JP2004252114A - 部材駆動装置、及びカメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】異常の発生に対応させつつ、被駆動部材をより短い移動時間、且つ高い停止精度で目標位置に移動させることができる部材駆動装置を提供する。
【解決手段】CPU101は、合焦レンズを移動させる場合、フォーカス駆動回路104に指示してモータM3を駆動させる。その駆動方向は途中で逆転させ、その方向を逆転させてからセンサー駆動回路109を介して入力するセンサー108のパルス信号のパルス数を、そのレンズが停止したと判定するまでカウントする。それにより、カウントしたパルス数から、モータM3の駆動方向を逆転させてからレンズが移動した移動量をオーバーラン量として算出し、そのオーバーラン量から異常が発生しているか否か判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】CPU101は、合焦レンズを移動させる場合、フォーカス駆動回路104に指示してモータM3を駆動させる。その駆動方向は途中で逆転させ、その方向を逆転させてからセンサー駆動回路109を介して入力するセンサー108のパルス信号のパルス数を、そのレンズが停止したと判定するまでカウントする。それにより、カウントしたパルス数から、モータM3の駆動方向を逆転させてからレンズが移動した移動量をオーバーラン量として算出し、そのオーバーラン量から異常が発生しているか否か判定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正逆方向に移動可能な被駆動部材に動力が伝達される駆動源を駆動して被駆動部材を移動させるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータなどの駆動源を駆動して被駆動部材を移動させる部材駆動装置は、現在、広く電化製品に搭載されている。例えばカメラでは、フィルムの自動巻き取りや光学レンズの移動などのために部材駆動装置が搭載されている。
まず、フィルムを自動巻き取りするための部材駆動装置について説明する。
フィルムの自動巻き取りのための駆動源には通常DCモータが採用される。自動的に巻き上げされる被駆動部材であるフィルムは、巻き取り量により巻き取り径が変化するのでモータの回転量ではその移動量を正確に検出することはできない。そのためにフィルム自身のもつ一定ピッチのパーフォレーションを検出して移動量を測定している。
近年のフィルムはパトローネにDXコードが設定されていることにより撮影枚数がわかるので、所定枚数で巻き上げ終了を決定しているカメラもあるが、通常はフィルム端(メカ的ストップ位置)を検出した時をフィルムの終了と判定している。
これは主に以下のような理由による。
・操作者が以前に撮影した部分を予め切り取ってしまい規定枚数の撮影ができない。
・操作者がフィルム装填時に最初の巻き付き部分を必要以上に長く巻き付けたため、規定枚数の撮影ができない。
・実際のフィルムはDXコードの枚数情報よりも1、2枚多く撮影することが可能なので、より多く撮影したいという撮影者の要求がある。
フィルム端には特別な検出信号を出力するためのマークなどは設けられていないため、フィルム端はパーフォレーション信号を検出しなくなったことで判定するのが一般的である。
【0003】
次に光学レンズ(光学部材)を移動させるための部材駆動装置について説明する。その光学レンズとは、例えばフォーカス駆動の対象となる撮影レンズである。
光学レンズを移動させるための駆動源にも通常DCモータが採用される。被駆動部材である撮影レンズなどの光学部材は機構的な配置が性能に影響するので、移動量は正確に検出しなければならない。このため、移動量はモータそのものから検出しないようになっている。一般的には光学レンズの移動に連動して一定の移動量毎にエンコーダー信号を出力させるためにエンコーダーを配置し、光学センサーにより出力されるその信号(パルス信号)から移動量を測定している。
光学レンズの基準位置を設定する方法としては、専用のスイッチを設けてそのスイッチから信号が出力される位置を基準位置としているものがあるが、光学レンズに負荷加重を加えることは好ましくなく機構も複雑になる。
他の方法としては、メカ的な固定端を基準位置とするものがある。これは光学レンズを固定端方向に移動させて、エンコーダーによるパルス信号を検出しなくなったことを判定するまでレンズを動かして、レンズを固定端に当接させる方法である。DCモータでフォーカス駆動を行うような場合、基準位置を設定する方法として、そのようにメカ的な固定端を基準位置とすることは一般的に行われている。
【特許文献1】特開平03−219203号公報
【特許文献2】特開昭63−286832号公報
【特許文献3】特開平04−044104号公報
【特許文献4】特開平03−242713号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フィルムや光学レンズなどの被駆動部材は、通常、目標位置に高い停止精度で停止させることが求められる。その停止精度を高く維持させつつ被駆動材を移動させる方法には、様々なものがある。
例えば特許文献1には、目標位置に対して手前で、被駆動部材の移動速度に応じて逆転ブレーキとショートブレーキを使い分けて減速させ、減速させた後に目標位置まで定速で移動させることにより、高い停止精度を実現させる方法が記載されている。特許文献2には、目標位置に対して手前で、移動速度に応じた逆転ブレーキをかけて一旦、駆動源を止め、その後目標位置まで被駆動部材を低速で移動させることにより、高い停止精度を実現させる方法が記載されている。特許文献3には、目標位置までの移動量に応じた電圧データ等の情報を予め用意し、被駆動部材が目標位置に近づくに従い、駆動源にかける電圧を低下させることにより、高い停止精度を実現させる方法が記載されている。
上述したような従来の移動方法では何れも、駆動源を駆動させる条件を様々に変更させる制御が行われる。しかし、被駆動部材を目標位置に移動させるための移動時間は、そのような制御を行うことによって長くなる。このことから、高い停止精度を維持させつつ、その移動時間をより短くすることが望まれていた。
ところで、被駆動部材を移動させるためのモータや動力伝達系に異常が発生した場合、被駆動部材を移動させるべき位置に適切に移動させることができなくなる。このことから、そのような異常の発生にも適切に対応できるようにすることも重要であると考えられる。
本発明は、異常の発生に対応させつつ、被駆動部材をより短い移動時間、且つ高い停止精度で目標位置に移動させることができる部材駆動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1〜第5の態様の部材駆動装置は共に、正逆方向に移動可能な被駆動部材に動力が伝達される駆動源を駆動して該被駆動部材を移動させることを前提とし、それぞれ以下の手段を具備する。
第1の態様の部材駆動装置は、駆動源を正逆方向に駆動できる駆動手段と、該駆動手段が駆動源を駆動することにより移動する被駆動部材の移動方向を検出するための移動方向検出手段と、該駆動手段が駆動源を駆動することにより移動する被駆動部材の移動量を検出する移動量検出手段と、駆動手段に駆動源を駆動させる方向を駆動中に、被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させる駆動制御手段と、移動方向検出手段が検出した被駆動部材の移動方向に着目して、該被駆動部材が停止したか否か判定する停止判定手段と、駆動手段に駆動源を駆動させる方向を駆動制御手段が逆転させてから被駆動部材が停止したと停止判定手段が判定するまでの間に移動量検出手段により検出される該被駆動部材の移動量であるオーバーラン量が許容範囲内か否か判定する移動量判定手段と、移動量判定手段による判定結果に基づいて、異常が発生したか否か判定する異常判定手段と、を具備する。
第2の態様の部材駆動装置は、上記第1の態様における構成に加えて、オーバーラン量が許容範囲内でないと移動量判定手段が判定した回数を計数する計数手段、を更に具備し、異常判定手段は、計数手段が計数した回数が所定回数以上となった場合に、異常が発生したと判定する。
【0006】
第3の態様の部材駆動装置は、上記第1、或いは第2の態様における構成に加えて、異常が発生したと異常判定手段が判定した場合に、該異常が発生した旨をユーザに通知するための制御を行う通知制御手段、を更に具備する。
なお、上記移動量判定手段は、今回、検出されたオーバーラン量を、駆動手段に駆動源を駆動させることで予め検出したオーバーラン量、或いは部材駆動装置がおかれている環境の温度に対応するオーバーラン量と比較し、それらの差が予め定めた範囲内であった場合に、今回、検出されたオーバーラン量が許容範囲内であると判定する、ことが望ましい。
また、上記計数手段が計数した回数をリセットした後に、所定回数以上、被駆動部材の移動を繰り返し行う、ことが望ましい。被駆動部材がカメラに設けられた光学レンズ、或いはフィルムであった場合、計数手段が計数した回数のリセットは、該フィルムの装填のための蓋の開閉、或いは休止状態からの復帰に応じて行う、ことが望ましい。
第4の態様の部材駆動装置は、駆動源を正逆方向に駆動できる駆動手段と、該駆動手段が駆動源を駆動することにより移動する被駆動部材の移動方向を検出するための移動方向検出手段と、該駆動手段が駆動源を駆動することにより移動する被駆動部材の移動量を検出する移動量検出手段と、駆動手段に駆動源を駆動させる方向を駆動中に、被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させる駆動制御手段と、移動方向検出手段が検出した被駆動部材の移動方向に着目して、該被駆動部材が停止したか否か判定する停止判定手段と、駆動手段に駆動源を駆動させる方向を駆動制御手段が逆転させてから被駆動部材が停止したと停止判定手段が判定するまでの間に移動量検出手段により検出される該被駆動部材の移動量であるオーバーラン量から温度を特定する温度特定手段と、を具備する。
【0007】
第5の態様の部材駆動装置は、上記第4の態様における構成に加えて、温度検出手段が検出した温度をユーザに通知するための制御を行う通知制御手段、を更に具備する。
本発明のカメラは、上記第1〜第3の態様の部材駆動装置うちの何れかを、光学レンズ、或いはフィルムを被駆動部材として移動させるために搭載し、異常が発生したと異常判定手段が判定した場合に、撮影動作を中止させる。
本発明では、駆動源を駆動させる方向を駆動中に、被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させ、その逆の方向に駆動源を駆動させている状態で被駆動部材の移動方向が逆転した場合に、駆動源の駆動を終了させて被駆動部材を停止させる一方、駆動させる方向を逆転させてから被駆動部材が停止するまでの移動量をオーバーラン量として検出し、検出したオーバーラン量から異常の発生の有無を判定する。
駆動源を駆動させる方向を逆転させることにより、被駆動部材を迅速に停止させることが可能となる。その移動方向の逆転は、被駆動部材が一旦、停止したことを意味する。その逆転自体は、極めて迅速に検出することが可能である。これらのことから、その停止した位置と殆どずれていない位置に停止させることが可能となる。
駆動源やその動力伝達系に異常が発生すると、その異常の発生に伴いオーバーラン量が変化する。これは、オーバーラン量から異常の発生の有無を判定できることを意味する。これらの結果、異常の発生に対応させながら、高い停止精度を維持しつつ、被駆動部材をより短い移動時間で目標位置に移動させることが可能となる。
オーバーラン量から異常が発生したと判定した回数が所定回数以上となったときに異常が発生したと判定するようにした場合には、一時的な原因による異常の発生により適切に対応することが可能となる。異常が発生したことをユーザに通知するようにした場合には、ユーザはその異常により迅速、且つ適切に対応できるようになる。
上述したようなことから、本発明による部材駆動装置をカメラに搭載させた場合には、発生した異常に適切に対応できるようになる。
本発明では、駆動源を駆動させる方向を逆転させてから被駆動部材が停止するまでの移動量をオーバーラン量として検出し、検出したオーバーラン量から温度を検出する。
駆動源の特性やその動力伝達系の負荷は、温度により変化する。その変化に伴いオーバーラン量も変化する。このことから、オーバーラン量から温度を検出することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態による部材駆動装置を搭載したカメラの構成を示す図である。
そのカメラは、図1に示すように、カメラ全体の制御を行うCPU101と、シャッター開閉用のモータM1を駆動するシャッター駆動回路102と、ズーム調整用のモータM2を駆動するズーム駆動回路103と、フォーカス用のモータM3を駆動するフォーカス駆動回路104と、搭載されたフィルム給送用のモータM4を駆動してフィルムを給送するフィルム給送回路105と、フィルムに設けられたパーフォレーション検出用のセンサー群106と、そのセンサー群106を駆動するパーフォレーション検出回路107と、撮影レンズ系を構成する合焦レンズ(図8参照)の移動検出用のセンサー108と、そのセンサー108を駆動するセンサー駆動回路109と、各種スイッチを有する操作スイッチ(SW)部110と、例えばLCDや複数のLEDを有する表示部111と、被写体の輝度を測定する測光回路112と、被写体までの距離を測定する測距回路113と、キセノン管114と、そのキセノン管114を駆動して発光させるストロボ回路115と、を備えて構成されている。本実施の形態による部材駆動装置は、フィルム給送回路105、センサー群106、パーフォレーション検出回路107、及びCPU101を備えた構成のものと、フォーカス駆動回路104、センサー108、センサー駆動回路109、及びCPU101を備えた構成のものと、の2つが搭載されている。
上記センサー群106は、センサーA、Bの2つから構成されている。図2に示すように、それらのセンサーA、Bは共に1個の発光素子201と1個の受光素子を有する光学センサーである。発光素子201から出射した光はフィルム上のパーフォレーションPに反射して受光素子202に入射するようになっている。センサーA、B間で出力信号の位相がずれるように、発光素子201からの光が受光素子202に入射するタイミングはずらしている。パーフォレーション検出回路107は、センサーA、Bの各信号をデジタル信号に変換してCPU101に出力する。ここでは、センサーA、Bのデジタル信号をそれぞれCh−A、Ch−Bと表現する。
上記センサーA、Bのデジタル信号Ch−A、Ch−Bを参照して、CPU101は以下のようにフィルム給送の制御を行う。図3〜図7に示す説明図を参照して詳細に説明する。
【0009】
図3は、デジタル信号Ch−A、Ch−Bのフィルム給送中における位相状態の関係(Phase)を示す図である。発光素子201からの光が受光素子202に入射するタイミングをセンサーA、Bで異ならせているために、デジタル信号Ch−A、Ch−BのH/Lの状態の組み合わせによりPhase1〜4の状態が存在する。
図4は、フィルムを繰り出し中(モータM4は正転中)におけるPhaseの変化を示す図である。
フィルムを繰り出す場合、その繰り出しによってフィルムとセンサーA、Bの位置関係が変化していくのに伴ってデジタル信号Ch−A/BのH/Lが図4に示すように切り替る。その切り替わり毎に、Phaseは1→2→3→4とサイクリックに変化していく。
図5は、フィルムの繰り出しから巻き戻しに変化(モータM4が正転から逆転に変化)した場合のPhaseの変化を示す図である。
そのような変化がPhase3で生じた場合、Phaseは1→2→3と変化した後、3→2→1と正転とは逆の変化をする。他のPhaseでその変化が生じた場合も同様である。このため、CPU101は、フィルムがどちらの方向に移動しているかを常時、判断することができる。なお、逆転後は、4→3→2→1の順序でPhaseは繰り返し変化する。
図6は、フィルムの終端でフィルムが揺動して、擬似パルスが発生した場合のPhaseの変化を示す図である。
そのような揺動がPhase2で生じたことで、デジタル信号Ch−Bの変化はなくなり、デジタル信号Ch−AがH/Lを繰り返す疑似パルスとなっている。それにより、Phaseが1→2と変化した後2→1と変化(正転から逆転した場合に生じる変化である)するので、CPU101はPhaseが2→1に変化した時点Rで正転が終了、即ちフィルムの繰り出しが終了したことを知ることができる(例えばデジタル信号Ch−Aからしか情報が得られない場合には、擬似パルスによりフィルムがまだ正転方向に進んでいると判断してしまうために正しい枚数情報を得られなくなる)。
【0010】
図7は、フィルムの終端でフィルムが揺動して、擬似パルスが発生した場合のPhaseの他の変化を示す図である。
その揺動がPhase2で生じることにより、この場合では、デジタル信号Ch−Aの変化はなくなり、デジタル信号Ch−BがH/Lを繰り返す疑似パルスとなっている。それにより、Phaseが2→3に変化した後2→3と変化(正転から逆転した場合に生じる変化である)している。このため、CPU101はPhaseが3→2に変化した時点Rで正転が終了したことを知ることができる。
この時、信号Ch−Aの信号しか得られない場合であれば、その位相は変化しないことから間違った枚数情報をカウントすることはない。しかし、フィルムの終端であることを認識するためには信号Ch−Aが変化しなくなったことを認識するために或る程度の時間が必要である。例えばその信号のH/Lの各期間が等しくとも半周期以上の時間が少なくとも必要である。
これに対し、本実施の形態では、Phaseの変化から終端か否かを判断するために、たとえ疑似パルスが発生していない状況下であっても、それよりも短い時間で終端を正確に判断することができる。このため、CPU101は、より早い段階でフィルム給送回路105に指示してモータM4を停止させることができる。それによって、不必要な負荷を与えるようなことはより抑えられることとなる。
フィルムの終端を判断するための移動方向のそれまでのものから逆向きへの変化が発生したとき、モータM4はほとんど停止した状態である。センサーA、B間の位相ずれは1パルスの数分の1程度なのでフィルムはほとんど移動していない。このため、高い停止精度も得られることとなる。
【0011】
なお、本実施の形態では、図6、及び図7に示すように、それまでの移動方向とは逆向きのPhaseの変化によりモータM4を直ちに停止させているが、ノイズ等の影響をより回避させるために、その逆向きの変化が生じた後、更にその変化を確認してからモータM4を停止させるようにしても良い。その確認は、その逆向きの変化が生じた回数、若しくは逆向きにPhaseが変化していった回数(移動量に相当する)をカウントすることにより行っても良く、或いは予め設定した時間以上、その逆向きにPhaseが変化している状況となっている時間を計時することにより行っても良い。それらを共に考慮するのであれば、一方が条件を満たした後、モータM4を停止させることが望ましい。最後の確認方法は、被駆動部材に強制的な外力が与えられた場合に効果的である。ここで、モータ4をロック状態とさせたときに最大電流が流れ、この状態が長く続くとモータM4を駆動するフィルム給送回路105を構成するモータドライバーICの破壊などにつながることから、ロック状態は極力短い時間に留めておくことが必要である。
【0012】
次にセンサー駆動回路109から入力したセンサー108のデジタル信号を参照してCPU101が行う合焦レンズの移動制御について、図8〜図15に示す説明図を参照して詳細に説明する。
図8は、合焦レンズの移動制御を行うための仕組みを説明する図である。
図8に示すように、合焦レンズ802は、撮影レンズ系801を構成する光学レンズである。CPU101は、測距回路113から通知された被写体までの距離に応じて、フォーカス駆動回路104を介してモータM3を駆動させ、その距離に応じた位置に合焦レンズ802を移動させる。
エンコーダー803は、合焦レンズ802の移動方向に応じた方向に回転する。センサー108は、そのエンコーダー803の外周部分にスリットで隔てられた突出部分である歯を検出するのに用いられている。センサー駆動回路109は、そのセンサー108の信号をデジタル信号に変換してCPU101に出力する。CPU101は、センサー108のデジタル信号から、エンコーダー803の回転方向(合焦レンズ802の移動方向)、及びその回転量(合焦レンズ802の移動量)を検出する。
図9は、上記センサー108の構成を示す図である。
そのセンサー108は、図9に示すように、1個の発光素子901と、2個の受光素子902、903を有する光学センサーである。発光素子901から出射した光はエンコーダー803の歯に反射して受光素子902、903に入射するようになっている。受光素子902、903は、光が反射する歯の移動方向に沿って並べて配置することにより、それらに発光素子901からの光が入射するタイミングがずれるようにさせている。それにより、図3〜図7を参照して説明したように、受光素子902、903が出力する信号はセンサーA、Bのように位相がずれるようにして、1個のセンサー108に2個のセンサーA、B分の機能を持たせている。そのように2個分の機能を1個のセンサー108に持たせたことにより、2個のセンサーA、Bを用意する場合と比較してコストは抑えられ、それを搭載させた装置(ここではカメラ)はより小型化することができる。
【0013】
図10は、本実施の形態における合焦レンズ802の移動制御方法(モータM3の駆動制御方法)を説明する図である。
本実施の形態では、モータM3にそれまでとは逆方向に回転させるための電圧を印加することによる逆転ブレーキをかけて停止させるようにしている。図10中に表記の「逆転シャント位置」とは、その電圧の印加を開始する時点を示している。ここでは説明上、便宜的に駆動電圧は各環境下において一定電圧であるとして説明する。当然のことながら、各環境下において、温度により電圧を変える方法も採用しても良い。なお、図中、移動速度が低い側のモデルは、温度が低い場合のものである。
合焦レンズ802を移動させる目標位置に対して、逆転シャントをかける位置(タイミング)はそのスタート位置からセンサー108が出力すべきパルス信号の数を用いた演算により特定し、その特定した位置に達した時点から、逆転シャントをかける。それにより、モータM3の速度を急激に低下させる。
逆転シャントにより速度が急激に低下したモータM3は、停止した後、それまでとは逆向きに回転を始める。それにより、例えば図5に示すようなPhaseの変化が発生する。CPU101は、その変化が発生したのを確認すると、フォーカス駆動回路104に指示して、直ちにモータM3をロックさせる。
図10では、モータM3が反転している部分を誇張して示しているが、モータM3は停止した状態から回転を始めるため、ほとんど停止している状態である。逆転を検出するのに必要なPhaseの変化を検出するための時間は、その1周期の数分の1程度であり、合焦レンズ802はモータM3が一度、停止してからほとんど移動していない。よって高い停止精度が得られることになる。また、逆転シャントによりモータM3の速度を急激に低下させるために、それを停止させるのにかかる時間も極めて短くて済むようになる。つまり、オーバーランを回避させつつ、極めて迅速に合焦レンズ802(被駆動部材)を目標位置にまで移動できることとなる。
【0014】
図11は、合焦レンズの移動制御処理を示すフローチャートである。次に図11を参照して、CPU101が実行するその制御処理について詳細に説明する。なお、その制御処理は、ファイルを給送する制御を行う場合と同じく、例えばCPU101に搭載されたROMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。
先ず、ステップS1では、測距回路113から得た被写体までの距離に対応する目標位置にまで合焦レンズ802を移動させた場合にセンサー108が出力すべきパルス(エンコーダパルス)数を計算し、その計算結果から逆転シャントをかける位置を更に計算する。続くステップS2では、フォーカス駆動回路104に指示して、モータM3を定電圧で合焦レンズ802を目標位置に向けての駆動を開始させる。その後はステップS3に移行する。
ステップS3では、センサー108からのパルス信号を監視する形で、逆転シャント(ブレーキ)位置まで合焦レンズ802が移動するまで待つ。その位置まで移動したと判断すると、ステップS4に移行して、フォーカス駆動回路104に逆転シャントを指示し、その指示後に合焦レンズ802が移動した距離をオーバーラン量として検出するために、センサー108からのパルス信号のカウントを開始する。ステップS5にはその後に移行する。
ステップS5では、センサー108が出力する信号のPhaseの変化を監視して、モータM3がそれまでの回転方向から逆転(反転)するのを待つ。その逆転が発生したと判断すると、ステップS6に移行して、オーバーラン量を検出するためのカウントを終了させる。その後に移行するステップS7では、フォーカス駆動回路104にロックを指示する。一連の処理は、そのロックによるモータM3の停止を確認し、そのロックの解除をフォーカス駆動回路104に指示した後に終了する。
【0015】
図12は、異常判定処理を示すフローチャートである。その異常判定処理は、上記オーバーラン量から異常が発生したか否か判定するために行われる処理であり、例えば、図11に示す合焦レンズの移動制御処理に続けて実行される。次に図12を参照して、その判定処理について詳細に説明する。なお、その判定処理は、移動制御処理と同じく、例えばCPU101に搭載されたROMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。
モータM3の特性やその動力を伝達して合焦レンズ802を移動させる動力伝達系の負荷が変化するといった異常が発生した場合、オーバーラン量が変化する。このことから、発生した異常、つまり装置の状態の検出にオーバーラン量に着目している。そのオーバーラン量を検出するために特別な部材などを追加する必要がないことも理由の一つである。
先ず、ステップS11では、上記移動制御処理でカウントしたパルス数を用いてオーバーラン量を検出(算出)する。続くステップS12では、そのオーバーラン量が予め定めた許容範囲内か否か判定する。そのオーバーラン量がその許容範囲内であった場合、判定はYESとなり、ここで一連の処理を終了する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップS13に移行し、異常が発生したと認識して、その旨を例えば表示部17によりユーザに通知した後、一連の処理を終了する。移動制御処理が撮影のために実行した場合には、その撮影用の動作は中止させる。
このように、本実施の形態では、異常の発生を認識(判定)し、それが発生したと認識した場合には、その発生をユーザに通知するとともに、撮影用の動作を中止させている。そのようにして、発生した異常に対応させている。なお、ユーザへの通知は、表示部17を構成するLCD、或いはLEDにより行うのではなく、キセノン管114等を発光させることで行うようにしても良い。キセノン管114を利用した場合には、離れている撮影者にも異常が発生していることを判りやすく通知することができる。
本実施の形態では、図10に示すような移動制御方法(モータM3の駆動制御方法)で合焦レンズ802を移動させているが、移動制御方法には他に例えば図13(a)、図14(a)、或いは図15(a)に示すようなものがある。図13(a)は、目標位置に対して手前で、移動速度に応じた逆転シャントをかけて一旦モータを停止させた後、目標位置まで被駆動部材を低速で移動させて停止させる特許文献2に記載の制御方法である。図14(a)は、目標位置に対して手前で、移動速度に応じて逆転シャントとショートブレーキを使い分けながら、目標位置まで被駆動部材を低速で移動させて停止させる特許文献1に記載の制御方法である。図15(a)は、目標位置までの移動量に応じた電圧データ等の情報を記憶手段に記憶させておいて目標位置に近づくに従い、モータにかける電圧を低下させて、記憶している波形に合わせて停止させる特許文献3に記載の制御方法である。
上述した図13(a)〜図15(a)に示す制御方法と比較すると、被駆動部材の移動を開始させてからそれを停止するまでの時間が本実施の形態では明らかに短縮しているのが判る。
【0016】
特許文献1〜3には、温度変化への対処方法について特に記載されていないが、移動速度が小さい場合としてその場合の対処方法が記載してある。そこで、比較の為、本実施の形態における温度が低い場合のモデル(図10の移動速度が低い側のモデル)と対応させて述べる。
特許文献2に記載の制御方法では、図13(b)に示すように、逆転シャントをかけるタイミングを遅らせ、しかも電源電圧に反比例してパルス制限領域を短くして停止位置を一定にしている。特許文献1に記載の制御方法では、図14(b)に示すように、移動速度に応じて、逆転シャントとショートブレーキを使い分けながら、目標位置まで被駆動部材を低速に移動させ後に停止させている。特許文献3に記載の制御方法では、図15(b)に示すように、減速カーブ波形に一致させるように制御することで停止位置を一定にしている。
このように、各特許文献に記載された従来技術では共に常温モデルに一致させるように工夫を行っている。本実施の形態でも、常温のモデルと一致する位置、すなわち逆転シャントをかける位置を記憶しておきそのタイミングを温度変化に応じて変えることにより、同じ停止位置を確保することができる(図10参照)。このことから明らかなように、停止位置精度を各環境下においても維持しつつ、被駆動部材の移動時間を短縮させることができる。
【0017】
なお、本実施の形態では、異常が発生したと判定するオーバーラン量を一度でも検出すると、異常が発生した場合の対応をとるようにしている。しかし、そのようなオーバーラン量は、撮影者が故意にフォーカス駆動を指で停止させたり、或いは異物が一時的に挟まるなどの理由で検出することがありえる。そのような理由では、次回以降は正常動作に戻ることが期待される。つまり、そのような理由で動作を中止させる対応をとると、以降の撮影を適切に行えるにも係わらず、その撮影を禁止させてしまう可能性がある。そのようなことを回避するために、異常が発生したと判定した回数を計数し、計数した回数が所定回数(連続、或いはトータルの回数)以上となった場合に撮影を禁止させるようにしても良い。
そのような制御は、図12に示す異常判定処理の代わりに図16に示すような異常判定処理を実行させることで実現することができる。つまり、ステップS12の判定がNOとなった場合に、以下のようなステップS21、更にはステップS22の処理を実行させることで実現することができる。
そのステップS21では、異常が発生したと判定した回数をインクリメントして、そのインクリメント後の回数が許容値回数内か否か判定する。その許容値回数内でない場合、判定はYESとなり、ここで一連の処理を終了する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップS22に移行し、撮影を禁止させるべき異常が発生していると認識して、その旨を例えば表示部17によりユーザに通知した後、一連の処理を終了する。それにより、異常が発生した場合にYESとなるステップS12の判定結果が許容値回数内のときに撮影を禁止することを回避させる。
計数した回数は適当なタイミングでリセットすることが必要である。そのリセットは、電源がオンされたとき、フィルム装填用の裏蓋が閉じられたことを検出したとき、或いは休止状態から復帰させたとき、などに行うことが考えられる。しかし、リセットしても、正常な状態に復帰しているとは限らないことから、撮影に先立って、異常が発生したと判定する回数以上に被駆動部材の移動を繰り返し行うようにすることが望ましい。そのようにした場合には、異常が発生している状態で撮影を行わせるようなことを確実に回避させることができる。
【0018】
モータM3の特性やその動力伝達系の負荷は、温度によっても変化する。その温度変化に伴うオーバーラン量の変化を異常の発生によるものと誤って認識するのを避けるために、検出したオーバーラン量と比較する許容値を随時、変更するようにしても良い。その許容値は、例えば温度に対応するオーバーラン量の許容値(許容範囲)を予め用意することで、検出した温度に応じて設定しても良いが、事前にその許容値を設定するための合焦レンズ802の移動を行い、その移動により検出されたオーバー量に応じて設定しても良い。後者は、例えば図12に示す異常判定処理の代わりに図16に示すような異常判定処理を図10に示す移動制御処理に続けて実行させることで行うことができる。
その図17に示す異常判定処理では、先ず、ステップS31において、撮影に先立つ操作か否か判定する。その操作とは、例えば電源がオンされた時点、操作が所定時間、行われなかった時点、若しくはその操作が一定時間以上、行われなかったことで移行させた休止状態から復帰させた時点、といった予め定めたタイミングで自動的に状態確認用に行われるものである。そのような操作であった場合、判定はYESとなってステップS32に移行し、図11に示す移動制御処理でカウントしたパルス数を用いてオーバーラン量を検出(算出)し、それを記憶した後、一連の処理を終了する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップS33に移行する。
ステップS33では、図11に示す移動制御処理でカウントしたパルス数を用いてオーバーラン量を検出(算出)し、それとステップS32で記憶したオーバーラン量との差を演算する。続くステップS34では、その差が許容範囲内か否か判定する。その差が許容範囲内であった場合、判定はYESとなり、ここで一連の処理は終了する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップS35に移行し、異常が発生したと認識した後、一連の処理を終了する。
上述したようにして撮影時に検出したオーバーラン量と演算するオーバーラン量を予め記憶させた場合、温度変化に伴うオーバーラン量の変化をキャンセルさせる形となって、温度変化により発生する負荷変動を原因として異常が発生したと誤って判定するようなことを回避させることができる。このため、異常の発生をより精度良く検出できることとなる。
【0019】
<第2の実施の形態>
上述したように、被駆動部材を移動させるためのモータの特性や動力伝達系の負荷といった被駆動部材の移動に係る移動条件は環境温度によって変化する。その移動条件の変化に伴い、上記オーバーラン量は変化する。第2の実施の形態は、そのことに着目して、環境温度(カメラが置かれている環境温度)を特定するようにしたものである。
第2の実施の形態による部材駆動装置を搭載したカメラの構成は、第1の実施の形態におけるそれと基本的に同じである。動作についても大部分は同じである。このことから、第1の実施の形態の説明で付した符号をそのまま用いて、第1の実施の形態から異なる部分についてのみ説明する。
第2の実施の形態では、図11に示す合焦レンズの移動制御処理、及びそれに続けて実行する処理が第1の実施の形態から異なっている。このことから、その移動制御処理、及びそれに続けて実行する処理について、図18、及び図19に示すそのフローチャートを参照して詳細に説明する。
図18は、第2の実施の形態における合焦レンズの移動制御処理を示すフローチャートである。始めに図18を参照して、その移動制御処理について詳細に説明する。図11に示す移動制御処理と同じ、或いは基本的に同じ処理ステップには同一の符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、ステップS7の処理を実行した後、ステップS41に移行する。そのステップS41では、ステップS6でカウントを終了させたパルス数を用いて今回のオーバーラン量を検出(算出)し、それと例えばデフォルト値(例えば常温時のオーバーラン量)、或いは過去に検出したオーバーラン量との差を算出し、算出した差を基に少なくとも温度変化を検出して、その結果に応じて今回のオーバーラン量と対比するオーバーラン量を必要であれば修正する。そのような修正を行った後に一連の処理を終了する。
上記温度変化、及び温度は、例えば温度とオーバーラン量の関係を定義したテーブル、或いは関数を用意しておくことで共に特定することができる。温度変化とオーバーラン量の変化の関係を定義したテーブル、或いは関数を用意した場合には、デフォルト値に対応する温度が判明していれば、それを今回のオーバーラン量と対比させることで温度変化だけでなく、温度自体を特定することができる。これは、デフォルト値を初期値として、今回のオーバーラン量と対比するオーバーラン量を随時、更新していく場合でも同様である。
【0020】
図19は、温度検出処理のフローチャートである。その検出処理は、図18に示す移動制御処理に続けて実行される処理である。次に図19を参照して、その検出処理について詳細に説明する。
先ずステップS51では、温度検出を行うための操作の有無を判定する。その指示をユーザが行えるようにしているのであれば、その操作をユーザが行った場合に判定は有となってステップS52に移行する。そうでない場合には、判定は無となり、ここで一連の処理を終了する。
ステップS52では、図18の移動制御処理によりカウントしたパルス数を用いてオーバーラン量の検出(演算)を行い、検出したオーバーラン量に対応する温度を、例えば温度とオーバーラン量の関係を定義したテーブル、或いは関数により求め、求めた温度を例えば表示部17に表示させる。一連の処理はその後に終了する。
撮影に際し、被駆動部材を移動させて温度検出を行うようにすると、検出した温度に応じた各種の設定を適切に行った後に撮影動作に移行させることができるが、即時性が損なわれる、すなわち撮影動作を迅速に行えなくなる。このことから、撮影開始前に撮影者が意識しない形で各種の設定が終了していることが望まれる。セルフ撮影では、撮影待機時間に、温度検出を行うことが考えられ、それ以外では、電源がオンされたとき、蓋が開閉したとき、休止状態から通常の状態に復帰させたとき、電池を交換したとき、などに行えば良い。
温度によって影響を受けるものは、測距回路113、測光回路112等がある。温度検出により、ピント、測距、測光等に関する調整を適切に行えることとなる。例えば撮影レンズ系のピント変化量に応じた新たな環境下における適正なフォーカス量を設定できるようになる。温度変化に伴いオーバーラン量が変化することから、オーバーラン量の検出を温度検出の代わりとすることもできる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、駆動源を駆動させる方向を駆動中に、被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させ、その逆の方向に駆動源を駆動させている状態で被駆動部材の移動方向が逆転した場合に、駆動源の駆動を終了させて被駆動部材を停止させる一方、駆動させる方向を逆転させてから被駆動部材が停止するまでの移動量をオーバーラン量として検出し、検出したオーバーラン量から異常の発生の有無を判定する。
駆動源を駆動させる方向を逆転させることにより、被駆動部材を迅速に停止させることができる。その移動方向の逆転は、被駆動部材が一旦、停止したことを意味する。その逆転自体は、極めて迅速に検出することができる。これらのことから、その停止した位置と殆どずれていない位置に停止させることができる。
駆動源やその動力伝達系に異常が発生すると、その異常の発生に伴いオーバーラン量が変化する。これは、オーバーラン量から異常の発生の有無を判定できることを意味する。これらの結果、異常の発生に対応させながら、高い停止精度を維持しつつ、被駆動部材をより短い移動時間で目標位置に移動させることができる。
オーバーラン量から異常が発生したと判定した回数が所定回数以上となったときに異常が発生したと判定するようにした場合には、一時的な原因による異常の発生に対してより適切に対応できるようになる。異常が発生したことをユーザに通知するようにした場合には、ユーザはその異常により迅速、且つ適切に対応できるようになる。
上述したようなことから、本発明による部材駆動装置をカメラに搭載させた場合には、カメラ側で発生した異常に適切に対応できるようになる。
本発明は、駆動源を駆動させる方向を逆転させてから被駆動部材が停止するまでの移動量をオーバーラン量として検出し、検出したオーバーラン量から温度を検出する。
駆動源の特性やその動力伝達系の負荷は、温度により変化する。その変化に伴いオーバーラン量も変化する。このため、オーバーラン量から温度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による部材駆動装置を搭載したカメラの構成を示す図である。
【図2】センサー群を構成する各センサーとフィルムのパーフォレーションの位置関係を示す図である。
【図3】デジタル信号Ch−A、Ch−Bのフィルム給送中における位相状態の関係を示す図である。
【図4】フィルムを繰り出し中におけるPhaseの変化を示す図である。
【図5】フィルムの繰り出しから巻き戻しに変化した場合のPhaseの変化を示す図である。
【図6】フィルムの終端でフィルムが揺動して、擬似パルスが発生した場合のPhaseの変化を示す図である。
【図7】フィルムの終端でフィルムが揺動して、擬似パルスが発生した場合のPhaseの他の変化を示す図である。
【図8】合焦レンズの移動制御を行うための仕組みを説明する図である。
【図9】本実施の形態による光学検出装置(センサー108)の構成を示す図である。
【図10】本実施の形態における合焦レンズ802の移動制御方法を説明する図である。
【図11】合焦レンズの移動制御処理を示すフローチャートである。
【図12】異常判定処理を示すフローチャートである。
【図13】特許文献2に記載の制御方法を説明する図である。
【図14】特許文献1に記載の制御方法を説明する図である。
【図15】特許文献3に記載の制御方法を説明する図である。
【図16】異常判定処理を示すフローチャートである(変形例1)。
【図17】異常判定処理を示すフローチャートである(変形例2)。
【図18】合焦レンズの移動制御処理を示すフローチャートである(第2の実施の形態)。
【図19】温度検出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 CPU、104 フォーカス駆動回路、105 フィルム給送回路、106 センサー群、107 パーフォレーション検出回路、108、A、B センサー、109 センサー駆動回路、201、901 発光素子、202、902、903 受光素子、M1〜M4 モータ、801 撮影レンズ系、802合焦レンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、正逆方向に移動可能な被駆動部材に動力が伝達される駆動源を駆動して被駆動部材を移動させるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータなどの駆動源を駆動して被駆動部材を移動させる部材駆動装置は、現在、広く電化製品に搭載されている。例えばカメラでは、フィルムの自動巻き取りや光学レンズの移動などのために部材駆動装置が搭載されている。
まず、フィルムを自動巻き取りするための部材駆動装置について説明する。
フィルムの自動巻き取りのための駆動源には通常DCモータが採用される。自動的に巻き上げされる被駆動部材であるフィルムは、巻き取り量により巻き取り径が変化するのでモータの回転量ではその移動量を正確に検出することはできない。そのためにフィルム自身のもつ一定ピッチのパーフォレーションを検出して移動量を測定している。
近年のフィルムはパトローネにDXコードが設定されていることにより撮影枚数がわかるので、所定枚数で巻き上げ終了を決定しているカメラもあるが、通常はフィルム端(メカ的ストップ位置)を検出した時をフィルムの終了と判定している。
これは主に以下のような理由による。
・操作者が以前に撮影した部分を予め切り取ってしまい規定枚数の撮影ができない。
・操作者がフィルム装填時に最初の巻き付き部分を必要以上に長く巻き付けたため、規定枚数の撮影ができない。
・実際のフィルムはDXコードの枚数情報よりも1、2枚多く撮影することが可能なので、より多く撮影したいという撮影者の要求がある。
フィルム端には特別な検出信号を出力するためのマークなどは設けられていないため、フィルム端はパーフォレーション信号を検出しなくなったことで判定するのが一般的である。
【0003】
次に光学レンズ(光学部材)を移動させるための部材駆動装置について説明する。その光学レンズとは、例えばフォーカス駆動の対象となる撮影レンズである。
光学レンズを移動させるための駆動源にも通常DCモータが採用される。被駆動部材である撮影レンズなどの光学部材は機構的な配置が性能に影響するので、移動量は正確に検出しなければならない。このため、移動量はモータそのものから検出しないようになっている。一般的には光学レンズの移動に連動して一定の移動量毎にエンコーダー信号を出力させるためにエンコーダーを配置し、光学センサーにより出力されるその信号(パルス信号)から移動量を測定している。
光学レンズの基準位置を設定する方法としては、専用のスイッチを設けてそのスイッチから信号が出力される位置を基準位置としているものがあるが、光学レンズに負荷加重を加えることは好ましくなく機構も複雑になる。
他の方法としては、メカ的な固定端を基準位置とするものがある。これは光学レンズを固定端方向に移動させて、エンコーダーによるパルス信号を検出しなくなったことを判定するまでレンズを動かして、レンズを固定端に当接させる方法である。DCモータでフォーカス駆動を行うような場合、基準位置を設定する方法として、そのようにメカ的な固定端を基準位置とすることは一般的に行われている。
【特許文献1】特開平03−219203号公報
【特許文献2】特開昭63−286832号公報
【特許文献3】特開平04−044104号公報
【特許文献4】特開平03−242713号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フィルムや光学レンズなどの被駆動部材は、通常、目標位置に高い停止精度で停止させることが求められる。その停止精度を高く維持させつつ被駆動材を移動させる方法には、様々なものがある。
例えば特許文献1には、目標位置に対して手前で、被駆動部材の移動速度に応じて逆転ブレーキとショートブレーキを使い分けて減速させ、減速させた後に目標位置まで定速で移動させることにより、高い停止精度を実現させる方法が記載されている。特許文献2には、目標位置に対して手前で、移動速度に応じた逆転ブレーキをかけて一旦、駆動源を止め、その後目標位置まで被駆動部材を低速で移動させることにより、高い停止精度を実現させる方法が記載されている。特許文献3には、目標位置までの移動量に応じた電圧データ等の情報を予め用意し、被駆動部材が目標位置に近づくに従い、駆動源にかける電圧を低下させることにより、高い停止精度を実現させる方法が記載されている。
上述したような従来の移動方法では何れも、駆動源を駆動させる条件を様々に変更させる制御が行われる。しかし、被駆動部材を目標位置に移動させるための移動時間は、そのような制御を行うことによって長くなる。このことから、高い停止精度を維持させつつ、その移動時間をより短くすることが望まれていた。
ところで、被駆動部材を移動させるためのモータや動力伝達系に異常が発生した場合、被駆動部材を移動させるべき位置に適切に移動させることができなくなる。このことから、そのような異常の発生にも適切に対応できるようにすることも重要であると考えられる。
本発明は、異常の発生に対応させつつ、被駆動部材をより短い移動時間、且つ高い停止精度で目標位置に移動させることができる部材駆動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1〜第5の態様の部材駆動装置は共に、正逆方向に移動可能な被駆動部材に動力が伝達される駆動源を駆動して該被駆動部材を移動させることを前提とし、それぞれ以下の手段を具備する。
第1の態様の部材駆動装置は、駆動源を正逆方向に駆動できる駆動手段と、該駆動手段が駆動源を駆動することにより移動する被駆動部材の移動方向を検出するための移動方向検出手段と、該駆動手段が駆動源を駆動することにより移動する被駆動部材の移動量を検出する移動量検出手段と、駆動手段に駆動源を駆動させる方向を駆動中に、被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させる駆動制御手段と、移動方向検出手段が検出した被駆動部材の移動方向に着目して、該被駆動部材が停止したか否か判定する停止判定手段と、駆動手段に駆動源を駆動させる方向を駆動制御手段が逆転させてから被駆動部材が停止したと停止判定手段が判定するまでの間に移動量検出手段により検出される該被駆動部材の移動量であるオーバーラン量が許容範囲内か否か判定する移動量判定手段と、移動量判定手段による判定結果に基づいて、異常が発生したか否か判定する異常判定手段と、を具備する。
第2の態様の部材駆動装置は、上記第1の態様における構成に加えて、オーバーラン量が許容範囲内でないと移動量判定手段が判定した回数を計数する計数手段、を更に具備し、異常判定手段は、計数手段が計数した回数が所定回数以上となった場合に、異常が発生したと判定する。
【0006】
第3の態様の部材駆動装置は、上記第1、或いは第2の態様における構成に加えて、異常が発生したと異常判定手段が判定した場合に、該異常が発生した旨をユーザに通知するための制御を行う通知制御手段、を更に具備する。
なお、上記移動量判定手段は、今回、検出されたオーバーラン量を、駆動手段に駆動源を駆動させることで予め検出したオーバーラン量、或いは部材駆動装置がおかれている環境の温度に対応するオーバーラン量と比較し、それらの差が予め定めた範囲内であった場合に、今回、検出されたオーバーラン量が許容範囲内であると判定する、ことが望ましい。
また、上記計数手段が計数した回数をリセットした後に、所定回数以上、被駆動部材の移動を繰り返し行う、ことが望ましい。被駆動部材がカメラに設けられた光学レンズ、或いはフィルムであった場合、計数手段が計数した回数のリセットは、該フィルムの装填のための蓋の開閉、或いは休止状態からの復帰に応じて行う、ことが望ましい。
第4の態様の部材駆動装置は、駆動源を正逆方向に駆動できる駆動手段と、該駆動手段が駆動源を駆動することにより移動する被駆動部材の移動方向を検出するための移動方向検出手段と、該駆動手段が駆動源を駆動することにより移動する被駆動部材の移動量を検出する移動量検出手段と、駆動手段に駆動源を駆動させる方向を駆動中に、被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させる駆動制御手段と、移動方向検出手段が検出した被駆動部材の移動方向に着目して、該被駆動部材が停止したか否か判定する停止判定手段と、駆動手段に駆動源を駆動させる方向を駆動制御手段が逆転させてから被駆動部材が停止したと停止判定手段が判定するまでの間に移動量検出手段により検出される該被駆動部材の移動量であるオーバーラン量から温度を特定する温度特定手段と、を具備する。
【0007】
第5の態様の部材駆動装置は、上記第4の態様における構成に加えて、温度検出手段が検出した温度をユーザに通知するための制御を行う通知制御手段、を更に具備する。
本発明のカメラは、上記第1〜第3の態様の部材駆動装置うちの何れかを、光学レンズ、或いはフィルムを被駆動部材として移動させるために搭載し、異常が発生したと異常判定手段が判定した場合に、撮影動作を中止させる。
本発明では、駆動源を駆動させる方向を駆動中に、被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させ、その逆の方向に駆動源を駆動させている状態で被駆動部材の移動方向が逆転した場合に、駆動源の駆動を終了させて被駆動部材を停止させる一方、駆動させる方向を逆転させてから被駆動部材が停止するまでの移動量をオーバーラン量として検出し、検出したオーバーラン量から異常の発生の有無を判定する。
駆動源を駆動させる方向を逆転させることにより、被駆動部材を迅速に停止させることが可能となる。その移動方向の逆転は、被駆動部材が一旦、停止したことを意味する。その逆転自体は、極めて迅速に検出することが可能である。これらのことから、その停止した位置と殆どずれていない位置に停止させることが可能となる。
駆動源やその動力伝達系に異常が発生すると、その異常の発生に伴いオーバーラン量が変化する。これは、オーバーラン量から異常の発生の有無を判定できることを意味する。これらの結果、異常の発生に対応させながら、高い停止精度を維持しつつ、被駆動部材をより短い移動時間で目標位置に移動させることが可能となる。
オーバーラン量から異常が発生したと判定した回数が所定回数以上となったときに異常が発生したと判定するようにした場合には、一時的な原因による異常の発生により適切に対応することが可能となる。異常が発生したことをユーザに通知するようにした場合には、ユーザはその異常により迅速、且つ適切に対応できるようになる。
上述したようなことから、本発明による部材駆動装置をカメラに搭載させた場合には、発生した異常に適切に対応できるようになる。
本発明では、駆動源を駆動させる方向を逆転させてから被駆動部材が停止するまでの移動量をオーバーラン量として検出し、検出したオーバーラン量から温度を検出する。
駆動源の特性やその動力伝達系の負荷は、温度により変化する。その変化に伴いオーバーラン量も変化する。このことから、オーバーラン量から温度を検出することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態による部材駆動装置を搭載したカメラの構成を示す図である。
そのカメラは、図1に示すように、カメラ全体の制御を行うCPU101と、シャッター開閉用のモータM1を駆動するシャッター駆動回路102と、ズーム調整用のモータM2を駆動するズーム駆動回路103と、フォーカス用のモータM3を駆動するフォーカス駆動回路104と、搭載されたフィルム給送用のモータM4を駆動してフィルムを給送するフィルム給送回路105と、フィルムに設けられたパーフォレーション検出用のセンサー群106と、そのセンサー群106を駆動するパーフォレーション検出回路107と、撮影レンズ系を構成する合焦レンズ(図8参照)の移動検出用のセンサー108と、そのセンサー108を駆動するセンサー駆動回路109と、各種スイッチを有する操作スイッチ(SW)部110と、例えばLCDや複数のLEDを有する表示部111と、被写体の輝度を測定する測光回路112と、被写体までの距離を測定する測距回路113と、キセノン管114と、そのキセノン管114を駆動して発光させるストロボ回路115と、を備えて構成されている。本実施の形態による部材駆動装置は、フィルム給送回路105、センサー群106、パーフォレーション検出回路107、及びCPU101を備えた構成のものと、フォーカス駆動回路104、センサー108、センサー駆動回路109、及びCPU101を備えた構成のものと、の2つが搭載されている。
上記センサー群106は、センサーA、Bの2つから構成されている。図2に示すように、それらのセンサーA、Bは共に1個の発光素子201と1個の受光素子を有する光学センサーである。発光素子201から出射した光はフィルム上のパーフォレーションPに反射して受光素子202に入射するようになっている。センサーA、B間で出力信号の位相がずれるように、発光素子201からの光が受光素子202に入射するタイミングはずらしている。パーフォレーション検出回路107は、センサーA、Bの各信号をデジタル信号に変換してCPU101に出力する。ここでは、センサーA、Bのデジタル信号をそれぞれCh−A、Ch−Bと表現する。
上記センサーA、Bのデジタル信号Ch−A、Ch−Bを参照して、CPU101は以下のようにフィルム給送の制御を行う。図3〜図7に示す説明図を参照して詳細に説明する。
【0009】
図3は、デジタル信号Ch−A、Ch−Bのフィルム給送中における位相状態の関係(Phase)を示す図である。発光素子201からの光が受光素子202に入射するタイミングをセンサーA、Bで異ならせているために、デジタル信号Ch−A、Ch−BのH/Lの状態の組み合わせによりPhase1〜4の状態が存在する。
図4は、フィルムを繰り出し中(モータM4は正転中)におけるPhaseの変化を示す図である。
フィルムを繰り出す場合、その繰り出しによってフィルムとセンサーA、Bの位置関係が変化していくのに伴ってデジタル信号Ch−A/BのH/Lが図4に示すように切り替る。その切り替わり毎に、Phaseは1→2→3→4とサイクリックに変化していく。
図5は、フィルムの繰り出しから巻き戻しに変化(モータM4が正転から逆転に変化)した場合のPhaseの変化を示す図である。
そのような変化がPhase3で生じた場合、Phaseは1→2→3と変化した後、3→2→1と正転とは逆の変化をする。他のPhaseでその変化が生じた場合も同様である。このため、CPU101は、フィルムがどちらの方向に移動しているかを常時、判断することができる。なお、逆転後は、4→3→2→1の順序でPhaseは繰り返し変化する。
図6は、フィルムの終端でフィルムが揺動して、擬似パルスが発生した場合のPhaseの変化を示す図である。
そのような揺動がPhase2で生じたことで、デジタル信号Ch−Bの変化はなくなり、デジタル信号Ch−AがH/Lを繰り返す疑似パルスとなっている。それにより、Phaseが1→2と変化した後2→1と変化(正転から逆転した場合に生じる変化である)するので、CPU101はPhaseが2→1に変化した時点Rで正転が終了、即ちフィルムの繰り出しが終了したことを知ることができる(例えばデジタル信号Ch−Aからしか情報が得られない場合には、擬似パルスによりフィルムがまだ正転方向に進んでいると判断してしまうために正しい枚数情報を得られなくなる)。
【0010】
図7は、フィルムの終端でフィルムが揺動して、擬似パルスが発生した場合のPhaseの他の変化を示す図である。
その揺動がPhase2で生じることにより、この場合では、デジタル信号Ch−Aの変化はなくなり、デジタル信号Ch−BがH/Lを繰り返す疑似パルスとなっている。それにより、Phaseが2→3に変化した後2→3と変化(正転から逆転した場合に生じる変化である)している。このため、CPU101はPhaseが3→2に変化した時点Rで正転が終了したことを知ることができる。
この時、信号Ch−Aの信号しか得られない場合であれば、その位相は変化しないことから間違った枚数情報をカウントすることはない。しかし、フィルムの終端であることを認識するためには信号Ch−Aが変化しなくなったことを認識するために或る程度の時間が必要である。例えばその信号のH/Lの各期間が等しくとも半周期以上の時間が少なくとも必要である。
これに対し、本実施の形態では、Phaseの変化から終端か否かを判断するために、たとえ疑似パルスが発生していない状況下であっても、それよりも短い時間で終端を正確に判断することができる。このため、CPU101は、より早い段階でフィルム給送回路105に指示してモータM4を停止させることができる。それによって、不必要な負荷を与えるようなことはより抑えられることとなる。
フィルムの終端を判断するための移動方向のそれまでのものから逆向きへの変化が発生したとき、モータM4はほとんど停止した状態である。センサーA、B間の位相ずれは1パルスの数分の1程度なのでフィルムはほとんど移動していない。このため、高い停止精度も得られることとなる。
【0011】
なお、本実施の形態では、図6、及び図7に示すように、それまでの移動方向とは逆向きのPhaseの変化によりモータM4を直ちに停止させているが、ノイズ等の影響をより回避させるために、その逆向きの変化が生じた後、更にその変化を確認してからモータM4を停止させるようにしても良い。その確認は、その逆向きの変化が生じた回数、若しくは逆向きにPhaseが変化していった回数(移動量に相当する)をカウントすることにより行っても良く、或いは予め設定した時間以上、その逆向きにPhaseが変化している状況となっている時間を計時することにより行っても良い。それらを共に考慮するのであれば、一方が条件を満たした後、モータM4を停止させることが望ましい。最後の確認方法は、被駆動部材に強制的な外力が与えられた場合に効果的である。ここで、モータ4をロック状態とさせたときに最大電流が流れ、この状態が長く続くとモータM4を駆動するフィルム給送回路105を構成するモータドライバーICの破壊などにつながることから、ロック状態は極力短い時間に留めておくことが必要である。
【0012】
次にセンサー駆動回路109から入力したセンサー108のデジタル信号を参照してCPU101が行う合焦レンズの移動制御について、図8〜図15に示す説明図を参照して詳細に説明する。
図8は、合焦レンズの移動制御を行うための仕組みを説明する図である。
図8に示すように、合焦レンズ802は、撮影レンズ系801を構成する光学レンズである。CPU101は、測距回路113から通知された被写体までの距離に応じて、フォーカス駆動回路104を介してモータM3を駆動させ、その距離に応じた位置に合焦レンズ802を移動させる。
エンコーダー803は、合焦レンズ802の移動方向に応じた方向に回転する。センサー108は、そのエンコーダー803の外周部分にスリットで隔てられた突出部分である歯を検出するのに用いられている。センサー駆動回路109は、そのセンサー108の信号をデジタル信号に変換してCPU101に出力する。CPU101は、センサー108のデジタル信号から、エンコーダー803の回転方向(合焦レンズ802の移動方向)、及びその回転量(合焦レンズ802の移動量)を検出する。
図9は、上記センサー108の構成を示す図である。
そのセンサー108は、図9に示すように、1個の発光素子901と、2個の受光素子902、903を有する光学センサーである。発光素子901から出射した光はエンコーダー803の歯に反射して受光素子902、903に入射するようになっている。受光素子902、903は、光が反射する歯の移動方向に沿って並べて配置することにより、それらに発光素子901からの光が入射するタイミングがずれるようにさせている。それにより、図3〜図7を参照して説明したように、受光素子902、903が出力する信号はセンサーA、Bのように位相がずれるようにして、1個のセンサー108に2個のセンサーA、B分の機能を持たせている。そのように2個分の機能を1個のセンサー108に持たせたことにより、2個のセンサーA、Bを用意する場合と比較してコストは抑えられ、それを搭載させた装置(ここではカメラ)はより小型化することができる。
【0013】
図10は、本実施の形態における合焦レンズ802の移動制御方法(モータM3の駆動制御方法)を説明する図である。
本実施の形態では、モータM3にそれまでとは逆方向に回転させるための電圧を印加することによる逆転ブレーキをかけて停止させるようにしている。図10中に表記の「逆転シャント位置」とは、その電圧の印加を開始する時点を示している。ここでは説明上、便宜的に駆動電圧は各環境下において一定電圧であるとして説明する。当然のことながら、各環境下において、温度により電圧を変える方法も採用しても良い。なお、図中、移動速度が低い側のモデルは、温度が低い場合のものである。
合焦レンズ802を移動させる目標位置に対して、逆転シャントをかける位置(タイミング)はそのスタート位置からセンサー108が出力すべきパルス信号の数を用いた演算により特定し、その特定した位置に達した時点から、逆転シャントをかける。それにより、モータM3の速度を急激に低下させる。
逆転シャントにより速度が急激に低下したモータM3は、停止した後、それまでとは逆向きに回転を始める。それにより、例えば図5に示すようなPhaseの変化が発生する。CPU101は、その変化が発生したのを確認すると、フォーカス駆動回路104に指示して、直ちにモータM3をロックさせる。
図10では、モータM3が反転している部分を誇張して示しているが、モータM3は停止した状態から回転を始めるため、ほとんど停止している状態である。逆転を検出するのに必要なPhaseの変化を検出するための時間は、その1周期の数分の1程度であり、合焦レンズ802はモータM3が一度、停止してからほとんど移動していない。よって高い停止精度が得られることになる。また、逆転シャントによりモータM3の速度を急激に低下させるために、それを停止させるのにかかる時間も極めて短くて済むようになる。つまり、オーバーランを回避させつつ、極めて迅速に合焦レンズ802(被駆動部材)を目標位置にまで移動できることとなる。
【0014】
図11は、合焦レンズの移動制御処理を示すフローチャートである。次に図11を参照して、CPU101が実行するその制御処理について詳細に説明する。なお、その制御処理は、ファイルを給送する制御を行う場合と同じく、例えばCPU101に搭載されたROMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。
先ず、ステップS1では、測距回路113から得た被写体までの距離に対応する目標位置にまで合焦レンズ802を移動させた場合にセンサー108が出力すべきパルス(エンコーダパルス)数を計算し、その計算結果から逆転シャントをかける位置を更に計算する。続くステップS2では、フォーカス駆動回路104に指示して、モータM3を定電圧で合焦レンズ802を目標位置に向けての駆動を開始させる。その後はステップS3に移行する。
ステップS3では、センサー108からのパルス信号を監視する形で、逆転シャント(ブレーキ)位置まで合焦レンズ802が移動するまで待つ。その位置まで移動したと判断すると、ステップS4に移行して、フォーカス駆動回路104に逆転シャントを指示し、その指示後に合焦レンズ802が移動した距離をオーバーラン量として検出するために、センサー108からのパルス信号のカウントを開始する。ステップS5にはその後に移行する。
ステップS5では、センサー108が出力する信号のPhaseの変化を監視して、モータM3がそれまでの回転方向から逆転(反転)するのを待つ。その逆転が発生したと判断すると、ステップS6に移行して、オーバーラン量を検出するためのカウントを終了させる。その後に移行するステップS7では、フォーカス駆動回路104にロックを指示する。一連の処理は、そのロックによるモータM3の停止を確認し、そのロックの解除をフォーカス駆動回路104に指示した後に終了する。
【0015】
図12は、異常判定処理を示すフローチャートである。その異常判定処理は、上記オーバーラン量から異常が発生したか否か判定するために行われる処理であり、例えば、図11に示す合焦レンズの移動制御処理に続けて実行される。次に図12を参照して、その判定処理について詳細に説明する。なお、その判定処理は、移動制御処理と同じく、例えばCPU101に搭載されたROMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。
モータM3の特性やその動力を伝達して合焦レンズ802を移動させる動力伝達系の負荷が変化するといった異常が発生した場合、オーバーラン量が変化する。このことから、発生した異常、つまり装置の状態の検出にオーバーラン量に着目している。そのオーバーラン量を検出するために特別な部材などを追加する必要がないことも理由の一つである。
先ず、ステップS11では、上記移動制御処理でカウントしたパルス数を用いてオーバーラン量を検出(算出)する。続くステップS12では、そのオーバーラン量が予め定めた許容範囲内か否か判定する。そのオーバーラン量がその許容範囲内であった場合、判定はYESとなり、ここで一連の処理を終了する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップS13に移行し、異常が発生したと認識して、その旨を例えば表示部17によりユーザに通知した後、一連の処理を終了する。移動制御処理が撮影のために実行した場合には、その撮影用の動作は中止させる。
このように、本実施の形態では、異常の発生を認識(判定)し、それが発生したと認識した場合には、その発生をユーザに通知するとともに、撮影用の動作を中止させている。そのようにして、発生した異常に対応させている。なお、ユーザへの通知は、表示部17を構成するLCD、或いはLEDにより行うのではなく、キセノン管114等を発光させることで行うようにしても良い。キセノン管114を利用した場合には、離れている撮影者にも異常が発生していることを判りやすく通知することができる。
本実施の形態では、図10に示すような移動制御方法(モータM3の駆動制御方法)で合焦レンズ802を移動させているが、移動制御方法には他に例えば図13(a)、図14(a)、或いは図15(a)に示すようなものがある。図13(a)は、目標位置に対して手前で、移動速度に応じた逆転シャントをかけて一旦モータを停止させた後、目標位置まで被駆動部材を低速で移動させて停止させる特許文献2に記載の制御方法である。図14(a)は、目標位置に対して手前で、移動速度に応じて逆転シャントとショートブレーキを使い分けながら、目標位置まで被駆動部材を低速で移動させて停止させる特許文献1に記載の制御方法である。図15(a)は、目標位置までの移動量に応じた電圧データ等の情報を記憶手段に記憶させておいて目標位置に近づくに従い、モータにかける電圧を低下させて、記憶している波形に合わせて停止させる特許文献3に記載の制御方法である。
上述した図13(a)〜図15(a)に示す制御方法と比較すると、被駆動部材の移動を開始させてからそれを停止するまでの時間が本実施の形態では明らかに短縮しているのが判る。
【0016】
特許文献1〜3には、温度変化への対処方法について特に記載されていないが、移動速度が小さい場合としてその場合の対処方法が記載してある。そこで、比較の為、本実施の形態における温度が低い場合のモデル(図10の移動速度が低い側のモデル)と対応させて述べる。
特許文献2に記載の制御方法では、図13(b)に示すように、逆転シャントをかけるタイミングを遅らせ、しかも電源電圧に反比例してパルス制限領域を短くして停止位置を一定にしている。特許文献1に記載の制御方法では、図14(b)に示すように、移動速度に応じて、逆転シャントとショートブレーキを使い分けながら、目標位置まで被駆動部材を低速に移動させ後に停止させている。特許文献3に記載の制御方法では、図15(b)に示すように、減速カーブ波形に一致させるように制御することで停止位置を一定にしている。
このように、各特許文献に記載された従来技術では共に常温モデルに一致させるように工夫を行っている。本実施の形態でも、常温のモデルと一致する位置、すなわち逆転シャントをかける位置を記憶しておきそのタイミングを温度変化に応じて変えることにより、同じ停止位置を確保することができる(図10参照)。このことから明らかなように、停止位置精度を各環境下においても維持しつつ、被駆動部材の移動時間を短縮させることができる。
【0017】
なお、本実施の形態では、異常が発生したと判定するオーバーラン量を一度でも検出すると、異常が発生した場合の対応をとるようにしている。しかし、そのようなオーバーラン量は、撮影者が故意にフォーカス駆動を指で停止させたり、或いは異物が一時的に挟まるなどの理由で検出することがありえる。そのような理由では、次回以降は正常動作に戻ることが期待される。つまり、そのような理由で動作を中止させる対応をとると、以降の撮影を適切に行えるにも係わらず、その撮影を禁止させてしまう可能性がある。そのようなことを回避するために、異常が発生したと判定した回数を計数し、計数した回数が所定回数(連続、或いはトータルの回数)以上となった場合に撮影を禁止させるようにしても良い。
そのような制御は、図12に示す異常判定処理の代わりに図16に示すような異常判定処理を実行させることで実現することができる。つまり、ステップS12の判定がNOとなった場合に、以下のようなステップS21、更にはステップS22の処理を実行させることで実現することができる。
そのステップS21では、異常が発生したと判定した回数をインクリメントして、そのインクリメント後の回数が許容値回数内か否か判定する。その許容値回数内でない場合、判定はYESとなり、ここで一連の処理を終了する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップS22に移行し、撮影を禁止させるべき異常が発生していると認識して、その旨を例えば表示部17によりユーザに通知した後、一連の処理を終了する。それにより、異常が発生した場合にYESとなるステップS12の判定結果が許容値回数内のときに撮影を禁止することを回避させる。
計数した回数は適当なタイミングでリセットすることが必要である。そのリセットは、電源がオンされたとき、フィルム装填用の裏蓋が閉じられたことを検出したとき、或いは休止状態から復帰させたとき、などに行うことが考えられる。しかし、リセットしても、正常な状態に復帰しているとは限らないことから、撮影に先立って、異常が発生したと判定する回数以上に被駆動部材の移動を繰り返し行うようにすることが望ましい。そのようにした場合には、異常が発生している状態で撮影を行わせるようなことを確実に回避させることができる。
【0018】
モータM3の特性やその動力伝達系の負荷は、温度によっても変化する。その温度変化に伴うオーバーラン量の変化を異常の発生によるものと誤って認識するのを避けるために、検出したオーバーラン量と比較する許容値を随時、変更するようにしても良い。その許容値は、例えば温度に対応するオーバーラン量の許容値(許容範囲)を予め用意することで、検出した温度に応じて設定しても良いが、事前にその許容値を設定するための合焦レンズ802の移動を行い、その移動により検出されたオーバー量に応じて設定しても良い。後者は、例えば図12に示す異常判定処理の代わりに図16に示すような異常判定処理を図10に示す移動制御処理に続けて実行させることで行うことができる。
その図17に示す異常判定処理では、先ず、ステップS31において、撮影に先立つ操作か否か判定する。その操作とは、例えば電源がオンされた時点、操作が所定時間、行われなかった時点、若しくはその操作が一定時間以上、行われなかったことで移行させた休止状態から復帰させた時点、といった予め定めたタイミングで自動的に状態確認用に行われるものである。そのような操作であった場合、判定はYESとなってステップS32に移行し、図11に示す移動制御処理でカウントしたパルス数を用いてオーバーラン量を検出(算出)し、それを記憶した後、一連の処理を終了する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップS33に移行する。
ステップS33では、図11に示す移動制御処理でカウントしたパルス数を用いてオーバーラン量を検出(算出)し、それとステップS32で記憶したオーバーラン量との差を演算する。続くステップS34では、その差が許容範囲内か否か判定する。その差が許容範囲内であった場合、判定はYESとなり、ここで一連の処理は終了する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップS35に移行し、異常が発生したと認識した後、一連の処理を終了する。
上述したようにして撮影時に検出したオーバーラン量と演算するオーバーラン量を予め記憶させた場合、温度変化に伴うオーバーラン量の変化をキャンセルさせる形となって、温度変化により発生する負荷変動を原因として異常が発生したと誤って判定するようなことを回避させることができる。このため、異常の発生をより精度良く検出できることとなる。
【0019】
<第2の実施の形態>
上述したように、被駆動部材を移動させるためのモータの特性や動力伝達系の負荷といった被駆動部材の移動に係る移動条件は環境温度によって変化する。その移動条件の変化に伴い、上記オーバーラン量は変化する。第2の実施の形態は、そのことに着目して、環境温度(カメラが置かれている環境温度)を特定するようにしたものである。
第2の実施の形態による部材駆動装置を搭載したカメラの構成は、第1の実施の形態におけるそれと基本的に同じである。動作についても大部分は同じである。このことから、第1の実施の形態の説明で付した符号をそのまま用いて、第1の実施の形態から異なる部分についてのみ説明する。
第2の実施の形態では、図11に示す合焦レンズの移動制御処理、及びそれに続けて実行する処理が第1の実施の形態から異なっている。このことから、その移動制御処理、及びそれに続けて実行する処理について、図18、及び図19に示すそのフローチャートを参照して詳細に説明する。
図18は、第2の実施の形態における合焦レンズの移動制御処理を示すフローチャートである。始めに図18を参照して、その移動制御処理について詳細に説明する。図11に示す移動制御処理と同じ、或いは基本的に同じ処理ステップには同一の符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、ステップS7の処理を実行した後、ステップS41に移行する。そのステップS41では、ステップS6でカウントを終了させたパルス数を用いて今回のオーバーラン量を検出(算出)し、それと例えばデフォルト値(例えば常温時のオーバーラン量)、或いは過去に検出したオーバーラン量との差を算出し、算出した差を基に少なくとも温度変化を検出して、その結果に応じて今回のオーバーラン量と対比するオーバーラン量を必要であれば修正する。そのような修正を行った後に一連の処理を終了する。
上記温度変化、及び温度は、例えば温度とオーバーラン量の関係を定義したテーブル、或いは関数を用意しておくことで共に特定することができる。温度変化とオーバーラン量の変化の関係を定義したテーブル、或いは関数を用意した場合には、デフォルト値に対応する温度が判明していれば、それを今回のオーバーラン量と対比させることで温度変化だけでなく、温度自体を特定することができる。これは、デフォルト値を初期値として、今回のオーバーラン量と対比するオーバーラン量を随時、更新していく場合でも同様である。
【0020】
図19は、温度検出処理のフローチャートである。その検出処理は、図18に示す移動制御処理に続けて実行される処理である。次に図19を参照して、その検出処理について詳細に説明する。
先ずステップS51では、温度検出を行うための操作の有無を判定する。その指示をユーザが行えるようにしているのであれば、その操作をユーザが行った場合に判定は有となってステップS52に移行する。そうでない場合には、判定は無となり、ここで一連の処理を終了する。
ステップS52では、図18の移動制御処理によりカウントしたパルス数を用いてオーバーラン量の検出(演算)を行い、検出したオーバーラン量に対応する温度を、例えば温度とオーバーラン量の関係を定義したテーブル、或いは関数により求め、求めた温度を例えば表示部17に表示させる。一連の処理はその後に終了する。
撮影に際し、被駆動部材を移動させて温度検出を行うようにすると、検出した温度に応じた各種の設定を適切に行った後に撮影動作に移行させることができるが、即時性が損なわれる、すなわち撮影動作を迅速に行えなくなる。このことから、撮影開始前に撮影者が意識しない形で各種の設定が終了していることが望まれる。セルフ撮影では、撮影待機時間に、温度検出を行うことが考えられ、それ以外では、電源がオンされたとき、蓋が開閉したとき、休止状態から通常の状態に復帰させたとき、電池を交換したとき、などに行えば良い。
温度によって影響を受けるものは、測距回路113、測光回路112等がある。温度検出により、ピント、測距、測光等に関する調整を適切に行えることとなる。例えば撮影レンズ系のピント変化量に応じた新たな環境下における適正なフォーカス量を設定できるようになる。温度変化に伴いオーバーラン量が変化することから、オーバーラン量の検出を温度検出の代わりとすることもできる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、駆動源を駆動させる方向を駆動中に、被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させ、その逆の方向に駆動源を駆動させている状態で被駆動部材の移動方向が逆転した場合に、駆動源の駆動を終了させて被駆動部材を停止させる一方、駆動させる方向を逆転させてから被駆動部材が停止するまでの移動量をオーバーラン量として検出し、検出したオーバーラン量から異常の発生の有無を判定する。
駆動源を駆動させる方向を逆転させることにより、被駆動部材を迅速に停止させることができる。その移動方向の逆転は、被駆動部材が一旦、停止したことを意味する。その逆転自体は、極めて迅速に検出することができる。これらのことから、その停止した位置と殆どずれていない位置に停止させることができる。
駆動源やその動力伝達系に異常が発生すると、その異常の発生に伴いオーバーラン量が変化する。これは、オーバーラン量から異常の発生の有無を判定できることを意味する。これらの結果、異常の発生に対応させながら、高い停止精度を維持しつつ、被駆動部材をより短い移動時間で目標位置に移動させることができる。
オーバーラン量から異常が発生したと判定した回数が所定回数以上となったときに異常が発生したと判定するようにした場合には、一時的な原因による異常の発生に対してより適切に対応できるようになる。異常が発生したことをユーザに通知するようにした場合には、ユーザはその異常により迅速、且つ適切に対応できるようになる。
上述したようなことから、本発明による部材駆動装置をカメラに搭載させた場合には、カメラ側で発生した異常に適切に対応できるようになる。
本発明は、駆動源を駆動させる方向を逆転させてから被駆動部材が停止するまでの移動量をオーバーラン量として検出し、検出したオーバーラン量から温度を検出する。
駆動源の特性やその動力伝達系の負荷は、温度により変化する。その変化に伴いオーバーラン量も変化する。このため、オーバーラン量から温度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による部材駆動装置を搭載したカメラの構成を示す図である。
【図2】センサー群を構成する各センサーとフィルムのパーフォレーションの位置関係を示す図である。
【図3】デジタル信号Ch−A、Ch−Bのフィルム給送中における位相状態の関係を示す図である。
【図4】フィルムを繰り出し中におけるPhaseの変化を示す図である。
【図5】フィルムの繰り出しから巻き戻しに変化した場合のPhaseの変化を示す図である。
【図6】フィルムの終端でフィルムが揺動して、擬似パルスが発生した場合のPhaseの変化を示す図である。
【図7】フィルムの終端でフィルムが揺動して、擬似パルスが発生した場合のPhaseの他の変化を示す図である。
【図8】合焦レンズの移動制御を行うための仕組みを説明する図である。
【図9】本実施の形態による光学検出装置(センサー108)の構成を示す図である。
【図10】本実施の形態における合焦レンズ802の移動制御方法を説明する図である。
【図11】合焦レンズの移動制御処理を示すフローチャートである。
【図12】異常判定処理を示すフローチャートである。
【図13】特許文献2に記載の制御方法を説明する図である。
【図14】特許文献1に記載の制御方法を説明する図である。
【図15】特許文献3に記載の制御方法を説明する図である。
【図16】異常判定処理を示すフローチャートである(変形例1)。
【図17】異常判定処理を示すフローチャートである(変形例2)。
【図18】合焦レンズの移動制御処理を示すフローチャートである(第2の実施の形態)。
【図19】温度検出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 CPU、104 フォーカス駆動回路、105 フィルム給送回路、106 センサー群、107 パーフォレーション検出回路、108、A、B センサー、109 センサー駆動回路、201、901 発光素子、202、902、903 受光素子、M1〜M4 モータ、801 撮影レンズ系、802合焦レンズ
Claims (9)
- 正逆方向に移動可能な被駆動部材に動力が伝達される駆動源を駆動して該被駆動部材を移動させる部材駆動装置において、
前記駆動源を正逆方向に駆動できる駆動手段と、
該駆動手段が前記駆動源を駆動することにより移動する前記被駆動部材の移動方向を検出するための移動方向検出手段と、
前記駆動手段が前記駆動源を駆動することにより移動する前記被駆動部材の移動量を検出する移動量検出手段と、
前記駆動手段に前記駆動源を駆動させる方向を駆動中に、前記被駆動部材を移動させるべき方向とは逆の方向に逆転させる駆動制御手段と、
前記移動方向検出手段が検出した前記被駆動部材の移動方向に着目して、該被駆動部材が停止したか否か判定する停止判定手段と、
前記駆動手段に前記駆動源を駆動させる方向を前記駆動制御手段が逆転させてから前記被駆動部材が停止したことを前記停止判定手段が判定するまでの間に前記移動量検出手段により検出される該被駆動部材の移動量であるオーバーラン量が許容範囲内か否か判定する移動量判定手段と、
前記移動量判定手段による判定結果に基づいて、異常が発生したか否か判定する異常判定手段と、を具備することを特徴とする部材駆動装置。 - 前記オーバーラン量が許容範囲内でない場合に前記移動量判定手段が判定した回数を計数する計数手段、を更に具備し、
前記異常判定手段は、前記計数手段が計数した回数が所定回数以上となった場合に、前記異常が発生したと判定することを特徴とする請求項1記載の部材駆動装置。 - 前記異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、該異常が発生した旨をユーザに通知するための制御を行う通知制御手段、を更に具備することを特徴とする請求項1、または2記載の部材駆動装置。
- 前記移動量判定手段は、今回、検出されたオーバーラン量を、前記駆動手段に前記駆動源を駆動させることで予め検出したオーバーラン量、或いは前記部材駆動装置がおかれている環境の温度に対応するオーバーラン量と比較し、それらの差が予め定めた範囲内であった場合に、今回、検出されたオーバーラン量が許容範囲内であると判定することを特徴とする請求項1、2、または3記載の部材駆動装置。
- 前記計数手段が計数した回数をリセットした後に、前記所定回数以上、前記被駆動部材の移動を繰り返し行うことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の部材駆動装置。
- 前記被駆動部材がカメラに設けられた光学レンズ、或いはフィルムであった場合、前記計数手段が計数した回数のリセットは、該フィルムの装填のための蓋の開閉、或いは休止状態からの復帰に応じて行うことを特徴とする請求項5記載の部材駆動装置。
- 正逆方向に移動可能な被駆動部材に動力が伝達される駆動源を駆動して該被駆動部材を移動させる部材駆動装置において、
前記駆動源を正逆方向に駆動できる駆動手段と、
該駆動手段が前記駆動源を駆動することにより移動する前記被駆動部材の移動方向を検出するための移動方向検出手段と、
前記駆動手段が前記駆動源を駆動することにより移動する前記被駆動部材の移動量を検出する移動量検出手段と、
前記駆動手段に前記駆動源を駆動させる方向を駆動中に、前記被駆動部材を移動させるべき方向に移動させる方向とは逆の方向に逆転させる駆動制御手段と、
前記移動方向検出手段が検出した前記被駆動部材の移動方向に着目して、該被駆動部材が停止したか否か判定する停止判定手段と、
前記駆動手段に前記駆動源を駆動させる方向を前記駆動制御手段が逆転させてから前記被駆動部材が停止したと前記停止判定手段が判定するまでの間に前記移動量検出手段により検出される該被駆動部材の移動量であるオーバーラン量から温度を特定する温度特定手段と、を具備することを特徴とする部材駆動装置。 - 前記温度検出手段が検出した温度をユーザに通知するための制御を行う通知制御手段、を更に具備することを特徴とする請求項7記載の部材駆動装置。
- 請求項1、2、または3記載の部材駆動装置を、光学レンズ、或いはフィルムを前記被駆動部材として移動させるために搭載し、
前記異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、撮影動作を中止させることを特徴とするカメラ。
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