JP2004244506A - 水系接着剤/塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス転移点が−50〜50℃のアクリル樹脂エマルジョンに、これを固形分換算の100重量部に対して、植物精油成分であるテルペン、テルピネオール等からなる群から選択される一種以上のテルペノイドまたは酢酸リナリルと、シトラール、オクチルアルデヒド等からなる群から選択される一種以上の精油成分とを、5〜800重量部となるように配合する。これによって得られた組成物は、接着剤や塗料として使用することができる。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水系接着剤/塗料組成物に係り、詳しくは、実用性が十分に高い接着性や塗着性を発揮する一方、清潔さが不可欠な家屋や施設さらには乗物の客室等に使用する建材や内・外装板、食品用機器や装置、家具類や文具品その他に適用して、植物精油の持つ抗菌性特に防かび性の高い接着剤もしくは塗料として提供し得る好適な組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被着体にスプレーや刷毛などで塗布する接着剤には、ポリクロロプレンといったゴム系接着剤組成物を有機溶剤に溶かしたものが使用される。しかし、有機溶剤を含んだ接着剤は人体に有害であることが多く、塗工中の有機溶剤拡散防止に配慮が必要となる。また、接着された製品から有機溶剤が揮発することなどに対しても、自然環境の悪化や水質汚染の原因を招来しないよう十分気を配らなければならない。
【0003】
例えば水溶性有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性アルコール類、アセトン等の水溶性ケトン類、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール等の水溶性エーテル類等を挙げることができる。これらは単独または複数混合して使用可能であり、その量は水溶性有機溶剤の濃度として0〜約30重量%程度である。
【0004】
その有機溶剤については、塗料の分野においても略同様のことが言える。そこで、有機溶剤の水への代替を含み、入手の容易さ、コスト低減さらには環境への負荷低減といった面での関心は極めて高くなってきている。その有機溶剤型組成物から水系組成物への切り替えは健康と安全の面で利益をもたらすが、水系塗料組成物で問題となるのは、それが溶剤型組成物で発揮される性能を達成できるようなものでなければならないということである。
【0005】
有機溶剤を含まない接着剤としては、ホットメルト接着剤や二液混合型接着剤がある。しかし、前者は接着可能時間が短く、形状の複雑な家具や玩具の接着に向いているとは言えない。一方、水を含まない後者のタイプの接着剤にも幾つかの試みがある。その一つとして、特開昭56−59874号公報に記載された二液性接着剤を挙げることができる。これは、エマルジョン型水性接着剤と接着促進剤(界面活性剤、金属酸化物、有機酸、水ガラスといった接着剤に対して吸水性、相反転作用、粘度上昇作用等を発揮するもの)とからなる。しかし、概して二液を混合するがために、接着作業が安定しないということは否定しがたい。
【0006】
それとは異なり、一液型水系接着剤を用いた接着法もあるが、これは例えば特開平4−298536号公報に開示のあるごとく、二つの支持体の表面を水性接着剤分散液により弾性接着する方法である。その接着剤は、アクリル酸エステルポリマーを含むゴム含有第1分散液およびクロロプレン重合体のコロイド状第2分散液を混合したものとなっている。
【0007】
しかし、塗工時エマルジョンの機械的安定性が乏しく、スプレー塗布などにおける塗工性は低く、連続して使用することができないという難点がある。その他の一液型水系接着剤においても乾燥と固化の二つの過程を経るので、乾燥設備を確保したり長時間放置が余儀なくされ、大型で形状の複雑な家具などには向かないと言える。
【0008】
ところで、接着剤にアクリル樹脂エマルジョンを使用しようとする場合、そのガラス転移点が−50〜50℃である場合に使用される可塑剤は、例えばフタル酸ジブチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリブチルフォスフェートなどの有機溶剤である。これらは、最低成膜温度(MFT)を室温以下に設定して使用の簡便を図るための成膜助剤として機能する。
【0009】
例えば特開平10−195406号公報には、アクリル樹脂エマルジョン、ポリクロロプレンラテックス、ウレタン樹脂エマルジョンからなる混成物に可塑剤を配合した水系一液接着剤の組成物が紹介されている。このように、通常接着剤を生成するにおいて可塑剤を加えているのは、言うまでもなく分子間凝集力の大きい高分子鎖間に入り込み、凝集力を弱めて可塑性を与え、高分子の加工性や耐寒性、可撓性をよくしようとするためである。
【0010】
その可塑剤として二塩基酸エステル系が使用され、水系接着剤組成物においては初期接着力を発現させるうえで必須である。具体的な例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジペニル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタルジイソノニル、フタル酸エチルエチルグリコレート、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルジグリコール、オクチルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、オクチルセバケート、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、イソフタル酸ジメチルなどが挙げられる。
【0011】
水系接着剤組成物全体に占める二塩基酸エステル系可塑剤の割合は、アクリル樹脂エマルジョン、ポリクロロプレンラテックス、ウレタン樹脂エマルジョンからなる混成物100重量部に対して0.1〜20重量部とされる。それによって接着剤の粘着力を発生させて初期接着力の発現を可能にする一方、接着剤のエマルジョン安定性を維持させ、弱い機械的シェアーで接着剤のゲル化を抑制して接着剤塗布作業の円滑を図り、また耐熱接着力も発揮させる。
【0012】
ちなみに、アクリル系水性エマルジョンを含んだ接着剤組成物に可塑剤を含有させた例が、特開2000−281996号公報にも記載されている。なお、水性エマルジョン型接着剤組成物としては、特開平11−349915号公報や特開2001−139919号公報にも開示がある。
【0013】
【特許文献1】
特開昭56−59874号公報
【特許文献2】
特開平4−298536号公報
【特許文献3】
特開平10−195406号公報
【特許文献4】
特開2000−281996号公報
【特許文献5】
特開平11−349915号公報
【特許文献6】
特開2001−139919号公報
【特許文献7】
特開平11−279462号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平11−279462号公報には、水性塗料にユーカリをハーブ精油として添加したものが記載されている。そのユーカリの添加量は水性塗料に対して0.01〜0.1体積%であり、添加目的は芳香剤としての効能を発揮させて塗料の持つ独特の臭いを抑えようとするものである。
【0015】
その添加量は塗装現場での不快臭や気分悪化を避けるためであるので、上記した0.1体積%どまりとしている。すなわち、これより多いとユーカリの持つの芳香が強くなり、却って不快感を与えることになるからというのである。
【0016】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、ガラス転移点が−50〜50℃のアクリル樹脂エマルジョンを主剤とする接着剤や塗料の有機溶剤による有害性・危険性を無くし、作業環境を改善する水系の一液型接着剤およびスプレー作業性を改善した塗料の組成物の提供を可能とし、さらに作業後の環境に防かび、防虫、消臭、アロマテラピー効果を付与できるようにした水系接着剤/塗料組成物を提案しようとすることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アクリル系水性エマルジョンを含んだ一液型水系接着剤組成物に適用される。その特徴とするところは、ガラス転移点が−50〜50℃のアクリル樹脂エマルジョンに、これを固形分換算の100重量部に対して、植物精油成分であるテルペン、テルピネオール、ピネンおよび1,8−シネオールからなる群から選択される一種以上のテルペノイドまたは酢酸リナリルと、シトラール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、ゲラニオール、アンスラニル酸エステル、ビサボレン、サンタロール、リナロール、3−オクタノン、ラバンジュロール、ラバンジュリルアセテート、リモネン、オシメン、カンファー、ボルネオール、カリオレフィンなどからなる群から選択される一種以上の精油成分とを、5〜800重量部となるように配合したことである。
【0018】
なお、上記の配合物に着色顔料を含ませ、接着剤に代えて塗料とすることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る水系接着剤/塗料組成物を詳細に説明する。まず、接着剤から述べる。これは、アクリル系水性エマルジョンを含んだ一液型水系接着剤組成物としようとするもので、アクリル樹脂エマルジョンと植物精油成分から構成されるものである。
【0020】
アクリル樹脂エマルジョンはガラス転移点が−50〜50℃のものが使用される。アクリル樹脂は透明性に優れ、耐油性・耐候性があり、種々な目に触れるものに接着剤として適用するには好適な増粘剤である。本接着剤組成物は、このアクリル樹脂エマルジョンに、これを固形分換算で100重量部として、植物精油成分を5〜800重量部配合したものである。
【0021】
そのアクリル樹脂エマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として、必要に応じて、官能基モノマー、常温架橋基モノマーや共重合可能な他の単量体を(共)重合して得られる樹脂エマルジョンである。その詳細の一例については既に触れた特開平10−195406号公報に記載があるので、ここでは割愛することにする。
【0022】
植物精油成分とは、テルペン、テルピネオール、ピネンおよび1,8−シネオールからなる群から選択される一種以上のテルペノイドまたは酢酸リナリルと、シトラール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、ゲラニオール、アンスラニル酸エステル、ビサボレン、サンタロール、リナロール、3−オクタノン、ラバンジュロール、ラバンジュリルアセテート、ピネン、リモネン、シネオール、オシメン、カンファー、ボルネオール、テルピネオール、カリオレフィンなどからなる群から選択される一種以上の精油成分である。
【0023】
従来技術の項で述べたが、通常は可塑剤が使用される。しかし、本発明においては可塑剤を使用することなく、植物精油をそれに充てようとするものである。上記した精油成分は、代表的にはタスマニアンオークと呼ばれるユーカリから得られるもので、抗菌、防かび、防虫、消臭、アロマテラピー効果を発揮する。中でも防かび性は極めて高く、病院や医療設備など雑菌の存在を嫌うところで使用する組成物には相応しいものであると言える。
【0024】
もちろん、それ以外のもの、例えば公共施設・一般家屋等の壁・壁紙・床・天井等の建材用、システムキッチン・流し台等の水回り用品、机・棚・テーブル等の家具類、文具類、電車・自動車・船舶・航空機等にも適用でき、化粧板、内・外装板、構造体、付属品、部品等の接着材料としても好適である。
【0025】
ちなみに、本発明においては環境に負荷を与えない天然ユーカリオイルを使用すればよいが、天然といえども中国等の非豪州産のそれよりも、真正ユーカリオイルとも言われている豪州産ユーカリオイルであることが最も好ましい。豪州産ユーカリオイルは、その薬効が一番く強く発揮されることが確認できているからである。
【0026】
そのような薬効のみならず、アクリル樹脂エマルジョンへの添加により、接着剤として十分に実用性を発揮することも確認され、従って、本発明では有機溶剤中毒予防規則などで有害とされている有機溶剤の使用を回避することができるようになる。
【0027】
植物精油成分がアクリル樹脂エマルジョンの樹脂固形分換算の100重量部に対して5重量部以上としているのは、それより少ないと、前記の特開平11−279462号公報にも記載されているように、ユーカリが発揮する芳香力でもって組成物特有の臭気を薄れさせる程度の効果しか発揮されなくなるからである。また、800重量部以下としているのは、これを越えればアクリル樹脂エマルジョンの含有比率の低下が甚だしくなり、接着剤としての接着性が十分に発揮されなくなるからである。
【0028】
以上は接着剤組成物として述べたが、その組成物に適宜な量の着色顔料を混ぜることによって、塗料とすることもできる。なお、塗料にしたからといって上記した薬効がそがれることはなく、被塗装物への雑菌寄せつけを排除するなど塗布面での衛生上の改質や保護が図られる。
【0029】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。言うまでもないが、本発明は以下に記載の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中%は重量基準である。
【0030】
実施例中における各種の測定は、下記のとおりである。
(1)エマルジョン安定性:作製した接着剤を200メッシュのステンレス製の金網でろ過し、凝集物の発生量を判定した。
○;接着剤の凝集物発生量が3%未満。
△;接着剤の凝集物発生量が3%以上、5%未満。
×;接着剤の凝集物発生量が5%以上。
【0031】
(2)常温接着性:作製した接着剤を、ウレタンフォーム(ポリエーテル系軟質50倍発砲フォーム)にスプレー塗布(50g/m2 )したのち、10分後に塗布面どうしを貼り合わせて圧着(30g/cm2 )させ、圧着後、20℃で24時間放置したのち、200mm/分で180°剥離測定を行った。
○;接着力が900g/25mm以上と強い。
△;接着力が600g/25mm以上、900g/25mm未満。
×;接着力が600g/25mm未満と弱い。
【0032】
(3)耐水接着性:作製した接着剤をウレタンフォーム(ポリエーテル系軟質50倍発砲フォーム)にスプレー塗布(50g/m2 )したのち、10分後に塗布面どうしを貼り合わせて圧着(30g/cm2 )させ、圧着後、20℃で24時間放置したのち、20℃で24時間接着物を水中養生し、水を含んだまま直ちに200mm/分で180°剥離測定を行った。
○;接着力が700g/25mm以上と強い。
△;接着力が500g/25mm以上、700g/25mm未満。
×;接着力が500g/25mm未満と弱い。
【0033】
(4)高温接着性:作製した接着剤をウレタンフォーム(ポリエーテル系軟質50倍発砲フォーム)にスプレー塗布(50g/m2 )したのち、10分後に塗布面どうしを貼り合わせて圧着(30g/cm2 )させ、圧着後20℃で24時間放置したのち、80℃で24時間接着物を養生し、冷やさずに直ちに200mm/分で180°剥離測定を行った。
○;接着力が500g/25mm以上と強い。
△;接着力が350g/25mm以上、500g/25mm未満。
×;接着力が350g/25mm未満と弱い。
【0034】
実施例に用いられるアクリル樹脂エマルジョンA〜Cの成分を下に示す。
アクリル樹脂エマルジョンA:常温架橋型アクリル樹脂エマルジョン(旭化成工業株式会社製、T276、Tg(ガラス転移点温度)=−49℃)
アクリル樹脂エマルジョンB:常温架橋型アクリル樹脂エマルジョン(旭化成工業株式会社製、F830、Tg=+4℃)
アクリル樹脂エマルジョンC:常温架橋型アクリル樹脂エマルジョン(日本触媒株式会社製、FB279、Tg=+12℃)
【表1】
【0035】
実施例1〜4、比較例1〜3を上記A〜Cのアクリル樹脂エマルジョンおよび成膜助剤としての植物精油を用い、表1に示す配合処方で接着剤組成物を調製した。これらの接着剤組成物のエマルジョン安定性、常温接着力、耐水接着力、耐熱接着力の結果を表1の下半部に示す。表1の比較例1〜3は基本的なアクリル樹脂エマルジョン接着剤の配合であり、充分な性能である。実施例1〜4は、本発明の目的とする性能が比較標準として作製した比較例1〜3と同等に発揮されている。
【0036】
次に、植物精油が成膜助剤として可塑剤の代替になることの確認試験について記す。
最低成膜助温度(MFT)が高い場合、MFTを室温以下に設定して使用の簡便を図るために成膜助剤として可塑剤が必要である。通常、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、トリブチルフォスフェート、プロピレングリコールn−ブチルエーテルなどの有機溶剤が使用されるが、本発明では、植物精油成分である、テルペン、テルピネオール、ピネン及び1,8−シネオールからなる群から選択される一種以上のテルペノイド又は酢酸リナリルと、シトラール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、ゲラニオール、アンスラニル酸エステル、ビサボレン、サンタロール、リナロール、3−オクタノン、ラバンジュロール、ラバンジュリルアセテート、ピネン、リモネン、シネオール、オシメン、カンファー、ボルネオール、テルピネオール、カリオレフィンなどからなる群から選択される一種以上の精油成分を成膜助剤として使用し、最低成膜温度(MFT)を低下させることに成功した。実施例を表2に、比較例を表3に示す。
【0037】
(1)エマルジョンの作製:アクリル樹脂エマルジョンを撹拌しているところに成膜助剤を所定量添加する。
(2)エマルジョンの安定性:作製した接着剤を200メッシュのステンレス製の金網でろ過し、凝集物の発生量を判定した。
○;接着剤の凝集物発生量が3%未満。
△;接着剤の凝集物発生量が3%以上、5%未満。
×;接着剤の凝集物発生量が5%以上。
【0038】
(3)接着性試験:作製した接着剤を、ウレタンフォーム(ポリエーテル系軟質50倍発砲フォーム)にスプレー塗布(50g/m2 )したのち、10分後に塗布面どうしを貼り合わせて圧着(30g/cm2 )させ、圧着後、10℃と25℃の環境で24時間放置したのち、200mm/分で180°剥離測定を行った。
【0039】
アクリル樹脂が正常に成膜すれば接着力も正常である。
○;接着力が900g/25mm以上と強い。
△;接着力が600g/25mm以上、900g/25mm未満。
×;接着力が600g/25mm未満と弱い。
【0040】
実施例に用いられるアクリル樹脂エマルジョンD、Eの成分を下記に示す。
アクリル樹脂エマルジョンD:常温架橋型アクリル樹脂エマルジョン〔旭化成工業株式会社製、F2000、Tg=+25℃、MFT=+40℃〕
アクリル樹脂エマルジョンE:常温架橋型アクリル樹脂エマルジョン〔旭化成工業株式会社製、E750、Tg=+15℃、MFT=+20℃〕
【表2】
【表3】
【0041】
実施例5〜11では最低成膜温度(MFT)の異なる上記D、Eのアクリル樹脂エマルジョンを用いて成膜助剤に植物精油成分の添加量を変えて成膜状態をみた。また、比較例4〜10では最低成膜温度(MFT)の異なる上記D、Eのアクリル樹脂エマルジョンを用いて成膜助剤に一般に使用される有機溶剤の添加量を変えて成膜状態をみた。実施例5〜11の接着剤処方は一般的な比較例4〜10の接着剤処方と比較してもエマルジョン安定性、接着力共に充分同等の性能を有している。
【0042】
これらのことから、本発明においては有害な有機溶剤を使用せず、接着環境の抗菌、防かび、防虫、消臭、アロマテラピー効果を付与できる接着剤を開発することができた。
【0043】
【発明の効果】
本発明の水系接着剤/塗料組成物によれば、実用性を満たすに十分高い接着性能を有し、さらに植物精油のもつ抗菌性、中でもかびに対しての高い防かび性を備え、実用に耐えうる優れた性能を持っている。これは塗料としても十分に使用することができるものである。すなわち、ガラス転移点が−50〜50℃のアクリル樹脂エマルジョンを主剤とする接着剤や塗料の有機溶剤による有害性・危険性を無くし、作業環境を改善する水系の一液型接着剤および塗料の組成物を提供し、さらに作業後の環境に防かび、防虫、消臭、アロマテラピー効果を付与することができる。
【0044】
本発明の接着剤や塗料としての用途は、病院や医療設備・公共施設・一般家屋等で可能であり、その壁・壁紙・床・天井等の建材用、システムキッチン・流し台等の水回り用品、机・棚・テーブル等の家具類、文具類、電車・自動車・船舶・航空機等の用途で化粧板、内・外装板、構造体、付属品、部品等の接着材料として好適である。
【0045】
さらに言えば、一液型の水系組成物であるので、接着・塗工作業およびその管理が容易となる。スプレー操作時の目詰まりが抑制され、塗布作業の負担は著しく軽減される。ウレタンフォームなどとの密着力・接着力が高く、耐水性・耐熱性も優れる。軟質ウレタンフォームなどの接着時に、接着剤も軟質であるために風合いを損なうこともない。常温での初期接着性に優れ、貼り合わせ作業の短縮が図られる。
Claims (2)
- アクリル系水性エマルジョンを含んだ一液型水系接着剤組成物において、
ガラス転移点が−50〜50℃のアクリル樹脂エマルジョンに、これを固形分換算の100重量部に対して、植物精油成分であるテルペン、テルピネオール、ピネンおよび1,8−シネオールからなる群から選択される一種以上のテルペノイドまたは酢酸リナリルと、シトラール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、ゲラニオール、アンスラニル酸エステル、ビサボレン、サンタロール、リナロール、3−オクタノン、ラバンジュロール、ラバンジュリルアセテート、リモネン、オシメン、カンファー、ボルネオール、カリオレフィンなどからなる群から選択される一種以上の精油成分とを、5〜800重量部となるように配合したことを特徴する水系接着剤組成物。 - 請求項1に記載された配合物に着色顔料を含ませ、前記接着剤に代えて塗料としたことを特徴とする水系塗料組成物。
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