JP2004250889A - 掘進機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平面視紡錘状に成形した複数の揺動カッター2と、揺動カッター2で掘削不能な未掘削部4を掘削する固定カッター5を備えた掘進機1を使用して、複数の揺動カッター2の掘削範囲を重複させないように、また複数の揺動カッター2が同一方向に揺動しないように制御することで掘進機1の進行方向を確保することができる。また、揺動カッター2には、異形状かつ地山までの高さが異なる切削体を隣接設置させることで揺動切削を効率良くおこなうことができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、揺動カッターを備えた掘進機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市部などの地下トンネルを掘進する技術であるシールド工法や推進工法は円形断面が主流であるが、近時、電力や地下鉄、共同溝、下水道などのあらゆる分野において矩形や楕円形などの異形断面トンネルが利用されている。
異形断面トンネルを構築する掘進機としては、例えばルーローの三角形をカッターに応用したものやいわゆる遊星カッターを利用したものなどがある。ここで、遊星カッターとは、円形のメインカッターの端部に設けた複数の小径の楕円形カッターのことであり、矩形断面の切削に際してメインカッターでは切削不能な矩形の隅角部を多様な軌跡を描きながら切削できるカッターのことである。
また、特許文献1に示すように、複数のスポークを有するカッターヘッドを複数個相互に隣接配置させ、各カッターヘッドが相互に干渉しないように、かつ相互の掘削範囲が一部重複するようにカッターヘッドを揺動させながら掘進する掘進機が開発されている。
さらに、発明者等においても、図5に示すように、円形のメインカッターbと、かかるメインカッターbを囲むように設けた矩形断面の隅角部を掘削する小径カッターcとからなるシールド掘進機aを考案している(特許文献2参照)。
ところで、揺動カッターのみを備えた掘進機(シールド掘進機であって円形カッターを併設していない掘進機)においては、切羽からの土圧を揺動カッターがすべて負担することとなるため、揺動カッターが土圧に抗しながらスムーズな切削を行うことのできる技術の開発が進められている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3164769号明細書
【特許文献2】
特開平10−18759号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の掘進機にあっては、次のような問題点がある。
<イ>円形のメインカッターと揺動カッターを備えた掘進機は、その制御および構造が複雑となりマシンの製作が高価となる。
<ロ>揺動カッターを2基並列配置させた掘進機の場合、2基の揺動カッターが同一方向に揺動するため、掘進機本体の進行方向が定まり難い。
<ハ>揺動カッターのみを備えた掘進機においては、揺動カッターが切羽土圧をすべて負担するため、かかる土圧による拘束により、スムーズな揺動切削が困難となり易い。
【0005】
【発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、構造が複雑とならないように揺動カッターのみを備えた掘進機を提供することを目的とする。
また、揺動カッターの揺動によって掘進機本体の進行方向が不安定にならない掘進機を提供することを目的とする。
さらに、切羽からの土圧に抗しながらもスムーズな揺動切削を可能とした掘進機を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の掘進機は、掘進機本体に揺動する揺動カッターを備えた掘進機において、平面視紡錘状に成形した複数の揺動カッターと、前記揺動カッターで掘削不能な未掘削部を掘削する固定カッターとからなり、複数の前記揺動カッターの掘削範囲を重複させないように制御することを特徴とする掘進機である。
また、本発明の掘進機は、前記揺動カッターの揺動軸から放射状に延びたスポークの切羽側に、複数の断面視略M字状の第一切削体を設けることができる。
さらに、本発明の掘進機において、前記揺動カッターのカッターフレームに設ける切削体は、断面視において側方に延びる鋭角部を備えた第二切削体と、前記第二切削体に隣接するように設けた断面視M字状の第三切削体とからなり、前記第三切削体のM字の頂部が前記第二切削体の鋭角部頂部よりも高くなるように成形させることができる。
また、本発明の掘進機は、前記第二切削体および前記第三切削体を支持する前記カッターフレームの断面視形状を、前記揺動カッターから切羽面に向かって末広がりに成形させることもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
<イ>掘進機
本発明においては、掘進方向の端部に掘進軸方向の揺動軸21回りに後述する揺動カッター2を複数備えた掘進機1を使用する(図1参照)。本発明にて使用する掘進機1の縦断図を図2に示す。本発明においては、複数の揺動カッター2を夫々の揺動カッター2の掘削範囲を重複させないように制御することができる。すなわち、例えば2基の揺動カッターを同一平面内又は双方が前後するように配置して、夫々の揺動カッター2を自己の持分範囲のみを掘削させることである(図1参照)。矩形断面を掘進する場合には、矩形断面を例えば均等に2分割して、2基の揺動カッター2が各分割範囲内を揺動しながら地盤を切削することができる。この場合に、揺動カッター2の揺動は、揺動軸21を中心に双方が相反する方向に揺動するように制御することができる。かかる制御によって、2基の揺動カッター2は相互に干渉しないため、従来の揺動カッター掘進機において問題となっていた、複数の揺動カッターが同一方向に揺動することによって掘進機の進行方向が定まり難いという問題を解決することができる。
【0009】
本発明においては、揺動カッター2のほかに円形カッターを併設しない構造としている。したがって、円形カッターと揺動カッター夫々の油圧モーターおよび油圧ジャッキ装置を搭載することが必要なくなり、掘進機1本体内がシンプルとなり、また掘進機1の製作コストの低減を図ることができる。
本発明における掘進機1においては、揺動カッター2の個数や配置、制御方法を多様に選定できるものとし、掘削断面も矩形や正方形のほか、楕円形など多様な異形断面のトンネルの構築に使用することができる。
また、掘進機1の掘進方向端部(切羽側)には土圧計13を設けておき、計測値に応じて揺動速度などの制御をおこなうこともできる。
なお、本発明の掘進機1は、推進工法における掘進機1として使用することもできるし、シールド工法におけるシールド掘進機として使用することができる。
【0010】
<ロ>揺動カッター
揺動カッター2は、平面視紡錘状に成形することができる(図1参照)。ここで、紡錘状とは、2つの円錐を底面で重ね合わせた形状から両端部を切断した形状を示している。両端部を切断した形状とすることで、計画矩形断面ラインを逸脱した余掘領域が生じ難くすることができる。
揺動カッター2は、その中心に揺動軸21を備え、かかる揺動軸21から放射状に延びたスポーク22を設けるとともに、平面視紡錘状を構成する外郭はカッターフレーム23にて構成することができる。スポーク22の切羽側には、後述する複数の断面視略M字状の第一切削体31を設け、カッターフレーム23には、第二切削体32および第三切削体33を隣接するように設けることができる。複数の揺動カッター2は、掘進機1本体の掘進方向の端部の同一平面内に設けることもでき、また相互に前後させて設けることもできる。
【0011】
揺動カッター2を例えば2基使用する場合は、図1に示すように夫々の揺動カッター2を揺動軸21を中心として相互に相反する方向に揺動制御するのが好ましい。かかる場合、夫々の平面視紡錘状を形成する外郭直線部が相互に接するような形状と制御を実現することにより、掘削範囲を重複させずに掘り残しのない掘進が可能となる。
揺動カッター2の外郭直線部は、例えば揺動カッター2の長手方向中心線から18度の傾角を備えた形状に成形することができる。また、揺動カッター2の短手方向の幅は矩形断面の分割幅とするのが好ましい。かかる場合は、揺動角度を36度とすることにより分割幅の切削をおこなうことができる。
ここで、揺動カッター2は掘進機1に搭載した油圧ジャッキ11の伸縮運動を利用した簡易な装置にて揺動させることができる。
【0012】
なお、揺動カッター2では掘削不能な未掘削部4については、掘進機1の掘進方向端部のうち、例えば矩形断面の隅角部と矩形断面分割部付近に設けた固定カッター5にて掘削することができる。
【0013】
<ハ>切削体
揺動カッター2のスポーク22の切羽側には、複数の断面視略M字状の第一切削体31を設けることができる。ここで、断面視略M字状とは、スポーク軸に垂直に切断した断面において、M字形状が切羽側に向かって側方に延びた形状を呈していることである(図4(b)参照)。すなわち、略M字状の第一切削体31のうち、側面は切羽に向かって側方に延びることによって傾斜面311を有し、第一切削体31の頭部(切羽側)は2つの鋭角な山部312とその間の谷部によって傾斜面313を有した形状となる。かかる形状に成形することにより、切削した土砂が傾斜面311に沿って流れ易くなるため、土砂の取り込みがスムーズとなり得る。また、山部312の角度は現地の地盤特性に応じて変化させるのが好ましい。例えば、粘性土地盤においては角度を大きくとり、礫質土地盤においては角度を小さく(より鋭角となる)とることができる。
なお、かかる山部312には硬質なカッターチップ314を取り付けるのが好ましい。
【0014】
揺動カッター2のカッターフレーム23の切羽側には、第二切削体32および第三切削体33を隣接するように設けることができる(図4(a)参照)。ここで、第二切削体32は、カッターフレーム軸に垂直に切断した断面において、側方に延びる鋭角部321を備えた形状に成形できる。鋭角部321が側方に延びた形状を呈しているため、鋭角部321の側面は傾斜面322を備えることとなる。したがって、上記の第一切削体31の傾斜面311と同様に、傾斜面322に沿って切削土砂の流れ及び土砂の取り込みをスムーズなものとできる。かかる鋭角部321の角度及び側方へ延びる角度(倒れ度)は地盤特性に応じて自在に調整することができる。また、第二切削体32の断面視形状は四角形や三角形など、適宜選定することができる。
【0015】
ここで、カッターフレーム23をカッターフレーム軸に垂直に切断した断面視形状は揺動カッター2から切羽面に向かって末広がりに成形するのが好ましい。本発明の実施例として、カッターフレーム23の上底231(長辺)を切羽側に設けた台形状に成形した形状を提案する(図4(a)参照)。カッターフレーム23を構成する台形のうち、揺動カッター2の外郭側の側面232は揺動カッター2側から切羽側に向かって側方に延びるように(鉛直線に対して傾斜した)成形させることにより、切削土砂の流れ及び土砂の取り込みをスムーズなものとできる。なお、図4(a)に示すように、第二切削体32の傾斜面322とカッターフレーム23の側面232が同一平面を構成するように製作することもでき(両者の傾斜角が同一で面が連続している)、傾斜面322と側面232の傾斜角が相違するように製作することもできる。また、傾斜面322と側面232が不連続となるように、例えば、上底231の端部から上底231内側に入った位置に第二切削体32の端部を設けるように製作することもできる。
【0016】
第三切削体33は、カッターフレーム軸に垂直に切断した断面において、断面視M字状に成形するのが好ましい。ここで、第三切削体33を構成する断面視M字の頂部331(切羽側)が第二切削体32の鋭角部321頂部よりも高くなるように成形するのが好ましい(図3(a)、図4(a)参照)。すなわち、頂部331が鋭角部321頂部よりも地山側に突出するように成形することにより、頂部331に地山からの土圧を直接負担させて、鋭角部321は土圧の負荷が小さな状態で揺動切削が可能となる。
なお、第二切削体32の鋭角部321及び第三切削体33の頂部331には硬質なカッターチップ323、332を取り付けるのが好ましい。
【0017】
【発明の効果】
本発明の掘進機は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>複数の揺動カッターを夫々同一方向に揺動させないようにすることで、掘進機の進行方向が一定方向に定まり易い。
<ロ>円形カッターと揺動カッターを併設した構造ではないため、設備がシンプルとなり、掘進機の製作コストも比較的低廉となる。
<ハ>異形状かつ地山までの高さが異なる切削体を揺動カッターに隣接設置させることで揺動切削を効率良くおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の掘進機の正面図。
【図2】本発明の掘進機の縦断図。
【図3】(a)は図1のA−A矢視図。(b)は図1のB−B矢視図。
【図4】(a)はカッターフレームと第二切削体及び第三切削体について、カッターフレーム軸に垂直に切断した場合の各断面図。(b)は第一切削体について、スポーク軸に垂直に切断した場合の断面図。
【図5】従来の矩形断面掘進機を説明した正面図。
【符号の説明】
1・・・掘進機
2・・・揺動カッター
21・・揺動軸
22・・スポーク
23・・カッターフレーム
31・・第一切削体
32・・第二切削体
321・鋭角部
33・・第三切削体
331・頂部
4・・・未掘削部
5・・・固定カッター
Claims (4)
- 掘進機本体に揺動する揺動カッターを備えた掘進機において、
平面視紡錘状に成形した複数の揺動カッターと、
前記揺動カッターで掘削不能な未掘削部を掘削する固定カッターと、からなり、
複数の前記揺動カッターの掘削範囲を重複させないように制御することを特徴とする、
掘進機。 - 前記揺動カッターの揺動軸から放射状に延びたスポークの切羽側に、複数の断面視略M字状の第一切削体を設けたことを特徴とする、
請求項1記載の掘進機。 - 請求項1又は2記載の掘進機において、
前記揺動カッターのカッターフレームに設ける切削体であって、
断面視において側方に延びる鋭角部を備えた第二切削体と、前記第二切削体に隣接するように設けた断面視M字状の第三切削体とからなり、
前記第三切削体のM字の頂部が前記第二切削体の鋭角部頂部よりも高くなるように成形させたことを特徴とする、
掘進機。 - 前記第二切削体および前記第三切削体を支持する前記カッターフレームの断面視形状を、前記揺動カッターから切羽面に向かって末広がりに成形したことを特徴とする、
請求項3記載の掘進機。
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-
2003
- 2003-02-18 JP JP2003039880A patent/JP4169261B2/ja not_active Expired - Fee Related
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