JP2004254702A - カドヘリン物質および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 新規のカドヘリンをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【解決手段】 細胞間接着に関与する新規のCa2+依存性細胞接着タンパク質、すなわち、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13をコードする精製および単離されたポリヌクレオチド。
【選択図】 なし

Description

本発明は、一般的には、細胞間接着に関連する物質と方法、具体的には、新規のCa2+依存性細胞接着タンパク質(以下、単に「カドヘリン」と称する)と、このカドヘリンをコードするポリヌクレオチド配列に関する。 本発明はまた、カドヘリンのリガンド/抗リガンドへのカドヘリンの結合を阻害するための方法にも関する。
細胞間接着は、in vivoにおいては、形態発生、器官形成、白血球管外溢出、腫瘍転移ならびに侵入、および細胞接合を含む広範な現象において重要な役割を果たす。
加えて、細胞間接着は、例えば、腸管上皮関門、脳血液関門および心筋などの組織の一体性を維持するために重要である。
細胞間接着は、特異的な細胞接着分子によって介在される。 細胞接着分子は、免疫グロブリン(Ig)上科、インテグリン上科およびカドヘリン上科の少なくとも三つの上科に分類されてきた。 固形組織を形成するすべての細胞タイプがカドヘリン上科のある種を発現することは、カドヘリンがほとんどの細胞タイプの選択的接着に包含されていることを示唆するものである。
カドヘリンは、結合特性を決定する(N末端の113個のアミノ酸が直接結合に関与していると思われる)N末端細胞外領域、疎水性膜包囲領域、および鎖生による細胞輪郭および他の細胞輪郭関連タンパク質と相互作用する(上科に属する種において高度に保存された)C末端細胞質領域を有する糖タンパク質化された完全な膜タンパク質であるとされてきた。 しかしながら、あるカドヘリンでは、細胞質領域が欠けており、また、カドヘリンは、細胞質領域が有するものとは異なった機構によって細胞間接着の機能を果していると考えられるようになった。 細胞質領域は、細胞質領域を備えたカドヘリンにおける細胞外領域の結合機能を必要としている。 異なる細胞にて発現したカドヘリン科の種の間における結合は、主として同種性(すなわち、カドヘリン科の種は、その種と同一もしくは非常に近縁のカドヘリンと結合する)であり、またCa2+依存性である。 カドヘリンに関する最近の研究として、Takeichi, Annu. Rev. Biochem., 59: 237-252 (1990)およびTakeichi, Science, 251, 1451-1455 (1991) を参照されたい。
初めて開示されたカドヘリン(マウス上皮細胞におけるE-カドヘリン、トリ肝臓におけるL-CAM、マウス胚盤胞におけるオロモルリン、それに、ヒト上皮細胞におけるCAM 120/80)は、Ca2+依存性細胞接着性の包含、その独特の免疫学的特性、および組織の局在性によって同定された。 E-カドヘリンとは異なる組織分布を有することが知見されたN-カドヘリンのその後の免疫学的同定については、Ca2+依存性細胞間接着分子の新しい科の発見を明白なものにした。
マウスE-カドヘリン [Nagafuchi et al., Nature, 329: 341-343 (1987)]、トリN-カドヘリン [Hatta et al., J. Cell Biol., 106: 873-881 (1988)]、およびマウスP-カドヘリン[Nose et al., EMBO J. 6, 3655-3661 (1987)]をコードする遺伝子の分子クローニングは、カドヘリンが細胞接着分子の科を含むことを構造的に立証した。 トリL-CAM [Gallin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84: 2808-2812 (1987)] およびマウスウロモルリン[Ringwald et al., EMBO J., 6: 3647-3653 (1987)] のクローニングは、それらがE-カドヘリンと同一であることを示した。 E-、N-およびP-カドヘリンのアミノ酸配列の比較は、三つのサブクラスの中で、約45〜58%のアミノ酸類似性のレベルを示した。 Liaw et al., EMBO J., 9: 2701-2708 (1990) には、ウシ微細血管内皮細胞cDNAからN-およびP-カドヘリンを単離するために、E-、N-およびP-カドヘリンの一つの保存領域を基にして変性したオリゴヌクレオチドを用いたPCRの使用が記載されている。 前出のLiawらの文献の結果は、何ら新規のカドヘリンも同定されていないので、E-、N-およびP-カドヘリンを示唆しているに過ぎないものである。
また、1990年には、Heimark et al., J. Cell Biol., 110: 1745-1756 (1990)が、公知のカドヘリンと同様の分子量を有し、Ca2+依存性細胞内皮細胞接着を阻害できるV-カドヘリンと称された細胞間接合分子を、ウシ大動脈内皮細胞に対して発生した抗体が認識したことを報告している。 この文献には、抗体によって認識されたタンパク質に関する配列の情報は何ら開示されていない。
Suzuki et al., Cell Regulation, : 261-270 (1990) にて、本願出願で請求した八つの新規のカドヘリンの同定が報告されるまで、その後、カドヘリン遺伝子に関する記載はされていない。 これに続いて、トリR-カドヘリン [Inuzuka et al., Neuron, : 69-79 (1991)] 、マウスM-カドヘリン[Donalies et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 8024-8028 (1991)]、トリB-カドヘリン[Napolitano et al., J. Cell. Biol., 113: 893-905 (1991)] 、およびT-カドヘリン [トリに関して、Inuzuka et al., Neuron, : 391-402 (1992):またトリおよびヒトに関して、1992年5月29日発行の特許協力条約(PCT)国際公開第WO 92/08731号] を含む他のいくつかのカドヘリンが開示された。
様々なカドヘリンの組織発現の決定が、カドヘリンの各サブクラスが、独特の組織分布パターンを有していることを示唆している。 例えば、N-カドヘリンが神経および筋肉組織のような非上皮組織に見られるのに対し、E-カドヘリンは上皮組織に見られる。 異なるカドヘリンの独特の発現パターンは、in vivoでの通常の現象(例えば、腸管上皮関門の維持)および例外的な現象(例えば、腫瘍転移および炎症)における各サブクラスのカドヘリンの役割が果たされると考えられる時に、特に重要である。 カドヘリン機能の抑制は、様々な癌の進行過程において影響を受ける。 Shimoyama et al., Cancer Res., 52: 5770-5774 (1992)を参照のこと。 治療上の検出および/または介在が望ましい場合には、異なるサブクラスあるいはカドヘリンのサブクラスの組み合わせが、異なる細胞間接着現象に応答しうるようである。 さらにこの研究では、カドヘリンが接着活性に加えて、ある種の調節活性も有している旨を示唆している。 Matsunaga et al., Nature, 334, 62-64 (1988) は、N-カドヘリンが神経突起生長促進活性を有している旨を報告し、また、Mahoney et al., Cell, 67, 853-868 (1991)は、カドヘリン上科の他の種であるショウジョウバエ fat腫瘍抑制遺伝子が、細胞生長を調節しているようである旨を報告している。 Kintner et al., Cell, 69: 229-236 (1992)には未発達の細胞接着を寸断するために、また、Fugimori et al., Mol. Biol. Cell, 4: 37-47 (1993) には上皮細胞接着を寸断するための細胞外領域を伴わないN-カドヘリンの細胞質領域の発現が示されている。 このように、特異な組織にて発現したカドヘリンの調節活性の治療において介在させることは望ましいかもしれない。
このように、当該技術分野では、細胞間接着および/または調節現象に関与する新たなカドヘリンの同定と特徴付けが引き続き要望されているのである。 さらに、カドヘリンを治療剤および診断薬の改善の基礎とするには、そのタンパク質をコードする遺伝子をクローニングすることが必須である。 カドヘリンをコードするDNA配列およびアミノ酸配列に関する情報は、当該タンパク質の大規模生産、および自然に細胞/組織を生成するタンパク質の同定のために供され、さらに、カドヘリンが関与する自然のリガンド/抗リガンド結合反応の調節において有用であると思われる、カドヘリンと特異的反応性を有する抗体あるいは他の新規結合性分子の調製を許容するであろう。
本発明は、細胞間接着に関連する物質と方法を提供するものである。 本発明の態様の一つによれば、本発明は新規のカドヘリン、カドヘリン-4から-12をコードする精製および単離されたポリヌクレオチド配列(例えば、DNAおよびRNA、センスおよびアンチセンス配列双方)が提供される。 本発明の好ましいポリヌクレオチド配列は、合成したDNA配列全体およびその一部、ならびに、ゲノミックおよびcDNA配列、さらには、その生物学的複製物(すなわち、生物学的試薬を用いてin vivoまたはin vitroで調製した、精製および単離されたDNA配列のコピー)を含む。 ポリヌクレオチド配列を含んだ生物学的に活性なベクターも意図するものである。
本願発明のDNAおよびアミノ酸配列の開示によってもたらされた情報の科学的価値は明白である。 例えば、カドヘリンをコードするcDNAの配列の知見は、タンパク質をコードし、プロモーターやエンハンサーなどの配列を制御するカドヘリン特異的発現を特定するゲノミックDNA配列のDNA/DNAハイブリダイゼーションによる単離を可能ならしめる。 本願発明のDNA配列を利用したDNA/DNAハイブリダイゼーションは、本願明細書に特に言及したラットおよびヒトカドヘリン相同の異種タンパク質をコードするDNAsの単離をも許容するものである。
本願発明の他の態様によれば、宿主細胞、特に、真核および原核細胞は、細胞中にてカドヘリンポリペプチドの発現が許容される方法にて、本願発明のポリヌクレオチド配列によって安定裏に形質転換あるいは形質変換される。 適切な培養基にて生育させた時にカドヘリンポリペプチドを発現する宿主細胞は、カドヘリンポリペプチド、断片および変異体の大規模生産に特に有効であり、これにより、細胞もしくは細胞を生育させた培地からの所望のポリペプチド生成物の単離を可能になるのである。
本発明の新規カドヘリンタンパク質、断片および変異体は、自然界に存在する組織から単離物としても得られるが、好ましくは、本発明の宿主細胞を含んだ組換技術によって調製される。 生成物は、選択された宿主細胞、あるいは組換調製および/または後単離処理によって、全体的あるいは部分的に糖タンパク質、部分的あるいは全体的に脱糖タンパク質あるいは非糖タンパク質の形態にて得られる。
本発明によるカドヘリン変異体は、一つもしくはそれ以上の特定された(すなわち、本質的にコードされている)アミノ酸が削除もしくは置換され、もしくは一つもしくはそれ以上の特定されていないアミノ酸が付加されているポリペプチド類似体を含むものであり、(1)好ましくはエンハンスメントを有し、生物学的活性もしくはカドヘリンに特異的な免疫学的特性の一つもしくはそれ以上の欠落が無く、または(2)カドヘリンの独特のリガンド/抗リガンド結合作用の特異的無力化を伴うものである。
本願発明でさらに意図しておるのは、抗体〔例えば、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラおよびヒト型化抗体、およびFab、Fab'およびF(ab')2を含む抗体領域、一本鎖抗体、およびFvもしくは単一可変領域〕、および本願発明のカドヘリンと特異的に反応する他の結合性タンパク質およびペプチドである。
抗体は、単離した天然、組換、もしくは合成カドヘリンポリペプチド生成物、あるいは表面にかような生成物を発現する宿主細胞を用いて改良を加えることができる。 この抗体は、本発明のポリペプチドの精製のため、ポリペプチドの組織発現の決定のため、およびカドヘリンのリガンド/抗リガンド結合活性の拮抗剤として利用される。 特に言及した本願発明の抗体は、30Q8A、30Q4H、45A5G、30S2Fおよび45C6Aと命名され、アメリカ合衆国 メリーランド州 パークロウン ロックビル 12301に所在のアメリカン タイプ カルチャー コレクション(ATCC)に、1993年4月6日に寄託され、ATCC寄託番号HB11316、HB11317、HB11318、HB11319およびHB11320がそれぞれ付与されたハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体である。 さらに言及した本願発明の抗体は、30T11Gと命名され、ATCCに1993年4月8日に寄託され、ATCC寄託番号HB11324が付与されたハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体である。
本発明によって提供されたDNAおよびアミノ酸配列情報は、本願にて開示したカドヘリンの構造と作用の体系的分析と、細胞外および細胞内レベルに関してカドヘリンと相互作用を呈する分子の定義を可能ならしめる。 本発明の抗カドヘリンモノクローナル抗体のイディオタイプは、かような分子の典型であり、カドヘリンの細胞間および細胞内活性が調節されることにより、疑似天然結合タンパク質(ペプチドおよびポリペプチド)になりうる。 これらは、カドヘリン活性のモジュレーターの新分類を互いに意味するものである。 抗イディオタイプ抗体もまた、生物学的活性カドヘリン等価物の新分類を意味するものである。
カドヘリン活性を調節する方法は、カドヘリンを、抗体(もしくは、抗体断片)、他のポリペプチドもしくは(カドヘリン、もしくは他のタンパク質、あるいは新規ペプチドを含む)ペプチドリガンド、あるいはカドヘリンの一部分(細胞外もしくは細胞質)に特異的に結合する小分子リガンドとの接触を含む。
本願発明の多くの態様と利点が、以下の詳細な説明を考慮し、また参照することで明白になるものと考えられる。
本発明によると、細胞間接着に関連する新規のカドヘリンが提供される。
本願発明は、以下の実施例、すなわち、実施例1にはラットカドヘリン-4から-11をコードするcDNA配列の単離が記載され;実施例2にはラットカドヘリン-4、-5、-6、-8、-10、-11および-13のヒト相同体をコードするcDNA配列の単離ならびに、ラットでは同定されていないヒトカドヘリン、カドヘリン-12の単離が記載され;実施例3にはアミノ酸配列と構造に関してすでに同定されたカドヘリンと本願発明のカドヘリンとの関係を述べている。 本願発明のカドヘリンに特異的なポリクローナルおよびモノクローナル抗体の発生を実施例4に記載している。
実施例5には、カドヘリン-4、-5および-8の配列を含む発現体の構造、該発現体による哺乳類細胞の形質変換、および形質転換した細胞により実施した細胞間接着分析の結果を記載している。 実施例6には、カドヘリンmRNAおよび様々な哺乳類組織、細胞、および細胞系におけるタンパク質発現に関する分析を示している。 カドヘリン-5を含んだin vitro経皮移動分析、およびカドヘリン-5融合タンパク質に対する好中球およびT細胞の結合に関する分析結果を実施例7に記載した。 実施例8には、脳血液関門におけるカドヘリン-5の発現を、また実施例9には、内皮浸透性を向上することができるカドヘリン-5ペプチドが記載されている。 実施例10には、カドヘリン-5の細胞質領域とプラコグロブリンとの会合を記載した。 前出の Suzuki et al., Cell Regulation; Suzuki et al., J. Cell. Biol., 115, 要約 72a(1991); Suzuki et al., Cell Struc. Funct., 16, 605 (1991);およびTanihara et al., Ophthalmol. Vis. Sci., 32, 1013 (1991)の開示を、本願発明の背景説明の目的のために、本明細書に参考までに組み込んだ。
実施例1
九つの新規カドヘリンをコードする部分的cDNAを、PCRによってラットの脳および網膜から単離した。 新規ラットカドヘリンcDNAsの内の八つが、公知のカドヘリンの細胞質領域にある高度に保存された領域を基にして変性したPCRプライマーを用いて単離され、また一つが、公知のカドヘリンの細胞外領域にある緩やかに保存された領域を基にして変性したPCRプライマーを用いて単離された。
A.ラットcDNAの調製
全RNAsが、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour, New York: Cold Spring Harbor Laboratory (1982)のp.196に記載されたグアニジウムイソチオシアン酸/塩化セシウム法によりラットの脳より調製した。 そして、脳ポリ(A)+RNAsが、インビトロゲン社(サンディエゴ、カリフォルニア州)のFastTrackキットを用いて単離された。 ラット網膜ポリ(A)+RNAsが、クローンテック社(パロアルト、カリフォルニア州)から購入した。
cDNAが、cDNA合成キット(ベーリンガー マンハイム社、インディアナポィス、インディアナ州)を用いて、ラットの脳および網膜双方のポリ(A)+RNAから合成された。
B.カドヘリン細胞質領域に対応するPCRプライマーのデザインと合成
IUPAC命名法により下記した、最初の一対の変性オリゴヌクレオチドプライマーが、マウスN-、E-およびP-カドヘリンの細胞質領域において高度に保存された配列に対応するようデザインされた。 各オリゴヌクレオチド末端の下線を付した配列は、PCRによって発生した断片のクローニングを促進するプライマーが付加されたEcoR1部位を示す。
変性プライマー1
TAPPYD(配列番号:1)
5' GAATTCACNGCNCCNCCNTAYGA 3' (配列番号:2)
変性プライマー2
FKKLAD(配列番号:3)
3' AARTTYTTYRANCGNCTCTTAAG 5' (配列番号:4)
変性オリゴヌクレオチドは、アプライド バイオシステムス モデル380B DNA合成機(フォスター市、カリフォルニア州)を用いて合成した。
C.カドヘリン細胞外領域に対応するPCRプライマーのデザインと合成
IUPAC命名法により下記した、第二の一対の変性オリゴヌクレオチドプライマーが、マウスN-、E-およびP-カドヘリンの細胞外領域の第三サブ領域において緩やかに保存された配列に対応するようデザインされた。 マウスN-、E-およびP-カドヘリンの細胞外領域は、Ca2+とカドヘリンとの相互作用に関連がある領域を含む、五つの内在性サブ領域を有することで特徴付けられる。 各オリゴヌクレオチド末端の下線を付した配列は、PCRによって発生した断片のクローニングを促進するプライマーが付加された EcoR1部位を示す。
変性プライマー3
K(P/G)(L/I/V)D(F/Y)E (配列番号:5)
5' GAATTCAARSSNNTNGAYTWYGA 3' (配列番号:6)
変性プライマー4
(N/D)E(A/P)PXF (配列番号:7)
3' TRCTYSGNGGNNNNAARCTTAAG 5' (配列番号:8)
D.八つの新規ラットカドヘリンをコードするcDNAのクローニング
ラット脳および網膜cDNAのPCR増幅反応は、Saiki et al., Science, 239, 487-491(1988)に記載されたのと本質的に同様の条件下で、変性プライマー1および2、あるいは変性プライマー3および4を用いて実施した。 要約すれば、脳もしくは網膜第一鎖状cDNAの100ngを、反応毎に、各プライマーのセットの10ngを用いて、Taq DNAポリメラーゼ(インターナショナル バイオテクノロジー社、ニューヘブン、コネチカット州)による増幅のための鋳型として用いた。 PCR反応は、35回のPCR反応サイクルを終えてから、反応溶液にTaq DNAポリメラーゼの2単位を添加することで開始した。 反応サイクルは、94℃で1.5分間の変性工程、45℃で2分間のオリゴヌクレオチドアニーリング工程、および72℃で3分間の伸長工程から構成される。 得られたPCR断片は、アガロースゲル電気泳動により分離され、所定サイズのDNAバンドをゲルから抽出し、EcoR1で消化した。 そして得られた断片は、M13ベクター(ベーリンガー マンハイム社、インディアナポィス、インディアナ州)にクローニングされ、E. coli JM101細胞は得られた構造体によって形質転換された。 そして、各クローンは単離され、配列分析された。
DNAsの配列分析は、配列分析キット(ユナイテッド ステイツ バイオケミカルス社、クリーブランド、オハイオ州)を用いて実施され、得られたクローンのDNAおよび推定アミノ酸配列は、公知のカドヘリンの配列とマイクロゲニー プログラム(ベックマン社、ファラートン、カリフォルニア州)を用いて比較した。
カドヘリンをコードする10個の代表的なcDNAクローンが、変性プライマー1および2に基づくPCR反応から同定された。 二つのクローンが、ラットN-、およびE-カドヘリンに対応したが、先に記述した以外のカドヘリンによってコードされた八つのクローンは、カドヘリン-4から-11とそれぞれ命名された。 八つのラット細胞質領域cDNAクローンのDNAおよび推定アミノ酸配列をそれぞれ、配列番号:9および10(カドヘリン-4)、配列番号:11および12(カドヘリン-5)、配列番号:13および14(カドヘリン-6)、配列番号:15および16(カドヘリン-7)、配列番号:17および18(カドヘリン-8)、配列番号:19および20(カドヘリン-9)、配列番号:21および22(カドヘリン-10)、および配列番号:23および24(カドヘリン-11)に示した。
変性プライマー3および4に基づくPCR反応から、さらに新規のカドヘリンが同定され、カドヘリン-13と命名した。 カドヘリン-13断片のDNAおよび推定アミノ酸配列をそれぞれ、配列番号:25および26に示した。
変性プライマー3および4に基づくPCR反応は、ラットカドヘリン-4、-5、-6、-8、-9、-10、-11および-13の細胞外領域の断片として後に決定された配列も増幅した。 これら細胞外断片のDNAおよび推定アミノ酸配列をそれぞれ、配列番号:27および28(カドヘリン-4)、配列番号:29および30(カドヘリン-6)、配列番号:31および32(カドヘリン-8)、配列番号:33および34(カドヘリン-9)、配列番号:35および36(カドヘリン-10)、配列番号:37および38(カドヘリン-11)、配列番号:39および40(カドヘリン-13)に示した。
大きなカドヘリン-8および-10 cDNAsが、標識付けされたカドヘリン-8細胞外領域PCR断片(配列番号:17) またはカドヘリン-10細胞外領域断片(配列番号:21) をプローブとして用いてUni-ZAPベクター(ストラタジーン社、ラ ヨラ、カリフォルニア州)に作製されたラット脳cDNAライブラリーから単離された。
二つのタイプのカドヘリン-8 cDNAクローンが単離された。 最初のタイプのものは、カドヘリンの全長をコードしたが、二番目のタイプのものは、5番目の細胞外サブ領域(EC5)のN末端近くのカドヘリン-8クローンの最初のタイプのものから分岐した配列を有する先端が切り詰められたタンパク質をコードした。
切り詰められたクローンは、EC5のN末端に独特の短鎖の配列を含んでいたが、EC5の残りの部分、経膜領域および細胞質領域は欠損していた。 このクローン全長のDNAおよび推定アミノ酸配列をそれぞれ、配列番号:41および42に示し、また、切り詰められたカドヘリン-8クローンのDNAおよび推定アミノ酸配列をそれぞれ、配列番号:43および44に示した。 単離されたカドヘリン-10 cDNAクローンは、先に同定したカドヘリンの第一細胞外領域(EC1)の中間部に対応する領域から始まる読取枠を有していた。 カドヘリン-10クローンのDNAおよび推定アミノ酸配列を、配列番号:45および46に示した。
実施例2
ラットカドヘリン-4、-8、-11および-13のヒト相同体をコードするcDNAsの全長、およびラットカドヘリン-6および-10のヒト相同体をコードするcDNAsの一部が、ヒト胎児脳cDNAライブラリー(λZapII ベクター、ストラタジーン社)から単離された。 ラットカドヘリン-5のヒト相同体をコードするcDNAsの全長が、ヒト胎盤cDNAライブラリー(λgt11ベクター、ミラン博士、ラ ヨラ中央研究所財団、ラ ヨラ、カリフォルニア州)から単離された。
ヒト胎児脳および胎盤cDNAライブラリーをスクリーニングするためのプローブが、実施例1B-Cに記載したプライマーを用いて、ヒト脳cDNA(竹谷博士、関西医科大学、日本国大阪府守口市)からPCRによって増幅された。 ヒトカドヘリン-4、-5、-6、-8、-10および-11配列からなるプローブが、変性プローブ1および2を用いて調製され、また、ヒトカドヘリン-13配列からなるプローブが、変性プローブ3および4を用いて調製された。 変性プローブ3および4によるヒト胎児脳cDNAの増幅は、カドヘリン-12と命名され、ラットから単離されなかったカドヘリンをコードするPCR断片を生成した。
ヒトカドヘリン-4、-5、-6、-8、-10、-11、-12および-13をコードするPCR断片は、32Pでラベルされ、 Ausubel et al., Eds., Molecular Biology, Sections 6.1.1から6.1.4および6.2.1から6.2.3, John Wiley & Sons, New York (1987)のCurrent Protocols に記載されたプラークハイブリダイゼーション法に従って、ヒト胎児脳および胎盤cDNAライブラリーへのプローブとして用いた。 陽性体はプラーク精製され、挿入体はin vivo切除法を用いて切り出した。 そして、挿入体はM13ベクター(ベーリンガー マンハイム社)に、配列決定のためにサブクローニングされた。
ラットカドヘリン-4、-8、-11、-12(推定)および-13のヒト相同体をコードするcDNAsの全長、およびラットカドヘリン-6および-10のヒト相同体をコードするcDNAsの一部からなる挿入体が、ヒト胎児脳cDNAライブラリーからのクローンにおいて同定され、また、ラットカドヘリン-5のヒト相同体をコードするcDNAsの全長が、ヒト胎盤cDNAライブラリーからのクローンにおいて同定された。
ヒト相同体のDNAおよび推定アミノ酸配列それぞれを、配列番号:47および48(カドヘリン-4)、配列番号:49および50(カドヘリン-5)、配列番号:51および52(カドヘリン-6)、配列番号:53および54(カドヘリン-8)、配列番号:55および56(カドヘリン-10)、配列番号:57および58(カドヘリン-11)、配列番号:59および60(カドヘリン-12)、および配列番号:61および62(カドヘリン-13)に示した。
実施例3
実施例1および2に記載した新規のヒトカドヘリンの全長配列と、先に記載したカドヘリンならびにカドヘリン関連タンパク質の配列との比較は、カドヘリンが、アミノ酸配列同一性および/または領域構造に基づいて少なくとも三つのサブグループに分割できるという提唱を支持するものである。 選択されたヒトカドヘリンの細胞外領域の配列に関する相互対応率を、以下の表1に示した。
Figure 2004254702
このような配列の対応性と、カドヘリン配列のある特定の組み合わせが、対応させた時にアミノ酸の保存された範囲を有すると考えられることに基づいて、カドヘリンのあるサブグループが、E-カドヘリン、N-カドヘリン、P-カドヘリンおよびカドヘリン-4を含み、一方で、第二サブグループが、カドヘリン-5、カドヘリン-8、カドヘリン-11およびカドヘリン-12を含むものと思われる。 カドヘリン-6、-7、-9および -10もまた、本明細書で開示したそれらの一部アミノ酸配列から、第二サブグループと共に含まれるものと思われる。 カドヘリン-4のアミノ酸配列は、R-カドヘリンのそれと特に高いアミノ酸配列同一性(92%)を示し、このことは、カドヘリン-4がトリR-カドヘリンのヒト相同体であることを示すものである。 これら二つのサブグループにあるすべてのカドヘリンは、同様の構造を有している。 開始コドンに続いて、それぞれが、シグナル配列、前配列、前駆タンパク質のタンパク質分解開裂部位、(EC1-5の五つのサブ領域を含む)細胞外領域、経膜配列、および細胞質領域を有する。 カドヘリン-5に関して、これら配列/領域は、配列番号:50の、1−24(シグナル配列)、25−43(前配列)、44−147(EC1)、148−254(EC2)、255−368(EC3)、369−475(EC4)、 476−589(EC5)、590−616(経膜配列) および617−780(細胞質領域)のアミノ酸位置に概ね対応するものと思われる。
カドヘリン-13、T-カドヘリン、およびV-カドヘリンは、カドヘリンの第三サブグループの代表例であると思われる。 カドヘリン-13は、カドヘリン様細胞外領域からなるが、他のカドヘリンの典型的な経膜もしくは細胞質領域に対応する領域は有していない。 約10%ではあるが、変性プライマー3および4を用いてPCRによって得られたクローンはカドヘリン-13であり、細胞質領域に対応する配列を含んだクローンは無かった。 入手できるカドヘリン-13のほとんどC末端領域に対応するプライマーならびにカドヘリンの細胞質領域の良好に保存されたアミノ酸配列に対応する混合オリゴヌクレオチドプライマーを用いた、PCRによる、この領域を含んだcDNAを単離する試みでは、予想された分子量の生成物を得ることはできなかった。 同様のタンパク質、T-カドヘリンも、典型的なトリ細胞質領域を欠損しており、トリにおいて同定された。 二つの分子間のアミノ酸配列の対応率は、約80%であった。 カドヘリン-13は、トリT-カドヘリンのヒト相同体、あるいは非常に近縁な分子であると思われる。 ヒトカドヘリン-13および鳥類のT-カドヘリン双方もまた、V-カドヘリンに非常に関連があると思われる。
ウシV-カドヘリンの29個のアミノ酸末端配列も、カドヘリン-13(93%)およびT-カドヘリン(79%)の前駆領域の出発点と同様である。 V-カドヘリンは、135KDのタンパク質であり、内皮への組織分布に限定されているようである。 これに対して、成熟したT-カドヘリンは、95KDの分子量を有し、広範な組織分布を示した。 V-カドヘリンならびにT-カドヘリン共に、ホスホイノシチオールによって細胞膜に結合されている。
実施例4
本願発明のカドヘリンに特異的なポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体が生成された。
A.ポリクローナル抗体の生成
カドヘリン細胞外サブ領域(ヒトカドヘリン-4、-5もしくは-11、あるいはラットカドヘリン-8) の一部に融合したマルトース結合タンパク質からなる細菌融合タンパク質が生成され、続いて、ポリクローナル抗体の生成のために用いられた。 ヒトカドヘリン-5の細胞外領域の40KD部分(配列番号:49のヌクレオチド535〜1527) に対応するcDNA断片が、実施例2に記載のヒトカドヘリン-5 cDNAの全長から、PCRによって合成された。
この断片は、pMAL-RIプラスミドベクター〔ニューイングランド バイオラボ社 (NEB)、ビバリー、マサチューセッツ州〕のマルチクローニングサイト(EcoR1-XbaI)にサブクローニングされた。 得られた構造体は、カドヘリン-5の細胞外領域に融合したマルトース結合タンパク質をコードした。 ヒトカドヘリン-4、ラットカドヘリン-8、およびヒトカドヘリン-11の三つのN末端サブ領域に融合したマルトース結合タンパク質をコードする構造体が、同様の方法によって生成した。
E. coli NM522細胞(ストラタジーン社)は、融合タンパク質の一つで形質転換され、大量に生長させた。 E. coli細胞を破砕した後、各融合タンパク質はアミロース樹脂(NEB) を用いて、使用説明書に従って、アフィニティーカラムクロマトグラフィーによって精製した。 SDS-PAGEに適用した際に、精製した各融合タンパク質は、予想された大きさの必須の一つのバンドを形成した。
完全フロインドアジュバンド中の、合計500μgの融合タンパク質が、ウサギの4箇所の皮下部位に注射された。 皮下注射は、3週間間隔で、不完全フロインドアジュバンド中の100μgの融合タンパク質を用いて、4箇所の皮下部位に対して行われた。 カドヘリン-4、-5または-8融合タンパク質で免疫処置したウサギから生成したポリクローナル血清は、回収され、適当なカドヘリン配列(実施例5を参照)で形質変換したL細胞に関する特異性に関して試験された。 カドヘリン-11で免疫処置されたウサギから生成したポリクローナル血清も回収された。
様々なタイプの免疫ブロッティングは、抗カドヘリン-4ポリクローナル血清が、カドヘリン-4 cDNAの全長で形質変換されたL細胞中およびラット脳での約130KDのタンパク質と反応することを示した。 カドヘリン-5特異性血清は、カドヘリン-5 DNAの全長で形質変換したL細胞中の約135KDのタンパク質、およびヒト臍静脈内皮細胞(HUVEcs)中の約135KDのタンパク質と反応した。 血清は、E-カドヘリンを高レベルで発現したMDCK細胞とは反応しなかった。 ウシ大動脈内皮細胞において、抗カドヘリン-5血清は、約120KDのタンパク質と反応した。 加えて、抗カドヘリン-5血清は、培養物中のラット脳内皮細胞中の同じ分子量を有するタンパク質と反応した。 カドヘリン-8ポリクローナル抗体は、約90KDの大きいバンドと、ラット脳中にある約130KDの小さいバンドを示した。
B.ヒトカドヘリン-5に特異的なモノクローナル抗体の生成
カドヘリン-5に対するモノクローナル抗体を、免疫原としてのヒトカドヘリン-5の細胞外領域のサブ領域を含んだ細菌融合タンパク質を用いて調製した。
調製した融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質、および細菌発現ベクターpMAL(NEB)に、細胞外サブ領域1-2(EC1-2)あるいは細胞外サブ領域2-4(EC2-4)を含んでいた。 二つの融合タンパク質が細胞内にて発現され、ポリクローナル抗体の生成に関する先の節にて述べたアミロースセファロースにて精製した。
精製した融合タンパク質は、マウスを二箇所の皮下部位で免疫処置するために個別(マウス当たり、完全フロインドアジュバンド中の100μgの融合タンパク質)に使用した。 そして、マウスは不完全フロインドアジュバンドで皮下的に免疫処置された。 各マウスの脾臓が無菌的に取り出され、同様の方法で処置された。 要約すれば、脾臓を、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、100単位/mlペニシリン、100mg/mlストレプトマイシン(RPMI) (ギブコ社、カナダ) を補充した血清を含まないRPMI 1640に浸した二つの顕微鏡用スライドガラスの凍結端の間で摩滅することによって、単一細胞懸濁液を形成した。 細胞懸濁液を、無菌70メッシュ細胞漉し器に通して濾過し、5分間、200gにて遠心分離を2回行うことで洗浄し、血清を含まないRPMI 20mlにてそのペレットを再懸濁した。
実験対象になったことのない3匹のBalb/cマウスから採取した胸線細胞も、同様の方法で調製された。 融合前の3日間、11%胎児ウシ血清(FBS)(ハイクロン研究所、ロガン、ユタ州) を含むRPMIにて対数増殖期に維持されたNS-1骨髄腫細胞を、5分間、200gにて遠心分離し、そしてマウス脾臓細胞の場合について述べた通りに、ペレットを2回洗浄した。
洗浄した後に、脾臓細胞と骨髄腫細胞は、最終体積10mlの血清を含まないRPMIに取り入れられ、その最終体積の10μlを血清を含まないRPMIで1:100にまで希釈した。 各希釈液の20μlを取り出し、0.85%生理食塩水中の0.4%トリプシンブルー染色液20μlと共に混合し、血球計測器に置き、そして計測を行った。 2×108個の脾臓細胞を、4×107個のNS-1細胞と合わせて、遠心分離して、上清を吸引した。 細胞ペレットをチューブを軽く叩いて取り除き、37℃のPEG 1500(75mM HEPESにて50%、pH 8.0)(ベーリンガー マンハイム社)の2mlを1分間にわたって攪拌しながら添加し、血清を含まないRPMIの14mlを7分間にわたって添加した。
さらに16mlのRPMIが添加され、細胞を200gにて10分間遠心分離した。 上清を廃棄した後、15% FBS、100mM ヒポキサンチンナトリウム、0.4mM アミノプテリン、16mM チミジン(HAT)(ギブコ社) 、25単位/ml IL-6 (ベーリンガー マンハイム社)、および1.5×106個の胸線細胞/ml(培養培地)を含む200mM RPMIにて、ペレットを再懸濁した。 懸濁液を、200ml/ウェルになるように、10枚の96ウェル平板組織培養プレートに分与した。 第2、4および6日目に、各ウェルから18G針で約100mlを吸引してプレート中の細胞を後融合に供し、そして、10単位/ml IL-6を含み、胸線細胞を含まないこと以外は、上述の通りに100ml/ウェルの培養培地を添加した。
(EC2-4で免疫処置したマウスからの) 融合体30および(EC1-2で免疫処置したマウスからの) 融合体45を、マウスIgGの存在を試験するために、まず抗体捕獲ELISAでスクリーニングした。 融合体30および45の次のスクリーニングは、ELISAsのための固定した内皮細胞の単一層でコートされたプレートを用いた分析からなる。 HUVEcs、ルイスラット脳内皮細胞(LeBCE) 、およびウシ網膜内皮細胞(BAE) を、96ウェル平板微量組織培養プレートにて、ウェルの底が細胞の単一層で完全に覆われるまで生長させた。 プレートを、Ca2+/Mg2+を含まないPBS(CMF-PBS)の100μl/ウェルで二回洗浄してから、完全に吸引した。 そして細胞は、3% p−ホルムアルデヒド、1%蔗糖を含むCMF-PBSの100μl/ウェルで、室温にて、30分間かけて固定した。 次に細胞は、CKS緩衝液(0.5% Triton 100、100mM 塩化ナトリウム、10mM PIPES、2mM塩化マグネシウム)の約250μl/ウェルで透水性とし、室温にて、30分間かけてインキュベートした。 プレートは、2%BSAを含む1×CMF-PBS(ブロッキング溶液)の250μl/ウェルでブロックされ、37℃にて、60分間かけてインキュベートした。 ブロッキング溶液は吸引され、融合プレートから50から100μl/ウェルの上清が添加された。 プレートは、室温にて、60分間かけてインキュベートされ、そして、0.5%BSA を含むCMF-PBS(洗浄溶液1)の250μl/ウェルで一回、およびCMF-PBS(洗浄溶液2)の250μl/ウェルで二回洗浄した。 PBSTにて1:3500に希釈されたセイヨウワサビペルオキシダーゼ接合ヤギ抗マウスIgG(fc)(ジャクソン イムノリサーチ社、ウエストグロブ、ペンシルバニア州)の150μlを添加し、プレートを、室温にて、60分間かけてインキュベートした。 プレートを先に行ったように洗浄し、1mg/ml o-フェニレンジアミン(シグマ社)および0.1ml/ml 30% H2O2を含む100mM クエン酸、pH 4.5からなる150μlの基質を添加した。 30分後に、15%硫酸の50μlを添加して発色反応を停止した。 吸光度490をプレートリーダー(ダイナテック社)で計測した。
各融合体について、約20個の陽性ウェルが同定され、続いてクローニングされた。
ELISAにおけるクローニング工程にて、カドヘリン-5 EC2-4融合タンパク質に対するモノクローナル抗体の反応性を試験し、マルトース結合タンパク質反応性モノクローナル抗体を除外することによって、ハイブリドーマ細胞をスクリーニングした。 Immulon 4 プレート(ダイナテック社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、4℃にて、pH 9.6の50mM炭酸塩緩衝液中の0.1μg/ウェル(融合タンパク質にために)および、0.2μg/ウェル(マルトース結合タンパク質のみのために)に希釈された50μl/ウェルの融合タンパク質でコートした。 プレートをPBSで三回洗浄し、0.05% Tween 20 (PBST)および50μlハイブリドーマ培養上清が添加された。 37℃で、30分間のインキュベーションの後、上述したように洗浄し、PBSTで1:3500に希釈されたセイヨウワサビ ペルオキシダーゼ接合ヤギ抗マウスIgG(fc)(ジャクソン イムノリサーチ社、ウエストグロブ、ペンシルバニア州)の50μlを添加した。 プレートを、37℃で、30分間インキュベートし、PBSTで4回洗浄した。 1mg/ml o-フェニレンジアミン(シグマケミカル社、セントルイス、モンタナ州)および0.1μl 30% H2O2を含む100mM クエン酸、pH4.5からなる100μlの基質を添加した。 5分後に、15%硫酸の50μlを添加して発色反応を停止した。 450nmでの吸光度をプレートリーダーで決定した。
30Q8A (ATCC HB11316)、30Q4H (ATCC HB11317)、45A5G (HB11318) 、30S2F (HB11319) 、45C6A (HB11320) 、30T11G(HB11324) 、30M8G 、30O6E および30R1Aと称するハイブリドーマが、内皮細胞およびカドヘリン-5 EC2-4融合タンパク質と反応性があることが決定された。 ハイブリドーマは限界希釈法で2回クローニングされ、腹水で生育させた。 このハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体は、ELISA 分析にてイソタイプ化された。 その分析結果を、以下の表2に示した。
C.C5特異的モノクローナル抗体のサブ領域特異性
ハイブリドーマ細胞の、C5の細胞外領域の独特のエピトープに反応するモノクローナル抗体の産生の有無を決定するために、モノクローナル抗体を精製し、ビオチン化し、そして交差競合ELISAにて試験した。 Immulon 4 96穴プレートを、50mM炭酸ナトリウム50μl中の0.2μg/mlのEC1-2もしくはEC2-4カドヘリン-5融合タンパク質で、pH 9.6、4℃にて一晩コートした。 ウェルを吸引し、PBS/0.05% Tween 20にて三回洗浄した。 そして、プレートを50μl/ウェルのPBS、2%のBSA(シグマ社) で、37℃にて、30分間ブロックした。 モノクローナル抗体が、ハイブリドーマ上清から、タンパクA-セファロースカラムで精製され、溶出した抗体は0.1M炭酸ナトリウム、pH 8.2に対して透析された。 抗体の1mg/mlを、NHS-ビオチン(ピース化学社、ロックフォード、イリノイ州)のDMSOの1mg/mlストック溶液の60μlと、室温にて、1時間反応させ、そして、CMF/PBSに対する、4℃での、一晩の透析によって反応を停止した。 PBS/0.05% Tween 20中のビオチン化した抗体を、第一抗体(50μl/ウェル) として、融合タンパク質でコートしたプレートに添加し、37℃で、30分間インキュベートした。 プレートを吸引し、PBS/0.05% Tween 20で三回洗浄した。 PBS/Tween中のペルオキシダーゼ接合ストレプトアビジンの50μl/ウェルを添加し、37℃で、30分間インキュベートした。 プレートを吸引し、PBS/0.05% Tween 20およびo−フェニレンジアミンを含む100mM リン酸緩衝液で三回洗浄し、 100μl/ウェルの過酸化水素水を加えた。 プレートを、室温にて、5〜15分間展開した。
反応を50μl/ウェルの15%硫酸で停止し、プレートリーダーにてプレートの計測を行った。 その分析結果を、以下の表2に示した。
サブ領域特異性を確認するために、カドヘリン-5融合タンパク質EC1-2およびEC2-4をSDS-PAGE(10%)に適用し、カドヘリン-5特異的モノクローナル抗体で免疫ブロットした。
下記表2に、領域特異性およびカドヘリン-5特異的モノクローナル抗体のイソタイプを示した。
Figure 2004254702
競合分析を、ビオチン化したカドヘリン-5特異性モノクローナル抗体の添加の30分前に、未標識の第一カドヘリン-5特異性モノクローナル抗体(もしくは、マウスIgG)を添加した以外は、上述したように、カドヘリン-5 EC2-4融合タンパク質への結合性に関して行った。 ハイブリドーマ30M8G、30O6Eおよび30RIAにより産生されたモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ30Q4Hにより産生された抗体の結合部位の近傍もしくは同一部位に競合した。
実施例5
ヒトカドヘリン-4および-5、ならびにラットカドヘリン-8が、通常カドヘリンを発現しないマウス繊維芽L細胞(ATCC CCL1.3)にて発現した。
A.発現ベクターの構築
実施例2に示すヒトカドヘリン-4および-5をコードするcDNA配列と、実施例1に記載のラットカドヘリン-8をコードするcDNA配列が、発現ベクターpRC/RSV(インビトロジェン社) のマルチクローニング部位にサブクローニングされた。
カドヘリン-4 DNA配列は、カドヘリン-4の全長コード配列を含む(実施例2に記載した)λZapII クローンかたin vivoでの切り出しにより単離された。 ヘルパーウィルスを用いて、ブルースクリプトプラズミドの形態でλZapIIIから、配列が抽出された。 プラズミドはHindIIIで切断され、T4ポリメラーゼによってブラントエンドした。 得られたDNA断片は、ブラントエンド末端とSpe I粘着端を有するカドヘリン-4 cDNA断片を生成させるためにSpe Iで再消化した。 この断片を、アガロースゲル電気泳動法により精製され、Spe IとXba I(Xba I末端はT4ポリメラーゼでブラントエンドした)で予め消化されたpRC/RSV発現ベクターにサブクローンした。
実施例2に示したカドヘリン-5の全長をコードする配列を含むλgt11クローンを、Eco RIにより切断し、得られたカドヘリン-5配列を含む断片をアガロースゲル電気泳動法で精製した。 精製した断片はその後、ブルースクリプトプラズミドのEco RI部位にサブクローニングされた。 カドヘリン-5配列は、HincIIとXba Iで調製物から切り出され、pRC/RSVベクターのNot I-Xba I部位にスブクローニングした。
ラットカドヘリン-8をコードする全長cDNAを、実施例1に記載のUni-ZAPクローンからKpn I消化により抽出し、そして、ブラントエンド処理、およびSpeIによる再消化を行った。
カドヘリン-8をコードする断片を、アガロースゲル電気泳動法により精製し、Xba I消化、ブラントエンド処理、およびSpe Iでの再消化を経たpRC/RSVベクター中にサブクローニングされた。
B.L細胞の形質変換
マウス繊維芽L細胞を、ヒトカドヘリン-4および-5とラットカドヘリン-8発現構造体を用いて、Ca2+リン酸沈降方法により形質変換し、そして安定形質変換をG418選択法により得た。 カドヘリン-4および-8形質変換細胞は、親L細胞(繊維芽細胞)と同様の形態を示したが、カドヘリン-5形質変換体は平坦形態を示した。 神経2a細胞(ATCC CCL131)もまた、カドヘリン-4とカドヘリン-8発現構造体を用いた、Ca2+リン酸沈降法によって形質変換された。 カドヘリン-4形質変換体は、上皮構造を示し、カドヘリン-4は上皮構造形成において活性を有し、神経組織発達に関与すると思われる。
C.カドヘリンmRNAのノーザンおよびウェスターンブロット分析と形質変換細胞でのタンパク質発現
カドヘリン-4、-5および-8形質変換体は、プローブとして適当な全長のヒトcDNAを用いたノーザンブロット分析にて、予想された3.5kb、3.2kbおよび3kbそれぞれの大きさのmRNAを示した。(実施例6Aのノーザンブロット分析に関する記載を参照のこと。)
ウェスターンブロットに関しては、カドヘリン-4、-5および-8形質転換体はPBSで洗浄され、SDS-PAGE試料用緩衝液を細胞に直接添加された。 SDS-PAGE(レムリ社) を実施し、PVDF膜上に電気泳動的にゲルをブロットした。 膜は5%スキムミルクを含むTBS中で、室温で、約2時間インキュベートし、そして、0.05% Tween 20を含むTBS中で、適当なポリクローナル抗体とともに、室温で、一時間インキュベートした。 0.05% Tween 20を含むTBSで4回洗浄(それぞれ5分間)した後、膜を0.05% Tween 20を含むTBS 中で、抗ウサギIgG 抗体(プロメガ社、マディソン、ウィスコンシン州)と接合したアルカリ性ホスファターゼで、室温で、一時間インキュベートした。 膜はその後、0.05% Tween 20を含むTBSで、再度4回洗浄され、プロメガウェスタンブルーを用いて展開した。
カドヘリン-4,-5および-8モノクローナル抗体は、それぞれ約130KDのバンドに反応した。
D.トリプシン消化からのカルシウム保護
カドヘリンは、Ca2+によりトリプシン消化から保護されているのが明らかであるため、形質変換したL細胞表面に発現したヒトカドヘリン-4、-5およびラットカドヘリン-8のトリプシン処理(0.01%ダイズトリプシン、30分間、37℃) に関するCa2+の効果を検定した。 2mM Ca2+が、トリプシン消化からカドヘリン-4を保護したが、カドヘリン-5とカドヘリン-8に関しては、1〜5mMのCa2+存在下でも、簡単に消化された。
E.細胞間接着性分析
形質変換細胞の細胞間接着活性を、 Yoshida-Noro et al., Devel. Biol., 101, 19-27 (1984) に記載の再凝集法によって分析した。 要約すれば、形質変換体を集合を形成するまで成長させ、そして、2mM Ca2+の存在下、緩やかなトリプシン処理(0.01%、15分間)で単細胞にまで分散した。 洗浄後、トリプシン処理した細胞を、2mM 塩化カルシウム、1%のBSAおよび20μg/mlのデオキシヌクレアーゼを含むHepes緩衝化生理食塩水(HBS) 中に置き、30〜60分間、50rpmの回転攪拌器にかけてインキュベートし、細胞凝集を観察した。 カドヘリン-4形質変換細胞は、30分以内に凝集し、比較的大きな凝集体を形成したのに対し、カドヘリン-5形質変換細胞は、徐々に再凝集し、長時間培養(4〜5時間あるいはそれ以上)した後に比較的小さな凝集体を形成した。 同様に、カドヘリン-8形質変換体は、顕著な細胞接着性を示さなかった。 親L細胞は、同一条件下では、細胞接着を示さなかった。 形質変換L細胞が分析中にトリプシンにより最初に分散しはじめたため、トリプシン消化に対するカドヘリン-5およびカドヘリン-8の感受性は、再凝集分析にみられる低減した細胞接着によるものと思われる。
実施例6
本発明のカドヘリンをコードするmRNAsの発現を、ノーザンブロット分析によりラット脳、腎臓、肝臓、肺、皮膚および様々なヒト細胞で試験した。 カドヘリンタンパク質の発現もまた、内皮細胞および白血球において、免疫蛍光法および免疫ブロット法により試験した。
A.ラット組織およびヒト細胞のノーザンブロット分析
ラット脳、腎臓、肝臓、肺、皮膚からのポリ(A)+RNA が、ラット脳に関する実施例1にあるようにして調製した。 RNA調製物を、変性条件下にて、 0.8%アガロースゲルの電気泳動に適用し、そしてニトロセルロースフィルターに移した。
ノーザンブロット分析は、Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 5201-5202(1980) に記載された方法に従って実施した。 フィルターは、32P標識した(実施例1に記載の)カドヘリン-4から-11に対応する断片を含むラットカドヘエリンPCR断片でハイブリダイズした。 最終ハイブリダイゼーション洗浄を、0.1%の硫酸ドデシルナトリウムを含む0.2×標準クエン酸生理食塩水にて、65℃で、10分間行った。
カドヘリン-4およびカドヘリン-8から-10 mRNAsはラット脳でのみ検出された。
カドヘリン-8 PCR断片は、ラット脳の約3.5kbの主要バンドおよび約4.5kbの小さなバンドにハイブリダイズした。 検出されたmRNAsは選択的な接合生成物であり、また、実施例1に記載の切り詰められた全長カドヘリン-8クローンに対応するものと思われる。
カドヘリン-6および-7プローブは、長時間の露出の後であっても、ラット脳mRNAに関する弱いシグナルを与えた。 カドヘリン-5、-6、-11 mRNAsが、カドヘリン-5 mRNAが肺およに腎臓に、カドヘリン-6 mRNAが腎臓に、カドヘリン-11 mRNAが肝臓に認められたのを含めて、ラット脳や他のラット組織中に検出された。
培養されたヒトSK-N-SH 神経芽細胞(ATCC HTB11)、U251MG神経膠細胞、およびY79 網膜芽種(ATCC HTB18)中でのカドヘリン-8および-11の発現もまたノーザンブロットによって分析した。 (実施例2に記載した)カドヘリン-8および-11をコードするヒトcDNAを、32P標識し、 Invitrogen FastTrackキットを用いて細胞から調製したポリ(A)+ RNAのプローブとして用いた。
ノーザンブロット方法でカドヘリン-8 RNAが神経芽細胞および網膜芽細胞系中に検出されたのに対し、カドヘリン-11 RNAは神経芽細胞でしか検出されなかった。
これら結果は、本発明のカドヘリンの少なくとも幾つかは、神経単位、神経膠細胞および/あるいはそれらの前駆細胞に発現することを意味するものである。
カドヘリン-5RNAは、HUVECs(クローンチックス社) のノーザンブロット分析では検出されたが、A431ヒト類表皮癌種細胞(ATCC CRL1555)あるいはIMR90ヒト繊維芽細胞(ATCC CCL186)では検出されなかった。
B. 内皮細胞の免疫蛍光分析と白血球の免疫ブロット
ウシ大動脈、ウシ脳微小血管系、ヒト臍帯血管から単離された培養された内皮細胞を、抗-C5ポリクローナル抗体を用いた免疫蛍光顕微鏡検査の対象とした。
末梢アクチン微細繊維に密接に関連する細胞接合におけるカドヘリン-5タンパク質が標識付けされた。
対照的に、新たに単離された白血球(ヒトPMN、リンパ球、単球)あるいは単球様細胞系U937を、カドヘリン-5に対するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体(30O6E) を用いた免疫ブロッティングによるカドヘリン-5の発現に関して分析したが、カドヘリン-5は検出されなかった。 さらに、細胞質末尾に特異的なパン−カドヘリン抗体[Geiger et al., J. Cell Science, 97: 607-614(1990)] を用いても、これら細胞集合中に他のカドヘリンは検出されなかった。
実施例7
三つのin vitro転移内皮移動分析を、カドヘリン-5が内皮の細胞間接合を横断する白血球の動きに関与していることを明らかにするために利用した。
A.横断移動分析
白血球の移動(ヒト多形核好中球もしくはラットT細胞)を、特定の時間継続した(PMNsに関して15分、T細胞に関して2時間)。 特有の細胞マーカーに対する抗体を用いた白血球の免疫蛍光標識付けを、白血球と内皮を区別するために用いた。 実施例4に記載したポリクローナル抗体を、カドヘリン-5の分布変化を測定するために用いた。 対照として、内皮における細胞間接合分子であるPE-CAM1(CD31)に対する抗体(ノバキャストラ ラボラトリー社、英国)を用いた。
HUVEcsを横切る多形核好中球(PMNs)の移動におけるカドヘリン-5の役割を分析した。 用いた方法は、Furie et al., J. Immunol., 143: 3309-3317 (1989)に記載のものであり、内皮の電気抵抗および移動に用いられた接着分子に関して特徴付けられた。 HUVEcsは成長要素が欠如した状態で単離され、二質培養系でヒト羊膜連結組織を培養した。 IL1β処理したHUVEcsに関する PMN移動は、E-選択およびβ2インテグリン(CD11/CD18) に関与していることがすでに示されている。 Furie et al., J. Immunol., 148: 2395-2484 (1992) を参照のこと。
最初の分析で、PMNsの移動は IL1β(1.5U/ml)(コラボレーティブ研究所、ベフォード、マサチューセッツ州)で4時間にわたって前処理されたHUVEcs上で、11分間行った。 好中球追加前に、カドヘリン-5に対する抗体が、HUVEcsの細胞接合部へ、継続的に、多量に標識付けした。 IL1βによる内皮細胞単層の前処理は、対照の非処理培養との比較から、HUVEc単層中のカドヘリン-5の分布には何らの影響も与えなかった。 次の分析で、HUVEcsを横切るPMNsの化学走性が、上室に添加された好中球に対し、下室に置かれた10-7M のロイコトリンB4 (LTB4)(シグマ社)によって刺激された。 内皮細胞単層を横切るLTB4に対するPMNsの化学走性は、 CD11a、CD11b 、およびICAM-1に対する抗体によってブロックされることがすでに示されている。 [Firie et al., Blood, 78: 2089-2097(1991)を参照のこと] 。 いずれの分析においても、PMNsは、抗-CD45抗体(ベクトンディキンソン社、サン ホセ、カリフォルニア州)と共に同定された。
いずれの分析における11分の時間において、接着した大多数のPMSNsもまた移動した。
好中球の追加は、最初の時間ポイント(3分間)にて、カドヘリン-5の急速な再分布と領域損失を招いた。 CD31もまた同様に、単層崩壊部位を損失したが、総合的には、移動過程では安定していたように見えた。 カドヘリン-5の損失は、移動中に好中球からプロテアーゼが遊離した結果であると思われる。
第3の分析では、 CD4抗原活性化ラットT細胞を、PMNs(2時間の間)の代替品として用いた。 ラット脳微小血管内皮細胞が、トランスウェル 5ミクロン ポリカーボネート膜(コスター社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)上で生育させた。 T細胞を、抗-CD4抗体を用いて同定した(セロテック社、インディアナポリス、インディアナ州)。 この分析においては、たとえ10%のT細胞が2時間後に内皮細胞を横切っても、免疫標識するカドヘリン-5の損失は、転移内皮移動の間には生じなかった。 これら結果は、細胞間接合部での転移内皮移動する間のPMNとT細胞の異なる効果を実証したものである。
共焦顕微鏡による分析は、CD4抗原活性T細胞およびPMNsが、移動中に内皮細胞におけるカドヘリン-5との相互作用が可能なリガンドを有することを示唆している。 共焦分析による顕微鏡写真は、白血球転移内皮移動中に、細胞間接合を架橋する白血球が発見されうることを示している。 たとえ内皮細胞が接触していなくても、白血球は細胞接合部を分離し、近接する細胞にカドヘリン-5は残存する。
B.カドヘリン-5へのPMNsおよびT細胞の接着
カドヘリン-5へのPMNsおよびT細胞の結合を定量するために、細胞−基質接着分析が作製された。 この分析法は、カドヘリン-5(EC1-2、またはEC2-4、実施例4を参照のこと)の様々な細胞外サブ領域を含むプレートに結合した融合タンパク質を利用し、シトフロアー2300(ミリポア社、ベドフォード、マサチューセッツ州)を用いて、カドヘリン-5タンパク質への染色標識した白血球の結合を測定した。
精製した融合タンパク質は、スチレンプレートに吸収され、染色標識した白血球の融解タンパク質への結合を、マルトース結合タンパク質と非特異的結合をブロックするために用いた熱変性ウシ血清アルブミン(BSA) への結合と比較した。
融合タンパク質を、Ca2+およびMg2+を含むPBS内に溶解し、被覆緩衝液中に希釈され、4℃で、一晩インキュベートした。 プレートを、熱変性BSAでブロックし、カルシエン(モレキュラープローブ社、エージェン、オレゴン州) 標識した細胞と共に、37℃で、1時間インキュベートした。 その分析結果を図1に示し、この中で報告された相対蛍光値は、三つの試料の平均値である。
PMNsは、カドヘリン-5のEC2-4を含む融合タンパク質に結合しているが、EC1-2を含む融合タンパク質と優先的に結合する。 これらの結果は、双方の融合タンパク質におけるカドヘリンサブ領域2配列の存在と符合するものである。
CD4抗原活性化T細胞は、EC2-4融合タンパク質と結合した。 PMNsがカドヘリン-5の末端部あるいは露出したサブ領域とより作用することを示す、これらすべての結果は、これら細胞タイプが内皮細胞を横切る割合、PMNsが数分間で移動し、およびT細胞が30〜60分要することの、いずれにも矛盾しない。 U937細胞の結合は、カドヘリン-5 EC2-4サブ領域に対して作製したポリクローナル抗体による用量依存方法において、ブロックできた。
前記段落に述べた結果と、白血球がカドヘリンを発現しないとする実施例6Bに示した結果の組み合わせは、白血球にてカドヘリン-5と結合しているカウンターリガンドが、関連性の薄いカドヘリンか、あるいはカドヘリンでないことを示唆するものである。 カドヘリン結合は、同型結合であると考えられてきた。
実施例8
大脳皮質の内皮の脳血液関門におけるカドヘリン-5の発現を、ウェスターンブロットおよび免疫細胞化学によって分析した。
SDS溶解物を、SDS試料緩衝液中でウシもしくはマカークザルの毛細血管を2分間沸騰させ、ついで25Gシリンジを用いて抽出物を引き出すことによって調製した。 抽出物はマイクロヒューズで、4℃にて、15分間遠心分離した。 上清中のタンパク質濃度は、ウシ血清アルブミンを標準として用いたBCA法(ピース社)によって決定した。 上清(75μg)試料をSDS-PAGE(レムリ社)によって分離し、ニトロセルロースに電気泳動的に移した。
ニトロセルロースを、0.05%Tween 20を含むTris緩衝化生理食塩水、pH 8.0、中の5%ミルクおよび10%FBSによってブロックされた。 カドヘリン-5特異性モノクローナル抗体(30Q4Hおよび45C6A)が添加された。 未結合抗体を除去するために洗浄した後、濾過材をアルカリ性ホスファターゼ接合抗マウスIgG(プロメガ社、マジソン、ウィスコンシン州)でインキュベートした。 反応バンドを、NBT/BCIP(シグマ社、セントルイス、モンタナ州)の添加により視覚化した。 カドヘリン-5の発現を、新たに単離したウシおよびマカークザルの毛細血管にて検出した。
ウェスターンブロットの結果は、カドヘリン-5抗体30Q4Hおよび45C6Aを用いた免疫細胞化学によって確認した。 マカークザルの大脳皮質を、PBS中の15%蔗糖にて、4℃で、30分間インキュベーし、冷凍型枠中のOCT化合物(ティッシュ テック社、エルハート、インディアナ州) に埋設し、迅速に冷凍した。 6個の微細分画を切り出し、ガラススライド上に置いた。 スライドをPBSで洗浄し、3% p−フォルムアルデヒド中に5分間固定した。 組織分画に透水性を付与するためにスライドを、−20℃のアセトンに10分間浸し、風乾した。 分画をPBS中の2%ヤギ血清および1%BSAで、30分間ブロックし、第一抗血清にて、室温で、1時間インキュベートした。 分画を0.1% BSAを含むPBSで3回濯ぎ、PBSの1%BSA中のビオチン化抗ウサギまたは抗マウスIgG(ベクターラボラトリー社、バーリンゲイム、カリフォルニア州)で、30分間インキュベートした。 3回濯いだ後、セイヨウワサビペルオキシダーゼ (ベクターラボラトリー社) で接合したストレプトアビジンを30分間添加し、3回洗浄した。 免疫標識は、塩化ニッケルの存在下、ジアミノ安息香酸との反応により検出された。 モノクローナル抗体45C6Aのみに大きな標識が付けられ、モノクローナル抗体30Q4Hには大きい標識と微細な標識双方が付いた。 大脳毛細血管の細胞接合部には、局在した部位に抗カドヘリン-5抗体が付けられた。
これら結果および実施例7で示した結果は、カドヘリン-5が脳血液関門の維持に関与し、カドヘリン-5ペプチドもしくはカドヘリン-5特異的モノクローナル抗体が脳血液関門を開くことができることを示唆するものである。
実施例9
特許協力条約(PCT)国際公開第WO 91/04745号は、微小血管と内皮細胞の強固な接合を壊すことを意図した細胞接着分子の断片および細胞接着分子に対する抗体を述べている。
細胞結合領域〔HAV領域、Blaschuk et al., Devel. Biol., 139: 227-229 (1990)〕に対応するこれらカドヘリン-5ペプチド、およびE-カドヘリン〔Ringwald et al., EMBO J., 6: 3647-3653 (1987)〕のカルシウム結合領域A1およびカルシウム結合領域B1を、脳内皮の透水性に影響を与える能力について試験した。
使用したペプチドは、それぞれ下記の配列を有していた。
ペプチド1(配列番号:50の114〜128位のアミノ酸)
LTAVIVDKDTGENLE、
ペプチド2(配列番号:50の132〜145位のアミノ酸)
SFTIKVHDVNDNWP 、および
ペプチド3(配列番号:50の168〜178位のアミノ酸)
SVTAVDADDPT。
透水性を、二室培養システム(コスター社)を用いて測定した。 ラット脳微小血管内皮を、培養システムの3ミクロン孔径の12mm Transwellフィルター(コスター社)で生長させた。 載置してから2週間後に、単一層が合流した時に、3H-イヌリン(201mCi/g)(ニューイングランド ニュクリアー社、ボストン、マサチューセッツ州)を上室に添加した。 100μg/mlのカドヘリン-5ペプチドを、上室および下室双方に添加した。 下室で認められた放射能を、37℃にて、15分間隔で2時間にわたって実施し、ペプチドが無添加もしくは内皮細胞が存在しない培養のための下室において認められた放射能と比較した。
ペプチド1および3の双方で、対照培養と比較して内皮透水性が増加した。
ペプチド3では対照と比較して2.5倍の、また、ペプチド1では1.5倍の透水性の増加が得られた。 ペプチド2では、透水性への影響は無かった。
実施例10
カドヘリンの機能特性は、特異的細胞間相互作用のみならず、細胞骨格との細胞間相互作用にも関与する。 カドヘリン-5特異的ウサギポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体30Q8A(実施例4参照)を利用した免疫沈降実験を、どのタンパク質が細胞間レベルで相互作用するかを決定するために実施した。
内皮細胞を、[35S]-メチオニンの50μCi/ml で、一晩、代謝的にラベルし、そして10mM HEPES、pH 7.4、0.15M塩化ナトリウム、2mM EDTA、2mM EGTA、1mM フェナンスロリンおよびプロテアーゼ阻害剤中の0.5% Triton X-100で抽出した。
阻害剤は、1mM PMSF、10μg/mlアプロチニン、ロイペプチン、ペプスタインA、アンチパイン、ダイズトリプシンインヒビター、100μg/mlキモスタチンおよびTPCK、40μg/mlのTPCKおよびベスタチン、50μg/mlのベンズアミジン、1mM o−バニリン酸塩および20mMフッ化ナトリウムを含んでいた。 氷上で20分後、細胞は掻き取られ、マイクロヒューズで、4℃にて、30分間遠心分離した。 上清の安全性を事前に確認してから、ポリクローナル抗カドヘリン-5もしくは標準ウサギ血清のいずれかを添加し、4℃で、一晩、イキュベートした。 プロテインAセファロース(ファーマシア社、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)を、4℃で、2時間添加し、そして遠心分離した。 10mM HEPES、pH 7.4、0.15M 塩化ナトリウム、2mM EDTA、および1% Triton X-100、0.5% DOCおよび0.2% SDSを含む2mM EGTAで最初の軽度の洗浄を行った。 二回目の強度の洗浄を2% SDSを含む同じ緩衝液で行った。 最後の洗浄をTris緩衝化生理食塩水で行い、試料を煮沸し、SDS/PAGE(7%)にて分析した。 104KD、95KD、および82KDの分子量の三つのバンドが、カドヘリン-5と関連あるものとして同定された。
カテニンと名付けられた三つの細胞間タンパク質は、E-カドヘリンの細胞質領域への結合能力によって先に同定されていた。 これらタンパク質は、α、βおよびγカテリンと称され、それぞれ102KD、88KD、および80KDの分子量を有している〔Ozawa et al., EMBO J. 8: 1711-1717 (1989)〕。 E-カドヘリンへのカテニンの関連性は、E-カドヘリンの細胞質領域の削除が細胞接着機能およびカテニン結合の損失をもたす結果であることから、E-カドヘリン機能要求にあるように思われる。 α−カテリンの分子クローニングは、それがビンキュリン様タンパク質であることを示している〔Nagafuki et al., Cell, 65: 849-857 (1991): Herrenkenecht et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 9156-9160 (1991)〕。
Xenopus βカテリン〔McCrea et al., Science, 254: 1359-1361 (1991)〕のアミノ酸配列は、ヒトタンパク質プラコグロブリン〔Franke et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 4027-4031 (1989)〕との63%の類似性を示した。 プラコグロブリンは、接着斑の細胞質領域および上皮細胞の着生接合部の双方に局在している。 接着斑成分デスモグレインIは、プラコグロブリンと相互作用し、カドヘリン上科に属している〔Koch et al., Eur. J. Cell. Biol., 53: 1-12 (1990)〕。 プラコグロブリンは、82KDの分子量を有し、γカテリンと考えられる〔Peifer et al., J. Cell. Biol., 118: 681-691 (1992)〕。 内皮細胞が、接着斑を有していなくとも、プラコグロブリン関連の細胞間接合部を含むと考えられる〔Franke et al., Biol. of the Cell, 59: 205-218 (1987)〕。 カドヘリンに関連した他の細胞骨格要素は、アンキリンとフォドリンである〔Nelson et al., J. Cell Biol., 110: 349-357 (1990)〕。
プラコグロブリンが、カドヘリン-5に対して複合化したタンパク質の一つであるか否かを決定するために、ウシ大動脈内皮細胞の無標識溶解物を作製し、抗カドヘリン-5抗体を用いた免疫沈降反応を上述したようにして行った。 無標識免疫沈降物をSDS/PAGEで分離し、ニトロセルロースへ電気泳動的に移した。 膜を、0.05% Tween 20 (TBST)を含むTris緩衝化生理食塩水、pH 8.0、での5%ミルクでブロックし、ブロッキング溶液(1:20) にて、プラコグロブリンに対するマウスモノクローナル抗体PG5.1 (IBIリサーチプロダクツ、ケンブリッジ、カリフォルニア州) と共に、室温で、1時間インキュベートした。 膜をTBSTで洗浄し、そして、アルカリ性ホスファターゼに接合したヤギ抗マウスIgG と共にインキュベートした。 軽度および強度のいずれのストリンジェントな洗浄条件下でも、NBT/BCIPを用いて82KDタンパク質が同定された。 これら結果は、プラコグロブリンが、内皮のカドヘリン-5の細胞質領域と密接に関連があることを実証するものである。 再生した内皮の免疫蛍光研究は、カドヘリン-5とプラコグロブリンが、細胞接合部に局在化し、同等に調節されていることを示した。
プラコグロブリンへのカドヘリン-5の相互作用は、カドヘリン-5活性の調節を目的としたものであると思われる。
本願発明について、好ましい態様に関して説明してきたが、当業者であれば容易に変更や改良が加えられることを理解されたい。 従って、本明細書の特許請求の範囲の欄に記載した制限のみが、本願発明に付加されるべきである。
本発明の細胞間接着に関連する新規のカドヘリンのみならず、これらカドヘリンをコードする精製および単離されたポリヌクレオチド配列も提供され、これらポリヌクレオチド配列を利用したベクターなどは、実用上極めて有用である。
配列表のフリーテキスト
配列番号:5の第2位のアミノ酸
<223> この位置のアミノ酸は、プロリンまたはグリシンである。
配列番号:5の第3位のアミノ酸
<223> この位置のアミノ酸は、ロイシン、イソロイシンまたはバリンである。
配列番号:5の第5位のアミノ酸
<223> この位置のアミノ酸は、フェニルアラニンまたはチロシンである。
配列番号:7の第1位のアミノ酸
<223> この位置のアミノ酸は、アスパラギンまたはアスパラギン酸である。
配列番号:7の第3位のアミノ酸
<223> この位置のアミノ酸は、アラニンまたはプロリンである。
カドヘリン-5の細胞外サブ領域を含む融合タンパク質の形成に関与する多形球好中球とT細胞の結合を示すグラフである。

Claims (25)

  1. カドヘリンをコードする精製および単離されたポリヌクレオチドであって、当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とするポリヌクレオチド。
  2. 前記ポリヌクレオチドが、DNAである請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 前記ポリヌクレオチドが、cDNAまたはその生物学的複製物である請求項2に記載のポリヌクレオチド。
  4. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号:57に記載のポリヌクレオチド配列からなるヒトカドヘリン-11をコードする請求項3に記載のポリヌクレオチド。
  5. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号:59に記載のポリヌクレオチド配列からなるヒトカドヘリン-12をコードする請求項3に記載のポリヌクレオチド。
  6. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号:61に記載のポリヌクレオチド配列からなるヒトカドヘリン-13をコードする請求項3に記載のポリヌクレオチド。
  7. 前記DNAが、ゲノミックDNAまたはその生物学的複製物である請求項2に記載のポリヌクレオチド。
  8. 前記DNAが、全体的もしくは部分的に化学的に合成されたDNAまたはその生物学的複製物である請求項2に記載のポリヌクレオチド。
  9. 請求項2に記載のDNAを含む、生物学的機能性DNAベクター。
  10. 前記DNAが、発現調節DNA配列に機能的に連結されている請求項9に記載のベクター。
  11. その細胞内にて、請求項2に記載のDNAでコードされたカドヘリンポリペプチドの発現を許容する方法によって、当該DNAで安定裏に形質転換または形質変換された宿主細胞。
  12. カドヘリンポリペプチドの製造方法であって、請求項11に記載の宿主細胞を適当な栄養培地で成長せしめ、および当該細胞またはその成長培地からカドヘリンを単離する、工程を含むことを特徴とするカドヘリンポリペプチドの製造方法。
  13. 配列番号:58に記載のアミノ酸配列からなるヒトカドヘリン-11をコードする精製および単離された全長カドヘリンポリペプチド。
  14. 配列番号:60に記載のアミノ酸配列からなるヒトカドヘリン-12をコードする精製および単離された全長カドヘリンポリペプチド。
  15. 配列番号:62に記載のアミノ酸配列からなるヒトカドヘリン-13をコードする精製および単離された全長カドヘリンポリペプチド。
  16. カドヘリンに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系であって、当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とするハイブリドーマ細胞系。
  17. カドヘリン-5に対して特異的に結合可能なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系であって、当該ハイブリドーマ細胞系が、30Q8A(ATCC HB11316)、30Q4H(ATCC HB11317)、45A5G(ATCC HB11318)、30S2F(ATCC HB11319)、45C6A(ATCC HB11320)、30T11G(ATCC HB11324)、および64G11F(ATCC HB11527)からなるグループから選択されることを特徴とするハイブリドーマ細胞系。
  18. 請求項16または17に記載のハイブリドーマ細胞系によって産生されたモノクローナル抗体。
  19. カドヘリンに対して特異的に結合する抗体であって、当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とする抗体。
  20. ヒト以外の動物でのカドヘリンの結合能力を調節する方法であって、請求項19に記載の抗体とカドヘリンとを接触する工程を含み、かつ当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とするカドヘリンの結合能力を調節する方法。
  21. カドヘリンの結合能力を調節する薬学的組成物であって、請求項19に記載の抗体を薬学的に有効量を含み、かつ当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とするカドヘリンの結合能力を調節する薬学的組成物。
  22. ヒト以外の動物でのカドヘリンの結合能力を調節する方法であって、カドヘリンのポリペプチドまたはペプチドリガンドとカドヘリンとを接触する工程を含み、かつ当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とするカドヘリンの結合能力を調節する方法。
  23. ヒト以外の動物でのカドヘリンの結合能力を調節する方法であって、カドヘリンのペプチドとカドヘリンとを接触する工程を含み、かつ当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とするカドヘリンの結合能力を調節する方法。
  24. カドヘリンの結合能力を調節する薬学的組成物であって、カドヘリンのポリペプチドまたはペプチドリガンドを薬学的に有効量を含み、かつ当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とするカドヘリンの結合能力を調節する薬学的組成物。
  25. カドヘリンの結合能力を調節する薬学的組成物であって、カドヘリンのペプチドを薬学的に有効量を含み、かつ当該カドヘリンが、カドヘリン-11、カドヘリン-12およびカドヘリン-13からなるグループから選択されることを特徴とするカドヘリンの結合能力を調節する薬学的組成物。
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