JP2004249265A - 廃棄物処分場の容積増加方法、及び遮水用層形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】廃棄物が投棄される凹面10の法面12の上方に、新たな法面である新法面42を延長して設けて、凹面10の上方に、投棄済み廃棄物30の上面である新底面41、及び新法面42を持つ新凹面40を形成する(図2(ロ))。次に、新法面42の下方に、遮水性と粘性を持つ、ゴム60を配する(同(ハ))。次に、新底面41全面に、ネット状の複数枚の支持材60を端部を重ね合わせながら敷詰める(同(ニ))。次に、支持材60の上に、ベントナイトを含む遮水用材70を配する(同(ホ))。最後に、新法面42全面を覆うように遮水シート80を配する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
廃棄物が投棄される凹面を備えている廃棄物処分場の凹面が、投棄された投棄済み廃棄物で略満たされた場合に、この凹面の上方に廃棄物が新たに投棄される新凹面を形成することで、廃棄物処分場の容積を増加させる際に使用される技術に関する。
【0002】
【発明の背景】
廃棄物処分場は、廃棄物が投棄される凹面を備えている。この凹面の容積は、当然に有限である。したがって、通常は、この凹面が、投棄された投棄済み廃棄物で満たされることにより、その廃棄物処分場の寿命は終わる。
【0003】
ところで、近年は、廃棄物処分場の不足の指摘をなされることが多くなっている。土地の狭い日本では廃棄物処分場を構築するための土地がそもそも少ない上に、廃棄物処分場を構築するには法的、環境的な制限や、近隣住民の理解が必要であり、寿命が終わった廃棄物処分場に代わる新たな廃棄物処分場を構築するための土地を確保するのが難しくなっているということが、廃棄物処分場の不足の一因となっている。
【0004】
このような事情から、投棄された投棄済み廃棄物で略満たされた凹面の上方に、廃棄物が新たに投棄される新凹面を形成することで、既存の廃棄物処分場の容積を増加させるという技術の実現が模索されている。
この技術は、廃棄物処分場構築のために新たな土地を確保するという廃棄物処分場構築のための最大の難問から無縁であり、その点で大きな可能性を含んでいる。
【0005】
しかしながら、この技術は未だ実用化の域に達していない。それは以下のような理由による。
廃棄物処分場の凹面は、底面、及び法面を持つ。廃棄物処分場の容積の増加は、その法面の上方に延長して新法面を作ることにより、凹面の上方に、元々あった凹面に投棄された投棄済み廃棄物の上面である新底面と、上述の新法面を持つ新凹面を形成することで行われる。この新凹面は、廃棄物を新たに投棄することができるものであるため、新凹面の形成により、廃棄物処分場の容積増大がなされることになる。
ここで問題となるのは、新凹面に投棄された廃棄物から出る浸出水の外部への流出防止をどのように行うかである。
浸出水の流出防止を行うべきことは、新凹面を形成しない従来の廃棄物処分場でも同様であり、従来の廃棄物処分場で確立している技術が存在する。しかしながら、その技術を新凹面からの浸出水の流出防止にそのまま応用できるわけではない。
従来の廃棄物処分場では、一般に、凹面の全面を覆うようにして遮水機能を有する遮水シートを敷設することによって遮水層を形成し、これにより、浸出水の流出防止を行うこととしている。新凹面は、上述したとおり、投棄済み廃棄物の上面をその新底面としている。そして、この新凹面は、後に沈降する可能性のあるものである。したがって、新凹面の底面に遮水シートを敷設した場合には、沈降した新凹面の底面とそれを覆う遮水シートとの間に間隙が生じる可能性がある。このような隙間の発生は、新凹面の底面を覆う遮水シートの破断の発生を招く可能性を生じるため、従来の廃棄物処分場で用いている浸出水の流出防止技術は、新凹面における浸出水の流出防止技術として応用し難い。
【0006】
つまり、新凹面を形成することで廃棄物処分場の容積を増す技術を実用化するためには、新凹面からの浸出水の流出防止を行うための技術を開発することが不可欠である。
しかしながら、このような技術は現存しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、新凹面からの浸出水の流出防止を行えるようにすることで、新凹面を形成することで廃棄物処分場の容積を増す技術を実用化できるようにすることを、その課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者が提案する以下のような方法により、新凹面を用いて廃棄物処分場の容積を増す技術が、実用可能となる。
本発明の方法は、底面、及び法面を持つ、廃棄物が投棄される凹面を備えている廃棄物処分場の前記凹面が、投棄された投棄済み廃棄物で略満たされた場合に実行される廃棄物処分場の容積増加方法である。この廃棄物処分場の容積増加方法は、前記法面の上方に、新たな法面である新法面を延長して設けて、前記凹面の上方に、前記投棄済み廃棄物の上面である新底面、及び新法面を持つ、廃棄物が新たに投棄される新凹面を形成する新凹面形成過程、前記新底面、及び前記新法面の全面に、前記新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が前記新凹面外に流出するのを防止するための遮水用層を形成する遮水用層形成過程、を含んでいる。そして、前記遮水用層形成過程では、前記新底面に前記遮水用層を形成するために、前記新底面の全面に、前記新底面よりも面積が小さく、柔軟性を有し、幕状とされた複数枚の支持材を、前記新底面全面を覆うように、且つ前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても前記複数枚の支持材間に平面視で隙間が生じないように、互いの端部を重ね合せながら敷詰め、前記支持材の全面に、前記新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が外部に流出しないようにする機能を持つ遮水用材を、前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても前記新底面上に前記遮水用材がない部分が生じないようにして敷詰める。
この廃棄物処分場の容積増加方法では、新底面に遮水用層を形成するにあたって、上述の如き複数枚の支持材を敷詰め、その上に遮水用材を敷詰めることとしている。複数枚の支持材は、遮水用材を下から支えるものであるが、互いに固定されていない。したがって、複数枚の支持材は、その下の新凹面の底面が沈降したとしても、それに追随することができるから、新凹面との間に隙間を生じることがない。また、遮水用材は、前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても、即ち、これに伴って支持材が沈降したとしても、前記新底面上に前記遮水用材がない部分が生じないようにして、前記支持材の上に敷詰められる。したがって、この廃棄物処分場の容積増加方法を実施すれば、仮に新底面の沈降が生じたとしても、新底面を覆う遮水用層が部分的に途切れることがなくなるので、新凹面からの浸出水の流出防止を確実に行えるようになる。これにより、本発明の方法によれば、新凹面を形成することで廃棄物処分場の容積を増す技術を実用化できるようになる。
なお、新底面が沈降したとしても、支持材がそれに追随できるようにするため、複数枚の支持材の重ね合わせ(特には、隣接するもの同士の重ね合わせ)は、予想される範囲で最大の新凹面の底面の沈降が生じたとしても、隣接する支持材間に遮水用材がない部分が生じないように、重ね合せの幅を初めとする重ね合せ方を調整すればよい。
【0009】
本願発明は、また、底面、及び法面を持つ、廃棄物が投棄される凹面を備えている廃棄物処分場の前記凹面が、投棄された投棄済み廃棄物で略満たされた場合であって、前記法面の上方に、新たな法面である新法面を延長して設けて、前記凹面の上方に、前記投棄済み廃棄物の上面である新底面、及び新法面を持つ、廃棄物が新たに投棄される新凹面を形成する新凹面形成過程が実行された後に実行される遮水用層形成方法も提案する。
この遮水用層形成方法は、前記新底面、及び前記新法面の全面に、前記新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が前記新凹面外に流出するのを防止するための遮水用層を形成する遮水用層形成方法である。そして、前記新底面に前記遮水用層を形成するために、前記新底面の全面に、前記新底面よりも面積が小さく、柔軟性を有し、幕状とされた複数枚の支持材を、前記新底面全面を覆うように、且つ前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても前記複数枚の支持材間に平面視で隙間が生じないように、互いの端部を重ね合せながら敷詰め、前記支持材の全面に、前記新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が外部に流出しないようにする機能を持つ遮水用材を、前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても前記新底面上に前記遮水用材がない部分が生じないようにして敷詰める。
この遮水用層形成方法を用いることによっても、上述した廃棄物処分場の容積増加方法を実施した場合と同様、新凹面からの浸出水の流出防止を行えるようになり、新凹面を形成することで廃棄物処分場の容積を増す技術を実用化できるようになる。
【0010】
本発明における支持材は、前記新底面よりも面積が小さく、柔軟性を有し、幕状とされたものであればよく、その詳細には、特に制限がない。例えば、一般的な遮水シートにより、或いは、布や、ネットにより、これを構成することができる。ネットを用いた場合には、以下に詳述する遮水用材がネットの目の間に入ることで、支持材の滑りが防止されるという効果を期待できることになる。
【0011】
上述した遮水用材は、新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が外部に流出しないようにする機能を持ち、また、新底面の沈降に伴って沈降する支持材に追随できるものであればよく、その詳細には特に制限はない。
遮水用材は、当初から遮水性を有していてもよく、後に遮水性を獲得するものであってもよい。
当初から遮水性を持つ遮水用材の例として、一定の粘度と遮水性を持ち、且つ変形可能な粘性遮水性材料を挙げることができる。このような粘性遮水性材料は、ある程度の厚みで支持材の上に敷詰めておけば、その厚みを薄くしながら、支持材の沈降に追随できる。このような粘性遮水性材料は、粘性をもっているから、凹面中の投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても新底面上に前記遮水用材がない部分が生じにくい。このような粘性遮水性材料の例としては、ゴムを挙げることができる。このゴムの一例として、水膨潤ゴムを挙げることができる。水膨潤ゴムは、水を吸うことで膨張する性質を持つので、新底面上に水膨潤ゴムがない部分が生じにくいため、これを使用することで高い遮水性能を期待できるようになる。
後に遮水性を獲得する遮水用材の例として、粉状ないし粒状であり、水分を吸収することで、一定の粘度と遮水性を持ち、且つ変形可能となる、遮水性粉ないし遮水性粒を挙げることができる。遮水性粉又は遮水性粒は、例えば、新凹面に後に投棄された廃棄物からの浸出水や、雨水により、粘度と遮水性を獲得する。廃棄物からの浸出水によっても遮水性を持つことになるから、遮水性粉又は遮水性粒を敷詰めておけば、新底面からの浸出水の流出を防止できる。また、このような遮水性粉又は遮水性粒をある程度の厚みで支持材の上に敷詰めておけば、一定の粘度と遮水性を獲得した遮水性粉又は遮水性粒は、新底面の沈降に伴って支持材が沈降した際に、その厚みを薄くしながら、支持材の沈降に追随できる。また、新底面に沈降が生じる頃には、遮水性粉又は遮水性粒は、粘性を獲得しているから、新底面が後に沈降を生じたとしても新底面上に前記遮水用材がない部分が生じにくい。なお、これら遮水性粉、遮水性粒は、当初から粘性を有するものに較べて扱い易いから、これらを用いれば、本発明の方法を実施しやすくなる。上述した遮水性粉の例として、ベントナイトを挙げることができ、上述した遮水性粒の例として、膨潤性を有する粘土、又は樹脂により形成される粒を挙げることができる。
遮水性粉としてベントナイトを用いる場合には、不織布に挟まれた状態のベントナイトを支持材の上に敷詰めることができる。このようにすれば、粉末状とされたベントナイトの取扱いが、更に容易になる。
【0012】
本発明では、前記新法面に前記遮水用層を形成するために、前記新法面の所定の高さまでの全面に、前記新底面の周縁から連続させて、一定の粘度と遮水性を持ち、且つ変形可能な粘性遮水性材料を配し、前記粘性遮水性材料が配されていない前記新法面全面を少なくとも覆うように、遮水性を有する遮水シートを配することとしてもよい。
新法面は、新底面と異なり沈降が生じないため、従来用いられていた遮水シートを用いる浸出水流出防止技術を応用できる。ただし、新法面と新底面との接続部分では、新底面が沈降した場合に、何らかの影響があるかもしれない。そこで、かかる部分には何らかの工夫が必要となるのであるが、新法面と新底面との接続部分に粘性遮水性材料を配すれば、新底面との接続部分に新底面沈降の影響が出たとしても、新法面に配された遮水シートの下端にはその影響が及ばなくなるため、新底面の沈降が生じたとしても、遮水層が途切れないようになる。
なお、粘性遮水性材料が配される高さは、新法面のすべての部分で同一である必要はない。粘性遮水性材料が配される高さは、最も低い部分でも、後に新凹面に投棄された廃棄物から出る浸出水の予想されうる最高の水位よりも高い位置に位置するようにする。
この場合、遮水シートを、前記遮水シートの下端が、そのすべての部分で、前記新底面に及ぶように配することができる。これによれば、遮水シートと、新法面に配された粘性遮水性材料の隙間からの浸出水の流出をより確実に防止できるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明による廃棄物処分場の容積増加方法、及び遮水用層形成方法の説明を行う。遮水用層形成方法は、廃棄物処分場の容積増加方法の一部であるので、以下の説明では、廃棄物処分場の容積増加方法についての説明を行うこととする。
【0014】
この実施形態における廃棄物処分場の容積増加方法は、図1に示した如き、一般的な廃棄物処分場の容積を増加させることを目的として実行される。図1は、廃棄物処分場の構造を説明するための側断面図である。
【0015】
本実施形態における廃棄物処分場は、廃棄物処分場としては至極一般的なものであり、廃棄物が投棄される凹面10を備えている。
この実施形態における凹面10は、地面を掘り下げて形成されている。もっとも、凹面10は、これに限らず、平らな底面の周りに、所定高さの揚壁を構築することなどにより形成してもよい。
凹面10は、底面11、及び法面12を備えている。法面12は、斜面であっても垂直な面であってもよいが、この実施形態では、そのすべての部分で斜面とされている。
凹面10の底面11、及び法面12は、遮水シート20でその全面を覆われている。遮水シート20は、凹面10に投棄された廃棄物からの浸出水の凹面10外への流出を防止するものであり、遮水性を備えている。遮水シート20は、一般的に、遮水性を有する樹脂製のシートである。なお、遮水シート20が2重に配されている場合もある。
【0016】
かかる廃棄物処分場で、この実施形態における廃棄物処分場の容積増加方法が実行される。遮水用層形成方法を、図2を用いて説明する。なお、図2(イ)〜(ホ)はいずれも、廃棄物処分場の断面図である。
【0017】
遮水用層形成方法は、上述の廃棄物処分場の凹面10に、廃棄物が投棄され、投棄された廃棄物である投棄済み廃棄物30により、凹面10が略満たされた場合(図2(イ))に実行される。
【0018】
この実施形態における遮水用層形成方法では、まず、凹面10の上方に、新凹面40を形成する(図2(ロ))。具体的には、凹面10の法面12の上方に、新たな法面である新法面42を延長して設けることで、凹面10の上方に、新凹面40を形成する。新凹面40は、投棄済み廃棄物30の上面である新底面41、及び新法面42を備えた凹面であり、廃棄物が新たに投棄されるものである。
【0019】
次に、新底面41、及び新法面42の全面に、新凹面40に後に投棄された廃棄物からの浸出水が新凹面外40に流出するのを防止するための遮水用層を形成する。これは、具体的には、以下のように行う。
【0020】
まず、新底面41の周縁から連続させるようにして、新法面42の所定の高さまでの全面に、粘性遮水性材料50を配する(図2(ハ))。
粘性遮水性材料50は、一定の粘度と遮水性を持つものであり、この実施形態では、ゴム、より詳細には、膨潤ゴムとされている。もっとも、これに変えて、加水したベントナイトを粘性遮水性材料50として用いることもできる。
なお、粘性遮水性材料50が配される高さは、新法面42のすべての部分で同一である必要はない。粘性遮水性材料50が配される高さは、最も低い部分でも、後に新凹面40に投棄された廃棄物からの浸出水の予想されうる最高の水位よりも高くなるようにする。
【0021】
次に、上述の新底面41の全面に、複数枚の支持材60を敷詰める(図2(ニ))。
支持材60は、後述する遮水用材70を下から支持するためのものである。支持材60は、新底面41よりも面積が小さく、柔軟性を有し、幕状とされている。支持材60は、遮水シート、織布、不織布等であってもよいが、この実施形態では、この支持材60を、ポリエチレン、又は塩化ビニル製のネットとされている。ネットであるこの支持材60は、その一辺が1m〜5m程度の適当な長さとされた矩形とされており、また、その目の大きさは0.5cm〜5.0cm程度とされている。なお、支持材60はネットである必要はなく、その材料、大きさ、形状も上述のとおりである必要はない。支持材60がネットである場合における目の大きさも、上述のとおりである必要はない。
複数枚の支持材60は、新底面41全面を覆うように、且つ投棄済み廃棄物30が後に沈降を生じることにより新底面41が沈降を生じたとしても、複数枚の支持材間60に隙間が生じないように、互いの端部を重ね合せながら敷詰められる。なお、新底面41の周縁部に配される支持材60は、新法面42に乗り上げるようにして敷詰められてもよい。この実施形態における支持材60は、そのようにして敷詰められる。
【0022】
次に、複数枚の支持材60の全面に、新凹面40に投棄された廃棄物からの浸出水が外部に流出しないようにする機能を持つ遮水用材70を敷詰める(図2(ホ))。
遮水用材70は、この実施形態では、図3に示したようなものを用いる。この遮水用材70は、粉末状のベントナイト71を、不織布72で挟み込んでなる。これを、図2(ホ)に示したように、互いに重なり合い、且つ多層となるようにして、支持材60の上に敷詰める。なお、遮水用材70は、投棄済み廃棄物30が後に沈降を生じたとしても新底面41上に遮水用材70がない部分が生じないようにして敷詰める。
この粉末状のベントナイト71は、例えば、後に新凹面40に投棄された廃棄物から浸出水が漏れ出したときにそれを吸い、一定の粘度と遮水性を獲得するものである。
なお、粉末状のベントナイト71は、不織布72に挟まずに、そのまま敷詰められてもよい。
【0023】
そして、最後に、新法面42の全面を覆うように、遮水シート80を配して、遮水層の形成を終える(図4)。
遮水シート80は、遮水性を有する、例えば樹脂製のシートである。もっとも、遮水シート80は、投棄済み廃棄物からの浸出水の流出を防止するために廃棄物処分場の凹面を覆う際に利用されていた周知のものを用いればよい。また、遮水シート80は、一般的に、複数枚の樹脂製のシートを接続して形成されるが、かかる樹脂製のシートの接続には、周知技術を用いることができる。
上述した遮水シート80は、新法面42のうち、粘性遮水性材料50で覆われておらず、露出している部分のすべてを覆うようにして配される。この実施形態では、その下端のすべての部分が、新底面41に及ぶようにして、遮水シート80は配される。
【0024】
以上のような廃棄物処分場の容積増加方法を用いて容積を増加させることにより得られた図4に示した如き廃棄物処分場は、図5に示したように、投棄済み廃棄物30の上面である新底面41の沈降が生じたとしても、新凹面40に新たに投棄された廃棄物からの浸出水を外部へ流出させない。
それは、かかる廃棄物処分場では、図5に示したように、新底面41が沈降したとしても、複数枚の支持材60が、平面視で支持材60間に隙間が生じないようにしてこれに追随し、また、支持材60の上に配された遮水用材70が、支持材60に追随するからである。沈降によって新底面41の面積が増大したとしても、遮水用材70(この実施形態では、ベントナイト71)は、その厚さを多少減じることにはなるものの、平面視で隙間のない層状の状態を保つ。したがって、新底面41の沈降が生じたとしても、新凹面40に新たに投棄された廃棄物からの浸出水が、新底面41から、新凹面40の外部へ流出することはない。なお、新凹面40に新たに投棄された廃棄物からの浸出水が、新法面42から、新凹面40の外部へ流出することは、粘性遮水性材料50と遮水シート80の協働によって防がれる。
【0025】
≪変形例1≫
上述の実施形態における廃棄物処分場の容積増加方法では、不織布72で挟み込んだ粉末状のベントナイト71を遮水用材70として用いた。
この変形例1の廃棄物処分場の容積増加方法は、他の部分では、上述の実施形態における廃棄物処分場の容積増加方法と変わらないが、粉末状のベントナイト71に代えて、粒状であり、水分を吸収することで、一定の粘度と遮水性を持ち、且つ変形可能となる遮水性粒を、遮水用材70として用いることとしている。
かかる遮水性粒は、図6の断面図に示したように、例えば小石により形成された芯材73と、それを包み込む膨潤性を有する粘土74により構成されている。なお、この粘土74は、膨潤性を有する樹脂に置換可能である。遮水性粒は、直径が0.5〜5.0mm程度である。
遮水用材70としてかかる膨潤性樹脂を用いたとしても、上述の実施形態と同様の作用効果を得られる。
【0026】
≪変形例2≫
上述の実施形態における廃棄物処分場の容積増加方法では、不織布72で挟み込んだ粉末状のベントナイト71を遮水用材70として用いた。
この変形例2の廃棄物処分場の容積増加方法は、他の部分では、上述の実施形態における廃棄物処分場の容積増加方法と変わらないが、粉末状のベントナイト71に代えて、一定の粘度と遮水性を支持材60上への敷詰め時から持ち、且つ変形可能な粘性遮水性材料を、遮水用材70として用いることとしている。
かかる粘性遮水性材料として、この実施形態では、上述の条件を満たすゴムを用いることとしている。もっとも、このゴムに代えて、加水したベントナイトを用いることも可能である。
遮水用材70としてかかる粘性遮水性材料を用いたとしても、上述の実施形態と同様の作用効果を得られる。
なお、ここで用いる粘性遮水性材料は、新法面42に配される粘性遮水性材料50と同様のものであっても、異なるものであっても構わない。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、凹面の上に新凹面を形成することで廃棄物処分場の容積を増す技術を実用化できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による廃棄物処分場の容積増加方法が実施される廃棄物処分場の構成を概略で説明するための側断面図。
【図2】本発明による廃棄物処分場の容積増加方法の内容を説明するための側断面図。
【図3】図2で示した方法で使用される遮水用材の構成を示す図。
【図4】本発明による廃棄物処分場の容積増加方法が実施された廃棄物処分場の構成を概略で説明するための側断面図。
【図5】図2で示した方法により容積が増加した廃棄物処分場で、新法面が沈降した状態を示す側断面図。
【図6】変形例1の廃棄物処分場の容積増加方法で使用される遮水用材の構成を示す断面図。
【符号の説明】
10 凹面
11 底面
12 法面
20 遮水シート
30 投棄済み廃棄物
40 新凹面
41 新底面
42 新法面
50 粘性遮水性材料
60 支持材
70 遮水用材
71 ベントナイト
72 不織布
73 芯材
74 粘土
80 遮水シート
Claims (11)
- 底面、及び法面を持つ、廃棄物が投棄される凹面を備えている廃棄物処分場の前記凹面が、投棄された投棄済み廃棄物で略満たされた場合に実行される方法であって、
前記法面の上方に、新たな法面である新法面を延長して設けて、前記凹面の上方に、前記投棄済み廃棄物の上面である新底面、及び新法面を持つ、廃棄物が新たに投棄される新凹面を形成する新凹面形成過程、
前記新底面、及び前記新法面の全面に、前記新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が前記新凹面外に流出するのを防止するための遮水用層を形成する遮水用層形成過程、を含んでおり、
前記遮水用層形成過程では、前記新底面に前記遮水用層を形成するために、
前記新底面の全面に、前記新底面よりも面積が小さく、柔軟性を有し、幕状とされた複数枚の支持材を、前記新底面全面を覆うように、且つ前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても前記複数枚の支持材間に平面視で隙間が生じないように、互いの端部を重ね合せながら敷詰め、
前記支持材の全面に、前記新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が外部に流出しないようにする機能を持つ遮水用材を、前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても前記新底面上に前記遮水用材がない部分が生じないようにして敷詰める、廃棄物処分場の容積増加方法。 - 前記支持材は、ネットである、請求項1記載の廃棄物処分場の容積増加方法。
- 前記遮水用材は、一定の粘度と遮水性を持ち、且つ変形可能な粘性遮水性材料である、請求項1記載の廃棄物処分場の容積増加方法。
- 前記粘性遮水性材料は、ゴムである、請求項3記載の廃棄物処分場の容積増加方法。
- 前記遮水用材は、粉状ないし粒状であり、水分を吸収することで、一定の粘度と遮水性を持ち、且つ変形可能となる、遮水性粉ないし遮水性粒である、請求項1記載の廃棄物処分場の容積増加方法。
- 前記遮水性粉は、ベントナイトである、請求項5記載の廃棄物処分場の容積増加方法。
- 前記ベントナイトは、不織布に挟まれた状態で、前記支持材上に敷詰められる、請求項6記載の廃棄物処分場の容積増加方法。
- 前記遮水性粒は、膨潤性を有する粘土、又は樹脂により形成される、請求項5記載の廃棄物処分場の容積増加方法。
- 前記遮水用層形成過程では、前記新法面に前記遮水用層を形成するために、
前記新法面の所定の高さまでの全面に、前記新底面の周縁から連続させて、一定の粘度と遮水性を持ち、且つ変形可能な粘性遮水性材料を配し、
前記粘性遮水性材料が配されていない前記新法面全面を少なくとも覆うように、遮水性を有する遮水シートを配する、請求項1記載の廃棄物処分場の容積増加方法。 - 前記遮水シートを、前記遮水シートの下端が、そのすべての部分で、前記新底面に及ぶように配する、請求項9記載の廃棄物処分場の容積増加方法。
- 底面、及び法面を持つ、廃棄物が投棄される凹面を備えている廃棄物処分場の前記凹面が、投棄された投棄済み廃棄物で略満たされた場合であって、
前記法面の上方に、新たな法面である新法面を延長して設けて、前記凹面の上方に、前記投棄済み廃棄物の上面である新底面、及び新法面を持つ、廃棄物が新たに投棄される新凹面を形成する新凹面形成過程が実行された後に実行される方法であり、
前記新底面、及び前記新法面の全面に、前記新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が前記新凹面外に流出するのを防止するための遮水用層を形成する遮水用層形成方法であって、
前記新底面に前記遮水用層を形成するために、
前記新底面の全面に、前記新底面よりも面積が小さく、柔軟性を有し、幕状とされた複数枚の支持材を、前記新底面全面を覆うように、且つ前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても前記複数枚の支持材間に平面視で隙間が生じないように、互いの端部を重ね合せながら敷詰め、
前記支持材の全面に、前記新凹面に投棄された廃棄物からの浸出水が外部に流出しないようにする機能を持つ遮水用材を、前記投棄済み廃棄物が後に沈降を生じたとしても前記新底面上に前記遮水用材がない部分が生じないようにして敷詰める、遮水用層形成方法。
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