JP2004252365A - レンズ鏡筒 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】雄ヘリコイドネジ15bと、該雄ヘリコイドネジ15bとは光軸方向で異なる領域に形成された突起部15dと、カム溝15eとを有し、光軸周りに回動自在な回転枠15と、上記雄ヘリコイドネジ15bと螺合して螺合状態にて上記回転枠15を回動しながら光軸方向に移動させる雌ヘリコイドネジと、上記突起部15dと係合し上記回転枠15が光軸方向に移動することを規制して光軸周りの回転のみを許容するように前記回転枠15を保持する位置規制ガイド係合部とを有する支持枠とを具備し、ヘリコイドネジによって回転枠を光軸方向に移動させてレンズを撮影状態とし、ガイド係合部によりズーム変更状態にする。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ鏡筒、詳しくは、鏡枠を収納位置と撮影位置とに移動可能なレンズ鏡筒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、普及しているコンパクトズームカメラでは、ワイド状態からテレ状態までのズーム撮影範囲をカバーするようにレンズ鏡筒が進退しなければならない。
また、携帯時にはコンパクトとなるようにワイド状態からテレ状態といった撮影状態からズームレンズ鏡筒がカメラ本体内に収納された所謂、沈胴(収納)状態まで移動可能なズームレンズ鏡筒が実用に供されている。
【0003】
さらに、近年、ズーム倍率の高倍率化が求められており、これによってワイド状態、または、収納状態での鏡筒の長さと、テレ状態にするときの鏡筒の長さとの差が更に大きくなってくる。これに対応するため、より長い長さまで伸長できる鏡枠構造として、鏡枠の多段化、即ち、多段化した鏡枠構造を備えたズームレンズ鏡筒が必要とされている。
【0004】
ところで、このようなズームレンズ鏡筒を備えたカメラは、携帯性の点から小型化が望まれており、それに伴って、ズームレンズ鏡筒自体の小型化も望まれるといった事情がある。このような要望に鑑み、従来より数多くの提案がなされている。特に本発明に係る関連技術としては、例えば特許文献1乃至特許文献4に記載された沈胴可能なレンズ鏡筒がある。
【0005】
上記特許文献1に開示されたレンズ鏡筒は、ズーム鏡筒を3段繰り出し機構とし、最外周に固定筒があり、この中のギヤとカムにより、内側のレンズ枠を沈胴位置から撮影可能な突出位置まで移動させて、ワイド位置からテレ位置までズーミングを行う構造を有したものである。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されたレンズ鏡筒は、沈胴位置から撮影可能な突出位置までの移動は送りネジで行い、その後、外周の回転枠を回転させることにより、ズーミングを行う構造のものである。
【0007】
さらに、上記特許文献3または上記特許文献4に開示されたレンズ鏡筒は、鏡筒の沈胴位置から撮影可能な突出位置までのセットアップ繰り出し動作と、ズーム動作領域での繰り出し動作を行うための切換駆動が可能なものである。このレンズ鏡筒は、上記鏡枠の沈胴位置から突出位置への繰り出し動作を行うためのセット用ギヤと、上記突出位置にて鏡枠を回動駆動して、ズーム駆動を行うためのズーム用ギヤの別々の駆動源で駆動される2つのギヤを有している。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−27963号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平8−313788号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平11−72682号公報
【0011】
【特許文献4】
特開2000−89077号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載のレンズ鏡筒は、鏡枠を沈胴位置から突出位置、さらにワイドからテレ位置まで1つのカムで移動させているため、繰り出し量が大きい場合は、カムのリード角が大きくなり、このため負荷が大きくなってしまう。一方、カムのリード角を小さくするには、鏡枠の径を大きくすることで、ある程度は可能であるが、その場合には、レンズ鏡筒の小型化を図ることができない。つまり、負荷を大きくすることなくレンズ鏡筒の小型化を図ることができなかった。
【0013】
また、上記特許文献2乃至4に記載のレンズ鏡筒は、沈胴位置から突出位置までの移動と、この突出位置でのズーム駆動用とに動力を切り換える必要があり、切換機構が複雑となり、レンズ鏡筒の小型化を図ることができない。また、動力を切り換えるための切換時間も必要なため、迅速な駆動が行えないといった欠点もあった。
【0014】
さらに、上記特許文献3では、レンズ鏡筒にセット用ギヤとズーム用ギヤという軸方向に長く、径も比較的大きい部材を2つ配置する必要があるため、レンズ鏡筒の小型化を図ることができなかった。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、収納位置から撮影位置までのセット動作及び撮影位置からのズーム動作を簡単な構成で連続的に行うことができ、且つ小型化を図ることができるレンズ鏡筒を提供するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段、及び作用】
上記の目的を達成するために本発明によるレンズ鏡筒は、収納位置と撮影位置とに移動可能であり、且つ撮影位置にて焦点距離変更可能なレンズ鏡筒において、雄ヘリコイドネジと、該雄ヘリコイドネジとは光軸方向で異なる領域に形成された突起部と、カム溝とを有し、光軸周りに回動自在な回転枠と、上記雄ヘリコイドネジと螺合する螺合状態にて上記回転枠を回動しながら光軸方向に移動させる雌ヘリコイドネジと、上記突起部と係合し上記回転枠が光軸方向に移動することを規制して光軸周りの回転のみを許容するように前記回転枠を保持する位置規制ガイド係合部とを有する支持枠と、上記回転枠の上記カム溝に係合する各カムフォロアを有し、該回転枠の回動に応じて光軸方向に移動して焦点距離を変更する第1及び第2のレンズ枠と、を具備し、上記回転枠は、その回動に応じて上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジと螺合した螺合状態と、上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに切り換わるようになっており、上記第1及び第2のレンズ枠は、上記両ヘリコイドネジの螺合状態で、上記回転枠を回動させることにより上記収納位置と上記撮影位置との間で光軸方向に移動され、また、上記回転枠の雄ヘリコイドネジは回転枠の光軸方向の移動により上記支持枠の雌ヘリコイドネジとの螺合が解除され、且つ上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合する上記係合状態になって、焦点距離変更状態となることを特徴とする。
【0017】
また、上記支持枠は、その雌ヘリコイドネジと上記回転枠の雄ヘリコイドネジとの螺合が解除され、且つ上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態で上記回転枠が回動される際に、上記雄ヘリコイドネジの光軸周りの回動を妨げないように形成されたヘリコイド回動逃げ部を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明におけるレンズ鏡筒は、収納位置と撮影位置とに移動可能なレンズ鏡筒において、雄ヘリコイドネジと、該雄ヘリコイドネジとは光軸方向で異なる領域に形成された突起部とを有し、光軸周りに回動自在な回転枠と、上記雄ヘリコイドネジと螺合する螺合状態にて上記回転枠を回動しながら光軸方向に移動させる雌ヘリコイドネジと、上記突起部と係合し上記回転枠が光軸方向に移動することを規制して光軸周り回転のみを許容するように前記回転枠を保持する位置規制ガイド係合部とを有する支持枠と、を具備し、上記回転枠は、その回動に応じて、上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジと螺合した螺合状態と、上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに切り換わるようになっており、上記螺合状態では上記支持枠に対して光軸周りに回動しながら光軸方向に移動し、上記係合状態では光軸方向の移動を規制されて光軸周りにのみ回動することを特徴とする。
【0019】
また、上記支持枠に設けられていて、上記雌ヘリコイドネジと略同一のリード角を有し、上記回転枠が回動して上記収納位置から撮影位置へ切り換わる際、上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジと螺合した螺合状態と上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに切り換わるよう上記突起部を通過可能に案内する案内部を有することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明におけるレンズ鏡筒は、収納位置と撮影可能位置との間の収納領域と、該撮影可能位置にて焦点距離を変更する焦点距離可変領域とに切り換え可能なレンズ鏡筒において、第1のカムフォロアを有し、光軸方向に移動可能に支持された第1のレンズ枠と、第2のカムフォロアを有し、光軸方向に移動可能に支持された第2のレンズ枠と、光軸方向の第1領域に形成された雌ヘリコイドネジと、光軸方向で上記第1領域とは重畳しない第2領域に形成され、係合する部材の光軸方向の移動を規制して光軸周りにのみ回動を許容する位置規制ガイド係合部とを有する支持枠と、上記雌ヘリコイドネジと螺合可能に光軸方向の第3領域に形成され、上記支持枠に対して回動しながら光軸方向に移動する雄ヘリコイドネジと、光軸方向で上記第3領域とは重畳しない第4領域に形成され、上記位置規制ガイド係合部と係合可能で上記支持枠に対して光軸方向に移動することを規制して光軸周りのみに回転する突起部と、上記第1及び第2のレンズ枠とを光軸方向に移動するよう上記第1及び第2のカムフォロアと係合するカム溝とを有する回転枠と、を具備し、上記回転枠は、その回動に応じて、所定回動位置にて、上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジと螺合した螺合状態と、上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに切り換わるようになっていることを特徴とする。
【0021】
また、上記回転枠は、該回転枠を回動させて上記第1及び第2のレンズ枠を光軸方向に移動する際、上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合していない被係合状態で且つ上記回転枠の雄ヘリコイドネジが上記支持枠の雌ヘリコイドネジと螺合状態にあるときには、上記第1及び第2のレンズ枠を上記収納領域を移動させ、また、上記回転枠の雄ヘリコイドネジが光軸方向への移動により上記支持枠の雌ヘリコイドネジとの螺合が解除された状態で且つ上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態にあるときには、上記第1及び第2のレンズ枠を上記焦点距離可変領域で焦点距離の変更のために移動させることを特徴とする。
【0022】
さらに、上記支持枠は、該回転枠に光軸方向に一体的に移動可能であって、光軸周りに回動自在に設けられ、上記第1及び第2のレンズ枠を上記支持枠に対して光軸周りの回動を規制しつつ光軸方向に直進移動可能にガイドする直進ガイド部材を有することを特徴とする。
【0023】
また、上記突起部は、上記回転枠の外周面に複数設けられていることを特徴とし、また、上記突起部は、上記支持枠の上記位置規制ガイド係合部に係合された状態では、光軸方向の移動が規制されていることを特徴とし、さらに、上記突起部は、その外周部が上記支持枠の上記位置規制ガイド係合部に径方向で嵌合することを特徴とし、また、上記支持枠の上記雌ヘリコイドネジは、上記収納位置と上記撮影位置との移動において、上記回転枠の上記突起部が通過する領域を避けて形成されていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明におけるレンズ鏡筒は、収納位置と、該収納位置より前方に繰り出された撮影位置と、該撮影位置で更に焦点距離変更のために変位する焦点距離変更領域とに渡って進退されるレンズ鏡筒において、第1のカムフォロアを有し、光軸方向に移動可能に支持された第1のレンズ枠と、第2のカムフォロアを有し、光軸方向に移動可能に支持された第2のレンズ枠と、回動によって上記第1及び第2のレンズ枠を光軸方向に移動するように、上記第1及び第2のカムフォロアと係合するカム溝を有する回転枠と、上記回転枠が回動しながら光軸方向に移動するように、前記回転枠に形成された雄ヘリコイドネジと、上記回転枠が光軸方向に移動することを規制して光軸周りの回動のみを行うように、上記回転枠に形成された突起部と、上記雄ヘリコイドネジが螺合して上記回転枠が回動しながら光軸方向に移動するための雌ヘリコイドネジと、上記突起部が係合可能で、係合した状態では上記回転枠の光軸方向の移動を規制して光軸周りにのみ回動させる位置規制ガイド係合部とを有する支持枠と、上記支持枠に形成され、上記回転枠の雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジに螺合した螺合状態と、上記回転枠の突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに上記回転枠の連続的な回動に応じて切り換わるように上記回転枠の移動をガイドする案内部と、を具備することを特徴とする。
【0025】
また、上記回転枠は、上記突起部と上記雄ヘリコイドネジとが光軸方向で重畳しない異なる領域に形成されており、また上記支持枠は、上記雌ヘリコイドネジと上記位置規制ガイド係合部とが光軸方向で重畳しない異なる領域に形成されていることを特徴とする。
【0026】
さらに、上記支持枠は、上記回転枠の雄ヘリコイドネジが光軸方向に移動することにより上記支持枠の雌ヘリコイドネジとの螺合が解除された状態で且つ上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態で上記回転枠が回動する際に、上記雄ヘリコイドネジの光軸周りの回動を妨げないように形成されたヘリコイド回動逃げ部を有することを特徴とする。
【0027】
また、上記案内部は、上記雌ヘリコイドネジと略同一のリード角を有して形成されていることを特徴とし、さらに、上記回転枠は、上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジに螺合した螺合状態にあるときには、上記収納位置と上記撮影位置との間で上記第1及び第2のレンズ枠を光軸方向に移動させ、上記ガイド突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態にあるときには、上記撮影位置で上記第1及び第2のレンズ枠を焦点距離変更のために光軸方向に移動させることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
図1、図2は、本発明によるレンズ鏡筒が組み込まれたカメラの外観を示す斜視図であり、図1はバリア閉状態、図2はバリア開状態をそれぞれ示している。
図3は、本発明の一実施形態を示すレンズ鏡筒の繰り出し状態での外観を示す図である。
【0029】
なお、以下の説明において、撮影レンズ光軸Oに沿う前後(被写体側と結像側)方向をZ方向とし、Z方向に対する左右の水平方向をX方向とし、Z方向に対する上下方向をY方向とする。また、回転方向は、前方被写体側からみた回転方向で示す。
【0030】
図1に示すカメラは、撮像素子で取り込まれた被写体の画像信号をデジタル信号に変換してメモリカード等に記録することが可能なデジタルカメラである。このカメラ本体1の外装筐体は、図1,図2に示すように前カバー2と、中カバー3と、後カバー4からなり、前カバー2には、その前面部に後述する撮影レンズ47,ファインダ窓6等の前面を開閉するスライド操作可能なレンズバリア5が配設されている。
【0031】
上記前カバー2と、上記中カバー3と、上記後カバー4は、カメラの外観面を形成する外装部材となる金属薄板により形成されており、それぞれその内側には、補強および組み付けのための合成樹脂からなる各内枠部材が接着固定されている。
【0032】
上記前カバー2には、その前面部に沈胴可能なズームレンズ鏡筒である撮影レンズ鏡筒(以下、レンズ鏡筒と記載)10と、ファインダ窓6と、ストロボ発光窓7等が配設されている。上記レンズ鏡筒10,ファインダ窓6,ストロボ発光窓7等の前面部分は、上述したようにスライド可能な上記レンズバリア5により開閉される。図1に示すように、上記レンズバリア5が右側閉鎖位置にあるときには、上記レンズ鏡筒10は、沈胴(収納)位置に繰り込まれており、前面部分が閉鎖されて撮影不可能な状態となっている。一方、図2に示すように、上記レンズバリア5が左方開放位置にあるときには、上記レンズ鏡筒10の前面部分が開放され、該レンズ鏡筒10は、撮影可能な位置に繰り出された状態となる。
【0033】
さらに、上記中カバー3の上面部には、レリーズスイッチ操作釦8が配設され、上記後カバー4の背面上部には、ファインダ接眼窓9が配設されている。
【0034】
上記レンズ鏡筒10は、沈胴可能なズームレンズ鏡筒であって、図3に示すように上記カメラ本体1の内部に固定支持される支持枠(以下、固定枠と称す)11と、該固定枠11に回転,進退自在に支持され、撮影状態で固定枠11より前方に繰り出される回転枠(以下、カム枠と称す)15およびズーム枠16を有している。
【0035】
上記カム枠15及び上記ズーム枠16内には、後述するズーム光学系を構成する1群レンズ47,2群レンズ48(図5参照)が配設されている。尚、上記固定枠11の前端側は、上記前カバー2に装着された鏡筒保持枠71(図2参照)により支持されている。また、上記固定枠11からはシャッタ駆動制御回路,フォーカス駆動制御回路用の2つのフレキシブルプリント基板(以下、FPCと記載する)110,109が導出しており、さらに、上記固定枠11に装着される、後述するズーム駆動ユニット13からは、ズーム駆動制御回路用FPC108が導出している。上記FPC108,109,110は、図示しないカメラ内部の制御部に接続される。また、上記固定枠11には、後述するズームファインダ駆動用ギア75が配設されている。以下、上記レンズ鏡筒10の構造の詳細について説明する。
【0036】
図4は、上記レンズ鏡筒の固定枠側の分解斜視図であり、図5は、上記レンズ鏡筒のカム枠側の分解斜視図である。図6〜8は、上記レンズ鏡筒10の各動作状態での上半部を断面にして示した拡大縦断面図であって、図6が沈胴状態、図7がワイド状態、図8がテレ状態をそれぞれ示している。
【0037】
図4,図5に示すように、レンズ鏡筒10の主要な構成部材としては、上記カメラ本体1(図1参照)に固定支持される固定枠11と、該固定枠11の外周部に取り付けられ、ズームモータ24を有するズーム駆動ユニット13と、前記固定枠11の後方側に固定される固体撮像素子であるCCD62(図6参照)を内蔵するためのCCDユニット12と、後述するズーム枠16,2群枠20を直進ガイドするためのフロートキー14と、固定枠11に嵌入し、沈胴位置と撮影位置との間を回動しながら進退し、かつ、上記撮影位置でワイド回動位置からテレ回動位置間を回動するカム枠15と、該カム枠15に進退自在に嵌入し、フロートキー14により直進ガイドされ、沈胴位置と撮影位置との間を進退移動するズーム枠16と、該ズーム枠16内に固着され、フォーカスモータ41を有する合焦駆動枠ユニット17と、上記ズーム枠16内に進退自在に支持され、前記合焦駆動枠ユニット17により合焦駆動される1群枠19(第1のレンズ枠)と、上記カム枠15内に進退自在に嵌入する2群枠20(第2のレンズ枠)と、該2群枠20に固定支持され、開閉可能な2枚のシャッタ羽根49,50およびNDフィルタ51を有するシャッタユニット21と、上記1群枠19に保持される1群レンズ47と、上記2群枠20に保持される2群レンズ48と、ズーム枠16の先端部と1群枠19の先端部の間に配置される遮光ゴム72(図6参照)と、上記カム枠15の先端部と上記ズーム枠16の後述する金属筒32の外周の間に配置される遮光ゴム73(図6参照)と、上記固定枠11の先端部と上記カム枠15の後述する金属筒31の外周の間に配置される遮光ゴム74(図6参照)と、シャッタユニット21の背面部に配される遮光シート55とを有してなる。
【0038】
上記固定枠11は、開口部11aを有する円環状部材であって、その外周部にギヤ室11dが設けられ、該ギヤ室11dには、上記カム枠15を回動駆動するためのロングギヤ26がその軸心をZ方向に沿わせた状態で回動可能に軸支されている。また、上記固定枠11には、後に詳細に説明するが、その内周部の第1の領域に雌ヘリコイドネジ11bと、上記雌ヘリコイドネジ11bに連通し、光軸方向で上記第1の領域とは重畳しない第2の領域に円周方向に沿って形成された位置規制ガイド係合部(直進ガイド部材)(以下、ロック溝と称す)11cと、Z方向に沿ったキー溝11f,11gとが設けられている。さらに、上記カム枠15の沈胴回動終端の近傍位置検出用ミラー部(以下、ミラー部と称す)15f(図5参照)の位置を検出するためのカム枠回動位置検出センサ(図示せず)が内周部に配置されている。また、上記固定枠11の内周部には、後述する上記カム枠15との螺合の潤滑を良くするため、また反射防止の目的で、塗装が施されている。
【0039】
尚、上記ロック溝11cは、後述する上記カム枠15のロック凸部15dと係合し、上記カム枠15が光軸方向に移動することを規制して光軸周りの回転のみを許容するように上記カム枠15を保持する位置規制ガイド係合部を構成している。
【0040】
ここで、上記固定枠11の内周面部をさらに説明すると、図9は、上記固定枠11の内周面を展開して示した概略図である。図9に示すように、上記固定枠11の後端側には、上記雌ヘリコイドネジ11bが上記固定枠11の中央部から後端部まで光軸方向(Z方向)に沿って後述する雄ヘリコイドネジ15bと略同一のリード角を以て、また、後述する上記カム枠15の突起部15dが通過する領域を避けて図に示すように複数形成されており、また、該雌ヘリコイドネジ11b間には、上記ギヤ室11d(図4参照)と、上記キー溝11f、11gと、上記固定枠11に装着されるシャッタ駆動制御回路,フォーカス駆動制御回路用の上記FPC109,110(図3参照)の通し溝部11h,11f及び穴部11iと、後述する上記カム枠15の3つのロック凸部15d(図5参照)が通過する凸部通過領域11k1,11k2,11k3が形成されている。
【0041】
さらに、上記固定枠11の前端側には、上記雌ヘリコイド11bから所定幅11m(光軸方向で異なる領域)離間した前方位置に、上記円周方向に、例えば3箇所形成した上記ロック溝11cと、内面に向かって傾斜し上記雌ヘリコイドネジ11bと略同一のリード角に形成され、後述する上記カム枠15のロック凸部15dが上記ロック溝15cに嵌入する際の案内部となり、また、上記カム枠15の雄ヘリコイドネジ15bが上記雌ヘリコイドネジ11bに螺合した螺合状態と、後述する上記カム枠15の突起部15dが上記位置規制ガイド係合部11c(ロック溝)に係合した係合状態とに上記カム枠15の連続的な回動に応じて切り換わるように上記カム枠15の移動をガイドするロック溝案内部11lと、後述する上記カム枠15が、上記固定枠11内をワイド位置からテレ位置に向かって回動する際、後述する上記カム枠15のストッパ15lが係止するテレストッパ11jが形成されている。また、上記ロック溝11cと上記雌ヘリコイドネジ11bとの所定幅11mの領域には、後述する突起部15dが上記位置規制ガイド係合部11c(ロック溝)に係合した係合状態で上記カム枠15が回動する際に、上記雄ヘリコイドネジ15bの光軸周りの回動を妨げないように形成されたヘリコイド回動逃げ部11nが配設されている。
【0042】
一方、上記ズーム駆動ユニット13は、減速ギヤ列および終段アイドルギヤ25を内蔵するギヤボックス23と、ズーム駆動用DCモータであるズームモータ24とを有してなる。このズーム駆動ユニット13は、ギヤボックス23のビス挿通穴23a,23bを挿通させたビスを固定枠11の上記ロングギヤ室11d端部のビスネジ穴11e等に螺着して固定枠11の外周部に固定される。その固定状態で上記アイドルギヤ25は、上記ロングギヤ26と噛合する。なお、上記ロングギヤ26は、ズームファインダ駆動用ギヤ75(図3参照)とも噛合している。また、上記ズームモータ24には、図示しないスリット板とフォトインタラプタが配設されており、フォトインタラプタからのパルス検出信号により、後述する各レンズ群のズーム位置が制御される。
【0043】
上記CCDユニット12は、撮像用開口部22aおよびロングギヤ軸支穴22bを有するCCDホルダ22と、上記開口部22a内側に配置されるローパスフィルタ61(図6参照)と、CCDホルダ12の背面に固着されるCCD基板63(図6参照)と、該CCD基板63上に実装され、撮像面が光軸Oと直交しているCCD62(図6参照)と、該CCD62をCCDホルダ12に対して位置決めするためのCCD位置決め板64(図6参照)とを有してなる。なお、上記ローパスフィルタ61とCCD62との間には、CCDゴム65(図6参照)が圧縮状態で挟持されている。
【0044】
上記フロートキー14は、金属板製のリング部材で構成されており、開口部14aを有し、前方に向けてZ方向に平行状態で延出する2本のキー部14d,14fと、外周に突出し、上記固定枠11のキー溝11f,11gに摺動自在に嵌入する2つの凸部14b,14cとが設けられている。上記一方のキー部14dの先端部14eは、僅かに幅寸法が広がる段形状を有している。このフロートキー14の前側には、開口部27aを有するリング形状のフロートガイド27がキー部14d,14fの外側に挿入され、ビスにより固着されている。上記フロートガイド27の外周には、複数の凸状の爪部27bが設けられる。
【0045】
尚、上記フロートキー14は、リング形状のプレス成形部材であるが上記キー部14fをリング状外側から、キー部14dをリング状内側から折り曲げるようにして形成して、効率のよいブランク板取りを可能にしている。また、上記キー部14dと14fに対して、直進ガイド時の負荷は上記先端部14eを持つキー部14dの方に多く作用するが、上述のように折り曲げることにより、キー部14d側の方の強度を大きくすることができる(これは、キー部14d側のリング形状部とのつながり部分の幅(肉厚)が広くとれるためである)。
【0046】
上記カム枠15は、開口部15aを有する円環状部材であって、後に詳細に説明するが、その外周部後端側の第3の領域に形成された、前記固定枠11の雌ヘリコイドネジ11bと螺合可能である雄ヘリコイドネジ15bと、上記ロングギヤ26と噛合し、該雄ヘリコイドネジ15bに重畳した状態の平歯車形状のギヤ部15cと、該雄ヘリコイドネジ中に配されるミラー部15fと、上記雄ヘリコイドネジ15bに対して所定幅離間した前方位置の第4の領域(光軸方向で異なる領域及び光軸方向で上記第3の領域とは重畳しない領域)に、その外周部が上記固定枠11の上記位置規制ガイド係合部(ロック溝)11cに径方向で嵌合可能な例えば3つの突起部(ロック凸部)15dとが設けられている。
【0047】
さらに、カム枠15の内周面部15gには、後方端側に上記フロートガイド27の爪部27bが摺動自在に嵌入する、周方向に沿ったフロートキーガイド15jと、光軸O方向に対して斜行する、例えば3本のカム溝15eが設けられている。そして、上記カム枠15の上記ロック凸部15dより前方側の外周部には、外装キャップ部となる金属筒31が嵌合、固着されている。また、上記カム枠15の内周面部15gには、後述する上記カム枠15との螺合の潤滑を良くするため、また反射防止の目的で、塗装が施されている。
【0048】
ここで、上記カム枠15の内周面部15gを説明すると、図10は、上記カム枠15の内周面を展開して示した概略図、図11は、図10のカム枠において上記ズーム枠16に固着されたカムフォロア35が嵌入するカム溝15eを示した拡大断面図、図12は、図10のカム枠において上記2群枠20に固着されたカムフォロア36が嵌入するカム溝15eを示した拡大断面図である。
【0049】
図10に示すように、上記カム枠15の内周面部15gには、同形状をもつ3本の上記カム溝15eが図に示すようにそれぞれ連続して形成されており、それぞれのカム溝15eは、図11に示すように、例えばθ1=35°のテーパ角を以った内周溝面15e1を有する領域Iと、図12に示すように、例えばθ2=48°のテーパ角を以った内周溝面15e2を有する領域IIとで構成され、領域Iと領域IIは連続して形成されている。
【0050】
上記領域Iは、後述する上記ズーム枠16に固着されたカムフォロア35が嵌入する領域であり、上記ズーム枠16に固着された上記1群枠19をテレ位置16Cと、ワイド位置16Bに移動されるカム溝が形成されている。
【0051】
上記領域IIは、後述する上記2群枠20に固着された上記カムフォロア36が嵌入する領域及び前記ズーム枠16に固着された上記カムフォロア35が嵌入する領域であり、上記1群枠19を沈胴位置16A、上記2群枠20をテレ位置20C、ワイド位置20B、沈胴位置20Aにそれぞれ移動させるカム溝が形成されている。
【0052】
また、上記カム枠15の内周面部15gには、光軸方向に沿って複数本形成された上記カム枠15の金型形成時の型割の際のバリ逃げ溝15iと、光軸方向前側に内周ガイド溝15hと、光軸方向後側に後述するフロートガイド27の爪部27bが嵌入するフロートキーガイド15jが形成されている。
【0053】
さらに、上記カム枠15の外周面を説明すると、図13は、上記カム枠15の外周面を展開して示した概略図である。図13に示すように、外周面部前端側(ズーム枠16)側には、上記金属筒31(図5参照)が嵌合、固着される領域15nが形成されており、該領域15nには、外周部中央から前端まで光軸方向に沿って複数本形成された、上記カム枠15の金型形成時の型割の際のバリの逃げ部となる凹状のパーティング逃げ15oと、前端部外周に形成された上記金属筒31を固着する際の接着材のたまり部15pが形成されている。
【0054】
また、後端側(固定枠側)の外周には、上記雄ヘリコイドネジ15bと、上記ギヤ部15cが複数本、図に示すように所定のリード角を以て形成されており、該雄ヘリコイドネジ15b間には、上記ミラー部15fが固着されるミラー凹部15mが形成され、さらに、上記雄ヘリコイドネジ15bと上記ギヤ部15cの間には、略N型形状のストッパ15lが上記雄ヘリコイドネジ15bと略同一の所定のリード角を以て形成されている。該ストッパ15lには、後端側に上記カム枠15の上記固定枠11に対する沈胴位置のストッパとなる切り欠き15qが形成されており、また前端側には、上記カム枠15の上記固定枠11に対するテレ位置のストッパとなる切り欠き15rが形成されている。
【0055】
さらに、カム枠外周の後半側の中程には、上記雄ヘリコイドネジ15bに対して所定幅(光軸方向で異なる領域)離間した前方位置(第4の領域)に上記3つのロック凸部15dが上記雄ヘリコイドネジ15bと略同一のリード角を以て形成されている。このように、上記3つのロック凸部15dと上記雄ヘリコイドネジ15bを別の位置に形成することで、上記カム枠15の回転角を大きくすることができ、また上記ロック凸部15d、上記雄ヘリコイドネジ15bをガイドする上記固定枠11のガイド部が形成しやすくなるといった利点がある。
【0056】
図5に戻って、上記ズーム枠16は、前方開口部16aを有する円環状筒部材で構成されていて、その後方外周に延び出した3つの突出片16dに設けられた取り付け穴には、上記カム枠15の上記カム溝15eに摺動自在に嵌入する、例えば3つのカムフォロア35が嵌合固着されている。また、前記ズーム枠16の内周部には、光軸Oと平行な方向に沿った溝であって、フロートキー14(図4参照)のキー部14dの先端14eおよびキー部14fが摺動自在に嵌入するガイド溝16b,16cが設けられている。
【0057】
ここで、上記カムフォロア35の形状を説明すると、図14は、上記ズーム枠16に固着された上記カムフォロア35の拡大図である。図14に示すように、前記カムフォロア35は、外周に2つの異なるテーパ角を有する台形形状をなして形成されており、該カムフォロア35の上記カム溝15e側の外周35aは、例えばテーパ角θ2=48°に形成されており、前記カムフォロア35の上記ズーム枠16側の外周35bは、例えばテーパ角θ1=35°に形成されている。
【0058】
尚、上記カムフォロア35が、2つの異なるテーパ角の外周に形成されているのは、上記ズーム枠16は、外部からの衝撃を受けやすいため、上記カムフォロア35と上記カム溝15eとの嵌合が外れるのを防止するため上記テーパ角を高くする必要があるからであり、また、後述する上記ズーム枠16に固着される上記1群枠19の沈胴領域を、後述する上記2群枠20のカムフォロア36が嵌入するテーパ角が例えばθ2=48°の上記領域II(図12参照)と兼ねているからである。
【0059】
再び図5に戻って、上記ズーム枠16の後方突出片16dより前方の外周部には、外装キャップ部となる金属筒32が嵌合、固着され、さらに、前面部には、前飾り板33が貼付されている。
【0060】
上記合焦駆動枠ユニット17は、合焦駆動枠18と、該合焦駆動枠18に固着される、例えばステッピングモータからなるフォーカスモータ41と、上記1群枠19を進退自在に支持する1群枠ガイドロッド42(図6参照)と、該ガイドロッド42に挿入され、上記1群枠19を後方に付勢する圧縮バネである付勢バネ44(図6参照)と、上記フォーカスモータ41により回転駆動される1群枠進退駆動用送りネジ部(図示せず)とを有してなる。
【0061】
上記合焦駆動枠18は、ズーム枠16の内部にビスにより固着される枠部材であって、上記1群ガイドロッド42を光軸Oと平行な方向で支持しており、さらに、1群ガイドロッド42の側方位置に回転自在に支持される上記送りネジ部が設けられている。上記送りネジ部は、上記フォーカスモータ41によりピニオンを介して回転駆動され、この送りネジの回転によって上記1群枠19が前記付勢バネ44に抗して上記1群ガイドロッド42に沿って進退駆動される。なお、上記1群枠19の進退方向のガタ分は、前記付勢バネ44の付勢力により取り除かれる。
【0062】
上記1群枠19は、その内周部に上記1群レンズ47が保持されており、スリーブ穴19b(図6参照)に位置調整後に接着固定されるスリーブ43(図6参照)を有している。前記1群枠19は、上記スリーブ43に前記1群ガイドロッド42を摺動自在に嵌入させ、さらに、上記1群枠19の図示しないガイド突起を上記合焦駆動枠18のガイド溝に嵌入させた状態で上記ズーム枠16内に光軸O方向に進退可能に組み付けられる。
【0063】
なお、上記ガイドロッド42は、上記1群レンズ47の芯合わせを行って前記合焦駆動枠18に接着固定される。すなわち、前記ガイドロッド42の前方端部は、上記ズーム枠16の軸穴に嵌入し、後方端部は、上記合焦駆動枠18の軸穴18cに位置調整ガタ分の隙間のある状態で嵌入して支持可能であり、上記合焦駆動枠18の組み込み時に上記ガイドロッド42は、前記1群レンズ47の上記スリーブ43を挿通させて両端を上記ズーム枠16の軸穴と前記合焦駆動枠18の軸穴18cで支持した状態とする。
【0064】
そこで、上記ズーム枠16の外周部を基準にして上記1群枠19に固着された前記1群レンズ47の光軸を上下左右に上記ガイドロッド42の傾きを変えながら調整して芯合わせする。その芯合わせ状態で上記軸穴18cと上記ガイドロッド42との隙間に接着剤を注入して、上記ガイドロッド42の軸端の光軸O直交方向の位置を固定する。上記ガイドロッド42の位置移動操作は、上記ガイドロッド42の後端側凹部に操作具を挿入して行うことができる。また、上記ガイドロッド42には、光軸Oと平行方向の位置規制のために上記軸穴18cの前方にE型ガタ止め輪45が装着されており、さらに、上記止め輪45と軸穴18cの壁面との間には、座金46が挿入されている。この座金46により上記注入された接着剤のもれ出しが防止される。
【0065】
上記2群枠20には、その開口部前面に絞り20Aが装着され、該絞り20Aの後方に上記2群レンズ48が保持されている。前記2群枠20の外方3箇所には、上記カム枠15のカム溝15eに摺動自在に嵌入する、例えば3つのカムフォロア36が固着されており、さらに、外方2箇所に上記フロートキー14のキー部14d,14fが嵌入するガイド穴20e,20fが設けられている。また、上記2群枠20の上方部は、切り欠き部20gが設けられている。該切り欠き部20gは、上記レンズ鏡筒10のズーム駆動時に上記フォーカスモータ41の進退移動を許容するスペースとなる。
【0066】
ここで、上記カムフォロア36の形状を説明すると、図15は、上記2群枠20に固着された上記カムフォロア36の拡大図である。図15に示すように、前記カムフォロア36は、外周面36aに例えばθ2=48°のテーパ角を有する台形形状をなして形成されている。
【0067】
図5に戻って、上記シャッタユニット21は、中央部に絞り開口37aと上方に切り欠き部37sが設けられたシャッタ地板37と、該シャッタ地板37の背面側に収納される開閉回動可能な2枚のシャッタ羽根49,50および1枚の減光用NDフィルタ51と、上記シャッタ地板37に固着される2つのムービングコイル型アクチュエータであって、シャッタ駆動源であるシャッタアクチュエータ52およびフィルタ駆動源であるフィルタアクチュエータ54と、上記シャッタ羽根49,50およびNDフィルタ51を光軸O方向を規制するためのシャッタ押さえ38とを有してなる。なお、上記切り欠き部37sは、ズーム駆動時に上記フォーカスモータ41の進退移動を許容するスペースとなる。
【0068】
上記シャッタユニット21は、上記2群枠20に対して、その背面側に固定して一体化される。すなわち、上記2群枠20に上記シャッタ地板37の係止爪37cを係止させた状態でビスにより該シャッタ地板37を上記2群枠20の背面側に固定して一体化される。よって、本実施の形態におけるレンズ鏡筒においては、上記シャッタユニット21を上記2群枠20の背面側に配置したため、図6に示す沈胴状態において、上記1群レンズ47と上記2群レンズ48を限りなく近づけることができるため、沈胴状態で上記カメラ本体1(図1参照)を薄型化することができる。
【0069】
また、上記シャッタユニット21の前記シャッタ押さえ38の背面には、図6に示すように弾性変形可能な遮光シート55が配置されている。上記遮光シート55は、図7に示すように光軸O近傍がビス止めされ、上半部が自由状態でシャッタ押さえ38に密着して支持されている。前記遮光シート55により上記2群枠20や前記シャッタ地板37の切り欠き部20g,37sから上記CCDユニット12側への不要光が遮光される。そして、上記フォーカスモータ41が上記切り欠き部20g,37sに進入してきたときには、図6,8に示すように上記フォーカスモータ41の後端部で前記遮光シート55が押圧され、後方に弾性変形することにより、上記フォーカスモータ41の進入が可能となる。
【0070】
上述したレンズ鏡筒10の各構成部材は、一例として以下の手順で組み立てられる。勿論、他の手順で組み立てることも可能である。まず、上記カム枠15の内周部15gに後方側から上記ズーム枠16を嵌入させ、該ズーム枠16の上記カムフォロア35を上記カム溝15eに嵌入させ、上記1群枠19および上記合焦駆動ユニット17が装着された上記ズーム枠16を上記カム枠15に組み込む。そして、上記カム枠15の内部にシャッタユニット21が一体化された上記2群枠20を挿入して、上記2群枠20の前記カムフォロア36を上記共通のカム溝15eに嵌入させる。
【0071】
さらに、上記フロートガイド27が装着された上記フロートキー14を、上記カム枠15の後面側から挿入し、上記キー部14d,14fを上記2群枠20のガイド穴20e,20fに挿通させる。さらに、上記キー部14dの先端部14eを上記ズーム枠16のガイド溝16b側に嵌入させ、上記キー部14fを上記ズーム枠16のガイド溝16c側に嵌入させる。
【0072】
その後、上記フロートガイド27の凸部14bを、上記カム枠15の内周ガイド溝15hに嵌入させる。なお、上記フロートガイド27の凸部14bが上記内周ガイド溝15hに嵌入し、かつ、後述するように上記フロートキー14の凸部14b,14cが固定枠11に直進ガイドされることから、上記フロートキー14は、上記固定枠11に対して回転規制された状態で光軸O方向には上記カム枠15と一体的に進退移動することになる。
【0073】
続いて、上記ズーム枠16,上記2群枠20,上記フロートキー14等が組み込まれたカム枠15を上記固定枠11の後面側から挿入し、後に詳細に説明するが、上記カム枠15の雄ヘリコイドネジ15bを上記固定枠11の雌ヘリコイドネジ11bに螺合させ、かつ、上記フロートキー14の凸部14b,14cを上記固定枠11のキー溝11f,11gに嵌入させる。そこで、上記ロングギヤ26(図4参照)を上記固定枠11のギヤ室11dに挿入して前記ロングギヤ26の前方軸支穴26aを図示しない固定枠側軸支ピン部に嵌合させておく。
【0074】
その後、後方より上記CCD62等が組み付けられた上記CCDユニット12の前記CCDホルダ22を装着し、前記CCDホルダ22の軸支穴22bにロングギヤ26の軸端26bを嵌入させて、上記CCDホルダ22をビスにより前記固定枠11に固着する。以上の組み付けにより上記レンズ鏡筒10が完成する。
次に、上記レンズ鏡筒10の進退駆動動作について説明する。
図1に示すように上記レンズバリア5が閉位置にあって上記レンズ鏡筒10がカメラ内に繰り込まれた沈胴状態にあるときは、図6に示すように上記固定枠11の内部に上記ズーム枠16および上記1,2群枠19,20等すべてが収納された状態に保持される。具体的には、上記カム枠15の雄ヘリコイドネジ15bは、上記固定枠11の雌ヘリコイドネジ11bに螺合した状態(螺合状態)で、かつ上記カム枠15の3つのロック凸部15dは、上記固定枠11の上記凸部通過領域11k1乃至11k3の沈胴位置15d1(図9参照)に位置する。また、上記1群枠19と上記2群枠20は、極接近して位置する。
【0075】
このとき、上記ズーム枠16および上記2群枠20のカムフォロア35,36は、それぞれ共通のカム溝15eの沈胴終端位置に位置している。具体的には、上記3つカムフォロア35は、図10に示す上記3つのカム溝15eのそれぞれ上記領域IIの上記1群枠19の沈胴位置16Aにそれぞれ位置し、上記3つのカムフォロア36は、図10に示す上記3つのカム溝15eの上記領域IIの上記2群枠20の沈胴位置20Aにそれぞれ位置している。また、この沈胴状態で上記フォーカスモータ41は、図6に示すように、上記2群枠20および上記シャッタ地板37の切り欠き部20g,37sに進入した位置にあり、上記フォーカスモータ41の後端部で上記シャッタ押さえ38に装着される上記遮光シート55が押圧され、後方に変形させた状態に保持されている。
【0076】
そこで、図2に示すようにレンズバリア5を開放位置にスライド操作すると、カメラ内の制御部の指示にしたがってレンズ鏡筒10は、上記沈胴状態から図7に示す撮影可能なワイド状態に繰り出される。すなわち、上記ズームモータ24が駆動され、上記ロングギヤ26が回転し、ギヤ部15cを介して上記カム枠15が時計回りに回動駆動され、雌,雄ヘリコイドネジ11b,15bを介して回転しながら前方に繰り出される。そして、上記カム枠15のロック凸部15dが上記固定枠11のロック溝11cに嵌入した状態となる。このロック溝嵌入状態では、上記カム枠15は、上記ズームモータ24の回転によって光軸方向に進退することなく撮影可能状態のワイド回動位置とテレ回動位置間を回動する。さらに詳しくは、上記カム枠15の雄ヘリコイドネジ15bは、上記固定枠11の所定幅11mを以った上記ヘリコイド回動逃げ部11nに嵌入し、かつ上記カム枠15の3つのロック凸部15dは、上記固定枠11の上記凸部通過領域11k1乃至11k3から飛び出した位置15d2(図9参照)に位置する。
【0077】
一方、このとき上記ズーム枠16は、上記フロートキー14により回転規制された状態で上記カム枠15とともに繰り出され、さらに、上記カム枠15のカム溝15eによりカムフォロア35を介して撮影可能なワイド位置に繰り出される。具体的には、上記3つのカムフォロア35は、図10に示す上記3つのカム溝15eの上記領域Iの上記1群枠19のワイド位置16Bにそれぞれ位置している。よって、上記1群枠19もワイド位置に繰り出される。尚、このワイド位置は、上記固定枠11に対して上記カム枠15が最も繰り出された位置である。
【0078】
ここで、上記カムフォロア35の上記沈胴位置16Aから上記ワイド位置16Bへの移動を説明すると、図16は、上記図12のカム溝と上記図14のカムフォロア35の嵌入状態を示した拡大図である。
【0079】
上述したように、上記カムフォロア35は、沈胴状態では、図10に示す上記領域IIの上記1群枠19の沈胴位置16Aに位置している。上記領域IIは、上記図12に示すように、θ2=48°のテーパ角を以った内周溝面15e2を有している。よって、図16に示すように、図14に示す上記カムフォロア35は、上記沈胴位置16Aから上記ワイド位置16Bへ移動する際は、上記カムフォロア35の、例えばテーパ角θ2=48°に形成された上記外周35aが、上述した図12に示す上記カム溝15eの内周溝面15e2に嵌入して移動する。
【0080】
さらに、上記2群枠20も上記フロートキー14により回転規制された状態で上記カム枠15とともに繰り出され、さらに、上記カム枠15の上記カム溝15eによりカムフォロア36を介して撮影可能なワイド位置に繰り出される。具体的には、上記3つのカムフォロア36は、図10に示す上記3つのカム溝15eの上記領域IIの上記2群枠20のワイド位置20Bにそれぞれ位置している。
【0081】
ここで、上記カムフォロア36の上記沈胴位置20Aから上記ワイド位置20Bへの移動を説明すると、図17は、上記図12のカム溝と上記図15のカムフォロア36の嵌入状態を示した拡大図である。
【0082】
上述したように、上記カムフォロア36は、沈胴状態では、図10に示す上記領域IIの上記2群枠20の沈胴位置20Aに位置している。上記領域IIは、上記図12に示すように、θ2=48°のテーパ角を以った内周溝面15e2を有している。よって、図17に示すように、図15に示す上記カムフォロア36は、上記沈胴位置20Aから上記ワイド位置20Bへ移動する際は、上記カムフォロア36の例えばテーパ角θ2=48°に形成された上記外周36aが、上述した図12に示す上記カム溝15eの内周溝面15e2に嵌入して移動する。
【0083】
なお、このワイド状態では、図7に示すように、上記2群枠20と上記フォーカスモータ41とは、互いに離間した位置にあるので上記遮光シート55は、上記シャッタ押さえ38に密着した状態に保持されており、上記2群枠20の切り欠き部20gからの不要光が遮光される。
【0084】
上記撮影可能なワイド状態から上記ズームモータ24を駆動し、上記カム枠15をさらに時計回りの回動させると、図8に示すように、上記ズーム枠16とともに上記1群枠19が上記フロートキー14により回転規制状態でテレ位置に向けて進退移動する。具体的には、上記カム枠15の雄ヘリコイドネジ15b間に形成された上記前方切り欠き15r(図13参照)が、上記固定枠11のテレストッパ11j(図9参照)に係止し、かつ上記カム枠15の3つのロック凸部15dは、上記固定枠11の上記凸部通過領域11k1乃至11k3から飛び出し、上記ロック溝案内部11lを介して上記ロック溝11cに嵌入して係合状態となり、該ロック溝11cのテレ位置15d3(図9参照)に位置する。尚、上記カム枠15は、上記ワイド位置d2と上記テレ位置d3との間を、撮影者の意図に応じてまたは自動的に自在に移動される。
【0085】
さらに、このとき上記1群枠19は、上記カム枠15のカム溝15eによりカムフォロア35を介してテレ位置に繰り出される。具体的には、上記3つのカムフォロア35は、図10に示す上記3つのカム溝15eの上記領域Iの上記1群枠19のテレ位置16Cにそれぞれ位置している。尚、上記カムフォロア35は、上記ワイド位置16Bと上記テレ位置16Cとの間を、撮影者の意図に応じて、または自動的に自在に移動される。
【0086】
ここで、上記カムフォロア35の上記ワイド位置16Bから上記テレ位置16Cへの移動を説明すると、図18は、上記図11のカム溝と上記図14のカムフォロア35の嵌入状態を示した拡大図である。
【0087】
上述したように、上記カムフォロア35は、ワイド状態では、図10に示す上記領域Iの上記1群枠19のワイド位置16Bに位置している。上記領域Iは、上記図11に示すように、θ1=35°のテーパ角を以った内周溝面15e1を有している。よって、図18に示すように、図14に示す上記カムフォロア35は、上記ワイド位置16Bから上記テレ位置16Cへ移動する際は、上記カムフォロア35の、例えばテーパ角θ1=35°に形成された上記外周35bが、上述した図11に示す上記カム溝15eの内周溝面15e1に嵌入して移動する。
よって、上記カムフォロア35の上記外周35aはこの場合、上記カム溝15eの内周溝面15e1から離間した状態となる。
【0088】
同様に上記2群枠20も上記フロートキー14により回転規制状態でテレ位置に進退移動する。さらに、上記カム枠15の上記カム溝15eによりカムフォロア36を介してテレ位置に繰り出される。具体的には、上記3つのカムフォロア36は、図10に示す上記3つのカム溝15eの上記領域IIの上記2群枠20のテレ位置20Cにそれぞれ位置している。尚、上記カムフォロア36の上記ワイド位置20Bから上記テレ位置20Cへの移動は、図17に示した上記カムフォロア36の上記沈胴位置20Aから上記ワイド位置20Bへの移動と同じように、上記カムフォロア36が上記カム溝15eに嵌入して移動する。また、上記カムフォロア36は、上記ワイド位置20Bと上記テレ位置20Cとの間を、撮影者の意図に応じて、または自動的に自在に移動される。
【0089】
上記テレ状態にあるときは、図8に示すように上記1群枠19と上記2群枠20は、極接近して位置する。したがって、上記フォーカスモータ41が上記2群枠20,上記シャッタ地板37の上記切り欠き部20g,37sに進入するので、遮光シート55がフォーカスモータ41によって押圧され、変形して後方に傾斜する。しかし、上記切り欠き部20g,37sには、上記フォーカスモータ41が位置していることから上記切り欠き部20g,37sからの不要光の漏れは殆どない。
【0090】
撮影終了後、上記レンズバリア5を閉方向にスライド移動させると、上記ズームモータ24が回転駆動され、上記カム枠15が反時計回りにワイド回動位置を経て沈胴回動位置に向けて回転駆動される。具体的には、上記固定枠11のテレストッパ11jに係止していた上記カム枠15の上記前方切り欠き15rが外れ、上記雄ヘリコイドネジ15bが上記固定枠11の上記雌ヘリコイドネジ11bに螺合して螺合状態となり、かつ上記カム枠15の3つのロック凸部15dは、上記固定枠11の上記ロック溝11cのテレ位置15d3に係合している係合状態から、上記ロック溝案内部11lを介して上記凸部通過領域11k1乃至11k3に戻り、該凸部通過領域11k1乃至11k3の沈胴位置15d1(図9参照)に位置する。
【0091】
それと同時に、上記カムフォロア35,36が共通のカム溝15eを摺動してズーム枠16,2群枠20等が沈胴位置に向けて繰り込まれる。具体的には、上記3つのカムフォロア35は、図10に示す上記3つのカム溝15eの上記領域IIの上記1群枠19の沈胴位置16Aにそれぞれ位置し、上記3つのカムフォロア36は、図10に示す上記3つのカム溝15eの上記領域IIの上記2群枠20の沈胴位置20Aにそれぞれ位置している。尚、沈胴時の上記カムフォロア35,36と上記カム溝15eの嵌入状態は、上述したワイド及びテレ繰り出し時の嵌入状態と同じである。
【0092】
ここで、上記カム枠15が沈胴回動位置の終端近傍まで回動したとき、上記固定枠11に取り付けられた、図示しないカム枠回動位置検出センサにより上記カム枠15の上記ミラー15fが検出される。よって、カメラの制御部の指示により上記ズームモータ24は、図示しないスリット板とフォトインタラプタからのパルス検出信号により減速駆動モードに入り、その後、上記カム枠15が沈胴終端回動位置に到達したときに停止する。
【0093】
図19は、上記レンズ鏡筒10の沈胴状態から撮影可能なワイド状態、さらに、テレ状態への変化に対応する、結像面(CCD撮像面)に対する各レンズ群の進退位置を示す図である。図19に示すように上記1群レンズ47,上記2群レンズ48は、沈胴位置から撮影可能なワイド位置に向けてほぼ直線的に繰り出され、さらに、それぞれのテレ位置へ繰り出し、または移動する。
【0094】
また、上記ワイド状態からテレ状態の間での合焦駆動動作は、上記CCD62(図6乃至図8参照)による撮像信号によって合焦データに基づいて上記フォーカスモータ41(図5参照)が駆動制御され、上記1群枠47が上記ズーム枠16に対して相対的に各合焦位置に進退駆動され、合焦が行われる。
【0095】
このように構成された本発明の実施の形態におけるレンズ鏡筒は、上記ズーム枠16と上記2群枠20の移動を、上記カム枠15に連続して形成された1本のカム溝15eで行うことにより、上記カム枠15が上記固定枠20に対して回転することで、上記ズーム枠16及び上記2群枠20は、回転せずに光軸方向に移動してズーミングを行うことができるため、レンズ鏡筒10の構造を単純化することができる。
【0096】
また、上記カム枠15に、上記固定枠11と螺合する上記雄ヘリコイド15bの他に、該雄ヘリコイド15bから前方に離間した位置に3つの上記ロック凸部15dを設けたため、上記カム枠15の回転角を大きくすることができ、また上記ロック凸部15d、上記雄ヘリコイドネジ15bをガイドする上記固定枠11のガイド部が形成しやすくなる。さらに、上記カム枠15の突起部15dが上記位置規制ガイド係合部11cに係合した係合状態において、上記雄ヘリコイドネジ15bを回動可能とする回動逃げ部が上記位置規制ガイド係合部11cと光軸方向で重畳しないので、回転角を大きくできると共に配置構成の自由度を大きくできる。
【0097】
さらに、上記レンズ鏡筒10は、上記カム枠15の上記雄ヘリコイドネジ15bと、上記固定枠11の上記雌ヘリコイドネジ11bが螺合し、カム枠15が回動することにより、上記レンズ鏡筒10の沈胴位置とワイド位置とに移動し、その後、上記カム枠15の上記ロック凸部15dが、上記雄ヘリコイドネジ15bから飛び出して上記固定枠11の上記ロック溝11cと嵌合することにより、上記第1群枠19、上記第2群枠20がワイド位置とテレ位置の直進退移動する構造をもつことから、上記第1群枠19、上記第2群枠20の直進退移動に別途ヘリコイドを設ける必要がなく、またズーム駆動用の動力を切り換える必要がないため、上記レンズ鏡筒10の構造を簡易化することができ、レンズ鏡筒を小型化することができる。
【0098】
尚、本実施の形態においては、上記ズーム枠16及び上記2群枠20の上記カムフォロア35,36は、それぞれ3つ形成したが、これに限らず、前記カムフォロア35,36が嵌入する上記カム枠15のカム溝15eの本数を変更すれば、幾つに設定しても良いことは勿論である、
また上記カム枠15のカム溝15eは、上記ズーム枠16のカムフォロア35が嵌入する内周溝部のテーパ角を35°、上記2群枠20のカムフォロア36が嵌入する内周溝部のテーパ角を48°と設定したが、上記カムフォロア35,36の外周のテーパ角に合わせれば、何度に設定しても良いことは云うまでもない。
【0099】
さらに、本発明の実施の形態は、デジタルカメラを例に挙げて説明したが、銀塩カメラ及びビデオカメラ等に適用しても同様の効果が得られるということは勿論である。
【0100】
【発明の効果】
以上、述べたように本発明によれば、収納位置から撮影位置までのセット動作及び撮影位置からの焦点距離変更のズーム動作を簡単な構成で連続的に行うことができ、且つ小型化を図ることができるレンズ鏡筒を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレンズ鏡筒が組み込まれたカメラのバリア閉状態を示す斜視図、
【図2】上記図1のカメラのバリア開状態を示す斜視図、
【図3】本発明の一実施の形態を示すレンズ鏡筒の斜視図、
【図4】上記図3のレンズ鏡筒の固定枠側の構成部材を示す分解斜視図、
【図5】上記図3のレンズ鏡筒のカム枠側の構成部材を示す分解斜視図、
【図6】上記図3のレンズ鏡筒の沈胴状態における上半分を断面にして示す拡大縦断面図、
【図7】上記図3のレンズ鏡筒のワイド状態における上半分を断面にして示す拡大縦断面図、
【図8】上記図3のレンズ鏡筒のテレ状態における上半分を断面にして示す拡大縦断面図、
【図9】上記図3のレンズ鏡筒の固定枠の内周面の構成の概略を示す展開図、
【図10】上記図3のレンズ鏡筒の上記カム枠の内周面の構成の概略を示す展開図、
【図11】上記図10のカム枠に設けられたカム溝における領域Iのカム溝の形状を示す拡大断面図、
【図12】上記図10のカム枠に設けられたカム溝における領域IIのカム溝の形状を示す拡大断面図、
【図13】上記図3のレンズ鏡筒の上記カム枠の外周面の構成の概略を示す展開図、
【図14】上記図3のレンズ鏡筒のズーム枠に固着されたカムフォロアの拡大側面図、
【図15】上記図3のレンズ鏡筒の2群枠に固着されたカムフォロアの拡大側面図、
【図16】上記図12のカム溝に対する上記図14のカムフォロアの嵌入状態を示す拡大側面図、
【図17】上記図12のカム溝に対する上記図15のカムフォロアの嵌入状態を示す拡大側面図、
【図18】上記図11のカム溝に対する上記図14のカムフォロアの嵌入状態を示す拡大側面図、
【図19】上記図3のレンズ鏡筒の沈胴状態、撮影可能なワイド状態、テレ状態における結像面に対する各レンズ群の進退位置を示す図。
【符号の説明】
10…レンズ鏡筒、
11…固定枠(支持枠)
11b…雌ヘリコイドネジ
11c…ロック溝(位置規制ガイド係合部,直進ガイド部材)
11n…ヘリコイド回動逃げ部
11k1,11k,11k3…収納領域
11l…ロック溝案内部(案内部)
15…カム枠(回転枠)
15b…雄ヘリコイドネジ
15d…ロック凸部(突起部)
15e…カム溝
19…第1のレンズ枠
20…第2のレンズ枠
35…第1のカムフォロア
36…第2のカムフォロア
Claims (16)
- 収納位置と撮影位置とに移動可能であり、且つ撮影位置にて焦点距離変更可能なレンズ鏡筒において、
雄ヘリコイドネジと、該雄ヘリコイドネジとは光軸方向で異なる領域に形成された突起部と、カム溝とを有し、光軸周りに回動自在な回転枠と、
上記雄ヘリコイドネジと螺合する螺合状態にて上記回転枠を回動しながら光軸方向に移動させる雌ヘリコイドネジと、上記突起部と係合し上記回転枠が光軸方向に移動することを規制して光軸周りの回転のみを許容するように前記回転枠を保持する位置規制ガイド係合部とを有する支持枠と、
上記回転枠の上記カム溝に係合する各カムフォロアを有し、該回転枠の回動に応じて光軸方向に移動して焦点距離を変更する第1及び第2のレンズ枠と、を具備し、
上記回転枠は、その回動に応じて上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジと螺合した螺合状態と、上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに切り換わるようになっており、
上記第1及び第2のレンズ枠は、上記両ヘリコイドネジの螺合状態で、上記回転枠を回動させることにより上記収納位置と上記撮影位置との間で光軸方向に移動され、また、上記回転枠の雄ヘリコイドネジは回転枠の光軸方向の移動により上記支持枠の雌ヘリコイドネジとの螺合が解除され、且つ上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合する上記係合状態になって、焦点距離変更状態となることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 上記支持枠は、その雌ヘリコイドネジと上記回転枠の雄ヘリコイドネジとの螺合が解除され、且つ上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態で上記回転枠が回動される際に、上記雄ヘリコイドネジの光軸周りの回動を妨げないように形成されたヘリコイド回動逃げ部を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
- 収納位置と撮影位置とに移動可能なレンズ鏡筒において、
雄ヘリコイドネジと、該雄ヘリコイドネジとは光軸方向で異なる領域に形成された突起部とを有し、光軸周りに回動自在な回転枠と、
上記雄ヘリコイドネジと螺合する螺合状態にて上記回転枠を回動しながら光軸方向に移動させる雌ヘリコイドネジと、上記突起部と係合し上記回転枠が光軸方向に移動することを規制して光軸周り回転のみを許容するように前記回転枠を保持する位置規制ガイド係合部とを有する支持枠と、を具備し、
上記回転枠は、その回動に応じて、上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジと螺合した螺合状態と、上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに切り換わるようになっており、上記螺合状態では上記支持枠に対して光軸周りに回動しながら光軸方向に移動し、上記係合状態では光軸方向の移動を規制されて光軸周りにのみ回動することを特徴とするレンズ鏡筒。 - 上記支持枠に設けられていて、上記雌ヘリコイドネジと略同一のリード角を有し、上記回転枠が回動して上記収納位置から撮影位置へ切り換わる際、上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジと螺合した螺合状態と上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに切り換わるよう上記突起部を通過可能に案内する案内部を有することを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡筒。
- 収納位置と撮影可能位置との間の収納領域と、該撮影可能位置にて焦点距離を変更する焦点距離可変領域とに切り換え可能なレンズ鏡筒において、
第1のカムフォロアを有し、光軸方向に移動可能に支持された第1のレンズ枠と、
第2のカムフォロアを有し、光軸方向に移動可能に支持された第2のレンズ枠と、
光軸方向の第1領域に形成された雌ヘリコイドネジと、光軸方向で上記第1領域とは重畳しない第2領域に形成され、係合する部材の光軸方向の移動を規制して光軸周りにのみ回動を許容する位置規制ガイド係合部とを有する支持枠と、
上記雌ヘリコイドネジと螺合可能に光軸方向の第3領域に形成され、上記支持枠に対して回動しながら光軸方向に移動する雄ヘリコイドネジと、光軸方向で上記第3領域とは重畳しない第4領域に形成され、上記位置規制ガイド係合部と係合可能で上記支持枠に対して光軸方向に移動することを規制して光軸周りのみに回転する突起部と、上記第1及び第2のレンズ枠とを光軸方向に移動するよう上記第1及び第2のカムフォロアと係合するカム溝とを有する回転枠と、を具備し、
上記回転枠は、その回動に応じて、所定回動位置にて、上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジと螺合した螺合状態と、上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに切り換わるようになっていることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 上記回転枠は、該回転枠を回動させて上記第1及び第2のレンズ枠を光軸方向に移動する際、上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合していない被係合状態で、且つ上記回転枠の雄ヘリコイドネジが上記支持枠の雌ヘリコイドネジと螺合状態にあるときには、上記第1及び第2のレンズ枠を上記収納領域を移動させ、また、上記回転枠の雄ヘリコイドネジが光軸方向への移動により上記支持枠の雌ヘリコイドネジとの螺合が解除された状態で、且つ上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態にあるときには、上記第1及び第2のレンズ枠を上記焦点距離可変領域で焦点距離の変更のために移動させることを特徴とする請求項5に記載のレンズ鏡筒。
- 上記支持枠は、該回転枠に光軸方向に一体的に移動可能であって、光軸周りに回動自在に設けられ、上記第1及び第2のレンズ枠を上記支持枠に対して光軸周りの回動を規制しつつ光軸方向に直進移動可能にガイドする直進ガイド部材を有することを特徴とする請求項5に記載のレンズ鏡筒。
- 上記突起部は、上記回転枠の外周面に複数設けられていることを特徴とする請求項1または3もしくは5に記載のレンズ鏡筒。
- 上記突起部は、上記支持枠の上記位置規制ガイド係合部に係合された状態では、光軸方向の移動が規制されていることを特徴とする請求項1または3もしくは5に記載のレンズ鏡筒。
- 上記突起部は、その外周部が上記支持枠の上記位置規制ガイド係合部に径方向で嵌合することを特徴とする請求項9に記載のレンズ鏡筒。
- 上記支持枠の上記雌ヘリコイドネジは、上記収納位置と上記撮影位置との移動において、上記回転枠の上記突起部が通過する領域を避けて形成されていることを特徴とする請求項1または3もしくは5に記載のレンズ鏡筒。
- 収納位置と、該収納位置より前方に繰り出された撮影位置と、該撮影位置で更に焦点距離変更のために変位する焦点距離変更領域とに渡って進退されるレンズ鏡筒において、
第1のカムフォロアを有し、光軸方向に移動可能に支持された第1のレンズ枠と、
第2のカムフォロアを有し、光軸方向に移動可能に支持された第2のレンズ枠と、
回動によって上記第1及び第2のレンズ枠を光軸方向に移動するように、上記第1及び第2のカムフォロアと係合するカム溝を有する回転枠と、
上記回転枠が回動しながら光軸方向に移動するように、前記回転枠に形成された雄ヘリコイドネジと、
上記回転枠が光軸方向に移動することを規制して光軸周りの回動のみを行うように、上記回転枠に形成された突起部と、
上記雄ヘリコイドネジが螺合して上記回転枠が回動しながら光軸方向に移動するための雌ヘリコイドネジと、上記突起部が係合可能で、係合した状態では上記回転枠の光軸方向の移動を規制して光軸周りにのみ回動させる位置規制ガイド係合部とを有する支持枠と、
上記支持枠に形成され、上記回転枠の雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジに螺合した螺合状態と、上記回転枠の突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態とに上記回転枠の連続的な回動に応じて切り換わるように上記回転枠の移動をガイドする案内部と、を具備することを特徴とするレンズ鏡筒。 - 上記回転枠は、上記突起部と上記雄ヘリコイドネジとが光軸方向で重畳しない異なる領域に形成されており、また上記支持枠は、上記雌ヘリコイドネジと上記位置規制ガイド係合部とが光軸方向で重畳しない異なる領域に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のレンズ鏡筒。
- 上記支持枠は、上記回転枠の雄ヘリコイドネジが光軸方向に移動することにより上記支持枠の雌ヘリコイドネジとの螺合が解除された状態で、且つ上記突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態で上記回転枠が回動する際に、上記雄ヘリコイドネジの光軸周りの回動を妨げないように形成されたヘリコイド回動逃げ部を有することを特徴とする請求項13に記載のレンズ鏡筒。
- 上記案内部は、上記雌ヘリコイドネジと略同一のリード角を有して形成されていることを特徴とする請求項12に記載のレンズ鏡筒。
- 上記回転枠は、上記雄ヘリコイドネジが上記雌ヘリコイドネジに螺合した螺合状態にあるときには、上記収納位置と上記撮影位置との間で上記第1及び第2のレンズ枠を光軸方向に移動させ、上記ガイド突起部が上記位置規制ガイド係合部に係合した係合状態にあるときには、上記撮影位置で上記第1及び第2のレンズ枠を焦点距離変更のために光軸方向に移動させることを特徴とする請求項12に記載のレンズ鏡筒。
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