JP2004253026A - ディジタル信号記録装置及び再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】再生信号のS/Nが低くなると、SYNCパターンが誤る確率が増加し、データの先頭が発見できなくなってくる。また、SYNCパターンの誤検出により、それ以降のデータが全てエラーになるという事態も起り得る。
【解決手段】アンブルパターンもSYNCブロックとみなし、メインセクタ領域15内のシンクブロックと同様に112バイト単位で先頭に16ビットのSYNCパターンを挿入したアンブルSYNC領域16を配置する。ただし、16ビットのSYNCパターンが挿入されたアンブルSYNC領域は、メインセクタ領域15が終了した時点以降の4SBのアンブル領域のうち、メインセクタ領域15の終了後3SYNCブロックのみとし、残りの1SBのアンブル領域17にはSYNCパターンは挿入しない。サブコード領域12に対しても、その直後にサブコードブロック単位でSYNCパターンを配置したアンブルSYNC領域13を配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】アンブルパターンもSYNCブロックとみなし、メインセクタ領域15内のシンクブロックと同様に112バイト単位で先頭に16ビットのSYNCパターンを挿入したアンブルSYNC領域16を配置する。ただし、16ビットのSYNCパターンが挿入されたアンブルSYNC領域は、メインセクタ領域15が終了した時点以降の4SBのアンブル領域のうち、メインセクタ領域15の終了後3SYNCブロックのみとし、残りの1SBのアンブル領域17にはSYNCパターンは挿入しない。サブコード領域12に対しても、その直後にサブコードブロック単位でSYNCパターンを配置したアンブルSYNC領域13を配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディジタル信号記録装置及び再生装置に係り、特に所定のデータフォーマットで記録媒体上にディジタル信号を記録し、再生するディジタル信号記録装置及び再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定のデータフォーマットで記録媒体上にディジタル信号を記録し、再生する従来のディジタル信号記録再生装置は各種知られているが、例えばD−VTRでは、回転ヘッドが記録媒体である磁気テープに接触する略180°の巻き付け角の走査期間に対応した、アプリケーション毎のトラックフォーマットが存在し、そのトラックフォーマットに従って、ディジタル信号(データ)の記録がなされる。
【0003】
記録媒体がテープ媒体の場合は、クロックの再生を直接再生波形から行う自己同期方式であると共に、データの始まりを示すSYNCパターンと、誤り訂正用のアドレスを示すIDと、誤り訂正用のパリティと、ユーザデータとが、時分割で所定のフォーマットに従って縦列に記録される。この点において、クロック再生用のクロックマークを有したり、データの始まりを示すのに別に案内溝を用いたりするようなディスクのフォーマットとは異なる。
【0004】
一般的なデータの再生過程を述べると、再生された信号は波形等化器によって所望のパーシャルレスポンス波形に等化され、ビット毎あるいはビタビ復号などの復号器によってディジタルデータに復元される。また、これと並行して再生信号あるいは波形等化信号からクロックが再生される。このクロックで復元された再生データをラッチした後、SYNC(同期信号)の検出を行う。SYNC検出はフォーマットされたデータの始まりを検出するのが目的である。
【0005】
データの始まりを検出できれば、所定のフォーマットの順にデータが並んでいるので、データが変調されている場合は復調を行い、元のデータが復元できるのである。このように、データの始まりを正確に検出することは、誤り訂正を行う上での前提条件となる。検出位置が1ビットでもずれれば、基本的には全てのデータがエラーとなってしまう。
【0006】
ところが、再生時には必ず雑音によるデータの誤りが発生する。このため、トラックには唯1つのSYNCパターンが有るだけではなく、1本のトラックには細かいブロック(SYNC)に分割してブロック単位でデータを配列し、各ブロックの先頭にSYNCパターンを記録するように、かつ、SYNCの長さ(ブロック長)が一定となるようになっている。これによって、トラックの中途からでもデータが再生できるように、また、SYNCパターンに誤りが発生しても、ビット数を数えることで、慣性によってSYNCの先頭を予想することができるようになっている。
【0007】
一方、SYNCパターンの検出能力を向上するために、セクタ中のSYNC部の直前又は直後の少なくとも一方の記録データをSYNCパターンの一部とする拡張SYNCパターンを利用するようにした同期信号検出装置も従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1記載の同期信号検出装置では、セクタ中のSYNC部の例えば直前のプリアンブルパターンの終端側パターン部分を、SYNCパターンの一部として利用し、それら終端側パターン部分とSYNC部のSYNCパターンとからなる拡張SYNCパターンを照合パターンとして用いてディスク媒体からのリードデータとのパターン照合を行うものである。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−216743号公報(第1、3頁、図8−図12)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前者の従来のディジタル信号記録再生装置では、再生信号の信号対雑音比(S/N)が低くなると、SYNCパターンが誤る確率が増加し、データの先頭が発見できなくなってくる。また、誤りが発生したがゆえに、SYNCパターンではないところにSYNCパターンの検出がなされることもあり、場合によってはその誤検出から慣性による予想が起って、それ以降のデータが全てエラーになるという事態も起り得る。
【0010】
一方、最近では再生データの復号に、ビタビ復号は一般的となり、更に進んだターボ符号が注目を浴びている。ターボ符号は再生データをA/D変換した値をメモリに入れ、複数回の演算を施しながら復号を行う繰り返し復号である。シャノンのS/N限界に迫るとされるこの復号方式はブロック符号である。従って、ターボ符号のようなブロック符号では特にブロックの先頭を見付けることは非常に重要な技術となる。
【0011】
しかし、従来のディジタル信号記録再生装置では、低いS/Nの下ではSYNCパターンの誤り増加に伴うSYNCの検出が充分になされず、従って、ブロック符号の先頭検出も充分になされないという問題点を有する。また、ターボ符号ではなくとも、低S/N下で強力なSYNC検出が求められることは言うまでもない。
【0012】
一方、後者の同期信号検出方法を備えたディジタル信号記録再生装置は、SYNCパターンの長さを拡張することにより、実質的なSYNC長を長くするようにしたものであり、上記のように低いS/N下において確実にSYNC検出を行うと共に再生信号のS/Nを向上する方法は開示されていない。
【0013】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、低S/N下で強力なSYNC検出を行い得るディジタル信号記録装置及び再生装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、第1の発明のディジタル信号記録装置は、第1のSYNCパターンを含むデータの集合体であるデータブロック単位で複数のデータブロックが時系列的に合成されたセクタ領域が複数配置されると共に、相隣るセクタ領域と別のセクタ領域の間、及び最終のセクタ領域とトラック終了位置の間に、それぞれデータとは無関係のアンブル領域が配置されたフォーマットを記録媒体に記録形成するディジタル信号記録装置において、アンブル領域を、そのアンブル領域の直前のセクタ領域のデータブロックと同じブロック長毎に同じ第2のSYNCパターンを挿入したアンブルブロックを、設定した個数Naだけ連続して配置した構成とすると共に、アンブルブロック内の第2のSYNCパターンとアンブルブロックの直前のセクタ領域のデータブロック内の第1のSYNCパターンとが、再生時に一定の再生波形となるように、第1及び第2のSYNCパターンの値を選定して、記録媒体に対してディジタル記録を行うことを特徴とする。
【0015】
この発明では、セクタ領域のデータブロック内の第1のSYNCパターンと、セクタ領域の直後のアンブル領域の上記のデータブロックと同一ブロック長のNa個のアンブルブロック内の第2のSYNCパターンとが、再生時に一定の再生波形となるように、第1及び第2のSYNCパターンの値を選定してディジタル記録されているため、再生時はセクタ領域内のデータブロックからの各SYNCパターンの再生信号波形及びその直後のアンブル領域からの各SYNCパターンの再生信号波形をただ1種類となるようにできる。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明のディジタル信号記録装置は、上記の第1の発明の設定した個数Naに替えて、アンブル領域を、すべてそのアンブル領域の直前のセクタ領域のデータブロックと同じブロック長毎に同じ第2のSYNCパターンを挿入したアンブルブロックで連続配置した構成とすることを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明のディジタル信号再生装置は、第1の発明のディジタル信号記録装置で記録媒体に記録された信号を再生するディジタル信号再生装置であって、A/D変換された再生信号を、セクタ領域の1つのデータブロック分遅延する遅延回路を個数Naだけ縦続接続した構成により遅延する遅延手段と、遅延手段を構成するNa個の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均する加算平均手段と、加算平均手段から出力された平均値信号に基づいて、SYNCパターンの検出を行う検出手段とを有する構成としたものである。
【0018】
この発明では、Na個の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均して得られた平均値信号に基づいて、1種類のSYNCパターンの検出を行うようにしたため、S/Nの良いSYNCパターンの検出ができる。
【0019】
また、上記の目的を達成するため、第4の発明のディジタル信号再生装置は、第2の発明のディジタル信号記録装置で記録媒体に記録された信号を再生するディジタル信号再生装置であって、A/D変換された再生信号を、セクタ領域の1つのデータブロック分遅延する遅延回路を所定個数縦続接続した構成により遅延する遅延手段と、遅延手段を構成する所定個数の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均する加算平均手段と、加算平均手段から出力された平均値信号に基づいて、SYNCパターンの検出を行う検出手段とを有することを特徴とする。
【0020】
この発明では、所定個数の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均して得られた平均値信号に基づいて、1種類のSYNCパターンの検出を行うようにしたため、S/Nの良いSYNCパターンの検出ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施の形態について図面と共に説明する。本実施の形態では、D−VHSのフォーマットを例にとって説明する。図1(a)は本発明になるディジタル信号記録装置の一実施の形態による記録トラックフォーマット、同図(b)はその1シンクブロック(SB)のフォーマットを示す。本実施の形態のディジタル信号記録再生装置は、互いに相異なるアジマス角度の2つの回転ヘッドが所定の一定回転数で回転する略円柱状の回転ドラムの回転面に相対向して固定されると共に、磁気テープが上記の回転ドラムの側面に180°よりも若干大なる角度範囲にわたって回転ドラムの軸方向に対して斜めに巻回されつつ一定速度で走行するようにされた、周知のヘリカルスキャン方式VTRと同様の記録再生機構を有し、2つの回転ヘッドが交互に磁気テープ上を走査して、磁気テープの長手方向に対して傾斜したトラックを順次に形成してディジタル信号を記録し、又は記録済みのトラックの記録ディジタル信号を再生する。
【0022】
ここで、磁気テープ上に形成された各トラックは、図1(a)に示すように、アンブル(Amble)領域11、サブコード(Subcode)領域12、アンブルSYNC(Amble SYNC)領域13、アンブル(Amble)領域14、メインセクタ(Main)領域15、アンブルSYNC(Amble SYNC)領域16及びアンブル(Amble)領域17の順に時系列的に合成されたフォーマットで形成される。
【0023】
メインセクタ領域15は、図1(b)に示すシンクブロック(SB)と称するデータブロック単位にメインデータが格納された領域である。ここで、シンクブロックは図1(b)に示すように、シンクブロックの再生のための2バイトのSYNCパターン領域21と、3バイトのアドレス情報(ID)領域22と、様々な情報を格納する3バイトのヘッダ格納領域23と、96バイトの実質的なデータ格納領域24と、このシンクブロックの情報の誤り訂正のための8バイトのパリティの領域25とが時系列的に合成された全部で112バイトの構成である。
【0024】
ここで、図1(a)に示すように、上記のアンブル領域11は5シンクブロック(SB)、サブコード領域12は4SB、アンブルSYNC13及びアンブル14なる部分は7SB、メインセクタ領域15は336SB、アンブルSYNC領域16は3SB、アンブル領域17は1SBに相当する長さである。また、図1(a)において、括弧内の数値は、メインセクタ領域15の1SB(=112バイト)を1SYNC数(データブロック数)としたときのSYNC数(データブロック数)を示す。
【0025】
なお、サブコード領域12は、4SBの長さであるが、各1SB(=112バイト)がそれぞれ28バイトのサブコードブロック4つから構成されており、各サブコードブロックの先頭には2バイトのSYNCパターンが配置されるので、サブコード領域12全体のSYNC数(サブコードブロック数)及びSYNCパターン数はそれぞれ16個である。ただし、前述したように、サブコード領域12のサブコードブロックの長さは28バイトであり、メインセクタ領域15のデータブロックである1SB(=112バイト)の1/4倍の長さであるので、112バイトを1SYNCに換算すると、サブコード領域12のSYNC数は4となる。
【0026】
また、図1(a)に示すように、サブコード領域12とメインセクタ領域15の前後には数SBのアンブルが付属している。本実施の形態の記録再生系はパーシャルレスポンスクラス4の検出が可能なようにプリコードがなされる。SYNCパターンは、メインセクタ領域15では図1(b)に21で示したように16ビット(=2バイト)であり、またサブコード領域12のSYNCパターンも同様に16ビット(=2バイト)であるが、先頭の2ビットは挿入ビットであり、再生時の検出パターンは14ビットである。
【0027】
仮にメインセクタ領域15の14ビットの検出パターンを
11010001011100
とすると、先頭の2ビットの挿入ビットを「00」としてプリコードを行った場合、その再生系列は、再生レベルを0,±Aとすると、
AA0−A000A0−A−AA00
となる。また、先頭の2ビットの挿入ビットを「01」としてプリコードを行った場合は、上記のパターンと比較して偶数ビットの符号が反転したパターンが再生される。
【0028】
本実施の形態では、このような反転パターンが生じないように、メインセクタ領域15では全てのSYNCパターンの挿入ビットに「00」を選択してプリコードを行うものとする。よって、再生時のSYNCパターンは全て
AA0−A000A0−A−AA00
である。
【0029】
次に、メインセクタ領域15が終了した時点以降は4SBのアンブル領域が記録される。本実施の形態では、アンブルパターンもSYNCブロック(データブロック)とみなし、メインセクタ領域15内のシンクブロックと同様に112バイト単位で先頭に16ビットのSYNCパターンを挿入したアンブルSYNC領域を配置する。
【0030】
ただし、16ビットのSYNCパターンが挿入されたアンブルSYNC領域は、メインセクタ領域15が終了した時点以降の4SBのアンブル領域のうち、図1(a)に16で示すように、メインセクタ領域15の終了後3SYNCブロック(Na=3)のみとし、残りの1SBのアンブル領域17にはSYNCパターンは挿入しない。
【0031】
このとき、16ビットのSYNCパターンが挿入されたアンブルSYNC領域16のSYNC長(データブロック長)は、メインセクタ領域15の直後であることから、メインセクタ領域15のデータブロック長である1SBと同じ112バイトで、SYNCパターンの挿入ビットは「00」である。
【0032】
また、サブコード領域12に対しても、同様にメインセクタ領域15とは異なる検出パターンを定めて記録を行う。すなわち、サブコード領域12が終了した時点以降の7SBのアンブル領域のうち、図1(a)に13で示すように、サブコード領域12の終了後3SYNCブロック(Na=3)のみにSYNCパターンを挿入し、残りのアンブル領域14にはSYNCパターンは挿入しない。
【0033】
このとき、16ビットのSYNCパターンが挿入されたアンブルSYNC領域13のSYNC数(データブロック数)Naは、サブコード領域12の直後であることから、サブコード領域12のデータブロック長であるサブコードブロック長と同じ28バイトのSYNC(データブロック)が3個であり、従ってアンブルSYNC領域13全体のSYNC長(データブロック長)は84(=28×3)バイトである。また、このときの28バイト毎に配置される2バイトのSYNCパターンの挿入ビットは「00」である。
【0034】
なお、上記の84バイトは、メインセクタ領域15の112バイトのSB数に換算すると、図1(a)に括弧内の数値で示したように、0.75SBとなる。SYNCパターンを挿入しない残りのアンブル領域14の長さは、6.25SBとなる。
【0035】
このように、本実施の形態では、アンブルパターンもSYNCブロック(データブロック)とみなし、SYNCパターンをSYNC長(データブロック長)毎に全部で3個のSYNC(データブロック)に挿入するが、そのSYNC長は直前のセクタ(領域)のSYNC長に応じて変化する。
【0036】
なお、上記の実施の形態の説明では、SYNCパターンの挿入ビットを「00」としたが、セクタ内SYNCパターンと、直後のアンブルSYNC内のSYNCパターンの挿入ビットが同一であれば他の値の挿入ビットでもよい。
【0037】
次に、本発明のディジタル信号記録装置の一実施の形態の記録方法について、図2のフローチャートと共に説明する。まず、記録再生装置の記録系の制御部は、これから記録しようとするセクタの種類は何か判定する(ステップS1)。図1(a)に示したように、トラックの先頭はまずアンブルであるので、アンブルであると判定され、続いて直前のセクタは何か判定する(ステップS2)。
直前のセクタは、直前のトラックの最後尾のアンブルであったので、ステップS2ではアンブルと判定され、アンブルを所定長(ここでは5SB)記録する。これにより、図1(a)に示したアンブル領域11が記録形成される。
【0038】
続いて、セクタの種類は何か判定し(ステップS1)、次にサブコードを記録するので、ステップS1でサブコードと判定され、サブコードデータを112バイトのSB数に換算して4SB分記録する(ステップS4)。続いて、セクタの種類は何か再び判定する(ステップS1)。次に、アンブルを記録するので、続いて直前のセクタは何か判定する(ステップS2)。直前のセクタはサブコードであったので、サブコード領域12が終了した時点以降の7SBのアンブルのうち、サブコード領域12の終了後は2バイトのSYNCパターンを先頭に有するアンブルSYNCを3個記録し(ステップS5)、残りのアンブル領域にはSYNCパターンは挿入しない(ステップS1、S2、S3)。
【0039】
これにより、前述したように、上記のサブコード領域12の終了後は、サブコード領域12のデータブロック長であるサブコードブロック長と同じ28バイトのSYNCが3個、すなわち、各々2バイトのSYNCパターンを先頭に有する28バイトのSYNCが3個からなる、全部で84(=28×3)バイトのSYNC長(データブロック長)のアンブルSYNC領域が図1(a)に13で示すように記録され、続いてアンブルのみのアンブル領域が図1(a)に14で示すように記録される。
【0040】
アンブル領域14の記録に続いて、次のセクタの種類が判定され(ステップS1)、次のセクタはメインセクタであるので、メインデータを所定の336SB分記録する(ステップS6)。これにより、図1(a)に示したメインセクタ領域15が記録され、続いて次のセクタの種類の判定が行われる(ステップS1)。次のセクタは4SBのアンブルであるので、直前のセクタがメインセクタであることを判定し(ステップS2)、直前のメインセクタ領域15内のシンクブロックと同様に112バイト単位で先頭に16ビットのSYNCパターンを挿入したアンブルSYNC領域を3個配置し(ステップS5)、残りの1SBのアンブルにはSYNCパターンは挿入しない(ステップS1、S4)。これにより、図1(a)に示したアンブルSYNC領域16と、アンブル領域17が記録形成される。以下、上記と同様の動作が繰り返される。
【0041】
図3は本発明のディジタル信号記録装置の要部の一実施の形態のブロック図を示す。同図において、符号化部から出力されたデータは、スイッチ回路41に入力される。スイッチ回路41は、タイミングジェネレータ43からの信号に基づいて、シンクパターン発生器42からのシンクパターン(アンブルシンク含む)又はアンブルと、符号化部からのデータの一方を選択して変調器(プリコーダ)44に供給する。この変調器44に入力される信号のフォーマットは、図1(a)、(b)に示すものとなり、変調器44でプリコードされた信号は、公知の記録手段により磁気テープに記録される。
【0042】
次に、本発明になるディジタル信号再生装置について説明する。図4は本発明になるディジタル信号再生装置の要部の一実施の形態のブロック図を示す。同図において、図示しない回転ヘッドによって、図1(a)に示したトラックが順次に記録された磁気テープの当該トラックから再生されたディジタル信号は、従来と同様に増幅器、波形等化器、位相同期ループ回路(PLL)(何れも図示せず)を経てパーシャルレスポンス波形に等化されると共に、クロックが再生される。再生されたクロックで等化波形はサンプル(A/D)されて、図4の検出器に入力される。
【0043】
A/D変換された信号は、1SYNC、すなわちメインセクタ領域からの再生信号は1SB分の112バイト遅延するためFIFO31に入力される。Na=3とした今回の例では、それぞれ1SYNC分の112バイト遅延する3個のFIFO31、32及び33が縦続接続されている。入力をAとすると、図4に示すようにFIFO31、32及び33によりB,C,Dと1SYNCずつ遅延が行われ、それぞれタップとして取り出される。上記の入力信号A、FIFO31、32及び33の各出力信号B、C、及びDはそれぞれ図6に模式的に示される。同図中、白地部分及びハッチング部分はメインデータやサブコードデータのデータ領域、網掛け部分及びグレー部分は2バイトのSYNCパターンを模式的に示す。
【0044】
なお、サブコード領域及びその直後のアンブルSYNC領域からの再生信号をA/D変換した信号が入力される上記の1SYNC FIFO31〜33は、それぞれ28バイト分遅延する遅延回路である。すなわち、図4に示す回路は、D−VHSフォーマットの場合、メインセクタ領域及びその直後のアンブルSYNC領域用と、サブコード領域及びその直後のアンブルSYNC領域用の2種類存在することになる。
【0045】
入力信号Aと各タップ出力信号B,C,Dは図4の平均化回路35に供給され、算術加算後(Na+1)で除算されて平均値が求められる。その平均値はビタビ復号器36に入力され、ここで復号されて図6に模式的に示す復号信号Eとして出力され、SYNC検出回路37に供給される。明らかなように、ここでの復号はSYNCパターンのみの検出を目的とする。
【0046】
本実施の形態では、再生SYNCパターンが同一セクタ内で同じパターンとなるように記録を行ったため、図6に示すようにSYNC長の整数倍遅延したものとの平均も、SYNCパターンとなる。のみならず、算術平均をとるということは、雑音系列にとってはアンサンブル平均をとることと等価で、雑音系列の平均値が0に近づくのである。
【0047】
一般的な繰り返し信号の波形をオシロスコープやスペクトラムアナライザで観測する場合に、雑音による影響を少なくするためにアベレージングを行うことがあるが、原理的には同じことである。従って、アンブルSYNC数Naの値を大きくすればするほど、SYNCパターンの平均系列のS/Nは向上する。
【0048】
SYNCパターン以外の部分は信号も雑音も確率的な分布をみせ、両者ともNaが大きくなるほど0に近づくものの、本発明には影響があまりなく、どのようなパターンで検出されてもよい。SYNCパターンの部分のみが、周期的に、かつS/Nが良い状態でビタビ復号器36に入力されればよいのである。
【0049】
ビタビ復号器36の出力復号信号Eは、図4に示すSYNC検出器37に入力され、上記S/Nの良い状態で、図6にFで模式的に示すように同期信号(SYNCパターン)が検出される。
【0050】
一方、データの検出は、図4のビタビ復号器36とSYNC検出器37の各動作には既知・固定の遅延が生ずるため、この遅延を勘案してFIFO33の出力信号Dを更に固定遅延回路34で遅延させて、SYNCパターン検出信号Fとの時間合わせを行い、図6にGで模式的に示す信号を出力してSYNCパターン検出信号Fと同期をとるようにする。そして、SYNCパターン検出信号Fに基づいて固定遅延回路34の出力信号Gのデータ検出が行われる。
【0051】
図5は本発明になるディジタル信号再生装置の他の要部の一実施の形態のブロック図を示す。同図において、磁気テープから再生された再生信号は、SYNC検出部51に供給される。このSYNC検出部51は図4に示した構成とされており、前述した出力信号Gは復調器52で復調されてスイッチ回路53に入力し、他方、前述したSYNCパターン検出信号Fをスイッチ回路53の切り替え制御信号として出力する。スイッチ回路53は、切り替え制御信号に基づいて、復調器52からの再生信号のうち、正味のデータ部分のみを選択して後段の復号化部へ出力する。
【0052】
なお、データの検出にもビタビ復号を用いる場合は、系列GのSYNCパターンの場所に、理想的な数値をスイッチによって選択して挿入してから復号を行うなどの方法が容易に考えられる。そうでなくとも、系列Gをそのまま復号しても、どのビットがSYNCの始まりであるかが既に分かっているため、復号結果をすぐさま次の信号処理に引き渡すことができる。ターボ符号などの繰り返し復号でも、SYNCパターンの後のデータを読み取ることで、符号化ブロックを分別することが可能となる。
【0053】
次に、アンブルSYNCの作用について説明する。図7はセクタが終了する時の様子を示している。同図の斜線が、サブコード領域又はメインセクタ領域の最終データであるとすると、本実施の形態ではこのセクタの最終データに続いて、SYNCパターンa1、a2、a3をそれぞれ有する全部で3個のアンブルSYNCがアンブルSYNC領域から順次再生される。上記の3個のアンブルSYNCのSYNC長は前述したように、直前のセクタのSYNC長と同一である。
【0054】
本実施の形態では、図4に示した構成により、入力信号Aと遅延出力信号B〜Dの平均をとってSYNCパターンを検出するようにしているが、仮にアンブルSYNC領域を形成しない場合は、サブコード領域又はメインセクタ領域の再生が終了し、アンブル領域に入ってSYNCパターンがなくなってしまうために、平均値が正しく計算されない。
【0055】
これに対し、本実施の形態ではサブコード領域又はメインセクタ領域の再生終了直後の3SYNC分のアンブルSYNC領域からは、直前のサブコード領域又はメインセクタ領域内と同様にSYNCパターンが再生されるため、図7の時刻TaまではS/Nの良いSYNCパターンを出力できる。
【0056】
また、その後時刻がTb,Tc,TdとSYNC再生時間単位で進むにつれ、平均化回路35においてSYNCパターンに加算平均されるアンブルの割合が多くなるので、正確なSYNCパターンは検出できない。従って、余分なSYNCは検出されにくくなっている。
【0057】
仮に誤ってアンブルSYNCを検出したとしても、その後の訂正符号検査によって、正しいデータが記録されていないことが判明するため、このアンブルSYNCをデータとして用いることは防止できる。
【0058】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。本発明の他の実施の形態は、全てのアンブル領域にアンブルSYNCを記録、再生するようにしたものである。すなわち、上記のように、誤ってアンブルSYNCを検出したとしても、その後の訂正符号検査によって、正しいデータが記録されていないことが判明するのであるから、全てのアンブル領域にアンブルSYNCを記録・再生する。
【0059】
ただし、この場合も、サブコードとメインデータのようにセクタの種類によってSYNC長が異なる場合は、そのセクタの終了以降について、セクタ内と同じ長さの間隔でSYNCパターンを記録する必要がある。また、この場合、図4に示した再生系の遅延用FIFOの個数は、任意の数に設定してよく、例えば、複数のアンブルSYNC領域のうち、最小のアンブルSYNC数以上最大のアンブルSYNC数以下の範囲内の数だけ設けるようにしてもよい。
【0060】
次に、本発明の更に他の実施の形態について説明する。この実施の形態は、メインセクタ領域の終了位置からトラック終了位置までのアンブル長、又はサブコード領域からメインセクタ領域までの間のアンブル長が、アンブルSYNC数Naよりも短い場合の実施の形態である。
【0061】
例えば、Na=7とした場合、D−VHSのフォーマットにおいてはメインセクタ領域の終了位置からトラック終了位置までのアンブル長が4SBしかないために、アンブルSYNCがNa=4相当までしか記録できない。この場合は、メインセクタ内の最後の3SBのSYNC検出が不可能となる。これはNa=7であるにもかかわらず、実際にはNa=4相当のアンブルSYNCしか記録できないからである。
【0062】
Na=7の場合、A/D変換された再生信号TAは、7段縦続接続された7つの1SYNC遅延回路により順次遅延され、各1SYNC遅延回路の出力信号TB、TC、TD、TE、TF、TG及びTHと共に平均化回路に入力されて加算平均化され、その平均値がビタビ復号された後、SYNC検出器でSYNCパターンの検出を行う。図8はメインセクタ領域の最終から4SB直前とトラック終了位置までの4SBのアンブルSYNC領域の再生信号TAと、上記の各1SYNC遅延回路の出力信号TB、TC、TD、TE、TF、TG及びTHをそれぞれ模式的に示しており、トラック終了直前のアンブルSYNC領域には、a1〜a4で示すように4つのSYNCパターンが挿入されている。
【0063】
図8から分かるように、上記の平均化処理により最もSYNCパターンのS/N低減がなされないのは×印を付したSYNCパターンのうち、右端のSYNCパターンである。この位置のSYNCパターンは、タップ出力TA,TB,TCのアンブルパターンが非常に大きな雑音となって、検出の妨げになっている。しかしこの位置のSYNCパターンは、TD〜THまでのタップ出力であれば平均が可能で、この場合はNa=7の場合ほどS/N向上は得られないものの、Na=4相当の利得があり、このことはNaとテープフォーマットが定まれば自動的に知ることができる項目である。
【0064】
そこで、この実施の形態では、メインセクタ領域の最後の3SBはNa=4として、TD〜THのタップ出力の平均を用いてSYNC検出を行うようにすることを特徴とする。今平均しようとしているSBがメインセクタ領域の最後の3SBにあたるかどうかを知るには、別のIDプロテクションの技術によって、現在のSB番号がいくつであるかを容易に知ることができ、メインセクタ領域の最後から3番目のSB番号以上の番号が検出された場合には、TD〜THの平均に切り替えることによって実現される。
【0065】
これにより、本実施の形態によれば、トラックのフォーマットに影響を受けることなくNaの値を定めることができるため、S/Nの確保が充分な状態でSYNCパターン検出が可能となる。
【0066】
なお、SB番号を知ることができるわけであるから、最後から3番目の×の位置のSYNCIはTB〜THの平均、真中の×の位置のSYNCIIはTC〜THの平均、メインセクタ領域の最後の位置のSYNCIIIはTD〜THの平均というように切り替えてもよい。なお、図8中、ドラムFFは、2つの回転ヘッドの再生信号を切り替える切り替えパルスであり、周知のパルスである。
【0067】
また、上記の実施の形態では、切り替えて用いる系列をTD〜THの5個としたが、ディジタル回路の構成上ビットシフトで容易に除算が実現されるTE〜THの4系統によって平均をとる変形例も考えられる。この場合はNa=3である。同様に、ビットシフトを利用して平均を求めることが可能なNaの値は、Na=1、3、7、・・・、2n−1(nは0又は正の整数)である。
【0068】
サブコード領域からメインセクタ領域までの間のアンブル長が、アンブルSYNC数Naよりも短い場合も上記と同様にして対応できる。また、以上の実施の形態では、D−VHSフォーマットを例にして説明したが、このフォーマットに本発明は限定されるものではない。また、本発明は磁気テープにディジタル信号を記録し再生する装置に限らず、ディスクにディジタル信号を記録し再生する装置にも適用可能である。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、再生時にセクタ領域内のデータブロックからの各SYNCパターンの再生信号波形及びその直後のアンブル領域からの各SYNCパターンの再生信号波形をただ1種類となるように記録したため、再生信号のデータブロック長単位で互いに遅延時間が異なる複数の遅延信号と非遅延再生信号とを加算平均化処理することでS/Nの良いSYNCパターンの検出ができる。この結果、本発明によれば、低S/Nの条件下であっても、確実なSYNCパターンの検出が可能で、まだデータの復元が可能なS/Nであるにもかかわらず、SYNCパターンの誤検出・検出の失敗によってデータを抽出できない状況を改善することができる。
【0070】
また、本発明によれば、所定個数の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均して得られた平均値信号に基づいて、1種類のSYNCパターンの検出を行うことにより、S/Nの良いSYNCパターンの検出を行うようにしたため、アンブルSYNCの数をカウントせずにSYNCパターンの検出ができ、簡単な動作で低S/Nの条件下であっても、確実なSYNCパターンの検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の記録フォーマットを示す図である。
【図2】本発明の記録装置の一実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図3】本発明の記録装置の要部の一実施の形態のブロック図である。
【図4】本発明の再生装置の要部の一実施の形態のブロック図である。
【図5】本発明の再生装置の他の要部の一実施の形態のブロック図である。
【図6】図4の各部のタイミングチャートである。
【図7】アンブルSYNCの作用を説明するためのセクタの終了とアンブルSYNCの関係を示す図である。
【図8】本発明の他の実施の形態のタップ出力を示す図である。
【符号の説明】
11、14、17 アンブル領域
12 サブコード領域
13 アンブルSYNC領域
15 メインセクタ領域
21 SYNCパターン領域
22 アドレス情報(ID)領域
23 ヘッダ格納領域
24 データ格納領域
25 パリティ領域
31、32、33 1SYNC遅延用FIFO
34 固定遅延回路
35 平均化回路
36 ビタビ復号器
37 SYNC検出器
41、53 スイッチ回路
51 SYNC検出部
【発明の属する技術分野】
本発明はディジタル信号記録装置及び再生装置に係り、特に所定のデータフォーマットで記録媒体上にディジタル信号を記録し、再生するディジタル信号記録装置及び再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定のデータフォーマットで記録媒体上にディジタル信号を記録し、再生する従来のディジタル信号記録再生装置は各種知られているが、例えばD−VTRでは、回転ヘッドが記録媒体である磁気テープに接触する略180°の巻き付け角の走査期間に対応した、アプリケーション毎のトラックフォーマットが存在し、そのトラックフォーマットに従って、ディジタル信号(データ)の記録がなされる。
【0003】
記録媒体がテープ媒体の場合は、クロックの再生を直接再生波形から行う自己同期方式であると共に、データの始まりを示すSYNCパターンと、誤り訂正用のアドレスを示すIDと、誤り訂正用のパリティと、ユーザデータとが、時分割で所定のフォーマットに従って縦列に記録される。この点において、クロック再生用のクロックマークを有したり、データの始まりを示すのに別に案内溝を用いたりするようなディスクのフォーマットとは異なる。
【0004】
一般的なデータの再生過程を述べると、再生された信号は波形等化器によって所望のパーシャルレスポンス波形に等化され、ビット毎あるいはビタビ復号などの復号器によってディジタルデータに復元される。また、これと並行して再生信号あるいは波形等化信号からクロックが再生される。このクロックで復元された再生データをラッチした後、SYNC(同期信号)の検出を行う。SYNC検出はフォーマットされたデータの始まりを検出するのが目的である。
【0005】
データの始まりを検出できれば、所定のフォーマットの順にデータが並んでいるので、データが変調されている場合は復調を行い、元のデータが復元できるのである。このように、データの始まりを正確に検出することは、誤り訂正を行う上での前提条件となる。検出位置が1ビットでもずれれば、基本的には全てのデータがエラーとなってしまう。
【0006】
ところが、再生時には必ず雑音によるデータの誤りが発生する。このため、トラックには唯1つのSYNCパターンが有るだけではなく、1本のトラックには細かいブロック(SYNC)に分割してブロック単位でデータを配列し、各ブロックの先頭にSYNCパターンを記録するように、かつ、SYNCの長さ(ブロック長)が一定となるようになっている。これによって、トラックの中途からでもデータが再生できるように、また、SYNCパターンに誤りが発生しても、ビット数を数えることで、慣性によってSYNCの先頭を予想することができるようになっている。
【0007】
一方、SYNCパターンの検出能力を向上するために、セクタ中のSYNC部の直前又は直後の少なくとも一方の記録データをSYNCパターンの一部とする拡張SYNCパターンを利用するようにした同期信号検出装置も従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1記載の同期信号検出装置では、セクタ中のSYNC部の例えば直前のプリアンブルパターンの終端側パターン部分を、SYNCパターンの一部として利用し、それら終端側パターン部分とSYNC部のSYNCパターンとからなる拡張SYNCパターンを照合パターンとして用いてディスク媒体からのリードデータとのパターン照合を行うものである。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−216743号公報(第1、3頁、図8−図12)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前者の従来のディジタル信号記録再生装置では、再生信号の信号対雑音比(S/N)が低くなると、SYNCパターンが誤る確率が増加し、データの先頭が発見できなくなってくる。また、誤りが発生したがゆえに、SYNCパターンではないところにSYNCパターンの検出がなされることもあり、場合によってはその誤検出から慣性による予想が起って、それ以降のデータが全てエラーになるという事態も起り得る。
【0010】
一方、最近では再生データの復号に、ビタビ復号は一般的となり、更に進んだターボ符号が注目を浴びている。ターボ符号は再生データをA/D変換した値をメモリに入れ、複数回の演算を施しながら復号を行う繰り返し復号である。シャノンのS/N限界に迫るとされるこの復号方式はブロック符号である。従って、ターボ符号のようなブロック符号では特にブロックの先頭を見付けることは非常に重要な技術となる。
【0011】
しかし、従来のディジタル信号記録再生装置では、低いS/Nの下ではSYNCパターンの誤り増加に伴うSYNCの検出が充分になされず、従って、ブロック符号の先頭検出も充分になされないという問題点を有する。また、ターボ符号ではなくとも、低S/N下で強力なSYNC検出が求められることは言うまでもない。
【0012】
一方、後者の同期信号検出方法を備えたディジタル信号記録再生装置は、SYNCパターンの長さを拡張することにより、実質的なSYNC長を長くするようにしたものであり、上記のように低いS/N下において確実にSYNC検出を行うと共に再生信号のS/Nを向上する方法は開示されていない。
【0013】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、低S/N下で強力なSYNC検出を行い得るディジタル信号記録装置及び再生装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、第1の発明のディジタル信号記録装置は、第1のSYNCパターンを含むデータの集合体であるデータブロック単位で複数のデータブロックが時系列的に合成されたセクタ領域が複数配置されると共に、相隣るセクタ領域と別のセクタ領域の間、及び最終のセクタ領域とトラック終了位置の間に、それぞれデータとは無関係のアンブル領域が配置されたフォーマットを記録媒体に記録形成するディジタル信号記録装置において、アンブル領域を、そのアンブル領域の直前のセクタ領域のデータブロックと同じブロック長毎に同じ第2のSYNCパターンを挿入したアンブルブロックを、設定した個数Naだけ連続して配置した構成とすると共に、アンブルブロック内の第2のSYNCパターンとアンブルブロックの直前のセクタ領域のデータブロック内の第1のSYNCパターンとが、再生時に一定の再生波形となるように、第1及び第2のSYNCパターンの値を選定して、記録媒体に対してディジタル記録を行うことを特徴とする。
【0015】
この発明では、セクタ領域のデータブロック内の第1のSYNCパターンと、セクタ領域の直後のアンブル領域の上記のデータブロックと同一ブロック長のNa個のアンブルブロック内の第2のSYNCパターンとが、再生時に一定の再生波形となるように、第1及び第2のSYNCパターンの値を選定してディジタル記録されているため、再生時はセクタ領域内のデータブロックからの各SYNCパターンの再生信号波形及びその直後のアンブル領域からの各SYNCパターンの再生信号波形をただ1種類となるようにできる。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明のディジタル信号記録装置は、上記の第1の発明の設定した個数Naに替えて、アンブル領域を、すべてそのアンブル領域の直前のセクタ領域のデータブロックと同じブロック長毎に同じ第2のSYNCパターンを挿入したアンブルブロックで連続配置した構成とすることを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明のディジタル信号再生装置は、第1の発明のディジタル信号記録装置で記録媒体に記録された信号を再生するディジタル信号再生装置であって、A/D変換された再生信号を、セクタ領域の1つのデータブロック分遅延する遅延回路を個数Naだけ縦続接続した構成により遅延する遅延手段と、遅延手段を構成するNa個の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均する加算平均手段と、加算平均手段から出力された平均値信号に基づいて、SYNCパターンの検出を行う検出手段とを有する構成としたものである。
【0018】
この発明では、Na個の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均して得られた平均値信号に基づいて、1種類のSYNCパターンの検出を行うようにしたため、S/Nの良いSYNCパターンの検出ができる。
【0019】
また、上記の目的を達成するため、第4の発明のディジタル信号再生装置は、第2の発明のディジタル信号記録装置で記録媒体に記録された信号を再生するディジタル信号再生装置であって、A/D変換された再生信号を、セクタ領域の1つのデータブロック分遅延する遅延回路を所定個数縦続接続した構成により遅延する遅延手段と、遅延手段を構成する所定個数の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均する加算平均手段と、加算平均手段から出力された平均値信号に基づいて、SYNCパターンの検出を行う検出手段とを有することを特徴とする。
【0020】
この発明では、所定個数の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均して得られた平均値信号に基づいて、1種類のSYNCパターンの検出を行うようにしたため、S/Nの良いSYNCパターンの検出ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施の形態について図面と共に説明する。本実施の形態では、D−VHSのフォーマットを例にとって説明する。図1(a)は本発明になるディジタル信号記録装置の一実施の形態による記録トラックフォーマット、同図(b)はその1シンクブロック(SB)のフォーマットを示す。本実施の形態のディジタル信号記録再生装置は、互いに相異なるアジマス角度の2つの回転ヘッドが所定の一定回転数で回転する略円柱状の回転ドラムの回転面に相対向して固定されると共に、磁気テープが上記の回転ドラムの側面に180°よりも若干大なる角度範囲にわたって回転ドラムの軸方向に対して斜めに巻回されつつ一定速度で走行するようにされた、周知のヘリカルスキャン方式VTRと同様の記録再生機構を有し、2つの回転ヘッドが交互に磁気テープ上を走査して、磁気テープの長手方向に対して傾斜したトラックを順次に形成してディジタル信号を記録し、又は記録済みのトラックの記録ディジタル信号を再生する。
【0022】
ここで、磁気テープ上に形成された各トラックは、図1(a)に示すように、アンブル(Amble)領域11、サブコード(Subcode)領域12、アンブルSYNC(Amble SYNC)領域13、アンブル(Amble)領域14、メインセクタ(Main)領域15、アンブルSYNC(Amble SYNC)領域16及びアンブル(Amble)領域17の順に時系列的に合成されたフォーマットで形成される。
【0023】
メインセクタ領域15は、図1(b)に示すシンクブロック(SB)と称するデータブロック単位にメインデータが格納された領域である。ここで、シンクブロックは図1(b)に示すように、シンクブロックの再生のための2バイトのSYNCパターン領域21と、3バイトのアドレス情報(ID)領域22と、様々な情報を格納する3バイトのヘッダ格納領域23と、96バイトの実質的なデータ格納領域24と、このシンクブロックの情報の誤り訂正のための8バイトのパリティの領域25とが時系列的に合成された全部で112バイトの構成である。
【0024】
ここで、図1(a)に示すように、上記のアンブル領域11は5シンクブロック(SB)、サブコード領域12は4SB、アンブルSYNC13及びアンブル14なる部分は7SB、メインセクタ領域15は336SB、アンブルSYNC領域16は3SB、アンブル領域17は1SBに相当する長さである。また、図1(a)において、括弧内の数値は、メインセクタ領域15の1SB(=112バイト)を1SYNC数(データブロック数)としたときのSYNC数(データブロック数)を示す。
【0025】
なお、サブコード領域12は、4SBの長さであるが、各1SB(=112バイト)がそれぞれ28バイトのサブコードブロック4つから構成されており、各サブコードブロックの先頭には2バイトのSYNCパターンが配置されるので、サブコード領域12全体のSYNC数(サブコードブロック数)及びSYNCパターン数はそれぞれ16個である。ただし、前述したように、サブコード領域12のサブコードブロックの長さは28バイトであり、メインセクタ領域15のデータブロックである1SB(=112バイト)の1/4倍の長さであるので、112バイトを1SYNCに換算すると、サブコード領域12のSYNC数は4となる。
【0026】
また、図1(a)に示すように、サブコード領域12とメインセクタ領域15の前後には数SBのアンブルが付属している。本実施の形態の記録再生系はパーシャルレスポンスクラス4の検出が可能なようにプリコードがなされる。SYNCパターンは、メインセクタ領域15では図1(b)に21で示したように16ビット(=2バイト)であり、またサブコード領域12のSYNCパターンも同様に16ビット(=2バイト)であるが、先頭の2ビットは挿入ビットであり、再生時の検出パターンは14ビットである。
【0027】
仮にメインセクタ領域15の14ビットの検出パターンを
11010001011100
とすると、先頭の2ビットの挿入ビットを「00」としてプリコードを行った場合、その再生系列は、再生レベルを0,±Aとすると、
AA0−A000A0−A−AA00
となる。また、先頭の2ビットの挿入ビットを「01」としてプリコードを行った場合は、上記のパターンと比較して偶数ビットの符号が反転したパターンが再生される。
【0028】
本実施の形態では、このような反転パターンが生じないように、メインセクタ領域15では全てのSYNCパターンの挿入ビットに「00」を選択してプリコードを行うものとする。よって、再生時のSYNCパターンは全て
AA0−A000A0−A−AA00
である。
【0029】
次に、メインセクタ領域15が終了した時点以降は4SBのアンブル領域が記録される。本実施の形態では、アンブルパターンもSYNCブロック(データブロック)とみなし、メインセクタ領域15内のシンクブロックと同様に112バイト単位で先頭に16ビットのSYNCパターンを挿入したアンブルSYNC領域を配置する。
【0030】
ただし、16ビットのSYNCパターンが挿入されたアンブルSYNC領域は、メインセクタ領域15が終了した時点以降の4SBのアンブル領域のうち、図1(a)に16で示すように、メインセクタ領域15の終了後3SYNCブロック(Na=3)のみとし、残りの1SBのアンブル領域17にはSYNCパターンは挿入しない。
【0031】
このとき、16ビットのSYNCパターンが挿入されたアンブルSYNC領域16のSYNC長(データブロック長)は、メインセクタ領域15の直後であることから、メインセクタ領域15のデータブロック長である1SBと同じ112バイトで、SYNCパターンの挿入ビットは「00」である。
【0032】
また、サブコード領域12に対しても、同様にメインセクタ領域15とは異なる検出パターンを定めて記録を行う。すなわち、サブコード領域12が終了した時点以降の7SBのアンブル領域のうち、図1(a)に13で示すように、サブコード領域12の終了後3SYNCブロック(Na=3)のみにSYNCパターンを挿入し、残りのアンブル領域14にはSYNCパターンは挿入しない。
【0033】
このとき、16ビットのSYNCパターンが挿入されたアンブルSYNC領域13のSYNC数(データブロック数)Naは、サブコード領域12の直後であることから、サブコード領域12のデータブロック長であるサブコードブロック長と同じ28バイトのSYNC(データブロック)が3個であり、従ってアンブルSYNC領域13全体のSYNC長(データブロック長)は84(=28×3)バイトである。また、このときの28バイト毎に配置される2バイトのSYNCパターンの挿入ビットは「00」である。
【0034】
なお、上記の84バイトは、メインセクタ領域15の112バイトのSB数に換算すると、図1(a)に括弧内の数値で示したように、0.75SBとなる。SYNCパターンを挿入しない残りのアンブル領域14の長さは、6.25SBとなる。
【0035】
このように、本実施の形態では、アンブルパターンもSYNCブロック(データブロック)とみなし、SYNCパターンをSYNC長(データブロック長)毎に全部で3個のSYNC(データブロック)に挿入するが、そのSYNC長は直前のセクタ(領域)のSYNC長に応じて変化する。
【0036】
なお、上記の実施の形態の説明では、SYNCパターンの挿入ビットを「00」としたが、セクタ内SYNCパターンと、直後のアンブルSYNC内のSYNCパターンの挿入ビットが同一であれば他の値の挿入ビットでもよい。
【0037】
次に、本発明のディジタル信号記録装置の一実施の形態の記録方法について、図2のフローチャートと共に説明する。まず、記録再生装置の記録系の制御部は、これから記録しようとするセクタの種類は何か判定する(ステップS1)。図1(a)に示したように、トラックの先頭はまずアンブルであるので、アンブルであると判定され、続いて直前のセクタは何か判定する(ステップS2)。
直前のセクタは、直前のトラックの最後尾のアンブルであったので、ステップS2ではアンブルと判定され、アンブルを所定長(ここでは5SB)記録する。これにより、図1(a)に示したアンブル領域11が記録形成される。
【0038】
続いて、セクタの種類は何か判定し(ステップS1)、次にサブコードを記録するので、ステップS1でサブコードと判定され、サブコードデータを112バイトのSB数に換算して4SB分記録する(ステップS4)。続いて、セクタの種類は何か再び判定する(ステップS1)。次に、アンブルを記録するので、続いて直前のセクタは何か判定する(ステップS2)。直前のセクタはサブコードであったので、サブコード領域12が終了した時点以降の7SBのアンブルのうち、サブコード領域12の終了後は2バイトのSYNCパターンを先頭に有するアンブルSYNCを3個記録し(ステップS5)、残りのアンブル領域にはSYNCパターンは挿入しない(ステップS1、S2、S3)。
【0039】
これにより、前述したように、上記のサブコード領域12の終了後は、サブコード領域12のデータブロック長であるサブコードブロック長と同じ28バイトのSYNCが3個、すなわち、各々2バイトのSYNCパターンを先頭に有する28バイトのSYNCが3個からなる、全部で84(=28×3)バイトのSYNC長(データブロック長)のアンブルSYNC領域が図1(a)に13で示すように記録され、続いてアンブルのみのアンブル領域が図1(a)に14で示すように記録される。
【0040】
アンブル領域14の記録に続いて、次のセクタの種類が判定され(ステップS1)、次のセクタはメインセクタであるので、メインデータを所定の336SB分記録する(ステップS6)。これにより、図1(a)に示したメインセクタ領域15が記録され、続いて次のセクタの種類の判定が行われる(ステップS1)。次のセクタは4SBのアンブルであるので、直前のセクタがメインセクタであることを判定し(ステップS2)、直前のメインセクタ領域15内のシンクブロックと同様に112バイト単位で先頭に16ビットのSYNCパターンを挿入したアンブルSYNC領域を3個配置し(ステップS5)、残りの1SBのアンブルにはSYNCパターンは挿入しない(ステップS1、S4)。これにより、図1(a)に示したアンブルSYNC領域16と、アンブル領域17が記録形成される。以下、上記と同様の動作が繰り返される。
【0041】
図3は本発明のディジタル信号記録装置の要部の一実施の形態のブロック図を示す。同図において、符号化部から出力されたデータは、スイッチ回路41に入力される。スイッチ回路41は、タイミングジェネレータ43からの信号に基づいて、シンクパターン発生器42からのシンクパターン(アンブルシンク含む)又はアンブルと、符号化部からのデータの一方を選択して変調器(プリコーダ)44に供給する。この変調器44に入力される信号のフォーマットは、図1(a)、(b)に示すものとなり、変調器44でプリコードされた信号は、公知の記録手段により磁気テープに記録される。
【0042】
次に、本発明になるディジタル信号再生装置について説明する。図4は本発明になるディジタル信号再生装置の要部の一実施の形態のブロック図を示す。同図において、図示しない回転ヘッドによって、図1(a)に示したトラックが順次に記録された磁気テープの当該トラックから再生されたディジタル信号は、従来と同様に増幅器、波形等化器、位相同期ループ回路(PLL)(何れも図示せず)を経てパーシャルレスポンス波形に等化されると共に、クロックが再生される。再生されたクロックで等化波形はサンプル(A/D)されて、図4の検出器に入力される。
【0043】
A/D変換された信号は、1SYNC、すなわちメインセクタ領域からの再生信号は1SB分の112バイト遅延するためFIFO31に入力される。Na=3とした今回の例では、それぞれ1SYNC分の112バイト遅延する3個のFIFO31、32及び33が縦続接続されている。入力をAとすると、図4に示すようにFIFO31、32及び33によりB,C,Dと1SYNCずつ遅延が行われ、それぞれタップとして取り出される。上記の入力信号A、FIFO31、32及び33の各出力信号B、C、及びDはそれぞれ図6に模式的に示される。同図中、白地部分及びハッチング部分はメインデータやサブコードデータのデータ領域、網掛け部分及びグレー部分は2バイトのSYNCパターンを模式的に示す。
【0044】
なお、サブコード領域及びその直後のアンブルSYNC領域からの再生信号をA/D変換した信号が入力される上記の1SYNC FIFO31〜33は、それぞれ28バイト分遅延する遅延回路である。すなわち、図4に示す回路は、D−VHSフォーマットの場合、メインセクタ領域及びその直後のアンブルSYNC領域用と、サブコード領域及びその直後のアンブルSYNC領域用の2種類存在することになる。
【0045】
入力信号Aと各タップ出力信号B,C,Dは図4の平均化回路35に供給され、算術加算後(Na+1)で除算されて平均値が求められる。その平均値はビタビ復号器36に入力され、ここで復号されて図6に模式的に示す復号信号Eとして出力され、SYNC検出回路37に供給される。明らかなように、ここでの復号はSYNCパターンのみの検出を目的とする。
【0046】
本実施の形態では、再生SYNCパターンが同一セクタ内で同じパターンとなるように記録を行ったため、図6に示すようにSYNC長の整数倍遅延したものとの平均も、SYNCパターンとなる。のみならず、算術平均をとるということは、雑音系列にとってはアンサンブル平均をとることと等価で、雑音系列の平均値が0に近づくのである。
【0047】
一般的な繰り返し信号の波形をオシロスコープやスペクトラムアナライザで観測する場合に、雑音による影響を少なくするためにアベレージングを行うことがあるが、原理的には同じことである。従って、アンブルSYNC数Naの値を大きくすればするほど、SYNCパターンの平均系列のS/Nは向上する。
【0048】
SYNCパターン以外の部分は信号も雑音も確率的な分布をみせ、両者ともNaが大きくなるほど0に近づくものの、本発明には影響があまりなく、どのようなパターンで検出されてもよい。SYNCパターンの部分のみが、周期的に、かつS/Nが良い状態でビタビ復号器36に入力されればよいのである。
【0049】
ビタビ復号器36の出力復号信号Eは、図4に示すSYNC検出器37に入力され、上記S/Nの良い状態で、図6にFで模式的に示すように同期信号(SYNCパターン)が検出される。
【0050】
一方、データの検出は、図4のビタビ復号器36とSYNC検出器37の各動作には既知・固定の遅延が生ずるため、この遅延を勘案してFIFO33の出力信号Dを更に固定遅延回路34で遅延させて、SYNCパターン検出信号Fとの時間合わせを行い、図6にGで模式的に示す信号を出力してSYNCパターン検出信号Fと同期をとるようにする。そして、SYNCパターン検出信号Fに基づいて固定遅延回路34の出力信号Gのデータ検出が行われる。
【0051】
図5は本発明になるディジタル信号再生装置の他の要部の一実施の形態のブロック図を示す。同図において、磁気テープから再生された再生信号は、SYNC検出部51に供給される。このSYNC検出部51は図4に示した構成とされており、前述した出力信号Gは復調器52で復調されてスイッチ回路53に入力し、他方、前述したSYNCパターン検出信号Fをスイッチ回路53の切り替え制御信号として出力する。スイッチ回路53は、切り替え制御信号に基づいて、復調器52からの再生信号のうち、正味のデータ部分のみを選択して後段の復号化部へ出力する。
【0052】
なお、データの検出にもビタビ復号を用いる場合は、系列GのSYNCパターンの場所に、理想的な数値をスイッチによって選択して挿入してから復号を行うなどの方法が容易に考えられる。そうでなくとも、系列Gをそのまま復号しても、どのビットがSYNCの始まりであるかが既に分かっているため、復号結果をすぐさま次の信号処理に引き渡すことができる。ターボ符号などの繰り返し復号でも、SYNCパターンの後のデータを読み取ることで、符号化ブロックを分別することが可能となる。
【0053】
次に、アンブルSYNCの作用について説明する。図7はセクタが終了する時の様子を示している。同図の斜線が、サブコード領域又はメインセクタ領域の最終データであるとすると、本実施の形態ではこのセクタの最終データに続いて、SYNCパターンa1、a2、a3をそれぞれ有する全部で3個のアンブルSYNCがアンブルSYNC領域から順次再生される。上記の3個のアンブルSYNCのSYNC長は前述したように、直前のセクタのSYNC長と同一である。
【0054】
本実施の形態では、図4に示した構成により、入力信号Aと遅延出力信号B〜Dの平均をとってSYNCパターンを検出するようにしているが、仮にアンブルSYNC領域を形成しない場合は、サブコード領域又はメインセクタ領域の再生が終了し、アンブル領域に入ってSYNCパターンがなくなってしまうために、平均値が正しく計算されない。
【0055】
これに対し、本実施の形態ではサブコード領域又はメインセクタ領域の再生終了直後の3SYNC分のアンブルSYNC領域からは、直前のサブコード領域又はメインセクタ領域内と同様にSYNCパターンが再生されるため、図7の時刻TaまではS/Nの良いSYNCパターンを出力できる。
【0056】
また、その後時刻がTb,Tc,TdとSYNC再生時間単位で進むにつれ、平均化回路35においてSYNCパターンに加算平均されるアンブルの割合が多くなるので、正確なSYNCパターンは検出できない。従って、余分なSYNCは検出されにくくなっている。
【0057】
仮に誤ってアンブルSYNCを検出したとしても、その後の訂正符号検査によって、正しいデータが記録されていないことが判明するため、このアンブルSYNCをデータとして用いることは防止できる。
【0058】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。本発明の他の実施の形態は、全てのアンブル領域にアンブルSYNCを記録、再生するようにしたものである。すなわち、上記のように、誤ってアンブルSYNCを検出したとしても、その後の訂正符号検査によって、正しいデータが記録されていないことが判明するのであるから、全てのアンブル領域にアンブルSYNCを記録・再生する。
【0059】
ただし、この場合も、サブコードとメインデータのようにセクタの種類によってSYNC長が異なる場合は、そのセクタの終了以降について、セクタ内と同じ長さの間隔でSYNCパターンを記録する必要がある。また、この場合、図4に示した再生系の遅延用FIFOの個数は、任意の数に設定してよく、例えば、複数のアンブルSYNC領域のうち、最小のアンブルSYNC数以上最大のアンブルSYNC数以下の範囲内の数だけ設けるようにしてもよい。
【0060】
次に、本発明の更に他の実施の形態について説明する。この実施の形態は、メインセクタ領域の終了位置からトラック終了位置までのアンブル長、又はサブコード領域からメインセクタ領域までの間のアンブル長が、アンブルSYNC数Naよりも短い場合の実施の形態である。
【0061】
例えば、Na=7とした場合、D−VHSのフォーマットにおいてはメインセクタ領域の終了位置からトラック終了位置までのアンブル長が4SBしかないために、アンブルSYNCがNa=4相当までしか記録できない。この場合は、メインセクタ内の最後の3SBのSYNC検出が不可能となる。これはNa=7であるにもかかわらず、実際にはNa=4相当のアンブルSYNCしか記録できないからである。
【0062】
Na=7の場合、A/D変換された再生信号TAは、7段縦続接続された7つの1SYNC遅延回路により順次遅延され、各1SYNC遅延回路の出力信号TB、TC、TD、TE、TF、TG及びTHと共に平均化回路に入力されて加算平均化され、その平均値がビタビ復号された後、SYNC検出器でSYNCパターンの検出を行う。図8はメインセクタ領域の最終から4SB直前とトラック終了位置までの4SBのアンブルSYNC領域の再生信号TAと、上記の各1SYNC遅延回路の出力信号TB、TC、TD、TE、TF、TG及びTHをそれぞれ模式的に示しており、トラック終了直前のアンブルSYNC領域には、a1〜a4で示すように4つのSYNCパターンが挿入されている。
【0063】
図8から分かるように、上記の平均化処理により最もSYNCパターンのS/N低減がなされないのは×印を付したSYNCパターンのうち、右端のSYNCパターンである。この位置のSYNCパターンは、タップ出力TA,TB,TCのアンブルパターンが非常に大きな雑音となって、検出の妨げになっている。しかしこの位置のSYNCパターンは、TD〜THまでのタップ出力であれば平均が可能で、この場合はNa=7の場合ほどS/N向上は得られないものの、Na=4相当の利得があり、このことはNaとテープフォーマットが定まれば自動的に知ることができる項目である。
【0064】
そこで、この実施の形態では、メインセクタ領域の最後の3SBはNa=4として、TD〜THのタップ出力の平均を用いてSYNC検出を行うようにすることを特徴とする。今平均しようとしているSBがメインセクタ領域の最後の3SBにあたるかどうかを知るには、別のIDプロテクションの技術によって、現在のSB番号がいくつであるかを容易に知ることができ、メインセクタ領域の最後から3番目のSB番号以上の番号が検出された場合には、TD〜THの平均に切り替えることによって実現される。
【0065】
これにより、本実施の形態によれば、トラックのフォーマットに影響を受けることなくNaの値を定めることができるため、S/Nの確保が充分な状態でSYNCパターン検出が可能となる。
【0066】
なお、SB番号を知ることができるわけであるから、最後から3番目の×の位置のSYNCIはTB〜THの平均、真中の×の位置のSYNCIIはTC〜THの平均、メインセクタ領域の最後の位置のSYNCIIIはTD〜THの平均というように切り替えてもよい。なお、図8中、ドラムFFは、2つの回転ヘッドの再生信号を切り替える切り替えパルスであり、周知のパルスである。
【0067】
また、上記の実施の形態では、切り替えて用いる系列をTD〜THの5個としたが、ディジタル回路の構成上ビットシフトで容易に除算が実現されるTE〜THの4系統によって平均をとる変形例も考えられる。この場合はNa=3である。同様に、ビットシフトを利用して平均を求めることが可能なNaの値は、Na=1、3、7、・・・、2n−1(nは0又は正の整数)である。
【0068】
サブコード領域からメインセクタ領域までの間のアンブル長が、アンブルSYNC数Naよりも短い場合も上記と同様にして対応できる。また、以上の実施の形態では、D−VHSフォーマットを例にして説明したが、このフォーマットに本発明は限定されるものではない。また、本発明は磁気テープにディジタル信号を記録し再生する装置に限らず、ディスクにディジタル信号を記録し再生する装置にも適用可能である。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、再生時にセクタ領域内のデータブロックからの各SYNCパターンの再生信号波形及びその直後のアンブル領域からの各SYNCパターンの再生信号波形をただ1種類となるように記録したため、再生信号のデータブロック長単位で互いに遅延時間が異なる複数の遅延信号と非遅延再生信号とを加算平均化処理することでS/Nの良いSYNCパターンの検出ができる。この結果、本発明によれば、低S/Nの条件下であっても、確実なSYNCパターンの検出が可能で、まだデータの復元が可能なS/Nであるにもかかわらず、SYNCパターンの誤検出・検出の失敗によってデータを抽出できない状況を改善することができる。
【0070】
また、本発明によれば、所定個数の遅延回路の各出力信号と、遅延手段の入力再生信号とを加算平均して得られた平均値信号に基づいて、1種類のSYNCパターンの検出を行うことにより、S/Nの良いSYNCパターンの検出を行うようにしたため、アンブルSYNCの数をカウントせずにSYNCパターンの検出ができ、簡単な動作で低S/Nの条件下であっても、確実なSYNCパターンの検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の記録フォーマットを示す図である。
【図2】本発明の記録装置の一実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図3】本発明の記録装置の要部の一実施の形態のブロック図である。
【図4】本発明の再生装置の要部の一実施の形態のブロック図である。
【図5】本発明の再生装置の他の要部の一実施の形態のブロック図である。
【図6】図4の各部のタイミングチャートである。
【図7】アンブルSYNCの作用を説明するためのセクタの終了とアンブルSYNCの関係を示す図である。
【図8】本発明の他の実施の形態のタップ出力を示す図である。
【符号の説明】
11、14、17 アンブル領域
12 サブコード領域
13 アンブルSYNC領域
15 メインセクタ領域
21 SYNCパターン領域
22 アドレス情報(ID)領域
23 ヘッダ格納領域
24 データ格納領域
25 パリティ領域
31、32、33 1SYNC遅延用FIFO
34 固定遅延回路
35 平均化回路
36 ビタビ復号器
37 SYNC検出器
41、53 スイッチ回路
51 SYNC検出部
Claims (4)
- 第1のSYNCパターンを含むデータの集合体であるデータブロック単位で複数の該データブロックが時系列的に合成されたセクタ領域が複数配置されると共に、相隣る前記セクタ領域と別の前記セクタ領域の間、及び最終の前記セクタ領域とトラック終了位置の間に、それぞれデータとは無関係のアンブル領域が配置されたフォーマットを記録媒体に記録形成するディジタル信号記録装置において、
前記アンブル領域を、そのアンブル領域の直前の前記セクタ領域のデータブロックと同じブロック長毎に同じ第2のSYNCパターンを挿入したアンブルブロックを、設定した個数Naだけ連続して配置した構成とすると共に、該アンブルブロック内の第2のSYNCパターンと該アンブルブロックの直前の前記セクタ領域のデータブロック内の前記第1のSYNCパターンとが、再生時に一定の再生波形となるように、該第1及び第2のSYNCパターンの値を選定して、前記記録媒体に対してディジタル記録を行うことを特徴とするディジタル信号記録装置。 - 前記設定した個数Naに替えて、前記アンブル領域を、すべてそのアンブル領域の直前の前記セクタ領域のデータブロックと同じブロック長毎に同じ第2のSYNCパターンを挿入したアンブルブロックで連続配置した構成とすることを特徴とする請求項1記載のディジタル信号記録装置。
- 請求項1記載のディジタル信号記録装置で記録媒体に記録された信号を再生するディジタル信号再生装置であって、
A/D変換された再生信号を、前記セクタ領域の1つのデータブロック分遅延する遅延回路を前記個数Naだけ縦続接続した構成により遅延する遅延手段と、
前記遅延手段を構成する前記Na個の前記遅延回路の各出力信号と、前記遅延手段の入力再生信号とを加算平均する加算平均手段と、
前記加算平均手段から出力された平均値信号に基づいて、前記SYNCパターンの検出を行う検出手段と
を有することを特徴とするディジタル信号再生装置。 - 請求項2記載のディジタル信号記録装置で記録媒体に記録された信号を再生するディジタル信号再生装置であって、
A/D変換された再生信号を、前記セクタ領域の1つのデータブロック分遅延する遅延回路を所定個数縦続接続した構成により遅延する遅延手段と、
前記遅延手段を構成する前記所定個数の前記遅延回路の各出力信号と、前記遅延手段の入力再生信号とを加算平均する加算平均手段と、
前記加算平均手段から出力された平均値信号に基づいて、前記SYNCパターンの検出を行う検出手段と
を有することを特徴とするディジタル信号再生装置。
Priority Applications (1)
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JP2003040208A JP2004253026A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | ディジタル信号記録装置及び再生装置 |
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2003
- 2003-02-18 JP JP2003040208A patent/JP2004253026A/ja active Pending
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