する回転センサ14と、車輪3を駆動するモーター9と、このモーター9に電力を供給する電池10と、電池10とモーター9との間に接続されて、電池10からモーター9に供給する電力を制御する制御回路15とを備える。
【0019】
さらに、このブロック図の電動自転車は、自転車の走行状態を切り換える手元操作部16と、自転車のブレーキレバー17が操作されたことを検出して回生制動のタイミングを特定する、ブレーキレバー17内に設けられた回生スイッチ18と、制御回路15に使用される回路部品等の温度を検出する温度センサ19と、電池10の電流と電圧を検出する電流センサ20および電圧センサ21を制御回路15に連結している。この手元操作部16はハンドル23に装着されて、モーター9にて補助的に駆動するかどうかの電源オンオフのスイッチ、及びモーター9が前輪3Aを駆動する回転トルクの度合い(モード)を設定するスイッチとを備えている。制御回路15は、回路部品の温度が設定温度よりも高くなる過熱異常信号が温度センサ19から入力されると、電池10からの電流を遮断して回路及びモーター9を保護する。さらに、制御回路15は、電流センサ20と電圧センサ21の入力信号でモーター9に供給する電流を制御すると共に、電池10の残容量を演算して電池10が過放電にならないように放電電流を制御する。浸水センサ22の役割を以下に説明する。詳細な説明は省略するが、後述するように、回転するトルクセンサ13からの電気出力を制御回路15に伝達するために、スリップリング38を採用しているが、このスリップリング38が水にぬれた時に正常に電気出力を伝達することができない。このために、水ぬれを浸水センサ22にて検出して、水ぬれが検出されたときは、踏力に基づいてモーター9を正常に駆動することができないので、モーター9の駆動を停止する。
【0020】
次に、本実施例の特徴であるトルクセンサ13の周辺構造について、詳細に説明する。
トルクセンサ13は、ペダルクランク2で回転される第1スプロケット4に設けている。本実施例は、第1スプロケット4にトルクセンサ13を設けて、ペダル11の踏力が車輪3を駆動する回転トルクを、トルクセンサ13で検出する。図3は、第1スプロケット4に内蔵されるトルクセンサ13の断面図である。図4と図5は、第1スプロケット4を、表面側と裏面側から見た斜視図、図6は、図4に示す第1スプロケット4を直径方向に切断した垂直断面図を示しており、図7は、図4に示す第1スプロケット4をトルクセンサ13の部分で水平方向に切断した水平断面図を示している。トルクセンサ13は、これ等の図において、ペダルクランク2で回転される一方の回転体としての内輪25と、この内輪25に対して相対的に回転できるように連結している他方の回転体としての外輪24との間に配設している。さらに、トルクセンサ13は、図3の断面図に示すように、内輪25の回転トルクが作用すると弾性変形するエチレンプロピレンゴム等の弾性圧縮体28を介して内輪25と外輪24の間に配設されており、内輪25の回転トルクが、弾性圧縮体28とトルクセンサ13を介して外輪24に伝達される。ペダルの踏力により、第1スプロケット4が、図3と図7の断面図の矢印に示す方向に回転することにより、自転車は前進することになる。当然、本実施例は、通常の自転車機能を備えることにより、この矢印と反対方向に回転させる場合、後輪のチェンスプロケット付近に設けられたクラッチ機構でペダルクランクを空回りさせることもできる。
【0021】
第1スプロケット4は、外周にチェーン6をかける歯24H(歯24Hは図6に表示される。図4と図5では歯24Hは省略している。)を設ける円板リング状の外輪24と、この外輪24の内側にあってペダルクランク2で回転される略円板状の内輪25とを備える。外輪24と内輪25は、互いに同心に配置されて、つまり、クランク軸を中心として、一定の範囲内で相対的に回転できるように連結される。図6の断面図に示すように、内輪25は、外周縁に外輪24を回転できるように案内する外周溝26を設けている。この外周溝26に、外輪24の内周縁を、回転できるが軸方向に抜けないように案内している。
【0022】
内輪25は、円板形状より外周側に突出する部分に、弾性圧縮体28とトルクセンサ13を内蔵する収納部29を設けている。外輪24は、内輪25の収納部29を嵌入する凹部27を内周に切欠部として設けている。内輪25の収納部29は回転方向、すなわち内輪25の接線方向に伸びる円形筒状の空間で、回転方向に対して後側を底として表現するとして、底を底板34で閉塞している。内輪25がペダルクランク2で回転されると、収納部29の底板34が弾性圧縮体28とトルクセンサ13を押圧して外輪24を回転する。収納部29を内輪25の外周から突出して設けているので、収納部29の底板34は、内輪25の中心から外側に突出して設けられる。
なお、本実施例においては、内輪25に収納部29を、外輪24に収納部29が入る凹部27を設けているが、これに代わって、外輪に収納部を、内輪に収納部が入る凹部を設けることもできる。
【0023】
収納部29は、図3の断面図に示すように、底を閉塞して先端部に円形貫通孔35Aを設けている。貫通孔35Aに出入りできるように円柱状金属製ロッド36を配設している。また、外輪24の凹部27においては、この部分でクランク軸を中心とする仮想の円の接線に対して垂直となる垂直面27Aを備えている。ロッド36は、貫通孔35Aから突出して、外輪24に設けている凹部27の垂直面27Aを押圧する。ロッド36は、外輪24の垂直面27Aを押圧する反作用で外輪24の垂直面27Aに押されて、収納部29に配置しているトルクセンサ13を押圧する。ロッド36は、トルクセンサ13を押圧するように収納部29に配置される。ロッド36は、収納部29から抜けないように、収納部29の内側に位置する後端に鍔36Aを設けている。鍔36Aと収納部29の先端蓋35との間に押しバネであるスプリング32を配設して、スプリング32でロッド36を収納部29に弾性的に引き込むようにしている。スプリング32は、トルクセンサ13の前後に遊びができないようにトルクセンサ13を弾性的に軽く押圧する。スプリング32は、ペダルクランク2が内輪25を回転する回転トルクに対して無視できる程度の弱い圧力でロッド36を押圧する。
【0024】
トルクセンサ13は、表面に円柱状金属製スペーサー33を積層している。図のトルクセンサ13は、前面に前面スペーサー33Aを、背面に円柱状金属製背面スペーサー33Bを積層している。前面スペーサー33Aは、トルクセンサ13とロッド36との間に配設され、背面スペーサー33Bは、トルクセンサ13と弾性圧縮体28との間に配設される。スペーサー33は、回転トルクが作用しても変形しない強度の金属板である。表面にスペーサー33を配設する構造は、回転トルクをトルクセンサ13の全面に均一に作用できる。このため、トルクセンサ13の損傷を少なくできる。ただし、トルクセンサは、必ずしも表面にスペーサーを積層する必要はない。図のロッド36は、前面スペーサー33Aを押圧する後端面を湾曲面としている。このロッド36は、ロッド36の中心軸がずれる姿勢となっても、前面スペーサー33Aを介してトルクセンサ13をスムーズに押圧できる。ロッド36に押圧される前面スペーサー33Aは、全面でトルクセンサ13を押圧できる。ただ、前面スペーサー33Aを必ずしも設ける必要はないので、前面スペーサーを積層しないトルクセンサは、ロッドの後端で直接に押圧される。
【0025】
図のトルクセンサ13は、焼結体で厚みが大きい円板状磁歪素子13Aと、この磁歪素子13Aの周囲に巻いているコイル13Bとを備える。このコイル13Bは、樹脂製ボビンケース41に巻かれており、このボビンケース41の中心の円柱状中空部に、磁歪素子13A及び前面スペーサー33Aを収納している。また、ボビンケース41は、先端側に円筒状の延出部42を備えており、この内部にスプリング32及び鍔36Aを含めたロッド36の後側を収納している。このトルクセンサ13は、磁歪素子13Aを押圧して透磁率を変化させる。透磁率の変化は、コイル13Bのインダクタンスの変化として検出される。コイル13Bは、中心に配設している磁歪素子13Aの透磁率が変化するとインダクタンスが変化する。磁歪素子13Aの透磁率が高くなると、コイル13Bのインダクタンスが高くなるからである。コイル13Bは押圧力を検出する制御回路15に接続される。制御回路15は、コイル13Bのインダクタンスを検出して、磁歪素子13Aに作用する押圧力を検出する。コイル13Bは、図6の断面図に示すように、内輪25の内面に固定している絶縁基盤37に固定しているスリップリング38と、このスリップリング38を摺動するブラシ39を介して制御回路15に接続される。絶縁基盤37に固定しているスリップリング38は、内輪25と一緒に回転されるので、絶縁基盤37はスリップリング38が内輪25と同心となるように内輪25に固定される。コイル13Bの両端を制御回路15に接続するために、絶縁基盤37にはクランク軸を中心として同心円状に2列のスリップリング38を離して配置して、コイル13Bの両端を別々のスリップリング38に接続している。2つのブラシ39、39は、各スリップリング38に先端を弾性的に押圧される位置にあって、自転車のフレームに回転しないように絶縁して固定される。ブラシ39はリード線(図示せず)を介して制御回路15に接続される。
【0026】
トルクセンサ13は、背面側に弾性圧縮体28を積層している。図のトルクセンサ13は、背面スペーサー33Bと底板34との間に弾性圧縮体28を積層している。弾性圧縮体は、トルクセンサと背面スペーサーとの間に積層することもできる。また、弾性圧縮体28をトルクセンサ13の前面に積層することもできる。弾性圧縮体28は、圧縮されると弾性変形して薄くなるゴム状弾性体である。ゴム状弾性体の弾性圧縮体28は、全体を薄くして弾性変形できる。ただし、弾性圧縮体には押しバネも使用できる。弾性圧縮体28は、トルクセンサ13に作用する衝撃を吸収して、トルクセンサ13の損傷を防止する。
【0027】
さらに、図のトルクセンサ13は、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体28が設定位置まで圧縮して薄くなるように弾性変形すると、外輪24と内輪25とが直接に当接して、内輪25の回転トルクを直接に外輪24に伝達するストッパ40を設けている。図3〜図5に示すストッパ40は収納部29の先端面に設けた凸部で、このストッパ40は、内輪25に設定トルクが作用すると、いいかえると、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなると、外輪24の凹部27の垂直面27Aに衝突して、内輪25と外輪24の相対運動を阻止して、内輪25の回転トルクをストッパ40が外輪24に伝達する。ストッパ40が内輪25の回転トルクを外輪24に伝達するようになると、トルクセンサ13には過大な押圧力が作用しなくなる。図のストッパ40は、収納部29の先端面に設けた凸部であるが、外輪の凹部内面の垂直面に凸部を設けてストッパとすることもできる。ストッパ40は、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなると、内輪25と外輪24とを直接に当接させるものであるから、収納部29の先端面と外輪24の凹部27の垂直面27Aに凸部を設けることなく、外輪の凹部の内面の直角面を、内輪の収納部の先端面に衝突するようにして、ストッパとすることもできる。弾性圧縮体28は、ストッパ40が当接するまで弾性変形できる厚さに設計される。さらに、ストッパ40が内輪25の回転トルクを外輪24に伝達する状態になると、トルクセンサ13は内輪25の回転トルクを検出できなくなる。したがって、ストッパ40は、内輪25の回転トルクを検出する最大検出トルクよりも大きな回転トルクで内輪25が回転されるときに当接するように設計される。
【0028】
図3ないし図5に示すように、外輪24に設けた凹部27の垂直面27Aを、内輪25の収納部29の先端で押圧して回転トルクを内輪25から外輪24に伝達する構造は、強い回転トルクが作用して外輪24が曲がるのを防止できる。それは図3と図7の断面図の矢印で示すように、内輪25の回転トルクが、外輪24の面内に作用するからである。ただ、この構造は、外輪24が変形して、内輪25の過大な回転トルクを吸収することはできない。このため、この構造は、内輪25の回転トルクを有効に外輪24に伝達できるが、内輪25に極めて強力な回転トルクが作用すると、トルクセンサ13に強い衝撃が作用する。本発明は、トルクセンサ13に弾性圧縮体28を積層して、過大な回転トルクが作用すると、ストッパ40で内輪25と外輪24を直接に当接させて、内輪25の回転トルクを外輪24に伝達するので、この状態になっても、トルクセンサ13の損傷を少なくできる。
【0029】
また、弾性圧縮体28については、圧縮され再び復元できるために、ゴム素材の最大圧縮ひずみ量(圧縮されて変位する量)を越えないようにし、ゴム素材の弾性変形範囲内で使用する必要がある。弾性圧縮体28が、エチレンプロピレンゴムの素材であるなら、圧縮ひずみ量(=圧縮されたときの厚み/圧縮がないときの厚み)を最大圧縮ひずみ量を超えず、弾性変形範囲内の50%以内で使用する必要がある。そして、本実施例においては、ストッパ40と、垂直面27Aとの間隔を1mm、弾性圧縮体28の厚みを2mmとしているので、弾性圧縮体28の圧縮ひずみ量が、弾性変形範囲内の50%以内となり、弾性圧縮体28が復元できる範囲で、耐久性よく使用することができる。
【0030】
さらに、図の第1スプロケット4は、ペダル11を踏まない状態で、互いに相対的に回転できる内輪25と外輪24とがガタガタしないように、いいかえると、内輪25と外輪24との相対位置を一定の位置にするために、収納部29の底板34と、外輪24の凹部27の内面の後側垂直面27Bとの間に、押しバネであるコイルスプリング30を配設している。コイルスプリング30は、底板34と外輪24の凹部27の後側垂直面27Bとを一定の圧力で押圧して、互いに回転できる内輪25と外輪24を一定の位置に停止させる。外輪24は、凹部27の内面で底板34と対向する位置に、コイルスプリング30に挿通される凸部31を突出して設けている。コイルスプリング30は、凹部27に設けている凸部31に挿入されて、定位置に配置される。この第1スプロケット4は、ペダルクランク2で内輪25が回転されると、収納部29の底板34が弾性圧縮体28とトルクセンサ13を介して外輪24を回転させる。ペダルクランク2の回転トルクは、トルクセンサ13を介して外輪24を回転し、外輪24がチェーン6を介して後輪3Bを回転させる。ペダル11に強い踏力が作用すると、内輪25がトルクセンサ13を押圧する圧力も強くなる。したがって、トルクセンサ13は、これに作用する圧力を検出して、ペダルクランク2の回転トルクを検出できる。トルクセンサ13は、磁歪素子13Aを利用した圧力センサであって、トルクセンサ13からの電気出力は、回転するトルクセンサ13からの電気出力を得るためにスリップリング38を利用して、制御回路15にて検出される。
【0031】
次に、本実施例の電動自転車の動作について、さらに詳細に説明する。
回生スイッチ18は、ブレーキレバー17が操作されたことを検出するスイッチで、ブレーキレバー17に設けられ、あるいはブレーキレバー17で引っ張られるブレーキワイヤーの途中に設けられる。回生スイッチ18は、ブレーキを握ってブレーキを操作する状態と、ブレーキを操作しない離した状態とで、オンオフに切り換えられるスイッチである。回生スイッチ18は、好ましくは、ブレーキを操作しない状態でオフとなるノーマルオフのスイッチが使用される。回生スイッチ18は、リードスイッチやリミットスイッチである。リードスイッチは、ブレーキレバー17やブレーキワイヤーに連結されている磁石でオンオフに切り換えられる位置に配置される。リミットスイッチは、ブレーキレバー17やブレーキワイヤーに連結している当接部でプランジャーを機械的に押してオンオフに切り換えられる位置に配置される。
【0032】
回生スイッチ18は、ブレーキが操作されたことを示す信号を制御回路15に出力する。制御回路15は、ブレーキが操作された信号が入力されると、モーター9を発電機として使用して、回生制動して電池10を充電する。制御回路15は、モーター9の界磁コイルに流す電流のタイミングを制御して、モーター9を発電機として電池10を充電する。制御回路15は、電池10の残容量を検出し、電池10の過充電を防止しながら回生制動して電池10を充電する。すなわち、電池10が満充電になると、ブレーキが操作されても回生を停止して電池10の充電を停止する。ブレーキを操作したことを検出して回生制動する電動自転車は、スムーズに制動できると共に、運動のエネルギーを有効に回収して電池10を充電できる。このため、自転車を速やかに停止できると共に、電池10による走行距離を長くできる特長がある。
【0033】
図8は、制御回路15が、モーター9の回転トルクを制御する特性のひとつの具体例を示すグラフである。この図において、制御回路15は、自転車の速度が第1設定速度よりも低い第1領域において、ペダルクランク2が車輪3を駆動する車輪3の回転トルクに等しい回転トルクで車輪3を駆動する。第1設定速度は、時速15kmに設定される。この図は、ペダルクランク2の踏力が車輪3を駆動する回転トルクを100%としている。自転車の速度が第1設定速度よりも速く、第2設定速度よりも遅い領域において、モーター9が車輪3を駆動するトルクは車速が第2設定速度に近付くにしたがって、ペダルクランク2が車輪3を駆動するトルクよりも小さくする。第2設定速度は、たとえば時速24kmに設定される。
【0034】
制御回路15は、手元操作部16で操作されて、モーター9が車輪3を駆動するトルク特性を変化させる。たとえば、手元操作部16のスイッチが「省エネルギーモード」に切り換えられると、図の鎖線で示すように、モーター9が車輪3を駆動するトルクを少なくして、モーター9の消費電力を少なくする。この状態に切り換えると、電池10を長い時間使用できるので、電池10を使用して走行できる距離が長くなる。図8は、モーター9が車輪3を駆動するトルクを例示するものであって、本発明の電動自転車は、モーター9が車輪3を駆動するトルクを図8に示す特性に特定するものでは決してない。モーター9は、図に示すカーブとは異なる特性で車輪3を駆動することができる。
【0035】
電動自転車は、トルクセンサ13からの信号のみでなく、回転センサ14の信号も考慮して、モーター9に電力供給を開始する電力供給開始タイミングを特定する。制御回路15は、ペダルクランク2が踏まれて、トルクセンサ13が踏力による回転トルク踏力を検出しても、このトルクセンサ13のみの信号ではモーター9への電力供給を開始しない。制御回路15は、停止している状態から車輪3が回転されたことを検出しないかぎり、モーター9への電力供給を開始しない。
【0036】
車輪3の回転は回転センサ14で検出される。回転センサ14は、モーター9に内蔵されるセンサを使用できる。車輪3の駆動にブラシレスモーターを使用する電動自転車は、ブラシレスモーターに内蔵されるローター回転位置センサを回転センサ14に使用する。ブラシレスモーターは、ステーターの界磁コイルに流す電流を切り換えてローターを回転させるので、ローターの回転位置を検出するために、ローター回転位置センサを内蔵している。ローター回転位置センサは、ローターの永久磁石の磁界を検出するホール素子である。3相ブラシレスモーターは、ローター回転位置センサとして、3つのホール素子を備えている。ブラシレスモーターが8極であると、3つのホール素子からは、ローターが1回転すると24回パルスが出力される。モーター9の回転は、減速されて車輪3を駆動するので、モーター9と車輪3との減速比を1/16とすれば、車輪3が1回転するときに、このブラシレスモーター9は、ローター回転位置センサである3つのホール素子からは384回のパルスを出力する。したがって、車輪の回転センサに代わって、車輪3の回転を間接的に検出するローター回転位置センサから出力されるパルスをカウントして、車輪3の回転角を検出できる。たとえば、ローター回転位置センサから5回パルスが出力されると、車輪3は約5度回転したことになる。さらに、ブラシレスモーター9のローター回転位置センサは、ローターの回転方向を検出できる。したがって、ローターの回転方向を検出して、電動自転車の前進と後退を検出できる。ブラシレスモーターは、ローターが正転されるときと逆転されるときとで、3つのホール素子から出力される”High”と”Low”が出力される配列が異なるので、この配列でローターの正転と逆転を検出できる。ローター回転位置センサを車輪3の回転センサ14に使用する電動自転車は、車輪3の回転を検出する専用のセンサを使用する必要がない。ただし、専用の回転センサを設けて、車輪の回転を検出することもできる。
【0037】
制御回路15は、停止位置から所定の角度回転されたことを回転センサ14が検出し、あるいは車輪3が所定の速度で回転していることを回転センサ14が検出し、あるいはまた、車輪3が所定の角度回転させると共に、所定の速度で回転していることを回転センサ14が検出したことを確認し、その後、トルクセンサ13が車輪3を駆動するトルクを検出すると、モーター9への電力供給を開始する。したがって、電動自転車は、停止している状態でペダルクランク2を踏んで、トルクセンサ13が踏力を検出しても、車輪3が回転しないかぎりモーター9に電力供給を開始しない。
【0038】
制御回路15は、図9に示す以下のフローチャートに従って、車輪3が所定の角度回転し、さらに車輪3の回転速度が設定速度になったことを検出して、モーター9の電力供給を開始する。
[n=1のステップ]
メインスイッチがオンに切り換えられると、モーター9の電力供給を停止して、モーター9が車輪3を駆動しないようにする。
[n=2のステップ]
このステップで、漕ぎ終わり状態、すなわち停止状態を設定する。
[n=3のステップ]
トルクセンサ13でペダル11の踏力の検出処理をする。
[n=4のステップ]
トルクセンサ13が検出した踏力が設定値以上であるかどうかを判定し、踏力が設定値以上であると次のステップに、設定値よりも小さいとn=1のステップにジャンプする。
[n=5のステップ]
ブレーキに設けているスイッチがオフであるかどうかを判定する。ブレーキに設けているスイッチは、ブレーキが操作されるとオン、操作しない状態でオフになるスイッチである。このスイッチは回生スイッチ18にも使用される。ブレーキに設けているスイッチがオフであると次のステップに、このスイッチがオフでないとn=1のステップにジャンプする。
[n=6のステップ]
回転センサ14の入力信号から、制御回路15は車輪3が停止位置から所定の角度回転したかどうかを判定する。車輪3の停止位置からの回転角が所定の角度以上であると次にステップに、車輪3の回転角が所定の角度よりも小さいと、n=1のステップにジャンプする。
[n=7のステップ]
回転センサ14の信号から、車輪3の回転速度が設定速度以上かどうかを判定し、回転速度が設定速度以上であると次のステップに、設定速度よりも遅いとn=1にジャンプする。
[n=8のステップ]
このステップで、制御回路15は、漕ぎ始め状態、すなわち電池10からモーター9に電力供給を開始できる状態に設定する。
[n=9〜10のステップ]
モーター9への電力供給を開始すると共に、トルクセンサ13で踏力を検出して、モーター9が車輪3を所定の回転トルクで駆動するように、モーター9への供給電力、すなわち供給電流を制御する。その後、n=1のステップにジャンプして以後、以上のステップを繰り返して電動自転車を走行させる。以上のフローチャートでモーター9を駆動する電動自転車は、n=7のステップで車輪3の回転速度が設定速度以上であるかどうかを判定するので、車輪3の回転速度が設定速度よりも遅くなることを回転センサ14が検出すると、制御回路15はモーター9の駆動を停止する。
【0039】
さらに、制御回路15は、自転車が後退するときにモーター9を駆動しない。自転車が後退していることは、回転センサ14であるローター回転位置センサで検出される。ローター回転位置センサから、ローターが自転車を後退させる方向に回転していることを示す信号が出力されると、制御回路15はモーター9への通電を停止する。
【0040】
以上のフローチャートは、車輪3が停止状態から所定の角度回転し、さらに車輪3の回路速度が設定速度よりも速いことを検出して、モーター9への電流供給を開始している。ただし、電動自転車は、n=6と7のステップのいずれかを省略して、車輪3が所定の角度回転し、あるいは車輪3の回転速度が設定速度になることのみを検出して、モーター9への電流供給を開始することができる。
【0041】
図10は、車輪3の回転角度を検出する図9におけるn=6のステップの詳細なフローチャートを示す。制御回路15は、以下のステップで車輪3が回転する角度を検出する。
[n=6−1のステップ]
回転センサ14に併用される、モーター9に内蔵されるローター回転位置センサからの出力パルスをカウントする。出力パルスのカウント数は、車輪3の回転角度に比例しているので、出力パルスの数で車輪3の回転角度を検出できる。
[n=6−2〜3のステップ]
出力パルスのカウント値が設定値よりも大きいかどうか、いいかえると車輪3の回転角が設定値以上であるかどうかが判定される。出力パルスのカウント数が設定値よりも少ないと、n=1にジャンプして設定値になるまで、n=1と6−2をループする。出力パルスの数が設定値以上であると車輪3の初期回転角度が設定値を越えたことを認識して、モーター9の駆動を許可する。
【0042】
図11は、車輪3の回転速度を検出する図9におけるn=7のステップの詳細なフローチャートを示す。制御回路15は、以下のステップで車輪3が所定の回転速度になったことを検出する。
[n=7−1〜2のステップ]
このステップで、設定時間内における、ローター回転位置センサからの出力パルスをカウントする。出力パルスのカウント数は、車輪3の回転角度に比例しているので、設定時間における出力パルスの数で車輪3の回転速度を検出できる。
[n=7−3〜4のステップ]
設定時間における出力パルスのカウント値が設定値以上かどうか、いいかえると車輪3の回転速度が設定値以上であるかどうかが判定される。設定時間における出力パルスのカウント数が設定値よりも少ないと、モーター9の駆動を不許可として、n=1にジャンプする。設定時間における出力パルスの数が設定値以上であると車輪3の回転速度が設定値以上であることを認識して、その後のステップでモーター9の駆動を許可する。
【0043】
以上の電動自転車は、車輪の回転を検出してモーターを駆動するが、トルクセンサで回転トルクのみを検出して、モーターを駆動する回転トルクを制御することもできる。
【0044】
なお、本発明は、後輪のハブ軸部分に適用することもできる。例えば、ペダルの踏力を後輪に伝達する後輪のチェンスプロケットと連動する内輪を設け、これと同軸に回転する外輪を設けることによって、本発明を利用することができる。
また、ペダルの踏力を、内輪及び外輪を介して車輪に伝達しているが、上記実施例においては、外輪が内輪の外周に位置する構造であるが、本発明はこのような構造に限定されるものではない。本発明は、これらに代わって、各々、一方の回転体、他方の回転体として、一方の回転体の回転トルクが、弾性圧縮体とトルクセンサを介して他方の回転体に伝達するようにすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の電動自転車は、弱い回転トルクをも正確に検出しながら、衝撃でトルクセンサが損傷するのを確実に阻止できる特長がある。それは、本発明の電動自転車が、ペダルクランクで回転される内輪と、この内輪に対して相対的に回転できるように連結している外輪との間に、弾性圧縮体を介してトルクセンサを配設し、内輪の回転トルクが弾性圧縮体を介して外輪に伝達するようにし、さらに、内輪の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体が設定位置まで弾性変形すると、外輪と内輪とが直接に当接して、内輪の回転トルクを直接に外輪に伝達するようにしているからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる電動自転車の概略側面図
【図2】図1に示す電動自転車のモーターを駆動する回路のブロック図
【図3】図1に示す電動自転車の第1スプロケットを示す要部拡大断面図であって図7のA−A線断面に相当する図
【図4】第1スプロケットの斜視図
【図5】図4に示す第1スプロケットの背面斜視図
【図6】図4に示す第1スプロケットの垂直断面図
【図7】図4に示す第1スプロケットのトルクセンサ部分の水平断面図
【図8】制御回路がモーターの回転トルクを制御する特性の一例を示すグラフ
【図9】制御回路がモーターへの電力供給を制御するフローチャート
【図10】電動自転車の車輪の回転角度を検出する詳細なフローチャート
【図11】電動自転車の車輪の回転速度を検出する詳細なフローチャート
【符号の説明】
1…フレーム
2…ペダルクランク
3…車輪 3A…前輪 3B…後輪
4…第1スプロケット
5…第2スプロケット
6…チェーン
7…フロントフォーク
8…フロントハブ
9…モーター
10…電池
11…ペダル
12…コントロールボックス
13…トルクセンサ 13A…磁歪素子 13B…コイル
14…回転センサ
15…制御回路
16…手元操作部
17…ブレーキレバー
18…回生スイッチ
19…温度センサ
20…電流センサ
21…電圧センサ
22…浸水センサ
23…ハンドル
24…外輪 24H…歯
25…内輪
26…外周溝
27…凹部 27A…垂直面 27B…後側垂直面
28…弾性圧縮体
29…収納部
30…コイルスプリング
31…凸部
32…スプリング
33…スペーサー 33A…前面スペーサー 33B…背面スペーサー
34…底板
35…先端蓋 35A…貫通孔
36…ロッド 36A…鍔
37…絶縁基盤
38…スリップリング
39…ブラシ
40…ストッパ
41…ボビンケース
42…延出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪をモーターで駆動する電動自転車に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動自転車は、ペダルが車輪を駆動するトルクをトルクセンサで検出し、このトルクセンサに対応する回転トルクでモーターが車輪を駆動する。モーターは電動自転車が所定の速度以下の状態では、ペダルが車輪を駆動する駆動トルクと等しい回転トルクで車輪を駆動する。モーターが車輪を駆動する回転トルクは、電池からモーターに供給する電力で制御される。モーターへの供給電流は、電池とモーターとの間に接続しているスイッチング素子をオンオフに接続して行われる。スイッチング素子は、制御回路でオンオフに制御される。制御回路は、ペダルの回転トルクを検出してスイッチング素子をオンオフに制御する。
【0003】
トルクセンサは、ペダルの回転トルクを正確に検出することが大切である。それは、トルクセンサに検出誤差があると、モーターが適正なトルクで車輪を回転できなくなって、快適に走行できなくなるからである。電動自転車で走行するとき、ユーザーがペダルを踏む力は大幅に変化する。ペダルの踏み力で電動自転車を走行させる速度と加速度を調整するからである。したがって、トルクセンサは、大幅に変動する回転トルクを正確に検出する必要がある。このことを実現するトルクセンサとして、磁歪素子を使用することが特許文献1に記載される。磁歪素子は、回転トルクが作用して押圧力が変化すると透磁率が変化する。磁歪素子の透磁率の変化は周囲に巻いているコイルで検出できる。透磁率が変化するコイルのインダクタンスが変化するからである。このトルクセンサは、ペダルの回転トルクを広い範囲で正確に検出できる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−277225号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ただ、ペダルの回転トルクを検出するトルクセンサは、焼結体からなる磁歪素子が採用されるので、衝撃を受けると損傷されやすい欠点がある。この欠点は、トルクセンサの最大検出力を大きくして、たとえば磁歪素子の面積を大きくして少なくできる。ただ、最大検出力を大きくすると、弱い回転トルクを正確に検出するのが難しくなる。この状態になると、ペダルを軽く踏んで電動自転車をゆっくりと走行せるときに、モーターが車輪を回転させる力が設定された回転トルクからずれることがある。したがって、モーターが充分に車輪を回転できなくなって電動自転車のペダルを重く感じたり、あるいはモーターが車輪を強く回転して危険な状態となることがある。このことから、トルクセンサは、磁歪素子の面積を大きくして、すなわち最大検出力を大きくして損傷を防止することが難しい。また、体積を大きくするのにも限界があり、ペダルにかかる衝撃を全て磁歪素子で受ける構造である限り、最大検出力を大きくして損傷を防止することが難しい。
【0006】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、弱い回転トルクを正確に検出しながら、衝撃でトルクセンサが損傷するのを確実に阻止できる電動自転車を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動自転車は、ペダル11の踏力が車輪3を駆動するトルクを検出するトルクセンサ13を備えており、このトルクセンサ13で検出するトルクでもってモーター9が車輪3を駆動するトルクを制御する。トルクセンサ13は、ペダルクランク11で軸を中心に回転される内輪25と、この内輪25に対して相対的に軸を中心に回転できるように連結している外輪24との間に、内輪25に回転トルクが作用すると弾性変形する弾性圧縮体28を介して配設している。内輪25の回転トルクは、弾性圧縮体28とトルクセンサ13を介して外輪24に伝達している。さらに、電動自転車は、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体28が設定位置まで弾性変形すると、外輪24と内輪25とが直接に当接して、内輪25の回転トルクを直接に外輪24に伝達するストッパ40を設けている。
【0008】
本発明の電動自転車は、弾性圧縮体28をトルクセンサ13に積層しているゴム状弾性体とすることができる。
【0009】
本発明の電動自転車は、内輪25が円板形状を備えると共に、該形状より外周側に突出して弾性圧縮体28とトルクセンサ13を内蔵する収納部29を設けて、この収納部29を嵌入する凹部27を外輪24に設けることができる。内輪25に設けている収納部29は、回転する方向に対して後側を底板34で閉塞して、ペダル11による内輪25の回転トルクで、底板34を介して弾性圧縮体28とトルクセンサ13を押圧して外輪24を回転させることができる。
【0010】
さらに、本発明の電動自転車は、収納部29の回転する方向に対する先端部に貫通孔35Aを設けて、この貫通孔35Aに出入りできるようにロッド36を配設すると共に、このロッド36で収納部29に配置している弾性圧縮体28とトルクセンサ13を押圧することができる。ロッド36は、収納部29の内側に位置して、回転する方向に対して後端に鍔36Aを設けると共に、この鍔36Aと収納部29の先端に位置する先端蓋35との間にスプリング32を配設して、スプリング32でロッド36を収納部29に弾性的に引き込むことができる。
【0011】
さらに、本発明の電動自転車は、内輪25に設定トルクが作用すると、収納部29の先端部分が外輪24の凹部27の内面に衝突してストッパ40となるようにすることができる。さらに、本発明の電動自転車は、トルクセンサ13が磁歪素子13Aを備えることができる。
【0012】
さらに、本発明の請求項9の電動自転車は、ペダル11の踏力によって軸を中心に回転する内輪25と、前記軸を中心に回転する外輪24と、該外輪24の回転が伝達されて回転する車輪3とを備える。内輪25の回転トルクは、弾性圧縮体28とトルクセンサ13を介して外輪24に伝達している。さらに、電動自転車は、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体28が設定位置まで弾性変形すると、外輪24と内輪25とが直接に当接して、内輪25の回転トルクを直接に外輪24に伝達するストッパ40を設けている。
【0013】
さらに、本発明の請求項10の電動自転車は、ペダルの踏力によって軸を中心に回転する一方の回転体と、前記軸を中心に回転する他方の回転体と、該他方の回転体の回転が伝達されて回転する車輪とを備える。一方の回転体の回転トルクは、弾性圧縮体とトルクセンサを介して他方の回転体に伝達している。さらに、電動自転車は、一方の回転体の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体が設定位置まで弾性変形すると、他方の回転体と一方の回転体とが直接に当接して、一方の回転体の回転トルクを直接に他方の回転体に伝達するストッパを設けている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電動自転車を例示するものであって、本発明は電動自転車を以下のものに特定しない。
【0015】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0016】
図1に示す電動自転車は、フレーム1と、このフレーム1の下端に装着しているペダルクランク2と、このペダルクランク2で回転される第1スプロケット4と、この第1スプロケット4にかけられたチェーン6を介してペダルクランク2で回転される後輪3Bと、フロントフォーク7の下端に装着している前輪3Aと、この前輪3Aのフロントハブ8に内蔵されて前輪3Aを駆動するモーター9と、このモーター9に電力を供給する電池10とを備える。そして、フレーム1の下端においては、後述する制御回路15を内蔵するコントロールボックス12が設置される。
【0017】
この電動自転車は、ペダル11を踏むと、ペダルクランク2が第1スプロケット4を回転し、第1スプロケット4がチェーン6と第2スプロケット5を介して後輪3Bを回転する。ペダルクランク2で後輪3Bを駆動するとき、人力による回転トルクを第1スプロケット4に内蔵しているトルクセンサ13で検出して、フロントハブ8に内蔵されるモーター9に電池10から電力が供給され、補助的にモーター9が前輪3Aを駆動する。電動自転車は、設定速度よりも遅い領域において、モーター9が前輪3Aを駆動する回転トルクと、ペダルクランク2が後輪3Bを駆動する回転トルクとが同じになるようにモーター9への供給電力を制御する。自転車が設定速度になると、モーター9は車輪3を駆動しなくなる。図1の電動自転車は、モーター9で前輪3Aを駆動しているが、本発明の電動自転車はモーターで後輪を駆動することもできる。モーターで後輪を駆動する電動自転車は、後輪のハブにモーターを内蔵し、あるいはモーターで第1スプロケットを駆動する。
【0018】
図2は、図1の電動自転車に搭載されて、電池10がモーター9に電力を供給する回路のブロック図である。このブロック図に示す電動自転車は、ペダル11の踏力が車輪3を駆動する回転トルクを検出するトルクセンサ13と、車輪3の回転を検出する回転センサ14と、車輪3を駆動するモーター9と、このモーター9に電力を供給する電池10と、電池10とモーター9との間に接続されて、電池10からモーター9に供給する電力を制御する制御回路15とを備える。
【0019】
さらに、このブロック図の電動自転車は、自転車の走行状態を切り換える手元操作部16と、自転車のブレーキレバー17が操作されたことを検出して回生制動のタイミングを特定する、ブレーキレバー17内に設けられた回生スイッチ18と、制御回路15に使用される回路部品等の温度を検出する温度センサ19と、電池10の電流と電圧を検出する電流センサ20および電圧センサ21を制御回路15に連結している。この手元操作部16はハンドル23に装着されて、モーター9にて補助的に駆動するかどうかの電源オンオフのスイッチ、及びモーター9が前輪3Aを駆動する回転トルクの度合い(モード)を設定するスイッチとを備えている。制御回路15は、回路部品の温度が設定温度よりも高くなる過熱異常信号が温度センサ19から入力されると、電池10からの電流を遮断して回路及びモーター9を保護する。さらに、制御回路15は、電流センサ20と電圧センサ21の入力信号でモーター9に供給する電流を制御すると共に、電池10の残容量を演算して電池10が過放電にならないように放電電流を制御する。浸水センサ22の役割を以下に説明する。詳細な説明は省略するが、後述するように、回転するトルクセンサ13からの電気出力を制御回路15に伝達するために、スリップリング38を採用しているが、このスリップリング38が水にぬれた時に正常に電気出力を伝達することができない。このために、水ぬれを浸水センサ22にて検出して、水ぬれが検出されたときは、踏力に基づいてモーター9を正常に駆動することができないので、モーター9の駆動を停止する。
【0020】
次に、本実施例の特徴であるトルクセンサ13の周辺構造について、詳細に説明する。
トルクセンサ13は、ペダルクランク2で回転される第1スプロケット4に設けている。本実施例は、第1スプロケット4にトルクセンサ13を設けて、ペダル11の踏力が車輪3を駆動する回転トルクを、トルクセンサ13で検出する。図3は、第1スプロケット4に内蔵されるトルクセンサ13の断面図である。図4と図5は、第1スプロケット4を、表面側と裏面側から見た斜視図、図6は、図4に示す第1スプロケット4を直径方向に切断した垂直断面図を示しており、図7は、図4に示す第1スプロケット4をトルクセンサ13の部分で水平方向に切断した水平断面図を示している。トルクセンサ13は、これ等の図において、ペダルクランク2で回転される一方の回転体としての内輪25と、この内輪25に対して相対的に回転できるように連結している他方の回転体としての外輪24との間に配設している。さらに、トルクセンサ13は、図3の断面図に示すように、内輪25の回転トルクが作用すると弾性変形するエチレンプロピレンゴム等の弾性圧縮体28を介して内輪25と外輪24の間に配設されており、内輪25の回転トルクが、弾性圧縮体28とトルクセンサ13を介して外輪24に伝達される。ペダルの踏力により、第1スプロケット4が、図3と図7の断面図の矢印に示す方向に回転することにより、自転車は前進することになる。当然、本実施例は、通常の自転車機能を備えることにより、この矢印と反対方向に回転させる場合、後輪のチェンスプロケット付近に設けられたクラッチ機構でペダルクランクを空回りさせることもできる。
【0021】
第1スプロケット4は、外周にチェーン6をかける歯24H(歯24Hは図6に表示される。図4と図5では歯24Hは省略している。)を設ける円板リング状の外輪24と、この外輪24の内側にあってペダルクランク2で回転される略円板状の内輪25とを備える。外輪24と内輪25は、互いに同心に配置されて、つまり、クランク軸を中心として、一定の範囲内で相対的に回転できるように連結される。図6の断面図に示すように、内輪25は、外周縁に外輪24を回転できるように案内する外周溝26を設けている。この外周溝26に、外輪24の内周縁を、回転できるが軸方向に抜けないように案内している。
【0022】
内輪25は、円板形状より外周側に突出する部分に、弾性圧縮体28とトルクセンサ13を内蔵する収納部29を設けている。外輪24は、内輪25の収納部29を嵌入する凹部27を内周に切欠部として設けている。内輪25の収納部29は回転方向、すなわち内輪25の接線方向に伸びる円形筒状の空間で、回転方向に対して後側を底として表現するとして、底を底板34で閉塞している。内輪25がペダルクランク2で回転されると、収納部29の底板34が弾性圧縮体28とトルクセンサ13を押圧して外輪24を回転する。収納部29を内輪25の外周から突出して設けているので、収納部29の底板34は、内輪25の中心から外側に突出して設けられる。
なお、本実施例においては、内輪25に収納部29を、外輪24に収納部29が入る凹部27を設けているが、これに代わって、外輪に収納部を、内輪に収納部が入る凹部を設けることもできる。
【0023】
収納部29は、図3の断面図に示すように、底を閉塞して先端部に円形貫通孔35Aを設けている。貫通孔35Aに出入りできるように円柱状金属製ロッド36を配設している。また、外輪24の凹部27においては、この部分でクランク軸を中心とする仮想の円の接線に対して垂直となる垂直面27Aを備えている。ロッド36は、貫通孔35Aから突出して、外輪24に設けている凹部27の垂直面27Aを押圧する。ロッド36は、外輪24の垂直面27Aを押圧する反作用で外輪24の垂直面27Aに押されて、収納部29に配置しているトルクセンサ13を押圧する。ロッド36は、トルクセンサ13を押圧するように収納部29に配置される。ロッド36は、収納部29から抜けないように、収納部29の内側に位置する後端に鍔36Aを設けている。鍔36Aと収納部29の先端蓋35との間に押しバネであるスプリング32を配設して、スプリング32でロッド36を収納部29に弾性的に引き込むようにしている。スプリング32は、トルクセンサ13の前後に遊びができないようにトルクセンサ13を弾性的に軽く押圧する。スプリング32は、ペダルクランク2が内輪25を回転する回転トルクに対して無視できる程度の弱い圧力でロッド36を押圧する。
【0024】
トルクセンサ13は、表面に円柱状金属製スペーサー33を積層している。図のトルクセンサ13は、前面に前面スペーサー33Aを、背面に円柱状金属製背面スペーサー33Bを積層している。前面スペーサー33Aは、トルクセンサ13とロッド36との間に配設され、背面スペーサー33Bは、トルクセンサ13と弾性圧縮体28との間に配設される。スペーサー33は、回転トルクが作用しても変形しない強度の金属板である。表面にスペーサー33を配設する構造は、回転トルクをトルクセンサ13の全面に均一に作用できる。このため、トルクセンサ13の損傷を少なくできる。ただし、トルクセンサは、必ずしも表面にスペーサーを積層する必要はない。図のロッド36は、前面スペーサー33Aを押圧する後端面を湾曲面としている。このロッド36は、ロッド36の中心軸がずれる姿勢となっても、前面スペーサー33Aを介してトルクセンサ13をスムーズに押圧できる。ロッド36に押圧される前面スペーサー33Aは、全面でトルクセンサ13を押圧できる。ただ、前面スペーサー33Aを必ずしも設ける必要はないので、前面スペーサーを積層しないトルクセンサは、ロッドの後端で直接に押圧される。
【0025】
図のトルクセンサ13は、焼結体で厚みが大きい円板状磁歪素子13Aと、この磁歪素子13Aの周囲に巻いているコイル13Bとを備える。このコイル13Bは、樹脂製ボビンケース41に巻かれており、このボビンケース41の中心の円柱状中空部に、磁歪素子13A及び前面スペーサー33Aを収納している。また、ボビンケース41は、先端側に円筒状の延出部42を備えており、この内部にスプリング32及び鍔36Aを含めたロッド36の後側を収納している。このトルクセンサ13は、磁歪素子13Aを押圧して透磁率を変化させる。透磁率の変化は、コイル13Bのインダクタンスの変化として検出される。コイル13Bは、中心に配設している磁歪素子13Aの透磁率が変化するとインダクタンスが変化する。磁歪素子13Aの透磁率が高くなると、コイル13Bのインダクタンスが高くなるからである。コイル13Bは押圧力を検出する制御回路15に接続される。制御回路15は、コイル13Bのインダクタンスを検出して、磁歪素子13Aに作用する押圧力を検出する。コイル13Bは、図6の断面図に示すように、内輪25の内面に固定している絶縁基盤37に固定しているスリップリング38と、このスリップリング38を摺動するブラシ39を介して制御回路15に接続される。絶縁基盤37に固定しているスリップリング38は、内輪25と一緒に回転されるので、絶縁基盤37はスリップリング38が内輪25と同心となるように内輪25に固定される。コイル13Bの両端を制御回路15に接続するために、絶縁基盤37にはクランク軸を中心として同心円状に2列のスリップリング38を離して配置して、コイル13Bの両端を別々のスリップリング38に接続している。2つのブラシ39、39は、各スリップリング38に先端を弾性的に押圧される位置にあって、自転車のフレームに回転しないように絶縁して固定される。ブラシ39はリード線(図示せず)を介して制御回路15に接続される。
【0026】
トルクセンサ13は、背面側に弾性圧縮体28を積層している。図のトルクセンサ13は、背面スペーサー33Bと底板34との間に弾性圧縮体28を積層している。弾性圧縮体は、トルクセンサと背面スペーサーとの間に積層することもできる。また、弾性圧縮体28をトルクセンサ13の前面に積層することもできる。弾性圧縮体28は、圧縮されると弾性変形して薄くなるゴム状弾性体である。ゴム状弾性体の弾性圧縮体28は、全体を薄くして弾性変形できる。ただし、弾性圧縮体には押しバネも使用できる。弾性圧縮体28は、トルクセンサ13に作用する衝撃を吸収して、トルクセンサ13の損傷を防止する。
【0027】
さらに、図のトルクセンサ13は、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体28が設定位置まで圧縮して薄くなるように弾性変形すると、外輪24と内輪25とが直接に当接して、内輪25の回転トルクを直接に外輪24に伝達するストッパ40を設けている。図3〜図5に示すストッパ40は収納部29の先端面に設けた凸部で、このストッパ40は、内輪25に設定トルクが作用すると、いいかえると、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなると、外輪24の凹部27の垂直面27Aに衝突して、内輪25と外輪24の相対運動を阻止して、内輪25の回転トルクをストッパ40が外輪24に伝達する。ストッパ40が内輪25の回転トルクを外輪24に伝達するようになると、トルクセンサ13には過大な押圧力が作用しなくなる。図のストッパ40は、収納部29の先端面に設けた凸部であるが、外輪の凹部内面の垂直面に凸部を設けてストッパとすることもできる。ストッパ40は、内輪25の回転トルクが設定トルクよりも大きくなると、内輪25と外輪24とを直接に当接させるものであるから、収納部29の先端面と外輪24の凹部27の垂直面27Aに凸部を設けることなく、外輪の凹部の内面の直角面を、内輪の収納部の先端面に衝突するようにして、ストッパとすることもできる。弾性圧縮体28は、ストッパ40が当接するまで弾性変形できる厚さに設計される。さらに、ストッパ40が内輪25の回転トルクを外輪24に伝達する状態になると、トルクセンサ13は内輪25の回転トルクを検出できなくなる。したがって、ストッパ40は、内輪25の回転トルクを検出する最大検出トルクよりも大きな回転トルクで内輪25が回転されるときに当接するように設計される。
【0028】
図3ないし図5に示すように、外輪24に設けた凹部27の垂直面27Aを、内輪25の収納部29の先端で押圧して回転トルクを内輪25から外輪24に伝達する構造は、強い回転トルクが作用して外輪24が曲がるのを防止できる。それは図3と図7の断面図の矢印で示すように、内輪25の回転トルクが、外輪24の面内に作用するからである。ただ、この構造は、外輪24が変形して、内輪25の過大な回転トルクを吸収することはできない。このため、この構造は、内輪25の回転トルクを有効に外輪24に伝達できるが、内輪25に極めて強力な回転トルクが作用すると、トルクセンサ13に強い衝撃が作用する。本発明は、トルクセンサ13に弾性圧縮体28を積層して、過大な回転トルクが作用すると、ストッパ40で内輪25と外輪24を直接に当接させて、内輪25の回転トルクを外輪24に伝達するので、この状態になっても、トルクセンサ13の損傷を少なくできる。
【0029】
また、弾性圧縮体28については、圧縮され再び復元できるために、ゴム素材の最大圧縮ひずみ量(圧縮されて変位する量)を越えないようにし、ゴム素材の弾性変形範囲内で使用する必要がある。弾性圧縮体28が、エチレンプロピレンゴムの素材であるなら、圧縮ひずみ量(=圧縮されたときの厚み/圧縮がないときの厚み)を最大圧縮ひずみ量を超えず、弾性変形範囲内の50%以内で使用する必要がある。そして、本実施例においては、ストッパ40と、垂直面27Aとの間隔を1mm、弾性圧縮体28の厚みを2mmとしているので、弾性圧縮体28の圧縮ひずみ量が、弾性変形範囲内の50%以内となり、弾性圧縮体28が復元できる範囲で、耐久性よく使用することができる。
【0030】
さらに、図の第1スプロケット4は、ペダル11を踏まない状態で、互いに相対的に回転できる内輪25と外輪24とがガタガタしないように、いいかえると、内輪25と外輪24との相対位置を一定の位置にするために、収納部29の底板34と、外輪24の凹部27の内面の後側垂直面27Bとの間に、押しバネであるコイルスプリング30を配設している。コイルスプリング30は、底板34と外輪24の凹部27の後側垂直面27Bとを一定の圧力で押圧して、互いに回転できる内輪25と外輪24を一定の位置に停止させる。外輪24は、凹部27の内面で底板34と対向する位置に、コイルスプリング30に挿通される凸部31を突出して設けている。コイルスプリング30は、凹部27に設けている凸部31に挿入されて、定位置に配置される。この第1スプロケット4は、ペダルクランク2で内輪25が回転されると、収納部29の底板34が弾性圧縮体28とトルクセンサ13を介して外輪24を回転させる。ペダルクランク2の回転トルクは、トルクセンサ13を介して外輪24を回転し、外輪24がチェーン6を介して後輪3Bを回転させる。ペダル11に強い踏力が作用すると、内輪25がトルクセンサ13を押圧する圧力も強くなる。したがって、トルクセンサ13は、これに作用する圧力を検出して、ペダルクランク2の回転トルクを検出できる。トルクセンサ13は、磁歪素子13Aを利用した圧力センサであって、トルクセンサ13からの電気出力は、回転するトルクセンサ13からの電気出力を得るためにスリップリング38を利用して、制御回路15にて検出される。
【0031】
次に、本実施例の電動自転車の動作について、さらに詳細に説明する。
回生スイッチ18は、ブレーキレバー17が操作されたことを検出するスイッチで、ブレーキレバー17に設けられ、あるいはブレーキレバー17で引っ張られるブレーキワイヤーの途中に設けられる。回生スイッチ18は、ブレーキを握ってブレーキを操作する状態と、ブレーキを操作しない離した状態とで、オンオフに切り換えられるスイッチである。回生スイッチ18は、好ましくは、ブレーキを操作しない状態でオフとなるノーマルオフのスイッチが使用される。回生スイッチ18は、リードスイッチやリミットスイッチである。リードスイッチは、ブレーキレバー17やブレーキワイヤーに連結されている磁石でオンオフに切り換えられる位置に配置される。リミットスイッチは、ブレーキレバー17やブレーキワイヤーに連結している当接部でプランジャーを機械的に押してオンオフに切り換えられる位置に配置される。
【0032】
回生スイッチ18は、ブレーキが操作されたことを示す信号を制御回路15に出力する。制御回路15は、ブレーキが操作された信号が入力されると、モーター9を発電機として使用して、回生制動して電池10を充電する。制御回路15は、モーター9の界磁コイルに流す電流のタイミングを制御して、モーター9を発電機として電池10を充電する。制御回路15は、電池10の残容量を検出し、電池10の過充電を防止しながら回生制動して電池10を充電する。すなわち、電池10が満充電になると、ブレーキが操作されても回生を停止して電池10の充電を停止する。ブレーキを操作したことを検出して回生制動する電動自転車は、スムーズに制動できると共に、運動のエネルギーを有効に回収して電池10を充電できる。このため、自転車を速やかに停止できると共に、電池10による走行距離を長くできる特長がある。
【0033】
図8は、制御回路15が、モーター9の回転トルクを制御する特性のひとつの具体例を示すグラフである。この図において、制御回路15は、自転車の速度が第1設定速度よりも低い第1領域において、ペダルクランク2が車輪3を駆動する車輪3の回転トルクに等しい回転トルクで車輪3を駆動する。第1設定速度は、時速15kmに設定される。この図は、ペダルクランク2の踏力が車輪3を駆動する回転トルクを100%としている。自転車の速度が第1設定速度よりも速く、第2設定速度よりも遅い領域において、モーター9が車輪3を駆動するトルクは車速が第2設定速度に近付くにしたがって、ペダルクランク2が車輪3を駆動するトルクよりも小さくする。第2設定速度は、たとえば時速24kmに設定される。
【0034】
制御回路15は、手元操作部16で操作されて、モーター9が車輪3を駆動するトルク特性を変化させる。たとえば、手元操作部16のスイッチが「省エネルギーモード」に切り換えられると、図の鎖線で示すように、モーター9が車輪3を駆動するトルクを少なくして、モーター9の消費電力を少なくする。この状態に切り換えると、電池10を長い時間使用できるので、電池10を使用して走行できる距離が長くなる。図8は、モーター9が車輪3を駆動するトルクを例示するものであって、本発明の電動自転車は、モーター9が車輪3を駆動するトルクを図8に示す特性に特定するものでは決してない。モーター9は、図に示すカーブとは異なる特性で車輪3を駆動することができる。
【0035】
電動自転車は、トルクセンサ13からの信号のみでなく、回転センサ14の信号も考慮して、モーター9に電力供給を開始する電力供給開始タイミングを特定する。制御回路15は、ペダルクランク2が踏まれて、トルクセンサ13が踏力による回転トルク踏力を検出しても、このトルクセンサ13のみの信号ではモーター9への電力供給を開始しない。制御回路15は、停止している状態から車輪3が回転されたことを検出しないかぎり、モーター9への電力供給を開始しない。
【0036】
車輪3の回転は回転センサ14で検出される。回転センサ14は、モーター9に内蔵されるセンサを使用できる。車輪3の駆動にブラシレスモーターを使用する電動自転車は、ブラシレスモーターに内蔵されるローター回転位置センサを回転センサ14に使用する。ブラシレスモーターは、ステーターの界磁コイルに流す電流を切り換えてローターを回転させるので、ローターの回転位置を検出するために、ローター回転位置センサを内蔵している。ローター回転位置センサは、ローターの永久磁石の磁界を検出するホール素子である。3相ブラシレスモーターは、ローター回転位置センサとして、3つのホール素子を備えている。ブラシレスモーターが8極であると、3つのホール素子からは、ローターが1回転すると24回パルスが出力される。モーター9の回転は、減速されて車輪3を駆動するので、モーター9と車輪3との減速比を1/16とすれば、車輪3が1回転するときに、このブラシレスモーター9は、ローター回転位置センサである3つのホール素子からは384回のパルスを出力する。したがって、車輪の回転センサに代わって、車輪3の回転を間接的に検出するローター回転位置センサから出力されるパルスをカウントして、車輪3の回転角を検出できる。たとえば、ローター回転位置センサから5回パルスが出力されると、車輪3は約5度回転したことになる。さらに、ブラシレスモーター9のローター回転位置センサは、ローターの回転方向を検出できる。したがって、ローターの回転方向を検出して、電動自転車の前進と後退を検出できる。ブラシレスモーターは、ローターが正転されるときと逆転されるときとで、3つのホール素子から出力される”High”と”Low”が出力される配列が異なるので、この配列でローターの正転と逆転を検出できる。ローター回転位置センサを車輪3の回転センサ14に使用する電動自転車は、車輪3の回転を検出する専用のセンサを使用する必要がない。ただし、専用の回転センサを設けて、車輪の回転を検出することもできる。
【0037】
制御回路15は、停止位置から所定の角度回転されたことを回転センサ14が検出し、あるいは車輪3が所定の速度で回転していることを回転センサ14が検出し、あるいはまた、車輪3が所定の角度回転させると共に、所定の速度で回転していることを回転センサ14が検出したことを確認し、その後、トルクセンサ13が車輪3を駆動するトルクを検出すると、モーター9への電力供給を開始する。したがって、電動自転車は、停止している状態でペダルクランク2を踏んで、トルクセンサ13が踏力を検出しても、車輪3が回転しないかぎりモーター9に電力供給を開始しない。
【0038】
制御回路15は、図9に示す以下のフローチャートに従って、車輪3が所定の角度回転し、さらに車輪3の回転速度が設定速度になったことを検出して、モーター9の電力供給を開始する。
[n=1のステップ]
メインスイッチがオンに切り換えられると、モーター9の電力供給を停止して、モーター9が車輪3を駆動しないようにする。
[n=2のステップ]
このステップで、漕ぎ終わり状態、すなわち停止状態を設定する。
[n=3のステップ]
トルクセンサ13でペダル11の踏力の検出処理をする。
[n=4のステップ]
トルクセンサ13が検出した踏力が設定値以上であるかどうかを判定し、踏力が設定値以上であると次のステップに、設定値よりも小さいとn=1のステップにジャンプする。
[n=5のステップ]
ブレーキに設けているスイッチがオフであるかどうかを判定する。ブレーキに設けているスイッチは、ブレーキが操作されるとオン、操作しない状態でオフになるスイッチである。このスイッチは回生スイッチ18にも使用される。ブレーキに設けているスイッチがオフであると次のステップに、このスイッチがオフでないとn=1のステップにジャンプする。
[n=6のステップ]
回転センサ14の入力信号から、制御回路15は車輪3が停止位置から所定の角度回転したかどうかを判定する。車輪3の停止位置からの回転角が所定の角度以上であると次にステップに、車輪3の回転角が所定の角度よりも小さいと、n=1のステップにジャンプする。
[n=7のステップ]
回転センサ14の信号から、車輪3の回転速度が設定速度以上かどうかを判定し、回転速度が設定速度以上であると次のステップに、設定速度よりも遅いとn=1にジャンプする。
[n=8のステップ]
このステップで、制御回路15は、漕ぎ始め状態、すなわち電池10からモーター9に電力供給を開始できる状態に設定する。
[n=9〜10のステップ]
モーター9への電力供給を開始すると共に、トルクセンサ13で踏力を検出して、モーター9が車輪3を所定の回転トルクで駆動するように、モーター9への供給電力、すなわち供給電流を制御する。その後、n=1のステップにジャンプして以後、以上のステップを繰り返して電動自転車を走行させる。以上のフローチャートでモーター9を駆動する電動自転車は、n=7のステップで車輪3の回転速度が設定速度以上であるかどうかを判定するので、車輪3の回転速度が設定速度よりも遅くなることを回転センサ14が検出すると、制御回路15はモーター9の駆動を停止する。
【0039】
さらに、制御回路15は、自転車が後退するときにモーター9を駆動しない。自転車が後退していることは、回転センサ14であるローター回転位置センサで検出される。ローター回転位置センサから、ローターが自転車を後退させる方向に回転していることを示す信号が出力されると、制御回路15はモーター9への通電を停止する。
【0040】
以上のフローチャートは、車輪3が停止状態から所定の角度回転し、さらに車輪3の回路速度が設定速度よりも速いことを検出して、モーター9への電流供給を開始している。ただし、電動自転車は、n=6と7のステップのいずれかを省略して、車輪3が所定の角度回転し、あるいは車輪3の回転速度が設定速度になることのみを検出して、モーター9への電流供給を開始することができる。
【0041】
図10は、車輪3の回転角度を検出する図9におけるn=6のステップの詳細なフローチャートを示す。制御回路15は、以下のステップで車輪3が回転する角度を検出する。
[n=6−1のステップ]
回転センサ14に併用される、モーター9に内蔵されるローター回転位置センサからの出力パルスをカウントする。出力パルスのカウント数は、車輪3の回転角度に比例しているので、出力パルスの数で車輪3の回転角度を検出できる。
[n=6−2〜3のステップ]
出力パルスのカウント値が設定値よりも大きいかどうか、いいかえると車輪3の回転角が設定値以上であるかどうかが判定される。出力パルスのカウント数が設定値よりも少ないと、n=1にジャンプして設定値になるまで、n=1と6−2をループする。出力パルスの数が設定値以上であると車輪3の初期回転角度が設定値を越えたことを認識して、モーター9の駆動を許可する。
【0042】
図11は、車輪3の回転速度を検出する図9におけるn=7のステップの詳細なフローチャートを示す。制御回路15は、以下のステップで車輪3が所定の回転速度になったことを検出する。
[n=7−1〜2のステップ]
このステップで、設定時間内における、ローター回転位置センサからの出力パルスをカウントする。出力パルスのカウント数は、車輪3の回転角度に比例しているので、設定時間における出力パルスの数で車輪3の回転速度を検出できる。
[n=7−3〜4のステップ]
設定時間における出力パルスのカウント値が設定値以上かどうか、いいかえると車輪3の回転速度が設定値以上であるかどうかが判定される。設定時間における出力パルスのカウント数が設定値よりも少ないと、モーター9の駆動を不許可として、n=1にジャンプする。設定時間における出力パルスの数が設定値以上であると車輪3の回転速度が設定値以上であることを認識して、その後のステップでモーター9の駆動を許可する。
【0043】
以上の電動自転車は、車輪の回転を検出してモーターを駆動するが、トルクセンサで回転トルクのみを検出して、モーターを駆動する回転トルクを制御することもできる。
【0044】
なお、本発明は、後輪のハブ軸部分に適用することもできる。例えば、ペダルの踏力を後輪に伝達する後輪のチェンスプロケットと連動する内輪を設け、これと同軸に回転する外輪を設けることによって、本発明を利用することができる。
また、ペダルの踏力を、内輪及び外輪を介して車輪に伝達しているが、上記実施例においては、外輪が内輪の外周に位置する構造であるが、本発明はこのような構造に限定されるものではない。本発明は、これらに代わって、各々、一方の回転体、他方の回転体として、一方の回転体の回転トルクが、弾性圧縮体とトルクセンサを介して他方の回転体に伝達するようにすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の電動自転車は、弱い回転トルクをも正確に検出しながら、衝撃でトルクセンサが損傷するのを確実に阻止できる特長がある。それは、本発明の電動自転車が、ペダルクランクで回転される内輪と、この内輪に対して相対的に回転できるように連結している外輪との間に、弾性圧縮体を介してトルクセンサを配設し、内輪の回転トルクが弾性圧縮体を介して外輪に伝達するようにし、さらに、内輪の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体が設定位置まで弾性変形すると、外輪と内輪とが直接に当接して、内輪の回転トルクを直接に外輪に伝達するようにしているからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる電動自転車の概略側面図
【図2】図1に示す電動自転車のモーターを駆動する回路のブロック図
【図3】図1に示す電動自転車の第1スプロケットを示す要部拡大断面図であって図7のA−A線断面に相当する図
【図4】第1スプロケットの斜視図
【図5】図4に示す第1スプロケットの背面斜視図
【図6】図4に示す第1スプロケットの垂直断面図
【図7】図4に示す第1スプロケットのトルクセンサ部分の水平断面図
【図8】制御回路がモーターの回転トルクを制御する特性の一例を示すグラフ
【図9】制御回路がモーターへの電力供給を制御するフローチャート
【図10】電動自転車の車輪の回転角度を検出する詳細なフローチャート
【図11】電動自転車の車輪の回転速度を検出する詳細なフローチャート
【符号の説明】
1…フレーム
2…ペダルクランク
3…車輪 3A…前輪 3B…後輪
4…第1スプロケット
5…第2スプロケット
6…チェーン
7…フロントフォーク
8…フロントハブ
9…モーター
10…電池
11…ペダル
12…コントロールボックス
13…トルクセンサ 13A…磁歪素子 13B…コイル
14…回転センサ
15…制御回路
16…手元操作部
17…ブレーキレバー
18…回生スイッチ
19…温度センサ
20…電流センサ
21…電圧センサ
22…浸水センサ
23…ハンドル
24…外輪 24H…歯
25…内輪
26…外周溝
27…凹部 27A…垂直面 27B…後側垂直面
28…弾性圧縮体
29…収納部
30…コイルスプリング
31…凸部
32…スプリング
33…スペーサー 33A…前面スペーサー 33B…背面スペーサー
34…底板
35…先端蓋 35A…貫通孔
36…ロッド 36A…鍔
37…絶縁基盤
38…スリップリング
39…ブラシ
40…ストッパ
41…ボビンケース
42…延出部
Claims (10)
- ペダル(11)の踏力が車輪(3)を駆動するトルクを検出するトルクセンサ(13)を備えており、このトルクセンサ(13)で検出するトルクでもってモーター(9)が車輪(3)を駆動するトルクを制御する電動自転車であって、
トルクセンサ(13)を、ペダルクランク(2)で軸を中心に回転される内輪(25)と、この内輪(25)に対して相対的に軸を中心に回転できるように連結している外輪(24)との間に、内輪(25)に回転トルクが作用すると弾性変形する弾性圧縮体(28)を介して配設して、内輪(25)の回転トルクが、弾性圧縮体(28)とトルクセンサ(13)を介して外輪(24)に伝達するようにしており、
さらに、内輪(25)の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体(28)が設定位置まで弾性変形すると、外輪(24)と内輪(25)とが直接に当接して、内輪(25)の回転トルクを直接に外輪(24)に伝達するストッパ(40)を設けてなる電動自転車。 - 弾性圧縮体(28)が、トルクセンサ(13)に積層しているゴム状弾性体である請求項1に記載される電動自転車。
- 内輪(25)が円板形状を備えると共に、該形状より外周側に突出して弾性圧縮体(28)とトルクセンサ(13)を内蔵する収納部(29)を設けており、この収納部(29)を嵌入する凹部(27)を外輪(24)に設けている請求項1に記載される電動自転車。
- 内輪(25)に設けている収納部(29)は、回転する方向に対して後側を底板(34)で閉塞しており、ペダル(11)による内輪(25)の回転トルクが、底板(34)を介して弾性圧縮体(28)とトルクセンサ(13)を押圧して外輪(24)を回転するようにしてなる請求項3に記載される電動自転車。
- 収納部(29)は、回転する方向に対して先端部に貫通孔(35A)を設けており、この貫通孔(35A)に出入りできるようにロッド(36)を配設しており、ロッド(36)が収納部(29)に配置している弾性圧縮体(28)とトルクセンサ(13)を押圧するようにしてなる請求項3に記載される電動自転車。
- ロッド(36)が、収納部(29)の内側に位置して、回転する方向に対して後端に鍔(36A)を設けており、この鍔(36A)と収納部(29)の先端に位置する先端蓋(35)との間にスプリング(32)を配設して、スプリング(32)でロッド(36)を収納部(29)に弾性的に引き込んでいる請求項5に記載される電動自転車。
- 内輪(25)に設定トルクが作用すると、収納部(29)の先端部分が外輪(24)の凹部(27)の内面に衝突してストッパ(40)となる請求項3に記載される電動自転車。
- トルクセンサ(13)が磁歪素子(13A)を備える請求項1に記載される電動自転車。
- ペダル(11)の踏力によって軸を中心に回転する内輪(25)と、前記軸を中心に回転する外輪(24)と、該外輪(24)の回転が伝達されて回転する車輪(3)とを備え、
内輪(25)の回転トルクが、弾性圧縮体(28)とトルクセンサ(13)を介して外輪(24)に伝達するようにしており、内輪(25)の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体(28)が設定位置まで弾性変形すると、外輪(24)と内輪(25)とが直接に当接して、内輪(25)の回転トルクを直接に外輪(24)に伝達するストッパ(40)を設けてなる電動自転車。 - ペダルの踏力によって軸を中心に回転する一方の回転体と、前記軸を中心に回転する他方の回転体と、該他方の回転体の回転が伝達されて回転する車輪とを備え、
一方の回転体の回転トルクが、弾性圧縮体とトルクセンサを介して他方の回転体に伝達するようにしており、一方の回転体の回転トルクが設定トルクよりも大きくなって弾性圧縮体が設定位置まで弾性変形すると、他方の回転体と一方の回転体とが直接に当接して、一方の回転体の回転トルクを直接に他方の回転体に伝達するストッパを設けてなる電動自転車。
Priority Applications (1)
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2003
- 2003-02-27 JP JP2003051863A patent/JP2004256079A/ja active Pending
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