JP2004247853A - リモートコントロールシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】リモートコントロールシステムにおいて、受信機による受信強度を高めてより安定した受信を行えるようにする。
【解決手段】送信機T1からの送信信号を受信機Rで受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を制御するようにしたリモートコントロールシステムにおいて、上記受信機の周辺に、送信機からの送信波を再放射させ受信機に向かう再放射波を生じさせる反射体Gが設けられていることを特徴とし、また、かかる反射体が、送信機から直接に受信機に向かう直送波と反射体を介して受信機に向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機に近い位置C1を基点として、送信機からの送信波の波長λの倍数に対応する距離にある位置C2に設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】送信機T1からの送信信号を受信機Rで受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を制御するようにしたリモートコントロールシステムにおいて、上記受信機の周辺に、送信機からの送信波を再放射させ受信機に向かう再放射波を生じさせる反射体Gが設けられていることを特徴とし、また、かかる反射体が、送信機から直接に受信機に向かう直送波と反射体を介して受信機に向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機に近い位置C1を基点として、送信機からの送信波の波長λの倍数に対応する距離にある位置C2に設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リモートコントロールシステム、特に、送信機からの送信信号を受信機で受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を遠隔で制御するようにしたリモートコントロール(遠隔制御)システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなリモートコントロールシステムの一種として、例えば自動車等の車両におけるドア等の開閉体の開閉動作を遠隔制御する、所謂、キーレスエントリーシステムは、従来公知である(例えば、特許文献1参照)。このシステムは、無線通信機能を有する携帯機(送信機)から送信されたロック・アンロック信号を車載の無線受信装置(受信機)で受信して開閉体のロック・アンロック機構を駆動することにより、当該開閉体のロック・アンロック状態を遠隔操作できるようにしたものである。
【0003】
また、近年では、送信機と車載の受信機との交信データに基づいて、送信機に設定された固有の認証コードと、車載受信機に連携した制御装置のメモリに予め登録された認証コードとを対比し、この対比結果に基づいて開閉体のロック・アンロック状態が自動制御されるようにした、所謂、パッシブ・キーレスエントリーシステムも知られており、一部では既に実用に供されている。
【0004】
かかるパッシブ・キーレスエントリーシステムによれば、送信機の認証コードが予め登録されたものと一致する場合には、送信機を保持した保持者(例えば、当該車両の乗員)が、車載受信機との交信エリア内に入るだけで、つまり車両に近づくだけで、或いは、ドアノブ等の車両の特定箇所に手を触れるだけで、送信機での発信操作など特別な操作をわざわざ行う必要なしに、ドアをアンロックすることができ、より一層利便性が高められる。
【0005】
尚、かかるパッシブ・タイプのものを含めて、キーレスエントリーシステムは、車両の開閉体のみならず、例えば、ビルや家屋のドア等やガレージのシャッタなど、他の種々の開閉体についても、そのロック・アンロック状態を遠隔制御する上で有効に適用可能である。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−184282号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、かかるキーレスエントリシステムで例示されるリモートコントロールシステムでは、受信機の設置環境やその変動等に起因して、送信機からの送信波が多重反射などによって複雑に反射し、部分的に受信強度の非常に低い箇所が生じるなど、安定した受信特性を得ることが難しいという問題があった。
【0008】
例えば、車両用のキーレスエントリシステムの場合について説明すれば、送信機および受信機の各アンテナは一般に指向性の無いものが用いられるが、受信機については、車両内部に設置される結果、鋼板製の車体に囲まれることとなり、また、受信機の比較的近傍には金属体を内包した装置や部材が位置することが多く、その受信エリアは複雑な指向性を帯びたものとなるのが一般的である。その結果、送信機との位置関係などによっては部分的に受信強度が極端に低くなる領域が生じ得る。
【0009】
更に、車室内に設置された受信機の近辺には座席シートが位置することが多いが、車両の座席シートは一般に金属フレーム等を骨材として内包しており、本願発明者等が研究開発過程で知見したところによれば、このような金属フレーム等を内包した座席シートが例えば前後にスライド移動しただけでも、受信機のキーレス受信性能に少なからず影響を及ぼし、その特性が不安定なものとなるという問題もある。
特に、このようなリモートコントロールシステムでは出力が一定以下の微弱電波が用いられるのが普通であり、送受信される電波の出力が本来的に微弱であることが、以上の問題をより一層顕著にしている。
【0010】
そこで、この発明は、送信機からの送信信号を受信機で受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を制御するようにしたリモートコントロールシステムについて、受信機による受信強度を高めてより安定した受信を行えるようにすることを目的とする。
【0011】
本願発明者等は、かかる目的達成のために鋭意研究開発を重ねる中で、受信機が送信機からの送信信号を受信する際には、受信機が送信機の送信エリア内で距離的には十分な送信波を受信し得る位置にあっても、実際に受信機の受信アンテナで直接に受信されるのは、送信エリア内のごく一部の送信波であって、残りの大部分の送信波は受信されないままであることに着目し、このように、距離的には受信機の配設位置に対応する距離領域まで届き得るにも拘らず、実際には受信されていない送信波を有効に利用して、受信機の受信強度を高めることを着想した。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そして、本願発明は、送信機からの送信信号を受信機で受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を制御するようにしたリモートコントロールシステムにおいて、上記受信機の周辺に、上記送信機からの送信波を再放射させ、受信機に向かう再放射波を生じさせる反射体が設けられていることを特徴としたものである。
【0013】
この場合において、上記反射体は、受信機から所定距離だけ離間した位置に設けられていることが好ましく、また、この所定距離は、送信機から直接に受信機に向かう直送波と、上記反射体を介して受信機に向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機に近い位置を基点として、送信機からの送信波の波長の倍数であることがより好ましい。直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所は、送信波の波長ごとに周期的に表れるので、反射体をかかる箇所に設けることにより、再放射による受信強度の向上を図る上でより高い効果を得ることができる。
【0014】
以上の場合において、上記反射体は、実質的に電気的に絶縁されていることが好ましい。上記反射体は、金属部材,誘電体あるいは革などで構成することができる。
【0015】
また、上記反射体はワイヤハーネスで構成することができ、かかるワイヤハーネスとしては、受信機と所定の電気機器とを接続するものを利用することができる。好ましくは、上記ワイヤハーネスの所定箇所には、高周波遮断手段が設けられている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るリモートコントロールシステムの実施の形態を、例えば、自動車のキーレスエントリシステムに適用した場合について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機Tから受信機Rへの送信状態を模式的に示す平面説明図である。
【0017】
この図に示されるように、本実施の形態に係る自動車のキーレスエントリシステムは、その主要な構成要素として、自動車Kの乗員など特定の者が保持して携帯可能なキーレス送信機T(所謂、トランスミッタ)と、当該自動車Kの車室内の所定箇所、例えば、車室前部のインストルメントパネル内に配設される受信機R(所謂、レシーバ)とを備え、上記自動車の少なくとも運転席ドアには、当該ドアをロック(施錠)・アンロック(解錠)するために、従来周知のロック・アンロック機構が付設されている。
【0018】
上記送信機Tと受信機Rとは相互に無線通信可能で、それぞれ送信用アンテナ,受信用アンテナ(共に不図示)を備えており、送信機Tが受信機Rの交信範囲内にある場合には、送信機Tからコード信号が送信されると、そのコード信号を受信機Rの受信アンテナで受信し得るようになっている。該受信アンテナで受信された送信信号については、好ましくは、当該送信機Tに予め設定された認証コードの確認が行われる。
【0019】
上記自動車Kには、より好ましくは、当該自動車Kのドアの施解錠機構を駆動するドアロック・アクチュエータの駆動制御を含む当該キーレスエントリーシステム全体の制御を統括する制御ユニット(不図示)が備えられており、上記受信機Rの受信アンテナが送信機Tからコード信号を受信し、その認証コードが確認された場合には、ドアロック・アクチュエータが駆動され、ドアの施解錠が行われるようになっている。
尚、以上のようなキーレスエントリーシステムの概略的な構成および作動は、従来公知のものと同様のものである。
【0020】
図1から良く分かるように、上記送信機Tからの送信波は、例えば無指向で、その送信アンテナからの送信エリアAtは平面視で略円形である。尚、受信機Rの受信アンテナも基本的には無指向である。
また、図1から良く分かるように、受信機Rが送信機Tの送信エリアAt内で距離的には十分な送信波を受信し得る位置にあっても、実際に受信機Rの受信アンテナで直接に受信されるのは、送信エリアAt内のごく一部である部分エリアSr内の送信波だけであり、残りの大部分の送信波は受信されないままである。
【0021】
そこで、本実施の形態では、受信機Rによる受信強度を高めてより安定した受信を行えるようにすることを目的として、上記のように、距離的には受信機Rの配設位置に対応する距離領域まで届き得るにも拘らず、実際には受信機Rに受信されていない送信波を有効に利用して、受信機Rの受信強度の向上を図るようにしている。
【0022】
このため、本実施の形態では、受信機Rの周辺に、送信機Tからの送信波を再放射させ、受信機Rに向かう再放射波を生じさせる反射体Gが設けられている。この反射体Gは、例えば金属板で形成され、より好ましくは、自動車Mの車体に対して実質的に電気的に絶縁されるように設置されている。車体に対して電気絶縁性を確保することで、より効率の高い再放射を行わせることができる。
【0023】
かかる反射体Gを設けることにより、送信機Tの送信エリアAt内の送信波のうち、上記反射体Gの方位に対応する部分エリアSg内の送信波は、上記反射体Gによって再放射され、一部のものは反射体Gを透過して伝播し、残りのものは反射体Gで反射される。その結果、再放射エリアAgが形成される。
【0024】
この再放射エリアAg内の再放射波のうち、受信機Rの方位(具体的には、その受信アンテナの方位)に対応する部分エリアSc内の再放射波が、受信機Rの受信アンテナによって受信される。
このように、受信機Rは送信機Tから直接に受信する直接波(部分エリアSr内の送信波)だけでなく、上記反射体Gにより再放射で生じた再放射波(部分エリアSc内の再放射波)をも受信することができ、受信強度が高められる。
【0025】
すなわち、距離的には受信機Rの配設位置に対応する距離領域まで届き得るにも拘らず、実際には受信機Rに受信されていなかった送信波を有効に利用することができ、これにより、受信機Rの受信強度の向上を図り、より安定した受信を行えるようにすることができるのである。
【0026】
この場合、上記反射体Gは、受信機Rから所定距離だけ離間した位置に設けられるが、再放射による受信強度の向上効果が高い位置を所定距離として選んで、反射体Gを設けることにより、更に効果的に受信強度を高めることができる。
すなわち、直接波と再放射波の位相が合えば(特に、位相が一致して同相になれば)、両者が互いに強め合ってより高い効果を得ることが可能である。
【0027】
このように両電波の位相が合う箇所は、送信波の波長ごとに周期的に表れる。図1における同心円C1,…,C4は、送信機Tから直接に受信機Rに向かう直送波と、上記反射体Tを介して受信機Rに向かう再放射波とが互いに強め合う位置を模式的に示している。つまり、同心円C1,…,C4の各間隔が送信波の波長λに相当している。
【0028】
そこで、本実施の形態では、反射体Gを上記同心円C1,…,C4のうち、受信機Rの直近傍に位置する円C1を除き、他の同心円C2〜C4の何れかに対応する位置(図1の例では、円C2に対応する位置)に配置するようにしている。
【0029】
すなわち、送信機Tから直接に受信機Rに向かう直送波と、上記反射体Gを介して受信機Rに向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機Rに近い位置(円C1)を基点として、送信機Tからの送信波の波長λの倍数だけ離間した位置(円C1の同心円C2〜C4)に、反射体Gを配置したことにより、直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所に反射体Gを設けることができ、再放射による受信強度の向上を図る上でより高い効果を得ることができる。
【0030】
以上のように、直接波と再放射波とが互いに強め合う箇所に反射体Gを設ける場合、受信機Rにできるだけ近い位置、つまり、受信機Rの直近傍に位置する円C1を除けば、円C2に対応する位置に、反射体Gを設けることで、再放射による受信強度向上の効果がより大きくなる。
【0031】
尚、このような反射体Gを設ける場合、受信機Rの受信アンテナの特性が無指向でなく不規則な指向性を帯びており、また、反射体の設置スペースが限られている場合などには、上記直接波と再放射波とが互いに強め合う位置どうしの中間、つまり、両電波どうしが強め合う作用が低くて本来的には再放射による受信強度向上効果が低い箇所、にも反射体を設けることにより、このような効果が低い箇所での再放射効果を補強して、受信強度の向上に寄与できる場合もあり得る。
【0032】
尚、上記反射体Gは、金属部材のみならず、種々の誘電体あるいは革で構成するようにしても良い。市販性の高い手近な材料を利用することができる。
また、車室内に配設される反射体は、できるだけ人目に触れない方が外観上好ましいので、シート状の金属材料(例えばアルミニウム等)や誘電体などで反射体を構成し、これを天井シーリングの裏面や床面マットの裏面などに配置するようにしても良い。
【0033】
上記実施の形態(第1の実施形態)は、車室内に別部材としての金属板製の反射体Gを設けたものであったが、車室内に元々備えられているワイヤハーネスで、反射体を構成することもできる。ワイヤハーネスは、車室内に装備される部材としては、そのレイアウトの自由度が比較的高いので、反射体を構成する部材として好適である。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、上記第1の実施形態における場合と同様の構成を備え同様の作用をなすものについては、同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
【0034】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機Tから受信機Rへの送信状態を模式的に示す平面説明図である。
この図に示すように、受信機Rには、該受信機Rと所定の電気機器(例えば電源装置:不図示)とを接続するために、電源ラインのワイヤハーネスJの一端側が接続されている。
【0035】
該ワイヤハーネスJは、受信機Rの接続端子から、より好ましくは、上記同心円C1,…,C4の半径方向に引き出された上で、円C2に対応する位置の近傍で上記半径方向に対し略直角に方向変換して伸長し、更に、円C3に対応する位置の近傍で上記半径方向と略平行に延びるように略直角に方向変換して延設されている。
【0036】
本実施の形態では、上記ワイヤハーネスJの複数の所定箇所に、高周波遮断手段としてフィルタFが設けられている。かかるフィルタFを設けたことにより、当該ワイヤハーネスJの直流電気の接続性を損なうことなく、上記所定箇所で高周波のみを遮断することが可能になり、高周波特性に関する限り、所望の長さの配線部分J1,…,J4を得ることができる。尚、このような高周波遮断手段としては、フィルタFに限られるものではなく、例えば、ハーネスの一部を折り曲げて形成される、所謂スタブなどを適用することもできる。
【0037】
上記フィルタFは、具体的には、円C2に対応する位置の近傍と円C3に対応する位置の近傍に設けられている。これにより、ワイヤハーネスJは、受信機Rの接続端子から引き出されて円C2に対応する位置の近傍まで半径方向に伸長する配線部分J1(第1配線部)と、円C2に対応する位置の近傍から円C3に対応する位置の近傍まで上記半径方向と略直角に伸長する配線部分J2及びJ3(第2配線部および第3配線部)と、円C3に対応する位置の近傍で更に略直角に方向変換し上記半径方向と略平行に延びる配線部分J4(第4配線部)とを備え、これら第1〜第4配線部J1〜J4は、フィルタFにより、高周波特性に関する限り、互いに遮断されることになる。
【0038】
このように構成されたワイヤハーネスJは、各配線部J1〜J4がそれぞれ、受信機Rの周辺に位置して送信機Tからの送信波を再放射させ、受信機Rに向かう再放射波を生じさせる反射体として作用するものである。
ワイヤハーネスJで反射体J1〜J4を構成したことにより、第1の実施形態における場合のように、別部材を用意する必要なしに、受信機Rの周辺のワイヤハーネスJを利用して反射体を設置することができるのである。特に、受信機Rと所定の電気機器(電源装置)とを接続するワイヤハーネスJを利用したことにより、受信機Rに接続されるワイヤハーネスJを利用して反射体を設置することができる。
【0039】
また、上記ワイヤハーネスJの所定箇所に高周波遮断手段としてのフィルタFを設けたことにより、当該ワイヤハーネスJの直流電気の接続性を損なうことなく、上記所定箇所で高周波のみを遮断することが可能になり、所望長さの反射体J1〜J4を得ることができる。かかる反射体の長さとしては、再放射による受信強度を高める上で、送信波の波長λの1/2の長さが最も好ましい。
【0040】
上記のようなワイヤハーネスJを利用する場合においても、反射体J1〜J4(第1〜第4の各配線部)は、送信機Tから直接に受信機Rに向かう直送波と、上記反射体を介して受信機Rに向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機Rに近い位置(円C1)を基点として、送信機Tからの送信波の波長λの倍数だけ離間した位置(円C1の同心円C2〜C4)に、できるだけ配置することが好ましい。
【0041】
図2の例では、第2配線部J2が円C2に略対応する箇所に位置し、また、第4配線部J4が円C2に略対応する箇所に位置することにより、直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所に反射体を設けることができ、再放射による受信強度の向上を図る上でより高い効果を得ることができる。
【0042】
図3は、図2で示した第2の実施形態の変形例を示している。
この変形例では、ワイヤハーネスJ’について、直接波と再放射波とが互いに強め合う箇所に位置する配線部分をできるだけ長くするために、円C2から円C3に至る配線部J3aを最短にするために半径方向へ伸長させ、円C3に略対応する箇所から配線部J3bを半径方向と略直角に伸ばしたものである。
【0043】
つまり、図2における第3配線部J3を2つの配線部J3a,J3bに置き換えることにより、直接波と再放射波とが互いに強め合う箇所に位置する配線部分を長くしたもので、再放射による受信強度の向上を図る上でより一層高い効果を得ることができる。
【0044】
尚、特に言及しなかったが、本発明のリモートコントロールシステムは、通常のキーレスエントリーシステムのみならず、送信機を操作する必要なしにドアのロック・アンロック操作を行えるようにした、所謂パッシブ・キーレスエントリーシステムにも、有効に適用することができるものである。
【0045】
また、以上の実施の形態は、何れも自動車のキーレスエントリーシステムに適用した場合についてのものであったが、本発明に係るリモートコントロールシステムは、かかる場合に限定されるものではなく、例えば、ビルや家屋のドア等やガレージのシャッタなど、他の種々の開閉体についても、そのロック・アンロック状態を遠隔制御する上で有効に適用可能である。
【0046】
このように、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】
本願発明に係るリモートコントロールシステムによれば、受信機の周辺に、送信機からの送信波を再放射させ、受信機に向かう再放射波を生じさせる反射体が設けられているので、受信機は送信機から直接に受信する直接波だけでなく、上記反射体により再放射で生じた再放射波をも受信することができる。すなわち、距離的には受信機Rの配設位置に対応する距離領域まで届き得るにも拘らず、実際には受信機Rに受信されていない送信波を有効に利用して、受信機Rの受信強度の向上を図り、より安定した受信を行えるようにすることが可能になる。
【0048】
この場合において、上記反射体は、好ましくは、受信機から所定距離だけ離間した位置に設けられることにより、再放射による受信強度の向上効果が高い位置を所定距離として選んで、反射体を設けることができる。尚、かかる反射体を上記受信機の収容ケース体に設けるようにしても良い。
【0049】
特に、上記所定距離を、送信機から直接に受信機に向かう直送波と、上記反射体を介して受信機に向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機に近い位置を基点として、送信機からの送信波の波長の倍数とすることにより、直接波と再放射波とが互いに強め合う箇所に反射体を設けることができる。直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所は、送信波の波長ごとに周期的に表れるので、反射体をかかる箇所に設けることにより、再放射による受信強度の向上を図る上でより高い効果を得ることができる。
【0050】
以上の場合において、上記反射体は、好ましくは、実質的に電気的に絶縁されていることにより、送信波をより効率良く再放射することができる。
また、上記反射体を、金属部材,誘電体あるいは革で構成することにより、市販性の高い手近な材料を利用することができる。
【0051】
また、上記反射体はワイヤハーネスで構成することができ、ワイヤハーネスで反射体を構成した場合には、別部材を用意する必要なしに、受信機周辺のワイヤハーネスを利用して反射体を設置することが可能になる。
特に、具体的には、かかるワイヤハーネスとして、受信機と所定の電気機器とを接続するものを利用することにより、受信機に接続されるワイヤハーネスを利用して反射体を設置することができる。
【0052】
更に、好ましくは、上記ワイヤハーネスの所定箇所に高周波遮断手段を設けることにより、当該ワイヤハーネスの直流電気の接続性を損なうことなく、上記所定箇所で高周波のみを遮断することが可能になり、所望長さの反射体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機から受信機への送信状態を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機から受信機への送信状態を模式的に示す平面説明図である。
【図3】上記第2の実施形態の変形例に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機から受信機への送信状態を模式的に示す平面説明図である。
【符号の説明】
At…送信エリア
C1〜C4:直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所
F:フィルタ
G:反射体
J,J’:ワイヤハーネス
J1〜J4,J3a,J3b:ワイヤハーネスの配線部(反射体)
K…自動車
R…受信機
Sc,Sg,Sr…部分エリア
T…送信機
【発明の属する技術分野】
この発明は、リモートコントロールシステム、特に、送信機からの送信信号を受信機で受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を遠隔で制御するようにしたリモートコントロール(遠隔制御)システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなリモートコントロールシステムの一種として、例えば自動車等の車両におけるドア等の開閉体の開閉動作を遠隔制御する、所謂、キーレスエントリーシステムは、従来公知である(例えば、特許文献1参照)。このシステムは、無線通信機能を有する携帯機(送信機)から送信されたロック・アンロック信号を車載の無線受信装置(受信機)で受信して開閉体のロック・アンロック機構を駆動することにより、当該開閉体のロック・アンロック状態を遠隔操作できるようにしたものである。
【0003】
また、近年では、送信機と車載の受信機との交信データに基づいて、送信機に設定された固有の認証コードと、車載受信機に連携した制御装置のメモリに予め登録された認証コードとを対比し、この対比結果に基づいて開閉体のロック・アンロック状態が自動制御されるようにした、所謂、パッシブ・キーレスエントリーシステムも知られており、一部では既に実用に供されている。
【0004】
かかるパッシブ・キーレスエントリーシステムによれば、送信機の認証コードが予め登録されたものと一致する場合には、送信機を保持した保持者(例えば、当該車両の乗員)が、車載受信機との交信エリア内に入るだけで、つまり車両に近づくだけで、或いは、ドアノブ等の車両の特定箇所に手を触れるだけで、送信機での発信操作など特別な操作をわざわざ行う必要なしに、ドアをアンロックすることができ、より一層利便性が高められる。
【0005】
尚、かかるパッシブ・タイプのものを含めて、キーレスエントリーシステムは、車両の開閉体のみならず、例えば、ビルや家屋のドア等やガレージのシャッタなど、他の種々の開閉体についても、そのロック・アンロック状態を遠隔制御する上で有効に適用可能である。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−184282号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、かかるキーレスエントリシステムで例示されるリモートコントロールシステムでは、受信機の設置環境やその変動等に起因して、送信機からの送信波が多重反射などによって複雑に反射し、部分的に受信強度の非常に低い箇所が生じるなど、安定した受信特性を得ることが難しいという問題があった。
【0008】
例えば、車両用のキーレスエントリシステムの場合について説明すれば、送信機および受信機の各アンテナは一般に指向性の無いものが用いられるが、受信機については、車両内部に設置される結果、鋼板製の車体に囲まれることとなり、また、受信機の比較的近傍には金属体を内包した装置や部材が位置することが多く、その受信エリアは複雑な指向性を帯びたものとなるのが一般的である。その結果、送信機との位置関係などによっては部分的に受信強度が極端に低くなる領域が生じ得る。
【0009】
更に、車室内に設置された受信機の近辺には座席シートが位置することが多いが、車両の座席シートは一般に金属フレーム等を骨材として内包しており、本願発明者等が研究開発過程で知見したところによれば、このような金属フレーム等を内包した座席シートが例えば前後にスライド移動しただけでも、受信機のキーレス受信性能に少なからず影響を及ぼし、その特性が不安定なものとなるという問題もある。
特に、このようなリモートコントロールシステムでは出力が一定以下の微弱電波が用いられるのが普通であり、送受信される電波の出力が本来的に微弱であることが、以上の問題をより一層顕著にしている。
【0010】
そこで、この発明は、送信機からの送信信号を受信機で受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を制御するようにしたリモートコントロールシステムについて、受信機による受信強度を高めてより安定した受信を行えるようにすることを目的とする。
【0011】
本願発明者等は、かかる目的達成のために鋭意研究開発を重ねる中で、受信機が送信機からの送信信号を受信する際には、受信機が送信機の送信エリア内で距離的には十分な送信波を受信し得る位置にあっても、実際に受信機の受信アンテナで直接に受信されるのは、送信エリア内のごく一部の送信波であって、残りの大部分の送信波は受信されないままであることに着目し、このように、距離的には受信機の配設位置に対応する距離領域まで届き得るにも拘らず、実際には受信されていない送信波を有効に利用して、受信機の受信強度を高めることを着想した。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そして、本願発明は、送信機からの送信信号を受信機で受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を制御するようにしたリモートコントロールシステムにおいて、上記受信機の周辺に、上記送信機からの送信波を再放射させ、受信機に向かう再放射波を生じさせる反射体が設けられていることを特徴としたものである。
【0013】
この場合において、上記反射体は、受信機から所定距離だけ離間した位置に設けられていることが好ましく、また、この所定距離は、送信機から直接に受信機に向かう直送波と、上記反射体を介して受信機に向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機に近い位置を基点として、送信機からの送信波の波長の倍数であることがより好ましい。直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所は、送信波の波長ごとに周期的に表れるので、反射体をかかる箇所に設けることにより、再放射による受信強度の向上を図る上でより高い効果を得ることができる。
【0014】
以上の場合において、上記反射体は、実質的に電気的に絶縁されていることが好ましい。上記反射体は、金属部材,誘電体あるいは革などで構成することができる。
【0015】
また、上記反射体はワイヤハーネスで構成することができ、かかるワイヤハーネスとしては、受信機と所定の電気機器とを接続するものを利用することができる。好ましくは、上記ワイヤハーネスの所定箇所には、高周波遮断手段が設けられている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るリモートコントロールシステムの実施の形態を、例えば、自動車のキーレスエントリシステムに適用した場合について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機Tから受信機Rへの送信状態を模式的に示す平面説明図である。
【0017】
この図に示されるように、本実施の形態に係る自動車のキーレスエントリシステムは、その主要な構成要素として、自動車Kの乗員など特定の者が保持して携帯可能なキーレス送信機T(所謂、トランスミッタ)と、当該自動車Kの車室内の所定箇所、例えば、車室前部のインストルメントパネル内に配設される受信機R(所謂、レシーバ)とを備え、上記自動車の少なくとも運転席ドアには、当該ドアをロック(施錠)・アンロック(解錠)するために、従来周知のロック・アンロック機構が付設されている。
【0018】
上記送信機Tと受信機Rとは相互に無線通信可能で、それぞれ送信用アンテナ,受信用アンテナ(共に不図示)を備えており、送信機Tが受信機Rの交信範囲内にある場合には、送信機Tからコード信号が送信されると、そのコード信号を受信機Rの受信アンテナで受信し得るようになっている。該受信アンテナで受信された送信信号については、好ましくは、当該送信機Tに予め設定された認証コードの確認が行われる。
【0019】
上記自動車Kには、より好ましくは、当該自動車Kのドアの施解錠機構を駆動するドアロック・アクチュエータの駆動制御を含む当該キーレスエントリーシステム全体の制御を統括する制御ユニット(不図示)が備えられており、上記受信機Rの受信アンテナが送信機Tからコード信号を受信し、その認証コードが確認された場合には、ドアロック・アクチュエータが駆動され、ドアの施解錠が行われるようになっている。
尚、以上のようなキーレスエントリーシステムの概略的な構成および作動は、従来公知のものと同様のものである。
【0020】
図1から良く分かるように、上記送信機Tからの送信波は、例えば無指向で、その送信アンテナからの送信エリアAtは平面視で略円形である。尚、受信機Rの受信アンテナも基本的には無指向である。
また、図1から良く分かるように、受信機Rが送信機Tの送信エリアAt内で距離的には十分な送信波を受信し得る位置にあっても、実際に受信機Rの受信アンテナで直接に受信されるのは、送信エリアAt内のごく一部である部分エリアSr内の送信波だけであり、残りの大部分の送信波は受信されないままである。
【0021】
そこで、本実施の形態では、受信機Rによる受信強度を高めてより安定した受信を行えるようにすることを目的として、上記のように、距離的には受信機Rの配設位置に対応する距離領域まで届き得るにも拘らず、実際には受信機Rに受信されていない送信波を有効に利用して、受信機Rの受信強度の向上を図るようにしている。
【0022】
このため、本実施の形態では、受信機Rの周辺に、送信機Tからの送信波を再放射させ、受信機Rに向かう再放射波を生じさせる反射体Gが設けられている。この反射体Gは、例えば金属板で形成され、より好ましくは、自動車Mの車体に対して実質的に電気的に絶縁されるように設置されている。車体に対して電気絶縁性を確保することで、より効率の高い再放射を行わせることができる。
【0023】
かかる反射体Gを設けることにより、送信機Tの送信エリアAt内の送信波のうち、上記反射体Gの方位に対応する部分エリアSg内の送信波は、上記反射体Gによって再放射され、一部のものは反射体Gを透過して伝播し、残りのものは反射体Gで反射される。その結果、再放射エリアAgが形成される。
【0024】
この再放射エリアAg内の再放射波のうち、受信機Rの方位(具体的には、その受信アンテナの方位)に対応する部分エリアSc内の再放射波が、受信機Rの受信アンテナによって受信される。
このように、受信機Rは送信機Tから直接に受信する直接波(部分エリアSr内の送信波)だけでなく、上記反射体Gにより再放射で生じた再放射波(部分エリアSc内の再放射波)をも受信することができ、受信強度が高められる。
【0025】
すなわち、距離的には受信機Rの配設位置に対応する距離領域まで届き得るにも拘らず、実際には受信機Rに受信されていなかった送信波を有効に利用することができ、これにより、受信機Rの受信強度の向上を図り、より安定した受信を行えるようにすることができるのである。
【0026】
この場合、上記反射体Gは、受信機Rから所定距離だけ離間した位置に設けられるが、再放射による受信強度の向上効果が高い位置を所定距離として選んで、反射体Gを設けることにより、更に効果的に受信強度を高めることができる。
すなわち、直接波と再放射波の位相が合えば(特に、位相が一致して同相になれば)、両者が互いに強め合ってより高い効果を得ることが可能である。
【0027】
このように両電波の位相が合う箇所は、送信波の波長ごとに周期的に表れる。図1における同心円C1,…,C4は、送信機Tから直接に受信機Rに向かう直送波と、上記反射体Tを介して受信機Rに向かう再放射波とが互いに強め合う位置を模式的に示している。つまり、同心円C1,…,C4の各間隔が送信波の波長λに相当している。
【0028】
そこで、本実施の形態では、反射体Gを上記同心円C1,…,C4のうち、受信機Rの直近傍に位置する円C1を除き、他の同心円C2〜C4の何れかに対応する位置(図1の例では、円C2に対応する位置)に配置するようにしている。
【0029】
すなわち、送信機Tから直接に受信機Rに向かう直送波と、上記反射体Gを介して受信機Rに向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機Rに近い位置(円C1)を基点として、送信機Tからの送信波の波長λの倍数だけ離間した位置(円C1の同心円C2〜C4)に、反射体Gを配置したことにより、直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所に反射体Gを設けることができ、再放射による受信強度の向上を図る上でより高い効果を得ることができる。
【0030】
以上のように、直接波と再放射波とが互いに強め合う箇所に反射体Gを設ける場合、受信機Rにできるだけ近い位置、つまり、受信機Rの直近傍に位置する円C1を除けば、円C2に対応する位置に、反射体Gを設けることで、再放射による受信強度向上の効果がより大きくなる。
【0031】
尚、このような反射体Gを設ける場合、受信機Rの受信アンテナの特性が無指向でなく不規則な指向性を帯びており、また、反射体の設置スペースが限られている場合などには、上記直接波と再放射波とが互いに強め合う位置どうしの中間、つまり、両電波どうしが強め合う作用が低くて本来的には再放射による受信強度向上効果が低い箇所、にも反射体を設けることにより、このような効果が低い箇所での再放射効果を補強して、受信強度の向上に寄与できる場合もあり得る。
【0032】
尚、上記反射体Gは、金属部材のみならず、種々の誘電体あるいは革で構成するようにしても良い。市販性の高い手近な材料を利用することができる。
また、車室内に配設される反射体は、できるだけ人目に触れない方が外観上好ましいので、シート状の金属材料(例えばアルミニウム等)や誘電体などで反射体を構成し、これを天井シーリングの裏面や床面マットの裏面などに配置するようにしても良い。
【0033】
上記実施の形態(第1の実施形態)は、車室内に別部材としての金属板製の反射体Gを設けたものであったが、車室内に元々備えられているワイヤハーネスで、反射体を構成することもできる。ワイヤハーネスは、車室内に装備される部材としては、そのレイアウトの自由度が比較的高いので、反射体を構成する部材として好適である。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、上記第1の実施形態における場合と同様の構成を備え同様の作用をなすものについては、同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
【0034】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機Tから受信機Rへの送信状態を模式的に示す平面説明図である。
この図に示すように、受信機Rには、該受信機Rと所定の電気機器(例えば電源装置:不図示)とを接続するために、電源ラインのワイヤハーネスJの一端側が接続されている。
【0035】
該ワイヤハーネスJは、受信機Rの接続端子から、より好ましくは、上記同心円C1,…,C4の半径方向に引き出された上で、円C2に対応する位置の近傍で上記半径方向に対し略直角に方向変換して伸長し、更に、円C3に対応する位置の近傍で上記半径方向と略平行に延びるように略直角に方向変換して延設されている。
【0036】
本実施の形態では、上記ワイヤハーネスJの複数の所定箇所に、高周波遮断手段としてフィルタFが設けられている。かかるフィルタFを設けたことにより、当該ワイヤハーネスJの直流電気の接続性を損なうことなく、上記所定箇所で高周波のみを遮断することが可能になり、高周波特性に関する限り、所望の長さの配線部分J1,…,J4を得ることができる。尚、このような高周波遮断手段としては、フィルタFに限られるものではなく、例えば、ハーネスの一部を折り曲げて形成される、所謂スタブなどを適用することもできる。
【0037】
上記フィルタFは、具体的には、円C2に対応する位置の近傍と円C3に対応する位置の近傍に設けられている。これにより、ワイヤハーネスJは、受信機Rの接続端子から引き出されて円C2に対応する位置の近傍まで半径方向に伸長する配線部分J1(第1配線部)と、円C2に対応する位置の近傍から円C3に対応する位置の近傍まで上記半径方向と略直角に伸長する配線部分J2及びJ3(第2配線部および第3配線部)と、円C3に対応する位置の近傍で更に略直角に方向変換し上記半径方向と略平行に延びる配線部分J4(第4配線部)とを備え、これら第1〜第4配線部J1〜J4は、フィルタFにより、高周波特性に関する限り、互いに遮断されることになる。
【0038】
このように構成されたワイヤハーネスJは、各配線部J1〜J4がそれぞれ、受信機Rの周辺に位置して送信機Tからの送信波を再放射させ、受信機Rに向かう再放射波を生じさせる反射体として作用するものである。
ワイヤハーネスJで反射体J1〜J4を構成したことにより、第1の実施形態における場合のように、別部材を用意する必要なしに、受信機Rの周辺のワイヤハーネスJを利用して反射体を設置することができるのである。特に、受信機Rと所定の電気機器(電源装置)とを接続するワイヤハーネスJを利用したことにより、受信機Rに接続されるワイヤハーネスJを利用して反射体を設置することができる。
【0039】
また、上記ワイヤハーネスJの所定箇所に高周波遮断手段としてのフィルタFを設けたことにより、当該ワイヤハーネスJの直流電気の接続性を損なうことなく、上記所定箇所で高周波のみを遮断することが可能になり、所望長さの反射体J1〜J4を得ることができる。かかる反射体の長さとしては、再放射による受信強度を高める上で、送信波の波長λの1/2の長さが最も好ましい。
【0040】
上記のようなワイヤハーネスJを利用する場合においても、反射体J1〜J4(第1〜第4の各配線部)は、送信機Tから直接に受信機Rに向かう直送波と、上記反射体を介して受信機Rに向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機Rに近い位置(円C1)を基点として、送信機Tからの送信波の波長λの倍数だけ離間した位置(円C1の同心円C2〜C4)に、できるだけ配置することが好ましい。
【0041】
図2の例では、第2配線部J2が円C2に略対応する箇所に位置し、また、第4配線部J4が円C2に略対応する箇所に位置することにより、直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所に反射体を設けることができ、再放射による受信強度の向上を図る上でより高い効果を得ることができる。
【0042】
図3は、図2で示した第2の実施形態の変形例を示している。
この変形例では、ワイヤハーネスJ’について、直接波と再放射波とが互いに強め合う箇所に位置する配線部分をできるだけ長くするために、円C2から円C3に至る配線部J3aを最短にするために半径方向へ伸長させ、円C3に略対応する箇所から配線部J3bを半径方向と略直角に伸ばしたものである。
【0043】
つまり、図2における第3配線部J3を2つの配線部J3a,J3bに置き換えることにより、直接波と再放射波とが互いに強め合う箇所に位置する配線部分を長くしたもので、再放射による受信強度の向上を図る上でより一層高い効果を得ることができる。
【0044】
尚、特に言及しなかったが、本発明のリモートコントロールシステムは、通常のキーレスエントリーシステムのみならず、送信機を操作する必要なしにドアのロック・アンロック操作を行えるようにした、所謂パッシブ・キーレスエントリーシステムにも、有効に適用することができるものである。
【0045】
また、以上の実施の形態は、何れも自動車のキーレスエントリーシステムに適用した場合についてのものであったが、本発明に係るリモートコントロールシステムは、かかる場合に限定されるものではなく、例えば、ビルや家屋のドア等やガレージのシャッタなど、他の種々の開閉体についても、そのロック・アンロック状態を遠隔制御する上で有効に適用可能である。
【0046】
このように、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】
本願発明に係るリモートコントロールシステムによれば、受信機の周辺に、送信機からの送信波を再放射させ、受信機に向かう再放射波を生じさせる反射体が設けられているので、受信機は送信機から直接に受信する直接波だけでなく、上記反射体により再放射で生じた再放射波をも受信することができる。すなわち、距離的には受信機Rの配設位置に対応する距離領域まで届き得るにも拘らず、実際には受信機Rに受信されていない送信波を有効に利用して、受信機Rの受信強度の向上を図り、より安定した受信を行えるようにすることが可能になる。
【0048】
この場合において、上記反射体は、好ましくは、受信機から所定距離だけ離間した位置に設けられることにより、再放射による受信強度の向上効果が高い位置を所定距離として選んで、反射体を設けることができる。尚、かかる反射体を上記受信機の収容ケース体に設けるようにしても良い。
【0049】
特に、上記所定距離を、送信機から直接に受信機に向かう直送波と、上記反射体を介して受信機に向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機に近い位置を基点として、送信機からの送信波の波長の倍数とすることにより、直接波と再放射波とが互いに強め合う箇所に反射体を設けることができる。直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所は、送信波の波長ごとに周期的に表れるので、反射体をかかる箇所に設けることにより、再放射による受信強度の向上を図る上でより高い効果を得ることができる。
【0050】
以上の場合において、上記反射体は、好ましくは、実質的に電気的に絶縁されていることにより、送信波をより効率良く再放射することができる。
また、上記反射体を、金属部材,誘電体あるいは革で構成することにより、市販性の高い手近な材料を利用することができる。
【0051】
また、上記反射体はワイヤハーネスで構成することができ、ワイヤハーネスで反射体を構成した場合には、別部材を用意する必要なしに、受信機周辺のワイヤハーネスを利用して反射体を設置することが可能になる。
特に、具体的には、かかるワイヤハーネスとして、受信機と所定の電気機器とを接続するものを利用することにより、受信機に接続されるワイヤハーネスを利用して反射体を設置することができる。
【0052】
更に、好ましくは、上記ワイヤハーネスの所定箇所に高周波遮断手段を設けることにより、当該ワイヤハーネスの直流電気の接続性を損なうことなく、上記所定箇所で高周波のみを遮断することが可能になり、所望長さの反射体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機から受信機への送信状態を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機から受信機への送信状態を模式的に示す平面説明図である。
【図3】上記第2の実施形態の変形例に係るキーレスエントリーシステムにおける送信機から受信機への送信状態を模式的に示す平面説明図である。
【符号の説明】
At…送信エリア
C1〜C4:直接波と再放射波の位相が合って両者が互いに強め合う箇所
F:フィルタ
G:反射体
J,J’:ワイヤハーネス
J1〜J4,J3a,J3b:ワイヤハーネスの配線部(反射体)
K…自動車
R…受信機
Sc,Sg,Sr…部分エリア
T…送信機
Claims (10)
- 送信機からの送信信号を受信機で受信し、この受信信号に基づいて所定機器の動作を制御するようにしたリモートコントロールシステムにおいて、
上記受信機の周辺に、上記送信機からの送信波を再放射させ、上記受信機に向かう再放射波を生じさせる反射体が設けられていることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項1記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記反射体は、上記受信機から所定距離だけ離間した位置に設けられていることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項2記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記所定距離は、上記送信機から直接に受信機に向かう直送波と、上記反射体を介して受信機に向かう再放射波とが互いに強め合う位置のうち最も受信機に近い位置を基点として、送信機からの送信波の波長の倍数であることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項1〜3の何れか一に記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記反射体は、実質的に電気的に絶縁されていることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項4記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記反射体は、金属部材で構成されていることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項4記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記反射体は、誘電体で構成されていることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項6記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記反射体は、革で構成されていることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項4記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記反射体は、ワイヤハーネスで構成されていることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項8記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記ワイヤハーネスは、受信機と所定の電気機器とを接続するものであることを特徴とするリモートコントロールシステム。 - 請求項8又は9に記載のリモートコントロールシステムにおいて、
上記ワイヤハーネスの所定箇所には、高周波遮断手段が設けられていることを特徴とするリモートコントロールシステム。
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Cited By (1)
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-
2003
- 2003-02-12 JP JP2003033872A patent/JP2004247853A/ja not_active Abandoned
Cited By (2)
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EP2403240A1 (en) * | 2009-02-27 | 2012-01-04 | Sony Corporation | Reception apparatus |
EP2403240B1 (en) * | 2009-02-27 | 2017-03-22 | Sony Corporation | Reception apparatus |
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