JP2004244978A - 躯体構築方法および躯体 - Google Patents

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Abstract

【課題】敷地内に残存する既存の地下躯体を有効利用し、短期間で経済的に新規構造物を構築できる躯体構築方法および躯体を提供すること。
【解決手段】既存の躯体Aの1階床17に床増厚補強9を施し、作業員や資機材等の出入りのための圧力調整空間19を確保して、密閉された既存地下空間6を圧気する。そして、地下外壁23、底盤13を除く地下躯体1の所定の部分を解体して既存地下空間6aを確保し、浮力対応の地盤アンカ21を造成して、既存地下空間6aに新規の地下躯体26を構築する。その後、新規の地下躯体26が地下外壁23に作用する土水圧を支持できることを確認して既存地下空間6aの圧気を終了し、既存の地上躯体3を解体して新規の地上躯体29を構築する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、躯体構築方法および躯体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、既存の躯体が残存している敷地に建物を建設する場合は、既存の躯体を地上躯体、地下躯体の順に解体して敷地を更地にし、従来の建物構築方法で新規建物を構築する。または、施工の合理化や地下躯体を有効利用するために、既存躯体の一部を残して解体し、従来の建物構築方法で新規建物を構築している。
【0003】
地下躯体を解体するには、(1)解体される地下躯体が抵抗していた土水圧に抵抗させるために、既存躯体の周囲に新規に山留め壁を構築してから解体する方法がある。また、既存の地下躯体が敷地一杯に構築されている場合は、新規の山留め壁を構築するスペースを確保するために、(2)施工上の障害となる既存地下躯体を地上から部分的に削り取り、更地にしてから山留め壁を構築した後、残りの既存躯体を解体する方法が用いられている。
【0004】
さらに、解体される地下躯体をできる限り有効に利用してそのまま土水圧に抵抗させる場合には、(3)地上躯体を解体し、発生するコンクリート殻を浮力による地下躯体の浮き上がりを防ぐために地下躯体中に充填し、既存地下躯体の周囲に遮水壁を造った後、揚水により地下水位を低下させて浮力を低減し、地下躯体中のコンクリート殻を搬出し、新規の地下躯体を構築する方法が用いられる。
【0005】
既存躯体のない敷地に地下構造物を構築する場合には、地下構築物の外壁に当たる箇所に山留め壁を構築し、山留め壁の内部の地盤を揚水しながら掘削した後、山留め壁内部に形成した密封空間を圧気し、密封空間を用いて構築物を構築する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−6164号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1)の方法では、新規に山留め壁を構築するため建設コストが高くなる。(2)の方法では、(1)の方法よりさらに工程が複雑になるため、建設コストは一層高くなり、工事期間も長くなる。(3)の方法は、既存の地下躯体を土水圧に抵抗させて新規躯体を構築するものであるが、既存の地下躯体を解体して新規躯体を構築する方法である(1)や(2)の方法と比べて建設コストがより高く、工事期間も長くなり、既存躯体の有効利用にはつながっていない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、敷地内に残存する既存の地下躯体を有効利用し、短期間で経済的に新規構造物を構築できる躯体構築方法および躯体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するための第1の発明は、既存躯体を用いて新規躯体を構築する方法であって、既存地下躯体内の空間を密閉して圧気する工程(a)と、前記既存地下躯体の内部を解体する工程(b)と、前記既存地下躯体内に新規地下躯体を構築する工程(c)と、前記既存地下躯体内の空間の圧気を終了する工程(d)とを具備することを特徴とする躯体構築方法である。
【0010】
工程(a)では、既存地下躯体の圧力バランス階の床を耐圧補強し、既存地下躯体内の所定の部分を密閉して圧気する。圧気圧は、地下底盤に作用する水圧、地下壁に作用する土水圧から決定する。既存地下躯体内には、必要に応じて圧力調整空間を設置する。工程(d)では、新規地下躯体が地下壁に作用する土水圧を支持できることを確認してから圧気を終了する。
【0011】
工程(b)と工程(d)の間には、既存躯体の解体後に浮力で躯体が浮き上がるのを防ぐために、地下躯体の下方に地盤アンカまたは引抜杭を設置する工程(e)をさらに設けてもよい。この場合、工程(d)の後、必要に応じて、既存躯体の地上部分を解体し、新規地上躯体を構築する工程(f)を実施する。
【0012】
工程(e)を実施しない場合、代わりの浮力対応策として、新規躯体の構築に重量コンクリートを用いて建物重量の増加を図る。または、工程(f)で、浮力と建物荷重のバランスを考慮して、既存地上躯体の解体と新規地上躯体の構築を並行して行う。
【0013】
第1の発明では、既存躯体を用いて新規躯体を構築する際に、まず、既存地下躯体内の空間を密閉して圧気し、既存地下躯体の内部を解体する。このとき、既存地下躯体内の空間の圧気圧で、地下外壁、地下底盤に作用する土水圧に抵抗する。また、既存地下躯体に作用する浮力には、既存地上躯体を含む既存躯体の重量で抵抗する。次に、構造部材の解体によって確保された既存地下躯体内に新規地下躯体を構築し、既存地下躯体内の空間の圧気を終了する。
【0014】
第2の発明は、既存躯体を用いて新規躯体を構築する方法であって、既存地下躯体内の空間を密閉して圧気する工程(a)と、前記既存地下躯体の下方に山留め壁を造成する工程(b)と、前記既存地下躯体の底盤を解体し、前記山留め壁の内部を掘削する工程(c)と、前記山留め壁の内部に新規地下躯体を構築する工程(d)と、前記既存地下躯体内と前記新規地下躯体内の空間の圧気を終了する工程(e)とを具備することを特徴とする躯体構築方法である。
【0015】
工程(a)では、既存地下躯体の圧力バランス階の床を耐圧補強し、既存地下躯体内の所定の部分を密閉して圧気する。圧気圧は、地下底盤に作用する水圧、地下壁に作用する土水圧から決定する。既存地下躯体内には、必要に応じて圧力調整空間を設置する。工程(e)では、地下躯体が地下壁に作用する土水圧を支持できることを確認してから圧気を終了する。
【0016】
工程(a)と工程(b)の間には、既存地下躯体の内部を解体する工程(f)をさらに設けてもよい。この場合、工程(d)で、既存地下躯体内部にも新規地下躯体を構築する。工程(d)と工程(e)の間には、浮力で躯体が浮き上がるのを防ぐために、地下躯体の下方に地盤アンカまたは引抜杭を設置する工程(g)をさらに設けてもよい。この場合、工程(e)の後、必要に応じて、既存躯体の地上部分を解体し、新規地上躯体を構築する工程(h)を実施する。
【0017】
工程(g)を実施しない場合、代わりの浮力対応策として、新規躯体の構築に重量コンクリートを用いて建物重量の増加を図る。または、工程(h)で、浮力と建物荷重のバランスを考慮して、既存地上躯体の解体と新規地上躯体の構築を並行して行う。
【0018】
工程(b)および工程(c)は、既存地下躯体の底盤の一部を解体して行われる。この際、既存地下躯体内の圧気圧を変化させ、工程(b)では地下水位が底盤より高くならないように、工程(c)では山留め壁内の掘削をドライワークで行えるように、地下水位を制御する。
【0019】
工程(c)、工程(d)における地下水位の制御方法は、地下水の移動が難しい難透水性地盤の有無により異なる。工程(b)で造成された山留め壁の範囲内にない場合は、圧気圧の変化による方法が効果的である。難透水性地盤が山留め壁先端までの間に存在する場合は、井戸を設けて、掘削に影響する領域内の地下水を揚水する方法が効果的である。
【0020】
第2の発明では、既存躯体を用いて新規躯体を構築する際に、既存地下躯体内の空間を密閉して圧気する。このとき、既存地下躯体内の空間の圧気圧で、地下外壁、地下底盤に作用する土水圧に抵抗する。また、既存地下躯体に作用する浮力には、既存地上躯体を含む既存躯体の重量で抵抗する。次に、既存地下躯体の下方に山留め壁を造成し、既存地下躯体の底盤を解体し、山留め壁の内部を掘削して山留め壁の内部に新規地下躯体を構築する。このとき、既存地下躯体の下方に山留め壁を造成し、山留め壁の内部の地下水位を低下させることで、既存地下躯体の底盤以深においてもドライ条件を確保する。そして、既存地下躯体内の空間の圧気を終了する。
【0021】
第3の発明は、第1の発明の躯体構築方法または第2の発明の躯体構築方法を用いて構築された躯体である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。図1は、既存の躯体Aの断面図である。図1に示すように、躯体Aは、地盤5内に構築された地下躯体1と、地下躯体1上に構築された地上躯体3から成る。地下躯体1は、最低階の床である底盤13、その他の地下階の床15、地下内壁11、地下外壁23等で構成される。地下水位7は、地下躯体1の底盤13より高い位置にある。
【0023】
既存の地下躯体1を用いて新規躯体を構築するには、まず、図1に示すように、既存の地下躯体1の圧力バランス階を1階として、1階床17に床増厚補強9などの耐圧補強を施す。後述するように、1階床17には、底盤13の設計浮力相当の圧力が上向きに作用することになるため、床増厚補強9は、この圧力に抵抗できるように行う。図1では、1階床17の上部のみを補強したが、1階床17の上・下位置で補強を行ってもよい。
【0024】
図2は、圧力調整空間19を設置した既存の躯体Aの断面図である。床増厚補強9を行った後、エレベータシャフト等を利用して、地下躯体1から地上躯体3に通じる圧力調整空間19を確保する。圧力調整空間19は、例えば、作業員の出入りのための圧力調整空間19aと、資機材・材料・廃材・掘削土搬出入のための圧力調整空間19bから成る。
【0025】
圧力調整空間19を確保した後、地下躯体1内の既存地下空間6を密閉し、既存地下空間6内を加圧(圧気)する。既存地下空間6の圧気圧は、地下の底盤13に作用する水圧や地下外壁23に作用する土水圧から決定する。地下外壁23には、既存地下空間6内の圧気圧と地下外壁にかかる土水圧との差圧が、地下躯体1の内側から外向きに作用する。
【0026】
図3は、地下躯体1の一部を解体した既存の躯体Aの断面図である。図2に示す加圧された既存地下空間6内で、図3に示すように、既存の地下躯体23の一部を解体する。既存の地下躯体23の一部とは、地盤5に接する底盤13と地下外壁23を除く、地下内壁11や床15等の全部または一部である。地下内壁11や床15等を解体しても、既存地下空間6内の圧気圧で地下外壁23に作用する土水圧に抵抗できるため、仮設支保工は不要である。
【0027】
そして、新設の地下躯体26(図4)の造成に必要な既存地下空間6aを確保する。既存地下空間6a内の空気は、地下の底盤13位置に作用する水圧に相当する圧力で加圧され、これにより、地上と地下の境界階である1階床17に底盤13の設計浮力相当の圧力が上向きに作用する。
【0028】
次に、確保された既存地下空間6a内で、底盤13に地盤アンカ21を造成する。地下底盤13位置に作用する浮力には、既存躯体Aの重量で抵抗するが、地盤アンカ21は、地上躯体3の解体時に浮力により躯体Aが浮き上がるのを防ぐためのものである。
【0029】
図4は、新設の地下躯体26を造成した躯体Aの断面図である。図3に示すように地盤アンカ21を造成した後、既存地下空間6a内に新規の地下躯体26を造成する。そして、新規の地下躯体26が地下外壁23に作用する土圧を支持できることを確認して、既存地下空間6aの圧気を終了する。新規の地下躯体26は、地下内壁25、床27等から成る。
【0030】
図5は、圧力調整空間19と既設の地上躯体3を撤去した躯体Aの断面図である。既存地下空間6aの圧気を終了した後、図5に示すように、圧力調整空間19等の仮設資機材を撤去する。そして、既存の地上躯体3を解体する。
【0031】
図6は、新規の地上躯体29を構築した躯体Aの断面図である。図6に示すように、既存の地上躯体3に加えて1階床17の床増厚補強9も解体し、地下躯体1の上部に新規の地上躯体29を構築し、躯体Aを完成させる。
【0032】
このように、第1の実施の形態では、既存の地上躯体3を解体せずに、既存の地下躯体1の一部を解体して新規の地下躯体26を構築する。そのため、既存の地下躯体1に大きな浮力が作用している場合でも、浮力に対して既存の躯体Aの重量をそのまま利用でき、必要に応じて地盤アンカ21等の浮力対応策を施すだけで、特別な対応が不要となる。
【0033】
また、既存の地下外壁23に作用する土水圧には既存地下空間6内の圧気圧で抵抗できるため、土水圧抵抗部材であった床15や梁などの水平部材を、仮設支保工なしで解体できる。水平部材が解体された既存地下空間6aは、大空間が確保され、容易に新規の地下躯体26を構築できる。
【0034】
さらに、地下外壁23や底盤13は解体せずに再利用するため、既存の地下躯体1を有効利用でき、建設廃棄物の発生量が減少する。そして、従来の構築方法に比べて、工期、コストを大幅に削減できる。
【0035】
なお、第1の実施の形態では、地下部分が2層の躯体Aを用いて説明したが、地下の階数はこれに限らない。図1では、圧力バランス階である1階床17に床増厚補強9を行ったが、仮設桁補強により耐圧補強を行ってもよい。図2では、既存地下空間6全体を加圧空間としているが、地下躯体1の立ち上がり部については、外周の限られた領域の空間のみを加圧空間としてもよい。
【0036】
また、図3では、浮力対応策として地盤アンカ21を造成したが、これは必要に応じて行う。地盤アンカ21を造成するかわりに、引抜杭を造成する、重量コンクリートを用いて建物重量を増加させる、浮力と建物荷重のバランスを考慮して既存の地上躯体3の解体と新規の地上躯体29の構築を同時に行う等の方法を浮力対応策としてもよい。
【0037】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の新規躯体の構築方法では、既存の地下躯体の一部の解体までは、第1の実施の形態と同様の手順で行う。すなわち、図1に示す既存の躯体Bの地下躯体1の圧力バランス階を1階として、1階床17に床増厚補強9などの耐圧補強を施し、図2に示すように地下躯体1から地上躯体3に通じる圧力調整空間19を確保した後、地下躯体1内の既存地下空間6を密閉し、を地下の底盤13に作用する水圧や地下外壁23に作用する土水圧から決定される圧力に既存地下空間6内を加圧(圧気)する。
【0038】
図7は、地下躯体1の一部を解体した既存の躯体Bの断面図である。図2に示す加圧された既存地下空間6内で、図7に示すように、既存の地下躯体23の一部を解体する。地下躯体23の一部とは、第1の実施の形態と同様に、底盤13と地下外壁23を除く地下内壁11や床15等である。これらの解体の際、既存地下空間6内の圧気圧で地下外壁23に作用する土水圧に抵抗できるため、仮設支保工は不要である。
【0039】
そして、新規の地下躯体等の造成に必要な既存地下空間6bを確保する。既存地下空間6b内の空気は、地下の底盤13位置の圧力で加圧され、これにより、地上と地下の境界階である1階床17に底盤13位置での設計浮力相当の圧力が上向きに作用する。
【0040】
次に、新規躯体の地下壁41(図9)の計画位置の外側位置に溝31を掘削し、新規山留め壁33を造成する。新規山留め壁33を造成するため、図7に示すように、既存の地下躯体1の底盤13の一部が解体されるが、溝31の掘削時には、地下水位35が底盤13の上面以浅にならないよう、既存地下空間6b内の空気を増圧する。
【0041】
図8は、地下躯体構築空間37が確保された躯体Bの断面図である。新規山留め壁33の造成が終了した後、図8に示すように、既存の底盤13のうち、新規山留め壁33の内側の部分を解体する。そして、新規山留め壁33の内側の地下水位34が掘削面36以浅にならないよう、既存地下空間6b内の圧気圧を制御しつつ、新規山留め壁33の内側の掘削をドライワークで行い、地下躯体構築空間37を確保する。
【0042】
新規山留め壁33の上部部分、すなわち、新規地下躯体39(図9)と既存地下躯体13とにはさまれる部分である新規山留め壁32は、新規地下躯体39と既存地下躯体13を接合できるようにしている。
【0043】
図9は、新規の地下躯体39を構築した躯体Bの断面図を示す。新規山留め壁33の内側を掘削した後、地下躯体構築空間37内に、新規の地下躯体39を造成する。新規の地下躯体39は、底盤45、地下外壁41等から成る。新規の地下躯体39の底盤45には、地盤アンカ43が造成される。地盤アンカ43は、地上躯体3の解体時に浮力により躯体Bが浮き上がるのを防ぐためのものである。また、既設の地下躯体1の既存地下空間6b内に、新規の地下躯体26を造成する。
【0044】
そして、新規の地下躯体39、地下躯体26が、それぞれ地下外壁41、地下外壁23に作用する土圧を支持できることを確認して、既存地下空間6b、地下躯体構築空間37の圧気を終了する。
【0045】
図10は、圧力調整空間19を撤去し、新規の地上躯体29を構築した躯体Bの断面図である。既存地下空間6bの圧気を終了した後、図10に示すように、圧力調整空間19等の仮設資機材を撤去する。そして、既存の地上躯体3、1階床17の床増厚補強9を解体し、地下躯体1の上部に新規の地上躯体29を構築して、躯体Bを完成させる。
【0046】
このように、第2の実施の形態では、既存の地上躯体3を解体せずに、既存の地下躯体1の一部を解体し、地下躯体1の下方に新規山留め壁33を造成して、新規の地下躯体26、地下躯体39を構築する。そのため、既存の地下躯体1に大きな浮力が作用している場合でも、浮力に対して既存の躯体Bの重量をそのまま利用でき、必要に応じて地盤アンカ43等の浮力対応策を施すだけで、特別な対応が不要となる。
【0047】
また、既存の地下外壁23に作用する土水圧には、既存地下空間6内の圧気圧で抵抗できるため、仮設支保工なしで土水圧抵抗部材であった床や梁などの水平部材の解体ができる。水平部材が解体された既存地下空間6bは、大空間が確保され、新規の地下躯体26、新規山留め壁33、地下躯体39等を容易に構築できる。
【0048】
さらに、地下外壁23や底盤13の一部は解体せずに再利用するため、既存の地下躯体1を有効利用でき、建設廃棄物の発生量が減少する。そして、従来の構築方法に比べて、工期、コストを大幅に削減できる。
【0049】
第2の実施の形態では、地下水圧に既存地下空間6bの内部気圧を対抗させるので、既存の地下底盤13よりも深い位置に計画された新規の地下躯体39の構築に必要な新規山留め壁33を、ドライな既存地下空間6bを用いて造成できる。
【0050】
また、新規山留め壁33を既存の底盤13の下方に造成し、新規山留め壁33の内部の地下水位34を低下させることにより、既存の底盤13を解体しても、ドライワークで新規の地下躯体39を造成することができる。このとき、地下水位34を地下躯体構築空間37内部の圧気圧や揚水により制御するので、新規山留め壁33の規模は小規模でよい。
【0051】
なお、第2の実施の形態では、地下部分が2層の躯体Bの下方にさらに2層の地下躯体39を形成する例について説明したが、地下の階数はこれに限らない。図1では、圧力バランス階である1階床17に床増厚補強9を行ったが、仮設桁補強により耐圧補強を行ってもよい。図2では、既存地下空間6全体を加圧空間としているが、地下躯体1の立ち上がり部については、外周の限られた領域の空間のみを加圧空間としてもよい。
【0052】
また、図9では、浮力対応策として地盤アンカ43を造成したが、これは必要に応じて行う。地盤アンカ43を設置するかわりに、引抜杭を造成する、重量コンクリートを用いて建物重量を増加させる、浮力と建物荷重のバランスを考慮して既存の地上躯体3の解体と新規の地上躯体29構築を同時に行う等の方法を浮力対応策としてもよい。
【0053】
さらに、図7、図8についての説明では、既存地下空間6bや地下躯体構築空間37の圧気圧を増圧することで地下水位35、地下水位34を制御したが、溝31や新規山留め壁33の内部の地下水を揚水することで水位を制御し、掘削範囲のドライ条件を確保してもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、敷地内に残存する既存の地下躯体を有効利用し、短期間で経済的に新規構造物を構築できる躯体構築方法および躯体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】既存の躯体Aの断面図
【図2】圧力調整空間19を設置した既存の躯体Aの断面図
【図3】地下躯体1の一部を解体した既存の躯体Aの断面図
【図4】新設の地下躯体26を造成した躯体Aの断面図
【図5】圧力調整空間19と既設の地上躯体3を撤去した躯体Aの断面図
【図6】新規の地上躯体29を構築した躯体Aの断面図
【図7】地下躯体1の一部を解体した既存の躯体Bの断面図
【図8】地下躯体構築空間37が確保された躯体Bの断面図
【図9】新規の地下躯体39を構築した躯体Bの断面図
【図10】圧力調整空間19を撤去し、新規の地上躯体29を構築した躯体Bの断面図
【符号の説明】
1、26、39………地下躯体
3、29………地上躯体
5………地盤
7、34、35………地下水位
13、45………底盤
19、19a、19b………圧力調整空間
21、43………地盤アンカ
23、41………地下外壁
32、33………新規山留め壁
37………地下躯体構築空間

Claims (9)

  1. 既存躯体を用いて新規躯体を構築する方法であって、
    既存地下躯体内の空間を密閉して圧気する工程(a)と、
    前記既存地下躯体の内部を解体する工程(b)と、
    前記既存地下躯体内に新規地下躯体を構築する工程(c)と、
    前記既存地下躯体内の空間の圧気を終了する工程(d)と、
    を具備することを特徴とする躯体構築方法。
  2. 前記工程(b)と前記工程(d)の間に、前記既存地下躯体に地盤アンカまたは引抜杭を設置する工程(e)をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の躯体構築方法。
  3. 前記工程(d)の後に、前記既存躯体の既存地上躯体を解体し、新規地上躯体を構築する工程(f)をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の躯体構築方法。
  4. 既存躯体を用いて新規躯体を構築する方法であって、
    既存地下躯体内の空間を密閉して圧気する工程(a)と、
    前記既存地下躯体の下方に山留め壁を造成する工程(b)と、
    前記既存地下躯体の底盤を解体し、前記山留め壁の内部を掘削する工程(c)と、
    前記山留め壁の内部に新規地下躯体を構築する工程(d)と、
    前記既存地下躯体内と前記新規地下躯体内の空間の圧気を終了する工程(e)と、
    を具備することを特徴とする躯体構築方法。
  5. 前記工程(a)と前記工程(b)の間に前記既存地下躯体の内部を解体する工程(f)をさらに具備し、前記工程(d)で前記既存地下躯体内部に新規地下躯体を構築することを特徴とする請求項4記載の躯体構築方法。
  6. 前記工程(d)と前記工程(e)の間に、前記新規地下躯体に地盤アンカまたは引抜杭を設置する工程(g)をさらに具備することを特徴とする請求項4記載の躯体構築方法。
  7. 前記工程(e)の後に、前記既存躯体の既存地上躯体を解体し、新規地上躯体を構築する工程(h)をさらに具備することを特徴とする請求項4記載の躯体構築方法。
  8. 前記工程(b)から前記工程(d)は、前記既存地下躯体内の圧気圧を変化させて地下水位を制御しつつ行われることを特徴とする請求項4記載の躯体構築方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載された躯体構築方法を用いて構築されたことを特徴とする躯体。
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JP2016079567A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 株式会社竹中工務店 構造物の建替方法
CN113309142A (zh) * 2021-06-21 2021-08-27 王书理 一种输送管道生产装置及生产方法

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