JP2004255794A - 水圧転写用フィルムおよび水圧転写体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層からなり、前記転写層が前記支持体上に硬化性樹脂形成層、装飾層安定化層、装飾層の順に積層されている水圧転写フィルムであって、前記装飾層安定化層に装飾層と同種の樹脂を使用することを特徴とする水圧転写フィルム、及び該水圧転写用フィルムを用いて、被転写体の表面に前記転写層を水圧転写した後、転写された前記硬化性樹脂形成層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させた水圧転写体。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種成形品などの被転写体の表面に硬化性樹脂形成層と装飾層を同時に水圧転写できる水圧転写用フィルムおよび該水圧転写用フィルムを用いて製造される水圧転写体に関する。
【0002】
【従来の技術】
水圧転写法は意匠性に富む装飾層を複雑な三次元形状の成形品に付与できる方法であるが、装飾層の高い意匠性を乱すことなく複雑な三次元形状の成形品に水圧転写するには相当の熟練を要し、水圧転写後にさらに水圧転写した装飾層に硬化性樹脂を保護層としてスプレー塗装する必要がある。このため、水圧転写法による成形品の製造は、製造工程が煩雑であると共に水圧転写設備の他に塗装設備も必要であることからコスト高であり、水圧転写法で製造される水圧転写品は高級品に限られていた。
【0003】
この煩雑さとコスト高を解消するために、水圧転写法によって硬化性樹脂形成層を有する転写層を被転写体に転写する試みがなされている。例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂形成層を有する水圧転写用フィルムを用いて、該硬化性樹脂形成層を有する転写層を被転写体に水圧転写した後に硬化させる技術が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)。更に、支持体フィルム上に設けた装飾層を取り囲むように、有機溶剤添加によって柔軟性や粘着性を発現しない水不溶性の膨張防止層を設けることにより、水圧転写時には膨張防止層で囲まれた領域内で装飾層の面積拡大が抑止され、水圧転写フィルムに表現された図柄の大きさや色彩と変わらない美麗な図柄を立体形状物に付与する技術が開示されている。(例えば、特許文献2参照。)
しかしながら、特許文献1に記載の水圧転写用フィルムでは、硬化性樹脂形成層に用いる未硬化であるが非粘着性の樹脂は入手することが困難であり、また、その使用可能な樹脂の種類が非常に限られているとの問題点があった。また、特許文献2に記載の水圧転写用フィルムでは、その効果が膨張防止層で囲まれた領域内に限定されるため、製造品目の形状に応じて膨張防止層の設定を変える必要があり、製造工程の煩雑さとコスト高を本質的に解消するには至らなかった。
【特許文献1】
特開昭64−22378号公報
【特許文献2】
特開平6−206398号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、装飾層の図柄が拡大や色ボケ等により意匠性の低下することなく、硬化性樹脂形成層と装飾層とを同時に被転写体に水圧転写することができる水圧転写用フィルムを提供することにある。本発明の他の目的は、上記の水圧転写用フィルムを用いて、硬化樹脂層で表面被覆された装飾層を有する意匠性に富む被転写体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、水圧転写フィルムの装飾層が有機溶剤により活性化される際に、装飾層の樹脂成分が溶解することにより図柄が不安定となることが、装飾層と同種の樹脂を使用した層(以下、装飾層安定化層と言う。)を装飾層に積層することにより、装飾層の図柄が拡大や色ボケすることを防ぐことが出来ることを見いだし、この知見に基づき本発明を完成させた。
すなわち本発明は、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層からなり、前記転写層が前記支持体上に硬化性樹脂形成層、装飾層安定化層、装飾層の順に積層されている水圧転写フィルムであって、前記装飾層安定化層に装飾層と同種の樹脂を使用することを特徴とする水圧転写フィルムを提供する。
また、上記水圧転写用フィルムを用いて、被転写体の表面に前記転写層を水圧転写した後、転写された前記硬化性樹脂形成層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させたことを特徴とする水圧転写体を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
[水圧転写用フィルムの支持体フィルム]
本発明の水圧転写用フィルムに用いる水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムは、水で溶解もしくは膨潤可能な樹脂からなるフィルムである。
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルム(以下、支持体フィルムと略す)としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチルセルロース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のフィルムが使用できる。なかでも一般に水圧転写用フィルムとして用いられているPVAフィルムが水に溶解し易く、入手が容易で、硬化性樹脂形成層の印刷にも適しており、特に好ましい。また、用いる支持体フィルムの厚みは10〜200μm程度が好ましい。
【0007】
[転写層]
本発明の水圧転写用フィルムの転写層は、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能な硬化性樹脂形成層(以下、硬化性樹脂形成層と略称する)と、該硬化性樹脂形成層上に設けた印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層と、装飾層で使用している樹脂と同種の樹脂を含有する装飾安定化層とを有する。
【0008】
[硬化性樹脂形成層]
硬化性樹脂形成層は、得られる水圧転写体に転写された装飾層の意匠性を良く発現できることから、透明であることが好ましい。但し、水圧転写体の要求特性によるが、基本的に得られる水圧転写体の装飾層の色や柄が透けて見えれば良く、硬化性樹脂形成層は完全に透明であることを要せず、透明から半透明なものまでを含む。
【0009】
硬化性樹脂形成層は、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも1種で硬化して樹脂を形成することができるものであり、具体的には下記の(1)〜(6)が挙げることができる。
(1)活性エネルギー線により硬化性樹脂を形成する硬化性樹脂形成層。
(2)活性エネルギー線により硬化性樹脂を形成する成分と非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂形成層。
(3)熱硬化により硬化性樹脂を形成する硬化性樹脂形成層。
(4)熱硬化により硬化性樹脂を形成する成分と非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂形成層。
(5)活性エネルギー線により硬化性樹脂を形成する成分と熱硬化により硬化性樹脂を形成する成分とを含む硬化性樹脂形成層。
(6)活性エネルギー線により硬化性樹脂を形成する成分と熱硬化により硬化性樹脂を形成する成分と非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂形成層。
【0010】
ここでいう活性エネルギー線とは紫外線と電子線であり、特に紫外線が好適である。紫外線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。
【0011】
活性エネルギー線により硬化性樹脂を形成する硬化性樹脂組成物は、1分子中に活性エネルギー線によって硬化可能な重合性基や構造単位を有するモノマー、オリゴマー及びポリマーを含有する。活性エネルギー線によって硬化可能な重合性基や構造単位は、例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルエステル、ビニルエーテル、マレイミド基などの重合性不飽和二重結合を有する基や構造単位が挙げられ、なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましく、特に1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する活性エネルギー線硬化性のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含むことが好ましい。より具体的には、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する質量平均分子量が300〜1万、より好ましくは300〜5000の活性エネルギー線硬化性のオリゴマーまたはポリマーが好ましく用いられる。
【0012】
(メタ)アクリロイル基を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーは、塗料用樹脂として使用されるものであれば特に問題なく使用することができ、具体例を挙げれば、モノマーとしてはビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシレイテドトリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン・エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどのアクリレート類、
テトラエチレングリコールジメタクリルレート、アルキルメタクリレート、
アリルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、
フェノキシエチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのメタクリレート類、
アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、
ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、
2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテルなどのビニルエーテル類、
酪酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類が挙げられ、
オリゴマーまたはポリマーとしては、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられ、なかでも得られる塗膜性能が優れることから、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートが好ましく、特にウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0013】
ウレタン(メタ)アクリレートは、一般に、高分子量のポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより製造される。ウレタン(メタ)アクリレートの製造に用いる高分子量のポリオールは、塗料用樹脂材料やポリエステル原料に用いられるものであれば特に制限なく用いることができるが、ウレタン(メタ)アクリレートの低粘度化が容易で、かつ安価であることから、(ポリ)アルキレングリコールを用いることが好ましい。
【0014】
(ポリ)アルキレングリコールは、従来公知のものを使用することができ、具体的には、ビスフェノールAオキシアルキレングリコール付加物等の芳香族(ポリ)アルキレングリコールや、(ポリ)エチレングリコールなどの脂肪族(ポリ)アルキレングリコール等が挙げられる。なかでも芳香族(ポリ)アルキレングリコールが転写層の密着性や耐擦傷性が良好になることから好ましく、用いるポリオール中に芳香族(ポリ)アルキレングリコールを固形分換算で80%以上含有することが好ましく、特にビスフェノール類オキシアルキレングリコール付加物が好ましい。
【0015】
ウレタン(メタ)アクリレートの製造に用いるポリイソシアネートは1分子中にイソシアネート基を平均2個以上有するものであり、塗料用樹脂材料に用いられるポリイソシアネートであれば、特に問題なく用いることができる。これらのポリイソシアネートは、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートなどのジイソシアネート;2価以上のポリイソシアネートの2量体もしくはイソシアヌレートなどの3量体;1分子中にイソシアネート基を2つ又は3つ以上有するポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等とをイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られる付加物;及びポリイソシアネート類と水とを反応せしめて得られるビウレット構造を有するポリイソシアネート類などが挙げられる。用いるポリイソシアネートの数平均分子量(ポリスチレン換算の値)は、10,000以下が好ましく、より好ましくは5,000以下、特に好ましくは2,000以下のものである。
【0016】
また、ウレタン(メタ)アクリレートの製造に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレートも塗料用樹脂材料に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレートであれば特に制限なく用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等の炭素数2〜8の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル;アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸、脂肪酸のような一塩基酸との付加物、上記の水酸基含有モノマーとラクトン類(例えばε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等)との付加物等が挙げられる。なかでも(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが好ましく用いられる。
【0017】
これらの活性エネルギー線により硬化する硬化性樹脂形成層には、必要に応じて慣用の光重合開始剤や光増感剤が含まれて良い。光重合開始剤は、一般に紫外線を用いる場合に必要であり、光重合開始剤は活性エネルギー線硬化性樹脂に対して、通常0.5〜15質量%、好ましくは1〜8質量%を用いる。
【0018】
熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基やアミノ基を有する主剤樹脂と硬化剤としてイソシアネート;
水酸基やカルボキシル基を有する主剤樹脂と硬化剤としてN−メチロール化またはN−アルコキシメチル化メラミン、ベンゾグアナミン等のアミノ樹脂;
エポキシ基や水酸基を有する主剤樹脂と硬化剤として無水フタル酸の如き酸無水物;
カルボキシル基や炭素−炭素二重結合、ニトリル基、エポキシ基を有する主剤樹脂と硬化剤としてフェノール樹脂;
カルボキシル基やアミノ基を有する主剤樹脂と硬化剤としてエポキシ基含有化合物などを用いることができる。
【0019】
これらの熱硬化性樹脂は常温でも保存中に徐々に硬化反応が進行するものが多く、保存期間中に硬化反応が進むと、有機溶剤による転写層の活性化が十分行われず転写不良を起こす原因となる。このため、熱硬化性樹脂の中でも主剤として高分子量のポリオール、硬化剤としてブロックイソシアネートを用いる系が好ましい。ブロックイソシアネートはイソシアネート基を慣用のブロック剤で保護したものを用いることができ、これら慣用のブロック剤は、フェノール、クレゾール、芳香族第2級アミン、第3級アルコール、ラクタム、オキシムなどが挙げられる。ブロックイソシアネートは装飾層や被転写体の耐熱性に合わせてブロック基の脱離温度が好適なものを選べば良い。
【0020】
高分子量のポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリエステルポリオール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体などが挙げられるが、特にアクリルポリオールが好ましく、なかでも、質量平均分子量が3,000〜10万のアクリルポリオールがより好ましく、1万〜7万のアクリルポリオールが最も好ましい。
【0021】
アクリルポリオールは、水酸基を有する重合性不飽和単量体類と、該水酸基を有する重合性不飽和単量体類と共重合可能な他の重合性不飽和単量体類とを常法により共重合させることにより製造される。得られるアクリルポリオールの水酸基価は、好ましくは20〜150、その質量平均分子量は、好ましくは3000〜20000である。
【0022】
水酸基を有する重合性不飽和単量体類としては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートの如き(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の如き多価カルボン酸類のジヒドロキシアルキルエステル類;またはヒドロキシアルキルビニルエーテル類などである。
【0023】
水酸基を有する重合性不飽和単量体類と共重合可能な他の重合性不飽和単量体類としては、メチルメタアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートもしくはシクロヘキシル(メタ)アクリレートの如きアルキル(メタ)アクリレート類;
【0024】
あるいは、メトキシエチル(メタ)アクリレートなどに代表されるようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ジメチルマレエート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレートもしくはジブチルイタコネートの如きマレイン酸、フマル酸ないしはイタコン酸などによって代表されるジカルボン酸類と1価アルコール類とのジエステル類;
【0025】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の如き不飽和モノ−またはジ−カルボン酸類または上述したような酸無水物の種々のカルボキシル基含有単量体類;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルの如きエポキシ基含有単量体類;
スチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー類などである。
【0026】
また、アクリルポリオールとして、市販品、例えば、「アクリディックA−800、A801、A−801−P」(大日本インキ化学工業株式会社製)などを用いることもできる。
【0027】
熱硬化性樹脂も印刷性または塗工性が必要であることから、硬化前の樹脂の分子量は高いほうが好ましく、質量平均分子量1000〜10万が好ましく、さらに好ましくは3,000〜3万である。
【0028】
硬化性樹脂形成層に非粘着性の熱可塑性樹脂を添加することは、硬化性樹脂形成層の粘着性を低下させる上で効果的である。しかし、熱可塑性樹脂を多く添加すると、硬化性樹脂の硬化反応を阻害する懸念があることから、硬化性樹脂形成層の樹脂量100質量部に対して非粘着性の熱可塑性樹脂は70質量部を超えない範囲で添加することが好ましい。
【0029】
非粘着性の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステルなどが挙げられる。なかでも、透明性、耐溶剤性および耐擦傷性に優れるポリメチルメタクリレートを主成分としたポリ(メタ)アクリレートが好ましく、質量平均分子量30,000以上300,000以下のポリメチルメタクリレートが好ましく、150,000以上300,000以下のものがより好ましく用いられる。
【0030】
硬化性樹脂形成層の乾燥膜厚は、保護層として十分な表面特性を示し、かつ硬化性樹脂の乾燥性や水圧転写時の活性化が良好であるために、3〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは、5〜70μmである。
【0031】
[装飾層安定化層の役割]
本発明における装飾層安定化層は、装飾層が有機溶媒によって活性化されることにより、装飾層の図柄が拡大したり、色ボケしたりするといった意匠性の低下を著しく遅延する役割を果たす。そもそも、装飾層の図柄が拡大したり色ボケしたりする現象は、装飾層中の印刷インキ又は塗料の樹脂成分は有機溶媒に溶解して水面上を浮遊していくことにより、染料や顔料などの着色材粒子が互いに離間していくことにより発生する。そこで、本発明では、装飾層と硬化性樹脂形成層との間に装飾層に使用した樹脂と同種の樹脂層(装飾層安定化層)を新たに設けることにより、活性化により部分的に喪失した装飾層中の印刷インキ又は塗料の樹脂成分を装飾層安定化層が補うことにより、染料や顔料などの着色材粒子が互いに離間していくことを著しく遅延させるものである。
このため、装飾層安定化層は装飾層で使用している樹脂を用いることが好ましく、活性化により喪失した装飾層中の樹脂成分を補う役割という観点から、装飾層で使用している樹脂を90質量%以上含有していることが好ましく、95質量%以上含有していることがより好ましく、更に好ましくは100質量%含有していること、すなわち、装飾層中の印刷インキ又は塗料から着色材成分のみを除いた樹脂組成物から構成されることが好ましい。
なお、装飾層安定化層は装飾層と共に得られる水圧転写体の意匠性を発現する部分でもあるから、装飾層安定化層は透明であることを要せず、水圧転写体の要求特性によっては透明から半透明、更には不透明であっても良い。
【0032】
[装飾層安定化層および装飾層]
本発明の水圧転写用フィルムの装飾層安定化層および装飾層形成に用いる印刷インキ又は塗料は、有機溶媒によって活性化されて被転写体に転写層を転写する際に十分な柔軟性が得られることが好ましく、特に高画質画像を得やすいという観点からグラビア印刷インキにより形成されることが好ましい。また絵柄のない着色層を塗布によって形成することもできる。
【0033】
装飾層に使用される樹脂、すなわち印刷インキ又は塗料に用いられる基材樹脂は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、ビニリデン樹脂(ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオネート)、エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹脂、石油系樹脂、セルロース誘導体樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。これらの中でもポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合樹脂が、有機溶媒への溶解性、流動性、顔料分散性、転写性に優れることから好ましく用いられ、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂が好ましく、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
【0034】
装飾層に使用される樹脂、すなわち印刷インキ又は塗料に用いられるポリウレタン樹脂は、数平均分子量(ポリスチレン検量線によるGPCによる測定値)が2,000以上60,000以下、より好ましくは2,500以上56,000以下、更に好ましくは2,500以上40,000以下であるものが有機溶媒への溶解性および剥離性フィルムとの適度な密着性を有することから好ましい。ポリウレタン樹脂の数平均分子量が2,000より小さいと、耐候性が低下し、数平均分子量が60,000を超えて大きいと、ガラス転移温度が高くなり、印刷インキ又は塗料の密着性、流動性、顔料分散性、転移性が低下する。また、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、−5℃以上70℃以下であることが、有機溶媒への溶解性および被転写物との適度な密着性を有することから好ましい。
【0035】
ポリウレタン樹脂の水酸基価は、低いものが好ましく、水酸基を有しないポリウレタンが好ましい。ポリウレタン樹脂の水酸基価が大きいほど、ポリウレタン樹脂分子同士が水素結合等により巨大分子化しやすく、ガラス転移温度が高くなり転写性が低下する傾向がある。
【0036】
装飾層に使用される樹脂、すなわち印刷インキ又は塗料に用いられるポリエステル樹脂の数平均分子量は、2,000〜8,000であると、剥離性フィルムと適度な密着性を有するために好ましく、より好ましくは2,500〜7,500、最も好ましくは2,500〜7,000である。数平均分子量が2,000より小さいと、柔軟性や破断伸度が低下して、転写時の被転写体への追随性が低下し、得られる水圧転写体に形成される装飾層の画質が低下する。数平均分子量が8,000を超えて大きいと、ポリエステル樹脂分子同士が水素結合等により巨大分子化しやすく、ガラス転移温度が高くなり、転写性が低下する。また、印刷インキ又は塗料に用いるポリエステル樹脂のガラス転移温度は、−5℃以上70℃以下であると、被転写物と適度な密着性を有することから好ましい。
【0037】
装飾層に使用される樹脂、すなわち印刷インキ又は塗料に用いられるポリエステル樹脂は、水酸基の少ないポリエステルが好ましく、具体的には水酸基価が5以下であるポリエステルが好ましい。
ポリエステル樹脂の水酸基価が大きいと、ポリエステル樹脂分子同士が水素結合等により巨大分子化しやすくなり、ガラス転移温度が高くなって、印刷インキ又は塗料の転移性が低下する傾向がある。他の樹脂を配合してインキや塗料のガラス転移温度を低く調製する場合は、ポリエステル樹脂以外の樹脂として、上記のポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0038】
印刷インキ又は塗料には、基材樹脂のほか、顔料又は染料等の着色剤を含む。着色剤の配合量は装飾目的に応じて適宜決定すればよいが、通常、1〜50質量部の範囲であり、より好ましくは3〜30質量部の範囲である。
着色剤としては、例えば、黒色顔料としてカーボンブラック;黄色顔料として、黄鉛、アントラキノンイエロー、ミネラルファストイエロー、チタンイエロー;赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー;緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ;白色顔料として、チタンホワイト等を使用できる。
【0039】
装飾層に使用される樹脂、すなわち印刷インキ又は塗料には、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、溶媒などを含有させてよい。
【0040】
上記の装飾層に使用される樹脂は、好ましく装飾層安定化層に用いられる。
装飾層安定化層および装飾層の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などにより行うことができ、高画質画像を得やすいため、グラビア印刷が好ましい。装飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。
装飾層安定化層の乾燥膜厚は、0.1〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜7μm、より更に好ましくは0.3〜4μmである。
【0041】
装飾層の印刷インキ又は塗料に用いる有機溶媒としては、上記印刷インキ又は塗料を溶解するものであればよく、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒などを挙げることができる。有機溶媒の配合量は、印刷インキ又は塗料全体の100質量部に対して20〜80質量部が好ましく、より好ましくは30〜60質量部である。配合量が20質量部より少ないと、粘度が高くなって作業性が低下し、また熱可塑性樹脂への着色剤の分散が十分行われない。一方、有機溶媒の配合量が80質量部を超えて多いと、印刷後の乾燥に長時間を要し生産性が低下する。
【0042】
装飾層の乾燥膜厚は、良好な装飾性と水圧転写時の活性化が可能であるために、0.5〜15μmであることが好ましく、さらに好ましくは、1〜7μmである。なお、意匠性や展延性を阻害しない限り、硬化性樹脂形成層および装飾層中に消泡剤、沈降防止剤、顔料分散剤、流動性改質剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤などの慣用の各種添加剤を加えても構わない。
【0043】
[水圧転写用フィルムの製造方法]
本発明の水圧転写用フィルムは、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルム上に硬化性樹脂形成層を設け、更に該硬化性樹脂形成層上に装飾層安定化層を設け、更に装飾層を設けることにより、支持体フィルム上に硬化性樹脂形成層、装飾層安定化層、装飾層の順に積層された水圧転写フィルムを製造しても良いし、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルム上に硬化性樹脂形成層を設けたフィルム(Ia)と、剥離性フィルム上に装飾層と装飾層安定化層を設けたフィルム(IIa)とをドライラミネーションにより貼り合わせて、支持体フィルム上に硬化性樹脂形成層、装飾層安定化層、装飾層の順に積層された剥離フィルム付水圧転写フィルムを製造してもよいし、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルム上に硬化性樹脂形成層を設け、更に該硬化性樹脂形成層上に装飾層安定化層を設けたフィルム(Ib)と、剥離性フィルム上に装飾層を設けたフィルム(IIb)とをドライラミネーションにより貼り合わせて、支持体フィルム上に硬化性樹脂形成層、装飾層安定化層、装飾層の順に積層された剥離フィルム付水圧転写フィルムを製造してもよい。
【0044】
前述の剥離性フィルムとしては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンまたはポリ塩化ビニルからなるフィルムが挙げられ、比較的安価でかつリサイクルが容易なポリオレフィン系フィルムが特に好ましい。
【0045】
前述の剥離性フィルムの厚みは、装飾層との適度の密着性、印刷時の強度との観点から、0.5μm〜250μmであるものが好ましい。また、必要に応じて、剥離性フィルムに表面処理を行うことにより、最大剥離力を更に調整することも可能である。
【0046】
ドライラミネーションによる貼り合わせで水圧転写フィルムを製造する場合、PVAフィルムをはじめとする水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムは一般的に耐熱性が低いので、130℃を超える温度で貼り合わせると、フィルムの収縮やラミじわが入りやすくなる問題が生じ易いことから、フィルム(I)とフィルム(II)との乾燥、加熱加圧による貼り合わせは、40〜120℃、より好ましくは、40〜100℃の温度範囲で行うことが好ましい。
【0047】
[水圧転写体の製造方法]
本発明の水圧転写体の製造方法は、従来の水圧転写用フィルムと同様な方法で水圧転写を行うことができる。なお、剥離性フィルム付水圧転写フィルムの場合は剥離性フィルムを剥離してから、従来の水圧転写用フィルムと同様な方法で水圧転写を行うことができる。本発明の水圧転写用フィルムを用いた水圧転写体の製造方法の概略を以下に示す。
【0048】
(1)水圧転写用フィルムを支持体フィルムを下にして水槽中の水に浮かべ、支持体フィルムを水で溶解もしくは膨潤させる。
(2)硬化性樹脂形成層と装飾層安定化層と装飾層とから成る転写層に有機溶媒を塗布または噴霧することにより転写層を活性化させる。なお、転写層の有機溶媒による活性化は、フィルムを水に浮かべる前に行っても良い。
(3)転写層に被転写体を押しつけながら、被転写体と水圧転写用フィルムを水中に沈めて行き、水圧によって転写層を被転写体に密着させて転写する。
(4)得られた水圧転写体から支持体フィルムを除去し、水圧転写体を乾燥させた後、被転写体に転写された転写層の硬化性樹脂形成層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種により硬化させ、硬化樹脂層と装飾層安定化層と装飾層とを有する水圧転写体を得る。
【0049】
硬化樹脂層と装飾層安定化層と装飾層とから成る転写層は、水圧転写される前に散布される有機溶媒で活性化され、十分に可溶化もしくは柔軟化されることが必要である。ここで言う活性化とは、転写層に有機溶媒を塗布または散布することにより、転写層を構成する樹脂を完全には溶解せずに可溶化させ、水圧転写に際して親水性の支持体フィルムから疎水性の転写層の剥離を容易にすると共に、転写層に柔軟性を付与することにより転写層の被転写体の三次元曲面への追従性と密着性を向上させることを意味する。この活性化は、転写層を水圧転写用フィルムから被転写体へ転写する際に、これらの転写層が柔軟化され、被転写体の三次元曲面へ十分に追従できる程度に行われれば良い。
【0050】
水圧転写における水槽の水は、転写層を転写する際に水圧転写用フィルムの硬化性樹脂形成層もしくは硬化性樹脂形成層と装飾層とを被転写体の三次元曲面に密着させる水圧媒体として働く他、支持体フィルムを膨潤または溶解させるものであり、具体的には、水道水、蒸留水、イオン交換水などの水で良く、また用いる支持体フィルムによっては、水にホウ酸等の無機塩類を10%以下、またはアルコール類を50%以下溶解させてもよい。
【0051】
本発明に用いる活性化剤は、硬化樹脂層と装飾層安定化層と装飾層とを可溶化させる有機溶媒である。本発明に用いる活性化剤は、一般の水圧転写に用いる活性化剤と同様なものを用いることができ、具体的には、トルエン、キシレン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、カルビトール、カルビトールアセテート、セロソルブアセテート、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ソルフィットアセテートなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
この活性化剤中に印刷インキ又は塗料と成形品との密着性を高めるために、若干の樹脂成分を含ませてもよい。例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂といった、インキのバインダーに類似の構造のものを1〜10%含ませることによって密着性が高まることがある。
【0053】
被転写体に転写層を水圧転写した後、支持体フィルムを水で溶解もしくは剥離して除去した後、乾燥させる。被転写体からの支持体フィルムの除去は、従来の水圧転写方法と同様に水流で支持体フィルムを溶解もしくは剥離して除去する。
【0054】
活性エネルギー線硬化性樹脂からなる硬化性樹脂形成層については、水圧転写体を乾燥させた後に活性エネルギー線照射を行い、硬化性樹脂形成層の硬化を行う。熱硬化性樹脂からなる硬化性樹脂形成層であれば、乾燥とともに硬化性樹脂形成層の硬化を行うことができる。
【0055】
被転写体は、その表面に硬化性樹脂形成層や装飾層が十分密着することが好ましく、必要に応じて被転写体表面にプライマー層を設ける。プライマー層を形成する樹脂は、プライマー層として慣用の樹脂を特に制限なく用いることができ、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。また、密着性の良好なABS樹脂やSBSゴムなどの溶媒吸収性の高い樹脂成分からなる被転写体にはプライマー処理は不要である。被転写体の材質は、必要に応じて防水加工を施すことにより水中に沈めても形状が崩れないものであれば、金属、プラスチック、木材、パルプモールド、ガラス等のいずれであっても良く特に限定されない。
【0056】
本発明が適用できる水圧転写体の具体例としては、テレビ、ビデオ、エアコン、ラジオカセット、携帯電話、冷蔵庫等の家庭電化製品;パーソナルコンピューター、ファックスやプリンター等のOA機器;ファンヒーターやカメラなどの家庭製品のハウジング部分;テーブル、タンス、柱などの家具部材;バスタブ、システムキッチン、扉、窓枠などの建築部材;電卓、電子手帳などの雑貨;自動車内装パネル、自動車やオートバイの外板、ホイールキャップ、スキーキャリヤ、自動車用キャリアバッグなどの車内外装品;ゴルフクラブ、スキー板、スノーボード、ヘルメット、ゴーグルなどのスポーツ用品;広告用立体像、看板、モニュメントなどが挙げられ、曲面を有しかつ装飾を必要とする成形品に特に有用に用いられ、極めて広い分野で使用可能である。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。特に断わりのない限り「部」、「%」は質量基準である。
【0058】
<硬化性樹脂組成物の製造>
(製造例1:硬化性樹脂組成物R1の製造)
ペンタエリスリトール2モル当量とヘキサメチレンジイソシアネート7モル当量とヒドロキシエチルメタクリレート6モル当量を60℃で反応して得られるウレタンアクリレート(UA1)60部(1分子中の平均のアクリロイル基数6、質量平均分子量890)とロームアンドハース社製アクリル樹脂商品名パラロイドA−11(Tg100℃、質量平均分子量125,000)40部を、酢酸エチルとメチルエチルケトンの混合溶媒(混合比1:1)に溶解し、更にチバ・スペシャリティケミカルス社製の光重合開始剤商品名「イルガキュア184」3部を添加、攪拌して樹脂固形分42%の硬化性樹脂組成物R1を製造した。
【0059】
(製造例2:硬化性樹脂組成物R2の製造)
ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びスチレンをモル比20:30:15:15:20で共重合させたアクリルポリオール(a)(質量平均分子量25,000)81部にアクリルポリオールの水酸基価に対して1.1倍当量のイソシアネート価のヘキサメチレンジイソシアネートフェノール付加物とヘキサメチレンジイソシアネートの3量体のフェノール付加物との混合物19部をトルエンと酢酸エチル(1:1)の混合溶媒に添加、攪拌して樹脂固形分35%の硬化性樹脂組成物R2を製造した。
【0060】
<支持体フィルムへの硬化性樹脂組成物の塗布>
支持体フィルムであるアイセロ化学社製の厚さ30μmのPVAフィルムへ硬化性樹脂組成物R1、硬化性樹脂組成物R2または硬化性樹脂組成物R1とR2の混合物をリップコーターで所定の乾燥膜厚(20μmあるいは30μm)になるように塗布し、次いで60℃で3分間乾燥した。
【0061】
<水圧転写用フィルムの試験方法>
実施例及び比較例で得た水圧転写体を以下の試験で評価した。
(模様再現性)
3次元立体成形物での模様再現性について、模様再現面積率により以下のように目視評価した。
○:模様再現面積率95%以上(模様再現性良好)
×:模様再現面積率95%未満(模様再現性不良)
【0062】
(密着性)
下記のプライマー処理済亜鉛メッキ鋼板(平板:100mm×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂板(平板:100mm×100mm×3mm)に水圧転写したサンプルについて、碁盤目テープ法(JIS K5400) に準じてインキ密着性を10点満点で評価した。
【0063】
(プライマー処理済亜鉛メッキ鋼板)
大日本インキ化学工業株式会社製商品名「ベッコライト57−206−40」(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエステル樹脂、数平均分子量10,000)を不揮発分換算で45部、チタン白50部、シクロヘキサノン/イソホローン/キシロール=30/50/20の混合溶媒20部を混合し、ビーズミルで練肉し、練肉終了後、硬化剤としてキシレンジイソシアネートを5部、ジブチル錫ジラウレートを0.5部加えて得られた上塗り塗料をクロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m2)に乾燥膜厚として40μmになるようバーコ一夕一にて塗布し、最高到達板温235℃にて焼き付け、プライマー処理済亜鉛メッキ鋼板を得た。
【0064】
(鉛筆硬度)
JIS−K5401「塗膜用鉛筆引き掻き試験機」に準じて塗膜硬度を測定した。芯の長さは3mm塗膜綿との角度45度、荷重1kg、引き掻き速度0.5mm/分、引き掻き長さ3mm、使用鉛筆は三菱ユニで行った。
【0065】
(表面光沢)
JIS K5400に準拠して、60度鏡面光沢度を測定した。
【0066】
(耐擦傷性)
密着性試験で用いたプライマー処理済亜鉛メッキ鋼板(平板:100mm×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂板(平板:100mm×100mm×3mm)に水圧転写したサンプルについて、ラビング試験機(荷重800g)により、乾拭き100回後の表面光沢保持率を評価した。
【0067】
(耐洗剤性)
密着性試験で用いたプライマー処理済亜鉛メッキ鋼板(平板:100mm×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂板(平板:100mm×100mm×3mm)に水圧転写したサンプルについて、住居用洗剤(花王株式会社、商品名マジックリン、原液)を含ませた脱脂綿を用いてラビング試験(荷重800g、往復100回)を実施し、試験後の表面光沢保持率を測定した。
【0068】
(熱水処理後の密着性)
水圧転写したサンプルを水温98℃の熱水中で30分間加熱処理し、次いで塗膜にカッターで1×1mmの碁盤目を100個作成し、その部分に粘着テープを貼った後、粘着テープを剥離し、塗膜の剥離状態を目視にて、次の3段階に評価した。
【0069】
○:剥離が全く認められなかった。
△:全体の1〜30%が剥離した。
×:全体の31〜100%が剥離した。
【0070】
(熱水処理後の光沢保持率)
水圧転写したサンプルを水温98℃の熱水中で30分間、熱処理し、次いで光沢計で60度グロスを測定して熱水処理前後での光沢保持率を算出した。
【0071】
(実施例1)
東洋紡社製の厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、PPフィルムと略す)に、グラビア7色印刷機にて印刷速度20m/分で、下記処方のインキG1により抽象絵柄を乾燥膜厚3μmの設定で印刷し、引き続き下記処方のインキJ1を乾燥膜厚0.8μmの設定で印刷して装飾層安定化層を形成し、装飾フィルムB1を得た。先に製造した支持体フィルムに硬化性樹脂組成物R1を塗布したフィルムの硬化性樹脂形成層と装飾フィルムB1の装飾層安定化層とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温30℃、湿度50%の環境下で96時間エージングした剥離紙付き水圧転写用フィルムF1を作成した。
【0072】
<装飾層用インキG1組成、赤、黄、白>
ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL676):20質量部、顔料(赤、黄、白):10質量部、酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、およびワックス等添加剤:10質量部。
【0073】
<装飾層安定化層用インキJ1組成>
ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL676):20質量部、酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、およびワックス等添加剤:10質量部。
【0074】
得られた水圧転写用フィルムF1からPPフィルムを剥離し、30℃の水浴に塗工面が上になるようにして1分間放置後、活性剤(キシレン/メチルイソブチルケトン/3−メチル3−メトキシブチルアセテート/酢酸ブチル=50/25/15/10)35g/m2をフィルム上に散布した。更に20秒放置後、垂直方向からプライマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(480L冷蔵庫扉)を押し当て、転写層を水圧転写した。転写後、成形物を水洗し、120℃で30分乾燥した。次にUV照射装置(出力240W/cm、10m/分のコンベア速度、UV照射量200mJ/cm2に相当)に2回サンプルを通すことにより、硬化性樹脂形成層を完全硬化させ、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を得た。
(実施例2)
東洋紡社製の厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと略す)に、グラビア7色印刷機にて印刷速度20m/分で、実施例1と同様に下記処方のインキG1により格子絵柄を乾燥膜厚3μmの設定で印刷し、引き続き下記処方のインキJ2を乾燥膜厚1μmの設定で印刷して装飾層安定化層を形成し、装飾フィルムB2を得た。先に製造した支持体フィルムに硬化性樹脂組成物R1を塗布したフィルムの硬化性樹脂形成層と装飾フィルムB2の装飾層安定化層とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温30℃、湿度50%の環境下で96時間エージングした剥離紙付き水圧転写用フィルムF2を作成した。
【0075】
<装飾層安定化層用インキJ2組成>
ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL676):20質量部、顔料(赤):1.5質量部、酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、およびワックス等添加剤:10質量部。
【0076】
得られた水圧転写用フィルムF2からOPPフィルムを剥離し、30℃の水浴に塗工面が上になるようにして1分間放置後、実施例1と同じ活性剤35g/m2をフィルム上に散布した。更に20秒放置後、垂直方向からABS成形物(自動車用内装パネル部品)を押し当て、転写層を水圧転写した。転写後、成形物を水洗し、70℃で30分乾燥した。次にUV照射装置(出力240W/cm、10m/分のコンベア速度、UV照射量200mJ/cm2に相当)に2回サンプルを通すことにより、硬化性樹脂形成層を完全硬化させ、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を得た。
【0077】
(実施例3)
先に製造した支持体フィルムに硬化性樹脂組成物R2を塗布したフィルムの硬化性樹脂形成層と実施例1で用いた装飾フィルムB1の装飾層安定化層とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温30℃、湿度50%の環境下で96時間エージングした剥離紙付き水圧転写用フィルムF3を作成した。
【0078】
得られた水圧転写用フィルムF3からPPフィルムを剥離し、30℃の水浴に塗工面が上になるようにして1分間放置後、実施例1と同じ活性剤35g/m2をフィルム上に散布した。更に20秒放置後、垂直方向からプライマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(480L冷蔵庫扉)を押し当て、転写層を水圧転写した。転写後、成形物を水洗し、140℃で15分加熱し活性剤の乾燥と熱硬化性樹脂形成層の硬化を行った。その結果、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を得た。
【0079】
(実施例4)
東洋紡社製の厚さ50μmのPPフィルムに、グラビア7色印刷機にて印刷速度20m/分で、実施例1と同様に下記処方のインキG1により格子絵柄を乾燥膜厚3μmの設定で印刷し、引き続き実施例2と同様にインキJ2を乾燥膜厚1μmの設定で印刷して装飾層安定化層を形成し、装飾フィルムB4を得た。先に製造した支持体フィルムに硬化性樹脂組成物R1と硬化性樹脂組成物R2を1:1で混合した硬化性樹脂組成物を塗布したフィルムの硬化性樹脂形成層と装飾フィルムB4の装飾層安定化層とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温30℃、湿度50%の環境下で96時間エージングした剥離紙付き水圧転写用フィルムF4を作成した。
【0080】
得られた水圧転写用フィルムF4からPPフィルムを剥離し、30℃の水浴に塗工面が上になるようにして1分間放置後、活性剤(キシレン:MIBK:酢酸ブチル:イソプロパノール、5:2:2:1)35g/m2をフィルム上に散布した。更に20秒放置後、垂直方向からプライマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(大型石油ファンヒーターハウジング)を押し当て、転写層を水圧転写した。転写後、成形物を水洗し、120℃で30分加熱し、活性剤の乾燥と熱硬化性樹脂形成層の硬化を行った。その後、UV照射装置(出力240W/cm、10m/分のコンベア速度、UV照射量200mJ/cm2に相当)に2回サンプルを通すことにより、紫外線硬化性樹脂を完全硬化させた。その結果、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を得た。
【0081】
(実施例5)
厚さ35μmのポリビニルアルコール樹脂フィルムの表面にコンマコーターにより、硬化性樹脂組成物R1を30g(固形分)/m2で塗工した後、次いで60℃で2分間乾燥し、硬化性樹脂形成層を形成した。該硬化性樹脂形成層の上に、グラビア7色印刷機にて印刷速度20m/分で、実施例1と同様に下記処方のインキG1により格子絵柄を乾燥膜厚3μmの設定で印刷し、引き続き実施例2と同様にインキJ2を乾燥膜厚1μmの設定で印刷して水圧転写用フィルムF5を作成した。
【0082】
得られた水圧転写用フィルムF5を、30℃の水浴に塗工面が上になるようにして1分間放置後、実施例1と同じ活性剤35g/m2をフィルム上に散布した。更に20秒放置後、垂直方向からプライマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(480L冷蔵庫扉)を押し当て、転写層を水圧転写した。転写後、成形物を水洗し、120℃で30分加熱し、活性剤の乾燥と熱硬化性樹脂形成層の硬化を行った。その後、UV照射装置(出力240W/cm、10m/分のコンベア速度、UV照射量200mJ/cm2に相当)に2回サンプルを通すことにより、紫外線硬化性樹脂を完全硬化させた。その結果、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を得た。
【0083】
(比較例1)
実施例1において、PPフィルムにインキG1により抽象絵柄を乾燥膜厚3μmの設定で印刷した後、インキJ1を印刷しなかった以外は、実施例1と同様にして、剥離紙付き水圧転写用フィルムF51を作成した。
【0084】
実施例1における水圧転写用フィルムF1を水圧転写用フィルムF51に変えた以外は実施例1と同様に処理して水圧転写体を得た。
【0085】
(比較例2)
実施例3において、PPフィルムにインキG1により抽象絵柄を乾燥膜厚3μmの設定で印刷した後、インキJ1を印刷しなかった以外は、実施例3と同様にして、剥離紙付き水圧転写用フィルムF52を作成した。
【0086】
実施例3における水圧転写用フィルムF3を水圧転写用フィルムF53に変えた以外は実施例3と同様に処理して水圧転写体を得た。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
表1及び表2から明らかなように、本発明の装飾層安定化層を含む水圧転写用フィルムを用いて得られた水圧転写体は、鮮明な絵柄模様を有し、かつ表面光沢、耐擦傷性、熱水処理後の密着性および光沢性が共に優れるものであった。一方、比較例で示したように装飾層安定化層を含まない水圧転写用フィルムF51およびF52を用いて得られた水圧転写体は、絵柄模様が乱れてしまい、製品価値が失われた。
【0090】
【発明の効果】
本発明の水圧転写用フィルムは、硬化性樹脂形成層と装飾層との間に装飾層安定化層を設けることにより、装飾層の意匠性を低下させることなく、鮮明な絵柄模様を転写することが可能である。特に、活性化により時間がかかる大型の水圧転写品においては、その効果はより明確となり、大型製品への水圧転写に対して本発明の水圧転写フィルムは非常に有用であり、製造工程での不良品発生が少ない。
また、本発明の水圧転写体の製造方法は、連続した装飾層安定化層を有する水圧転写用フィルムを使用するので、転写不良がなく、優れた表面特性を有する硬化樹脂層と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を効率よく製造することができる。
本発明の水圧転写用フィルムと水圧転写体の製造方法は、耐擦傷性、耐水性および耐薬品性などの優れた表面特性と高度の意匠性を有する水圧転写体の製造を可能とし、高度な意匠性と表面強度が要求される家庭電化製品、建築部材、自動車部材などの装飾付の三次元曲面を有する水圧転写体の製造に特に有用である。
Claims (4)
- 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層からなり、前記転写層が前記支持体上に硬化性樹脂形成層、装飾層安定化層、装飾層の順に積層されている水圧転写フィルムであって、前記装飾層安定化層に装飾層と同種の樹脂を使用することを特徴とする水圧転写フィルム。
- 前記装飾層安定化層が、装飾層に使用している樹脂を90%以上含有する請求項1記載の水圧転写フィルム。
- 前記装飾層安定化層に使用する、装飾層と同種の樹脂が、ポリウレタンまたはポリエステルである請求項1または2記載の水圧転写フィルム。
- 請求項1から3のいずれかの請求項に記載の水圧転写用フィルムを用いて、被転写体の表面に前記転写層を水圧転写した後、転写された前記硬化性樹脂形成層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させたことを特徴とする水圧転写体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003050881A JP2004255794A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 水圧転写用フィルムおよび水圧転写体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPS6422378A (en) * | 1987-07-17 | 1989-01-25 | Dainippon Printing Co Ltd | Hydraulic transfer sheet and its usage |
JPH08108610A (ja) * | 1994-10-12 | 1996-04-30 | Tezuka Tenshiya Insatsu:Kk | 水圧転写紙 |
JP2001328398A (ja) * | 2000-05-18 | 2001-11-27 | Nippon Decor Inc | 水圧転写シート及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003050881A patent/JP2004255794A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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