JP2004249848A - アウターミラー - Google Patents
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Abstract
【課題】ミラーハウジングの意匠の自由度を高めることができるとともに、少ない部品による簡単な構造で、しかも低コストでミラーの振動を効果的に防止するアウターミラーを提供する。
【解決手段】自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベース10と、このミラーベースに設けられたミラーハウジング20と、このミラーハウジングの開口部20aに鏡面が傾動可能に臨む状態で取り付けられた後方視認用のミラー31とを有し、ミラーよりも後方において、ミラーハウジングの開口部を透光性を備えた板体40で閉塞する。板体はプラスチック製であるとともに、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層41が設けられ、情報表示手段、結露防止用ヒータが設けられる。
【選択図】 図1
【解決手段】自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベース10と、このミラーベースに設けられたミラーハウジング20と、このミラーハウジングの開口部20aに鏡面が傾動可能に臨む状態で取り付けられた後方視認用のミラー31とを有し、ミラーよりも後方において、ミラーハウジングの開口部を透光性を備えた板体40で閉塞する。板体はプラスチック製であるとともに、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層41が設けられ、情報表示手段、結露防止用ヒータが設けられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に付設されるアウターミラーに関する。特に、自動車の走行時に発生するミラーの振動を低減させることができるアウターミラーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のアウターミラーとしては、例えば、自動車の車体の側面からその側方へ張り出されたミラーベースと、このミラーベースに支持されたミラーハウジングと、このミラーハウジングに傾動可能に支持された後方視認用のミラーとを有するものが知られている。なお、以下の説明において、「前後」,「左右」,「上下」は、アウターミラーを車体に取り付けた状態を基準とする。
この種のアウターミラーは、視認性を確保する観点から車体側方に突出した状態に取り付けられるため、自動車の走行時に、ミラーハウジングの後方において気流の剥離が生じやすく、特に、高速走行時には、ミラーの左右両端直後に交互に規則的なカルマン渦が発生しやすかった。このようなカルマン渦は、ミラーの鏡面の左右両端部を断続的に交互に前方(自動車の進行方向)へ押す(たたく)作用をなすため、ミラーを振動させる原因となる。このような振動がミラーに生じた場合には、視認性が著しく低下する。
【0003】
図8は、このようなカルマン渦の発生によるミラーの振動を防止することを目的として、ミラーハウジングにビード状の突起を形成したアウターミラーの従来技術の例を示したものであり、ミラーハウジング70の側面71に、ビード状の突起72が縦方向に形成されている。
このようなアウターミラーによれば、自動車走行時、図9に示すように、ミラーハウジング70の外側において、側面71に形成された突起72により乱流が発生し、これにより、側面71の後方に発生する渦73は、小さいものとなる。これとともに、側面71の反対側に発生する渦75は、渦73により後方へ追いやられる。したがって、前記のようなミラー74の左右両端部を断続的に交互に前方(自動車の進行方向)へ押す(たたく)ような渦が生じなくなる。これにより、ミラー74の振動が低減されるようになる(特許文献1参照)。
【0004】
また、その他の従来技術として、ミラーの振動を直接低減するようにしたアウターミラーが提案されている。このアウターミラーは、図10に示すように、ミラーハウジング80内にアクチュエータ81を介して傾動可能に支持されたミラー82の前部82aに、ジャイロスコープ83が設けられた構成となっている。
このようなアウターミラーによれば、ジャイロスコープ83を駆動させることにより、ミラー82が振動するのを抑制することができる(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−226276号公報([0008]−[0015],図1−図4)
【特許文献2】
特開平7−304391号公報([0017]−[0020],図5−図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されたものは、前記カルマン渦によるミラー74の振動を防止するために、ミラーハウジング70の側面71に突起72を形成しなければならないため、ミラーハウジング70の意匠が制約されるという問題があった。
また、特許文献2に開示されたものは、ミラー82の振動を防止するためにジャイロスコープ83を用いているので、ジャイロスコープ83の構成部品であるバランサやモータ等が必要であり、部品点数が多く、構造が複雑であるとともにコスト高であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、ミラーハウジングの意匠の自由度を高めることができ、自動車走行時に走行風がミラーの鏡面を押す(たたく)ことにより生じるミラーの振動を、少ない部品による簡単な構造で、しかも低コストで防止することができるアウターミラーを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するため、請求項1記載のアウターミラーは、自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースと、このミラーベースに設けられたミラーハウジングと、このミラーハウジングの開口部に鏡面が傾動可能に臨む状態で取り付けられた後方視認用のミラーとを有し、前記ミラーよりも後方において、前記ミラーハウジングの開口部を透光性を備えた板体で閉塞したことを特徴とする。
【0009】
このようなアウターミラーによれば、ミラーの鏡面が傾動可能に臨むミラーハウジングの開口部が、透光性を備えた板体で閉塞されるので、ミラーは板体で覆われて保護された状態となり、自動車走行時にミラーハウジングからミラーの鏡面側に回り込んできた走行風は、板体で遮断されてミラーの鏡面に到達しなくなる。これにより、ミラーの鏡面を走行風が押す(たたく)という現象が根本的に生じなくなる。したがって、従来のようなビード状の突起をミラーハウジングに設ける必要もなくなるので、ミラーハウジングの意匠の自由度を飛躍的に高めることができるようになる。しかも、ミラーハウジングの開口部を板体で閉塞するだけで、走行風に起因するミラーの振動が防止されるので、部品点数が少なく構造が簡単であるとともに、低コストで実現することができるという利点が得られる。
【0010】
さらに、板体は、透光性を備えているので、ミラーハウジングの開口部が板体で閉塞されるという構造であるにもかかわらず、ミラーの視認性は損なわれない。しかも、ミラーは、板体で保護された状態となるので、雨水等が直接当たることもなくなり、汚れなくなる。したがって、ミラーの良好な視認性を永続的に維持することが可能となる。
また、板体は、ミラーハウジングの開口部を閉塞するので、開口部における補強材としての機能も有する。したがって、ミラーハウジングの剛性が高まるという利点も得られる。
【0011】
請求項2記載のアウターミラーは、請求項1に記載のアウターミラーにおいて、板体は、プラスチック製であるので、軽量で強度を備えたものとすることができるとともに、ミラーの振動防止を安価に実現することができる。なお、好ましくは、表面が滑らかで透光性に優れ、かつ、走行風の影響でゆがむことの起り難いもの、例えば、薄くて所望の強度を有するアクリル板等を用いる。
【0012】
請求項3記載のアウターミラーは、請求項1又は請求項2に記載のアウターミラーにおいて、前記板体には、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このようなアウターミラーによれば、EC素子に通電してEC素子の着色量を変化させることにより、板体の光透過率を変化(低減)させることができ、これによって、夜間走行時等に他車のライトによる眩惑を緩和したり防止したりすることができる。
【0014】
請求項4記載のアウターミラーには、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、前記板体には、情報表示手段が設けられていることを特徴とする。
【0015】
このようなアウターミラーによれば、車体から突出して設けられるというアウターミラーの構造上の特徴を活かして、様々な情報、例えば、左折,右折の合図等の情報を表示して歩行者や後続車等に知らしめたり、運転者に有用な速度情報などを表示させることができる。
【0016】
請求項5記載のアウターミラーは、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、前記板体には、結露防止用ヒータが設けられていることを特徴とする。
【0017】
このようなアウターミラーによれば、結露防止用ヒータに通電することにより、板体を温めることができ、これにより、板体に曇りが発生したり、さらに、その曇りが結露に成長したとしても、これを除去することができるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るアウターミラーの実施の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0019】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係るアウターミラーを示した図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、図1(a)の一部省略A−A断面図、図2は、図1(b)に示したミラーハウジングの先端部分の拡大図である。本実施の形態に係るアウターミラーは、図示しない自動車の車体のサイドドアー付近に付設されるいわゆるドアミラーであり、ミラーベース10と、このミラーベース10に対して、水平方向回動自在に設けられたミラーハウジング20と、このミラーハウジング20の開口部20aに鏡面31aが臨む状態で取り付けられた後方視認用のミラー31とから構成されている。ミラーハウジング20の開口部20aは、ミラー31よりも後方において、板体40で閉塞されており、したがって、ミラー31は、この板体40で覆われて開口部20aに対し露出不能となっている。
【0020】
また、本実施形態に係るアウターミラーは電動格納式であり、ミラーハウジング20は、ミラーベース10の上面に設けられる図示しないシャフトに対して回動可能に取り付けられている。
【0021】
ミラーベース10は、本実施形態では、合成樹脂製であり、自動車のサイドドアーの前端部に設けられた図示しない取付座に固定するための取付板11と、この取付板11の下部から側方に向かって張り出す張出部12とから構成されている。本実施形態では、取付板11と張出部12とが一体に形成されている。
【0022】
ミラーハウジング20は、合成樹脂製であり、前記ミラーベース10の図示しないシャフトに取り付けられたフレーム21(図1(b)参照)に支持されている。このフレーム21の後面には、ミラーアッセンブリ30が取り付けられている。
【0023】
ミラーアッセンブリ30は、前記ミラー31と、このミラー31の鏡面31aの向きを調節するためのアクチュエータ32とから構成されている。
ミラー31は、ホルダ33に接着剤等により固定され、ホルダ33の前部に設けられた取付け部34を介してアクチュエータ32に取り付けられている。
アクチュエータ32は、図示は省略するが、ミラー31の上下方向の向きを調節するモータと左右方向の向きを調節するモータとを備え、これらのモータの回転方向を適宜制御することでミラー31の鏡面31aの向きが調節される。ミラーハウジング20とミラー31との間には、このミラー31の傾動を確保するための隙間Sが設けられている。なお、アクチュエータ32は、前記シャフトを通じてミラーハウジング20内に配索された図示しないワイヤーハーネスにより電力の供給を受ける。
【0024】
板体40は、図1(b),図2に示すように、本実施形態では、表面が滑らかで透明なプラスチック製の板を用いている。具体的には、透光性に優れ、かつ、薄さを備えつつ、走行風の影響でゆがむことの起り難い強度を有するアクリル板等を用いる。なお、板体40としては、ガラスやアクリル配合のガラス等、あるいはその他の合成樹脂材等により形成されたものを採用することができる。
板体40は、図2に示すように、ミラーハウジング20の開口部20aの内周壁20a1に形成された溝部21に、その周縁部40aがきつく嵌まり込むことにより、取り付けられる。なお、溝部21にパッキン材等を介して板体40が嵌まり込むように構成しても良く、この場合には、溝部21と板体40との密着性および防湿性を高めることができるようになる。
【0025】
このような板体40には、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層41が設けられている。このEC層41は、基板42との間に挟み込まれる状態で板体40の前面(ミラー31との対向面)に形成されている。
EC層41のEC素子は、図3に示すような光量差検出回路44とEC素子駆動回路45とを備えた制御回路41aにより制御される。光量差検出回路44は、車体の周囲光量を検出する周囲光量センサ43aと、車体の後方光量を検出する後方光量センサ43bとにより検出された光量の差を検出し、その光量の差に応じて予め設定された信号をEC素子駆動回路45に出力する。EC素子駆動回路45は、この光量差検出回路44からの出力信号に基づいて、EC層41のEC素子を駆動する。
【0026】
例えば、光量差検出回路44は、周囲光量に対する後方光量の増分が大きくなるに従い、EC素子の着色量を多くするための信号をEC素子駆動回路45に出力して、EC層41の光透過率を変化(低減)させる。これにより、板体40の防眩状態が得られるようになる。
なお、周囲光量センサ43a,後方光量センサ43bは、フォトダイオードやCdS等で構成され、その設置場所としては、ミラーハウジング20やその周辺位置、あるいは図示しない車内のバックミラー近傍位置などが挙げられる。
また、EC層41には、図示しないワイヤーハーネスが接続されている。
なお、板体40の前面や後面に、公知の反射防止膜を設けても良い。このような反射防止膜を板体40に設けることにより、視認性の良いアウターミラーが得られる。
【0027】
上記した本実施形態のアウターミラーによれば、ミラーハウジング20の開口部20aが、ミラー31よりも後方において、透光性を備えた板体40で閉塞されているので、次のような作用効果が得られる。
【0028】
図1(b)に実線で示すように、自動車走行時にミラーハウジング20からミラー31の鏡面31a側に回り込んできた走行風Wは、板体40で遮断されてミラー31の鏡面31aに到達しなくなる。これにより、従来のような、ミラー31の鏡面31aを走行風Wが直接押す(たたく)という現象が起らなくなる。したがって、自動車走行時の走行風Wに起因するミラー31の振動を簡単な構造で効果的に防止することができるとともに、従来のようなビード状の突起をミラーハウジング20に設ける必要もなくなり、ミラーハウジング20の意匠の自由度、延いてはアウターミラー全体としての意匠の自由度を飛躍的に高めることができるようになる。
しかも、ミラーハウジング20の開口部20aを板体40で閉塞するだけで、走行風Wに起因するミラー31の振動が防止されるので、部品点数が少なく組付けも簡単であるとともに、低コストで実現することができるという利点が得られる。
【0029】
さらに、板体40は、透光性を備えているので、ミラーハウジング20の開口部20aが板体40で閉塞されるという構造であるにもかかわらず、ミラー31の視認性が損なわれることがない。さらに、ミラー31は、板体40で保護された状態となるので、雨水等が直接当たることもなくなり、汚れなくなる。したがって、ミラー31の良好な視認性を永続的に維持することが可能となる。
さらに、板体40は、ミラーハウジング20の開口部20aを閉塞するので、開口部20aにおける補強材としての機能も有する。したがって、ミラーハウジング20の剛性が高まるという利点も得られる。
【0030】
このようなアウターミラーにおいて、板体40をミラーハウジング20に取り付けた状態とそうでない状態とにおける振動評価を行った。結果は、図4に示す通りである。
図4(a)は、ミラーハウジング20に板体40が取り付けられていない(ノーマル)状態における時間と振動加速度との関係を表したグラフであり、図4(b)は、板体40で開口部20aを閉塞した状態における時間と振動加速度との関係を表したグラフである。また、図4(c)は、図4(a),(b)の値を相互に重ねて表したグラフである。
図4(b)から明らかの如く、本実施形態の板体40を設けたアウターミラーは、図4(a)のノーマル状態におけるアウターミラーと比較して、振動が明らかに減じられており、防振効果が向上していることがわかる。図4(c)に示すように、両者を重ねて表わすと、その差は明らかである。測定条件は、両者とも同じであり、前記特性の違いは、板体40でミラーハウジング20の開口部20aを閉塞したことによるのみである。すなわち、本実施形態において前記したような特性の向上が図れたのは、走行風W(図1(b)参照)に起因するミラー31の振動現象を低減することができたからである。
【0031】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第二の実施形態に係るアウターミラーを示した図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、図5(a)の一部省略B−B断面図である。本実施の形態のアウターミラーが前記第一の実施形態のアウターミラーと異なるところは、板体40の前面(ミラー31との対向面)に情報表示手段としてのモニタ50を設けた点にある。
【0032】
モニタ50は、本実施形態では、透明な薄膜のELパネルを用いている。このELパネルは、例えば、概略次のようにして形成される。まず、基板となるガラス板などの表面にITO(インジウム錫酸化物)からなる透明導電膜を形成し、フォトエッチングして、平行な帯状の透明電極を形成し、電子ビーム蒸着法またはスパッタ法によって、下部絶縁層、発光層、膜を有する上部絶縁層を形成する。その後、電子ビーム蒸着法によって金属膜を形成し、フォトエッチングして、帯状の背面電極と端子電極を形成する。このようにして透明な薄膜のELパネルが形成される。なお、図中、ELパネルへのワイヤーハーネスは省略した。また、透明な薄膜のELパネルは、これに限らず、種々の方法により形成可能である。
【0033】
モニタ50には、種々の情報、例えば、文字,記号,模様,画像等による情報を表示することが可能であり、その表示制御は、図示しない運転席周りに設置された制御装置によって行われる。表示情報としては、例えば、転回方向を知らしめるための矢印図柄や図示しない文字による表示「左折」,「右折」などがある。本実施形態では、モニタ50が図示しない車体寄りに設けられているので、車内向けのモニタ50として使用することもできる。この場合には、例えば、車速度,走行距離,温度,燃料の残量,燃費,外気温度,車内温度,エアコン設定温度等の一般的に運転席周りの表示装置に表示されるような情報等も選択的に表示させることができる。
【0034】
なお、前記表示制御装置には、モニタ50に表示することが可能な、文字,記号,模様,画像等の情報が予めメモリ等によって記憶されており、これらの情報は、運転者の好みや使用頻度等に合わせて削除、あるいは、追加(例えば、メモリを交換すること等による。)することが可能である。また、将来、モバイルや携帯電話等を利用した配信サービスにより、情報を書き換えたり追加したりすることも可能である。
【0035】
(第三の実施の形態)
図6は、本発明の第三の実施形態に係るアウターミラーを示す一部省略断面図である。本実施の形態のアウターミラーが前記第一,第二の実施形態のアウターミラーと異なるところは、板体40の前面(ミラー31との対向面)に結露防止用ヒータ60を設けた点にある。
【0036】
結露防止用ヒータ60は、板体40の前面ほぼ全体を覆う状態に設けられており、板体40の光透過性を妨げることのない、透明電極により構成されている。したがって、結露防止用ヒータ60に電圧を印加することにより、板体40の温度を上昇させることができる。これにより、板体40の前面(板体40の前面は、ヒータ60であるのでヒータ面。)あるいは後面に曇りが発生したり、さらに、その曇りが結露に成長したとしても、これを除去することができる。
なお、結露防止用ヒータ60は、このような構成に限られず、図7に示すように、板体40の縁部40bの一部又は全体に、小型のヒータ61で縁どりをするようにして設けても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上説明した通り、請求項1記載のアウターミラーによれば、ミラーハウジングの開口部が、ミラーよりも後方において、透光性を備えた板体で閉塞されているので、自動車走行時にミラーハウジングからミラーの鏡面側に回り込んできた走行風は、板体で遮断されてミラーの鏡面に到達しなくなる。これにより、ミラーの鏡面を走行風が押す(たたく)という現象が根本的に生じなくなる。したがって、従来のようなビード状の突起をミラーハウジングに設ける必要もなくなり、ミラーハウジングの意匠の自由度を飛躍的に高めることができるようになる。しかも、ミラーハウジングの開口部を板体で閉塞するだけで、走行風に起因するミラーの振動が防止されるので、部品点数が少なく構造が簡単であるとともに、低コストで実現することができるという利点が得られる。
【0038】
しかも、板体は、透光性を備えているので、ミラーハウジングの開口部が板体で閉塞されるという構造であるにもかかわらず、ミラーの視認性は損なわれない。さらに、ミラーは、板体で保護された状態となるので、雨水等が直接当たることもなくなり、汚れなくなる。したがって、ミラーの良好な視認性を永続的に維持することが可能となる。
さらに、板体は、ミラーハウジングの開口部を閉塞するので、開口部における補強材としての機能も有する。したがって、ミラーハウジングの剛性が高まるという利点も得られる。
【0039】
また、請求項2記載のアウターミラーによれば、板体が、プラスチック製であるので、軽量で強度を備えたものとすることができるとともに、ミラーの振動防止を安価に実現することができる。
【0040】
さらに、請求項3記載のアウターミラーによれば、板体には、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層が設けられているので、EC素子に通電してEC素子の着色量を多くすることにより、板体の光透過率を変化(低減)させることができ、これによって、夜間走行時等に他車のライトによる眩惑を緩和したり防止したりすることができる。
【0041】
また、請求項4記載のアウターミラーによれば、板体には、情報表示手段が設けられているので、車体から突出して設けられるというアウターミラーの構造上の特徴を活かして、様々な情報、例えば、左折,右折の合図等の情報を表示して歩行者や後続車等に知らしめたり、運転者に有用な速度情報などを表示させることができる。
【0042】
さらに、請求項5記載のアウターミラーによれば、板体には、結露防止用ヒータが設けられているので、結露防止用ヒータに通電することにより、板体を温めることができ、板体に曇りが発生したり、さらに、その曇りが結露に成長したとしても、これを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るアウターミラーを示した図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、図1(a)の一部省略A−A断面図である。
【図2】図1(b)に示したミラーハウジングの先端部分の拡大図である。
【図3】EC層のEC素子を制御する回路を説明するためのブロック図である。
【図4】時間と振動加速度との関係を表したグラフであり、(a)は、ミラーハウジングに板体が取り付けられていない(ノーマル)状態における関係を表したグラフであり、(b)は、板体で開口部を閉塞した状態における関係を表したグラフであり、(c)は、図4(a),(b)の値を相互に重ねて表したグラフである。
【図5】本発明の第二の実施形態に係るアウターミラーを示した図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、図5(a)の一部省略A−A断面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係るアウターミラーを示す一部省略断面図である。
【図7】その他のヒータ設置例を示す要部拡大断面図である。
【図8】従来のアウターミラーを説明するための斜視図である。
【図9】従来のアウターミラーの作用説明図である。
【図10】従来の他のアウターミラーを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 ミラーベース
11 取付板
12 張出部
20 ミラーハウジング
20a 開口部
31 ミラー
31a 鏡面
40 板体
50 モニタ
60 結露防止用ヒータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に付設されるアウターミラーに関する。特に、自動車の走行時に発生するミラーの振動を低減させることができるアウターミラーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のアウターミラーとしては、例えば、自動車の車体の側面からその側方へ張り出されたミラーベースと、このミラーベースに支持されたミラーハウジングと、このミラーハウジングに傾動可能に支持された後方視認用のミラーとを有するものが知られている。なお、以下の説明において、「前後」,「左右」,「上下」は、アウターミラーを車体に取り付けた状態を基準とする。
この種のアウターミラーは、視認性を確保する観点から車体側方に突出した状態に取り付けられるため、自動車の走行時に、ミラーハウジングの後方において気流の剥離が生じやすく、特に、高速走行時には、ミラーの左右両端直後に交互に規則的なカルマン渦が発生しやすかった。このようなカルマン渦は、ミラーの鏡面の左右両端部を断続的に交互に前方(自動車の進行方向)へ押す(たたく)作用をなすため、ミラーを振動させる原因となる。このような振動がミラーに生じた場合には、視認性が著しく低下する。
【0003】
図8は、このようなカルマン渦の発生によるミラーの振動を防止することを目的として、ミラーハウジングにビード状の突起を形成したアウターミラーの従来技術の例を示したものであり、ミラーハウジング70の側面71に、ビード状の突起72が縦方向に形成されている。
このようなアウターミラーによれば、自動車走行時、図9に示すように、ミラーハウジング70の外側において、側面71に形成された突起72により乱流が発生し、これにより、側面71の後方に発生する渦73は、小さいものとなる。これとともに、側面71の反対側に発生する渦75は、渦73により後方へ追いやられる。したがって、前記のようなミラー74の左右両端部を断続的に交互に前方(自動車の進行方向)へ押す(たたく)ような渦が生じなくなる。これにより、ミラー74の振動が低減されるようになる(特許文献1参照)。
【0004】
また、その他の従来技術として、ミラーの振動を直接低減するようにしたアウターミラーが提案されている。このアウターミラーは、図10に示すように、ミラーハウジング80内にアクチュエータ81を介して傾動可能に支持されたミラー82の前部82aに、ジャイロスコープ83が設けられた構成となっている。
このようなアウターミラーによれば、ジャイロスコープ83を駆動させることにより、ミラー82が振動するのを抑制することができる(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−226276号公報([0008]−[0015],図1−図4)
【特許文献2】
特開平7−304391号公報([0017]−[0020],図5−図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されたものは、前記カルマン渦によるミラー74の振動を防止するために、ミラーハウジング70の側面71に突起72を形成しなければならないため、ミラーハウジング70の意匠が制約されるという問題があった。
また、特許文献2に開示されたものは、ミラー82の振動を防止するためにジャイロスコープ83を用いているので、ジャイロスコープ83の構成部品であるバランサやモータ等が必要であり、部品点数が多く、構造が複雑であるとともにコスト高であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、ミラーハウジングの意匠の自由度を高めることができ、自動車走行時に走行風がミラーの鏡面を押す(たたく)ことにより生じるミラーの振動を、少ない部品による簡単な構造で、しかも低コストで防止することができるアウターミラーを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するため、請求項1記載のアウターミラーは、自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースと、このミラーベースに設けられたミラーハウジングと、このミラーハウジングの開口部に鏡面が傾動可能に臨む状態で取り付けられた後方視認用のミラーとを有し、前記ミラーよりも後方において、前記ミラーハウジングの開口部を透光性を備えた板体で閉塞したことを特徴とする。
【0009】
このようなアウターミラーによれば、ミラーの鏡面が傾動可能に臨むミラーハウジングの開口部が、透光性を備えた板体で閉塞されるので、ミラーは板体で覆われて保護された状態となり、自動車走行時にミラーハウジングからミラーの鏡面側に回り込んできた走行風は、板体で遮断されてミラーの鏡面に到達しなくなる。これにより、ミラーの鏡面を走行風が押す(たたく)という現象が根本的に生じなくなる。したがって、従来のようなビード状の突起をミラーハウジングに設ける必要もなくなるので、ミラーハウジングの意匠の自由度を飛躍的に高めることができるようになる。しかも、ミラーハウジングの開口部を板体で閉塞するだけで、走行風に起因するミラーの振動が防止されるので、部品点数が少なく構造が簡単であるとともに、低コストで実現することができるという利点が得られる。
【0010】
さらに、板体は、透光性を備えているので、ミラーハウジングの開口部が板体で閉塞されるという構造であるにもかかわらず、ミラーの視認性は損なわれない。しかも、ミラーは、板体で保護された状態となるので、雨水等が直接当たることもなくなり、汚れなくなる。したがって、ミラーの良好な視認性を永続的に維持することが可能となる。
また、板体は、ミラーハウジングの開口部を閉塞するので、開口部における補強材としての機能も有する。したがって、ミラーハウジングの剛性が高まるという利点も得られる。
【0011】
請求項2記載のアウターミラーは、請求項1に記載のアウターミラーにおいて、板体は、プラスチック製であるので、軽量で強度を備えたものとすることができるとともに、ミラーの振動防止を安価に実現することができる。なお、好ましくは、表面が滑らかで透光性に優れ、かつ、走行風の影響でゆがむことの起り難いもの、例えば、薄くて所望の強度を有するアクリル板等を用いる。
【0012】
請求項3記載のアウターミラーは、請求項1又は請求項2に記載のアウターミラーにおいて、前記板体には、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このようなアウターミラーによれば、EC素子に通電してEC素子の着色量を変化させることにより、板体の光透過率を変化(低減)させることができ、これによって、夜間走行時等に他車のライトによる眩惑を緩和したり防止したりすることができる。
【0014】
請求項4記載のアウターミラーには、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、前記板体には、情報表示手段が設けられていることを特徴とする。
【0015】
このようなアウターミラーによれば、車体から突出して設けられるというアウターミラーの構造上の特徴を活かして、様々な情報、例えば、左折,右折の合図等の情報を表示して歩行者や後続車等に知らしめたり、運転者に有用な速度情報などを表示させることができる。
【0016】
請求項5記載のアウターミラーは、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、前記板体には、結露防止用ヒータが設けられていることを特徴とする。
【0017】
このようなアウターミラーによれば、結露防止用ヒータに通電することにより、板体を温めることができ、これにより、板体に曇りが発生したり、さらに、その曇りが結露に成長したとしても、これを除去することができるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るアウターミラーの実施の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0019】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係るアウターミラーを示した図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、図1(a)の一部省略A−A断面図、図2は、図1(b)に示したミラーハウジングの先端部分の拡大図である。本実施の形態に係るアウターミラーは、図示しない自動車の車体のサイドドアー付近に付設されるいわゆるドアミラーであり、ミラーベース10と、このミラーベース10に対して、水平方向回動自在に設けられたミラーハウジング20と、このミラーハウジング20の開口部20aに鏡面31aが臨む状態で取り付けられた後方視認用のミラー31とから構成されている。ミラーハウジング20の開口部20aは、ミラー31よりも後方において、板体40で閉塞されており、したがって、ミラー31は、この板体40で覆われて開口部20aに対し露出不能となっている。
【0020】
また、本実施形態に係るアウターミラーは電動格納式であり、ミラーハウジング20は、ミラーベース10の上面に設けられる図示しないシャフトに対して回動可能に取り付けられている。
【0021】
ミラーベース10は、本実施形態では、合成樹脂製であり、自動車のサイドドアーの前端部に設けられた図示しない取付座に固定するための取付板11と、この取付板11の下部から側方に向かって張り出す張出部12とから構成されている。本実施形態では、取付板11と張出部12とが一体に形成されている。
【0022】
ミラーハウジング20は、合成樹脂製であり、前記ミラーベース10の図示しないシャフトに取り付けられたフレーム21(図1(b)参照)に支持されている。このフレーム21の後面には、ミラーアッセンブリ30が取り付けられている。
【0023】
ミラーアッセンブリ30は、前記ミラー31と、このミラー31の鏡面31aの向きを調節するためのアクチュエータ32とから構成されている。
ミラー31は、ホルダ33に接着剤等により固定され、ホルダ33の前部に設けられた取付け部34を介してアクチュエータ32に取り付けられている。
アクチュエータ32は、図示は省略するが、ミラー31の上下方向の向きを調節するモータと左右方向の向きを調節するモータとを備え、これらのモータの回転方向を適宜制御することでミラー31の鏡面31aの向きが調節される。ミラーハウジング20とミラー31との間には、このミラー31の傾動を確保するための隙間Sが設けられている。なお、アクチュエータ32は、前記シャフトを通じてミラーハウジング20内に配索された図示しないワイヤーハーネスにより電力の供給を受ける。
【0024】
板体40は、図1(b),図2に示すように、本実施形態では、表面が滑らかで透明なプラスチック製の板を用いている。具体的には、透光性に優れ、かつ、薄さを備えつつ、走行風の影響でゆがむことの起り難い強度を有するアクリル板等を用いる。なお、板体40としては、ガラスやアクリル配合のガラス等、あるいはその他の合成樹脂材等により形成されたものを採用することができる。
板体40は、図2に示すように、ミラーハウジング20の開口部20aの内周壁20a1に形成された溝部21に、その周縁部40aがきつく嵌まり込むことにより、取り付けられる。なお、溝部21にパッキン材等を介して板体40が嵌まり込むように構成しても良く、この場合には、溝部21と板体40との密着性および防湿性を高めることができるようになる。
【0025】
このような板体40には、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層41が設けられている。このEC層41は、基板42との間に挟み込まれる状態で板体40の前面(ミラー31との対向面)に形成されている。
EC層41のEC素子は、図3に示すような光量差検出回路44とEC素子駆動回路45とを備えた制御回路41aにより制御される。光量差検出回路44は、車体の周囲光量を検出する周囲光量センサ43aと、車体の後方光量を検出する後方光量センサ43bとにより検出された光量の差を検出し、その光量の差に応じて予め設定された信号をEC素子駆動回路45に出力する。EC素子駆動回路45は、この光量差検出回路44からの出力信号に基づいて、EC層41のEC素子を駆動する。
【0026】
例えば、光量差検出回路44は、周囲光量に対する後方光量の増分が大きくなるに従い、EC素子の着色量を多くするための信号をEC素子駆動回路45に出力して、EC層41の光透過率を変化(低減)させる。これにより、板体40の防眩状態が得られるようになる。
なお、周囲光量センサ43a,後方光量センサ43bは、フォトダイオードやCdS等で構成され、その設置場所としては、ミラーハウジング20やその周辺位置、あるいは図示しない車内のバックミラー近傍位置などが挙げられる。
また、EC層41には、図示しないワイヤーハーネスが接続されている。
なお、板体40の前面や後面に、公知の反射防止膜を設けても良い。このような反射防止膜を板体40に設けることにより、視認性の良いアウターミラーが得られる。
【0027】
上記した本実施形態のアウターミラーによれば、ミラーハウジング20の開口部20aが、ミラー31よりも後方において、透光性を備えた板体40で閉塞されているので、次のような作用効果が得られる。
【0028】
図1(b)に実線で示すように、自動車走行時にミラーハウジング20からミラー31の鏡面31a側に回り込んできた走行風Wは、板体40で遮断されてミラー31の鏡面31aに到達しなくなる。これにより、従来のような、ミラー31の鏡面31aを走行風Wが直接押す(たたく)という現象が起らなくなる。したがって、自動車走行時の走行風Wに起因するミラー31の振動を簡単な構造で効果的に防止することができるとともに、従来のようなビード状の突起をミラーハウジング20に設ける必要もなくなり、ミラーハウジング20の意匠の自由度、延いてはアウターミラー全体としての意匠の自由度を飛躍的に高めることができるようになる。
しかも、ミラーハウジング20の開口部20aを板体40で閉塞するだけで、走行風Wに起因するミラー31の振動が防止されるので、部品点数が少なく組付けも簡単であるとともに、低コストで実現することができるという利点が得られる。
【0029】
さらに、板体40は、透光性を備えているので、ミラーハウジング20の開口部20aが板体40で閉塞されるという構造であるにもかかわらず、ミラー31の視認性が損なわれることがない。さらに、ミラー31は、板体40で保護された状態となるので、雨水等が直接当たることもなくなり、汚れなくなる。したがって、ミラー31の良好な視認性を永続的に維持することが可能となる。
さらに、板体40は、ミラーハウジング20の開口部20aを閉塞するので、開口部20aにおける補強材としての機能も有する。したがって、ミラーハウジング20の剛性が高まるという利点も得られる。
【0030】
このようなアウターミラーにおいて、板体40をミラーハウジング20に取り付けた状態とそうでない状態とにおける振動評価を行った。結果は、図4に示す通りである。
図4(a)は、ミラーハウジング20に板体40が取り付けられていない(ノーマル)状態における時間と振動加速度との関係を表したグラフであり、図4(b)は、板体40で開口部20aを閉塞した状態における時間と振動加速度との関係を表したグラフである。また、図4(c)は、図4(a),(b)の値を相互に重ねて表したグラフである。
図4(b)から明らかの如く、本実施形態の板体40を設けたアウターミラーは、図4(a)のノーマル状態におけるアウターミラーと比較して、振動が明らかに減じられており、防振効果が向上していることがわかる。図4(c)に示すように、両者を重ねて表わすと、その差は明らかである。測定条件は、両者とも同じであり、前記特性の違いは、板体40でミラーハウジング20の開口部20aを閉塞したことによるのみである。すなわち、本実施形態において前記したような特性の向上が図れたのは、走行風W(図1(b)参照)に起因するミラー31の振動現象を低減することができたからである。
【0031】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第二の実施形態に係るアウターミラーを示した図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、図5(a)の一部省略B−B断面図である。本実施の形態のアウターミラーが前記第一の実施形態のアウターミラーと異なるところは、板体40の前面(ミラー31との対向面)に情報表示手段としてのモニタ50を設けた点にある。
【0032】
モニタ50は、本実施形態では、透明な薄膜のELパネルを用いている。このELパネルは、例えば、概略次のようにして形成される。まず、基板となるガラス板などの表面にITO(インジウム錫酸化物)からなる透明導電膜を形成し、フォトエッチングして、平行な帯状の透明電極を形成し、電子ビーム蒸着法またはスパッタ法によって、下部絶縁層、発光層、膜を有する上部絶縁層を形成する。その後、電子ビーム蒸着法によって金属膜を形成し、フォトエッチングして、帯状の背面電極と端子電極を形成する。このようにして透明な薄膜のELパネルが形成される。なお、図中、ELパネルへのワイヤーハーネスは省略した。また、透明な薄膜のELパネルは、これに限らず、種々の方法により形成可能である。
【0033】
モニタ50には、種々の情報、例えば、文字,記号,模様,画像等による情報を表示することが可能であり、その表示制御は、図示しない運転席周りに設置された制御装置によって行われる。表示情報としては、例えば、転回方向を知らしめるための矢印図柄や図示しない文字による表示「左折」,「右折」などがある。本実施形態では、モニタ50が図示しない車体寄りに設けられているので、車内向けのモニタ50として使用することもできる。この場合には、例えば、車速度,走行距離,温度,燃料の残量,燃費,外気温度,車内温度,エアコン設定温度等の一般的に運転席周りの表示装置に表示されるような情報等も選択的に表示させることができる。
【0034】
なお、前記表示制御装置には、モニタ50に表示することが可能な、文字,記号,模様,画像等の情報が予めメモリ等によって記憶されており、これらの情報は、運転者の好みや使用頻度等に合わせて削除、あるいは、追加(例えば、メモリを交換すること等による。)することが可能である。また、将来、モバイルや携帯電話等を利用した配信サービスにより、情報を書き換えたり追加したりすることも可能である。
【0035】
(第三の実施の形態)
図6は、本発明の第三の実施形態に係るアウターミラーを示す一部省略断面図である。本実施の形態のアウターミラーが前記第一,第二の実施形態のアウターミラーと異なるところは、板体40の前面(ミラー31との対向面)に結露防止用ヒータ60を設けた点にある。
【0036】
結露防止用ヒータ60は、板体40の前面ほぼ全体を覆う状態に設けられており、板体40の光透過性を妨げることのない、透明電極により構成されている。したがって、結露防止用ヒータ60に電圧を印加することにより、板体40の温度を上昇させることができる。これにより、板体40の前面(板体40の前面は、ヒータ60であるのでヒータ面。)あるいは後面に曇りが発生したり、さらに、その曇りが結露に成長したとしても、これを除去することができる。
なお、結露防止用ヒータ60は、このような構成に限られず、図7に示すように、板体40の縁部40bの一部又は全体に、小型のヒータ61で縁どりをするようにして設けても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上説明した通り、請求項1記載のアウターミラーによれば、ミラーハウジングの開口部が、ミラーよりも後方において、透光性を備えた板体で閉塞されているので、自動車走行時にミラーハウジングからミラーの鏡面側に回り込んできた走行風は、板体で遮断されてミラーの鏡面に到達しなくなる。これにより、ミラーの鏡面を走行風が押す(たたく)という現象が根本的に生じなくなる。したがって、従来のようなビード状の突起をミラーハウジングに設ける必要もなくなり、ミラーハウジングの意匠の自由度を飛躍的に高めることができるようになる。しかも、ミラーハウジングの開口部を板体で閉塞するだけで、走行風に起因するミラーの振動が防止されるので、部品点数が少なく構造が簡単であるとともに、低コストで実現することができるという利点が得られる。
【0038】
しかも、板体は、透光性を備えているので、ミラーハウジングの開口部が板体で閉塞されるという構造であるにもかかわらず、ミラーの視認性は損なわれない。さらに、ミラーは、板体で保護された状態となるので、雨水等が直接当たることもなくなり、汚れなくなる。したがって、ミラーの良好な視認性を永続的に維持することが可能となる。
さらに、板体は、ミラーハウジングの開口部を閉塞するので、開口部における補強材としての機能も有する。したがって、ミラーハウジングの剛性が高まるという利点も得られる。
【0039】
また、請求項2記載のアウターミラーによれば、板体が、プラスチック製であるので、軽量で強度を備えたものとすることができるとともに、ミラーの振動防止を安価に実現することができる。
【0040】
さらに、請求項3記載のアウターミラーによれば、板体には、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層が設けられているので、EC素子に通電してEC素子の着色量を多くすることにより、板体の光透過率を変化(低減)させることができ、これによって、夜間走行時等に他車のライトによる眩惑を緩和したり防止したりすることができる。
【0041】
また、請求項4記載のアウターミラーによれば、板体には、情報表示手段が設けられているので、車体から突出して設けられるというアウターミラーの構造上の特徴を活かして、様々な情報、例えば、左折,右折の合図等の情報を表示して歩行者や後続車等に知らしめたり、運転者に有用な速度情報などを表示させることができる。
【0042】
さらに、請求項5記載のアウターミラーによれば、板体には、結露防止用ヒータが設けられているので、結露防止用ヒータに通電することにより、板体を温めることができ、板体に曇りが発生したり、さらに、その曇りが結露に成長したとしても、これを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るアウターミラーを示した図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、図1(a)の一部省略A−A断面図である。
【図2】図1(b)に示したミラーハウジングの先端部分の拡大図である。
【図3】EC層のEC素子を制御する回路を説明するためのブロック図である。
【図4】時間と振動加速度との関係を表したグラフであり、(a)は、ミラーハウジングに板体が取り付けられていない(ノーマル)状態における関係を表したグラフであり、(b)は、板体で開口部を閉塞した状態における関係を表したグラフであり、(c)は、図4(a),(b)の値を相互に重ねて表したグラフである。
【図5】本発明の第二の実施形態に係るアウターミラーを示した図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、図5(a)の一部省略A−A断面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係るアウターミラーを示す一部省略断面図である。
【図7】その他のヒータ設置例を示す要部拡大断面図である。
【図8】従来のアウターミラーを説明するための斜視図である。
【図9】従来のアウターミラーの作用説明図である。
【図10】従来の他のアウターミラーを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 ミラーベース
11 取付板
12 張出部
20 ミラーハウジング
20a 開口部
31 ミラー
31a 鏡面
40 板体
50 モニタ
60 結露防止用ヒータ
Claims (5)
- 自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースと、このミラーベースに設けられたミラーハウジングと、このミラーハウジングの開口部に鏡面が傾動可能に臨む状態で取り付けられた後方視認用のミラーとを有し、
前記ミラーよりも後方において、前記ミラーハウジングの開口部を透光性を備えた板体で閉塞したことを特徴とするアウターミラー。 - 前記板体は、プラスチック製であることを特徴とする請求項1に記載のアウターミラー。
- 前記板体には、光透過率を変更するためのEC素子よりなるEC層が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアウターミラー。
- 前記板体には、情報表示手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラー。
- 前記板体には、結露防止用ヒータが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のアウターミラー。
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