JP2004247617A - CuまたはCu合金ボールのはんだ付け方法および金属核はんだボール - Google Patents

CuまたはCu合金ボールのはんだ付け方法および金属核はんだボール Download PDF

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Abstract

【課題】Cuボールの表面にはんだを被覆した従来のCu核はんだボールを用いた電子機器を使用中に誤って落とすような外的衝撃や長年月の使用・不使用によるヒートサイクルが加わると、Cuボールとはんだの界面から剥離することがあった。本発明は金属ボールが剥離しにくい金属核はんだボールのはんだ付け方法と金属核はんだボールを提供することにある。
【解決手段】本発明は、核となる金属ボールをはんだ付けする際に、溶融はんだ中にZnを存在させて、ZnによりCuSn金属間化合物層が厚く生成するのを抑制するCuまたはCu合金ボールのはんだ付け方法である。また本発明は、Znを0.001〜15質量%含有させたはんだでCuボールを被覆した金属核はんだボールであり、Cu合金ボールがZnを0.001〜50質量%含有した金属核はんだボールである。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、BGA、CSP、MCM等の半導体電子部品(以下、単に電子部品という)の電極にCuまたはCu合金ボールをはんだ付けする方法および金属核はんだボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時の電子機器は小型化、高機能化されてきていることから、これに使用される電子部品も小型で高機能化されてきている。従来の電子部品は半導体チップとそれを搭載するキャリアとの接続がワイヤボンディングであったが、さらなる機能アップからリードを大量に設置できるバンプに移ってきている。
【0003】
一般に電子部品のバンプ形成には、直径が100〜1000μmの微小はんだボールが用いられていた。該はんだボールは、全体が均一組成であり、電子部品の電極に搭載した後、はんだボールを溶融させて電子部品の電極にはんだバンプを形成するものである。そして電子部品をプリント基板に実装するときは、はんだバンプとプリント基板のはんだ付け部とを一致させてからはんだバンプを溶融させることにより電子部品とプリント基板をはんだ付けする。
【0004】
電子部品の電極にはんだボールだけではんだバンプを形成すると、電子部品をプリント基板に搭載してからはんだバンプを溶融させたときに、電子部品の重さで溶融したはんだがつぶれて隣接したはんだバンプ同士が融合したり、はんだが電子部品の外部に流出したりしてしまうことがある。
【0005】
このような不都合に鑑み、従来よりCuボールの表面にはんだの皮膜を形成した所謂Cu核はんだボールというものがバンプとして用いられていた。このCu核はんだボールは、核となるCuボールが純Cu、即ちCuの純度が99.96%以上のものを使用していた。純Cuとは、JISでいう電気銅地金であり、ここでは不純物がAs<0.003、Sb<0.005、Bi<0.001、Pb<0.005、S<0.01、Fe<0.01に規定されている。
【0006】
Cu核はんだボールにおいて、純Cuボールの表面に被覆するはんだは、Sn−PbはんだやPbを含まないSn主成分の鉛フリーはんだである。
【0007】
Cu核はんだボールを電子部品基板に接合する場合は、電子部品基板の電極にソルダペーストを塗布し、該塗布部にCu核はんだボールを載置してからリフロー炉のような加熱装置で加熱してソルダペーストを溶融させることにより接合を行う。またCu核はんだボールが接合された電子部品をプリント基板に実装する場合もプリント基板のランドにソルダペーストを塗布してから前述のようにソルダペーストを加熱溶融することにより電子部品とプリント基板のはんだ付けを行う。
【0008】
このCu核はんだボールを電子部品やプリント基板に接合するときにCuボール表面に被覆したはんだがはんだ付け性に多いに役立っている。即ち、Cuボールだけのものを電子部品基板にソルダペーストではんだ付けしようとすると、Cuは表面が酸化していると、はんだが十分に付着しないため、Cuボールと電子部品の電極間で未はんだやディウエット等のはんだ付け不良を起こすことがある。しかしながらCuボールの表面に予めはんだを被覆しておくと、ソルダペーストではんだ付けするときに被覆したはんだとソルダペーストがよくなじんで不良のないはんだ付けが行えるようになる。それ故、電子部品のバンプにはCuボールの表面にはんだを被覆したCu核はんだボールが使用されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来のCu核はんだボールと従来のはんだで電子部品を実装した電子機器は、使用中に電子部品が剥離するという問題があった。つまり携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の所謂モバイル電子機器では、外部から受ける衝撃が多く、電子部品のはんだ付けに従来のCu核はんだボールを使用したものでは、この衝撃で電子部品とプリント基板のはんだ付け部が剥離し、電子機器としての機能を果たせなくなってしまうことがあった。例えば携帯電話では、ワイシャツのポケットに入れておいたものが前屈みになったときにポケットから滑り落ちてしまったり、最近のメール機能が備わった携帯電話では片手の操作中に落としたりする。またノート型パソコンは鞄の中に入れて運ぶときに鞄ごと落とすことが多く、ビデオカメラやデジタルカメラは、使用中に落とすことが多い。このような外的衝撃が電子機器に加わったときに電子部品のはんだ付け部が剥離してしまうものである。
【0010】
さらに電子機器では、使用時に回路に通電すると、コイル、パワートランジスター、抵抗等の部品から熱を発し、電子機器のケース内が昇温する。そして電子機器の使用を止めるために通電を切ると、部品からの発熱がなくなってケース内は室温に戻る。このように電子機器の使用・不使用を行うたびに、ケース内が昇温と降温を繰り返すというヒートサイクルが起こる。このヒートサイクルは、当然はんだ付け部にもおよび、はんだ付け部のはんだとプリント基板が熱膨張・収縮を起こす。ところがはんだ付け部における金属のはんだと樹脂のプリント基板では熱膨張率が多いに相違するため、昇温時には、はんだ付け部のはんだが熱膨張で大きく伸びようとするが、それよりも熱膨張率の小さなプリント基板がはんだの伸びを拘束するようになる。そして熱膨張で大きく伸びていたはんだが降温時に大きく縮もうとしても、今度は、その縮みをプリント基板が拘束するようになる。そのため電子機器の使用・不使用により、はんだ付け部がヒートサイクルに曝され、はんだは伸びと縮みを拘束するストレスで金属疲労を起こし、ついにはヒビ割れや破壊となって、はんだ付け部が剥離する。従来のCu核はんだボールを用いた電子機器では、電子部品のはんだ付け部がヒートサイクルでヒビ割れや破壊することが多々あった。
【0011】
本発明は、外的衝撃やヒートサイクルで破壊しにくいCuまたはCu合金ボールのはんだ付け方法および金属核はんだボールを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者が従来のCu核はんだボールを電子部品基板やプリント基板にはんだ付けした後、外的衝撃やヒートサイクルでCuボールのはんだ付け部が容易に剥離する原因について鋭意検討を行った結果、Cuボールがはんだの界面で剥離しており、さらに該界面の分析を行ったところ、剥離した部分はCuSnの金属間化合物が厚く成長していた。つまり界面に生成されたCuSn金属間化合物は硬くて脆いものであり、これが厚く成長すると衝撃やヒートサイクルで厚くなった金属間化合物層で破壊するものである。
【0013】
そこで本発明者は、Cuボールとはんだの界面に生成するCuSnの金属間化合物層を薄くできれば、はんだ付けされたCuボールは衝撃やヒートサイクルで容易に剥離しなくなることに着目して本発明を完成した。
【0014】
本発明は、CuまたはCu合金ボールを電子部品基板やプリント基板にはんだ付けする際に、CuまたはCu合金ボールとはんだの界面におけるZn濃度を高めてCuSnの金属間化合物の生成を抑制するようにしたことを特徴とするCuまたはCu合金ボールのはんだ付け方法である。
【0015】
また別の発明は、純銅のCuボールの表面がZnを0.001〜15質量%含有したはんだで被覆されていることを特徴と金属核はんだボールである。
【0016】
さらにまた別の発明は、Zn0.001〜50質量%、残部CuからなるCu合金ボールの表面がはんだで被覆されていることを特徴とする金属核はんだボールである。
【0017】
【発明の実施の形態】
Snを含んだはんだでCuの母材に対してはんだ付けを行うと、Cuの溶融温度にならなくてもCuがはんだ中のSnと合金化する。これは溶融はんだ中のSnがCuに拡散して合金化するものであり、はんだと母材の界面でCuSnの金属間化合物層が生成される。CuSnの金属間化合物は硬くて脆い性質を有しているため、界面に該金属間化合物層が厚く生成されると衝撃やヒートサイクルで母材が容易に剥離してしまうものである。しかしながらCu母材に対してはんだ付けを行っているときに溶融はんだや母材中にZnが存在すると、Znがはんだと母材の界面に集まってZn濃度が高くなる。するとZnがCuSnの金属間化合物層の生成を抑制するようになり、界面でのCuSnの金属間化合物層は薄い層にとどまることになる。
【0018】
本発明の金属核はんだボールとは、図1に示すようにCuまたはCu合金ボール1の表面にはんだ2が被覆されたものである。本発明の金属核はんだボールは、金属ボールを純銅として、純銅のボールを被覆するはんだははんだ2にZnを添加したもの、或いは金属ボールをCu−Zn合金とし、該金属ボールの表面をSn−Pb系はんだやPbフリーはんだで被覆したものである。
【0019】
本発明で純銅のCuボールに被覆するはんだとしては、Znを添加したSn−Pbはんだ、或いはZnを添加した鉛フリーはんだである。これらのはんだ中へのZnの含有量が0.001質量%よりも少ないと、Cuボールのはんだ付け時にZnによるCuSn金属間化合物の生成抑制効果が現れない。しかるに被覆はんだ中にZnが15質量%よりも多くなるとはんだ付け性を阻害するようになってしまう。
【0020】
本発明で金属ボールとしてCu−Zn合金を使用する場合、該金属ボールを被覆するはんだはSn−Pb系はんだやPbフリーはんだである。Sn−Pb系はんだとは、Sn−Pb合金、或いは該合金に他の金属を添加したものである。Cu−Zn合金ボールは、はんだ付け時にCu−Zn合金からZnが溶融したはんだ中に溶け出して界面でのCuSn金属間化合物層の生成を抑制するものである。Cu−Zn合金中のZn含有量が0.001質量%よりも少ないとCuSn金属間化合物層生成の抑制効果が現れず、しかるにCuボール中のZn含有量が50質量%を越えると、やはりはんだ付け性が悪くなる。本発明に使用するCu−Zn合金としては、一般に市販されている真鍮が入手容易である。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
○金属核はんだボール
金属ボール:直径200μmの純Cuボール
被覆はんだ:Pb−63Sn−0.1Zn
被覆厚さ:20μm
○金属核はんだボールのはんだ付け
Pb−63Snのソルダペーストを塗布したCSP基板(10×10mm)の150個の電極に上記金属核はんだボールを搭載し、ピーク温度が240℃のリフロー炉で加熱して金属核はんだボールをはんだ付けした。さらにランドにPb−63Snのソルダペーストを塗布したガラエポのプリント基板(30×120mm)の中央に該CSP基板を搭載し、リフロー炉で加熱してCSPとプリント基板のはんだ付けを行った。はんだ付け後の純Cuボールとはんだの模式的組織を図2に示す。図2からも分かるようにCuボール1とはんだ3の界面にはCuSnの金属間化合物層4が薄く生成されていた。
【0022】
(実施例2)
○金属核はんだボール
金属ボール:直径200μmの純Cuボール
被覆はんだ:Sn−3Ag−0.5Cu−1Zn
被覆厚さ:20μm
○金属核はんだボールのはんだ付け
上記金属核はんだボールを実施例1と同様にしてCSPとプリント基板のはんだ付けを行った。ただしソルダペーストはSn−3Ag−0.5Cuを使用した。
【0023】
(実施例3)
○金属核はんだボール
Cu合金ボール:直径200μmのCu−30Zn合金ボール
被覆はんだ:Pb−63Sn
被覆厚さ:20μm
○金属核はんだボールのはんだ付け
上記金属核はんだボールを実施例1と同様にしてCSPとプリント基板のはんだ付けを行った。
【0024】
(比較例1)
○Cu核はんだボール
Cuボール:直径200μmの純Cuボール
被覆はんだ:Pb−63Sn
被覆厚さ:20μm
○Cu核はんだボールのはんだ付け
上記Cu核はんだボールを実施例1と同様にしてCSPとプリント基板のはんだ付けを行った。はんだ付け後の純Cuボールとはんだの模式的組織を図3に示す。図3ではCuボール1とはんだ3の界面にはCuSnの金属間化合物層4が実施例1の金属間化合物層よりも厚く生成されているのが分かる。
【0025】
実施例1の金属核はんだボールと比較例1のCu核はんだボールを用いて実装されたプリント基板の耐衝撃試験を行った。耐衝撃試験は以下の通りである。
耐衝撃試験:CSPが実装されたガラエポのプリント基板を外形40×200×80(mm)のステンレス製で下部中央に三角形の衝突部が形成された枠状治具上に治具と間隔をあけて固定する。そして該治具を500mmの高さから落下させてプリント基板に衝撃を与える。このとき両端を治具に固定されたプリント基板は、中央部が振動し、プリント基板とCSP基板のはんだ付け部は、この振動による衝撃を受ける。この耐衝撃試験でCSP基板が剥離するまでの落下回数を測定する。
【0026】
衝撃試験の結果、実施例の金属核はんだボールを用いたプリント基板では30回以上の落下でもCSPは剥離しなかったが、比較例のCu核はんだボールを用いたプリント基板では18回でCSPが剥離した。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、CuまたはCu合金ボールとはんだの界面に脆いCuSnの金属間化合物層が厚く生成しないため、該金属核はんだボールを用いた電子機器を使用中に誤って落下させるような外的衝撃を加えたり電子機器を長年月にわたって使用・不使用を繰り返しても、電子部品とCuまたはCu合金ボールとが容易に剥離しないという信頼性に富むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属核はんだボールの断面図
【図2】本発明の金属核はんだボールではんだ付けした界面組織の模式図
【図3】従来のCu核はんだボールではんだ付けした界面組織の模式図
【符号の説明】
1 CuまたはCu合金ボール
2 被覆はんだ
3 はんだ
4 金属間化合物層

Claims (5)

  1. CuまたはCu合金ボールを電子部品基板やプリント基板にはんだ付けする際に、CuまたはCu合金ボールとはんだの界面におけるZn濃度を高めてCuSnの金属間化合物の生成を抑制するようにしたことを特徴とするCuまたはCu合金ボールのはんだ付け方法。
  2. 純銅のCuボールの表面がZnを0.001〜15質量%含有したはんだで被覆されていることを特徴と金属核はんだボール。
  3. 前記はんだは、Znを0.001〜15質量%含有したSn−Pb系はんだ、或いはPbフリーはんだであることを特徴とする請求項2記載の金属核はんだボール。
  4. Zn0.001〜50質量%、残部CuからなるCu合金ボールの表面がはんだで被覆されていることを特徴とする金属核はんだボール。
  5. 前記はんだは、Sn−Pbはんだ、或いはPbフリーはんだであることを特徴とする請求項4記載の金属核はんだボール。
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