JP2004248669A - メタノール資化性細菌を用いたl−リジンの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 メタノール資化性細菌を用いたL−リジン製造の効率を向上させること。
【解決手段】 生育にL−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌を、メタノールを主要炭素源とする培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することにより、L−リジンを製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】 生育にL−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌を、メタノールを主要炭素源とする培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することにより、L−リジンを製造する。
【選択図】 なし
Description
本発明は微生物工業に関連したものであり、詳しくは、発酵法によるL−リジンの製造法に関するものである。
L−リジンは、コリネバクテリウム属、バチルス属、エシェリヒア属等に属する微生物を用いた発酵法により生産されている(非特許文献1参照)。これらの微生物は生産性を向上させるために、自然界から分離した菌株または該菌株の栄養要求性変異株等の人工変異株が用いられている。また組換えDNA技術によりL−リジンの生合成酵素を増強することによって、L−リジンの生産能を増加させる種々の技術が開示されている(特許文献1参照)。
上記のような微生物の育種や製造法の改良により、L−リジンの生産性はかなり高まってはいるが、今後の需要の一層の増大に応えるためには、さらに安価かつ効率的なL−リジンの製造法開発が求められている。
ところで、従来安価に大量に入手可能な発酵原料であるメタノールからの発酵法によりL−アミノ酸を製造する方法としては、アクロモバクター属およびシュードモナス属(特許文献2)、プロタミノバクター属(特許文献3)、プロタミノバクター属及びメタノモナス属(特許文献4)、ミクロサイクラス属(特許文献5)、メチロバチラス属(特許文献6)、バチラス属(特許文献7)、メチロフィラス属(特許文献8)などに属する微生物を用いる方法が知られている。
一方、偏性メタノール資化菌、特にメチロフィラス属細菌では、通常の方法では、栄養要求性変異株を取得することが困難といわれてきた(非特許文献2、3)。そのため、例えば、グルタミンの要求性株の取得では、その要求性が温度感受性になったもの(非特許文献4)しか取れなかったり、特別な手法(DNAの変異剤を含む溶液に、菌株を懸濁し、それに電圧を印加し、強制的に細胞膜に穴をあけて、変異剤を流し込むという手法(エレクトロポレーション))を駆使しても、ようやく、葉酸要求株、セリンとアラニンの同時要求株、そしてグルタミン酸とイノシトールの同時要求株の3種類の変異株を取得できたにすぎなかった(非特許文献5)。
なお、前記特許文献8には、メチロフィラス・メチロトロファスに化学的な変異剤による変異誘発処理を行い、リーキー(leaky)なカザミノ酸要求株を取得して、その株がバリン、ロイシン、イソロイシンを生産することが示されている。しかしながら、その変異株の特性から判断するに、それは細胞膜の変化により培地中の各種アミノ酸が細胞中へ透過することによるカザミノ酸のリーキー要求株と思われる。
国際公開第95/16042号パンフレット
特公昭45-25273号公報
特開昭49-125590号公報
特開昭50-25790号公報
特開昭52-18886号公報
特開平4-91793号公報
特開平3-505284号公報
国際公開第00/61723号パンフレット
「アミノ酸発酵」相田浩 他、編、(株)学会出版センター、1986年5月30日初版発行
A.T. Moore et al., Journal of General Microbiology (1983), 129巻, pp785-799、
O’Connor M.L. and Hanson R.S., Journal of General Microbiology (1978), 104巻,pp105-111
Windass J.D. et al., Nature, 287, pp396-401 (1980)
C.S.Kim and T.K.Wood, Aplied Microniol. Biotechnology (1997), 48, pp105-108
本発明は、メタノール資化性細菌を用いたL−リジン製造の効率を向上させる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、メタノール資化性細菌にL−メチオニン要求性を付与することに成功し、さらに、この性質により、メタノール資化性細菌によるメタノールからのL−リジン生産性が向上することを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)生育にL−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌を、メタノールを主要炭素源とする培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することを特徴とするL−リジンの製造法。
(2)メタノール資化性細菌がメチロフィラス属細菌である(1)に記載のL−リジンの製造法。
(3)メチロフィラス属細菌がメチロフィラス・メチロトロファスである(2)に記載のL−リジンの製造法。
(4)メチロフィラス属細菌が、ジアミノピメリン酸合成酵素活性が増強され、かつ、L−リジン排出系が増強されるように改変されている(1)〜(3)のいずれかに記載のL−リジンの製造法。
(5)生育にL−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産能を有するメチロフィラス属細菌。
(6)メチロフィラス・メチロトロファスである(5)に記載のメチロフィラス属細菌。(7)ジアミノピメリン酸合成酵素活性が増強され、かつ、L−リジン排出系が増強されるように改変されている(5)又は(6)に記載のメチロフィラス属細菌。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)生育にL−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌を、メタノールを主要炭素源とする培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することを特徴とするL−リジンの製造法。
(2)メタノール資化性細菌がメチロフィラス属細菌である(1)に記載のL−リジンの製造法。
(3)メチロフィラス属細菌がメチロフィラス・メチロトロファスである(2)に記載のL−リジンの製造法。
(4)メチロフィラス属細菌が、ジアミノピメリン酸合成酵素活性が増強され、かつ、L−リジン排出系が増強されるように改変されている(1)〜(3)のいずれかに記載のL−リジンの製造法。
(5)生育にL−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産能を有するメチロフィラス属細菌。
(6)メチロフィラス・メチロトロファスである(5)に記載のメチロフィラス属細菌。(7)ジアミノピメリン酸合成酵素活性が増強され、かつ、L−リジン排出系が増強されるように改変されている(5)又は(6)に記載のメチロフィラス属細菌。
なお、本明細書において「L−リジン生産能」とは、本発明の細菌を培地に培養したときに、培地中に有意な量、例えば0.1g/L以上のL−リジンを蓄積する能力、または、菌体中の遊離L−リジン含量が有意な量、例えば、元の野生株に比べ、菌体の全タンパク質量あたりの遊離L−リジン量を1.5倍以上に増加させる能力をいう。
本発明により、メタノール資化性細菌のL−リジン生産性を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明の細菌
本発明の細菌は、生育にL−メチオニンを要求し(L−メチオニン要求性)、かつ、L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌である。本発明においてメタノール資化性細菌、即ち、メチロトローフとは、メタノールを主たる炭素源として生育することができる細菌であって、L−メチオニン要求性を付与することによって、L−リジン生産能を獲得することができるか、又はL−リジン生産能が向上され得る細菌である。具体的には、メチロフィラス・メチロトロファス(Methylophilus methylotrophus)等のメチロフィラス属細菌、及び、メチロバチラス・グリコゲネス(Methylobacillus glycogenes)、メチロバチラス・フラゲラタム(Methylobacillus flagellatum)等のメチロバチラス属細菌が挙げられる。
<1>本発明の細菌
本発明の細菌は、生育にL−メチオニンを要求し(L−メチオニン要求性)、かつ、L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌である。本発明においてメタノール資化性細菌、即ち、メチロトローフとは、メタノールを主たる炭素源として生育することができる細菌であって、L−メチオニン要求性を付与することによって、L−リジン生産能を獲得することができるか、又はL−リジン生産能が向上され得る細菌である。具体的には、メチロフィラス・メチロトロファス(Methylophilus methylotrophus)等のメチロフィラス属細菌、及び、メチロバチラス・グリコゲネス(Methylobacillus glycogenes)、メチロバチラス・フラゲラタム(Methylobacillus flagellatum)等のメチロバチラス属細菌が挙げられる。
メチロフィラス・メチロトロファスとしては、AS1株(NCIMB10515)等が挙げられる。メチロフィラス・メチロトロファスAS1株(NCIMB10515)は、ナショナル・コレクション・オブ・インダストゥリアル・アンド・マリン・バクテリア(National Collections of Industrial and Marine Bacteria、住所 NCIMB Lts., Torry Research Station 135, Abbey Road, Aberdeen AB9 8DG, United Kingdom)から入手可能である。
また、メチロバチラス・グリコゲネスとしては、T-11株(NCIMB 11375)、ATCC 21276株、 ATCC 21371株、ATR80株(Appl. Microbiol. Biotechnol., (1994)、42巻, p67-72に記載)、A513株(Appl. Microbiol. Biotechnol., (1994)、42巻, p67-72に記載)等が挙げられる。メチロバチラス・グリコゲネスNCIMB 11375株は、ナショナル・コレクション・オブ・インダストゥリアル・アンド・マリン・バクテリア(National Collections of Industrial and Marine Bacteria、住所 NCIMB Lts., Torry Research Station 135, Abbey Road, Aberdeen AB9 8DG, United Kingdom)から入手可能である。また、メチロバチラス・フラゲラタムとしては、KT株(Arch. Microbiol., (1988), 149巻、p441-446に記載)等が挙げられる。
生育にL−メチオニンを要求し、かつL−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌は、生育にL−メチオニンを要求しない(L−メチオニン非要求性)メタノール資化性細菌を出発材料として誘導することができる。生育にL−メチオニンを要求しないメタノール資化性細菌としては、メタノール資化性細菌の野生株が挙げられる。
本発明において、「生育にL−メチオニンを要求」するとは、例えば、L−メチオニンを含まないか、又はL−メチオニンの含有量が0.001g/L以下のSEII培地で、30℃〜37℃の温度にて2日間培養したときに、増殖しないが、同培地にL−メチオニンを少なくとも0.05g/L以上添加した培地で培養したときに、野生株もしくは非改変株又は親株と同程度か、又はこれらの菌株の5%以上、好ましくは20%以上の増殖速度(単位時間当たりの菌体質量の増加)で増殖することをいう。また、L−メチオニンを加えないSEII寒天培地上では、その目的株(L−メチオニン要求株)を、通常のプレートの表面に100個程度を塗布し、37℃にて2日間培養した後にも、直径が1mm以上のコロニーを形成できないが、同培地にL-メチオニンを1g/L添加した同寒天培地上には、同条件の培養後に直径が1mm以上のコロニーを形成しうる能力をもつ株は、「生育にL−メチオニンを要求」する株である。
L−メチオニン非要求株からL−メチオニン要求株を誘導するには、例えば、遺伝子に突然変異を誘起させることができる紫外線、X線、γ線などの物理的な刺激や、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)などの化学変異誘発剤によりL−メチオニン非要求株を処理し、L−メチオニンを要求するようになった株を選択する方法が挙げられるが、これらの中では、例えばNTGを用いる方法が好ましい。従来、メチロフィラス・メチロトロファスにおいては、特定のアミノ酸要求株を取得することが非常に困難と考えられていたが、本発明者らは、L−メチオニン要求株をこのような化学変異誘導剤によっても取得できることを見い出した。
一方、メタノール資化性細菌のL−メチオニン合成に関わる代謝経路が推定でき、その経路上の酵素をコードする遺伝子が判明している場合は、直接にその標的となる遺伝子を、相同組換えを利用した遺伝子破壊法により破壊することで、L−メチオニン要求性株が取得できる。また、遺伝子組換え技術を利用して、L−メチオニン合成に関わる酵素活性を抑制することによっても、L−メチオニン要求性を付与することができる。例えば、メチロフィラス・メチロトロファスの場合、配列表の配列番号15に示す塩基配列を有するmetA遺伝子が、破壊または活性を抑制する酵素の遺伝子の一例である。この遺伝子は、ホモセリンo−アセチルトランスフェラーゼをコードしていると思われる。後述するように、metA遺伝子を破壊したメチロフィラス・メチロトロファスは、L−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産性が向上した。
その他、酵素機能の欠損により、L−メチオニン要求性を付与する酵素の例としては、アスパラギン酸セミアルデヒドからL−メチオニンに至る代謝経路上の酵素が挙げられる。尚、「酵素機能の欠損」とは、酵素活性が実質的に完全に消失している場合に加えて、細菌がL−メチオニン要求性を示す程度に酵素活性が低下していることを含む。例えば、ホモセリン脱水素酵素の欠損の場合は、表現型はL−メチオニンとL−スレオニンの要求性と予想されるし、更には、o−サクシニルホモセリンスルフィドリラーゼ(例えば、metZ遺伝子産物)やメチオニンシンターゼ(例えばmetEやmetHなど)の欠損でも、表現型はL−メチオニン要求性になると思われる。但し、それらの内で、同一の酵素反応を担う酵素が、メタノール資化性細菌中に複数個存在する場合(例えば、metEとmetHのように、同一酵素反応を触媒する酵素が、別個に存在する場合など)は、それら両酵素の機能を、同時に欠損させておくことが好ましい。
以下に、L−メチオニン合成系酵素の活性を欠損させる方法を、metA遺伝子を例として説明する。尚、metA遺伝子は、同遺伝子を保持する微生物、例えばメチロフィラス・メチロトロファスのゲノムDNAから、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション法(以下、「PCR」と記す)法により同遺伝子を増幅することで取得することができる。ゲノムDNAは、公知の方法により調製することができる。PCRに用いるプライマーとしては、配列表配列番号7と10で示したDNA配列をもつオリゴヌクレオチドが挙げられる。
metA遺伝子の発現を抑えるための手段としては、例えば、この遺伝子のプロモーター配列中に1つまたは複数個の塩基の置換、欠失、挿入、付加または逆位を起こさせ、プロモーター活性を低下させることによって転写レベルで遺伝子の発現を抑える方法がある(M.Rosenberg and D. Court,Ann.Rev.Genetics 13(1979)p.319、P.Youderian,S.Bouvier and M. Susskind,Cell 30(1982)P.843-853参照)。また、metA遺伝子の発現は、SD配列(シャイン-ダルガーノ配列)と開始コドンとの間の領域中に、1つまたは複数個の塩基の置換、欠失、挿入、付加または逆位を起こさせることによって、翻訳レベルでMetAタンパク質の発現を抑えることができる(J.J.Dunn,E.Buzash-Pollert and F.W.Studier,Proc.Natl.Acad. Sci.U.S.A.,75(1978)P.2743参照)。
また、ホモセリン o-アセチルトランスフェラーゼ酵素の比活性を低下又は消失させる
には、metA遺伝子のコーディング領域の中の塩基配列中に1つまたは複数個の塩基の置換、欠失、挿入、付加または逆位を起こさせることによってコーディング領域を改変または破壊する方法がある。
には、metA遺伝子のコーディング領域の中の塩基配列中に1つまたは複数個の塩基の置換、欠失、挿入、付加または逆位を起こさせることによってコーディング領域を改変または破壊する方法がある。
遺伝子中に塩基の置換、欠失、挿入、付加または逆位を起こさせるには、具体的には、部位特異的変異法(Kramer,W.and Frits,H.J.,Methods in Enzymology,154,350(1987))や、目的遺伝子を含むDNAを次亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン等の化学薬剤により処理する方法(Shortle,D.and Nathans,D.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,75,270(1978))が挙げられる。
部位特異的変異法は、合成オリゴヌクレオチドを用いる方法であり、任意の限定された塩基対のみに、任意の置換、欠失、挿入、付加または逆位を導入できる手法である。この方法を利用するには、まず、クローン化され、DNA塩基配列が決定されている目的遺伝子を持つプラスミドを変性させて1本鎖を調製する。次に、変異を起こさせたい部分に相補的な合成オリゴヌクレオチドを合成するが、このとき合成オリゴヌクレオチドを完全に相補的な配列にせず、任意の塩基置換、欠失、挿入、付加または逆位を持つようにしておく。この後、前記1本鎖DNAと任意の塩基置換、欠失、挿入、付加または逆位を持つ合成オリゴヌクレオチドをアニールさせ、さらにDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントとT4リガーゼを用いて完全な2本鎖プラスミドを合成し、これをエシェリヒア・コリのコンピテントセルに導入する。このようにして得られた形質転換体の幾つかは、任意の塩基置換、欠失、挿入、付加または逆位が固定された目的遺伝子を含むプラスミドを持っている。
遺伝子に変異を導入し、改変または破壊することができる同様な手法には、リコンビナントPCR法(PCR Technology,Stockton press(1989))がある。
また、化学薬剤処理を用いる方法は、目的の遺伝子を含むDNA断片を直接次亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン等で処理することによりDNA断片中にランダムに塩基置換、欠失、挿入、付加または逆位を持つ変異を導入する方法である。
また、化学薬剤処理を用いる方法は、目的の遺伝子を含むDNA断片を直接次亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン等で処理することによりDNA断片中にランダムに塩基置換、欠失、挿入、付加または逆位を持つ変異を導入する方法である。
以上のようにして取得した変異が導入されて改変または破壊された遺伝子を、メタノール資化性細菌の染色体上の正常な遺伝子と置換することにより、細胞中のmetA遺伝子の発現を抑えることができる。
遺伝子の置換の方法としては、相同性組換えを利用した方法(Experiments in Molecular Genetics,Cold Spr1ng Harbor Laboratory press(1972);Matsuyama,S.and Mizushima,S.,J.Bacteriol.,162,1196(1985))がある。相同性組換えは、メタノール資化性細菌が一般的に持つ能力であり、染色体上の配列と相同性を有する配列を持つプラスミド等が菌体内に導入されると、ある頻度で相同性を有する配列の箇所で組換えを起こし、導入されたプラスミド全体を染色体上に組み込む。この後、さらに染色体上の相同性を有する配列の箇所で組換えを起こすと、再びプラスミドが染色体上から抜け落ちるが、この時組換えを起こす位置により変異が導入された遺伝子の方が染色体上に固定され、元の正常な遺伝子がプラスミドと一緒に染色体上から抜け落ちることもある。このような菌株を選択することにより、塩基置換、欠失、挿入、付加または逆位を持つ変異が導入されて改変または破壊された遺伝子が染色体上の正常な遺伝子と置換された菌株を取得することができる。
また、メチロフィラス・メチロトロファスにおいては、染色体上の目的遺伝子と相同な遺伝子を、直鎖状DNA断片の形態で導入することにより、細胞内で染色体上の目的遺伝子と導入した直鎖状DNA断片上の相同な遺伝子との間で相同組換えが起こり、遺伝子置換ができることを本発明者らは見い出しており、このような手法も適用可能である。なお、こ
の手法により遺伝子の置換を行った例を、後記実施例に記載している。
の手法により遺伝子の置換を行った例を、後記実施例に記載している。
遺伝子置換が意図したように進行したことが判別できるように、例えば抗生物質に対する薬剤耐性マーカー遺伝子を、導入DNA断片中に組み込んでもよい。但し、そのようなマーカー遺伝子は、薬剤耐性マーカーを使用する場合は、カナマイシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、アンピシリン、ストレプトマイシンなどの薬剤に対する耐性をメチルフィラス属細菌に付与する遺伝子が使用される。上記のようなマーカー遺伝子は、導入遺伝子中に挿入されることによって、コード領域が破壊された遺伝子の作製に用いることができる。尚、マーカー遺伝子が挿入された破壊型遺伝子は、後記実施例に示すようにプラスミドDNAを用いた遺伝子組換え手法によって作製してもよいが、クロスオーバーPCRにより導入遺伝子の増幅とマーカー遺伝子の挿入を同時に行うことによっても、作製することができる。
後述の実施例においては、metA遺伝子の機能が破壊されたメチロフィラス・メチロトロファス株の造成は、そのコーディング領域の一部を欠失させ、代わりにカナマイシン耐性遺伝子を挿入したmetA遺伝子を、上記の相同性組換えを利用した方法により、メチロフィラス・メチロトロファスの染色体上のmetA遺伝子と置換することにより行った。
本発明の細菌は、L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌に、上記のようにしてL−メチオニン要求性を付与することにより、取得することができる。また、L−メチオニン要求性を有するメタノール資化性細菌に、L−リジン生産能を付与することによっても、本発明の細菌を取得することができる。L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌、例えばメチロフィラス・メチロトロファス菌株は、L−リジン生産能を有しないか、又はL−リジン生産能が低い株に、変異処理を施し、S−(2−アミノエチル)−L−システイン(以下、「AEC」と記す)等のリジンアナログに対する耐性を付与することにより取得することができる。変異処理の方法としては、前述のL−メチオニン要求株の取得と同様に、菌株に、紫外線、X線、γ線などの物理的な刺激や、NTGなどの化学変異誘発剤による処理を施す方法がある。このようにして得られるL−生産能を有するメチロフィラス属細菌の具体例としては、メチロフィラス・メチロトロファス AJ13608が挙げられる。 本菌株は、メチロフィラス・メチロトロファスAS1株にAEC耐性を付与することによって育種されたものである。尚、メチロフィラス・メチロトロファス AJ13608は、1999年6月10日付で工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6))に受託番号FERM P-17416として寄託され、2000年3月31日付にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-7112が付与されている。
また、L−リジン生産能を有するメチロフィラス属細菌は、L−リジンの生合成に関与する遺伝情報を担うDNAを遺伝子組換え技術により導入、増強することによっても育種することができる。導入される遺伝子は、例えば、ジヒドロジピコリン酸合成酵素、スクシニルジアミノピメリン酸トランスアミナーゼ等、L−リジンの生合成経路上の酵素をコードする遺伝子である。ジヒドロジピコリン酸合成酵素(DDPS)のようにL−リジンによるフィードバック阻害を受ける酵素遺伝子の場合には、かかる阻害が解除された酵素をコードする変異型遺伝子を用いることが望ましい。このような変異遺伝子としては、例えば、国際公開第95/16042号パンフレットに記載のE. coliのdapA*24遺伝子(118位のヒスチジン残基がチロシン残基で置換されたDDPSをコードしている)などが挙げられる。上記のその他の遺伝子についても、同パンフレットに詳述されている。尚、同パンフレットでは、テトラヒドロジピコリン酸スクシニラーゼをコードする遺伝子とスクシニルジアミノピメリン酸トランスアミナーゼをコードする遺伝子が入れ替わって記載されている。
また、L−アミノ酸の菌体外への排出に関与するタンパク質の活性を強化することによ
っても、L−アミノ酸生産能を向上させることができる。例えば、L−リジンの細胞外への排出に関与するタンパク質としては、lysE遺伝子によってコードされるLysEタンパク質が知られている(Vrljic, M., Sahm, H. and Eggeling, L. (1996) Mol. Microbiol. 22,
815-826、国際公開第97/23597号パンフレット)。尚、本発明者らは、ブレビバクテリウム属細菌に由来する野生型lysE遺伝子は、メチロフィラス属細菌やメチロバチラス属細菌中では全く機能しないが、メチロトローフで機能するような改変が可能であることを確認している。このようなlysEタンパク質の改変体としては、後記実施例に示すlysE24が挙げられる。
っても、L−アミノ酸生産能を向上させることができる。例えば、L−リジンの細胞外への排出に関与するタンパク質としては、lysE遺伝子によってコードされるLysEタンパク質が知られている(Vrljic, M., Sahm, H. and Eggeling, L. (1996) Mol. Microbiol. 22,
815-826、国際公開第97/23597号パンフレット)。尚、本発明者らは、ブレビバクテリウム属細菌に由来する野生型lysE遺伝子は、メチロフィラス属細菌やメチロバチラス属細菌中では全く機能しないが、メチロトローフで機能するような改変が可能であることを確認している。このようなlysEタンパク質の改変体としては、後記実施例に示すlysE24が挙げられる。
lysE遺伝子がコードするLysEタンパク質は、6個の疎水性へリックス領域を有している。それらの疎水性へリックス領域のいくつかは膜貫通領域であると推定される。また、N末端から3番目と4番目の疎水性へリックス領域の間の領域は親水性であり、ループ構造をとると推定される。この親水性領域を本願発明においてはループ領域と呼ぶ。ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムの野生型lysEの塩基配列及びLysEタンパク質のアミノ酸配列を、配列番号17及び18に示す。同アミノ酸配列において、疎水性へリックス領域は、5〜20、37〜58、67〜93、146〜168、181〜203、211〜232に相当する。また、ループ領域は94〜145に相当する。
本発明者らは、lysE遺伝子はメタノール資化性細菌においては致死的に働くが、ループ領域を持たない、あるいは実質的に疎水性ヘリックスのみからなるLysEタンパク質の改変体をコードするDNAは、メタノール資化性細菌のL−リジン及び/又はL−アルギニンの細胞外への排出を促進することを見い出した。lysE24は、このような野生型LysEタンパク質が持つループ領域を持たない変異型LysEタンパク質、又は実質的に疎水性ヘリックスのみからなる変異型LysEタンパク質をコードする。
上記のような変異型lysEとしては、少なくとも一つ又は二つ以上の疎水性ヘリックスを有し、メタノール資化性細菌に導入したときにL−リジンもしくはL−アルギニン又はこれらの両方のL−アミノ酸の細胞外への排出を促進するものであれば特に制限されないが、具体的にはN末端から1番目〜6番目の疎水性ヘリックスのすべてを有する変異型LysEをコードするDNAが挙げられる。より具体的には、N末端から1番目〜3番目の疎水性ヘリックスを含むペプチドと、4番目〜6番目の疎水性ヘリックスを含むペプチドとをコードするDNAが挙げられる。前記lysE24は、このような1番目〜3番目の疎水性ヘリックスを含むペプチドと、4番目〜6番目の疎水性ヘリックスを含むペプチドとをコードする変異型lysEの一例である。lysE24遺伝子には、3番目の疎水性ヘリックスをコードする領域の下流に終止コドンが変異により導入されているが、この終止コドンよりも下流の領域を欠失させると、lysE24遺伝子を導入したメチロフィラス・メチロトロファスAS1株はL−リジンを培地中に蓄積しないことを、発明者らは確認している。このことから、1番目〜3番目の疎水性ヘリックスを含むペプチドと、4番目〜6番目の疎水性ヘリックスを含むペプチドがそれぞれ別個に翻訳され、メタノール資化性細菌中で機能しているものと推定される。いずれにしても、lysE24遺伝子をメタノール資化性細菌に導入すれば、L−リジン又はL−アルギニンの生産量が向上する。
前記のようなL−リジンの細胞外への排出に関与するタンパク質をコードするDNA、すなわちlysE遺伝子またはその相同遺伝子の供与微生物としては、それらの遺伝子の改変体がメタノール資化性細菌中でL−リジン排出活性を発現することができるものを保持する微生物であれば、いかなる微生物でも利用できる。具体的には、コリネバクテリウム・グルタミカム、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム等のコリネ型細菌、エシェリヒア・コリ等のエシェリヒア属細菌、シュードモナス・アエルジノーサ等のシュードモナス属細菌、マイコバクテリウム・ツベルクロシス等のマイコバクテリウム属細菌等が挙げられる。
LysEの相同遺伝子としては、配列番号17に示す塩基配列又はその一部を有するプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、前記のアミノ酸置換により、メタノール資化性菌中でLysEタンパク質の機能を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。前記「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
プローブとして、配列番号17の塩基配列の一部の配列を用いることもできる。そのようなプローブは、配列番号17の塩基配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプライマーとし、配列番号17の塩基配列を含むDNA断片を鋳型とするPCRによって作製することができる。プローブとして、300bp程度の長さのDNA断片を用いる場合には、ハイブリダイゼーションの洗いの条件は、50℃、2×SSC、0.1%SDSが挙げられる。
メタノール資化性細菌においてアミノ酸の排出遺伝子又はL−リジン生合成系遺伝子の発現を増強する場合は、その遺伝子断片を、メタノール資化性細菌で機能するベクター、好ましくはマルチコピー型ベクターと連結して、組換えDNAを作製し、これをメタノール資化性細菌の宿主に導入して形質転換すればよい。あるいは、トランスポゾンに搭載し、染色体への組み込みにより、また、メタノール資化性細菌内で強力転写を誘導するようなプロモーターを、その遺伝子の上流に連結させることも可能である。
メチロフィラス属細菌に遺伝子を導入、増強するには、メチロフィラス属細菌細胞内で自律複製可能なベクターに遺伝子を連結して組換えDNAを作製し、それでメチロフィラス属細菌を、例えばエレクトロポレーション法などにより形質転換する方法があり、その他にトランスダクション、トランスポゾン(Berg,D.E.and Berg,C.M., Bio/Technol.1,417,(1983))、Muファージ、(特開平2−109985号)または相同組換え(Experiments in Molecular Genetics,Cold Spring Harbor Lab.(1972))を用いた方法で宿主染色体に組み込むこともできる。
メチロフィラス属細菌で機能するベクターとしては、例えばメチロフィラス属細菌で自律複製出来るプラスミドが挙げられる。具体的には、広宿主域ベクターであるRSF1010及びその誘導体、例えばpAYC32(Chistorerdov, A.Y., Tsygankov, Y.D. Plasmid, 1986, 16, 161-167)、あるいはpMFY42(gene, 44, 53(1990))、pRP301、pTB70(Nature, 287, 396, (1980))等が挙げられる。
また、メチロバチラス属細菌で機能するベクターとしては、例えばメチロバチラス属細菌で自律複製出来るプラスミドが挙げられる。具体的には、広宿主域ベクターであるRSF1010及びその誘導体、例えばpMFY42(gene, 44, 53(1990))等が挙げられる。
一方、組換えDNA分子をメチロフィラス属細菌へ導入するには、十分な形質転換効率が得られる方法ならばいかなる方法を用いてもよいが、例えば、エレクトロポレーション法( Canadian Journal of Microbiology, 43, 197, (1997))が挙げられる。
<2>L−メチオニン要求性が付与されたメタノール資化性細菌を用いたL−リジンの生
産
上記のようにして取得したmetA遺伝子破壊又は変異処理によりL−メチオニン要求性が付与され、かつL−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌を、培地に適当量のL−メチオニンを添加して培養することにより、培養液中に著量のL−リジンが生成蓄積される。こうして、本発明のL−メチオニン要求性が付与されたメタノール資化性細菌を用いることは、L−リジンの蓄積量の向上に有効である。
産
上記のようにして取得したmetA遺伝子破壊又は変異処理によりL−メチオニン要求性が付与され、かつL−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌を、培地に適当量のL−メチオニンを添加して培養することにより、培養液中に著量のL−リジンが生成蓄積される。こうして、本発明のL−メチオニン要求性が付与されたメタノール資化性細菌を用いることは、L−リジンの蓄積量の向上に有効である。
L−リジン生産のために使用される培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機微量栄養源を含有する通常の培地である。主要炭素源は、メタノールであるが、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、でんぷん加水分解物などの糖類、グリセロール、ソルビトールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸、コハク酸、ピルビン酸等の有機酸類を併用して用いることができる場合がある。「メタノールを主要炭素源とする」とは、全炭素源のうち、メタノールを50%(w/w)以上、好ましくは80%(w/w)以上であることをいう。メタノールを炭素源として用いる場合の濃度は、通常は0.001%から4%(w/v)、好ましくは0.1%から2%(w/v)である。また、グルコース等を添加する場合の濃度は、通常、0.1%から3%(w/v)、好ましくは0.1%から1%(w/v)である。
また、培地は、適当量のL−メチオニンを含有する必要がある。この含有量は、培養条件によりすることが好ましいが、通常は、L−メチオニンの含有量が十分でなく、細菌の生育が制限される含有量の内、その細菌により生産されるL−リジンが最も効率よく産生される含有量とされる。一例を挙げれば、培地中のL−メチオニン濃度は0.01g/Lから1g/Lが好ましい。
窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素源、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。
無機イオンとしては、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。これらの他に、有機微量栄養源として、ビタミンB1、または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい場合もある。
培養は、好気的条件下で16〜72時間程度実施するのがよく、培養温度は25℃〜45℃に、培養中pHは5〜8に制御する。尚、pH調整には無機あるいは有機の酸性あるいはアルカリ性物質、あるいはアンモニアガス等を使用することができる。
培養終了後、発酵液からのL−リジンの採取は、通常のイオン交換樹脂法、沈澱法、その他の公知の方法を組み合わせることにより適宜実施できる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
<実施例1>メチロフィラス属細菌野生株からのL−メチオニン要求株の作製
メチロフィラス・メチロトロファスAS1株(NCIMB 10515)の野生株に、以下に示すような手順で、ニトロソグアニジン(NTG)処理を行い、L−メチオニン要求株を分離した。まず、NTGの処理前日に、野生株 AS1 株を、50 mLのSEII培地(組成:K2HPO4 1.9g/L; (NH4)2SO4 5.0g/L; NaH2PO4・2H2O 1.56g/L; MgSO4・7H2O 0.2g/L; CaCl2・6H2O 0.72mg/L;
CuSO4・5H2O 5μg/L; MnSO4・5H2O 25μg/L; ZnSO4・7H2O 23μg/L; FeCl3・6H2O 9.7mg/L; メタノール 1%(v/v))に植菌し、37℃で一晩振とう培養した。また、10 mg/mlの濃度となるようにNTG 溶液(ジメチルスルホキシド(DMSO) に溶解して作製)を調製しておいた。
<実施例1>メチロフィラス属細菌野生株からのL−メチオニン要求株の作製
メチロフィラス・メチロトロファスAS1株(NCIMB 10515)の野生株に、以下に示すような手順で、ニトロソグアニジン(NTG)処理を行い、L−メチオニン要求株を分離した。まず、NTGの処理前日に、野生株 AS1 株を、50 mLのSEII培地(組成:K2HPO4 1.9g/L; (NH4)2SO4 5.0g/L; NaH2PO4・2H2O 1.56g/L; MgSO4・7H2O 0.2g/L; CaCl2・6H2O 0.72mg/L;
CuSO4・5H2O 5μg/L; MnSO4・5H2O 25μg/L; ZnSO4・7H2O 23μg/L; FeCl3・6H2O 9.7mg/L; メタノール 1%(v/v))に植菌し、37℃で一晩振とう培養した。また、10 mg/mlの濃度となるようにNTG 溶液(ジメチルスルホキシド(DMSO) に溶解して作製)を調製しておいた。
翌日、培養した菌体を4℃で遠心により集菌し、その菌体に氷冷した50mlの 50mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)を加えて懸濁した後、再び遠心し、上清を除くことにより、菌体を一回洗浄した。菌体を2mlの同緩衝液にて懸濁し、これを二つのエッペンドルフチューブに等分した。その内の一本はNTG処理用で、もう一本はNTG非処理の対照物として用いた。各チューブに、10μlのNTG溶液、またはNTGを含まないDMSO溶液を添加した。ここで、NTG処理したサンプルでは、NTGの最終濃度は0.1 mg/mLとなっている。これらのサンプルを37℃で5分間処理し、氷上で2分間放置した後、各サンプルを15000rpm、2分間の遠心にかけて集菌した。
集めたそれぞれの菌体は、氷冷したSEII培地で2回洗った後、3 mlのSEII+MT培地(組成:SEII培地にL−メチオニン(1g/L)とL−スレオニン(10g/L)を含む培地)に懸濁し、37℃で一晩培養した。なお、この時、それぞれのサンプルの一部を抜き取り、SEII寒天培地(組成:SEII培地に寒天1.5%(w/v)を含む)上にまき、形成されたコロニー数(生菌数)から、NTG処理操作による菌の死滅率を算出した。死滅率は、[NTG処理をしたサンプルでの生菌数/DMSO溶液のみの処理をしたサンプルでの生菌数]で表した。
NTG処理の翌日、前記培養液の一部を、SEII+MT培地に植菌し、37℃で培養して菌を増殖させた。その培養液の、660nm波長での吸光度(OD660nm)の値が約0.5になったところで、菌体を保存するために、20%のDMSO溶液を等量加え(終濃度10%)、十分に攪拌した後に、-80℃に保存した。
また、培養液の一部をSEII-MT寒天培地と、抗生物質のストレプトマイシン(Sm)50μg/mlを含むSE-II寒天培地とにまき、Sm耐性菌株の出現頻度、すなわち変異率を測定した。その結果、変異率は約4×10-6であった。
NTG処理した菌の保存溶液を室温で溶かし、1〜1/107の希釈系列を作り、それらをSEII-MT寒天培地にまいた。37℃で2日間培養し、一枚の寒天プレート当り100〜200個のコロニーを形成する希釈の程度を確認した。そして、その濃度になるように、菌の保存液を改めて希釈しSEII+MT寒天培地にまいた。37℃で3日間の培養後、出現したコロニーをそれぞれSEII寒天培地プレートとSEII+MT寒天培地プレートにレプリカし、SEII+MT寒天培地では生育するが、SEII寒天培地では生育できないコロニーを選択した。次に、その選択したコロニーを更に順次、SEII寒天培地、 SEII+M寒天培地(組成:SEII培地にL−メチオニン(1g/L)を含む寒天培地)、SEII+T寒天培地(組成:SEII培地にL−スレオニン(10g/L)を含む寒天培地)、及び、SEII+MT寒天培地のそれぞれに植菌し、それらのクローンのアミノ酸要求性が、L−メチオニンかL−スレオニンのいずれか、あるいは両方の要求性であるのかを確認した。
その結果、2株のL−メチオニン要求株と1株のL−スレオニン要求株を取得できた。それぞれ、MR102株、MR103株、及びTR115株と命名した。なお、生育するのに同時に両方のアミノ酸を要求する変異株は、今回は取得できなかった。
<実施例2>
<1>ブレビバクテリウム属細菌由来のlysE遺伝子のメチロフィラス属細菌への導入
(1)pRSlysE24の構築
メチロフィラス属細菌に、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてリジンの排出活性を発揮する蛋白質をコードするlysE遺伝子を導入するために、公知のプラスミドpRS(特表平3-501682号公報参照)を用いて、lysE発現用プラスミドpRSlysEを構築した。pRSは、RSF1010の誘導体である広宿主域ベクタープラスミドpAYC32(Chistorerdov, A.Y., Tsygankov, Y.D. Plasmid, 1986, 16, 161-167)に由来するpVIC40プラスミド(WO90/04636国際公開パンフレット、特表平3-501682号公報)より、同プラスミドが持つスレオニンオ
ペロンをコードするDNA領域を削除してベクター部分のみを持つプラスミドである。
<1>ブレビバクテリウム属細菌由来のlysE遺伝子のメチロフィラス属細菌への導入
(1)pRSlysE24の構築
メチロフィラス属細菌に、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてリジンの排出活性を発揮する蛋白質をコードするlysE遺伝子を導入するために、公知のプラスミドpRS(特表平3-501682号公報参照)を用いて、lysE発現用プラスミドpRSlysEを構築した。pRSは、RSF1010の誘導体である広宿主域ベクタープラスミドpAYC32(Chistorerdov, A.Y., Tsygankov, Y.D. Plasmid, 1986, 16, 161-167)に由来するpVIC40プラスミド(WO90/04636国際公開パンフレット、特表平3-501682号公報)より、同プラスミドが持つスレオニンオ
ペロンをコードするDNA領域を削除してベクター部分のみを持つプラスミドである。
まず、pRSより、tacプロモーターを持つプラスミドpRStacを構築した。pRSベクターを制限酵素EcoRIおよびPstIで消化し、フェノール・クロロホルム溶液を加えて混合し、反応を停止させた。反応液を遠心分離した後、上層を回収し、エタノール沈殿にてDNAを回収後、0.8%アガロースゲルにて分離し、約8キロベースペア(以下、「kbp」と記載)のDNA断片をEASY TRAP Ver.2(DNA回収キット、宝酒造社製)を用いて回収した。一方、tacプロモーター領域を、pRK223-3プラスミド(発現用ベクター、Pharmacia社製)を鋳型とし、配列番号1および2に示すプライマーを用いて、PCRにより増幅した(変性94℃-20秒、アニーリング55℃-30秒、伸長反応72℃-60秒のサイクルを30サイクル行った)。PCR反応にはPyrobest DNA polymerase(宝酒造社製)を使用した。増幅されたtacプロモーターを含むDNA断片をPCRprep(Promega社製)にて精製した後、あらかじめ、プライマーDNAの配列中にデザインしておいた制限酵素サイト、すなわちEcoRIおよびEcoT22Iで消化し、フェノール・クロロホルム溶液を加えて混合し、反応を停止させた。反応液を遠心分離した後、上層を回収し、エタノール沈殿にてDNAを回収した後、0.8%アガロースゲルにて分離し、約0.15kbpのDNA断片をEASY TRAP Ver.2を用いて回収した。
上記のように調製したpRSベクター消化物と、tacプロモーター領域断片を、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造製)を用いて連結させた。この連結反応溶液でエシェリヒア・コリ(E.coli JM109 competent cells、宝酒造製)を形質転換し、20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩保温した。寒天培地上に出現したコロニーを20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB液体培地に接種し、37℃で8時間振盪培養した。アルカリ−SDS法にて各培養液からプラスミドDNAを抽出し、制限酵素で消化して構造を確認し、pRStacを得た。そしてpRSベクター上のストレプトマイシン耐性遺伝子の転写方向とtacプロモーターの転写方向が同じ向きになっているものを、pRStacとして選択した。
上記のようにして得たpRStacを、Sse8387I(宝酒造製)およびSapI(ニューイングランドバイオラボ社製)で消化し、フェノール・クロロホルム溶液を加えて混合し、反応を停止させた。反応液を遠心分離した後、上層を回収し、エタノール沈殿にてDNAを回収後、0.8%アガロースゲルで分離し、約9.0kbpのDNA断片を回収した。
また、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株(コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13869)より抽出した染色体を鋳型として、配列番号5および6に示すプライマーを用いたPCR法(変性94℃-20秒、アニーリング55℃-30秒、伸長反応72℃-90秒)によりlysE遺伝子断片を増幅した。PCR反応には、Pyrobest DNA polymerase(宝酒造社製)を使用した。このとき、lysE遺伝子がメチロフィラス属細菌中で発現可能となるように、lysE遺伝子の翻訳開始コドンより9〜15bp塩基を、メチロフィラス属細菌で機能することがわかっている配列(Wyborn, N. R., Mills, J., Williamis, S. G. and Jones, C.W., Eur.J.Biochem., 240, 314-322(1996))に変更するようにプライマーDNAの塩基配列を設計した。得られた断片をPCRprep(Promega社製)にて精製した後、制限酵素Sse8387IおよびSapIで消化した。フェノール・クロロホルム溶液を加えて混合し、反応を停止させた。反応液を遠心分離した後、上層を回収し、エタノール沈殿にてDNAを回収し、0.8%アガロースゲルで回収した。
上記のように調製したpRStacベクター消化物と、lysE遺伝子領域断片を、DNA Ligation
Kit Ver.2(宝酒造製)を用いて連結させた。この連結反応溶液でエシェリヒア・コリ(E.coli JM109 competent cells、宝酒造製)を形質転換し、20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩保温した。寒天培地上に出現したコロニーを20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB液体培地に接種し、37℃で8時間振盪培養した。アルカリ−SDS法にて各培養液からプラスミドDNAを抽出し、制限酵素での消化および塩基配列の
決定により構造を確認して、pRSlysEを得た。pRSlysEは、tacプロモーターの転写方向に対して、lysE遺伝子の転写方向が同じ向きになるように配置されている。
Kit Ver.2(宝酒造製)を用いて連結させた。この連結反応溶液でエシェリヒア・コリ(E.coli JM109 competent cells、宝酒造製)を形質転換し、20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩保温した。寒天培地上に出現したコロニーを20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB液体培地に接種し、37℃で8時間振盪培養した。アルカリ−SDS法にて各培養液からプラスミドDNAを抽出し、制限酵素での消化および塩基配列の
決定により構造を確認して、pRSlysEを得た。pRSlysEは、tacプロモーターの転写方向に対して、lysE遺伝子の転写方向が同じ向きになるように配置されている。
(2)メチロフィラス属細菌へのpRSlysEの導入
上記のようにして得られたpRSlysEを、エレクトロポレーション法(Canadian Journal of Microbiology, 43. 197 (1997))によりメチロフィラス・メチロトロファスAS1株(NCIMB10515)に導入した。なお、対照として、pRSをpRSlysEと同様にしてAS1株に導入した。その結果、対照として用いたpRSでは1mgのDNAあたり数千個のコロニーを得たが、それに対してpRSlysEでは数個のコロニーしか得られなかった。
上記のようにして得られたpRSlysEを、エレクトロポレーション法(Canadian Journal of Microbiology, 43. 197 (1997))によりメチロフィラス・メチロトロファスAS1株(NCIMB10515)に導入した。なお、対照として、pRSをpRSlysEと同様にしてAS1株に導入した。その結果、対照として用いたpRSでは1mgのDNAあたり数千個のコロニーを得たが、それに対してpRSlysEでは数個のコロニーしか得られなかった。
pRSlysEが導入されたと思われる形質転換株よりプラスミドを抽出して塩基配列を調べたところ、調べたすべてのプラスミドにおいて、lysEをコードする領域内に自然変異が導入され、それらの変異のうちいくつかは、アミノ酸をコードするコドンが翻訳を停止させる停止コドンに置き換わるナンセンス変異が導入されていた。また、別のプラスミドではlysE遺伝子に欠失がみられた。これらのプラスミドに搭載されているlysEは、いずれも、機能が失われていることが考えられた。
以上のように、全長のlysE遺伝子を搭載するpRSlysEのメチロフィラス・メチロトロファスへの導入頻度は極めて低く、また機能を失わせるような変異が導入されたlysE変異遺伝子を持つプラスミドのみが導入できたことと併せて考えると、メチロフィラス・メチロトロファスにlysE遺伝子を導入することは致死的であると考えられた。このことは、lysE遺伝子が異種の細菌においてL−リジンの排出に関して万能に機能するものではないことを示している。
変異が導入されたpRSlysEを持つメチロフィラス・メチロトロファスAS1株を、20mg/Lのストレプトマイシンを含むSEIIプレートに塗り広げ、37℃にて1晩培養したのち、培地表面約0.3cm2の菌体をかきとって20mg/Lのストレプトマイシンを含むSEII生産培地(20ml)に植菌し、37℃にて34時間振盪培養した。培養終了後、菌体を遠心分離により除去し、培養上清に含まれるL−リジン濃度をアミノ酸分析計(日本分光製、高速液体クロマトグラフィー)で定量した。その結果、変異型lysE遺伝子が導入されてもL−リジンの排出が促進されたと思われる株はほとんど得られなかった。
<2>メチロフィラス属細菌でL−リジン排出活性を示す遺伝子の取得
上記で述べたように、既知のlysE遺伝子はメチロフィラス属細菌中では致死的であることが示唆され、機能が失われたような変異型遺伝子が多く得られた。
上記で述べたように、既知のlysE遺伝子はメチロフィラス属細菌中では致死的であることが示唆され、機能が失われたような変異型遺伝子が多く得られた。
しかしながら、変異が導入されたpRSlysEの解析を行ううちに、メチロフィラス属細菌中で機能する変異型lysE遺伝子を偶然に取得することができた。
この変異型lysE遺伝子をlysE24遺伝子と命名した。lysE24遺伝子の塩基配列を解析したところ、この変異は、アミノ酸置換が起こる変異ではなく、lysEの翻訳領域内のほぼ中央に終止コドンが導入されるナンセンス変異であることがわかった。lysE24では、配列番号17の355位のG(グアニン)のあとにT(チミン)が挿入されていた。そしてこの発現プラスミドをpRSlysE24と命名した。
pRSlysE24で形質転換されたE.coli JM109株はAJ13830と命名され、同株は2001年6月4日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM P-18369として寄託され、平成14年5月13日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-8040の受託番号のもとで、寄託されている。
<実施例3>リジン生産プラスミドpSEA10とpSEA12の構築
<1>dapA*遺伝子を持つプラスミドpRSdapAの構築
次に、L−リジン生合成系酵素遺伝子として、L−リジンによるフィードバック阻害を受けない変異型ジヒドロジピコリン酸合成酵素をコードする遺伝子(dapA*)を持つプラスミドを作製した。
<実施例3>リジン生産プラスミドpSEA10とpSEA12の構築
<1>dapA*遺伝子を持つプラスミドpRSdapAの構築
次に、L−リジン生合成系酵素遺伝子として、L−リジンによるフィードバック阻害を受けない変異型ジヒドロジピコリン酸合成酵素をコードする遺伝子(dapA*)を持つプラスミドを作製した。
実施例2で作製したpRStacを制限酵素Sse8387IおよびXbaIで消化し、フェノール・クロロホルム溶液を加えて混合し反応を停止させた。反応液を遠心分離した後、上層を回収しエタノール沈殿にてDNAを回収後、0.8%アガロースゲルで分離し約9kbpのDNA断片を回収した。
dapA*遺伝子断片は、同遺伝子を含む公知のプラスミドRSFD80(WO90/16042号参照)を鋳型として、配列番号3および4に示すプライマーDNAを用いたPCR法(変性94℃-20秒、アニーリング55℃-30秒、伸長反応72℃-60秒)により増幅した。PCR反応には、Pyrobest DNA polymerase(宝酒造社製)を使用した。得られたdapA*断片をPCRprep(Promega社製)にて精製した後、制限酵素Sse8387IおよびXbaIで消化した。フェノール・クロロホルム溶液を加えて混合し、反応を停止させた。反応液を遠心分離した後、上層を回収し、エタノール沈殿にてDNAを回収し、0.8%アガロースゲルで分離後、約0.1kbpのDNA断片を回収した。
上記のように調製したpRStacベクター消化物と、dapA*遺伝子領域断片を、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造製)を用いて連結させた。この連結反応溶液でエシェリヒア・コリ(E.coli JM109 competent cells、宝酒造社)を形質転換し、20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩保温した。寒天培地上に出現したコロニーを、20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB液体培地に接種し、37℃で8時間振盪培養した。アルカリ−SDS法にて各培養液からプラスミドDNAを抽出し、制限酵素での消化および塩基配列の決定により構造を確認して、pRSdapAプラスミドを得た。pRSdapAプラスミドは、tacプロモーターの転写方向に対して、dapA*遺伝子の転写方向が同じ向きになるように配置されている。
pRSdapAプラスミドで形質転換されたE.coli JM109株はAJ13831と命名され、同株は2001年6月4日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM
P-18370として寄託され、平成14年5月13日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-8041の受託番号のもとで寄託されている。
P-18370として寄託され、平成14年5月13日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-8041の受託番号のもとで寄託されている。
<2>lysE24及びdapA*を持つプラスミドpSEA10とpSEA12の構築
lysE24とdapA*の組み合わせ効果を評価するために、pRSlysE24プラスミドにdapA*遺伝子を挿入したプラスミドを構築した。実施例2で作製したpRSlysE24を制限酵素SapIで消化し、DNA Blunting Kit(宝酒造社製)にて末端を平滑化した。また、dapA*を持つプラスミドpRSdapAを制限酵素EcoRIおよびSapIで消化し、0.8%アガロースゲルにより約1kbpのtacプロモーターおよびdapA*領域を含む断片を分離し、同断片をEASY TRAP Ver2(宝酒造製)にて回収した。この断片を前記と同様に平滑化し、前記のpRSlysE24の消化物とDNA Ligation Kit Ver2(宝酒造製)にて連結した。
lysE24とdapA*の組み合わせ効果を評価するために、pRSlysE24プラスミドにdapA*遺伝子を挿入したプラスミドを構築した。実施例2で作製したpRSlysE24を制限酵素SapIで消化し、DNA Blunting Kit(宝酒造社製)にて末端を平滑化した。また、dapA*を持つプラスミドpRSdapAを制限酵素EcoRIおよびSapIで消化し、0.8%アガロースゲルにより約1kbpのtacプロモーターおよびdapA*領域を含む断片を分離し、同断片をEASY TRAP Ver2(宝酒造製)にて回収した。この断片を前記と同様に平滑化し、前記のpRSlysE24の消化物とDNA Ligation Kit Ver2(宝酒造製)にて連結した。
上記の連結反応溶液でエシェリヒア・コリ(E.coli JM109 competent cells、宝酒造社製)を形質転換し、20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB寒天培地に塗布した。37℃で一晩、その寒天プレートを保温したところ、寒天培地上に多数のコロニーが出現した。その内、8コロニーを20mg/Lのストレプトマイシンを含むLB液体培地にそれぞれ接種し、37℃で8時間振盪培養した。各培養液からアルカリ−SDS法にてプラスミドDNAを抽出し、制限酵素での消化および塩基配列の決定により構造を確認して、pSEA10とpSEA12プラスミドを得た。これらのプラスミドは、lysE24とdapA*の各遺伝子の転写の向きが、互いに向かい
合うようになっているのが前者で、同一方向になるように配置されているのは後者である。
合うようになっているのが前者で、同一方向になるように配置されているのは後者である。
<実施例4>メチロフィラス・メチロトロファスAS1株及びL−メチオニン要求株(MR102株、MR103株)へのpSEA12の導入(リジン生産へのL−メチオニン要求性賦与の効果)
メチロフィラス・メチロトロファス野生株AS1株及び2つのL−メチオニン要求株MR102株とMR103株への遺伝子搭載プラスミドの導入は、接合伝達法により行った。接合実験をする前日に、受容菌として、AS1株、MR102株そしてMR103株を、各々15mLのSEII+M培地(組成:L−メチオニン0.5g/Lを含むSEII培地)で培養した。モービライザーとして、pRK2013を保持するE. coli HB101株を10 mLのLB(Km)培地(カナマイシン25μg/mlを含むLB培地)に、そして、供与菌としてpSEA12を保持するE. coli JM109株を3mLのLB(Sm)培地(ストレプトマイシン20μg/mlを含むLB培地)に各々植菌し、培養を行った。
メチロフィラス・メチロトロファス野生株AS1株及び2つのL−メチオニン要求株MR102株とMR103株への遺伝子搭載プラスミドの導入は、接合伝達法により行った。接合実験をする前日に、受容菌として、AS1株、MR102株そしてMR103株を、各々15mLのSEII+M培地(組成:L−メチオニン0.5g/Lを含むSEII培地)で培養した。モービライザーとして、pRK2013を保持するE. coli HB101株を10 mLのLB(Km)培地(カナマイシン25μg/mlを含むLB培地)に、そして、供与菌としてpSEA12を保持するE. coli JM109株を3mLのLB(Sm)培地(ストレプトマイシン20μg/mlを含むLB培地)に各々植菌し、培養を行った。
翌日、各培養液を遠心し、集菌後、pRK2013を保持するE. coli HB101株とpSEA12を保持するE. coli JM109株についてはLB培地にて、菌体を一度洗浄した。また上記のメタノール資化性細菌3株も集菌後にSEII培地で洗浄した。次に、それぞれのE. coli菌体はLB培地に懸濁し、メタノール資化性菌はSEII培地に懸濁した。そうして、それらの懸濁液の適当量を、LB寒天培地上でエーゼを用いて混合し、37℃で4時間保温し、pSEA12を、それぞれAS1株、MR102株、及びMR103株へ接合伝達させた。その後、その寒天培地上から、それぞれの菌体をかきとり、SEII+M(Sm)寒天培地(培地組成:Sm(50μg/ml)を含むSEII+M寒天培地)に塗り広げ、37℃で2日間培養することで、形質転換体を選択した。そこに出現したシングルコロニーは、更に2回、新しいSEII+M(Sm)寒天培地へ広げ、目的株としてのMR102(pSEA12)株及びMR103(pSEA12)株、及び対照株であるAS1(pSEA12)を、それぞれ単離した。
上記の3株を、SEII+M(Sm)寒天培地へ塗り広げ、37℃にて1晩培養した後、培地表面に生育した約3cm2(平方センチメートル)の面積の菌体をかきとって、種々の濃度でL−メチオニンを含むSEII生産培地(20ml)に植菌し、37℃にて48時間振盪培養した。培養終了後、菌体を遠心分離により除去し、培養上清に含まれるL−リジン濃度をアミノ酸分析計(日本分光製、高速液体クロマトグラフィー)で定量した。その結果、AS1(pSEA12)株は培地中へのL−リジン蓄積が最高で 0.96g/Lであったのに対して、MR102株及びMR103株のpSEA12導入株は、L−メチオニンを生産培地へ0.075 g/Lで添加した際に、培地中のL−リジン蓄積は、それぞれ1.675g/L、1.57g/Lと大幅な向上を示した。
<実施例5>メチロフィラス・メチロトロファスAS1株からのL−メチオニン要求株(MR701株)の作製と、同株へのpSEA10の導入によるリジン生産菌の作製
<1>metA遺伝子破壊株の作製
メチロフィラス・メチロトロファスAS1株から、遺伝子破壊によるL−メチオニン要求株の取得のための遺伝子破壊用断片を作製した。破壊する遺伝子には、homoserine o-acetyltransferase(ホモセリンo-アセチルトランスフェラーゼ)をコードしていると考えられるマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberclosis)H37Rv株のmetA遺伝子(GenBank accession No.CAA17113)と高いホモロジーを示した遺伝子領域を選んだ。なお、この領域は、配列番号7と10に記載のDNAプライマーを用いたPCR(反応条件:TaKaRa Ex Taqを用い、変性工程:94℃で30秒間、アニーリング工程:60℃で30秒間、DNA鎖伸長反応工程:72℃で4分間の反応工程を25サイクル)にて増幅が可能であり、その領域のDNA配列とそれがコードするアミノ酸配列を配列表配列番号15と16に示し、metA遺伝子と命名した。
<1>metA遺伝子破壊株の作製
メチロフィラス・メチロトロファスAS1株から、遺伝子破壊によるL−メチオニン要求株の取得のための遺伝子破壊用断片を作製した。破壊する遺伝子には、homoserine o-acetyltransferase(ホモセリンo-アセチルトランスフェラーゼ)をコードしていると考えられるマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberclosis)H37Rv株のmetA遺伝子(GenBank accession No.CAA17113)と高いホモロジーを示した遺伝子領域を選んだ。なお、この領域は、配列番号7と10に記載のDNAプライマーを用いたPCR(反応条件:TaKaRa Ex Taqを用い、変性工程:94℃で30秒間、アニーリング工程:60℃で30秒間、DNA鎖伸長反応工程:72℃で4分間の反応工程を25サイクル)にて増幅が可能であり、その領域のDNA配列とそれがコードするアミノ酸配列を配列表配列番号15と16に示し、metA遺伝子と命名した。
野生株AS1株から染色体DNAを取得することを目的に、AS1株を50mLのSEII培地(組成:(NH4)2SO4 5g/L, K2HPO4 1.9g/L, NaH2PO4・2H2O 1.56g/L, MgSO4・7H2O 200mg/L, CaCl2
・2H2O 72mg/L, CuSO4・5H2O 5μg/L, MnSO4・5H2O 25μg/L, ZnSO4・7H2O 23μg/L, FeCl3・6H2O 9.7mg/L, メタノール 0.5%(v/v))に植菌し、培養温度37℃にて一晩振とう培養した。その後、培養液を遠心し、菌体を回収後、市販のキット(Genomic DNA purification kit (Edge Biosystems社製)にて、染色体DNAを調製した。
・2H2O 72mg/L, CuSO4・5H2O 5μg/L, MnSO4・5H2O 25μg/L, ZnSO4・7H2O 23μg/L, FeCl3・6H2O 9.7mg/L, メタノール 0.5%(v/v))に植菌し、培養温度37℃にて一晩振とう培養した。その後、培養液を遠心し、菌体を回収後、市販のキット(Genomic DNA purification kit (Edge Biosystems社製)にて、染色体DNAを調製した。
この染色体DNAを鋳型にして、配列番号7と8に記載のDNAプライマーを用いて、PCR(反応条件:宝酒造社製 TaKaRa Ex Taqを用い、変性工程:94℃で30秒間、アニーリング工程:60℃で30秒間、DNA鎖伸長反応工程:72℃で2分間の反応工程を25サイクル)を行い、約1.3kbの断片を得た。また同様の条件にて配列番号9と10に記載のプライマーを用いたPCRを行い、約2.0kbの大きさのDNA断片を得た。
一方、プラスミドpKD4(GenBank Accession No. AY048743, Datsenko, K.A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 97 (12), 6640-6645, 2000)を鋳型として、上記と同じ条件にて配列番号11と12を用いてPCRを行い、カナマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片(約1.5kb)を調製した。
以上の3種のDNA断片を混ぜ合わせ、これを鋳型に配列番号13と14に記載したプライマーを用いてPCR(反応条件:TaKaRa Ex Taqを用い、変性工程:94℃で30秒間、アニーリング工程:60℃で30秒間、DNA鎖伸長反応工程:72℃で4分30秒間の反応工程を25サイクル)を行い、約4.2kbの断片を取得した。この断片を市販のキット(Promega社製 Wizard PCR Preps DNA Purification System)を用いて精製後、エタノール沈殿操作を行い、沈殿をTEに懸濁した。このDNA溶液を遺伝子破壊用断片として以下の操作に用いた。尚、同遺伝子断片は、metA遺伝子の内部にカナマイシン耐性遺伝子が挿入された構造を有している。
次に、メチロフィラス・メチロトロファスAS1株に、上記で記載した遺伝子断片の導入を行った。形質転換は、エレクトロポレーション法(Canadian Journal of Microbiology, 43. 197 (1997))を用いた。エレクトロポレーション後の菌体をSEII寒天培地(カナマイシン 20mg/L、L−メチオニン 0.5g/L添加)に塗布後、培養48時間目に数十コロニーが出現し、そのうち13株を無作為に選択しL−メチオニン要求性を調べたところ、全ての株がL−メチオニン要求性を示した。遺伝子破壊によって取得したL−メチオニン要求株をMR701株と命名した。
目的どおりの遺伝子が破壊されていることは、PCR法により確認した。即ち、滅菌水20μlに、上記の出現したコロニーを懸濁し、1mg/ml Proteinase Kを5μl、緩衝液(40mM Tris、0.5% Tween20、1% Nonidet P-40、1mM EDTA(HClにてpH8.0に調整))を25μl添加後、60℃で20分、及び95℃で5分反応させた。この反応液をPCR反応の鋳型として用いた。そして、配列番号7と10をプライマーとして用いたPCR(反応条件:TaKaRa Ex Taqを用い、変性工程:94℃で30秒間、アニーリング工程:60℃で30秒間、DNA鎖伸長反応工程:72℃で4分30秒間の反応工程を25サイクル)を行うことによって、目的の遺伝子が破壊されていることを確認した。
<2>metA遺伝子破壊株のL−リジン生産性の評価
次に、実施例3に記載したpSEA10を上記のようにして取得したMR701株に導入し、L−リジン生産性を調べた。エレクトロポレーションによりMR701株にpSEA10を導入し、得られた形質転換体をMR701(pSEA10)と命名した。AS1(pSEA10)株をSEII(Sm)(ストレプトマイシン50μg/mlを含むSEII培地)寒天培地に、MR701(pSEA10)株をSEII+M(Sm Km)(L−メチオニン0.5g/L及びストレプトマイシン50μg/mlとカナマイシン20μg/mlを含むSEII培地)寒天培地に塗り広げ、37℃にて1晩培養したのち、培地表面の約3cm2(平方センチメートル)の広さで、生育している菌体をかきとって、L−メチオニン0.075g/Lを含むSEII生産
培地(ストレプトマイシン50μg/ml添加)20mlに植菌し、37℃にて48時間振盪培養した。培養終了後、菌体を遠心分離により除去し、培養上清に含まれるL−リジン濃度をアミノ酸分析計(日本分光製、高速液体クロマトグラフィー)で定量した。その結果、AS1(pSEA10)株は培地中へのL−リジン蓄積が0.97g/Lであったが、MR701(pSEA10)株は、培地中にL−リジンを1.52g/L蓄積することがわかり、L−メチオニン要求性付与により、L−リジンの生産性が向上することが確認できた。
次に、実施例3に記載したpSEA10を上記のようにして取得したMR701株に導入し、L−リジン生産性を調べた。エレクトロポレーションによりMR701株にpSEA10を導入し、得られた形質転換体をMR701(pSEA10)と命名した。AS1(pSEA10)株をSEII(Sm)(ストレプトマイシン50μg/mlを含むSEII培地)寒天培地に、MR701(pSEA10)株をSEII+M(Sm Km)(L−メチオニン0.5g/L及びストレプトマイシン50μg/mlとカナマイシン20μg/mlを含むSEII培地)寒天培地に塗り広げ、37℃にて1晩培養したのち、培地表面の約3cm2(平方センチメートル)の広さで、生育している菌体をかきとって、L−メチオニン0.075g/Lを含むSEII生産
培地(ストレプトマイシン50μg/ml添加)20mlに植菌し、37℃にて48時間振盪培養した。培養終了後、菌体を遠心分離により除去し、培養上清に含まれるL−リジン濃度をアミノ酸分析計(日本分光製、高速液体クロマトグラフィー)で定量した。その結果、AS1(pSEA10)株は培地中へのL−リジン蓄積が0.97g/Lであったが、MR701(pSEA10)株は、培地中にL−リジンを1.52g/L蓄積することがわかり、L−メチオニン要求性付与により、L−リジンの生産性が向上することが確認できた。
〔配列表の説明〕
配列番号1:tacプロモーター領域増幅用プライマー
配列番号2:tacプロモーター領域増幅用プライマー
配列番号3:dapA*遺伝子増幅用プライマー
配列番号4:dapA*遺伝子増幅用プライマー
配列番号5:lysE遺伝子増幅用プライマー
配列番号6:lysE遺伝子増幅用プライマー
配列番号7:metA遺伝子増幅用プライマー
配列番号8:metA遺伝子増幅用プライマー
配列番号9:metA遺伝子増幅用プライマー
配列番号10:metA遺伝子増幅用プライマー
配列番号11:カナマイシン耐性遺伝子増幅用プライマー
配列番号12:カナマイシン耐性遺伝子増幅用プライマー
配列番号13:metA遺伝子破壊用断片増幅用プライマー
配列番号14:metA遺伝子破壊用断片増幅用プライマー
配列番号15:metAの塩基配列
配列番号16:metAによりコードされるアミノ酸配列
配列番号17:lysEの塩基配列
配列番号18:lysEによりコードされるアミノ酸配列
配列番号1:tacプロモーター領域増幅用プライマー
配列番号2:tacプロモーター領域増幅用プライマー
配列番号3:dapA*遺伝子増幅用プライマー
配列番号4:dapA*遺伝子増幅用プライマー
配列番号5:lysE遺伝子増幅用プライマー
配列番号6:lysE遺伝子増幅用プライマー
配列番号7:metA遺伝子増幅用プライマー
配列番号8:metA遺伝子増幅用プライマー
配列番号9:metA遺伝子増幅用プライマー
配列番号10:metA遺伝子増幅用プライマー
配列番号11:カナマイシン耐性遺伝子増幅用プライマー
配列番号12:カナマイシン耐性遺伝子増幅用プライマー
配列番号13:metA遺伝子破壊用断片増幅用プライマー
配列番号14:metA遺伝子破壊用断片増幅用プライマー
配列番号15:metAの塩基配列
配列番号16:metAによりコードされるアミノ酸配列
配列番号17:lysEの塩基配列
配列番号18:lysEによりコードされるアミノ酸配列
Claims (7)
- 生育にL−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産能を有するメタノール資化性細菌を、メタノールを主要炭素源とする培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することを特徴とするL−リジンの製造法。
- メタノール資化性細菌がメチロフィラス属細菌である請求項1に記載のL−リジンの製造法。
- メチロフィラス属細菌がメチロフィラス・メチロトロファスである請求項2に記載のL−リジンの製造法。
- メチロフィラス属細菌が、ジアミノピメリン酸合成酵素活性が増強され、かつ、L−リジン排出系が増強されるように改変されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のL−リジンの製造法。
- 生育にL−メチオニンを要求し、かつ、L−リジン生産能を有するメチロフィラス属細菌。
- メチロフィラス・メチロトロファスである請求項5に記載のメチロフィラス属細菌。
- ジアミノピメリン酸合成酵素活性が増強され、かつ、L−リジン排出系が増強されるように改変されている請求項5又は6に記載のメチロフィラス属細菌。
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WO2007114465A1 (ja) | 2006-03-30 | 2007-10-11 | Ajinomoto Co., Inc. | メタノール資化性細菌を用いたカルボン酸の製造法 |
WO2021162459A1 (ko) * | 2020-02-13 | 2021-08-19 | 씨제이제일제당 (주) | 변이형 LysE를 포함하는 미생물, 및 이를 이용한 L-아미노산 생산 방법 |
-
2004
- 2004-01-23 JP JP2004015978A patent/JP2004248669A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007114465A1 (ja) | 2006-03-30 | 2007-10-11 | Ajinomoto Co., Inc. | メタノール資化性細菌を用いたカルボン酸の製造法 |
WO2021162459A1 (ko) * | 2020-02-13 | 2021-08-19 | 씨제이제일제당 (주) | 변이형 LysE를 포함하는 미생물, 및 이를 이용한 L-아미노산 생산 방법 |
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