JP2004249764A - 衝撃吸収式ステアリングコラム装置 - Google Patents

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英男 近藤
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Abstract

【課題】ステアリングコラムの剛性低下や搭載性の悪化が生じない衝撃吸収式ステアリングコラム装置を提供する。
【解決手段】ステアリングコラム20がアウターチューブ21とインナーチューブ22を備えている。アウターチューブ21とインナーチューブ22間には、ステアリングコラム20の軸方向収縮によって衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収機構Cが介装されている。衝撃エネルギー吸収機構Cは、ステアリングコラム20の軸方向収縮時においてインナーチューブ22が嵌合するアウターチューブ21の内側に増設されてインナーチューブ22によって塑性変形されることにより衝撃エネルギーを吸収するリブ41bを備えている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突時における衝撃エネルギーを吸収可能な衝撃吸収式ステアリングコラム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
衝撃吸収式ステアリングコラム装置の一つとして、ステアリングシャフトを回転自在に支持して軸方向にて収縮可能なステアリングコラムがアウターチューブとインナーチューブを備え、前記アウターチューブと前記インナーチューブ間に、前記ステアリングコラムの軸方向収縮によって衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収機構を介装してなるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実公平7−40458号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公報の衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、インナーチューブの嵌合部分における外径をdとし、アウターチューブの実質的な内径をDとしたとき、この内径Dがインナーチューブの端部から離れるに従って上記外径dよりも次第に小さくなるように、アウターチューブの内周面に、軸方向に延びる複数の突条からなり、衝撃入力時にステアリングコラムの軸方向収縮により塑性変形して衝撃エネルギーを吸収する絞り部を、求心方向にプレスにて形成したものである。このため、アウターチューブの外形形状が上記した絞り部の形成により変化し、ステアリングコラムの剛性低下や搭載性の悪化が生じるおそれがある。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、上記した課題に対処すべくなされたものであり、ステアリングシャフトを回転自在に支持して軸方向にて収縮可能なステアリングコラムがアウターチューブとインナーチューブを備え、前記アウターチューブと前記インナーチューブ間に、前記ステアリングコラムの軸方向収縮によって衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収機構を介装してなる衝撃吸収式ステアリングコラム装置であって、前記衝撃エネルギー吸収機構は、前記ステアリングコラムの軸方向収縮時において前記インナーチューブが嵌合する前記アウターチューブの内側に増設されて前記インナーチューブによって塑性変形されることにより衝撃エネルギーを吸収するリブを備えていること(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0006】
上記した構成の衝撃吸収式ステアリングコラム装置(請求項1に係る発明)においては、ステアリングコラムの軸方向収縮時においてインナーチューブが嵌合するアウターチューブの内側に、インナーチューブによって塑性変形されることにより衝撃エネルギーを吸収するリブを増設したものであるため、アウターチューブの外形形状を変化させることなく実施可能であり、ステアリングコラムの剛性低下や搭載性の悪化が生じない状態で実施可能である。
【0007】
また、上記した衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記リブは樹脂・軽金属等の軽量素材にて形成されていること(請求項2に係る発明)が好ましく、この場合には、重量の増加を抑えて実施することが可能である。また、前記リブは前記アウターチューブに一体的に形成されていること(請求項3に係る発明)が好ましく、この場合には、コスト低減が可能である。また、前記リブは加熱手段にて加熱可能であること(請求項4に係る発明)が好ましく、この場合には、リブを加熱手段にて加熱することで、リブの強度を低下させることが可能であり、衝撃エネルギー吸収時に発生するエネルギー吸収荷重を下げることが可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明による衝撃吸収式ステアリングコラム装置の一実施形態を示していて、この実施形態においては、ステアリングシャフト10が軸方向にて伸縮可能かつトルク伝達可能なアッパシャフト11とロアシャフト12を備える構成とされ、ステアリングシャフト10を回転自在に支持して軸方向にて伸縮可能なステアリングコラム20がアウターチューブ21とインナーチューブ22を備える構成とされている。
【0009】
アッパシャフト11は、アウターチューブ21に対して軸受(図示省略)を介して回転自在かつ軸方向移動不能に支持されていて、図1右端の上端部にはエアバッグ装置を装着したステアリングホイール(図示省略)が一体回転可能に組付けられるようになっている。一方、ロアシャフト12は、インナーチューブ22に軸受(図示省略)を介して回転自在に支持されていて、図1左端の下端部にて自在継手を介して伸縮可能かつトルク伝達可能な中間軸(共に図示省略)に連結されるようになっていて、中間軸は自在継手を介してステアリングギヤボックス(共に図示省略)に連結されるようになっている。
【0010】
アウターチューブ21は、下端部にてインナーチューブ22の上端部に軸方向へ摺動可能に嵌合連結されていて、下端部に固着したブラケット21aにてチルト調整可能な上方支持機構Aを介して車体の一部(図示省略)に固着される車体側ブラケット31に組付けられている。また、アウターチューブ21は、前方に向けて所定値以上の軸方向荷重が加わったとき、そのブラケット21aが車体側ブラケット31から離脱して、前方へ移動可能である。一方、インナーチューブ22は、下端部に固着したブラケット22aにて回動可能な下方支持機構Bを介して車体の一部(図示省略)に傾動可能に組付けられるようになっている。
【0011】
ところで、この実施形態においては、図2に示したように、アウターチューブ21とインナーチューブ22間に、衝撃エネルギー吸収機構Cが介装されている。衝突エネルギー吸収機構Cは、車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギー等の衝撃エネルギーをステアリングコラム20の軸方向収縮によって吸収するものであり、エネルギー吸収部材41を備えている。
【0012】
エネルギー吸収部材41は、ステアリングコラム20が図1および図2に示した初期状態から設定値L以上に軸方向収縮することによって塑性変形されてエネルギー吸収荷重を発生させるものであり、樹脂または軽金属等の軽量素材にて断面略C形で円筒状に形成されていて、アウターチューブ21の内側に一体的に組付けられている。
【0013】
このエネルギー吸収部材41は、インナーチューブ22の上方部位を軸方向へ摺動可能に支持する薄肉の支持部41aと、この支持部41aの略上半分内側に一体的に形成されてステアリングコラム20の軸方向収縮時にインナーチューブ22の上端部22bによって塑性変形される9個のリブ41bを有している。
【0014】
また、エネルギー吸収部材41には、アウターチューブ21に設けた取付孔21bに嵌合固定される複数の突起41c(図1および図3参照)が中間部外周に一体的に形成されるとともに、アウターチューブ21の下端21cに係合当接する環状フランジ41dが下端外周に一体的に形成されている。なお、エネルギー吸収部材41の支持部41aには、アウターチューブ21にインナーチューブ22を固定するためのかしめ固定部(図示省略)とエネルギー吸収部材41との干渉を避けるための逃し穴41eが複数個形成されている。
【0015】
各リブ41bは、所定の厚みで径内方に向けて所定量突出していて、軸方向に所定量延びており、アウターチューブ21がインナーチューブ22に対して図1および図2の初期状態から前方に設定値L以上に軸方向移動するとき、インナーチューブ22の上端部22bによって塑性変形されて、所定のエネルギー吸収荷重を発生させる。また、各リブ41bは、その外周部位を連結している支持部41aに埋設した電熱線(図示省略)によって加熱可能である。なお、各リブ41bの形状・個数は適宜変更可能である。
【0016】
上記のように構成したこの実施形態においては、ステアリングコラム20の軸方向収縮時においてインナーチューブ22が嵌合するアウターチューブ21の内側に、エネルギー吸収部材41を組付けて、インナーチューブ22による塑性変形により衝撃エネルギーを吸収する各リブ41bを増設したものであるため、アウターチューブ21の外形形状を変化させることなく実施可能であり、ステアリングコラム20の剛性低下や搭載性の悪化が生じない状態で実施可能である。
【0017】
また、この実施形態においては、各リブ41bが樹脂・軽金属等の軽量素材にて形成されているため、重量の増加を抑えて実施することが可能である。また、各リブ41bが電熱線にて加熱可能であるため、各リブ41bを電熱線にて加熱することで、各リブ41bの強度を低下させることが可能であり、衝撃エネルギー吸収時に発生するエネルギー吸収荷重を下げることが可能である。
【0018】
上記した実施形態においては、インナーチューブ22が嵌合するアウターチューブ21の内側にエネルギー吸収部材41を一体的に組付けて、アウターチューブ21の内側にリブ41bを増設したが、図6に示した実施形態のように、アウターチューブ121自体の内側にインナーチューブ122によって塑性変形される複数のリブ141bを一体的に形成して増設することも可能である。この場合には、リブ141bをアウターチューブ121に一体的に形成することで、コスト低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による衝撃吸収式ステアリングコラム装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示したアウターチューブおよびインナーチューブとアウターチューブに組付けたエネルギー吸収部材の関係を示す断面図である。
【図3】図2に示したエネルギー吸収部材の側面図である。
【図4】図3に示したエネルギー吸収部材の正面図である。
【図5】図3に示したエネルギー吸収部材の横断面図である。
【図6】アウターチューブ自体にリブを増設した実施形態を概略的に示す部分破断斜視図である。
【符号の説明】
10…ステアリングシャフト、11…アッパシャフト、12…ロアシャフト、20…ステアリングコラム、21…アウターチューブ、21a…ブラケット、21b…取付孔、21c…下端、22…インナーチューブ、22a…ブラケット、22b…上端部、A…上方支持機構、B…下方支持機構、C…衝突エネルギー吸収機構、41…エネルギー吸収部材、41a…支持部、41b…リブ、41c…突起、41d…環状フランジ。

Claims (4)

  1. ステアリングシャフトを回転自在に支持して軸方向にて収縮可能なステアリングコラムがアウターチューブとインナーチューブを備え、前記アウターチューブと前記インナーチューブ間に、前記ステアリングコラムの軸方向収縮によって衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収機構を介装してなる衝撃吸収式ステアリングコラム装置であって、前記衝撃エネルギー吸収機構は、前記ステアリングコラムの軸方向収縮時において前記インナーチューブが嵌合する前記アウターチューブの内側に増設されて前記インナーチューブによって塑性変形されることにより衝撃エネルギーを吸収するリブを備えていることを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  2. 請求項1に記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記リブは樹脂・軽金属等の軽量素材にて形成されていることを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  3. 請求項1または2に記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記リブは前記アウターチューブに一体的に形成されていることを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  4. 請求項1、2または3に記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記リブは加熱手段にて加熱可能であることを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
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