JP2004251485A - チラー装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の負荷を冷却する際に、各々の設定温度に各負荷側回路の冷媒温度を速やかに追随させることができるチラー装置を提供する。
【解決手段】子チラー装置ch1の純水冷媒バイパス流路30は、負荷側回路C3に供給する直前で純水冷媒が戻されるように、制御バルブ32の直前に配置される。制御バルブ32を通過しない純水冷媒は、純水冷媒バイパス流路30および純水冷媒戻り流路12bを介してメインタンク25aに戻される。また、冷却水バイパス流路35は、負荷側回路C3に供給する直前で冷却水が戻されるように、制御バルブ37の直前に配置される。制御バルブ37を通過しない冷却水は、冷却水バイパス流路35、分岐冷却水戻り流路15c、および冷却水戻り流路11bを介して屋外冷却器10に戻される。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置などで負荷の温度制御を行うチラー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造・加工工程では、製膜する半導体層の膜質や、半導体層に打ち込む不純物の濃度などを均一に保つために、基板であるウエハーの温度管理を厳密に行う必要がある。従来の半導体製造装置では、例えば図10に示すチラー装置200を用いて、各工程毎に温度管理を行っている(特許文献1参照)。
【0003】
チラー装置200は、冷却器201、および冷媒を循環するポンプ202を備えた一次側回路C1と、熱交換器203を介して一次側回路C1の冷媒と熱交換する冷媒を循環するポンプ204、バッファタンク205、および抵抗流路206を備えた二次側回路C2と、負荷Wを冷却する負荷側の冷媒を循環するポンプ207、および抵抗流路208を備えた負荷側回路C3とから構成される。
【0004】
二次側回路C2と負荷側回路C3とは、連絡流路209、210により接続されている。連絡流路210には、この連絡流路210を流れる冷媒の流量を制御する制御バルブ211が設けられている。制御バルブ211の開度は、負荷Wの温度を検出する温度調節器212からの出力信号に応じて制御される。このようにすると、温度制御の精度が向上し、負荷Wの温度変動が大きな場合でも迅速に対応することができる。また、装置全体が小型化され、設置条件の自由度が増すという利点がある。
【0005】
チラー装置200では、二次側回路C2の冷媒温度を負荷側回路C3の冷媒の設定温度よりも僅かに低い一定温度(例えば設定温度−3℃±1〜0.5℃)に制御している。このため、冷却器201を常時運転して、一次側回路C1のホットガスバイパス制御、または冷却器201のインバータ制御により、熱交換器203へ供給される一次側回路C1の冷媒温度を制御するとともに、負荷側回路C3の冷媒温度が設定温度よりも下回らないように、負荷側回路C3の冷媒をヒータ213により頻繁に加熱する必要があり、膨大なエネルギーを消費していた。
【0006】
上記のような問題点を解決するために、本発明者は、図11に示すようなチラー装置300を考案した。このチラー装置300は、冷却器301、および冷媒を循環するポンプ302を備えた一次側回路C1と、熱交換器303を介して一次側回路C1の冷媒と熱交換する冷媒を循環するポンプ304、バイパス流路305、および供給流路306を備えた二次側回路C2と、負荷Wを冷却する負荷側の冷媒を循環するポンプ307、および混合タンク308を備えた負荷側回路C3とから構成される。
【0007】
供給流路306には、制御バルブ309が設けられている。この制御バルブ309の下流側は、混合タンク308に接続されている。混合タンク308は、流路310を介してメインタンク311に接続され、ポンプ307の吸い込み流路312と負荷Wの下流側の戻り流路313とに接続している。バイパス流路305には、バルブ314が設けられており、このバルブ314の下流側はメインタンク311に接続されている。
【0008】
制御バルブ309の開度は、負荷Wの温度を検出する温度センサ315が接続されたコントローラ316からの出力信号に応じて制御される。コントローラ316には、温度センサ315の他に、メインタンク311から流出する冷媒の温度を検出する温度センサ317、一次側回路C1の冷却器301、およびポンプ302が接続されている。このコントローラ316は、温度センサ317からの検出信号に応じて、この温度が予め設定した下限設定温度に冷却されるまで冷却器301およびポンプ302を作動させ、下限設定温度まで下がった時点でこれらの作動を停止させる。これにより、装置の省エネルギー化を実現させることができる。
【0009】
【特許文献1】
特許第3095377号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなチラー装置300で複数の負荷を冷却する場合、異なった設定温度をもつ複数の負荷側回路に対して、これらの設定温度の全てよりも低い温度に二次側回路C2の冷媒温度を冷却すれば、バルブ制御により各々の負荷側回路に流入する冷媒の流量を調節することによって温度制御が可能となる。この場合、負荷側回路C3の冷媒が設定温度にあるときには、負荷側回路C3の冷媒をこれ以上冷却しないために、制御バルブを閉じ、冷媒をバイパス流路からメインタンクに戻す必要がある。しかしながら、チラー装置300では、二次側回路C2にバイパス流路305が設けられているため、複数の負荷を冷却する際の各負荷側回路の温度追随性を考慮すると、好ましい態様とは言い難い。
【0011】
本発明は、複数の負荷を冷却する際、各々の設定温度に各負荷側回路の冷媒温度を速やかに追随させることができるチラー装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、冷却器と、冷却器により冷却された一次側冷媒が循環される一次側回路と、一次側冷媒と熱交換する二次側冷媒が貯留されるタンクと、二次側冷媒が循環される二次側回路と、負荷を冷却する負荷側冷媒が循環される複数の負荷側回路とを備えたチラー装置において、前記二次側回路を、前記タンクから負荷側回路に向けて二次側冷媒を供給する冷媒供給流路と、冷媒供給流路を経由した二次側冷媒を前記タンクに戻す冷媒戻り流路と、前記冷媒供給流路から分岐して、負荷側回路に二次側冷媒を供給する分岐冷媒供給流路と、前記冷媒戻り流路から分岐して、負荷側回路から二次側冷媒を戻す分岐冷媒戻り流路と、負荷側回路で使用されない二次側冷媒を、前記分岐冷媒供給流路から冷媒戻り流路に戻す冷媒バイパス流路とから構成するとともに、前記負荷側回路に供給する直前で二次側冷媒が戻されるように、前記冷媒バイパス流路を配置したことを特徴とする。
【0013】
また、前記複数の負荷側回路の少なくとも一部に、冷却水と熱交換することにより負荷側冷媒を冷却する熱交換手段を設け、前記熱交換手段を、冷却水冷却器と、この冷却水冷却器から前記複数の負荷側回路に向けて冷却水を供給する冷却水供給流路と、冷却水供給流路を経由した冷却水を冷却水冷却器に戻す冷却水戻り流路と、冷却水供給流路から分岐して、前記複数の負荷側回路の少なくとも一部に冷却水を供給する分岐冷却水供給流路と、冷却水戻り流路から分岐して、前記複数の負荷側回路の少なくとも一部から冷却水を戻す分岐冷却水戻り流路と、前記分岐冷却水供給流路から供給される冷却水のうち、熱交換に使用されない冷却水を前記分岐冷却水戻り流路に戻す冷却水バイパス流路とから構成し、前記負荷側回路の熱交換器に供給する直前で冷却水が戻されるように、前記冷却水バイパス流路を配置したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明のチラー装置を適用した半導体製造システムの構成を示す。半導体製造システム2は、半導体製造装置s1〜s9と、親チラー装置p1、p2と、子チラー装置ch1〜ch9とからなり、塵埃・温湿度管理されたクリーンルーム内に設置されている。半導体製造装置s1〜s9は、半導体膜を製膜するCVDまたはPVD装置や、真空蒸着装置、半導体に不純物を打ち込むインプラント装置などから構成される。親チラー装置p1、p2には、それぞれ純水冷媒、フッ素系冷媒を用いたものを例示している。
【0015】
子チラー装置ch1〜ch9は、半導体製造装置s1〜s9の負荷W1〜W9(図4〜7参照)の温度が、各々の設定温度となるように温度制御する。親チラー装置p1、p2、および子チラー装置ch1〜ch9には、クリーンルーム外に設置された屋外冷却器10からの一次冷却水が循環する一次冷却水配管11が接続されている。また、子チラー装置ch1、ch6には、親チラー装置p1からの純水冷媒が循環する純水冷媒配管12(破線で示す)が接続され、子チラー装置ch2、ch7には、親チラー装置p2からのフッ素系冷媒が循環するフッ素系冷媒配管13(一点鎖線で示す)が接続されている。
【0016】
半導体製造システム2の配管系統を示す図2において、一次冷却水配管11は、親チラー装置p2、p1、子チラー装置ch1〜ch9の近傍を経由して配管される冷却水供給流路11aと、この冷却水供給流路11aとは逆に、子チラー装置ch9〜ch1、親チラー装置p1、p2の順に一次冷却水が戻される冷却水戻り流路11bとからなり、これらの流路11a、11bを介して一次冷却水が屋外冷却器10に循環されるように構成されている。冷却水戻り流路11bを経由して屋外冷却器10に戻された一次冷却水は、屋外冷却器10で再度冷却され、流路11a、11bで再度循環される。
【0017】
屋外冷却器10から供給される一次冷却水は、冷却水供給流路11aから分岐した分岐冷却水供給流路14a〜14nを介して親チラー装置p1、p2、および子チラー装置ch1〜ch9に各々供給される。また、これら親チラー装置p1、p2、および子チラー装置ch1〜ch9からは、冷却水戻り流路11bに一次冷却水を戻す分岐冷却水戻り流路15a〜15nが配設されている。ここで、子チラー装置ch3、ch5およびch8には、分岐冷却水供給流路および分岐冷却水戻り流路が2系統(ch3では14e、15eおよび14f、15f、ch5では14h、15hおよび14i、15i、ch8では14l、15lおよび14m、15m)設けられており、子チラー装置ch3、ch5およびch8では、この2系統で一次冷却水の供給および戻り動作が行われる。
【0018】
純水冷媒配管12は、子チラー装置ch1〜ch6の近傍を経由して配管される純水冷媒供給流路12aと、この純水冷媒供給流路12aとは逆に、子チラー装置ch6〜ch1の順に純水冷媒が戻される純水冷媒戻り流路12bとからなり、これらの流路12a、12bを介して純水冷媒が親チラー装置p1に循環されるように構成されている。純水冷媒戻り流路12bを経由して親チラー装置p1に戻された純水冷媒は、親チラー装置p1で再度冷却され、流路12a、12bで再度循環される。
【0019】
親チラー装置p1から供給される純水冷媒は、純水冷媒供給流路12aから分岐した分岐純水冷媒供給流路16a、16bを介して子チラー装置ch1およびch6に供給される。また、これら子チラー装置ch1およびch6からは、純水冷媒戻り流路12bに純水冷媒を戻す分岐純水冷媒戻り流路17a、17bが配設されている。
【0020】
フッ素系冷媒配管13は、子チラー装置ch1〜ch7の近傍を経由して配管されるフッ素系冷媒供給流路13aと、このフッ素系冷媒供給流路13aとは逆に、子チラー装置ch7〜ch1の順に供給されたフッ素系冷媒が戻されるフッ素系冷媒戻り流路13bとからなり、これらの流路13a、13bを介してフッ素系冷媒が親チラー装置p2に循環されるように構成されている。フッ素系冷媒戻り流路13bを経由して親チラー装置p2に戻されたフッ素系冷媒は、親チラー装置p2で再度冷却され、流路13a、13bで再度循環される。
【0021】
親チラー装置p2から供給されるフッ素系冷媒は、フッ素系冷媒供給流路13aから分岐した分岐フッ素系冷媒供給流路18a、18bを介して子チラー装置ch2およびch7に供給される。また、これら子チラー装置ch2およびch7からは、フッ素系冷媒戻り流路13bにフッ素系冷媒を戻す分岐フッ素系冷媒戻り流路19a、19bが配設されている。
【0022】
ここで、図2の配管系統例は、一次冷却水、純水冷媒およびフッ素系冷媒が、配管11、12および13の各々を循環され、且つ一次冷却水、純水冷媒およびフッ素系冷媒が複数のチラー装置に供給可能となっていること(例えば、一次冷却水は親チラー装置p1、p2、および子チラー装置ch1〜ch9に、純水冷媒は子チラー装置ch1およびch6に、フッ素系冷媒は子チラー装置ch2およびch7に各々供給され、戻されること)を示すものであって、親チラー装置p1、p2から、純水冷媒、フッ素系冷媒のどちらも供給されない子チラー装置(ch3〜ch5、ch8およびch9)も例示されているが、これらの子チラー装置ch1〜ch9は、同タイプの子チラー装置(例えばch1、あるいはch3)であってもよく、その構成は半導体製造システム2の仕様に応じて適宜変更可能である。また、配管11、12および13は、使用する子チラー装置に応じて変更すればよく、例えばch1、ch2タイプの子チラー装置のみで構成した場合、全子チラー装置を網羅するように配管12、13を配設し、全子チラー装置に対して冷媒を供給するように配設してもよい。さらに、子チラー装置ch1〜ch9が、純水冷媒、フッ素系冷媒のいずれか一方のみを必要とする構成であった場合は、親チラー装置p1、p2、および配管12、13のいずれか一方を省略してもよい。
【0023】
図3に示すように、親チラー装置p1、p2は、それぞれ一次側回路C1a、C1bと二次側回路C2a、C2bとから構成される。一次側回路C1a、C1bには、圧縮器20a、20b、凝縮器21a、21b、膨張弁22a、22b、および熱交換器23a、23bが設けられている。一次側回路C1a、C1b内の冷媒ガスは、圧縮器20a、20bで圧縮されて高温・高圧状態となる。高温・高圧状態となった冷媒ガスは、凝縮器21a、21bにより液化された後、膨張弁22a、22bによりガス化され、熱交換器23a、23bを介して二次側回路C2a、C2bの冷媒を冷却する。なお、これら圧縮器20a、20b、凝縮器21a、21b、膨張弁22a、22b、および熱交換器23a、23bは、冷却器を構成している。
【0024】
二次側回路C2a、C2bには、二次側ポンプ24a、24b、メインタンク25a、25b、および温度センサ26a〜28a、26b〜28bが設けられている。メインタンク25a、25bには、所定量の純水冷媒およびフッ素系冷媒が貯留されており、純水冷媒戻り流路12b、フッ素系冷媒戻り流路13bと、二次側ポンプ24a、24bの上流側とが接続されている。メインタンク25a、25b内の冷媒は、二次側ポンプ24a、24bにより二次側回路C2a、C2bを循環し、熱交換器23a、23bにより冷却された後、純水冷媒供給流路12a、フッ素系冷媒供給流路13aを介して子チラー装置ch1、ch6およびch2、ch7へと供給される。子チラー装置ch1、ch6およびch2、ch7からの冷媒は、各戻り流路12b、13bを介してメインタンク25a、25bに戻される。
【0025】
温度センサ26a、26bは、メインタンク25a、25bから流出する冷媒の温度を、温度センサ27a、27bは、熱交換器23a、23bにより冷却された冷媒の温度を、温度センサ28a、28bは、各戻り流路12b、13bを介してメインタンク25a、25bに戻される冷媒の温度をそれぞれ検出する。これらの温度センサ26a〜28a、26b〜28bの出力信号は、温度調節器120(図8参照)に送信される。
【0026】
親チラー装置p1、p2の冷媒の温度は、子チラー装置ch1、ch2、ch6、ch7により温度制御される負荷の設定温度よりも低く、且つ後述する制御バルブ32の開閉で制御することが可能な温度範囲に設定される(例えば子チラー装置の設定温度から−5〜−20℃)。親チラー装置p1、p2は、メインタンク25a、25bから流出する冷媒の温度を検出する温度センサ26a、26bの出力が設定温度範囲よりも高くなると、一次側回路C1a、C1bの冷却器および二次側ポンプ24a、24bを作動させ、設定温度の下限値に達した時点でこれらの作動を停止させる。
【0027】
図4に示すように、子チラー装置ch1は、冷媒循環回路Crと、一次冷却水循環回路Cwと、負荷側回路C3とから構成される。冷媒循環回路Crには、前述の分岐純水冷媒供給流路16a、分岐純水冷媒戻り流路17aの他に、純水冷媒バイパス流路30、温度センサ31、制御バルブ32、および抵抗バルブ33、34が設けられている。純水冷媒バイパス流路30は、負荷側回路C3に供給する直前で純水冷媒が戻されるように、制御バルブ32の直前に配置され、分岐純水冷媒供給流路16aと純水冷媒戻り流路12bとを接続している。制御バルブ32を通過しない純水冷媒は、この純水冷媒バイパス流路30および純水冷媒戻り流路12bを介してメインタンク25aに戻される。
【0028】
温度センサ31は、分岐純水冷媒供給流路16aを通過する冷媒の温度を検出する。制御バルブ32は、負荷側回路C3の冷媒温度および設定温度に応じて開度を調節し、負荷側回路C3に供給する冷媒の流量を制御する。すなわち、負荷側回路C3の冷媒の温度を検出する温度センサ41の出力に応じて、負荷側回路C3の設定温度となるように冷媒を供給する。したがって、制御バルブ32は、全開または全閉となる場合がある。抵抗バルブ33、34は、冷媒の供給量に応じて分岐純水冷媒戻り流路17aに戻される冷媒、および純水冷媒バイパス流路30を通過する制御バルブ32に供給されなかった冷媒を戻すときの抵抗として作用する。なお、制御バルブ32としては、微小流量から大流量まで高精度な制御が可能なニードル式のバルブ、例えば株式会社鷺宮製作所製の汎用型電子膨張弁PKV形またはEKV形が用いられる。
【0029】
一次冷却水循環回路Cwには、前述の分岐冷却水供給流路14c、分岐冷却水戻り流路15cの他に、冷却水バイパス流路35、温度センサ36、制御バルブ37、抵抗バルブ38、および熱交換器39が設けられている。制御バルブ37は、温度センサ36、42により制御され、温度センサ42の出力が温度センサ36の出力よりも高温であることを条件として開き、その逆の場合は閉じられる。冷却水バイパス流路35は、制御バルブ37が閉じられたときに、負荷側回路C3に供給する直前で冷却水が戻されるように、制御バルブ37の直前に配置され、分岐冷却水供給流路14cと分岐冷却水戻り流路15cとを接続している。制御バルブ37を通過しない冷却水は、この冷却水バイパス流路35、分岐冷却水戻り流路15c、および冷却水戻り流路11bを介して屋外冷却器10に戻される。
【0030】
温度センサ36は、分岐冷却水供給流路14cを通過する一次冷却水の温度を検出する。制御バルブ37は、負荷側回路C3の冷媒温度および設定温度に応じて開度を調節し、熱交換器39に供給する一次冷却水の流量を制御する。抵抗バルブ38は、冷却水バイパス流路35を通過する一次冷却水の抵抗として作用する。負荷側回路C3の冷媒は、熱交換器39を介して制御バルブ37を通過した一次冷却水に冷却され、粗熱を除去される。これにより、二次側回路C2aの冷媒温度が高くなることが少なくなり、延いては二次側回路C2aの冷媒温度を設定温度範囲内に長時間保つことができる。したがって、一次側回路C1aの冷却器が作動する時間をより短くすることができ、装置の省エネルギー化をさらに促進させることが可能となる。
【0031】
負荷側回路C3には、負荷W1を冷却する負荷側の冷媒を循環する負荷側ポンプ40、温度センサ41〜43、および混合タンク44が設けられている。温度センサ41は、負荷側ポンプ40から流出する冷媒の温度を、温度センサ42は、負荷W1の戻り側の冷媒の温度を、温度センサ43は、熱交換器39により冷却された冷媒の温度をそれぞれ検出する。これらの温度センサ41〜43の出力信号は、温度調節器120(図8参照)に送信される。
【0032】
子チラー装置ch1は、温度センサ41の出力(負荷側回路C3の冷媒温度)が予め設定された温度であるとき、または温度センサ41および43の出力が同一であるときには、制御バルブ32を閉じて負荷側回路C3の冷媒がそれ以上冷却されないようにする。一方、温度センサ41の出力が設定温度以上になった場合は、温度センサ31の出力を考慮しながら制御バルブ32を開き、二次側回路C2aの冷媒を混合タンク44に導入する。
【0033】
一次冷却水循環回路Cwは、温度センサ42の出力(負荷W1の戻り側の冷媒温度)が設定温度よりも高く、且つ温度センサ36の出力(分岐冷却水供給流路14cを通過する一次冷却水の温度)が温度センサ42の出力よりも低い場合に、制御バルブ37を開いて一次冷却水を熱交換器39に導入する。
【0034】
混合タンク44は、制御バルブ32を介して供給される冷媒と、負荷側回路C3の冷媒とを混合して負荷側回路C3に供給する。なお、この混合タンク44内には、温度センサ41の出力が設定温度を下回ったときに作動する図示しないヒータが組み込まれている。
【0035】
混合タンク44には、予備タンク45が接続されている。この予備タンク45には、純水冷媒が貯留されており、運転開始時に負荷側回路C3に冷媒を供給するとともに、配管のガス抜きを行うために設けられている。また、必要に応じて制御バルブ32を閉じた状態で使用すれば、後述する子チラー装置ch4、ch9と同様の構成となり、子チラー装置ch1を親チラー装置p1と切り離して、単独のチラー装置として稼働させることができる。したがって、負荷側回路C3の冷媒の種類を代える際に、極めて有用な構成であると言える。なお、予備タンク45は、子チラー装置ch1よりも上側に配置することが好ましい。
【0036】
次に、図3および図4を参照して、子チラー装置ch1の動作について説明する。半導体製造システム2の運転開始とともに、一次側回路C1aの冷却器、二次側ポンプ24a、および負荷側ポンプ40が駆動される。冷却器により冷却された一次側回路C1aの冷媒は、熱交換器23aを介して二次側回路C2aの冷媒を冷却する。このとき、温度センサ41で検出される冷媒の温度(負荷W1に供給される冷媒の温度)が設定温度以下であった場合、制御バルブ32は閉じられ、冷媒は純水冷媒バイパス流路30を経由してメインタンク25aに戻される。負荷側回路C3では、二次側回路C2aの冷媒との熱交換は行われず、負荷側ポンプ40により冷媒が循環した状態となる。
【0037】
一方、温度センサ41で検出される冷媒の温度が、設定温度以上になった場合、シーケンサ121(図8参照)から検出温度に応じたパルス信号が出力され、制御バルブ32の開度が調節される。制御バルブ32が開くと、その開度に応じた流量の冷媒が混合タンク44に流入する。制御バルブ32を通過しない冷媒は、純水冷媒バイパス流路30を経由してメインタンク25aに戻される。
【0038】
混合タンク44内では、二次側回路C2aから流入した冷媒と負荷側回路C3の冷媒とが合流して混合される。混合された冷媒は、混合タンク44から負荷側ポンプ40に吸い込まれ、負荷W1を設定温度となるように冷却する。負荷W1を冷却した冷媒は、一次冷却水循環回路Cwで粗熱を除去された後、二次側回路C2aから流入した冷媒の流量に相当する流量で再び混合タンク44、分岐純水冷媒戻り流路17aを経由してメインタンク25aに戻される。
【0039】
ここで、子チラー装置ch1、ch2、ch6、およびch7は同様の構成であり、ch1、ch6は純水冷媒を、ch2、ch7はフッ素系冷媒を用いている点が異なるだけであるので、ch1のみを図示し、その他の装置の説明および図示は省略する。
【0040】
図5に示すように、子チラー装置ch3の一次冷却水循環回路Cwには、前述の分岐冷却水供給流路14e、分岐冷却水戻り流路15eの他に、冷却水バイパス流路50、温度センサ51、制御バルブ52、抵抗バルブ53、および熱交換器54が設けられている。冷却水バイパス流路50は、負荷側回路C3に供給する直前で冷却水が戻されるように、制御バルブ52の直前に配置され、分岐冷却水供給流路14eと分岐冷却水戻り流路15eとを接続している。制御バルブ52を通過しない冷却水は、この冷却水バイパス流路50、分岐冷却水戻り流路15e、および冷却水戻り流路11bを介して屋外冷却器10に戻される。
【0041】
温度センサ51は、分岐冷却水供給流路14eを通過する一次冷却水の温度を検出する。制御バルブ52は、負荷側回路C3の冷媒温度および設定温度に応じて(温度センサ51、61の出力を比較することにより)開度を調節し、熱交換器54に供給する一次冷却水の流量を制御する。抵抗バルブ53は、冷却水バイパス流路50を通過する一次冷却水の抵抗として作用する。熱交換器54は、一次冷却水と負荷側回路C3の冷媒との熱交換を行い、負荷側回路C3の冷媒を冷却する。なお、子チラー装置ch3は、一次冷却水循環回路Cwを用いて負荷側回路C3の冷媒を冷却する点のみがch1と異なり、その他の構成および作用はch1と同一であるので、構成部品には符号のみを付し、説明を省略する。また、子チラー装置ch3およびch8は、負荷側回路で使用する冷媒(ch3は純水冷媒、ch8はフッ素系冷媒)が異なるだけであるので、子チラー装置ch8の図示および説明は省略する。
【0042】
図6に示す子チラー装置ch4は、前述のように子チラー装置ch1で制御バルブ32を閉じて使用した状態と同様で、ペルチェ素子81を用いて負荷側回路C3の冷媒の温度調節を行う点のみが異なる。子チラー装置ch4では、一次冷却水循環回路Cwで負荷側回路C3の冷媒を設定温度にある程度温度制御し、ペルチェ素子81で負荷側回路C3の冷媒を冷却または加熱して、僅かな温度誤差を補正する。なお、子チラー装置ch4およびch9は、子チラー装置ch3の場合と同様に、負荷側回路で使用する冷媒(ch4は純水冷媒、ch9はフッ素系冷媒)が異なるだけであるので、子チラー装置ch9の図示および説明は省略する。
【0043】
図7に示す子チラー装置ch5は、一次冷却水循環回路Cw、Cw´が設けられている以外は、図11に示すチラー装置300と同様の構成で、メインタンク99に貯留されたフッ素系冷媒により負荷側回路C3の冷媒を冷却する。一次冷却水循環回路Cw、Cw´には、一次冷却水バイパス流路90、110が設けられている。一次側回路C1の冷媒を冷却する必要がないとき、あるいは負荷側回路C3の冷媒の粗熱を除去する必要がないときには、一次冷却水がこれらのバイパス流路90、110により屋外冷却器10に戻される。このようにすると、高価なフッ素系冷媒を親チラー装置p1で全て賄う必要がなくなり、且つ半導体製造システム2の仕様に応じて、温度制御の精度が高い単独のチラー装置を用いることができる。
【0044】
図8に示すように、親チラー装置p1、p2、および子チラー装置ch1〜ch9に取り付けられた温度センサの出力は、温度調節器120に入力される。シーケンサ121は、温度調節器120から送信される各部の温度情報に基づいて、冷却器、制御バルブ、ヒータ、およびペルチェ素子に対して前述のような制御を行う。
【0045】
なお、子チラー装置ch1、ch2、ch5、ch6、およびch7の負荷側回路として、図9に示す負荷側回路C310を用いてもよい。この負荷側回路C310では、抵抗バルブ137の抵抗に抗して供給流路131から供給される冷媒が、ポンプ130により循環される。バイパス流路133は、負荷側回路C310に供給する直前で冷媒が戻されるように、抵抗バルブ137の直前に配置されている。抵抗バルブ137を通過しない冷却水は、このバイパス流路133および戻り流路132を介して冷媒供給源に戻される。
【0046】
制御バルブ135は、負荷W10の下流側に配置されている。負荷側回路C310では、この制御バルブ135の開度に応じて負荷W10で加熱された冷媒を引き抜き、引き抜いた分の冷媒を供給流路131から供給する。このようにすると、二次側冷媒と負荷側冷媒とを合流させて混合する混合タンクが不要になり、混合タンクによって負荷側回路の温度追随性を阻害されることが抑制される。なお、この場合、上記実施形態で混合タンクに組み込まれるヒータは、ポンプ130の前後に配置すればよい。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明のチラー装置によれば、負荷側回路に供給する直前で二次側冷媒が戻されるように冷媒バイパス流路を配置したので、複数の負荷を冷却する際に、各々の設定温度に各負荷側回路の冷媒温度を速やかに追随させることができる。したがって、温度制御の精度が向上するとともに、装置の省エネルギー化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチラー装置を適用した半導体製造システムの概略図である。
【図2】半導体製造システムの配管系統を示すブロック図である。
【図3】親チラー装置の構成を示す回路図である。
【図4】子チラー装置ch1の構成を示す回路図である。
【図5】子チラー装置ch3の構成を示す回路図である。
【図6】子チラー装置ch4の構成を示す回路図である。
【図7】子チラー装置ch5の構成を示す回路図である。
【図8】チラー装置の制御手順を示すブロック図である。
【図9】負荷側回路の別の実施形態を示す回路図である。
【図10】従来のチラー装置を示す回路図である。
【図11】従来のチラー装置を示す回路図である。
【符号の説明】
2 半導体製造システム
10 屋外冷却器
11 一次冷却水配管
11a 冷却水供給流路
11b 冷却水戻り流路
12 純水冷媒配管
12a 純水冷媒供給流路
12b 純水冷媒戻り流路
13 フッ素系冷媒配管
13a フッ素系冷媒供給流路
13b フッ素系冷媒戻り流路
14a〜14n 分岐冷却水供給流路
15a〜15n 分岐冷却水戻り流路
16a、16b 分岐純水冷媒供給流路
17a、17b 分岐純水冷媒戻り流路
18a、18b 分岐フッ素系冷媒供給流路
19a、19b 分岐フッ素系冷媒戻り流路
25a、25b メインタンク
30 純水冷媒バイパス流路
32、37 制御バルブ
35 冷却水バイパス流路
44 混合タンク
81 ペルチェ素子
120 温度調節器
121 シーケンサ
p1、p2 親チラー装置
ch1〜ch9 子チラー装置
C1a、C1b、C1、C110 一次側回路
C2a、C2b、C2、C210 二次側回路
C3、C3、C3、C3、C310 負荷側回路

Claims (2)

  1. 冷却器と、冷却器により冷却された一次側冷媒が循環される一次側回路と、一次側冷媒と熱交換する二次側冷媒が貯留されるタンクと、二次側冷媒が循環される二次側回路と、負荷を冷却する負荷側冷媒が循環される複数の負荷側回路とを備えたチラー装置において、
    前記二次側回路を、前記タンクから負荷側回路に向けて二次側冷媒を供給する冷媒供給流路と、冷媒供給流路を経由した二次側冷媒を前記タンクに戻す冷媒戻り流路と、
    前記冷媒供給流路から分岐して、負荷側回路に二次側冷媒を供給する分岐冷媒供給流路と、前記冷媒戻り流路から分岐して、負荷側回路から二次側冷媒を戻す分岐冷媒戻り流路と、
    負荷側回路で使用されない二次側冷媒を、前記分岐冷媒供給流路から冷媒戻り流路に戻す冷媒バイパス流路とから構成するとともに、
    前記負荷側回路に供給する直前で二次側冷媒が戻されるように、前記冷媒バイパス流路を配置したことを特徴とするチラー装置。
  2. 前記複数の負荷側回路の少なくとも一部に、冷却水と熱交換することにより負荷側冷媒を冷却する熱交換手段を設け、
    前記熱交換手段を、冷却水冷却器と、この冷却水冷却器から前記複数の負荷側回路に向けて冷却水を供給する冷却水供給流路と、
    冷却水供給流路を経由した冷却水を冷却水冷却器に戻す冷却水戻り流路と、
    冷却水供給流路から分岐して、前記複数の負荷側回路の少なくとも一部に冷却水を供給する分岐冷却水供給流路と、
    冷却水戻り流路から分岐して、前記複数の負荷側回路の少なくとも一部から冷却水を戻す分岐冷却水戻り流路と、
    前記分岐冷却水供給流路から供給される冷却水のうち、熱交換に使用されない冷却水を前記分岐冷却水戻り流路に戻す冷却水バイパス流路とから構成し、
    前記負荷側回路の熱交換器に供給する直前で冷却水が戻されるように、前記冷却水バイパス流路を配置したことを特徴とする請求項1に記載のチラー装置。
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