JP2004245625A - 回路検査装置および回路検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の回路検査装置であるインバータ検査装置1は,インバータ10において,複数のトランジスタ列を有するトランジスタ部11と,各トランジスタへの制御信号を出力する制御回路部12との接合点を検査するものである。インバータ検査装置1は,インバータ10のトランジスタ列の両端に直流電圧を印加する定電圧電源21と,インバータ10の制御回路部12に特定のパターンの制御信号の出力を指示する信号発生装置22と,過剰電流を検知するブレーカ23と,抵抗負荷24と,インバータ10のトランジスタ列の中間の出力点の電圧を計測する電圧計25,26,27と,抵抗負荷の接続点の電圧を計測する電圧計28とを有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,2つのトランジスタを直列接続したトランジスタ列を有する対象回路の不良検出のための回路検査装置および回路検査方法に関する。さらに詳細には,対象回路の接続状態を検査する回路検査装置および回路検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より,2つのトランジスタを直列接続したトランジスタ列を有する回路の一例として,インバータが使用されている。インバータは,直流を所望の周波数の交流に変換させるためのものである。一般にインバータ10は,図5に示すように,2つのトランジスタが直列接続されたトランジスタ列を複数列有するトランジスタ部11と,各トランジスタの制御を行う制御回路部12とによって構成されている。そして,トランジスタ部11の入力端子11aに直流電圧を供給するとともに,制御回路部12にパルス変調信号を入力することにより,出力端子11bの間に所望の周波数の交流電圧を得ることができるものである。
【0003】
このインバータ10の不良検出のために,従来より種々の回路検査装置が考案されている(例えば,特許文献1,特許文献2参照。)。これらは,インバータ10に組み込まれた状態で,各トランジスタの電気的特性や開放・短絡不良を検査するための回路検査装置である。従来の回路検査装置の一例を図6に示す。インバータ検査装置100は,自動車に使用されるインバータ10に対し,製品としてのレベルでの検査を行うものである。
【0004】
このインバータ検査装置100は,トランジスタ部11の入力端子11aに接続する500〜600Vの高電圧電源101と,制御回路部12に接続するパルス変調信号発生装置102とを備えている。さらに,インバータ10から出力される交流電流を計測するために,出力端子11bの間に接続される擬似負荷103をも有している。この擬似負荷103は,実車における負荷に相当する抵抗分とリアクタンス分とを含むものである。そして,これらによってインバータ10を動作させ,出力端子11bから出力される電流を電流センサ104と電流計105とによって計測するのである。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−318608号公報
【特許文献2】
実開昭和63−10785号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記した従来のインバータ検査装置100では,実車レベルでの回路検査装置であるので,高電圧の入力電圧とかなり大きい負荷を用意する必要がある。そのため,トランジスタ部11や制御回路部12に対してインバータ検査装置100が大きいものとなり,また検査実施のための消費電力も大きいものとなるという問題点があった。
【0007】
本発明は,前記した従来の回路検査装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,小さな設備で簡単に実施可能であり,消費電力も小さい回路検査装置および回路検査方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の回路検査装置は,2つのトランジスタを直列接続したトランジスタ列と,各トランジスタへの制御信号を出力する制御回路とを有する対象回路における,トランジスタと制御回路との接合点を検査する回路検査装置であって,対象回路のトランジスタ列の両端に直流電圧を印加する直流電圧印加部と,対象回路の制御回路に特定のパターンの制御信号の出力を指示する指示部と,対象回路のトランジスタ列の中間の出力点の電圧を計測する出力電圧計測部とを有するものである。
【0009】
本発明の回路検査装置によれば,直流電圧印加部によって対象回路のトランジスタ列に直流電圧が印加され,指示部によって対象回路の制御回路に特定のパターンの制御信号の出力が指示される。そのとき,出力電圧計測部によって,対象回路のトランジスタ列の中間の出力点の電圧が計測されれば,指示されたパターンに応じた出力が得られているかどうかが検査される。すなわち,トランジスタ列の各トランジスタが指示通りに動作しているか否かをチェックできる。これにより,接合点の良否検査ができる。この検査では,指示パターンと出力パターンとの整合性が検査されるのみであるので,電流値の測定は不要であり,高電圧の入力電圧は不要である。従って,小さな設備で簡単に実施可能であり,消費電力も小さい回路検査装置となっている。
【0010】
さらに,本発明の回路検査装置は,複数の出力電圧計測部を有し,各出力電圧計測部に一端が接続されるとともに,他端が互いに接続された複数の抵抗負荷と,複数の抵抗負荷の他端の接続点の電圧を計測する中間電圧計測部とを有することが望ましい。
このようにすれば,インバータのような複数のトランジスタ列を有する対象回路に対して,各トランジスタ列の検査を行うことができる。また,交流成分を有する電流を流すものではないのでリアクタンス分は不要であり,小さな抵抗負荷で検査が可能となる。
【0011】
さらに,本発明の回路検査装置は,直流電圧印加部と直列に設けられた過剰電流検知部を有することが望ましい。
このようにすれば,接合点の異常によって過電流が発生した場合に,検知できるからである。
【0012】
また,本発明は,2つのトランジスタを直列接続したトランジスタ列と,各トランジスタへの制御信号を出力する制御回路とを有する対象回路の回路検査方法であって,トランジスタ列の検査および制御回路の検査を,トランジスタ列と制御回路との接続前にあらかじめ済ませておき,トランジスタ列と制御回路との接続後に,対象回路のトランジスタ列の両端に直流電圧を印加し,対象回路の制御回路に特定のパターンの制御信号の出力を指示し,その状態で対象回路のトランジスタ列の中間の出力点の電圧を計測する電圧計測を行う回路検査方法にも及ぶ。
【0013】
さらに,本発明の回路検査方法は,複数のトランジスタ列を有する対象回路を検査対象とし,電圧計測の際,各トランジスタ列の中間の出力点の電圧と,それらの出力点からそれぞれ負荷抵抗を介して一箇所に接続させた接続点の電圧を測定し,トランジスタ列における過剰電流の発生の有無を検知することが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を具体化した一実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は,自動車用モータ等に使用されるインバータを検査するインバータ検査装置である。
【0015】
本実施の形態のインバータ検査装置1は,その概略構成を図1に示すように,インバータ10に接続して使用される。インバータ10は,6個のトランジスタが互いに接続されている大電力トランジスタ部11と,各トランジスタの制御を行う制御回路部12とを有する,従来と同様のものである。以下では,トランジスタ部11の各トランジスタを区別するために,図1に示すように,図中上段の3つを左からUP,VP,WPとし,下段の3つを左からUN,VN,WNと呼ぶ。各トランジスタは,UPとUN,VPとVN,WPとWNがそれぞれ直列接続され,それぞれトランジスタ列を構成している。このインバータ10がインバータ検査装置1の対象回路である。
【0016】
インバータ検査装置1は,インバータ10に対する入力側として,トランジスタ部11の入力端子11aに接続される定電圧電源21と,制御回路部12に接続される信号発生装置22と,定電圧電源21に直列に接続されたブレーカ23とを有している。さらに出力側としては,出力端子11bの間に接続された1組の抵抗負荷24と,4つの電圧計25,26,27,28とを有している。
【0017】
定電圧電源21は,従来使用したような高電圧のものである必要はなく,数十V程度の電圧の直流電源である。信号発生装置22は,従来のようなパルス変調信号を出力するものではなく,オン/オフ信号を出力する装置である。ブレーカ23は,回路に過電流が流れた場合に,回路を遮断する装置である。ここで,定電圧電源21が直流電圧印加部に,信号発生装置22が指示部にそれぞれ相当する。また,ブレーカ23が過剰電流検知器に相当する。
【0018】
また,抵抗負荷24は,リアクタンス分を含まない抵抗分のみのものである。各数kΩ程度の3つの同じ個別抵抗が,それぞれの一端は各出力端子11bに接続され,他端は3つが互いに接続されて,抵抗負荷24が構成されている。そして,それぞれの出力端子11bと各個別抵抗の一端との間に,それぞれ電圧計25,26,27が接続されている。また,各個別抵抗が互いに接続された他端には電圧計28が接続されている。ここで,電圧計25,26,27が出力電圧計測部に,電圧計28が中間電圧計測部にそれぞれ相当する。
【0019】
次に,インバータ検査装置1による検査工程を含むインバータ10の製造工程について説明する。この製造工程には,図2に示すように,3種類の検査工程が含まれている。トランジスタ部11に関しては,工程31でまず各トランジスタの実装を行う。すなわち,各トランジスタの端子と入出力用端子とをワイヤボンディングによって接続する(工程32)。この段階でまず,各トランジスタごとに電気的特性検査33を行う。
【0020】
一方,制御回路部12に関しては,工程34でまず部品実装を行う。これは,プリント基板に各種部品をはんだ付けする工程である(工程35)。そして,実装の完了した制御回路部12に対して,電気的特性検査36を行う。これらの電気的特性検査33および電気的特性検査36は,インバータ10の組み付け前の部品受け入れ検査であり,従来より行われているものである。この段階で,トランジスタ部11,制御回路部12とも不良品がはねられ,良品のみが次の組み付け工程に供される。
【0021】
次に,こうして作製されたトランジスタ部11と制御回路部12とを組み付ける(工程37)。この工程では,図1に黒丸で示したように,トランジスタ部11の各トランジスタのベース端子(もしくはゲート端子)と制御回路部12とがはんだ付けされる(工程38)。続いて,そのはんだ付け部分の接続状態を検査するインバータ検査工程39を行う。このインバータ検査工程39を行うための装置が,インバータ検査装置1である。ここでは,電気的特性検査33と電気的特性検査36とで個々の部品についての電気的特性は検査済みであるので,実車レベルの検査の必要はない。従って,工程38で接続した箇所の接続状態を検査するためのオン/オフ検査のみを行えばよい。
【0022】
次に,インバータ検査装置1による検査方法について説明する。図3に示すように,検査のためにトランジスタ部11へ入力する入力信号には,3種類のパターン(A,B,C)がある。インバータ10にインバータ検査装置1を接続し,信号発生装置22によって,これらのうちいずれかを出力するように制御回路部12に指示させる。そして,その状態で各電圧計25,26,27,28が示す出力電圧25v,26v,27v,28vを計測するのである。
【0023】
各パターンの指示は次のようである。まず,UP,VP,WPのいずれか1つをオンとし,それに直列接続されているトランジスタをオフとする。さらにそれ以外の2組は添字Pのものをオフ,添字Nのものをオンとするのである。すなわち,1列中の2つのトランジスタを同時にオンすることはしない。UPをオンとするのがAパターン,VPをオンとするのがBパターン,WPをオンとするのがCパターンである。
【0024】
すべての接続箇所が正常である場合,各パターンにおける出力電圧25v,26v,27v,28vは図3に示すようになる。ここで,Eは定電圧電源21の電圧である。すなわち,添字Pのものがオンされているトランジスタ列に接続された電圧計の出力がEとなり,添字Pのものがオフされているトランジスタ列に接続された電圧計の出力は0となる。さらに,電圧計28の出力28vはE/3となる。
【0025】
いずれかの接続箇所が不調であり,オン信号にもかかわらず出力が得られない場合は,図4に示すような結果となる。例えば,UPがオンしないという不良の場合は,パターンAの出力結果がすべて0となることから判断できる。VP,WPについても,パターンB,Cの結果からその不良が判断される。また,UNが不良の場合はパターンBとパターンCとで電圧計28の示す出力電圧28vが,本来E/3となるはずのところE/2となることから判断できる。VN,WNについても,同様に2つのパターンによる結果の組み合わせにより判断できる。
【0026】
ところで,接続箇所が他の回路部分と短絡していると,いずれかのトランジスタが,制御信号にかかわらず常時オン状態になることがある。そうすると,検査パターンによっては,図1中上下に直列接続されているトランジスタ組(UPとUN,VPとVN,WPとWN)が同時にオンすることがある。この場合には,回路に過電流が流れることとなる。そこで,ブレーカ23が直ちに回路を遮断する。各パターンのいずれでブレーカ23が作動したかにより,図3からどのトランジスタの接続箇所が短絡状態であるかが判断できる。例えば,過電流の発生がAパターンのみであればUNが短絡状態である。BパターンとCパターンとで起きる場合はUPが短絡状態である。
【0027】
以上詳細に説明したように,本実施の形態のインバータ検査装置1によれば,電源は数十Vの定電圧電源21,擬似負荷は数kΩの抵抗負荷24でよい。さらに,信号発生装置22はオン/オフ信号を発生するものでよく,電流センサも不要で電圧計25〜28のみでよい。従って,小さく安価な設備で簡単に実施可能であり,消費電力も小さい。
【0028】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば,小さな設備で簡単に実施可能であり,消費電力も小さい回路検査装置および回路検査方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るインバータ検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】インバータ検査装置による検査の工程を示す工程図である。
【図3】インバータ検査装置による検査結果の例を示す表である。
【図4】インバータ検査装置による検査結果の例を示す表である。
【図5】インバータの構成を示すブロック図である。
【図6】従来のインバータ検査装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 インバータ検査装置
10 インバータ
11 トランジスタ部
12 制御回路部
21 定電圧電源
22 信号発生装置
23 ブレーカ
24 抵抗負荷
25,26,27,28 電圧計
Claims (5)
- 2つのトランジスタを直列接続したトランジスタ列と,各トランジスタへの制御信号を出力する制御回路とを有する対象回路における,トランジスタと制御回路との接合点を検査する回路検査装置において,
対象回路のトランジスタ列の両端に直流電圧を印加する直流電圧印加部と,
対象回路の制御回路に特定のパターンの制御信号の出力を指示する指示部と,
対象回路のトランジスタ列の中間の出力点の電圧を計測する出力電圧計測部とを有することを特徴とする回路検査装置。 - 請求項1に記載する回路検査装置において,
複数の出力電圧計測部を有し,
前記各出力電圧計測部に一端が接続されるとともに,他端が互いに接続された複数の抵抗負荷と,
前記複数の抵抗負荷の他端の接続点の電圧を計測する中間電圧計測部とを有することを特徴とする回路検査装置。 - 請求項1または請求項2に記載する回路検査装置において,
前記直流電圧印加部と直列に設けられた過剰電流検知部を有することを特徴とする回路検査装置。 - 2つのトランジスタを直列接続したトランジスタ列と,各トランジスタへの制御信号を出力する制御回路とを有する対象回路の回路検査方法において,
トランジスタ列の検査および制御回路の検査を,トランジスタ列と制御回路との接続前にあらかじめ済ませておき,
トランジスタ列と制御回路との接続後に,
対象回路のトランジスタ列の両端に直流電圧を印加し,
対象回路の制御回路に特定のパターンの制御信号の出力を指示し,
その状態で対象回路のトランジスタ列の中間の出力点の電圧を計測する電圧計測を行うことを特徴とする回路検査方法。 - 請求項4に記載する回路検査方法において,
複数のトランジスタ列を有する対象回路を検査対象とし,
前記電圧計測の際,
各トランジスタ列の中間の出力点の電圧と,それらの出力点からそれぞれ負荷抵抗を介して一箇所に接続させた接続点の電圧を測定し,
トランジスタ列における過剰電流の発生の有無を検知することを特徴とする回路検査方法。
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JP2003033523A JP4069755B2 (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 回路検査装置および回路検査方法 |
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JP2008245469A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd | インバータ診断方法およびその方法の診断に用いるインバータ診断器 |
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2003
- 2003-02-12 JP JP2003033523A patent/JP4069755B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2008245469A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd | インバータ診断方法およびその方法の診断に用いるインバータ診断器 |
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