JP2004249506A - 初期使用記録システムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期設定後の初回に記録装置が記録動作を実行できなかった場合に、記録装置が初期不良品であることを、ユーザーが製造業者に確実に証明できる初期使用記録システムを提供する。
【解決手段】初期設定後に使用される記録装置の初期使用記録システムであって、インクを収容するインク収容部および初期設定後の初回に使用すべき旨の初回情報が記録された記録部を有する初回使用インクカートリッジと、初期設定後の初回に記録装置へインクカートリッジが装着された場合に、インクカートリッジの記録部に初回情報が記録されているか否かを確認する初回情報確認部と、初回情報確認部が確認した結果を記録する確認記録部とを備え、記録装置が修理される場合に、確認記録部を参照して、記録装置に対応付けられたインクカートリッジから初回情報が確認されたことを条件の一つとして初期不良と判断させる。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、初期使用記録システムに関する。特に本発明は、記録装置が故障した場合に、初期の不良か否かを判別するために用いる初期使用記録システム関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置は、製造現場で組み立て、調整、および記録の動作確認等により製造される。その後、記録した枚数を計測するカウンタを0に初期化する等の初期設定が行われ、記録装置は、梱包されて販売店に出荷される。出荷された記録装置は、販売店に輸送される。ユーザーにより販売店で購入された記録装置は、ユーザーが記録装置を使用する場所へ輸送される。ユーザーは、購入した記録装置の梱包を開封し、記録装置とパーソナルコンピュータ(PC)とを接続した後、記録装置に記録を開始させる。この手続きを実現する技術に関する先行技術文献は特に見あたらなかった。
【0003】
しかし、ユーザーが購入した後に、最初に記録装置に記録を開始させたにもかかわらず、輸送される過程での故障等により、記録装置が正常に記録しない場合がある。ユーザーによる設定が記録装置の製造業者が指定する正しい手順であったにもかかわらず、記録装置が正常に記録を開始しない場合に、製造業者は、正常に記録を開始できない記録装置を初期不良と見なす。製造業者は、記録装置が初期不良であった場合に、この記録装置と、正常に動作する記録装置とを無償で交換する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、初期不良としてユーザーから製造業者に送られてきた記録装置が、製造業者が指定する正しい設定手順に従って記録を開始するに至ったか否かを、製造業者が判別することは困難であった。従って、製造業者が指定する正しい設定手順に従って設定したにもかかわらず正常に記録しない記録装置を、不正な手順で設定したことによる故障、または部品の磨耗等の製品寿命による通常の故障であると製造業者が判断することがあった。これにより、ユーザーは、初期不良の記録装置と正常に動作する記録装置とを無償で交換してもらえないことがあった。
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる初期使用記録システムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第1の形態によると、初期使用記録システムは、初期設定後に使用される記録装置の初期使用記録システムであって、初期設定後の初回に使用すべき旨の初回情報が記録された記録部を有する初回使用インクカートリッジと、初期設定後の初回に記録装置へインクカートリッジが装着された場合に、インクカートリッジの記録部に初回情報が記録されているか否かを確認する初回情報確認部と、初回情報確認部が確認した結果を記録する確認記録部とを備え、記録装置が修理される場合に、確認記録部を参照して、記録装置に対応付けられたインクカートリッジから初回情報が確認されたことを条件の一つとして初期不良と判断させる。確認記録部に記録された確認結果を参照することにより、初期設定後の初回に、記録部に初回情報が記録されたインクカートリッジをユーザーが使用したか否かを、製造業者が判断することができる。従って、ユーザーは、初期不良の記録装置であることを確実に製造業者に証明することができる。
【0007】
上記初期使用記録システムは、初回情報確認部が記録部から初回情報を確認した場合に、記録装置が記録に用いたインクの使用量である記録使用量を記録部へ書き込む書込部をさらに備えてもよい。これにより、ユーザーが記録装置を故障していると判断するまでに記録装置が使用したインクの量を、製造業者が知ることができる。従って、記録が1度も開始されなかった場合だけでなく、数回の記録しか成功しなかった場合であっても、ユーザーは、初期不良品と判断させるための情報を製造業者に与えることができる。
【0008】
上記初期使用記録システムは、記録装置を識別する記録装置識別情報を格納した識別情報格納部をさらに備えてもよく、上記初期使用記録システムにおける書込部は、識別情報格納部に格納された記録装置識別情報に対応付けて、記録使用量を記録部へ書き込んでもよい。これにより、ユーザーは、記録装置が使用した初回使用インクカートリッジを、製造業者に対して確実に示すことができる。
【0009】
上記初期使用記録システムにおいて、書込部は、記録装置がクリーニングに用いたインクの使用量であるクリーニング使用量を記録部へさらに書き込んでもよい。これにより、ユーザーは、消費された初回使用インクカートリッジ内のインクが、記録ではなくクリーニングに使用されたことを製造業者に対して示すことができる。
【0010】
上記初期使用記録システムは、初期設定後の初回に記録装置へ装着されたインクカートリッジの記録部から、初回情報を確認できなかった場合に、記録装置の記録を禁止する記録禁止部をさらに備えてもよい。これにより、ユーザーは、初期設定後の初回に、初回情報が記録されたインクカートリッジを確実に使用することができる。従って、初期設定後の初回に使用されるべきでないインクカートリッジを用いて設定することによって発生する虞のある記録装置の故障を、ユーザーは未然に防ぐことができる。
【0011】
上記初期使用記録システムは、記録装置を識別する記録装置識別情報を格納した識別情報格納部をさらに備えてもよく、上記初期使用記録システムにおける記録部は、初回に装着されるべき記録装置を識別する初回装着識別情報をさらに記録してもよく、上記初期使用記録システムにおける初回情報確認部は、初期設定後の初回に記録装置へインクカートリッジが装着された場合に、初回装着識別情報を読み出し、読み出された初回装着識別情報と記録装置識別情報とが一致しない場合に、記録装置の記録を禁止する記録禁止部をさらに備えてもよい。
【0012】
ユーザーは、記録装置と記録装置に対応付けられた初回に使用されるべきインクカートリッジとを用いて、製造業者が指定する正しい組み合わせにより、記録装置を設定することができる。従って、記録装置に対応付けられていないインクカートリッジを用いて設定することによって発生する虞のある記録装置の故障を、ユーザーは未然に防ぐことができる。
【0013】
本発明の第2の形態によると、インクカートリッジは、記録装置に装着され、記録装置の初期設定後の初回に使用すべき旨の初回情報、および初期設定後の初回に装着された記録装置が記録に用いたインクの使用量である記録使用量が記録された記録部を備える。これにより、インクカートリッジを装着された記録装置に対して、インクカートリッジは、初回に使用されるべきインクカートリッジであるという情報を送ることができる。従って、初回に使用されるべきでないインクカートリッジを用いて設定することにより発生する虞のある記録装置の故障を、ユーザーは未然に防ぐことができる。
【0014】
また、製造業者は、インクカートリッジの記録部に記録された記録使用量を読み出すことにより、ユーザーが記録装置を故障していると判断するまでに記録装置が使用したインクの量を知ることができる。従って、記録が1度も開始されなかった場合だけでなく、数回の記録しか成功しなかった場合であっても、ユーザーは、初期不良品と判断させるための情報を製造業者に与えることができる。
【0015】
本発明の第3の形態によると、初期設定後に使用される記録装置の初期使用記録方法であって、初期設定後の初回に使用すべき旨の初回情報が記録された記録部を有する初回使用インクカートリッジを準備し、初期設定後の初回に記録装置へインクカートリッジが装着された場合に、インクカートリッジの記録部に初回情報が記録されているか否かを確認し、確認した結果を確認記録部に記録し、記録装置が修理される場合に、確認記録部を参照して、記録装置に対応付けられたインクカートリッジから初回情報が確認されたことを条件の一つとして初期不良と判断させる。これにより、第1の形態と同様の効果を得ることができる。
【0016】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、初期使用記録システム10の分解斜視図である。初期使用記録システム10は、記録装置100、初回使用インクカートリッジ200、およびパーソナルコンピュータ300を備える。本実施形態の初期使用記録システム10は、初期設定後の初回に記録装置100が記録動作を実行できなかった場合に、記録装置100が初期不良品であることを、ユーザーが製造業者に確実に証明できることを目的とする。
【0019】
本実施形態において初期設定とは、製造業者が出荷するときの設定をいう。この初期設定は、例えば、記録装置100に保存されている記録に使用されたインクの量を示す値を0に初期化する、または記録装置100を識別する情報を記録装置100に書き込む等を含む。また、本実施形態において初期不良である記録装置100とは、1度も記録が開始されない記録装置100、および、例えば数枚程度の、記録装置100の製造業者が初期不良と見なすことができる数枚以下しか記録できない記録装置100とする。
【0020】
パーソナルコンピュータ300は、記録されるデータと、クリーニングおよび記録命令等の制御情報とを記録装置100へ送信し、エラーおよびインク残量等の記録装置100の状態に関する情報を記録装置100から受信する。初回使用インクカートリッジ200は、初回使用インクカートリッジ200の図1に示すz方向の面に記録装置100にインクを供給するインク供給口208、および図1に示すx方向の面に記録装置100と電気的に信号を送受信する接続端子206を備える。
【0021】
記録装置100は、略直方体状の本体20と、本体20の長手方向に沿って設けられたガイド軸16と、ガイド軸16に沿って移動可能なキャリッジ18と、キャリッジ18のz方向の面にある記録ヘッド114と、本体20にガイド軸16と平行に設けられ、被記録物12を搬送する搬送ローラ14とを備える。初回使用インクカートリッジ200は、キャリッジ18に装着され、内部に保持したインクを記録ヘッド114に供給する。記録装置100は、パーソナルコンピュータ300から記録すべきデータを受信し、キャリッジ18をガイド軸16に沿って図1に示すy方向である走査方向に往復移動させながら、搬送ローラ14によってx方向と反対の搬送方向に搬送される被記録物12上に、記録ヘッド114からインクを吐出させることにより、被記録物12に記録を行う。
【0022】
キャリッジ18は、初回使用インクカートリッジ200をキャリッジ18上に搭載した状態において、初回使用インクカートリッジ200のインク供給口208と対向する面にインク供給針118、および初回使用インクカートリッジ200の接続端子206と対向する面に接続端子116を備える。初回使用インクカートリッジ200をキャリッジ18上に搭載することにより、初回使用インクカートリッジ200の接続端子206は、キャリッジ18の接続端子116と当接し、記録装置100と初回使用インクカートリッジ200とが電気的に導通する。また、初回使用インクカートリッジ200をキャリッジ18上に搭載することにより、初回使用インクカートリッジ200のインク供給口208内に、キャリッジ18のインク供給針118が挿入され、初回使用インクカートリッジ200の内部に保持されたインクがインク供給口208およびインク供給針118を介して記録ヘッド114に供給される。
【0023】
記録装置100において、初回使用インクカートリッジ200から記録ヘッド114の吐出口までのインクの流路に気泡や埃が混入することがあり、インク滴の吐出異常や吐出口の目詰まりが発生することがある。そこで、記録ヘッド114からインク滴を正常に吐出させるために、記録とは関係のない駆動信号を記録ヘッド114に印加することにより、記録装置100はインク滴を空吐出させるクリーニングを行う。記録装置100は、記録ヘッド114の走査軌道上であり、被記録物12が配されない領域に、クリーニングを行うクリーニング領域22を備える。
【0024】
図2は、初期使用記録システム10のブロック図である。初期使用記録システム10が備える初回使用インクカートリッジ200は、記録部202と、インク収容部204と、接続端子206と、インク供給口208とを有する。インク収容部204は、記録に使用されるインクを収容し、インク供給口208に挿入されたインク供給針118を介して、記録ヘッド114にインクを供給する。
【0025】
初回使用インクカートリッジ200の記録部202は、初期設定後の初回に使用されるべき旨の情報である初回情報、記録装置100が記録に用いたインクの使用量である記録使用量、記録装置100を識別する情報である記録装置識別情報、記録装置100がクリーニングに用いたインクの使用量であるクリーニング使用量、および初回に装着されるべき記録装置100を識別する情報である初回装着識別情報を記録する。記録部202に記録された情報は、接続端子206を介して外部に読み出される。初回装着識別情報は、例えば、製造業者による初期設定において、記録部202に書き込まれる。
【0026】
これにより、初回使用インクカートリッジ200が装着された記録装置100に対して、初回使用インクカートリッジ200は、初回情報を送ることができる。また、記録装置100が修理される場合に、記録装置100の製造業者は、初回使用インクカートリッジ200の記録部202に記録された記録使用量を読み出すことにより、ユーザーが記録装置100を故障していると判断するまでに記録装置100が使用したインクの量を知ることができる。従って、記録が1度も開始されなかった場合だけでなく、数回の記録しか成功しなかった場合であっても、ユーザーは、初期不良品と判断させるための情報を製造業者に与えることができる。なお、初回使用インクカートリッジ200でないインクカートリッジは、初回使用情報を有していないか、または初回に使用されるべきでない旨の情報を記録部202に有する。
【0027】
記録装置100は、記録禁止部102と、初回情報確認部104と、確認記録部106と、識別情報格納部108と、インク吐出量計測部110と、書込部112と、記録ヘッド114と、接続端子116と、インク供給針118とを備える。インク吐出量計測部110は、パーソナルコンピュータ300から指示された現在のインクを吐出する動作が、記録またはクリーニングのいずれであるかという情報を、パーソナルコンピュータ300から受信する。インク吐出量計測部110は、パーソナルコンピュータ300から受信した情報に基づいて、記録ヘッド114が吐出した記録使用量およびクリーニング使用量を計測する。計測された記録使用量およびクリーニング使用量は、書込部112および初回情報確認部104に送られる。また、インク吐出量計測部110が計測する記録使用量およびクリーニング使用量は、例えば、製造業者による初期設定において、それぞれ0に初期化される。
【0028】
初回情報確認部104は、インク吐出量計測部110から受信した情報に基づいて、初期設定後の初回であるか否かを判定する。初回情報確認部104は、初期設定後の初回に記録装置100へインクカートリッジが装着された場合に、記録部202に初回情報が記録されているか否かを確認し、確認した結果を確認記録部106および書込部112に送信する。記録部202に初回情報が記録されていない場合、初回情報確認部104は、初回情報が確認されない旨を記録禁止部102へ送信する。また、初回情報確認部104は、初期設定後の初回に記録装置100へ初回使用インクカートリッジ200が装着された場合に、記録部202に記録されている初回装着識別情報を読み出し、読み出された初回装着識別情報を記録禁止部102に送信する。
【0029】
識別情報格納部108は、記録装置100を識別する情報である記録装置識別情報を格納する。記録装置識別情報は、例えば、製造業者による初期設定において、識別情報格納部108に書き込まれる。記録装置100の識別情報格納部108および初回使用インクカートリッジ200の記録部202に、それぞれ記録装置識別情報および初回装着識別情報が記録されることにより、記録装置100および初回使用インクカートリッジ200が対応付けられる。さらに、初回使用インクカートリッジ200が記録装置100と共に梱包されて出荷されることにより、初期設定後の初回に、ユーザーは、記録装置100に対応付けられた初回使用インクカートリッジ200を用いて、記録装置100に記録させることができる。
【0030】
初期設定時、例えば記録装置100が販売店に出荷される時には、記録装置100の記録ヘッド114内およびインク供給針118から記録ヘッド114に至るインク流路内に、インクは充填されていない。従って、初期設定後の初回に記録装置100に記録させる場合に、ユーザーは、記録ヘッド114内およびインク供給針118から記録ヘッド114に至るインク流路内にインクを充填できるだけの、十分なインクの量が確実に収容されている専用のインクカートリッジを用いることが好ましい。十分なインクの量が確実に収容された初回使用インクカートリッジ200が記録装置100と共に梱包されるので、ユーザーは、初期設定後の初回に、記録装置100に確実に記録させることができる。
【0031】
初期設定後の初回に、初回情報確認部104が、記録装置100へ装着されたインクカートリッジから、初回情報を確認できなかった場合、または、初回情報確認部104から送られた初回装着識別情報と識別情報格納部108が格納する記録装置識別情報とが一致しない場合のいずれかの場合に、記録禁止部102は記録装置100の記録を禁止する。
【0032】
初期設定後の初回に、初回情報確認部104が記録装置100へ装着されたインクカートリッジの記録部202から初回情報を確認できなかった場合に、記録禁止部102は、記録装置100の記録動作を禁止する。よって、ユーザーは、初期設定後の初回に、初回情報が記録された初回使用インクカートリッジ200を確実に使用することができる。従って、初期設定後の初回に使用されるべきでないインクカートリッジを使うことによって発生する虞のある記録装置100の故障を、ユーザーは未然に防ぐことができる。
【0033】
また、初回装着識別情報と記録装置識別情報とが一致しない場合に、記録禁止部102は記録装置100の記録を禁止する。よって、ユーザーは、初期設定後の初回に記録装置100に対応付けられていないインクカートリッジを使うことにより発生する虞のある記録装置100の故障を、未然に防ぐことができる。
【0034】
記録禁止部102は、初回情報確認部104から送られた初回装着識別情報と識別情報格納部108が格納する記録装置識別情報とが一致せずに記録を禁止した場合に、初回装着識別情報と記録装置識別情報とが一致しなかった旨を確認記録部106に送信する。さらに、記録禁止部102は、記録装置100の記録を禁止した場合に、例えば、パーソナルコンピュータ300の表示画面上にエラー表示させる等により、記録動作を禁止した旨をユーザーに通知する。
【0035】
確認記録部106は、初回情報確認部104および記録禁止部102が確認した結果をそれぞれ記録する。書込部112は、初回情報確認部104が記録部202から初回情報を確認した場合に、インク吐出量計測部110から送られた記録使用量およびクリーニング使用量と、識別情報格納部108から読み出した記録装置識別情報とを対応付けて、接続端子116および接続端子206を介して、初回使用インクカートリッジ200の記録部202に書き込む。
【0036】
製造業者は、初回使用インクカートリッジ200の記録部202を参照することにより、ユーザーが記録装置100を故障していると判断するまでに記録装置100が記録およびクリーニングに使用したインクの量を知ることができる。従って、記録が1度も開始されなかった場合だけでなく、数回の記録しか成功しなかった場合、または記録できずにクリーニングをした場合であっても、ユーザーは、初期不良品と判断させるための情報を製造業者に与えることができる。さらに、初回使用インクカートリッジ200の記録部202が参照されることにより、ユーザーは、記録装置100に添付して持ち込まれたインクカートリッジが、記録装置100に対して用いた初回使用インクカートリッジ200であることを、製造業者に確実に示すことができる。
【0037】
図3は、初期使用記録システム10のフローチャートである。初期使用記録システム10において、製造業者によって製造および初期設定が行われた後、ユーザーによって記録装置100の電源が投入されることで、本フローチャートが開始する。まず、初回情報確認部104が、インク吐出量計測部110から受信したインクの吐出量を判定する(S100)。ステップ100では、記録およびクリーニングに使用されたインクの量と、例えば、記録装置100の製造業者が初期不良と見なすことができる数枚程度の記録に使用されるインクの量とを比較し、初期設定後の初回と見なすか否かを判定する。初回情報確認部104が初期設定後の初回でないと判定した場合(S100:NO)は、記録装置100は通常の記録動作を行う(S104)。なお、初回と見なすためのインク量は、数枚程度の記録に使用するインク量に限られない。例えば、初回と見なすためのインク量をゼロと設定することにより、インク突出量計測部110のインクの吐出量がゼロの場合に初回であると見なしてもよい。
【0038】
ステップ100において、今回の電源投入が初期設定後の初回であると判定した場合(S100:YES)は、初回情報確認部104は、記録装置100に装着されたインクカートリッジに対し、初回情報を読み出す(S102)。次に、初回情報確認部104は、インクカートリッジから初回情報を読み出したか否かを判定することにより、初回情報確認部104は、プリンタに装着されたインクカートリッジが初回使用インクカートリッジ200であるか否かを判定する(S106)。
【0039】
初回情報確認部104が、インクカートリッジから初回情報を読み出せない場合に(S106:NO)、記録禁止部102が記録動作禁止処理を行う(S114)。初回情報確認部104がインクカートリッジから初回情報を読み出せない場合の例は、インクカートリッジに記録部が存在しない場合、またはインクカートリッジの記録部から、初回に使用すべきでない旨の情報を読み出した場合を含む。ステップ114では、例えば、記録装置100内の電源供給を止める処理、パーソナルコンピュータ300に対して記録データの送信を停止させる信号を送る処理、およびパーソナルコンピュータ300の表示画面上にエラー表示させ、記録動作を禁止した旨の情報をユーザーに通知する処理等が行われる。
【0040】
ステップ106において、初回情報確認部104が記録部202から初回情報が読み出された場合に(S106:YES)、初回情報確認部104は、確認記録部106に記録部202から読み出した初回情報を確認した結果を送信し、確認記録部106は、初回情報確認部104が確認した結果を記録する(S108)。次に、初回情報確認部104は、記録部202から初回装着識別情報を読み出し、記録禁止部102に送信する(S110)。
【0041】
次に、記録禁止部102は、識別情報格納部108から記録装置識別情報を読み出し、初回情報確認部104から受信した初回装着識別情報と識別情報格納部108から読み出した記録装置識別情報とを比較する(S112)。記録装置識別情報と初回装着識別情報とが一致しなかった場合に(S112:NO)、記録禁止部102が記録動作禁止処理を行う(S114)。ステップ112において、記録装置識別情報と初回装着識別情報とが一致した場合に(S112:YES)、記録禁止部102は、記録装置識別情報と初回装着識別情報とが一致した旨を確認記録部106に送信し、確認記録部106は、記録禁止部102が確認した結果を記録する(S116)。次に、記録装置100は記録動作を行う(S118)。
【0042】
次に、記録装置100は、記録部202に、記録使用量およびクリーニング使用量を、記録装置識別情報と対応付けて書き込む所定のタイミングであるか否かを判定する(S120)。前述の所定のタイミングとは、例えば、記録装置100の電源を切るタイミングである。ステップ120において、記録装置100が所定のタイミングでないと判定した場合は、ステップ118に処理が移り、記録装置100は記録動作を行う。ステップ120において、記録装置100が所定のタイミングであると判定した場合は、書込部112は、記録部202に、記録使用量およびクリーニング使用量を、記録装置識別情報と対応付けて書き込む(S122)。以上で本フローチャートは終了する。
【0043】
初期使用記録システム10において、上記の処理を行うことにより、初回情報確認部104および記録禁止部102が確認した結果が確認記録部106に記録される。確認記録部106を参照することにより、製造業者は、初期設定後の初回に記録装置100へ初回使用インクカートリッジ200が装着されたか否か、および初期設定後の初回に、記録部202に記録された初回装着識別情報と記録装置100が有する識別情報格納部108に格納された記録装置識別情報とが一致したか否かを確認する。記録装置100が修理される場合に、製造業者は、記録装置100の確認記録部106の内容を条件の一つとして記録装置を初期不良と判断する。従って、修理する必要のある記録装置100が初期不良品であることを、ユーザーは確実に製造業者に示すことができる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】初期使用記録システム10の分解斜視図である。
【図2】初期使用記録システム10のブロック図である。
【図3】初期使用記録システム10のフローチャートである。
【符号の説明】
10 初期使用記録システム、12 被記録物、14 搬送ローラ、16 ガイド軸、18 キャリッジ、20 本体、22 クリーニング領域、100 記録装置、102 記録禁止部、104 初回情報確認部、106 確認記録部、108 識別情報格納部、110 インク吐出量計測部、112 書込部、114記録ヘッド、116 接続端子、118 インク供給針、200 初回使用インクカートリッジ、202 記録部、204 インク収容部、206 接続端子、208 インク供給口、300 パーソナルコンピュータ

Claims (8)

  1. 初期設定後に使用される記録装置の初期使用記録システムであって、
    前記初期設定後の初回に使用すべき旨の初回情報が記録された記録部を有する初回使用インクカートリッジと、
    前記初期設定後の初回に前記記録装置へインクカートリッジが装着された場合に、前記インクカートリッジの前記記録部に前記初回情報が記録されているか否かを確認する初回情報確認部と、
    前記初回情報確認部が確認した結果を記録する確認記録部と
    を備える初期使用記録システム。
  2. 前記初回情報確認部が前記記録部から前記初回情報を確認した場合に、前記記録装置が記録に用いたインクの使用量である記録使用量を前記記録部へ書き込む書込部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の初期使用記録システム。
  3. 前記記録装置を識別する記録装置識別情報を格納した識別情報格納部をさらに備え、
    前記書込部は、前記識別情報格納部に格納された記録装置識別情報に対応付けて、前記記録使用量を前記記録部へ書き込むことを特徴とする請求項2に記載の初期使用記録システム。
  4. 前記書込部は、前記記録装置がクリーニングに用いたインクの使用量であるクリーニング使用量を前記記録部へさらに書き込むことを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の初期使用記録システム。
  5. 前記初期設定後の初回に前記記録装置へ装着された前記インクカートリッジの前記記録部から、前記初回情報を確認できなかった場合に、前記記録装置の記録を禁止する記録禁止部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の初期使用記録システム。
  6. 前記記録装置を識別する記録装置識別情報を格納した識別情報格納部をさらに備え、
    前記記録部は、初回に装着されるべき前記記録装置を識別する初回装着識別情報をさらに記録し、
    前記初回情報確認部は、前記初期設定後の初回に前記記録装置へインクカートリッジが装着された場合に、前記初回装着識別情報を読み出し、読み出された前記初回装着識別情報と前記記録装置識別情報とが一致しない場合に、前記記録装置の記録を禁止する記録禁止部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の初期使用記録システム。
  7. 記録装置に装着されるインクカートリッジであって、
    前記記録装置の初期設定後の初回に使用すべき旨の初回情報、および前記初期設定後の初回に装着された前記記録装置が記録に用いたインクの使用量である記録使用量が記録された記録部
    を備えることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. 初期設定後に使用される記録装置の初期使用記録方法であって、
    インクを収容するインク収容部および前記初期設定後の初回に使用すべき旨の初回情報が記録された記録部を有する初回使用インクカートリッジを準備し、
    前記初期設定後の初回に前記記録装置へインクカートリッジが装着された場合に、前記インクカートリッジの前記記録部に前記初回情報が記録されているか否かを確認し、
    確認した結果を確認記録部に記録し、
    前記記録装置が修理される場合に、前記確認記録部を参照して、前記記録装置に対応付けられたインクカートリッジから前記初回情報が確認されたことを条件の一つとして初期不良と判断させる
    ことを特徴とする初期使用記録方法。
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