JP2004250592A - 紫外線照射による低分子化グリコサミノグリカンの製造方法 - Google Patents

紫外線照射による低分子化グリコサミノグリカンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004250592A
JP2004250592A JP2003042790A JP2003042790A JP2004250592A JP 2004250592 A JP2004250592 A JP 2004250592A JP 2003042790 A JP2003042790 A JP 2003042790A JP 2003042790 A JP2003042790 A JP 2003042790A JP 2004250592 A JP2004250592 A JP 2004250592A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glycosaminoglycan
molecular weight
weight
irradiation
molecular
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003042790A
Other languages
English (en)
Inventor
Yumiko Shibata
由仁子 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seikagaku Corp
Original Assignee
Seikagaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seikagaku Corp filed Critical Seikagaku Corp
Priority to JP2003042790A priority Critical patent/JP2004250592A/ja
Priority to US10/781,723 priority patent/US20040167243A1/en
Publication of JP2004250592A publication Critical patent/JP2004250592A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • C08J3/28Treatment by wave energy or particle radiation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2305/00Characterised by the use of polysaccharides or of their derivatives not provided for in groups C08J2301/00 or C08J2303/00

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

【課題】低分子グリコサミノグリカンを製造するための安全かつ簡易な方法を提供する。
【解決手段】グリコサミノグリカンに紫外線を照射することを特徴とする低分子化グリコサミノグリカンの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子化グリコサミノグリカンの製造方法に関する。より詳細には、グリコサミノグリカンに紫外線を照射することを特徴とする低分子化グリコサミノグリカンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、グリコサミノグリカンの生理活性が注目され、例えば、ヒアルロン酸は化粧品や医薬品の成分として使用されているが、主に利用されるヒアルロン酸は高分子で粘性が高く、これまではその粘性を利用した医薬品や化粧品が多く開発されてきた。近年では、低分子のグリコサミノグリカンが注目されており、特許文献1には、低分子量ヒアルロン酸の創傷治癒効果が開示され、特許文献2には、骨誘導に用いられることが開示されている等、分子量(サイズ)と活性の相関が注目されている。
【0003】
このような低分子グリコサミノグリカンの製造方法、すなわちグリコサミノグリカンを低分子化するための方法として、特許文献3にはヒアルロニダーゼによる酵素処理、特許文献4には酸、アルカリ処理、特許文献6にはホモジナイゼーションに付する方法、特許文献5には剪断処理による物理的処理を使用する方法が開示されている。しかしこれらの方法は、劇薬を用いたりする等危険であったり、用いた酵素や酸、アルカリの除去が困難である等の問題を有している。
【0004】
また、上記のように分子量(サイズ)とその活性の相関が注目されているが、従来の方法においては、所望の低分子量グリコサミノグリカンを効率よく得るという観点から製造条件を制御するという試みはなされておらず、分子量の厳密な制御は困難であった。
【特許文献1】
特許第2585216号公報
【特許文献2】
特許第3333205号公報
【特許文献3】
特開昭62−79790号公報
【特許文献4】
特許第2587268号公報
【特許文献5】
特開平6−298803号公報
【特許文献6】
特表平4−505774号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、上記の問題に鑑み、グリコサミノグリカンから低分子化グリコサミノグリカンを製造するための安全かつ簡易な方法を提供することである。また本発明の別の目的は、グリコサミノグリカンから所望する分子量の低分子化グリコサミノグリカンを効率よく製造するための方法を提供することである。
【0006】
さらに、本発明の別の目的は、グリコサミノグリカンの粗精製物からの夾雑物の分解・除去と、グリコサミノグリカンの低分子化を同時に行うことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため検討した結果、グリコサミノグリカンに紫外線を照射することによりグリコサミノグリカンが分解されて低分子化されること、さらにこの紫外線照射によるグリコサミノグリカンの分解が低分子化グリコサミノグリカンの製造方法として実用的に利用可能であることを見出した。また、グリコサミノグリカンに紫外線を照射した場合、照射される紫外線の光量と生成された低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数が比例することを見出した。さらに、紫外線を照射することによりグリコサミノグリカンを低分子化すると、グリコサミノグリカンに含まれるタンパク質、核酸等の夾雑物も分解され、低分子化されたグリコサミノグリカンが精製しやすくなることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されたものである。
【0008】
すなわち本発明は、グリコサミノグリカンに紫外線を照射することを特徴とする低分子化グリコサミノグリカンの製造方法を提供するものである。
【0009】
上記本発明の方法の好ましい態様においては、照射される紫外線の光量と生成される低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数との比例関係に基づいて、所望の低分子化グリコサミノグリカンの分子量から該光量を決定するものである。
【0010】
上記本発明の方法においては、グリコサミノグリカンは、好ましくはヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸及びケラタン硫酸からなる群から選択される。
【0011】
また、上記本発明の方法においては、温度を1〜37℃に保持して紫外線を照射することが好ましい。
さらに、上記本発明の方法においては、250〜450nmの紫外線の波長を使用することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、夾雑物を含むグリコサミノグリカン粗精製物に紫外線を照射することにより、グリコサミノグリカンを低分子化すると共に、前記夾雑物を分解し、これを除去する精製された低分子化グリコサミノグリカンの製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の低分子化グリコサミノグリカンの製造方法において、紫外線照射の対象となるグリコサミノグリカン(以下、「原料グリコサミノグリカン」ともいう)とは、D−グルコサミン又はD−ガラクトサミンと、D−グルクロン酸、L−イズロン酸又はガラクトースとの二糖の繰り返し単位を基本骨格として構成され、ヒアルロン酸、コンドロイチンを除いて、構成糖のヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基等が硫酸化された多糖であり、動物等の天然物から抽出されたもの、微生物を培養して得られたもの、化学的若しくは酵素的に合成されたもの等のいずれも使用することができる。
【0015】
具体的には例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸(コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン硫酸D、コンドロイチン硫酸E)、コンドロイチン、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸が挙げられる。なお、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン、デルマタン硫酸のようなD−ガラクトサミンを含むグリコサミノグリカンをガラクトサミノグリカンということもある。
【0016】
また、原料グリコサミノグリカンは、遊離型でも塩型であってもよく、低分子化グリコサミノグリカンを医療、食品等に使用する場合は、通常使用される薬理学的に許容される塩であることが好ましい。グリコサミノグリカンの塩としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、トリアルキルアミン等のアミン塩、及びピリジンなどの有機塩基との塩等が挙げられ、特に限定されないが、特に薬理学的に許容されるアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。
【0017】
原料グリコサミノグリカンの分子量は特に限定されないが、所望の低分子化グリコサミノグリカンの分子量より大きい分子量を有するグリコサミノグリカンを使用するものであり、通常は平均分子量で5,000〜20,000,000程度であるが、ヒアルロン酸では、5,000〜20,000,000、好ましくは500,000〜4,000,000、より好ましくは700,000〜2,500,000、コンドロイチン硫酸では、10,000〜100,000、好ましくは10,000〜80,000、ヘパリンでは、5,000〜30,000、好ましくは7,000〜20,000、ヘパラン硫酸では、5,000〜50,000、好ましくは10,000〜30,000程度である。
【0018】
なお、グリコサミノグリカンの分子量は、通常、平均分子量、好ましくは、重量平均分子量で表され、この値は、例えばサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(GPC−HPLC)、多角度光散乱法(LALLS)等で測定することができる。
【0019】
また、上記のような材料から分離されたグリコサミノグリカンを通常の分解処理(例えば酵素分解、化学分解、加熱処理等)に付してある程度低分子化したものを、さらに低分子化するために本発明の方法を使用してもよい。
【0020】
上記のような原料グリコサミノグリカンに本発明の方法により紫外線を照射する場合、原料グリコサミノグリカンは溶液、懸濁液、固体等任意の形態であってよいが、通常は紫外線照射によるグリコサミノグリカン分解の効率、グリコサミノグリカン分解反応の均一性等の観点から溶液状態にあるグリコサミノグリカンを使用することが好ましい。
【0021】
原料グリコサミノグリカンを溶液として紫外線を照射する場合、該溶液中のグリコサミノグリカン濃度の上限は特に限定されないが、溶液の粘性、操作性を考慮して約2重量%以下、好ましくは約1重量%以下である。濃度の下限値も特に限定されないが、低分子化グリコサミノグリカンの製造効率の観点から約0.01重量%以上であることが好ましい。
【0022】
溶液のpHも特に限定されず、通常はグリコサミノグリカンの中性塩を溶解したままの溶液を使用すればよいが、必要によりpHを調整しても差し支えない。例えば、低分子化グリコサミノグリカンの分子量を所望の一定範囲にコントロールすることを優先する場合は中性付近に保つことが好ましく、低分子化の反応を促進することを優先する場合には、酸性側に調整することもできる。
【0023】
溶液に使用する溶媒も特に限定されず、水性溶媒(水、リン酸緩衝液等)、有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等)の単独、もしくはこれらの有機溶媒を含む含水有機溶媒等の、グリコサミノグリカンを溶解することができる通常の溶媒を使用することができるが、不純物の混入を防止するため注射用蒸留水等を使用することが好ましい。
【0024】
上記グリコサミノグリカンに照射する紫外線の波長は特に限定されず、通常紫外線と指称される範囲、すなわち可視光線より波長が短く、X線より波長の長い範囲であればよいが、グリコサミノグリカン分解反応の効率から250〜450nmの範囲が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線、好ましくは上記の範囲の波長の紫外線を発する光源であれば特に限定されないが、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、キセノン−水銀ランプ等のランプを使用することができる。紫外線の光量は特に限定されず、所望する低分子化グリコサミノグリカンの製造規模、対象とするグリコサミノグリカンの種類等により選択することができるが、通常は1×104〜1×106mJ(ミリ・ジュール)/cmであり、好ましくは40,000〜240,000mJ/cmである。
【0025】
紫外線の照射の具体的方法については特に限定されることはなく、少なくとも上記のような紫外線光源と、該光源から発せられた紫外線が本発明の目的とする低分子化または夾雑物分解が十分達成される程度に照射されるように低分子化の対象となる原料グリコサミノグリカンとを位置させる手段を含む任意の構成を使用して本発明の方法を実施することができる。
【0026】
例えば溶液の状態の原料グリコサミノグリカンに紫外線を照射する場合、該溶液を収容する容器は紫外線を透過させるものである必要があり、例えば石英管、硬質ガラス、ポリエチレンやポリプロピレンのようなプラスチック等を使用することができる。
【0027】
その他、本発明の方法を実施するためには、紫外線が外部に漏洩するのを防止するための遮蔽手段、紫外線照射による照射対象の温度の上昇を防止するための冷却手段(水冷系等)等を任意に含めることができ、それら自体は当業者により容易に選択及び利用され得る範囲であり、例えば特開2000−126589号公報に記載された紫外線照射装置を利用することもできる。
【0028】
本発明の方法を実施する温度は、グリコサミノグリカンの熱分解が起こらない程度の温度範囲内(例えば1〜37℃)であれば特に制限されないが、通常室温程度に制御されるように照射を行えばよく、具体的には10℃〜25℃程度とすることができる。また、本発明の方法により紫外線を照射すると、反応系の温度が上昇するので、グリコサミノグリカンを冷却しつつ紫外線を照射することが好ましい。グリコサミノグリカンを冷却する方法も特に限定されるものではなく、例えばグリコサミノグリカンを入れた容器周囲に冷却水を循環させたり、冷却した空気を送風することなどにより行うことができる(例えば、特開2000−126589号公報参照)。
【0029】
先に記載したように、本発明の方法によりグリコサミノグリカンに紫外線を照射した場合、照射した紫外線の光量と生成された低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数が比例することが見出された。すなわち、原料グリコサミノグリカンに本発明の方法によって紫外線を照射して低分子化すると、Y=aX+b(Yは低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数、Xは紫外線の光量、a,bは原料グリコサミノグリカンの種類とその分子量によって定まる定数)の関係が成り立つことが見出されたものであり、この関係に従い本発明方法を実施することができる。従って、本発明の方法においては、原料グリコサミノグリカンの種類および分子量が決定すれば、照射紫外線の光量と生成低分子化グリコサミノグリカンの分子量の関係式が決まり、所望の低分子化グリコサミノグリカンの分子量とこの関係式とから必要な照射紫外線の光量を算出することができる。従って、所望する分子量の低分子化グリコサミノグリカンを極めて効率的に製造することができる。
【0030】
本発明の方法を上記態様に従って実施する場合は、実際の低分子化グリコサミノグリカンの製造に使用する光源を実際の製造と同様の条件で使用して紫外線の光量を変えて分解を行い、光量と低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数との比例関係を予め確認した後、所望する低分子化グリコサミノグリカンの分子量が得られる光量を選択し、低分子化グリコサミノグリカンの製造を行えばよい。すなわち、上記のように実際の製造と同様の条件で紫外線の光量を変えて分解を行い、得られたそれぞれの低分子化グリコサミノグリカンの分子量を求め、上記比例関係が認められる範囲において上記関係式におけるaおよびbの値を求め、得られた関係式に基づいて所望する低分子化グリコサミノグリカンの分子量が得られる光量を算出し、その光量を使用して低分子化グリコサミノグリカンの製造を行えばよい。
【0031】
本発明の方法を上記態様に従って実施する場合は、所望の分子量の低分子化グリコサミノグリカンを得るために一定の光量の紫外線を照射しなければならないが、照射光量は紫外線光源の出力、光源から照射対象までの距離、及び照射時間によって決まり、当業者であればこれらの要素を調整することにより容易に所望の照射光量を得ることができる。例えば、一定の光源、一定の紫外線照射装置を用い、一定照射面積に存在する原料グリコサミノグリカンに紫外線を照射する場合には、照射光量は照射時間に比例する。
【0032】
上記のようにして実際に求められたaおよびbの値としては、例えば、グリコサミノグリカンが分子量5〜4000kDaのヒアルロン酸の場合、aは0.5×10−6〜10×10−6、好ましくは1×10−6〜5×10−6、bは−0.0005〜0.001、好ましくは−0.001〜0.0005である。グリコサミノグリカンが分子量5〜50kDaのヘパラン硫酸の場合、aは0.5×10 〜10×10 、好ましくは1×10 〜3×10 、bは0.001〜0.1、好ましくは0.02〜0.05であり、分子量5〜20kDaのヘパリンの場合、aは0.1×10 〜10×10 、好ましくは0.5×10 〜2×10 、bは0.001〜0.2、好ましくは0.05〜0.1であり、10〜100kDaのコンドロイチン硫酸の場合、aは1×10−6〜20×10−6、好ましくは5×10−6〜10×10−6、bは0.001〜0.01、好ましくは0.01〜0.05程度である。
【0033】
尚、上記分子量はいずれも前記の方法で測定される重量平均分子量である。また、上記具体的なaおよびbの値は比例関係を直線として表す場合に使用されるものであり、これらの値に基づいて決定される関係式はXおよびYがいずれも正となる範囲において適用される。
【0034】
上記のようにして紫外線を照射することにより得られる低分子化グリコサミノグリカンの分子量は特に限定されないが、通常は平均分子量で200〜1,000,000程度であり、好ましくは4,000〜400,000、さらに好ましくは4,000〜20,000程度である。
【0035】
多くのグリコサミノグリカンは、硫酸基を有しており、この硫酸基の含量、硫酸基の結合位置が、生理活性に大きな影響を及ぼすことが知られているが、従来の低分子化法では、低分子化と同時にこの硫酸基が脱離することもあった。しかしながら、本発明の方法により、硫酸化グリコサミノグリカンを低分子化する場合には、実質的に硫酸基の脱離を伴わずに低分子化することが可能である。さらに、後述の実施例から明らかなように、本発明の方法によって低分子化する際には、構成糖の分解は起こらず、構成糖同士のグリコシド結合の開裂が起こっていることから、生成した低分子化グリコサミノグリカンは、低分子化に伴う変化を除いて生理活性に影響を及ぼす変化は起こらないことが確認されている。
【0036】
さらに、夾雑物として微量のタンパク質や核酸を含有する原料グリコサミノグリカンに紫外線を照射し、照射前後のタンパク質あるいは核酸を分析、定量したところ、これらの物質の量は紫外線照射後、著しく低下していた。従って、本発明の方法によりグリコサミノグリカンの低分子化を行えば、低分子化と同時にタンパク質、核酸、色素、その他の紫外線吸収物質等の紫外線吸収性の夾雑物の分解を同時に行うことができる。
【0037】
本発明の方法により低分子化されたグリコサミノグリカンを、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、エタノール分画、透析、限外濾過等の慣用の精製手段を使用して精製することにより、夾雑物の分解産物を除去したり、より狭い平均分子量分布を有する精製された特定分子量の低分子化グリコサミノグリカンとすることができる。
【0038】
さらには紫外線照射により、対象グリコサミノグリカンの滅菌も可能である。
【0039】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1
各種グリコサミノグリカンの紫外線照射による低分子化
下記グリコサミノグリカン試料のそれぞれについて、注射用蒸留水を使用して1重量%水溶液を調製した。
1.ヒアルロン酸(HA):平均分子量899.1 kDa、鶏冠由来、生化学工業(株)製
2.高分子ヒアルロン酸(HAhigh):平均分子量2580 kDa、鶏冠由来、生化学工業(株)製
3.コンドロイチン硫酸(CS): 平均分子量66.72 kDa、鮫軟骨由来、生化学工業(株)製
4.ヘパラン硫酸(HS): 平均分子量27.8 kDa、牛腎臓由来、生化学工業(株)製
5.ヘパリン(Hep):平均分子量11.1 kDa、牛小腸由来、SPL社製
【0041】
各グリコサミノグリカン水溶液を石英管(直径1 cm×15 cm)に入れ、シリコン栓で密栓した。
【0042】
紫外線照射装置としては、6000 W(型式SMX−7000H)のメタルハライドランプを有し、メタルハライドランプから発する紫外線(UV)を被照射物より70cmのところから照射するように構成したUV照射装置(特開2000―126589記載の装置)であって、光量を計測できるようにしたもの(HMW−680、オーク製作所)を使用した。ランプの冷却は、ランプを囲む石英の2重管内に冷却水を流す間接冷却式で行った。また、光源によって試料の温度が上昇するのを防止するために、UV照射部は装置内の冷却型冷凍機で発生させた冷風を循環させ、被照射物に吹きかけた。これによりUV照射部内の温度は14〜16℃に保持された。下記表1〜5に示す光量のUVを照射後、試料を採取し、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(下記条件によるGPC−HPLC−1又は2)により分析し、各試料の各時点における平均分子量の逆数を求めた。結果を同様に表1〜5に示す。なお、HPLCの条件は以下の通りである。
【0043】
GPC−HPLC−1
カラム1:TSKgel G2500 PWXL(東ソー(株)製)、TSKgel G3000 PWXL(東ソー(株)製)及びTSKgel G4000 PWXL(東ソー(株)製)の3本を連結したもの(至適分子量範囲 3〜350kDa程度)
カラム2:TSKgel G6000 PWXL(東ソー(株)製)、TSKgel G5000 PWXL東ソー(株)製)及びTSKgel G4000 PWXL東ソー(株)製)の3本を連結したもの(至適分子量範囲 40〜2500kDa程度)
溶媒: 0.2 M NaCl
流速: 0.6 mL/分
カラム温度:40℃
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置一式
ポンプ:デュアルポンプDP−8020
カラムオーブン:CO−8020
オートサンプラ:AS−8020
デガッサー:オンラインデガッサSD−8023
検出器:示差屈折計RI−8020(東ソー(株)製)(40℃)
GPC−HPLC−2
カラム:TSKgel Super AW6000(東ソー(株)製)を2本連結したもの(至適分子量範囲 3〜2500kDa程度)
カラムは試料の分子量に応じて適宜必要なサイズを用いた。
溶媒: 0.2 M NaCl
流速: 0.3 mL/分
カラム温度:40℃
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置一式
ポンプ:デュアルポンプDP−8020
カラムオーブン:CO−8020
オートサンプラ:AS−8020
デガッサー:オンラインデガッサSD−8023
検出器:示差屈折計RI−8020(東ソー(株)製)(40℃)
【0044】
【表1】
Figure 2004250592
【0045】
【表2】
Figure 2004250592
【0046】
【表3】
Figure 2004250592
【0047】
【表4】
Figure 2004250592
【0048】
【表5】
Figure 2004250592
【0049】
表1〜5に示した各低分子化グリコサミノグリカンの分子量(重量平均分子量(以下、同様))の逆数を紫外線の光量に対してプロットしたグラフを図1〜5にそれぞれ示す。図1〜5に示すように、生成した低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数と照射した紫外線の光量の間に比例関係が認められ、原料グリコサミノグリカンの種類および分子量が決定すれば、紫外線の光量と得られる低分子化グリコサミノグリカンの分子量との間の関係式が決定する。このように紫外線の光量は、得られる低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数との比例関係に基づいて決まるため、その関係に従い光量を設定することによって所望する分子量を有する低分子化グリコサミノグリカンを調製することができる。
【0050】
また、各試料についてカルバゾール硫酸法でウロン酸の定量を行い、毛細管粘度計法で還元粘度を測定したところ、カルバゾール硫酸法による定量では照射による定量値の変化は認められず、毛細管粘度計法による還元粘度は紫外線の光量の増加とともに低下していたことから、紫外線照射によっては上記定量に影響を与えるほどの糖鎖自体の構造変化を伴わずに低分子化が進行することが示された。
【0051】
更に、各試料についてグリコサミノグリカン分解酵素(コンドロイチナーゼABCあるいはヘパリチナーゼI、II及びヘパリナーゼの混合酵素)による原料グリコサミノグリカンの消化率を確認したところ、いずれも100%消化されることから、酵素消化に影響を与えるほどの糖鎖自体の構造変化を伴わずに低分子化が進行していることも示された。
【0052】
実施例2
紫外線照射によるグリコサミノグリカンの低分子化に伴う夾雑物の除去
1.試料
下記の試料溶液をそれぞれ作製した。
▲1▼コンドロイチン硫酸(CS)(濃度0.97 mg/mL、平均分子量66.72kD鮫軟骨由来、 生化学工業(株)製)
▲2▼ヒアルロン酸(HA)(濃度0.82 mg/mL、平均分子量899.1kD鶏冠由来、生化学工業(株)製)
▲3▼DNA(仔牛胸腺DNA、濃度0.19 mg/mL、SIGMA社製)
▲4▼牛血清アルブミン(BSA)(濃度1.13 mg/mL、生化学工業(株)製)
【0053】
2.実験方法
1)試料調製
上記CS溶液及びHA溶液各19 mLに蒸留水、上記DNA溶液またはBSA溶液各1mLを添加し、6種類の試料を調製した。すなわち、CS 0.92mg/mLまたはHA 0.78mg/mLのみを含む試料、同濃度のHAまたはCSと、DNAまたはBSAとを含む溶液をそれぞれ調製した。さらに蒸留水19 mlに1 mlのDNAまたはBSA溶液を含む溶液を調製した。
【0054】
2)紫外線照射方法
それぞれの溶液を実施例1と同様の石英管に入れ、クリーンベンチ内に置き、付属のUVランプ(15W)2本で連続14日間紫外線を照射した。ランプと試料との間の距離は約30cmであった。クリーンベンチ内はファンを回し温度の上昇を抑えた。毎日温度を測定し、22.3〜22.5℃程度に維持した。
【0055】
3)分析方法
▲1▼ 紫外線照射前後の各試料をサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(GPC−HPLC)により分析し、試料HA及びCS並びに分解物の分子量を確認した。HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:TSKgel G2500 PWXL(東ソー(株)製)、TSKgel G3000 PWXL(東ソー(株)製)及びTSKgel G4000 PWXL(東ソー(株)製)の3本を連結したもの(至適分子量範囲 3〜350kDa程度)
溶媒: 0.2 M NaCl
流速: 0.6 mL/分
カラム温度:40℃
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置一式
ポンプ:デュアルポンプDP−8020
カラムオーブン:CO−8020
オートサンプラ:AS−8020
デガッサー:オンラインデガッサSD−8023
検出器:示差屈折計RI−8020及び紫外可視検出器UV−8020(210 nm)
▲2▼ DNAを添加した各試料を紫外線照射前後においてエチレンブロミド法により分析し、DNAの存在を確認した。
▲3▼ BSAを添加した各試料を紫外線照射前後においてBioRad Protein Assay (BioRad社製タンパク質定量用キット) により分析し、BSA の存在を確認した。
▲4▼ 紫外線照射前後の各試料について紫外吸収スペクトル(200〜800 nm)を測定した。
5 照射後の各試料についてカルバゾール硫酸法でウロン酸の定量を行った。
【0056】
4)結果
▲1▼ HPLCによる分析の結果、CSを含む試料では紫外線照射前、平均分子量60,000程度のCSが検出されたのに対し、照射後では分子量5,000以下の低分子CS分解物が検出された。HAを含む試料では紫外線照射前、平均分子量890,000程度のHAが検出されたのに対し、照射後ではオリゴ糖〜単糖サイズの分解物が検出された。
▲2▼ エチレンブロミド法による分析の結果、DNAを添加した試料ではいずれも紫外線照射前70〜90μg/mL程度のDNAが検出されたが、照射後はいずれの試料についてもDNAは検出されなかった(検出限界以下)。
▲3▼ BioRad Protein Assayを用いたタンパク質含量の測定の結果、BSA を添加した試料ではいずれも紫外線照射前0.9 mg/mL程度のBSA が検出されたが、照射後はいずれの試料においてもBSA含量は1/10〜1/20程度に減少していた。
▲4▼ 各試料の紫外線照射前後の紫外吸収スペクトル(200〜800 nm)を図6〜10に示す。DNAを添加した試料はいずれも紫外線照射前260 nmにピークトップを有する吸収スペクトルが得られるが、照射後はこのピークが減少もしくは消失していた。HAまたはCSのみを含む試料については、照射前には認められなかったピークが照射後認められた。これは照射によって分解されたHAまたはCSの断片によるものと考えられる。
▲5▼ 照射後の各試料についてカルバゾール硫酸法によるウロン酸の定量を行ったところ、いずれも呈色が認められ、低分子化後もウロン酸構造が残存していること、すなわち、構成糖自体の分解は起こっていないことが確認された。
【0057】
上記の結果により、グリコサミノグリカンはDNAまたはタンパク質が存在しているか否かにかかわらず紫外線照射により、グリコサミノグリカンの構造を維持したまま低分子化され、また共存するDNA及びタンパク質は紫外線の照射によりグリコサミノグリカンの低分子化と同時に分解することが確認された。
【0058】
従って、本発明の方法によりグリコサミノグリカンを低分子化すれば同時に含まれる核酸、タンパク質等が分解され、原料グリコサミノグリカンにそのような夾雑物が含まれていても、得られた低分子化グリコサミノグリカンを含む画分においてはそのような夾雑物も分解され、精製が容易になる。
【0059】
実施例3
紫外線照射によるガラクトサミノグリカン粗精製物の夾雑物除去
1.鶏冠粗精製物の調製
鶏冠1,500Kgに水4000Lを加えてミンチした後煮沸し、冷却後プロテアーゼ(プロナーゼ、科研製薬(株))を添加して一晩加水分解した。加水分解液に、塩化ベンザルコニウム溶液32Lを加えた後、珪藻土でろ過し、ろ過上清を捨て、珪藻土180kgを得た。この珪藻土500gに2M塩化ナトリウム溶液800mLを加え40℃に加温して、1.5時間攪拌したろ過し、ろ液に二倍量のエタノールを加え、得られた沈殿物を0.5%炭酸ナトリウムに溶解しpHを10に調整後アルカリプロテアーゼ1gを加え、45℃で一晩反応させた。反応液をろ過し、ろ液を1N水酸化ナトリウム溶液になるように調整し、40℃で1時間反応させた後中和し、ろ過した。得られたろ液に対し、42%になるようにエタノールを加え、得られた沈殿を乾燥させ、粉体3.2gを得た。
【0060】
上記粉体500mgを5%酢酸カルシウム溶液100mLに溶解し、氷浴中で、溶解液に対しエタノールを15%になるように攪拌下で加えた。生じた沈殿を遠心で除去し、上清に対してエタノールを26%になるように攪拌下でさらに加えた。得られた沈殿を遠心で回収し、乾燥させて主としてデルマタン硫酸からなるガラクトサミノグリカン粗精製物340mgを得た。
【0061】
2.実験方法
1)試料調製
上記粗精製物56mgを5mL蒸留水に溶解した.
2)紫外線照射方法
上記溶液を石英管(直径1 cm×15cm)に入れ、シリコン栓で密栓した。紫外線光源としては3000Wメタルハライドランプ(型式 UVL−3000M2)を使用した。紫外線装置としてステンレスケースに上記紫外線光源をケースの長さ方向に沿ってケース中央の位置に配置した。また光源によって試料の温度が上昇するのを防止するため、上記ステンレスケースには冷却水取り入れ口と冷却水排出口とを各1個配置し、ケースをステンレス製蓋で密閉し、紫外線照射中は流水で冷却した。これにより紫外線照射中の試料温度を19〜22℃に維持した。上記試料を封入した石英管はケース底部に光源ランプと平行に置き照射中の光源からの距離はおよそ10cmに保持した。上記条件で3時間照射した。
【0062】
3)分析方法
▲1▼紫外線照射前後の各試料を実施例2と同様にGPC−HPLCにより分析し、ガラクトサミノグリカンの低分子化を確認した。但し検出器は示差屈折計RI−8020のみを使用した。
▲2▼紫外線照射前後の各試料について紫外吸収スペクトル200〜500nmを測定した。
【0063】
4)結果
HPLCによる分析の結果、紫外線照射によってガラクトサミノグリカンの低分子化が確認できた。また紫外部吸収スペクトルの結果、照射前に確認されていた260nmにピークトップを有する吸収スペクトルが照射後は消失していること、すなわち、核酸が分解されたことが確認された。
結果を図11に示す。
上記の結果により、低分子化グリコサミノグリカンを調製する際に夾雑する核酸、タンパク質、色素等、紫外部吸収を持つ物質の除去に本発明の方法が有効であることがわかった。
【0064】
実施例4
グリコサミノグリカンの二糖組成分析
表6および表7に示す各種の硫酸化グリコサミノグリカンに実施例1と同様に紫外線を照射して低分子化するとともに、照射前後の各サイズのグリコサミノグリカンについて、常法によって構成糖に結合している硫酸基の脱離の有無を確認するため二糖組成を解析した。解析は、新生化学実験講座3糖質IIp49−62の記載に準拠して行った。
【0065】
A)照射前後のコンドロイチン硫酸
コンドロイチン硫酸をコンドロイチナーゼABC(生化学工業(株))により完全に不飽和二糖に消化したものをHPLCで二糖組成を分析した。詳細を以下より記す。
1)コンドロイチナーゼABCによる消化
1%コンドロイチン硫酸溶液20μL に、緩衝液A(0.01mol/L酢酸ナトリウム,0.05mol/L Tris−HCl,pH7.5)10μLを加え、0.5U/10μL のコンドロイチナーゼABCを添加した。37℃で2時間消化し、沸騰湯浴中で1分加熱して反応を停止した。この分解物および消化前の基質(CS)をGPC−HPLCに供し、コンドロイチン硫酸が完全に分解されていることを確認した。さらに以下の条件のHPLCで、同分解物を分析し、二糖組成を解析した。
【0066】
2)HPLCによる分析
コンドロイチナーゼABC消化液を、以下のHPLCを用いて分析した。カラムはYMC−Pack PA−120−S5イオン交換カラム(φ2.6X250mm,YMC(株))を用いた。流速1.5mL/分で60分間に0.8mol/Lリン酸水素ナトリウムを2%から100%までの直線濃度勾配で流した。不飽和コンドロ−二糖キット(生化学工業(株))の溶出位置を基準として、この間に溶出する各種不飽和二糖を232nmの吸光度を測定することにより同定し、不飽和二糖と同定されたピーク面積の総和を100%として計算して二糖組成比を求めた。結果を表6に示す。
【0067】
【表6】
Figure 2004250592
【0068】
尚、表の上段に示す不飽和二糖組成の略号はANALYTICAL BIOCHEMISTRY 177, 327−332(1989)に従う表記であり、各不飽和二糖異性体の具体的構造を図12に示した。
【0069】
B)ヘパリン(Hep)及びヘパラン硫酸(HS)
1)ヘパリン/ヘパラン硫酸分解酵素による消化
照射前後のヘパリンあるいはヘパラン硫酸1%溶液20μLに2mM酢酸カルシウムを含む20mM酢酸ナトリウム(pH7.0)10μlを加え、30mUヘパリチナーゼI、20mUのヘパリチナーゼII及び50mUヘパリナーゼを混合した酵素溶液(EMII)10μL を加えて、37℃で2時間反応させた。沸騰湯浴中で1分間加熱して反応を停止した。この分解物および消化前の基質(Hep/HS)をGPC−HPLCに供し、完全に分解されていることを確認した。さらに以下の条件のHPLCで同分解物を分析し、二糖組成を解析した。
【0070】
2)HPLCによる分析
ヘパリチナーゼI、IIおよびヘパリナーゼの混合酵素の消化液を、以下のHPLCを用いて分析した。カラムはDIONEX CarboPac PA−1イオン交換カラム(φ4X250mm,DIONEX社))を用いた。流速1mL/分で30分間に3M 塩化リチウム溶液を0から75%までの直線濃度勾配で流した。不飽和ヘパラン/ヘパリン二糖キット(生化学工業(株))の溶出位置を基準として、この間に溶出する各種不飽和二糖を232nmで同定し、不飽和二糖と同定されたピーク面積の総和を100%として計算して二糖組成比を求めた。結果を表7に示す。
【0071】
【表7】
Figure 2004250592
【0072】
尚、表の上段に示す不飽和二糖組成の略号はANALYTICAL BIOCHEMISTRY 177, 327−332(1989)に従う表記であり、各不飽和二糖異性体の具体的構造を図13に示した。
【0073】
上記の結果から、紫外線照射により得られた低分子化されたグリコサミノグリカンの二糖組成は原料グリコサミノグリカンの構造を維持し、紫外線照射によってもほとんど影響を受けないことが示された。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば新規な低分子化グリコサミノグリカンの製造方法が提供される。紫外線の光量は、低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数との比例関係に基づいて決まるため、その関係に従い光量を設定することによって所望する分子量を有する低分子化グリコサミノグリカンを調製することができる。そのため、本発明方法によれば極めて効率的に低分子化グリコサミノグリカンを製造することができ、産業上極めて有用である。また、本発明によれば原料グリコサミノグリカンに含まれ得る核酸、タンパク質等の紫外線吸収性の夾雑物が分解されると同時に滅菌も可能となり、低分子化グリコサミノグリカンの精製も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒアルロン酸についての紫外線の光量と低分子化ヒアルロン酸の分子量の逆数との関係を示すグラフである。
【図2】高分子ヒアルロン酸についての紫外線の光量と低分子化ヒアルロン酸の分子量の逆数との関係を示すグラフである。
【図3】コンドロイチン硫酸についての紫外線の光量と低分子化コンドロイチン硫酸の分子量の逆数との関係を示すグラフである。
【図4】ヘパラン硫酸についての紫外線の光量と低分子化ヘパラン硫酸の分子量の逆数との関係を示すグラフである。
【図5】ヘパリンについての紫外線の光量と低分子化ヘパリンの分子量の逆数との関係を示すグラフである。
【図6】コンドロイチン硫酸を含む試料の紫外線照射前後の紫外吸収スペクトルを示す図である。
【図7】コンドロイチン硫酸及びDNAを含む試料の紫外線照射前後の紫外吸収スペクトルを示す図である。
【図8】ヒアルロン酸を含む試料の紫外線照射前後の紫外吸収スペクトルを示す図である。
【図9】ヒアルロン酸及びDNAを含む試料の紫外線照射前後の紫外吸収スペクトルを示す図である。
【図10】DNAを含む試料の紫外線照射前後の紫外吸収スペクトルを示す図である。
【図11】ガラクトサミノグリカン粗精製物の紫外線照射前後の紫外吸収スペクトルを示す図である。
【図12】コンドロイチン硫酸構成不飽和二糖異性体の構造を示す図である。
【図13】ヘパリン及びヘパラン硫酸構成不飽和二糖異性体の構造を示す図である。

Claims (6)

  1. グリコサミノグリカンに紫外線を照射することを特徴とする低分子化グリコサミノグリカンの製造方法。
  2. 照射される紫外線の光量と生成される低分子化グリコサミノグリカンの分子量の逆数との比例関係に基づいて、所望の低分子化グリコサミノグリカンの分子量から該光量を決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸及びケラタン硫酸からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 紫外線照射時の温度を1〜37℃に保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 照射する紫外線の波長が250nm〜450nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 夾雑物を含むグリコサミノグリカン粗精製物に紫外線を照射することにより、グリコサミノグリカンを低分子化すると共に前記夾雑物を分解し、これを除去することを特徴とする精製された低分子化グリコサミノグリカンの製造方法。
JP2003042790A 2003-02-20 2003-02-20 紫外線照射による低分子化グリコサミノグリカンの製造方法 Pending JP2004250592A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003042790A JP2004250592A (ja) 2003-02-20 2003-02-20 紫外線照射による低分子化グリコサミノグリカンの製造方法
US10/781,723 US20040167243A1 (en) 2003-02-20 2004-02-20 Method for producing low molecular weight glycosaminoglycan by ultraviolet ray irradiation

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003042790A JP2004250592A (ja) 2003-02-20 2003-02-20 紫外線照射による低分子化グリコサミノグリカンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004250592A true JP2004250592A (ja) 2004-09-09

Family

ID=32866446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003042790A Pending JP2004250592A (ja) 2003-02-20 2003-02-20 紫外線照射による低分子化グリコサミノグリカンの製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20040167243A1 (ja)
JP (1) JP2004250592A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526045A (ja) * 2003-05-09 2006-11-16 ラボラトリ・デリバティ・オルガニシ・エス・ピー・エイ グリコサミノグリカンを物理的に解重合する方法およびそれから得られる生成物
WO2008059869A1 (fr) * 2006-11-16 2008-05-22 National University Corporation Chiba University Procédé de dégradation d'un polysaccharide
JP2009297007A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Makoto Yafuji 低分子コンドロイチン硫酸の製造方法
WO2011118748A1 (ja) * 2010-03-26 2011-09-29 日本製紙株式会社 セルロースナノファイバーの製造方法
JP2013199639A (ja) * 2012-02-21 2013-10-03 Hokkaido Research Organization コンドロイチン硫酸オリゴ糖を製造する方法
KR20210015377A (ko) * 2019-08-02 2021-02-10 연세대학교 산학협력단 저점도 히알루론산 제조방법

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102004062597A1 (de) * 2004-09-10 2006-03-30 Martin Holzlehner Verfahren zur Mofizierung eines Hyaluronatgeles zu einem supramolekularen Gel. Supramolekulares Hyaluronatgel und dessen Verwendung
JP5081629B2 (ja) * 2005-12-15 2012-11-28 生化学工業株式会社 長鎖コンドロイチン糖鎖及びその製造方法並びにコンドロイチン合成の促進方法
CN103554304B (zh) * 2013-11-07 2015-07-22 湖北省农业科学院农产品加工与核农技术研究所 用鲟鱼脊骨制备低分子量鲟鱼硫酸软骨素的方法
CN105566513A (zh) * 2016-02-02 2016-05-11 山东蓝孚高能物理技术股份有限公司 一种电子束辐照制备低分子硫酸软骨素的方法
CN106632728A (zh) * 2016-12-02 2017-05-10 天津市康婷生物工程有限公司 一种高分子量透明质酸产量的方法
CN106589164A (zh) * 2016-12-02 2017-04-26 天津市康婷生物工程有限公司 一种提高透明质酸产量的方法
CN115558040B (zh) * 2022-09-30 2024-01-23 华熙生物科技股份有限公司 一种无防腐剂添加的透明质酸或其盐的生产方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5166331A (en) * 1983-10-10 1992-11-24 Fidia, S.P.A. Hyaluronics acid fractions, methods for the preparation thereof, and pharmaceutical compositions containing same
IT1260148B (it) * 1992-04-17 1996-03-28 Fidia Spa Impiego di preparazioni di acido ialuronico per la formazione di tessuto osseo
EP0613907A3 (en) * 1993-03-04 1995-05-24 Genzyme Ltd Controlled reduction of the polymer molecular weight.

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526045A (ja) * 2003-05-09 2006-11-16 ラボラトリ・デリバティ・オルガニシ・エス・ピー・エイ グリコサミノグリカンを物理的に解重合する方法およびそれから得られる生成物
JP4733015B2 (ja) * 2003-05-09 2011-07-27 ラボラトリ・デリバティ・オルガニシ・エス・ピー・エイ グリコサミノグリカンを物理的に解重合する方法およびそれから得られる生成物
WO2008059869A1 (fr) * 2006-11-16 2008-05-22 National University Corporation Chiba University Procédé de dégradation d'un polysaccharide
JP5354578B2 (ja) * 2006-11-16 2013-11-27 国立大学法人 千葉大学 多糖類を低分子化する方法
JP2009297007A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Makoto Yafuji 低分子コンドロイチン硫酸の製造方法
WO2011118748A1 (ja) * 2010-03-26 2011-09-29 日本製紙株式会社 セルロースナノファイバーの製造方法
JP2013199639A (ja) * 2012-02-21 2013-10-03 Hokkaido Research Organization コンドロイチン硫酸オリゴ糖を製造する方法
KR20210015377A (ko) * 2019-08-02 2021-02-10 연세대학교 산학협력단 저점도 히알루론산 제조방법
KR102313623B1 (ko) * 2019-08-02 2021-10-19 연세대학교 산학협력단 저점도 히알루론산 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
US20040167243A1 (en) 2004-08-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Loganathan et al. Structural variation in the antithrombin III binding site region and its occurrence in heparin from different sources
Wu et al. Physicochemical characteristics and anticoagulant activities of low molecular weight fractions by free-radical depolymerization of a fucosylated chondroitin sulphate from sea cucumber Thelenata ananas
Wang et al. Control of the heparosan N-deacetylation leads to an improved bioengineered heparin
Shi et al. Chondroitin sulfate: Extraction, purification, microbial and chemical synthesis
Higashi et al. Photochemical preparation of a novel low molecular weight heparin
Zhang et al. Structural characterization of heparins from different commercial sources
RU2501811C2 (ru) Способ стерилизации посредством фильтрации разбавленных вязкоэластичных биополимеров (варианты)
JP2004250592A (ja) 紫外線照射による低分子化グリコサミノグリカンの製造方法
Reháková et al. Depolymerization reactions of hyaluronic acid in solution
Ingle et al. A world of low molecular weight heparins (LMWHs) enoxaparin as a promising moiety—A review
WO2012116048A1 (en) Single step heparosan n-deacetylation and depolymerization for making bioengineered heparin
Warda et al. Isolation and characterization of raw heparin from dromedary intestine: evaluation of a new source of pharmaceutical heparin
Linhardt et al. Low molecular weight dermatan sulfate as an antithrombotic agent structure-activity relationship studies
Boyce et al. Production, characteristics and applications of microbial heparinases
EP2707396B1 (en) Biotechnological sulphated chondroitin sulphate at position 4 or 6 on the same polysaccharide chain, and process for the preparation thereof
EP2710043B1 (en) Shark-like chondroitin sulphate and process for the preparation thereof
EP3119814B1 (en) Chondroitin sulphate purification method
JP5053512B2 (ja) 非常に大きい硫酸化度を持つk5多糖体のエピマー化誘導体
JP2006089632A (ja) 海洋生物を原料としたヘパリン様物質の調製方法
Zhang-Run et al. Heparinase digestion-based disaccharide composition analysis of heparin and heparinoid drugs
JPH0616687A (ja) ヘパリン不飽和4糖およびその製造法
RU2333222C2 (ru) Эпимеризованные производные полисахарида к5 с высокой степенью сульфатирования
Xiong et al. Recent Advances in the Bioactivities and Structural Analysis of Chondroitin Sulfate
Linker et al. Enzymatic degradation of heparin as a tool for structural analysis
EP1641831B1 (en) Process for the physical depolymerization of glycosaminoglycanes and products obtained therefrom

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090811

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100105