JP2004245756A - ジャンクション温度の推定方法 - Google Patents

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進一郎 菊地
Hidekatsu Muroi
英勝 室井
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Abstract

【課題】熱抵抗の数値が不明であったり、熱電対の使用に不便があるチップ状半導体部品に対してもそのジャンクション温度を正確に測定できる方法を提供する。
【解決手段】複数の周囲温度において半導体部品1のPN接合部に電圧を印加してPN接合部に流れる順方向電流を測定し、順方向電流と周囲温度との関係を求める第一の工程と、半導体部品が組み込まれた製品を動作状態にして製品の内部の温度を定常状態に保つ第二の工程と、製品を非動作状態にした直後にPN接合部に電圧を印加してPN接合部に流れる順方向電流を測定する第三の工程と、第三の工程で測定された順方向電流と等しい第一の工程で測定された順方向電流における周囲温度を第三の工程における半導体部品のPN接合部の温度であると推定する第四の工程とから構成した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品に組み込まれた半導体部品の動作状態におけるジャンクション温度を推定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製品に組み込まれた半導体部品の動作状態におけるジャンクション温度を推定する最も簡便な方法としては、例えば、半導体部品の表面に熱電対を被着してその表面温度Taを測定し、さらに半導体部品の仕様書に示されたPN接合部とケースと間の熱抵抗Rt(熱抵抗の単位は°C/W)と、半導体部品における実際の消費電力Pcとを用いて次式からジャンクション温度Tjを求めていた。Tj−Ta=Rt×Pc
【0003】
そして、求めたジャンクション温度がその半導体部品の最高許容ジャンクション温度(通常シリコンでは175°C乃至200°C)以下となるように設計していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年は、半導体部品をチップ状態(ウエハ状態)で購入してそれを直接回路基板等に実装するケースが増えている。即ち、フリップチップ実装されるケースが増えている。このような使用状態ではチップ状の半導体部品のジャンクション温度は周囲の放熱状況によって大きく左右されるため、半導体メーカとしては熱抵抗を数値化して仕様書に盛り込むことが困難となり、また、表面温度を測定する場合、熱電対と半導体部品との接触状況が一定しないため正確な温度の測定が期待できず、さらに、熱電対の接触によって放熱効果が生じる等の問題があって正確なジャンクション温度を測定することが困難であった。
【0005】
本発明は、熱抵抗の数値が不明であったり、熱電対の使用に不便があるチップ状半導体部品に対してもそのジャンクション温度を正確に測定できる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に対して、定常状態の複数の周囲温度において半導体部品のPN接合部に電圧を印加して前記PN接合部に流れる順方向電流を測定し、前記順方向電流と前記周囲温度との関係を求める第一の工程と、前記半導体部品が組み込まれた製品を動作状態にして前記製品の内部の温度を定常状態に保つ第二の工程と、前記製品を非動作状態にした直後に前記PN接合部に電圧を印加して前記PN接合部に流れる順方向電流を測定する第三の工程と、前記第三の工程で測定された順方向電流と等しい前記第一の工程で測定された順方向電流における周囲温度を前記第三の工程における前記半導体部品のPN接合部の温度であると推定する第四の工程から構成した。
【0007】
また、前記第一の工程と前記第三の工程において前記PN接合部に印加する前記電圧を前記接合部の温度上昇に影響しない程度の微少電圧とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のジャンクション温度の推定方法の特徴は、図1のフローチャートに示すように、第一の工程において、定常状態の複数の周囲温度において半導体部品のPN接合部に電圧を印加してPN接合部に流れる順方向電流を測定し、順方向電流と周囲温度との関係を求める。次いで、第二の工程では、半導体が組み込まれた製品を動作状態にして製品の内部の温度を定常状態に保つ。次の第三の工程では、製品を非動作状態にした直後にPN接合部に電圧を印加してPN接合部に流れる順方向電流を測定する。そして、第四の工程では、第三の工程で測定された順方向電流と等しい第一の工程で測定された順方向電流における周囲温度を第三の工程における半導体部品のPN接合部の温度であると推定する。以下、詳細に説明する.
【0009】
先ず、図2に示すように、製品に使用される半導体部品(1例としてベアチップトランジスタを示す)1を回路基板2に取り付ける。回路基板としては上記の製品に使用されものであってもよく、又は測定用に準備した回路基板であってもよい。そして回路基板2には半導体部品1のPN接合部に接続された電極2a、2b、2c(例えばベースに接続された電極2a、エミッタに接続された電極2b、コレクタに接続された電極2c)を設ける。
【0010】
次に、半導体部品1が取り付けられた回路基板2を恒温槽3等に入れて内部の温度が例えば25°Cで定常状態(半導体部品1のPN接合部の温度も)になるように保つ。その状態で、例えば、電極2a、2b間が順バイアスになるように微少電圧Eを印加してベースとエミッタ間のPN接合部に順方向電流を流し、その時の順方向電流を測定する(コレクタとエミッタ間に流れる順方向電流を測定しても良い)。印加する電圧はそれによってPN接合部の温度が上昇しない程度に低くし、且つ測定は短時間で行う。
以上の電流測定を異なる温度条件下、例えば50°c、75°c、100°cについても実施する。同じ印加電圧でも温度が上昇すると接合部順方向電流が増加するので、図3に示すような周囲温度と接合部順方向電流との関係が得られる。
【0011】
次に、上記と同じ半導体部品1が組み込まれた製品4を準備し、それに電源電圧を印加して動作状態とし、内部の温度が定常状態になった時点で電源電圧を遮断し、その直後にベースとエミッタ間のPN接合部に微少電圧Eを印加して接合部順方向電流Iを測定する。
【0012】
測定された接合部順方向電流Iを図3のグラフに当てはめるとその時の接合部の温度(ジャンクション温度A°C)が推定される。
【0013】
以上の方法によれば、ベアチップトランジスタ等のように、半導体メーカーから熱抵抗等の規格値が示されていない場合でも、実働状態でのジャンクション温度が推定できる。そして、測定されたジャンクション温度が許容値以内になっているかどうかを判定すると共に、放熱構造の検討に供することができる。
なお、本方法はベアチップトランジスタ等の様なチップ状の半導体部品に限らず、パッケージされた一般の半導体部品にも適用できることは言うまでもない。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、複数の周囲温度において半導体部品のPN接合部に電圧を印加してPN接合部に流れる順方向電流を測定し、順方向電流と周囲温度との関係を求める第一の工程と、半導体部品が組み込まれた製品を動作状態にして製品の内部の温度を定常状態に保つ第二の工程と、製品を非動作状態にした直後にPN接合部に電圧を印加してPN接合部に流れる順方向電流を測定する第三の工程と、第三の工程で測定された順方向電流と等しい第一の工程で測定された順方向電流における周囲温度を第三の工程における半導体部品のPN接合部の温度であると推定する第四の工程から構成したので、半導体メーカーから熱抵抗等の規格値が示されていない場合でも、実働状態でのジャンクション温度が推定できる。
【0015】
また、第一の工程と第三の工程においてPN接合部に印加する電圧を接合部の温度上昇に影響しない程度の微少電圧としたので、正確なジャンクション温度を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジャンクション温度の推定方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明のジャンクション温度の推定方法に使用する順方向電流と周囲温度との関係を求める説明図である。
【図3】本発明のジャンクション温度の推定方法に使用する順方向電流と周囲温度との関係図である。
【図4】本発明のジャンクション温度の推定方法における実働状態の順方向電流を測定する説明図である。
【符号の説明】
1 半導体部品
2 回路基板
2a、2b、2c 電極
3 恒温槽
4 製品

Claims (2)

  1. 定常状態の複数の周囲温度において半導体部品のPN接合部に電圧を印加して前記PN接合部に流れる順方向電流を測定し、前記順方向電流と前記周囲温度との関係を求める第一の工程と、前記半導体部品が組み込まれた製品を動作状態にして前記製品の内部の温度を定常状態に保つ第二の工程と、前記製品を非動作状態にした直後に前記PN接合部に電圧を印加して前記PN接合部に流れる順方向電流を測定する第三の工程と、前記第三の工程で測定された順方向電流と等しい前記第一の工程で測定された順方向電流における周囲温度を前記第三の工程における前記半導体部品のPN接合部の温度であると推定する第四の工程とからなることを特徴とするジャンクション温度の推定方法。
  2. 前記第一の工程と前記第三の工程において前記PN接合部に印加する前記電圧を前記接合部の温度上昇に影響しない程度の微少電圧としたことを特徴する請求項1に記載のジャンクション温度の制定方法。
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