JP2004251383A - 湯水混合栓 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好に温度調節機能が発揮するため、十分に湯と水とが混合された混合水の温度によって感温素子の全体に亘って反応し、さらに流量調節したときに良好な温度調節機能の妨げとなる内部圧力の影響を軽減した温度調節機能部を有する湯水混合栓を提供する。
【解決手段】水側ポートと湯側ポートとからそれぞれ流入した水及び湯の混合量を調節する弁体と、該弁体に当接して湯と水の混合を促進させるスペーサーと、該スペーサーを介して前記弁体を駆動する感温素子と、該感温素子を内部に配置して湯と水とを混合した混合水を流出する混合水流出口を備えた水側ソケットと、感温素子が付勢する方向と逆に弁体を付勢するバイアススプリングと、を備えた温度調節機能部を水栓本体内部に配置した湯水混合栓において、前記感温素子の中央部流路の中心軸に沿って湯水の混合を促進させる混合ガイドを備え、かつ、該混合ガイドを水側ソケットに着脱自在に固定したこと。
【選択図】図3
【解決手段】水側ポートと湯側ポートとからそれぞれ流入した水及び湯の混合量を調節する弁体と、該弁体に当接して湯と水の混合を促進させるスペーサーと、該スペーサーを介して前記弁体を駆動する感温素子と、該感温素子を内部に配置して湯と水とを混合した混合水を流出する混合水流出口を備えた水側ソケットと、感温素子が付勢する方向と逆に弁体を付勢するバイアススプリングと、を備えた温度調節機能部を水栓本体内部に配置した湯水混合栓において、前記感温素子の中央部流路の中心軸に沿って湯水の混合を促進させる混合ガイドを備え、かつ、該混合ガイドを水側ソケットに着脱自在に固定したこと。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度調節機能を有する湯水混合栓に関する。特に感温素子により弁体の位置を適正化して混合水の温度の安定を図るようにした湯水混合栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の温度調節機能部12Xを有する湯水混合栓1Xは、図7に示すように、水栓本体2X内に温度調節機能部12Xと流量調節機能部13とを配置している。
この温度調節機能部12Xは、感温素子36と弁体9とバイアススプリング38を一軸上に配置して、感温素子36とバイアススプリング38との付勢力で相互に弁体9を押す構成を有している。
そして、水栓本体2Xの端部に配置した温度調節ハンドル3を操作することでバイアススプリング38を伸縮させて弁体を押す付勢力を変える。すると、弁体9が感温素子36とバイアススプリング38との付勢力の釣合う位置に移動する。そのため、弁体9を経由して湯側ポートBと水側ポートAとからそれぞれ流入される湯と水との混合比が変わる。
さらに、混合された混合水の温度により感温素子36の付勢力が変わり、弁体9の位置を移動させて流入される湯と水との混合比を再度変えて、所望の温度の混合水を得るようにしている。
【0003】
では、図8乃至図9に基づき、従来の温度調節機能部12Xの弁体9から混合水流出口に至る部品の構成について説明する。
湯側ポートBと水側ポートAとの開口比を変化させる弁体9と、混合水の温度の変化に応じて弁体9を移動させる付勢力となる感温素子36と、弁体9と感温素子36との距離を一定間隔開けて湯と水との混合を促進させるスぺーサー37と、混合水流出口35を有して温度調節機能部12の一端を担う水側ソケット32とを有している。
そして、水側ソケット32内に感温素子36を配置してその感温素子36の付勢力に応じて軸方向に移動するようにスペーサー37を配置する。
さらに、スペーサー37には、弁体9を水が流入する隙間を空けるように被せて配置している。
また、弁体9側のスペーサー37には、水を旋回させて湯と混ざりやすくするために、フィン37Aを設けている。
そして、水側ポートAから供給される水は、スペーサー37のフィン37Aに沿ってスペーサー37の中央部流路に進入する。一方、湯は、湯側ポートBを経て弁体61中央部流路から流入する。そして、水と湯とがぶつかりあい、攪拌し混合される。
しかしながら、この時点では当然の如く完全には混合されず、フィン37Aによる旋回流により湯と水は感温素子36方向へ旋回しながら流れて混合が促進されるのである。
(たとえば、特許文献1を参照のこと。)
【0004】
【特許文献1】
特開平8−75037号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の温度調節機能部12Xを備えた湯水混合栓1Xにおいては、湯と水の混合不足により、感温素子36が適切に作動せずに吐水される混合水の温度が必ずしも所望の温度とならないおそれがあった。
上述するように、フィン37Aによって旋回流となった水が湯にぶつかり、そして、水の旋回力を維持することで、湯と水は感温素子36方向へ旋回しながら流れて混合が促進される。
しかしながら、混合が不十分な場合、感温素子36の上流側は不十分な混合状態の混合水の温度を感知することになる。つまり、感温素子36の上流側以外は良好に攪拌された混合水が接触したとしても、感温素子36の上流側は混合が不十分なままの混合水の温度を感知してしまうのである。
したがって、感温素子36全体の感知温度は不均一となり、結果として感温素子36は所望の湯水混合温度に見合った作動力を発生できなくなってしまう。
つまり、感温素子36を用いた温度調節機能部12Xを有する湯水混合栓1Xにおいては、混合水の温度に応じて変化する感温素子36の付勢力は、流入した湯と水との混合比ならびに混合度合によって左右されるため、混合不足が感温素子36の付勢力に影響を及ぼすのである。
【0006】
さらに、温度調節機能部12にて湯と水とが混合された混合水は、混合水流出口35を経て混合室から流出し、シャワー側出口14又は吐水管側出口15を経て水栓本体2Xの外部に吐出される。
そして、湯水混合栓1Xは、切替ハンドル4を操作することで水栓本体2X内に配置された流量調節機能部13が作動し、シャワー側出口14又は吐水管側出口15からの流量を調節することが可能である。
そして、ハンドシャワーノズル(図示せず)又は吐水管5から吐出される混合水の流量を流量調節機能部13にて減少させると、水栓本体2X内で混合水の流れが滞る。
この時、水側ポートA及び湯側ポートBに流入する湯水の圧力に変化はないが、流量調節機能部13内において混合水の流れが滞ることで、流量調節機能部13の内部圧力が上昇することになる。
同時に温度調節機能部12Xの混合室Eから流量調節機能部13へ流入する混合水の流量が抑制されて減少するため、混合室Eの内部圧力も上昇することとなる。
つまり、弁体9及びスペーサー37の下流側における内部圧力の上昇によって、水側ポートAを開く方向に弁体9及びスペーサー37を駆動させる。
【0007】
そのため、混合される水の比率が増えて混合水の温度が所望の温度よりも低くなり、感温素子36は低い温度を感知して縮み、今度は水側ポートAを閉じる方向に弁体9およびスペーサー37を駆動させて水の比率を適正にするように働らこうとする。
しかしながら、このとき内部圧力の上昇が抵抗となるため、弁体9およびスペーサー37が所望の位置に移動できず、水側ポートA側は適切な開き状態とならなくなってしまう。そのため、吐水される混合水の温度は所望の温度よりも低い温度となる。
そのため、この内部圧力の上昇に起因して、その圧力上昇が直接弁体9およびスペーサー37に影響を及ぼして弁体9を移動させ、湯と水との混合比に影響を及ぼすおそれがあるのである。
よって、特により精度の高い温度調節性能が要求される場合に対しては、設定温度を一定に保つ機能に影響して、この感温素子36の感知温度と弁体9及びスペーサー37の駆動のズレが問題になってくる。
【0008】
以上により、従来の温度調節機能部12Xを有する湯水混合栓1Xにおいては、感温素子に影響を及ぼす湯と水との混合度合いだけではなく、さらに、流量調節したときの内部圧力の上昇も湯と水との混合比に影響を及ぼしていた。
よって、吐水量の変動などに対して設定温度を一定に保つ機能に影響して、特により精度の高い温度調節性能が要求される場合に対しては、この感温素子36の感知温度のズレが問題になってくる。
【0009】
そこで、本発明では上記の問題点を解決するため、良好に温度調節機能が発揮できるように、十分に湯と水とが混合された混合水の温度によって感温素子の全体に亘って反応するようにし、さらに流量調節したときに良好な温度調節機能の妨げとなる内部圧力の影響を軽減した温度調節機能部を有する湯水混合栓を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1においては、水側ポートおよび湯側ポートと、該水側ポートと湯側ポートとからそれぞれ流入した水及び湯の混合量を調節する弁体と、該弁体に当接して湯と水の混合を促進させるスペーサーと、該スペーサーを介して前記弁体を駆動する感温素子と、該感温素子を内部に配置して湯と水とを混合した混合水を流出する混合水流出口を備えた水側ソケットと、感温素子が付勢する方向と逆に弁体を付勢するバイアススプリングと、を備えた温度調節機能部を水栓本体内部に配置した湯水混合栓において、前記感温素子の中央部流路の中心軸に沿って湯水の混合を促進させる混合ガイドを備え、かつ、該混合ガイドを水側ソケットに着脱自在に固定したことを特徴とする湯水混合栓とした。
【0011】
本発明によれば、湯と水との混同された混合水が混合ガイド先端に当り、混合ガイドを中心に放射状に広がりながら、水側ポートAから混合水流出口方向へ流れることで、混合が促進されるとともに感温素子の両端を含め全体にムラなく当り、良好な温度調節機能を得ることができる。
さらに、混合ガイドは混合水の吐水量を減少させることによる軸線上における水側ポートから混合水流出口方向の内部圧力の増加によって、混合比が変わってしまうように弁体が移動する影響を低減することができる。つまり、混合水流出口から水側ポートの方向への内部圧力を受けても、その力は水側ソケットに固定した混合ガイドに伝わるため、弁体に直接伝わらず、水側ポートを開く方向に弁体を駆動させる大きな力とはならない。
そして、弁体及びスペーサーが駆動する際の抵抗力も発生しないため、感温素子が感知温度に見合った作動力を発生すれば、弁体及びスペーサーが適切に駆動し、設定温度を一定に保つことができる。
【0012】
本発明の請求項2においては、前記スペーサーの弁体側の端部には、流入する水を旋回させるためのフィンを備えており、かつ、混合ガイドの先端が、このフィンの配置している範囲内に納められていることを特徴とする湯水混合栓とした。
【0013】
本発明によれば、フィンにより流入する水が旋回して湯と混ざりあうとともに、混合ガイドによってさらに混合が促進されるそのため、十分に混合された混合水が感温素子全域に亘って触れるので、感温素子は適切な反応することができる。
【0014】
本発明の請求項3においては、前記混合ガイドは、感温素子の中央部流路の中心軸に沿って配置される本体の一端に湾曲面を有する本体端部を備え、他端部に複数の脚を備えるとともに、該脚に座を設け、該座にさらに爪を設けており、前記混合ガイドは、水側ソケットの混合水流出口の端部に座と爪とで挟み込むようにして固定し、かつ、水側ソケットは、水栓本体内部に配置するハウジングに螺合接続することを特徴とする請求項1に記載の湯水混合栓とした。
【0015】
これにより、水側ソケットを取り付ける際にかかる力を座が吸収することができるので、感温素子にその力を伝達することがない。そのため、感温素子にゆがみや歪が生じることがないので、適切な温度調整性能を発揮することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1に本発明における実施例の温度調節機能部を有する湯水混合栓の外観斜視図を、図2に温度調節機能部側の湯水混合栓の断面図を、図3に温度調節機能部の断面図を、図4に温度調節機能部の要部の分解斜視図を、図5に温度調節機能部の要部の断面図を、図6に混合ガイドを示す。
【0017】
図1において、湯水混合栓1は、筒状の水栓本体2の左側後部には給湯管7、右側後部には給水管8を設けている。さらに、水栓本体2の下部には吐水管5を、後部には先端にハンドシャワーノズル(図示せず)を有するシャワーホース6を設けている。そして、水栓本体2の左側に混合水の温度を調節する温度調節ハンドル3を設け、右側にはハンドシャワーノズル(図示せず)と吐水管5との吐水切り替えとそれぞれの流量調節とを行う切り替えハンドル4を設けている。
【0018】
図2に示す温度調節機能部12側の湯水混合栓1の縦断面図に基づき、湯と水の流れを説明する。前述した給湯管7と給水管8から水栓本体2に流入した湯と水とは、温度調節機能部12内の湯と水とを混合する弁体9の両端の開口部(水側ポートAおよび湯側ポートB)を経て温度調節機能部12内に流入する。このとき、温度調節ハンドル3を回転作動させることにより、バイアススプリング38の付勢力を変える。そして、水側ポートAおよび湯側ポートBを経由してそれぞれ流入される水と湯との比を変化させて、所望の混合水の温度を得ることができる。
温度調節機能部12内の混合水流路はさらに、図7に示す従来と同様の流量調節機能部13に連通している。この流量調節機能部13内にはシャワー側出口14、および吐水管側出口15を各々配置した内筒10及び外筒11を有しており、切り替えハンドル4の回転作動によりこれに連動した内筒10のみが回転して、内筒10と外筒11に各々設けられた開口部が一致、或いは不一致を生じて混合水の吐水・止水ならびにハンドシャワーノズルまたは吐水管5の流路の切り替えを行うことができる。
【0019】
さらに図3を用いて本発明に係る温度調節機能部12についてさらに詳しく説明する。
温度調節機能部12は、周壁に水側ポートAと湯側ポートBとを軸線方向に間隔をおいて開口しているハウジング31と、これに螺着された水側ソケット32とによりカートリッジ状に構成されており、その内部にハウジング31の内壁をシール面として軸線方向に移動可能に組み込まれほぼ中空円筒状で概略H状の断面形状を持つ温度調節用の弁体9、等の機能部品を収納している。
【0020】
図3に示すように、ハウジング31内の機能部は、主として、弁体9と、水側ソケット32の水側ポートA側で弁体9の軸線方向の一端面に対向する水弁座33と、ハウジング31の湯側ポートB側で弁体9の軸線方向の端面に対向する湯弁座34と、水弁座33の下流側の水側ソケット32の端部に開けた混合水流出口35と、水弁座33から混合水流出口35までの混合水流路中に組み込まれ弁体9を湯弁座34側に付勢する感温素子36と、弁体9と感温素子36との間に配置して両者を一定距離隔てるスぺーサー37と、温度設定用のハンドル3に連接して弁体9を水弁座33側に付勢するバイアススプリング38とを備えている。
【0021】
また、弁体9は、その軸線方向の両端を水弁座33及び湯弁座34との着座面とし、この弁体の中心に設けられた開口部により水室Cと湯室Dとが連通している。
また、弁体9の外周りに環状のOリングを組み込み、このOリングをハウジング31の内壁に密着させて弁体外周における水側ポートAと湯側ポートBとの連通を遮断している。
【0022】
次に、スペーサー37の説明をする。
図3乃至図5に示すように、スペーサー37は一端が弁体9の隔壁9Aに突き当たるように組み込まれる。このスペーサー37は水室Cに臨む周壁に湯水の混合を促進するフィン37Aを有している。そして、スペーサー37によって水用の開口を開け、水室C及び湯室Dとが連通し、弁体9の水弁座33及び湯弁座34に対する弁開度に応じた量比の水と湯が混合室Eへ供給される。
【0023】
次に感温素子36について説明する。
図3乃至図5に示すように、感温素子36は、水側ソケット32の内端部壁に一端が突き当たり他端をスペーサー37の端面に付勢して組み込む。この感温素子36は、混合室E内を通過する混合水の温度に感応して軸方向の長さが変化し、吐出される混合水の温度が設定温度に保持されるように弁体9をシフトさせる機能を持つ。なお、感温素子36は形状記憶合金製に限らず、合成樹脂製の形状記憶素子を素材とするものや熱膨張・収縮性を持つワックスを封入した感温体であってもよいが、本発明の構成において最も好ましいのは、感温素子の素材がケーシング等で覆われておらず、温度変化に敏感に反応する形状記憶合金製のスプリングである。
【0024】
次に混合ガイド39について説明する。
図6に示すように、混合ガイド39は、円筒状で、一端部である本体端部39Cが湾曲形状をしており、他端部に斜め方向に広がる複数の脚39Dを備え、かつ、この脚39Dに円盤形状の座39Aを設け、さらに爪39Bを延設している。ここで、図6(A)は本体端部39Cからの視図を、図6(B)は断面図を示している。
そして、図3及び図5に示すように、混合ガイド39は、水側ソケット32の混合水流出口35の外側に爪39Bを引っ掛けて、座39Aと爪39Bとにより水側ソケット32の内端部壁を挟み込み、感温素子36の中央部流路に挿入するように組み込まれる。このように混合ガイド39は水側ソケット32に対して着脱自在な構成としている。
そして、感温素子36の中央部流路を通過する混合水が、混合ガイド39の本体端部39Cに当り、混合ガイド39を中心に放射状に広がりながら、混合ガイド39に沿って、混合水流出口方向に流れるため、混合が促進される。
そのため、感温素子36の両端を含め全体にムラなく当たることで、良好な混合水温度を感温素子に感知させることができる。
なお、混合ガイド39の水側ソケット32への固定方法は、爪に限らず座39Aの外周壁に外ネジ、混合水流出口35の内周壁に内ネジを加工とすることで、ネジ式の固定としてもよい。
【0025】
湯室Dに組み込まれたバイアススプリング38は、感温素子36の伸長方向とは反対方向に弁体9を付勢して水弁座33側に移動させる機能を持ち、設定温度に応じて弁体9を湯弁座34側に移動させる感温素子36の作動に対して弁体9の位置をバランスさせる。
【0026】
図5は温度調節機能部12の要部を示した断面図を示す。
混合ガイド39は爪39Bで水側ソケット32の混合水流出口35に固定されている。
また、座39Aが感温素子36と水側ソケット32の間に介在されている。
そして、混合ガイド39は、スペーサー37上端より突出しないようにフィン37Aを設けた(軸方向の)範囲内に配置することで、湯と水が混合するときに混合ガイド39の本体端部39Cに当り、混合ガイド39を中心に放射状に広がりながら、混合ガイド39に沿って混合水流出口35方向に流れる。そのため、混合が促進されて十分に混合された混合水が、感温素子36の両端を含め全体にムラなく当たり、良好な温度調節機能を得ることができる。
【0027】
さらに、弁体9に当接して水側流入口に望む位置に形成されたフィン37Aにより、水側ポートAから流れ込む水は、フィン37Aの外周部からフィン37Aの形状に沿ってスぺーサー37の軸心に対して旋回しながら弁体9中央部に進入して、湯側ポートBを経て弁体9の中央部流路から流入してきた湯とぶつかり、湯と水が攪拌して混合が促進されながら、感温素子36方向に流れる。そして、上述するように、混合水が感温素子36の中央部流路を流れることで、感温素子36の中央部流路に配置されている混合ガイド39の先端に混合水が当り、さらに混合が促進され、混合ガイドを中心に放射状に広がりながら、混合ガイド39に沿って混合水流出口方向へ流れるので、感温素子全体にムラなく混合水が当る。
したがって、適切に混合された湯水混合温度を感温素子36が感知するので、温度調節機能が良好に作動することができるのである。
【0028】
また、混合ガイド39の端部には水側ソケット32の混合水流出口35を貫通してその端面に引っ掛かる爪39Bを有している。この爪39Bで混合ガイド39を水側ソケット32に固定することで、混合ガイド39が混合水の吐水量を減少させることによる軸線上に発生する水側ポートAから混合水流出口35方向の内部圧力の上昇の影響、つまり混合水流出口35から水側ポートAの方向への内部圧力を受けても、その内部圧力は混合ガイド39を介して水側ソケット32に伝わるだけで、弁体9を水側ポートAを開く方向に駆動させる力は新たに発生しない。
更に、弁体9及びスペーサー37が駆動する際の抵抗力も発生しないため、感温素子36が感知温度に見合った作動力を発生すれば、弁体9及びスペーサー37が適切に駆動し、混合水温度の設定温度を一定に保つことができる。
つまり、混合室E内に配置されている混合ガイド39は、軸線上において水側ポートAから混合水流出口35方向の内部圧力を本体端部39C、脚39D、座39Aにて受けることができるのである。
そのため、直接内部圧力の変動を弁体が受けることがないため、湯水の混合比に大きな影響を及ぼすことはない。
したがって、混合ガイドを水側ソケットの混合水流出口35側に固定することで、流量を低減したときに生じる内部圧力の上昇によって弁体の位置移動を抑制することができ、温度調節性能に不具合が生じることを防止することができる。
【0029】
また、混合ガイド39の端部には座39Aを有しており、温度調節機能部12を組立てる際、水側ソケット32を回転させても、座39Aを介在させていることで水側ソケット32の回転力が感温素子36に伝達されないため、感温素子36にねじれや歪が生じない。そのため、感温素子36のねじれや歪による感知性能に影響を与えることがなく、良好な感知性能を発揮することができる。
そして、混合ガイド39は、本体端部39C、脚39D、座39Aおよび爪39Bを一体で形成しているので、この混合ガイド39を水側ソケットに取り付けることで、座39Aも適切な位置に配置することができる。そのため、部品点数を増やすことなく、また、組立工程を増やすことなく種々の性能の向上を達成することができる。
なお、上述した混合ガイドを水側ソケットと一体としてもよいが、温度調節機能部の組立て時に水側ソケットを回転させる必要がある場合には、感温素子が水側ソケットと共に回転し、感温素子のコイルがねじれや歪を生じさせないように、ワッシャーなどの供回り防止部材を水側ソケットと感温素子との間に介在させることが好ましい。
【0030】
なお、本発明においては、混合ガイドが水側ソケットに対して着脱自在としているので、高度な温調性能を必要としない浴槽用湯水混合栓では、混合ガイドを外してワッシャーを入れることで、感温素子の通水面積が混合ガイド分大きくなるため、流量を多くすることが出来るように対応することも簡単にできる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
湯と水との混同された混合水が混合ガイド先端に当り、混合ガイドを中心に放射状に広がりながら、水側ポートAから混合水流出口方向へ流れることで、混合が促進されるとともに感温素子の両端を含め全体にムラなく当り、良好な温度調節機能を得ることができる。
さらに、混合ガイドは、混合水の吐水量を減少させることによる軸線上に発生する水側ポートから混合水流出口方向の内部圧力の上昇によって、混合比が変わってしまうように弁体が移動する影響を低減することができる。つまり、混合水流出口から水側ポートの方向への内部圧力を受けても、その力は水側ソケットに固定した混合ガイドに伝わるため、弁体に直接伝わらず、水側ポートを開く方向に弁体を駆動させる大きな力とはならない。
そして、弁体及びスペーサーが駆動する際の抵抗力も発生しないため、感温素子が感知温度に見合った作動力を発生すれば、弁体及びスペーサーが適切に駆動し、設定温度を一定に保つことができる。
したがって、良好に温度調節機能が発揮できるように、十分に湯と水とが混合された混合水の温度によって感温素子の全体に亘って反応するようにし、さらに流量調節したときに良好な温度調節機能の妨げとなる内部圧力の影響を軽減した温度調節機能部を有する湯水混合栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施形態の温度調節機能部を有する湯水混合栓の外観斜視図を示す。
【図2】図1に示した温度調節機能部側の湯水混合栓の断面図を示す。
【図3】図2に示した温度調節機能部の断面図を示す。
【図4】図3に示した温度調節機能部の要部の分解斜視図を示す。
【図5】図3に示した温度調節機能部の要部の断面図を示す。
【図6】図3に示した混合ガイドを示す。
【図7】従来の温度調節機能部を有する湯水混合栓の部分断面図を示す。
【図8】図7に示した従来の温度調節機能部の要部における分解斜視図を示す。
【図9】図7に示した従来の温度調節機能部の要部における断面図を示す。
【符号の説明】
A…水側ポート
B…湯側ポート
C…水室
D…湯室
E…混合室
1…湯水混合栓
2…水栓本体
3…温度調節ハンドル
4…切り替えハンドル
5…吐水管
6…シャワーホース
7…給湯管
8…給水管
9…弁体
10…内筒
11…外筒
12…温度調節機能部
13…流量調節機能部
14…シャワー側出口
15…吐水管側出口
31…ハウジング
32…水側ソケット
33…水弁座
34…湯弁座
35…混合水流出口
36…感温素子
37…スペーサー
37A…フィン
38…バイアススプリング
39…混合ガイド
39A…座
39B…爪
39C…端部
39D…脚
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度調節機能を有する湯水混合栓に関する。特に感温素子により弁体の位置を適正化して混合水の温度の安定を図るようにした湯水混合栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の温度調節機能部12Xを有する湯水混合栓1Xは、図7に示すように、水栓本体2X内に温度調節機能部12Xと流量調節機能部13とを配置している。
この温度調節機能部12Xは、感温素子36と弁体9とバイアススプリング38を一軸上に配置して、感温素子36とバイアススプリング38との付勢力で相互に弁体9を押す構成を有している。
そして、水栓本体2Xの端部に配置した温度調節ハンドル3を操作することでバイアススプリング38を伸縮させて弁体を押す付勢力を変える。すると、弁体9が感温素子36とバイアススプリング38との付勢力の釣合う位置に移動する。そのため、弁体9を経由して湯側ポートBと水側ポートAとからそれぞれ流入される湯と水との混合比が変わる。
さらに、混合された混合水の温度により感温素子36の付勢力が変わり、弁体9の位置を移動させて流入される湯と水との混合比を再度変えて、所望の温度の混合水を得るようにしている。
【0003】
では、図8乃至図9に基づき、従来の温度調節機能部12Xの弁体9から混合水流出口に至る部品の構成について説明する。
湯側ポートBと水側ポートAとの開口比を変化させる弁体9と、混合水の温度の変化に応じて弁体9を移動させる付勢力となる感温素子36と、弁体9と感温素子36との距離を一定間隔開けて湯と水との混合を促進させるスぺーサー37と、混合水流出口35を有して温度調節機能部12の一端を担う水側ソケット32とを有している。
そして、水側ソケット32内に感温素子36を配置してその感温素子36の付勢力に応じて軸方向に移動するようにスペーサー37を配置する。
さらに、スペーサー37には、弁体9を水が流入する隙間を空けるように被せて配置している。
また、弁体9側のスペーサー37には、水を旋回させて湯と混ざりやすくするために、フィン37Aを設けている。
そして、水側ポートAから供給される水は、スペーサー37のフィン37Aに沿ってスペーサー37の中央部流路に進入する。一方、湯は、湯側ポートBを経て弁体61中央部流路から流入する。そして、水と湯とがぶつかりあい、攪拌し混合される。
しかしながら、この時点では当然の如く完全には混合されず、フィン37Aによる旋回流により湯と水は感温素子36方向へ旋回しながら流れて混合が促進されるのである。
(たとえば、特許文献1を参照のこと。)
【0004】
【特許文献1】
特開平8−75037号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の温度調節機能部12Xを備えた湯水混合栓1Xにおいては、湯と水の混合不足により、感温素子36が適切に作動せずに吐水される混合水の温度が必ずしも所望の温度とならないおそれがあった。
上述するように、フィン37Aによって旋回流となった水が湯にぶつかり、そして、水の旋回力を維持することで、湯と水は感温素子36方向へ旋回しながら流れて混合が促進される。
しかしながら、混合が不十分な場合、感温素子36の上流側は不十分な混合状態の混合水の温度を感知することになる。つまり、感温素子36の上流側以外は良好に攪拌された混合水が接触したとしても、感温素子36の上流側は混合が不十分なままの混合水の温度を感知してしまうのである。
したがって、感温素子36全体の感知温度は不均一となり、結果として感温素子36は所望の湯水混合温度に見合った作動力を発生できなくなってしまう。
つまり、感温素子36を用いた温度調節機能部12Xを有する湯水混合栓1Xにおいては、混合水の温度に応じて変化する感温素子36の付勢力は、流入した湯と水との混合比ならびに混合度合によって左右されるため、混合不足が感温素子36の付勢力に影響を及ぼすのである。
【0006】
さらに、温度調節機能部12にて湯と水とが混合された混合水は、混合水流出口35を経て混合室から流出し、シャワー側出口14又は吐水管側出口15を経て水栓本体2Xの外部に吐出される。
そして、湯水混合栓1Xは、切替ハンドル4を操作することで水栓本体2X内に配置された流量調節機能部13が作動し、シャワー側出口14又は吐水管側出口15からの流量を調節することが可能である。
そして、ハンドシャワーノズル(図示せず)又は吐水管5から吐出される混合水の流量を流量調節機能部13にて減少させると、水栓本体2X内で混合水の流れが滞る。
この時、水側ポートA及び湯側ポートBに流入する湯水の圧力に変化はないが、流量調節機能部13内において混合水の流れが滞ることで、流量調節機能部13の内部圧力が上昇することになる。
同時に温度調節機能部12Xの混合室Eから流量調節機能部13へ流入する混合水の流量が抑制されて減少するため、混合室Eの内部圧力も上昇することとなる。
つまり、弁体9及びスペーサー37の下流側における内部圧力の上昇によって、水側ポートAを開く方向に弁体9及びスペーサー37を駆動させる。
【0007】
そのため、混合される水の比率が増えて混合水の温度が所望の温度よりも低くなり、感温素子36は低い温度を感知して縮み、今度は水側ポートAを閉じる方向に弁体9およびスペーサー37を駆動させて水の比率を適正にするように働らこうとする。
しかしながら、このとき内部圧力の上昇が抵抗となるため、弁体9およびスペーサー37が所望の位置に移動できず、水側ポートA側は適切な開き状態とならなくなってしまう。そのため、吐水される混合水の温度は所望の温度よりも低い温度となる。
そのため、この内部圧力の上昇に起因して、その圧力上昇が直接弁体9およびスペーサー37に影響を及ぼして弁体9を移動させ、湯と水との混合比に影響を及ぼすおそれがあるのである。
よって、特により精度の高い温度調節性能が要求される場合に対しては、設定温度を一定に保つ機能に影響して、この感温素子36の感知温度と弁体9及びスペーサー37の駆動のズレが問題になってくる。
【0008】
以上により、従来の温度調節機能部12Xを有する湯水混合栓1Xにおいては、感温素子に影響を及ぼす湯と水との混合度合いだけではなく、さらに、流量調節したときの内部圧力の上昇も湯と水との混合比に影響を及ぼしていた。
よって、吐水量の変動などに対して設定温度を一定に保つ機能に影響して、特により精度の高い温度調節性能が要求される場合に対しては、この感温素子36の感知温度のズレが問題になってくる。
【0009】
そこで、本発明では上記の問題点を解決するため、良好に温度調節機能が発揮できるように、十分に湯と水とが混合された混合水の温度によって感温素子の全体に亘って反応するようにし、さらに流量調節したときに良好な温度調節機能の妨げとなる内部圧力の影響を軽減した温度調節機能部を有する湯水混合栓を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1においては、水側ポートおよび湯側ポートと、該水側ポートと湯側ポートとからそれぞれ流入した水及び湯の混合量を調節する弁体と、該弁体に当接して湯と水の混合を促進させるスペーサーと、該スペーサーを介して前記弁体を駆動する感温素子と、該感温素子を内部に配置して湯と水とを混合した混合水を流出する混合水流出口を備えた水側ソケットと、感温素子が付勢する方向と逆に弁体を付勢するバイアススプリングと、を備えた温度調節機能部を水栓本体内部に配置した湯水混合栓において、前記感温素子の中央部流路の中心軸に沿って湯水の混合を促進させる混合ガイドを備え、かつ、該混合ガイドを水側ソケットに着脱自在に固定したことを特徴とする湯水混合栓とした。
【0011】
本発明によれば、湯と水との混同された混合水が混合ガイド先端に当り、混合ガイドを中心に放射状に広がりながら、水側ポートAから混合水流出口方向へ流れることで、混合が促進されるとともに感温素子の両端を含め全体にムラなく当り、良好な温度調節機能を得ることができる。
さらに、混合ガイドは混合水の吐水量を減少させることによる軸線上における水側ポートから混合水流出口方向の内部圧力の増加によって、混合比が変わってしまうように弁体が移動する影響を低減することができる。つまり、混合水流出口から水側ポートの方向への内部圧力を受けても、その力は水側ソケットに固定した混合ガイドに伝わるため、弁体に直接伝わらず、水側ポートを開く方向に弁体を駆動させる大きな力とはならない。
そして、弁体及びスペーサーが駆動する際の抵抗力も発生しないため、感温素子が感知温度に見合った作動力を発生すれば、弁体及びスペーサーが適切に駆動し、設定温度を一定に保つことができる。
【0012】
本発明の請求項2においては、前記スペーサーの弁体側の端部には、流入する水を旋回させるためのフィンを備えており、かつ、混合ガイドの先端が、このフィンの配置している範囲内に納められていることを特徴とする湯水混合栓とした。
【0013】
本発明によれば、フィンにより流入する水が旋回して湯と混ざりあうとともに、混合ガイドによってさらに混合が促進されるそのため、十分に混合された混合水が感温素子全域に亘って触れるので、感温素子は適切な反応することができる。
【0014】
本発明の請求項3においては、前記混合ガイドは、感温素子の中央部流路の中心軸に沿って配置される本体の一端に湾曲面を有する本体端部を備え、他端部に複数の脚を備えるとともに、該脚に座を設け、該座にさらに爪を設けており、前記混合ガイドは、水側ソケットの混合水流出口の端部に座と爪とで挟み込むようにして固定し、かつ、水側ソケットは、水栓本体内部に配置するハウジングに螺合接続することを特徴とする請求項1に記載の湯水混合栓とした。
【0015】
これにより、水側ソケットを取り付ける際にかかる力を座が吸収することができるので、感温素子にその力を伝達することがない。そのため、感温素子にゆがみや歪が生じることがないので、適切な温度調整性能を発揮することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1に本発明における実施例の温度調節機能部を有する湯水混合栓の外観斜視図を、図2に温度調節機能部側の湯水混合栓の断面図を、図3に温度調節機能部の断面図を、図4に温度調節機能部の要部の分解斜視図を、図5に温度調節機能部の要部の断面図を、図6に混合ガイドを示す。
【0017】
図1において、湯水混合栓1は、筒状の水栓本体2の左側後部には給湯管7、右側後部には給水管8を設けている。さらに、水栓本体2の下部には吐水管5を、後部には先端にハンドシャワーノズル(図示せず)を有するシャワーホース6を設けている。そして、水栓本体2の左側に混合水の温度を調節する温度調節ハンドル3を設け、右側にはハンドシャワーノズル(図示せず)と吐水管5との吐水切り替えとそれぞれの流量調節とを行う切り替えハンドル4を設けている。
【0018】
図2に示す温度調節機能部12側の湯水混合栓1の縦断面図に基づき、湯と水の流れを説明する。前述した給湯管7と給水管8から水栓本体2に流入した湯と水とは、温度調節機能部12内の湯と水とを混合する弁体9の両端の開口部(水側ポートAおよび湯側ポートB)を経て温度調節機能部12内に流入する。このとき、温度調節ハンドル3を回転作動させることにより、バイアススプリング38の付勢力を変える。そして、水側ポートAおよび湯側ポートBを経由してそれぞれ流入される水と湯との比を変化させて、所望の混合水の温度を得ることができる。
温度調節機能部12内の混合水流路はさらに、図7に示す従来と同様の流量調節機能部13に連通している。この流量調節機能部13内にはシャワー側出口14、および吐水管側出口15を各々配置した内筒10及び外筒11を有しており、切り替えハンドル4の回転作動によりこれに連動した内筒10のみが回転して、内筒10と外筒11に各々設けられた開口部が一致、或いは不一致を生じて混合水の吐水・止水ならびにハンドシャワーノズルまたは吐水管5の流路の切り替えを行うことができる。
【0019】
さらに図3を用いて本発明に係る温度調節機能部12についてさらに詳しく説明する。
温度調節機能部12は、周壁に水側ポートAと湯側ポートBとを軸線方向に間隔をおいて開口しているハウジング31と、これに螺着された水側ソケット32とによりカートリッジ状に構成されており、その内部にハウジング31の内壁をシール面として軸線方向に移動可能に組み込まれほぼ中空円筒状で概略H状の断面形状を持つ温度調節用の弁体9、等の機能部品を収納している。
【0020】
図3に示すように、ハウジング31内の機能部は、主として、弁体9と、水側ソケット32の水側ポートA側で弁体9の軸線方向の一端面に対向する水弁座33と、ハウジング31の湯側ポートB側で弁体9の軸線方向の端面に対向する湯弁座34と、水弁座33の下流側の水側ソケット32の端部に開けた混合水流出口35と、水弁座33から混合水流出口35までの混合水流路中に組み込まれ弁体9を湯弁座34側に付勢する感温素子36と、弁体9と感温素子36との間に配置して両者を一定距離隔てるスぺーサー37と、温度設定用のハンドル3に連接して弁体9を水弁座33側に付勢するバイアススプリング38とを備えている。
【0021】
また、弁体9は、その軸線方向の両端を水弁座33及び湯弁座34との着座面とし、この弁体の中心に設けられた開口部により水室Cと湯室Dとが連通している。
また、弁体9の外周りに環状のOリングを組み込み、このOリングをハウジング31の内壁に密着させて弁体外周における水側ポートAと湯側ポートBとの連通を遮断している。
【0022】
次に、スペーサー37の説明をする。
図3乃至図5に示すように、スペーサー37は一端が弁体9の隔壁9Aに突き当たるように組み込まれる。このスペーサー37は水室Cに臨む周壁に湯水の混合を促進するフィン37Aを有している。そして、スペーサー37によって水用の開口を開け、水室C及び湯室Dとが連通し、弁体9の水弁座33及び湯弁座34に対する弁開度に応じた量比の水と湯が混合室Eへ供給される。
【0023】
次に感温素子36について説明する。
図3乃至図5に示すように、感温素子36は、水側ソケット32の内端部壁に一端が突き当たり他端をスペーサー37の端面に付勢して組み込む。この感温素子36は、混合室E内を通過する混合水の温度に感応して軸方向の長さが変化し、吐出される混合水の温度が設定温度に保持されるように弁体9をシフトさせる機能を持つ。なお、感温素子36は形状記憶合金製に限らず、合成樹脂製の形状記憶素子を素材とするものや熱膨張・収縮性を持つワックスを封入した感温体であってもよいが、本発明の構成において最も好ましいのは、感温素子の素材がケーシング等で覆われておらず、温度変化に敏感に反応する形状記憶合金製のスプリングである。
【0024】
次に混合ガイド39について説明する。
図6に示すように、混合ガイド39は、円筒状で、一端部である本体端部39Cが湾曲形状をしており、他端部に斜め方向に広がる複数の脚39Dを備え、かつ、この脚39Dに円盤形状の座39Aを設け、さらに爪39Bを延設している。ここで、図6(A)は本体端部39Cからの視図を、図6(B)は断面図を示している。
そして、図3及び図5に示すように、混合ガイド39は、水側ソケット32の混合水流出口35の外側に爪39Bを引っ掛けて、座39Aと爪39Bとにより水側ソケット32の内端部壁を挟み込み、感温素子36の中央部流路に挿入するように組み込まれる。このように混合ガイド39は水側ソケット32に対して着脱自在な構成としている。
そして、感温素子36の中央部流路を通過する混合水が、混合ガイド39の本体端部39Cに当り、混合ガイド39を中心に放射状に広がりながら、混合ガイド39に沿って、混合水流出口方向に流れるため、混合が促進される。
そのため、感温素子36の両端を含め全体にムラなく当たることで、良好な混合水温度を感温素子に感知させることができる。
なお、混合ガイド39の水側ソケット32への固定方法は、爪に限らず座39Aの外周壁に外ネジ、混合水流出口35の内周壁に内ネジを加工とすることで、ネジ式の固定としてもよい。
【0025】
湯室Dに組み込まれたバイアススプリング38は、感温素子36の伸長方向とは反対方向に弁体9を付勢して水弁座33側に移動させる機能を持ち、設定温度に応じて弁体9を湯弁座34側に移動させる感温素子36の作動に対して弁体9の位置をバランスさせる。
【0026】
図5は温度調節機能部12の要部を示した断面図を示す。
混合ガイド39は爪39Bで水側ソケット32の混合水流出口35に固定されている。
また、座39Aが感温素子36と水側ソケット32の間に介在されている。
そして、混合ガイド39は、スペーサー37上端より突出しないようにフィン37Aを設けた(軸方向の)範囲内に配置することで、湯と水が混合するときに混合ガイド39の本体端部39Cに当り、混合ガイド39を中心に放射状に広がりながら、混合ガイド39に沿って混合水流出口35方向に流れる。そのため、混合が促進されて十分に混合された混合水が、感温素子36の両端を含め全体にムラなく当たり、良好な温度調節機能を得ることができる。
【0027】
さらに、弁体9に当接して水側流入口に望む位置に形成されたフィン37Aにより、水側ポートAから流れ込む水は、フィン37Aの外周部からフィン37Aの形状に沿ってスぺーサー37の軸心に対して旋回しながら弁体9中央部に進入して、湯側ポートBを経て弁体9の中央部流路から流入してきた湯とぶつかり、湯と水が攪拌して混合が促進されながら、感温素子36方向に流れる。そして、上述するように、混合水が感温素子36の中央部流路を流れることで、感温素子36の中央部流路に配置されている混合ガイド39の先端に混合水が当り、さらに混合が促進され、混合ガイドを中心に放射状に広がりながら、混合ガイド39に沿って混合水流出口方向へ流れるので、感温素子全体にムラなく混合水が当る。
したがって、適切に混合された湯水混合温度を感温素子36が感知するので、温度調節機能が良好に作動することができるのである。
【0028】
また、混合ガイド39の端部には水側ソケット32の混合水流出口35を貫通してその端面に引っ掛かる爪39Bを有している。この爪39Bで混合ガイド39を水側ソケット32に固定することで、混合ガイド39が混合水の吐水量を減少させることによる軸線上に発生する水側ポートAから混合水流出口35方向の内部圧力の上昇の影響、つまり混合水流出口35から水側ポートAの方向への内部圧力を受けても、その内部圧力は混合ガイド39を介して水側ソケット32に伝わるだけで、弁体9を水側ポートAを開く方向に駆動させる力は新たに発生しない。
更に、弁体9及びスペーサー37が駆動する際の抵抗力も発生しないため、感温素子36が感知温度に見合った作動力を発生すれば、弁体9及びスペーサー37が適切に駆動し、混合水温度の設定温度を一定に保つことができる。
つまり、混合室E内に配置されている混合ガイド39は、軸線上において水側ポートAから混合水流出口35方向の内部圧力を本体端部39C、脚39D、座39Aにて受けることができるのである。
そのため、直接内部圧力の変動を弁体が受けることがないため、湯水の混合比に大きな影響を及ぼすことはない。
したがって、混合ガイドを水側ソケットの混合水流出口35側に固定することで、流量を低減したときに生じる内部圧力の上昇によって弁体の位置移動を抑制することができ、温度調節性能に不具合が生じることを防止することができる。
【0029】
また、混合ガイド39の端部には座39Aを有しており、温度調節機能部12を組立てる際、水側ソケット32を回転させても、座39Aを介在させていることで水側ソケット32の回転力が感温素子36に伝達されないため、感温素子36にねじれや歪が生じない。そのため、感温素子36のねじれや歪による感知性能に影響を与えることがなく、良好な感知性能を発揮することができる。
そして、混合ガイド39は、本体端部39C、脚39D、座39Aおよび爪39Bを一体で形成しているので、この混合ガイド39を水側ソケットに取り付けることで、座39Aも適切な位置に配置することができる。そのため、部品点数を増やすことなく、また、組立工程を増やすことなく種々の性能の向上を達成することができる。
なお、上述した混合ガイドを水側ソケットと一体としてもよいが、温度調節機能部の組立て時に水側ソケットを回転させる必要がある場合には、感温素子が水側ソケットと共に回転し、感温素子のコイルがねじれや歪を生じさせないように、ワッシャーなどの供回り防止部材を水側ソケットと感温素子との間に介在させることが好ましい。
【0030】
なお、本発明においては、混合ガイドが水側ソケットに対して着脱自在としているので、高度な温調性能を必要としない浴槽用湯水混合栓では、混合ガイドを外してワッシャーを入れることで、感温素子の通水面積が混合ガイド分大きくなるため、流量を多くすることが出来るように対応することも簡単にできる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
湯と水との混同された混合水が混合ガイド先端に当り、混合ガイドを中心に放射状に広がりながら、水側ポートAから混合水流出口方向へ流れることで、混合が促進されるとともに感温素子の両端を含め全体にムラなく当り、良好な温度調節機能を得ることができる。
さらに、混合ガイドは、混合水の吐水量を減少させることによる軸線上に発生する水側ポートから混合水流出口方向の内部圧力の上昇によって、混合比が変わってしまうように弁体が移動する影響を低減することができる。つまり、混合水流出口から水側ポートの方向への内部圧力を受けても、その力は水側ソケットに固定した混合ガイドに伝わるため、弁体に直接伝わらず、水側ポートを開く方向に弁体を駆動させる大きな力とはならない。
そして、弁体及びスペーサーが駆動する際の抵抗力も発生しないため、感温素子が感知温度に見合った作動力を発生すれば、弁体及びスペーサーが適切に駆動し、設定温度を一定に保つことができる。
したがって、良好に温度調節機能が発揮できるように、十分に湯と水とが混合された混合水の温度によって感温素子の全体に亘って反応するようにし、さらに流量調節したときに良好な温度調節機能の妨げとなる内部圧力の影響を軽減した温度調節機能部を有する湯水混合栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施形態の温度調節機能部を有する湯水混合栓の外観斜視図を示す。
【図2】図1に示した温度調節機能部側の湯水混合栓の断面図を示す。
【図3】図2に示した温度調節機能部の断面図を示す。
【図4】図3に示した温度調節機能部の要部の分解斜視図を示す。
【図5】図3に示した温度調節機能部の要部の断面図を示す。
【図6】図3に示した混合ガイドを示す。
【図7】従来の温度調節機能部を有する湯水混合栓の部分断面図を示す。
【図8】図7に示した従来の温度調節機能部の要部における分解斜視図を示す。
【図9】図7に示した従来の温度調節機能部の要部における断面図を示す。
【符号の説明】
A…水側ポート
B…湯側ポート
C…水室
D…湯室
E…混合室
1…湯水混合栓
2…水栓本体
3…温度調節ハンドル
4…切り替えハンドル
5…吐水管
6…シャワーホース
7…給湯管
8…給水管
9…弁体
10…内筒
11…外筒
12…温度調節機能部
13…流量調節機能部
14…シャワー側出口
15…吐水管側出口
31…ハウジング
32…水側ソケット
33…水弁座
34…湯弁座
35…混合水流出口
36…感温素子
37…スペーサー
37A…フィン
38…バイアススプリング
39…混合ガイド
39A…座
39B…爪
39C…端部
39D…脚
Claims (3)
- 水側ポートおよび湯側ポートと、該水側ポートと湯側ポートとからそれぞれ流入した水及び湯の混合量を調節する弁体と、該弁体に当接して湯と水の混合を促進させるスペーサーと、該スペーサーを介して前記弁体を駆動する感温素子と、該感温素子を内部に配置して湯と水とを混合した混合水を流出する混合水流出口を備えた水側ソケットと、感温素子が付勢する方向と逆に弁体を付勢するバイアススプリングと、を備えた温度調節機能部を水栓本体内部に配置した湯水混合栓において、
前記感温素子の中央部流路の中心軸に沿って湯水の混合を促進させる混合ガイドを備え、かつ、該混合ガイドを水側ソケットに着脱自在に固定したことを特徴とする湯水混合栓。 - 前記スペーサーの弁体側の端部には、流入する水を旋回させるためのフィンを備えており、かつ、混合ガイドの先端が、このフィンの配置している範囲内に納められているを特徴とする請求項1に記載の湯水混合栓。
- 前記混合ガイドは、感温素子の中央部流路の中心軸に沿って配置される本体の一端に湾曲面を有する本体端部を備え、他端部に複数の脚を備えるとともに、該脚に座を設け、該座にさらに爪を設けており、
前記混合ガイドは、水側ソケットの混合水流出口の端部に座と爪とで挟み込むようにして固定し、かつ、水側ソケットは、水栓本体内部に配置するハウジングに螺合接続することを特徴とする請求項1に記載の湯水混合栓。
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- 2003-02-20 JP JP2003042742A patent/JP2004251383A/ja active Pending
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