JP2004247226A - 液体燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料貯蔵部内での液体燃料の移動を確保しつつ、液短絡を防止することができる液体燃料電池を提供する。
【解決手段】酸素を還元する複数の正極8と、燃料を酸化する複数の負極9と、正極8および負極9との間に配置された固体電解質層10と、燃料タンク3とを備えた液体燃料電池であって、負極9が燃料タンク3と対峙して配置され、燃料タンク3の内部が、各負極ごとに、液体燃料4を透過し且つカチオンを透過しない隔膜11によって分離されている液体燃料電池とする。また、この隔膜11は、OH型のアニオン交換部を有するアニオン交換樹脂膜であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料として液体を用いた液体燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコン、携帯電話などのコードレス機器の普及に伴い、その電源である二次電池はますます小型化、高容量化が要望されている。現在、エネルギー密度が高く、小型軽量化が図れる二次電池としてリチウムイオン二次電池が実用化されており、ポータブル電源として需要が増大している。しかし、使用されるコードレス機器の種類によっては、このリチウム二次電池では未だ十分な連続使用時間を保証する程度までには至っていない。
【0003】
このような状況の中で、上記要望に応え得る電池として、燃料電池が期待されている。中でも、液体燃料であるメタノールを直接電池の反応に利用する直接メタノール型燃料電池は、小型化が可能であり、将来のポータブル電源として有望である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図3に従来の直接メタノール型燃料電池の一例の断面図を示す。この従来の液体燃料電池は、酸素を還元する複数の正極8と、燃料を酸化する複数の負極9と、正極8および負極9の間に配置された固体電解質層10と、燃料貯蔵部として燃料タンク3とを備えている。また、正極8と、負極9と、固体電解質層10とが、電極・電解質一体化物を形成し、この電極・電解質一体化物の各負極9が、燃料タンク3と対峙して配置されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−268836号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の液体燃料電池では、複数の負極9が、燃料タンク3と対峙して配置されているため、複数の負極9で燃料タンク3を共有することができ、電池を小型化することができる。
【0007】
しかし、燃料タンクを複数の負極で共有すると、燃料タンク3内の液体燃料4を通して隣接する負極の間で短絡(液短絡)が発生して、電池の出力が低下するという問題があった。すなわち、液体燃料電池が発電する際に液体燃料の不完全燃焼がある程度発生し、その不完全燃焼で生成するギ酸などが液体燃料に溶解する。また、電極・電解質一体化物の固体電解質もある程度液体燃料に溶解する。このため、液体燃料がイオン伝導性を有することになり、隣接する負極の間で液短絡が発生する。
【0008】
この液短絡を防止するには、各負極ごとに、燃料タンク3を完全に分離して、液体燃料4が相互に移動しないようにすればよいが、燃料タンク3を完全に分離してしまうと、各分離された燃料タンク3にそれぞれ別々に液体燃料を補給しなければならなくなり、取り扱いが煩雑となる。
【0009】
そこで、本発明は、燃料貯蔵部内での液体燃料の移動を確保しつつ、液短絡を防止することができる液体燃料電池を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸素を還元する複数の正極と、燃料を酸化する複数の負極と、前記正極および前記負極との間に配置された固体電解質と、燃料貯蔵部とを備えた液体燃料電池であって、
前記負極が、前記燃料貯蔵部と対峙して配置され、
前記燃料貯蔵部の内部が、前記各負極ごとに、液体燃料を透過し且つカチオンを透過しない隔膜によって分離されている液体燃料電池を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の液体燃料電池によると、燃料貯蔵部の内部が、各負極ごとに、液体燃料を透過し且つカチオンを透過しない隔膜によって分離されているため、燃料貯蔵部内での液短絡が防止でき、液体燃料電池の出力を高く維持できる。また、この隔膜を通して液体燃料の移動が可能になるため、液体燃料の補給が容易となる。
【0012】
上記液体燃料を透過し且つカチオンを透過しない隔膜としては、アニオン交換樹脂膜、または酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、ジルコン、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化タンタル、炭化ケイ素、セピオライト、アタパルジャイト、ゼオライトなどを加圧成形した膜、または硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、メチルペンテン、エチレン酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンアクリレート、エチレンテレフタレートなどの高分子材料を加圧成型あるいはバインダにより製膜した膜、またはメチルセルロース、ガラス繊維、脱脂綿などからなる膜などを用いることができる。
【0013】
この中でも、特にアニオン交換樹脂膜が好ましい。液短絡の主な原因は、液体燃料に溶解したギ酸または固体電解質などから生じるプロトン(H)であり、アニオン交換樹脂膜はプロトンの阻止力が大きく、かつ液体燃料の透過性に優れているからである。
【0014】
上記アニオン交換樹脂膜は、液状のアニオン交換樹脂を製膜することにより、または粉末状のアニオン交換樹脂をバインダによって固化することにより作製できる。
【0015】
また、上記アニオン交換樹脂膜に用いるアニオン交換樹脂としては、OH型でもCl型でも使用できるが、OH型が好ましい。OH型のアニオン交換樹脂は、不純物を発生させないからである。
【0016】
また、上記アニオン交換樹脂膜の厚さは、0.1μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上100μm以下である。この範囲内であれば、アニオン交換樹脂膜にピンホールが生成せず、またアニオン交換樹脂膜が燃料貯蔵部内で不要なスペースを占有しないため、電池のエネルギー密度が低下しないからである。
【0017】
また、本発明の液体燃料電池で用いる液体燃料としては、メタノール水溶液、エタノール水溶液、ジメチルエーテル、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、水素化ホウ素カリウム水溶液、水素化ホウ素リチウム水溶液などを使用できるが、中でもメタノール水溶液が特に好ましい。取り扱いが容易でかつエネルギー密度が大きいからである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の液体燃料電池の一例を示す断面図である。本実施形態の液体燃料電池は、酸素を還元する複数の正極8と、燃料を酸化する複数の負極9と、正極8および負極9との間に配置された固体電解質層10と、燃料貯蔵部として燃料タンク3とを備えている。また、正極8と、負極9と、固体電解質層10とは、電極・電解質一体化物を形成し、この電極・電解質一体化物の各負極9は、燃料タンク3と対峙して配置されている。
【0020】
さらに、燃料タンク3の内部は、各負極9ごとに、液体燃料4を透過するがカチオンを透過しない隔膜であるアニオン交換樹脂膜11によって分離されている。このアニオン交換樹脂膜11は、液体燃料を透過しない材料により形成された隔膜保持部12によって、燃料タンク3の深さ方向のほぼ中央に配置されている。これにより、燃料タンク3内での液短絡を防止でき、さらに、燃料タンク3の全体に液体燃料4を一括して充填することができる。
【0021】
アニオン交換樹脂膜11としては種々のものが使用できるが、例えば、PTFEを骨格に持つフッ素系アニオン交換樹脂膜としては東ソー社製の“TOSFLEX”(商品名)、スチレン−ジビニルベンゼン系の炭化水素系アニオン交換樹脂膜としては旭硝子社製の“セレミオン”(商品名)、トクヤマ社製の“ネオセプタ”(商品名)、粉末または粒子状の炭化水素系アニオン交換樹脂を製膜したものとしてはローム・アンド・ハース社製の“アンバーライト”(商品名)をPTFEなどで製膜したものなどを使用することができる。
【0022】
負極9は、例えば、多孔性の炭素材料からなる拡散層9aと、触媒を担持した炭素粉末、プロトン伝導性物質、およびフッ素樹脂バインダからなる触媒層9bとを積層して構成される。負極は液体燃料である例えばメタノールを酸化する機能を有しており、その触媒には、例えば、白金微粒子や、鉄、ニッケル、コバルト、錫、ルテニウムまたは金などと白金との合金微粒子などが用いられるが、これらに限定されない。この触媒の担体である炭素粉末は、例えばBET法による比表面積が10〜2000m/gのカーボンブラックを用いることができる。この炭素粉末に触媒を例えばコロイド法を用いて担持する。炭素粉末と触媒との割合は炭素粉末100質量部に対し、触媒を5〜400質量部とすることが好ましい。この範囲内であれば、十分な触媒活性が得られ、触媒活性が低下することもないからである。
【0023】
プロトン伝導性物質としては、例えば、ポリパーフルオロスルホン酸樹脂やスルホン化ポリエーテルスルホン酸樹脂、スルホン化ポリイミド樹脂などスルホン酸基を有する樹脂を用いることができるが、これらに限定されない。このようなプロトン伝導性物質の割合は、触媒を担持する炭素粉末100質量部に対し、2〜200質量部とすることが好ましい。この範囲内であれば、十分なプロトン伝導性が得られ、電子抵抗が大きくならず、電池性能が低下しないからである。
【0024】
フッ素樹脂バインダとしては、例えば、PTFE、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドおよびクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体などを用いることができる。このバインダの割合は、触媒を担持する炭素粉末100質量部に対し、0.01〜100質量部とすることが好ましい。この範囲内であれば、十分な結着性が得られ、電子抵抗が大きくならず、電池性能が低下しないからである。
【0025】
以上の材料を用いた負極の製造方法について説明する。先ず、上記触媒を担持した炭素粉末、プロトン伝導性物質、フッ素樹脂バインダ、および水と有機溶剤とを均一に混合・分散してスラリーとする。このスラリーの固形分量は、スラリーの全質量100質量部に対して1〜70質量部とするのが好ましい。この範囲内であれば適度な粘性が得られるからである。これらの材料の分散は、例えばボールミル、ホモジナイザー、超音波分散機などを用いて行なうことができるが、これらに限定されない。また、上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが使用できる。
【0026】
その後、得られたスラリーを、多孔性の炭素材料からなる負極の拡散層に塗布して乾燥する。続いて熱プレスを行なうことで、バインダが溶融結着し、負極が形成される。熱プレスの温度はバインダの種類によって異なるが、使用するバインダのガラス転移点以上、ガラス転移点を20℃上回る温度以下に設定することが好ましい。プレスの圧力は3〜50MPaが好ましい。3MPa未満では電極の成形が十分でなく、50MPaを超えると電極内の細孔がつぶれてしまい、電池性能が低下するからである。
【0027】
また、正極8は、例えば、多孔性の炭素材料からなる拡散層8aと、触媒を担持した炭素粉末、プロトン伝導性物質およびフッ素樹脂バインダからなる触媒層8bとを積層して構成される。正極は、酸素を還元する機能を有しており、例えば負極と同様に構成することができる。
【0028】
次に、固体電解質層10について説明する。この固体電解質層10は、電子伝導性を持たずプロトンを輸送することが可能な材料により構成される。例えば、ポリパーフルオロスルホン酸樹脂膜、具体的には、デュポン社製の“ナフィオン”(商品名)、旭硝子社製の“フレミオン”(商品名)、旭化成工業社製の“アシプレックス”(商品名)などにより固体電解質層10を構成することができる。その他では、スルホン化ポリエーテルスルホン酸樹脂膜、スルホン化ポリイミド樹脂膜、硫酸ドープポリベンズイミダゾール膜などからも構成することができる。なお、本実施形態では、固体電解質層10は全体で1枚の連続したシート状のものを用いたが、各正極、負極ごとに分離された複数の固体電解質層を用いてもよい。
【0029】
負極9の固体電解質層10と反対側には液体燃料4を貯蔵する燃料タンク3が対向して設けられている。液体燃料4としては、例えば、メタノール水溶液、エタノール水溶液、ジメチルエーテル、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、水素化ホウ素カリウム水溶液、水素化ホウ素リチウム水溶液などが用いられる。燃料タンク3は、例えば、PTFE、硬質ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂や、ステンレス鋼などの耐食性金属から構成されている。ただし、燃料タンク3を金属で構成する際には、同一電池容器内に配置されているそれぞれの負極同士が電気的に短絡しないように絶縁体を導入する必要がある。燃料タンク3の負極9と接する部分には燃料供給孔3aが設けられており、この部分から液体燃料4が負極9へと供給される。また、液体燃料4を含浸して保持し、かつ負極9に液体燃料4を供給する燃料吸い上げ材5が、負極9と接する部分を含む燃料タンク3の内部に設けられている。これにより、液体燃料4が消費されても、液体燃料4と負極9との接触が維持されるため、液体燃料4を最後まで使い切ることができる。燃料吸い上げ材5としては、ガラス繊維を用いることができるが、液体燃料の含浸によって寸法が余り変化せず、化学的にも安定なものであれば他の材料を用いてもよい。
【0030】
正極8の固体電解質層10と反対側にはカバー板2が設けられており、カバー板2の正極8と接する部分には空気孔1が設けられている。これにより、空気孔1を通して大気中の酸素が正極8と接することになる。カバー板2の端部には、カバー板2と燃料タンク3を貫通する構造を持つ気液分離孔6bが設けられている。この気液分離孔6bの燃料タンク3と反対側には脱着可能な気液分離膜6aが設けられている。この気液分離膜6aは細孔を持つPTFE製シートからなり、放電反応で生成した二酸化炭素などを、液体燃料4を漏液させることなく燃料タンク3から放出させることができる。また、気液分離膜6aを脱着可能とすることで、気液分離孔6bは液体燃料を補充する時の充填口ともなる。気液分離孔6b、カバー板2および空気孔1は、例えば、燃料タンク3と同様の材料から構成することができる。
【0031】
正極8と接する箇所から、隣接する負極9と接する箇所に渡って集電体7が設置されており、正極8と隣接する負極9は電気的に接続されている。集電体7は隣接する電極間を電気的に直列に接続する役割を持ち、同一電池容器内に並べられた全ての電極は集電体7によって電気的に直列に接続される。集電体7は、例えば、白金、金などの貴金属や、ステンレス鋼などの耐食性金属、またはカーボンなどから構成することができる。
【0032】
(実施形態2)
図2は、本発明の液体燃料電池の他の一例を示す断面図である。本実施形態の液体燃料電池では、燃料タンク3を薄型に形成するともに、さらに電池の外部に、燃料充填口13を備えた別の燃料タンク14を形成した以外は、実施形態1とほぼ同様の構成である。本実施形態では、実施形態1で用いた隔膜保持部12(図1)は設けなかった。また、図2において、15は燃料吸い上げ材5を充填した燃料供給路である。本実施形態では、外部の燃料タンク14内の液体燃料4による液圧により、燃料タンク3内に液体燃料4をスムーズに移動させることができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。
【0034】
(実施例1)
以下のようにして、図1と同様の構造の液体燃料電池を作製した。
【0035】
液体燃料を透過し且つカチオンを透過しない隔膜としては、トクヤマ社製の厚さ190μmのCl型アニオン交換樹脂膜“ネオセプタAHA”(商品名)を1規定の水酸化カリウム水溶液中に1時間浸漬した後、イオン交換水で洗浄することでOH型アニオン交換樹脂膜に変換して用いた。隔膜の大きさは、縦10mm、横10mmとし、隔膜保持部は硬質塩化ビニル樹脂により形成し、隔膜と隔膜保持部はシリコーンにより接着した。
【0036】
正極は以下のようにして作製した。先ず、ライオンアクゾ社製の“ケッチェンブラックEC”(商品名)を50質量部、平均粒子径3nmの白金微粒子を50質量部担持した白金担持カーボンを10質量部、エレクトロケミ(Electrochem)社製のプロトン伝導性物質“ナフィオン(Nafion)”(商品名、固形分濃度5質量%)を75質量部、バインダとしてダイキン社製のPTFEエマルジョン溶液“D1”(商品名、エマルジョン濃度60質量%)を10質量部および水を5質量部準備した。これらをホモジナイザーで混合・分散し、拡散層であるカーボンクロスに白金量が3.0mg/cmになるように塗布して乾燥した。次に、160℃、10MPaの条件で2分間熱プレスを行ない電極として成型し、正極を得た。
【0037】
負極は以下のように作製した。先ず、上記“ケッチェンブラックEC”を50質量部、平均粒径5〜10nmの白金ルテニウム合金(合金質量比1:1)微粒子を50質量部担持した白金担持カーボンを13質量部、上記“ナフィオン”を80質量部および水を7質量部準備した。これらをホモジナイザーで均一に混合・分散し、拡散層であるカーボンクロスに白金ルテニウム量が3.0mg/cmになるように塗布して乾燥した。次に、160℃、10MPaの条件で2分間熱プレスを行ない電極として成型し、負極を得た。
【0038】
電解質層は、デュポン社製の“ナフィオン117”(商品名)を用い、正極および負極でこの電解質層を挟持し、160℃、10MPaの条件で3分間熱プレスを行ない、電極・電解質一体化物を作製した。なお、電極面積は正極、負極ともに6cmとした。
【0039】
カバー板および燃料タンクは、ステンレス(SUS316)に絶縁性の塗膜として日本ペイント社製のフェノール樹脂系塗料“マイカスA”(商品名)を塗布したもので構成した。正極集電体は厚さ10μmの金製のシートからなり、エポキシ樹脂を用いて正極と接着した。液体燃料としては、10質量%のメタノール水溶液を用いた。負極集電体は正極集電体と同様の材質で構成した。気液分離膜は細孔を持つPTFE製の膜から構成した。また、燃料吸い上げ材としては、平均繊維径10μmのガラス繊維を用いた。
【0040】
(実施例2)
本実施例の液体燃料電池は、図2に示した液体燃料電池と同様の構成とした以外は実施例1とほぼ同様に作製した。隔膜の大きさは、縦10mm、横10mmとした。また、燃料供給路はフッ素樹脂チューブにより形成した。
【0041】
(比較例1)
本比較例の液体燃料電池は、図3に示した液体燃料電池と同様の構成とした以外は実施例1と同様に作製した。すなわち、本比較例は、アニオン交換樹脂膜および隔膜保持部を設けなかった以外は実施例1と同様に作製した。
【0042】
(比較例2)
本比較例の液体燃料電池は、図4に示した液体燃料電池と同様な構成とした以外は実施例2と同様に作製した。すなわち、本比較例は、アニオン交換樹脂膜を使用しなかった以外は実施例2と同様に作製した。
【0043】
以上のようにして作製した実施例1、2および比較例1、2の液体燃料電池を用い、燃料タンク内に10質量%のメタノール水溶液を充填後、開回路電圧が0Vになるまで放置した。これは、固体電解質からカチオンを液体燃料内に溶出させてあらかじめ液体燃料にイオン伝導性を与えることにより、液短絡が発生しやすい条件にするためである。その後、再度10質量%のメタノール水溶液を追加して添加した後、120mAで低電流放電を行い、5分後の出力を測定した。その結果を表2に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004247226
【0045】
表1から明らかなように、実施例1および実施例2の出力は、それぞれ比較例1および比較例2の出力に比べて高いことがわかる。これは、比較例1および比較例2では燃料タンク内に隔膜を設けていないため、液短絡が発生して出力が低下したものと考えられる。
【0046】
また、実施例2が実施例1に比べて出力が高いのは、実施例2では外部の燃料タンク内の液体燃料の液圧により、負極近傍への液体燃料の移動がスムーズになったためと考えられる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、燃料貯蔵部を負極ごとに、液体燃料は透過するがカチオンは透過しない隔膜によって分離することにより、燃料貯蔵部内での液体燃料の移動を確保しつつ、液短絡を防止することができるため、出力の低下がない液体燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体燃料電池の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の液体燃料電池の他の一例を示す断面図である。
【図3】比較例1の液体燃料電池の断面図である。
【図4】比較例2の液体燃料電池の断面図である。
【符号の説明】
1 空気孔
2 カバー板
3 燃料タンク
3a 燃料供給孔
4 液体燃料
5 燃料吸い上げ材
6a 気液分離膜
6b 気液分離孔
7 集電体
8 正極
8a 拡散層
8b 触媒層
9 負極
9a 拡散層
9b 触媒層
10 固体電解質層
11 アニオン交換樹脂膜(隔膜)
12 隔膜保持部
13 燃料充填口
14 燃料タンク
15 燃料供給路

Claims (5)

  1. 酸素を還元する複数の正極と、燃料を酸化する複数の負極と、前記正極および前記負極との間に配置された固体電解質と、燃料貯蔵部とを備えた液体燃料電池であって、
    前記負極が、前記燃料貯蔵部と対峙して配置され、
    前記燃料貯蔵部の内部が、前記各負極ごとに、液体燃料を透過し且つカチオンを透過しない隔膜によって分離されていることを特徴とする液体燃料電池。
  2. 前記隔膜が、アニオン交換樹脂膜である請求項1に記載の液体燃料電池。
  3. 前記アニオン交換樹脂膜が、OH型のアニオン交換部を有する請求項2に記載の液体燃料電池。
  4. 前記アニオン交換樹脂膜の厚さが、0.1μm以上1000μm以下である請求項2または3に記載の液体燃料電池。
  5. 液体燃料としてメタノール水溶液をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の液体燃料電池。
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