JP2004247890A - テレビジョン受像機のスピーカ装置 - Google Patents

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Tsutomu Kakiuchi
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Abstract

【課題】センタスピーカをAVシステムの中央に置く必要がなく、位置的な制約から解放できると共に、特別な配線を行うことなく、手軽にサラウンド再生が行えるようにする。
【解決手段】テレビジョン受像機1の左側に、左側ツィータ5A及び左側ウーファー6Aをテレビジョン受像機1と一体的に設け、右側に、右側ツィータ5B及び右側ウーファー6Bをテレビジョン受像機1と一体的に設ける。テレビジョン受像機1の左右の双方に、互いに角度θだけ内側に向けて、センタツィータ4A及び4Bをテレビジョン受像機1と一体的に設ける。左右のセンタツィータ4A及び4Bにより、テレビジョン受像機の中央に配置したセンタスピーカと同様の音像が得られる。スピーカを全てテレビジョン受像機1と一体的に設けることで、特別な配線を行うことなく、手軽にサラウンド再生が行える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、サラウンド再生を行うテレビジョン受像機のスピーカ装置に関するもので、特に、特別な配線を施すことなく、手軽にサラウンド再生が楽しめるようにしたものに係わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイの普及が本格化しており、各家庭に大画面のテレビジョン受像機が置かれるようになってきている。また、ディジタル衛星放送では、映画チャンネル、ドラマチャンネル、音楽チャンネル等の専用のチャンネルが設けられており、各チャンネルで、様々なコンテンツの番組が放送されている。また、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤの普及により、映画やドラマ、音楽番組等のコンテンツがDVD化されて販売されている。
【0003】
このように、多彩なコンテンツが容易に入手できるようになったことや、大画面のプラズマディスプレイや液晶ディスプレイの登場により、家庭でAV(AudioVisual)システムを構築することが盛んに行われるようになってきている。このようなAVシステムでは、大画面のディスプレイと共に、迫力のあるオーディオ再生システムが不可欠であり、迫力のあるオーディオ再生のために、サラウンド再生が行われている。
【0004】
例えば、ディジタルBS(Broadcast Satellite)放送では、オーディオ方式として、MPEG2−AAC(MPEG2 Advanced Audio Coding )が採用されている。MPEG2−AACでは、左チャンネル、右チャンネル、センタチャンネル、スーパーウーファー、左後ろチャンネル、右後ろチャンネルの5.1チャンネルの再生が可能である。また、DVDにおいては、ドルビー(登録商標)AC−3と呼ばれるサラウンドシステムが採用されている。このDVDのサラウンドシステムでは、5.1チャンネルの再生が可能である。
【0005】
このような5.1チャンネルのサラウンドシステムでは、左右のスピーカと、センタスピーカと、後方の左右のスピーカと、スーパーウーファーとを使って、迫力あるサラウンド再生が可能である。
【0006】
AVシステムに利用できるスピーカとしては、例えば、特許文献1に示されるようなものが提案されている。特許文献1に示されているスピーカは、テレビジョン受像機に接続して使用されるもので、左右のスピーカユニットに併せてセンタチャンネルのオーディオ信号を再生できるようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−105391号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、5.1チャンネルのサラウンドシステムでは、迫力のあるサラウンド再生が実現でき、恰も映画館にいるような迫力のある音声で映画を楽しんだり、コンサートホールにいるような音楽環境で、音楽番組が楽しむことができる。
【0009】
ところが、5.1チャンネルのサラウンド再生を行うためには、左チャンネル、右チャンネル、センタチャンネル、スーパーウーファー、左後ろチャンネル、右後ろチャンネルの合計6個のスピーカを配置しなければならない。このため、配線が複雑化し、ユーザが手軽に楽しむことは困難である。また、6個のスピーカを外付けすると、配線が床を這い回り、見苦しいことになる。
【0010】
また、特に、センタチャンネルのスピーカは、位置的な制約により、置き場に苦労する。センタチャンネルのスピーカは、AVシステムの中央に置かなければならず、AVシステムの中央には、通常、ディスプレイが配置されている。したがって、センタチャンネルのスピーカの置き場としては、ディスプレイの上かディスプレイの下ということになる。ディスプレイの上にセンタスピーカを置くと、落下の危険がある。ディスプレイの下には、アンプ等が置かれているため、ディスプレイの下には、センタスピーカを置くスペースが十分に確保できない。限られたスペースでもセンタスピーカが置けるように、センタスピーカとして小型のものを用いると、左右チャンネルのスピーカとの音質差が大きくなり、好ましくはない。
【0011】
したがって、この発明の目的は、センタスピーカをAVシステムの中央に置く必要がなく、センタスピーカの位置的な制約から解放できると共に、特別な配線を行うことなく、手軽にサラウンド再生が行えるようにしたテレビジョン受像機のスピーカ装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、少なくとも、左側チャンネルのオーディオ信号と、右側チャンネルのオーディオ信号と、センタチャンネルのオーディオ信号からなるサラウンドのオーディオ信号をデコードするデコード手段と、
テレビジョン受像機の左側にテレビジョン受像機と一体的に設けられた左側ツィータ及び左側ウーファーと、
テレビジョン受像機の右側にテレビジョン受像機と一体的に設けられた右側ツィータ及び右側ウーファーと、
テレビジョン受像機の左側と右側の双方にテレビジョン受像機と一体的に設けられ、互いに所定の角度だけ内側に向けて配置された一対のセンタツィータとを有し、
左側チャンネルのオーディオ信号の高域成分を左側ツィータに供給し、
左側チャンネルのオーディオ信号の低域成分とセンタチャンネルのオーディオ信号の低域成分とをミックスして左側ウーファーに供給し、
右側チャンネルのオーディオ信号の高域成分を右側ツィータに供給し、
右側チャンネルのオーディオ信号の低域成分とセンタチャンネルのオーディオ信号の低域成分とをミックスして右側ウーファーに供給し、
センタチャンネルのオーディオ信号の高域成分を一対のセンタツィータの双方に供給する
ようにしたテレビジョン受像機のスピーカ装置である。
【0013】
テレビジョン受像機の左側には、左側ツィータ及び左側ウーファーがテレビジョン受像機と一体的に設けられる。テレビジョン受像機の右側には、右側ツィータ及び右側ウーファーがテレビジョン受像機と一体的に設けられる。また、テレビジョン受像機の左側と右側の双方には、互いに所定の角度だけ内側に向けられた一対のセンタツィータがテレビジョン受像機と一体的に設けられる。
【0014】
互いに所定の角度だけ内側に向けられた一対のセンタツィータにより、テレビジョン受像機の中央に配置したセンタスピーカと同様の音像が得られる。このため、センタスピーカをテレビジョン受像機の中央に配置する必要がなく、場所的な制約を受けることがなくなる。また、センタツィータと、左右のチャンネルのツィータとを同様の構成のものとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明が適用されたテレビジョン受像機の外観の構成を示すものである。
【0016】
図1において、テレビジョン受像機1の前面の略々中央には、受像部2が配置される。受像部2としては、CRT(Cathode−Ray Tube)ディスプレイを用いても良いし、液晶ディスプレイ或いはプラズマディスプレイを用いても良い。又は、受像部2として、プロジェクタを用いるようにしても良い。受像部2には、テレビジョン放送の受信画面、或いはDVDプレーヤやVCR(Video Cassette Recorder)、HDD(Hard Disk Drive)ビデオレコーダ等の再生画面が映し出される。
【0017】
テレビジョン受像機1の前面の左右には、スピーカ部3A及びスピーカ部3Bが設けられる。スピーカ部3Aはテレビジョン受像機1と一体的に設けられており、スピーカ部3Aには、センタツィータ4A、左チャンネルツィータ5A、左チャンネルウーファー6Aが設けられる。
【0018】
スピーカ部3Bはテレビジョン受像機1と一体的に設けられており、スピーカ部3Bには、センタツィータ4B、右チャンネルツィータ5B、右チャンネルウーファー6Bが設けられる。
【0019】
テレビジョン受像機1の前面の略々中央の下部には、テレビジョン受像機1と一体的に、スーパーウーファー7が設けられる。
【0020】
センタツィータ4A及びセンタツィータ4Bは、センタチャンネルの高域再生用のスピーカである。左側のスピーカ部3Aに設けられるセンタツィータ4Aと、右側のスピーカ部3Bに設けられるセンタツィータ4Bは、互いに所定の角度θ(例えば30度)だけ内側に向けられている。このセンタツィータ4A及びセンタツィータ4Bには、センタチャンネルのオーディオ信号の高域成分が供給される。
【0021】
このように、左側のセンタツィータ4Aと、右側のセンタツィータ4Bとを、互いに所定の角度θだけ内側に向けておくことにより、テレビジョン受像機1の中央に音像が生じる。これにより、センタツィータ4A及び4Bは、センタに置かれてスピーカと略々同様の働きとなる。このことについては、後に説明する。なお、ツィータ(センタツィータ4A及びセンタツィータ4B)をセンタチャンネルのスピーカとしているのは、音像の定位を決める大きな要因は、ツィータにあるからである。
【0022】
左チャンネルツィータ5A及び右チャンネルツィータ5Bは左右チャンネルの高域再生用のスピーカである。左チャンネルツィータ5A及び右チャンネルツィータ5Bは正面に向けられている。左チャンネルツィータ5Aには、左チャンネルのオーディオ信号の高域成分が供給される。右チャンネルツィータ5Bには、右チャンネルのオーディオ信号の高域成分が供給される。
【0023】
左チャンネルウーファー6A及び右チャンネルウーファー6Bは左右チャンネルの低域再生用のスピーカである。左チャンネルウーファー6A及び右チャンネルウーファー6Bは正面に向けられている。左チャンネルウーファー6Aには、左チャンネルのオーディオ信号の低域成分と、センタチャンネルのオーディオ信号の低域成分とがミックスされて供給される。右チャンネルウーファー6Bには、右チャンネルのオーディオ信号の低域成分と、センタチャンネルのオーディオ信号の低域成分とがミックスされて供給される。
【0024】
スーパーウーファー7は、低域サウンド信号再生用のスピーカである。スーパーウーファー7には、スーパーウーファーのサウンド信号が供給される。なお、ここでは、スーパーウーファー7をテレビジョン受像機1の前面略々中央の下部に配設しているが、スーパーウーファー7の取り付け位置は、これに限定されるものではない。
【0025】
このように、この発明が適用されたテレビジョン受像機1では、その前面の左右に、スピーカ部3A及びスピーカ部3Bが設けられ、スピーカ部3Aには、センタツィータ4A、左チャンネルツィータ5A、左チャンネルウーファー6Aがテレビジョン受像機1と一体的に設けられ、スピーカ部3Bには、センタツィータ4B、右チャンネルツィータ5B、右チャンネルウーファー6Bがテレビジョン受像機1と一体的に設けられている。また、テレビジョン受像機1には、スーパーウーファー7が一体的に設けられている。ここで、リアーのスピーカについては、疑似サラウンドを利用するようにすれば、テレビジョン受像機1に何ら外部スピーカを接続することなく、サラウンド再生が行える。勿論、リアーのスピーカのみ、外部スピーカを接続する構成とするようにしても良い。
【0026】
そして、この発明が適用されたテレビジョン受像機1では、互いに内側に向けられた左右の一対のセンタツィータ4A及びセンタツィータ4Bにより、センタスピーカが実現される。このため、テレビジョン受像機1の中心にセンタスピーカを配設する必要がなくなる。
【0027】
図2は、互いに内側に向けられた左側のスピーカと右側のスピーカにより、センタスピーカが実現できることを示すものである。
【0028】
図2において、左側のスピーカSP1と、右側のスピーカSP2とは、角度θだけ互いに内側に向けられている。左側のスピーカSP1から出力される音は、図2において曲線A1で示すように広がっていく。また、右側のスピーカSP2から出力される音は、図2において曲線A2で示すように広がっていく。スピーカSP1とスピーカSP2とに同様のオーディオ信号を供給したとすると、スピーカSP1から出力される音と、スピーカSP2から出力される音とが重なる部分では音圧が大きくなり、この部分に音像AR1が生じる。
【0029】
一方、中央にスピーカSP3を設けたとすると、この中央のスピーカSP3からの音は、曲線A3で示すように広がっていく。この中央のスピーカSP3からの音の広がりA3は、スピーカSP1から出力される音と、スピーカSP2から出力される音とが重なる部分の音像AR1と一致する。
【0030】
したがって、互いに内側に角度θだけ向けられた左側のスピーカSP1と右側のスピーカSP2とを配設すると、中央のスピーカSP3と同様の音像が得られることになる。なお、左側のスピーカSP1と右側のスピーカSP2とを互いに内側に向けるときの角度θの最適値は、左右のスピーカの間隔や、再生音量、リスナーの位置等、様々な要因で変化するが、30度程度が最適であることが確かめられている。
【0031】
この発明が適用されたテレビジョン受像機1では、上述のように、互いに内側に向けられた左側のスピーカ部3Aのセンタツィータ4Aと、右側のスピーカ部3Bのセンタツィータ4Bとが設けられており、センタツィータ4A及びセンタツィータ4Bが、テレビジョン受像機1の中央に配置されたセンタスピーカと同様の機能を果たす。5.1チャンネルの再生を実現する場合、場所的な制約から、センタスピーカの位置が最も配置しずらい。この発明が適用されたテレビジョン受像機1では、左右のスピーカ部3A及び3Bに、センタチャンネルの再生のためのセンタツィータ4A及び4Bを配置できるので、場所的な制約を受けることがなくなる。また、センタツィータ4A及び4Bと、左右のチャンネルのツィータ5A及び5Bとを同様の構成のものとすることができる。
【0032】
図3は、この発明が適用できるテレビジョン受像機1の構成の一例を示すものである。この例は、ディジタルBS放送の受信を行うものである。
【0033】
図3において、例えば12GHz帯の電波で衛星を介して送られてくるディジタル衛星放送の電波は、パラボラアンテナ11で受信され、パラボラアンテナ11に取り付けられたLNB(Low Noise Block Down Converter)12で、例えば、1GHz帯の第一中間周波信号に変換される。このLNB12の出力がケーブル13を介してチューナ回路14に供給される。
【0034】
チューナ回路14には、マイクロプロセッサ35から選局信号が供給される。チューナ回路14により、マイクロプロセッサ35からの選局信号に基づいて、受信信号の中から、所望の搬送波周波数の信号が選択され、選択された受信信号の搬送波周波数の信号が第二中間周波信号に変換される。
【0035】
チューナ回路14からの中間周波信号がIF(Intermediate Frequency)回路15に供給される。IF回路15により、チューナ回路14からの中間周波信号が増幅される。IF回路15の出力が復調回路16に供給される。
【0036】
復調回路16では、BPSK(Binary Phase Shift Keying )と、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying )と、8PSK(8相PSK)の復調処理が行える。
【0037】
すなわち、ディジタルBS放送では、BPSKと、QPSKと、8PSKとにより、階層化伝送が行われている。8PSK変調では、1シンボル当たりの情報量は増えるが、降雨による減衰があると、エラーレートが悪化する。これに対して、BPSKやQPSKでは、1シンボル当たりの情報量は少なくなるが、降雨による減衰があっても、エラーレートはさほど低下しない。
【0038】
送信側では、複数のTSパケットを1スロットに対応させて、各TSパケットが48スロットで構成されるフレームにマッピングされる。各スロット毎に、変調方式や符号化方式を割り当てることができる。各スロットに割り当てられた変調方式の種別や符号化率は、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号により送られる。そして、8フレームを単位としてスーパーフレームが構成され、スロットの位置毎にインターリーブが行われる。
【0039】
復調回路16で、トランスポートストリームが復調される。この復調回路16の出力は、ビタビ復号回路17に供給される。ビタビ復号回路17で、内符号のエラー訂正処理が行われる。ビタビ復号回路17の出力がエラー訂正回路18に供給される。エラー訂正回路18で、外符号のエラー訂正処理が行われる。
【0040】
すなわち、ディジタルBS放送では、エラー訂正符号化方式としては、外符号にリード・ソロモン符号(204,188)、内符号に、トレリス符号、畳み込み符号が用いられる。ビタビ復号回路17により、内符号のエラー訂正処理が行われる。リード・ソロモン符号によるエラー訂正回路18により、外符号のエラー訂正処理が行われる。
【0041】
エラー訂正回路18の出力がデスクランブラ19に供給される。デスクランブラ19で、CAS(Condition Access System )制御が行われる。
【0042】
つまり、限定受信の場合には、トランスポートストリームに暗号化が施されている。個人情報はICカード20に格納されており、ICカード20は、カードインターフェース21を介して装着される。
【0043】
デスクランブラ19には、受信されたECM(Encryption Control Message)及びEMM(Entitlement Management Message)のセクションの情報と、ICカード20に記憶されているデスクランブル用のデータから、スクランブルを解除するための情報が供給される。限定受信の場合には、デスクランブラ19は、受信されたECMやEMMと、ICカード20の情報を用いて、デスクランブルが行われる。
【0044】
また、モデム22が設けられ、課金情報がモデム22を介して、電話回線により、番組の放送センタに送られる。
【0045】
デスクランブラ19でデスクランブルされたトランスポートストリームは、デマルチプレクサ23に送られる。
【0046】
デマルチプレクサ23は、受信されたトランスポートストリームの中から、所望のパケットのストリームを分離するものである。パケットのヘッダ部にはパケット識別子(PID)が記述されている。デマルチプレクサ23で、このPIDに基づいて、所望のプログラムのビデオPES(Packetized Elementary Stream)パケット、オーディオPESパケット、データパケット、PSI(Program Specific Information)及びSI(Service Information)のパケットに、各パケットが分離される。
【0047】
所望のプログラムのビデオPESパケットは、ビデオ処理回路24に送られ、オーディオPESパケットは、オーディオ処理回路25に送られる。また、デマルチプレクサ23からのストリームは、バス37を介して、マイクロプロセッサ35に送られる。
【0048】
ビデオ処理回路24は、デマルチプレクサ23からのビデオPESパケットを受け取り、MPEG2方式のデコード処理を行って、ビデオ信号を再生するものである。ビデオデコーダ24の出力は、ビデオ再生部38に供給される。ビデオ再生部38の出力に基づいて、受像部2に映像が映し出される。
【0049】
オーディオ処理回路25は、デマルチプレクサ23からのオーディオPESパケットを受け取り、MPEG2−AAC(MPEG2 Advanced Audio Coding )のデコード処理を行って、オーディオ信号を形成するものである。MPEG2−AACでは、左チャンネル、右チャンネル、センタチャンネル、スーパーウーファー、左後ろチャンネル、右後ろチャンネルの5.1チャンネルの再生が可能である。オーディオ処理回路25の出力は、オーディオ出力部39に供給される。
【0050】
操作入力は、入力キー28により与えられる。入力キー28は、例えば、受信装置のパネルに配置される各種のキーやスイッチである。また、操作入力は、赤外線リモートコントローラ30により行うことができ、赤外線リモートコントローラ30からの赤外線コマンド信号を受光する受光部31が設けられ、受光部31からの信号がマイクロプロセッサ35に送られる。
【0051】
各種の設定状態が表示部29に表示される。表示部29は、例えば、パネルに配設される液晶ディスプレイや、LED(Light Emitting Diode)素子である。更に、マイクロプロセッサ35からの表示信号はOSD(On Screen Display)回路32に供給され、OSD回路32の出力が加算器33により、ビデオ信号に合成される。これにより、各種の設定状態を受像画面中に重畳表示させることができる。
【0052】
この発明は、このようなテレビジョン受像機1におけるオーディオ出力部39に適用できる。図4は、この発明が適用されたテレビジョン受像機1のオーディオ出力部の構成を示すものである。図4において、デコーダ50は、疑似サラウンド内蔵型の5.1チャンネルのオーディオ信号のデコーダである。
【0053】
疑似サラウンドは、恰も、リスナーの後ろ側や横側にスピーカから音が聞こえてくるようにするためのもので、疑似サラウンドとしては、数々の方式のものが提案されている。疑似サラウンドとしては、例えば、HRTF(Head Related Transfer Function)を用いたものが利用可能である。
【0054】
HRTFは、音の聞こえる角度に対してその音の周波数特性がどのように変化しているかのデータを採取し、それを関数として表したものである。
【0055】
すなわち、例えば、低域から高域まで特性が平坦な音源を用意し、その音源の特性をリスナーの正面(0度)、真横(90度)、真後ろ(180度)の位置に夫々配置したときの耳翼の内側の耳道入り口での周波数特性を測定するとする。
【0056】
特性が平坦な音源をリスナーの正面に配置すると、正面より発せられる音は、まず鼻にあたり左右に分かれて頬骨を沿って進み、耳翼に反射されて耳道に導かれる。リスナーの真横(90度)の位置に音源を移動させると、そこより発せられる音は鼻や頬骨から余り影響を受けないで、耳翼の影響を最も受けて耳道に導かれる。リスナーの後ろ(180度)に音源を移動させると、そこから発せられる音はまず後頭部にあたり、左右に分かれて逆方向についている耳翼を越えるようにして耳道に導かれる。
【0057】
したがって、人間の頭部の構造により、同じ音でも、聞こえてくる方向により、耳翼の内側の耳道入り口では、その周波数特性が大きく変化していること分かる。このようにして音の聞こえる角度に対してその音の周波数特性がどのように変化しているかのデータを採取すると、それらは関数として表すことができるようになる。この関数がHRTFである。
【0058】
このように、角度に対する周波数特性の変化を関数として捉えることができると、それを利用して、目的とする角度の位置に仮想音源を作り出すことができる。
【0059】
疑似サラウンド内蔵型デコーダ50は、5.1チャンネルのオーディオ信号から、左チャンネルのオーディオ信号Lと、右チャンネルのオーディオ信号Rと、センタチャンネルのオーディオ信号Cと、スーパーウーファーのオーディオ信号SWからなる疑似サラウンドのオーディオ信号を生成する。
【0060】
疑似サラウンド内蔵型デコーダ50の左チャンネルのオーディオ信号Lは、ハイパスフィルタ51Aに供給されると共に、ローパスフィルタ52Aに供給される。ハイパスフィルタ51Aにより、左チャンネルのオーディオ信号中の高域成分が取り出される。ローパスフィルタ52Aにより、左チャンネルのオーディオ信号中の低域成分が取り出される。
【0061】
疑似サラウンド内蔵型デコーダ50の右チャンネルのオーディオ信号Rは、ハイパスフィルタ51Bに供給されると共に、ローパスフィルタ52Bに供給される。ハイパスフィルタ51Bにより、右チャンネルのオーディオ信号中の高域成分が取り出される。ローパスフィルタ52Bにより、右チャンネルのオーディオ信号R中の低域成分が取り出される。
【0062】
疑似サラウンド内蔵型デコーダ50のセンタチャンネルのオーディオ信号Cは、ハイパスフィルタ53A及びハイパスフィルタ53Bに供給されると共に、ローパスフィルタ54A及びローパスフィルタ54Bに供給される。ハイパスフィルタ53A及びハイパスフィルタ53Bで、センタチャンネルのオーディオ信号Cの高域成分が取り出される。ローパスフィルタ54A及びローパスフィルタ54Bで、センタチャンネルのオーディオ信号の低域成分が取り出される。
【0063】
疑似サラウンド内蔵型デコーダ50のスーパーウーファーのサウンド信号SWは、アンプ61を介して増幅され、スーパーウーファー7に供給される。
【0064】
ハイパスフィルタ53Aからのセンタチャンネルのオーディオ信号の高域成分は、アンプ56Aを介して増幅され、センタツィータ4Aに供給される。ハイパスフィルタ51Aからの左チャンネルのオーディオ信号の高域成分は、アンプ57Aを介して増幅され、左チャンネルツィータ5Aに供給される。ローパスフィルタ52Aからの左チャンネルのオーディオ信号の低域成分と、ローパスフィルタ54Aからのセンタチャンネルのオーディオの低域成分とは、ミキシング回路55Aで合成され、アンプ58Aで増幅され、ウーファー6Aに供給される。
【0065】
ハイパスフィルタ53Bからのセンタチャンネルのオーディオ信号の高域成分は、アンプ56Bを介して増幅され、センタツィータ4Bに供給される。ハイパスフィルタ51Bからの右チャンネルのオーディオ信号の高域成分は、アンプ57Bを介して増幅され、右チャンネルツィータ5Bに供給される。ローパスフィルタ52Bからの右チャンネルのオーディオ信号の低域成分と、ローパスフィルタ54Bからのセンタチャンネルのオーディオの低域成分とは、ミキシング回路55Bで合成され、アンプ58Bで増幅され、ウーファー6Bに供給される。
【0066】
互いに角度θだけ内側に向けられたセンタツィータ4A及び4Bには、センタチャンネルのオーディオ信号の高域成分が供給される。左右チャンネルツィータ5A及び5Bには、左右の各チャンネルのオーディオ信号の高域成分が供給される。左右チャンネルウーファー6A、6Bには、左右の各チャンネルのオーディオ信号の高域成分と、センタチャンネルのオーディオ信号の高域成分とがミックスされた信号が供給される。スーパーウーファー7には、スーパーウーファーのサウンド信号が供給される。これにより、ユーザは、何ら、配線を施すことなく、手軽に、サラウンド再生を楽しむことができる。
【0067】
なお、上述の例では、疑似サラウンド内蔵型デコーダ50を使っており、外部のスピーカを一切外付することなく、サラウンド再生が楽しめるようにしているが、図5に示すように、リアースピーカ72A及び72Bのみ、外付けするようにしても良い。
【0068】
図5において、デコーダ70からは、左チャンネルのオーディオ信号Lと、右チャンネルのオーディオ信号Rと、センタチャンネルのオーディオ信号Cと、スーパーウーファーのサウンド信号SWと、左後ろチャンネルのオーディオ信号RLと、右後ろ側のオーディオ信号RRとの、5.1チャンネルのオーディオ信号が出力される。
【0069】
左後ろチャンネルのオーディオ信号RLは出力端子71Aに供給され、右後ろ側のオーディオ信号は出力端子71Bに供給される。出力端子71A及び出力端子71Bには、左側のリアースピーカ72A及び右側のリアースピーカ72Bが外付けされる。左後ろチャンネルのオーディオ信号は左側のリアースピーカ72Aに供給され、右後ろチャンネルのオーディオ信号は、右後ろ側のリアースピーカ72Bに供給される。
【0070】
また、図4の構成では、左側のセンタツィータ4Aにセンタチャンネルの高域成分のオーディオ信号を供給するハイパスフィルタ53Aと、右側のセンタツィータ4Bにセンタチャンネルの高域成分のオーディオ信号を供給するハイパスフィルタ53Bとを別々に設けている。また、左チャンネルのウーファー6Aにセンタチャンネルの低域成分のオーディオ信号を供給するローパスフィルタ54Aと、右チャンネルのウーファー6Bにセンタチャンネルの低域成分のオーディオ信号を供給するローパスフィルタ54Bとを別々に設けているが、これらは、1つのフィルタで実現できる。すなわち、図6に示すように、ローパスフィルタ53A及び53Bは、1つのハイパスフィルタ53で実現することができ、また、ローパスフィルタ54A及び54Bは、1つのローパスフィルタ54で実現することができる。
【0071】
また、上述の例では、左右のウーファーに、左右チャンネルのオーディオ信号の低域成分と、センタチャンネルのオーディオ信号の低域成分とをミックスして、供給するようにしているが、電気的に分離した第1のボイスコイルと、第2のボイスコイルとがボイスコイルボビンに巻回されたウーファーを使い、第1のボイスコイルにセンタチャンネルのオーディオ信号を供給し、第2のボイスコイルに左又は右チャンネルのオーディオ信号を供給するようにしても良い。
【0072】
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0073】
【発明の効果】
この発明によれば、テレビジョン受像機の左側には、左側ツィータ及び左側ウーファーがテレビジョン受像機と一体的に設けられる。テレビジョン受像機の右側には、右側ツィータ及び右側ウーファーがテレビジョン受像機と一体的に設けられる。テレビジョン受像機の左側と右側の双方には、互いに所定の角度だけ内側に向けられた一対のセンタツィータがテレビジョン受像機と一体的に設けられる。
【0074】
互いに所定の角度だけ内側に向けられた一対のセンタツィータにより、テレビジョン受像機の中央に配置したセンタスピーカと同様の音像が得られる。このため、センタスピーカをテレビジョン受像機の中央に配置する必要がなくなり、場所的な制約を受けることがなくなる。また、センタツィータと、左右のチャンネルのツィータとを同様の構成のものとすることができる。
【0075】
これにより、テレビジョン受像機に、サラウンド再生を行うためのスピーカを全て一体的に配置することができ、ユーザは、何ら特別な配線をすることなく、手軽にサラウンド再生を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用されたテレビジョン受像機の外観構成を示す斜視図である。
【図2】センタスピーカの働きの説明に用いる略線図である。
【図3】この発明が適用できるテレビジョン受像機の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明が適用されたオーディオ出力回路の一例のブロック図である。
【図5】この発明が適用されたオーディオ出力回路の他の例のブロック図である。
【図6】この発明が適用されたオーディオ出力回路の更に他の例のブロック図である。
【符号の説明】
1・・・テレビジョン受像機、2・・・受像部、 3A,3B・・・スピーカ部、4A,4B・・・センタツィータ、 5A,5B・・・左右チャンネルツィータ、6A、6B・・・左右チャンネルウーファー、7・・・スーパーウーファー、50・・・デコーダ

Claims (5)

  1. 少なくとも、左側チャンネルのオーディオ信号と、右側チャンネルのオーディオ信号と、センタチャンネルのオーディオ信号からなるサラウンドのオーディオ信号をデコードするデコード手段と、
    テレビジョン受像機の左側に上記テレビジョン受像機と一体的に設けられた左側ツィータ及び左側ウーファーと、
    上記テレビジョン受像機の右側に上記テレビジョン受像機と一体的に設けられた右側ツィータ及び右側ウーファーと、
    上記テレビジョン受像機の左側と右側の双方に上記テレビジョン受像機と一体的に設けられ、互いに所定の角度だけ内側に向けて配置された一対のセンタツィータとを有し、
    上記左側チャンネルのオーディオ信号の高域成分を上記左側ツィータに供給し、
    上記左側チャンネルのオーディオ信号の低域成分と上記センタチャンネルのオーディオ信号の低域成分とをミックスして上記左側ウーファーに供給し、
    上記右側チャンネルのオーディオ信号の高域成分を上記右側ツィータに供給し、
    上記右側チャンネルのオーディオ信号の低域成分と上記センタチャンネルのオーディオ信号の低域成分とをミックスして上記右側ウーファーに供給し、
    上記センタチャンネルのオーディオ信号の高域成分を上記一対のセンタツィータの双方に供給する
    ようにしたテレビジョン受像機のスピーカ装置。
  2. 上記一対のセンタツィータは、上記テレビジョン受像機の中央に配置したスピーカと等価な音像が生じるように、互いに所定の角度だけ内側に向けるようにした請求項1に記載のテレビジョン受像機のスピーカ装置。
  3. 上記デコード手段は、更にスーパーウーファーのサウンド信号をデコードし、上記スーパーウーファーを上記テレビジョン受像機と一体的に配置し、上記デコード手段でデコードされた上記スーパーウーファーのサウンド信号を上記スーパーウーファーに供給するようにした請求項1に記載のテレビジョン受像機のスピーカ装置。
  4. 上記デコード手段は、後部の音場を再生する疑似サラウンド信号を生成するものである請求項1に記載のテレビジョン受像機のスピーカ装置。
  5. 上記デコード手段は、更に後部チャンネルのオーディオ信号をデコードし、上記テレビジョン受像機に上記後部チャンネルのスピーカを接続し、上記デコード手段でデコードされた上記後部チャンネルのオーディオ信号を上記後部チャンネルのスピーカに供給するようにした請求項1に記載のテレビジョン受像機のスピーカ装置。
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