JP2004249837A - 搬送用台車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】底部四隅近傍位置に車輪1a〜1dが取り付けられた搬送用台車であって、4つ全ての車輪1a〜1dが自在車輪であり、各自在車輪1a〜1dが台車の方向転換時に回動するときの回動中心である操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xに対し左右横方向から見たとき、前後両自在車輪1a,1b(1c,1d)の操向用回転軸心SCが逆ハの字形になるように、それぞれ傾斜せしめられている構成。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、底部四隅近傍位置に車輪が取り付けられた搬送用台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば図1及び図2に示すように、底部四隅近傍位置に車輪1a〜1dが取り付けられた搬送用台車として、搬送用台車の平面形状が前後移動方向Xに長い長方形であると共に、当該前後移動方向Xの前後両側枠パネル2,3の左右両端底部に車輪1a〜1dが取り付けられ、当該前後両側枠パネル2,3の内の一方(図では側枠パネル3)が左右の片側にのみ設けられた背枠パネル4の内側に折り畳み可能であって、これら3つのパネル2〜4の下辺部で支持される荷台5が取り外し可能又は何れかのパネル(図では背枠パネル4)の内側に折り畳み可能に構成され、図2に示すように、使用しない台車を平面視においてL字形に折り畳んでネスティング可能に構成された搬送用台車が知られている。
【0003】
上記のような構成のネスティング可能な搬送用台車において、特許文献1及び図3Aに示されるように、前側左右両車輪1a,1cには前後移動方向Xに向きが固定された固定車輪を使用し、後側左右両車輪1b,1dには垂直な操向用回転軸心の周りに回転可能な自在車輪(キャスター)を使用する場合、前側左右両車輪1a,1cが走行方向側に位置する向きに台車を走行させるときの直進性と左右方向への操向操作性(操縦性)とに関しては或る程度満足できるが、台車を斜め前方に平行移動(斜行)させることはできないので、例えば図3Bに示すように、L字形に折り畳まれた第一の台車C1のコーナー部内側に同様に折り畳まれた第二の台車C2のコーナー部を入り込ませるようにネスティングするとき、当該第二の台車C2の後端側を持ち上げて台車の向きを変えなければならず、相当な労力を要することになる。
【0004】
そこで図4に示すように、すべての車輪1a〜1dを自在車輪(キャスター)とし、台車を任意の方向に平行移動させることができるようにすることで、上記のネスティング作業も容易に行えるようにすることが考えられたが、このようにすべての車輪1a〜1dを自在車輪とすると、普段の移動操作時の直進性が著しく悪くなって不安定な走行を余儀なくされ、特に慣性が大きくなる重量物の搬送時などには危険性も増すことになる。
【0005】
すべての車輪1a〜1dを自在車輪とした搬送用台車の上記の問題点を解決する手段として、例えば特許文献2や特許文献3に記載されるように、自在車輪として、一般的には垂直であるその操向用回転軸心を所要角度斜めに倒した自在車輪を使用することが考えられた。しかしながら、特許文献2に記載された構成では、台車を前後移動方向に対し横側方から見たとき、全ての自在車輪を、それぞれの操向用回転軸心が上方ほど前方に位置する同一向きに傾斜するように配設しているので、台車を前方向きに移動させるときは直進性が確保できても、後方に移動させるときは非常に不安定になる。従って、後側にのみ手押し用ハンドルがあるような搬送用台車には適用し易いが、図1に示す搬送用台車のように前進方向が特定されないような台車には効果的ではない。又、特許文献3に記載された構成では、左右横方向の支軸で軸支されたシーソー部材に自在車輪を取り付け、台車の移動方向に応じて前記シーソー部材が自動的に揺動して各自在車輪の操向用回転軸心の傾斜方向が常に直進性を高める方向に切り替えられるように構成されたものであるから、前後方向の何れにも後押し移動せしめられるタイプの搬送用台車にも適用できるが、自在車輪の取り付けに特殊なシーソー部材を要するのでコスト高になるばかりでなく、経年劣化によりシーソー部材のシーソー運動が円滑に行われなくなると、所期通りの効果が期待できなくなる可能性も大きい。
【0006】
【特許文献1】
特開昭52−19853号公報
【特許文献2】
特開2001−1706号公報
【特許文献3】
特開2001−130204号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る搬送用台車を提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、底部四隅近傍位置に車輪1a〜1dが取り付けられた搬送用台車であって、4つ全ての車輪1a〜1dが自在車輪であり、各自在車輪1a〜1dの操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xに対し左右横方向Yから見たとき、前後両自在車輪1a,1b(1c,1d)の操向用回転軸心SCが逆ハの字形になるように、それぞれ傾斜せしめられた構成となっている。
【0008】
上記構成の本発明は、特に次のようなネスティング可能な搬送用台車に好適なものである。即ち、搬送用台車の平面形状が前後移動方向Xに長い長方形であると共に、当該前後移動方向Xの前後両側枠パネル2,3の左右両端底部に自在車輪1a〜1dが取り付けられ、当該前後両側枠パネル2,3の内の一方が左右の片側にのみ設けられた背枠パネル4の内側に折り畳み可能であって、これら3つのパネル2〜4の下辺部で支持される荷台5が取り外し可能又は何れかのパネル2〜4の内側に折り畳み可能に構成され、使用しない台車を平面視においてL字形に折り畳んでネスティング可能に構成された搬送用台車において、各自在車輪1a〜1dの操向用回転軸心SCを、台車に定めた前後移動方向Xに対し左右横方向Yから見たとき、前後両自在車輪1a,1b(1c,1d)の操向用回転軸心SCが逆ハの字形になるように、それぞれ傾斜せしめることができる。
【0009】
又、前記各自在車輪1a〜1dを、その操向用回転軸心SCが左右横方向Yから見たときに前記のように傾斜する傾斜作用姿勢と傾斜しないか又は傾斜角度の緩い非傾斜姿勢との間で揺動自在に取付用基台部6に支持すると共に、前記傾斜作用姿勢に付勢する弾性体(板ばね17)を併設し、搬送用台車に一定以上の荷重が作用したときに、各自在車輪1a〜1dが前記弾性体(板ばね17)の付勢力に抗して揺動し、前記非傾斜姿勢に切り換わるように構成することができる。
【0010】
又、前記各自在車輪1a〜1dが、その操向用回転軸心SCが左右横方向Yから見たときに前記のように傾斜する傾斜作用姿勢と傾斜しないか又は傾斜角度の緩い非傾斜姿勢との間で揺動自在に取付用基台部6に支持される場合、これら各自在車輪1a〜1dを前記弾性体(板ばね17)で非傾斜姿勢に付勢するように併設し、搬送用台車に一定以上の荷重が作用したときに、各自在車輪1a〜1dが前記弾性体弾性体(板ばね17)の付勢力に抗して揺動し、前記傾斜作用姿勢に切り換わるように構成することも可能である。
【0011】
更に、前記各自在車輪の操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xから見たとき、左右両自在車輪の操向用回転軸心SCが逆ハの字形又はハの字形になるように、それぞれ傾斜せしめることもできる。又、台車に定めた前後移動方向Xの一端側の左右一対の自在車輪1a,1cを平面視において前狭まり又は前広がりにそれぞれ傾斜させ、他端側の左右一対の自在車輪1b,1dは、前記一端側の左右一対の自在車輪1a,1cと前後対称形になるようにそれぞれ傾斜せしめることも可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適実施形態を添付図に基づいて説明すると、この好適実施形態における搬送用台車は、先に図1、図2、および図4に基づいて通りのネスティング可能な搬送用台車であって、その底部四隅、即ち、平面形状が前後移動方向Xに長い長方形である搬送用台車の当該前後移動方向Xの前後両側枠パネル2,3の左右両端底部に自在車輪1a〜1dが取り付けられるものであるが、その全ての自在車輪1a〜1dは、図5に示すように、取付用基台部6の下側に、軸心SCが取付用基台部6に対して直角の仮想垂直線に対して所定角度だけ傾斜した操向用回転軸7の周りで回転可能にフォーク状の車輪支持部材8が軸支され、当該車輪軸支部材8に車輪9が、その軸心が前記操向用回転軸心SCから一側方に離れた位置で、水平支軸10により自転可能に軸支されたものである。11,12は、操向用回転軸7の周りで前記車輪支持部材8を上下から挟む玉軸受けである。
【0013】
上記構成の自在車輪1a〜1dは、図6に示すように、各自在車輪1a〜1dの操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xに対し左右横方向Y(図1参照)から見たとき、前後両自在車輪1a,1b(1c,1d)の操向用回転軸心SCが逆ハの字形になる向きに、それぞれ取付用基台部6を介して前後両側枠パネル2,3の左右両端底部に取り付けられている。
【0014】
上記構成の搬送用台車によれば、各自在車輪1a〜1dの車輪9(車輪支持部材8)は、操向用回転軸心SCが図6に示すように傾斜しているため、作用する垂直荷重によってその取付用基台部6の床面高さが最も低くなる方向に操向用回転軸心SCの周りの回転力、即ち、復元力を受けていることになる。従って通常は、各自在車輪1a〜1dは、図6に示すように左右横方向Yから各自在車輪1a〜1dを見たとき、前後両自在車輪1a,1b(1c,1d)の操向用回転軸心SCが逆ハの字形になる初期状態で安定している。換言すれば、搬送用台車を横向きに押すなどして自在車輪1a〜1dの向きを前記復元力に抗して転向させても、その操作力を解除すると、前記復元力で各自在車輪1a〜1dは自動的に初期状態に復帰することになる。この復元力は、操向用回転軸心SCの傾斜角度が大きいほど大きく、そして搬送用台車に作用する荷重が大きいほど大きくなるので、ネスティングする場合のように搬送用台車が空のときは、操向用回転軸心SCの周りの回転抵抗の方が前記復元力よりも大きくなるか又は等しくなる程度に操向用回転軸心SCの傾斜角度を設定しておくのが望ましい。
【0015】
而して、上記の搬送用台車を前後移動方向Xの前方(又は後方)に手押し移動させたとき、図6に実線(又は仮想線)で示すように各自在車輪1a〜1dの内、移動方向前側の左右一対の自在車輪1a,1c(又は1b,1d)は、その操向用回転軸心SCが下方ほど移動方向の後方に位置する初期姿勢を保って移動し、移動方向の後側となる左右一対の自在車輪1b,1d(又は1a,1c)は、前記復元力よりも車輪9の対地接触抵抗の方が勝って、初期姿勢から操向用回転軸心SCの周りに移動方向の後側へ回転し、移動方向前側の自在車輪1a,1c(又は1b,1d)と同様に操向用回転軸心SCの後方位置で追従移動することになる。即ち、移動方向前側の左右一対の自在車輪1a,1c(又は1b,1d)は、前記復元力と車輪9の対地接触抵抗との両方で前記初期姿勢を保つことになるので、搬送用台車の移動方向に対する左右横方向への揺れが殆どなく、固定車輪のように直進性能を発揮し、移動方向の後側となる左右一対の自在車輪1b,1d(又は1a,1c)は、前記復元力は逆向きに作用するので前側の自在車輪1a,1c(又は1b,1d)と比較して直進性能は低いが、移動中は車輪9の対地接触抵抗によって操向用回転軸心SCの後方位置で追従移動する姿勢を維持し、従来の自在車輪と余り変わりなく機能する。従って全体としては、搬送用台車は前後移動方向Xの前方(又は後方)へは、左右横方向にふらつかせることなく安定的に直進させることができる。勿論、移動方向に対する台車後端側に左右横方向の操舵力を与えて移動方向を左右横方向に曲げることは、移動方向の後側となる左右一対の自在車輪1b,1d(又は1a,1c)が前記復元力で操向用回転軸心SCの周りで回転転向し易い状態であることと、前側の自在車輪1a,1c(又は1b,1d)も固定車輪よりは操向用回転軸心SCの周りで回転できるものであるところから容易に行え、操縦性に問題はない。
【0016】
上記搬送用台車が荷台5上に荷が積載されていない空のときは、各自在車輪1a〜1dに作用する垂直荷重が小さくて、前記初期姿勢への復元力は著しく小さくなるので、この搬送用台車を左右横方向や斜め方向に平行移動させることも比較的容易に行える。従って、この搬送用台車を図2に示すように平面形状をL字形に折り畳んでネスティングする場合、従来の前側左右一対の車輪が固定車輪のものと比べてネスティング作業が容易に行える。
【0017】
尚、基本的には図7に示すように、各自在車輪1a〜1dの操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xから見たときは垂直で互いに平行になる向きに取り付けるのであるが、一層直進性を高めるために、図8に示すように、各自在車輪1a〜1dの操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xから見たときにも逆ハの字形になる(上広がり状態、通常のキャンバー角をつけた状態)になる向きに取り付けることもできるし、逆に、図9に示すように、各自在車輪1a〜1dの操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xから見たときにハの字形になる(下広がり状態)になる向きに取り付けることもできる。又、直進性を高める他の方法として、図10に示すように、台車に定めた前後移動方向Xの一端側の左右一対の自在車輪1a,1cを平面視において前狭まり(トウイン状態)にそれぞれ傾斜させる(A図)か又は前広がりにそれぞれ傾斜させ(B図)、他端側の左右一対の自在車輪1b,1dは、前記一端側の左右一対の自在車輪1a,1cと前後対称形になるようにそれぞれ傾斜せしめることも可能である。
【0018】
図8〜図10に示す状態に構成する場合、前後両側枠パネル2,3の左右両端底部に取付用基台部6を取り付けるときに、当該取付用基台部6を垂直軸心の周りに回転させて、操向用回転軸7の倒れ方向を変えれば良いが、この方法では、台車に定めた前後移動方向Xに対し左右横方向Yから各自在車輪1a〜1dの操向用回転軸心SCを見たときの傾斜角度(図6参照)も同時に変わってしまうので、前後両側枠パネル2,3の左右両端底部に対して取付用基台部6を一定向きに取り付けたとき、左右横方向Yから見たときの操向用回転軸心SCの傾斜角度(図6参照)と前後移動方向Xから見たときの操向用回転軸心SCの傾斜角度(図8又は図9参照)又は平面視での左右横方向の傾斜角度(図10参照)とがそれぞれ所定値となるように構成するのが望ましい。
【0019】
図11に示す自在車輪13は、車輪支持部材8を取付用基台部6に直接操向用回転軸7で支持しないで、取付用基台部6の下側に中間可動部材14を介在させ、この中間可動部材14に操向用回転軸7を介して車輪支持部材8を支持させ、前記取付用基台部6の一端には、中間可動部材14の一端部を上下揺動自在に支承する支承部15が設けられ、前記取付用基台部6の他端には、中間可動部材14の遊端部を受け止める受け部16が設けられ、この受け部16側へ下向きに中間可動部材14の遊端部を押圧付勢する弾性体としての板ばね17が取付用基台部6と中間可動部材14との間に介装されている。具体的には、前記板ばね17は下に凸の円弧状のもので、中間可動部材14の遊端部上にその下向き凸部が固定され、当該板ばね17の両遊端が取付用基台部6の下側面に圧接している。
【0020】
而して、図11Aに示すように、中間可動部材14が板ばね17の付勢力で受け部16に遊端部が受け止められて、水平の取付用基台部6に対して中間可動部材14が、その遊端部が下がるように傾斜した傾斜作用姿勢にあるとき、中間可動部材14に対して直角向きの操向用回転軸心SCが水平の取付用基台部6に対して傾斜することになる。そして、図11Cに示すように、水平の取付用基台部6に対して中間可動部材14が、板ばね17の付勢力に抗して支承部15を中心に上動限まで上方へ揺動したとき、中間可動部材14が水平又は水平に近い角度になり、操向用回転軸心SCが水平の取付用基台部6に対して直角又は若干傾斜する非傾斜姿勢となる。
【0021】
上記構成の自在車輪13を先の搬送用台車における自在車輪1a〜1dとして使用する場合、図11Aに示す傾斜作用姿勢にある自在車輪13の傾斜する操向用回転軸心SCが図6に示す向きに傾斜するように4つの自在車輪13をそれぞれの取付用基台部6の向きを定めて取り付ければ良い。このように使用することにより、搬送用台車が空のとき、或いは軽荷重のときは、図6に示すように傾斜する操向用回転軸心SCを備えた各自在車輪1a〜1d(13)の当該操向用回転軸心SCの傾斜角度が大きくなり(傾斜作用姿勢)、逆に搬送用台車の積載量が大きくて各自在車輪1a〜1d(13)に作用する垂直荷重が大きくなるときは、各自在車輪1a〜1d(13)の操向用回転軸心SCの傾斜角度が小さくなる(非傾斜姿勢)。図6に示す状態において、各自在車輪1a〜1d(13)の操向用回転軸心SCの傾斜角度が小さければ、図6に示す初期状態に戻ろうとする復元力は小さくなって通常の自在車輪と同じ状態になるが、このときは搬送用台車の積載量が大きくて各自在車輪1a〜1d(13)の接地圧が大きくなるので、後押し移動させる搬送用台車が左右にふらつくことが少なく、比較的安定的に直進移動させることができるし、方向転換も容易である。逆に、図6に示す状態において、各自在車輪1a〜1d(13)の操向用回転軸心SCの傾斜角度が大きければ、前後移動方向Xの直進性が高められるが、搬送用台車が空か軽荷重の状態であるから、手押し操作で比較的容易に方向転換や斜めに平行移動させることができる。
【0022】
図12に示す自在車輪18は、図11に示す自在車輪13と同一箇所には同一符号を付して説明を省略するが、当該図11に示す自在車輪13とは中間可動部材14の支承端と板ばね17による付勢端とを前後逆にしたものである。即ち、この図12に示す自在車輪18では、図12Aに示すように、板ばね17の付勢力で中間可動部材14の遊端が取付用基台部6の受け部16に支持された状態では、当該中間可動部材14が取付用基台部6と平行な略水平の姿勢となり、従って、当該中間可動部材14に対して直角向きの操向用回転軸心SCは水平の取付用基台部6に対して略直角向きとなっている(非傾斜姿勢)。そして荷重により中間可動部材14が支承部15の周りで板ばね17の付勢力に抗して上方に揺動したとき、図12Cに示すように取付用基台部6に対して中間可動部材14が傾動し、当該中間可動部材14に対して直角向きの操向用回転軸心SCは水平の取付用基台部6に対して傾斜することになる(傾斜作用姿勢)。
【0023】
上記構成の自在車輪18を先の搬送用台車における自在車輪1a〜1dとして使用する場合、図12Cに示す傾斜作用姿勢にしたときの傾斜する操向用回転軸心SCが図6に示す向きに傾斜するように4つの自在車輪18をそれぞれの取付用基台部6の向きを定めて取り付ければ良い。このように使用することにより、搬送用走行体の積載量が大きくて各自在車輪1a〜1d(13)に作用する垂直荷重が大きくなるときは、各自在車輪1a〜1d(13)の操向用回転軸心SCの傾斜角度が図12Cに示すように大きくなって(傾斜作用姿勢)、図6に示す初期状態となり、逆に搬送用台車が空のとき、或いは軽荷重のときは、搬送用台車の各自在車輪1a〜1d(13)の操向用回転軸心SCの傾斜角度が図12Aに示すように小さくなるか又はゼロ(垂直)になる(非傾斜姿勢)。即ち、搬送用台車の積載量が大きい場合は、図6に示す初期状態となるから、前後移動方向Xの直進性が大巾に高められるが、逆に搬送用台車が空か軽荷重の状態のときは、通常の自在車輪を使用している場合と同様の状態となり、手押し操作で極めて容易に自由な方向に移動させることができるので、ネスティング作業などに好適な状況となる。
【0024】
尚、図11や図12に示すように構成する場合、その中間可動部材14の一端部を上下揺動自在に支承する支承部15の構成は、図示のものに限定されず、例えば別の支軸を使用する構成でも良い。又、中間可動部材14を付勢する弾性体として板ばね17を利用したが、コイルばねやゴムブロックなど、如何なるものであっても良いし、その介装構造も図示例に限定されない。
【0025】
【発明の効果】
本発明は以上のように実施し且つ使用することができるものであって、係る本発明の搬送用台車によれば、4つ全ての車輪が自在車輪であるから、搬送用走行体が空のときや軽荷重の時には、全ての車輪が自在車輪であることの特性を生かして如何なる方向にも軽く容易に移動させることができるので、空の搬送用台車の整理なども楽に容易に行える。しかも、搬送用台車の積載量が増せば増すほど当該搬送用台車に定められた前後移動方向の直進性が増し、安定的に直進移動させることができるのであるが、このとき移動方向に対し後ろ側の自在車輪は前側の自在車輪よりも直進性が低くなるので、従来の前側固定車輪、後ろ側自在車輪の搬送用台車と同じ様に、移動方向に対する後端側を左右横方向に操舵して移動方向を変える操作が比較的楽に行える特長をも有する。勿論、基本的には自在車輪の取り付けに特殊な可動部材を必要とするものではないので、安価且つ容易に実施することができ、従来の既存の搬送用台車の改良も容易である。
【0026】
尚、請求項2に記載のように、使用しない台車を平面視においてL字形に折り畳んでネスティング可能に構成された搬送用台車に本発明を適用すれば、荷積載搬送作業時には直進性能を発揮する搬送用台車でありながら、空の搬送用台車の折り畳み状態でのネスティング作業時には、全ての車輪が自在車輪である特徴を活かして、台車を斜め方向に容易に平行移動させることができるので、ネスティング作業を楽に容易に行うことができる。
【0027】
又、請求項3に記載の構成によれば、搬送用台車の積載荷重が増せば増すほど全ての自在車輪が、操向用回転軸心が垂直状態の通常の自在車輪と変わらなくなり、操縦性が極端に低下するのを抑制することができる。逆に、請求項4に記載の構成によれば、搬送用台車の積載荷重が増せば増すほど搬送用台車の前後移動方向の直進性能が高められ、安定的に直進移動させることができる反面、空か又は軽荷重の状態では、搬送用台車の直進性が殆どなくなるので、空の搬送用台車の整理作業などは極めて容易に行える。
【0028】
更に、請求項5や請求項6に記載のように構成して、搬送用台車の前後移動方向の直進性能を一層高めることもできる。勿論、各請求項に記載の構成を互いに組み合わせて実施することにより、効果を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】搬送用台車全体の斜視図である。
【図2】図1に示す搬送用台車の折り畳み状態を示す平面図である。
【図3】A図は図1に示す搬送用台車が前側固定車輪、後ろ側自在車輪であるときの直進状態を示す概略平面図であり、B図は同搬送用台車のネスティング作業時の状態を示す概略平面図である。
【図4】図1に示す搬送用台車の全ての車輪が自在車輪である場合のネスティング作業時の状態を示す概略平面図である。
【図5】本発明において使用する自在車輪を示す一部縦断側面図である。
【図6】図5に示す自在車輪を使用した搬送用台車の一部切り欠き側面図である。
【図7】同搬送用台車の一部切り欠き正面図である。
【図8】同搬送用台車の変形例を示す一部切り欠き正面図である。
【図9】同搬送用台車の更に別の変形例を示す一部切り欠き正面図である。
【図10】同搬送用台車の更に別の変形例を示す概略平面図である。
【図11】本発明において使用する自在車輪の変形例を示す図であって、A図は傾斜作用姿勢での一部縦断側面図、B図は一部縦断正面図、C図は非傾斜姿勢での一部縦断側面図である。
【図12】本発明において使用する自在車輪の更に別の変形例を示す図であって、A図は非傾斜姿勢での一部縦断側面図、B図は一部縦断正面図、C図は傾斜作用姿勢での一部縦断側面図である。
【符号の説明】
1a〜1d 自在車輪
2,3 前後の側枠パネル
4 背枠パネル
5 折り畳み自在な荷台
6 取付用基台部
7 操向用回転軸
8 車輪支持部材
9 車輪
10 水平支軸
13,18 変形例での自在車輪
14 中間可動部材
15 支承部
16 受け部
17 板ばね(弾性体)
SC 操向用回転軸心
X 搬送用台車の前後移動方向
Y 搬送用台車の左右横方向
Claims (6)
- 底部四隅近傍位置に車輪が取り付けられた搬送用台車であって、4つ全ての車輪が自在車輪であり、各自在車輪の操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xに対し左右横方向Yから見たとき、前後両自在車輪の操向用回転軸心SCが逆ハの字形になるように、それぞれ傾斜せしめられている、搬送用台車。
- 前記搬送用台車の平面形状が前記前後移動方向Xに長い長方形であると共に、当該前後移動方向Xの前後両側枠パネルの左右両端底部に前記自在車輪が取り付けられ、当該前後両側枠パネルの内の一方が左右の片側にのみ設けられた背枠パネルの内側に折り畳み可能であって、これら3つのパネルの下辺部で支持される荷台が取り外し可能又は何れかのパネルの内側に折り畳み可能に構成され、使用しない台車を平面視においてL字形に折り畳んでネスティング可能に構成された、請求項1に記載の搬送用台車。
- 前記各自在車輪が、その操向用回転軸心SCが左右横方向Yから見たときに前記のように傾斜する傾斜作用姿勢と傾斜しないか又は傾斜角度の緩い非傾斜姿勢との間で揺動自在に取付用基台部に支持されると共に、前記傾斜作用姿勢に付勢する弾性体が併設され、搬送用台車に一定以上の荷重が作用したときに、各自在車輪が前記弾性体の付勢力に抗して揺動し、前記非傾斜姿勢に切り換わるように構成されている、請求項1又は2に記載の搬送用台車。
- 前記各自在車輪が、その操向用回転軸心SCが左右横方向Yから見たときに前記のように傾斜する傾斜作用姿勢と傾斜しないか又は傾斜角度の緩い非傾斜姿勢との間で揺動自在に取付用基台部に支持されると共に、前記非傾斜姿勢に付勢する弾性体が併設され、搬送用台車に一定以上の荷重が作用したときに、各自在車輪が前記弾性体の付勢力に抗して揺動し、前記傾斜作用姿勢に切り換わるように構成されている、請求項1又は2に記載の搬送用台車。
- 前記各自在車輪の操向用回転軸心SCが、台車に定めた前後移動方向Xから見たとき、左右両自在車輪の操向用回転軸心SCが逆ハの字形又はハの字形になるように、それぞれ傾斜せしめられている、請求項1〜4の何れかに記載の搬送用台車。
- 台車に定めた前後移動方向Xの一端側の左右一対の自在車輪が平面視において前狭まり又は前広がりにそれぞれ傾斜し、他端側の左右一対の自在車輪は、前記一端側の左右一対の自在車輪と前後対称形になるようにそれぞれ傾斜せしめられている、請求項1〜5の何れかに記載の搬送用台車。
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