JP2004245764A - 薄膜の膜応力評価方法と機械的・熱的物性値同定方法とその装置 - Google Patents

薄膜の膜応力評価方法と機械的・熱的物性値同定方法とその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コスト、信頼性、再現性、実用性において優れた方法で、基板上に成膜した薄膜の物性値と膜応力の同定を行う膜応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法およびその同定装置を提供する。
【解決手段】厚みの異なる2種類の基板1、2の上に同成膜条件、同膜厚tで薄膜3を形成して積層体4、5を作成し、検出器6により前記2種類の積層体4、5の反り量を常温にて実測し、測定した反り量の値をコンピュータ7に取り込み、計算モジュール8により膜応力σresを評価し、得た膜応力σresを用いてモジュール9により積層体4、5の反り量から薄膜3の弾性率E*と線膨張率αを同定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に成膜された薄膜の残留応力(膜応力)の評価方法とその薄膜の機械的・熱的物性値の同定方法とそれ等の方法を実施する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、情報機器等の構成要素には薄膜材料が多用されており、それ等情報機器等の構成要素の回路設計や製品構造設計に際しては、そこに使用されている薄膜材料の膜応力および機械的物性値である弾性率や熱的物性値である線膨張率の同定が必須事項であり、従来は基板に薄膜の成膜を行い、成膜後の基板の反り実側値と理論式から薄膜の物性値と膜応力を同定する方法や実験的方法が主流である。
【0003】
また、静電気力により薄膜構造物を変形させ、その変形量を測定し、薄膜の機械的物性値である弾性率を測定する方法が提案されているが(特許文献1参照)、理論式を用いるということではその他の従来の測定方法の範囲内である。
【0004】
前記成膜後の基板の反り実側値と理論式から薄膜の物性値と膜応力を同定する方法において、反り実側値と反りに関する理論式には下記のStoneyの式が知られており、膜応力の推定に多く用いられている。
【0005】
成膜基板が円板状の積層体モデルの場合は、
【0006】
【数1】
Figure 2004245764
【0007】
成膜基板が矩型状の積層体モデルの場合は、
【0008】
【数2】
Figure 2004245764
【0009】
で薄膜の膜応力σが表わされ、Eは基板弾性率、νは基板ポアソン比、tは基板厚さ、tは薄膜厚さ、ρは積層体の反りの変形後の曲率半径である。
【0010】
上記の式を用いて薄膜の物性値と膜応力を求める方法では、Stoneyの式中に基板物性と反り量が用いられているだけで、薄膜に関する変数は薄膜厚さtだけである。このことから薄膜材質の影響を十分に反映しているとは言えず、例えば、Stoneyの式を適用して得られる薄膜の弾性率が数千Gpaと理論上は考えられない非常に大きな値を示す場合があり、信頼性に欠ける。
【0011】
また、薄膜の物性値と膜応力を同定する方法として、圧子押印試験や引掻試験に代表される実験的方法を用いることも考えられているが、初期投資に多大なコストを要する上に、特殊な治具や装置の使用に経験、熟練を要し、また、作業者によって得られる値が異なることが必至であり、再現性、客観性に乏しいという問題点が存在する。
【0012】
そこで、近年、薄膜の物性値と膜応力の同定を分子動力学等の数値解析方法を適用して薄膜の成膜シミュレーションを行う方法が登場している。
【0013】
しかし、分子動力学では1原子もしくは1分子を基本要素として構成式をたてて解析を行うため、現状のコンピュータでは取扱い可能な領域が非常に局部的となり、局部的な特性のみを評価するには有効な方法であるが、本発明で考える薄膜−基板積層体の全体挙動を解析することは不可能であり、対象全域の特性を考慮できないことから実現象を十分に加味できないと言える。
【0014】
以上のように、従来は基板上に成膜した薄膜の物性値と膜応力を同定する方法として、理論式を用いる方法、実験的方法、数値解析方法等の各方法が独立に用いられるのが現状であり、コスト、信頼性、再現性、実用性においてそれぞれ弱点を有している。
【0015】
【特許文献1】
特開平6−66698号公報(第2頁 段落[0003]〜第3頁 段落[0012])
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
今日、薄膜形成は軽薄短小化が進むデバイス関連分野では主要な要素技術であるが、前記のように、基板上に成膜した薄膜の物性値と膜応力を同定する従来の方法は、理論式を用いる方法、実験的方法、数値解析方法等の各方法が独立に用いられ、コスト、信頼性、再現性、実用性においてそれぞれ弱点を有しており、その問題を解決してコスト、信頼性、再現性、実用性において優れた膜応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法およびその同定装置が強く望まれている。
【0017】
本発明は上記の課題を解決するもので、膜応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法およびその同定装置において、実測結果と理論計算式に数値解析を援用することにより、それぞれの弱点を補い、コスト、信頼性、再現性、実用性において優れた膜応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法およびその同定装置を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、厚みの異なる2種類の基板に薄膜を成膜した2種類の積層体を用いて、薄膜の残留応力を評価する工程と薄膜の機械的物性値を同定する工程と薄膜の熱的物性値を同定する工程において、基板の反りの測定値と数値解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行うことで、薄膜の応力を評価し、薄膜の機械的物性値、熱的物性値を同定する薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法であり、コスト、信頼性、再現性、実用性において優れた膜応力の評価と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、厚みの異なる2種類の基板に薄膜を成膜した2種類の積層体を用いて、薄膜の残留応力を評価する工程と薄膜の機械的物性値を同定する工程と薄膜の熱的物性値を同定する工程において、基板の反りの測定値と数値解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行うことで、薄膜の応力を評価し、薄膜の機械的物性値、熱的物性値を同定する薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法であり、同時には求められない膜応力(σres)、薄膜の実弾性率(E)、薄膜の実線膨張率(α)の3つの未知数を、膜応力から逐次的に求めるという作用を有する。また、厚みの異なる2種類の基板を用いることと、基板の反りの測定値と数値解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行うことにより、実現象を考慮しつつ、成膜時に生じる残留応力と薄膜の物性値同定を高精度かつ簡便に実現するという作用を有する。
【0020】
本発明の請求項2に記載の発明は、薄膜の残留応力を評価する工程において、薄膜の曲げ剛性の影響が無視できる積層体の基板のみの有限要素モデルを用いて、有限要素解析により基板の反りの測定値と数値解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行うことで、薄膜の応力を評価する請求項1に記載の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法であり、薄膜の曲げ剛性の影響が無視できる積層体の基板のみの有限要素モデルを用いることにより、熱による基板のバイメタル効果による薄膜と基板の界面に発生する膜応力を、基板表面に作用する膜応力として求めるという作用を有する。さらに、求めるべき未知数のうち膜応力のみに注目した数値解析を行うことができ、薄膜の有限要素モデルを作成する必要がないことから、使用要素数を低減し、解析コストを低減するという作用を有する。
【0021】
本発明の請求項3に記載の発明は、薄膜の機械的物性値を同定する工程において、薄膜を実厚さよりも厚い仮想厚さとした積層体の薄膜と基板の両方を含めた有限要素モデルを用い、請求項2で評価した膜応力を薄膜と基板の界面上に付与して行った有限要素解析により基板の反りの測定値と数値解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行い、かつ、理論式を併用することで薄膜の弾性率を同定する請求項1に記載の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法であり、薄膜を実厚さよりも厚い仮想厚さとした積層体の薄膜と基板の両方を含めた有限要素モデルを用いることにより、薄膜の曲げ剛性を精度よく求め、理論式から精度よく薄膜の実弾性率を求めるという作用を有する。薄膜を仮想厚さで有限要素モデル化することは、極めて薄い有限要素を用いなくてもよいため、解析コストと解析時間の低減、さらには解析精度の向上という作用を有する。
【0022】
本発明の請求項4に記載の発明は、薄膜の熱的物性値を同定する工程において、薄膜を実厚さよりも厚い仮想厚さとした積層体の薄膜と基板の両方を含めた有限要素モデルを用い、温度変化に伴う成膜後の基板反り量変化の実測値と、請求項3で得た機械的物性値を用いて行った熱応力解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行うことで薄膜の線膨張率を同定する請求項1に記載の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法であり、温度変化に伴う成膜後の基板反り量変化の実測値と、請求項3で得た機械的物性値を用いて行った熱応力解析による反り計算値を用いることにより、成膜時の薄膜の熱収縮を表現し、現実の温度変化を有限要素解析に用いていることから3つ目の未知数である薄膜の実線膨張率を一義的に決定するという作用を有する。
【0023】
本発明の請求項5に記載の発明は、成膜後の基板の反り量の実測値を有限要素解析用の基板モデルの表面に直接設定することにより、薄膜に生じる残留応力を基板表面に直接作用する力として評価する請求項2に記載の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法であり、成膜後の基板の反り量の実測値を有限要素解析用の基板モデルの表面に直接設定することにより、薄膜上面から照射される変位検出器のレーザによる反り量の実測に極力近い状態を数値解析において再現するという作用を有する。また、有限要素法においては荷重から変位を、逆に変位から荷重を計算することができるため、反り量の実測から請求項2に記載の膜応力を求めるという作用を有する。
【0024】
本発明の請求項6に記載の発明は、厚みの異なる2種類の基板に薄膜を成膜した積層体の反り量を常温にて検出器により検出する手段と、測定した値をコンピュータに取り込む手段と、請求項1に記載の同定方法を実施する計算手段とから構成される薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法を実施する装置であり、厚みの異なる2種類の基板に薄膜を成膜した積層体の反り量を常温にて検出器により検出することにより、実現象を考慮しつつ、成膜時に生じる残留応力と薄膜の物性値同定を高精度かつ簡便に実現するという作用を有する。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施の形態)
本発明の実施の形態における薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法は、実現象を加味するために、薄膜を成膜した基板の反り実測値を用い、薄膜の残留応力を評価する工程と薄膜の機械的物性値を同定する工程と熱的物性値を同定する工程において、基板の反り実測値と数値解析値が一致するまで反復試行を行うことで、安価、高精度かつ簡便に薄膜の残留応力の評価と薄膜の機械的物性値および熱的物性値を同定するものであるが、この場合、薄膜を成膜した基板と薄膜の厚みの比が非常に大きく、数値解析を行うために、薄膜部分と基板部分を同じ大きさの要素に分割すると、使用要素数が膨大となり、解析時間が増大するほか、大規模な記憶容量を有するコンピュータを使用する必要があり、経済的コストが増大するという問題があるため、本実施の形態の評価方法と同定方法は、薄膜を仮想厚さで有限要素分割することにより、計算精度を保つとともに要素分割数の膨大化を防止する新たな方法である。
【0027】
本実施の形態の評価方法と同定方法は、具体的には、薄膜の残留応力を評価するための有限要素モデルと薄膜の機械的物性値と熱的物性値を同定するための有限要素モデルの2つのモデルを用い、一方の有限要素モデルは、薄膜の残留応力を精度よく求めるべく、基板の厚さを十分に設けて薄膜の曲げ剛性の影響を無視できるものとし、基板のみを要素分割し、その表面に膜応力を付与するモデルとし、他方の有限要素モデルは、薄膜の物性値を精度よく求めるべく、基板と薄膜の積層体としての要素分割を行い、有限要素解析を実施する。
【0028】
このように、2種類の基板と薄膜の積層体を用いることにより、実現象を考慮しつつ、成膜時に生じる薄膜の残留応力と薄膜の物性値の同定を高精度かつ簡便に実現することが可能となる。
【0029】
図1は本実施の形態における評価方法と同定方法を実施する装置の全体の構成を示す図であり、厚みの異なる2種類の基板1、2の上に同成膜条件、同膜厚tで薄膜3を形成して積層体4、5を作成し、まず、検出器6により前記2種類の積層体4、5の反り量を常温にて実測し、測定した反り量の値をコンピュータ7に取り込み、計算モジュール8により膜応力σresを評価し、得た膜応力σresを用いてモジュール9により積層体4、5の反り量から薄膜3の弾性率E*と線膨張率αを同定する。
【0030】
次に、計算モジュール10により理論計算式を用いて薄膜3の曲げ剛性の影響を考慮し、積層体4、5の中立面(仮想弾性率)を求めることによって実弾性率Eを同定する。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態における評価方法と同定方法において、その上に成膜した薄膜3の曲げ剛性を無視できるような厚い基板1と薄膜3とからなり、薄膜3の膜応力評価に用いる円板状の積層体4の1/4の基板有限要素モデルの説明図、図3は、その上に成膜した薄膜3の曲げ剛性の影響を受ける比較的薄い基板2と薄膜3とからなり、薄膜3の弾性率および線膨張率の同定に用いる円板状の積層体5の1/4の薄膜(仮想膜厚)・基板有限要素モデルの説明図である。
【0032】
図4は、前記図1における膜応力σresの評価の流れを示すフローチャートであり、ステップ401で、積層体4の反りにはその上に成膜した薄膜3の曲げ剛性は寄与しないと仮定し、基板1のみを有限要素分割し、ステップ402で積層体4の薄膜3−基板1間に生じる応力を模擬するため、基板モデル表面に仮想応力σresを付与し、ステップ403で数値解析により反り量を得、ステップ404で数値解析により得た反り量と実測反り量と比較し、ステップ405で数値解析により得た反り量と実測反り量が一致するまで基板モデル表面に付与する仮想応力σresの値を変化させて反復試行し、ステップ406で最終的に得た応力分布を薄膜3の膜応力σresとする。
【0033】
この場合、膜応力σresは成膜温度、基板材料と薄膜材料の組み合わせ、薄膜厚さにより一意的に決定され、異なる厚さの基板を用いても変化しないものと仮定している。
【0034】
一方、前記積層体5の基板2は積層体4の基板1と比較して薄いことから基板2上に成膜した薄膜3の曲げ剛性は積層体5の反り量に寄与すると仮定する。この場合、薄膜3の厚みは10−6m以下、基板2の厚みは10−3m程度、幅、奥行は10−2m程度のオーダであり、この薄膜3を、図5の従来の薄膜要素分割図に見られるように、扁平な要素11で要素分割すると、計算精度上の問題が生じることが現在までの多数の研究で指摘されており、この問題を回避するために、図6の従来の薄膜要素分割図に見られるように、薄膜3の厚みを基準としたモデル化を行い、略立方体状の要素12で要素分割して要素の扁平化を防ぐと、薄膜3の幅、奥行と厚みの寸法差は上述の通り、10000:1程度と非常に大きく、使用要素数が増大するため、解析時間が増大するとともに、大規模な記憶容量を有するコンピュータを使用する必要があり、経済的コストが増大する。
【0035】
このような問題を解決するため、要素の扁平化防止と使用要素数低減を実現する新たな方法をシステムに組み込むことが必要となる。
【0036】
図7は上記課題を解決した弾性率同定方法のフローチャートであり、積層体5の曲げ中立面(仮想弾性率)および実弾性率E同定の流れを示しており、まず、初めに薄膜3の曲げ剛性を求めるため、積層体5の中立面を算出することを目的とする。
【0037】
ここでは薄膜3を実際よりも厚い仮想厚さt*としてモデル化を行うことにより、薄膜3の幅、奥行と厚みの寸法差が小さくなり、薄膜3の厚みを基準として要素分割しても、図8の本実施の形態における薄膜要素分割図に見られるように、要素13の数が前記図6の従来の薄膜要素分割図に比し低減でき、また、要素13の厚みが前記図5の従来の薄膜要素分割図に比し厚くなり、計算精度を保証する厚みを有する要素13を用いてモデル化が可能となる。
【0038】
図7のフローチャートにおいて、まず、ステップ701で積層体5上の薄膜3を実厚さtよりも厚い仮想厚さt*としてモデル化を行い、ステップ702で積層体5の薄膜3と基板2の両方を含めて有限要素分割し、ステップ703で薄膜3に仮想弾性率E*を適用し、ステップ704で前記図4のステップ406で評価した膜応力σresを積層体5の薄膜3と基板2の界面上の節点に作用させ、ステップ705で数値解析により反り量を得、ステップ706で数値解析により得た反り量と実測反り量と比較し、ステップ707で数値解析により得た反り量と実測反り量が一致するまで薄膜3に適用した仮想弾性率E*の値を変化させて反復試行し、ステップ708で最終的に得た弾性率を仮想弾性率E*と決定し、ステップ709で、事前に実測しておいた成膜後の薄膜3の実厚さtを用いて薄膜3の実弾性率Eを、下記の理論式より導かれたE=E*×t*/tに基づき同定し、ステップ710で薄膜3の実弾性率Eを決定する。
【0039】
前記E=E*×t*/tを導くためには、積層体5の反りに寄与する曲げ剛性が仮想厚さt*と実厚さtの薄膜3で同等であるとしてそれぞれ積層体5における曲げの中立面を算出する式をたて、両者を比較することで実弾性率Eを求める。
【0040】
多層積層体の曲げ中立面
【0041】
【外1】
Figure 2004245764
【0042】
は(数3)で示される。
【0043】
【数3】
Figure 2004245764
【0044】
E’は実効弾性率であり、積層板モデルの場合は弾性率Eとポアソン比νを用いて次のように示される。
【0045】
【数4】
Figure 2004245764
【0046】
材料1(板厚t)と材料2(板厚t)の2層モデルにおいては(数3)と(数4)を展開して(数5)が得られる。
【0047】
【数5】
Figure 2004245764
【0048】
ここで材料1を基板、材料2を薄膜とする。以下の式中の添字sは基板を、fは薄膜を指すものとする。数値解析においては上記の通り、薄膜の有限要素モデルは実厚さtではなく、厚さを仮想値t*とであるとして要素分割を行い、仮想弾性率E*を求める。t*を用いて算出した仮想弾性率E*と、求めるべき実弾性率Eの間には(数6)が成立し、整理すると(数7)を得る。
【0049】
【数6】
Figure 2004245764
【0050】
【数7】
Figure 2004245764
【0051】
但し、Cは定数であり、(数8)に示す通りである。
【0052】
【数8】
Figure 2004245764
【0053】
ここで、(数9)の場合にはtおよびt*の2次以降の項を無視することができ、ポアソン比が等しいとおくと最終的に(数10)を得る。
【0054】
【数9】
Figure 2004245764
【0055】
【数10】
Figure 2004245764
【0056】
ここで、仮想厚さt*によらずにE*×t*の値は常に一定となるようにE*の数値解析結果が得られるため、作業者がどのような仮想厚さt*を設定しても最終的に得られる実弾性率Eは等しくなる。このことから、作業者は仮想厚さt*の設定に気を配る必要がなく、さらに、作業者によらずに薄膜3の実弾性率Eを得ることができる。
【0057】
次に、前記図3に示す積層体5の薄膜(仮想膜厚)・基板有限要素モデルにおいて、薄膜3の線膨張率αを同定するには、薄膜3の弾性率には仮想弾性率E*を用い、薄膜3の基板2への付着および冷却収縮が瞬間的に行われるために基板2に関しては温度変化が生じないものとし、図9に示す薄膜3の線膨張率α同定の流れを示すフローチャートのように、ステップ901で薄膜3の部分にのみ成膜温度から常温まで温度変化を与えて熱応力解析を実施し、ステップ902で薄膜3に仮線膨張率α*を与え、ステップ903で熱応力解析を実施して反り量を得、ステップ904で熱応力解析で得た反り量と実測反り量を比較し、ステップ905で熱応力解析で得た反り量と実測反り量が一致するまでステップ902で薄膜3に与える仮線膨張率α*を変化させて反復試行し、ステップ906で最終的に得た値を線膨張率αとして同定する。
【0058】
以上のように、上記本実施の形態における薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法は、全てコンピュータ内のプログラムにより自動的に実施されるものであり、作業者は解析プログラムを内蔵したコンピュータに接続した反り検出器6に、成膜後の厚みが異なる2種類の積層体4、5を設置するだけでよく、同定装置はブラックボックスとして機能し、作業実施に対して特別な知識を持つ必要がなく、作業者によらず薄膜3の弾性率Eや線膨張率αを客観的に同定することが可能になる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法は、実測値と理論式に数値解析を援用したものであり、コストを抑えつつ、膜応力および薄膜の物性値を高精度かつ簡便に同定することが可能となり、本発明の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法により得られた薄膜の機械的物性値、熱的物性値は薄膜を用いたデバイスの強度設計、信頼性評価および製造プロセス条件の最適化に有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法を実施する装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態における評価方法と同定方法において、薄膜3の膜応力評価に用いる円板状の積層体4の1/4の基板有限要素モデルの説明図
【図3】本発明の実施の形態における評価方法と同定方法において、薄膜3の弾性率および線膨張率の同定に用いる円板状の積層体5の1/4の薄膜(仮想膜厚)・基板有限要素モデルの説明図
【図4】本発明の実施の形態における評価方法と同定方法における薄膜3の膜応力評価の流れを示すフローチャート
【図5】従来の薄膜要素分割図
【図6】従来の薄膜要素分割図
【図7】本発明の実施の形態における評価方法と同定方法における薄膜3の弾性率同定の流れを示すフローチャート
【図8】本発明の実施の形態における評価方法と同定方法における薄膜要素分割図
【図9】本発明の実施の形態における評価方法と同定方法における薄膜3の線膨張率同定の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
1,2 基板
3 薄膜
4,5 積層体
6 検出器
7 コンピュータ
8,10 計算モジュール
9 モジュール
11 扁平な要素
12 略立方体状の要素
13 要素

Claims (6)

  1. 厚みの異なる2種類の基板に薄膜を成膜した2種類の積層体を用いて、薄膜の残留応力を評価する工程と薄膜の機械的物性値を同定する工程と薄膜の熱的物性値を同定する工程において、基板の反りの測定値と数値解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行うことで、薄膜の応力を評価し、薄膜の機械的物性値、熱的物性値を同定する薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法。
  2. 薄膜の残留応力を評価する工程において、薄膜の曲げ剛性の影響が無視できる積層体の基板のみの有限要素モデルを用いて、有限要素解析により基板の反りの測定値と数値解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行うことで、薄膜の応力を評価する請求項1に記載の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法。
  3. 薄膜の機械的物性値を同定する工程において、薄膜を実厚さよりも厚い仮想厚さとした積層体の薄膜と基板の両方を含めた有限要素モデルを用い、請求項2で評価した膜応力を薄膜と基板の界面上に付与して行った有限要素解析により基板の反りの測定値と数値解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行い、かつ、理論式を併用することで薄膜の弾性率を同定する請求項1に記載の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法。
  4. 薄膜の熱的物性値を同定する工程において、薄膜を実厚さよりも厚い仮想厚さとした積層体の薄膜と基板の両方を含めた有限要素モデルを用い、温度変化に伴う成膜後の基板反り量変化の実測値と、請求項3で得た機械的物性値を用いて行った熱応力解析による反り計算値が一致するまで反復試行を行うことで薄膜の線膨張率を同定する請求項1に記載の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法。
  5. 成膜後の基板の反り量の実測値を有限要素解析用の基板モデルの表面に直接設定することにより、薄膜に生じる残留応力を基板表面に直接作用する力として評価する請求項2に記載の薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法。
  6. 厚みの異なる2種類の基板に薄膜を成膜した積層体の反り量を常温にて検出器により検出する手段と、測定した値をコンピュータに取り込む手段と、請求項1に記載の同定方法を実施する計算手段とから構成される薄膜の応力評価方法と薄膜の機械的物性値、熱的物性値の同定方法を実施する装置。
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