JP2004248005A - 通信システム、並びに通信装置及び通信方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単一チャネルを複数のサブキャリアで構成される複数のグループに帯域分割し、グループ単位でデータ伝送を行なう。また、グループ毎に異なる変調方式を設定し、各変調方式におけるデータ転送レートの比率に応じてパケットの連結数やパケット長、サブキャリア数を調整し、各グループの送信時間を等しくする。また、伝播路の遅延広がりに応じてグループの帯域を設定して、グループ内のサブキャリア間の電力差を小さくする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のキャリアを用いてデータ伝送を行なうマルチキャリア通信方式の通信システム、並びに通信装置及び通信方法に係り、特に、各キャリアがシンボル区間内で相互に直交するように各キャリアの周波数が設定されたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の通信システム、並びに通信装置及び通信方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、伝送帯域を帯域分割して通信が良好でないサブキャリアの周波数付近の影響を除去するOFDM方式の通信システム、並びに通信装置及び通信方法に係り、帯域分割して各周波数帯域毎にデータ伝送及び再送制御を行ない、通信品質が良好でない帯域からの妨害波の影響を最小限にするとともにシステム全体のスループットを保つOFDM方式の通信システム、並びに通信装置及び通信方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
コンピュータの高機能化に伴い、複数のコンピュータを接続してLAN(Local Area Network)を構成し、ファイルやデータなどの情報の共有化や、あるいはプリンタなどの周辺機器の共有化、電子メールやデータの転送などの情報の交換などが盛んに行なわれている。
【0004】
従来のLANでは、光ファイバーや同軸ケーブル、あるいはツイストペア・ケーブルを用いて、有線で各コンピュータが接続されている。ところが、このような有線LANでは、接続工事が必要で、手軽にLANを構築することが難しい。また、LAN構築後も、ケーブルが煩雑で、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便である。そこで、LAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、端末を比較的容易に移動させることができる。近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、需要が著しく増加している。
【0005】
ところが、無線通信においては、マルチパスなどのフェージングによる伝送品質の劣化が特に問題となる。また、デジタル無線信号伝送においては、高速に信号を送るほど、時間軸での遅延波の干渉により誤り率が増大する。
【0006】
無線伝送の高速化・高品質化を実現する技術として「OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式」が期待されている。OFDM方式とは、マルチキャリア(多重搬送波)伝送方式の一種で、各キャリアがシンボル区間内で相互に直交するように各キャリアの周波数が設定される。高速信号を多数のサブキャリアに分割して送信する結果、サブキャリア単体での伝送速度は低速になるため、遅延波の干渉に対して強くなる。
【0007】
OFDM方式における情報伝送の一例は、シリアルで送られてきた情報を情報伝送レートより遅いシンボル周期毎にシリアル/パラレル変換して出力される複数のデータを各キャリアに割り当ててキャリア毎に変調を行ない、その複数キャリアについて逆FFTを行なうことで周波数軸での各キャリアの直交性を保持したまま時間軸の信号に変換して送信する。
【0008】
例えば、各キャリアはBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調を行なうとして情報伝送速度の256分の1のシンボル周期でシリアル/パラレル変換するとキャリア総数は256となり、逆FFTは256キャリアについて行なうことになる。復調はこの逆の操作、すなわちFFTを行なって時間軸の信号を周波数軸の信号に変換して各キャリアについてそれぞれの変調方式に対応した復調を行ない、パラレル/シリアル変換して元のシリアル信号で送られた情報を再生するといったことで行なわれる。
【0009】
OFDM伝送方式は、遅延波があっても良好な伝送特性を有することが実験で確かめられており、高速広帯域無線信号伝送方式へ広く利用されている。例えば、無線LANの規格として当業界において広く知られているIEEE802.11aでは、5GHz帯でOFDM方式を用い、伝送速度最大54Mbpsを可能にしている。
【0010】
また、高速広帯域無線信号伝送方式において、適応変調が用いられることが多い。ここで言う「適応変調」とは、受信品質と誤り率の関係が変調レートや符号化率により異なることに基づき、受信品質により最も受信レートが高くなる変調方式を選ぶ方法である。
【0011】
ところで、OFDMにも幾つかの問題が残る。遅延波の存在により選択性フェージングが発生するため、周波数により受信レベルの大小が発生する。これにより、OFDMではサブキャリア毎の受信電力の差が大きく違ってしまい、受信電力が小さくなったサブキャリアの誤り率が大きくなる。この結果、サブキャリアの信号をまとめた全体の受信信号の誤りも大きくなってしまう。
【0012】
さらに、誤りが受信側で訂正できない場合には、そのデータの再送を行なう。ここで、選択性フェージングが誤りの主要因の場合には、減衰量の大きい周波数付近のサブキャリアにより誤りが発生していると考えられるが、たとえ残りのサブキャリアでは良好に通信できたとしても、再送が必要な場合にはすべてのサブキャリアを使用して再送が行なわれる。これにより全体のスループットが低下してしまう。
【0013】
一部のサブキャリアにおける誤りが全体の受信信号に及ぶという問題に対して、伝送チャネルを周波数軸で分割して通信するという帯域分割方式が考えられる。例えば、1シンボルに対応するデータを直交周波数多重方式で変調した全帯域を使って伝送する第1の伝送モードと、1シンボルに対応するデータを複数に分割し、分割されたデータ毎に直交周波数多重方式で変調して、全帯域を複数の帯域に分割して伝送する第2の伝送モードを備えた無線伝送方法について提案されている(例えば、特許文献1を参照のこと)。このような場合、第1の伝送モードでデータを復号できない場合に第2の伝送モードに設定して、伝送に使われる周波数帯域を妨害を受けている周波数から逃れさせることにより、妨害波の影響を除去することができる。
【0014】
しかしながら、特許文献1では、良好な周波数帯での通信を妨害波の影響から切り離すことができ、通信品質を維持することができるものの、帯域分割された各周波数帯域の間での送信時間の相違やスループットに関しては言及されていない。
【0015】
また、帯域分割された各周波数帯域毎にデータ再送を行なう場合には新たな問題が生じる。エラーの多い帯域のデータは再送が必要になるが、通信品質が悪い帯域なので、再送データも誤る可能性が高い。一方で、エラーの少ない帯域ではデータの送受信が進んでいく。この結果、受信局側の受信バッファは再送データを待つデータで溢れてしまう。特許文献1では、良好な周波数帯での通信を妨害波の影響から切り離すことができ、通信品質を維持することができるものの、妨害波の影響を受ける周波数帯における再送要求に対するデータ再送手順に関しては考慮されていない。
【0016】
また、適応変調により帯域毎の変調方式が異なる場合には、帯域毎に送信時間が異なるため、転送レートが速い変調方式の帯域は、遅い帯域の送信終了を待たなくてはならない。その結果、システム全体ではスループットは低下してしまう。
【0017】
【特許文献1】
特開平11−341002号
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、伝送帯域を帯域分割して通信が良好でないサブキャリアの周波数付近の影響を除去することができる、優れたOFDM方式の通信システム、並びに通信装置及び通信方法を提供することにある。
【0019】
本発明のさらなる目的は、帯域分割して各周波数帯域毎にデータ伝送及び再送制御を行ない、通信品質が良好でない帯域からの妨害波の影響を最小限にするとともにシステム全体のスループットを保つことができる、優れたOFDM方式の通信システム、並びに通信装置及び通信方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、互いに直交関係にある複数のキャリアで多重化してデータ伝送を行なうOFDM伝送方式の通信システムであって、
単一チャネルを複数のサブキャリアで構成される複数のグループに帯域分割する手段と、
各グループの変調方式を決定する手段と、
各グループにおけるスループットを均一化する手段と、
を具備することを特徴とする通信システムである。
【0021】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0022】
本発明に係る通信システムによれば、単一チャネルを複数のサブキャリアで構成される複数のグループに帯域分割した際、各グループにおけるスループットが均一化されるので、伝送速度の大きいグループが伝送速度の低いグループの送信終了を待つことなくデータを送信することができるため、システム全体のスループットが向上する。
【0023】
ここで、前記の各グループの変調方式を決定する手段は、サブキャリア毎の伝搬路品質に応じて各グループに適用する変調方式を決定するようにしてもよい。
【0024】
例えば、デジタル変調方式の位相変調方式としてBPSK並びにQPSKが知られているが、帯域分割された各グループにおけるに伝搬路品質に応じて、BPSK又はQPSKのうち受信品質により最も受信レートが高くなる変調方式を設定することができる。
【0025】
BPSKは、変調出力が一定なため電力効率の高いアンプを利用することができ、消費電力が少なくて済み、通信エラーには比較的強いが、伝送効率は高くない。これに対し、QPSKは、1度に2つのデジタル信号を伝送しようとしているため、周波数を有効に利用し伝送効率がよい。その反面、信号間の隔たりがBPSKでは位相量にしてπであるのに対しQPSKがπ/2と狭く、雑音余裕が少ない。
【0026】
また、前記のスループットを均一化する手段は、各グループの転送レートの比率に応じて前記の複数のグループに帯域分割する手段において各グループに割り振るサブキャリア数を調整するようにしてもよい。例えば、変調後の送信時間が変調レートによらず同じになるように決められた「変調レート 対 サブキャリア数」の対応表が用意され、これに従って各グループのサブキャリア数を決定する。
【0027】
このように、変調方式に合せてグループ毎のサブキャリア数を異なる値に設定し、伝送速度が速い変調方式のグループのサブキャリア数を少なくすることで、伝送速度が遅い変調方式のグループと送信時間を等しくすることができ、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0028】
また、前記のスループットを均一化する手段は、伝送データをパケットに分割する手段と、スループットに応じて各グループへ分配する手段とで構成することができる。
【0029】
例えば、前記のスループットを均一化する手段は、スループットに応じて各グループへ分配する固定長パケットの連結数を調整するようにしてもよい。例えば、変調後の送信時間が変調レートによらず同じになるように決められた「変調レート 対 パケット数」の対応表が用意され、これに従い各グループのパケット数を決定する。
【0030】
このような場合、変調方式に合せてグループ毎のパケットの連結数を異なる値に設定し、伝送速度が速い変調方式のグループのパケットの連結数を増やすことで、伝送速度が遅い変調方式のグループと送信時間を等しくすることができ、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0031】
あるいは、前記のスループットを均一化する手段は、スループットに応じて各グループの単位パケットのデータ長を調整するようにしてもよい。例えば、変調後の送信時間が変調レートによらず同じになるように決められた「変調レート 対 パケット・サイズ」の対応表が用意され、これに従い各グループのパケット数を決定する。
【0032】
このように、変調方式に合せてグループ毎の単位パケットのデータ量を異なる値に設定し、伝送速度が速い変調方式のグループの単位パケットのデータ量を大きくすることで、伝送速度が遅い変調方式のグループと送信時間を等しくすることができ、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0033】
また、前記の単一チャネルを複数のグループに帯域分割する手段は、伝搬路における遅延広がりτにより定まる落ち込み間隔1/τよりも狭い間隔で各グループの周波数帯域幅fを決定するようにしてもよい。
【0034】
このような場合、グループ内におけるサブキャリア間の電力差を小さくすることができる。すなわち、帯域分割されたグループ内の周波数特性を平坦に近づけることができるので、サブキャリア間の電力差過大による誤りの発生を抑えられる。また、チャネルを過剰に帯域分割することがなくなり、グループ毎の制御情報が増え過ぎてスループットが低下することを避けられる。
【0035】
また、本発明に係る通信システムは、各グループにおける再送を制御する手段をさらに備えていてもよい。
【0036】
前記の再送を制御する手段は、例えば、送信待ちパケットの中で再送パケットを優先して送信するようにしてもよい。
【0037】
このような場合、エラーの多い帯域における再送データで受信バッファが溢れてしまうという事態を回避ことができる。この結果、受信側で再送パケットの到着を待つ時間が少なくなり、伝送遅延の減少、受信データ・バッファのメモリ容量を縮小することができる。
【0038】
また、前記の再送を制御する手段は、再送回数に応じてグループを優先順位付けし、優先順位の高いグループから再送パケットを送信するようにしてもよい。
【0039】
このような場合、再送パケットを何度も再送することが少なくなり、伝送遅延の減少、受信データ・バッファのメモリ容量の縮小、スループットの向上という効果を得ることができる。
【0040】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0042】
本発明は、無線伝送の高速化・高品質化を実現する技術として期待されているOFDM方式を採用した通信システムに関する。OFDM方式は、マルチキャリア伝送方式の一種で、各キャリアがシンボル区間内で相互に直交するように各キャリアの周波数が設定される。高速信号を多数のサブキャリアに分割して送信する結果、サブキャリア単体での伝送速度は低速になるため、遅延波の干渉に対して強くなる。
【0043】
本発明では、このOFDM伝送方式に対し、帯域分割方式並びに適応変調方式を組み合わせるものである。すなわち、単一チャネルを複数のサブキャリアで構成するいくつかのグループに帯域分割し、グループ毎に変調方式を異なる設定にする。
【0044】
OFDM方式では、遅延波の存在により選択性フェージングが発生するため、周波数帯域間で受信レベルの大小が発生し、受信電力が小さくなったサブキャリアの誤り率が大きくなる。この結果、サブキャリアの信号をまとめた全体の受信信号の誤りも大きくなってしまう。これに対し、帯域分割方式を採り入れることにより、良好な周波数帯での通信を妨害波の影響から切り離すことができ、通信品質を維持することができる。
【0045】
また、適応変調は、受信品質と誤り率の関係が変調レートや符号化率により異なることに基づき、受信品質により最も受信レートが高くなる変調方式を選ぶ方式である。
【0046】
例えば、デジタル変調方式として、デジタル符号に応じてキャリア位相を離散的に変化させる位相変調(Phase Shift Keying:PSK)方式があるが、PSK方式には、2つの位相でビットを表現するBPSK(Binary Phase Shift Keying)方式と、4つの位相でビットを表現するQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式とが挙げられる。BPSK方式では、キャリア位相を0とし、キャリアとは逆の180degずれた位相を1に割り当てる。また、QPSK方式では、0相に(0,0)、π/2相に(0,1)、π相に(1,0)、3/π相に(1,1)を対応させて伝送する。
【0047】
BPSKは、変調出力が一定なため電力効率の高いアンプを利用することができ、消費電力が少なくて済み、通信エラーには比較的強いが、伝送効率は高くない。これに対し、QPSKは、1度に2つのデジタル信号を伝送しようとしているため、周波数を有効に利用し伝送効率がよい。その反面、信号間の隔たりがBPSKでは位相量にしてπであるのに対しQPSKがπ/2と狭く、雑音余裕が少ない。
【0048】
以下で説明する本発明の各実施形態では、帯域分割された各グループにおけるに伝搬路品質に応じて、BPSK又はQPSKのうち受信品質により最も受信レートが高くなる変調方式を設定する。
【0049】
第1の実施形態:
図1には、単一チャネルを複数のサブキャリアで構成される複数のグループに帯域分割する様子を示している。仮にチャネルを構成するデータ伝送用サブキャリア数が48本とする。図示の例では単一チャネルを3つのグループに分割しているが、サブキャリアを等分配すると、それぞれのグループに属するサブキャリアは16本ずつになる。
【0050】
また、図2には、単一チャネルを3つのグループに帯域分割してデータ伝送を行なう通信装置の構成例を模式的に示している。
【0051】
まず、この通信装置の送信手順について説明する。通信プロトコルの上位層から受け取った送信データをデータ・バッファに一旦蓄積する。このデータをグループ毎に割り振り、制御情報を付加するなどの信号処理を行ない、さらにIFFT(逆フーリエ変換)などの処理が施されてそれぞれOFDM信号に変換される。そして、すべてのグループの信号を合成(MUX)して、再度単一チャネルの信号として、アンテナから送信する。
【0052】
次いで、受信手順について説明する。同期、A/D変換、FFT(フーリエ変換)などの処理がなされキャリアが取り出された後、チャネル信号をグループ毎に分解する。グループ毎に受信処理を行なう。ここで再送が必要になった場合には、そのグループのみの再送処理を行なう。再送処理が必要ないグループのデータはデータ・バッファに蓄積され、次のデータの受信処理を始める。再送により送られてきたデータがバッファに揃った段階で、各グループにおける受信データを合成し、これを通信プロトコルの上位層へ渡す。
【0053】
図3には、帯域分割された各グループ毎に異なる変調方式を設定する仕組みを図解している。同図に示す例では、単一のチャネルを3つのグループで構成するものとする。
【0054】
グループ毎に受信結果から伝送品質を評価部において評価する。そして、最も伝送品質が悪いグループでは、変調方式をBPSK1/2に設定し、伝送品質が良いものはその品質に応じて、より高い伝送レートの変調方式に設定する。変調方式の設定は例えば一定周期毎に行ない、通信環境の変化に対応する。以上により、単一チャネルを帯域分割し、帯域毎に変調方式を異なる設定にする方式が構成される。
【0055】
他方、このように帯域分割した各グループ毎に異なる変調方式を設定した場合、グループ間で送信レートが相違する。すなわち、帯域毎に送信時間が異なるため、転送レートが速い変調方式の帯域は、遅い帯域の送信終了を待たなくてはならない。その結果、システム全体ではスループットは低下してしまうという問題が生じる。
【0056】
このような問題に対処するため、本実施形態では、各グループの送信レートに応じて、グループに分配するパケットの連結数を調整し、スループットの均一化を図っている。すなわち、変調方式に合せてグループ毎のパケットの連結数を異なる値に設定し、伝送速度が速い変調方式のグループのパケットの連結数を増やすことで、伝送速度が遅い変調方式のグループと送信時間を等しくし、システム全体のスループットを向上させる。
【0057】
図4には、パケット連結により帯域毎の送信時間を等しくする仕組みを図解している。
【0058】
QPSK 1/2はBPSK 1/2の2倍のデータを送ることができるため、BPSK 1/2で1パケットを送る時間はQPSK 1/2で2パケットを送る時間と等しくなる。そこで、図示の例では、QPSK変調を行なう帯域グループには4つのパケット1、パケット3、パケット4、パケット6を連結させた送信データを分配し、他方のBPSK変調を行なう帯域グループにはその半分の2つのパケット2及びパケット5を連結させた送信データを分配する。
【0059】
図4に示すように、QPSK 1/2ではBPSK 1/2の2倍のパケットを連結して1つのバーストとして送信することで、時間軸で見た場合には、4つの連結パケットを送信するQPSK 1/2と2つの連結パケットを送信するBPSK 1/2とではバースト長が等しくなる。
【0060】
これにより、QPSK 1/2が早くデータを送信し終わったまま、無駄にBPSK 1/2の送信終了を待つことがなくなる。同様にして、グループ毎の変調方式に合わせてパケットの連結数を異なる値にすることで、すべてのグループの送信時間を等しくすることができる。
【0061】
図5には、グループ毎の変調方式に合わせてパケットの連結数を異なる値に設定した通信装置の機能構成を模式的に示している。同図には、パケットが生成され、無線信号に加工される過程が併せて表わされている。
【0062】
まず、送信動作について説明する。通信プロトコルの上位層から受け取った送信データは、データ・バッファ11に一旦蓄積される。パケット生成部及び統合部12は、データ・バッファ11から送信データを取り出して、これを分割して固定長のパケットを生成する。
【0063】
図5に示す実施形態では、通信装置は、帯域分割により2つのグループを備え、各々に対応する第1のOFDM送受信部14Aと、第2のOFDM送受信部14Bが配設されている。パケット分配部及び誤り訂正部13は、これら第1及び第2のOFDM送受信部14A及び14Bの変調レート情報に基づいて、グループ毎のパケット数を決定し、パケットを第1及び第2のOFDM送受信部14A及び14Bに分配する。例えば、変調後の送信時間が変調レートによらず同じになるように決められた「変調レート 対 パケット数」の対応表が用意され、これに従い各グループのパケット数を決定する。
【0064】
第1のOFDM送受信部14AはQPSK変調を行ない、第2のOFDM送受信部14BはBPSK変調を行なう。QPSK 1/2はBPSK 1/2の2倍のデータを送ることから、図示の例では、パケット分配部及び誤り訂正部13は、第1のOFDM送受信部14Aに対し連結数4のパケットを分配し、第2のOFDM送受信部14Bに対しその半分の連結数2のパケットを分配する。
【0065】
第1及び第2のOFDM送受信部14A及び14Bでは、伝送すべきデータを対応するキャリアにマッピングし、周波数領域のデータをIFFT(逆フーリエ変換)処理して時間領域のデータに変換し、これをパラレル/シリアル変換し、D/A変換してOFDM信号を得て、さらにこれをQPSK又はBPSK変調する。図6には、OFDM送受信部14の内部構成(但し送信側)を示している。
【0066】
BPSKで変調されるパケットの数はQPSKで変調されるパケットの数の半分であり、QPSKの変調レートはBPSKの2倍なので、どちらのグループの信号の送信時間も同じになる、という点を充分理解されたい。
【0067】
これらの変調信号は多重化分離(MUX/DEMUX)部15ですべてまとめられ、1つのOFDM信号としてアンテナから送信される。
【0068】
一方、受信時は上述した処理を逆方向で行ない、それぞれの帯域グループで送られたパケットを統合することで、元のデータを復元する。
【0069】
すなわち、アンテナから受信されたOFDM信号は、多重化分離部15によって各帯域グループ毎に分離され、それぞれ第1及び第2のOFDM送受信部14A及び14Bに渡される。
【0070】
第1及び第2のOFDM送受信部14A及び14Bでは、それぞれQPSK又はBPSK復調し、A/D変換し、シリアル/パラレル変換し、これをFFT(フーリエ変換)処理して時間領域のデータを周波数領域のデータに変換し、キャリアを取り出す。
【0071】
パケット分配部及び誤り訂正部13は、復元されたパケット・データの誤り訂正を行ない、パケット生成部及び統合部12は、各グループから受信されたパケットを統合して、元のデータを復元する。そして、この受信データは、データ・バッファ11に一旦蓄積され、通信プロトコルの上位層へ渡される。
【0072】
第2の実施形態:
上述したように、QPSK 1/2はBPSK 1/2の2倍のデータを送ることができるため、BPSK 1/2である単位長のデータを送る時間はQPSK 1/2で同じデータ量を送る時間の2倍となる。そこで、本実施形態では、QPSK変調を行なう帯域グループではBPSK 1/2の2倍のデータ量のパケット長にすることで、時間軸で見た場合には、QPSK 1/2とBPSK 1/2とではバースト長が等しくするようにした。
【0073】
図7には、データ量により帯域グループ毎の送信時間を等しくする仕組みを図解している。同図に示すように、QPSK変調を行なう帯域グループには、BPSK変調を行なう帯域グループに分配されるパケット2に対し2倍のデータ量を持つパケット1が分配される。変調レートの相違により、時間軸で見た場合には、QPSK 1/2とBPSK 1/2とではバースト長が等しくなる。
【0074】
したがって、QPSK 1/2が早くデータを送信し終わったまま、無駄にBPSK 1/2の送信終了を待つことがなくなる。同様にして、グループごとの変調方式に合わせてパケットのデータ量を異なる値にすることで、すべてのグループの送信時間を等しくすることができる。
【0075】
図8には、グループ毎の変調方式に合わせてパケットのデータ量を異なる値に設定した通信装置の機能構成を模式的に示している。同図には、パケットが生成され、無線信号に加工される過程が併せて表わされている。
【0076】
まず、送信動作について説明する。通信プロトコルの上位層から受け取った送信データは、データ・バッファ21に一旦蓄積される。パケット生成部及び統合部22は、データ・バッファ21から送信データを取り出して、これを分割して可変長のパケットを生成する。
【0077】
図8に示す実施形態では、通信装置は、帯域分割により2つのグループを備え、各々に対応する第1のOFDM送受信部23Aと、第2のOFDM送受信部23Bが配設されている。パケット生成部及び統合部22は、これら第1及び第2のOFDM送受信部23A及び23Bの変調レート情報に基づいて、グループ毎のパケットの大きさを決定し、パケットを第1及び第2のOFDM送受信部23A及び23Bに分配する。例えば、変調後の送信時間が変調レートによらず同じになるように決められた「変調レート 対 パケット・サイズ」の対応表が用意され、これに従い各グループのパケット・サイズを決定する。
【0078】
第1のOFDM送受信部23AはQPSK変調を行ない、第2のOFDM送受信部23BはBPSK変調を行なう。QPSK 1/2はBPSK 1/2の2倍のデータを送ることから、図示の例では、パケット生成部及び統合部22は、第1のOFDM送受信部23Aのパケット・サイズを、第2のOFDM送受信部14Bのパケット・サイズの2倍に決定する。
【0079】
第1及び第2のOFDM送受信部23A及び23Bでは、伝送すべきデータを対応するキャリアにマッピングし、周波数領域のデータをIFFT(逆フーリエ変換)処理して時間領域のデータに変換し、これをパラレル/シリアル変換し、D/A変換してOFDM信号を得て、さらにこれをQPSK又はBPSK変調する。OFDM送受信部23の内部構成(但し送信側)は図6に示したものと同様である。
【0080】
BPSKで変調されるパケットの数はQPSKで変調されるパケットの数の半分であり、QPSKの変調レートはBPSKの2倍なので、どちらのグループの信号の送信時間も同じになる、という点を充分理解されたい。
【0081】
これらの変調信号は多重化分離(MUX/DEMUX)部24ですべてまとめられ、1つのOFDM信号としてアンテナから送信される。
【0082】
一方、受信時は上述した処理を逆方向で行ない、それぞれの帯域グループで送られたパケットを統合することで、元のデータを復元する。
【0083】
すなわち、アンテナから受信されたOFDM信号は、多重化分離部24によって各帯域グループ毎に分離され、それぞれ第1及び第2のOFDM送受信部23A及び23Bに渡される。
【0084】
第1及び第2のOFDM送受信部23A及び23Bでは、それぞれQPSK又はBPSK復調し、A/D変換し、シリアル/パラレル変換し、これをFFT(フーリエ変換)処理して時間領域のデータを周波数領域のデータに変換し、キャリアを取り出す。
【0085】
パケット生成部及び統合部22は、各グループから受信されたパケットを統合して、元のデータを復元する。そして、この受信データは、データ・バッファ21に一旦蓄積され、通信プロトコルの上位層へ渡される。
【0086】
第3の実施形態:
上述したように、QPSK 1/2はBPSK 1/2の2倍のデータを送ることができる。そこで、本実施形態では、BPSK変調を行なう帯域グループに、QPSK 1/2変調を行なうグループの2倍のサブキャリア数を割り当てることで、時間軸で見た場合には、QPSK 1/2とBPSK 1/2とではバースト長が等しくするようにした。
【0087】
図9には、複数のサブキャリアで構成される単一チャネルを複数のグループに帯域分割する際に、適用する変調方式の変調レートの比に応じた割合で各グループに割り当てるサブキャリア数を調整した様子を示している。BPSK 1/2変調を行なう帯域グループに、QPSK 1/2変調を行なうグループの2倍のサブキャリア数を割り当てる。
【0088】
仮にチャネルを構成するデータ伝送用サブキャリア数が48本とすると、BPSK変調を行なう帯域グループに32本、QPSK 1/2変調を行なうグループに16本のサブキャリアがそれぞれ割り当て割れる。
【0089】
これにより、QPSK 1/2が早くデータを送信し終わったまま、無駄にBPSK 1/2の送信終了を待つことがなくなる。同様にして、グループごとの変調方式に合わせてのサブキャリア数を異なる値にすることで、すべてのグループの送信時間を等しくすることができる。
【0090】
図10には、グループ毎の変調方式に合わせて各グループを構成するサブキャリア数を異なる値に設定した通信装置の機能構成を模式的に示している。同図には、パケットが生成され、無線信号に加工される過程が併せて表わされている。
【0091】
まず、送信動作について説明する。通信プロトコルの上位層から受け取った送信データは、データ・バッファ31に一旦蓄積される。パケット生成部及び統合部22は、データ・バッファ31から送信データを取り出して、これを分割して固定長のパケットを生成する。そして、パケット生成部及び統合部22は、パケットを第1及び第2のOFDM送受信部33A及び33Bにそれぞれ分配する。
【0092】
グループ毎に分配された信号は、第1及び第2のOFDM送受信部33A及び33BによってOFDM信号に変調される。ここでは、他のグループの変調レート情報も基に、自己のグループが占有するサブキャリア数を決定する。例えば、すべてのグループの変調後の信号の送信時間が、変調レートによらず同じになるように決められた「変調レート 対 サブキャリア数」の対応表が用意され、これに従いサブキャリア数を決定する。
【0093】
第1のOFDM送受信部33AはQPSK変調を行ない、第2のOFDM送受信部33BはBPSK変調を行なう。QPSK 1/2はBPSK 1/2の2倍のデータを送ることから、図示の例では、第2のOFDM送受信部33Bのサブキャリア数を、第1のOFDM送受信部33Aのサブキャリア数の2倍に決定する。
【0094】
第1及び第2のOFDM送受信部33A及び33Bでは、伝送すべきデータを対応するキャリアにマッピングし、周波数領域のデータをIFFT(逆フーリエ変換)処理して時間領域のデータに変換し、これをパラレル/シリアル変換し、D/A変換してOFDM信号を得て、さらにこれをQPSK又はBPSK変調する。OFDM送受信部33の内部構成(但し送信側)は図6に示したものと同様である。
【0095】
BPSKで変調されるパケットの数はQPSKで変調されるパケットの数の半分であり、QPSKの変調レートはBPSKの2倍なので、どちらのグループの信号の送信時間も同じになる、という点を充分理解されたい。
【0096】
これらの変調信号は多重化分離(MUX/DEMUX)部34ですべてまとめられ、1つのOFDM信号としてアンテナから送信される。
【0097】
一方、受信時は上述した処理を逆方向で行ない、それぞれの帯域グループで送られたパケットを統合することで、元のデータを復元する。
【0098】
すなわち、アンテナから受信されたOFDM信号は、多重化分離部34によって各帯域グループ毎に分離され、それぞれ第1及び第2のOFDM送受信部33A及び33Bに渡される。
【0099】
第1及び第2のOFDM送受信部33A及び33Bでは、それぞれQPSK又はBPSK復調し、A/D変換し、シリアル/パラレル変換し、これをFFT(フーリエ変換)処理して時間領域のデータを周波数領域のデータに変換し、キャリアを取り出す。
【0100】
パケット生成部及び統合部32は、各グループから受信されたパケットを統合して、元のデータを復元する。そして、この受信データは、データ・バッファ31に一旦蓄積され、通信プロトコルの上位層へ渡される。
【0101】
第4の実施形態:
OFDM方式による伝送は、同じ伝送容量のシングル・キャリア伝送方式に比べ、1シンボル周期が長くなるので、到来波の遅延時間差が大きなマルチパス・フェージングや選択性フェージングに対する耐フェージング特性が強いという特徴がある。しかしながら、各到来波の遅延時間差が比較的小さなフラット・フェージングに対する耐フェージング特性は強いとは言い難い。
【0102】
伝搬環境の遅延広がりと周波数特性の落ち込みの周期には相関がある、ということが当業者において知られている。図11には、マルチパス路におけるOFDM信号の周波数特性を示している。第1到来波(例えば直接波などの所望波)に対して振幅ρ、遅延τの第2遅延波(反射波などの干渉波)が受信される通信路においては、OFDM信号の周波数特性は、周波数差1/τ毎に1−ρの信号振幅となる。特に、インターリーバのサイズM×N、キャリア間隔Δfcのとき、M/τ=Δfc若しくはN/τ=Δfcが成り立つ場合には、受信側においてデインターリーブ後の符号シンボルの振幅が連続して落ち込み、バースト的な誤りを起こす。
【0103】
したがって、伝搬路の遅延広がりをτ、帯域分割時の各グループに割り当てる帯域幅をfとしたときに、τ×f=0.1〜1となるように設定すると、図12に示すように周波数特性が平坦に近いグループが多くなる。図示の例では、グループA〜Cの3つのグループに分割しているが、グループAではマルチパスによる信号強度の落ち込みの影響のため、誤り率が高くなるが、それ以外のグループB及びグループCにおいては、周波数特性が平坦に近くなるので良好な通信品質を得ることができる。
【0104】
ここで、τは使用する周波数であらかじめ測定しておくことで設計前に推定することができる。さらに、使用する環境が屋内、又は屋外に限定されるなどの条件では、さらに精度よく見積もることができる。または、プリアンブルの受信結果から遅延広がり量を計算し、それに応じて適応的にグループ分割を変更することも可能である。
【0105】
このように伝搬環境の遅延広がりτを考慮した帯域分割の手法は、上述した第1乃至第3の各実施形態において併せて適用することができる。
【0106】
第5の実施形態:
本発明では、このOFDM伝送方式に対し、帯域分割方式並びに適応変調方式を組み合わせるものである。すなわち、単一チャネルを複数のサブキャリアで構成するいくつかのグループに帯域分割し、グループ毎に変調方式を異なる設定にする(前述)。
【0107】
他方、伝搬路上では、パケット内のデータの破壊や部分的な欠損、パケット全体の消失、順序の入れ替わり、重複といった伝送誤りが発生する可能性がある。また、受信側では、いずれのパケットをどのようなタイミングで受信するかは不定であり、パケットの一部が欠落してしまう可能性がある。このような受信誤りが受信側で訂正できない場合のために、データの再送制御プロトコルが用意されている。
【0108】
ところが、帯域分割された各周波数帯域毎にデータ再送を行なう場合、エラーの多い帯域のデータは再送が必要になるが、通信品質が悪い帯域なので、再送データも誤る可能性が高い。一方で、エラーの少ない帯域ではデータの送受信が進んでいく。この結果、受信局側の受信バッファは再送データを待つデータで溢れてしまい、システム全体でのスループットが低下してしまう。
【0109】
そこで、本実施形態では、送信待ちパケットの中で再送パケットを優先して送信することにより、エラーの多い帯域における再送データで受信バッファが溢れてしまうという事態を回避するようにした。この結果、受信側で再送(ARQ:Auto Repeat reQuest)パケットの到着を待つ時間が少なくなり、伝送遅延の減少、受信データ・バッファのメモリ容量を縮小することができる。
【0110】
図13には、再送パケットを優先して送信する仕組みを図解している。同図に示すように、送信側では、送信パケットのバッファを2段階で用意する。通常のパケットは初段のバッファに入力され、その出力がさらに2段目のバッファに入力される。これに対して、再送パケットは2段目のバッファから入力される。
【0111】
例えば、送信データ・バッファに蓄積されている送信データからデータ7、データ8、データ9、データ10の順でデータ・パケットが生成され、初段のバッファに入力され、FIFO(First In First Out:先入れ先出し)形式で次段のバッファに出力されるとする。このとき、例えばエラーの多い帯域のグループにおいてデータ再送要求が発生した場合、この再送パケットARQ1は2段目のバッファから入力されるので、データ7よりも優先して送信される。
【0112】
図13に示すようなデータ再送動作によれば、通常のデータ・パケットに優先的に再送パケットを送ることができる。
【0113】
このようなデータ再送の手法は、上述した第1乃至第3の各実施形態において併せて適用することができる。
【0114】
第6の実施形態:
帯域分割された各周波数帯域毎にデータ再送を行なう場合、エラーの多い帯域のデータは再送が必要になるが、通信品質が悪い帯域なので、再送データも誤る可能性が高い。一方で、エラーの少ない帯域ではデータの送受信が進んでいく。この結果、受信局側の受信バッファは再送データを待つデータで溢れてしまい、システム全体でのスループットが低下してしまう(同上)。
【0115】
本実施形態では、再送回数に応じてグループを優先順位付けし、再送を行なうときにはこの情報を参照して、優先順位の高いグループから再送パケットを送信するようにした。
【0116】
このような場合、再送パケットを何度も再送することが少なくなり、伝送遅延の減少、受信データ・バッファのメモリ容量の縮小、スループットの向上という効果を得ることができる。
【0117】
図14には、再送回数に応じてグループを優先順位付けし、優先順位の高いグループから再送パケットを送信する仕組みを図解している。
【0118】
図示の例では単一チャネルを3つのグループA〜Bに分割している。各グループは、送信データをOFDM方式で周波数分割多重しさらに異なる変調方式で変調処理した後にデータ送信する送信部41A〜Cと、受信側から再送要求パケットARQを受信する再送要求受信部42A〜Cと、各再送要求受信部42A〜Cにおける再送要求パケットの受信回数(又は頻度)を計測するカウンタ43A〜Cを備えている。
【0119】
送信部41は、送信データ・バッファに蓄積されているデータから生成されたパケットが分配されると、これをOFDM方式で周波数分割多重しさらに異なる変調方式で変調処理した後にデータ送信する。
【0120】
再送要求受信部ARQは、再送要求パケットARQを受信すると、これを対応する送信部41とカウンタ43に通知する。各グループのカウンタ43A〜Cは、計数した再送要求パケットの受信回数を所定間隔で優先順位付け部44に出力する。
【0121】
優先順位付け部44は、各グループにおいて所定時間内に発生した再送要求回数に応じて、データ再送に使用するグループを優先順位付けする。
【0122】
図15には、再送回数に応じてグループを優先順位付けし、優先順位の高いグループから再送パケットを送信する動作を示している。
【0123】
各カウンタ43A〜Cでは、一定時間での各グループの再送要求をカウントする。同図に示す例では、各カウンタ43A〜Cにおけるカウント数をそれぞれCa,Cb,Ccで示す。
【0124】
優先順位付け部44では、再送パケットの送信に用いるグループを決定する。A,B,Cの各グループが使用される確率をそれぞれPa,Pb,Pcとすると、その比率が1/Ca,1/Cb,1/Ccになるように選択する。
【0125】
これにより、通信品質の良いグループほど再送パケットの伝送に用いられることになり、再送パケットがより小さな遅延で送られることになるため、受信バッファがあふれることがなくなるとともに、再送が繰り返されることも少なくなるためにスループットも向上する。
【0126】
このような再送回数に応じてグループを優先順位付けし、優先順位の高いグループから再送パケットを送信するデータ再送の手法は、上述した第1乃至第3の各実施形態において併せて適用することができる。
【0127】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0128】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、帯域分割して各周波数帯域毎にデータ伝送及び再送制御を行ない、通信品質が良好でない帯域からの妨害波の影響を最小限にするとともにシステム全体のスループットを保つことができる、優れたOFDM方式の通信システム、並びに通信装置及び通信方法を提供することができる。
【0129】
本発明によれば、単一チャネルを複数のサブキャリアで構成される複数のグループに帯域分割した際、伝送速度の大きいグループが伝送速度の低いグループの送信終了を待つことなくデータを送信することができるため、システム全体のスループットが向上する。
【0130】
また、本発明によれば、帯域分割されたグループ内の周波数特性を平坦に近づけることができるので、サブキャリア間の電力差過大による誤りの発生を抑えられる。また、チャネルを過剰に帯域分割することがなくなり、グループ毎の制御情報が増え過ぎてスループットが低下することを避けられる。
【0131】
また、本発明によれば、受信側で再送パケットの到着を待つ時間が少なくなり、伝送遅延の減少、受信データ・バッファのメモリ容量を縮小することができる。
【0132】
また、本発明によれば、再送パケットを何度も再送することが少なくなり、伝送遅延の減少、受信データ・バッファのメモリ容量の縮小、スループットの向上という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単一チャネルを複数のサブキャリアで構成される複数のグループに帯域分割する様子を示した図である。
【図2】単一チャネルを3つのグループに帯域分割してデータ伝送を行なう通信装置の構成例を模式的に示した図である。
【図3】帯域分割された各グループ毎に異なる変調方式を設定する仕組みを説明するための図である。
【図4】パケット連結により帯域グループ毎の送信時間を等しくする仕組みを説明するための図である。
【図5】グループ毎の変調方式に合わせてパケットの連結数を異なる値に設定した通信装置の機能構成を模式的に示した図である。
【図6】OFDM送受信部14の内部構成を示した図である。
【図7】データ量により帯域グループ毎の送信時間を等しくする仕組みを説明するための図である。
【図8】グループ毎の変調方式に合わせてパケットのデータ量を異なる値に設定した通信装置の機能構成を模式的に示した図である。
【図9】適用する変調方式の変調レートの比に応じた割合で各グループに割り当てるサブキャリア数を調整した様子を示した図である。
【図10】グループ毎の変調方式に合わせて各グループを構成するサブキャリア数を異なる値に設定した通信装置の機能構成を模式的に示した図である。
【図11】マルチパス路におけるOFDM信号の周波数特性を示した図である。
【図12】伝搬路の遅延広がりと帯域分割時にグループに割り当てる帯域幅との関係を示した図である。
【図13】再送パケットを優先して送信する仕組みを説明するための図である。
【図14】再送回数に応じてグループを優先順位付けし、優先順位の高いグループから再送パケットを送信する仕組みを説明するための図である。
【図15】再送回数に応じてグループを優先順位付けし、優先順位の高いグループから再送パケットを送信する動作を説明するための図である。
【符号の説明】
11…データ・バッファ
12…パケット生成部及び統合部
13…パケット分配部及び誤り訂正部
14…OFDM送受信部
15…多重化分離部
21…データ・バッファ
22…パケット生成部及び統合部
23…OFDM送受信部
24…多重化分離部
31…データ・バッファ
32…パケット生成部及び統合部
33…OFDM送受信部
34…多重化分離部
41…送信部
42…再送要求受信部
43…カウンタ
44…優先順位付け部
45…データ・バッファ
Claims (21)
- 互いに直交関係にある複数のキャリアで多重化してデータ伝送を行なうOFDM伝送方式の通信システムであって、
単一チャネルを複数のサブキャリアで構成される複数のグループに帯域分割する手段と、
各グループの変調方式を決定する手段と、
各グループにおけるスループットを均一化する手段と、
を具備することを特徴とする通信システム。 - 前記の各グループの変調方式を決定する手段は、サブキャリア毎の伝搬路品質に応じて各グループに適用する変調方式を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記のスループットを均一化する手段は、各グループの転送レートの比率に応じて前記の複数のグループに帯域分割する手段において各グループに割り振るサブキャリア数を調整する、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記のスループットを均一化する手段は、
伝送データをパケットに分割する手段と、スループットに応じて各グループへ分配する手段とを備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。 - 前記のスループットを均一化する手段は、スループットに応じて各グループへ分配する固定長パケットの連結数を調整する、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。 - 前記のスループットを均一化する手段は、スループットに応じて各グループの単位パケットのデータ長を調整する、
ことを特徴とする請求項に記載の通信システム。 - 前記の単一チャネルを複数のグループに帯域分割する手段は、伝搬路における遅延広がりτにより定まる落ち込み間隔1/τよりも狭い間隔で各グループの周波数帯域幅fを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 各グループにおける再送を制御する手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記の再送を制御する手段は、送信待ちパケットの中で再送パケットを優先して送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記の再送を制御する手段は、再送回数に応じてグループを優先順位付けし、優先順位の高いグループから再送パケットを送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 互いに直交関係にある複数のキャリアで多重化してデータ伝送を行なうOFDM伝送方式の通信装置であって、
単一チャネルを帯域分割して複数のサブキャリアで構成される複数のグループの各々に対して設けられた複数の送信手段及び受信手段と、
前記の複数の受信手段の各々における受信結果に基づいて伝送品質を評価する評価手段と、
前記評価手段における各評価結果に基づいて対応する送信手段における変調方式を決定する手段と、
を具備することを特徴とする通信装置。 - データ伝送を行なう通信装置であって、
単一チャネルを帯域分割して複数のサブキャリアで構成される複数のグループの各々に対して設けられた、送信パケットを互いに直交関係にある複数のキャリアで多重化してそれぞれの変調方式により変調して送信する複数の送信手段と、
グループ間のスループットが均一となるように、送信データからパケットを生成して各グループの送信手段に分配するパケット分配手段と、
を具備することを特徴とする通信装置。 - 各グループの送信手段において適用される変調方式は、対応する帯域に含まれるサブキャリアの伝搬路品質に応じて決定される、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。 - 帯域分割された各グループに含まれるサブキャリア数は、各グループにおいて適用される変調方式の変調レートに応じて決定される、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。 - 前記パケット分配手段は、各グループにおいて適用される変調方式の変調レートに応じた連結数で、各グループの送信手段に固定長パケットを分配する、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。 - 前記パケット分配手段は、各グループにおいて適用される変調方式の変調レートに応じたデータ・サイズでパケットを生成し、各グループの送信手段に分配する、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。 - 伝搬路における遅延広がりτにより定まる落ち込み間隔1/τよりも狭い間隔で、単一チャネルが帯域分割され複数のグループが構成される、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。 - 受信側からの再送要求に応じてデータ再送を制御するデータ再送制御手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。 - 前記データ再送制御手段は、送信待ちパケットの中で再送パケットを優先して送信する、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。 - 前記データ再送制御手段は、各グループにおいて受信される再送要求回数を計数し、再送要求回数に応じてグループを優先順位付けし、優先順位の高いグループから再送パケットを送信する、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。 - データ伝送を行なう通信方法であって、
単一チャネルを帯域分割して複数のサブキャリアで構成される複数のグループの各々に対して設けられた、送信パケットを互いに直交関係にある複数のキャリアで多重化してそれぞれの変調方式により変調して送信する複数の送信ステップと、
グループ間のスループットが均一となるように、送信データからパケットを生成して各グループに分配するパケット分配ステップと、
を具備することを特徴とする通信方法。
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