JP2004255252A - 水素吸蔵材料の製造方法、および水素吸蔵材料 - Google Patents

水素吸蔵材料の製造方法、および水素吸蔵材料 Download PDF

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Abstract

【課題】反応場の精密制御が不要で、安価に水素吸蔵材料を製造する方法を提供する。
【解決手段】金属酸化物を含有する粉末とホウ素を含有する粉末とを混合した粉末を、窒素を含む不活性雰囲気中で熱処理することによって窒化ホウ素微小体の水素吸蔵材料を得る。或いは、金属酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末とを混合した粉末を、非酸化性雰囲気中で熱処理することによって炭素微小体の水素吸蔵材料を得る。これら製造方法で得られる微小体は、ワイヤ状若しくは円筒状の形状を有し、その平均直径が0.5μm以下である水素吸蔵材料となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
微粒子を用いた水素吸蔵材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保全への要求から地球温暖化の抑制を目的としたCOの排出削減に関する技術開発が盛んに行なわれている。例えば、自動車の燃料を従来のガソリンからメタノールへと代替したり、水素ガスをエネルギー源とする燃料電池が開発されている。水素ガスを利用する場合、通常、水素は高圧貯蔵、液化貯蔵、水素吸蔵合金による貯蔵などの方法で貯蔵される。しかし、高圧貯蔵や液化貯蔵の場合においては、防爆性を考慮して水素ガス貯蔵容器が重量化してしまい、輸送や取り扱いが困難となる。水素吸蔵合金を利用する場合においても、水素吸蔵合金自体の重量が重いため、実用的ではない。
重量の問題を解決するために、より軽量な水素吸蔵材料として次の(1)〜(4)等が開発されている。
(1)フラーレン(特許文献1)、
(2)合金が被覆している活性炭やカーボンナノチューブ(特許文献2)、
(3)金属内包フラーレン(特許文献3)、
(4)グラファイトナノファイバー(特許文献4)
【0003】
【特許文献1】
特開平5−270801号公報(第5頁左欄第40行〜右欄第9行)
【特許文献2】
特開平10−72201号公報(第2頁右欄第12行〜第20行)
【特許文献3】
特開平9−199123号公報
【特許文献4】
米国特許第5653951号明細書(第1頁、図1A)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記水素吸蔵材料の製造方法はいずれも反応場(雰囲気、圧力、温度など)の精密な制御を可能とする設備が必要であり、さらには目的物質を取り出すための精製工程を介しても目的物質の回収率が小さく、製造コストが高い。
そこで、本発明の目的は、軽量な水素吸蔵材料を安価に製造することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、軽量な水素吸蔵材料を安価に製造する手段を検討した結果、金属酸化物が窒化ホウ素微小体や炭素微小体の生成促進作用を有することを見出し、さらには上記窒化ホウ素微小体や炭素微小体が水素吸蔵能力を有することを見出したことにより、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、金属酸化物を含有する粉末とホウ素を含有する粉末とを混合した粉末を、窒素を含む不活性雰囲気中で熱処理することによって得られる窒化ホウ素微小体から成る水素吸蔵材料の製造方法、または、金属酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末とを混合した粉末を、非酸化性雰囲気中で熱処理することによって得られる炭素微小体から成る水素吸蔵材料の製造方法を提供する。更に、上記製造方法から得られる水素吸蔵材料は、ワイヤ状若しくは円筒状の形状を有し、その平均直径が0.5μm以下であることを特徴とする窒化ホウ素微小体または炭素微小体から成る水素吸蔵材料である。より望ましくは水素吸蔵体の直径を0.5μm以下にする。上記水素吸蔵材料は屈曲した形状を特徴とする。さらに上記水素吸蔵材料は金属粒子を内包していることを特徴とする。
【0007】
上記製造方法は金属酸化物を原料としており、安価であると共に、原料粉末を特定の雰囲気中で加熱するだけなので、特別な設備を必要とせず、安価で大量に水素吸蔵材料を製造することができる。
上記水素吸蔵材料はその形状が複雑に屈曲していることにより比表面積が大きく、多数のナノメートル(nm)オーダーの空間を内包しているため、水素ガス吸蔵能が高い。また窒化ホウ素や炭素は主にグラファイト構造であるため、層間に水素が侵入することによって水素吸蔵能力を示す。また内包している金属粒子自体が水素吸蔵する場合もある。本発明により、BET比表面積が20m/g以上の水素吸蔵材料を得る。
【0008】
本発明の他の水素吸蔵体は、ワイヤ状若しくは円筒状の形状を有し、内部に節もしくは架橋を有する微小体の粉末であることを特徴とする。さらに、ワイヤ状若しくは円筒状の形状は、その平均直径が0.5μm以下であることが好ましい。内部に節もしくは架橋を多数有することにより、比表面積の増大に更に図るものである。節や管の一部を開口させたり、開口を広げる為には、微小体を作製後に熱処理を施すことが望ましい。
【0009】
ここで、“節”とは筒状(あるいは管状)の微小体の内部を複数の空洞に分離したり、複数の区画に分割することができる部材に相当する。“架橋”とは、筒状の微小体の内壁の任意の部分同士を接続する部材に相当する。架橋がより集まって節を構成することも可能と考えられる。節の面は、管の壁や円筒の壁に対して、平行な配置ではなくむしろ直交するような配置に近い関係にある。節が複数個ある場合、節同士の間隔は例えば0.5d以上とする。ここで、dは節と節の中間における円筒状の部分の直径dに相当する。また、この微小体は、複数個の節を備えていても外径や壁面厚さが一方的に漸減するとは限らず、むしろ増加させることも可能であり、長尺の微小体を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に説明する。
まず、窒化ホウ素微小体の製造方法について説明する。金属酸化物を含有する粉末とホウ素を含有する粉末とを原料として用いる。金属酸化物を構成する金属としては遷移金属の中から選ぶことが出来るが、Fe,Co,Niの少なくとも一つを含んでいることがより好ましい。また、酸化物における金属と酸素の組成比については特に限定しない。Feを例にとると、FeO、Fe、Feなどが挙げられる。酸化物であるため酸化安定性に優れており、大気中での取り扱いが容易である。
【0011】
金属酸化物の粉末の粒径は0.001〜1μmであることが好ましい。0.001μm未満の粉末は原料コストが高くなる。また、粉末の粒径が1μmを越えるとホウ素粉末との反応性が低下するので好ましくない。ホウ素を含有する粉末としてはホウ素単体の粉末が適しているが、ホウ素を含有する金属あるいは半金属の粉末も使用できる。ホウ素粉末の粒径は0.001〜100μmの範囲内で選択できるが、より好ましくは0.1〜50μmとする。0.1μm未満のホウ素粉末は作製することは容易ではなく、原料コストが高くなる。ホウ素粉末が50μmを越えると前記金属酸化物粒子と混合する際、分散に不均一が生じ、未反応生成物発生の原因となる。金属酸化物とホウ素粉末の混合粉において、金属酸化物の含有率は5〜80mass%が好ましい。5mass%未満では窒化ホウ素微小体の生成量が少ない。また80mass%を越えるとホウ素が不足して窒化ホウ素が生成しなくなる。金属酸化物粉末とホウ素粉末との混合には、乳鉢などで手動混合してもよいし、V字型混合機などの自動混合機を使用することもできる。
【0012】
前記手法により得た混合粉を熱処理する際、アルミナ、黒鉛、BN(窒化ホウ素)などの耐熱性かつ安定性に優れた材料で構成されるルツボを使用することができる。熱処理時の雰囲気は窒素を含む不活性雰囲気であって、窒素のみならず窒素とAr、窒素とHe、窒素とNe、窒素とアンモニア、あるいは窒素と水素、といった混合ガスも使用できる。安全性を考慮すれば窒素または窒素と不活性ガス(Ar,He,Neなど)との混合ガスを使用することが好ましい。熱処理温度は800℃以上の温度とすることができるが、実用的には1000〜1600℃が好ましい。1000℃未満の温度では熱処理時間が著しく長時間化する。1600℃を越える温度では加熱炉に耐熱部材を使用しなければならず製造コストが高くなる。熱処理中の反応は、以下の3工程を経る。
【0013】
第一工程:ホウ素が金属酸化物を還元して、金属とホウ素とホウ素酸化物の混相状態となる工程。
第二工程:還元された金属とホウ素が反応して化合物を形成し、金属と金属ホウ化物とホウ素酸化物の混相状態となる工程。
第三工程:金属ホウ化物からホウ素が外部表面へ拡散して雰囲気中の窒素と反応し、BNが形成する工程。この工程で金属ホウ化物粒子が窒化ホウ素(BN)で被覆された金属粒子へと変化する。また、金属粒子を被覆するだけに留まらず、ワイヤ状または円筒状の窒化ホウ素が伸長する。
【0014】
次に、炭素微小体の製造方法について説明する。金属酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末とを原料として用いる。金属酸化物を構成する金属としては遷移金属の中から選ぶことが出来るが、Fe,Co,Niの少なくとも一つを含んでいることがより好ましい。また、酸化物における金属と酸素の組成比については特に限定しない。Feを例にとると、FeO、Fe、Feなどが挙げられる。酸化物であるため酸化安定性に優れており、大気中での取り扱いが容易である。金属酸化物粉末の粒径は0.001〜1μmであることが好ましい。0.001μm未満の粉末は原料コストが高くなる。また、粉末の粒径が1μmを越えると、後述の炭素粉末との反応性が低下するので好ましくない。
【0015】
炭素粉末としては炭素単体の粉末が適しているが、炭素を含有する金属、半金属の粉末やポリビニルアルコールなどの高分子体の粉末も使用できる。炭素単体の粉末としては黒鉛、石墨、アモルファスカーボンやカーボンブラックなど、主要構成元素が炭素である粉末を使用できる。炭素粉末の粒径は0.001〜100μmの範囲内で選択できるが、より好ましくは0.1〜50μmとする。粒径が極端に微細であると、原料コストが高くなる。炭素粉末が50μmを越えると前記金属酸化物粒子と混合する際、分散に不均一が生じ、未反応生成物発生の原因となる。金属酸化物と炭素粉末の混合粉において、金属酸化物の含有率は5〜80mass%が好ましい。5mass%未満では炭素微小体の生成が少ない。80mass%を越えると炭素が不足して炭素微小体が生成しなくなる。
【0016】
金属酸化物粉末と炭素粉末との混合には、乳鉢などで手動混合してもよいし、V字型混合機などの自動混合機を使用することもできる。前記手法により得た混合粉を熱処理する際、アルミナ、黒鉛、BNなどの耐熱性かつ安定性に優れた材料で構成されるルツボを使用することができる。熱処理時の雰囲気は非酸化性雰囲気であれば特に限定せず、Ar、He、Neなどの不活性ガスや窒素などを使用することができる。熱処理温度は600℃以上の温度とすることができるが、実用的には1000〜1600℃が好ましい。1000℃未満の温度では熱処理時間が著しく長時間化する。1600℃を越える温度では加熱炉に耐熱部材を使用しなければならず製造コストが高くなる。熱処理中の反応は、以下の3工程を経る。
【0017】
第一工程:炭素が金属酸化物を還元して炭酸ガスが発生し、還元された金属粒子と余剰の炭素粉が共存する工程。
第二工程:金属中に炭素が固溶する工程。
第三工程:冷却とともに金属粒子表面へ析出してきた炭素が成長して金属粒子を被覆する工程。また炭素が過剰に供給されている場合には金属粒子を被覆するだけに留まらず、ワイヤ状または円筒状の炭素微小体が伸長する。
【0018】
以上の製造方法で得られた窒化ホウ素微小体若しくは炭素微小体は、ワイヤ状若しくは円筒状の形状を有し、その平均直径が0.5μm以下であることを特徴とする。また、上記微小体は屈曲した形状を特徴とする。さらに上記微小体は金属粒子を内包していることを特徴とする。さらなる軽量化のために金属粒子を除去する場合は、上記微小体を酸処理することが好ましい。酸としては特に限定しないが、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などから選ぶことができる。処理方法としては、酸性溶液中に上記微小体から成る粉末を所定の時間浸漬させ、次いで水洗工程を経て乾燥させる方法が好ましい。酸処理によって上記微小体の一部が侵食され、グラファイト層の断面が現われることによって更に水素吸蔵能力が向上する場合がある。
【0019】
水素は上記微小体が含有するナノ空間内へ侵入することにより吸蔵されるが、より多くの水素を吸蔵させるためには加圧することが好ましい。水素圧を高くすることにより水素とグラファイト構造の接触確率を高くするとともに、微小体が有するナノ空間内への水素の侵入を促進させることができる。
【0020】
直径とは、例えば、1個の微小体について、ワイヤ状もしくは円筒状の部分の断面(長手方向に直交する向きでの断面)を見たときの外径に相当する。断面が円形でない場合には最大値を直径と見なす。微小体が、長手方向に沿ってゆるやかに変化している直径を有する場合には、長手方向で見たときの最大径と最小径の中間値を微小体の直径として表わせばよい。ワイヤ状若しくは円筒状の形状から大きく外れる箇所がある場合には、その箇所を無視し、ワイヤ状若しくは円筒状の部分のみで直径を評価する。
【0021】
平均直径とは、例えば、ワイヤ状若しくは円筒状の微小体を有する粉末を試料として、電子顕微鏡写真を撮影する。写真内で任意の面積内にある微小体について各々の直径を測定して平均値を求める。すなわち、N個の微小体について(N≧50個)、前記直径を測定し、平均直径=(測定した直径の総和)/Nとして表わす。写真に代えて、イメージを取得し、パソコンと画像処理ソフトを利用して直径を測定してもよい。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
窒化ホウ素微小体は以下のようにして作製した。原料として、酸化鉄粉(堺化学工業(株)製、FRO−3)とホウ素粉末(レアメタリック社製、#325メッシュ)を用いた。ここで平均粒径は酸化鉄粉が0.03μm、ホウ素粉末が21μmである。酸化鉄粉とホウ素粉末を5:5の割合で秤量し、V字型ミキサーによって10分間混合した。得られた混合粉をアルミナ製ボートに充填し、管状炉にて1100℃で2時間熱処理した。加熱時の雰囲気は窒素ガスとし、加熱中は窒素ガスを2l/m(=3.3×10−5/s)の速度で流しておいた。室温まで炉冷した熱処理済の混合粉は軽く凝集していたため、匙で解砕しながら回収した。上記粉末のX線回折測定結果を図1の(a)に示す。主要ピークは六方晶窒化ホウ素(h−BN)と鉄(α−Fe)である。酸化鉄およびホウ素に対応する回折ピークは存在していなかった。さらに、透過型電子顕微鏡により上記粉末を観察すると、図2の写真に示すような屈曲したワイヤ状の窒化ホウ素微小体が形成していた。他に窒化ホウ素微小体が直径0.5μm程度の鉄粒子を含有しているものを観察した。観察した微小体及び金属粒子の組成同定にはEDXおよびEELS分析を用いた。
【0023】
図3は、図2の写真の構造を模写した概略図であり、ワイヤ状の窒化ほう素微小体を示す。この窒化ほう素微小体1は、内部に空洞2を有するチューブ3が多数個連結して、長い屈曲したチューブ状を構成している。一方の端はチューブ3の構造で終端されている。他方の端は、チューブ3であるr−BN組織と、h−BN的な部位12bが混在した組織を経て、h−BN組織12で終端されている。図3中、点線で表示した曲線は、電子顕微鏡のサンプルホルダーに窒化ほう素微小体1を固定するためのコロジオン膜13の外延を表している。図3の方形の囲いの右外の線と文字は、線の長さが200nmの寸法に対応することを示す。
【0024】
この窒化ホウ素微小体から成る粉末を以下に示す条件で水素を吸蔵させた。0.5gの上記窒化ホウ素粉末を容量20ml(=20×10−6)の試料管に充填し、試料中の含水分を除去する目的で以下に説明する活性処理を行なった。すなわち、試料管を300℃で加熱しながら水素を13MPaの加圧状態にして23時間放置した後、水素を排気しながら室温まで冷却した。その後、試料管を40℃の恒温槽で保持して温度を安定化させ、続いて試料管に水素を導入して所定の圧力で平衡状態になるよう保持し、その後の試料管内の圧力変化から水素吸蔵量を算出した。水素圧力が0〜12MPaの範囲では水素吸蔵量が0.1mass%以下の値を示していたが、12MPaを越えると水素吸蔵量が急激に上昇し、0.5mass%まで吸蔵した。水素吸蔵量の単位mass%は、水素吸蔵材料の単位質量あたりに含有される水素の質量に相当する。
【0025】
(実施例2)
炭素微小体は以下のようにして作製した。原料として、酸化鉄粉(堺化学工業(株)製、FRO−3)と炭素粉末(高純度化学製、ca.5μm)を用いた。ここで平均粒径は酸化鉄粉が0.03μm、炭素粉末が5μmである。酸化鉄粉と炭素粉末を5:5の割合で秤量し、V字型ミキサーによって10分間混合した。得られた混合粉をアルミナ製ボートに充填し、管状炉にて1100℃で2時間熱処理した。加熱時の雰囲気は窒素ガスとし、加熱中は窒素ガスを2l/m(=3.3×10−5/s)の速度で流しておいた。室温まで炉冷した熱処理済の混合粉を回収した。上記粉末のX線回折測定結果を図1の(b)に示す。主要ピークはグラファイト(C)と鉄(α−Fe)である。酸化鉄に対応する回折ピークは存在していなかった。さらに透過型電子顕微鏡により上記粉末を観察すると、図4に示すような円筒状の炭素微小体が形成していた。他に炭素微小体が直径0.5μm程度の鉄粒子を含有しているものを観察した。観察した微小体及び金属粒子の組成同定にはEDXおよびEELS分析を用いた。
上記炭素微小体について、実施例1と同様に水素吸蔵測定を行ない、水素を0.3mass%吸蔵することを確認した。
【0026】
図5は、図4の写真の構造に対応する概略図である。炭素微小体201は、Fe粒子202をベースにして炭素のチューブ203が曲線状に成長した構造である。チューブ203の内部には複数の節204が存在し、対向する節とチューブの壁203bに囲われた領域は空洞205を構成する。チューブ203の他端は閉じられており、先端部206となっている。この炭素微小体201において、チューブの成長方向が曲がっていることは、チューブの壁の厚さや節の間隔が均一ではないことと関係すると考えられる。特に、チューブの壁203c,203eの箇所はチューブの厚さが薄い。
【0027】
もう一つの炭素微小体207は、Fe粒子208をベースにして炭素のチューブ209が曲線状に成長するとともに、先端に他のFe粒子213を包含する構造である。チューブ209の内部には複数の節210が存在し、対向する節とチューブの壁に囲われた領域は空洞211を構成する。Fe粒子213の近傍にあるFe粒子220はチューブの壁220等により隔てられているように見える。この炭素微小体207にて、Fe粒子213はチューブの成長当初から付いていたものか、チューブが成長した過程で取り込んだものかは定かでない。なお、Fe粒子208やチューブの壁212は、炭素微小体201と重複して見えているだけで、接続はされていない。さらに、他のFe粒子214は単独で存在している。図5中、直線若しくは屈曲した一点鎖線は原料の炭素215,216の輪郭を表している。曲線状の一点鎖線は炭素微小体等を電子顕微鏡のサンプルホルダーに固定するためのコロジオン膜217,218の輪郭を表している。符号219は、図5の寸法を判りやすくするために記入したスケール表示であり、元の図4にそのような構造があるのではない。スケール表示の3本線の長さは100nmに相当する。
【0028】
図4の写真に基づいて、各々の炭素微小体の外径Roと内径Riの比を測定した。任意の箇所について測定し、(Ri/Ro)=0.67、0.75、0.40、0.69、0.57、0.63、0.75、0.44というようなデータを得た。製造条件のパラメータを変えて炭素微小体を製造すると、平均外径や平均内径も変えることができることができた。これらの条件変更を考慮すると、(Ri/Ro)の上限を0.8とすることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る構成を用いることにより、反応場の精密制御が不要となり、水素吸蔵材料を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱処理後の粉末のX線回折パターンを示すグラフである。
【図2】電子顕微鏡で観察した粉末を構成する微粒子の顕微鏡写真である。
【図3】図2の写真の構造に対応する概略図である。
【図4】電子顕微鏡で観察した粉末を構成する微粒子の顕微鏡写真である。
【図5】図4の写真の構造に対応する概略図である。
【符号の説明】
1 窒化ほう素微小体、 2 空洞、 3 チューブ、
12 h−BN組織、 12b h−BN的な部位、 13 コロジオン膜、
201 炭素微小体、 202 Fe粒子、 203 チューブ、
203b チューブの壁、 203c 203e チューブの壁、
204 節、 205 空洞、 206 先端部、
207 炭素微小体、 208 Fe粒子、 209 チューブ、 210 節、
211 空洞、 212 チューブの壁、 213 Fe粒子、
214 Fe粒子、 215 216 原料の炭素、
217 218 コロジオン膜、 219 スケール表示

Claims (6)

  1. 金属酸化物を含有する粉末とホウ素を含有する粉末とを混合した粉末を、窒素を含む不活性雰囲気中で熱処理することによって窒化ホウ素微小体の水素吸蔵材料を得ることを特徴とする水素吸蔵材料の製造方法。
  2. 金属酸化物を含有する粉末と炭素を含有する粉末とを混合した粉末を、非酸化性雰囲気中で熱処理することによって炭素微小体の水素吸蔵材料を得ることを特徴とする水素吸蔵材料の製造方法。
  3. 請求項1又2に記載の製造方法で得られる微小体であって、ワイヤ状若しくは円筒状の形状を有し、その平均直径が0.5μm以下であることを特徴とする水素吸蔵材料。
  4. 請求項1又2に記載の製造方法で得られる微小体であって、屈曲した形状を特徴とする水素吸蔵材料。
  5. 請求項1又は2に記載の製造方法で得られる微小体であって、金属粒子を包含していることを特徴とする水素吸蔵材料。
  6. ワイヤ状若しくは円筒状の形状を有し、内部に節もしくは架橋を有する微小体の粉末であることを特徴とする水素吸蔵材料。
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